説明

光触媒を利用した浄化装置

本発明は光触媒を利用した浄化装置に係わるもので、水や空気に含まれた細菌、揮発性有機化合物(VOC)、悪臭などを効果的にとり除くために波長別に独立したそれぞれの紫外線ランプと、オゾン(O)ランプを独立したチューブに設置し、これらのチューブは直列または並列の形態で配置される。それぞれのランプが挿入される螺旋形光触媒板の内側端部にはしわが形成されて空気または水との接触面積をより一層増大させると同時に、 ランプに接触される端部にしわを形成させてランプとの接触面積を増大させることによって ランプの損傷を防止する。
流入口と流出口が形成された外部ケースと、外部ケースに挿入される螺旋形光触媒板と、螺旋形光触媒板の内部に挿入される紫外線ランプを含んで構成された光触媒を利用した浄化装置において、紫外線ランプが挿入される空間を形成する螺旋形光触媒板の内側にしわ部が形成されることを特徴とする光触媒を利用した浄化装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光触媒を利用した浄化装置に関するもので、水や空気に含まれた細菌、揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compounds)、悪臭などを効果的にとり除くために波長別に独立したそれぞれの紫外線ランプと、オゾン(O)ランプを独立したチューブに設置し、これらのチューブは直列または並列で配置される。それぞれのランプが挿入される螺旋形光触媒板の内側端部にはしわが形成され空気または水との接触面積をより一層増大させると同時に、ランプに接触される端部にしわを形成させてランプとの接触面積を増大させることでランプの損傷を防止する光触媒を利用した浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[文献1]大韓民国特許登録第0671232号、2007.1.12
[文献2]大韓民国実用新案登録第0254611号、2001.11.7
一般的に電極として利用される半導体を、化学的安全性と取り扱いの容易性及び供給が便利な二酸化チタン(TiO)と接触させて、陽電荷と陰電荷を持つ孔に分離される光触媒に紫外線ランプで紫外線を照射しこの時発生する水酸化ラジカルによって殺菌及び脱臭をする浄化装置が知られている。
このような浄化装置は光触媒がコーティングされた光触媒板を複数枚積層し、空気や水にそこを通過させて浄化する。しかしこのような構造は多くの体積を占めるようになり効率が悪い。
特許文献2では小さな空間で高い効率を果たすことを意図しているが、これは光触媒板を螺旋形状である場合に対応している。したがって光触媒板によって形成された螺旋形の通路に沿って空気や水が流れている際に、水及び空気と光触媒板との接触が多くなる。
しかしながら、螺旋形の浄化装置でも一つの螺旋形光触媒板を利用する場合、その接触面積の大きさが十分でない。また一つの紫外線ランプを使う構造によって顕著な殺菌効果は得がたくなる。すなわち、紫外線ランプから照射される光の波長によって殺菌力の差があり、VOCの除去や脱臭などにおいて差が出る。
それにもかかわらず従来の場合は広範囲な波長の紫外線ランプを使って空間を節約した利点はあったが、浄化能力は弱いものであった。
螺旋形に巻かれた光触媒板の内側端部は、直接紫外線ランプと接触される構造である。したがって接触する端部が鋭い為、生産過程や修理過程の組み立てや解体の時、紫外線ランプを損傷させる問題点がある。
また従来の場合、水と空気の浄化は全面的に螺旋形光触媒板にだけに依存していた。これは光触媒を浄化装置の他の部分にコーティングすることができなかったからであったが、特に外部ケースの内部すなわち光触媒板と紫外線ランプが挿入される外部ケースの内側面にはケースの内径は小さくて長さは長いため光触媒をコーティングすることができないためこれを活用することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】大韓民国特許登録第0671232号
【特許文献2】大韓民国実用新案登録第0254611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の問題点に鑑みて、本発明は螺旋形光触媒板の構造を変更して水や空気との接触面積を増大させ、ひいては紫外線ランプに直接接触している部分でランプに損傷を与えるのを防ぐ螺旋形光触媒板の構造を提供する。
また空気や水の浄化能力を極大化させるために殺菌、脱臭、浄化などにそれぞれ最適な波長を有する波長の異なる紫外線ランプをお互いに連結させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、光触媒板を利用した浄化装置を提供する。これには、流入口および流出口を供えた外部ケース、外部ケースに挿入される螺旋系光触媒板、螺旋系光触媒板に挿入される紫外線ランプを備え、紫外線ランプを挿入するための空間が形成された螺旋形光触媒板の内側にしわが形成される。
【発明の効果】
【0006】
このような本発明は螺旋形光触媒板の内側端部にしわ部が形成されることによって製品の生産の時、螺旋形光触媒板の内側端部によって紫外線ランプが損傷されることが防止され、またしわ部によって水や空気の接触面積が増大し、浄化能力が向上する効果がある。
また螺旋形光触媒板とあわせて光触媒チューブが設置されることによって外部ケースの内側面を光触媒でコーティングすることができないという従来の短所を乗り越えて浄化能力を極大化させることができるようになる。
また浄化能力が向上するように、紫外線ランプ及びオゾンランプを浄化、VOCの除去、脱臭などのそれぞれの目的に適している、それぞれ異なる波長を持つ紫外線ランプ及びオゾンランプを複数個設置する。
そればかりでなく、複数個の紫外線ランプを設置して浄化能力が向上することによってオゾンの除去まで可能になる。したがって従来は、殺菌力が強いが人体に有害なオゾンの発生のため使うことができなかったオゾンランプを、設置して使うことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による実施例の断面図。
【図2】本発明による実施例の分解図。
【図3】図2の“A−A”部の断面図。
【図4】螺旋形光触媒板の詳細斜視図。
【図5】複数個の外部ケースを含んだ実施例示図。
【図6】複数個の外部ケースを含んだ実施例示図。
【図7】複数個の外部ケースを含んだ実施例示図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は流入口(1)と流出口(2)の形成された外部ケース(3)と、外部ケース(3)に挿入される螺旋形光触媒板(4)と、螺旋形光触媒板(4)の内部に挿入される紫外線ランプ(5)を含んで構成された光触媒を利用した浄化装置において、紫外線ランプ(5)が挿入される空間を形成する螺旋形光触媒板(4)の内側部にしわ部(6)が形成される。
前記しわ部(6)は螺旋形光触媒板(4)全体に形成されることもでき、内側の所定の場所に部分的に形成されることもできる。
また外部ケース(3)と螺旋形光触媒板(4)の間に光触媒がコーティングされた光触媒チューブ(7)が挿入される。前記光触媒チューブ(7)は紙、金属、非鉄金属、合成樹脂、ゴムなど如何なるものでも可能であり、この表面に二酸化チタンなどの光触媒がコーティングされたものである。
このような光触媒チューブ(7)は平板を光触媒でコーティングして、これを外部ケース(3)に挿入する時丸く巻いて使うのが望ましく、図3に図示されたような断面を持つ。
螺旋形光触媒板(4)や光触媒チューブ(7)の表面に光触媒コーティングの効率及び光触媒接着及び溶着が容易なように研磨、ショットブラスト(shot blast)、化学腐食、溶射処理(thermal spray)等の処理をすることが望ましい。
また外部ケース(3)は連結管(8)で直列または並列の形態で複数個連結され、前記それぞれの外部ケース(3)には、波長の異なる紫外線ランプ(5)、波長の異なる紫外線ランプ(5)および可視光線ランプ、波長の異なる紫外線ランプ(5)およびオゾンランプ、波長の異なる紫外線ランプ(5)および可視光線ランプおよびオゾンランプが挿入され、波長にもとづいて浄化が行われる。
すなわち、外部ケース(3)には流入口(1)と流出口(2)が形成されているので外部ケース(3)と外部ケース(3)の間に設置される外部ケース(3)の流入口(1)と流出口(2)は皆連結管(8)になる。
また一つの外部ケース(3)で構成されるか、複数個の外部ケース(3)が繋がれて構成されるかのどちらの場合でも、外部ケース(3)の内のいずれか一つにファン(9)またはポンプを取り付けることもでき、あるいは空気や水の流れ管路上のどこにでもファン(9)またはポンプを設置できる。もちろん空気や水の流圧がある場合は、ファン(9)またはポンプを設置しなくても良い。
また前記ファン(9)に流出口(2)が形成されることもでき、この場合は外部ケース(3)に流出口(2)が形成されない構造である。
上述のように一つの外部ケース(3)を備えた浄化装置は図1と図2に図示されており、複数個の外部ケース(3)と波長の異なる紫外線ランプ(5)と可視光線ランプを使った場合が図5ないし図7に図示されている。
まず、一つの外部ケース(3)を含んで構成された場合は図1と図2に詳しく図示されている。図1を参照すると、流出口(2)が外部ケース(3)ではなくファン(9)の内部に形成されている。しかしこの場合にも外部ケース(3)の片側開口部を流出口(2)と言うこともできる。したがって流入口(1)と流出口(2)が形成された外部ケース(3)と言えば、必ず外部ケース(3)の壁体を貫いた構造のみを意味しないこととする。
図1ないし図4を見ると、まず光触媒がコーティングされた螺旋形光触媒板(4)、光触媒チューブ(7)と、外部ケース(3)がある。これには二酸化チタン(TiO)をはじめ多様な光触媒がコーティングされたもので、コーティングされた光触媒によって紫外線ランプ(5)や可視光線ランプによって照射される光によって光化学反応が起こり外部ケース(3)を通過する汚染した水や空気を浄化し、脱臭し、殺菌するなどの効果を果たすようになる。
なお、螺旋形光触媒板(4)は両側面が滑らかな平面であることもでき、反応効率と安全性を高めるためにしわ形象を持つことが望ましい。すなわち、螺旋形光触媒板(4)は全体が波のようなしわがよった形象で、このようにしわが寄った形象が螺旋形に巻かれて形成された構造である。また図4のように紫外線ランプ(5)と接触する螺旋形光触媒板(4)の内側端部だけしわが寄った形象であるしわ部(6)を有することもできる。
内側端部に形成されたしわ部(6)は図4に図示されたように、紫外線ランプ(5)に接触される部分であり、組み立ての時または使用の時に紫外線ランプ(5)の破損を防止する構造である。そして螺旋形光触媒板(4)が滑らかな形象であっても、しわ部(6)を有するしわのよった形象であっても、空気または水の流れを調節して反応を調節するために、螺旋形光触媒板(4)に少なくとも一つの通孔が形成されることもできる。
このようなしわ部(6)が形成されているので全体的な反応面積が増加する。また水や空気との接触面積が増大されるばかりでなく、しわ部(6)の曲線によって紫外線ランプ(5)との接触面積が従来の直線形状のものより広くなるため紫外線ランプ(5)の破損を防止するようになる。すなわち従来の場合はしわ部(6)がなく、鋭い直線状であった。したがって紫外線ランプ(5)との接触衝撃によって紫外線ランプ(5)が損傷される問題があった。しかし、本発明によると、紫外線ランプ(5)に接触される部分がしわ部(6)になることにより、接触部の面積が大きくなり、これによって衝撃力が分散し紫外線ランプ(5)を保護することができるようになる。
螺旋形光触媒板(4)は図2のように他の部品とともに組み立てられ、複数個が繋がれる場合は図5ないし図7に図示されている。図5は下部に位置する外部ケース(3)の片側が流入口(1)になり、ファン(9)またはポンプに流出口(2)が形成された場合である。図6は下部と上部の外部ケース(3)に流入口(1)と流出口(2)が形成された場合である。図7の場合は流入口(1)が下部の外部ケース(3)に別に形成された場合である。
このように複数個の外部ケース(3)が繋がれた構造を基準に水や空気の浄化過程を説明したい。
汚染した水や空気は流入口(1)を通じて流れるようになり、このような流体の流れはファン(9)、ポンプまたは流体自らの送り出し圧力による。流体は紫外線ランプ(5)を中心に回転しながら進行するが、これは螺旋形光触媒板(4)によって形成されたスクリュー形態の管路に沿って流れるからである。
このように流れる時、紫外線ランプ(5)の光は螺旋形光触媒板(4)と光触媒チューブ(7)にコーティングされた光触媒と光化学反応を行って浄化を行う。
螺旋形光触媒板(4)はしわが形成されているので浄化の能力が従来に比べて向上し、光触媒チューブ(7)によってより一層向上する。
流体を複数個の外部ケース(3)を順次経ながら、それぞれに別の波長を有する紫外線ランプ(5)によって浄化や殺菌などが行われ、可視光線ランプやオゾンランプによっても浄化される。
すなわち、複数個の外部ケース(3)を含めて連結使用する構造はそれぞれの機能と反応効果を区別しその効率を高める。したがってそれぞれに設置される紫外線ランプ(5)はその波長の異なることを特徴とする。
すなわち、紫外線や可視光線の波長あるいは光触媒素材によって脱臭、有機物質の分解、殺菌、抗菌の能力が異なる為、主な機能の異なるものを連結することで水や空気の浄化、浄水、殺菌処理の効果を同時に得ることができる。
したがって波長がそれぞれ異なる紫外線のランプを設置して使う。一般的に紫外線は波長別にUV−A(315〜400nm)、UV−B(280〜315nm)、UV−C(200〜280nm)に分類され、これらの波長帯別に紫外線を照射する紫外線ランプ(5)を使って、それぞれの機能を同時に行い、あるいは別個に光化学反応をさせ、それから得られた効果を用いる。すなわち、直列形態で配列するか、図5ないし図7のように並列形態で配列することができる。
例えば、図5で下から上に向かってUV−A(315〜400nm)領域の紫外線ランプ(5)、UV−B(280〜315nm)領域の紫外線ランプ(5)、UV−C(200〜280nm)領域の紫外線ランプ(5)を順次設置することができる。もちろん順序は構わずに設置することができるし、オゾンランプは初段階または紫外線ランプ(5)の間に設置することができる。前述したように紫外線の領域別によってランプを設置すると、紫外線領域別に、殺菌に適したもの、脱臭に適したもの、VOC分解に適したものなどに細分化することができ、結果として得られる効果も増大する。対照的に、従来は一つの汎用領域を有する紫外線ランプ(5)一つだけを使うことにより、それぞれ波長の異なるランプを用いる本発明と比較すると浄化力が十分ではなかった。
このように多段階に繋がれると光触媒反応効果が増大するが、これは波長とその効果が異なるオゾンランプとそれぞれの紫外線ランプ(5)が水や空気を順次浄化するようになるからである。もちろん紫外線ランプ(5)等とともに可視光線ランプとオゾンランプを追加して設置することもできる。
オゾンランプの場合は人体に有害なオゾン残留するので、オゾン拒許容量は規制されており、このような許容残留オゾンの規制条件を満たすことは容易ではないため、殺菌力が高いオゾンランプの使用は不可能であった。しかし本発明では複数個の波長別紫外線ランプ(5)を使うことによって、オゾンランプを使うことができる。すなわち、オゾンランプによって生成されたオゾンが以後の段階の紫外線ランプ(5)で除去されて許容値を満たすことが可能となる。
さらに、オゾンランプが紫外線ランプ(5)の間に位置される場合、またはオゾンランプが紫外線ランプ(5)に先行して位置される場合にも、生成されたオゾンが以後の段階の紫外線ランプ(5)と可視光線ランプあるいはこれらを組み合わせた構造を経ながら光化学的に分解されて除去される。
このように本発明は波長別に複数個の紫外線ランプ(5)と可視光線ランプを連結して使うことによって、オゾンランプの使用が可能であるばかりでなく、紫外線ランプの波長別作用をより一層積極的に活用し浄化能力を高める。
【符号の説明】
【0009】
1 : 流入口
2 : 流出口
3 : 外部ケース
4 : 螺旋形光触媒板
5 : 紫外線ランプ
6 : しわ部
7 : 光触媒チューブ
8 : 連結管
9 : ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口(1)と流出口(2)が形成された外部ケース(3)と、外部ケース(3)に挿入される螺旋形光触媒板(4)と、螺旋形光触媒板(4)の内部に挿入される紫外線ランプ(5)を含んで構成された光触媒を利用した浄化装置において、紫外線ランプ(5)が挿入される空間を形成する螺旋形光触媒板(4)の内側にしわ部(6)が形成されることを特徴とする浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、外部ケース(3)は連結管(8)に複数個連結され、前記それぞれの外部ケース(3)には波長が異なる紫外線ランプ(5)、波長が異なる紫外線ランプ(5)および可視光線ランプ、波長が異なる紫外線ランプ(5)およびオゾンランプ、または波長が異なる紫外線ランプ(5)および可視光線ランプおよびオゾンランプが挿入されることを特徴とする光触媒を利用した浄化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(a)】
image rotate

【図3(b)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−504139(P2011−504139A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534898(P2010−534898)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007268
【国際公開番号】WO2009/096662
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510122957)
【Fターム(参考)】