説明

光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラム

【課題】 試料からの光に対する測定感度を向上することが可能な光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムを提供する。
【解決手段】 マイクロプレート20のウェル内に保持された試料からの光を測定する光測定装置1を、2次元の光検出画像を取得する画像取得部40と、光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析装置50とを備えて構成する。そして、データ解析装置50において、光検出画像上でウェルに対応して設定される測定領域に対して、測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することで、測定領域から解析処理の対象となる解析領域を抽出し、解析領域内での光強度のデータを解析データとして試料についての解析処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料から放出される蛍光や燐光、発光などの光を測定する光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
創薬分野等において細胞などの試料からの蛍光を測定する方法として、マイクロプレートを利用した蛍光測定方法が用いられている(例えば、文献1:特開平10−170444号公報、文献2:特開平10−197449号公報、文献3:特開2000−074837号公報参照、また、細胞観察については文献4:特開2005−027623号公報参照)。マイクロプレートは、それぞれ試料を保持可能な複数のウェル(テストホール)が設けられた板状の試料保持部材であり、各ウェル内に保持された試料から放出される蛍光を測定することで、試料の評価や必要な蛍光解析を効率的に行うことが可能である。
【特許文献1】特開平10−170444号公報
【特許文献2】特開平10−197449号公報
【特許文献3】特開2000−074837号公報
【特許文献4】特開2005−027623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したマイクロプレートを用いた蛍光測定方法としては、例えば、試料からの光を含む2次元光像を検出する光検出手段として2次元の光検出画像を取得可能な画像取得手段を用い、試料からの光のデータを画像として扱う方法がある。このような画像取得手段を用い、マイクロプレートのウェル内で試料となる細胞を培養して蛍光測定を行うような場合、画像取得手段で取得される光検出画像には、ウェルに対応する領域内でも細胞が存在しない領域が含まれている可能性がある。
【0004】
このような条件下で蛍光測定を行うと、例えば試料が存在しない領域の影響によって測定される光強度が平均化されて小さくなるなど、試料からの光に対する測定感度が低下するという問題がある。また、このような測定感度の低下の問題は、蛍光測定以外にも、燐光や発光など、試料からの光を測定する場合に一般に生じるものである。
【0005】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、蛍光などの試料からの光に対する測定感度を向上することが可能な光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明による光測定装置は、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定装置であって、(1)マイクロプレートのウェル内に保持された試料からの光を含むマイクロプレートの2次元光像を検出して、2次元の光検出画像を取得する画像取得手段と、(2)光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析手段とを備え、データ解析手段は、(3)光検出画像に対し、マイクロプレートの複数のウェルのそれぞれについてウェルに対応する測定領域を設定する測定領域設定手段と、(4)光検出画像から得られる測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することによって、測定領域から解析処理の対象となる解析領域を抽出する解析領域抽出手段と、(5)解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明による光測定方法は、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定方法であって、(1)マイクロプレートのウェル内に保持された試料からの光を含むマイクロプレートの2次元光像を検出して、2次元の光検出画像を取得する画像取得ステップと、(2)光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析ステップとを備え、データ解析ステップは、(3)光検出画像に対し、マイクロプレートの複数のウェルのそれぞれについてウェルに対応する測定領域を設定する測定領域設定ステップと、(4)光検出画像から得られる測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することによって、測定領域から解析処理の対象となる解析領域を抽出する解析領域抽出ステップと、(5)解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明による光測定プログラムは、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、(a)画像取得手段によって取得された、マイクロプレートのウェル内に保持された試料からの光を含むマイクロプレートの2次元光像を検出した2次元の光検出画像に対し、マイクロプレートの複数のウェルのそれぞれについてウェルに対応する測定領域を設定する測定領域設定処理と、(b)光検出画像から得られる測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することによって、測定領域から解析処理の対象となる解析領域を抽出する解析領域抽出処理と、(c)解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理とを含むデータ解析処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
上記した光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムにおいては、試料からの光を検出する光検出手段として、2次元の光検出画像を取得可能な画像取得手段を用いるとともに、マイクロプレートの像を含む光検出画像上で、試料が保持されたウェルに対応する測定領域を設定する。さらに、この測定領域内での光強度分布に対して光強度閾値を適用し、測定領域内で試料が存在する可能性が高い領域を抽出して解析領域として、光検出画像を用いた試料についての解析処理を行っている。
【0010】
このような構成によれば、マイクロプレートのウェルに対応して設定された測定領域内に試料が存在しない領域が含まれる場合であっても、その影響を効果的に低減することが可能である。したがって、このような光測定装置及び光測定方法を用いることにより、光検出画像を用いた試料の評価等において、蛍光などの試料からの光に対する測定感度を向上することが可能となる。
【0011】
ここで、光測定装置において、解析処理手段は、解析処理として解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出手段を有することが好ましい。同様に、光測定方法において、解析処理ステップは、解析処理として解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出ステップを含むことが好ましい。同様に、光測定プログラムにおいて、解析処理は、解析処理として解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出処理を含むことが好ましい。このように、解析領域内での2次元の光強度分布から平均光強度を求める方法で解析処理を行うことにより、その解析領域において測定された光強度を用いた試料の評価等を、好適かつ簡便な方法で行うことができる。
【0012】
また、光測定装置のデータ解析手段は、解析領域抽出手段における解析領域の抽出に用いられる光強度閾値を設定する閾値設定手段を有することが好ましい。同様に、光測定方法のデータ解析ステップは、解析領域抽出ステップにおける解析領域の抽出に用いられる光強度閾値を設定する閾値設定ステップを含むことが好ましい。同様に、光測定プログラムのデータ解析処理は、解析領域抽出処理における解析領域の抽出に用いられる光強度閾値を設定する閾値設定処理を含むことが好ましい。あるいは、このような光強度閾値としては、あらかじめ設定された閾値を用いても良い。
【0013】
また、解析領域内での光強度のデータに対する具体的な解析処理方法については、光測定装置の解析処理手段は、解析領域内での光強度のデータのみを解析データとして解析処理を行って、解析領域についての解析結果を得る構成を用いることができる。同様に、光測定方法の解析処理ステップは、解析領域内での光強度のデータのみを解析データとして解析処理を行って、解析領域についての解析結果を得る構成を用いることができる。同様に、光測定プログラムの解析処理は、解析領域内での光強度のデータのみを解析データとして解析処理を行って、解析領域についての解析結果を得る構成を用いることができる。
【0014】
あるいは、具体的な解析処理方法については、光測定装置の解析処理手段は、解析領域を含む測定領域内での光強度のデータを解析データとして解析処理を行い、その後に解析領域に応じて解析結果を選択することによって、解析領域についての解析結果を得る構成を用いることができる。同様に、光測定方法の解析処理ステップは、解析領域を含む測定領域内での光強度のデータを解析データとして解析処理を行い、その後に解析領域に応じて解析結果を選択することによって、解析領域についての解析結果を得る構成を用いることができる。同様に、光測定プログラムの解析処理は、解析領域を含む測定領域内での光強度のデータを解析データとして解析処理を行い、その後に解析領域に応じて解析結果を選択することによって、解析領域についての解析結果を得る構成を用いることができる。
【0015】
また、光測定装置は、画像取得手段が、複数の画素が2次元に配列された2次元画素構造を有する撮像装置を含み、解析領域抽出手段が、撮像装置での複数の画素に対応し光検出画像を構成する複数の画素成分のそれぞれについて解析処理の対象とするか否かを設定することによって解析領域を抽出することとしても良い。同様に、光測定方法は、画像取得ステップにおいて、複数の画素が2次元に配列された2次元画素構造を有する撮像装置を用い、解析領域抽出ステップが、撮像装置での複数の画素に対応し光検出画像を構成する複数の画素成分のそれぞれについて解析処理の対象とするか否かを設定することによって解析領域を抽出することとしても良い。同様に、光測定プログラムは、画像取得手段が、複数の画素が2次元に配列された2次元画素構造を有する撮像装置を含み、解析領域抽出処理が、撮像装置での複数の画素に対応し光検出画像を構成する複数の画素成分のそれぞれについて解析処理の対象とするか否かを設定することによって解析領域を抽出することとしても良い。このように、撮像装置の2次元画素構造に対応する画素成分単位で解析領域の抽出等を行うことにより、光検出画像に対する解析処理を効率良く実行することができる。
【0016】
また、光測定装置の解析領域抽出手段は、光強度分布中で上記光強度閾値(第1の光強度閾値)を超える光強度を有する領域を抽出して解析領域とするとともに、第1の光強度閾値よりも高い値に設定された第2の光強度閾値を参照し、第2の光強度閾値を超える光強度を有する領域を解析領域から除外することが好ましい。
【0017】
同様に、光測定方法の解析領域抽出ステップは、光強度分布中で上記光強度閾値(第1の光強度閾値)を超える光強度を有する領域を抽出して解析領域とするとともに、第1の光強度閾値よりも高い値に設定された第2の光強度閾値を参照し、第2の光強度閾値を超える光強度を有する領域を解析領域から除外することが好ましい。
【0018】
同様に、光測定プログラムの解析領域抽出処理は、光強度分布中で上記光強度閾値(第1の光強度閾値)を超える光強度を有する領域を抽出して解析領域とするとともに、第1の光強度閾値よりも高い値に設定された第2の光強度閾値を参照し、第2の光強度閾値を超える光強度を有する領域を解析領域から除外することが好ましい。
【0019】
このように、低光強度側の第1の光強度閾値に加えて、高光強度側の第2の光強度閾値を適用することにより、例えば蛍光測定においてマイクロプレートに付着した埃等に起因する自家蛍光の影響が問題となる場合に、その影響を効果的に除去、抑制することが可能となる。
【0020】
また、光測定装置は、解析領域抽出手段が、単一の測定領域に対する解析領域として、複数の解析領域を抽出するとともに、解析処理手段が、複数の解析領域のそれぞれについて、解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を別個に行うこととしても良い。
【0021】
同様に、光測定方法は、解析領域抽出ステップが、単一の測定領域に対する解析領域として、複数の解析領域を抽出するとともに、解析処理ステップが、複数の解析領域のそれぞれについて、解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を別個に行うこととしても良い。
【0022】
同様に、光測定プログラムは、解析領域抽出処理が、単一の測定領域に対する解析領域として、複数の解析領域を抽出するとともに、解析処理が、複数の解析領域のそれぞれについて、解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を別個に行うこととしても良い。
【0023】
このように、マイクロプレートのウェルに対応する測定領域内において、必要に応じて複数の解析領域を設定し、その解析領域毎に別個に解析処理を行うことが可能な構成とすることにより、光検出画像を用いた試料の評価等において、その測定感度及び測定精度が向上される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムによれば、マイクロプレートの像を含む光検出画像上で、試料が保持されたウェルに対応する測定領域を設定するとともに、この測定領域内での光強度分布に対して光強度閾値を適用し、測定領域内で試料が存在する可能性が高い領域を抽出して解析領域として、光検出画像を用いた試料についての解析処理を行うことにより、試料からの光に対する測定感度を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面とともに本発明による光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0026】
図1は、本発明による光測定装置の一例である蛍光測定装置の一実施形態を模式的に示す構成図である。また、図2は、マイクロプレートの構成の一例を示す斜視図である。また、図3は、図2に示したマイクロプレートの断面構造を示す側面断面図である。本実施形態による蛍光測定装置1は、試料保持部材としてマイクロプレート20を用い、マイクロプレート20によって保持された状態で測定位置Pに配置された試料S(図3参照)からの蛍光を測定するための装置である。
【0027】
なお、試料Sについては、蛍光測定の対象となるものであれば特に限定されないが、細胞や抗体などの生体試料が例として挙げられる。また、本発明による光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムは、蛍光測定以外にも、例えば燐光や発光など、試料からの光を測定する光測定に一般に適用可能であるが、以下においては、主として、その一例である蛍光測定装置、蛍光測定方法、及び蛍光測定プログラムについて説明する。以下、本蛍光測定装置1の構成について説明する。
【0028】
図1に示す蛍光測定装置1は、データ取得装置10、励起光源30、及びデータ解析装置50を備えて構成されている。データ取得装置10は、蛍光測定の対象となる試料Sを保持したマイクロプレート20が内部に収容される暗箱15と、暗箱15の内部に設置されて測定位置Pに配置された試料Sからの蛍光の測定に用いられる画像取得部40とを有している。
【0029】
本実施形態において試料保持部材として用いられているマイクロプレート20は、図2及び図3に示すように、複数のウェル(テストホール)21が2次元アレイ状に配置された板状部材であり、その複数のウェル21のそれぞれにおいて、試料Sを保持可能な構成となっている。図2に示した構成例では、複数のウェル21として、8×12=96個のウェル21が2次元アレイ状に配置されている。また、このマイクロプレート20の底面22は、試料Sに照射される蛍光測定用の励起光、及び試料Sから放出される蛍光を透過可能な材質によって形成されている。なお、一般に光測定装置においては、マイクロプレート20の底面22は、測定対象となる試料からの光を透過可能な材質によって形成されていれば良い。
【0030】
暗箱15内においては、マイクロプレート20は、蛍光観察用の開口を有するマイクロプレートホルダ11によって保持されている。また、これらのマイクロプレート20及びホルダ11に対して、暗箱15内で所定の方向を搬送方向(図1中においては、右側から左側へと向かう方向)とするマイクロプレート搬送機構12が設置されている。
【0031】
搬送機構12でのマイクロプレート20の搬送方向に対して搬入側となる暗箱15の一方側には、試料Sが保持された測定前のマイクロプレート20を所定枚数(例えば、25枚)ストックしておくための搬入側マイクロプレートストッカー13が設置されている。また、マイクロプレート20の搬送方向に対して搬出側となる暗箱15の他方側には、測定後のマイクロプレート20をストックしておくための搬出側マイクロプレートストッカー14が設置されている。
【0032】
このような構成において、搬入側マイクロプレートストッカー13から暗箱15内へと搬入されたマイクロプレート20は、マイクロプレートホルダ11によって保持されるとともに搬送機構12によって搬送される。そして、マイクロプレート20は測定位置Pで一旦停止させられ、この状態で、マイクロプレート20によって保持された試料Sに対して必要な光測定、本測定装置1においては蛍光測定、が行われる。測定完了後、マイクロプレート20は再び搬送機構12によって搬送され、搬出側マイクロプレートストッカー14へと搬出される。なお、図1においては、搬送機構12、及びストッカー13、14については、マイクロプレート20を搬入、搬送、搬出するための具体的な構成の図示を省略している。
【0033】
蛍光測定の実行時にマイクロプレート20、及びそれに保持された試料Sが配置される測定位置Pに対し、測定位置Pの上方には、マイクロプレート20の各ウェル21内に試薬等を注入するための分注装置16が設置されている。また、測定位置Pの下方には、ウェル21内に収容された試料Sからマイクロプレート20の底面22を介して放出される蛍光の検出に用いられる画像取得部40が設置されている。
【0034】
画像取得部40は、マイクロプレート20のウェル21内に保持された試料Sからの光を含むマイクロプレート20の2次元光像を検出して、2次元の光検出画像を取得する画像取得手段である。本実施形態においては、画像取得部40は、複数の画素が2次元に配列された2次元画素構造を有し、試料Sから放出される蛍光による2次元の光検出画像である蛍光画像を取得可能な撮像装置45を有している。この撮像装置45としては、例えば高感度のC−CCDカメラを用いることができる。また、必要があれば、カメラの前段にイメージ増倍管、リレーレンズ等を配置して画像取得部40を構成しても良い。
【0035】
また、マイクロプレート20が配置される測定位置Pと、撮像装置45との間には、導光光学系41が設置されている。導光光学系41は、複数のウェル21のそれぞれに試料Sが保持されたマイクロプレート20を底面22側からみた2次元光像を撮像装置45へと導く光学系である。導光光学系41の具体的な構成については、マイクロプレート20及び撮像装置45の構成等に応じ、必要な機能(例えば集光機能、光像縮小機能等)を実現可能な光学素子によって適宜構成すれば良い。そのような光学素子としては、例えばテーパファイバがある(特開2001−188044号公報参照)。
【0036】
また、図1においては、さらに、導光光学系41と撮像装置45との間に、必要に応じて蛍光の導光光路上への光学フィルタの配置、切換等を行うことが可能な光学フィルタ部42が設置されている。ただし、このような光学フィルタ部42については、不要であれば設けなくても良い。
【0037】
また、マイクロプレート20のウェル21内の試料Sに対し、蛍光画像を取得するための画像取得部40に加えて、励起光源30が設置されている。この励起光源30は、試料Sに対して蛍光測定用の励起光を供給するための励起光供給手段である。励起光源30の具体的な構成としては、蛍光測定の対象となる試料Sの種類、試料Sに照射する励起光の波長等に応じて適宜構成すれば良いが、例えば、光を供給する照明光源と、励起光の波長の選択、切換を行うための光学フィルタ部とによって構成することができる。また、試料Sに対して行われる光測定の種類により、励起光の供給が不要な場合には、励起光源30を設けない構成としても良い。
【0038】
本実施形態においては、励起光源30は図1に示すように暗箱15に対して外側に配置されており、励起光源30から供給される励起光は、励起光供給用ライトガイド31及び導光光学系41を介して試料Sへと照射される構成となっている。このような構成では、導光光学系41は、マイクロプレート20及び試料Sからの2次元光像を撮像装置45へと導くとともに、励起光源30からの励起光を試料Sへと導くことが可能な光学系として構成される。このような光学系は、例えば、マイクロプレート20からの蛍光を通過させるとともに、励起光源30からの励起光を反射させるダイクロイックミラー等を用いて構成することができる。なお、図1においては、導光光学系41における蛍光及び励起光の光路を、それぞれ実線及び破線によって模式的に示している。
【0039】
これらの画像取得部40を含むデータ取得装置10、及び励起光源30に対し、データ解析装置50が設けられている。このデータ解析装置50は、画像取得部40によって取得された光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行う解析手段である。また、データ解析装置50は、データ取得装置10及び励起光源30の各部の動作を制御することによって、本蛍光測定装置1における試料Sに対する蛍光測定を制御する。また、図1においては、データ解析装置50に対して、測定結果等を表示する表示装置71と、データの入力や蛍光測定に必要な指示の入力等に用いられる入力装置72とが接続されている。
【0040】
以上の構成において、マイクロプレート20のウェル21内に保持され、暗箱15内で測定位置Pに配置された試料Sに対し、ライトガイド31及び導光光学系41を介して、励起光源30から供給された蛍光測定用の励起光が照射される(励起光供給ステップ)。そして、試料Sから放出された蛍光を含む2次元光像は、導光光学系41を介して撮像装置45へと導かれ、撮像装置45によって2次元の光検出画像である蛍光画像が取得される(画像取得ステップ)。画像取得部40によって取得された蛍光画像を含む測定データは、データ解析装置50へと送られる。そして、データ解析装置50は、入力された測定データに対して、試料Sの評価等に必要な解析処理を行う(データ解析ステップ)。
【0041】
次に、本実施形態の蛍光測定装置1におけるデータ解析装置50の具体的な構成、及びデータ解析方法について説明する。図4は、図1に示した蛍光測定装置1に用いられるデータ解析装置50の構成の一例を示すブロック図である。本データ解析装置50は、解析処理部51と、測定領域設定部56と、解析領域抽出部57と、閾値設定部58とを有して構成されている。
【0042】
解析処理部51は、データ取得装置10の画像取得部40によって取得された試料Sの光検出画像である蛍光画像に対して設定された解析領域を参照し、解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料Sについての解析処理を行う解析処理手段である。本構成例においては、解析処理部51は、平均光強度算出部52と、解析データ選択部53とを有している。
【0043】
解析データ選択部53は、データ取得装置10から入力された測定データの蛍光画像に対して設定された測定領域及び解析領域を適用し、蛍光画像の画像データから必要なデータを選択して解析データとする。また、平均光強度算出部52は、解析データ選択部53によって選択された解析データを用い、試料Sについての蛍光解析処理として、解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う(解析処理ステップ、平均光強度算出ステップ)。
【0044】
また、図4に示す解析処理部51においては、データ取得装置10から入力される蛍光画像などの測定データに対して、測定データ補正部54が設けられている。測定データ補正部54は、画像取得部40によって取得された蛍光画像に対するダーク補正、自家蛍光補正、シェーディング補正など、測定データに対して必要な補正(後述)を行う。
【0045】
解析処理部51において蛍光画像に対して適用される測定領域、及び解析領域は、それぞれ測定領域設定部56、及び解析領域抽出部57によって設定、抽出される。測定領域設定部56は、画像取得部40によって取得された蛍光画像に対して、マイクロプレート20の複数のウェル21のそれぞれについて、ウェル21に対応する領域であって蛍光測定に用いられる測定領域を設定する(測定領域設定ステップ)。この測定領域は、具体的には例えば、マイクロプレート20において試料Sが保持されているウェル21の画像取得部40側からみた円形状の平面形状など、試料Sが存在する領域の形状等に基づいて設定される。
【0046】
解析領域抽出部57は、蛍光画像から得られる測定領域内での2次元の光強度分布に対して光強度閾値を適用し、ウェル21に対応する測定領域から、実際に解析処理の対象となる解析領域を抽出する(解析領域抽出ステップ)。この解析領域は、後述するように、測定領域内に試料Sが存在しない領域が含まれる場合に、その解析結果への影響を低減するためのものである。
【0047】
具体的には、解析領域抽出部57は、蛍光画像から得られる測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較する。そして、その光強度分布中で光強度閾値を超える光強度を有する領域を試料Sが存在する可能性が高い領域として抽出して解析領域とする。また、図4においては、この解析領域抽出部57に対して、閾値設定部58が設けられている。閾値設定部58は、上記のように解析領域の抽出に用いられる光強度閾値を所定の方法で設定する(閾値設定ステップ)。
【0048】
なお、解析領域抽出部57において測定領域内での光強度分布と光強度閾値とを比較した結果、その全体で光強度が光強度閾値を超えていた場合には、ウェルに対応する測定領域の全体がそのまま解析領域に設定される。また、光検出画像である蛍光画像に対する測定領域の設定方法、及び解析領域の抽出方法等については、具体的には後述する。
【0049】
また、図4に示すデータ解析装置50においては、データ記憶手段として、測定データ記憶部61、領域データ記憶部62、閾値データ記憶部63、及び補正データ記憶部64が設けられている。測定データ記憶部61は、データ取得装置10から入力された測定データ、あるいは測定データ補正部54によって補正された測定データ等の格納に用いられる。また、領域データ記憶部62は、上記した測定領域及び解析領域に関するデータ等の格納に用いられる。また、閾値データ記憶部63は、閾値設定部58で設定される閾値に関するデータ等の格納に用いられる。また、補正データ記憶部64は、測定データ補正部54で測定データの補正を行う際に必要な補正データ等の格納に用いられる。
【0050】
図5は、図4に示したデータ解析装置50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本構成例におけるデータ解析装置50は、バス80と、バス80に接続されたCPUなどの演算部81とを有している。また、バス80には、画像メモリ82、外部装置接続用のインターフェース83、プログラム記憶部84、及びデータ記憶部85が接続されており、これによってデータ解析装置50が構成されている。
【0051】
画像メモリ82は、データ取得装置10の画像取得部40で取得された蛍光画像などの画像データの入力等に用いられる。インターフェース83は、データ取得装置10、励起光源30などの蛍光測定装置1を構成する各装置を接続するために用いられる。プログラム記憶部84は、データ取得装置10の動作、データ取得装置10で取得された測定データの解析等に必要なプログラムが格納され、また、必要に応じて作業領域、パラメータ領域等が設けられる。データ記憶部85は、例えば、図4に示した構成におけるデータ記憶部61〜64に対応している。
【0052】
また、このデータ取得装置50のバス80には、表示装置71として用いられるモニタ73、及び入力装置72として用いられるキーボード74、マウス75等が接続されている。また、必要に応じて、ハードディスクなどの外部記憶装置をさらに接続しても良い。
【0053】
本実施形態による蛍光測定装置1、及び蛍光測定方法の効果について説明する。
【0054】
図1〜図5に示した蛍光測定装置1、及び蛍光測定方法においては、試料Sからの蛍光を検出する光検出手段として、2次元の光検出画像を取得可能な撮像装置45を含む画像取得部40を用いるとともに、取得した光検出画像上で、試料Sが保持されたウェル21に対応する測定領域を設定する。さらに、この測定領域内での光強度分布に対して光強度閾値を適用し、測定領域内で検出された光強度が小さく試料Sが存在しないかその量が少ない可能性が高い領域を除外するとともに、光強度が大きく試料Sが存在する可能性が高い領域を抽出して解析領域として、光検出画像を用いた試料Sについての解析処理を行っている。
【0055】
このような構成によれば、マイクロプレート20のウェル21に対応して設定された測定領域内に試料S(例えば、ウェル21内で培養された細胞)が存在しない領域が含まれる場合であっても、その影響を効果的に低減することが可能である。したがって、このような蛍光測定装置1及び蛍光測定方法を用いることにより、光検出画像である蛍光画像を用いた試料Sの評価等において、蛍光などの試料Sからの光に対する測定感度を向上することが可能となる。
【0056】
また、データ解析装置50の解析処理部51で行われる蛍光解析処理については、図4に示した構成例では、平均光強度算出部52によって解析領域内での2次元の光強度分布における平均光強度を算出する方法を用いている。このように、解析領域での平均光強度を求める方法で解析処理を行うことにより、その解析領域において測定された蛍光の光強度を用いた試料Sの評価等を、好適かつ簡便な方法で行うことができる。また、蛍光解析処理としては、解析領域内での光強度の平均値を求める方法以外にも、例えば、光強度のメディアン値を求める方法、2次元の光強度分布を直接用いる方法など、様々な方法を用いて良い。
【0057】
また、解析領域抽出部57において解析領域の抽出に用いられる所定の光強度閾値については、図4に示した構成例では、閾値設定部58において設定された閾値を用いることとしている。この場合の光強度閾値の設定方法としては、例えば、蛍光画像などの測定データから閾値を求める方法、操作者による入力装置72からの入力データによって閾値を設定する方法などを用いることができる。あるいは、あらかじめ設定された閾値を閾値データ記憶部63から読み出して用いる構成としても良い。
【0058】
なお、画像取得部40によって取得される2次元画像における光強度分布は、実際には2次元画像を構成する各画素成分(撮像装置45の2次元画素構造に対応)での輝度値の分布データとして取得される。したがって、このような場合には、上記した光強度閾値を画像データでの輝度値に対する閾値として設定しておくことが好ましい。これにより、2次元の蛍光画像の各画素成分での輝度値と、閾値とを比較することによって、解析領域を好適に抽出することができる。
【0059】
また、図1に示した蛍光測定装置1においては、試料Sを保持する試料保持部材として複数のウェル21を有するマイクロプレート20を用いている。このようにマイクロプレート20を用い、各ウェル21内に保持された試料Sから放出される蛍光を測定することで、例えば、高スループットなドラッグスクリーニングなど、試料Sの評価や必要な蛍光解析を効率的に行うことができる。この場合、データ解析装置50において、画像取得部40によって取得される蛍光画像に対する測定領域、及び解析領域を、複数のウェル21のそれぞれに対して設定することが好ましい。
【0060】
例えば、図2に示したように8×12=96個のウェル21を有するマイクロプレート20を用いた場合、画像取得部40によって取得される2次元の蛍光画像は、図6にその一例を示すように、8×12=96個でそれぞれが円形状のウェル像(試料像)を含む画像となる。この場合、図7に示すように、マイクロプレート20の構成に対応して96個の円形状の測定領域を設定することにより、96個のウェル21に収容された試料Sのそれぞれに対して、必要な蛍光解析処理を実行することができる。
【0061】
なお、この図7に示したような測定領域については、例えば、蛍光測定装置1において用いられるマイクロプレート20のウェル構造に対応させて、あらかじめプレートマップデータとして用意しておくことが好ましい。あるいは、マイクロプレート20の画像を取得した上で、その画像を参照してプレートマップデータを作成しても良い。また、解析領域については、上記したように光強度閾値を適用して測定毎に求めて、プレートマップデータに対応するサンプルマップデータを作成する方法を用いることができる。
【0062】
また、図7に示したように蛍光画像上で2次元に配列された複数の測定領域を設定する構成では、各測定領域(マイクロプレート20のウェル21)での蛍光解析結果を表示装置71に表示する場合には、図8にその解析結果の表示例を示すように、画面を2次元に配列された複数の表示領域(上記の例では8×12=96個の表示領域)に区分し、そのそれぞれに対応するウェル21での解析結果を表示することが好ましい。
【0063】
この場合、マイクロプレート20の複数のウェル21のそれぞれに保持された試料Sについての解析結果を操作者が容易に確認することが可能となる。なお、個々のウェル21に対する解析結果の具体的な表示方法については、測定条件等に応じて様々な方法を用いて良い。図8においては、その一例として、横軸を時間、縦軸を光強度とした蛍光強度の時間変化のグラフによって解析結果を示している。
【0064】
また、上記した蛍光測定装置1において実行される蛍光測定方法、特にデータ解析装置50において実行されるデータ解析方法に対応する処理は、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの蛍光を測定する蛍光測定をコンピュータに実行させるための蛍光測定プログラムによって実現可能である。また、一般に蛍光や燐光、発光などの試料からの光を対象とした光測定装置についても、光測定装置において実行される光測定方法、特にデータ解析方法に対応する処理は、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定をコンピュータに実行させるための光測定プログラムによって実現可能である。
【0065】
例えば、蛍光測定装置1のデータ解析装置50は、図5に例示したようにデータ解析処理に必要な各ソフトウェアプログラムなどが記憶させるROMと、プログラム実行中に一時的にデータが記憶されるRAMとが接続されたCPUによって構成することができる。このような構成において、CPUによって所定の光測定プログラムである蛍光測定プログラムを実行することにより、データ解析装置50、及びそれを含む蛍光測定装置1を実現することができる。
【0066】
このような光測定プログラムとしては、例えば、画像取得手段によって取得された、マイクロプレートのウェル内に保持された試料からの光を含むマイクロプレートの2次元光像を検出した2次元の光検出画像に対し、マイクロプレートの複数のウェルのそれぞれについてウェルに対応する測定領域を設定する測定領域設定処理と、光検出画像から得られる測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することによって、測定領域から解析処理の対象となる解析領域を抽出する解析領域抽出処理と、解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理とを含むデータ解析処理をコンピュータに実行させるように構成されたプログラムを用いることが好ましい。
【0067】
また、光測定のための各処理をCPUに実行させるための上記したプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録して頒布することが可能である。このような記録媒体には、例えば、ハードディスク及びフレキシブルディスクなどの磁気媒体、CD−ROM及びDVD−ROMなどの光学媒体、フロプティカルディスクなどの磁気光学媒体、あるいは、プログラム命令を実行または格納するように特別に配置された、例えばRAM、ROM、及び半導体不揮発性メモリなどのハードウェアデバイスなどが含まれる。
【0068】
試料Sの蛍光測定における蛍光画像に対する測定領域の設定、解析領域の抽出、及びそれによる効果について、さらに具体的に説明する。なお、以下においては、マイクロプレート20における単一のウェル21に着目し、主にウェル21に対して取得される画像、設定される領域等を用いて具体的な蛍光測定方法、解析方法について説明する。マイクロプレート20に含まれる複数のウェル21の全体に対して蛍光測定を行う場合には、それぞれのウェル21に対して同様の処理を行えば良い。また、蛍光測定の対象となる試料Sについては、主に生体試料である細胞を想定する。
【0069】
図9は、マイクロプレートの(a)ウェル内での細胞の分布、及び(b)ウェルに対応して取得される蛍光画像の一例を示す図である。図1に示した蛍光測定装置1では、複数のウェル21を有するマイクロプレート20の全体に対して一括して光検出画像を取得するため、光検出画像の撮像はマイクロプレート20の全体を撮像可能な倍率で行われる。このため、CCDなどの撮像装置45では、一般には、図9(a)に示すように、図中に点線で示されている2次元画素構造での1画素(2×2画素などでビニングを行っている場合には、ビニングされた画素単位)に対応する領域に複数の細胞が分布し、1画素に対して複数の細胞からの蛍光が入射する。
【0070】
また、例えばマイクロプレート20のウェル21内で試料Sとなる細胞を培養して蛍光測定を行うような場合、ウェル底面からの細胞の剥がれや、コンフルエントな状態まで細胞が増殖していない、などの種々の理由により、ウェル21内でも細胞が多く存在する領域と、細胞が存在しない領域とが分布することがある。このとき、画像取得部40で取得される光検出画像においても、細胞が多く存在する領域に対応する画素と、細胞が存在しない領域に対応する画素とが含まれることとなる。なお、図中においては、2次元画素構造を構成している画素をA、マイクロプレート20のウェル21に対応するウェルの像をW、ウェルの像W内で分布している細胞の像をCであらわしている。
【0071】
図9(b)は、図9(a)に示す細胞の分布に対応して得られる蛍光画像での光強度分布を示している。このように、画像取得部40で取得される蛍光画像では、上記したウェル21内での細胞の分布に対応して、蛍光がほとんど検出されていない領域(画素)も含めた蛍光強度の分布が現れる。
【0072】
図10は、図9(b)に示した蛍光画像に対する(a)測定領域、及び(b)解析領域の設定の一例を示す図である。なお、図10(a)及び図10(b)においては、2次元の蛍光画像のうちで、斜線を付した領域(画素)が測定領域R1または解析領域R2から除外される領域を示している。
【0073】
図10(a)においては、ウェル21内での細胞の分布にかかわらず、ウェル21(ウェルの像W)に対応するように測定領域(測定画素群)R1を設定している。このように設定された測定領域R1を適用して蛍光画像の解析処理を行った場合、蛍光がほとんど検出されていない領域が含まれているため、それらの領域での光強度が平均化されることによって解析結果での蛍光強度が小さくなる。また、このように蛍光強度が小さくなると、測定感度の低下、S/Nの劣化などの問題も生じる。
【0074】
これに対して、上記実施形態による蛍光測定装置1及び測定方法では、図10(b)に示すように、測定領域R1内での光強度分布に対して適切な光強度閾値を設定(本例においては、図9(b)の光強度分布において白抜きで示した画素での光強度が閾値以下となるように設定)し、光強度閾値を超える光強度を有する領域を解析領域(解析画素群)R2としている。
【0075】
このように解析領域R2を設定し、解析領域R2内での光強度のデータを解析データとして試料Sについての解析処理を行うことにより、上述したように、試料Sからの光に対する測定感度の向上、S/Nの向上などの効果が得られる。また、このような構成では、測定で使用する細胞数を減らすことができる。また、例えば、初期培養細胞、発現量の少ない受容体などの評価も可能となる。
【0076】
図11は、蛍光画像を解析して得られるウェルからの蛍光強度の時間変化の一例を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間t(a.u.)を示し、縦軸は蛍光の光強度変化(相対値)を示している。また、グラフG1は測定領域R1をそのまま解析領域とした従来方法での解析結果を示し、グラフG2は解析領域R2を用いた場合の解析結果を示している。
【0077】
ここでは、細胞(RBL)を5000個/ウェルの条件で24時間培養した後、5μM Fluo3(カルシウム感受性蛍光色素)にて蛍光染色し、その後に、80nM Ionomycin(カルシウムイオノフェア)で薬剤刺激(図中の矢印で添加)したときのカルシウムイオンの経時変化を示している。このように、測定領域R1の全体ではなく光強度閾値を適用して抽出された解析領域R2で解析処理を行うことにより、得られる蛍光強度の変化は約2倍以上となっており、測定感度が向上して検出限界が上昇していることがわかる。
【0078】
なお、上記実施形態では、測定領域R1内での光強度分布に対して光強度閾値(第1の光強度閾値)を設定し、この第1の光強度閾値を超える光強度を有する領域を抽出して解析領域R2としているが、さらに、第1の光強度閾値よりも高い所定の値に第2の光強度閾値を設定し、この第2の光強度閾値を参照し、第2の光強度閾値を超える光強度を有する領域を解析領域から除外することとしても良い。このように、低光強度側の第1の光強度閾値に加えて、高光強度側の第2の光強度閾値を適用することにより、例えば蛍光測定においてマイクロプレートに付着した埃等に起因する自家蛍光の影響が問題となるなどの場合に、その影響を効果的に除去、抑制することが可能となる。
【0079】
すなわち、蛍光画像では、埃等が存在する部位において、その自家蛍光によって他の部位よりも検出される光強度が大きくなる場合がある。これに対して、測定領域R1内での光強度分布に対して、必要に応じて高光強度側の閾値となる適切な第2の光強度閾値を設定しておき、閾値を超える光強度を有する領域を解析領域から除外することにより、埃等に対応する領域を解析処理から除くことが可能である。なお、埃等の自家蛍光の影響が問題にならない場合には、上記した第2の光強度閾値の設定は不要である。
【0080】
ここで、解析領域R2内での光強度のデータを解析データとした蛍光画像などの光検出画像の解析処理については、具体的には様々な方法を用いることができる。例えば、光検出画像上で測定領域内に解析領域となるROI(Region of Interest)を設定し、その解析領域の全体でウェルに対応する平均光強度等を算出する方法がある。この場合、平均光強度は
解析領域での光強度/解析領域の面積
によって求めることができる。
【0081】
あるいは、2次元画素構造を有する撮像装置45を用いて取得された光検出画像に対して、解析領域に含まれる画素(解析画素)について画素単位で解析処理を行い、それらの解析結果を合わせることでウェルに対応する平均光強度等を算出する方法がある。この場合、平均光強度は
解析画素での光強度の積分値/(解析画素数×1画素の面積)
によって求めることができる。
【0082】
また、上記した方法は、領域単位で解析処理する方法及び画素単位で解析処理する方法のいずれも、解析領域内での光強度のデータのみを解析データとして解析処理を行う方法である。これに対して、解析領域を含む測定領域内での光強度のデータを解析データとして解析処理を行い、その後に解析領域に応じて解析結果を選択することによって、解析領域についての解析結果を得る方法を用いることも可能である。
【0083】
例えば、画素単位で解析処理を行う場合に、測定領域に含まれる画素全体について画素単位で解析処理を行い、それらの解析結果が出た後に、その解析結果を参照して解析領域の抽出を行う。そして、抽出された解析領域に基づいて、測定領域に対して得られた解析結果から必要なもののみを選択し、それらの選択された解析結果を合わせることでウェルに対応する平均光強度等を算出することができる。
【0084】
また、光検出画像に対して画素単位で解析処理を行う場合における解析領域の抽出については、撮像装置45での複数の画素に対応し光検出画像を構成する複数の画素成分のそれぞれについて解析処理の対象とするか否かを設定することによって解析領域を抽出することとしても良い。このように、撮像装置45の2次元画素構造に対応する画素成分単位で解析領域の抽出等を行うことにより、光検出画像に対する解析処理を効率良く実行することができる。
【0085】
解析領域の抽出に用いる光強度閾値の設定については、上記したようにあらかじめ設定された閾値を用いても良いが、対象となる光検出画像での光強度分布等を参照して閾値を設定しても良い。そのような設定方法の具体例としては、測定領域R1の全体での平均光強度を求め、得られた平均光強度に対して所定の閾値設定係数を掛け合わせた値を光強度閾値とする方法が挙げられる。
【0086】
この場合、平均光強度としては、単一のウェルでの光強度を用いても良く、あるいは全ウェルでの光強度を用いても良い。また、光強度の平均値ではなく、メディアン値等を用いても良い。また、解析領域の抽出に関しては、細胞等の形態情報、細胞に標識を付する方法、クウェンチャーで分離する方法等、様々な方法を用いて良い。
【0087】
また、平均光強度などの光強度のデータの導出方法については、様々な方法を用いて良い。例えば、図8に模式的に示したように、光強度の時間変化が測定される場合には、光強度の代表値の導出方法としては、ベースラインの輝度値から求める方法、反応時のピーク値から求める方法、光強度の時間積分値から求める方法、光強度比から求める方法などを用いることができる。
【0088】
図1に示した蛍光測定装置1を用いた蛍光測定方法について、さらに説明する。図12は、本発明による光測定方法の一例である蛍光測定方法の一実施形態を示すフローチャートである。この例では、まず、試料Sがウェル21内に保持されたマイクロプレート20の2次元光像を画像取得部40の撮像装置45で検出して、光検出画像を取得する(ステップS501)。取得された光検出画像は、データ取得装置10からデータ解析装置50へと送られる。そして、データ解析装置50において、あらかじめ用意された測定領域のデータ(プレートマップデータ)DR1を参照して、ウェルに対応する測定データ
Data[Well][Pixel]
が選択される(S502)。
【0089】
次に、測定領域に対応して選択された測定データに対して光強度閾値を適用することにより解析領域が抽出され、サンプルマップデータが作成される(S503)。そして、抽出された解析領域のデータ(サンプルマップデータ)DR2を参照して、試料に対応するデータである解析データが、例えば以下のようなデータ
SData[Well][SampleNo]
として選択される(S504)。
【0090】
ここで選択されるデータは、光検出画像のデータのうちで、ウェル内で試料が存在する可能性が高い領域についてのデータとなっている。また、必要があれば、解析データに対してダーク補正などのデータの補正が行われる。なお、測定データData、解析データSDataのデータ形式については、具体的な解析方法に応じて、好適な形式を選択して用いれば良い。
【0091】
続いて、上記のように選択された解析領域内での光強度のデータである解析データに対し、ウェル内での平均光強度を算出する解析処理が行われる(S505)。そして、得られた解析結果が表示装置71に表示される(S506)。
【0092】
ここで、測定領域に対する解析領域の抽出については、必要があれば、解析領域抽出部57において、単一の測定領域に対する解析領域として、複数の解析領域を抽出することとしても良い。また、この場合、解析処理部51において、複数の解析領域のそれぞれについて、解析領域内での光強度のデータを解析データとして、試料についての解析処理を別個に行うこととしても良い。このように、マイクロプレート20のウェル21に対応する測定領域内において、必要に応じて複数の解析領域を設定し、その解析領域毎に別個に解析処理を行うことが可能な構成とすることにより、試料からの光に対するより詳細なデータ解析が可能となる。これにより、光検出画像を用いた試料の評価等において、その測定感度及び測定精度が向上される。
【0093】
このような複数の解析領域の設定については、例えば、解析領域を複数の試料存在領域毎、試料1単位毎(例えば細胞毎)、あるいは画素単位毎に設定する方法を用いることが可能である。また、このような場合には、それらの単位のそれぞれについて解析処理、表示等を行っても良い。例えば、1つのウェル内に複数の細胞が存在する場合、複数の細胞存在領域毎に解析領域を設定し、その解析領域毎に必要な解析処理を行うことにより、各細胞に対する個別の光測定が可能となる。あるいは、その後、それらの解析結果に対してさらにデータの抽出処理等を行って、複数の細胞を含むウェル内での平均光強度を求めても良い。
【0094】
なお、測定領域及び解析領域のデータについては、上記した例のように、プレートマップデータDR1及びサンプルマップデータDR2などのマップデータを用いることが好ましい。測定領域に対応するプレートマップデータDR1の作成方法については、マイクロプレート20の画像を取得し、そのプレート画像を参照してマップデータを作成する方法を用いることができる。そのような作成方法としては、例えば、取得されたプレート画像において二値化処理でウェルとそれ以外を分離し、得られたウェルの領域の調整、重心座標の抽出、ウェル番号との関連付け等を行ってプレートマップデータを作成する方法がある。
【0095】
また、サンプルマップデータDR2の作成方法については、プレートマップデータDR1を元データとして、光強度閾値の適用の他、プレートマップデータDR1の作成と同様の方法を用いて作成することができる。また、サンプルマップデータDR2を作成せず、データ解析時に、必要に応じて解析領域を抽出しながら解析処理をすすめる方法を用いても良い。
【0096】
次に、蛍光画像から得られる光強度データ等に対して行われる補正、及び補正に用いられる補正データの取得等について説明する。蛍光画像に対する補正としては、具体的には(1)ダーク補正、(2)自家蛍光補正、及び(3)シェーディング補正の3つの補正がある。これらの各補正は、それぞれの蛍光測定装置1の構成や要求される測定精度などを考慮して、必要に応じて適宜行われる。また、これらの補正に用いられる補正データは、通常、試料Sに対する本測定に先立って、それぞれ所定の条件下で予備的測定を行うことで取得される。
【0097】
ダーク補正は、蛍光画像の取得に用いられる撮像装置45(図1参照)についての補正である。CCDカメラなどの撮像装置45は、通常、暗中でもある程度の出力(輝度値)を持っている。ダーク補正では、暗中で励起光を照射しない条件下で撮像装置45によって画像を取得し、得られた画像データをダーク補正データとする。そして、測定データ取得時に補正データを差し引くことにより、ダーク補正を行う。
【0098】
自家蛍光補正は、試料Sを保持するマイクロプレート20等に起因する蛍光についての補正である。このような自家蛍光としては、例えば、マイクロプレート20の材質自体である程度の自家蛍光が発生するような場合がある。このような自家蛍光の影響が問題になる場合には、水やバッファなどの自家蛍光参照用の試料がマイクロプレート20によって保持された状態で蛍光画像を取得し、得られた画像データを自家蛍光補正データとする。そして、測定データ取得時に補正データを差し引くことにより、自家蛍光補正を行う。
【0099】
図13は、自家蛍光補正データの導出方法の一例を示すフローチャートである。この方法では、まず、上記したように暗中の条件下でダーク補正用の画像を取得し(ステップS101)、ダーク補正データD11を求める。次に、純水などの参照用試料をマイクロプレート20に入れて、励起光を照射して自家蛍光補正用の画像を取得する(S102)。そして、得られた蛍光測定データD10に対して、ダーク補正データD11を差し引くダーク補正を行う(S103)ことにより、自家蛍光補正データD12
D12=D10−D11
が導出される。
【0100】
シェーディング補正は、撮像装置45や導光光学系41を含む光学系に起因するデータばらつきについての補正である。シェーディング補正では、蛍光試料をマイクロプレート20に均一に入れた状態で蛍光画像を取得し、得られた画像データをシェーディング補正データとする。そして、測定データ取得時に補正データを用いて、シェーディング補正を行う。
【0101】
図14は、シェーディング補正データの導出方法の一例を示すフローチャートである。この方法では、まず、上記したように暗中の条件下でダーク補正用の画像を取得し(ステップS201)、ダーク補正データD21を求める。次に、均一な蛍光試料をマイクロプレート20に入れて、励起光を照射してシェーディング補正用の画像を取得する(S202)。そして、得られた蛍光測定データD20に対して、ダーク補正データD21を差し引くダーク補正を行い(S203)、さらにあらかじめ取得された自家蛍光補正データD22を差し引く自家蛍光補正を行う(S204)ことにより、シェーディング補正データD23
D23=D20−D21−D22
が導出される。
【0102】
これらの補正データを取得後に試料Sに対して本測定を行う場合、本測定で得られた測定データに対する補正(図4に示した解析処理部51の測定データ補正部54参照)は、例えば以下のように行われる。
【0103】
図15は、補正された蛍光測定データの導出方法の一例を示すフローチャートである。この方法では、まず、上記したように暗中の条件下でダーク補正用の画像を取得し(ステップS301)、ダーク補正データD31を求める。次に、測定対象となる試料Sをマイクロプレート20に入れて、励起光を照射して本測定の光検出画像である蛍光画像を取得する(S302)。そして、得られた蛍光測定データD30に対して、ダーク補正データD31を差し引くダーク補正を行い(S303)、さらにあらかじめ取得された自家蛍光補正データD32を差し引く自家蛍光補正(D304)、及びシェーディング補正データD33によって補正するシェーディング補正を行う(D305)ことにより、補正された蛍光測定データD35
D35=(D30−D31−D32)/D33×(D33の平均値)
が導出される。
【0104】
ここで、ダーク補正データD31及び蛍光測定データD30の取得方法について、やや詳しく説明しておく。まず、ダーク補正データD31を取得する際には、光学フィルタ部42に付設されたシャッタを閉めた状態で画像データ取得を行う。また、蛍光測定データD30を取得する際には、必要に応じて励起フィルタ、蛍光フィルタ、ダイクロイックミラー等を切り替え、シャッタを開いた状態で画像データ取得を行う。また、2波長で蛍光測定を行う場合には、さらに波長に応じてフィルタを切り替えて画像データを取得する。画像データの取得が完了したら、シャッタを閉め、次の測定に移行するか、または測定を終了する。
【0105】
本発明による光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムは、上記した実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では光測定装置、方法、及びプログラムとして蛍光測定装置、方法、及びプログラムを例示したが、本発明は、上記したように、蛍光測定以外にも、燐光や発光など、試料からの光を測定する場合に一般に適用可能である。例えば、発光測定に適用する場合、図1に示した構成において励起光源30等は不要である。また、この場合に測定対象となる試料Sからの発光現象としては、試料Sに試薬を注入したときに生じる発光が例として挙げられる。また、マイクロプレート20としては、96ウェルのマイクロプレートに限られるものではなく、384ウェル、あるいは1536ウェルのプレートを用いても良い。また、光測定装置の具体的な構成については、図1に示した蛍光測定装置1は、その構成の一例を示すものであり、一般には、試料からの光の測定条件、光学系の構成等に応じて、様々な構成を用いて良い。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、蛍光などの試料からの光に対する測定感度を向上することが可能な光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】光測定装置の一例である蛍光測定装置の一実施形態を模式的に示す構成図である。
【図2】マイクロプレートの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示したマイクロプレートの断面構造を示す側面断面図である。
【図4】データ解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図4に示したデータ解析装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図6】画像取得部によって取得される蛍光画像の一例を示す図である。
【図7】図6に示した蛍光画像に対する測定領域の設定の一例を示す図である。
【図8】蛍光画像についての解析結果の表示例を示す図である。
【図9】マイクロプレートの(a)ウェル内での細胞の分布、及び(b)ウェルに対応して取得される蛍光画像の一例を示す図である。
【図10】蛍光画像に対する(a)測定領域、及び(b)解析領域の設定の一例を示す図である。
【図11】蛍光画像を解析して得られるウェルからの蛍光強度の時間変化の一例を示すグラフである。
【図12】光測定方法の一例である蛍光測定方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図13】自家蛍光補正データの導出方法の一例を示す図である。
【図14】シェーディング補正データの導出方法の一例を示す図である。
【図15】補正された蛍光測定データの導出方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1…蛍光測定装置(光測定装置)、10…データ取得装置、11…マイクロプレートホルダ、12…搬送機構、13…搬入側マイクロプレートストッカー、14…搬出側マイクロプレートストッカー、15…暗箱、16…分注装置、20…マイクロプレート、21…ウェル、22…底面、30…励起光源、31…励起光供給用ライトガイド、40…画像取得部、41…導光光学系、42…光学フィルタ部、45…撮像装置、
50…データ解析装置、51…解析処理部、52…平均光強度算出部、53…解析データ選択部、54…測定データ補正部、56…測定領域設定部、57…解析領域抽出部、58…閾値設定部、61…測定データ記憶部、62…領域データ記憶部、63…閾値データ記憶部、64…補正データ記憶部、71…表示装置、72…入力装置、73…モニタ、74…キーボード、75…マウス、80…バス、81…演算部、82…画像メモリ、83…インターフェース、84…プログラム記憶部、85…データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定装置であって、
マイクロプレートのウェル内に保持された試料からの光を含む前記マイクロプレートの2次元光像を検出して、2次元の光検出画像を取得する画像取得手段と、
前記光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析手段と
を備え、
前記データ解析手段は、
前記光検出画像に対し、前記マイクロプレートの複数の前記ウェルのそれぞれについて前記ウェルに対応する測定領域を設定する測定領域設定手段と、
前記光検出画像から得られる前記測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することによって、前記測定領域から前記解析処理の対象となる解析領域を抽出する解析領域抽出手段と、
前記解析領域内での光強度のデータを解析データとして、前記試料についての前記解析処理を行う解析処理手段と
を有することを特徴とする光測定装置。
【請求項2】
前記解析処理手段は、前記解析処理として前記解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出手段を有することを特徴とする請求項1記載の光測定装置。
【請求項3】
前記データ解析手段は、前記解析領域抽出手段における前記解析領域の抽出に用いられる前記光強度閾値を設定する閾値設定手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の光測定装置。
【請求項4】
前記解析処理手段は、前記解析領域内での光強度のデータのみを前記解析データとして前記解析処理を行って、前記解析領域についての解析結果を得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項5】
前記解析処理手段は、前記解析領域を含む前記測定領域内での光強度のデータを前記解析データとして前記解析処理を行い、その後に前記解析領域に応じて解析結果を選択することによって、前記解析領域についての解析結果を得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項6】
前記画像取得手段は、複数の画素が2次元に配列された2次元画素構造を有する撮像装置を含み、
前記解析領域抽出手段は、前記撮像装置での前記複数の画素に対応し前記光検出画像を構成する複数の画素成分のそれぞれについて前記解析処理の対象とするか否かを設定することによって前記解析領域を抽出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項7】
前記解析領域抽出手段は、前記光強度分布中で前記光強度閾値を超える光強度を有する領域を抽出して前記解析領域とするとともに、前記光強度閾値よりも高い値に設定された第2の光強度閾値を参照し、前記第2の光強度閾値を超える光強度を有する領域を前記解析領域から除外することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項8】
前記解析領域抽出手段は、単一の前記測定領域に対する前記解析領域として、複数の解析領域を抽出するとともに、
前記解析処理手段は、前記複数の解析領域のそれぞれについて、解析領域内での光強度のデータを前記解析データとして、前記試料についての前記解析処理を別個に行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項9】
それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定方法であって、
マイクロプレートのウェル内に保持された試料からの光を含む前記マイクロプレートの2次元光像を検出して、2次元の光検出画像を取得する画像取得ステップと、
前記光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析ステップと
を備え、
前記データ解析ステップは、
前記光検出画像に対し、前記マイクロプレートの複数の前記ウェルのそれぞれについて前記ウェルに対応する測定領域を設定する測定領域設定ステップと、
前記光検出画像から得られる前記測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することによって、前記測定領域から前記解析処理の対象となる解析領域を抽出する解析領域抽出ステップと、
前記解析領域内での光強度のデータを解析データとして、前記試料についての前記解析処理を行う解析処理ステップと
を含むことを特徴とする光測定方法。
【請求項10】
前記解析処理ステップは、前記解析処理として前記解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出ステップを含むことを特徴とする請求項9記載の光測定方法。
【請求項11】
前記データ解析ステップは、前記解析領域抽出ステップにおける前記解析領域の抽出に用いられる前記光強度閾値を設定する閾値設定ステップを含むことを特徴とする請求項9または10記載の光測定方法。
【請求項12】
前記解析処理ステップは、前記解析領域内での光強度のデータのみを前記解析データとして前記解析処理を行って、前記解析領域についての解析結果を得ることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項13】
前記解析処理ステップは、前記解析領域を含む前記測定領域内での光強度のデータを前記解析データとして前記解析処理を行い、その後に前記解析領域に応じて解析結果を選択することによって、前記解析領域についての解析結果を得ることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項14】
前記画像取得ステップにおいて、複数の画素が2次元に配列された2次元画素構造を有する撮像装置を用い、
前記解析領域抽出ステップは、前記撮像装置での前記複数の画素に対応し前記光検出画像を構成する複数の画素成分のそれぞれについて前記解析処理の対象とするか否かを設定することによって前記解析領域を抽出することを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項15】
前記解析領域抽出ステップは、前記光強度分布中で前記光強度閾値を超える光強度を有する領域を抽出して前記解析領域とするとともに、前記光強度閾値よりも高い値に設定された第2の光強度閾値を参照し、前記第2の光強度閾値を超える光強度を有する領域を前記解析領域から除外することを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項16】
前記解析領域抽出ステップは、単一の前記測定領域に対する前記解析領域として、複数の解析領域を抽出するとともに、
前記解析処理ステップは、前記複数の解析領域のそれぞれについて、解析領域内での光強度のデータを前記解析データとして、前記試料についての前記解析処理を別個に行うことを特徴とする請求項9〜15のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項17】
それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートによって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
画像取得手段によって取得された、マイクロプレートのウェル内に保持された試料からの光を含む前記マイクロプレートの2次元光像を検出した2次元の光検出画像に対し、前記マイクロプレートの複数の前記ウェルのそれぞれについて前記ウェルに対応する測定領域を設定する測定領域設定処理と、
前記光検出画像から得られる前記測定領域内での2次元の光強度分布と所定の光強度閾値とを比較することによって、前記測定領域から前記解析処理の対象となる解析領域を抽出する解析領域抽出処理と、
前記解析領域内での光強度のデータを解析データとして、前記試料についての解析処理を行う解析処理と
を含むデータ解析処理をコンピュータに実行させるための光測定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−278985(P2007−278985A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108855(P2006−108855)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】