説明

光硬化装置及び接着部品押え治具

【課題】接着部品を押えながら接着部品の外縁又は被接着物の搭載部の全周に塗布された光硬化樹脂を、一度光を照射させるだけで全て硬化させることができるようにする。
【解決手段】光硬化装置1は、光を照射する発光源4と、発光源4から出射された光を接着部品201及び被接着物202に照射する照射手段2と、透過部材7と、押え部材8とを備えている。透過部材7は、照射手段2に取り付けられて、発光源4から照射された光Lを透過する。そして、押え部材8は、透過部材7から光Lの照射方向に沿って突出し、接着部品201を押さえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着部品を被接着物に光硬化樹脂を用いて接着固定する際に用いられる光硬化装置及び、この光硬化装置に装着される接着部品押え治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベアリングやレンズ等の接着部品をフレームや鏡筒等の被接着物に固定する際に、光で硬化する光硬化樹脂が用いられている。一般的に、接着部品を被接着物に光硬化樹脂を用いて接着固定する場合、接着部品の外縁、もしくは被接着物の搭載部の全周に亘って光硬化樹脂を塗布している。そして、この光硬化樹脂を硬化させるために、例えば特許文献1に記載されているような光照射装置が光硬化装置として用いられている。また、接着部品がズレたり、浮いたりすることを防止するために、押え治具を用いて接着部品を被接着物側に押し付けることが行われている。
【0003】
ここで、図13及び図14を参照して従来の光硬化装置及び押え治具について説明する。
図13は、従来の光硬化装置を用いて接着部品を被接着物に接着固定する状態を模式的に示す説明図である。図14(a)は、押え治具で接着部品を押え付けた状態を上方から見た説明図である。図14(b)は、図13に示す光硬化装置から照射された光が接着部品及び被接着物に投影される光の像を示す説明図である。
【0004】
図13に示すように、従来の光硬化装置100は、制御部等を有する不図示の電源部と、照射ヘッド101とから構成されている。そして、照射ヘッド101と電源部とは、不図示のケーブルを介して接続されている。
【0005】
照射ヘッド101は、開口部102aを有する中空の筐体102と、この筐体102に収納される発光源103と、2つの集光レンズ104,105と、窓ガラス106とを有している。2つの集光レンズ104,105は、発光源103の照射方向の前方に配置されている。そして、この2つの集光レンズ104,105は、発光源103から照射された光を集光している。また、窓ガラス106は、筐体102の開口部102aに嵌め込まれている。
【0006】
図13及び図14(a)に示すように、押え治具107は、略L字状に形成されたアーム部材108と、アーム部材108の先端部に設けられた押え部109とを有している。この押え治具107は、光硬化装置100の照射エリアの外側からアーム部材108を照射エリア内に挿入して使用される。そして、接着部品201の略中心に押え部109を接触させて、接着部品201を押さえる。
【0007】
また、接着部品201の外縁、又は被接着物202の搭載部202aの全周には、光硬化樹脂Kが塗布されている。そして、この接着部品201は、上述したように押え治具107によって被接着物202側に押え付けられている。この状態で、光硬化装置100から光Lが照射されると、接着部品201及び被接着物202には、図14(b)に示すような略円形の光の像(以下、「像光」という。)Rが投影される。その結果、接着部品201の外縁、又は被接着物202の搭載部202aに塗布された光硬化樹脂Kが硬化し、接着部品201が被接着物202に接着固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−177399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図13に示すように従来の押え治具107は、光硬化装置100の照射エリアの外側からアーム部材108を照射エリア内に挿入している。よって、このアーム部材108が、光硬化装置100から照射された光Lを遮っていた。そのため、図14(b)に示すように、像光Rには、外周から中心にかけて延在するアーム部材108の影Sが映し出される。その結果、接着部品201又は被接着物202の搭載部202aに塗布された光硬化樹脂Kのうち影Sと重なる箇所には、光が照射されないため、硬化しない、という問題を有していた。
【0010】
また、この硬化していない光硬化樹脂Kを硬化させるために、押え治具107のアーム部材108の位置をずらして、再び光を照射させる必要があった。そのため、従来の光硬化装置及び押え治具では、作業工数が増える、という問題も有していた。
【0011】
本発明の目的は、接着部品を押えながら接着部品の外縁、又は被接着部品の搭載部の全周に塗布された光硬化樹脂を、一度光を照射させるだけで全て硬化させることができる光硬化装置及び接着部品押え治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の光硬化装置は、光硬化樹脂に光を照射して、接着部品を被接着物に接着固定する際に用いられるものである。そして、光を照射する発光源と、発光源から出射された光を接着部品及び被接着物に照射する照射手段と、照射手段に取り付けられて、発光源から照射された光を透過する透過部材と、を備えている。更に、透過部材から光の照射方向に沿って突出し、接着部品を押さえる押え部材を備えている。
【0013】
更に、本発明の接着部品押え治具は、光硬化樹脂に光を照射して、接着部品を被接着物に接着固定する際に用いられる光硬化装置に装着される接着部品押え治具である。この接着部品押え治具は、開口を有し、光硬化装置の照射手段に取り付けられる本体部と、本体部の開口を閉じるように設けられて、光硬化装置から照射された光を透過させる透過部材を備えている。そして、透過部材から光の照射方向に沿って突出し、接着部品を押さえる押え部材を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光硬化装置及び接着部品押え治具によれば、光を透過させる透過部材に光の照射方向に沿って突出する押え部材を設けている。これにより、照射エリアの外側から照射エリア内に挿入するアーム部材を設ける必要がないため、外周付近の光が押え部材によって遮られることがない。その結果、接着部品の外周全体に押え部材による影が形成されないため、接着部品の外縁、又は被接着物の搭載部に塗布された光硬化樹脂を一度の光の照射で全て硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを示す正面図である。
【図3】図3(a)は、押え部材で接着部品を押さえつけた状態を上方から見た平面図、図3(b)は、図1に示す照射ヘッドから像接着部品及び被接着物に投影される光の像を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。
【図6】発明の第3の実施の形態例にかかる押え部材を示すもので、図6(a)は、第3の実施の形態例にかかる押え部材を示す断面図、図6(b)は、第1の変形例にかかる押え部材を示す断面図、図6(c)は、第2の変形例にかかる押え部材を示す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドで接着部品を吸着した状態を示す説明図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドで接着部品及び被接着物に光を照射した状態を示す説明図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態例にかかる光硬化装置及び接着部品押え治具を示す側面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッド及び接着部品押え治具を示す断面図である。
【図13】従来の光硬化装置を用いてワークを接着固定する状態を模式的に示す説明図である。
【図14】図14(a)は、押え治具で接着部品を押さえつけた状態を上方から見た平面図、図14(b)は、図13に示す従来の光硬化装置から接着部品及び被接着物に投影される光の像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の光硬化装置及び接着部品押え治具の実施の形態例について、図1〜図12を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
また、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態例
1−1.光硬化装置の構成例
1−2.光硬化装置の使用方法
2.第2の実施の形態例
3.第3の実施の形態例
4.第4の実施の形態例
5.第5の実施の形態例
6.第6の実施の形態例
【0017】
<1.第1の実施の形態例>
まず、本発明の光硬化装置の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成を図1〜図3に従って説明する。
【0018】
1−1.光硬化装置の構成例
図1は、本例の光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図、図2は、本例の光硬化装置の照射ヘッドを示す正面図である。
【0019】
本例の光硬化装置1は、紫外線発光ダイオード(UV LED)を発光源として紫外線を照射する紫外線照射装置である。図1に示す、光硬化装置1は、制御部を有する不図示の電源部と、光を照射する照射手段の一具体例を示す照射ヘッド2と、照射ヘッド2と電源部とを接続する不図示のケーブルと、を有している。なお、照射ヘッド2と電源部とを別部材で構成した例を説明したが、照射ヘッド2と電源部を一体に構成し、照射ヘッド2内に電源及び制御部等を内蔵させてもよい。
【0020】
照射ヘッド2は、中空の筐体3と、発光源4と、第1の集光レンズ5と、第2の集光レンズ6と、透過部材である窓部材7と、押え部材8と有している。筐体3は、中空の略円筒形状に形成されており、軸方向の一端面の略全面が開口された略円形の開口部3aを有している。そして、この筐体3内には、発光源4と、第1の集光レンズ5と、第2の集光レンズ6が収納されている。
【0021】
発光源4は、例えば250nm〜405nm付近の波長の光、すなわち紫外線を照射する紫外線発光ダイオードである。この発光源4は、略平板状に形成された支持台11に搭載された状態で筐体3内に収納されている。また、発光源4の光の照射方向の前方には、透過部材である第1の集光レンズ5及び第2の集光レンズ6が配置されている。
【0022】
なお、本例では、発光源4として紫外線を照射する発光ダイオードを用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、可視光を照射する発光ダイオードを用いてもよく、または半導体レーザ(LD)や有機EL、放電ランプ等のその他各種の発光源を用いてもよい。
【0023】
この第1の集光レンズ5及び第2の集光レンズ6は、それぞれ凸レンズである。そして、第1の集光レンズ5及び第2の集光レンズ6は、発光源4から照射された光Lを屈折させて、光Lの進行方向を制御している。更に、第1の集光レンズ5及び第2の集光レンズ6の出射方向の前方には、窓部材7が配置されている。
【0024】
窓部材7は、略円形の平板状に形成されている。この窓部材7は、発光源4から照射された光Lを透過させるために、透明な部材で形成されている。そして、窓部材7は、筐体3の開口部3aに嵌め込まれている。この窓部材7の材質としては、透明で発光源4から照射された光Lを透過する材質が好ましく、例えば有機樹脂、有機−無機複合体、石英ガラスや、多成分系ガラスを用いることができる。
【0025】
更に、窓部材7の略中心には、窓部材7を光の照射方向に貫通する貫通孔7aが形成されている。そして、この貫通孔7aには、押え部材8が取り付けられている。そのため、図2に示すように、押え部材8は、窓部材7の略中心に配置される。この押え部材8は、略円柱状に形成された棒状の部材である。また、押え部材8の軸方向の一端には、略円柱状の接触部9が設けられている。そして、この押え部材8の接触部9は、筐体3の軸方向の一端から光Lの照射方向に沿って外側に突出している。
【0026】
この押え部材8は、例えば接着剤を用いて窓部材7に接着固定される。あるいは押え部材8及び窓部材7の貫通孔7aにねじを形成し、押え部材8を窓部材7の貫通孔7aに螺合させて押え部材8を窓部材7に固定してもよい。なお、押え部材8を螺合させて固定する場合、押え部材8を窓部材7から取り外すことができる。または、押え部材8と窓部材7をインサート成形によって一体に成形してもよい。
【0027】
押え部材8の材質としては、例えば、ステンレス鋼等の金属が好適であるが、その他の金属を用いることができることは勿論のこと、金属以外にもエンジニアリングプラスチック等を用いることもできる。または、金属やエンジニアプラスチック以外にも、ゴム等の弾性部材で形成してもよい。そして、この押え部材8の材質は、接着部品201の材質に応じて種々に設定されるものである。
【0028】
なお、本例では、開口部3a及び窓部材7を略円形に形成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば四角形や六角形等その他各種の形状に形成してもよい。
【0029】
ここで、図1及び図3(a)を参照して、接着部品201及び被接着物202について説明する。
図3(a)は、押え部材8で接着部品201を押え付けた状態を上方から見た説明図である。
【0030】
被接着物202は、例えばベアリング部材のフレームや、鏡筒等である。図1及び図3(a)に示すように、この被接着物202には、接着部品201を搭載する搭載部202aが設けられている。搭載部202aは、略円形に凹んだ凹部である。そして、この被接着物202の搭載部202aにベアリングやレンズ等からなる略円形の接着部品201が配置されている。
【0031】
また、接着部品201と被接着物202との間、すなわち接着部品201の外縁の全周には、光硬化樹脂Kが塗布されている。この光硬化樹脂Kは、紫外光又は紫外線で硬化する紫外線硬化樹脂である。なお、この光硬化樹脂Kは、紫外線硬化樹脂に限定されるものではなく、可視光で硬化する樹脂でもよい。この場合、光硬化装置1からは、可視光が照射される。
【0032】
なお、本例では、略円形の接着部品201について説明したが、接着部品201の形状は、目的に応じて種々に設定されるものであり、被接着物202の搭載部202aの形状も接着部品201の形状に応じて適宜設定される。
【0033】
1−2.光硬化装置の使用方法
次に、図1、図3(a)及び図3(b)を参照して上述した光硬化装置1の使用方法について説明する。図3(b)は、図1に示す光硬化装置1から照射された光Lが接着部品201及び被接着物202に投影される光の像を示す説明図である。
【0034】
まず、図1に示すように、押え部材8の接触部9を接着部品201に接触させる。この接触部9は、円柱状に形成されているため、接着部品201に対して面接触する。このとき、図3(a)に示すように、接着部品201をバランスよく押し付けるため、押え部材8の接触部9を、接着部品201の略中心に接触させることが好ましい。
【0035】
次に、照射ヘッド2ごと被接着物202側に押圧する。すると、接着部品201は、押え部材8によって被接着物202側に押し付けられる。これにより、接着部品201が被接着物202の搭載部202aからズレたり、浮いたりすることを防止することができる。その結果、接着部品201の接着位置の精度を高めることができる。
【0036】
次に、発光源4から光を発光させて、接着部品201、被接着物202及び光硬化樹脂Kに照射する。そして、光硬化樹脂Kに光が照射されると、光硬化樹脂Kが硬化する。その結果、光硬化樹脂Kが硬化することで、接着部品201と被接着物202が接着固定される。
【0037】
図3(b)に示すように、接着部品201及び被接着物202には、略円形の像光R1が投影される。ここで、押え部材8は、窓部材7の略中心に配置されており、光Lの光軸方向に沿って突出している。そのため、押え部材8の影S1は、像光R1の略中心に形成されており、像光R1の外周上には、形成されていない。すなわち、接着部品201と被接着物202との接着箇所に照射される光Lが押え部材8によって遮られることがない。
【0038】
よって、硬化されていない光硬化樹脂Kを硬化させるために、照射ヘッド2の位置をずらして再び光Lを照射させる必要がなくなる。これにより、一度の光Lの照射で、接着部品201の外縁の全周に塗布された光硬化樹脂Kを全て硬化させることができる。その結果、作業効率を向上させることができる。
【0039】
なお、本例では、押え部材8を窓部材7の略中心に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。押え部材8を設ける位置は、接着部品201及び被接着物202に照射される光Lの外周を遮らない位置であれば、その目的は達成できるものである。
【0040】
<2.第2の実施の形態例>
次に、図4を参照して光硬化装置の第2の実施の形態例について説明する。
図4は、第2の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドの構造を模式的に示す説明図である。
【0041】
この第2の実施の形態例にかかる光硬化装置21は、集光レンズに押え部材を取り付けたものである。そのため、ここでは、集光レンズについて説明し、光硬化装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、光硬化装置21の照射ヘッド22には、第1の集光レンズ25と、第2の集光レンズ26が設けられている。第1の集光レンズ25の光Lの出射方向の前方に配置された第2の集光レンズ26には、貫通孔26aが形成されている。この貫通孔26aは、第2の集光レンズ26の略中心に配置されており、光Lの照射方向に貫通している。そして、この貫通孔26aに押え部材8が取り付けられている。
【0043】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる光硬化装置1の照射ヘッド2と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する光硬化装置21の照射ヘッド22によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
なお、この第2の実施の形態例にかかる照射ヘッド22によれば、第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2よりも窓部材7の部品点数を削減することができる。
【0045】
<3.第3の実施の形態例>
次に、図5及び図6を参照して光硬化装置の第3の実施の形態例について説明する。
図5は、第3の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。図6(a)は、押え部材を示す断面図である。
【0046】
この第3の実施の形態例にかかる光硬化装置31の照射ヘッド32と、第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2と異なる点は、押え部材の構成である。そのため、ここでは、押え部材について説明し、照射ヘッド2と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0047】
図5に示すように、照射ヘッド32の照射方向の一端には、押え部材34が設けられている。図6(a)に示すように、押え部材34は、接触部35と、筒部36と、弾性部材であるバネ部材37とを有している。接触部35は、略円柱状に形成されており、軸方向の一端が接着部品201に接触する。そのため、この押え部材34は、接着部品201に対して面接触する。また、この接触部35の軸方向の他端には、フランジ片35aが形成されている。
【0048】
筒部36は、略円筒形状に形成されており、軸方向の一端が開口し、他端が閉じている。この筒部36の筒孔36aには、接触部35のフランジ片35aが筒孔36aの軸方向に沿って摺動可能に挿入されている。そして、接触部35は、筒部36の軸方向に沿って移動可能に支持されている。更に、筒部36の軸方向の他端部には、半径方向外側に向けて突出する固定片36bが設けられている。
【0049】
この固定片36bは、押え部材34を透過部材である窓部材7や第2の集光レンズ26に取り付けた際に、透過部材における光の出射側に当接する。そして、この固定片36bが抜け止めとなるため、押え部材34を接着部品201に押し付けた際に、押え部材34が照射ヘッド32の内部に押し込まれることを防ぐことができる。
【0050】
また、筒部36の筒孔36a内には、弾性部材であるバネ部材37が収納されている。このバネ部材37は、圧縮コイルばねである、そして、バネ部材37は、接触部35のフランジ片35aと筒部36の軸方向の他端との間に介在されている。すなわち、この第3の実施の形態例にかかる押え部材34は、スプリングプランジャーである。
【0051】
なお、この第3の実施の形態例にかかる照射ヘッド22によれば、押え部材34に弾性部材であるバネ部材37を設けている。そのため、押え部材34を接着部品201に押し付けた際に、バネ部材37が弾性変形し、接触部35が筒部36の軸方向に沿って移動する。これにより、接着部品201に対して押え部材34から大きな押圧力が加わり、接着部品201が破損することを防止することができる。更に、バネ部材37が弾性変形することで、接着部品201の接触位置のずれを押さえることができる。
【0052】
次に、図6(b)及び図6(c)を参照して、押え部材34の接触部35の変形例について説明する。
図6(b)は、押え部材の第1の変形例を示す断面図、図6(c)は、押え部材の第2の変形例を示す断面図である。
【0053】
図6(b)に示す押え部材34Aの接触部35Aは、軸方向の一端が略円錐状に形成されている。そして、この接触部35Aは、接着部品201に対して点接触する。また、図6(c)に示す押え部材34Bの接触部35Bは、軸方向の一端が平板状に形成されている。そして、この接触部35Bは、接着部品201に対して線で接触する。
【0054】
なお、接触部における接着部品201と接触する箇所の形状は、上述したものに限定されるものではなく、例えば角柱状や球状に形成してもよい。
【0055】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる光硬化装置1の照射ヘッド2と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する光硬化装置31の照射ヘッド32によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
なお、上述した第3の実施の形態例では、押え部材としてスプリングプランジャーを用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、弾性を有するゴム等で接触部を形成してもよく、あるいは空圧や油圧式のプランジャーを押え部材として適用してもよい。または、接触部を磁力によって移動可能に構成してもよい。
【0057】
<4.第4の実施の形態例>
次に、図7を参照して光硬化装置の第4の実施の形態例について説明する。
図7は、第4の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。
【0058】
この第4の実施の形態例にかかる光硬化装置41の照射ヘッド42は、筐体3に弾性部材を設けたものである。具体的には、筐体3における光の照射方向とは反対側の端部、すなわち押え部材8と反対側に、圧縮コイルばねからなるバネ部材45を設けている。
【0059】
なお、弾性部材は、バネ部材45に限定されるものではなく、例えばゴム部材や、空圧や油圧式のプランジャー等その他各種の弾性部材が適用できるものである。
【0060】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる照射ヘッド2と同様であるため、照射ヘッド2と共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明は省略する。このような構成を有する光硬化装置41の照射ヘッド42によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2と同様の作用効果を得ることができる。更に、第3の実施の形態例にかかる照射ヘッド32と同様の作用効果も得ることが可能である。
【0061】
<5.第5の実施の形態例>
次に、図8〜図10を参照して照射ヘッドの第5の実施の形態例について説明する。
図8は、第5の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッドを模式的に示す説明図である。図9は、照射ヘッドで接着部品を吸着した状態を示す説明図、図10は、接着部品及び被接着物に光を照射した状態を示す説明図である。
【0062】
この第5の実施の形態例にかかる光硬化装置51の照射ヘッド52は、第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2に、接着部品201を吸着する構成を加えたものである。そのため、ここでは、接着部品201を吸着する構成について説明し、照射ヘッド2と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、照射ヘッド52の筐体53には、軸方向の一端に形成された開口部53aと、側面部に形成された吸引部接続孔53bが形成されている。吸引部接続孔53bは、筐体53の側面部のうち開口部53a側に設けられている。この吸引部接続孔53bには、空気を吸引する吸引部63が接続される。この吸引部63は、筐体53内における第2の集光レンズ6と窓部材7の間の空気を吸引するものである。
【0064】
押え部材58は、接着部品201に接触する接触部59と、窓部材7の貫通孔7aに取り付けられる筒部60とを有している。筒部60は、略円筒形に形成されており、軸方向の両端が開口されている。この筒部60は、窓部材7の貫通孔7aに取り付けられている。そして、この筒部60の軸方向の一端には、接触部59が設けられており、軸方向の他端は、筐体53における第2の集光レンズ6と窓部材7で形成された空間に位置している。そのため、筒部60の筒孔60aが、空気を通過させる通風路となり、筐体53内と外側を連通している。
【0065】
接触部59は、略円錐台形状の吸引パッドであり、頂点部が筒部60の筒孔60aに接続している。そして、この接触部59は、接着部品201を押さえるだけでなく、接着部品201に接触して接着部品を吸着する。
【0066】
次に、このような構成を有する照射ヘッド52を用いて接着部品201を被接着物202に接着する方法について説明する。
まず、図9に示すように、押え部材58の接触部59を接着部品201に接触させて、吸引部63から空気を吸引する。吸引部63から空気を吸引すると、筐体53における第2の集光レンズ6と窓部材7で形成された空間の圧力が低下する。ここで、第2の集光レンズ6と窓部材7で形成された空間は、筒部60の筒孔60aによって筐体53の外側と連通している。そして、押え部材58の接触部59内が負圧になる。その結果、接着部品201は、押え部材58の接触部59に吸着される。
【0067】
次に、押え部材58の接触部59に接着部品201を吸着させた状態で、接着部品201を所定の位置に搬送する。そして、図10に示すように、接着部品201を被接着物202の搭載部202aに配置する。なお、予め接着部品201の外縁、もしくは被接着物202の搭載部202aには、光硬化樹脂Kが塗布されているものである。次に、発光源4を発光させて、光硬化樹脂Kに光Lを照射する。その結果、光硬化樹脂Kが硬化し、接着部品201と被接着物202が接着固定される。
【0068】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる光硬化装置1の照射ヘッド2と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する光硬化装置51の照射ヘッド52によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
なお、この第5の実施の形態例にかかる照射ヘッド52によれば、接着部品201を押えるだけでなく、接着部品201を吸着して、搬送を行うこともできる。
【0070】
<6.第6の実施の形態例>
次に、図11及び12を参照して光硬化装置の第6の実施の形態例について説明する。
図11は、第6の実施の形態例にかかる光硬化装置の照射ヘッド及び接着部品押え治具を示す側面図、図12は、照射ヘッド及び接着部品押え治具を示す断面図である。
【0071】
この第6の実施の形態例は、光硬化装置と、押え部材を別部材として構成したものである。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる光硬化装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0072】
図11に示すように、光硬化装置71は、照射ヘッド72と、不図示の電源部と、照射ヘッド72と電源部とを接続するケーブル80とを有している。また、この照射ヘッド72には、接着部品押え治具81が着脱可能に取り付けられている。
【0073】
照射ヘッド72は、中空の筐体73と、筐体73内に収納される不図示の発光源及び第1の集光レンズと、第2の集光レンズ76とを有している。なお、発光源、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズ76は、第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2の発光源4,第1の集光レンズ5及び第2の集光レンズ6と、同一の構成を有しているため、その説明は省略する。
【0074】
筐体73は、略円筒形状に形成されている。図12に示すように、筐体73の軸方向の一端は、開口しており開口部73aが形成されている。この開口部73aには、第2の集光レンズ76が嵌め込まれている。そして、この筐体73の軸方向の一端には、接着部品押え治具81が着脱可能に取り付けられている。
【0075】
なお、筐体73の形状は、略円筒形だけでなく、中空の四角柱や六角柱等その他各種の形状に形成してもよい。
【0076】
接着部品押え治具81は、本体部82と、透過部材である窓部材83と、押え部材84とを有している。本体部82は、略円筒形に形成されており、軸方向の両端が開口している。この本体部82の内径は、筐体73の外径とほぼ同じに設定されている。また、本体部82の軸方向の一端には、窓部材83が嵌め込まれる開口部82aが設けられている。
【0077】
更に、本体部82の側面には、その側面には固定ねじ91を螺合する固定孔82bが設けられている。そして、この本体部82は、筐体73の軸方向の一端に嵌め込むと共に、固定孔82bに固定ねじ91を螺合することで、照射ヘッド72の筐体73に着脱可能に固定される。
【0078】
なお、本体部82を略円筒形に形成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、本体部82の形状は、照射ヘッド72の筐体73の形状に対応して適宜設定されるものである。
【0079】
また、本体部82を筐体73に固定する方法は、固定ねじ91による固定方法に限定さるものではない。例えば、本体部82の内壁にネジ部を形成すると共に筐体73の外周にネジ部を形成し、本体部82を筐体73に螺合することで本体部82を固定するようにしてもよい。
【0080】
窓部材83は、略透明な部材で形成されており、発光源からの光を透過可能に構成されている。また、この窓部材83の中心には、貫通孔83aが形成されている。そして、この貫通孔83aには、押え部材84が取り付けられている。この押え部材84の構成は、第1の実施の形態例にかかる押え部材8、あるいは第3の実施の形態例にかかる押え部材34と同一の構成を有するものである。そのため、ここでは、押え部材84についての説明は、省略する。
【0081】
このような構成を有する光硬化装置71の照射ヘッド72及び接着部品押え治具81によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる照射ヘッド2と同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
なお、接着部品押え治具81を照射ヘッド72から着脱可能に構成したことにより、透過部材である窓部材83や押え部材84が劣化した際に、接着部品押え治具81だけを交換することができる。
【0083】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施の形態例では、紫外光、又は紫外線を照射する例を説明したが、これに限定されるものではなく、可視光を照射する光硬化装置であってもよい。
【0084】
また、押え部材を一つだけ設けた例を説明したが、押え部材の数は、一つに限定されるものではなく、押え部材を透過部材に2つ以上設けてもよい。なお、押え部材を複数設ける場合も、接着部品及び被接触物に照射される光の外周を遮らない位置に押え部材は、配置されるものである。
【0085】
更に、上述した実施の形態例では、発光源である発光ダイオードを照射ヘッドの筐体内に収納した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部等を有する電源部の筐体内に発光源を収納し、光ファイバ等からなるライトガイドを用いて照射ヘッドまで光を導光するようにしてもよい。なお、この場合の発光源は、発光ダイオード、半導体レーザ(LD)や有機ELだけでなく、放電ランプ等を発光源として適用することができる。
【0086】
また、照射ヘッドを用いずに、ライトガイドに直接、第6の実施の形態例で示した接着部品押え治具81を取り付けてもよい。すなわち、ライトガイド自体が接着部品及び被接着物に光を照射する照射手段となり、このライトガイドにおける光の出射口に接着部品押え治具81が着脱可能に取り付けられる。
【符号の説明】
【0087】
1,21,31,41,51,71…光硬化装置、 2,22,32,42,52,72…照射ヘッド(照射手段)、 3,53,73…筐体、 3a,53a,73a…開口部、 4…発光源、 5,25…第1の集光レンズ、 6,26,76…第2の集光レンズ(透過部材)、 7,83…窓部材(透過部材)、 7a,26a,83a…貫通孔、 8,34,34A,34B,58,84…押え部材、 9,35,35A,35B,59…接触部、 35a…フランジ片、 36,60…筒部、 36a…筒孔、 36b…固定片、 37,45…バネ部材(弾性部材)、 53b…吸引部接続孔、 60a…筒孔(通風路)、 63…吸引部、 81…接着部品押え治具、 82…本体部、 82a…開口部、 82b…固定孔、 201…接着部品、 202…被接着物、 R1…像光、 K…光硬化樹脂、 S1…影

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化樹脂に光を照射して、接着部品を被接着物に接着固定する際に用いられる光硬化装置であって、
光を照射する発光源と、
前記発光源から出射された光を前記接着部品及び前記被接着物に照射する照射手段と、
前記照射手段に取り付けられて、前記発光源から照射された前記光を透過する透過部材と、
前記透過部材から前記光の照射方向に沿って突出し、前記接着部品を押さえる押え部材と、
を備えた光硬化装置。
【請求項2】
前記押え部材は、前記接着部品及び前記被接着物に照射される前記光の外周を遮らない位置に配置される
請求項1に記載の光硬化装置。
【請求項3】
前記押え部材は、前記透過部材の略中央に配置される
請求項1又は2に記載の光硬化装置。
【請求項4】
前記光の照射方向に沿って弾性変形する弾性部材を、前記照射手段及び/又は前記押え部材に設けた
請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化装置。
【請求項5】
前記押え部材は、前記透過部材に着脱可能に取り付けられる
請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化装置。
【請求項6】
前記照射手段内の空気を吸引する吸引部を設け、
前記押え部材は、空気を通過させる通風路を有する筒部と、前記筒部に設けられ前記接着部品を吸着する吸着パッドと、からなる
請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化装置。
【請求項7】
前記透過部材は、前記発光源から照射された光の進行方向を制御するレンズである
請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化装置。
【請求項8】
前記透過部材は、前記照射手段に設けた開口部を覆う窓部材である
請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化装置。
【請求項9】
光硬化樹脂に光を照射して、接着部品を被接着物に接着固定する際に用いられる光硬化装置に装着される接着部品押え治具であって、
開口を有し、前記光硬化装置の照射手段に取り付けられる本体部と、
前記本体部の開口を閉じるように設けられて、前記光硬化装置から照射された前記光を透過させる透過部材と、
前記透過部材から前記光の照射方向に沿って突出し、前記接着部品を押さえる押え部材と、
を備えた接着部品押え治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−7075(P2012−7075A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144302(P2010−144302)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(592032430)HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社 (44)
【Fターム(参考)】