説明

光硬化性組成物およびそれを用いた表示素子

【課題】光硬化性組成物に対して一般的に求められている高感度、塗布均一性、現像性、耐熱性、保存安定性等の特性を満足し、かつ、直径10μm以下の小さなパターンを形成した場合でも十分な硬度を有する膜を形成できる、光硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】上記課題は、オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である、光硬化性組成物によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示素子やEL表示素子などを製造するための感光性組成物、該組成物から製造した透明膜またはスペーサー、および該透明膜または該スペーサーを含む表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化された透明膜は、スペーサー、絶縁膜、保護膜等の液晶表示素子の多くの部分で使用されており、これまでに多くの感光性組成物がこの用途に提案されてきた[例えば、特開2001−302712公報(特許文献1)を参照]。特に近年では、高精細液晶ディスプレイや携帯電話用ディスプレイの需要が高まっていることにより、液晶ディスプレイにおける液晶層の厚みを一定に保つスペーサーの用途において十分な硬度を有した微細なパターンが求められるようになっている。従来の光硬化性組成物を使用した場合は、スペーサーの直径が小さくなると上からの圧縮力によって大きく変形するようになり、液晶ディスプレイに衝撃が加わった場合に光抜け等の不良が発生する割合が高かった。また、これを防止するために、スペーサーの数を増やすという方法もあるが、パネル設計の自由度を制限することになってしまう。
【特許文献1】特開2001−302712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの状況を考慮して、高感度、塗布均一性、現像性、耐熱性、保存安定性等重合体組成物に対して一般的に求められている特性を満足し、かつ、直径10μm以下の小さなパターンを形成した場合でも十分な硬度を有する光硬化性組成物が望まれている。この組成物またはこの組成物を用いた透明膜およびスペーサーでは硬度等の特性が向上し、それらを用いた表示素子の表示品位が向上するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する感光性組成物において、オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)の合計量が、全モノマーの合計量に対し所定の量を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得ることにより、小さな(例えば、直径10μm以下)パターンを形成した場合でも十分な硬度を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下のような光硬化性組成物、当該組成物を用いた透明膜、スペーサー、およびこれらの透明膜やスペーサー用いた表示素子等を提供する。
【0005】
[1] オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、 アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、 ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを合計で91〜100重量%含有する、光硬化性組成物。
[2] オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを合計で95〜100重量%含有する、光硬化性組成物。
また、上記光硬化性組成物において、ラジカル重合性モノマーの混合物が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを合計で98〜100重量%含有することが好ましく、100重量%含有することがさらに好ましい。
[3] オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)とを合計で91〜100重量%含有する、光硬化性組成物。
[4] オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)とを合計で95〜100重量%含有する、光硬化性組成物。
また、上記光硬化性組成物において、ラジカル重合性モノマーの混合物が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)とを合計で98〜100重量%含有することが好ましく、100重量%含有することがさらに好ましい。
【0006】
[5] ラジカル重合性モノマーの混合物に含まれる、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)との重量比が、95:5〜50:50である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[6] ラジカル重合性モノマーの混合物に含まれる、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)との重量比が、95:5〜61:39である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[7] ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を5〜50重量%含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[8] オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)が、下記式(1)で表されるラジカル重合性モノマー、下記式(2)で表されるラジカル重合性モノマーまたはそれらの混合物である、[1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【化4】

(式(1)と式(2)中、R1とR2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数2〜5のアルキニル基であり;R3は単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。)
[9] オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)が、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキタセンである、[1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【0007】
[10] カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)が、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる1以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[11] 酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)が、無水マレイン酸および無水イタコン酸からなる群から選ばれる1以上である、[3]〜[10]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[12] アルカリ可溶性重合体(A)の酸価が20〜200mgKOH/gである、[1]〜[11]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[13] アルカリ可溶性重合体(A)の重量平均分子量が1,000〜100,000である、[1]〜[12]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【0008】
[14] 重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を有する化合物およびメタクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる1以上である、[1]〜[13]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[15] 重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を3〜20個有する化合物である、[14]に記載の光硬化性組成物。
[16] 重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を4〜6個有する化合物である、[14]に記載の光硬化性組成物。
[17] 重合性二重結合を有する化合物(B)が、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレートからなる群から選ばれる1以上である、[14]に記載の光硬化性組成物。
[18] 重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を3〜20個有する化合物を20重量%以上含有している、[14]〜[17]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【0009】
[19] 光重合開始剤(C)が下記式(3)
【化5】

(式中、R11、R12、R13はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数2〜5のアルキニル基であり;R14は炭素数1〜15のアルキル基、炭素数2〜15のアルケニル基または炭素数2〜15のアルキニル基であり、nはそれぞれ独立して1〜5の整数である。)
で表される化合物を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有する[1]〜[18]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[20] 光重合開始剤(C)が下記式(4)
【化6】

(式中、R21、R22、R23、R24は独立して炭素数1〜13のアルキル基、炭素数2〜13のアルケニル基または炭素数2〜13のアルキニル基;X1およびX2は独立して−O−、−O−O−、または−NH−である。)で表される化合物を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有する[1]〜[18]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[21] 光重合開始剤(C)が、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)から選ばれる1以上を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有する、[1]〜[18]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[22] 光重合開始剤(C)が、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを光重合開始剤(C)の全重量に対して80重量%以上含有する、[1]〜[18]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【0010】
[23] オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)をさらに含有する、[1]〜[22]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
[24] オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)が、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸から選ばれる1つ以上を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である、[23]に記載の光硬化性組成物。
[25] オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)が、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレート、N−フェニルマレイミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である、[23]に記載の光硬化性組成物。
[26] エポキシ基またはオキセタニル基を有するアルカリ不溶性重合体(E)をさらに含有する、[1]〜[25]のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【0011】
[27] [1]〜[26]のいずれかに記載の光硬化性組成物を用いて製造された透明膜。
[28] [1]〜[26]のいずれかに記載の光硬化性組成物を用いて製造されたスペーサー。
[29] [27]に記載の透明膜を含む表示素子。
[30] [28]に記載のスペーサーを含む表示素子。
【0012】
本明細書中、アクリル酸とメタクリル酸の両者を示すために「(メタ)アクリル酸」のように表記することがある。
本明細書中、「アルキル基」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
本明細書中、「アルケニル基」としては、1〜3個の2重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1,3−オクタジエニル、2−ノネニル、1,3−ノナジエニル、2−デセニル等が挙げられる。
「アルキニル基」としては、1〜3個の3重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、1−オクチニル、6−メチル−1−ヘプチニル、2−デシニル等が挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の好ましい態様に係る光硬化性組成物は、例えば、高感度、塗布均一性、現像性、耐熱性、保存安定性等光硬化性組成物に対して一般的に求められている特性を満足し、かつ、直径10μm以下の小さなパターンを形成した場合でも十分な硬度を有する。したがって、そのような光硬化性組成物を液晶表示素子のスペーサーとして用いると、液晶ディスプレイに衝撃が加わった場合に光抜けなどの不良が少なくなり、高精度な液晶表示素子を歩留まりよく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1 本発明の光硬化性組成物
本発明の第1の態様は、オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物に関する。ここで、オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)は、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得ることができる。このラジカル重合性モノマーの混合物は、さらに酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)等のラジカル重合性モノマーや、重合開始剤等の添加剤等を含有してもよい。
【0015】
1−1 オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)
上述したように、本発明で用いるオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)は、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)と、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を含有し、好ましくはさらに酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である。
以下、ここで用いられる成分(a1)、成分(a2)および成分(a3)について順次説明する。
【0016】
1−1−1 オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)に含有されるオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)は、そのような官能性基を有する限り特に限定されない。そのようなラジカル重合性モノマーの具体例としては、上記式(1)または上記式(2)で表される化合物である。さらに具体的には、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、等を挙げることができる。これらのラジカル重合性モノマーから選ばれる少なくとも1つを使用したオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)を用いると、透明性、耐熱性、耐薬品性が高く、膜の硬度も高いので好ましく、また安価で入手も容易であるから好ましい。
なお、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーは単独でも、または2つ以上を混合しても使用することができる。
【0017】
本発明の光硬化性組成物に含有されるオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)の重合に際しては、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)を、好ましくは、全モノマーの総重量に対して50〜95重量%用いる。このような範囲であると、本発明の光硬化性組成物から得られる透明膜の硬度が高くなるので好ましい。該モノマーの前記範囲が61〜95重量%であると、より硬度が高くなりより好ましい。さらに該モノマーの前記範囲が70〜95重量%であるとさらに膜の硬度が高くなるためより一層好ましい。
【0018】
1−1−2 カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)に含有されるカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)は、そのような官能性基を有する限り特に限定されない。そのようなラジカル重合性モノマーの具体例は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル] 、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]等である。中でも、(メタ)アクリル酸、イタコン酸が好ましく、特に(メタ)アクリル酸を用いると保存安定性に優れた光硬化性組成物が得られ、また光硬化性組成物から得られる透明膜の硬度が高くなるので一層好ましい。
【0019】
これらのカルボキシ基を有するラジカル重合性モノマーは単独でも、または2つ以上を混合しても使用することができる。
【0020】
本発明の光硬化性組成物において、アルカリ可溶性重合体(A)は、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であるが、このラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を5〜50重量%含有することが好ましく、さらに、5〜30重量%であることが好ましい。
【0021】
1−1−3 オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)に含まれる共重合体を誘導するラジカル重合性モノマーに含まれる(a1)および(a2)以外のラジカル重合性モノマー
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)に含有される酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)は、そのような官能性基を有する限り特に限定されない。酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)の具体例は、無水マレイン酸、無水イタコン酸等である。これらの酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーは単独でも、または2つ以上を混合しても使用することができる。
本発明の光硬化性組成物に含有されるオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)の重合に際しては、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)、および、酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)以外の他のラジカル重合性モノマーについて、前述のように現像性等の工程マージン等を考慮して、膜の硬度を低下させない範囲(好ましくは9重量%以下)で使用することができる。
【0022】
(a1)および(a2)以外のラジカル重合性モノマーであって、(a3)以外のラジカル重合性モノマーの具体例は、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルメチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N−アクリロイルモルホリン、インデン、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート等である。
これらのモノマーの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミドおよび5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート選ばれる少なくとも1つを共重合したオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)を用いた光硬化性組成物は現像性が良好であるために好ましい。
【0023】
1−1−4 オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)の重合方法
本発明の光硬化性組成物に含有されるオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)は、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を必須成分とし、任意に酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)等のモノマーを含有するラジカル重合性モノマーを重合させて得られる。
そして、本発明のアルカリ可溶性重合体(A)はラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であるが、当該ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)との合計量を91〜100重量%含有する。オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)との合計量は、好ましくは95〜100重量%、さらに好ましくは、98〜100重量%、より好ましくは100重量%含有することが好ましい。
また、ラジカル重合性モノマーの混合物に含まれる、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)との重量比が、95:5〜50:50であると本発明の光硬化性組成物のアルカリ水溶液での現像性が良好となり好ましい。前記重量比の範囲が95:5〜61:39であると、解像度が高くなるためより好ましく、さらに95:5〜70:30であると高感度であるためさらに好ましい。
【0024】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)は、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)と、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を含有し、必要に応じて、さらに酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である。
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)の重合方法は特に制限されないが、溶媒を用いた溶液中でのラジカル重合が好ましい。重合温度は使用する重合開始剤からラジカルが十分発生する温度であれば特に限定されないが、通常50℃〜150℃の範囲である。重合時間も特に限定されないが、通常3〜24時間の範囲である。また、当該重合は、加圧、減圧または大気圧のいずれの圧力下でも行うことができる。
【0025】
上記の重合反応に使用する溶媒は、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーとカルボキシ基を有するラジカル重合性モノマー、および生成するオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)を溶解する溶媒が好ましい。当該溶媒の具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、水等であり、これらの混合物であってもよい。
【0026】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)を合成する際用いる重合開始剤は、熱によりラジカルを発生する化合物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤や、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤を使用することができる。分子量を調節するために、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を適量添加してもよい。
【0027】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)の酸価は20〜200mgKOH/gが好ましい。この範囲の酸価であると、露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正となる。さらに、アルカリ可溶性重合体(A)の酸価が25〜150mgKOH/gであると、現像時間が適正であり、現像時の膜荒れが少なく、一層好ましい。特に、酸価が30〜120mgKOH/gであるとなお一層好ましい。
【0028】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)は、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が1,000〜100,000の範囲であると、露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像時に膜の表面が荒れないので好ましい。さらに、この重量平均分子量が1,500〜50,000の範囲であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像時に膜の表面が荒れず、現像残渣も無いので、一層好ましい。特に、重量平均分子量が2,000〜20,000の範囲であるとより一層好ましい。
【0029】
1―2 重合性二重結合を有する化合物(B)
本発明で用いる重合性二重結合を有する化合物(B)は、そのような重合性二重結合を有すれば、特に限定されるものではない。重合性二重結合を有する化合物(B)はアクリロイル基を有する化合物およびメタクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる1以上であることが好ましい。また、重合性二重結合を有する化合物(B)は、アクリロイル基を3〜20個有する化合物であることが好ましく、さらにアクリロイル基を4〜6個有することが好ましい。
本発明で用いる重合性二重結合を有する化合物(B)の具体例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール]アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリグルセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、(メタ)アクリル化イソシアヌレート等である。
これらの重合性二重結合を有する化合物の中でもペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、またはこれらの混合物は硬化速度を早くする効果があり好ましい。
【0030】
これらの重合性二重結合を有する化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0031】
重合性二重結合を有する化合物(B)は現像時の接着性にも大きく影響する。重合性二重結合を3個以上有する化合物を、重合性二重結合を有する化合物(B)に対して20重量%以上含有するように調製すると、現像時の接着性が向上するので好ましい。
【0032】
重合性二重結合を有する化合物(B)は、製造される光硬化性組成物を用いた透明膜等のパターンザイズにも大きく影響する。中でもペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートを、重合性二重結合を有する化合物(B)に対して20重量%以上含有するように調製すると、パターンサイズがマスク寸法に近くなるので、より一層好ましい。
【0033】
1−3 光重合開始剤(C)
本発明の光硬化性組成物に含有される本発明の光重合開始剤(C)は、そのような組成物の重合を開始し得るものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、紫外線や可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物等があげられる。
【0034】
光重合開始剤(C)として用いられる上記式(3)の化合物としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)が好ましい。本化合物はチバスペシャリティーケミカルズ(株)製IRGACURE(商標)OXE01として市販されている。
【0035】
上記式(3)の化合物が光重合開始剤(C)の20重量%以上であると、パターンサイズがマスク寸法に近くなり好ましい。さらに、50重量%以上であるとより好ましい。光重合開始剤(C)は上記式(3)の化合物を単独または2つ以上を含んでも良い。また、光重合開始剤(C)が上記式(3)の化合物からなるものでもよい。
【0036】
光重合開始剤(C)として用いられる上記式(4)の化合物としては、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
特に、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンは、各種溶媒への溶解性が高く、高感度であり、また光硬化性組成物としたときの保存時に結晶が析出しないので、好ましい。上記化合物は、例えば、特開2000−159827に記載されている方法で合成できる。これら3種類の化合物の混合物は実施例で使用するので、本明細書において「BT2」と略す。
【0037】
式(4)の化合物が光重合開始剤(C)の全重量に対し20重量%以上であると、パターンサイズがマスク寸法に近くなり好ましい。さらに、50重量%以上であるとより好ましい。光重合開始剤(C)が上記式(4)の化合物からなるものでもよい。また、光重合開始剤(C)は上記式(4)の化合物を単独または2つ以上を含んでも良い。
さらには、光重合開始剤(C)として、上記式(3)の化合物と上記式(4)の化合物を組合わせて用いることもできる。
【0038】
式(3)の化合物、または式(4)の化合物と混合して用いられる光重合開始剤の具体例は、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、等である。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
【0039】
光重合開始剤(C)が、上記式(3)の化合物および/または上記式(4)の化合物と、他の光重合開始剤との混合物である場合、他の光重合開始剤が、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、から選ばれる化合物であると、高感度であるため好ましい。他の光重合開始剤は、2つ以上を混合して用いてもよい。
【0040】
1−4 溶媒
本発明で用いる溶媒は、沸点が100℃〜200℃である化合物の1つ以上、またはこの化合物を20重量%以上含有する混合溶媒であることが好ましい。沸点が100℃〜200℃である化合物の具体例は、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド等である。
【0041】
これらの溶媒の中でも、光硬化性組成物に含まれる溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、および乳酸エチルから選ばれる少なくとも1つを用いると、塗布均一性が高くなるのでより好ましい。特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、および乳酸エチルから選ばれる少なくとも1つを用いると、光硬化性組成物は塗布均一性が高く、人体への安全性が高くなるため、より一層好ましい。
【0042】
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒、3−メトキシプロピオン酸メチルとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと3−メトキシプロピオン酸メチルとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒は、大型基板への塗布に使用されるスリットコーターでの塗布均一性に優れるために好ましい。
【0043】
1−5 光硬化性組成物の組成
本発明のオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物において、本発明のオキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)の重量比は、オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)100に対し、重合性二重結合を有する化合物(B)が30〜500であることが好ましい。また、オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)100に対し、光重合開始剤(C)が1〜30であることが好ましい。さらに、固形分濃度が10〜50重量%となるように溶媒が配合されることが好ましい。
【0044】
1−5−1 オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)
本発明の光硬化性組成物には、オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)を添加してもよい。オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)を含有させると、本発明の光硬化性樹脂の膜の復元率を向上させることができる。
オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)として、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸から選ばれる1つ以上を必須成分として含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体を使用すると、膜の硬さが低下しないので好ましい。
さらに、オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)が、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニリアクリレート5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレートです。N−フェニルマレイミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを必須成分として含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であると、現像性が良好であるためにより一層好ましい。
【0045】
オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)で求めた重量平均分子量は、1,000〜50,000の範囲であると、現像時間が適正であるので好ましい。
本発明の光硬化性組成物において、オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)の添加量は、アルカリ可溶性重合体(A)100に対し、(D)が20〜200であることが好ましい
【0046】
1−5−2 エポキシ基またはオキセタニル基を有するアルカリ不溶性重合体(E)
本発明の光硬化性組成物には、耐薬品性を向上させるために、エポキシ基またはオキセタニル基を有するアルカリ不溶性重合体(E)を添加することができる。
エポキシ基またはオキセタニル基を有するアルカリ不溶性重合体(E)の中でも、グリシジルメタクリレートのホモポリマー、グリシジルメタクリレートと他のラジカル重合可能な単官能モノマーとの共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンのホモポリマー、および、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンと他のラジカル重合可能な単官能モノマーとの共重合体を用いると、本発明の光硬化性樹脂の耐熱性と耐薬品性が高くなり、または、現像性が良好となり好ましい。特に、グリシジルメタクリレートのホモポリマー、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンのホモポリマー、グリシジルメタクリレートとN−フェニルマレイミドの共重合体、グリシジルメタクリレートと3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンの共重合体、グリシジルメタクリレートと3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンとN−フェニルマレイミドの3元共重合体は、耐熱性、耐薬品性が一層高くなると共に、現像性が一層良好になり好ましい。
【0047】
エポキシ基またはオキセタニル基を有するアルカリ不溶性重合体(E)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)で求めた重量平均分子量は、1,000〜50,000の範囲であると耐熱性、耐薬品性が高く、好ましい。さらに、重量平均分子量が2,000〜20,000の範囲であると、耐熱性、耐薬品性が高く、現像時間が適正であり、一層好ましい。
本発明の光硬化性組成物において、エポキシ基またはオキセタニル基を有するアルカリ不溶性重合体(E)の添加量は、アルカリ可溶性重合体(A)100に対し、(E)が2〜50であることが好ましい
【0048】
1−5−3 添加剤
本発明の光硬化性組成物には、解像度、塗布均一性、現像性、接着性を向上させるために、各種の添加剤を添加することができる。添加剤の例は、アクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系もしくはウレタン系の高分子分散剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系もしくはフッ素系の界面活性剤、シリコン樹脂等の塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤、エポキシ化合物、メラミン化合物もしくはビスアジド化合物等の熱架橋剤、有機カルボン酸等のアルカリ溶解性促進剤等である。
【0049】
添加剤の具体例は、EFKA−745、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(商標、以上、森下産業製)、ソルスパーズ(商標)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、24000GR、26000、28000、32000(以上、ゼネカ製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(以上いずれも商標、サンノプコ製)、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商標、共栄社油脂化学工業製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、同(Disperbyk)162、同(Disperbyk)163、同(Disperbyk)164、同(Disperbyk)166、同(Disperbyk)170、同(Disperbyk)180、同(Disperbyk)181、同(Disperbyk)182(以上いずれも商標、ビックケミー製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ビックケミー(株)製BYK300、同BYK306、同BYK310、同BYK320、同BYK330、同BYK344、同BYK346、共栄社化学(株)製ポリフローNo.45、同ポリフローKL−245、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等であり、これらから選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0050】
これらの添加剤の中でも、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、同BYK306、同BYK344、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のなかから選ばれる少なくとも1種が添加されると、光硬化性組成物の塗布均一性が高くなるので好ましい。
【0051】
本発明の光硬化性組成物には、無水トリメリト酸、無水フタル酸、等の多価カルボン酸を添加してもよい。多価カルボン酸のカルボキシル基は、加熱によりオキセタニル基と反応して、耐熱性、耐薬品性を向上させる。特に無水トリメリト酸が好ましい。
【0052】
本発明の光硬化性組成物は、温度−5℃〜25℃の範囲で遮光して保存すると、組成物の経時安定性が良好である。保存温度が0℃〜10℃であれば、経時安定性が一層良好である。
【0053】
本発明の光硬化性組成物を露光後に現像する場合の現像液は、アルカリ水溶液が好ましい。アルカリの具体例は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等であり、これらの水溶液が好適に用いられる。
【0054】
現像液には現像残渣の低減やパターン形状の適性化を目的として、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤はアニオン系、カチオン系、ノニオン系から選択して使用することができる。特にノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加すると、解像度が高くなるので好ましい。
【0055】
現像方法は特に限定されない。ディップ現像、パドル現像、シャワー現像のいずれも用いることができる。
【0056】
2 本発明の光硬化性組成物を用いて製造した透明膜またはスペーサー
本発明の第2の態様は、本発明の感光性組成物を用いて製造した透明膜またはスペーサーに関する。
本発明の透明膜は、直径10μm以下の小さなパターンを形成した場合でも十分な硬度を有する。したがって、高精細液晶ディスプレイや携帯電話用ディスプレイのスペーサーとして最適である。
該透明膜は以下のようにして形成される。まず、光硬化性組成物をスピンコート、ロールコート、スリットコート等により、ガラス等の基板上に塗布する。基板としては、たとえば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどの透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの合成樹脂製シート、フィルムまたは基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板などの金属基板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などが挙げることができる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。基板への感光性 樹脂組成物の塗布は、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法など従来からの公知の方法により行うことができる。
次に、ホットプレートまたはオーブンで通常60〜120℃、1〜5分間乾燥する。乾燥した基板に、所望のパターン形状のマスクを介して紫外線を照射する。照射量はi線で5〜1000mJが適当である。紫外線の当たった部分の光重合開始剤は分解してラジカルを発生し、重合性二重結合を有する化合物を重合させることによりアルカリ現像液に対する溶解性が低下する。紫外線を照射されなかった部分はアルカリ現像液に溶解し、除去される。アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ類、およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ類などの水溶液を挙げることができる。また、上記アルカリ現像液にメタノール、エタノール、界面活性剤などを適当量添加して用いることもできる。
次いで、シャワー現像、スプレー現像、パドル現像、ディップ現像等の現像方法により基板をアルカリ現像液に浸し、純水で十分すすいで不要部分を溶解除去する。最後に、180〜250℃で10〜120分焼成すると、所望パターンの透明膜を得ることができる。
【0057】
3 本発明の透明膜またはスペーサーを用いた表示素子
本発明の第3の態様は、本発明の透明膜、スペーサーまたはそれらを用いた表示素子に関する。スペーサーの形状は、真上から見た場合、正方形、長方形、円形、楕円形であることが好ましい。長方形、楕円形の場合、長軸方向が、ラビン具方向と水平もしくは直交しているのが好ましい。また、感光性 樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、同様にパターニングを行い基板の周辺部のみ該組成物を残し、その上に別の基板を対向するように液晶セルを組み立て、圧着し、焼成することにより該組成物をシール材として液晶素子に組み込むことができる。さらに、該樹脂塗膜上に配向処理を行う膜を形成させても良い。
本発明のスペーサーは硬度が高いため、小さなパターンを形成した場合でも圧力による変形が小さい。また、該透明膜上に透明電極を形成し、エッチングによりパターニングを行った後、配向処理を行う膜を形成させても良い。該透明膜は、耐スパッタ性が高いため、透明電極を形成しても絶縁膜にしわが発生せず、高い透明性を保つことができる。
【0058】
本発明の表示素子は液晶表示素子に用いることができる。この液晶表示素子は、上記のようにして形成されたカラーフィルター基板と、対向基板である素子基板の位置を合わせて圧着後、熱処理して組み合わせた後、液晶を注入し、注入口を封止することによって製作される。また、液晶素子基板上に液晶を散布した後、基板を重ね合わせ、液晶が漏れないように密封して液晶表示素子を製作してもよい。このようにして、本発明の光硬化性組成物で形成された、硬度の高いスペーサーあるいは耐スパッタ性に優れた透明膜を液晶表示素子中に存在させることができる。なお、本発明の液晶表示素子に用いられる液晶、すなわち液晶化合物および液晶組成物については特に限定されず、いずれの液晶化合物および液晶組成物をも使用することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、アルカリ可溶性重合体の酸価は常法により測定する。
【0060】
[合成例1]オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A1)
攪拌器付4つ口フラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGMEA」という)を80g仕込み、窒素をバブリングしながら80℃に加熱した。成分(a1)として3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、成分(a2)としてメタクリル酸を使用して下記の組成で滴下液を調製した。
PGMEA 20.0g
3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン 45.0g
メタクリル酸 5.0g
2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 2.0g
均一に溶解した滴下液を、3時間かけて80℃のPGMEA中に滴下した。滴下終了後、80℃で2時間攪拌を続け、さらに100℃に昇温して1時間攪拌し、反応を終了した。室温まで冷却した後、溶液の一部をサンプリングし200℃で30分乾燥して減量を求めたところ、固形分濃度は32.9%であった。得られた重合体(A1)の酸価は58mgKOH/g、GPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は4,400であった。
【0061】
[合成例2]オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A2)
成分(a1)として3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、成分(a2)としてメタクリル酸、成分(a3)として無水イタコン酸を使用して下記の組成で滴下液を調製した。その他は、合成例1と同様にして重合体(A2)を合成した。
PGMEA 20.0g
3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン 40.0g
メタクリル酸 5.0g
無水イタコン酸 5.0g
2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 2.0g
得られた反応液の固形分濃度は33.2%であった。また、重合体(A2)の酸価は109mgKOH/g、GPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は4,700であった。
【0062】
[合成例3]オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D1)
下記の組成で調整した滴下液を調製した。その他は、合成例1と同様にして重合体(D1)を合成した。
PGMEA 20.0g
ベンジルメタクリレート 25.0g
5−テトラヒドロフルフリルオキシ
カルボニルペンチルアクリレート 5.0g
N−フェニルマレイミド 10.0g
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.0g
メタクリル酸 8.0g
2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 2.0g
得られた反応液の固形分濃度は32.5%であった。また、重合体(D1)の酸価は82mgKOH/g、GPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は3,400であった。
【0063】
[合成例4]オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A3)
攪拌器付4つ口フラスコに溶媒としてPGMEAを200g仕込み、成分(a1)として3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、成分(a2)としてメタクリル酸、成分(a1)〜(a3)以外のラジカル重合性モノマーとしてスチレンとメタクリル酸ジシクロペンタニル、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用した下記の組成の混合液を、窒素をバブリングしながら70℃に加熱した。ここで、当該混合液における成分(a1)はアルカリ可溶性重合体(A)の全重量に対し42.6重量%含有している。
PGMEA 200.0g
3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン 40.0g
メタクリル酸 16.0g
スチレン 20.0g
メタクリル酸ジシクロペンタニル 18.0g
2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 7.0g
得られた反応液の固形分濃度は32.8%であった。また、重合体(A3)の酸価は90mgKOH/g、GPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は15,400であった。
【0064】
[実施例1]
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)として重合体(A1)、重合性二重結合を有する化合物(B)としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亜合成(株)製アロニックス(商標)M450、以下M450と略す)、光重合開始剤(C)としてチバスペシャリティーケミカルズ(株)製IRGACURE(商標)OXE01(以下OXE01と略す)、フッ素系界面活性剤としてネオス(株)製フタージェント(商標)DFX−18(以下DFX−18と略す)、および、溶媒としてPGMEAを下記組成にて混合溶解し、感光性組成物を得た。
PGMEA 7.38g
重合体(A1);32.9重量%のPGMEA溶液 9.12g
M450 3.60g
OXE01 0.36g
DFX−18 0.008g
【0065】
この感光性組成物をガラス基板上に1240rpmで10秒間スピンコートし、100℃のホットプレート上で2分間乾燥した。この基板にドットパターンのマスクを直接置いて(密着露光)露光した。露光機には(株)トプコン製プロキシミティー露光機TME−150PRCを使用し、波長カットフィルターを通して350nm以下の光をカットしてg線、h線およびi線を取り出して照射した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して50mJ/cm2とした。露光後のガラス基板を、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間ディップ現像し、未露光部を除去した。現像後の基板を純水で20秒間洗ってから100℃のホットプレートで2分間乾燥した。現像後の残膜率(現像後膜厚×100/現像前膜厚)は94.4%であり、十分な感度を有していることを確認した。さらにオーブン中220℃で30分ポストベイクした。膜厚は2.51μmであった。1000倍の光学顕微鏡で観察したところ、10μm角のドットパターンの大きさは、対角線長さが11μmであった。倍率1万倍のSEMで観察したところ、現像残渣はみられず、パターンエッジはほぼ垂直であった。
【0066】
このドットパターンに、島津製作所(株)製ダイナミック微小硬度計DUH−W201Sで、平面圧子を用いて負荷−除荷試験を行った。負荷速度0.4mN/秒で荷重を増加させ、最大負荷を10mN、最大負荷での保持時間を5秒とした後、除荷速度0.4mNで荷重を減少させ、最終負荷は1mNとした。最初に負荷が1mNとなったときの変位をL0、最大荷重10mNで5秒保持したときの変位をL1、最終負荷1mNでの変位をL2としたとき、最大変位量LMAX(μm)と復元率R(%)は、
LMAX=L1−L0
R=(L1−L2)×100/(L1−L0)
で表される。
実施例1で得られたドットパターンの最大変位量LMAXは0.14μm、復元率Rは94%であった。
これらの評価結果を表1に示す。
【0067】
[実施例2]
重合体(A1)に代えて重合体(A2)を使用し、光重合開始剤としてOXE01に代えてBT2を使用した以外は実施例1と同様にして、下記組成の溶液から感光性組成物を得て、評価を行った。ポストベイク後の膜厚が2.5μmになるように、塗布の回転数は1120rpmとした。評価結果を表1に示す。
PGMEA 6.38g
重合体(A2);33.2重量%のPGMEA溶液 9.04g
M450 3.60g
BT2;25%トルエン溶液 1.44g
DFX−18 0.008g
【0068】
[実施例3]
さらに重合体(D1)を加えた以外は実施例1と同様にして、下記組成の溶液から感光性組成物を得て、評価を行った。ポストベイク後の膜厚が2.5μmになるように、塗布の回転数は1080rpmとした。評価結果を表1に示す。
PGMEA 6.24g
重合体(A1);32.9重量%のPGMEA溶液 4.56g
重合体(D1);32.5重量%のPGMEA溶液 4.62g
M450 3.60g
BT2;25%トルエン溶液 1.44g
DFX−18 0.008g
【0069】
[比較例1]
重合体(A1)を、重合体(A3)に変更した以外は実施例1と同様にして下記組成の溶液から感光性組成物を得て、評価を行った。ポストベイク後の膜厚が2.5μmになるように、塗布の回転数は1250rpmとした。評価結果を表1に示す。
PGMEA 11.77g
重合体(A3);32.8重量%のPGMEA溶液 9.15g
M450 3.60g
OXE01 0.36g
DFX−18 0.008g
【0070】
【表1】

【0071】
表1から明らかなとおり、実施例1〜3は比較例1に比べて、最大変位量LMAXが小さく、さらに復元率Rが高い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の光硬化性組成物は液晶表示素子のスペーサーとして用いられることで、衝撃による不良の発生が少ない優れた液晶パネルを製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、
アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、
ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを合計で91〜100重量%含有する、光硬化性組成物。
【請求項2】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、
アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、
ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)とを合計で100重量%含有する、光硬化性組成物。
【請求項3】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、
アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、
ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)とを合計で91〜100重量%含有する、光硬化性組成物。
【請求項4】
オキセタニル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性組成物であって、
アルカリ可溶性重合体(A)が、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体であり、
ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)と酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)とを合計で100重量%含有する、光硬化性組成物。
【請求項5】
ラジカル重合性モノマーの混合物に含まれる、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)との重量比が、95:5〜50:50である、請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
ラジカル重合性モノマーの混合物に含まれる、オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)とカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)との重量比が、95:5〜61:39である、請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
ラジカル重合性モノマーの混合物が、当該モノマーの混合物の全量に対して、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を5〜50重量%含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)が、下記式(1)で表されるラジカル重合性モノマー、下記式(2)で表されるラジカル重合性モノマーまたはそれらの混合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【化1】


(式(1)と式(2)中、R1とR2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数2〜5のアルキニル基であり;R3は単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。)
【請求項9】
オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(a1)が、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキタセンである、請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)が、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる1以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー(a3)が、無水マレイン酸および無水イタコン酸からなる群から選ばれる1以上である、請求項3〜10のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
アルカリ可溶性重合体(A)の酸価が20〜200mgKOH/gである、請求項1〜11のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項13】
アルカリ可溶性重合体(A)の重量平均分子量が1,000〜100,000である、請求項1〜12のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項14】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を有する化合物およびメタクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる1以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項15】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を3〜20個有する化合物である、請求項14に記載の光硬化性組成物。
【請求項16】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を4〜6個有する化合物である、請求項14に記載の光硬化性組成物。
【請求項17】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項14に記載の光硬化性組成物。
【請求項18】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、アクリロイル基を3〜20個有する化合物を20重量%以上含有している、請求項14〜17のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項19】
光重合開始剤(C)が下記式(3)
【化2】

(式中、R11、R12、R13はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数2〜5のアルキニル基であり;R14は炭素数1〜15のアルキル基、炭素数2〜15のアルケニル基または炭素数2〜15のアルキニル基であり、nはそれぞれ独立して1〜5の整数である。)
で表される化合物を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有する請求項1〜18のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項20】
光重合開始剤(C)が下記式(4)
【化3】

(式中、R21、R22、R23、R24は独立して炭素数1〜13のアルキル基、炭素数2〜13のアルケニル基または炭素数2〜13のアルキニル基;X1およびX2は独立して−O−、−O−O−、または−NH−である。)で表される化合物を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有する請求項1〜18のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項21】
光重合開始剤(C)が、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)から選ばれる1以上を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上含有する、請求項1〜18のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項22】
光重合開始剤(C)が、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを光重合開始剤(C)の全重量に対して80重量%以上含有する、請求項1〜18のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項23】
オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)をさらに含有する、請求項1〜22のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項24】
オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)が、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸から選ばれる1つ以上を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である、請求項23に記載の光硬化性組成物。
【請求項25】
オキセタニル基を有しないアルカリ可溶性重合体(D)が、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレート、N−フェニルマレイミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である、請求項23に記載の光硬化性組成物。
【請求項26】
エポキシ基またはオキセタニル基を有するアルカリ不溶性重合体(E)をさらに含有する、請求項1〜25のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載の光硬化性組成物を用いて製造された透明膜。
【請求項28】
請求項1〜26のいずれかに記載の光硬化性組成物を用いて製造されたスペーサー。
【請求項29】
請求項27に記載の透明膜を含む表示素子。
【請求項30】
請求項28に記載のスペーサーを含む表示素子。

【公開番号】特開2006−306956(P2006−306956A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129499(P2005−129499)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】