説明

光沢紙

【課題】使用環境条件に関係なく良好に画像形成装置にて連続給紙できる光沢紙を提供する。
【解決手段】画像形成用の光沢紙200の裏面202には、凹凸加工が施されているので、高温高湿環境下でも光沢紙200同士が密着しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成用の光沢紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を転写紙に転写し、転写されたトナー像を、熱や圧力によって転写紙表面に定着させることで画像形成が行われる。このような画像形成装置において、通常の普通紙は、サイズ毎に給紙カセットに収容され、この給紙カセットから搬送されて転写処理に回される。
【0003】
他方、光沢紙などの特殊紙は、紙の腰の強さやその表面平滑性が高いことに起因して、給紙カセットから搬送すると、給紙時に重送、ミスピック、スリップ、JAMが発生しやすい。よって、手差し給紙トレイを用いて1枚ずつ通紙しなければならない。
【0004】
そこで、給紙カセットから光沢紙などの特殊紙を給紙するための技術内容が、特許文献1、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2005−15079号公報(平成17年1月20日公開)
【特許文献2】特開2006−168840号公報(平成18年6月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光沢紙はその表面平滑性が高いことに起因して、特に高湿環境下では用紙同士の密着現象が発生する。上記従来技術では、使用環境を極めて限定しなければ連続給紙は行えず、通常用いた場合には、光沢紙を連続給紙すると、重送、ミスピック、スリップ、JAM等の給紙不良が多発するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用環境条件に関係なく良好に画像形成装置にて連続給紙できる光沢紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光沢紙は、上記課題を解決するために、光沢加工された平滑な画像形成面を有する画像形成用の光沢紙において、画像形成面とは反対側の面に、凹凸加工が施されていることを特徴としている。
【0008】
光沢紙の画像形成面とは反対側の面に凹凸加工がされていることで、光沢紙を複数枚積載したときに、光沢紙同士の密着面積を減少させることができる。よって、高湿で光沢紙同士が密着を抑制することができる。そのため、本発明に係る光沢紙を用いると、画像形成装置にて高温高湿環境下でも、連続給紙を行うことができる。つまり、本発明に係る光沢紙は、使用環境条件に関係なく、重送、ミスピック、スリップ、JAM等の給紙不良の発生を抑えられ、画像形成装置にて良好に連続給紙することができる。また、給紙不良の発生を抑えることができるので、給紙不良で取り出す光沢紙(廃棄物)を従来よりも大幅に減らすことができ、高価な光沢紙を無駄にすることがなくなる。
【0009】
ここで、前記凹凸加工は、エンボス加工であってもよい。エンボス加工により光沢紙の画像形成面とは反対側の面に容易に凹凸加工を施すことができる。
【0010】
また、本発明に係る光沢紙では、上記構成に加え、前記反対側の面の平滑度は、スムースターによる測定で、16kPa(キロパスカル)以上であるのが好ましい。16kPa以上であると、より光沢紙同士の密着を抑えることができ、効果的に給紙時の問題を回避し連続給紙可能となる。
【0011】
また、本発明に係る光沢紙では、上記構成に加え、前記光沢紙の厚さに対する前記凹凸加工における凹部の最大深さは、6.0%以上11.3%以下であるのが好ましい。凹部の最大深さが6.0%未満であると、表裏判定を目視で行いにくく、画像形成装置の給紙カセットに表裏を間違えてセットすることを引き起こす。また、11.3%より大きいと、凹部の影響が画像形成面に及び、画像形成面に印刷される画像の画質に影響を与えることになる。よって、光沢紙の厚さに対する凹凸加工における凹部の最大深さが、6.0%以上11.3%以下、より好ましくは、6.7%以上10.0%以下となる凹凸(エンボス)加工を、光沢紙の画像形成面とは反対側の面に施すことが好ましい。このような範囲にすることで、ユーザが目視で表裏判定を行え、画像形成面にエンボス加工の影響を出さない高画質を得ることが可能となる。これは、157g/mの光沢紙で言えば、画像形成面とは反対側の面に最大深さ9μm以上17μm以下、より好ましくは10μm以上15μm以下となる凹凸(エンボス)加工を施すことにより、可能となるということである。
【0012】
また、本発明に係る光沢紙では、上記構成に加え、前記凹凸加工における凹部は、互いに連続して一方向に伸びるように設けられているのが好ましい。凹部が連続していることで、間の空気抜けが良好となり、さらに画像形成装置による連続給紙時に発生する問題を効果的に回避できる。
【0013】
なお、本発明に係る光沢紙は、電子写真方式の画像形成装置にて好適に用いることができる。本発明に係る光沢紙が、平滑度が上記規定された範囲、また、光沢紙の厚さに対する前記凹凸加工における凹部の最大深さが上記規定された範囲であると、電子写真方式の画像形成装置で、給紙不良の発生を抑え、また、凹凸加工が画像形成面に影響することなく、光沢紙に適切に画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る光沢紙は、以上のように、画像形成面とは反対側の面に凹凸加工が施されている。よって、光沢紙を複数枚積載したときに、光沢紙同士の密着面積を減少させることができる。ゆえに、高湿で光沢紙同士が密着を抑制することができる。そのため、本発明に係る光沢紙を用いると、画像形成装置にて高温高湿環境下でも、連続給紙を行うことができる。つまり、使用環境条件に関係なく、重送、ミスピック、スリップ、JAM等の給紙不良の発生を抑えられ、画像形成装置にて良好に連続給紙することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る光沢紙200は、光沢加工された平滑な画像形成面201と、画像形成面201とは反対の面(以下、裏面とする)202とを有している。画像形成面201は、後段で説明する画像形成装置によって画像が形成される面である。裏面202には凹凸加工が施されている。なお、裏面202には、光沢加工が施されていてもいなくてもよい。
【0017】
光沢紙200は、裏面202に施された凹凸加工により、光沢紙200を複数枚積載したときに、光沢紙200同士の密着面積を減少させることができる。よって、高湿で光沢紙200同士が密着を抑制することができる。そのため、光沢紙200を用いると、画像形成装置にて高温高湿環境下でも、連続給紙を行うことができる。つまり、本光沢紙200は、使用環境条件に関係なく、重送、ミスピック、スリップ、JAM等の給紙不良の発生を抑えられ、画像形成装置にて良好に連続給紙することができる。
【0018】
凹凸加工が施された裏面202は、後段の実施例で詳細は説明するが、スムースターによる測定で、16kPa以上であるのが好ましい。16kPa以上であると、より光沢紙間の密着を抑えることができ、効果的に給紙時の問題を回避でき、連続給紙可能となる。
【0019】
裏面202の凹凸加工は、例えば、エンボス加工にて形成してもよい。エンボス加工により光沢紙200の裏面202に容易に凹凸加工を施すことができる。
【0020】
凹凸加工は、画像形成面201に影響を与えない程度の深さで施されているのが好ましい。画像形成面201に影響と与えるとは、裏面202に施された凹部の影響が画像形成面201に及び、画像形成面201に印刷される画像の画質に影響を与える、ということである。
【0021】
また、凹凸加工は、目視で表裏判定が行える程度の深さで施されているのが好ましい。表裏判定が目視で行えないと、ユーザが画像形成装置の給紙カセットに表裏を間違えて光沢紙200をセットすることを引き起こす。
【0022】
エンボス加工におけるエンボスパターンの例を、図2(a)〜(d)に示す。図2(a)は、ダイヤ目のパターンであり、凹部が互いに連続して一方向に伸びるように設けられている。図2(b)は、布目のパターンであり、凹部が互いに連続して一方向に伸びるように設けられている。図2(c)は、絹目のパターンであり、凹部は互いに連続していない。図2(d)は、なし目のパターンであり、凹部が互いに連続していない。
【0023】
ここで、エンボスの凹部が互いに連続して一方向に伸びるように設けられていると、光沢紙200の裏面202と、その下の光沢紙の画像形成面201との間からの空気の抜けがよくなる。凹部が互いに連続していないと空気の抜けが悪い。よって、光沢紙の裏面202の凹凸加工において、凹部を互いに連続して一方向に伸びる形状のパターンにすることによって、空気抜けが良好となり、画像形成装置による連続給紙時に発生する問題をより効果的に回避することができる。
【0024】
次に、本実施形態の光沢紙200が収容される画像形成装置について図3を参照して説明する。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するもので、図3に示すように、装置本体110と、原稿処理装置120とにより構成されている。
【0025】
装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有して構成されている。装置本体110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には原稿処理装置120が取り付けられている。
【0026】
原稿処理装置120は、原稿載置台92の上に原稿を搬送する。また原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、ユーザが原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置けるようになっている。
【0027】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ各色に対応するよう4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0028】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図3に示すような非接触型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0029】
露光ユニット1は、帯電された感光体3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。ここでは、露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成されている。露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。露光ユニット1を構成する光走査装置の構成は、後述して具体的に説明する。また露光ユニット1としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いてもよい。
【0030】
現像器2はそれぞれの感光体3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化するものである。
【0031】
感光体3は、本実施形態ではドラム状であり、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持される。
【0032】
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0033】
感光体3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0034】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また各中間転写ローラ64は、感光体3上のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0035】
中間転写ベルト61は、各感光体3に接触するように設けられている、そして、感光体3上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0036】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状のものを使用しているが、それ以外にブラシ状のもの等も用いることが可能である。
【0037】
上述の様に各感光体上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト61の回転によって、シートと中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によってシート上に転写される。
【0038】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーをシートに転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10および前記中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が用いられる。
【0039】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によってシート上に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0040】
給紙カセット81は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110の露光ユニット1の下側に設けられている。また手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを置くことができる。また、装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ(図示せず)は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0041】
また装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて上記排紙トレイに送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81ないし手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0042】
ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給するものである。同様にまたピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給するものである。
【0043】
搬送ローラ12a〜12dは、シートの搬送を促進・補助するためのローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。
【0044】
また、レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体3上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写ローラ10に搬送する機能を有している。
【0045】
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されている。ヒートローラ71は、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。またヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。さらにシート搬送のため定着後ローラ、それに従動する定着後従動コロを有している。定着後ローラおよび定着後従動コロでシートを挟んで回転し、シートを搬送する。定着ローラ、定着後ローラを回転させるため、排紙ユニット側ギアをモーターにより回転させて定着ローラ駆動ギアを回転させる。
【0046】
次にシート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置には予めシートを収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82からシートを給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、シートを1枚ずつ搬送路Sに導くようになっている。
【0047】
各給紙カセット81,82から搬送されるシートは用紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、シート上に画像情報が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0048】
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c,12dに導く。そしてその後レジストローラ13を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。さらにシート搬送のため定着後ローラ、それに従動する定着後従動コロを有している。定着後ローラおよび定着後従動コロでシートを挟んで回転し、シートを搬送する。
【0049】
ここで、本実施形態の光沢紙200を給紙カセット81または手差し給紙カセット82に積載しても、光沢紙200の裏面202には凹凸加工が施されているので、給紙時に重送、ミスピック、スリップ、JAM等の給紙不良が発生しにくい。よって、光沢紙200を連続給紙しても、一枚ずつ搬送して画像形成することができる。
【0050】
図4は、上記画像形成装置100の一例であるデジタル複合機のブロック図である。画像形成装置100は、CPU111、RAM120、ROM130、HDD140、用紙搬送装置150、画像形成部160、操作パネルコントローラ170、操作パネル175、読取部180および検出センサ241,242を備えている。
【0051】
CPU111は、RAM120、ROM130、HDD140、用紙搬送装置150、画像形成部160、操作パネルコントローラ170、読取部180および検出センサ241,242を総括的に制御する。
【0052】
RAM120は、CPU111のワーキングエリアとして使用する。ROM130は、CPU110に実行させるためのプログラムを格納している。HDD140は、印刷データのスプールや解析後の印刷データを格納する。用紙搬送装置150は、給紙部から排紙部まで用紙を搬送する。画像形成部160は、搬送されてきた用紙に画像を形成する。操作パネルコントローラ170は、操作パネル175の表示を制御する。読取部180は、読取部180に載置された用紙の画像情報を読み取る。検出センサ241,242は、用紙の搬送異常を検出するために設けられている。通信部112は、通信ケーブル等を介してネットワークNWもしくはインターネットINに接続され、更にネットワークNW等を介してパーソナルコンピュータ(PC)等の端末装置113に接続され、端末装置113からの画像データをネットワークNW等を介して受信する。通信部112で受信された画像データは、ページ単位でRAM、HDDへと転送されて一旦蓄積され、画像形成部160へ送られ印刷出力される。
【0053】
なお、上記では、本発明の光沢紙を、電子写真式の画像形成装置にて用いるものとして説明したが、別の方式の画像形成装置にて用いてもかまわない。
【0054】
(実施例)
本発明の一実施例として行った実験について以下に説明する。
【0055】
本実験では、画像形成装置として、印刷速度が35〜45CPMのデジタルフルカラー機(シャープ株式会社:MX-3500,MX-4500)を用いて、高温高湿環境下での、光沢紙の給紙性能の確認を行なった。装置本体の使用環境条件は、温度:10℃〜35℃、湿度:20〜85%RHである。以下の測定では、印字速度83.5mm/sにて動作させた。
【0056】
上記装置を用いて、高温高湿の環境下(温度:25℃〜35℃、湿度:50〜90%RH)にて、平滑度の違う光沢紙にそれぞれについて、給紙性能の検討をおこなった。検討を行った光沢紙は、エンボス加工しておらず、スムースターによる測定で平滑度が3,8kPa(キロパスカル)のもの、および、裏面(画像形成面とは反対の面)にエンボス加工しており、スムースターによる測定で平滑度が12,14,15,16,17,20,25,30,35kPaのものである。これら光沢紙は全て157g/m(厚さ157μm)であり、また、エンボス加工を行った光沢紙のエンボスパターンは、図2(a)のようにダイヤ目である。評価は、上記装置の給紙カセットに光沢紙を積載して給紙させ、装置仕様環境内において、1000枚連続給紙して、(1)給紙スリップ、(2)ジャムまたはミスピック、(3)重送、の発生を確認することで行った。(1)、(2)、(3)がすべて発生しなかったものを良好「○」と評価した。また、(1)が発生したが、(2)、(3)は発生せず、ユーザにとって大きな障害とならないものをほぼ良好「△」と評価した。また、(2)または(3)が発生したものを不良「×」と評価した。以下の表1に、これら光沢紙の給紙性能を評価した結果を示す。
【0057】
【表1】

【0058】
表1に示される結果から、光沢紙の裏面(画像形成面とは反対の面)に、凹凸(エンボス)加工を実施し平滑度を高くすることにより、積載された光沢紙間の密着面積が減少して光沢紙間の空気抜け経路の確保が可能となり、光沢紙間の密着を抑え給紙時の問題を回避し連続給紙可能となることがわかる。そして、光沢紙の裏面の凹凸(エンボス)加工された面の平滑度は、スムースター測定で、16kPa以上であるのが好ましく、さらに20kPaであるのがより好ましく、光沢紙間の密着を抑え給紙時の問題を回避できることがわかった。
【0059】
次に、157g/m(厚さ157μm)の光沢紙の裏面にスムースター測定で平滑度7kPa以上となる凹凸加工(ここでは、エンボス加工)を施し、裏面の表面粗さ(Rz max)の測定、目視での表裏判定、画像形成面(画質)へのエンボスの影響の判定を行った。比較のためにエンボス加工なしの157g/m(厚さ157μm)光沢紙についても同様の測定および判定を行った。裏面の表面粗さは、表面粗さ計を用いて、Rz maxを50回測定して平均値を求めた。目視での表裏判定は、光沢紙をカセットにセットする際、表裏を目視で間違わないものを良好「○」、ほぼ間違わないものをほぼ良好「△」、間違うものを不良「×」として判定した。また、エンボスの影響の判定は、画像形成面に印刷を行い、目視し、印刷された画像にエンボスの影響が気にならないもの(画質に影響が無いもの)を良好「○」、ほぼ気にならないもの(画質にほぼ影響がないもの)をほぼ良好「△」、気になるもの(画質に影響があるもの)を不良「×」として評価した。さらに、測定した裏面の表面粗さから、光沢紙の厚さに対するエンボス加工における凹部の最大深さの比率を求めた。比較例であるエンボス加工のないものについては、光沢紙の厚さに対する最大の凹部の深さの比率を求めた。これらの結果を以下の表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
表2から、光沢紙の厚さに対する凹凸加工における凹部の最大深さが、6.0%以上11.3%以下、より好ましくは、6.7%以上10.0%以下となる凹凸(エンボス)加工を、光沢紙の裏面に施すことにより、ユーザが目視で表裏判定を行え(表裏を間違えず)、画像形成面にエンボス加工の影響を出さない高画質を得ることが可能となることが分かった。これは、157g/mの光沢紙で言えば、裏面に最大深さ9μm以上17μm以下、より好ましくは10μm以上15μm以下となる凹凸(エンボス)加工を施すことにより、可能となるということである。
【0062】
次に、裏面にエンボス加工を行った光沢紙(裏面の、平滑度20kPa、表面粗さ10μm)と、エンボス加工を行っていない光沢紙(裏面の、平滑度4kPa、表面粗さ4μm)とについて、温度を変化させ、光沢紙を1000枚給紙したとき、給紙不良が発生する湿度を測定した。その結果をグラフにしたものが図5である。図5より、光沢紙の裏面にエンボス加工を施すことで、給紙性能が向上することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、画像形成用、特に電子写真方式による画像形成用の光沢紙に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態の光沢紙を示す図である。
【図2】(a)〜(d)はそれぞれ、光沢紙の裏面に施されたエンボスのパターンを示す図である。
【図3】画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図4】画像形成装置の一例であるデジタル複合機のブロック図である。
【図5】エンボス加工により給紙性能が向上したことを示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
200 光沢紙
201 画像形成面
202 裏面(反対側の面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢加工された平滑な画像形成面を有する画像形成用の光沢紙において、
画像形成面とは反対側の面に、凹凸加工が施されていることを特徴とする光沢紙。
【請求項2】
前記凹凸加工は、エンボス加工であることを特徴とする請求項1に記載の光沢紙。
【請求項3】
前記反対側の面の平滑度は、スムースターによる測定で、16kPp以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の光沢紙。
【請求項4】
前記光沢紙の厚さに対する前記凹凸加工における凹部の最大深さは、6.0%以上11.3%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光沢紙。
【請求項5】
前記凹凸加工における凹部は、互いに連続して一方向に伸びるように設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光沢紙。
【請求項6】
電子写真方式の画像形成装置にて用いられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光沢紙。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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