説明

光源の種類に応じた画質の自動調整

画像生成装置で生成された画像データと、前記画像データ生成時における撮影条件に関する情報を少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成履歴情報とを用いて、画像を出力する出力装置であって、前記画像生成履歴情報が、前記画像データ生成時における光源の色の偏りに関する光源情報を含む場合に、前記光源情報を用いて得られる光源の色に基づいて前記画像データのホワイトバランス調整処理を実行することが可能な画質調整部と、前記画質が調整された画像データに応じて画像を出力する画像出力部と、を備える出力装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、画像データの画質を調整する画質調整技術に関する。
【背景技術】
ディジタルスチルカメラ(DSC)やディジタルビデオカメラ(DVC)等によって生成された画像データの画質は、パーソナルコンピュータ上で画像レタッチアプリケーションを用いることによって任意に調整することができる。画像レタッチアプリケーションには、一般的に、画像データの画質を自動的に調整する画像調整機能が備えられており、この画像調整機能を利用すれば、出力装置から出力する画像の画質を向上させることができる。画像の出力装置としては、例えば、CRT、LCD、プリンタ、プロジェクタ、テレビ受像器などが知られている。
また、出力装置の1つであるプリンタの動作を制御するプリンタドライバにも、画質を自動的に調整する機能が備えられており、このようなプリンタドライバを利用しても、印刷される画像の画質を向上させることができる。
画像データの画質を決める重要な要素の1つに、色合いがある。画像データの色合いは、画像データを生成した際に用いられた光源の影響を強く受ける。光源としては、太陽光などの自然光源や、蛍光灯や白熱灯などの人工光源など、撮影場所や撮影時間、ユーザの好みに応じて様々なものが用いられる。さらに、光のスペクトル分布は光源の種類によって異なる。そのため、同じ被写体であっても光源の種類に応じて色のずれた(色かぶり)画像が得られる場合がある。例えば、蛍光灯のような青色の光が強い光源を用いた場合には、青みがかった画像が得られる場合がある。このような色の偏り具合はホワイトバランスと呼ばれる。また、色の偏りが大きい場合には、その偏った色合いが目立ってしまう。そのため、画像データの色かぶりが小さくなるようにホワイトバランス調整を行って、画質を向上させる方法が用いられている(例えば、特開平10−271524、特開2000−299801参照。)。
ホワイトバランス調整は、画像データの色かぶりを一律に小さくするように実行される。ところが、画像データの色かぶりは、被写体特有の色合い等によって、様々に変化する場合がある。
そのため、従来のホワイトバランス調整を実行しても、十分に画質を向上させることができない場合があった。なお、こうした問題はDSCで生成された画像に限らず、DVC等の他の画像生成装置で生成された画像においても共通の課題である。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、光源の色の偏りに対応して画質を適切に調整することを目的とする。
【発明の開示】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、この発明による出力装置は、画像生成装置で生成された画像データと、前記画像データ生成時における撮影条件に関する情報を少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成履歴情報とを用いて、画像を出力する出力装置であって、前記画像生成履歴情報が、前記画像データ生成時における光源の色の偏りに関する光源情報を含む場合に、前記光源情報を用いて得られる光源の色に基づいて前記画像データのホワイトバランス調整処理を実行することが可能な画質調整部と、前記画質が調整された画像データに応じて画像を出力する画像出力部と、を備える。
この発明による出力装置によれば、光源の色に基づいたホワイトバランス調整処理を実行することが可能であるので、光源の色の偏りに対応して画質を適切に調整することができる。
上記出力装置において、前記画質調整部は、前記光源の色相に基づいて、前記ホワイトバランス調整処理の強度を調整するのが好ましい。
こうすることで、光源の色相に基づいたホワイトバランス調整処理強度の調整を行うので、光源の色に応じて画質を適切に調整することができる。
上記各出力装置において、前記ホワイトバランス調整処理は、(i)前記画像データを校正する一部の画素の画素値を解析することによって、前記画像データにおける色相のグレーからの偏りの度合いを示す色かぶり量の大きさを決定する処理と、(ii)前記色かぶり量の大きさに基づいて、前記ホワイトバランス調整処理の処理量を決定する処理と、(iii)前記決定された処理量に従って、前記ホワイトバランス調整処理を実行する処理と、を含み、前記ホワイトバランス調整処理の強度は、前記処理(i)と(ii)との少なくとも一方における所定の処理パラメータを、前記光源の色相に基づいて調整することによって調整されるのが好ましい。
こうすることで、光源の色相に基づいたホワイトバランス調整処理を実行することができるので、光源の色相に応じて画質を適切に調整することができる。また、ホワイトバランス調整処理の強度を容易に調整することができる。
上記各出力装置において、前記画質調整部は、前記画像データを構成する全画素の中から一部の画素を前記解析の対象として選択するための条件として、画素の色相が前記光源の色相に近いほど、より彩度の大きい画素を前記解析対象として選択する条件を設定することによって、前記ホワイトバランス調整処理の強度を調整するのが好ましい。
こうすることで、色かぶり量を算出するための解析対象画素として、色相が光源の色相に近く、彩度の高い画素を選択することができるので、画像データの色合いが光源の色相に偏っている場合には、より強いホワイトバランス調整処理を実行することができる。
上記各出力装置において、前記画質調整部は、前記色かぶり量の大きさに対する前記ホワイトバランス調整処理の処理量の大きさの割合を表す処理パラメータを、前記光源の色相が前記画像データの色相の偏りに近いほど大きくなるように調整することによって、前記ホワイトバランス調整処理の強度を調整するのが好ましい。
こうすることで、光源の色相が画像データの色相の偏りに近いほど、色かぶり量の大きさに対するホワイトバランス調整処理の処理量の大きさの割合が大きくなるので、画像データの色相が光源の色相に偏っている場合には、より強いホワイトバランス調整処理を実行することができる。
上記各出力装置において、前記画質調整部は、
前記解析対象として、前記画像データにおける無彩色に近い画素を選択するのが好ましい。
こうすることで、無彩色に近い領域に基づいて色かぶり量を決定するので、色の濃い、無彩色から遠い領域がホワイトバランス調整処理に影響を与えることを抑制することができる。
上記各出力装置において、前記画質調整部は、
前記解析対象として、所定の色相を有する画素を除いた画素を選択するのが好ましい。
こうすることで、所定の色相を有する画素を用いずに色かぶり量を決定するので、所定の色相を有する画素がホワイトバランス調整処理に影響を与えることを抑制することができる。
上記各出力装置において、前記画質調整部は、前記画像データ生成時において、前記画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されているか否かを判定することが可能であり、ユーザの指示に応じて調整されているとの判定が成立した場合には、前記判定が成立しなかった場合よりも小さい強度を用いて、前記ホワイトバランス調整処理を実行するのが好ましい。
こうすることで、ユーザの指示に応じて調整された画像データの色合いを、大きく変更することを抑制することができる。
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像出力方法および画像出力装置、画像データ処理方法(画像処理方法)および画像データ処理装置(画像処理装置)、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、画像出力システムの一例を示す説明図である。
図2は、ディジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
図3は、画像ファイルの内部構成の一例を概念的に示す説明図である。
図4は、付属情報格納領域のデータ構造例を示す説明図である。
図5は、Exifデータ領域のデータ構造の一例を示す説明図である。
図6は、光源の種類と光源の色との対応関係を示す説明図である。
図7は、プリンタの概略構成図である。
図8は、プリンタの構成を示すブロック図である。
図9は、画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図10は、画質調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図11は、ホワイトバランス調整処理のフローチャートである。
図12は、色かぶり量算出画素群の選択条件を示す説明図である。
図13は、色かぶり量と階調値調整処理を示す説明図である。
図14は、ホワイトバランス調整処理の強度を示す説明図である。
図15は、光源情報に応じたホワイトバランス調整処理を示す説明図である。
図16は、光源情報に応じたホワイトバランス調整処理を示す説明図である。
図17は、画質調整処理の他の実施例を示すフローチャートである。
図18は、画質調整処理の他の実施例を示すフローチャートである。
図19は、画像出力システムの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.画像出力システムの構成:
B.画像生成装置の構成:
C.画像ファイルの構成:
D.画像出力装置の構成:
E.画像処理:
F.画像データ処理装置を用いる画像出力システムの構成:
G.変形例:
A.画像出力システムの構成:
図1は、本発明の一実施例としての出力装置を適用可能な画像出力システムの一例を示す説明図である。画像出力システム10は、画像ファイルを生成する画像生成装置としてのディジタルスチルカメラ12と、画像の出力装置としてのプリンタ20とを備えている。ディジタルスチルカメラ12において生成された画像ファイルは、ケーブルCVを介したり、画像ファイルが格納されたメモリカードMCをプリンタ20に直接挿入したりすることによって、プリンタ20に送出される。プリンタ20は、読み込んだ画像ファイルに基づいた画像データの画質調整処理を実行し、画像を出力する。出力装置としては、プリンタ20の他に、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等のモニタ21、プロジェクタ等を用いることができる。以下、画質調整部と画像出力部とを備えるプリンタ20を出力装置として用い、メモリカードMCをプリンタ20に直接挿入する場合に基づいて説明する。
B.画像生成装置の構成:
図2は、ディジタルスチルカメラ12の概略構成を示すブロック図である。この実施例のディジタルスチルカメラ12は、光情報を収集するための光学回路121と、光学回路を制御して画像を取得するための画像取得回路122と、取得したディジタル画像を加工処理するための画像処理回路123と、補助光源としてのフラッシュ130と、各回路を制御する制御回路124と、を備えている。制御回路124は、図示しないメモリを備えている。光学回路121は、光情報を集めるレンズ125と、光量を調節する絞り129と、レンズを通過した光情報を画像データに変換するCCD128とを備えている。
ディジタルスチルカメラ12は、取得した画像をメモリカードMCに保存する。ディジタルスチルカメラ12における画像データの保存形式としては、JPEG形式が一般的であるが、この他にもTIFF形式や、GIF形式や、BMP形式や、RAWデータ形式などの保存形式を用いることができる。
ディジタルスチルカメラ12は、また、種々の撮影条件を設定するための選択・決定ボタン126と、液晶ディスプレイ127とを備えている。液晶ディスプレイ127は、撮影画像をプレビューしたり、選択・決定ボタン126を用いて撮影時の光源の種類等を設定したりする際に利用される。
ディジタルスチルカメラ12において撮影が実行された場合には、画像データと画像生成履歴情報とが、画像ファイルとしてメモリカードMCに格納される。画像生成履歴情報は、撮影時(画像データ生成時)における撮影条件に関するパラメータの設定値を含むことが可能であり、例えば、撮影時の光源の種類等の任意に設定され得るパラメータの設定値や、絞り値やシャッタースピードなどの画像生成時に用いたパラメータの設定値や、メーカ名等の自動的に設定されるパラメータの設定値を含むことが可能である。光源の種類がユーザによって設定された場合には、その光源の色合いに応じて画像データの色合いが調整され、色合いが調整された画像データが、画像ファイルとしてメモリカードMCに格納される。光源の種類がユーザによって設定されなかった場合には、画像データの色合いは自動的に調整される。
C.画像ファイルの構成:
図3は、本実施例にて用いることができる画像ファイルの内部構成の一例を概念的に示す説明図である。画像ファイルGFは、画像データGDを格納する画像データ格納領域101と、画像生成履歴情報GIを格納する画像生成履歴情報格納領域102を備えている。画像データGDは、例えば、JPEG形式で格納されており、画像生成履歴情報GIは、例えば、TIFF形式(データおよびデータ領域がタグを用いて特定される形式)で格納されている。なお、本実施例におけるファイルの構造、データの構造といった用語は、ファイルまたはデータ等が記憶装置内に格納された状態におけるファイルまたはデータの構造を意味するものである。
本実施例の画像ファイルGFは、基本的に上記の画像データ格納領域101と、画像生成履歴情報格納領域102とを備えていれば良く、既に規格化されているファイル形式に従ったファイル構造をとることができる。以下、本実施例に係る画像ファイルGFをExifファイル形式に適合させた場合について具体的に説明する。
Exifファイルは、ディジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)に従ったファイル構造を有しており、その仕様は、日本電子情報技術産業協会(JEITA)によって定められている。また、Exifファイル形式は、図3に示した概念図と同様に、JPEG形式の画像データを格納するJPEG画像データ格納領域と、格納されているJPEG画像データに関する各種情報を格納する付属情報格納領域とを備えている。JPEG画像データ格納領域は、図3における画像データ格納領域101に相当し、付属情報格納領域は画像生成履歴情報格納領域102に相当する。付属情報格納領域には、撮影日時、絞り値、光源の種類といったJPEG画像に関する画像生成履歴情報が格納される。
図4は、付属情報格納領域103のデータ構造例を説明する説明図である。Exifファイル形式では、データ領域を特定するために階層的なタグが用いられている。各データ領域は、下位のタグによって特定される複数の下位のデータ領域を、その内部に含むことができる。図4では、四角で囲まれた領域が一つのデータ領域を表しており、その左上にタグ名が記されている。この実施例は、タグ名がAPP0、APP1、APP6である3つのデータ領域を含んでいる。APP1データ領域は、その内部に、タグ名がIFD0、IFD1である2つのデータ領域を含んでいる。IFD0データ領域は、その内部に、タグ名がPM、Exif、GPSである3つのデータ領域を含んでいる。データおよびデータ領域は、規定のアドレスまたはオフセット値に従って格納され、アドレスまたはオフセット値はタグ名によって検索することができる。出力装置側では、所望の情報に対応するアドレスまたはオフセット値を指定することにより、所望の情報に対応するデータを取得することができる。
図5は、図4において、タグ名をAPP1−IFD0−Exifの順にたどることで参照することができるExifデータ領域のデータ構造(データのタグ名とパラメータ値)の一例を説明する説明図である。Exifデータ領域は、図4に示すようにタグ名がMakerNoteであるデータ領域を含むことが可能であり、MakerNoteデータ領域は、さらに多数のデータを含むことができるが、図5では図示を省略する。
Exifデータ領域には、図5に示すように、光源と、ホワイトバランスと、絞り値と、シャッタースピード等の情報に関するパラメータ値が格納されている。この実施例では、光源情報は、画像データ生成時における光源の色の偏りに関する光源情報として用いられ、ホワイトバランスは、画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されているか否かを判定するための情報として用いられる。なお、本明細書において、「ホワイトバランス」という用語は、ホワイトバランス処理そのものを意味する場合と、Exifのパラメータを意味する場合とがある。「ホワイトバランス」がExifのパラメータ(より一般的には画像生成履歴情報のパラメータ)であることを明確にしたい場合には、「ホワイトバランス情報」と呼ぶ。
光源情報は、画像データ生成時における光源の種類に関する情報である。光源の種類としては、例えば、昼光、蛍光灯、タングステン、フラッシュ、晴天、曇天、日陰、不明等の予め準備されたパラメータ値の中から選択して設定することが可能である。図6は、光源の種類と光源の色(色の偏り)との対応関係を説明する説明図である。このような対応表を予め準備しておくことで、設定された光源の種類を、光源の色の偏りに関する情報として用いることができる。光源情報から得られる光源の色は、後述する画質調整処理で用いられる。
撮像の際に光源の種類をユーザが設定した場合には、その設定値が光源情報のパラメータ値として格納される。また、画像生成装置が光源種類の自動識別を行う光源識別部を備えており、その機能を利用して光源の種類を自動的に設定した場合には、自動識別の結果が光源情報のパラメータ値として格納される。
ホワイトバランス情報は、画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されたか否かを判定するための情報である。光源情報がユーザによるマニュアル設定である場合には、ホワイトバランス情報のパラメータ値として「マニュアル設定」が設定され、自動的に設定された場合には「自動設定」が設定される。光源情報がユーザによるマニュアル設定である場合には、画像生成装置において、ユーザによって設定された光源の色合いに応じて色合いが調整された画像データ(すなわち、ホワイトバランスが調整された画像データ)が生成される。従って、ホワイトバランス情報のパラメータ値が「マニュアル設定」である場合には、画像データの色合い(ホワイトバランス)がユーザの指示に応じて調整されているものと判定することができる。
絞り値は、画像データ生成時における絞り値に関する情報であり、パラメータ値としてF値が使用される。従って、絞り値が大きいほど、絞りは小さい。
シャッタースピード情報は、画像データ生成時におけるシャッタースピードに関する情報であり、その単位は秒である。
D.画像出力装置の構成:
図7は、プリンタ20の概略構成図である。プリンタ20は、画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアンCと、マゼンタMgと、イエロYと、ブラックKとの4色のインクを印刷媒体上に吐出してドットパターンを形成するインクジェット方式のプリンタである。また、トナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する電子写真方式のプリンタを用いることもできる。インクには、上記4色に加えて、シアンCよりも濃度の薄いライトシアンLCと、マゼンタMgよりも濃度の薄いライトマゼンタLMと、イエロYよりも濃度の濃いダークイエロDYとを用いても良い。この代わりに、モノクロ印刷を行う場合には、ブラックKのみを用いる構成としても良く、レッドRやグリーンGを用いても良い。利用するインクやトナーの種類は、出力する画像の特徴に応じて決めることができる。
プリンタ20は、図示するように、印刷を実行する画像出力部27と、操作パネル32と、操作パネル32と画像出力部27内における信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。画像出力部27は、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構とを備えている。印刷ヘッドユニット60は、利用可能なインクを吐出するためのノズルを備えた印刷ヘッドを備えている(図示省略)。
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
図8は、プリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、後述する画質調整処理を実行するCPU41と、CPU41の演算結果や画像データ等を一時的に格納するRAM44と、画質調整処理のためのプログラムなどの画質調整処理に必要なデータを格納するプログラマブルROM(PROM)43と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、メモリカードMCからデータを取得するメモリカードスロット46と、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54と、を備えている。I/F専用回路50は、さらに、ユニバーサルシリアルバスインタフェース回路を内蔵しており、ケーブルを介して画像生成装置としてのディジタルスチルカメラ12等から供給されるデータを受け取ることができる。I/F専用回路50が内蔵する回路は、ユニバーサルシリアルバスインタフェース回路に限らず、画像生成措置との接続の容易性を考慮して決めることができる。なお、RAM44は、ラスタデータを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。
プリンタ20は、画像生成装置としてのディジタルスチルカメラ12等によって生成された画像データを、例えば、ケーブルCVを介して取得することができる。また、画像生成装置がメモリカードMCに画像データを格納し、プリンタ20は、メモリカードMCを介して画像データを取得する構成とすることもできる。また、ネットワーク(図示せず)を介して画像データを取得する構成とすることもできる。
メモリカードMCのメモリカードスロット46への差し込み、あるいは、I/F専用回路50に対するケーブルを介したディジタルスチルカメラ12の接続を検知することによって、画像データ処理プログラムが起動すると、制御回路40のCPU41は、画像データのホワイトバランスを調整する、画質調整処理を実行する。すなわち、制御回路40は画質調整部として機能する。画像データ処理プログラムは、ユーザの操作によって起動する構成としてもよい。CPU41によって実行される詳細な画像処理については後述する。
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ20は、紙送りモータ22により印刷用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッドを駆動して、各インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して印刷用紙P上に、画質が調整された印刷データに基づいた画像を形成する。
E.画像処理:
E1.画像処理のフローチャート:
図9は、本実施例のプリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。以下の説明では、画像ファイルGFを格納したメモリカードMCがプリンタ20に直接挿入される場合に基づいて説明する。プリンタ20の制御回路40(図8)のCPU41は、メモリカードスロット46にメモリカードMCが差し込まれると、メモリカードMCから画像ファイルGF(図3)を読み出す(ステップS200)。次にステップS210にて、CPU41は、画像ファイルGFの付属情報格納領域から、画像データ生成時の情報を示す画像生成履歴情報GIを検索する。画像生成履歴情報GIを発見できた場合には(ステップS220:Y)、CPU41は、画像生成履歴情報GIを取得して解析する(ステップS230)。CPU41は、解析した画像生成履歴情報GIに基づいて、後述する画質調整処理を実行し(ステップS240)、処理した画像を出力して(ステップS250)、本処理ルーチンを終了する。
一方、ドローイングアプリケーションなどを用いて生成された画像ファイルには、光源情報などの情報を有する画像生成履歴情報GIが含まれない。CPU41は、画像生成履歴情報GIを発見できなかった場合には(ステップS220:N)、標準処理を行い(ステップS260)、処理した画像を出力して(ステップS250)、本処理ルーチンを終了する。
E2.画像生成履歴情報に基づく画質調整処理:
図10は、画像生成履歴情報に基づく画質調整処理(図9におけるステップS240に相当する)の処理ルーチンを示すフローチャートである。プリンタ20の制御回路40のCPU41(図8)は、画像生成履歴情報GIを解析し、光源情報等のパラメータ値を取得する(ステップS400)。次に、ステップS410において、CPU41は、光源情報のパラメータ値として、光源種類が設定されているか否かの判定、すなわち、光源の色の偏りに関する情報が設定されているか否かの判定を実行する。光源情報のパラメータ値に光源の種類が設定されて場合には、CPU41は、光源種類が設定されていると判定する。光源情報のパラメータ値として「不明」が設定されている場合には、光源種類が設定されていないと判定する。画像生成履歴情報GIが光源情報を含んでいない場合にも、光源種類が設定されていないと判定する。
光源種類が設定されているとの判定が成立した場合(ステップS410:Y)には、CPU41は、光源情報に応じたホワイトバランス調整処理を実行し(ステップS420)、画質調整処理を終了する。光源清報に応じたホワイトバランス調整処理では、光源情報から得られる光源の色の偏りに応じたホワイトバランス調整が実行される(詳細は後述)。
光源種類が設定されているとの判定が成立しなかった場合(ステップS410:N)には、CPU41は、標準のホワイトバランス調整処理を実行し(ステップS430)、画質調整処理を終了する。
E3.標準ホワイトバランス調整処理:
図11は、本実施例におけるホワイトバランス調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。CPU41(図8)は、ステップS500にて、色かぶり量の算出に用いる解析対象画素(以下、色かぶり量算出画素と呼ぶ)を選択する(後述)。次に、ステップS510にて、ステップS500にて選択された画素値を用いて、赤R、緑G、青Bの各色の色かぶり量を算出する。色かぶり量は、画像データにおける色のグレーからのずれ具合の大きさを示す指標であり、色のずれが大きいほど大きくなる値である。例えば、赤色の色かぶり量として、赤Rの階調値の平均値と、全ての色を合わせた階調値の平均値との差分を用いることができる(詳細は後述)。色かぶり量を求めるために用いる色の種類としては、基本色である赤R、緑G、青Bの組み合わせ以外にも、シアンC、マゼンタMg、イエロYなどの様々な組み合わせを用いることができる。次に、ステップS520にて、色かぶり量に基づいて、ホワイトバランス調整処理の処理量を設定し、ステップS530にて、各色の階調値を、色かぶり量が小さくなるように調整する(後述)。
図12は、ステップS500(図11)で選択される、色かぶり量算出画素群の選択条件を示す説明図である。この実施例では、以下の2つの条件を満たす無彩色に近い画素が、色かぶり量算出画素群として選択される。
(s1)彩度Sが、彩度しきい値Sth以下である。
(s2)輝度値Lが、輝度しきい値Lth以上である。
図12(a)は、色相Hの値と色の関係を示す説明図である。この実施例では、色相Hは、その取りうる範囲が0度〜360度であり、0度が赤色を示し、さらに、120度が緑色を、240度が青色を示している。
図12(b)は、彩度しきい値Sthと色相Hとの関係を説明する説明図である。標準のホワイトバランス調整処理においては、彩度しきい値Sthは色相Hによらない一定値である。図12(b)において、上述の条件(s1)を満たす範囲が斜線で示されている。
図12(c)は、輝度値しきい値Lthと色相Hとの関係を説明する説明図である。標準のホワイトバランス調整処理においては、輝度値しきい値Lthは色相Hによらない一定値である。図12(c)において、上述の条件(s2)を満たす範囲が斜線で示されている。
上記の第1の条件(s1)は、以下のように理解することができる。無彩色ではない色鮮やかな被写体が写っている場合には、その被写体が写っている領域の彩度が大きくなる。このような領域を用いて色かぶり量を算出すると、大きい色かぶり量が得られるが、この色かぶりは光源の色の偏りによって生じた色ずれによるものではない。そのため、この見かけの色かぶり量を小さくするように階調値調整を実行すると、被写体特有の色の鮮やかさや色相を大きく変更してしまう場合がある。よって、上述の条件(s1)を満たす領域、すなわち、彩度Sが彩度しきい値Sth以下である領域を用いて色かぶり量を算出するようにすれば、被写体特有の色の鮮やかさや色相を大きく変更せずに、ホワイトバランス調整処理を実行することができる。彩度しきい値Sthとしては、画像の出力結果の感応評価に基づいて決めた値を用いることができる。例えば、彩度の取りうる範囲が0〜1である場合に、0.1としても良い。彩度しきい値を小さくするほど、無彩色に近い領域を選択することができるので、被写体特有の色の鮮やかさや色相が、ホワイトバランス調整処理に与える影響を、より小さく抑えることができる。なお、彩度しきい値は、ホワイトバランス調整処理の強度として用いることができる(詳細は後述)。
上記の第2の条件(s2)は、以下のように理解することができる。輝度値の大きい領域は、光源からの光を強く受けている可能性が高い。そのため、輝度値の大きい明るい領域は、光源のスペクトル分布による色のずれをより強く反映している可能性が高い。よって、上述の条件(s2)を満たす領域、すなわち、輝度値Lが輝度しきい値Lth以上である領域を用いて色かぶり量を算出するようにすれば、光源の種類による色かぶり量をより精度良く算出することができる。輝度しきい値Lthとしては、画像の出力結果の感応評価に基づいて決めた値を用いることができる。例えば、輝度値の取りうる範囲が0〜255である場合に、180としても良い。なお、輝度値しきい値は、ホワイトバランス調整処理の強度として用いることができる(詳細は後述)。
このように2つの条件(s1)(s2)を満たす画素を用いることによって、適切に光源の色の偏りに基づく色かぶり量を算出することができる。
画像データが、輝度値と色相と彩度とをパラメータとして含まない色空間で表現されている場合、例えば、RGB色空間を用いて表現されている場合には、輝度値と色相と彩度とをパラメータとして含む色空間、例えば、HLS色空間やHIS色空間などに変換することによって、各画素における輝度値と色相と彩度とを取得することができる。
図13は、色かぶり量と階調値調整処理を示す説明図である。図13(a)は、ステップS500(図11)で選択された色かぶり量算出画素群における、赤Rの階調値分布例を示している。図13(a)の例では、赤Rが、緑Gや青Bと比べて大きい方に偏っている。このような分布を示す画像は、赤みがかった光源、例えば、タングステンランプなどを用いた場合に生成されやすい。
以下に示す数式1は、この実施例での色かぶり量ΔR、ΔG、ΔBを算出するための演算式である。


数式1に示す例では、RGBの各色の色かぶり量ΔR、ΔG、ΔBとして、RGBの各色の平均階調値Rave、Gave、Baveと、各色の平均階調値を用いて算出される輝度値Laveとの差分を用いている。輝度値算出のための演算式としては、例えば、次の数式2に示す、RGB色空間からYCbCr色空間への変換式を用いることができる。

この演算式を用いて得られる輝度値Laveは、赤R、緑G、青Bのそれぞれに、色に応じた明るさの違いを重みとして付して計算した平均階調値ということができる。色ずれが少ない場合には、RGBの各色の平均階調値Rave、Gave、Baveがほぼ同じ値となるので、輝度値、すなわち、明るさを重みとして用いた平均階調値Laveと、各色の平均階調値Rave、Gave、Baveとがほぼ同じ値となる。その結果、各色の色かぶり量ΔR、ΔG、ΔBとして、小さい値が得られる。色ずれが大きい場合には、RGBの各色の平均階調値Rave、Gave、Baveが互いに異なる値となる。この場合、基準値としての輝度値Laveとのずれが大きい色ほど、大きい色かぶり量が得られる。このように、色かぶり量算出の基準値として、色によって異なる明るさを重みとして計算した平均階調値(輝度値)を用いることによって、より人の目の感覚に近い色かぶり量を算出することができる。
図13(b)は、この実施例の階調値調整処理における赤Rの入力レベルRinと出力レベルRoutとの関係を示す説明図である。グラフG1Aは、入力レベルRinと比べて、出力レベルRoutが小さくなるように構成されている。このグラフG1Aを用いて赤Rの階調値調整を行えば、赤色に色がずれた画像、すなわち、赤Rが大きい方に偏った画像において、赤Rの階調値を小さくし、色のずれを小さくすることができる。
このようなグラフG1Aは、例えば、調整入力レベルRrefにおける出力レベルRoutを、元の値よりも調整量RMだけ小さくなるように調整して構成することができる。他の入力レベルRinに対応する出力レベルRoutはスプライン関数にて補間されている。調整量RMは、色かぶり量ΔR(図13(a)、数式1)に基づいて決められる値であり、例えば、色かぶり量ΔRに所定の係数kを掛けた値を用いることができる。所定の係数kは、画像の出力結果の感応評価に基づいて決めた値を用いることができる。色かぶり量ΔRと調整量RMとの関係は、必ずしも比例関係である必要はなく、色かぶり量が大きくなるほど調整量RMが大きくなるような関係であれば良い。なお、所定の係数kは、色かぶり量の大きさに対するホワイトバランス調整処理の処理量の大きさの割合を表す処理パラメータ(以下、処理量割合と呼ぶ)であり、ホワイトバランス調整処理の強度として用いることができる(詳細は後述)。調整入力レベルRrefとしては、予め決められた値を用いることができる。例えば、赤Rの取りうる範囲が0〜255である場合に、中間値である128を用いても良い。
グラフG1BはグラフG1Aよりもホワイトバランス調整処理量の大きい階調値調整処理で用いられる入出力関係を示している。ここで「ホワイトバランス調整処理量が大きい」とは、色の階調値の変化量が大きいことを意味している。色かぶり量ΔRが大きい場合には、処理量割合kを用いて計算される調整量RMが大きくなるので、ホワイトバランス調整処理量も大きくなる。よって、色かぶり量ΔRが大きい場合でも、色の偏りを小さくすることができる。このように、色かぶり量が大きいほどホワイトバランス調整処理量が大きくなるように構成すれば、色の偏りを、その大きさに基づいて、適切に小さくすることができる。
グラフG2Aは、入力レベルRinと比べて、出力レベルRoutが大きくなるように構成されており、赤Rが小さい方に偏っている場合に用いられる入出力関係を示している。グラフG2Bは、グラフG2Aよりもホワイトバランス調整処理量の大きい階調値調整処理で用いられる入出力関係を示している。色が小さい方に偏っている場合、すなわち、平均階調値Raveが基準としての輝度値Laveよりも小さい場合も、大きい方に偏っている場合と同様に、色かぶり量ΔRに基づいて調整量RMが決められ、ホワイトバランス調整処理量が決められる。
上述の入力レベルと出力レベルとの関係については、赤R以外の色についても同様に設定される。
図14は、ホワイトバランス調整処理の強度を説明する説明図である。図14(a)は、色かぶり量の大きさに対するホワイトバランス調整処理の処理量の大きさの割合と、ホワイトバランス調整処理の処理量の関係を説明する説明図である。処理量の大きさの割合としては、例えば、図13(b)に示す例の処理量割合kを用いることができる。調整量RM(図13(b))の算出に用いられる処理量割合kを大きくすると、同じ色かぶり量ΔRに対する調整量RMを大きくすることができる。その結果、同じ色かぶり量に対するホワイトバランス調整処理量を大きくすることができる。すなわち、処理量割合kを大きくすることによって、ホワイトバランス調整処理の強度を強くすることができる。ここで「ホワイトバランス調整処理の強度が強い」とは、色のずれた同じ画像に対するホワイトバランス調整処理の処理量が大きいことを意味している。なお、図14(a)に示す通り、ホワイトバランス調整処理の強度が強い場合でも、色ずれが小さい場合、すなわち、色かぶり量が小さい場合には、ホワイトバランス調整処理の処理量は小さくなる。また、処理量割合kは、色かぶり量の大きさに基づいてホワイトバランス調整処理の処理量の大きさ決定する処理パラメータということができる。
図14(b)は、色かぶり量算出画素群を選択するための条件範囲(彩度しきい値Sthと輝度値しきい値Lth)と、ホワイトバランス調整処理の強度との関係を説明する説明図である。色かぶり量算出画素群としては、彩度Sが彩度しきい値Sth以下である画素が選択される。よって、彩度しきい値Sthが大きい程、彩度の大きい色鮮やかな画素を選択することができるので、色かぶりが生じた画像においては、彩度しきい値Sthが大きい程、より大きい色かぶり量が算出される。すなわち、色のずれた同じ画像に対しては、彩度しきい値Sthが大きい程、ホワイトバランス調整処理の処理量が大きくなる。換言すれば、彩度しきい値Sthが大きいほど、ホワイトバランス調整処理の強度が大きくなる、ということができる。また、彩度しきい値Sthは、画像データにおける色かぶり量の大きさを決定する処理結果に影響を与える処理パラメータでもある。
一方、輝度値しきい値Lthに関しては、輝度値Lが輝度値しきい値Lth以上である画素が、色かぶり量算出画素群として選択される。明るい領域においては、輝度値Lが大きいほど色が白に近づく。よって、彩度しきい値Sthとは逆に、輝度しきい値Lthが小さいほど、色鮮やかな画素をより多く選択する可能性が高くなるので、色かぶりが生じた画像においては、輝度値しきい値Lthが小さい程、より大きい色かぶり量が算出される。すなわち、色のずれた同じ画像に対しては、輝度値しきい値Lthが小さい程、ホワイトバランス調整処理の処理量が大きくなる。換言すれば、輝度値しきい値Lthが小さいほど、ホワイトバランス調整処理の強度が大きくなる、ということができる。また、輝度値しきい値Lthは、画像データにおける色かぶり量の大きさを決定する処理結果に影響を与える処理パラメータでもある。
E4.光源情報に応じたホワイトバランス調整処理の第1実施例:
図15は、光源情報に応じたホワイトバランス調整処理を説明する説明図である。図15の例では、光源としてタングステンランプ(白熱灯)を用い、光源情報に「タングステン」が設定された場合の例を示している。図12に示す標準ホワイトバランス調整処理との差異は、色かぶり量算出画素群を選択するための、彩度しきい値Sthと輝度値しきい値Lthとが、色相Hに応じて変化する点である。
図15(b)は、彩度しきい値Sthと色相Hとの関係を説明する説明図である。この実施例では、彩度しきい値Sthは、画素の色相Hが光源の色相である橙色に近いほど、大きくなるように構成されている。光源の色相は、光源の種類に応じて決まる値である。画像生成履歴情報GIが光源の色相を含んでいる場合には、CPU41(図8)は、その値を取得して、光源の色相に基づいた彩度しきい値Sthの調整を行うことができる。あるいは、PROM43(図8)などのメモリに、光源の種類と色相(色の偏り)との対応関係を示す色相テーブル(図6)を格納しても良い。画像生成履歴情報GIが、光源の色の偏りに関する情報として、例えば、光源の種類を含んでいる場合には、CPU41が、光源の種類を用いて、色相テーブルから光源の色相を取得することができる。
図15(c)は、輝度値しきい値Lthと色相Hとの関係を説明する説明図である。この実施例では、輝度値しきい値Lthは、画素の色相Hが光源の色である橙色に近いほど、小さくなるように構成されている。
この実施例では、色相Hが光源の色に近いほど、より彩度Sの大きい画素が色かぶり量算出画素群として選択されるように設定されている。そのため、光源によって色かぶりが生じた画像、すなわち、光源の色相に色がずれた画像においては、より大きい色かぶり量が算出される。一方、色相Hが光源の色相から遠い画素は、もともと無彩色の画素ではなく、被写体特有の色相を有する画素である可能性が高い。このような領域については、彩度の大きい画素は、色かぶり量算出画素群として選択されない。よって、このようにして得られる色かぶり量に基づく処理量でホワイトバランス調整を行うことによって、被写体特有の色合いを大きく変更することを抑制し、光源の色の偏りによって生じた色かぶりを適切に小さくすることができる。
輝度値Lについては、色相Hが光源の色に近いほど、より輝度値Lの小さい画素が色かぶり量算出画素群として選択されるように設定されている。この理由は、光源色によって色かぶりが生じている場合には、輝度値Lの小さい画素も、無彩色の画素が光源色の影響をうけた結果である可能性が高いからである。このように、光源色に近い色相を有する画素に関しては輝度値Lの小さなものも色かぶり量算出画素群として選択されるようにすれば、より適切な色かぶり量を算出することができる。
図15の例では、彩度しきい値Sth、輝度値しきい値Lth、ともに、色相Hの変化に伴って連続的に変化しているが、これらのしきい値は、複数の段階にわけて階段状に変化するように設定してもよい。また、色相Hが光源の色相から遠い画素を、色かぶり量算出画素群として選択しないようにするために、色相Hが光源の色相から遠い範囲において、彩度しきい値Sthを0としたり、輝度値しきい値Lthを輝度値の取りうる最大値としたりしても良い。このように、光源の色相から遠い画素を色かぶり量算出画素群から除くことによって、光源の色の偏りによって生じた色かぶり量を、より精度良く算出することができる。
なお、光源情報で示されている光源に色の偏りが無い場合、すなわち、光源の色が白である場合には、彩度しきい値Sthや輝度値しきい値Lthを色相Hに応じて変化させない標準のホワイトバランス調整処理を実行するのが好ましい。
E5.光源情報に応じたホワイトバランス調整処理の第2実施例:
図16は、光源情報に応じたホワイトバランス調整処理の第2実施例を説明する説明図である。図16の例では、光源としてタングステンランプを用い、光源情報に「タングステン」が設定された場合の例を示している。図12、図13に示す標準ホワイトバランス調整処理との差異は、処理量割合k(図13(b))が、色かぶり量算出画素群における平均的な色相Haveに応じて変化する点である。色相Haveは、色かぶり量算出画素群における平均的な色相であり、例えば、赤Rの平均値Rave、緑Gの平均値Gave、青Bの平均値Bave(数式1)から算出される色相を用いることができる。なお、この実施例では、色かぶり量算出画素群を選択するための条件として、図12に示す標準ホワイトバランス調整処理と同じ条件が用いられる。
図16(b)は、処理量割合kと色相Haveとの関係を示している。この実施例では、処理量割合kは、色相Haveが光源の色相である橙色に近いほど、大きくなるように構成されている。光源の色の偏りによる色かぶりが生じている場合には、色相Haveが、光源の色相に近い値となる。一方、色相Haveが、光源の色相に遠い値である場合には、色かぶり量算出画素群として、もともと無彩色に近い画素ではなく、被写体特有の色相を有する画素を多く選択している可能性が高い。よって、色相Haveが光源の色相に近いほど、処理量割合kの大きさを大きくすれば、光源の色の偏りによる色かぶりを小さくし、さらに、被写体特有の色の鮮やかさや色相を大きく変更することを抑制することができる。
図16の例では、処理量割合kが、色相Haveの変化に伴って連続的に変化しているが、複数の段階にわけて階段状に変化するように設定してもよい。また、色相Haveが光源の色相から遠い範囲においては、処理量割合kを0としても良い。こうすれば、色かぶり量算出画素群として、被写体特有の色相を有する画素を多く選択した場合でも、その被写体特有の色の鮮やかさや色相を大きく変更することを抑制することができる。また、光源情報で示されている光源に色の偏りが無い場合、すなわち、光源の色が白である場合には、処理量割合kを色相Hに応じて変化させない標準のホワイトバランス調整処理を実行するのが好ましい。
色かぶり量算出画素群を選択するための条件としては、図12に示す標準ホワイトバランス調整処理と同じ条件(彩度しきい値Sth、輝度値しきい値Lth)の代わりに、図15に示す、光源の色の偏りに応じて調整された条件を用いても良い。こうすれば、光源の色の偏りによって生じた色かぶりを、より的確に小さくすることができる。
E6.光源情報が設定されている場合の画質調整処理の実施例:
図17は、光源情報が設定されている場合の画質調整処理の他の実施例を示すフローチャートである。この処理手順は、図10に示すステップS420(光源情報に応じたホワイトバランス調整処理)の代わりに用いることができるものであり、画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されているか否かの判定結果に応じて、ホワイトバランス調整処理強度を変えている点が、図10の例と異なる。
画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されたか否かを判定するためには、例えば、上述の画像生成履歴情報の実施例における「ホワイトバランス情報」(図5)を用いることができる。光源情報(光源の色の偏り)の設定が、ユーザによってなされた場合には、画像生成装置において、ユーザによって設定された光源の色合いに応じて色合いが調整された画像データが生成される。この場合、ホワイトバランス情報のパラメータ値として「マニュアル設定」が設定される。光源情報がユーザによるものではなく自動的に設定された場合には、画像生成装置において、画像データの色合いは自動的に調整される。この場合にはパラメータ値として「自動設定」が設定される。
この実施例では、CPU41(図8)は、ホワイトバランス情報が「マニュアル設定」である場合、すなわち、画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されている場合に、自動調整である場合の強度よりも弱い強度でのホワイトバランス調整処理を実行する。「マニュアル設定」の場合には、画像データの色合いがユーザの好みに合わせた色合いに調整されている場合が多い。このような場合に、ホワイトバランス調整処理によって色合いを調整すると、ユーザの好みと異なる色合いになる場合がある。そこで、「マニュアル設定」の場合には、ホワイトバランス調整処理強度を弱く調整すれば、ユーザの好みの色合いを大きく変更することを抑制することができる。
ホワイトバランス調整処理強度の調整は、例えば、図14に示したように、処理量割合kの大きさを小さくしたり、色かぶり量算出領域を選択するための条件範囲(彩度しきい値Sth、輝度値しきい値Lth)を調整したりすることによって実現することができる。いずれの場合にも、同じ画像に対する「マニュアル設定」の場合のホワイトバランス調整処理の処理量が、「自動設定」の場合の処理量よりも小さくなるように強度が調整されることが好ましい。また、「マニュアル設定」の場合の強度をゼロ、すなわち、「マニュアル設定」の場合にはホワイトバランス調整処理を実行しない構成としても良い。
E7.画像生成履歴情報に基づく画質調整処理の他の実施例:
図18は、画像生成履歴情報に基づく画質調整処理(図9におけるステップS240に相当する)の他の実施例の処理ルーチンを示すフローチャートである。図10に示す例との大きな差異は、光源種類に応じたホワイトバランス調整処理のための色かぶり量算出画素群から、予め設定された記憶色に近い色相を有する画素(記憶色画素)を除く点である。この実施例では、CPU41は、光源種類の設定の有無によらず、まず、標準のホワイトバランス調整処理を実行する(ステップS710)。さらに、光源種類の設定が有る場合には(ステップS720:Y)、光源情報に応じたホワイトバランス調整処理を実行する(ステップS740)。この処理においては、色かぶり量算出画素群から記憶色画素(後述)が除かれる。最後に、光源情報の設定の有無によらず、記憶色画素のカラーバランス調整処理を実行する(ステップS740)。
記憶色とは、人が特に着目しやすい領域特有の色を意味している。このような記憶色を有する画素で構成される領域(記憶色領域)が、ユーザが好ましいと感じる色合いで再現されていれば、ユーザは、その画像を高画質な画像であると認識することができる。このような着目しやすい記憶色領域としては、例えば、人物画像における人の肌色領域や、風景画像における空の青色領域や山の緑色領域などがある。記憶色画素を選択するための方法としては、例えば、色相が所定の範囲内である画素を選択する方法を用いることができる。例えば、肌色画素として、色相が0〜40度の範囲内である画素を用いても良い。
ところで、光源の色の偏りが強い、すなわち、光源の色の彩度が大きい場合には、無彩色ではない特有の色合いを有する記憶色領域の色も、光源の色相に偏ってしまう場合がある。このような場合には、記憶色領域の画素が色かぶり量算出画素群として選択されてしまう。このようにして算出された色かぶり量に基づいてホワイトバランス調整処理を実行すると、記憶色領域の色の鮮やかさや色相を大きく変更してしまい、画質を十分に向上させることができない場合がある。
この実施例においてCPU41は、光源種類の設定が有る場合には、予め設定された記憶色を有する画素を除いた画素群から色かぶり量を算出し、得られた色かぶり量と光源情報とに応じたホワイトバランス調整処理を実行する。よって、記憶色領域特有の色合いの色かぶり量に対する影響が小さくなるので、記憶色領域の色合いを大きく変更してしまうことを抑制することができる。光源情報に応じたホワイトバランス調整処理の処理方法としては、上述の各実施例と同様の処理を用いることができる。この実施例における光源情報に応じたホワイトバランス調整処理と、上述の各実施例における光源情報に応じたホワイトバランス調整処理との差異は、色かぶり量算出画素群から記憶色画素を除く点だけである。さらに、この実施例では、記憶色画素を選択する前に、標準のホワイトバランス調整処理を実行している(ステップS710)。そのため、光源の色の偏りの影響を抑制し、より的確に記憶色画素を選択することができる。
この実施例では、最後に、記憶色領域のカラーバランス調整処理を実行する(ステップS740)。この処理は、記憶色領域の画素に対してのみ実行される処理であり、記憶色領域の色合いが、予め設定されたユーザが好ましいと感じる目標色に近くなるように調整する処理である。色合いを調整するという点では、上述のホワイトバランス調整処理と同様であるので、図11に示す処理と同様の処理が実行される。このカラーバランス調整処理と、図11に示すホワイトバランス調整処理との差異は2つある。1つは、色かぶり量算出画素群として、記憶色画素が選択される点である。もう1つは、色かぶり量として、記憶色画素群における各色の平均階調値と、目標色の各色の階調値との差分を用いている点である。以下に示す数式3は、このカラーバランス調整処理における色かぶり量ΔR、ΔG、ΔBを算出するための演算式である。

数式3に示すように、記憶色領域におけるRGBの平均階調値と目標色の階調値との差分を、色かぶり量として用い、得られた色かぶり量が小さくなるように階調値調整を実行すれば、記憶色領域の色合いを、ユーザが好ましいと感じる目標色に近づけることができる。
F.画像データ処理装置を用いる画像出力システムの構成:
図19は、本発明の一実施例としての画像データ処理装置を適用可能な画像出力システムの一例を示す説明図である。画像出力システム10Bは、画像ファイルを生成する画像生成装置としてのディジタルスチルカメラ12と、画像ファイルに基づいた画質調整処理を実行するコンピュータ90と、画像を出力する画像出力装置としてのプリンタ20Bとを備えている。コンピュータ90は、一般的に用いられているタイプのコンピュータであり、画像データ処理装置として機能する。画像出力装置としては、プリンタ20Bの他に、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等のモニタ21B、プロジェクタ等を用いることができる。以下の説明では、プリンタ20Bを画像出力装置として用いるものとする。本実施例では、画質調整部を備える画像データ処理装置と、画像出力部を備える画像出力装置とを、独立に構成している点が、上述の画像出力システム実施例(図1)と異なる。なお、画像データ処理装置としてのコンピュータと画像出力部を備えたプリンタとは、広義の「出力装置」と呼ぶことができる。
ディジタルスチルカメラ12において生成された画像ファイルは、ケーブルCVを介したり、画像ファイルが格納されたメモリカードMCをコンピュータ90に直接挿入したりすることによって、コンピュータ90に送出される。コンピュータ90は、読み込んだ画像ファイルに基づいた、画像データの画質調整処理を実行する。画質調整処理によって生成された画像データは、ケーブルCVを介してプリンタ20Bに送出され、プリンタ20Bによって出力される。
コンピュータ90は、上述の画質調整処理を実現するプログラムを実行するCPU92と、CPU92の演算結果や画像データ等を一時的に格納するRAM93と、画質調整処理プログラムや、色相テーブルなどの、画質調整処理に必要なデータを格納するハードディスクドライブ(HDD)94とを備えている。CPU92と、RAM93と、HDD94とは、画質調整部として機能する。さらに、コンピュータ90は、メモリカードMCを装着するためのメモリカードスロット96と、ディジタルスチルカメラ12等からの接続ケーブルを接続するための入出力端子95とを備えている。
ディジタルスチルカメラ12にて生成された画像ファイルGFは、ケーブルを介して、あるいは、メモリカードMCを介してコンピュータ90に提供される。ユーザの操作によって、画像レタッチアプリケーション、または、プリンタドライバといった画像データ処理アプリケーションプログラムが起動されると、CPU92は、読み込んだ画像ファイルGFを処理する画像処理ルーチン(図9)を実行する。また、メモリカードMCのメモリカードスロット96への差し込み、あるいは、入出力端子95に対するケーブルを介したディジタルスチルカメラ12の接続を検知することによって、画像データ処理アプリケーションプログラムが自動的に起動する構成としてもよい。
CPU92により処理された画像データは、画像処理ルーチン(図9)のステップS250にて出力される代わりに、画像出力装置、例えば、プリンタ20Bに送出され、画像データを受け取った画像出力装置が画像の出力を実行する。
この実施例では、コンピュータ90が備える画質調整部を用いて画像処理を行うので、画質調整部を備えていない画像出力装置を用いることが可能である。また、画像出力装置が画質調整部を備えている場合には、コンピュータ90は画像処理を行わずに画像データを画像出力装置に送出し、画像出力装置の画質調整部とが画像処理を行う構成としてもよい。
以上、説明したように、上述の各実施例では、光源の色の偏りによって色のずれた画像に対して、光源情報を用いて、自動的に適切な画質調整処理を実行できるので、手軽に高品質な出力結果を得ることができる。
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
G1.変形例1:
上述の各実施例においては、光源の色の偏りに関する光源情報として、光源の種類を用いているが、光源の種類に限らず、光源の色相を判断することができる情報であればよい。例えば、光源の色相そのものや、光源のスペクトル分布、光源の色温度などを、光源情報として用いることができる。
G2.変形例2:
上述の各実施例では、画像生成装置において、光源の種類がユーザによって設定された場合には、生成される画像データの色合いが、設定された光源の色合いに応じて調整されていたが、ユーザによって設定された光源情報を用いずに画像データを生成する画像生成装置を用いても良い。このような画像生成装置で生成された画像データに対しては、ユーザによって設定された光源情報に応じて、通常の強度でのホワイトバランス調整処理を実行することが好ましい。こうすることによって、光源の色の偏りによる色かぶりを適切に小さくすることができる。いずれの場合も、画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されているとの判定が成立した場合に、判定が成立しなかった場合よりも弱い強度でのホワイトバランス調整処理を実行するのが好ましい。こうすれば、ユーザの好みの色合いを大きく変更することを抑制し、さらに、光源の色の偏りによって生じた色かぶりを小さくすることができる。
G3.変形例3:
上記実施例では、画像ファイルGFの具体例としてExif形式のファイルを例にとって説明したが、本発明に係る画像ファイルの形式はこれに限られない。すなわち、画像生成装置において生成された画像データと、画像データ生成時における撮影条件を記述する画像生成履歴情報GIとが含まれている画像ファイルであれば良い。このようなファイルであれば、画像生成装置において生成された画像データの画質を、適切に自動調整して出力装置から出力することができる。
G4.変形例4:
上記実施例では、画像データGDと画像生成履歴情報GIとが同一の画像ファイルGFに含まれる場合を例にとって説明したが、画像データGDと画像生成履歴情報GIとは、必ずしも同一のファイル内に格納される必要はない。すなわち、画像データGDと画像生成履歴情報GIとが関連づけられていれば良く、例えば、画像データGDと画像生成履歴情報GIとを関連付ける関連付けデータを生成し、1または複数の画像データと画像生成履歴情報GIとをそれぞれ独立したファイルに格納し、画像データGDを処理する際に関連付けられた画像生成履歴情報GIを参照しても良い。かかる場合には、画像データGDと画像生成履歴情報GIとが別ファイルに格納されているものの、画像生成履歴情報GIを利用する画像処理の時点では、画像データGDおよび画像生成履歴情報GIとが一体不可分の関係にあり、実質的に同一のファイルに格納されている場合と同様に機能するからである。すなわち、少なくとも画像処理の時点において、画像データGDと画像生成履歴情報GIとが関連付けられている態様は、本実施例における画像ファイルGFに含まれる。さらに、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM等の光ディスクメディアに格納されている動画像ファイルも含まれる。
【産業上の利用可能性】
この発明は、プリンタ、デジタルカメラ、画像処理機能を有するコンピュータなどに適用可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像生成装置で生成された画像データと、前記画像データ生成時における撮影条件に関する情報を少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成履歴情報とを用いて、画像データを処理する画像処理装置であって、
前記画像生成履歴情報が、前記画像データ生成時における光源の色の偏りに関する光源情報を含む場合に、前記光源情報を用いて得られる光源の色に基づいて前記画像データのホワイトバランス調整処理を実行することが可能な画質調整部を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記画質調整部は、前記光源の色相に基づいて、前記ホワイトバランス調整処理の強度を調整する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記ホワイトバランス調整処理は、
(i)前記画像データを構成する一部の画素の画素値を解析することによって、前記画像データにおける色相のグレーからの偏りの度合いを示す色かぶり量の大きさを決定する処理と、
(ii)前記色かぶり量の大きさに基づいて、前記ホワイトバランス調整処理の処理量を決定する処理と、
(iii)前記決定された処理量に従って、前記ホワイトバランス調整処理を実行する処理と、
を含み、
前記ホワイトバランス調整処理の強度は、前記処理(i)と(ii)との少なくとも一方における所定の処理パラメータを、前記光源の色相に基づいて調整することによって調整される、画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記画質調整部は、前記画像データを構成する全画素の中から一部の画素を前記解析の対象として選択するための条件として、画素の色相が前記光源の色相に近いほど、より彩度の大きい画素を前記解析対象として選択する条件を設定することによって、前記ホワイトバランス調整処理の強度を調整する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記画質調整部は、前記色かぶり量の大きさに対する前記ホワイトバランス調整処理の処理量の大きさの割合を表す処理パラメータを、前記光源の色相が前記画像データの色相の偏りに近いほど大きくなるように調整することによって、前記ホワイトバランス調整処理の強度を調整する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画質調整部は、前記解析対象として、前記画像データにおける無彩色に近い画素を選択する、画像処理装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画質調整部は、前記解析対象として、所定の色相を有する画素を除いた画素を選択する、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画質調整部は、前記画像データ生成時において、前記画像データの色合いがユーザの指示に応じて調整されているか否かを判定することが可能であり、
ユーザの指示に応じて調整されているとの判定が成立した場合には、前記判定が成立しなかった場合よりも小さい強度を用いて、前記ホワイトバランス調整処理を実行する、画像処理装置。
【請求項9】
画像生成装置で生成された画像データと、前記画像データ生成時における撮影条件に関する情報を少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成履歴情報とを用いて、画像を出力する出力装置であって、
前記画像生成履歴情報が、前記画像データ生成時における光源の色の偏りに関する光源情報を含む場合に、前記光源情報を用いて得られる光源の色に基づいて前記画像データのホワイトバランス調整処理を実行することが可能な画質調整部と、
前記画質が調整された画像データに応じて画像を出力する画像出力部と、
を備える、出力装置。
【請求項10】
画像生成装置で生成された画像データと、前記画像データ生成時における撮影条件に関する情報を少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成履歴情報とを用いて、画像データを処理する画像処理方法であって、
前記画像生成履歴情報が、前記画像データ生成時における光源の色の偏りに関する光源情報を含む場合に、前記光源情報を用いて得られる光源の色に基づいた前記画像データのホワイトバランス調整処理を実行する工程を含む、画像処理方法。
【請求項11】
画像生成装置で生成された画像データと、前記画像データ生成時における撮影条件に関する情報を少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成履歴情報とを用いた、画像データの処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記画像生成履歴情報が、前記画像データ生成時における光源の色の偏りに関する光源情報を含む場合に、前記光源情報を用いて得られる光源の色に基づいた前記画像データのホワイトバランス調整処理を実行する機能を、前記コンピュータに実現させることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【国際公開番号】WO2004/034711
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542825(P2004−542825)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012684
【国際出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】