説明

光触媒組成物

【課題】製造が容易で、支持体表面に直接被覆可能な光触媒組成物を提供する。
【解決手段】本発明の光触媒組成物は、光触媒剤及び結合剤を含む光触媒組成物であって、前記結合剤が、二酸化珪素(SiO)の水性コロイド分散物のみからなり、かつ前記光触媒剤がアナターゼ形TiOであって、前記SiO粒子が、前記水性コロイド分散物の20から50重量%を占め且つ20から30ナノメートルの直径を有し、前記SiO粒子は、前記光触媒剤を被覆した後に共に結合することができ、かつ、光触媒組成物の10から60部(乾物として)の前記二酸化珪素(SiO)の前記水性コロイド分散物と、光触媒剤としてのTiOからなる100部までの残量とが存在することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な光触媒組成物、その製造方法及びその使用に関する。
これはまた、この光触媒組成物によって被覆されてなる濾過媒体、並びにその製造方法及びその使用にも関する。
【0002】
以下の説明及び請求項において、“光触媒剤”は、紫外(UV)線によって引き起こされる光化学反応により、空気及び水中に存在する様々な有機汚染物質を破壊しうる剤を示す。この化学反応は、“光触媒”なる用語によって広く知られ、空気または水の処理のために使用されている。
【背景技術】
【0003】
概略としては、光触媒反応は、半導体固体を、380ナノメートル未満の波長でUV光によって活性化することによって開始され、半導体内に電気的変化を引き起こした結果、空気または水の存在下で、半導体の表面に酸素含有基を生成する。これらの基は、半導体表面に吸着した有機化合物を攻撃し、空気または水中の酸素を含む化学反応の連続によって有機化合物を分解し、炭素鎖の炭素を完全に二酸化炭素(CO2)に変換する。
【0004】
光触媒反応は、上記の工程を経て、空気中の多数の汚染物質、特にNO、NH、HS、CO、O、塩素化または非塩素化C2−C4アルケン、クロロメタン、イソ-オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、C−C飽和脂肪族アルコール、メチルメルカプタン、クロロフェノール、ニトロフェノール、メチルtert-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、C−Cアルデヒド、アセトン、蟻酸、酢酸、2-メチルプロパン酸、ジクロロアセチルクロライド、ジメチルホルムアミド、トリメチルアミン、アセトニトリル及びピリジンを変換することができる。
【0005】
実際には、アナターゼ形二酸化チタンTiO2が半導体固体、すなわち光触媒剤として使用され、UV光によって活性化された二酸化チタンは、電気的に変性されてTiO表面に吸着された有機化合物を、該有機炭素が完全に二酸化炭素に変換されるまで分解することによって攻撃しうる、ヒドロキシルラジカルOH及び酸素ラジカルO・を生成させる。
【0006】
しかしながら、他の光触媒剤、例えば、金属酸化物、アルカリ土類酸化物、アクチニド酸化物及び希土類酸化物から選択されるものを使用することができる。
【0007】
空気及び廃液の処理のためには、支持体、特に繊維状支持体またはグラスファイバー支持体の表面に、結合剤を用いて光触媒組成物を固定することが必要である。以下の説明及び請求項において、この“光触媒組成物/支持体”の組み合わせは、“濾過媒体”と呼称される。
【0008】
かなり以前に、結合剤として、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール等を含むタイプの有機分子を使用することが提唱された。
結合剤の炭素鎖もまた光触媒工程を受けて分解されるが、これによってこの組成物の耐用期間が制限されるならば、この使用が充分なものとはなり得ないことが、急速に明らかになってきた。
【0009】
この問題を解決するために、か焼によって結合剤から炭素を除去することを含む多数の技術、特にPMTP(予め調製したチタン粉末)あるいはまたCVD(化学蒸着)によって触媒を固定する技術が提唱されており、これらの技術は、特にJournal "CATALYSIS TODAY", Vol. 39, No. 3, Pages 221 and 222に記載されている。
【0010】
しかしながら、このタイプの技術は、多数の欠点、例えば組成物調製の期間及びコストの増大等を有する。さらにまた、中でも、約1700℃の温度にて行われるか焼により、その組成物を使用困難なものとする粉末が生成する。
【0011】
この問題を解決するために、仏国特許出願第2749777号には、有機結合剤を、無機アルミノケイ酸塩ポリマーからなる、イモゴライトタイプの無機結合剤によって置き換えることが提唱されている。
【0012】
この文献に記載された光触媒組成物は、光触媒剤のコロイド溶液が添加されてなるアルミノケイ酸塩ゲルの形態である。アルミノケイ酸塩ゲルの調製に要する時間は、数日のオーダーであり、多数の比較的複雑な工程が必要である。太陽光にかざして透明なチキソトロピックゲルが得られるが、これは支持体表面に均一な被覆をするためには、攪拌によって流動化させねばならない。
【0013】
特に、濾過媒体を製造するためには、得られたゲルを支持体に塗布し、その後不特定の技術を用いて乾燥させる。多様な試行により、使用する光源によって、汚染物質の約12または26%のみが破壊されることが示されている(実施例3参照)。
【0014】
この文献に記載された光触媒組成物は、支持体表面に単層として被覆することができるという利点を有するが、この組成物の調製は非常に複雑であるばかりでなく、不適当な結果をも招く。
【0015】
この問題を解決するために、特開平9−171801号及び国際特許出願公開第97/00134号には、こうした光触媒組成物を、粘着層を介して支持体表面に被覆することが提唱されている。確かな実施態様においては、この粘着層は、5から40重量%のコロイダルシリカを含むことのできる樹脂からなる。
【0016】
換言すれば、この溶液は、一方では濾過媒体の製造(支持体表面に二つの連続的な層を被覆すること)に要する工程数を増大させるという欠点を有し、他方では、定義上有機の、光触媒工程中に消費されうる樹脂を使用するという欠点を有する。
【特許文献1】仏国特許出願第2749777号
【特許文献2】特開平9−171801号
【特許文献3】国際特許出願公開第97/00134号パンフレット
【非特許文献1】"CATALYSIS TODAY", Vol. 39, No. 3, 221及び222頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決しようとする課題の一つは、市販の成分から容易に調製され、支持体表面に直接被覆可能な光触媒組成物を提供することである。
本発明が解決しようとする別の課題としては、吸着性及び光触媒有効性、いわば光触媒剤の効力を向上させることがある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
使用が容易で、基質に単層として適用可能な組成物を提供するという課題を解決するために、本発明は、光触媒剤と少なくとも一の結合剤とを含む光触媒組成物を提唱する。これは、無機結合剤が二酸化珪素(SiO2)の水性コロイド分散物を含み、前記ケイ素酸化物の水性コロイド分散物が光触媒剤を被覆した後、互いに結合可能なシリカ粒子を含むことを特徴とする。
【0019】
“二酸化珪素(SiO2)の水性コロイド分散物”は、比表面積の大きい無定形のシリカ粒子の、負に荷電した水中分散物を意味することとする。実際には、25から30ナノメートルの粒子径に対して、シリカ粒子の比表面積は80m2/gより大であり、100m2/gであると有利である。同様に、4から6ナノメートルの粒子径に対して、比表面積は300m2/gより大であり、350m2/gであると有利である。その表面に、シリカ粒子は、OH基及び電気二重層を形成するOH-イオンを有し、これによって前記粒子は自己結合特性を備えている。既述の通り、シリカ粒子は光触媒剤の粒子を被覆した後に、互いに結合可能である。
【0020】
本組成物の吸着性及び光触媒効力を如何に向上させるかという問題の解決のためには、結合剤は二酸化珪素(SiO2)の水性コロイド分散物のみからなる。
【0021】
実際のところ、上記のタイプのSiO2の水性コロイド分散物の使用により、光触媒剤表面での汚染物質の吸着の度合い、並びに光触媒の効力を著しく向上させることができるのは、非常に驚くべきであるが、これはおそらく、SiO2粒子の自己結合特性によるものである。
【0022】
本発明の第一の特徴によれば、SiO2粒子は、コロイド水性分散物の20から50重量%を占め、48重量%であると有利である。
20%未満の濃度では、光触媒剤は、摩擦に対する耐性に劣り、粉末に変形する。
50%を超える濃度では、光触媒剤はその活性を喪失する。
【0023】
本発明の別の特徴によれば、水性分散物を形成する二酸化珪素粒子は10から50ナノメートルの直径を有し、20から30ナノメートルであると有利である。
【0024】
望ましくは、アナターゼ形二酸化チタン(TiO2)が、単独で光触媒剤として使用される。
しかしながら、光触媒剤はまた、数種類の剤、例えばTiO2、酸化セリウム等を混合して生成させてもよい。
【0025】
光触媒効力を向上させるためには、二酸化チタン(TiO2)粒子は10から30ナノメートルの直径を有する。
同様に、最適な吸着効力を得るためには、光触媒組成物は、二酸化珪素の水性コロイド分散物を(乾物として)10から60部含み、100部とする残部がアナターゼ形TiO2からなる。
望ましくは、光触媒組成物は、二酸化珪素の水性コロイド分散物50部と、アナターゼ形二酸化チタン50部とを含む。
【0026】
本発明の別の実施態様によれば、環境空気中に含まれる微生物及び菌類の非所望の成長を回避するため、光触媒組成物は、金属イオンによって変性されたゼオライトを更に含む。
“ゼオライト”なる語は、アルカリまたはアルカリ土類金属のアルミノケイ酸塩の天然の水和物を示す。
【0027】
実際には、金属イオンは、銀、銅及び亜鉛を含む群から選択され、1から3%の量で使用される。有利には、ゼオライトは、1.5%の銀イオンによって変性されている。
【0028】
実際、このタイプの組成物は、上述の光触媒の特性に変性ゼオライトの特性を組み合わせることによって、確実に臭気を発生させる有機汚染物質を依然破壊しつつ、環境空気中に含まれる微生物及び菌類の破壊を促進可能であることがわかっている。
【0029】
本発明の有利な実施態様によれば、光触媒組成物は、下記:
・30から50%、望ましくは47%のSiO2
・30から50%、望ましくは47%のアナターゼ形TiO2
・2から10%、望ましくは6%の、銀2%を含むゼオライト、からなる(重量%)。
【0030】
本発明の別の実施態様によれば、汚染のピークに存在する有機分子を吸着するために、光触媒組成物はさらに活性炭素を含有する。
既知の方法では、活性炭素は、繊維または、比表面積の大きな粒子の形態で存在し、よって有機分子が吸着されるのである。
【0031】
したがって、本光触媒組成物は、活性炭素を含むことによって、下記の二段階で環境空気に作用するであろう。
・まず、汚染ピークにおいて存在する汚染剤の、活性炭素への吸着;
・次に、活性炭素に含まれる汚染物の光触媒分解、これにより前記活性炭素が再生される。
【0032】
換言すれば、この組成物の耐用期間は、活性炭素単独での耐用期間に渡って、非常に増大するであろう。
【0033】
この実施態様の有利な変形によれば、該光触媒組成物は、下記:
・10から40%、望ましくは25%のアナターゼ形TiO2
・10から40%、望ましくは25%の活性炭素;
・40から60%、望ましくは50%のSiO2
からなる(重量%)。
【0034】
本発明はまた、光触媒組成物の製造方法にも関し、この方法によれば、光触媒剤と、適当ならば金属イオン変性ゼオライト及び/または活性炭素とを、コロイド水性珪酸含有懸濁液に導入し、支持体に直接適用可能な均質な懸濁液を得るまで攪拌する。
【0035】
本発明は、したがって、塗料形態の光触媒組成物の使用に関する。
本発明はまた、濾過媒体にも関する。既述の通り、“濾過媒体”なる語は、支持体と光触媒組成物との組み合わせを示す。既知の方法において、濾過媒体は一以上の処理済み支持体を含むことができる。
【0036】
こうして、本発明の光触媒組成物は、支持体の少なくとも一の面上に塗布することができる。実際に、その自己結合特性によって、SiO2粒子は、TiO2粒子を被覆しつつ互いに結合するのみならず、支持体にも結合する。さらにまた、とりわけ、光触媒の効力において大幅な増大が観察されるが、これはおそらく、特にSiO2粒子の固有の構造によるものであり、このため乾燥後の層に高い多孔性及び広い比表面積を維持することが可能となっている。
【0037】
仏国特許出願第2749777号に記載の、UV光にかざして透明な組成物の被覆とは異なり、本発明の組成物から作った被覆は、一方では最適な効力を維持しつつ、UV光にかざして不透明であり、この特性は、ディスプレイ、旗及び壁紙を含むタイプの塗布の分野において利用可能である。
【0038】
さらにまた、数種類のタイプの支持体、例えば、グラスファイバー、または不織支持体を使用することができ、これについての制限はない。
別の態様では、支持体は、音響パネルの形態である。
“音響パネル”なる語は、特に、疑似天井を作るタイルを意味する。
実際には、タイルは光触媒組成物によって被覆されている。
【0039】
自然な対流は、部屋の底部からの冷気の動きを造り出し、これは加熱されると部屋の最上部に上昇して、白熱光源または昼光の作用の下で天井をなすタイルと接触し、光触媒反応を誘発して気体の破壊を引き起こす。
【0040】
支持体はまた、紙タイプの有機繊維状支持体であってもよい。実際、SiO2の水性コロイド分散物の使用により、支持体が光触媒反応に曝されず、よって経時的に劣化しないように、支持体の有機繊維を被覆可能であることがわかっている。
【0041】
したがって、このタイプの支持体表面にSiO2のコロイド分散物を使用することにより、濾過媒体の耐用期間を増大させることができる。
【0042】
本発明の有利な実施態様によれば、濾過媒体の支持体の一つの面のみを本発明の光触媒組成物によって被覆し、他方の面は、ウンデシレン酸の誘導体を含み、臭気を消去しうる第二組成物によって被覆される。
【0043】
望ましくは、ウンデシレン酸の誘導体は、ウンデシレン酸ナトリウムあるいはウンデシレン酸メチルまたはエチルであり、この点には特に制限はない。
【0044】
ダニタイプの昆虫を壊滅させるために、上記第二組成物はまた、ジオクチルスルホスクシナートを更に含有する。
実際、このタイプの組成物によれば、幾つかの異なる作用、すなわち、
・臭気を消去するウンデシレン酸誘導体、特にアミンを含むタイプ、硫黄誘導体等の作用、
・ダニのケラチンを破壊することによって作用するジオクチルスルホスクシナートの作用、
を組み合わせてこれらの利点を引き出すことができることが判明している。
【0045】
実際、上記第二組成物は、下記:
・80から98%、有利には96%のウンデシレン酸ナトリウム;
・2から20%、有利には4%のジオクチルスルホスクシナート;
を含有する(乾物量)。
【0046】
変形としては、光触媒組成物によって被覆された支持体とは別に、濾過媒体が、臭気の消去及びダニタイプの昆虫の壊滅が可能であって、ウンデシレン酸の誘導体とジオクチルスルホスクシナートを含む組成物によって被覆された支持体の形態のプレフィルターを含む。
【0047】
本発明はまた、本発明の光触媒組成物によって、5から40g/m2、有利には20g/m2のTiO2量で表面被覆されてなる支持体を含む濾過媒体の製造方法にも関する。
5g/m2未満の値では、支持体表面の光触媒組成物の層の厚さが薄すぎるため、光触媒反応が減ぜられる。
40g/m2より大なる値では、光触媒効力に全く増大が見られなかった。
【0048】
濾過媒体が、ウンデシレン酸及びスルホスクシナートを主成分とする組成物によって被覆されてなる支持面またはプレフィルターを有する実施態様においては、この被覆は、2g/mの量で形成される。
【0049】
さらにまた、本発明の濾過媒体の製造方法には、連続的に行うことができるという利点があり、この被覆は、特にサイズプレス上で、または他のあらゆる既知の含浸または被覆の方法によって実行可能であり、このため本方法は、従来技術に比べて非常に単純になっている。
【0050】
壁紙または音響パネルの場合には、本発明の組成物は、支持体に直接塗布する塗料の形態であるとよい。
したがって、これらの濾過媒体は、空気の処理及び浄化のため、並びに廃液の処理にも使用可能である。
【0051】
本発明及びこれに由来する利点は、貼付の図1に支持される以下の実施例によってより明らかになるであろう。これは本発明の主題を成す光触媒組成物の反応効力を示すものである。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
下記の試験は、従来技術による濾過媒体と比較して、本発明の光触媒組成物が、吸着性及び光触媒効力において向上したことを示している。
【0053】
この試験は、光触媒組成物によって被覆されてなる支持体ディスクを、イソプロピルアルコール溶液中に含浸させた後、このディスクを380nm未満の波長を有する紫外線の作用下に90分間おいた。UV光の作用下で、イソプロピルアルコールの一部はアセトンに変換され、二酸化チタンの光触媒効力が示された。
【0054】
上記ディスクは、下記:
・結合剤 50部、
・TiO2 50部、
よりなる光触媒組成物によって被覆されてなる繊維状支持体からなる。
【0055】
実施例1、2、3及び4は、18cm2の表面積を有し、4.5から17g/m2の量のTiO2で被覆した様々なタイプのディスクを使用して製造した。使用した無機結合剤は、Nissanによって商品名“SNOWTEX 50”として市販のSiO2のコロイド分散物である。
【0056】
実施例5では、Matrixによって市販の、支持体とのTiO2の接着が結合剤のか焼によって達成されてなる濾過媒体を使用した。分析はガスクロマトグラフィーによって行った。
結果は下記の表にまとめた。
【0057】
【表1】

【0058】
本発明の光触媒組成物と比較すると、最後のディスクでは非常に少量のアセトンしか生成しなかったことが見て取れる。さらに、4.5g/m2から17g/m2の量のTiO2被覆(実施例3及び4)では、高い光触媒効力が得られることが判明した。
【0059】
(実施例2)
Ahlstrom Lystil製であり、通気性(低圧降下(low pressure drop))改善のために孔を開けた不織タイプの支持体(品番1045)の表面に被覆されてなる、本発明の様々な組成物について、反応効力を算出した。使用した汚染物はイソブタンであった。
【0060】
組成物は、比表面積の異なる二種類のTiO2、それぞれ250m2/g(REF1)及び75m2/g(REF2)を含むものである。
全ての重要なパラメーター、すなわち、各成分の割合、照射した面積、照射時間及び平均反応効力は下記の表中に示した。塗布したTiO2の量は、10または20g/m2(REF1またはREF2)であった。
【0061】
【表2】

* Nissanによって市販のSNOWTEX 50
【0062】
最良の反応効力は、シリカ(SiO)のコロイド水性分散物50部と、二酸化チタン50部とを含む、本発明の組成物REF2に対して得られることが判った。
さらに、10g/mのTiO被覆では、他の条件を全て等しくした20g/mの被覆におけるよりも反応効力が高く、よって濾過媒体のコストを削減する。
【0063】
実験を、イソブテン有機汚染物を用いずに行った場合、光触媒効力は事実上ゼロであって、これは理に適っている。この場合に得られた低い値(2.95%)は、寄生有機物の分解に相当すると推定される。したがって、表中の数値が3%以下であることは重要である。
【0064】
貼付の図1は、10g/m2の量で被覆した光触媒TiO2組成物、すなわち、実施例1A、1B、2A、2A’、2B、2B’、3B、及び4Bについて得られた反応効力を示している。
【0065】
(実施例3)
この例では、活性炭素を含む、本発明の光触媒組成物の効力を評価した。
このためには、光触媒組成物を、Ahlstrom Lystil製であり、PERFOJET法によって孔を開けた不織タイプの支持体(品番1045)上に被覆した。
光触媒組成物は、
・250m2/gの比表面積を有するTiO2 25%、
・CECAより市販の、900m2/gの比表面積を有する活性炭素 25%、
・50重量%のSiO2(SNOWTEX 50)、よりなる。
【0066】
媒体を3.4ml/分の割合でメタノールと共に照射したが、汚染物含量は281ppmであり、暗所での飽和段階のあるものとないものについて行なった。
UVの下に平衡状態で得られた結果は、媒体が飽和されていてもいなくても同一であった。
【0067】
下記の結果が得られた。
・1時間当たり及びグラム当たりのメタノールの量、22.3マイクロモル、
・1時間当たり及びグラム当たりの二酸化炭素(CO2)の量、8.65マイクロモル。
無機化のパーセンテージ、すなわち、汚染剤のCO2への転化は、30%であった。
【0068】
メタノールの揮発性副生成物への分解の結果として、炭素収支は56%であった。
本発明の利点は、詳細な説明により明確である。特に、シリカのコロイド水性分散物との混合物である場合の、TiO2の高い吸着性及び著しい効力には、注目すべきである。
【0069】
特に連続的な含浸または被覆、特にサイズプレス技術、を用いる濾過媒体の製造方法の単純化にも注目すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】貼付の図1は、10g/m2の量で被覆した光触媒TiO2組成物、すなわち、実施例1A、1B、2A、2A’、2B、2B’、3B、及び4Bについて得られた反応効力を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒剤及び結合剤を含む光触媒組成物であって、
前記結合剤が、二酸化珪素(SiO)の水性コロイド分散物のみからなり、かつ前記光触媒剤がアナターゼ形TiOであって、
前記SiO粒子が、前記水性コロイド分散物の20から50重量%を占め且つ20から30ナノメートルの直径を有し、前記SiO粒子は、前記光触媒剤を被覆した後に共に結合することができ、かつ、
光触媒組成物の10から60部(乾物として)の前記二酸化珪素(SiO)の前記水性コロイド分散物と、光触媒剤としてのTiOからなる100部までの残量とが存在すること、
を特徴とする、光触媒組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−229624(P2008−229624A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138593(P2008−138593)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【分割の表示】特願2000−542104(P2000−542104)の分割
【原出願日】平成11年3月31日(1999.3.31)
【出願人】(302000036)アフルストロム・リサーチ・アンド・サービシーズ (2)
【Fターム(参考)】