説明

光源装置

【課題】被写体距離に応じて光源の光の投射角度を変更可能に構成したことにより、微小距離撮影範囲内の被写体に均一な明度で光を効率良く照射することができ、微小距離撮影を良好に行える光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の光源装置は、環状の円筒部材である内筒体10と、この内筒体10の一端に設置する支持体20と、光源(複数の発光ダイオード331)を有して支持体20の先端側に環状にそれぞれ設置され、光源により発光する光の投射方向の角度を変化可能に構成した複数の角度可変光源モジュール30と、複数の角度可変光源モジュール30の内、少なくとも1つに連動して駆動することにより、前記光源により発光する光の投射方向の角度を変化させるための、前記内筒体10の外側に設けた駆動機構40、50、60と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影用の光源装置に関し、特に、光の投射角度を変更可能な環型光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮影装置によって、微小距離撮影(接写撮影ともいう)が行われている。この微小距離撮影は、撮影装置のレンズから30センチメートル以内の被写体に対して行う撮影モードである。このような微小距離撮影は、動植物の生態撮影、或いは工業製品の製造過程中に必要な高倍率視覚検査、又は非破壊検査を行うのに有効である。
【0003】
この微小距離撮影による撮影領域においては、被写体に対する照明が一般の撮影モードに比べてより重要である。通常、撮影装置は、微小距離撮影を行う場合、該撮影装置に備えられた光源装置から光を被写体に投射して照明を行っている。
【0004】
従来、前記光源装置としては、撮影装置のレンズ前方に装着された環状のフラッシュ灯がある。しかし、このフラッシュ灯は、光を持続的に投射することができず、撮影の一瞬の間のみ光を投射するものであるため、使用者は撮影前に被写体がフラッシュ灯の光を受けた後に十分な照明を有するか否かの判断を行うことができない。そのため、使用者は、その経験に頼り、レンズの開口及び露光時間に調整を行うので、特に微小距離撮影の失敗率が高くなってしまう。
【0005】
そこで、光を持続的に投射できるものとして、近年、光源に冷陰極蛍光ランプ(CCFL)又は発光ダイオード(LED)を用いた環状の光源装置が注目されている。
【0006】
この種の光源装置は、光を持続的に投射できるとともに、光を被写体に投射することで、使用者に撮影前に被写体を予め視認させることができる。ところが、このような光源装置は、被写体に対して極近距離の撮影を行う時、光源が被写体に非常に近づくので、被写体上の中央が暗くなり、外周りが明るくなるという明度の不均一現象が生じてしまう。
【0007】
また、環状の光源装置は、各種角度(360度)の光源により被写体に対して光を投射するので、被写体の輪郭及び細部を照明することができるが、被写体が単一方向の光投射を受けた時に有する、被写体上の陰影が現れず、被写体が有する立体感を消失させてしまう不都合がある。
【0008】
このような環状の光源装置の関連技術としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載の照明装置がある。
特許文献1には、レンズ鏡筒側から被写体側に向けて照明光を放射する、環状に配置された複数の光源を備え、これら複数の光源が、明るい領域と位領域を有する被写体を照明時に実質的に均等な明るさにするようにも輝度の異なる照明光を同時に放射するようにして、接写撮影において均等な明るさとなるように照明する照明装置に関する技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、複数の白色発光ダイオードを先端に環状に埋設して構成された環状光源を有する円筒部材であって、当該円筒部材は前記白色発光ダイオードに電流を供給するための電池とオン、オフ操作のためのスイッチが搭載され、レンズフード機能を有することで、接写する被写体に対して全方向からムラ無く照明が可能である照明装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−331798号公報
【特許文献2】特開2006−292793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の光源装置では、微小距離撮影を行う場合に、光源が被写体に非常に近づくので、被写体上の中央が暗くなり、外周りが明るくなるという明度の不均一現象が生じてしまうので、近距離の被写体に対して均一な光を照射することができない。
【0012】
そこで、被写体の微小空間距離撮影を行う場合に、被写体距離に応じて、光源により発する光の投射角度を変更すれば、このような問題点を解決できるが、前記従来の光源装置は、光源により発する光の投射角度を変更することができない。
【0013】
また、特許文献1及び特許文献2に記載の照明装置は、光源の光の投射角度を変更可能な導光部材、又はレンズフード機能を構成するフレネルレンズを含む光線透過板を備えることにより、被写体に対して均一な光を照射できるが、光の投射角度の変更は予め決められた投射角度で行われるため、微小距離撮影を行う場合の微小距離撮影範囲内の距離の被写体に対して、望ましい光の投射角度に変更することができないといった不都合があった。
【0014】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、被写体距離に応じて光源の光の投射角度を変更可能に構成したことにより、微小距離撮影範囲内の被写体に均一な明度で光を効率良く照射することができ、微小距離撮影を良好に行える光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成する為、本発明の光源装置は、環状の円筒部材である内筒体と、前記内筒体の一端に設置する支持体と、光源を有して前記支持体の先端側に環状にそれぞれ設置され、前記光源により発光する光の投射方向の角度を変化可能に構成した複数の角度可変光源モジュールと、前記複数の角度可変光源モジュールの内、少なくとも1つに連動して駆動することにより、前記光源により発光する光の投射方向の角度を変化させるための、前記内筒体の外側に設けた駆動機構と、を有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光源装置によれば、被写体距離に応じて光源の光の投射角度を変更可能に構成したことにより、微小距離撮影範囲内の被写体に均一な明度で光を効率良く照射することができ、微小距離撮影を良好に行えるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例に係る光源装置の分解斜視図。
【図2】図1に示す光源装置の先端側の構成を示す分解斜視図。
【図3】図2に示す角度可変光源モジュールの分解斜視図。
【図4】第1実施例の光源装置の作用を説明する説明図。
【図5】第1実施例の光源装置の作用を説明する説明図。
【図6】本発明の第2実施例に係る光源装置の分解斜視図。
【図7】第2実施例に係る光源装置の作用を説明する説明図。
【図8】本発明の第3実施例に係る光源装置の分解斜視図。
【図9】第3実施例に係る光源装置の作用を説明する説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
(第1実施例)
図1から図6は、本発明の第1実施例に係り、図1は第1実施例に係る光源装置の分解斜視図、図2は、図1に示す光源装置の先端側の構成を示す分解斜視図、図3は、図2に示す角度可変光源モジュールの分解斜視図、図4及び図5は、第1実施例の光源装置の作用を説明する説明図である。
【0019】
に説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施例の光源装置は、環状の円筒部材である内筒体10と、この内筒体10の一端に設置する支持体20と、光源を有して支持体20の先端側に環状にそれぞれ設置され、前記光源により発光する光の投射方向の角度を変化可能に構成した複数の角度可変光源モジュール30と、複数の角度可変光源モジュール30の内、少なくとも1つに連動して駆動することにより、前記光源により発光する光の投射方向の角度を変化させるための、前記内筒体10の外側に設けた駆動機構と、を有して構成される。
【0021】
前記駆動機構の主要な構成要素は、前記内筒体10に被せられ、該支持体20と連接する外筒体40と、内筒体10と外筒体40との間に設置される係止環50と、該外筒体40外に被せられる回転環60とを有している。
【0022】
内筒体10は、環状の円筒部材であって、相互に連通する二端を有して構成される。この内筒体10の一端には、環状部材である支持体20が設置される。
【0023】
支持体20は、内筒体10上に被せられる管状部21と、管状部21から径向外向きに延伸する延伸部22とを有して構成される。延伸部22の上には、管状部21の逆側に位置する複数の設置面222が設けられ、これらの設置面222には、前記複数の角度可変光源モジュール30がそれぞれ設置される。
【0024】
次に、角度可変光源モジュール30の構成について、図1及び図3を用いて説明する。
図1及び図3に示すように、角度可変光源モジュール30は、前記駆動機構からの駆動力により、被写体距離に応じて発光する光の投射方向を変更できる。
この角度可変光源モジュール30は、図3に示すように、支持体20上に設置された固定部材31と、回転軸となるピン34により前記固定部材31にピン接合することにより前記固定部材31を回動可能にする振動部材32と、前記振動部材32上に設置される回路板33と、この回路板33上に設置される、光源としての複数の発光ダイオード331と、を有して構成される。
【0025】
固定部材31は、図1に示すように、螺子36により前記支持体20を螺子孔223に貫通させ、固定部材31の螺子孔223に螺合することにより、前記支持体20上に固定される。
【0026】
発光ダイオード331は、赤、緑、青の三色の光を混合して白色光を得る白色発光ダイオードを用いている。これにより、物体に対して照射を行う時、良好な演色効果を獲得できる。
【0027】
また、複数の角度可変光源モジュール30は、図示しない制御手段により独立的に制御されて、光を投射できる。言い換えれば、使用者は、実際の必要に応じて、複数の角度可変光源モジュール30の内、選択的にそのうちの一組又は、複数組、又は全ての角度可変光源モジュール30に光を投射させることができる。例えば、そのうちの相互に隣接する三組に光を投射させ、撮影したい物体に対して特殊な陰影効果を発生させることができる。
【0028】
なお、光源である複数の発光ダイオード331は、図示しない制御手段によって、その光の明るさも変えるように調光が可能である。
【0029】
回路板33は、前記駆動機構による駆動により、内筒体10の中心軸I方向に対して内側に向きを変えることにより、この回路板33上の複数のダイオード331により発光する光の投射方向(投射角度)を変更させることができる。
【0030】
また、複数の角度可変光源モジュール30は、図3に示すように、さらに、回転軸であるピン34上に設けられた弾性回復部材35を有している。この弾性回復部材35は、例えばバネで構成されたものであり、両側に端部351、352を有している。
【0031】
この弾性回復部材35の端部351は、固定部材31の凹溝311中に係止される。一方、弾性回復部材35の別の端部352は、振動部材32の凹溝321中に係止される。
【0032】
これにより、弾性回復部材35は、振動部材32を中心軸I方向に対して内側方向に位置するように付勢する。すなわち、回路板33が微小空間距離撮影範囲内の初期位置(図4参照)から、後述する駆動機構の係止ロッド53による係止により中心軸Iに対して内側方向に回動した場合(図5参照)に、常にその付勢力によって回路板33と係止ロッド53との当接状態を強固にすることで、回動板33の回動動作が係止ロッド53の延伸操作に確実に追従される。
なお、弾性回復部材35は、バネを用いたが、上述したような付勢力があればどのような弾性部材を用いても良い。
【0033】
次に、駆動機構を構成する外筒体40、係止環50、回転環60の構成について、図1から図5を用いて説明する。
【0034】
図1及び図2に示すように、外筒体40は、内筒体10外に被せさられ、支持体20に接続される。
本実施例では、外筒体40と支持体20の接続は、螺子等の固定部材(図示せず)により外筒体40上の螺子孔41及び支持体20上の螺子孔221に対応して螺合することにより、固定される。
【0035】
外筒体40の周面上には、中心軸Iに沿って延伸する複数の滑動溝42が形成される。
なお、本実施例において、滑動溝42の数量は、3個であるが、実際の実施時は、2個または2個以上で構成することができる。
【0036】
係止環50は、内筒体10と外筒体40の間に設置され、中心軸I方向に沿って移動することができる。
この係止環50は、環状の円筒部材である環体51と、この環体51から支持体20側に突出して支持体20を貫通し、且つ回路板33にそれぞれ係止する複数の係止ロッド53と、前記環体51から外向きに突出し、複数の滑動溝42にそれぞれ係合する複数の滑動ロッド52と、を有して構成される。
【0037】
回転環60は、外筒体40外に被せられるものであって、その周面には、滑動溝42に対応する複数の傾斜溝61が形成される。これらの傾斜溝61は、滑動溝42を介して突出する各滑動ロッド52が係合しながらその傾斜形状によりさらに各滑動ロッド52を延伸させる。
【0038】
また、本実施例の光源装置は、さらに、図1及び図2に示すように、回転環60上に被せられる滑り止め環70と、固定環75とを有して構成される。
この滑り止め環70は、微小距離撮影時における光の投射角度を変更する場合に、使用者が手で掴持回転させて調節するときに滑ることなく、円滑に回転操作することができる。また、固定環75は、回転環60が外向きに脱落しないよう固定することができる。
【0039】
次に、本実施例の光源装置の作用について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は、微小距離撮影を開始する前の回路板33の初期位置を示す説明図であり、図5は、使用者の操作に応じて微小距離撮影が行われた場合に回路板33が回動する状態を示す説明図である。
【0040】
本実施例の光源装置を実際に操作して微小距離撮影を行う場合、使用者は、図4に示すように、回転環60を中心軸Iを軸にして回転させる。
【0041】
すると、回転環60の傾斜溝61に係合している滑動ロッド52は、回転環60の回転により、傾斜溝61の傾斜に沿って移動すると同時に、外筒体40の滑動溝42内で、中心軸Iに沿って移動することになる。
【0042】
滑動ロッド52が、図4に示すように滑動溝42内で、光源装置の前方方向に移動すると、この滑動ロッド52を固定している係止環50が、光源装置の前方方向(図4中左方向)に移動し、この係止環50の移動によって、該係止環50の係止ロッド53も同時に光源装置の前方方向(図4中左方向)に移動することになる。
【0043】
すると、係止環50の係止ロッド53は、図5に示すように、角度可変光源モジュール30の回路板33に係止し、さらに、回転環60の回転操作を進めることで、回路板33を、中心軸Iに対して内側方向に回動させる。これにより、回路板33上の光源である複数の発光ダイオード331により発光する光の投射方向(投射角度)を変更することができる。
【0044】
この場合、発光ダイオード331により発光する光投射角度は、使用者による回転環60の回転操作を調整することにより、自在に変えることができる。
【0045】
従って、角度可変光源モジュール30の光の投射方向を適宜変更して、光の投射方向を中心軸I方向に集中させることにより、本実施例の光源装置が撮影したい被写体に非常に接近した場合でも、この被写体の均一な明度となるように効率的に照明することができる。
【0046】
勿論、本実施例では、角度可変光源モジュール30により発光する光の投射角度を、使用者の回転環60による簡単な回転操作によって、自在に変更することができるので、被写体との被写体距離に拘わらず、効率良く被写体に照明することが可能となり、微小距離撮影を良好に行うことができる。
【0047】
なお、本実施例の光源装置は、デジタルカメラ又は顕微鏡等の光学イメージ取得装置上に設置することができるので、微小距離撮影の場合に、前記実施例と同様に近距離の被写体に均一な明度となるように光を照明することができることは言うまでもない。
【0048】
また、本実施例の光源装置は、図2に示すように、環状の透光保護マスク80を有しており、この透光保護マスク80を、角度可変光源モジュール30の前方に設置し、該角度可変光源モジュール30が外物の衝撃を受け、損壊しないように保護する構成としても良い。また、透光保護マスク80中に顔料を添加し、該角度可変光源モジュール30が投射する光線の色を変化させるように構成しても良い。
【0049】
従って、第1実施例によれば、被写体距離に応じて光源の光の投射角度を変更可能に構成したことにより、微小距離撮影範囲内の被写体に均一な明度で光を効率良く照射することができ、微小距離撮影を良好に行える光源装置を実現できる。
【0050】
(第2実施例)
図6及び図7は、本発明の第2実施例に係り、図6は第2実施例の光源装置の分解斜視図、図7は、第2実施例に係る光源装置の作用を説明する説明図である。なお、図6及び図7は、第1実施例の光源装置と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0051】
図6及び図7に示すように、本実施例の光源装置は、第1実施例の光源装置とほぼ同様であるが、回路板33を回動させて光の投射方向を変更するのではなく、光を反射する反射方式により光の投射方向を変化させるように構成している。
【0052】
図6及び図7に示すように、角度可変光源モジュール30は、支持体20上に設置する固定部材31と、この固定部材31にピン接合する振動部材32と、この振動部材32上に設置する反射板332と、支持体20上に設置する光源である複数の発光ダイオード333と、を有して構成される。
【0053】
これら複数の発光ダイオード333は、図6に示すように、中心軸Iに対して外側に光を投射するように支持体20上に設置されている。
【0054】
この構成により、発光ダイオード333から発した光は、図7に示すように、反射板333によって反射して、光源装置の前方方向で且つ、中心軸Iに対して外側に拡がるように投射される。
【0055】
第2実施例の光源装置の動作について、図7を用いて説明する。
第2実施例の光源装置は、第1実施例の光源装置とほぼ同様にして、回転環60を回転操作することにより、これに連動して、係止環50の係止ロッド53が中心軸Iに沿って光源装置の前方方向に移動する。
【0056】
すると、係止環50の係止ロッド50は、図7に示すように、角度可変光源モジュール30の反射板332に係止し、さらに、回転環60の回転操作を進めることで、反射板332を、中心軸Iに対して内側方向に回動させる。これにより、支持体20上の光源である複数の発光ダイオード333により発光する光の投射方向(投射角度)を変更することができる。
【0057】
勿論、本実施例においても、発光ダイオード333により発光する光投射角度は、使用者による回転環60の回転操作を調整することにより、自在に変えることができる。
【0058】
従って、第2実施例によれば、複数の発光ダイオード333を支持体20上に設けた場合でも、反射板332を回動させることにより、前記第1実施例と同様の効果が得られる。
【0059】
(第3実施例)
図8及び図9は、本発明の第3実施例に係り、図8は第3実施例の光源装置の分解斜視図、図9は、第3実施例に係る光源装置の作用を説明する説明図である。なお、図8及び図9は、第1実施例の光源装置と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0060】
図8及び図9に示すように、本実施例の光源装置は、第1実施例の光源装置とほぼ同様であるが、回路板33を回動させて光の投射方向を変更するのではなく、光を導光して投射する導光部材を用いることにより光の投射方向を変化させるように構成している。
【0061】
図8及び図9に示すように、本実施例の光源装置は、角度可変光源装置30は、支持体20上に設置する固定部材31と、この固定部材31にピン接合する振動部材32と、この振動部材32上に設置する支持板334と、この支持板上に設置する少なくとも1つの導光部材335と、支持体20上に設置する複数の発光ダイオード336と、を有して構成される。
【0062】
これら複数の発光ダイオード336は、図9に示すように、中心軸Iに沿って光源装置の前方方向に光を投射するように支持体20上に設置されている。
【0063】
また、導光部材335は、発光ダイオード336の設置位置に対向するように支持板334上に設置される。
【0064】
この構成により、発光ダイオード336から発した光は、図9に示すように、導光部材335により導光された後、光源装置の前方方向で且つ、中心軸Iに対して外側に拡がるように投射される。
【0065】
なお、導光部材335は、空心又は実心の円柱体で構成されたもので、必要に応じて、導光特性が異なるものを用いても良い。導光特性とは、導光した光を投射する投射角度を含む特性である。
【0066】
次に、第3実施例の光源装置の動作について、図9を用いて説明する。
第3実施例の光源装置は、第1実施例の光源装置とほぼ同様にして、回転環60を回転操作することにより、これに連動して、係止環50の係止ロッド53が中心軸Iに沿って光源装置の前方方向に移動する。
【0067】
すると、係止環50の係止ロッド50は、図9に示すように、角度可変光源モジュール30の支持板334に係止し、さらに、回転環60の回転操作を進めることで、係止板20及び導光部材335を、中心軸Iに対して内側方向に回動させる。これにより、支持体20上の光源である複数の発光ダイオード336により発光する光の投射方向(投射角度)を変更することができる。
【0068】
勿論、本実施例においても、発光ダイオード336により発光する光投射角度は、使用者による回転環60の回転操作を調整することにより、自在に変えることができる。
【0069】
従って、第3実施例によれば、複数の発光ダイオード336を支持体20上に設けた場合でも、支持板334及び導光部材335を回動させることにより、前記第1実施例と同様の効果が得られる。
【0070】
このように、本発明の光源装置は、角度可変光源モジュールの光の投射方向を適宜変更して、光の投射方向を中心軸I方向に集中させることにより、光源装置が撮影したい被写体に非常に接近した場合でも、この被写体の均一な明度となるように効率的に照明することができるので、従来の光源装置により、被写体上の中央が暗く、周囲が明るい明度不均一現象の発生を回避することができる。
【0071】
また、本発明の光源装置は、角度可変光源モジュールにより発光する光の投射角度を、使用者の回転環による簡単な回転操作によって、自在に変更することができるので、被写体との被写体距離に拘わらず、効率良く被写体に照明することが可能となり、微小距離撮影を良好に行うことができる。すなわち、本発明の光源装置は、光の投射角度が予め規定された特許文献1及び特許文献2の照明装置とは明らかに異なる構成であり、微小距離撮影を行うのに有効であるのは言うまでもない。
【0072】
さらに、本発明の光源装置は、複数の角度可変モジュールのうちの任意1組又は複数組の角度可変光源モジュールに選択的に光を投射させ、撮影したい被写体に対して特殊な陰影効果を発生し、物体の立体感を強化することができるといった効果も得る。
【0073】
本発明は、以上述べた実施例及び変形例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…内筒体、
20…支持体、
21…管状部、
22…延伸部、
221…螺子孔、
222…設置面、
223…螺子孔、
30…角度可変光源モジュール、
31…固定部材、
311…凹溝、
32…振動部材、
321…凹溝、
33…回路板、
331…発光ダイオード、
332…反射板、
333…発光ダイオード、
334…支持板、
335…導光部材、
336…発光ダイオード、
34…回転軸、
35…弾性回復部材、
351,352…端部、
36…螺子、
40…外筒体、
41…螺子孔、
42…滑動溝、
50…係止環、
51…環体、
52…滑動ロッド、
53…係止ロッド、
60…回転環、
61…傾斜溝、
70…滑り止め環、
75…固定環、
80…透光保護マスク、
I…中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の円筒部材である内筒体と、
前記内筒体の一端に設置する支持体と、
光源を有して前記支持体の先端側に環状にそれぞれ設置され、前記光源により発光する光の投射方向の角度を変化可能に構成した複数の角度可変光源モジュールと、
前記複数の角度可変光源モジュールの内、少なくとも1つに連動して駆動することにより、前記光源により発光する光の投射方向の角度を変化させるための、前記内筒体の外側に設けた駆動機構と、
を具備したことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記角度可変光源モジュールは、
前記角度可変光源モジュールを前記支持体の先端側に設置するための固定部材と、
前記固定部材にピン接合して前記固定部材を回動可能にする振動部材と、
前記振動部材上に設置した回路板と、
前記回路上に設置した、前記光源としての複数の発光ダイオードと、
を含み、
前記回路板が前記駆動機構による駆動により、前記内筒体の中心軸方向に対して内側に向きを変えることにより、前記複数のダイオードにより発光する光の投射方向を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、
前記内筒体外に被せられ、前記支持体と接続する外筒体であって、前記外筒体が前記内筒体の中心軸に沿って延伸するための複数の滑動溝を周面に設けた外筒体と、
前記内筒体と前記外筒体との間に設けられ、前記中心軸方向に沿って移動できる係止環であって、環状の円筒部材である環体と、前記環体から前記支持体側に突出して前記支持体を貫通し、且つ前記振動部材又は前記回路板にそれぞれ係止する複数の係止ロッドと、前記環体から外向きに突出し、前記複数の滑動溝にそれぞれ係合する複数の滑動ロッドと、を有する係止環と、
前記外筒体外に被せられる回転環であって、前記滑動溝に対応する複数の傾斜溝を周面に形成し、前記複数の傾斜溝に前記滑動溝を介して突出する前記各滑動ロッドを係合しながらその傾斜形状によりさらに延伸させる回転環と、
を含み、
前記回転環を前記中心軸に対して回転することにより、前記傾斜溝に前記滑動ロッドを連動させると同時に前記滑動溝内で前記中心軸方向に沿って移動させて、前記係止環の前記係止ロッドを前記中心軸方向に沿って前方に押し出し、この押し出された前記係止ロッドが前記角度可変光源モジュールの前記振動部材又は前記回路板に係止することにより、前記角度可変光源モジュールの前記複数のダイオードにより発光する光の投射方向を変化させることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記角度可変光源モジュールは、
前記角度可変光源モジュールを前記支持体の先端側に設置するための固定部材と、
前記固定部材にピン接合して前記固定部材を回動可能にする振動部材と、
前記振動部材上に設置する反射板と、
前記支持体に設置した、前記光源としての複数の発光ダイオードと、
を含み、
前記複数の発光ダイオードは、前記反射板の反射により前記中心軸方向に対して外側に拡がるように光を投射し、前記反射板が前記駆動機構による駆動により、前記中心軸方向に対して内側に向きを変えることにより、前記複数のダイオードにより前記中心軸方向に対して外側に拡がるように投射された光の投射方向を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、
前記内筒体外に被せられ、前記支持体と接続する外筒体であって、前記外筒体が前記内筒体の中心軸に沿って延伸するための複数の滑動溝を周面に設けた外筒体と、
前記内筒体と前記外筒体との間に設けられ、前記中心軸方向に沿って移動できる係止環であって、環状の円筒部材である環体と、前記環体から前記支持体側に突出して前記支持体を貫通し、且つ前記振動部材又は前記回路板にそれぞれ係止する複数の係止ロッドと、前記環体から外向きに突出し、前記複数の滑動溝にそれぞれ係合する複数の滑動ロッドと、を有する係止環と、
前記外筒体外に被せられる回転環であって、前記滑動溝に対応する複数の傾斜溝を周面に形成し、前記複数の傾斜溝に前記滑動溝を介して突出する前記各滑動ロッドを係合しながらその傾斜形状によりさらに延伸させる回転環と、
を含み、
前記回転環を前記中心軸に対して回転することにより、前記傾斜溝に前記滑動ロッドを連動させると同時に前記滑動溝内で前記中心軸方向に沿って移動させて、前記係止環の前記係止ロッドを前記中心軸方向に沿って前方に押し出し、この押し出された前記係止ロッドが前記角度可変光源モジュールの前記反射板に係合することにより、前記角度可変光源モジュールの前記複数のダイオードから前記反射板を介して前記中心軸方向に対して外側に拡がるように投射された光の投射方向を変化させることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記角度可変光源モジュールは、
前記角度可変光源モジュールを前記支持体の先端側に設置するための固定部材と、
前記固定部材にピン接合して前記固定部材を回動可能にする振動部材と、
前記振動部材上に設置する支持板と、
前記支持板上に設置される少なくとも1つの導光部材と、
前記支持体に設置した、前記光源としての複数の発光ダイオードと、
を含み、
前記複数の発光ダイオードは、前記導光部材の導引により前記中心軸方向に対して外側に拡がるように光を投射し、前記支持板が前記駆動機構による駆動により、前記中心軸方向に対して内側に向きを変えることにより、前記複数のダイオードから前記導光部材を介して前記中心軸方向に対して外側に拡がるように投射された光の投射方向を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記駆動機構は、
前記内筒体外に被せられ、前記支持体と接続する外筒体であって、前記外筒体が前記内筒体の中心軸に沿って延伸するための複数の滑動溝を周面に設けた外筒体と、
前記内筒体と前記外筒体との間に設けられ、前記中心軸方向に沿って移動できる係止環であって、環状の円筒部材である環体と、前記環体から前記支持体側に突出して前記支持体を貫通し、且つ前記振動部材又は前記回路板にそれぞれ係止する複数の係止ロッドと、前記環体から外向きに突出し、前記複数の滑動溝にそれぞれ係合する複数の滑動ロッドと、を有する係止環と、
前記外筒体外に被せられる回転環であって、前記滑動溝に対応する複数の傾斜溝を周面に形成し、前記複数の傾斜溝に前記滑動溝を介して突出する前記各滑動ロッドを係合しながらその傾斜形状によりさらに延伸させる回転環と、
を含み、
前記回転環を前記中心軸に対して回転することにより、前記傾斜溝に前記滑動ロッドを連動させると同時に前記滑動溝内で前記中心軸方向に沿って移動させて、前記係止環の前記係止ロッドを前記中心軸方向に沿って前方に押し出し、この押し出された前記係止ロッドが前記角度可変光源モジュールの前記支持板に係合することにより、前記角度可変光源モジュールの前記複数のダイオードから前記導光部材を介して前記中心軸方向に対して外側に拡がるように投射された光の投射方向を変化させることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記支持体は、前記内筒体上に被せられる環状部材の管状部と、この管状部の先端側に延設され、前記管状部より拡径で、前記複数の角度可変光源モジュール又は前記固定部材を設置するための設置面を有する延伸部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記角度可変光源モジュールは、前記振動部材を前記中心軸方向に対して内側方向に位置するように付勢する弾性回復部材を有していることを特徴とする請求項2、請求項4、及び請求項6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記発光ダイオードは、赤、緑、青の三色光を混合して白色光を発する白色発光ダイオードであることを特徴とする請求項2、請求項4、及び請求項6のいずれか1項に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−2758(P2011−2758A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147649(P2009−147649)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(506013494)承奕科技股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】