説明

光触媒構造体および脱臭装置

【課題】光触媒反応を効率良く生じさせ得る光触媒構造体を提供する。また、かかる光触媒構造体を用いた新規な脱臭装置を提供する。
【解決手段】浄化板(光触媒構造体)10は、凹凸構造11aが表面に形成された基板11と、基板11の凹凸構造11a側に配されるとともに凹凸構造11aの形状が反映された光触媒膜13とを備える。凹凸構造11aは、光触媒膜13が光触媒反応を起こす光の波長よりも小さいピッチで形成されている。基板11側から所定波長の光が入射されることで、吸着膜14に滞留した被浄化物質が、光触媒膜13による光触媒反応により浄化される。この浄化板10を脱臭装置に組み込むことで、脱臭能力が高められ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定波長の光が照射されることにより光触媒反応を起こす光触媒構造体、および、この光触媒構造体を用いて空気中に含まれる浄化対象物質を浄化する脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光触媒活性物質を含む光触媒構造体を用いて、大気浄化、脱臭、浄水、抗菌、防汚、水分解を行う光触媒装置の開発が進められている。この種の光触媒構造体は、一般に、基板上に、酸化チタン(TiO)等からなる光触媒膜が積層されることにより生成される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3809347
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記光触媒構造体では、光触媒膜に所定波長の光(たとえば、紫外線)が照射されることにより、光触媒膜表面に付着している物質が光触媒作用を受けて浄化される。この場合、照射される光が、効率良く、光触媒膜における光触媒反応に利用されることが望ましい。
【0005】
しかしながら、光触媒反応を生じさせるための光が光触媒膜側から照射されると、この光は、光触媒膜表面に付着した浄化対象物質により遮られるため、光触媒膜に到達し難くなるという問題が生じる。他方、光触媒反応を生じさせるための光が基板側から照射されると、この光は、基板と光触媒膜との間の界面において反射されるため、光触媒膜に到達し難くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、かかる問題を解消するためになされたものであり、光触媒反応を効率良く生じさせ得る光触媒構造体を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、かかる光触媒構造体を用いた新規な脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る光触媒構造体は、凹凸構造が表面に形成された基板と、前記基板の前記凹凸構造側に配されるとともに前記凹凸構造の形状が反映された光触媒膜とを備える。ここで、前記凹凸構造は、前記光触媒膜が光触媒反応を起こす光の波長よりも小さいピッチで形成されている。
【0009】
本発明の第2の態様に係る脱臭装置は、上記第1の態様に係る光触媒構造体と、前記光を前記基板側から前記光触媒構造体に照射する光源と、前記光触媒構造体に空気を流すためのファンとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光触媒反応を効率良く生じさせ得る光触媒構造体を提供することができる。また、本発明によれば、かかる光触媒構造体を用いた新規な脱臭装置を提供することができる。
【0011】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係る浄化板の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る基板の形成手順を説明する図である。
【図3】実施の形態に係る凹凸構造の反射率低減作用を示す測定結果である。
【図4】実施の形態に係る脱臭装置の構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係る制御回路による制御を説明する図である。
【図6】実施の形態に係る脱臭装置の構成の変更例および制御回路による制御の変更例を説明する図である。
【図7】実施の形態に係る浄化板の配置の変更例を示す図である。
【図8】実施の形態に係るパルス信号の変更例および半導体レーザの出射パワーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0014】
<浄化板>
図1に、本実施の形態に係る浄化板10の構成を示す。同図(a)は、浄化板10の積層構造を示す図であり、同図(b)は、基板11の凹凸構造11aを示す図であり、同図(c)は、凹凸構造11aの二次電子写真像を示す図である。
【0015】
同図(a)を参照して、浄化板10は、基板11と、透過膜12と、光触媒膜13と、吸着膜14を有する。
【0016】
基板11は、ポリカーボネート等の透光性材料から形成されており、屈折率は1.6に設定されている。基板11の透過膜12側の面には、同図(b)、(c)に示す如く、縦横均等に一定ピッチにて円柱状の突起が並ぶようにして、凹凸構造11aが形成されている。凹凸構造11aのピッチ(円柱状突起の幅)は、縦横ともに250nmであり、円柱状突起の高さは、175nmとなっている。
【0017】
なお、同図(c)の写真像は、凹凸構造11a上に合金膜をスパッタによって20nm形成した後、電子写真撮像のためにPt−Pdを10Å蒸着した状態で撮像を行ったときのものである。
【0018】
ここで、図2を参照して基板11の形成手順について説明する。
【0019】
まず、シリコン原盤上にスピンコートによりレジストを塗布する(工程1)。次に、EB描画(電子ビームカッティング)にて、上記ピッチの凹凸構造を形成する(工程2)。この描画後、現像処理を行い(工程3)、RIE加工を行う(工程4)。さらに、酸素プラズマアッシングを行って、残存するレジストを除去する(工程5)。これにより、シリコン原盤上に凹凸構造が形成される(Si原基)。
【0020】
続いて、このSi原基に対し、Niメッキを行って(工程6)、Niを堆積させる。そして、堆積したNi層をSi原基から剥離して、スタンパを作製する(工程7)。このスタンパに対し、射出成形を行って(工程8)、基板11を作製する(工程9)。これにより、凹凸構造が転写された基板11が形成される。
【0021】
なお、本実施の形態では、基板11の材料としてポリカーボネート以外に、ポリオレフィンといった透光性材料を用いることもできる。また、これ以外に、ポリ乳酸等の生分解性材料を用いることもできる。生分解性材料を用いると、廃棄時における環境負荷等を小さくすることができる。
【0022】
また、EB描画の替わりに、レーザビームカッティングを用いることもできる。この場合、シリコン原盤上には、フォトレジスト層が塗布される。また、カッティングビームとしては、波長400nm程度のレーザ光が用いられる。
【0023】
図1(a)に戻り、透過膜12は、上記手順によって形成された基板11の凹凸構造11a上に、スパッタ法によって積層される。透過膜12は、Alからなり、屈折率は基板11と略同じとなるよう1.6に設定されている。また、透過膜12の上面と下面は、基板11の凹凸構造11aを反映して凹凸構造となっている。なお、透過膜12は、非電解質な無機材料からなるため、後述する光触媒膜13の光触媒反応により浸食されない。
【0024】
また、透過膜12の膜厚およびRa(表面粗さ)は、基板11が光触媒膜13によって浸食されないように、且つ、基板11側から入射する光が光触媒膜13に十分に届くように設定されている。
【0025】
すなわち、透過膜12の膜厚が小さく設定されると、Raの設定によっては、透過膜12にホールが生じ、基板11と光触媒膜13とがこのホールにより接することが起こり得る。このように基板11が光触媒膜13に接すると、後述する光触媒膜13の光触媒反応により基板11が浸食され、基板11に劣化が生じる可能性がある。また、透過膜12のRaが大きく設定されると、透過膜12の膜厚によっては、透過膜12にホールが生じる。この場合も、光触媒膜13の光触媒反応により基板11が浸食され、基板11に劣化が生じる可能性がある。他方、ホールの発生を防ぐために、透過膜12の膜厚が大きく設定されると、基板11側から入射する光が、透過膜12によって吸収されて光触媒膜13に届きにくくなる。このため、光触媒膜13での光触媒反応が進み難くなる。
【0026】
このようなことを考慮して、透過膜12の膜厚およびRaが、適正に設定される必要がある。なお、透過膜12のRaの制御は、スパッタ時のガス圧を調節することによって行われる。
【0027】
本件発明者の行った実験では、透過膜12の膜厚を7nmとし、Raを0.8nmとすると、基板11に光触媒膜13の光触媒反応による浸食が生じたが、透過膜12の膜厚を7nmとし、Raを0.6nmとすると、基板11に光触媒膜13の光触媒反応による浸食が生じなかった。このことから、透過膜12は、膜表面のRaが膜厚の10%以下程度となるよう形成するのが望ましいと判断される。また、基板11側から入射する光が光触媒膜13に向けて十分に透過するよう、透過膜12の膜厚は3〜80nm程度に設定されるのが望ましい。以上から、本実施の形態では、透過膜12の膜厚を7nm、Raを0.66とした。なお、スパッタ時のガス圧を0.3Paとした。
【0028】
光触媒膜13は、透過膜12の上面にスパッタ法によって積層される。光触媒膜13は、TiOからなり、屈折率は2.5に設定されている。また、光触媒膜13の上面と下面は、透過膜12の上面に形成された凹凸構造を反映して凹凸構造となっている。これにより、基板11の表面の凹凸構造11aを反映した構造が光触媒膜13の上面(反応面)に形成され、光触媒膜13上面の表面積が大きくなり、光触媒反応が起こりやすくなる。
【0029】
なお、成膜後の光触媒膜13自体の表面は、積層される際にガス圧の調整によって多孔質状とすることができる。これにより、光触媒膜13自体が多孔質状となるため、光触媒膜13の表面積を大きくすることができ、さらに基板11の凹凸構造11aより光触媒膜13の表面積を増やすことができる。光触媒膜13の膜厚が小さいと、透過膜12の上面が光触媒膜13により完全に覆われなくなる。他方、光触媒膜13の膜厚が大きいと、透過膜12の上面に形成された凹凸構造が光触媒膜13の上面(反応面)に反映しなくなることに加えて、透過膜12側から入射する光が、光触媒膜13による吸収により、光触媒膜13の上面まで透過し難くなる。そこで、本実施の形態では、これらを考慮して、透過膜12の上面が十分に被覆され、且つ、上面へと透過する光が十分に得られるように、光触媒膜13の膜厚を80nmとした。
【0030】
光触媒膜13を形成するTiOは、アナターゼ結晶微粒子を含んでいる。アナターゼ結晶は、バンドギャップから波長388nm以下の紫外光を吸収し、光触媒反応を起こす。また、アナターゼ結晶は、微粒子で光触媒膜13内に存在するため、基板11の形状が複雑であっても基板11に対して均一に分布する。これにより、光触媒膜13上で広範囲に亘って効率的に光触媒反応が起き易くなる。
【0031】
また、TiOは、アナターゼ結晶構造以外に、ルチル構造、アモルファス構造、ブルカイト構造を形成することが分かっており、構造により光触媒反応が異なる。すなわち、反応の活性や反応する波長が構造毎に異なっている。本実施の形態で用いた光触媒膜13を形成するTiOには、複数の構造が含まれている。具体的には、アモルファス状のものおよびアナターゼ結晶欠陥や、スパッタ時に含まれる微量の窒素を含む微粒子、ルチル微粒子が含まれている。これにより、光触媒膜13の光触媒反応は、400〜500nmの可視光領域の波長の光によっても促進されることとなる。よって、光触媒反応を起こす光源としてLEDや半導体レーザが用いられる場合に、これら光源から出射される光が温度や個体差などにより可視光を含む場合でも、光の利用効率が高められる。なお、TiOにより形成される構造として、アナターゼ結晶構造以外に、上記に記述した全ての構造が含まれる必要はなく、可視光で活性を得られる微粒子が含まれれば良い。
【0032】
なお、光触媒膜13は、光触媒膜13に付着した物質に対して光触媒作用を及ぼす。光触媒作用を受ける物質として、アンモニア、アセトアルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタン、ホルムアルデヒド、酢酸、トルエン、菌、油分、などが挙げられる。これら物質は、光触媒作用を受けて二酸化炭素や水等に分解される。
【0033】
吸着膜14は、光触媒膜13の上面にスパッタ法によって積層される。吸着膜14は、SiOからなる。SiOは吸湿性があり、空気中の水分子や気相ガスを取り込み易い性質を有する。これにより、吸着膜14の上面にある空気中の物質が、吸着膜14に付着し易くなる。また、吸着膜14に吸着した物質は、吸着膜14上に留まり光触媒作用を受ける。
【0034】
なお、吸着膜14は、光触媒膜13の上面を完全にコートしてしまわないよう、光触媒膜13上に積層される。すなわち、スパッタ時のガス圧を低くしたり(具体的には0.8〜1Pa以上)、スパッタレートを早くしたりする(70Å/min以上)ことにより、吸着膜14に無数の微細孔が形成される。これにより、吸着膜14の上面に付着した物質が、微細孔を介して、光触媒膜13と接するようになる。吸着膜13の膜厚は、吸着膜14に付着した物質が光触媒膜13と効率的に接する厚みに設定されるのが望ましく、具体的には、3〜100nm程度とするのが望ましい。本実施の形態では、吸着膜13の膜厚を7nmとした。
【0035】
以上、上記浄化板10によれば、浄化板10に対して基板11の透過膜12とは反対側の面(以下、「入射面」という)から、波長375nmの紫外光が照射されると、かかる紫外光は、基板11と、透過膜12と、光触媒膜13を透過し、光触媒膜13の上面(以下、「反応面」という)に到達する。これにより、吸着膜14に付着して反応面に接している物質が光触媒作用を受け得る。
【0036】
この場合、基板11と光触媒膜13の間に透過膜12が配されているため、光触媒膜12の光触媒作用による基板11の浸食が抑制され得る。また、反応面には凹凸構造が形成されているため、反応面が物質と接触する面積が大きくなり、光触媒膜13による光触媒反応が起こりやすくなる。さらに、反応面に形成された凹凸構造表面において紫外光が多重反射を引き起こすため、光触媒膜13と紫外光との反応機会が多くなり、光触媒膜13による光触媒反応が起こりやすくなる。
【0037】
また、上記浄化板10によれば、吸着膜14に物質が留められ易くなるため、吸着膜14がない場合に比べて、物質に対する光触媒反応がより効率的に行われるようになる。
【0038】
また、上記浄化板10によれば、基板11と透過膜12の接面と、透過膜12の接面と光触媒膜13の接面に微細な凹凸構造が形成され、この凹凸構造のピッチ(250nm)が光触媒反応のための紫外光の波長(375nm)よりも小さく設定されているため、入射面から入射する紫外光が、基板11と透過膜12の界面と、透過膜12の接面と光触媒膜13の界面で反射することが抑制される。また、基板11と透過膜12の屈折率が略同じであるため、入射面から入射する光が、透過膜12と基板11の界面で反射することが、さらに抑制される。これにより、浄化板10の入射面から入射する光が、より効率的に光触媒膜13に到達する。なお、このように作製した浄化板10の波長λ=375nmでの透過率は70%以上であった。
【0039】
なお、本実施の形態では、透過膜12と基板11の屈折率を1.6に合わせたが、他の屈折率に合わせる場合には、それに応じて、透過膜12と基板11の材料を適宜選択すれば良い。また、透過膜12と基板11の屈折率は一致させるのが望ましいが、両者の屈折率が相違する場合にも、なるべく両者の屈折率が接近するように、透過膜12と基板11の材料を選択すると良い。
【0040】
また、上記浄化板10によれば、入射面から光を入射させることにより、反応面において光触媒反応を生じさせることができるため、吸着膜14に浄化対象物質が多量に付着した場合でも、反応面における光触媒反応が滞りなく起こり得る。
【0041】
なお、基板11の上面側だけでなく下面側にも、上面側と同様に、透過膜12と、光触媒膜13と、吸着膜14が配されるようにしても良い。このとき、吸着膜14は光透過膜により構成される。この場合、下面側から光が入射すると、1つの光源で下面側の透過膜12の下面(反応面)と、上面側の透過膜12の上面(反応面)において、光触媒反応が生じることとなる。但しこの場合、下面側表面に多量の物質が付着して光の透過が減少することを考慮する必要がある。
【0042】
また、浄化板10の各層に用いる材料は、上記に限定されるものではない。また、各層の厚みも、材料の変更に応じて、適宜、変更可能である。さらに、光触媒反応に用いる光の波長も、光触媒膜13に用いる材料に応じて適宜変更され得る。なお、このように光触媒反応に用いる光の波長が変更される場合には、それに応じて、凹凸構造のピッチを調整するのが望ましい。すなわち、上記と同様、光触媒反応に用いる光が、基板11と透過膜12の界面と、透過膜12の接面と光触媒膜13の界面で反射するのを抑制するためには、当該光の波長よりも凹凸構造のピッチを小さく設定する必要がある。
【0043】
上記実施の形態では、基板11側から光を照射するとして説明した。しかしながら、凹凸構造とTiOの多孔質構造により光触媒反応面積が飛躍的に増大するため、吸着膜14側から光を照射しても、吸着膜14に付着する対象物質の量が多くなければ、これらの構造がない従来の浄化板に比べて、浄化性能を高めることができる。しかしながら、吸着膜14に付着する対象物質が圧倒的に多く、吸着膜14側から反応面に光が届かなければ、従来の浄化板と同じ結果となる。よって、本実施の形態のように、光を基板11側から入射する方が望ましい。
【0044】
<測定例>
発明者は、上記凹凸構造による反射率低減作用の測定を行ったので、以下、これについて説明する。
【0045】
本測定では、図1(c)に示すように、縦横方向に均等に一定ピッチにて円柱状の突起が並ぶようにして、基板上に凹凸構造を形成した。凹凸構造のピッチ(隣り合う円柱状突起間の距離)は、縦横ともに250nmであり、円柱状突起の高さは、170nmである。凹凸構造は、図2に示す工程により生成した。すなわち、図2に示す工程により、凹凸構造が転写された基板を形成した。なお、本測定では、基板材料として、ポリカーボネートを用いた。
【0046】
本測定では、このようにして生成した基板上に、Co50Al50at.%の合金膜(反射膜)を、スパッタによって20nm形成した。なお、本測定では、基板上に、この合金膜(反射膜)のみを形成した。
【0047】
合金膜(反射膜)の形成は、以下のようにして行った。
【0048】
真空チャンバで5×10−5Pa以上まで真空引きを行ったのち、Arガスを導入し、0.6Paの雰囲気中でスパッタを行った。チャンバ内には、CoターゲットとAlターゲットを設置し、同時にそれぞれに電力を投入することにより合金化するCo−スパッタ法を用いてCo50Al50at.%の合金膜(反射膜)を製膜した。尚、基板は、合金膜(反射膜)を均一に製膜するために、放電中に、40rpmで自公転させた。
【0049】
このようにして合金膜(反射膜)を生成した後、反射率の測定を行った。図3に、その測定結果を示す。同図には、比較例として、反射膜形成面が平坦なガラス基板上にCo50Al50at.%の合金膜をスパッタによって20nm形成した構造体に対する反射率の測定結果を重ねて示してある。光は、合金膜(反射膜)側から複数の凹凸構造が照射範囲に含まれるように照射した。
【0050】
同図から、基板上に上記のような凹凸構造を形成すると、平坦なAl−Co膜を形成したガラス基板に比べ、反射率が35〜40%程度低下することが分かる。このことから、凹凸構造を形成すると、凹凸構造を形成しない鏡面部分との間で大きな反射率差を発現させることができることが分かる。
【0051】
かかる反射率の低減作用は、図3から、少なくとも凹凸構造のピッチ(250nm)が、光触媒反応に用いる光の波長(375nm)よりも小さいと起こることが分かる。したがって、上記浄化板10では、光触媒反応に用いる光の波長よりも凹凸構造のピッチを小さく設定することで、基板11と透過膜12の界面と、透過膜12の接面と光触媒膜13の界面における当該光の反射を抑制することができる。
【0052】
<脱臭装置>
以下は、上記浄化板10を脱臭装置に適用した例である。
【0053】
図4は、脱臭装置1の構成を示す図である。
【0054】
脱臭装置1は、浄化板10と、送風経路20と、ファン31、32と、フィルター41、42と、臭気センサ51と、発光ユニット60と、LED駆動回路70と、ファン駆動回路81、82と、電源スイッチ90と、制御回路100と、を備える。
【0055】
送風経路20は、中空の筒体からなっており、その中を空気がX軸方向に流通できるよう構成されている。送風経路20の入口と出口には、それぞれ吸気口20aと排気口20bが形成されている。また、送風経路20の中心付近には、浄化板10が配置されるための浄化領域20cが形成されている。
【0056】
浄化板10は、上記の如く、基板11と、透過膜12と、光触媒膜13と、吸着膜14が、X−Y平面に平行となるよう積層されている。また、浄化板10は、浄化領域20c内に突出するように設置されている。
【0057】
ファン31、32は、吸気口20aから排気口20bに向けて、空気を流通させる。これにより、吸気口20a付近にある空気は、ファン31によって吸気口20aから吸い込まれ、浄化領域20cを通り、ファン32によって排気口20bから送出される。
【0058】
フィルター41は、吸気口20aから吸い込まれた空気に含まれる大きな埃を取り除き、フィルター42は、フィルター41側から送出される空気に含まれる小さい埃を取り除く。臭気センサ51は、ファン31から浄化領域20cに向けて送出される空気に含まれる臭い成分を検出する。臭気センサ51の検出信号は、制御回路100に出力される。
【0059】
発光ユニット60は、X−Y平面上に複数のLED61を有している。これらLED61は、浄化板10の入射面に向けて波長375nmの光を出射する。LED駆動回路70は、制御回路100からの指令に応じて、発光ユニット60に配された複数のLED61を駆動する。
【0060】
ファン駆動回路81、82は、制御回路100からの指令に応じて、それぞれ、ファン31、32を駆動する。ファン31、32の回転数は、制御回路100によって制御される。電源スイッチ90には、ON/OFFの切り替えスイッチが設けられており、操作者はこのスイッチを切り替えることにより、脱臭装置1の電源をON/OFFに切り替えることができる。電源スイッチ90の切り替え信号は、制御回路100に出力される。制御回路100は、臭気センサ51の出力信号と電源スイッチ90の切り替え信号に基づき、LED駆動回路70と、ファン駆動回路81、82を制御する。
【0061】
このように脱臭装置1が構成されると、ファン31が駆動されることにより吸気口20aから取り込まれた空気が、フィルター41、42で埃を取り除かれ、浄化領域20cに送出される。浄化領域20cに送出された空気は、浄化板10の吸着膜14に接すると、かかる空気中に含まれる物質が吸着膜14に留められ、光触媒膜13の反応面と接することとなる。この状態で、発光ユニット60のLED61から光触媒膜13に光が照射されると、反応面において光触媒反応が起こり、反応面と接している物質が分解される。浄化板10による作用を受けて分解された物質は、ファン31、32が駆動されることにより浄化領域20cから排気口20bへ向けて送出され、排気口20bから送出される。こうして、脱臭装置1の近傍の空気中に含まれる物質が浄化される。本実施の形態の構成では、浄化板10を挟んで空気の流路とLED61等の駆動回路を配置できるため、浄化物質が回路を浸食するガスであっても浄化可能となる。
【0062】
図5は、制御回路100による制御を説明する図である。
【0063】
同図(a)は、脱臭装置1の電源スイッチ90がOFFからONにされた直後のLED61とファン31、32の制御を示すフローチャートである。
【0064】
脱臭装置1の電源がONされると、まず、電源ONされてからの経過時間がカウントされる(S11)。続いて、制御回路100が、LED駆動回路70を介して、LED61をパルス発光させる(S12)。ここで、LED61がパルス発光されると、同図(c)に示すように、LED61は、周期T1ごとに時間t1だけON(点灯)となる。
【0065】
同図(a)に戻り、制御回路100により、脱臭装置1の電源がONされてからの経過時間が所定時間に達したと判定されると(S13:YES)、S14に処理が進められ、所定時間に達していないと判定されると(S14:NO)、処理が待機される。
【0066】
S14では、制御回路100が、LED駆動回路70を介して、LED61をDC発光させる。ここで、LED61がDC発光されると、同図(d)に示すように、LED61は常時ON(点灯)となる。同図(a)に戻り、S15では、制御回路100が、ファン駆動回路81、82を介して、ファン31、32を駆動する。このようにして、脱臭装置1が通常動作とされる。
【0067】
このようにLED61とファン31、32が制御されると、脱臭装置1の電源がONされた直後に、電源OFF時に吸着膜14に付着した未浄化物質が、排気口20bから送出されることが抑制される。
【0068】
すなわち、電源OFF時に浄化領域20c付近に浮遊している物質は、吸着膜14の吸着能力が高いため、吸着膜14に付着される。この状態で、脱臭装置1の電源がONされて、LED61がDC発光されると、光触媒膜13が光エネルギーを吸収して、光触媒膜13の温度が急瞬に上昇するため、吸着膜14に付着している未浄化物質が、浄化されずに浄化領域20cの空気中に放出されてしまう。この状態でファン31、32が駆動されると、浄化領域20cの空気中に放出された未浄化物質が排気口20bから送出されてしまう。加えて、ファン31、32による気流によって、吸着膜14から未浄化物質が離脱し、排気口20bから送出されてしまう。
【0069】
これに対し、図5(a)の制御では、上記のように、電源ONから一定期間はLED61がパルス発光されるため、この期間における光触媒膜13の温度上昇が緩やかになる。このため、吸着膜14に付着している未浄化物質は、吸着膜14に留められて浄化される。これにより、未浄化物質が浄化領域20cの空気中に放出されるのが抑制される。また、このとき、ファン31、32は停止しているため、吸着膜14に付着している未浄化物質が、気流によって、吸着膜14から離脱して排気口20bから送出されるのが抑制され得る。なお、ここでは、ファン31、32を停止するようにしたが、吸着膜14に付着している未浄化物質が空気中に放出されない程度に、ファン31、32を低い回転数で駆動(弱運転)するようにしても良い。
【0070】
なお、S13での判定に用いられる所定時間は、吸着膜14に付着した未浄化物質が十分に減少するまでの所要時間、つまり、新たな吸着が可能になる程度に浄化がすすむのに必要な所要時間に設定される。こうすると、所定時間が経過した後には、吸着膜14に付着した未浄化物質が減少して、浄化領域20c内に浮遊する物質が吸着膜14に吸着可能となっているため、迅速に脱臭装置1の近傍の空気の取り込みを開始することができる。
【0071】
同図(b)は、脱臭装置1の通常動作時のLED61の制御を示すフローチャートである。
【0072】
制御回路100は、臭気センサ51の検出信号が所定値以下であると判定すると(S21:YES)、LED61をパルス発光させ(S22)、臭気センサ51の検出信号が所定値よりも大きいと判定すると(S21:NO)、LED61をDC発光させる(S23)。
【0073】
このようにLED61が制御されると、脱臭装置1の通常動作時に、浄化領域20cに送出される空気に浄化対象となる物質が微量しか存在しない場合にも、確実に浄化対象物質を浄化することが可能となる。すなわち、空気中に浄化対象物質が微量しか存在しないときにLED61がDC発光されると、光触媒膜13の温度が上昇する。これにより、浄化板10近傍の空気の温度が上昇するため、空気に含まれる浄化対象物質が吸着膜14に付着し難くなり、浄化対象物質が浄化され難くなる。しかしながら、この場合に、LED61がパルス発光されれば、光触媒膜13の温度上昇が抑制されるため、浄化対象物質が吸着膜14に付着し易くなり、浄化対象物質が浄化され易くなる。
【0074】
以上、上記脱臭装置1によれば、吸気口20aから吸い込まれた空気に含まれる物質は、浄化板10の光触媒膜13の光触媒作用により浄化され、排気口20bから送出される。これにより、脱臭装置1の近傍の空気が浄化され得る。
【0075】
また、上記脱臭装置1によれば、脱臭装置1の電源がONされた直後であっても、電源OFF時に吸着膜14に付着していた未浄化物質が、排気口20bから送出されることが抑制されるため、電源ONの直後に、脱臭装置1から外部に異臭が放たれるのが抑制され得る。また、脱臭装置1の通常動作時に、浄化対象物質が微量であると、LED61がパルス発光とされて、光触媒膜13の温度上昇が抑制されるため、微量の浄化対象物質を効率的に浄化板10に吸着させることができ、浄化対象物質をより確実に浄化することができる。
【0076】
<脱臭装置の変更例>
図6(a)は、本変更例における脱臭装置1の構成を示す図である。
【0077】
本変更例における脱臭装置1は、図4に示した脱臭装置1に、臭気センサ52が追加された構成となっている。臭気センサ52は、臭気センサ51と同様の構成であり、浄化領域20cからファン32に向けて送出される空気に含まれる臭い成分を検出する。臭気センサ52の検出信号は、制御回路100に出力される。なお、図6(a)には、便宜上、浄化領域20cの近傍のみが示されている。
【0078】
図6(b)は、脱臭装置1の電源がONされた直後のLED61とファン31、32の制御を示すフローチャートである。なお、本変更例では、図5(a)のフローチャートから、S11、S13が削除され、S31、S32が追加されている。
【0079】
脱臭装置1の電源がONされると、制御回路100が、LED駆動回路70を介して、LED61をパルス発光させ(S12)、ファン31、32を通常状態よりも数段低い回転数で駆動(弱運転)する。
【0080】
続いて、制御回路100は、臭気センサ51の検出信号が、臭気センサ52の検出信号よりも大きいかどうかを判定する(S32)。臭気センサ51の検出信号が、臭気センサ52の検出信号よりも大きいと判定されると(S32:YES)、S14とS15に処理が進められて、LED61とファン31、32の駆動が通常状態とされる。他方、臭気センサ51の検出信号が、臭気センサ52の検出信号以下と判定されると(S32:NO)、処理が待機される。
【0081】
ここで、下流側に配された臭気センサ52の検出信号の方が、上流側に配された臭気センサ51の検出信号よりも小さくなると(S32:YES)、制御回路100は、脱臭装置1の電源OFF時に吸着膜14に付着した未浄化物質が略浄化されたと判断し、LED61とファン31、32の駆動を通常状態で駆動する(S14、S15)。
【0082】
このようにLED61とファン31、32が制御されると、本変更例においても、脱臭装置1の電源がONされた後に、未浄化物質が排気口20bから送出されることが抑制され得る。
【0083】
<浄化板の配置の変更例>
上記浄化板10は、図4と図6(a)に示したような配置に限られず、以下のように、浄化板10と同様の別の浄化板が配置されても良い。なお、図7では、便宜上、浄化領域20cの近傍のみ図示されている。
【0084】
図7(a)に示す脱臭装置1には、浄化領域20cに対して、図4と図6(a)に示した浄化板10と対称となるように、浄化板110が設置されている。
【0085】
この場合、LED61から出射される光は、浄化板10によって吸収される。さらに浄化板10を透過した光は、浄化板110の吸着膜14と、浄化板110の吸着膜14上に付着している物質により吸収される。しかしながら、LED61から出射される光の一部は、浄化板110の光触媒膜13に到達し、浄化板110の光触媒膜13において光触媒反応を生じさせる。これにより、上記図4と図6(a)に示した脱臭装置1に比べて、浄化領域20c内の空気がより浄化され得る。なお、図7(a)において、浄化板10と浄化板110との間に、さらに別の浄化板110が浄化領域20cの内壁面に設置されても良い。
【0086】
図7(b)に示す脱臭装置1には、図4と図6(a)に示した浄化板10のZ軸正方向にさらに別の浄化板120が配置されている。浄化板120は、Z軸正方向と負方向の両方の面に光触媒作用を有するよう、透過膜12と、光触媒膜13と、吸着膜14が配されている。また、浄化板120は、図示の如く、浄化領域20cの内壁面に固定されている。
【0087】
この場合、LED61から出射される光は、浄化板10を透過して、浄化板120のZ軸正方向と負方向の両方の光触媒膜13に到達し、それぞれの光触媒膜13において光触媒反応を生じさせる。これにより、上記脱臭装置の実施形態に比べて、1つの光源で反応面積を大幅に増加させることで、浄化領域20c内の空気がより浄化され得る。なお、図7(b)において、浄化領域20c内に、浄化板120と同様の構成を有するさらに別の浄化板が、浄化板120のZ軸正方向に設置されても良い。
【0088】
図7(c)に示す脱臭装置1には、浄化領域20cに対して、図4と図6(a)に示した浄化板10および発光ユニット60と対称となるように、浄化板110および発光ユニット130が設置されている。発光ユニット130は、発光ユニット60と同様の構成であり、発光ユニット130に配された複数のLED61から出射された光は、浄化板110の光触媒膜13に照射される。発光ユニット60からの光は、浄化板10を通って浄化板110に至る。また、発光ユニット130からの光は浄化板110を通って、浄化板10に至る。これにより、浄化板10、130の光触媒膜13の反応面に照射される光量が大幅に増え、より光触媒反応が活発となる。
【0089】
この場合も、浄化板110において、浄化板10と同様に光触媒反応が生じるため、上記脱臭装置の実施形態に比べて、浄化領域20c内の空気がより浄化され得る。なお、同図(c)では、Z軸方向に浄化板および発光ユニットが対向するよう配置されたが、さらにY軸方向に浄化板と発光ユニットが対向するように配置されても良い。こうすると、さらに浄化領域20c内の空気が浄化され得る。また、図7(c)の構成において、図7(b)における浄化板120が、浄化板10と浄化板110の間に配されても良い。こうすると、浄化板10、110を透過した光が上下から浄化板120に照射されるため、浄化板120の上面および下面における光触媒反応が効率よく行われ得る。
【0090】
このように、発光ユニットから光出射方向に浄化板を多段に構成すると、発光ユニットの数をできるかぎり少なくでき、コスト的に安くできる。また、浄化板を透過する光を再利用できるため効率が良くなる。さらに、限られたスペースで大面積に光触媒反応を起こすことが可能となる。
【0091】
なお、浄化板を多段に構成する場合は、浄化板の透過率が低くなると、光が対面する浄化板まで届かず、効果が得られ難くなる。本実施の形態において、上記浄化板10は、基板11と、透過膜12、光触媒膜13、吸着膜14とを含めて70%以上の透過率で形成されるようにした。これにより、4層構造でも25%以上の透過光が得られ、光の損失があっても十分機能するものであった。多段構成においては、透過率が少なくとも浄化板単体で50%以上あることが望ましい。
【0092】
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は上記実施の形態および変更例に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0093】
たとえば、上記脱臭装置の実施形態では、LED61の発光状態はパルス発光またはDC発光とされたが、臭気センサ51の検出信号に応じて、LED61の発光エネルギーが段階的に変化するようLED61が制御されても良い。こうすると、浄化領域20cに含まれる浄化対象物質の量に応じて、光触媒膜13に到達する光エネルギーを変化させることができるため、より効率的に光触媒反応を生じさせることができる。
【0094】
なお、LED61の発光エネルギーを変化させるためには、LED61のデューティ比を変化させれば良い。例えば、図8(a)に示すように、図5(c)の周期T1とは異なる周期T2でLED61が発光されれば良い。または、図8(b)に示すように、図5(c)の発光時間t1とは異なる発光時間でLED61が発光されれば良い。
【0095】
また、上記実施の形態では、光触媒反応を起こさせる光源としてLED61が用いられたが、LED61の替わりに半導体レーザが用いられても良い。この場合、上記実施の形態のように、半導体レーザがDC発光またはパルス発光に切り替えられることにより、光触媒膜13に照射される光エネルギーが調節される。または、図8(c)、(d)に示すように、半導体レーザの出射パワーが、Pw1とPw2に切り替えられることにより、光触媒13に照射される光エネルギーが調節されるようにしても良い。さらに、臭気センサ51の検出信号に応じて、半導体レーザの発光エネルギーが段階的に変化させる場合、半導体レーザの出射パワーPwが段階的に変化されれば良い。特に半導体レーザは、出射パワーのレンジが広く、段階的に変化させるのに有利である。
【0096】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0097】
なお、本発明の脱臭装置に係る請求項4は、特許請求の範囲に記載の請求項の他、以下の限定により特徴づけられ得る。
【0098】
請求項4に記載の脱臭装置において、前記光触媒構造体に前記空気を流すための送風経路内に配された臭気センサをさらに備え、前記臭気センサの検出信号が所定値以下であるとき、前記光源から第1のパワーで前記光が出射され、前記臭気センサの検出信号が所定値よりも大きいとき、前記光源から前記第1のパワーよりも大きい第2のパワーで前記光が出射される、ことを特徴とする脱臭装置。
【0099】
請求項4に記載の脱臭装置において、前記光触媒構造体の上流側および下流側にそれぞれ配された第1および第2の臭気センサをさらに備え、前記脱臭装置の起動時には、前記ファンが第1の回転数で駆動され、且つ、前記光源から第1のパワーで前記光が出射され、前記起動の後、前記第1の臭気センサの検出信号が前記第2の臭気センサの検出信号よりも大きくなると、前記ファンが前記第1の回転数よりも大きい第2の回転数で駆動され、且つ、前記光源から前記第1のパワーよりも大きい第2のパワーで前記光が出射される、ことを特徴とする脱臭装置。
【符号の説明】
【0100】
10、110、120 … 浄化板(光触媒構造体)
11 … 基板
12 … 透過膜
13 … 光触媒膜
14 … 吸着膜
31、32 … ファン
51、52 … 臭気センサ
60、130 … 発光ユニット(光源)
61 … LED(光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸構造が表面に形成された基板と、
前記基板の前記凹凸構造側に配されるとともに前記凹凸構造の形状が反映された光触媒膜と、を備え、
前記凹凸構造は、前記光触媒膜が光触媒反応を起こす光の波長よりも小さいピッチで形成されている、
ことを特徴とする光触媒構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の光触媒構造体において、
前記基板と前記光触媒膜との間に透過膜をさらに備える、
ことを特徴とする光触媒構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光触媒構造体において、
前記光触媒膜上に配されるとともに物質を滞留させて前記光触媒膜に接触させる吸着膜をさらに備える、
ことを特徴とする光触媒構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の光触媒構造体と、
前記光を前記基板側から前記光触媒構造体に照射する光源と、
前記光触媒構造体に空気を流すためのファンと、を備える、
ことを特徴とする脱臭装置。
【請求項5】
請求項4に記載の脱臭装置において、
前記脱臭装置の起動時には、前記光源から第1のパワーで前記光が出射され、
前記起動から所定の時間が経過すると、前記光源から前記第1のパワーよりも大きい第2のパワーで前記光が出射される、
ことを特徴とする脱臭装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の脱臭装置において、
前記光触媒構造体に前記空気を流すための送風経路内に配された臭気センサをさらに備え、
前記臭気センサからの検出信号に基づいて前記光源からの光の出射パワーが制御される、
ことを特徴とする脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−92873(P2011−92873A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249907(P2009−249907)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】