説明

光触媒脱臭装置

【課題】収容体において脱臭を行って重複使用できる光触媒脱臭装置を提供する。
【解決手段】
収容体において脱臭を行うことに使用される光触媒脱臭装置であって、載置部材とこの載置部材に連結される脱臭本体とを具備し、該載置部材は収容体に吊り掛けるための吊り掛け部を有し、該脱臭本体は載置部材に連結され、その表面に被覆アパタイトを含有した光触媒材料が覆われ、アパタイトで収容体中の有害物質が吸着され、光のエネルギーで光触媒材料を照射することにより有害物質を分解浄化することが可能になることを特徴とする光触媒脱臭装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱臭装置に関するものであり、詳しくは、収容体に使用される光触媒脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は長期間にわたり使用した状態で、低温で貯蔵される多種多様な食品による臭いが出てきて、この臭いが除去しなければ、冷蔵庫に貯蔵される食品の新鮮さに影響を与えることになる。
【0003】
従来、冷蔵庫内部を洗浄することで臭いを除去しているが、毎回洗浄を行う時に、必ず食品を取り出しプラグを引き出し、しかも洗浄してからある期間を経過しなければ使用できないので、使用者は冷蔵庫内部を洗浄する意欲がかなり低い。また、洗浄しても冷蔵庫内部の臭いは完全に除去することができない場合があり、そのため、冷蔵庫に使用されるいろいろな脱臭製品が販売されつつあり、例えば活性炭や芳香剤などがあり、その中に芳香剤が冷蔵庫内部に貯蔵される食品に汚染するため、一般の家庭での応用に不利な点がある。
【0004】
活性炭を例として、活性炭自身が臭い吸収の効果があるため、脱臭作用を発揮することができるが、臭いの吸収が飽和状態になると、もはや使用できなくなり、活性炭を捨てたり、新品を購入したりする必要があり、使用者にとってコストアップにつながるのみならず、環境保護の点からも不利な状況になる。今の段階では化学工学産業で飽和活性炭に対する再利用の特殊処理方法が開発されてきたが、まだ一般家庭への応用ができず、応用したとしても、かえってコストや手間がかかることになる。例えば、加熱再利用法では活性炭の吸着能力が90%まで回復できるが、使用された活性炭が生産業者のところに運ばれる必要があるため、再利用コストが増加するとともに、活性炭の破損や高温での再利用処理のため、活性炭は約10%のロスが発生し、その応用がそうとう制限されている。また、化学薬品処理の再利用法と電気化学処理の再利用法では、活性炭の吸着対象の種類により、反応生成物が異なる条件で脱着しやすい特性を利用し、異なる種類の化学薬品とプロセスの選択で、吸着対象を化学薬品と反応させることにより活性炭の再利用が行われるが、その再利用効率は60%〜70%という低い値にしか達成できず、この方法は便利で、広く採用されているが、これらの再利用法は二次汚染をもたらす恐れがあるため、その応用もそうとう制限されている。
【0005】
近年、光触媒を使用する殺菌、脱臭や表面清潔を行うことが広く普及されてきた。光触媒は光エネルギーで触媒反応が励起される触媒であり、一般に製品素材に光触媒材料が混合された後一体成形を行う。光エネルギーで光触媒材料が表面に付着する有害物質と酸化や還元反応を行うように励起されることにより、汚れ除去、殺菌、細菌抑制や物体の表面清潔を達成するようにする。好適な光触媒の材料として、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、及び硫化カドミウム(CdS)などがあり、その中に、二酸化チタンは酸化還元能力が強く、化学的特性が安定で、環境に無害し、材料を入手にしやすいことなどのメリットがあるため、使用されている光触媒材料の主流として二酸化チタンが採用されている。
【0006】
今の段階では、光触媒は3.2電子ボルト(ev)以上のエネルギーの励起で酸化還元が行われることになり、3.2電子ボルトは波長380ナノメーター(nm)以下の紫外線に相当するが、室内環境に使われる収容体の一部は、そのような日差しのエネルギーに相当する紫外線の照射を受けることはできず、例えば冷蔵庫や押入れなどの暗い環境において、光エネ
ルギーで触媒反応を励起することはできないので、光触媒を冷蔵庫や押入れなどに入れて脱臭を行おうとする場合、光で光触媒が励起されることが困難で、すなわち光触媒が冷蔵庫や押入れなどにおいて汚れ除去、殺菌、細菌抑制や物体の表面清潔の作用を発揮できない問題点があり、使用者が紫外線ランプがついている新たな冷蔵庫や押入れを買い替える場合にはこのような問題点が解決できるかもしれないが、そのような方法では、かかるコストがはるかに大量の活性炭を購入する価値よりも高いため、経済面では不利になる。
【0007】
また、二酸化チタンは優れた有害物質の分解能力を持つが、有害物質の付着する基材にも破壊を与える恐れがあるため、二酸化チタンがその能力を発揮することが可能であっても、基材の破壊により使用継続が不可能になる場合がある。
【0008】
したがって、上記の様々な問題点を改善し、各種の収容体において脱臭、殺菌、カビ防止や鮮度維持を行なうことに使用される光触媒脱臭装置を提供することは、解決すべき課題となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような従来技術の問題点を鑑み、その目的は、収容体において脱臭を行なって重複使用できる光触媒脱臭装置を提供することである。
【0010】
また、本発明のもう1つの目的は、暗い収容体においても有害物質を吸着することが可能な光触媒脱臭装置を提供することである。
【0011】
また、本発明のさらにもう1つの目的は、高耐久性を有する光触媒脱臭装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、収容体において脱臭を行うことに使用される光触媒脱臭装置において、収容体に吊り掛けられるための吊り掛け部を有する載置部材と、載置部材に連結され、その表面に被覆アパタイトを含有した光触媒材料が覆われ、アパタイトで収容体中の有害物質が吸着され、光のエネルギーで光触媒材料を照射することにより分解浄化する脱臭本体と、を具備することを特徴とする光触媒脱臭装置を提供する。
【0013】
上記の載置部材は、局所的にまたは完全に脱臭本体の外部を覆う板状シートであり、例えば紙板、プラスチック板またはアクリレート板のいずれの1つである。好ましい実施例においては、載置部材は脱臭本体の外部を完全に覆う板状シートであり、その両側にはそれぞれ開口とその開口に対応して覆われるシールドシートが形成されている。脱臭本体の両表面を選択的に大部分露出させるため、その吊り掛け部はシールドシートに設けられている。吊り掛け部はそのシールドシートに設けられている折り目であり、その一方側がシールドシートに連続して設けられており、シールドシートはその吊り掛け部に対応する多数の開口を具備してもよい。好ましくは、シールドシート上の吊り掛け部は、引き裂き可能な刻み目でその開口のエッジに連結され、また、その引き裂き可能な刻み目の両端部がさらに延長スリットを有する。
【0014】
上記のシールドシートの対向する両側は、引き裂き可能な刻み目でその載置部材における開口のエッジに連結され、これにより、シールドシートは載置部材から引き裂かれない状態で脱臭本体を完全に覆う形にすることができ、外部パックとして機能され、別途に外部パックを設置する必要はない。さらに、載置部材の外側表面に光触媒脱臭装置に関する表示、例えば使用説明や登録商標などが印刷されることが可能である。
【0015】
前記の収容体は冷蔵庫や押入れなどであってもよく、吊り掛け部は冷蔵庫に吊り掛けられる卵ラック、飲料ボトルラック、または押入れに吊り掛けられるハンガー置き棒であってもよい。
【0016】
この脱臭本体は、紙、布、不織布、アクリレート、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂よりなる群から選ばれる1つの基材である。上記被覆アパタイトを含有した光触媒材料は、水溶液を乾燥化した後薄膜を形成するものである。該水溶液はアクリル樹脂(Acrylic Resin)と表面がアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)で被覆された光触媒化合物とを含有するものである。好ましくは、その光触媒化合物が二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、及び硫化カドミウム(CdS)の中から選ばれた1つであり、また、アパタイトはフッ化アパタイトであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
従来技術において光触媒が紫外線により励起される必要があるため、例えば冷蔵庫や押入れなどの暗い収容体の中に脱臭を行うことが不可能であるものと比較し、本発明にかかる光触媒脱臭装置において、脱臭本体の表面に被覆アパタイトを含有した光触媒材料が覆われ、収容体の中にアパタイトで持続的に有害物質を吸着し続け、アパタイトでの吸着が飽和したとき、光触媒脱臭装置が日差しまたは紫外線環境で曝されることにより、中に含まれる光触媒材料の触媒反応が励起されて有害物質を分解することになる。これにより、光触媒脱臭装置が重複使用することができる。使用者に対して、負担する装置の購入コストを大幅に削減することが可能になる。
【0018】
また、従来技術において冷蔵庫に光触媒励起のために紫外線が供給されたとしても、冷蔵庫内の流動し続ける気流で光触媒化合物が有害物質に接することが困難である。本発明にかかる光触媒脱臭装置において、被覆アパタイトを含有した光触媒材料は能動的に有害物質を吸着することが可能なアパタイト成分を含有するため、持続的に有害物質を吸着することが可能になり、本発明にかかる光触媒脱臭装置は高性能の脱臭と殺菌効率を達成することが可能になる。
【0019】
本発明にかかる光触媒脱臭装置において、光触媒材料がアパタイトで覆われているので、この光触媒化合物が二酸化チタンであっても、直接に脱臭本体に接することがないため、脱臭本体に破壊や破損を与えることがなく、したがって、従来技術のように二酸化チタンが付着する基材に破壊を与えることが回避され、これにより光触媒脱臭装置の耐久性をより向上させることが可能である。
【0020】
さらに、本発明にかかる光触媒脱臭装置は吊り掛け部で冷蔵庫や押入れなどの収容体に吊り掛けられ、脱臭本体が空気に接触する面積はシールドされることなく、脱臭と殺菌の効率を向上させることが可能になる。
【0021】
以上のように、本発明にかかる光触媒脱臭装置は従来技術の問題点を改善することができ、より高い産業利用価値を持つことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、特定の具体的な実施例で本発明の実施形態を説明し、ここで図面を参照しながら本発明の具体的な実施例を述べる。これにより、その属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的特徴や効果をより容易に理解することが可能であろう。
【0023】
第一実施例
図1は本発明にかかる光触媒脱臭装置の第1の好ましい具体的な実施例の図である。同図の示するように、本発明の光触媒脱臭装置1は、載置部材11と載置部材11に連結される脱
臭本体10とを具備し、載置部材11は収容体に吊り掛けられるための吊り掛け部110を有し、この脱臭本体10は載置部材11に連結され、その表面に被覆アパタイトを含有した光触媒材料が覆われることで、アパタイトで収容体中の有害物質が吸着され、光エネルギーで光触媒材料を照射することにより有害物質を分解浄化することが可能になる。
【0024】
本実施例では、載置部材11が脱臭本体10の外部を局所的に覆うものであり、例えばプラスチック板のような板状シートであり、また十分な強度と薄型の特性を持ち、もちろん、その属する技術分野において通常の知識を有する者にとって、プラスチック板の代わりに他の素材、例えば紙板、アクリレート板などを採用することが可能であることが明らかであろう。また、収容体に吊り掛けられるための吊り掛け部110が載置部材11の上部に連結され、例えば外付けのフックが粘着され固定されることで吊り掛け部110が構成される。
【0025】
脱臭本体10は例えば不織布よりなる基材であり、その表面に覆われた被覆アパタイトを含有した光触媒材料は、水溶液を乾燥化した後薄膜を形成する。この水溶液はアクリル樹脂(acrylic resin)と表面にアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)を被覆した光触媒化合物とを含み、その光触媒化合物は例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、または硫化カドミウム(CdS)である。勿論、その属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明らかなことは、アパタイトの代わりにフッ化アパタイトを採用することにより耐酸特性をさらに向上することが可能であり、アパタイトに限定されず、同様に、脱臭本体10は本実施例の述べた不織布よりなる基材に限らず、その代わりに、紙、布、不織布、アクリレート、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂の中の1つの基材を採用してもよい。
【0026】
本実施例で述べられた載置部材11は脱臭本体10の外部を局所的に覆うだけで、実際の販売の時に外部パックを追加するパックが必要である。しかし本発明の技術的思想によれば、載置部材11は本実施例で述べられたものには限定されず、マウントや吊り掛け構造の整合性を考えた上で、載置部材11の構造設計を変化させるにより追加の外部パックやフックなどの構造全体の材料コストを削減することが可能であり、これは後述の実施例で説明する。
【0027】
第二実施例
図2を参照し、本発明の光触媒脱臭装置2は、載置部材21と載置部材21に連結される脱臭本体20とを具備し、載置部材21は収容体に吊り掛けられるための吊り掛け部220を有し、この脱臭本体20は載置部材21に連結され、その表面に被覆アパタイトを含有した光触媒材料が覆われることで、アパタイトで収容体中の有害物質が吸着され、光エネルギーで光触媒材料を照射することにより有害物質を分解浄化することが可能になる。
【0028】
脱臭本体20は、紙、布、不織布、アクリレート、ポリエチレン樹脂、またはポリプロピレン樹脂の中の1つの基材である。
【0029】
この被覆したアパタイトを含有した光触媒材料は水溶液を乾燥化してから、形成されたものである。この水溶液はアクリル樹脂(acrylic resin)の乳濁液と外部にアパタイトを被覆した光触媒化合物とを含んでいるものである。アクリル樹脂は高透明度で、その透明度が紫外線や外部環境要素による影響を受けにくく、また、アクリル樹脂は高耐水性、すなわち疎水性を有し、かつ結合力が高いという特性を持つため、脱臭本体20の表面に付着することになり、また、アパタイトが親水性を持つため、水溶液の乾燥後、アパタイトが光触媒材料の表面に露出することになり、これにより直接に空気中の有害物質に接触することが可能になる。アパタイトで覆われる光触媒化合物は、例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、または硫化カドミウム(CdS)などから選ばれた有害物質を分解することができる光触媒化合物などである。アパタイトに有害物質が吸
着された後、日差しにより光触媒化合物の酸化還元反応が励起され、有害物質を分解することになる。
【0030】
光触媒化合物を被覆するためのアパタイトは、その化学式が(Ca10(PO46(OH)2)であり、アミノ基(-NH2)、酸化窒素基(-NO)、カルボキシル基(-COOH)及びアルデヒド基(-CHO)などの官能基に対し強い吸着力を有する。これによりこれらの官能基を持つ細菌、有機物または蛋白質がアパタイトにより吸着され、吸着された物質が二酸化チタンと接触し、空気の流動で脱することはなく、光照射により、二酸化チタンが分解能力を発揮して接触した有害物質を分解する。したがってアパタイトに二酸化チタンが被覆されたことにより、持続的に有害物質を吸着し続け、光の照射の時に二酸化チタンにより有害物質を分解するまで有害物質と二酸化チタンとの接触を強化させ、有害物質が二酸化チタンにより分解された後、アパタイトはその吸着活性が取り戻され、持続的に有害物質を吸着し続けることが可能になる。
【0031】
載置部材21は、脱臭本体20を覆う紙板である。その両側にはそれぞれ脱臭本体20の両表面を露出させるための開口210が形成され、また、載置部材21はその開口210に対応して覆われるシールドシート22を具備し、シールドシート22の対向する両側は、引き裂き可能な刻み目で載置部材21と連結されでいる。
【0032】
吊り掛け部220は、シールドシート22に設けられ、その一方側でシールドシート22の多数の折り目に連続して設けられ、このシールドシート22はシールドシート22に対応する開口221を具備し、折り目のエッジも引き裂き可能な刻み目で開口221のエッジと連結される。
【0033】
吊り掛け部220が開口221から引き裂かれた後に一方側に固定されるため、シールドシート22は、引き裂き可能な刻み目の対向する両端部に延長スリット222が設置され、これにより吊り掛け部220が折り返された後に延長スリット222の位置決めでシールドシートの一方側に固定される。
【0034】
また、載置部材21の表面に、使用者の閲覧のために、使用説明や登録商標などの文字や表示が印刷されることが可能である。
【0035】
図3を参照し、シールドシート22と載置部材21との間の引き裂き可能な刻み目を引き裂き、シールドシート22を折り返し両シールドシート22上の吊り掛け部220が重ねられた後、さらに吊り掛け部220を押すことで、重ねられた両吊り掛け部220がともにシールドシート22の一方側に折り返され、上記の延長スリット222の位置決めでシールドシート22が折り返された状態で保持される。
【0036】
図4を参照し、本発明の光触媒脱臭装置2は収容体3に使用可能であり、この収容体3が冷蔵庫であってもよく、光触媒脱臭装置2は具備する吊り掛け部220で、例えば卵ラック31や飲料ボトルラック32に吊り掛けられ、その表面にアパタイトを被覆した光触媒材料を有する脱臭本体20が冷蔵庫内の気流と接触することにより、脱臭、殺菌、カビ防止や鮮度維持の作用を発揮することが可能になる。
【0037】
冷蔵庫に凝結した水分の多くは略酸性であり、光触媒材料のアパタイトを破壊する恐れがあるため、上記の光触媒材料の含有するアパタイトの代りにフッ化アパタイトを採用してもよく、これによりフッ素の耐酸特性で酸性液体によって侵食されることが回避できるようになる。
【0038】
もちろん、この収容体3は押入れなどの家具であってもよく、吊り掛け部220を押入れの
ハンガー置き棒(ともに図示せず)に吊り掛けることにより、押入れの臭い除去や殺菌、カビ防止の作用を発揮することが可能になる。
【0039】
従来技術において光触媒が紫外線により励起される必要があり、冷蔵庫の中に脱臭を行うことが不可能であるものと比較し、本発明にかかる光触媒脱臭装置2において、アパタイトを被覆した光触媒材料は、有害物質を吸着できるアパタイトを持つため、持続的に有害物質を吸着し続けることが可能であり、アパタイトでの吸着が飽和したとき、光触媒脱臭装置が日差し環境で曝されることにより、含まれる光触媒が励起されて有害物質が分解されることになる。
【0040】
また、従来技術において冷蔵庫に光触媒励起のために紫外線が供給されても、冷蔵庫の中の流動している気流が光触媒化合物を有害物質に接触させることは困難である。本発明にかかる光触媒脱臭装置において、アパタイトを被覆した光触媒材料は、能動的に有害物質を吸着することが可能なアパタイト成分を含むため、持続的に有害物質を吸着し続けることが可能になり、本発明にかかる光触媒脱臭装置2は高性能の脱臭効率を達成することが可能になる。
【0041】
本発明にかかる光触媒脱臭装置2において、光触媒材料がアパタイトに被覆されているので、この光触媒化合物が二酸化チタンであっても、直接に脱臭本体に接することがないため、脱臭本体20に破壊を与えることがなく、したがって、従来技術のように二酸化チタンが付着する基材に破壊を与えることが回避され、これにより光触媒脱臭装置の耐久性をより向上することが可能である。
【0042】
さらに、本発明にかかる光触媒脱臭装置は吊り掛け部で冷蔵庫や押入れなどの収容体に吊り掛けられることが可能で、脱臭本体が空気に接触する面積が増大し、脱臭の効率を向上させることが可能であり、しかもこの吊り掛け部は前記の設計や光触媒脱臭装置2のパックとの整合で、直接に棚に置いて販売することが可能になり、これにより別途にパックを用意する必要がなく、環境に負担をかからない。
【0043】
以上のように、本発明にかかる光触媒脱臭装置は従来技術の問題点を改善することができ、より高い産業利用の可能性を持つことになる。
【0044】
以上に述べた具体的な実施例は、ただ本発明の特徴と効果を例示するものであり、本発明の実施可能な範囲を限定するわけではなく、本発明の精神や技術的思想を逸脱しない範囲内、本発明の開示した内容を応用して完成された同等の変更や修正は、本発明の下記の特許請求の範囲に含まれているとみなすべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかる光触媒脱臭装置の第1の好ましい具体的な実施例を示す図である。
【図2】本発明にかかる光触媒脱臭装置の第2の好ましい具体的な実施例を示す図である。
【図3】本発明にかかる光触媒脱臭装置の第2の好ましい具体的な実施例を示す側面断面図である。
【図4】本発明にかかる光触媒脱臭装置の第2の好ましい具体的な実施例への応用例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1,2 光触媒脱臭装置
10,20 脱臭本体
11,21 載置部材
110,220 吊り掛け部
210,221 開口
22 シールドシート
222 延長スリット
3 収容体
31 卵ラック
32 飲料ボトルラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容体において脱臭を行うことに使用される光触媒脱臭装置において、収容体に吊り掛けられるための吊り掛け部を有する載置部材と、載置部材に連結され、その表面に被覆アパタイトを含有した光触媒材料が覆われ、アパタイトで収容体中の有害物質が吸着され、光のエネルギーで光触媒材料を照射することにより有害物質を分解浄化する脱臭本体と、を具備することを特徴とする光触媒脱臭装置。
【請求項2】
脱臭本体が、紙、布、不織布、アクリレート、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂よりなる群から選ばれる1つの基材であることを特徴とする請求項1記載の光触媒脱臭装置。
【請求項3】
載置部材が、脱臭本体の外部を完全に覆う板状シート及び脱臭本体の外部を局所的に覆う板状シートから選ばれるいずれかの1つであることを特徴とする請求項1記載の光触媒脱臭装置。
【請求項4】
載置部材が脱臭本体の外部を完全に覆う板状シートであり、その両側にそれぞれ開口とその開口に対応して覆われるシールドシートが形成されることで、脱臭本体の両表面の大部分を選択的に露出させ、吊り掛け部はシールドシートに設けられていることを特徴とする請求項1記載の光触媒脱臭装置。
【請求項5】
吊り掛け部がその一方側でシールドシートに連続して設けられており、シールドシートはその吊り掛け部に対応する多数の開口を具備することを特徴とする請求項4記載の光触媒脱臭装置。
【請求項6】
シールドシート上の吊り掛け部が、引き裂き可能な刻み目でその開口のエッジに連結され、その引き裂き可能な刻み目の両端部が延長スリットを有することを特徴とする請求項5記載の光触媒脱臭装置。
【請求項7】
シールドシートの対向する両側が、引き裂き可能な刻み目でその載置部材における開口のエッジに連結されることを特徴とする請求項4記載の光触媒脱臭装置。
【請求項8】
被覆アパタイトを含有した光触媒材料が、水溶液を乾燥化して薄膜を形成することを特徴とする請求項1記載の光触媒脱臭装置。
【請求項9】
水溶液はアクリル樹脂(acrylic resin)と表面にアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)が被覆された光触媒化合物とを有し、光触媒化合物は二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、及び硫化カドミウム(CdS)の中から選ばれた1つであることを特徴とする請求項8記載の光触媒脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−55161(P2008−55161A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220073(P2007−220073)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(507287696)豐晃有限公司 (1)
【Fターム(参考)】