説明

光源装置及びプロジェクタ

【課題】光源ランプをリフレクタから分離して交換することができる光源装置及びこれを組み込んだプロジェクタを提供すること。
【解決手段】支持部材としてのブラケット56が光源ランプ1をリフレクタ組立体U2に対して着脱可能に支持するので、光源ランプ1を主たる要素とするランプ組立体U1をリフレクタ2から分離して交換することができ、劣化前のリフレクタ2やハウジング55については、これを光源ランプ1の交換後も継続して使用できる。よって、リフレクタ2やハウジング55等の無駄な廃棄を抑えて有効を活用を図ることができる。また、本実施形態では、リフレクタ2を金属製の基板2aで形成しており、リフレクタ2を軽量で割れにくく安価なものとできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ランプを備える光源装置、及び、かかる光源装置を組み込んだプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタに組み込まれるランプユニットとして、ハロゲンランプ等である光源ランプと、光源ランプからの光束を反射する肉厚のリフレクタと、光源ランプやリフレクタを固定するためのハウジングとを備えるものが存在する(特許文献1参照)。このランプユニットでは、一体型のハウジングを構成するリフレクタ保持部にクリップによってリフレクタを固定し、光源ランプ保持部に接着剤によって光源ランプを固定している。
【特許文献1】特開2002−258404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のランプユニットでは、接着剤によって光源ランプをハウジングに固定しているので、ランプを交換するときには、ハウジングごと交換する必要がある。
【0004】
そこで、本発明は、光源ランプをハウジングから分離して交換することができ、交換に際して、リフレクタと光源ランプとを簡易にアライメントして固定することができる光源装置及びこれを組み込んだプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る光源装置は、(a)発光する光源ランプと、(b)金属製の基板で形成されるリフレクタと、(c)リフレクタを固定するハウジングと、(d)ハウジングと光源ランプとの間に介在して、光源ランプを着脱可能に支持する支持部材とを備える。
【0006】
上記光源装置では、支持部材が光源ランプを着脱可能に支持するので、光源ランプをリフレクタやハウジングから分離して交換することができ、劣化前のリフレクタやハウジングについては、これを光源ランプの交換後も継続して使用できる。よって、リフレクタやハウジング等の無駄な廃棄を抑えて部品の有効活用を図ることができる。なお、リフレクタを金属製の基板からプレス加工等で形成することにより、リフレクタを軽量で割れにくく安価なものとできるが、筒状部分の形成が困難なことに起因して、リフレクタに対して光源ランプを直接固定することが容易でなくなる。上記のようにハウジングに光源ランプを支持させることで、筒状部分の形成の必要がなくなり、プレス加工等を利用した金属製のリフレクタの作製が容易になる。
【0007】
また、本発明の具体的な態様又は観点では、上記光源装置において、支持部材が、光源ランプの本体部分から延びる軸部分を支持する第1部分と、支持部材自体をハウジングに取り付けるための第2部分とを有する。この場合、第2部分を着脱可能な構造にすることで、光源ランプと支持部材とを一体化して交換することができる。
【0008】
本発明の別の態様では、リフレクタが、底部に本体部分を通すための挿通口を有する凹面鏡であり、ハウジングが、固定された状態のリフレクタの挿通口に対向する位置に支持部材を取り付けるための取付孔を有する。この場合、支持部材をハウジングの取付孔に装着する際に、光源ランプの本体部分を凹面鏡の背後から挿通口を介して表側に配置することができる。
【0009】
本発明のさらに別の態様では、支持部材が、取付孔に取り付けられた状態で光源ランプの本体部分をリフレクタの凹面側に支持する。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、支持部材が、光源ランプを固定する際に光源ランプのアライメントを可能にする。この場合、光源ランプを固定した支持部材をハウジングに取り付けるだけで、光源ランプをハウジングやリフレクタに対してアライメントすることが可能になる。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、光源ランプの本体部分を挟んでリフレクタに対向して配置され、本体部分からの光束を本体部分に戻すように反射する副反射鏡をさらに備える。この場合、光源ランプからリフレクタの反対側に射出された光束を回収することができ、光源光の効率的な利用を図ることができる。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、リフレクタが、基板のプレス加工により形成された凹面形状の反射部を有し、反射部は、基板の凹面上に形成された反射コートを有する。この場合、反射コートによってリフレクタを高い反射率とすることができ、光源光の効率的な利用を図ることができる。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、ハウジングが、開放された開口を介してリフレクタの反射部を収納する容器状の枠体であり、開口の周囲にリフレクタの環状の縁部分を支持する環状の座部を有する。この場合、リフレクタの縁部分を安定して支持することができ、リフレクタの光学的精度を高く維持することができる。
【0014】
本発明のプロジェクタは、(a)上述の光源装置と、(b)光源装置からの光束によって照明される光変調装置と、(c)光変調装置によって形成された像を投射する投射光学系とを備える。
【0015】
上記プロジェクタは、光源ランプのみの交換を可能にするとともにリフレクタの破損や無駄を回避できる光源装置を組み込んでおり、維持費を抑えた高性能のプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る光源装置等について説明する。図1は、本実施形態の光源装置の構造を概念的に説明する断面図である。また、図2(A)は、図1の光源装置10のうち光源ランプ側を説明する断面図であり、図2(B)は、光源装置10のうちリフレクタ側を説明する断面図である。
【0017】
図示のように、光源装置10は、放電発光型の光源ランプ1と、楕円型の主反射鏡であるリフレクタ2と、球面型の副反射鏡である副鏡3と、光源ランプ1等を固定するための固定装置4とを備える。ここで、図2(A)に示すように、光源ランプ1と、固定装置4の一部を構成するブラケット56とは、予め組み合わされて、光源装置10の一方の部品として取り扱われるランプ組立体U1を構成する。また、図2(B)に示すように、リフレクタ2と、固定装置4の一部を構成するハウジング55とは、予め組み合わされて、光源装置10の他方の部品として取り扱われるリフレクタ組立体U2を構成する。
【0018】
光源装置10において、光源ランプ1は、中央部が球状に膨出した透光性の石英ガラス管で構成され、照明用の光を放射する封体である本体部分11と、この本体部分11の両端を通る軸線に沿って延びる第1及び第2封止部13,14とを備える。これら封止部13,14のうち一方の第2封止部14は、光源ランプ1を固定装置4によって支持する際に根元側の支持部として利用される軸部分である。
【0019】
本体部分11内に形成される放電空間12には、タングステン製の第1電極15の先端部分と、同様にタングステン製の第2電極16の先端部分とが所定距離で離間配置されており、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。この本体部分11の両端に延びる各封止部13,14は、その内部に本体部分11に設けた第1及び第2電極15,16の根元部分に対し電気的に接続されるモリブデン製の金属箔17a,17bを封入しており、ガラス材料等によって外部に対して気密な封止を形成している。これらの金属箔17a,17bに接続されたリード線18a,18bに不図示の光源駆動装置により適当な波形で電力を供給すると、一対の電極15,16間でアーク放電が生じ、本体部分11が高輝度で発光する。
【0020】
リフレクタ2は、集光用の凹面鏡であり、光源ランプ1の本体部分11のうち、第2電極16がある光束射出後方側の略半分に主に対向して配置されている。このリフレクタ2は、SUS、アルミニウム等の材料で形成された薄板状の金属板をプレス加工することによって得た立体形状の基板2aからなり、楕円曲面状の主反射部2bと、主反射部2bの外周に設けられた環状の縁部分2cと、主反射部2bの底部すなわち回転対称軸の周辺に形成される円形の挿通口2dとを有する。ここで、主反射部2bは、基板2aの内側の凹面上に多層膜である反射コート2fを被覆することによって形成される楕円反射面2rを有する。主反射部2bの周囲の縁部分2cは、プレス加工によってフランジ状に形成されており、プレス加工に際して複数のネジ止め用の貫通孔51も形成されている。各貫通孔51は、リフレクタ2の固定のため精密に加工されている。例えば固着型のネジ52を、縁部分2cの貫通孔51を介して固定装置4の後述する座部55dに設けたネジ孔4rにねじ込んで締め付けることにより、リフレクタ2をハウジング55に対して安定した状態で精密に固定することができる。主反射部2bの底部に形成された挿通口2dは、光源ランプ1を固定する際にその本体部分11と封止部13,14とを裏面側から通す部分である。なお、光源ランプ1の固定後は、挿通口2dの位置に光束射出後方側の第2封止部14が配置される。
【0021】
副鏡3は、光源ランプ1の本体部分11のうち、第1電極15がある光束射出前方側の略半分を近接して覆っている。この副鏡3は、石英ガラス製の一体成形品であり、光源ランプ1の本体部分11から前方に放射された光束を本体部分11に戻す副反射部3aと、この副反射部3aの根元部を支持した状態で第1封止部13の周囲に固定される支持部3bとを備える。副反射部3aは、その内面に球面反射面として機能する多層膜の反射コートが形成されたものである。支持部3bは、第1封止部13を挿通させるとともに、副反射部3aを本体部分11に対してアライメントした状態で保持している。すなわち、光源ランプ1の第1封止部13に支持部3bを挿通させた状態で、これらの間に無機接着剤Cを注入及び充填して固化することにより、副鏡3が第1封止部13すなわち光源ランプ1に固定される。
【0022】
固定装置4は、光源ランプ1とリフレクタ2とをアライメントした状態で一体的に保持するための部分であり、リフレクタ2を固定するハウジング55と、光源ランプ1をハウジング55に対して着脱可能に支持するブラケット56とを備える。
【0023】
このうち、ハウジング55は、開放された開口APを有する容器状の枠体であり、筒状の側壁55aと、中央に円形の取付孔55bを設けた底部壁55cとを備える。このハウジング55にリフレクタ2を固定した場合、主反射部2bがハウジング55の容器内に収納された状態となる。なお、ハウジング55は、開口APの周囲にリフレクタ2の環状の縁部分2cを支持する環状の座部55dを有し、取付孔55bの周囲にブラケット56の環状のフランジ部分56bを支持する縁部分55eを有する。座部55dには、リフレクタ2の固定のため上記複数のネジ孔4rが形成されており、縁部分55eにも、ブラケット56の固定のため複数のネジ孔55jが形成されている。
【0024】
ブラケット56は、支持部材として機能するものであり、光源ランプ1の第2封止部14を支持する筒状部分56aと、筒状部分56aの軸方向の一端側に形成された環状のフランジ部分56bとを備える。筒状部分56aは、支持用の第1部分として、光源ランプ1の第2封止部14を支持するための円柱状の内部空間を形成する支持孔を有している。この筒状部分56aは、第2封止部14を挿通させるとともに、本体部分11をブラケット56に対してアライメントした状態で保持している。具体的には、筒状部分56aに第2封止部14を挿入した状態で、これらの間に無機接着剤Cを注入及び充填して固化することにより、光源ランプ1が筒状部分56aすなわちブラケット56に固定される。フランジ部分56bは、取付用の第2部分として、ネジを切っていない貫通孔56fを有しており、この貫通孔56fを介してビス56hをハウジング55の縁部分55eに設けた複数のネジ孔55jにねじ込んで締め付けることにより、ブラケット56とハウジング55とがアライメントして固定され、さらに、光源ランプ1とハウジング55とが安定した状態で精密にアライメントされて固定される。
【0025】
ハウジング55やブラケット56は、加工精度や耐熱性の観点で、ガラス等の無機材料からなるフィラを各種樹脂に混合したエンジニアリングプラスチック等の耐熱性材料で形成することが望ましい。これにより、光源ランプ1とハウジング55とのアライメントを高精度にでき、光源ランプ1の影響でハウジング55やブラケット56が加熱されても、これらが急速に劣化すること等を防止できる。
【0026】
以上のような光源装置10において、光源ランプ1は、主反射部2bの回転対称軸又は光軸に対応するシステム光軸OAに沿って配置されるとともに、本体部分11内の第1及び第2電極15,16間の発光中心Oが主反射部2bの楕円曲面の第1焦点F1と略一致するように配置される。光源ランプ1を点灯した場合、本体部分11の発光中心O周辺のアークから放射された光束は、主反射部2bで反射され、或いは副反射部3aでの反射を経て主反射部2bでさらに反射され、楕円曲面の第2焦点に収束する光束となる。つまり、リフレクタ2及び副鏡3は、システム光軸OAに対して略軸対称な反射曲面を有し、一対の電極15,16は、その軸心である電極軸をシステム光軸OAと略一致させるように配置されている。
【0027】
以下、図1に示す光源装置10の作製について説明する。光源装置10の作製に際しては、まず、光源ランプ1を備えたランプ組立体U1(図2(A)参照)と、リフレクタ2を備えたリフレクタ組立体U2(図2(A)参照)とを準備する。そして、リフレクタ組立体U2に後側からランプ組立体U1を挿入して固定することで、光源装置10の光学系部分の作製を完了する。結果的に、光源ランプ1とリフレクタ2とは、固定装置4によって相互にアライメントされて固定された状態となる。
【0028】
図3は、図2(A)に示すランプ組立体U1の組立時の最終調整を説明する図である。ここで、楕円リフレクタ部材ERは、図2(B)に示すリフレクタ組立体U2に対応するもので、リフレクタ2の楕円反射面2rに対応する楕円反射面ERrを有している。検査用の楕円リフレクタ部材ERの背面には、ランプ組立体U1のブラケット56が固定されている。この際、フランジ部分56bに設けた貫通孔56fが利用される。すなわち、ビス56hを貫通孔56fを介して楕円リフレクタ部材ERのネジ孔にねじ込んで締め付けることにより、ブラケット56と楕円リフレクタ部材ERとがアライメントして固定される。光源ランプ1は、この段階でまだブラケット56に固定されておらず、ホルダ61に着脱自在に固定されている。これにより、光源ランプ1を楕円リフレクタ部材ERに対して3次元的に移動させることができるとともに光源ランプ1の傾斜状態を調整できるようになっている。なお、ホルダ61は、光源ランプ1の位置調整が可能なだけでなく、楕円リフレクタ部材ERを着脱自在に固定しており、また、楕円リフレクタ部材ERの開口側に光量計測装置62を支持している。
【0029】
ランプ組立体U1の具体的な組立工程について説明すると、まず光源ランプ1の第2封止部14を楕円リフレクタ部材ERの開口ERa側からブラケット56の筒状部分56a内に挿入し、光源ランプ1の第2封止部14をホルダ61に固定する。この後、光源ランプ1を点灯するとともに光量計測装置62を動作させる。そして、ホルダ61を操作して光量計測装置62によって検出される光源ランプ1からの光束SLの光量が最大となるように光源ランプ1を移動させる。これにより、光源ランプ1が楕円リフレクタ部材ERに対してアライメントされ、本体部分11中の発光中心Oが楕円リフレクタ部材ERの第1焦点位置に精密に配置される。この状態で、光源ランプ1を消灯し、筒状部分56aと第2封止部14との間に無機接着剤Cを充填して固化する。これにより、光源ランプ1が筒状部分56aすなわちブラケット56に固定される。次に、ブラケット56を楕円リフレクタ部材ERから取り外してランプ組立体U1の組立を完成する。その後は、ランプ組立体U1を別に用意したリフレクタ組立体U2に固定する。具体的には、リフレクタ組立体U2にその後側からランプ組立体U1を挿入し、ブラケット56の貫通孔56fを介してビス56hをハウジング55のネジ孔55jにねじ込んで締め付ける。これにより、ブラケット56や光源ランプ1を含むランプ組立体U1と、ハウジング55やリフレクタ2を含むリフレクタ組立体U2とが固定され、光源装置10の組立が完了する。この際、予め楕円リフレクタ部材ERを利用して光源ランプ1がブラケット56にアライメントして固定されているので、光源ランプ1とリフレクタ2とが精密にアライメントされた状態で固定装置4に固定された状態となる。
【0030】
以上の光源装置10によれば、支持部材としてのブラケット56が光源ランプ1をリフレクタ組立体U2に対して着脱可能に支持するので、光源ランプ1を主たる要素とするランプ組立体U1をリフレクタ2やハウジング55から分離して単独で交換することができ、劣化前のリフレクタ2やハウジング55については、これを光源ランプ1の交換後も継続して使用できる。よって、リフレクタ2やハウジング55等の無駄な廃棄を抑えてその有効活用を図ることができる。また、本実施形態では、リフレクタ2を金属製の基板2aで形成しており、リフレクタ2を軽量で割れにくく安価なものとできる。さらに、リフレクタ2をハウジング55で支持する構造としているので、リフレクタ2によって光源ランプ1を直接支持する場合に比較して、プレス加工等を利用したリフレクタ2の作製が容易になる。
【0031】
図4は、図1の光源装置10を組み込んだプロジェクタの構造を説明するための概念図である。このプロジェクタ100は、図1等に示す光源装置10と、均一化光学系21と、均一化光学系21からの光源光を赤緑青の3色に分離する色分離光学系23と、色分離光学系23から射出された各色の照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25からの各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。
【0032】
以上のプロジェクタ100において、均一化光学系21は、凹レンズ21bと、一対のフライアイレンズ21d,21eと、偏光変換部材21gと、重畳レンズ21iとを備える。このうち、凹レンズ21bは、光源装置10からの光源光を平行化する役割を有する。一対のフライアイレンズ21d,21eは、マトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって凹レンズ21bを経た光源装置10からの光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材21gは、フライアイレンズ21eから射出した光源光を例えば図4の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ21iは、偏光変換部材21gを経た照明光を全体として適宜収束させることにより、光変調部25に設けた各色の光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両フライアイレンズ21d,21eと重畳レンズ21iとを経た照明光は、以下に詳述する色分離光学系23を経て、光変調部25に設けられた各色の液晶パネル25a,25b,25cを均一に重畳照明する。
【0033】
色分離光学系23は、第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bと、補正光学系である3つのフィールドレンズ23f,23g,23hと、反射ミラー23j,23m,23n,23oとを備え、光源装置10及び均一化光学系21とともに照明装置を構成する。ここで、第1ダイクロイックミラー23aは、赤緑青の3色のうち例えば赤光及び緑光を反射し青光を透過させる。また、第2ダイクロイックミラー23bは、入射した赤及び緑の2色のうち例えば緑光を反射し赤光を透過させる。この色分離光学系23において、光源装置10からの略白色の光源光は、反射ミラー23jで光路を折り曲げられて第1ダイクロイックミラー23aに入射する。第1ダイクロイックミラー23aを通過した青光は、例えばS偏光のまま、反射ミラー23mを経てフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイクロイックミラー23aで反射されて第2ダイクロイックミラー23bでさらに反射された緑光は、例えばS偏光のままフィールドレンズ23gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過した赤光は、例えばS偏光のまま、レンズLL1,LL2及び反射ミラー23n,23oを経て、入射角度を調節するためのフィールドレンズ23hに入射する。レンズLL1,LL2及びフィールドレンズ23hは、リレー光学系を構成している。このリレー光学系は、第1レンズLL1の像を、第2レンズLL2を介してほぼそのままフィールドレンズ23hに伝達する機能を備えている。
【0034】
光変調部25は、3つの液晶パネル25a,25b,25cと、各液晶パネル25a,25b,25cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ25e,25f,25gとを備える。ここで、第1光路OP1に配置された青光用の液晶パネル25aと、これを挟む一対の偏光フィルタ25e,25eとは、輝度変調後の像光のうち青光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調するための青色用の液晶ライトバルブを構成する。同様に、第2光路OP2に配置された緑光用の液晶パネル25bと、対応する偏光フィルタ25f,25fも、緑色用の液晶ライトバルブを構成し、第3光路OP3に配置された赤光用の液晶パネル25cと、偏光フィルタ25g,25gも、赤色用の液晶ライトバルブを構成する。
【0035】
青光用の第1液晶パネル25aには、色分離光学系23の第1ダイクロイックミラー23aを透過することによって分岐された青光が、フィールドレンズ23fを介して入射する。緑光用の第2液晶パネル25bには、色分離光学系23の第2ダイクロイックミラー23bで反射されることによって分岐された緑光が、フィールドレンズ23gを介して入射する。赤光用の第3液晶パネル25cは、第2ダイクロイックミラー23bを透過することによって分岐された赤光が、フィールドレンズ23hを介して入射する。各液晶パネル25a〜25cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の光変調装置であり、各液晶パネル25a〜25cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶パネル25a〜25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。その際、偏光フィルタ25e,25f,25gによって、各液晶パネル25a〜25cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶パネル25a〜25cから射出される変調光から所定の偏光方向の成分光が像光として取り出される。
【0036】
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜27a,27bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜27aは青色光を反射し、他方の第2誘電体多層膜27bは赤色光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム27は、液晶パネル25aからの青光を第1誘電体多層膜27aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶パネル25bからの緑光を第1及び第2誘電体多層膜27a,27bを介して直進・射出させ、液晶パネル25cからの赤光を第2誘電体多層膜27bで反射して進行方向左側に射出させる。
【0037】
投射レンズ29は、クロスダイクロイックプリズム27で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(不図示)上に投射する。つまり、各液晶パネル25a〜25cに入力された駆動信号或いは画像信号に対応する所望の倍率のカラー動画やカラー静止画がスクリーン上に投射される。
【0038】
以上のプロジェクタ100には、図1の光源装置10を組み込んでいるので、光源装置10においてランプ組立体U1のみを単独で交換することができ、プロジェクタ100の光源部分を高性能でありながら維持費を抑えたものとできる。
【0039】
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0040】
すなわち、上記実施形態の光源装置10に用いる光源ランプ1としては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等種々のものが考えられる。
【0041】
また、図1等に示す固定装置4を構成するハウジング55やブラケット56の形状や構造は、単なる例示であり、それぞれの機能を損なわない範囲で様々な形状とできる。例えば、ハウジング55の側壁55a等に放熱用のスリットや開口を設けることができる。さらに、ブラケット56は、ハウジング55に機械的に着脱可能に取り付けることができればよく、固定方法は、ビス56h等のネジ止めに限らない。
【0042】
また、リフレクタ2は、楕円反射面2rを有するものに限らず、放物面、球面等の反射面を有するものに置き換えることができる。
【0043】
また、光源ランプ1に固定した副鏡3は省略することができるが、副鏡3を設けることによって光の利用効率を高めることができる。
【0044】
また、上記実施形態のプロジェクタ100では、光源装置10からの光を複数の部分光束に分割するため、一対のフライアイレンズ21d,21eを用いていたが、この発明は、このようなフライアイレンズすなわちレンズアレイを用いないプロジェクタにも適用可能である。さらに、フライアイレンズ21d,21eをロッドインテグレータに置き換えることもできる。
【0045】
また、上記プロジェクタ100において、光源装置10からの光を特定方向の偏光とする偏光変換部材21gを用いていたが、この発明は、このような偏光変換部材21gを用いないプロジェクタにも適用可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、透過型のプロジェクタに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。
【0047】
また、プロジェクタとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面プロジェクタと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面プロジェクタとがあるが、図4に示すプロジェクタの構成は、いずれにも適用可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、3つの液晶パネル25a,25b,25cを用いたプロジェクタ100の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、或いは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
【0049】
また、上記実施形態では、色分離光学系23や液晶パネル25a,25b,25c等を用いて各色の光変調を行っているが、これらに代えて、例えば光源装置10及び均一化光学系21によって照明されるカラーホイールと、マイクロミラーの画素によって構成されカラーホイールの透過光が照射されるデバイスとを組み合わせたものを用いることによって、カラーの光変調及び合成を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態の光源装置について説明する断面図である。
【図2】(A)は、光源装置のうち光源ランプ側を説明する断面図であり、(B)は、光源装置のうちリフレクタ側を説明する断面図である。
【図3】ランプ組立体の組立時の最終調整等を説明する図である。
【図4】図1の光源装置を組み込んだプロジェクタを説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1…光源ランプ、 2…リフレクタ、 2a…基板、 2b…主反射部、 2c…縁部分、 2d…挿通口、 2f…反射コート、 2r…楕円反射面、 3…副鏡、 4…固定装置、 4r…ネジ孔、 10…光源装置、 11…本体部分、 13…第1封止部、 14…第2封止部、 15…第1電極、 16…第2電極、 21…均一化光学系、 21b…凹レンズ、 21d,21e…フライアイレンズ、 21g…偏光変換部材、 21i…重畳レンズ、 23…色分離光学系、 23a,23b…ダイクロイックミラー、 25…光変調部、 25a,25b,25c…液晶パネル、 25e,25f,25g…偏光フィルタ、 27…クロスダイクロイックプリズム、 29…投射レンズ、 51…貫通孔、 52…ネジ、 55…ハウジング、 55a…側壁、 55b…取付孔、 55c…底部壁、 55d…座部、 55e…縁部分、 55j…ネジ孔、 56…ブラケット、 56a…筒状部分、 56b…フランジ部分、 56f…貫通孔、 56h…ビス、 100…プロジェクタ、 AP…開口、 C…無機接着剤、 O…発光中心、 OA…システム光軸、 OP1,OP2,OP3…光路、 U1…ランプ組立体、 U2…リフレクタ組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光する光源ランプと、
金属製の基板で形成されるリフレクタと、
前記リフレクタを固定するハウジングと、
前記ハウジングと前記光源ランプとの間に介在して、前記光源ランプを着脱可能に支持する支持部材と、
を備える光源装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記光源ランプの本体部分から延びる軸部分を支持する第1部分と、前記支持部材自体を前記ハウジングに取り付けるための第2部分とを有する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記リフレクタは、底部に前記本体部分を通すための挿通口を有する凹面鏡であり、前記ハウジングは、固定された状態の前記リフレクタの挿通口に対向する位置に前記支持部材を取り付けるための取付孔を有する、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記取付孔に取り付けられた状態で前記光源ランプの本体部分を前記リフレクタの凹面側に支持する、請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記光源ランプを固定する際に前記光源ランプのアライメントを可能にする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光源ランプの本体部分を挟んで前記リフレクタに対向して配置され、前記本体部分からの光束を前記本体部分に戻すように反射する副反射鏡をさらに備える、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記リフレクタは、前記基板のプレス加工により凹面形状に形成された反射部を有し、前記反射部は、前記基板の凹面上に形成された反射コートを有する、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、開放された開口を介して前記リフレクタの前記反射部を収納する容器状の枠体であり、前記開口の周囲に前記リフレクタの環状の縁部分を支持する環状の座部を有する、請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光束によって照明される光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された像を投射する投射光学系と、
を備えるプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−199800(P2009−199800A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38382(P2008−38382)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】