説明

光源装置

【課題】EL素子を構成する第1の基板と、第1の基板との線膨張係数が異なる第2の基板とを有する光源装置において、第1の基板又は第2の基板の収縮に起因したEL素子の湾曲を抑制することで、EL素子の両端部だけが第2の基板に固定されている光源装置に比べてEL素子から発光する光の照度分布が不均一になるのを抑制する。
【解決手段】光源装置1は、短手方向の長さと長手方向の長さとのアスペクト比が1:3以上であるガラス基板10上に透明電極11、有機EL層12及び第2電極13が順次形成された有機EL素子6と、ガラス基板10と線膨張係数が異なるプリント基板2とを備えている。そして、有機EL素子6は、その両端部に設けられた電極端子11a,13aが配線パターン3と電気的に接続された状態でプリント基板2に対し固定されている。有機EL素子6は、その中間部が有機EL素子6とプリント基板2との間に介在する両面テープ16によってプリント基板2に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長いEL素子を発光源として用いた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源装置は、例えば小型化が要求されているスキャナのような機器に搭載されることがあるため薄型化が望まれている。そこで、例えば、LEDを光源として用い、LEDを半田付けによって基板上に表面実装して直線状に多数配置するとともに電気的に接続することで、発光領域を直線状に形成したものがある。
【0003】
また、従来、LEDを光源として用いた光源装置からさらに薄型化を図るためにEL素子を光源に用いた光源装置として、ライン状に形成された薄膜発光素子からなるライン光源が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、液晶ディスプレイのバックライトとして用いる電子機器として、EL素子からなるEL発光部品を用いた電子機器が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載の電子機器ではEL発光部品が両面テープによってプリント基板に接合されており、この両面テープには基材として、柔らかくかつ弾性を有するものであり一種の防振材料として作用する発泡スポンジが用いられている。
【0005】
また、図5に示すように、ガラス基板上に透明電極、エレクトロルミネッセンス(以下、ELと記載する)層、対向電極を形成することで構成された細長のEL素子20を基板21に実装した光源装置22が考えられる。そして、EL素子20の両端部には、EL素子20の透明電極及び対向電極から延びる端子部が設けられている。それらの端子部は電極端子23によって基板21の配線部24と電気的に接続され、かつEL素子20の両端部は固定されている。
【特許文献1】特開2000−173771号公報
【特許文献2】特開平10−215085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、光源装置22では、基板21の線膨張係数とEL素子20を構成するガラス基板との線膨張係数が異なっている。例えば、基板21の線膨張係数がEL素子20を構成するガラス基板の線膨張係数よりも大きい場合、組み付け時の雰囲気温度に比べて所定温度以上(例えば、15℃以上)下がると、基板21はEL素子20を構成するガラス基板に比べて大幅に収縮する。そして、EL素子20は細長状に形成されているため、基板21が大幅に収縮して基板21の収縮量とEL素子20を構成するガラス基板の収縮量との差が大きくなると、EL素子20は、図5の2点鎖線で示すように、その全体が湾曲する。したがって、光源装置22においては、支障が生じる程EL素子20の照度分布が不均一になるという問題が発生する。また、基板21の線膨張係数がEL素子20を構成するガラス基板の線膨張係数よりも小さい場合、組み付け時の雰囲気温度に比べて所定温度以上(例えば、15℃以上)上がると、EL素子20を構成するガラス基板は基板21に比べて大幅に膨張する。そして、EL素子20は細長状で、かつ両端部が固定されることで同一平面上では膨張し難いため、EL素子20を構成するガラス基板が大幅に膨張してEL素子20を構成するガラス基板の膨張量と基板21の膨張量との差が大きくなると、EL素子20は、その全体が湾曲する。したがって、光源装置22においては、支障が生じる程EL素子20の照度分布が不均一になるという問題が発生する。
【0007】
また、特許文献1では、陽極、薄膜層(有機EL層)及び陰極からなる薄膜発光素子(EL素子)が基板上に成膜されることで構成されたライン光源について記載するのみである。特許文献1に記載されたライン光源では、ライン光源を実装基板上に実装する点について記載されておらず、実装基板がEL素子に比べて大幅に収縮することでEL素子が撓むという問題についての配慮はなく、何の対策も施していない。
【0008】
特許文献2に記載の電子機器では、EL発光部品の形状が細長形状であるか否かについてとくに記載していない。そして、この電子機器は携帯型電話機に装備される液晶ディスプレイのバックライトとして用いられており、両面テープはEL発光部品が振動することを抑制するために用いられたものである。特許文献2に記載の両面テープはEL発光部品が湾曲することを考慮して設けられたものでなく、特許文献2では両面テープを細長形状の有機EL素子に適用することは開示していない。
【0009】
この発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、EL素子を構成する第1の基板と、第1の基板との線膨張係数が異なる第2の基板とを有する光源装置において、第1基板の膨張又は、第2の基板の収縮に起因したEL素子の湾曲を抑制することで、EL素子の両端部だけが第2の基板に固定されている光源装置に比べてEL素子から発光する光の照度分布が不均一になるのを抑制することができる光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、短手方向の長さと長手方向の長さとのアスペクト比が1:3以上である第1の基板上に第1電極、発光層及び第2電極が形成されたEL素子と、前記第1の基板と線膨張係数が異なる第2の基板とを備え、前記EL素子は、その両端部に設けられた電極端子が前記第2の基板側の電極と電気的に接続された状態で前記第2の基板に対し固定されており、かつ、前記EL素子の中間部が固定部材により前記基板に固定されていることを要旨とする。
【0011】
なお、ガラス基板のアスペクト比の上限値については光源装置の用途によって変わる。例えば、光源装置がA4サイズの縦の長さで、帯状の領域を照射するために用いられる場合、アスペクト比の上限値を約1:30としてもよいし、A3サイズの縦の長さで、帯状の領域を照射するために用いられる場合、アスペクト比の上限値を約1:40としてもよい。
【0012】
第1の基板と第2の基板との線膨張係数が異なっているため、組み付け時の雰囲気温度に比べて所定温度以上(例えば、15℃以上)変化すると、第1の基板の膨張又は第2の基板の収縮により、EL素子が湾曲する。
【0013】
しかし、この発明では、EL素子は固定部材によって両端部だけでなく中間部においても固定されているため、EL素子が第2基板の両端のみで固定されている場合と比較して、EL素子の湾曲量が小さくなり、EL素子から発光する光の照度分布が不均一になることを抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記固定部材は、前記第2の基板と前記EL素子との間に介在する両面テープであることを要旨とする。
この発明では、固定部材として両面テープを用いており、両面テープを介して基板にEL素子を取り付けた後再び基板からEL素子を取り外すことができるため、基板に対するEL素子の取り付け位置の修正が可能になる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記固定部材は前記EL素子の長手方向に複数配設されていることを要旨とする。
この発明では、例えば、一つの固定部材でEL素子の一部位を固定する場合に比べて、EL素子の湾曲量をより小さくすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記EL素子は、有機EL素子であることを要旨とする。
この発明では、無機EL素子を使用する場合に比較して直流低電圧で発光可能であるため、消費電力を低減することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、スキャナに搭載される照明装置として用いられることを要旨とする。
この発明では、例えば、雰囲気温度が組み付け時の雰囲気温度より低くなっても、EL素子から発光する光の照度分布が不均一になるのを抑制することができ、スキャナの読み取りに支障を来さない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、EL素子を構成する第1の基板と、第1の基板との線膨張係数が異なる第2の基板とを有する光源装置において、第1基板の膨張又は、第2の基板の収縮に起因したEL素子の湾曲を抑制することで、EL素子の両端部だけが第2の基板に固定されている光源装置に比べてEL素子から発光する光の照度分布が不均一になるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をスキャナの照明装置として用いられる光源装置に具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1(a)に示すように、光源装置1は、平面視長方形状に形成された第2の基板としてのプリント基板2を備えている。プリント基板2には短手方向(図1(a)で示す矢印Y1の方向)の中央部に平面視長方形状の開口部4が有機EL素子6の長手方向(図1(a)で示す矢印Y2の方向)に沿って真っ直ぐに延びるように設けられるとともに、各端部寄りに図示しない電力供給装置と電気的に接続される基板側の電極としての配線パターン3が設けられている。そして、プリント基板2上には二つの細長形状の光源としての有機EL素子6が接続部材7を介して開口部4を間に挟むようにして実装されている。なお、接続部材7は配線部を有するフレキシブルプリント基板から構成されている。
【0020】
有機EL素子6は平面視長方形状に形成されるとともに、その短辺及び長辺はそれぞれプリント基板2の短辺及び長辺より短く形成されている。有機EL素子6は短手方向の長さH1と長手方向の長さH2の比が1:3以上となるように形成されている。また、有機EL素子6の発光面は、平面視長方形状で、短手方向の長さと長手方向の長さとの比が1:3以上となるように形成されている。図1(b)に示すように、有機EL素子6は、その厚み(プリント基板2と対向する面とプリント基板2とは反対側の面との間の距離)がプリント基板2の厚みより薄く、その剛性はプリント基板2の剛性より小さくなっている。
【0021】
図2(a)及び(b)に示すように、有機EL素子6は、第1の基板としてのガラス基板10上に第1電極としての透明電極11、発光層としての有機EL層12、第2電極としての対向電極13が順に積層されることで構成され、ガラス基板10は、プリント基板2より線膨張係数が小さくなっている。即ち、プリント基板2は、ガラス基板10と線膨張係数が異なっている。また、ガラス基板10は、少なくとも短手方向の長さと長手方向の長さのアスペクト比が1:3以上となるように形成されている。有機EL素子6は水分(水蒸気)及び酸素の悪影響を受けないように例えば窒化ケイ素から形成された保護膜14で被覆されている。なお、有機EL素子6がプリント基板2に実装された状態では、保護膜14がプリント基板2と対向するように配置されるとともに、有機EL素子6は有機EL層12からの光がガラス基板10側から取り出される(出射される)所謂ボトムエミッションタイプに構成されている。
【0022】
この実施形態では、透明電極11は陽極を構成し、対向電極13が陰極を構成する。透明電極11は、対向電極13より体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成されている。ここで、「透明」とは、少なくとも可視光を透過可能なことを意味する。透明電極11は、公知の有機EL素子で透明電極として用いられるITO(インジウム錫酸化物)により形成されている。図2(a)に示すように、透明電極11は、有機EL素子6の端部において対向電極13と重ならないように離間した状態で延出するとともに、重ならない状態で延出している部分が電極端子部11aとして構成されている。対向電極13は、金属(例えば、アルミニウム)で形成され、光を反射する機能を有する。図2(b)に示すように、対向電極13は有機EL素子6の端部に設けられた電極端子部13aと接続する位置にまで延出している。なお、電極端子部13aはITO(インジウム錫酸化物)から構成されている。
【0023】
図2(a)及び(b)に示すように、電極端子部11a,13aはどちらも有機EL素子6の両端部に存在し、電極端子部11a,13aと対応する位置にはそれぞれ有機EL素子6の両端部をプリント基板2に対して固定する接続部材7が設けられている。電極端子部11a,13aは、それぞれ異方性導電フィルム(以下、ACFと記載する)15を介して接続部材7のEL素子側端部7bと熱圧着されるとともに、接続部材7を介してプリント基板2上に形成された基板側の電極としての配線パターン3と電気的に接続されている。したがって、有機EL素子6には、その両側から接続部材7を介して電流が供給される。なお、接続部材7の基板側端部7aは、ACF15を介して配線パターン3と熱圧着されている。
【0024】
図1(b)に示すように、プリント基板2と有機EL素子6との間には有機EL素子6の長手方向に沿って等間隔に複数の両面テープ16が設けられている。複数の固定部材としての両面テープ16のうち一つは有機EL素子6の長手方向における中央位置に配置されている。複数の両面テープ16は有機EL素子6の長手方向における幅が全て同じ幅となるように形成されるとともに、有機EL素子6の短手方向における幅が有機EL素子6の短辺より短くなるように形成されている。両面テープ16は、その厚みが有機EL素子6の厚みより薄く形成されており、プリント基板2と有機EL素子6とを固定している。そして、両面テープ16は、有機EL素子6とプリント基板2との間に介在することで、有機EL素子6の中間部をプリント基板2に固定している。なお、図1及び図2は、プリント基板2及び有機EL素子6の構成を模式的に示したものであり、図示の都合上、それぞれの部分の幅、長さ、厚さ等の寸法の比は実際のものとは異なっている。
【0025】
有機EL素子6をプリント基板2に実装する際には、まず、プリント基板2上に複数の両面テープ16の一面を等間隔で貼り付ける。その後、圧着ヘッドを用いて接続部材7のEL素子側端部7bと電極端子部11a,13aとをACF15を介して熱圧着させる。そして、有機EL素子6を治具で位置決めした状態で、プリント基板2の配線パターン3上に配置されたACF15上に接続部材7の基板側端部7aを配置する。そのうえで、圧着ヘッドを用いて接続部材7の基板側端部7aと配線パターン3とを熱圧着させることで、有機EL素子6をプリント基板2に固定することができる。
【0026】
次に、前記のように構成された光源装置1の作用を説明する。
図3に示すように、光源装置1は、開口部4がセンサ5の真上に位置するようにスキャナ19内に搭載される。そして、スキャナ19が図示しない原稿を読み取る時には、配線パターン3に電力が供給され、接続部材7及び電極端子部11a,13aを介して透明電極11及び対向電極13に電圧が印加されて有機EL層12が発光する。有機EL層12から発光した光は図示しない原稿の一部を照射し、図示しない原稿の一部で反射された光は開口部4を通過してセンサ5で受光され、受光した光の強弱によって図示しない原稿の情報が読み取られる。
【0027】
そして、このようなスキャナ19が、例えば周囲温度の低い場所に設置されることで光源装置1の雰囲気温度が低くなると、プリント基板2及び有機EL素子6のガラス基板10は収縮する。この時、光源装置1の雰囲気温度が組み付け時の雰囲気温度に比べて所定温度以上(例えば、15℃以上)低いと、有機EL素子6のガラス基板10の収縮量とプリント基板2の収縮量との差が大きくなり、図1(b)の二点鎖線で示すように有機EL素子6の各固定部位(両面テープ16又は接続部材7によって固定されている部位)間が湾曲する。しかし、有機EL素子6の各固定部位間の距離は有機EL素子6の両端部間の距離より短いため、有機EL素子6の各固定部位間の湾曲量はEL素子全体が湾曲した場合の湾曲量に比べて小さくなる。したがって、光源装置1の雰囲気温度が下がっても、有機EL素子6の両端部だけが固定されている光源装置に比べて有機EL素子6から発光する光の照度分布が変化することを抑制できる。そして、センサ5は光源装置1の雰囲気温度が下がって有機EL素子6が撓んでも原稿の一部で反射された光の強弱を支障なく検知することができる。なお、「湾曲量」とは、プリント基板2と有機EL素子6の湾曲部の頂点との間の距離の程度を意味する。
【0028】
本実施形態では、次の効果を得ることができる。
(1)光源装置1は、短手方向の長さH1と長手方向の長さH2のアスペクト比が1:3以上であるガラス基板10上に透明電極11、有機EL層12及び対向電極13が形成された有機EL素子6と、有機EL素子6が実装されかつ、ガラス基板10は、プリント基板2より線膨張係数が小さいプリント基板2とを備えている。そして、有機EL素子6は、その両端部に設けられた電極端子部11a,13aが配線パターン3と電気的に接続されている。有機EL素子6の中間部は、固定部材としての両面テープ16によってプリント基板2に固定されている。したがって、プリント基板2が長手方向に収縮した場合であっても、有機EL素子6の湾曲量は小さく、有機EL素子6の両端部だけがプリント基板2に固定されている光源装置に比べて有機EL素子6から発光する光の照度分布が不均一になるのを抑制することができる。
【0029】
(2)有機EL素子6の中間部は、プリント基板2と有機EL素子6との間に介在する両面テープ16を用いて固定されている。したがって、両面テープ16を介してプリント基板2に有機EL素子6を取り付けた後再びプリント基板2から有機EL素子6を取り外すことができるため、プリント基板2に対する有機EL素子6の取り付け位置の修正が可能になる。
【0030】
(3)両面テープ16は有機EL素子6の長手方向に複数配設されている。したがって、一つの両面テープ16で有機EL素子6の一部位を固定する場合に比べて、有機EL素子6の湾曲量を小さくすることができる。
【0031】
(4)光源装置1は有機EL素子6を光源として用いている。したがって、無機EL素子を光源とする場合に比較して直流低電圧で発光可能であるため、消費電力を低減することができる。
【0032】
(5)光源装置1は、スキャナ19の照明装置として用いられている。したがって、周囲温度の低い場所にスキャナ19が設置され使用された場合であっても、センサ5が光の強弱を検知する際に支障を来さない。
【0033】
(6)接続部材7は、異方性導電フィルム(ACF)15によってプリント基板2と電極端子部11a,13aとを熱圧着することで有機EL素子6の両端部をプリント基板2に固定している。そして、接続部材7は配線部を有するフレキシブルプリント基板から構成されている。したがって、有機EL素子6が湾曲した際に、接続部材7は撓むことで接続部材7と有機EL素子6との接合部及び接続部材7とプリント基板2との接合部に応力が生じることを緩和することができる。そのため、有機EL素子6とプリント基板2とがACF15を介して直接接合されている場合に比べて、光源装置1の耐久性が向上する。
【0034】
(7)有機EL素子6を構成する両電極11,13のうち、有機EL層12に対してガラス基板10と反対側に光反射性を有する対向電極13が配置されている。したがって、対向電極13が光反射性を有さない場合に比較して、光出射面から出射される光量を多くすることができる。
【0035】
(8)細長形状の有機EL素子6には、その両側から接続部材7を介して電流が供給される。したがって、有機EL素子6の片側から電流が供給される場合に比べて、有機EL素子6の輝度むらを小さくすることができる。
【0036】
実施の形態は、前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 設ける両面テープ16の個数についてはとくに限定されない。両面テープ16を有機EL素子6の中央部に一つのみ配設し、有機EL素子6の中央部をプリント基板2に固定してもよい。また、有機EL素子6の中間部全体に両面テープ16を配設し、有機EL素子6の中間部をプリント基板2に固定してもよい。
【0037】
○ 固定部材を構成する部材を変更してもよい。例えば、無溶剤系一液湿気硬化型弾性接着剤などの常温で水分によって硬化が起こる接着剤や、二液硬化型接着剤や、温度変化を伴う熱硬化型やUV硬化型の接着剤でもよい。また、熱可塑性樹脂又は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂であってもよい。また、例えば、図4(a)に示すように、固定部材としてクリップ17を用いてプリント基板2と有機EL素子6とを一括して挟むことで、有機EL素子6をプリント基板2に固定してもよい。なお、この場合、クリップ17によって有機EL素子6の出射光が遮光されるが、遮光されるのは一部だけであるため、光源装置1をスキャナの照明装置として用いる場合には問題ない。ただし、固定部材としては両面テープや接着材を用いた方が好ましい。また、固定部材として針金部材18を用いてもよい。この場合、図4(b)に示すように、プリント基板2上に有機EL素子6を配置した状態で、プリント基板2及び有機EL素子6に対して針金部材18を巻き付けることで、有機EL素子6をプリント基板2に対して縛り付けて有機EL素子6を固定してもよい。この場合も、針金部材18によって有機EL素子6の出射光が遮光されるが、スキャナの照明装置として用いる場合には問題ない。ただし、固定部材としては両面テープや接着材を用いた方が好ましい。
【0038】
○ 一つのプリント基板2に実装する有機EL素子6の数は一つでもよいし、三つ以上の複数でもよい。なお、プリント基板2に実装する有機EL素子6の数が一つの場合は、プリント基板2に開口部4を設けなくともよい。
【0039】
○ プリント基板として有機EL素子6の第1の基板と線膨張係数が異なる基板であれば金属基板やセラミック基板を用いてもよい。
○ 第1の基板は、第2の基板より線膨張係数が大きい材質のものを用いてもよい。第1の基板が第2の基板より線膨張係数が大きい場合、組み付け時の雰囲気温度に比べて所定温度以上(例えば、15℃以上)上がると、有機EL素子6を構成する第1の基板は、第2の基板比べて大幅に膨張する。しかし、有機EL素子6の中間部は、両面テープ16によって固定されている。したがって、第1の基板が長手方向に膨張した場合であっても、有機EL素子6の湾曲量は小さく、有機EL素子6の両端部だけが第2の基板に固定されている光源装置に比べて有機EL素子6から発光する光の照度分布が不均一になるのを抑制することができる。
【0040】
○ 接続部材7と配線パターン3との電気的接続をACF15によって行う代わりに、配線パターン3と接続するようにコネクタをプリント基板2に実装し、フレキシブルプリント基板からなる接続部材7をコネクタに接続してもよい。この場合、接続部材7とコネクタとによって電極端子部11a,13aと配線パターン3とは電気的に接続される。
【0041】
○ 接続部材7を省略してもよい。この場合、例えば、ACF15だけで有機EL素子6の電極端子部11a,13aと基板側の電極である配線パターン3とを電気的に接続してもよい。また、ACF15の代わりに半田を用い、有機EL素子6の電極端子部11a,13aと配線パターン3とを半田を介して電気的に接続してもよい。
【0042】
○ 有機EL素子6に、有機EL素子6の長手方向に沿って延びる補助電極を設けてもよい。この場合、透明電極11、有機EL層12、対向電極13の全体へ電流を流すことができ有機EL素子6の輝度むらを小さくすることができる。
【0043】
○ ガラス基板10の形状は、少なくとも短手方向の長さと長手方向の長さとのアスペクト比が1:3以上であればガラス基板10の形状を変更してもよい。例えば、ガラス基板10の形状を光源装置1の用途に応じて好ましい形状に適宜変更すればよく、A4サイズの縦の長さで、帯状の領域を照射するために光源装置1を用いる場合、アスペクト比の上限値は約1:30となる。したがって、ガラス基板10の形状を、長手方向の長さを300mmで短手方向の長さを10mmに変更してアスペクト比が1:30になる形状に変更してもよいし、長手方向の長さを300mmで短手方向の長さを20mmに変更してアスペクト比が1:15になる形状に変更してもよい。また、例えば、A3サイズの縦の長さで、帯状の領域を照射するために光源装置1を用いる場合、アスペクト比の上限値は約1:40となる。したがって、ガラス基板10の形状を長手方向の長さを400mmで、短手方向の長さを10mmに変更して、アスペクト比が1:40となる形状に変更してもよい。
【0044】
〇 有機EL層12の発光の取り出し方向を基板側とするボトムエミッションタイプに限らず、基板と反対側から光を取り出すトップエミッションタイプとしてもよい。その場合、有機EL層12を挟んで基板と反対側に配置される第2電極を透明とする必要がある。しかし、基板は透明である必要がないため、ガラス基板10に限らずプリント基板2と線膨張係数が異なり、かつ第1電極、有機EL層12及び第2電極を支持することができるものであれば、どのようなものでもよく、例えば、金属基板や不透明なセラミック基板とすることもできる。
【0045】
○ 有機EL素子6によって光源を構成する代わりに、無機EL素子によって光源を構成してもよい。
○ 光源装置1の用途を変更してもよい。例えば、スキャナの照明装置として用いる代わりに、液晶表示装置のバックライトとして光源装置1を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は本実施形態における光源装置の模式平面図、(b)は光源装置の模式側断面図。
【図2】(a)は図1(a)のA−A線部分拡大断面図、(b)は図1(b)のB―B線部分拡大断面図。
【図3】スキャナに搭載された光源装置を示す模式断面図。
【図4】(a),(b)は別の実施形態における光源装置の模式断面図。
【図5】光源装置の模式側断面図。
【符号の説明】
【0047】
H1…短手方向の長さ、H2…長手方向の長さ、1…光源装置、2…第2の基板としてのプリント基板、3…第2の基板側の電極としての配線パターン、6…EL素子としての有機EL素子、10…第1の基板としてのガラス基板、11…透明電極、11a…電極端子としての電極端子部、12…EL層としての有機EL層、13…対向電極、13a…電極端子としての電極端子部、16…固定部材としての両面テープ、17…固定部材としてのクリップ、18…固定部材としての針金部材、19…スキャナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短手方向の長さと長手方向の長さとのアスペクト比が1:3以上である第1の基板上に第1電極、発光層及び第2電極が形成されたEL素子と、
前記第1の基板と線膨張係数が異なる第2の基板とを備え、
前記EL素子は、その両端部に設けられた電極端子が前記第2の基板側の電極と電気的に接続された状態で前記第2の基板に対し固定されており、
かつ、前記EL素子の中間部が固定部材により前記基板に固定されている光源装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記第2の基板と前記EL素子との間に介在する両面テープである請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記固定部材は前記EL素子の長手方向に複数配設されている請求項1又は請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記EL素子は、有機EL素子である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
スキャナに搭載される照明装置として用いられる請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−226598(P2008−226598A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62022(P2007−62022)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】