説明

光源駆動装置及び画像形成装置

【課題】発光素子の劣化を抑制しつつ、駆動電流のオーバーシュートにより光出力の応答特性を改善することが可能な光源駆動装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【解決手段】オーバーシュート電流を加算するオーバーシュート期間を算出して設定するオーバーシュート期間設定手段と、前記オーバーシュート電流の電流値を算出して設定するオーバーシュート電流設定手段と、を有し、前記オーバーシュート期間は、前記駆動電流の立ち上がりから前記光源の発光が検出されるまでの期間よりも短くなるように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から所定光量を得る所定電流と、前記所定電流の立ち上がりと同期して加算されるオーバーシュート電流とから生成される駆動電流により、前記光源を駆動させる光源駆動装置及びこの光源駆動装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報伝送に関わる技術として、伝送路固有の高周波数における減衰特性に応じて伝送信号の高域側をオーバーシュートさせて送信側から送出し、受信側で受ける信号の周波数特性を改善するプリエンファシス(高域補正)が知られている。例えば特許文献1には、プリエンファシスを用いた技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
駆動電流に対する光出力の応答特性の改善に上記の技術を適用した場合、駆動電流のオーバーシュートにより、所定の光量を得るのに必要な所定電流以上の電流が発光素子へ供給されることになり、発光素子の劣化が早まる虞がある。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべく成されたものであり、発光素子の劣化を抑制しつつ、駆動電流のオーバーシュートにより光出力の応答特性を改善することが可能な光源駆動装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成すべく、以下の如き構成を採用した。
【0006】
本発明は、光源から所定光量を得る所定電流と、前記所定電流の立ち上がりと同期して加算されるオーバーシュート電流とから生成される駆動電流により、前記光源を駆動させる光源駆動装置であって、前記オーバーシュート電流を加算するオーバーシュート期間を算出して設定するオーバーシュート期間設定手段と、前記オーバーシュート電流の電流値を算出して設定するオーバーシュート電流設定手段と、を有し、前記オーバーシュート期間は、前記駆動電流の立ち上がりから前記光源の発光が検出されるまでの期間よりも短くなるように設定される。
【0007】
また本発明の光源駆動装置において、前記オーバーシュート電流設定手段は、前記オーバーシュート期間設定手段により前記オーバーシュート期間が設定された後に、前記オーバーシュート電流の設定を行う。
【0008】
また本発明の光源駆動装置は、前記光源から発光された光を受光し、受光した光量に対応する大きさの信号を出力する受光素子と、前記受光素子から出力された信号波形を積分する積分手段と、を有し、前記オーバーシュート期間設定手段は、前記受光素子から出力された前記信号波形の積分値が予め設定されたオーバーシュート期間閾値以上となったとき、前記光源が発光したと判断する。
【0009】
また本発明の光源駆動装置は、複数の幅のパルス信号から選択されたパルス信号を出力するパルス信号出力手段と、前記パルス信号と同期した前記所定電流を前記光源へ供給する第一の電流源と、を有し、前記オーバーシュート期間設定手段は、前記パルス信号出力手段から、前記幅の狭い順に前記パルス信号を選択するパルス選択手段と、選択された前記パルス信号と同期した前記所定電流による前記光源の発光に対応した前記受光素子の信号波形の積分値が、前記オーバーシュート期間閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、を有し、前記オーバーシュート期間設定手段は、前記積分値が前記オーバーシュート期間閾値以上となったときに前記選択された前記パルス信号よりも前に選択された前記パルス信号の幅に対応する時間をオーバーシュート期間とする。
【0010】
また本発明の光源駆動装置は、前記光源を所定期間点灯させ、所定期間消灯させる点灯パターン信号が格納された点灯パターン記憶手段と、前記点灯パターン信号と同期して前記所定電流を前記光源へ供給する第二の電流源と、を有し、前記オーバーシュート電流設定手段は、前記所定電流に加算される電流値を小さい値から順に選択する電流値選択手段と、前記所定電流に前記電流値を加算した電流が前記光源に供給されたときの前記受光素子の前記信号波形の積分値が、予め設定されたオーバーシュート電流閾値以上であるか否かを判定するオーバーシュート電流判定手段と、を有し、前記積分値が前記オーバーシュート電流閾値以上となったとき、前記電流値をオーバーシュート電流に設定する。
【0011】
本発明は、光源から所定光量を得る所定電流と、前記所定電流の立ち上がりと同期して加算されるオーバーシュート電流とから生成される駆動電流により、前記光源を駆動させる光源駆動装置を有する画像形成装置であって、前記光源駆動装置は、前記オーバーシュート電流を加算するオーバーシュート期間を算出して設定するオーバーシュート期間設定手段と、前記オーバーシュート電流の電流値を算出して設定するオーバーシュート電流設定手段と、を有し、前記オーバーシュート期間は、前記駆動電流の立ち上がりから前記光源の発光が検出されるまでの期間よりも短くなるように設定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光素子の劣化を抑制しつつ、駆動電流のオーバーシュートにより光出力の応答特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一の実施形態の画像形成装置の構成の概略を説明する図である。
【図2】第一の実施形態の光源駆動装置を示す図である。
【図3】レーザダイオードの寄生容量を説明する図である。
【図4】電流値とレーザダイオードの応答時間との関係を説明する図である。
【図5】第一の実施例の光源駆動装置における発光遅延時間を説明する図である。
【図6】第一の実施形態における駆動電流を説明する図である。
【図7】第一の実施形態の光源駆動装置のCPUの機能構成を示す図である。
【図8】第一の実施形態のCPUの処理を説明するフローチャートである。
【図9】第一の実施形態のTov値設定部の処理を説明するフローチャートである。
【図10】オーバーシュート期間Tovを説明する図である。
【図11】第一の実施形態のIv値設定部の処理を説明するフローチャートである。
【図12】オーバーシュート電流Ivを説明する図である。
【図13】第二の実施形態の光源駆動装置の概略を説明する図である。
【図14】第二の実施形態のTov値設定部の処理を説明するフローチャートである。
【図15】第二の実施形態のIv値設定部の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
駆動電流の立ち上がりから光源の発光が検出されるまでの時間よりも短い期間、駆動電流をオーバーシュートさせる。
【0015】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置の構成の概略を説明する図である。
【0016】
本実施形態の画像形成装置10は、ポリゴンミラー20、走査レンズ30、感光体40、位相同期回路50、クロック生成回路60、画像処理ユニット70、光源駆動装置100、発光素子(光源)であるLD(レーザダイオード)、受光素子となるPD(フォトディテクタ)を有する。
【0017】
LDから発光されたレーザ光は、回転するポリゴンミラー20によりスキャンされ、走査レンズ30を介して被走査媒体である感光体40上に照射される。照射されたレーザ光は感光体40上で光スポットとなり、これにより感光体40上に静電潜像が形成される。またポリゴンミラー20は、1ラインの走査が終わる毎にレーザ光をPDに照射する。PDはレーザ光が照射されると、これを電気信号に変換し、この電気信号を位相同期回路50に入力する。位相同期回路50は電気信号が入力されると、次の1ライン分の画素クロックを生成する。また、位相同期回路50には、クロック生成回路60から高周波クロック信号が入力されており、これにより画素クロックの位相同期が図られている。
【0018】
生成された画素クロックは、画像処理ユニット70と光源駆動装置100とに供給される。画像処理ユニット70は画素クロックに従って書込制御信号を光源駆動装置100へ供給する。また光源駆動装置100は、画素クロックと書込制御信号に基づいてLDを駆動する。これにより、画像データの静電潜像が感光体40上に形成される。
【0019】
図2は、第一の実施形態の光源駆動装置を示す図である。本実施形態の光源駆動装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、DAC(Digital to Analog Converter)130、LPF(Low-pass Filter)140、ADC(Analog to Digital Converter)150、セレクタ160、LDドライバ200、抵抗R1を有する。
【0020】
本実施形態の光源駆動装置100は、LDとPDとに接続されており、LDの光量に応じてPDから出力される電気信号に基づきLDの駆動を制御する。
【0021】
CPU110は、光源駆動装置100の各種動作を制御する。メモリ120は、光源駆動装置100の動作に用いられる各種の値等が格納されている。DAC130は、CPU110から出力される信号をアナログ値に変換する。LPF140は、PDから出力された電気信号のうち所定帯域の信号を通過させる。ADC150は、LPF140から出力された電気信号をデジタル値に変換する。セレクタ160は、後述するオーバーシュート期間Tovを算出する際に用いられるものであり、CPU110の指示に従いパルス幅の異なる複数のパルス信号から一つのパルス信号を選択してLDドライバ200へ出力する。
【0022】
LDドライバ200は、書込制御信号と画素クロックとが入力される。LDドライバ200は、書込制御信号と画素クロックとに基づきLDへ駆動電流を供給し、LDの発光タイミングを制御する。本実施形態のLDドライバ200は、LDの駆動電流をオーバーシュートさせる。LDドライバ200の詳細は後述する。
【0023】
ここで、図3ないし図5を参照して、本実施形態の光源駆動装置100における発光遅延について説明する。本実施形態では、駆動電流のオーバーシュートにより、LDの発光遅延時間を短縮して応答特性を改善するものである。
【0024】
本実施形態の発光遅延時間とは、光源駆動装置100において、LDに対する駆動電流の供給が開始されてから、LDが所定の光量を出力するまでの時間を示す。本実施形態の発光遅延時間には、LDと回路とを接続する配線等に発生する寄生容量の充電時間と、LDに駆動電流が供給されてからLDが所定の光量を出力するまでのLD自体の応答時間とが含まれる。この応答時間は、LDの特性に依存するものである。尚以下の説明では、LDが所定の光量を出力することを光出力と呼ぶ。
【0025】
以下に図3を参照して寄生容量について説明する。図3は、レーザダイオードの寄生容量を説明する図である。例えば本実施形態のLDをLDドライバ200等の回路と共に回路基板等に実装した場合、LDとLDドライバ200等の回路とを接続する配線に寄生容量が発生する。またLDやLDドライバ200等の回路がパッケージ化されている場合、パッケージ等の寄生容量も存在する。図3では、これらの寄生容量をまとめてCとして示す。
【0026】
寄生容量Cが存在する状態でLDに所定電流Iopが供給されると、所定電流Iopの一部の電流Icは寄生容量Cに供給されて寄生容量Cの充電を行う。尚所定電流Iopは、LDから所定光量を得るために必要な電流である。寄生容量Cが所定電流Iopにより充電されている間、LDには、所定電流Iopの一部である電流(Iop−Ic)が供給される。そして寄生容量Cの充電が完了すると、所定電流IopがLDに対して供給される。すなわち本実施形態では、電流Icによる寄生容量Cの充電時間は、LDには所定電流Iopの一部の電流(Iop−Ic)しか供給されないため、光出力を得られない時間となる。
【0027】
次に図4を参照してLDの応答時間について説明する。図4は、電流値とレーザダイオードの応答時間との関係を説明する図である。図4(A)は、電流値と光量及び電圧との関係を示す図であり、図4(B)は電流波形を示す図である。
【0028】
図4(A)では、横軸が電流値を示し、縦軸がLDの光量と、電流値に対応した電圧値と、を示す。LDの光量は、LDの光量に基づきPDから出力される信号により示される。LDに供給される電流値が発光閾値電流Ithとなると、LDからの発光が検出される。そしてLDは、電流値が所定電流Iopとなると所定の光量Poを出力する。尚所定電流Iopは、LDの特性により予め設定される値である。本実施形態では、LDの光量がPoとなるまでの時間をLDの応答時間とする。図4(B)に示すように、本実施形態のLDの応答時間はt3となる。尚図4(A)、(B)に示す電流Ibは、バイアス電流である。バイアス電流の詳細は後述する。
【0029】
次に図5を参照して本実施形態の発光遅延時間について説明する。図5は、第一の実施例の光源駆動装置における発光遅延時間を説明する図である。図5(A)は駆動電流をオーバーシュートさせない場合の波形を示し、図5(B)は従来技術を適用した場合の波形を示し、図5(C)は本実施形態の光駆動装置による波形を示す図である。
【0030】
図5(A)では、駆動電流Ikである所定電流Iopの供給が開始されてからLDの光量がPoとなるまでの発光遅延時間はT1である。このときの光出力波形を積分した積分光量(領域S1の面積)をS10とする。また図5(A)では、駆動電流Ikに対して発光遅延時間がない理想的な光出力波形を示しており、この理想的な光出力波形を積分した積分光量(領域S2の面積)をS20とする。
【0031】
これに対し、図5(B)では、駆動電流Ikの立ち上がりの期間Toだけ電流値を所定電流IopからIoまでオーバーシュートさせている。このときLDの光量がPoとなるまでの発光遅延時間はT2である。図5(B)では、駆動電流Ikのオーバーシュートにより、LDの光量がPoの発光遅延時間をT3からT2に短縮している。
【0032】
ここで図5(B)の光出力波形の積分光量(領域S3の面積)をS30とすると、S30>S20となる。これは駆動電流IkのオーバーシュートによりLDに過大な電流が供給されたことを示している。すなわち図5(B)の例では、発光遅延時間を短縮することはできるが、LDに過大な電流が印加されるためにLDの劣化を早める可能性がある。
【0033】
そこで本実施形態では、図5(C)に示すように、光出力波形の積分光量(領域S4の面積)S40が積分光量S20に近づくように、駆動電流Ikをオーバーシュートさせる。
【0034】
本実施形態の光源駆動装置100は、図5(C)に示すように、駆動電流Ikの立ち上がりからLDの発光が検出されるまでの期間Tovだけ駆動電流Ikを所定電流IopからIovまでオーバーシュートさせる。
【0035】
本実施形態では、このように駆動電流Ikを制御することで、例えばオーバーシュートさせた駆動電流Ikにより、短時間で寄生容量Cの充電を行い、発光遅延時間に含まれる寄生容量Cの充電時間に相当する時間を短縮できる。また本実施形態において、寄生容量Cの充電後にLDに供給される駆動電流Ikの電流値は、LDの特性に合わせて設定された所定電流Iopであるため、過大な電流の供給によるLDの劣化を抑制できる。
【0036】
すなわち本実施形態では、駆動電流Ikの供給が開始されてからLDの発光が検出されるまでの期間より短い期間、駆動電流Ikをオーバーシュートさせる。そしてオーバーシュートさせた分の電流によりLDの寄生容量Cの充電を行うことで、寄生容量Cの充電時間とLDの応答時間とを含む発光遅延時間をLDの応答時間と同程度まで短縮する。尚以下の本実施形態の説明では、駆動電流Ikを所定電流Iopからオーバーシュートさせた分の電流をオーバーシュート電流と呼ぶ。図5(C)の例では、オーバーシュート電流Ivは、電流(Iov−Iop)となる。
【0037】
以上の構成から、本実施形態では、光源の寄生容量Cが大きいほど発光遅延時間を短縮でき、応答特性を改善することができる。寄生容量Cが大きい光源とは、例えば赤色レーザやレーザアレイ、赤色レーザアレイ、例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)等の面発光レーザ等がある。
【0038】
図2に戻って、本実施形態の光源駆動装置100による駆動電流Ikの制御について説明する。
【0039】
本実施形態の光源駆動装置100は、CPU110とLDドライバ200とにより、駆動電流Ikの制御を行う。具体的には光源駆動装置100は、駆動電流Ikをオーバーシュートさせる期間Tovとオーバーシュート後の電流値Iovを算出し、期間Tovとオーバーシュート電流Ivを設定する。本実施形態の以下の説明では、期間Tovをオーバーシュート期間Tovと呼ぶ。
【0040】
以下に本実施形態のLDドライバ200について説明する。本実施形態のLDドライバ200は、LDインターフェイス210、バイアス電流源220、変調電流源230、オーバーシュート電流原240、スイッチ250、260を有する。
【0041】
LDインターフェイス210は、CPU110からの各種信号に基づきスイッチ250、260へオン/オフを制御する信号を供給する。LDインターフェイス210の詳細は後述する。
【0042】
バイアス電流源220、変調電流源230、オーバーシュート電流原240は、LDの駆動電流Ikを生成する。本実施形態の駆動電流Ikは、各電流源から出力される電流値を加算した電流である。
【0043】
バイアス電流源220は、所定のバイアス電流Ibを生成する。変調電流源230は、CPU110からの制御信号に基づき、所定の変調電流Ihを生成する。変調電流源230は、スイッチ250を介してLDと接続されている。スイッチ250は、例えばトランジスタ等により構成され、LDインターフェイス210を介して供給される変調信号に基づきオン/オフが制御される。また変調電流Ihの値は、CPU110からの指示により設定される。
【0044】
オーバーシュート電流源240は、変調信号の立ち上がりに、変調電流Ihを補助する駆動補助電流としてのオーバーシュート電流Ivを生成する。オーバーシュート電流源240は、スイッチ260を介してLDと接続されている。スイッチ260は、例えばトランジスタ等により構成され、LDインターフェイス210を介して供給されるオーバーシュート生成信号に基づきオン/オフが制御される。具体的には本実施形態のスイッチ260は、変調信号の立ち上がりからオーバーシュート期間Tovの間オンとされる。
【0045】
次にLDインターフェイス210について説明する。本実施形態のLDインターフェイス210は、セレクタ211、点灯パターン記憶部212を有する。
【0046】
セレクタ211は、CPU110から指示に従い、LDドライバ200に入力される書込制御信号か、又は点灯パターン記憶部212に格納された点灯パターン信号かの何れか一方を変調信号として選択する。点灯パターン記憶部212は、オーバーシュート電流Ivを算出する際に用いられるLDの点灯パターン信号が格納されている。
【0047】
以下に図6を参照して本実施形態の光源駆動装置100からLDへ供給される駆動電流Ikについて説明する。図6は、第一の実施形態における駆動電流を説明する図である。
【0048】
本実施形態の駆動電流Ikは、バイアス電流Ibと、変調電流Ihと、オーバーシュート電流Ivとを加算した電流である。
【0049】
本実施形態の所定電流Iopは、バイアス電流Ibと変調電流Ihとを加算した電流である。バイアス電流Ibは、LDの応答時間を短縮するために予め流しておく電流である。本実施形態では、バイアス電流Ibを常時流しておくことで、変調電流Ihが供給されてから駆動電流Ikが所定電流Iopに達する時間を短縮する。尚バイアス電流Ibは、予め設定された値であり、例えば発光閾値電流Ithよりも小さい値であることが好ましい(図4参照)。
【0050】
変調電流Ihは、変調信号により制御されるスイッチ250のオン/オフに合わせてLDへ供給される。本実施形態の変調電流Ihは、バイアス電流Ibとの和が所定電流Iopとなるように設定されている。
【0051】
オーバーシュート電流Ivは、オーバーシュート生成信号によりオン/オフが制御されるスイッチ260のオン/オフに合わせてLDへ供給される。本実施形態では、CPU110の指示によりセレクタ160が選択したパルス信号がオーバーシュート生成信号となる。またオーバーシュート期間Tovは、オーバーシュート生成信号のパルス幅により決められる。
【0052】
本実施形態の光源駆動装置100は、CPU110の処理により、駆動電流Ikの供給を開始してからLDの発光が検出されるまでの期間を算出してオーバーシュート期間Tovとする。また本実施形態の光源駆動装置100は、CPU110の処理により、光出力波形を理想の波形に近づけるようにオーバーシュート電流Ivを算出する(図5参照)。
【0053】
以下に図7を参照して本実施形態の光源駆動装置100のCPU110の機能について説明する。図7は、第一の実施形態の光源駆動装置のCPUの機能構成を示す図である。
【0054】
本実施形態のCPU110は、指示受付部111、Tov値設定部112、Iv値設定部113、閾値記憶部114を有する。
【0055】
指示受付部111は、画像形成装置10の動作に基づくオーバーシュート期間Tovとオーバーシュート電流Ivの設定指示を受け付ける。本実施形態では、光源駆動装置100からLDへの駆動電流Ikの供給が途切れた後に、再度LDへの駆動電流Ikの供給を開始する際に設定指示を受け付ける。この設定指示は、例えば画像形成装置10の動作全体を制御するメインCPU(図示せず)等からCPU110へ通知されても良い。本実施形態では、具体的には、例えば画像形成装置10がスリープモードから起動するときや、画像形成装置10の筐体に設けられたドアが開かれた後に閉じられたとき等に設定指示を受け付ける。
【0056】
Tov値設定部112は、パルス選択部1121、積分光量算出部1122、Tov閾値判定部1123を有し、オーバーシュート期間Tovを算出して設定する。Iv値設定部113は、電流値選択部1131、積分光量算出部1132、Iv閾値判定部1133を有し、オーバーシュート電流Ivを算出して設定する。閾値記憶部114には、Tov値設定部112で用いられるTov閾値1141と、Iv値設定部113で用いられるIv閾値1142とが格納されている。
【0057】
Tov閾値1141は、LDの発光が検出されたか否かを判断するための閾値である。Iv閾値1142は、LDの発光量が所定の光量となったか否かを判断するための閾値である。Tov値設定部112とIv値設定部113の処理の詳細は後述する。
【0058】
以下に図8を参照して本実施形態のCPU110の処理を説明する。図8は、第一の実施形態のCPUの処理を説明するフローチャートである。
【0059】
本実施形態のCPU110は、画像形成装置10のメインCPU等から設定指示を受け付けると(ステップS81)、始めにTov値設定部112によりオーバーシュート期間Tovを設定する(ステップS82)。続いてCPU110は、Iv値設定部113によりオーバーシュート電流Ivを設定する(ステップS83)。
【0060】
このように本実施形態のCPU110は、始めにオーバーシュート期間Tovを設定してからオーバーシュート電流Ivを設定する。
【0061】
次に、図9を参照して本実施形態のTov値設定部112によるオーバーシュート期間Tovの設定について説明する。図9は、第一の実施形態のTov値設定部の処理を説明するフローチャートである。
【0062】
本実施形態では、LDに対する所定電流Iopの供給が開始されてから、LDの発光が検出されるまでの時間を、オーバーシュート期間Tovに設定する。
【0063】
本実施形態のCPU110において指示受付部111が設定指示を受け付けると、Tov値設定部112はメモリ120から所定電流Iopを読み出し、DAC130を介してオーバーシュート電流源240に所定電流Iopを出力させる(ステップS91)。尚所定電流Iopは予めメモリ120に格納されているものとする。またこのとき、バイアス電流Ibと変調電流Ihとはオフされており、LDに供給される電流はオーバーシュート電流源240から出力される所定電流Iopのみとする。
【0064】
続いてTov値設定部112は、パルス選択部1121により、セレクタ160に対してパルス信号の選択指示信号を出力する(ステップS92)。このとき本実施形態のパルス選択部1121は、LDの発光が検出されたか否かを判断するために、セレクタ160に対してパルス幅の狭いパルス信号から順に選択させる。
【0065】
セレクタ160においてパルス信号が選択されると、LDドライバ200を介して選択されたパルス信号がオーバーシュート生成信号としてスイッチ260へ供給される。本実施形態のスイッチ260は、パルス信号が供給されている期間オンとされるものである。したがってスイッチ260がオンとなると、所定電流IopがLDに供給される。
【0066】
続いて積分光量算出部1122は、LDの光量に基づきPDから出力される電気信号の波形をLPF140により積分して積分光量を算出し、ADC150により積分光量をデジタル値として検出する(ステップS93)。
【0067】
続いてTov閾値判定部1123は、閾値記憶部114に格納されたTov閾値を参照し、積分光量がTov閾値以上であるか否かを判断する(ステップS94)。ステップS94において、積分光量がTov閾値以上である場合、Tov閾値判定部1123はLDの発光が検出されたものと判断し、ステップS92で選択されたパルス信号より一つ前に選択されたパルス信号のパルス幅をオーバーシュート期間Tovに設定する(ステップS95)。
【0068】
ステップS94において積分光量がTov閾値未満の場合、Tov値設定部112はステップS92へ戻り、次に幅の狭いパルス信号を選択する。
【0069】
以下に図10を参照して、オーバーシュート期間Tovについてさらに説明する。図10は、オーバーシュート期間Tovを説明する図である。図10の(1)〜(4)では、セレクタ160においてパルス幅の狭いパルス信号から順に選択された際のPDの出力波形を示している。尚PDから出力される電気信号は、抵抗R1により電圧値に変換されて、LPF140へ供給される。
【0070】
図10に示す(1)では、セレクタ160において最初に選択されるパルス信号P10がLDに供給された場合のPDの出力波形を示している。パルス信号P10は、セレクタ160で選択可能なパルス信号のうちパルス幅が最も狭い信号であり、パルス幅をP1とする。このときPDの出力は現れず、積分光量は0である。したがって、LDが発光していないことがわかる。
【0071】
図10に示す(2)では、パルス幅P2のパルス信号P20が選択された場合のPDの出力波形を示している。このときPDの出力がわずかに現れ、積分光量がS1である。
【0072】
図10に示す(3)では、パルス幅P3のパルス信号P30が選択された場合のPDの出力波形を示している。このときPDの出力がわずかに現れ、積分光量がS2である。
【0073】
本実施形態では、このようにパルス信号のパルス幅を徐々に広げていき、PDの出力波形の積分光量が、Tov閾値以上となったとき、LDの発光を検出したものとする。
【0074】
Tov閾値は、LDが光量Poを出力している際のPDの出力波形の積分光量(以下、全体積分光量)に対する、パルス信号によるLDの発光に対応したPDの出力波形の積分光量の割合である。本実施形態では、Tov閾値は、全体積分光量の数%程度に設定しても良い。本実施形態では、例えばTov閾値を5%とした。この場合、PDの出力波形の積分光量が、全体積分光量の5%以上となったとき、LDが発光していると判断する。
【0075】
図10において、例えば積分光量S1が全体積分光量の3%程度であり、積分光量S2が全体積分光量の10%程度であるとしたら、Tov値設定部112はパルス幅P2をオーバーシュート期間Tovに設定する。
【0076】
本実施形態では、以上の構成により、駆動電流Ikが供給されてからLDの発光が検出されるまでの期間を算出し、オーバーシュート期間Tovとして設定することができる。
【0077】
尚本実施形態では、PDの出力波形の積分光量がTov閾値以上となったときに選択されていたパルス信号の直前に選択されていたパルス信号の幅をオーバーシュート期間Tovとして設定したが、これに限定されない。本実施形態では、PDの出力波形の積分光量がTov閾値以上となったときに選択されていたパルス信号のパルス幅よりも短い期間をオーバーシュート期間Tovとすれば良い。
【0078】
次に図11を参照してIv値設定部113によるオーバーシュート電流Ivの設定について説明する。図11は、第一の実施形態のIv値設定部の処理を説明するフローチャートである。
【0079】
本実施形態のIv値設定部113は、点灯パターン信号に基づきLDを発光させた際のPDの出力波形の積分光量が、Iv閾値以上となったときの電流値をオーバーシュート電流Ivとして設定する。Iv閾値は、点灯パターン信号1周期分の積分光量に対するPDの出力波形の積分光量の割合を示す値である。
【0080】
まず始めにIv値設定部113は、Tov値設定部112によるオーバーシュート期間Tovの設定が行われたか否かを判断する(ステップS1101)。ステップS1101においてオーバーシュート期間Tovが設定されていた場合、Iv値設定部113はメモリ120から所定電流Iopを読み出す(ステップS1102)。尚本実施形態では、変調信号Ihとバイアス電流Ibとを加算した電流が、所定電流Iopとなるように、CPU110により変調電流源230が制御される。
【0081】
続いてIv値設定部113は、LDドライバ200のセレクタ211に対して、点灯パターン記憶部212に格納された点灯パターン信号を読み出して選択するように指示を行う(ステップS1103)。LDドライバ200において、セレクタ211が点灯パターン信号を選択すると、点灯パターン信号が変調信号としてスイッチ250へ供給される。本実施形態の点灯パターン信号は、1画素分LDを点灯させ、1画素分LDを消灯させるように予め生成された信号である。
【0082】
続いてIv値設定部113は、電流値選択部1131により、電流値を選択する電流値選択信号をDAC130へ出力する(ステップS1104)。電流値選択部1131は、DAC130において出力可能な電流値のうち、値の小さい電流値から順に選択する。
【0083】
DAC130は、CPU110から電流値選択信号を受けると、選択された電流値をアナログ値に変換してオーバーシュート電流源240へ出力する。オーバーシュート電流源240は、選択された電流値をLDへ供給する。このときスイッチ260には、点灯パターン信号の立ち上がりと同期して、オーバーシュート生成信号が供給される。このオーバーシュート生成信号は、Tov値設定部112により設定さたれオーバーシュート期間Tovだけ、スイッチ260をオンとする。
【0084】
続いてIv値設定部113は、積分光量算出部1132により、PDの出力波形の積分光量がIv閾値以上であるか否かを判断する(ステップS1106)。ステップS1106において、積分光量がIv閾値以上であるとき、Iv値設定部113はこのとき選択した電流値をオーバーシュート電流Ivとして設定する(ステップS1107)。ステップS1106において、積分光量がIv閾値未満であるとき、Iv値設定部113はステップS1104へ戻り、次に大きい電流値を選択する。
【0085】
以下に図12を参照して、オーバーシュート電流Ivについてさらに説明する。図12は、オーバーシュート電流Ivを説明する図である。
【0086】
図12では、PDの出力波形を発光遅延のない理想的な波形に近づけるために、Iv閾値を50%とした場合を示している。
【0087】
図12の(1)は、電流値選択部1131により電流値が選択されておらず、駆動電流Ikが点灯パターン信号に同期した所定電流Iopとなる場合のPDの出力波形を示す。この場合、点灯パターン信号の1周期分の期間HにおけるPDの出力波形の積分光量は、50%未満となる。
【0088】
図12の(2)は、電流値選択部1131により、最も小さい電流値Iv′が選択された場合のPDの出力波形を示す。このとき駆動電流Ikは、立ち上がりからオーバーシュート期間Tovの間、電流値Iv′分オーバーシュートされる。このときも、点灯パターン信号の1周期分の期間HにおけるPDの出力波形の積分光量は50%未満である。
【0089】
続いて図12の(3)は、電流値選択部1131により、電流値Iv′よりも大きい電流値Ivが選択された場合のPDの出力波形を示す。このとき駆動電流Ikは、立ち上がりからオーバーシュート期間Tovの間、電流値Iv分オーバーシュートされる。この場合、点灯パターン信号の1周期分の期間HにおけるPDの出力波形の積分光量は50%以上となる。したがってIv値設定部113は、電流値Ivをオーバーシュート電流として設定する。
【0090】
以上に説明したように、本実施形態では、駆動電流Ikの立ち上がりからLDの発光が検出されまでの時間を検出し、この時間より短い期間をオーバーシュート期間Tovに設定する。また本実施形態では、PDの出力波形の積分光量が発光遅延のない理想的な波形の積分光量に近づくように予め設定されたIv閾値に基づき、オーバーシュート電流Ivを設定する。
【0091】
本実施形態では、設定されたオーバーシュート期間Tovとオーバーシュート電流Ivとに基づき駆動電流Ikを制御することで、短時間で寄生容量Cの充電を行うことができ、且つLDの発光開始後は所定電流IopのみがLDに供給される構成とすることができる。したがって本実施形態によれば、発光素子の劣化を抑制しつつ、駆動電流のオーバーシュートにより光出力の応答特性を改善することができる。
【0092】
尚本実施形態では、オーバーシュート期間Tovとオーバーシュート電流Ivを共に算出して設定する構成としたが、これに限定されない。例えばオーバーシュート期間Tovとオーバーシュート電流Ivのうち、何れか一方は予め設定された初期値としてメモリ120に格納されていても良い。
【0093】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、LDを複数有する点が第一の実施形態と相違する。したがって本発明の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0094】
図13は、第二の実施形態の光源駆動装置の概略を説明する図である。本実施形態の光源駆動装置100Aは、複数のLDと、LDドライバIC300とを有する。LDドライバICには、各LD毎に設けられた複数のLDドライバ200が含まれる。
【0095】
CPU110Aは、各LDドライバ200において、第一の実施形態で説明した処理と同様の処理を行い、各LDに供給される駆動電流Ikのオーバーシュート期間Tovとオーバーシュート電流Ivとを設定する。
【0096】
図14は、第二の実施形態のTov値設定部の処理を説明するフローチャートである。本実施形態のCPU110Aは、複数のLDから制御対象となる駆動電流Ikの供給先となるLDを選択する(ステップS1401)。続いてCPU110Aは、メモリ120から、選択されたLDに対応した所定電流Iopを読み出す(ステップS1402)。尚本実施形態では、メモリ120に複数のLD毎に対応した所定電流Iopが格納されているものとした。
【0097】
ステップS1403からステップS1406までの処理は、図9のステップS92からステップS95までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0098】
ステップS1406に続いて、CPU110Aは、全てのLDに対してオーバーシュート期間Tovを設定したか否かを判断する(ステップS1407)。ステップS1407において全てのLDに対してオーバーシュート期間Tovが設定されていた場合、Tov値設定部112は処理を終了する。ステップS1407において、全てのLDにオーバーシュート期間Tovが設定されていない場合、ステップS1401へ戻る。
【0099】
図15は、第二の実施形態のIv値設定部の処理を説明するフローチャートである。本実施形態のCPU110Aは、全てのLDに対してオーバーシュート期間Tovが設定されたか否かを判断する(ステップS1501)。ステップS1501で全てのLDに対してオーバーシュート期間Tovが設定されていた場合、CPU110Aは、複数のLDから制御対象となる駆動電流Ikの供給先となるLDを選択する(ステップS1502)。続いてCPU110Aは、メモリ120から、選択されたLDに対応した所定電流Iopを読み出す(ステップS1503)。
【0100】
ステップS1504からステップS1508までの処理は、図11のステップS1103からステップS1107までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0101】
ステップS1508に続いて、CPU110Aは、全てのLDに対してオーバーシュート電流Ivを設定したか否かを判断する(ステップS1509)。ステップS1509において全てのLDに対してオーバーシュート電流Ivが設定されていた場合、Iv値設定部113は処理を終了する。ステップS1509において、全てのLDにオーバーシュート電流Ivが設定されていない場合、ステップS1502へ戻る。
【0102】
本実施形態では、以上の処理により、複数のLDを駆動させる光源駆動装置100Aにおいても、第一の実施形態と同様に、発光素子の劣化を抑制しつつ、駆動電流のオーバーシュートにより光出力の応答特性を改善することができる。
【0103】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0104】
10 画像形成装置
100、100A 光源駆動装置
110、110A CPU
111 指示受付部
112 Tov値設定部
113 Iv値設定部
114 閾値記憶部
120 メモリ
160 セレクタ
200 LDドライバ
210 LDインターフェイス
220 バイアス電流源
230 変調電流源
240 オーバーシュート電流源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2010−68033号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から所定光量を得る所定電流と、前記所定電流の立ち上がりと同期して加算されるオーバーシュート電流とから生成される駆動電流により、前記光源を駆動させる光源駆動装置であって、
前記オーバーシュート電流を加算するオーバーシュート期間を算出して設定するオーバーシュート期間設定手段と、
前記オーバーシュート電流の電流値を算出して設定するオーバーシュート電流設定手段と、を有し、
前記オーバーシュート期間は、前記駆動電流の立ち上がりから前記光源の発光が検出されるまでの期間よりも短くなるように設定される光源駆動装置。
【請求項2】
前記オーバーシュート電流設定手段は、
前記オーバーシュート期間設定手段により前記オーバーシュート期間が設定された後に、前記オーバーシュート電流の設定を行う請求項1記載の光源駆動装置。
【請求項3】
前記光源から発光された光を受光し、受光した光量に対応する大きさの信号を出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された信号波形を積分する積分手段と、を有し、
前記オーバーシュート期間設定手段は、
前記受光素子から出力された前記信号波形の積分値が予め設定されたオーバーシュート期間閾値以上となったとき、前記光源が発光したと判断する請求項1又は2記載の光源駆動装置。
【請求項4】
複数の幅のパルス信号から選択されたパルス信号を出力するパルス信号出力手段と、
前記パルス信号と同期した前記所定電流を前記光源へ供給する第一の電流源と、を有し、
前記オーバーシュート期間設定手段は、
前記パルス信号出力手段から、前記幅の狭い順に前記パルス信号を選択するパルス選択手段と、
選択された前記パルス信号と同期した前記所定電流による前記光源の発光に対応した前記受光素子の信号波形の積分値が、前記オーバーシュート期間閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記オーバーシュート期間設定手段は、
前記積分値が前記オーバーシュート期間閾値以上となったときに前記選択された前記パルス信号よりも前に選択された前記パルス信号の幅に対応する時間をオーバーシュート期間とする請求項3記載の光源駆動装置。
【請求項5】
前記光源を所定期間点灯させ、所定期間消灯させる点灯パターン信号が格納された点灯パターン記憶手段と、
前記点灯パターン信号と同期して前記所定電流を前記光源へ供給する第二の電流源と、を有し、
前記オーバーシュート電流設定手段は、
前記所定電流に加算される電流値を小さい値から順に選択する電流値選択手段と、
前記所定電流に前記電流値を加算した電流が前記光源に供給されたときの前記受光素子の前記信号波形の積分値が、予め設定されたオーバーシュート電流閾値以上であるか否かを判定するオーバーシュート電流判定手段と、を有し、
前記積分値が前記オーバーシュート電流閾値以上となったとき、前記電流値をオーバーシュート電流に設定する請求項1ないし4の何れか一項に記載の光源駆動装置。
【請求項6】
光源から所定光量を得る所定電流と、前記所定電流の立ち上がりと同期して加算されるオーバーシュート電流とから生成される駆動電流により、前記光源を駆動させる光源駆動装置を有する画像形成装置であって、
前記光源駆動装置は、
前記オーバーシュート電流を加算するオーバーシュート期間を算出して設定するオーバーシュート期間設定手段と、
前記オーバーシュート電流の電流値を算出して設定するオーバーシュート電流設定手段と、を有し、
前記オーバーシュート期間は、前記駆動電流の立ち上がりから前記光源の発光が検出されるまでの期間よりも短くなるように設定される画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−240319(P2012−240319A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113138(P2011−113138)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】