説明

光源装置

【課題】 光利用効率が高い拡散機能を有する光源装置を提供すること。
【解決手段】 光源装置100は、1次光を出射する1次光源110と、1次光を拡散して拡散光に変換する拡散部材150と、拡散光を正反射または拡散反射して反射光に変換する反射部143と、反射光を外部に出射する出射部142とを具備する。1次光の一部は、拡散光と反射光との順に変換され、反射光の状態で出射部142から外部に出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、小型固体光源と光ファイバとを組み合わせたファイバ光源が開発されている。このファイバ光源は、細い構造物の先端から光を照射する光源装置として用いられる。
【0003】
このような光源装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1において、レーザ光源と拡散板とを組み合わせたファイバ光源装置を搭載した内視鏡装置が提案されている。
【0004】
図3に示すファイバ光源装置1において、3原色レーザであるHe−Cdレーザ20から出射されたレーザ光と、赤色レーザであるHe−Neレーザ21から出射されたレーザ光とは、ライトガイド10によって内視鏡2の先端部まで導光され、拡散板11と照度分布調整フィルタ12とを介して照明対象物である生体4を照射している。一般に、レーザ光を代表とする固体光源光の光強度は、光軸上で強く、光軸周辺部では弱い。また、固体光源光は可干渉性を有するため、照明対象物上にはスペックルと呼ばれる光の斑点模様が生じる場合がある。これらの特性は、照明を目的とした光源装置としては望ましくない。そこで、特許文献1では、拡散板11がレーザ光を拡散することで、所望の照明光を実現している。すなわち、内視鏡2等、細い管腔内を照明可能な光源装置において、スペックルなく、所望の照度分布を得る光源装置を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−286234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に提案されているファイバ光源装置1において、ライトガイド10から出射されたレーザ光は拡散板11に照射される。拡散板11は、レーザ光を拡散して前方に出射する機能を有している。このときレーザ光の一部は、拡散に伴い、後方、すなわちライトガイド10側にも放射される。この後方に放射されたレーザ光は、ロスとなるばかりでなく、内視鏡2の内部に吸収され熱となる。すなわち、照明光が暗くなり、ファイバ光源装置1の先端部の温度が上がってしまい、結果として拡散板11近傍での光利用効率が低くなるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、光利用効率が高い拡散機能を有する光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、1次光を出射する1次光源と、前記1次光を拡散して拡散光に変換する拡散部材と、前記拡散光を正反射または拡散反射して反射光に変換する反射部と、前記反射光を外部に出射する出射部と、を具備し、前記1次光の一部は、前記拡散光と前記反射光との順に変換され、前記反射光の状態で前記出射部から前記外部に出射されることを特徴とする光源装置を提供する。
【0009】
また本発明は目的を達成するために、1次光を出射する1次光源と、前記1次光を拡散する光拡散ユニットとを有する光源装置であって、前記光拡散ユニットは、前記1次光が入射する入射部と、前記入射部側から入射した前記1次光を拡散光として拡散し、拡散する前記拡散光の一部を前記入射部側に出射する拡散部材と、前記拡散光を正反射または拡散反射する反射部と、前記拡散光を外部に出射する出射部と、を有し、前記出射部は、前記反射部で正反射または拡散反射された前記拡散光の一部が前記出射部から前記拡散部材に再び入射することなく外部に出射されるための窓部を有していることを特徴とする光源装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光利用効率が高い拡散機能を有する光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光源装置の概略図である。
【図1B】図1Bは、光拡散ユニット及び導光部材の拡大斜視図である。
【図1C】図1Cは、光拡散ユニット及び導光部材の拡大断面図である。
【図2A】図2Aは、本実施形態の第1の変形例における光拡散ユニット及び導光部材の拡大断面図である。
【図2B】図2Bは、本実施形態の第2の変形例における光拡散ユニット及び導光部材の拡大断面図である。
【図3】図3は、従来の光源装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1Aと図1Bと図1Cとを参照して第1の実施形態について説明する。なお、図1A及び図1Bでは一部の部材の図示を省略している。また、図1Bでは、説明のために導光部材120と光拡散ユニット130の入射部141とを離間させて表示している。
【0013】
光源装置100は、主に、1次光源110と光拡散ユニット130とによって構成されている。光源装置100は、1次光源110から出射された1次光L1を、光拡散ユニット130内に配設されている拡散部材150に照射する構成である。各部の詳細な構造を次に説明する。
【0014】
1次光源110は、1次光L1を出射する半導体レーザ光源111と、半導体レーザ光源111から出射された1次光L1を集光する集光レンズ112と、集光レンズ112によって集光された1次光L1を拡散部材150に導光する導光路である導光部材120とを有している。
集光レンズ112は、1次光L1を導光部材120の1次光入射端121に集光する。
導光部材120には、例えば、コア径50μm、開口数FNA=0.2を有するマルチモード光ファイバが用いられる。導光部材120は、集光レンズ112によって集光した1次光L1が入射する1次光入射端121と、1次光L1を光源光として拡散部材150に出射する1次光出射端122とを有している。
【0015】
光拡散ユニット130は、1次光出射端122から出射された1次光L1が入射する入射部141と、所望の照明光を外部の照射対象物160に出射する機能を有する出射部142を有している。また、光拡散ユニット130は、拡散部材150と、光透過部材133とを有し、導光部材120によって導光された1次光L1を所望の拡散光L2として拡散して出射する。
【0016】
拡散部材150は、拡散部材150に入射した入射光を、その波長を変えず、広がり角を広げ、過干渉性を低めた拡散光L2に変換する機能を有している。拡散部材150は、入射部141側から照射された1次光L1を拡散光L2として拡散し、拡散する拡散光L2の一部を入射部141側に出射する機能を有している。また拡散部材150は、1次光L1の一部を透過して透過拡散光として出射する機能を有している。拡散部材150は、例えば円柱形状を有している。このような拡散部材150は、導光部材120の1次光出射端122に対面した第1の領域151と、第1の領域151と対向する第3の領域152と、第1の領域151及び第3の領域152に挟まれた側面である第2の領域153とを有している。第1の領域151は、1次光出射端122から離間している。第1の領域151は、1次光出射端122と入射部141とを通る、導光部材120の中心軸120a上に配設されている。
【0017】
光透過部材133は、拡散部材150の第1の領域151と第2の領域153とを取り囲むように形成されおり、第1の領域151と第2の領域153とに接している。光透過部材133は、入射部141を円錐台の小径の第1面である上面、出射部142を大径の第2面である底面、側面をテーパー面とする、円錐台形状を有している。光透過部材133は、例えば、拡散部材150の第1の領域151の中心が円錐台形状の中心軸上に配設され、拡散部材150の第3の領域152が出射部142に配設されるように、拡散部材150を内部に有している。また、光透過部材133は、1次光L1と、拡散部材150から出射される拡散光L2との両方を透過する性質を有している。光透過部材133の側面、すなわち、円錐台形状の傾斜面には、反射部143が直接形成されている。
【0018】
反射部143は、反射部143に入射した入射光を正反射または拡散反射して反射光に変換する機能を有している。本実施形態においては、反射部143に入射する入射光は拡散部材150によって拡散された拡散光L2であり、反射部143から出射する反射光は反射部143により正反射または拡散反射されることでその進行方向が変換された拡散光L2である。なお、理想的な反射面では、純粋な正反射や拡散反射を実現可能であるが、多くの場合、実際の反射面では、正反射する成分と拡散反射する成分とが混在する。本発明では、純粋な正反射から純粋な拡散反射までを含めたさまざまな反射部143を利用することが可能である。純粋な正反射に近い反射部143は金属等の薄膜を成膜することで実現できる。これにより、テーパー形状の側面を活かし、より多くの反射光を出射部142側に導き易い反射部143を実現できる。また、純粋な拡散反射に近い反射部143は、酸化物や樹脂の粉末を塗布することで実現できる。これにより、反射部143の形状の影響を受けにくい反射部143を実現できる。なお反射部143は、入射光を散乱反射して反射光に変換する機能を有していてもよい。
【0019】
本実施形態では、正反射に近い反射部143を実現する例を示すが、拡散反射の場合もほぼ同様の機能、動作となる。
【0020】
本発明の反射部143は、光透過部材133の側面全面に形成されている。なお反射部143は、光透過部材133の一部のみに形成されてもよい。
【0021】
円柱形状の拡散部材150の第3の領域152は、出射部142よりも面積が小さく、且つ、出射部142とほぼ同心で配置されている。このように配置することで、拡散部材150は、その全周にわたって反射部143と離間して配置されている。また第3の領域152は出射部142の開口面の一部を形成している。すなわち、出射部142は、第3の領域152とそれ以外の領域(窓部と呼ぶ)とで構成されている。第3の領域152は拡散部材150の表面であり、第3の領域152から出射される拡散光L2は拡散部材150の表面(第3の領域152)から直接外部に出射される拡散光L2である。また窓部は、出射部142の一部である。窓部は、光透過部材133の出射部142に面した部分である。窓部は、反射部143で正反射または拡散反射された拡散光L2の一部が出射部142から拡散部材150に再び入射することなく外部に出射されるために配設されている。拡散部材150から光透過部材133の内部に出射された拡散光L2は、反射部143によって反射光に変換され、窓部から反射光の状態で外部に出射される。
【0022】
拡散部材150の厚さは、1次光L1を所望の拡散光L2に変換するように設定される。すなわち、拡散光L2は、半導体レーザ光源111から出射された1次光L1を、所望の広がり角に拡散し、また、可干渉性を低めることでスペックル等が発生しにくい光である。拡散部材150は、1次光L1をこのような光に変換可能な厚みを有している。
【0023】
本実施形態では、光透過部材133は、拡散部材150と反射部143との間に充填されるため、拡散部材150の側方全周に渡って入射部141から出射部142まで連続して形成されていることになる。本実施形態では、光透過部材133は、入射部141から出射部142まで連続した領域にて拡散部材150を取り囲んでいる例を示している。本発明の趣旨としては、光透過部材133は拡散部材150の側方の少なくとも一部に配設され、光透過部材133の一部が入射部141から出射部142まで連続して形成されていれば良い。言い換えると、光透過部材133は、入射部141から出射部142の少なくとも一部まで、連続して形成されていれば本発明の効果を得ることができる。
【0024】
また、別の表現としては、反射部143は、集光レンズ112と導光部材120と光透過部材133とを介して半導体レーザ光源111と光学的に接続されている。また、反射部143は、1次光L1を透過する機能を有する光透過部材133を介して1次光出射端122と出射部142と拡散部材150とに光学的に接続されている。
【0025】
1次光出射端122は、入射部141に1次光L1が入射するように入射部141と接続している。より具体的には、1次光出射端122は、光透過部材133の円錐台の小径の第1面である入射部141の中央付近に接続されている。
【0026】
1次光出射端122と拡散部材150との相対位置は、1次光出射端122から出射される1次光L1が略全て拡散部材150の第1の領域151上に照射されるように、光透過部材133のサイズおよび拡散部材150のサイズを設定する。このとき、導光部材120から出射された1次光L1は、拡散部材150の第1の領域151を含む平面上に、拡散部材150の第1の領域151よりも小さいビームスポットを形成する。ビームスポットとは、1次光L1の最大強度に対し、1/eより大きな光強度を有する領域と定義し、eは自然体数の底としてのネイピア数である。
【0027】
ここで、各部材の形状及び材質の好ましい例について説明する。
光透過部材133のテーパー角は、導光部材120の中心軸120aに対し20degが好ましい。拡散部材150は0.17mmの半径を有する円柱形状がよい。このような構造とすることにより、入射部141から拡散部材150の第1の領域151までの距離が約0.6mmとなる。なお、導光部材120には、先のマルチモード光ファイバを用いている。
【0028】
光透過部材133は、透明な光学用樹脂、一般的なガラスや石英ガラスなど、透明な材料で構成することが好ましい。そのような材料を選択することで、1次光L1および拡散光L2が効率よく透過し、光利用効率を高めることが可能であり、出射部142より多くの照明光を出射することができる。
【0029】
また、光透過部材133の側面に反射部143を形成するためには、まず光透過部材133の上下面をマスキングし、反射材料を蒸着もしくはメッキすることが望ましい。反射材料としては、光透過部材の側面に形成しやすく、また、可視光に対し高い反射率を有する金属膜が望ましい。より望ましくは、アルミニウムか銀を選択されたい。なお、アルミニウムや銀などの反射材料は、空気中に放置すると、曇りや変色を生じるため、反射率が低下する場合がある。ひどい場合にはこの曇りや変色が光透過部材133との界面まで到達し、反射面としての機能が低下する恐れがある。このため、蒸着もしくはメッキにより形成した反射材料の上面に、保護膜を設けることが望ましい。保護膜はSiO、銅などが望ましい。
【0030】
拡散部材150は、粒子を10wt%の濃度でシリコーン樹脂に分散し、樹脂をキュアして固ためたものが例として挙げられる。この粒子は例えばアルミナやシリカなどであり、粒子の平均粒径8μmである。なお平均粒径は、1次光L1の波長と同程度から、1000倍程度のものまでを利用することができる。
【0031】
また、拡散部材150は、光透過部材133と異なる屈折率の透明な部材で、その表面に微小な凸凹が設けられたものが例としてあげられる。微小な凸凹は、1次光L1の波長と同程度から、1000倍程度のものまでを利用することができる。
【0032】
[動作]
半導体レーザ光源111から出射する1次光L1の挙動について説明する。
半導体レーザ光源111から出射された1次光L1は、集光レンズ112によって1次光入射端121に集光されて、1次光入射端121から導光部材120に高効率に入射する。
【0033】
導光部材120に入射した1次光L1は、導光部材120の内部を導光し、導光部材120の1次光出射端122から光透過部材133に向かって出射される。このとき1次光L1は、導光部材120が有する開口数(NA)と光透過部材133の屈折率などに応じた広がり角で出射される。
【0034】
1次光L1は、光透過部材133を透過して拡散部材150の第1の領域151を照射する。このとき、拡散部材150の第1の領域151の大きさは、1次光L1が拡散部材150の第1の領域151を含む平面上に形成するビームスポットより大きくなるように構成されている。このため、1次光L1の大部分は、拡散部材150を照射する。この結果、拡散部材150を経由せず直接外部に出射される1次光L1は、ほとんどない。
【0035】
1次光L1は、拡散部材150を照射し、拡散部材150を透過しながら拡散し、1次光L1と波長は等しいが放射角が広く過干渉性が低い拡散光L2に変換される。このとき拡散光L2は、拡散部材150を透過するだけでなく、1次光L1の入射側、すなわち光透過部材133に向かって出射される。この結果、拡散部材150を透過した拡散光L2の一部は、拡散光L2の状態で出射部142(第3の領域152)から外部に向かい出射し、外部の照射対象物160を照射する。また、拡散光L2の別の一部は、光透過部材133に向かうように拡散部材150の第2の領域153又は第1の領域151から出射する。
【0036】
光透過部材133に向かう拡散光L2は、光透過部材133を透過した後、光透過部材133の側面に形成された反射部143によって一部反射される(一部反射光に変換される)。反射部143は、照明光出射側すなわち照射対象物160側に開いたテーパー面となっている。よって、反射部143で反射された拡散光L2は、もとの進行方向と比べ、照明光出射側に向かって進行する成分が増加する。
【0037】
詳細には、反射部143で反射された拡散光L2において、拡散光L2の一部は再び反射部143に向かい、また拡散光L2の別の一部は拡散部材150に向かい、拡散光L2の残りの一部は光透過部材133を経由して反射光の状態で出射部142の窓部から外部に向かい出射し外部の照射対象物160を照射する。
【0038】
反射部143で一度反射され、再び反射部143に向かう拡散光L2において、拡散光L2の一部は再び上述の工程を繰り返してさらに反射部143に向かい、拡散光L2の別の一部は拡散部材150に向かい、拡散光L2の残りの一部は出射部142の窓部から外部に出射する。
【0039】
反射部143や拡散部材150に向かう拡散光L2は、以降、上述の過程を繰り返す。
【0040】
[作用・効果]
上述のように、拡散部材150の第2の領域153および第1の領域151から出射した拡散光L2の一部は、拡散部材150に直接再入射することなく、光透過部材133を通って出射部142から外部に出射される。よって本実施形態では、図3に示す透過型拡散部材である拡散板11に比べて、拡散部材150の自己吸収による光量低下が少ないため、1次光L1の利用効率が高く、拡散光L2の取出し効率の高い光源装置100を実現することが可能となる。特に、拡散の度合いを高めたい場合、1次光L1が直接照射される第1の領域151から高い割合で拡散光L2が出射される。第1の領域151から出射された拡散光L2の一部は、拡散部材150より1次光源110側に配設されている光透過部材133に出射される。そしてこの拡散光L2の一部は、反射部143と光透過部材133とを経由して出射部142まで進行し、出射部142(窓部)から拡散部材150に入射することなく、光の利用効率が高い状態で外部の照射対象物160を照射できる。
なお反射部143で反射された拡散光L2において、拡散光L2の一部は再び反射部143に向かい、また拡散光L2の別の一部は拡散部材150に再入射する。これら拡散光L2の一部は、上述した過程を繰り返す。
【0041】
また、反射部143と拡散部材150とは、拡散部材150側方全周に渡って離間しているため、拡散光L2が拡散部材150に再び入射せず出射部142より出射する割合を高めており、より光の利用効率が高くなる。
【0042】
また、光透過部材133を、1次光L1及び拡散光L2に対する透過率の高いガラスまたは樹脂で作製しているため、1次光L1及び拡散光L2の光透過部材133によるロスが少なく、より光の利用効率が高い。
【0043】
また、光透過部材133は、入射部141から出射部142にかけて広がる円錐台形状を有しているため、拡散光L2が側面全面に形成された反射部143により反射を行う毎に、出射方向が出射部142に向かうため、より光の利用効率が高くなる。
【0044】
また、拡散部材150は円柱形状であり、第1の領域151は1次光L1のビームスポットより大きいため、1次光L1が効率よく拡散部材150を照射し拡散部材150によって拡散光L2に変換されるため、より光の利用効率が高くなる。
【0045】
また、反射部143は、光透過部材133の側面全面に形成しているため、出射部142以外から拡散光L2が外部に出射されたり他部材に吸収されたりしてしまうことがないため、出射部142からの効率よく拡散光L2を出射できる。
【0046】
また、反射部143は、可視光に対する反射率の高い金属を用いているため、反射部143による反射の際の吸収が少なく、光のロスが小さく利用効率が高い。
【0047】
また、反射部143は光透過部材133の側面に直接形成しているため、拡散光L2は、光透過部材133の外部に漏れだすことが無く、反射の際に反射膜の外側の構造の影響を受けることが無い。この結果、反射部143を透明部材と別体で作製し、接着するような構成と比較して、拡散光L2を接着剤などを透過させず反射部143によって高効率に反射できるため、光のロスが少なく利用効率が高い。
【0048】
また、本実施形態では、光透過部材133と拡散部材150とを第1の領域151と第2の領域153との2つと接する構造としたため、拡散部材150が脱落することが無く、信頼性が高い光源装置100を提供することができる。
【0049】
以上のように構成することで、1次光L1の利用効率が高く、かつ、拡散光L2の取出し効率の高い光源装置100を提供することが可能となる。
【0050】
また、以上のように構成することで、レーザ光を照明光に適した照度分布となるように放射角を広げ、かつ、過干渉性を低めることでスペックルの発生しづらい拡散光L2を実現する、光利用効率の高い光拡散ユニットを実現することができる。これにより、1次光源110から放射される1次光L1の光強度が同じ場合と比べ、より明るく、また、先端部での発熱の小さな光源装置を実現することが可能となる。
【0051】
なお、本発明において1次光源110は、半導体レーザ光源111と集光レンズ112と導光路としての導光部材120とを組み合わせた例を示したが、これに限らない。1次光源110は、発光ダイオードやスーパールミネッセントダイオード(SLD)などの固体光源や、固体レーザ、ガスレーザ等に置き換えることが可能である。また、導光部材120は複数の光ファイバを束ねたバンドルファイバや、樹脂基板や半導体基板上に屈折率分布を持たせて導光路を形成した一般的なフィルム型やスラブ型の導波路に置き換えることが可能である。さらに、集光レンズ112を用いず、半導体レーザ光源111や発光ダイオード、SLD等の発光面に導光路の入射端を直接接合することも可能である。また、これらを適宜組み合わせて用いることが可能である。
【0052】
[変形例1]
図2Aに示すように、本変形例では、拡散部材150は円錐台形状の光透過部材133の出射部142側の面に接して設置されている。この場合、出射部142は、円錐台形状の光透過部材133の出射部142側の面のうち拡散部材150に接していないエリア、及び拡散部材150の1次光出射端に面している面以外の外表面すべてである。この屈曲面全てから拡散光L2が外部に出射される。第1の領域151は光透過部材133と接しており、第2の領域153と第3の領域152とは出射部142上に位置しており、出射部142は第2の領域153と第3の領域152と窓部とにより構成されている。
【0053】
このような構造とすることで、光透過部材の形状がより単純になり作製しやすい。
【0054】
また、本実施形態の変形例では、光透過部材133と拡散部材150とを第1の領域151とのみで接している構造としたため、作製が簡便な光源装置100を提供することができる。
【0055】
[変形例2]
上述した実施形態では、光透過部材133は全て円錐台形状を有し、反射部143は円錐台の側面に配設され、テーパー面であるが、これに限らない。
図2Bに示すように、本変形例では、例えば、光透過部材133は円柱形状を有していても良い。このとき、反射部143は、光透過部材133の側面だけでなく、円柱の底面のうち、導光部材120によって導光された1次光が入射する入射部141を除いた領域にも配設されることが望ましい。
【0056】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0057】
100…光源装置、110…1次光源、130…光拡散ユニット、133…光透過部材、141…入射部、142…出射部、143…反射部、150…拡散部材、151…第1の領域、152…第3の領域、153…第2の領域、160…照射対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次光を出射する1次光源と、
前記1次光を拡散して拡散光に変換する拡散部材と、
前記拡散光を正反射または拡散反射して反射光に変換する反射部と、
前記反射光を外部に出射する出射部と、
を具備し、
前記1次光の一部は、前記拡散光と前記反射光との順に変換され、前記反射光の状態で前記出射部から前記外部に出射されることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記1次光の別の一部は、前記拡散光に変換され、前記拡散光の状態で前記出射部から前記外部に出射されることを含むことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記反射部は、前記1次光を透過する機能を有する光透過部材を介して、前記1次光源の1次光出射端と前記拡散部材と前記出射部とに光学的に接続していることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
1次光を出射する1次光源と、前記1次光を拡散する光拡散ユニットとを有する光源装置であって、
前記光拡散ユニットは、
前記1次光が入射する入射部と、
前記入射部側から入射した前記1次光を拡散光として拡散し、拡散する前記拡散光の一部を前記入射部側に出射する拡散部材と、
前記拡散光を正反射または拡散反射する反射部と、
前記拡散光を外部に出射する出射部と、
を有し、
前記出射部は、前記反射部で正反射または拡散反射された前記拡散光の一部が前記出射部から前記拡散部材に再び入射することなく外部に出射されるための窓部を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
前記拡散部材と前記反射部とは互いに離間しており、前記拡散部材と前記反射部との間には前記1次光を透過する機能を有する光透過部材が配設されていることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光透過部材は、小径の第1面と、大径の第2面と、テーパー面とを有する円錐台形状を有しており、
前記入射部は前記第1面の少なくとも一部であり、前記出射部は前記第2面の少なくとも一部であり、前記反射部は前記テーパー面を取り囲むように配設されていることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光透過部材は、ガラスまたは樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記拡散部材は、前記1次光の一部を透過して透過拡散光として出射する機能を有しており、
前記透過拡散光は、前記拡散部材から前記出射部のみを経由して外部に出射することを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項9】
前記拡散部材は、前記入射部に面した円形の第1の領域と、前記第1の領域と対向する円形の第3の領域と、前記第1の領域と前記第3の領域で挟まれた側面である第2の領域とを有する円柱形状を有していることを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記拡散部材の前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記光透過部材と接しており、
前記第3の領域は、前記出射部上に位置しており、
前記出射部は、前記第3の領域と前記窓部とにより構成されていることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第1の領域は、前記光透過部材と接しており、
前記第2の領域と第3の領域とは、前記出射部上に位置しており、
前記出射部は、前記第2の領域と前記第3の領域と前記窓部とにより構成されていることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第1の領域の大きさは、前記1次光が前記第1の領域上に形成するビームスポットより大きいことを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項13】
前記反射部は、前記光透過部材の表面に直接形成されていることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項14】
前記反射部は、金属製であることを特徴とする請求項13に記載の光源装置。
【請求項15】
前記反射部は、外表面に保護膜を有している請求項14に記載の光源装置。
【請求項16】
前記1次光源は、前記1次光を出射する固体光源と、前記1次光を導光する導光路とにより構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−248401(P2012−248401A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119146(P2011−119146)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】