説明

光源装置

【課題】光源装置において、ユーザの年齢に応じた波長構成とする。
【解決手段】本人認証部10はユーザーの生体情報やキー情報を取得する。年齢推定部12は、予めユーザの生体情報やキー情報とユーザの生年月日情報とを関連付けて記憶し、認証されたユーザの生年月日と現在の月日とからユーザの現在の年齢を推定する。光量割合制御部14は、ユーザの年齢に応じ、ユーザの年齢が高いほど青色光源20の光量割合を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源装置、特にユーザの年齢に応じた発光波長制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、受光能力が低下する高齢者に配慮して、光源を調整する技術が提案されている。例えば、下記に示す特許文献1には、高齢者では水晶体調整能力が低下し、焦点が網膜後方に合うため読書等近くを見る場合において屈折率の高い短波長光を用いた方がより網膜焦点を合わせやすいとの知見に基づき、青緑系の光を主成分として白色系の光源を構成することが提案されている。
【0003】
具体的には、照明装置にスイッチを設け、スイッチが押下された第1照明状態においては青緑系の光成分:赤系の光成分=約1:1となるようにLEDの輝度が制御され、スイッチが再度押下されて第2照明状態へと移行すると、青緑系の光成分:赤系の光成分=約1:1.2となるようにLEDの輝度が制御される。第1照明状態では青緑系の光成分が含まれているため高齢者でも焦点を合わせやすい一方、第2照明状態では赤み成分が多い白色となるため、より温かみのある白色が得られることになる。
【0004】
図5には、この特許文献に記載されたピーク波長とピント合わせとの関係が示されている。図において、ピーク波長が短い、すなわち青緑系の光ほど近くまでピントが合うことを示している。
【0005】
【特許文献1】特開2003−298113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術では、白色光に青緑成分を含有することで高齢者に配慮しているが、ある照明装置を使用するユーザが多様であり、その年齢構成も多様である場合には、一定の比率の波長構成では各ユーザに対応できない。また、照明装置を特定のユーザのみが使用する場合においても、ある一定の比率の波長構成では当該ユーザが年を重ねるに従ってその視力低下に適合しなくなる問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、ユーザの年齢に応じた最適の光を照射でき、これによりユーザの視認性を向上できる光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、青色光源を含む光源と、前記青色光源の光量割合を可変制御する制御手段であって、ユーザの年齢が高いほど前記青色光源の光量割合を増大制御する制御手段とを有する。
【0009】
ユーザの年齢が高いほど青色光源の光量割合を増大させることで、あらゆる年齢層のユーザに対応した最適な波長の光を提供できる。
【0010】
本発明において、前記ユーザの生体情報を取得する取得手段と、前記ユーザの生体情報と前記ユーザの誕生日情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記取得手段で取得された生体情報に基づいて前記記憶手段を検索し、現在の暦情報から前記ユーザの現在の年齢を推定する推定手段とを有し、前記制御手段は前記推定手段で推定された前記ユーザの現在の年齢に応じて前記青色光源の光量割合を制御することが好適である。これにより、ユーザの年齢を自動的に取得し、ユーザの年齢に適応した光を提供できる。
【0011】
また、本発明において、前記光源装置を起動するためのキー情報を取得する取得手段と、前記キー情報と前記ユーザの誕生日情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記取得手段で取得されたキー情報に基づいて前記記憶手段を検索し、現在の暦情報から前記ユーザの現在の年齢を推定する推定手段とを有し、前記制御手段は前記推定手段で推定された前記ユーザの現在の年齢に応じて前記青色光源の光量割合を制御することも好適である。これによっても、ユーザの年齢を自動取得し、ユーザの年齢に応じた光を提供できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの年齢に応じた光を提供でき、ユーザの視認性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1には、本実施形態に係る光源装置の概念図が示されている。光源装置は、本人認証部10、年齢推定部12、光量割合制御部14および発光部16を有して構成される。
【0015】
本人認証部10は、光源装置を使用する本人、すなわちユーザを認証するもので、ユーザの指紋や虹彩などの生体情報(バイオメトリクス)が用いられる他、ユーザが光源装置を起動するために用いるキー情報等が用いられる。キー情報の典型例は、光源装置が車両に搭載される場合のイグニッションキーである。イグニッションキーが操作されることで車両の各部に電力が供給される。イグニッションキー内のICメモリにユーザIDを予め記憶させ、イグニッションキー操作時に当該ユーザIDを取得することでユーザデータが獲得される。ユーザの生体情報を用いる場合、例えばユーザがステアリングを把持することを考慮してステアリングの所定部位に指紋センサを設けてユーザの指紋を獲得する。また、車両のルームミラー内部に設けられたカメラによりユーザの眼部を撮影し、ユーザの虹彩情報を獲得する。ユーザの生体情報やキー情報は年齢推定部12に供給される。
【0016】
年齢推定部12は、予め生体情報やキー情報と、ユーザの誕生日とを関連付けて記憶するデータベースを備える。年齢推定部12は、本人認証部10で獲得された生体情報やキー情報に基づき、データベースを検索して当該ユーザの現在の年齢を推定する。すなわち、ユーザの生態情報やキー情報に基づき当該ユーザの誕生日が特定され、現時点での暦情報(カレンダ情報)からユーザの現時点での年齢が算出される。推定されたユーザの年齢は光量割合制御部14に供給される。
【0017】
光量割合制御部14は、年齢推定部12で推定されたユーザの年齢に応じて発光部16における光量割合を可変制御する。より特定的には、ユーザの年齢が高いほど波長の短い、すなわち青色の光量が増大するように制御する。発光部16が図示のごとく白色光源18と青色光源20とを含む場合、光量割合制御部14は、ユーザの年齢が高いほど青色光源20の光量割合を増大させる。光量割合制御部14の制御態様はいくつか存在する。列挙すると以下の通りである。
(1)白色光源18の光量を一定とし、青色光源20の光量のみを増大させる。
(2)白色光源18の光量及び青色光源20の光量をともに増大させる。
(3)白色光源18の光量を減少させ、青色光源20の光量を増大させる。
【0018】
いずれを用いるかは任意であり、ユーザが適宜、手動で切替可能に構成してもよい。本実施形態では、ユーザの年齢が高いほど白色光源18の光量を一定にしつつ青色光源20のみを増大させる場合について説明する。
【0019】
発光部16は、上記のように白色光源18と青色光源20を備える。白色光源18、青色光源20の典型例は白色LED及び青色LEDである。青色LEDは、例えば窒化ガリウム(GaN)系LEDで構成することができる。白色LEDは、赤色LED、緑色LED、青色LEDの集合として構成されるほか、LED光源と当該LED光源の波長に対し補色関係にある光を発光する被覆蛍光体の組み合わせにより構成される。白色光源18及び青色光源20としては、LED光源とフィルタとの組み合わせで構成してもよい。すなわち、白色光源18はLED光源と白色フィルタで構成し、青色光源20はLED光源と青色フィルタで構成する。青色光源20を構成する青色フィルタの青色透過率を調整することで青色の光量を加減制御できる。LED光源と青色フィルタとの間に液晶などを介在させ、駆動電圧により液晶の配向を変化させて透過光量を制御してもよい。
【0020】
図2には、本実施形態の光源装置を車両に適用した場合の構成例が示されている。車両のステアリングに設けられた指紋センサや、車両のルームミラーに設けられたカメラからなる虹彩センサ等のセンサ21からの検出信号はマイクロコンピュータで構成される電子制御装置ECU24に供給される。また、イグニッションスイッチ22からのイグニッションキー情報もECU24に供給される。キーレスエントリーの場合、イグニッションスイッチ22の代わりにイグニッションキーから無線送信されるデータを受信する受信部からキー情報が供給される。
【0021】
フラッシュROM等の書換可能なメモリ26には、ユーザの生体情報やキー情報と当該ユーザの誕生日情報とが関連付けて記憶される。例えば、あるユーザAに対し、ユーザAの虹彩情報Iaとユーザの生年月日である1961年12月31日とが関連付けて記憶される。もちろん、複数の生体情報及びキー情報とユーザの生年月日とを関連付けて記憶してもよい。例えば、ユーザAの虹彩情報Iaと指紋情報Sa、キー情報IDaと生年月日とを関連付けて記憶する。メモリ26には複数のユーザに対してその生体情報やキー情報と生年月日とを関連付けて記憶してもよい。光源装置を複数のユーザが利用し得る場合、予め利用し得るユーザの生体情報やキー情報及び誕生日情報をメモリ26に登録することが好ましい。
【0022】
ECU24は、センサ21からの生体情報あるいはイグニッションスイッチ22からのキー情報を入力すると、メモリ26にアクセスしてこれらの生体情報やキー情報に該当するユーザの誕生日を検索し、さらにECU24に内蔵されたカレンダー情報に基づいて当該ユーザの現在の年齢を推定する。例えば、検索して得られたユーザの誕生日が1961年12月31日である場合、現在の月日が2004年5月18日であれば当該ユーザの現在の年齢は42歳であると推定できる。ECU24は、ユーザの現在の年齢を推定した後、当該推定年齢に応じて発光部16における青色光源20の光量割合を制御する。
【0023】
図3には、光量割合制御部14あるいはECU24による光量割合制御の一例が示されている。白色光源18は年齢によらず常にONされ、その光量は一定である。一方、青色光源20はユーザの年齢が40歳未満の場合には一律にOFFとされ、ユーザの年齢が40歳以上であればONされてその光量が増大される。40歳を境に青色光源20をON/OFF制御するのは、多くの場合、40歳を超えた時に水晶体調整能力の低下を自覚し、通常の白色光では近くが見えにくいことを自覚するという経験則に基づくものである。本実施形態の光源装置を車両に搭載される読書灯やインストルメントパネルに組み込んだ場合、ユーザが40歳以上であれば白色光に青色光が所定量だけ含有されることとなり、これによりユーザは手元の書籍や速度計、燃料計、ナビゲーション画面等を容易に視認することができる。
【0024】
図4には、本実施形態における光量割合制御部14あるいはECU24での光量割合制御の他の例が示されている。40歳を境に青色光源20をON/OFFするのは図3の場合と同じであるが、さらにユーザの年齢が増大するほど青色光源20の光量を漸次増大させている。具体的には、ユーザの年齢が50歳の場合には40歳の場合に比べて青色LEDの駆動電流を増大させる、あるいはLED光源と青色フィルタとの間に介在させた液晶の透過率を増大させる。これにより、ユーザの年齢に応じたきめ細かな波長制御が可能となり、ユーザの年齢に応じた最適の光量割合を実現できる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
【0026】
特に、本実施形態においてはユーザの生体情報やキー情報を用いてユーザの年齢を推定しているが、他の方法によりユーザの年齢を推定してもよい。例えば、車両に搭載されたナビゲーションシステムにおいて目的地を設定する場合、一般に年齢に応じて設定される目的地の種別は異なると考えられることから、設定された目的地に応じてユーザの年齢を推定し、青色光源20の光量を可変制御してもよい。ナビゲーション装置にユーザの個人情報等を入力する場合、当該個人情報を用いてユーザの年齢を推定してもよい。
【0027】
さらに、青色光源20の光量を増減調整できる手動スイッチを設け、ユーザ手動で光量を調整した場合、その情報をメモリ26に格納して学習し、ユーザ毎に青色光源20の光量を最適化してもよい。この場合、ユーザの年齢に応じて青色光源20の光量を粗調整し、学習値によりその光量をさらに微調整することになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態の概念構成図である。
【図2】実施形態の構成ブロック図である。
【図3】青色光量の制御説明図である。
【図4】青色光量の制御説明図である。
【図5】ピーク波長と調整力差のサンプル和を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0029】
10 本人認証部、12 年齢推定部、14 光量割合制御部、16 発光部、18 白色光源、20 青色光源、21 センサ、22 イグニッションスイッチ、24 ECU、26 メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色光源を含む光源と、
前記青色光源の光量割合を可変制御する制御手段であって、ユーザの年齢が高いほど前記青色光源の光量割合を増大制御する制御手段と、
を有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、さらに、
前記ユーザの生体情報を取得する取得手段と、
前記ユーザの生体情報と前記ユーザの誕生日情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記取得手段で取得された生体情報に基づいて前記記憶手段を検索し、現在の暦情報から前記ユーザの現在の年齢を推定する推定手段と、
を有し、前記制御手段は、前記推定手段で推定された前記ユーザの現在の年齢に応じて前記青色光源の光量割合を制御することを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、さらに、
前記光源装置を起動するためのキー情報を取得する取得手段と、
前記キー情報と前記ユーザの誕生日情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記取得手段で取得されたキー情報に基づいて前記記憶手段を検索し、現在の暦情報から前記ユーザの現在の年齢を推定する推定手段と、
を有し、前記制御手段は、前記推定手段で推定された前記ユーザの現在の年齢に応じて前記青色光源の光量割合を制御することを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記制御手段は、前記ユーザの年齢が40歳未満である場合には前記青色光源の光量をゼロとし、前記ユーザの年齢が40歳以上である場合には前記青色光源の光量を増大させることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
前記青色光源は、青色LEDであり、
前記制御手段は、青色LEDの駆動電流を変化させることで光量割合を変化させることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記青色光源は、青色フィルタを含み、
前記制御手段は、前記青色フィルタの透過率を変化させることで光量割合を変化させることを特徴とする光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−21568(P2006−21568A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199469(P2004−199469)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】