説明

光脱毛機器

【課題】安全性の高い光脱毛機器を提供する。
【解決手段】機器本体1の外面に光照射部を設ける。機器本体1の外面側において光照射部を包囲する遮光筒6を備える。遮光筒6の軸方向における機器本体1と反対側の端面を皮膚接触面11とする。皮膚接触面11に皮膚Sを接触させた状態で光照射部から遮光筒6で囲まれた皮膚Sに光を照射して脱毛処理を行う。遮光筒6は機器本体1に対して着脱自在に取り付けられる。遮光筒6を機器本体1に取り付けた状態でのみ光照射部から光を照射可能とする制御回路5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光照射部から皮膚に光を照射して脱毛処理を行う光脱毛機器に関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛処理を行うための機器として、レーザダイオードやフラッシュランプが発する光エネルギを毛に伝えることで毛乳頭を加熱し、毛に栄養が届き難くすることで脱毛処理を行う光脱毛機器が知られている。このような光脱毛機器においては、毛の生えた皮膚に対して垂直方向に光を照射することが要求される。これに対して特許文献1や特許文献2に開示される光脱毛機器においては、機器先端のレーザ光照射部を囲む位置に複数の接触センサを配置し、各接触センサが皮膚との接触を検知した時点で垂直姿勢にあると判断し、レーザ光照射を開始するように設けている。
【0003】
しかし、上記光脱毛機器は外部への光漏れに対する安全対策としては不十分であり、特にフラッシュランプの閃光を光源として用いるような場合には、閃光が外部に漏れやすく、この閃光が目に入る恐れがあり、より確実な安全対策が求められる。
【特許文献1】特開2005−278724号公報
【特許文献2】特表2006−525036号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、脱毛処理時に皮膚に照射される光が漏れて目に入ることを確実に防止でき、またメンテナンスを容易に行うことができ、しかも意図しない時に脱毛処理用の光が照射されて目に入ることを防止でき、安全性の高い光脱毛機器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る光脱毛機器は、機器本体1と、機器本体1の外面に設けた光照射部(ランプカバー4)と、機器本体1の外面側において光照射部を包囲する遮光筒6を備え、該遮光筒6の軸方向における機器本体1と反対側の端面を皮膚接触面11とし、皮膚接触面11に皮膚Sを接触させた状態で光照射部から遮光筒6で囲まれた皮膚Sに光を照射して脱毛処理を行う光脱毛機器であって、前記遮光筒6は機器本体1に対して着脱自在に取り付けられ、該遮光筒6を機器本体1に取り付けていない状態では光照射部から光を照射不能とする制御回路5を設けて成ることを特徴とする。
【0006】
上記構成により、遮光筒6の皮膚接触面11を皮膚Sに接触させた状態で光照射部から皮膚Sに脱毛処理用の光を照射でき、この時、光照射部を包囲する遮光筒6で光照射部から照射される光が外に漏れることを防止できる。また、遮光筒6を機器本体1に対して着脱自在に取り付けることで、機器本体1のメンテナンスを行う際等に、遮光筒6を機器本体1から取り外して作業を容易に行うことができる。また、遮光筒6を機器本体1に取り付けていない状態では光照射部から光を照射不能としたので、遮光筒6を取り外した状態では光照射部からの光が目に入ることを防止できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、遮光筒の皮膚接触面を皮膚に接触させた状態で光照射部から皮膚に脱毛処理用の光を照射でき、この時、遮光筒で光照射部から照射される光が外に漏れることを確実に防止できる。また、機器本体のメンテナンスを行う際等に、遮光筒を機器本体から取り外して作業を容易に行うことができる。また、遮光筒を機器本体に取り付けた場合にのみ、光照射部から光を照射可能であるので、遮光筒を機器本体から取り外した状態では光照射部から光が照射されることがなく、光照射部からの光が目に入ることを確実に防止でき、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1〜図3には、本発明の実施形態における一例の光脱毛機器の全体を概略的に示している。本例の光脱毛機器は、片手で把持可能な箱型の機器本体1内に、キセノンランプから成るフラッシュライト2を光源部20として内蔵している。機器本体1の先端部の外面であってフラッシュライト2近傍となる位置にはフラッシュライト2に対向する光照射口3を開口させており、光照射口3には透明のランプカバー4を嵌め込んでいる。フラッシュライト2が発するパルス状の閃光は前記ランプカバー4を通じて機器本体1外に向けて照射されるものであって、即ち本例では光照射口3に設けたランプカバー4により皮膚Sに光を照射する光照射部を構成している。符号5は、フラッシュライト2と接続した状態で機器本体1に内蔵される制御回路である。制御回路5は、電源から供給される電圧を昇圧させて成る高電圧をフラッシュライト2に印加し、該フラッシュライト2の発光のオンオフ等を適宜制御する。
【0009】
機器本体1の外周面における光照射口3を囲む位置に、ゴムやエラストマー等の柔軟な弾性体を用いて楕円筒状に形成した遮光筒6を、フロート自在且つ着脱自在に接続させてある。ここでのフロート自在な状態とは、遮光筒6を軸方向における機器本体1と反対側の方向に付勢しながら一定範囲内で遮光筒6を軸方向に進退自在とした状態である。以下、遮光筒6の軸方向における機器本体1と反対側(即ち光照射方向に沿って進む方向)を「上方」といい、遮光筒6の軸方向における機器本体1側(即ち光照射方向に沿って後退する方向)を「下方」という。
【0010】
図示例では遮光筒6を機器本体1にフロート自在に連結させる手段として、遮光筒6の内周面から内方に連結凸部7を延設し、機器本体1の側壁には上記連結凸部7を挿入して上下に進退自在に連結させる連結口8を開口させるとともに、機器本体1の内周面であって連結口8の下端縁近傍となる位置には受け部9を設け、この受け部9と連結凸部7との間にバネ部材10を介在させた構造にしている。また、各遮光筒6の着脱は例えば遮光筒6を若干弾性変形させた状態で遮光筒6から機器本体1を引き抜いたり挿入する等して行われる。
【0011】
上記遮光筒6は、図1及び図2に示すように軸方向における機器本体1と反対側の端面(即ち上端面)を、人体の皮膚Sに対して直接接触して押圧される皮膚接触面11としている。皮膚接触面11上の互いに等間隔を隔てた複数個所には接触センサ12を配してあり、制御回路5は全ての接触センサ12が皮膚Sとの接触を検知した場合にのみ、人体の皮膚Sが遮光筒6の先端部に密着しているとしてフラッシュライト2を発光可能状態とする。
【0012】
図1(a)には遮光筒6が最上方に位置した(即ち、遮光筒6の機器本体1に対する沈み量D=0の)状態を示し、図1(b)には遮光筒6を最も下方に沈めた(即ち、沈み量D=最大沈み量Dmaxの)状態を示しているが、いずれの場合においても遮光筒6の皮膚接触面11は機器本体1の光照射口3よりも上方に位置するように、遮光筒6の上下寸法を設定している。また、遮光筒6が最大沈み量Dmaxだけ沈んだ状態にあっても、皮膚接触面11に押圧されて下方に膨らんだ皮膚Sが光照射口3との間に隙間dを確保するように遮光筒6の上下寸法を設定している。
【0013】
更に、図4に示すように、遮光筒6の内周面にはスイッチバネ13が固定してあり、制御回路5は、機器本体1の所定位置に取り付けた遮光筒6の機器本体1に対する下方への沈み量Dが予め設定された設定沈み量D1(0<D1<Dmax)以上となった場合にのみ、該遮光筒6のスイッチバネ13が機器本体1に内蔵した一対の接続端子14に接触して該接続端子14間の通電を可能とし、フラッシュライト2を発光可能状態としてある。そしてこのようにスイッチバネ13と接続端子14の接触を条件としてフラッシュライト2を発光可能状態とすることで、機器本体1に対して遮光筒6を所定の位置に取り付けた場合にのみフラッシュライト2を発光可能状態とし、機器本体1から遮光筒6を取り外した状態ではフラッシュライト2を発光不能としてある。
【0014】
また、機器本体1の外周面には、図2及び図3に示すように、フラッシュライト2の発光のオンオフを手動操作する照射スイッチ15を正面側中央に設けている。遮光筒6には、該遮光筒6が下方に一定量沈んだ場合に照射スイッチ15を露出させる操作口16を形成してり、制御回路5は、操作口16から露出した照射スイッチ15を使用者が押下し続けた(或いはオン状態に固定した)場合にのみフラッシュライト2が発光可能となるようにしてある。
【0015】
本例の制御回路5にあっては、図5に概略的に示すように、遮光筒6の機器本体1に対する沈み量Dが所定量D1以上となった場合にオンとなるようにスイッチバネ13や接続端子14(図4参照)で形成されるスイッチSW1と、遮光筒6先端の全ての接触センサ12が皮膚Sとの接触を検知した場合にオンとなるように各タッチセンサ12と電気的に接続されるスイッチSW2と、機器本体1に設置した照射スイッチ15を押下した場合にオンとなるように形成されるスイッチSW3とを、直列接続して3重スイッチ回路を構成してある。
【0016】
従って、各スイッチSW1,SW2,SW3が全てオンとなる場合にのみ、つまり、遮光筒6の機器本体1に対する沈み量Dが所定量D1以上となり、且つ遮光筒6先端が皮膚Sに密着して全ての接触センサ12がオンとなり、且つ使用者が機器本体1の照射スイッチ15を手動操作したという条件を満たす場合にのみ、フラッシュライト2がパルス状に発光するようになっている。
【0017】
上記構成から成る本例の光脱毛機器によれば、使用者は機器本体1を片手で把持した状態で、人体の皮膚Sに対してまず遮光筒6の皮膚接触面11を当て、リング状を成す皮膚接触面11に囲まれる領域内に処理対象部位の皮膚Sが位置するように設ける。この状態で更に機器本体1を皮膚S側に押し込んでゆくと、遮光筒6は上方への付勢力を強めながら下方に沈み込んでゆき、皮膚接触面11を全周に亘って皮膚Sに密着させる。ここで機器本体1を多少動かしても、フロート自在である遮光筒6は追従して上下動をしながら皮膚Sに密着した状態を維持する。
【0018】
そして、遮光筒6の沈み量Dが一定量D1以上となり、且つ各接触センサ12が皮膚Sの接触を検知した状態で、遮光筒6の操作口16から露出した操作スイッチ15を使用者が手動操作でオンにしたときに、フラッシュライト2はパルス状に発光して光照射口3から処理対象部位の皮膚Sを照射し、脱毛処理を行う。この時、遮光筒6の皮膚接触面11は、その全周に亘って皮膚Sに圧接した状態を維持しているので、光照射口3から照射される閃光が外に漏れるといった事態は防止され、使用者等の目に入る等の危険性がない。また、遮光筒6をゴム等の柔軟な弾性体で形成してあることで、更に密着性が確保されている。
【0019】
しかも、フラッシュライト2をオンオフするスイッチを上記3重スイッチとしているため、遮光筒6の皮膚接触面11が全周に亘って十分な荷重で皮膚Sに密着した状態で、意図的に照射スイッチ15を操作しないと発光することがなく、更に安全性の高いものとなっている。
【0020】
また、上記遮光筒6は機器本体1に対して着脱自在であるので、ランプカバー4を取り外してフラッシュライト2を交換する等のメンテナンスを行う際に、遮光筒6を機器本体1から取り外して作業を容易に行うことができる。また、本例では、遮光筒6のスイッチバネ13と機器本体1の接続端子14の接触した状態、即ち遮光筒6を機器本体1に取り付けた場合にのみ、光照射部から光を照射可能としたので、上記のように遮光筒6を機器本体1から取り外した状態で光照射部から光が照射されることを防止でき、フラッシュライト2の閃光が目に入ることを防止できる。
【0021】
なお、制御回路5中のスイッチを3重スイッチとせず、図6に示すようにスイッチSW1,S2を直列接続させた2重スイッチ回路としてもよいし、或いは図7に示すようなスイッチSW1のみから成るスイッチ回路としてもよい。図6の場合には、遮光筒6の機器本体1に対する沈み量Dが所定量D1以上となり、且つ遮光筒6先端が皮膚Sに密着して全ての接触センサ12がオンとなった段階でフラッシュライト2がパルス状に発光するようになっている。また図7の場合には、遮光筒6の機器本体1に対する沈み量Dが所定量D1以上となった段階でフラッシュライト2がパルス状に発光するようになっている。
【0022】
また、光源部20についてもキセノンライトから成るフラッシュライト2に限定されず、他の構成から成るフラッシュライト2であってもよいし、或いはレーザダイオード等を用いてレーザ光を照射するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の一例の光脱毛機器を概略的に示したものであり、(a)は遮光筒が最上方に位置した状態における断面図であり、(b)は遮光筒が最下方に位置した状態における断面図である。
【図2】(a)〜(c)は同上の遮光筒の正面図、側面図、平面図である。
【図3】同上の遮光筒を下方に沈めて照射スイッチを露出させた状態を示し、(a)は正面図であり、(b)は側断面図である。
【図4】同上のスイッチSW1の機構を示し、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。
【図5】一例の制御回路を概略的に示す回路ブロック図である。
【図6】他例の制御回路を概略的に示す回路ブロック図である。
【図7】更に他例の制御回路を概略的に示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
S 皮膚
1 機器本体
4 ランプカバー
5 制御回路
6 遮光筒
11 皮膚接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、機器本体の外面に設けた光照射部と、機器本体の外面側において光照射部を包囲する遮光筒を備え、該遮光筒の軸方向における機器本体と反対側の端面を皮膚接触面とし、皮膚接触面に皮膚を接触させた状態で光照射部から遮光筒で囲まれた皮膚に光を照射して脱毛処理を行う光脱毛機器であって、前記遮光筒は機器本体に対して着脱自在に取り付けられ、該遮光筒を機器本体に取り付けていない状態では光照射部から光を照射不能とする制御回路を設けて成ることを特徴とする光脱毛機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−289812(P2008−289812A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141099(P2007−141099)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】