説明

光源装置および照明装置

【課題】 従来に比べて十分な高輝度化を図ることの可能な光源装置を提供する。
【解決手段】 紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、該固体光源5からの励起光により励起され該固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層12とを備え、前記固体光源5と前記蛍光体層12とが空間的に離れた位置にあり、前記蛍光体層12の面のうち前記固体光源5からの励起光が入射した側の面から少なくとも蛍光を反射方式で取り出す光源装置であって、前記蛍光体層12は、凹状または凸状の表面構造23を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置は広く普及しているが、近年では高輝度化が進み、一般照明や自動車のヘッドランプなどその応用範囲が広がってきている。このような光源装置は、今後も高輝度化することで、さらに多様な用途での普及が進むと考えられている。
【0003】
このような光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置を高輝度化するための手段として、光半導体に大電流を投入し光半導体からの励起光強度を強めることが考えられるが、実際には蛍光体層で熱が発生し、蛍光体層において樹脂成分の変色や蛍光体の温度消光による蛍光強度の低下が生じてしまう。このため、結果として、発光強度は飽和、減少し、光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置の高輝度化は困難であった。
【0004】
ここで、蛍光体層内の樹脂成分の変色とは、通常、蛍光体層は一定の形状に再現性良く形成するため、蛍光体粉末を樹脂成分と混練してペースト状に調製し、印刷法等を用いて塗布形成しており、この樹脂成分が加熱され200℃程度以上になると変色してしまう現象のことである。樹脂成分は本来透明であるため、熱により樹脂成分に変色が起きると、光半導体からの励起光や蛍光体層からの蛍光の一部を吸収してしまい、高輝度化を妨げる要因となっていた。
【0005】
また、蛍光体の温度消光とは、蛍光体を加熱すると蛍光強度が低下する現象のことである。温度消光により蛍光強度が低下すると、蛍光に変換されなかったエネルギーが熱となるため蛍光体の発熱量が増加し、さらに蛍光体の温度が上昇して温度消光が進み、蛍光強度もさらに低下するという現象が起きる。このため、熱により発生する蛍光体の温度消光も、高輝度化を妨げる要因となっていた。
【0006】
これらの問題を解決するために、特許文献1には、蛍光体層に樹脂を含まない蛍光体層を用いた光源が提案されている。この場合、蛍光体層は、樹脂成分を含まないため、変色は起こらず、さらに蛍光体層を温度感受性の低い蛍光体のセラミックス層とするために温度消光が起きないので高輝度化が可能である。また図1のように蛍光体層92を光半導体(固体光源)95と直接接合することで、蛍光体層92で発生した熱を光半導体(固体光源)95側に放散することを意図していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−005367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の図1に示すような光半導体(固体光源)95と蛍光体層92とが直接接合された光源装置では、光半導体(固体光源)95からの励起光によって励起された蛍光体層92からの発光(蛍光)のうち光半導体(固体光源)95側とは反対側に出射する蛍光と、蛍光体層92で吸収されずに蛍光体層92を透過する光半導体(固体光源)95からの励起光とを用いている。つまり、図1の光源装置は、蛍光体層92を透過する光を利用する透過方式のものとなっている。
【0009】
ここで、蛍光体層92からの出射光を考えると、上記透過光とともに蛍光体層92との界面で反射されて光半導体(固体光源)95側へ戻って行く光、つまり反射光も存在しており、この光(反射光)は、光半導体(固体光源)95に再吸収されるため、照明光として利用できない光となってしまうという問題があった。
【0010】
また、図1の光源装置では、蛍光体層92の熱を光半導体(固体光源)95側に放散することを意図しているが、光半導体(固体光源)95の励起光強度を高めた場合、蛍光体層92のみならず光半導体(固体光源)95でも発熱が起きるため、蛍光体層92の発熱を同じく発熱している光半導体(固体光源)95の側から放散させることとなり、熱放散の効率が良くないという問題があった。
【0011】
このように、図1の光源装置では、透過方式のものとなっていることと、蛍光体層92の発熱に対する熱放散の効率が良くないということとから、高輝度化に限界があった。
【0012】
本発明は、従来に比べて十分な高輝度化を図ることの可能な光源装置および照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、該固体光源からの励起光により励起され該固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層とを備え、前記固体光源と前記蛍光体層とが空間的に離れた位置にあり、前記蛍光体層の面のうち前記固体光源からの励起光が入射した側の面から少なくとも蛍光を反射方式で取り出す光源装置であって、前記蛍光体層は、凹状または凸状の表面構造を有していることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光源装置において、前記蛍光体層は、蛍光体プレート上に凹状または凸状の複数のセグメントが形成されたものとなっており、前記複数の各セグメントの大きさは、前記固体光源からの励起光の照射スポットの大きさよりも小さいことを特徴としている。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の光源装置において、前記蛍光体層は、蛍光体セラミックスであることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、該光源装置は、前記蛍光体層を有する蛍光回転体を備えていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1乃至請求項5記載の発明によれば、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、該固体光源からの励起光により励起され該固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層とを備え、前記固体光源と前記蛍光体層とが空間的に離れた位置にあり、前記蛍光体層の面のうち前記固体光源からの励起光が入射した側の面から少なくとも蛍光を反射方式で取り出すので、従来に比べて十分な高輝度化を図ることができる。
【0019】
特に、請求項1乃至請求項5記載の発明によれば、前記蛍光体層は、凹状または凸状の表面構造を有しているので、輝度を低下させずに、蛍光体層内における励起密度の上昇および蛍光体層の温度の局所的な上昇を抑えることが可能となり、蛍光体層の温度消光を防止し、さらに蛍光体層が蛍光体セラミックスなどで形成されている場合に蛍光体層(蛍光体セラミックスなど)が割れるのを防止できる。
【0020】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、該光源装置は、前記蛍光体層を有する蛍光回転体を備えているので、固体光源に対して蛍光体層を回転させることにより、固体光源からの励起光が当たる場所を分散させ、光照射部での発熱を抑えることができ、これにより、より一層の高輝度化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の光源装置を示す図である。
【図2】本願出願人による本願の先願(特願2009−286397)に記載されている光源装置を示す図である。
【図3】本発明の光源装置の一構成例を示す図である。
【図4】図3の蛍光体層の部分拡大斜視図である。
【図5】図4のA−A線における断面図である。
【図6】図2の光源装置において、固体光源からの励起光を、蛍光体層の励起光照射面に垂直な軸Z方向に(すなわちθ=0°で)入射させるように構成された光源装置を示す図である。
【図7】図3の光源装置における固体光源からの励起光の照射範囲を示す図である。
【図8】図6の光源装置における固体光源からの励起光の照射範囲を示す図である。
【図9】図3、図4、図5の光源装置における複数の各セグメントの立ち上がり角φに対する軸上輝度比の測定結果を示す図である。
【図10】蛍光体層を回転軸の周りに回転させる反射型蛍光回転体として構成した例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図2は、本願出願人による本願の先願(特願2009−286397)に記載されている光源装置を示す図である。図2を参照すると、この光源装置10は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、該固体光源5からの励起光により励起され該固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層2とを備え、固体光源5と蛍光体層2とが空間的に離れて配置されている。
【0024】
ここで、蛍光体層2には、樹脂成分を含んでいるもの(例えば、シリコーン樹脂などの高い透明樹脂中に蛍光体を分散、塗布したもの)や、ガラス封止のものを用いることもできるが、実質的に樹脂成分を含んでいないもの(蛍光体セラミックスなど)を用いることもできる。
【0025】
また、蛍光体層2の前記励起光が入射する側の面とは反対の面側には光反射性と熱伝導性を有する基板(放熱基板)6が設けられており、蛍光体層2は、放熱基板6に接合部7によって接合されている。ここで、接合部7にも、光反射性と熱伝導性とを有する材料が用いられるのが良い。
【0026】
また、この光源装置10では、蛍光体層2の面のうち固体光源5からの励起光が入射する側の面とは反対側に設けられた反射面による反射を用いて蛍光などの光(励起光、蛍光)を取り出す方式(以下、反射方式と称す)が採用されている。
【0027】
このように、この光源装置10は、基本的には、固体光源5と蛍光体層2とを空間的に離して配置し、発光を反射方式で利用することを特徴としている。
【0028】
すなわち、図1に示した従来の光源装置のように、蛍光体層92が固体光源95と接している場合には、高輝度化をしようとしても、蛍光体層92と固体光源95との両方とも加熱されてしまうため、蛍光体層92からの熱放散の効率が悪かったが、図2の光源装置10では、蛍光体層2を固体光源5から離して配置することで、高輝度化をする場合にも、蛍光体層2からの熱を、接合部7を介して低温の放熱基板6へ放散させることが可能となり、蛍光体層2からの熱放散の効率を、図1に示した従来の光源装置に比べて、著しく高めることができる。
【0029】
また、図1に示した従来の光源装置では、固体光源95からの励起光と蛍光体層92からの蛍光のうち、固体光源95とは反対の側に出射する蛍光と、蛍光体層92で吸収されずに透過する固体光源95からの励起光とを用いている。つまり透過方式を使用している。ここで、透過方式では、蛍光体層92からの出射光を考えると、励起光については上記透過光とともに蛍光体層92との界面で反射されて固体光源95側へ戻って行く発光、つまり反射光も存在しており、この反射光は固体光源95に再吸収されるため照明光として利用できない光となってしまう。また、蛍光体層92からの蛍光は、蛍光体層92の両面から出射するため、やはり固体光源95側に出射する光は利用できない。このように、透過方式では、光の利用効率が低下してしまう。また、透過方式では、目的の色度の照明光を得るためには蛍光体層92の厚みを厚くする必要があり、蛍光体層92から固体光源95までの距離が長くなるため、蛍光体層92からの熱を固体光源95に放散する上で不利であった。
【0030】
これに対し、図2の光源装置10では、固体光源5とは反対の側に出射する光(励起光、蛍光)を反射面(例えば基板6の反射面)で固体光源5側に反射する反射方式を採用しているので、固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層2からの発光(蛍光)の全て(すなわち、固体光源5側に出射する蛍光)と、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの励起光の全て(すなわち、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの光の反射光)とを照明光として利用できるため(すなわち、励起光、蛍光とも効率よく照明光として利用できるため)、光の利用効率を著しく高めることができ、高輝度化が可能となる。また、透過型に対し、反射型では、蛍光体層2の厚みが半分以下でも蛍光体層2内の光路長が等しくなり、同じ色度の光が得られるため、蛍光体層2を薄くすることができ、蛍光体層2から基板6までの距離が短くなるので、熱放散の面でも有利である。
【0031】
このように、図2の光源装置10では、基本的には、固体光源5と蛍光体層2とを空間的に離して配置し、発光を反射方式で利用するので、従来に比べて十分な高輝度化を図ることができる。
【0032】
さらに、図2の光源装置10において、蛍光体層2に実質的に樹脂成分を含んでいないものが用いられる場合には、熱による変色がなく、光の吸収が少ないことから、より一層の高輝度化を図ることができる。
【0033】
ここで、樹脂成分を実質的に含まない蛍光体層2とは、蛍光体層の形成に通常使用される樹脂成分が蛍光体層の5wt%以下であるものを意味する。このような蛍光体層を実現するものとして蛍光体粉末をガラス中に分散させたもの、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、蛍光体の単結晶や蛍光体の多結晶体(以下、蛍光体セラミックスと称す)などが挙げられる。蛍光体セラミックスは、蛍光体の製造過程において、焼成前に材料を任意の形状に成形し、焼成した蛍光体の塊である。蛍光体セラミックスは、その製造工程のうち、成形工程においてバインダーとして有機物を使用する場合があるが、成形後に脱脂工程を設けて有機成分を焼き飛ばすため、焼成後の蛍光体セラミックスには有機樹脂成分は5wt%以下しか残留しない。したがって、ここに挙げた蛍光体層は、実質的に樹脂成分を含まず、無機物質のみから構成されているため、熱による変色が発生することがない。また、無機物質のみからなるガラスやセラミックスは、一般に、樹脂よりも熱伝導率が高いため、蛍光体層2から基板6への熱放散においても有利である。特に蛍光体セラミックスは、一般的に、ガラスよりもさらに熱伝導率が高く、単結晶より製造コストが安いため、これを蛍光体層2に用いるのが好適である。
【0034】
また、蛍光体層2は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、青、緑、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、青色、または、緑色、または、赤色の蛍光体を含んでいるときには、固体光源5からの紫外光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として青色、または、緑色、または、赤色の照明光(単色光)を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。このように、固体光源5と蛍光体層2とを適宜組み合わせることにより、単色光または白色光を得ることができる。
【0035】
また、図2の光源装置10において、放熱基板6は、光(固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層2からの発光(蛍光)と、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの光)に対する反射面の役割と、蛍光体層2から放散してきた熱を外部へ放散させる役割と、蛍光体層2の支持基板の役割も担うものである。このため、高い光反射特性、伝熱特性、加工性が求められる。この放熱基板6には、金属基板やアルミナなどの酸化物セラミックス、窒化アルミニウムなどの非酸化セラミックスなどが使用可能であるが、特に高い光反射特性、伝熱特性、加工性を併せ持つ金属基板が使用されるのが望ましい。
【0036】
また、蛍光体層2と放熱基板6との接合部7も、光(固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層2からの発光(蛍光)と、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの光)に対する反射面の役割と、蛍光体層から熱を放散させる役割とを担うものであるから、高い光反射特性と伝熱特性を併せ持つ金属(金属のろう付け)が用いられるのが望ましく、接合部7としては、有機接着剤、無機接着剤、低融点ガラス、金属(金属のろう付け)などを用いることができる。
【0037】
ところで、図2の光源装置10においては、固体光源5からの励起光を蛍光体層2に斜めに、すなわち蛍光体層2の励起光照射面に垂直な軸Zに対して所定の角度θ(θ≠0°)をなして入射させることで、蛍光体層2の励起光照射面に垂直な軸Z方向に(すなわちθ=0°で)入射させる場合に比べて、蛍光体層2への励起光の照射面積を大きくすることができ、これによって、蛍光体層2内における励起密度の上昇および蛍光体層2の温度の局所的な上昇を抑え、蛍光体層2の温度消光を防止し、さらに蛍光体層2が蛍光体セラミックスなどで形成されている場合に蛍光体層2(蛍光体セラミックスなど)が割れるのを防止している。
【0038】
しかしながら、図2の光源装置10では、固体光源5からの励起光を蛍光体層2に斜めに入射させることで、蛍光体層2への励起光の照射面積を大きくすることができ、蛍光体層2内における励起密度の上昇を抑えることができるものの、その反面、蛍光体層2の励起光照射面に垂直な軸Z方向に(すなわちθ=0°で)入射させる場合に比べて、輝度も低下してしまうという問題が生じる。
【0039】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、輝度を低下させずに、蛍光体層内における励起密度の上昇および蛍光体層の温度の局所的な上昇を抑えることの可能な光源装置および照明装置を提供することを目的としている。
【0040】
図3、図4、図5は、本発明の光源装置の一構成例を示す図である。なお、図4は図3の蛍光体層の部分拡大斜視図、図5は図4のA−A線における断面図であり、図3、図4、図5において図2と同様の箇所には同じ符号を付している。図3を参照すると、この光源装置20も、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、該固体光源5からの励起光により励起され該固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層12とを備え、固体光源5と蛍光体層12とが空間的に離れて配置されている。
【0041】
ここで、蛍光体層12には、樹脂成分を含んでいるもの(例えば、シリコーン樹脂などの高い透明樹脂中に蛍光体を分散、塗布したもの)や、ガラス封止のものを用いることもできるが、実質的に樹脂成分を含んでいないもの(蛍光体セラミックスなど)を用いることもできる。
【0042】
蛍光体層12に実質的に樹脂成分を含んでいないものが用いられる場合には、熱による変色がなく、光の吸収が少ないことから、より一層の高輝度化を図ることができる。
【0043】
ここで、樹脂成分を実質的に含まない蛍光体層12とは、蛍光体層の形成に通常使用される樹脂成分が蛍光体層の5wt%以下であるものを意味する。このような蛍光体層を実現するものとして蛍光体粉末をガラス中に分散させたもの、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、蛍光体の単結晶や蛍光体の多結晶体(以下、蛍光体セラミックスと称す)などが挙げられる。蛍光体セラミックスは、蛍光体の製造過程において、焼成前に材料を任意の形状に成形し、焼成した蛍光体の塊である。蛍光体セラミックスは、その製造工程のうち、成形工程においてバインダーとして有機物を使用する場合があるが、成形後に脱脂工程を設けて有機成分を焼き飛ばすため、焼成後の蛍光体セラミックスには有機樹脂成分は5wt%以下しか残留しない。したがって、ここに挙げた蛍光体層は、実質的に樹脂成分を含まず、無機物質のみから構成されているため、熱による変色が発生することがない。また、無機物質のみからなるガラスやセラミックスは、一般に、樹脂よりも熱伝導率が高いため、蛍光体層12から基板6への熱放散においても有利である。特に蛍光体セラミックスは、一般的に、ガラスよりもさらに熱伝導率が高く、単結晶より製造コストが安いため、これを蛍光体層12に用いるのが好適である。
【0044】
また、蛍光体層12は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、青、緑、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、青色、または、緑色、または、赤色の蛍光体を含んでいるときには、固体光源5からの紫外光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として青色、または、緑色、または、赤色の照明光(単色光)を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。このように、固体光源5と蛍光体層12とを適宜組み合わせることにより、単色光または白色光を得ることができる。
【0045】
また、蛍光体層12の前記励起光が入射する側の面とは反対の面側には光反射性と熱伝導性を有する基板(放熱基板)6が設けられており、蛍光体層12は、放熱基板6に接合部7によって接合されている。
【0046】
また、この光源装置20では、蛍光体層12の面のうち固体光源5からの励起光が入射する側の面とは反対側に設けられた反射面による反射を用いて蛍光などの光(励起光、蛍光)を取り出す方式(以下、反射方式と称す)が採用されている。
【0047】
このように、図3の光源装置20も、基本的には、図2の光源装置10と同様の構成となっており、放熱基板6、接合部7には、図2の光源装置10で説明したと同様の材料(図2の光源装置10の放熱基板6、接合部7と同様の材料)を用いることができる。
【0048】
ところで、図3の光源装置20では、前述した図2の光源装置10における問題を解決するため、蛍光体層12は、図4、図5に拡大して示すように、凹状または凸状の表面構造を有している。より詳細に、蛍光体層12は、蛍光体プレート22上に凹状または凸状の複数のセグメント23が形成されたものとなっており、図4、図5の例では、凹状または凸状の複数の各セグメント23は、四角錐形状のもので、互いに接している。
【0049】
ここで、複数の各セグメント23(四角錐形状の各セグメント23)の大きさ(底辺の長さ)Wは、固体光源5からの励起光の照射スポットの大きさ(径または幅)D(例えば200μm〜300μm程度)よりも小さなもの(例えば10μm〜100μm程度)となっている。また、後述のように、輝度をより一層高めるため(後述の軸上輝度比を大きなものにするため)、各セグメント23(四角錐形状の各セグメント23)の立ち上がり角φは、30°〜70°程度の範囲にあるのが良い。
【0050】
なお、このような蛍光体層12において、蛍光体プレート22と凹状または凸状の複数のセグメント23とは、同じ蛍光体材料で、例えば一体に形成することができる。あるいは、蛍光体プレート22と凹状または凸状の複数のセグメント23とを同じ蛍光体材料でそれぞれ別体に形成し、別体に形成された蛍光体プレート22と凹状または凸状の複数のセグメント23とを貼り合わせて蛍光体層12を形成することもできる。
【0051】
また、図3の光源装置20では、固体光源5からの励起光を、凹状または凸状の複数のセグメント23が設けられていないとした場合(蛍光体プレート22だけの場合)の蛍光体層12の励起光照射面(すなわち、図2の光源装置10の蛍光体層2の励起光照射面)に垂直な軸Z方向に(すなわちθ=0°で)入射させるように構成されている。また、図3の光源装置20では、固体光源5からの励起光を、凹状または凸状の複数のセグメント23が設けられていないとした場合(蛍光体プレート22だけの場合)の蛍光体層12の励起光照射面(すなわち、図2の光源装置10の蛍光体層2の励起光照射面)に垂直な軸Z方向に(すなわちθ=0°で)入射させるように構成されていることから、蛍光体層12からの反射光(励起光、蛍光)を入射光と分離して取り出すためのハーフミラー25が設けられている。
【0052】
図3の光源装置20を、図6に示す光源装置15と比較する。なお、図6に示す光源装置15は、図2の光源装置10において、固体光源5からの励起光を、蛍光体層2(凹状または凸状の複数のセグメント23が設けられていないとした場合(蛍光体プレート22だけの場合)の蛍光体層2)の励起光照射面に垂直な軸Z方向に(すなわちθ=0°で)入射させるように構成されているものである。
【0053】
固体光源5からの励起光の励起光照射スポットの大きさ(径または幅)Dとして、200μm〜300μm程度程度のものが用いられる場合、図3の光源装置20では、固体光源5からの励起光の照射範囲は図7(a),(b)に示すようなものとなり、図6の光源装置15では、固体光源5からの励起光の照射範囲は図8(a),(b)に示すようなものとなる。なお、図7(a)、図8(a)は上面図、図7(b)、図8(b)は側面図である。図7(a)、図8(a)を比べると、図3の光源装置20、図6の光源装置15のいずれも、上面から見た励起光の蛍光体層2への照射面積(固体光源5からの励起光の照射軸Zに直交する照射断面積)はAR0と同じであることから、図3の光源装置20は、図6の光源装置15に比べて、輝度が低下することはない。また、図7(b)、図8(b)を比べると、図6の光源装置15では、励起光の蛍光体層2への実際の照射面積は、固体光源5からの励起光の照射軸Zに直交する照射断面積AR0であるのに対し、図3の光源装置20では、励起光の蛍光体層12への実際の照射面積はAR1(>AR0)であり、AR0よりも大きくなる。これにより、図3の光源装置20では、輝度を低下させずに、蛍光体層12内における励起密度の上昇および蛍光体層12の温度の局所的な上昇を抑えることが可能となる。
【0054】
図9は、図3、図4、図5の光源装置20における複数の各セグメント23(四角錐形状の各セグメント23)の立ち上がり角φに対する軸上輝度比(立ち上がり角φが0°であるときの軸Z方向の輝度に対する、各立ち上がり角φにおける軸Z方向の輝度の比)の測定結果を示す図である。図9から、輝度をより一層高めるためには、複数の各セグメント23(四角錐形状の各セグメント23)の立ち上がり角φは、30°〜70°程度の範囲にあるのが良い。
【0055】
このように、図3、図4、図5の光源装置20では、輝度を低下させずに、蛍光体層2内における励起密度の上昇および蛍光体層12の温度の局所的な上昇を抑えることが可能となり、蛍光体層12の温度消光を防止し、さらに蛍光体層12が蛍光体セラミックスなどで形成されている場合に蛍光体層12(蛍光体セラミックスなど)が割れるのを防止できる。
【0056】
なお、図3、図4、図5の例では、凹状または凸状の複数の各セグメント23は、四角錐形状のものとなっているが、四角錐形状以外の角錐形状(例えば三角錐形状など)や円錐形状のものでもよい。凹状または凸状の複数の各セグメント23が、四角錐形状以外の角錐形状(例えば三角錐形状など)や円錐形状のものである場合にも、凹状または凸状の複数の各セグメント23は互いに接しており、この場合、角錐や円錐の大きさ(底辺の長さ)Wは、固体光源5からの励起光の照射スポットの大きさ(径または幅)D(例えば200μm〜300μm程度)よりも小さなもの(例えば10μm〜100μm程度)であり、また、各セグメント23(角錐や円錐形状の各セグメント23)の立ち上がり角φは、30°〜70°程度の範囲にあるのが良い。また、凹状または凸状の複数の各セグメント23は、例えば半球状のものでも良い。凹状または凸状の複数の各セグメント23が例えば半球状のものである場合にも、凹状または凸状の複数の各セグメント23は互いに接しており、この場合、半球状の各セグメント23の大きさ(底辺に内接する方形あるいは六角形の一辺の長さ)Wは、固体光源5からの励起光の照射スポットの大きさ(径または幅)D(例えば200μm〜300μm程度)よりも小さなもの(例えば10μm〜100μm程度)であり、また、半球状の各セグメント23の立ち上がり角φは、30°〜70°程度の範囲にあるのが良い。但し、凹状または凸状の複数の各セグメント23が半球状のものである場合は、凹状または凸状の複数の各セグメント23が角錐や円錐のものである場合よりも光の利用効率が悪く、従って、凹状または凸状の複数の各セグメント23は、角錐や円錐のものであるのが好ましい。
【0057】
また、上述した本発明の光源装置において、蛍光体層12は、固定されていてもよいが、蛍光体層12を移動可能に構成することもできる。例えば、図10に示すように、蛍光体層12を回転軸Xの周りに回転させる(モーター4等によって回転させる)反射型蛍光回転体1として構成することもできる。すなわち、反射型蛍光回転体1は、蛍光体層12と放熱基板6を接合したものをモーター4等と連結することで実現できる。ここで、放熱基板6や接合部が、励起光および蛍光の反射面として機能している。なお、放熱基板6の形状は、円盤状や四角形などが考えられる。また回転の安定性を確保するために、円盤の一部を切り欠いたり、逆におもりをつけた形状とすることも可能である。このような蛍光回転体1を用いることで、そもそも蛍光体の発熱を抑えることが出来るため、より一層の高輝度が可能となる。
【0058】
次に、上述した本発明の光源装置をより詳細に説明する。
【0059】
上述した本発明の光源装置において、固体光源5には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつ発光ダイオードや半導体レーザーなどが使用可能である。
【0060】
より具体的に、固体光源5には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nmの近紫外光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層12の蛍光体としては、波長が約380nmないし約400nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、LaS:Eu3+、KSiF:Mn4+、 KTiF:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、LuAl12:Ce3+、(Si,Al)(O,N):Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+等を用いることができ、青色蛍光体には、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POl2:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+、LaAl(Si,Al)(N,O)10:Ce3+等を用いることができる。
【0061】
また、固体光源5には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層12の蛍光体としては、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、KSiF:Mn4+、KTiF:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、LuAl12:Ce3+、Y(Ga,Al)12:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Eu2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、BaSi12:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+等を用いることができる。また、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、YAl12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
【0062】
蛍光体層12としては、これらの蛍光体粉末をガラス中に分散させたものや、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、樹脂などの結合部材を含まない蛍光体セラミックス等を用いることができる。蛍光体粉末をガラス中に分散させたものの具体例としては、上に列挙した組成の蛍光体粉末をP、SiO、B、Alなどの成分を含むガラス中に分散したものが挙げられる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce3+やEu2+を付活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体が挙げられる。蛍光体セラミックスとしては、上に列挙した組成の蛍光体組成からなり、樹脂成分を実質的に含まない焼結体が挙げられる。これらの中でも透光性を有する蛍光体セラミックスを使用することが望ましい。これは、焼結体中に光の散乱の原因となるポアや粒界の不純物がほとんど存在しないために透光性を有するに至った蛍光体セラミックスである。ポアや不純物は熱拡散を妨げる原因にもなるため、透光性セラミックスは高い熱伝導率を示す。このため蛍光体層として利用した場合には励起光や蛍光を拡散により失うことなく蛍光体層から取り出して利用でき、さらに蛍光体層で発生した熱を効率良く放散することができる。透光性を示さない焼結体でも出来るだけポアや不純物の少ないものが望ましい。ポアの残存量を評価する指標としては蛍光体セラミックスの比重の値を用いることができ、その値が計算される理論値に対して95%以上のものが望ましい。
【0063】
ここで、青色励起の黄色発光蛍光体であるYAl12:Ce3+蛍光体を例に、透光性を有する蛍光体セラミックスの製造方法を説明する。蛍光体セラミックスは出発原料の混合工程、成形工程、焼成工程、加工工程を経て製造される。出発原料には、酸化イットリウムや酸化セリウムやアルミナ等、YAl12:Ce3+蛍光体の構成元素の酸化物や、焼成後に酸化物となる炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等を用いる。出発原料の粒径はサブミクロンサイズのものが望ましい。これらの原料を化学量論比となるように秤量する。このとき焼成後のセラミックスの透過率向上を目的として、カルシウムやシリコンなどの化合物を添加することも可能である。秤量した原料は、水もしくは有機溶剤を用い、湿式ボールミルにより十分に分散、混合を行う。次に混合物を所定の形状に成形する。成形方法としては、一軸加圧法、冷間静水圧法、スリップキャスティング法や射出成形法等を用いることができる。得られた成形体を1600〜1800℃で焼成する。これにより、透光性のYAl12:Ce3+蛍光体セラミックスを得ることができる。
【0064】
以上のようにして作製した蛍光体セラミックスは、自動研磨装置などを用いて、厚さ数十〜数百μmの厚みに研磨し、さらに、ダイアモンドカッターやレーザーを用いたダイシングやスクライブにより、蛍光体プレート上に凹状または凸状の複数のセグメントが形成された形状に加工して使用する。
【0065】
ここで、蛍光体セラミックスの励起光入射面に、酸化物の多層膜からなるARコート(反射防止機能を有する膜)を施しても良い。
【0066】
また、上述の例では、蛍光体プレート22と凹状または凸状の複数のセグメント23とを、同じ蛍光体材料で、例えば一体に形成するか、あるいは、蛍光体プレート22と凹状または凸状の複数のセグメント23とを同じ蛍光体材料でそれぞれ別体に形成し、別体に形成された蛍光体プレート22と凹状または凸状の複数のセグメント23とを接合して蛍光体層12を形成するとしたが、凹状または凸状の複数のセグメント23については、これをガラスや光透過材料で形成することもできる。ただし、凹状または凸状の複数のセグメント23を、蛍光体プレート22と同じ蛍光体材料で形成する場合には、蛍光体プレート22と屈折率が一致しており光学的に連続となるので、図9のような軸上輝度を得ることができるのに対し、凹状または凸状の複数のセグメント23をガラスや光透過材料で形成する場合には、蛍光体プレート22と屈折率が一致しないと光学的な不連続となるので、輝度向上の効果が小さくなる。従って、凹状または凸状の複数のセグメント23をガラスや光透過材料で形成する場合は、できるだけ蛍光体プレート22の屈折率に近い材料を用いる必要がある。
【0067】
また、放熱基板6には、金属基板や酸化物セラミックス、非酸化セラミックスなどを使用可能であるが、特に、高い光反射特性、伝熱特性、加工性を併せ持つ金属基板を使用するのが望ましい。金属としては、Al、Cu、Ti、Si、Ag、Au、Ni、Mo、W、Fe、Pdなどの単体や、それらを含む合金が使用可能である。また、放熱基板6の表面に増反射や腐食防止を目的としたコーティングを施しても良い。また、放熱基板6には、放熱性を高めるために、フィンなどの構造を設けても良い。
【0068】
上述したように、本発明では、固体光源5と蛍光体層12を放熱基板6に対して同じ側に設置することで、反射型の光源装置となる。もちろん必要であれば、固体光源5と蛍光体層12との間にレンズなどの光学素子を入れることもできる。
【0069】
また、本発明の上述した種々の光源装置を所定のレンズ系などの光学部品と組み合わせることで、高輝度化が可能な照明装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、照明一般などに利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 蛍光回転体
2 蛍光体層
12 蛍光体層
4 モーター
5 固体光源
6 放熱基板
7 接合部
22 蛍光体プレート
23 セグメント
10、20 光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、該固体光源からの励起光により励起され該固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層とを備え、前記固体光源と前記蛍光体層とが空間的に離れた位置にあり、前記蛍光体層の面のうち前記固体光源からの励起光が入射した側の面から少なくとも蛍光を反射方式で取り出す光源装置であって、前記蛍光体層は、凹状または凸状の表面構造を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置において、前記蛍光体層は、蛍光体プレート上に凹状または凸状の複数のセグメントが形成されたものとなっており、前記複数の各セグメントの大きさは、前記固体光源からの励起光の照射スポットの大きさよりも小さいことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の光源装置において、前記蛍光体層は、蛍光体セラミックスであることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、該光源装置は、前記蛍光体層を有する蛍光回転体を備えていることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−243624(P2012−243624A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113546(P2011−113546)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】