説明

光記録媒体の保護層形成用シート、光記録媒体およびそれらの製造方法

【課題】 均一な物性を有する光記録媒体の保護層を形成することのできる保護層形成用シートおよびその製造方法、ならびに均一な物性を有する保護層を備えた光記録媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 硬化前保護層11と、硬化前保護層11を挟む2枚の基材12,12’とからなる保護層形成用シート1であって、硬化前保護層11を、融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物10〜70質量%と、好ましくは20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマー30〜90質量%とを含有し、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しない組成物から構成する。この硬化前保護層11を、情報記録層(半透過反射層3’)に圧着し、エネルギー線の照射によりその硬化前保護層11を硬化させ、保護層11’を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体の表面を保護する保護層を形成するためのシートおよびその製造方法、ならびに当該シートを使用した光記録媒体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクとして、ポリカーボネートからなる光ディスク基板と、光ディスク基板上に形成された1層または2層以上の情報記録層と、接着層を介して情報記録層に接着された保護フィルムとから構成されるものが一般的に知られている。光ディスクが読出し専用のものである場合、情報記録層にはピットを構成する凹凸パターンが形成され、光ディスクが書換え可能なものである場合、情報記録層にはグルーブおよびランドを構成する凹凸パターンが形成される。
【0003】
保護フィルムと情報記録層との接着方法としては、例えば、保護フィルムまたは情報記録層に光硬化性樹脂を塗工して接着層を形成し、その接着層によって保護フィルムと情報記録層とを貼り合わせる方法が知られている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、上記の方法は、接着層を形成する工程と、保護フィルムを貼り合わせる工程とを必要とするため、光ディスクの製造工程を増やす一因、ひいては光ディスクの製造コストを増加させる一因となっていた。
【0005】
そこで、最近、光硬化性接着剤フィルムをあらかじめ形成し、その光硬化性接着剤フィルムを情報記録層に転写して、光硬化性接着剤による保護層を形成してなる光ディスクが提案された(特許文献2)。かかる光ディスクによれば、接着層を形成することなく、情報記録層に直接保護層を形成することができるため、従来の光ディスクの製造工程を一つ減らすことができる。
【特許文献1】特開平10−283683号公報
【特許文献2】特開2002−25110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の発明では、光硬化性の(メタ)アクリル樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主原料とする光硬化性接着剤を使用し、その光硬化性接着剤を酢酸エチル中で混合溶解して調製した接着剤塗布液をセパレーター上に塗布することにより、接着剤層を形成している。
【0007】
しかしながら、上記のような接着剤塗布液を使用して得られる保護層においては、屈折率等の物性が不均一になり易く、その場合には、光ディスクとして不適なものとなる。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、均一な物性を有する光記録媒体の保護層を形成することのできる保護層形成用シートおよびその製造方法、ならびに均一な物性を有する保護層を備えた光記録媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物を10〜70質量%含有し、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しない組成物からなる硬化前保護層を備えたことを特徴とする光記録媒体の保護層形成用シートを提供する(請求項1)。
【0010】
本明細書における「光記録媒体」とは、光学的に情報を記録・再生することのできる媒体をいい、主として再生専用型、追記型または書換え型のディスク状の媒体(例えば、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、LD、Blu−ray Disc、MO等;いわゆる光ディスク(光磁気ディスクを含む))が該当するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0011】
従来の光ディスク(特開2002−25110号公報)において接着剤塗布液を使用して得られる保護層の物性の不均一化は、接着剤塗布液の溶剤揮発に伴う高分子成分(重量平均分子量50,000以上)の対流が一因と考えられるが、上記発明(請求項1)では、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しないため、保護層の物性は均一なものとなる。また、通常、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を含有しない組成物からなる硬化前保護層は、形状保持性が低いものになる傾向があるが、上記発明(請求項1)では、融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物を使用することにより、形状保持性に優れた硬化前保護層を得ることができる。このような保護層形成用シートによれば、良好な信号特性を有する光記録媒体を、少ない製造工程で製造することができる。
【0012】
上記発明(請求項1)において、前記組成物は、さらに20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマーを30〜90質量%含有することが好ましい(請求項2)。組成物がかかるオリゴマーを含有することにより、保護層の靭性を適度に保ち、光記録媒体の製造工程中に保護層にクラック等の不具合が発生することを防止することができる。
【0013】
上記発明(請求項1,2)において、前記硬化前保護層は、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の平滑面を有する基材の前記平滑面に積層されていること(請求項3)、さらには、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の平滑面を有する2つの基材の前記平滑面相互間に挟まれていること(請求項4)が好ましい。
【0014】
上記発明(請求項3)によれば、硬化前保護層における少なくとも一方の面の平滑性が高くなり、この面を情報記録層に密着させることにより、より良好な信号特性を得ることができる。また、上記発明(請求項4)によれば、硬化前保護層の両面の平滑性が高くなるため、さらに良好な信号特性を得ることができる。
【0015】
第2に本発明は、硬化前保護層を備えた光記録媒体の保護層形成用シートの製造方法であって、融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物を10〜70質量%含有し、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しない組成物を、溶剤を使用することなく第1の平面上に塗布するとともに、前記第1の平面と第2の平面によって挟むことにより、前記硬化前保護層を形成することを特徴とする光記録媒体の保護層形成用シートの製造方法を提供する(請求項5)。
【0016】
なお、ここでいう「平面」は、シート状の基材の平面であってもよいが、これに限定されるものではなく、例えば、テーブル等の平面であってもよい。また、当該平面を有する物は、必ずしも記録媒体の保護層形成用シートにおける硬化前保護層に積層されていなくてもよい。
【0017】
上記発明(請求項5)によれば、厚さ精度の高い硬化前保護層を確実に形成することができる。また、溶剤を使用することなく上記組成物を塗布することにより、溶剤の揮発に伴う組成物中の成分の対流が生じることがないため、保護層の物性の均一性をより確実なものとすることができる。
【0018】
上記発明(請求項5)において、前記組成物は、さらに20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマーを30〜90質量%含有することが好ましい(請求項6)。
【0019】
第3に本発明は、光記録媒体基板と、1層または2層以上の情報記録層と、保護層とを備えてなる光記録媒体の製造方法であって、最外層の情報記録層に対し、前記光記録媒体の保護層形成用シート(請求項1〜4)の硬化前保護層を圧着し、エネルギー線の照射により前記硬化前保護層を硬化させ、もって光記録媒体の保護層を形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法を提供する(請求項7)。
【0020】
第4に本発明は、光記録媒体基板と、1層または2層以上の情報記録層と、保護層とを備えてなる光記録媒体の製造方法であって、最外層の情報記録層に対し、前記光記録媒体の保護層形成用シート(請求項3)の硬化前保護層を、前記保護層形成用シートにおける前記基材の平滑面に接していた側の面が前記情報記録層側になるようにして圧着し、エネルギー線の照射により前記硬化前保護層を硬化させ、もって光記録媒体の保護層を形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法を提供する(請求項8)。
【0021】
上記発明(請求項7,8)によれば、接着層を形成することなく、しかも均一な物性を有する保護層を形成することができるため、良好な信号特性を有する光記録媒体が得られる。
【0022】
第5に本発明は、前記光記録媒体の保護層形成用シート(請求項1〜4)の硬化前保護層を硬化してなる保護層を備えたことを特徴とする光記録媒体を提供する(請求項9)。
【0023】
第6に本発明は、光記録媒体基板と、1層または2層以上の情報記録層と、前記光記録媒体の保護層形成用シート(請求項3)の硬化前保護層を硬化してなる保護層とを備え、前記保護層は、前記硬化前保護層における前記基材の平滑面に接していた側の面を情報記録層側として、前記情報記録層に積層されていることを特徴とする光記録媒体を提供する(請求項10)。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、形状保持性に優れ、かつ均一な物性(例えば屈折率)を有する保護層を形成することのできる光記録媒体の保護層形成用シートが得られる。また、本発明によれば、均一な物性を有する保護層を、接着層を介することなく情報記録層に形成することができ、それによって良好な信号特性を有する光記録媒体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る光ディスクの保護層形成用シートの断面図であり、図2(a)〜(g)は同実施形態に係る光ディスクの保護層形成用シートを用いた光ディスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る光ディスクの保護層形成用シート1は、硬化前保護層11と、硬化前保護層11の一方の面に積層された基材12と、硬化前保護層11の他方の面に積層された基材12’とからなる。ただし、基材12,12’は、保護層形成用シート1の使用時に剥離されるものである。
【0027】
硬化前保護層11は、融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物(I)と、好ましくは20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマー(II)と、所望により第三成分(III)とを含有し、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しない組成物からなり、エネルギー線の照射によって硬化し、光ディスクDの保護層11’を形成するものである。
【0028】
〔融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物(I)〕
融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物(I)としては、例えば、ベヘニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートなどが挙げられ、それらの中でも、ベヘニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレートおよびイソシアヌール酸EO変性トリアクリレートが好ましい。
【0029】
エネルギー線硬化性化合物(I)が重合体の場合、その重量平均分子量(Mw)は、10,000以下、特に5,000以下であることが好ましい。エネルギー線硬化性化合物(I)の重量平均分子量が10,000を超えると、保護層11’の物性の不均一化を招くおそれがある。
【0030】
エネルギー線硬化性化合物(I)の融点は、25℃以上であることが必要である。融点が25℃未満では、硬化前保護層11の形状安定性が低く、ハンドリング性が悪いものとなる。一方、融点が高すぎると、塗工適性が低下するおそれがある。したがって、エネルギー線硬化性化合物(I)の融点は、25〜100℃であることが好ましく、特に35〜80℃であることが好ましい。
【0031】
硬化前保護層11を構成する組成物中、エネルギー線硬化性化合物(I)の含有量は10〜70質量%であり、好ましくは40〜60質量%である。エネルギー線硬化性化合物(I)の含有量が10質量%未満では、硬化前保護層11の形状安定性が低くなる。一方、エネルギー線硬化性化合物(I)の含有量が70質量%を超えると、硬化前保護層11または硬化後の保護層11’の靭性が低くなり過ぎ、製造工程中に硬化前保護層11または硬化後の保護層11’にクラック等の不具合が発生するおそれがある。
【0032】
〔20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマー(II)〕
20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマー(II)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのオリゴマーが挙げられ、それらの中でもウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0033】
エネルギー線硬化性オリゴマー(II)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜10,000であるのが好ましく、特に1,000〜5,000であるのが好ましい。エネルギー線硬化性オリゴマー(II)の重量平均分子量が1,000未満であると、硬化前保護層11の形状安定性が低くなるおそれ、および硬化後の保護層11’の柔軟性が低くなるおそれがある。一方、エネルギー線硬化性オリゴマー(II)の重量平均分子量が10,000を超えると、硬化後の保護層11’の物性の不均一化を招くおそれがある。
【0034】
硬化前保護層11を構成する組成物が上記のような20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマー(II)を含有することにより、保護層11’の靭性を適度に保ち、光ディスクDの製造工程中に保護層11’にクラック等の不具合が発生することを防止することができる。
【0035】
硬化前保護層11を構成する組成物中、エネルギー線硬化性オリゴマー(II)の含有量は30〜90質量%であることが好ましく、特に40〜60質量%であることが好ましい。エネルギー線硬化性オリゴマー(II)の含有量が30質量%未満では、硬化前保護層11または硬化後の保護層11’の靭性を適度に保つ効果が得られ難く、エネルギー線硬化性オリゴマー(II)の含有量が90質量%を超えると、組成物の均質性が低くなり、硬化前保護層11、ひいては硬化後の保護層11’の物性が不均一になる。
【0036】
〔第三成分(III)〕
硬化前保護層11を構成する組成物は、上記エネルギー線硬化性化合物(I)およびエネルギー線硬化性オリゴマー(II)以外の第三成分(III)を含有してもよい。そのような第三成分(III)としては、例えば、レベリング剤、微粒子、その他の添加剤等が挙げられる。また、エネルギー線として紫外線を用いる場合には、第三成分(III)として光重合開始剤を添加することにより、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
【0037】
光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}などが挙げられる。
【0038】
光重合開始剤は、エネルギー線硬化性化合物(I)およびエネルギー線硬化性オリゴマー(II)の合計量100質量部に対して0.1〜20質量部、特には0.5〜10質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0039】
レベリング剤としては、例えば、ジメチルシロキサン系化合物、フッ素系化合物、界面活性剤等を使用することができる。組成物がかかるレベリング剤を含有することにより、硬化前保護層11(保護層11’)の平滑性を向上させることができる。
【0040】
硬化前保護層11を構成する組成物中、レベリング剤の含有量は、エネルギー線硬化性化合物(I)100質量部に対して、0〜2質量部であることが好ましく、特に0.01〜0.5質量部であることが好ましい。
【0041】
微粒子としては、例えば、平均粒子径が0.5μm以下の二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化錫粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク、カオリン、硫酸カルシウム粒子等の無機微粒子や、有機物によって修飾された上記無機酸化物微粒子、あるいは、例えば特開2000−273272号公報に記載の反応性粒子などが挙げられる。組成物がかかる微粒子を含有することにより、得られる保護層11’の硬度を向上させ、保護層11’に傷防止性能を付与することができる。
【0042】
硬化前保護層11を構成する組成物中、微粒子の含有量は、エネルギー線硬化性化合物(I)100質量部に対して、0〜60質量部であることが好ましく、特に0〜50質量部であることが好ましい。
【0043】
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与剤、カップリング剤、染料等が挙げられる。硬化前保護層11を構成する組成物中、その他の添加剤の含有量は、エネルギー線硬化性化合物(I)100質量部に対して、その他の添加剤の合計で0〜5質量部であることが好ましく、特に0〜3質量部であることが好ましい。
【0044】
硬化前保護層11を構成する組成物は、重量平均分子量(Mw)が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しない。かかる高分子成分を含有すると、組成物の均質性が低くなり、硬化前保護層11、ひいては硬化後の保護層11’の物性が不均一になる。
【0045】
硬化前保護層11を構成する組成物の硬化後の貯蔵弾性率は、1×10Pa以上であるのが好ましく、5×10〜1×10Paであるのが特に好ましい。ここで、「硬化後の貯蔵弾性率」の測定温度は、光ディスクの保管環境と同じ温度、すなわち室温であるものとする。
【0046】
硬化前保護層11の硬化後の貯蔵弾性率が1×10Pa未満であると、形成される保護層11’の強度が不足するおそれがある。
【0047】
硬化前保護層11を構成する組成物の硬化後の波長400nm以上の光の透過率は、85%以上であるのが好ましい。光ディスクにおいては、記録容量を上げるために短波長レーザ(例えば波長405nmの青紫色レーザ)を使用することがあるが、硬化後の組成物(保護層11’)が上記透過率を有することにより、かかる短波長レーザにも対応することが可能となる。
【0048】
硬化前保護層11を構成する組成物の硬化後の線膨張係数(保護層11’の線膨張係数)は、湿熱条件下での使用でも光ディスクが大きな反りを起こさないよう、光ディスク基板2の線膨張係数とほぼ同じであるのが好ましい。例えば、光ディスク基板2がポリカーボネート樹脂からなる場合、その線膨張係数は通常0.8×10−4/℃であるため、この場合、硬化前保護層11を構成する組成物の硬化後の線膨張係数は、0.3×10−4〜2.5×10−4/℃であるのが好ましく、特に0.6×10−4〜2.0×10−4/℃であるのが好ましい。
【0049】
硬化前保護層11を構成する組成物の硬化後の屈折率は、1.45〜1.75であるのが好ましく、特に1.45〜1.55であるのが好ましい。光ディスクでは、傷防止のために保護層11’の表面にハードコート層を設けることがあるが、組成物の硬化後の屈折率(保護層11’の屈折率)が上記の範囲から外れると、ハードコート層の屈折率と大きく異なることが多く、信号特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0050】
以上の組成物から構成される硬化前保護層11の厚さは、光ディスクの規格に基づいて決定され、例えば片面1層式のBlu−ray Discの場合には100μmであるが、一般的には95〜105μm程度であり、好ましくは97〜103μm程度である。
【0051】
上記のような硬化前保護層11に積層される基材12,12’のうち、先に剥離される方の基材(本実施形態では基材12’)は、硬化前保護層11に対して剥離性を有する必要があり、後に剥離される方の基材(本実施形態では基材12)は、硬化後の保護層11’に対して剥離性を有する必要がある。
【0052】
具体的には、先に剥離される方の基材(基材12’)の硬化前保護層11側の面の剥離力(剥離力A)は150mN/25mm以下であるのが好ましく、後に剥離される方の基材(基材12)の硬化前保護層11側の面の剥離力(剥離力B)は、剥離力A以上、200mN/25mm以下であるのが好ましい。
【0053】
また、基材12,12’、特に先に剥離される方の基材(基材12’)の硬化前保護層11側の面の表面粗さ(Ra)は、0.1μm以下であるのが好ましく、さらには0.05μm以下であるのが好ましい。基材12,12’がかかる表面粗さ(Ra)を有することにより、硬化前保護層11に平滑性を付与し、それによって良好な信号特性を得ることができる。特に、硬化前保護層11(保護層11’)の情報記録層側の面は光ディスクの信号特性に大きな影響を与えるため、先に剥離される方の基材(基材12’)の硬化前保護層11側の面の表面粗さ(Ra)の制御は重要なものとなる。
【0054】
このような基材12,12’としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、塩化ビニル、アイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂またはそれら樹脂を架橋したものからなる透明フィルムを、必要に応じてシリコーン樹脂系、アルキド樹脂系、フッ素樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ワックス系等の剥離剤で剥離処理したものを使用するのが好ましい。
【0055】
基材12,12’の厚さは、通常は5〜300μm程度であり、好ましくは20〜100μmである。
【0056】
本実施形態に係る保護層形成用シート1を製造するには、まず、硬化前保護層11を構成する組成物を調製し、その組成物を基材12または基材12’上(基材に剥離処理が施されている場合にはその剥離処理面上)に塗工する。
【0057】
ここで、組成物の塗工においては、溶剤を使用することなく、組成物が塗工に適した粘度になるように組成物を加熱して塗工することが好ましい。溶剤を使用すると、その揮発に伴って組成物中の成分に対流が生じ、硬化前保護層11、ひいては硬化後の保護層11’の物性が不均一になるおそれがあるからである。組成物の加熱温度は、通常70〜100℃程度とするのが好ましい。
【0058】
組成物の塗工には、例えば、キスロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター等の塗工機を使用することができる。
【0059】
次いで、上記塗工した組成物の表面にもう1枚の基材12’または基材12(基材に剥離処理が施されている場合にはその剥離処理面)を重ね合わせ、2枚の基材12,12’で挟むようにして硬化前保護層11を形成する。
【0060】
このようにして製造される保護層形成用シート1の硬化前保護層11は、2枚の基材12,12’によって挟まれるため、厚さ精度が高いものとなる。また、硬化前保護層11の表面には、基材12,12’における硬化前保護層11側の表面状態が転写されるため、基材12,12’における硬化前保護層11側の表面の平滑性を高くすれば、硬化前保護層11の表面の平滑性も高くなる。
【0061】
次に、上記保護層形成用シート1を使用した光ディスク(片面2層式)の製造方法の一例について説明する。
【0062】
最初に、図2(a)に示すように、ピットまたはグルーブ/ランドによる凹凸パターンを有する光ディスク基板2を製造する。この光ディスク基板2は、通常、ポリカーボネートからなり、射出成形等の成形法によって成形することができる。
【0063】
上記光ディスク基板2の凹凸パターン上には、図2(b)に示すように、スパッタリング等の手段により反射層3を形成する。本光ディスクDでは、その反射層3が情報記録層となる。反射層3は、単層膜であってもよいし、例えば反射膜、誘電体膜、相変化膜および誘電体膜等からなる多層膜であってもよい。
【0064】
次いで、図2(c)に示すように、上記反射層3上にエネルギー線硬化性のスタンパー受容層4を形成する。このスタンパー受容層4は、あらかじめシート状に形成したスタンパー受容層を貼り付けることにより形成してもよいし、スピンコート法等によってスタンパー受容層4用の塗布剤を塗工することにより形成してもよい。スタンパー受容層4の材料としては、例えば、前述したエネルギー線硬化性化合物(I)を使用することができる。
【0065】
スタンパー受容層4を形成したら、図2(d)に示すように、そのスタンパー受容層4に対してスタンパーSを圧着し、スタンパー受容層4にスタンパーSの凹凸パターンを転写する。なお、図2(d)に示すスタンパーSの形状は板状であるが、これに限定されるものではなく、ロール状であってもよい。
【0066】
この状態で、エネルギー線照射装置を使用して、スタンパー受容層4に対してエネルギー線を照射し、スタンパー受容層4を硬化させる。エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられる。
【0067】
スタンパー受容層4が硬化して、スタンパーSの凹凸パターンによるピットまたはグルーブ/ランドが形成されたら、スタンパーSとスタンパー受容層4とを分離し、図2(e)に示すように、スタンパー受容層4の凹凸パターン上に、スパッタリング等の手段により半透過反射層3’を形成する。この半透過反射層3’は、単層膜であってもよいし、例えば半透過反射膜、誘電体膜、相変化膜および誘電体膜等からなる多層膜であってもよい。
【0068】
そして、保護層形成用シート1の一方の基材12’を剥離除去して硬化前保護層11を露出させ、図2(f)に示すように、硬化前保護層11を上記半透過反射層3’の表面に圧着する。この状態で、エネルギー照射装置を使用して、硬化前保護層11に対してエネルギー線を照射し、硬化前保護層11を硬化させ、保護層11’とする。
【0069】
エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられ、好ましくは紫外線が用いられる。エネルギー線の照射量は、エネルギー線の種類によって異なるが、例えば紫外線の場合には、光量で100〜500mJ/cm程度が好ましく、電子線の場合には、10〜1000krad程度が好ましい。
【0070】
硬化前保護層11が硬化して保護層11’が形成されたら、図2(g)に示すように、保護層形成用シート1の他方の基材12を剥離除去し、必要に応じて保護層11’の表面にハードコート層、防汚層等のオーバーコート層を形成し、光ディスクDとする。
【0071】
ハードコート層としては、分子内に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートまたはエポキシ(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリレートモノマーとをエネルギー線硬化反応させたものが一般的に用いられるが、これに限定されるものではなく、例えば、シロキサン結合を有する材料からなるもの等を用いることもできる。
【0072】
防汚層を構成する材料としては、例えば、フッ素系化合物、ジメチルシロキサン系化合物、フッ素変性ジメチルシロキサン系化合物などを用いることができる。
【0073】
上記のように保護層形成用シート1を使用した光ディスク製造方法によれば、保護層11’を形成するにあたって接着層を設ける必要がないため、少ない製造工程で光ディスクDを製造することができる。しかも、硬化前保護層11を構成する組成物として、高分子成分を実質的に含有せず、融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物を含有する組成物を使用することにより、硬化前保護層11の形状保持性は高く、かつ保護層11’の屈折率等の物性は均一なものとなるため、得られる光ディスクDは良好な信号特性を有し、製造歩留りも高い。
【0074】
以上の光ディスク製造方法では、上記保護層形成用シート1を使用して片面2層式の光ディスクを製造したが、これに限定されることなく、例えば、上記保護層形成用シート1を使用して片面1層式等の光ディスクを製造することもできる。
【0075】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0076】
例えば、保護層形成用シート1における基材12または基材12’はなくてもよい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0078】
〔実施例1〕
融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物としてのポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製,NKエステルA−1000,固形分濃度:100%,融点:37〜39℃,重量平均分子量:1108)50質量部と、20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマーとしてのウレタンアクリレート(大日本インキ社製,ユニディックRS24−156,重量平均分子量:1600,固形分濃度:100%)50質量部と、光重合開始剤としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,イルガキュア184,固形分濃度:100質量%)3質量部とを混合し、80℃で加熱しながら攪拌し、これを塗工液とした。
【0079】
上記塗工液を、基材12としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製,PET75T600,厚さ:75μm,Ra:0.01μm,剥離力:160mN/25mm)上に膜厚が100μmになるようにダイコーターを用いて塗工した後、その上にシリコーン樹脂系の剥離剤で剥離処理した基材12’としての剥離フィルム(リンテック社製,SP−PET7501,厚さ:75μm,Ra:0.015μm,剥離力:100mN/25mm)を積層し、2枚のフィルムと、それらに挟まれた硬化前保護層とからなる保護層形成用シートを得た。
【0080】
〔実施例2〕
融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物として、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業社製,NKエステルAM−230G,固形分濃度:100%,融点:40℃,重量平均分子量:1054)を用いた以外、実施例1と同様にして保護層の塗工液を調製した。そして、得られた塗工液を使用し、実施例1と同様にして保護層形成用シートを作製した。
【0081】
〔比較例1〕
ポリエチレングリコールジアクリレートの代わりに、1,6−ヘキサンアクリレート(新中村化学工業社製,NKエステルA−HD−N,固形分濃度:100%,融点:8〜10℃,重量平均分子量:226)を使用する以外、実施例1と同様にして保護層の塗工液を調製した。そして、得られた塗工液を使用し、実施例1と同様にして保護層形成用シートを作製した。
【0082】
〔試験例〕
1.形状保持性
実施例および比較例で得られた保護層形成用シート(未硬化)に1.0N/cmの圧力を10分間印加し、硬化前保護層の変形の有無を目視により確認した。変形が認められなかったものを○、変形が認められたものを×で表す。結果を表1に示す。
【0083】
2.貯蔵弾性率・表面粗さ・線膨張係数・透過率・屈折率
実施例および比較例で得られた保護層形成用シートに対し、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から紫外線を照射し(リンテック社製,装置名:Adwill RAD−2000m/8を使用。照射条件:照度310mW/cm2,光量200mJ/cm2)、硬化前保護層を硬化させ、保護層とした。
【0084】
保護層から剥離フィルムおよびポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、以下のようにして、保護層のポリエチレンテレフタレートフィルムに接触していた側の面の表面粗さ(Ra)、保護層の貯蔵弾性率、線膨張係数、400nm透過率および屈折率を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
表面粗さ(Ra):接触式表面粗さ計(ミツトヨ社製,SV3000S4)を使用し、ISO4287に準じて測定した。
貯蔵弾性率:粘弾性測定装置(オリエンテック社製,レオバイブロンDDV−II−EP)を用いて11Hzで30℃の値を測定した。
線膨張係数:熱分析装置(マックサイエンス社製,システムWS002)を使用して測定した。
400nm透過率:分光光度計(島津製作所社製,UV−3101PC)を使用して測定した。
屈折率:アッベ屈折率計(アタゴ社製)を使用し、JIS K7142に準じて測定した。
【0086】
3.屈折率の均一性
上記のようにして硬化させた保護層について、屈折率の均一性を判定した。具体的には、硬化させた保護層の一方の面を市販の黒色のペンで黒く塗り潰し、その黒く塗り潰した面を下にして、3波長蛍光灯下(東芝社製,メロウ5N 3波長昼白色 FLR40S EX−N/M/36−H 40形 36ワット)で干渉縞が均一であるかどうか目視で確認した。コントロールとして、ポリカーボネートフィルム(帝人化学社製,ピュアエースC110−100,厚さ:100μm)についても、同様にして干渉縞の均一性を確認した。ポリカーボネートフィルムと比較して、干渉縞の均一性が同等であったものを○、干渉縞が不均一であったものを×で表す。結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
表1から明らかなように、実施例で作製した保護層形成用シートは形状保持性に優れ、また、当該保護層形成用シートから得られた保護層は、光ディスク用として好適な物性を有するとともに、屈折率の均一性に優れていた。
【0089】
〔製造例〕
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmであり、片面に凹凸パターンを有するポリカーボネートからなる光ディスク基板を射出成形により成形した。その光ディスク基板の凹凸パターン上に、スパッタリングによって銀合金からなる厚さ約150nmの反射層を形成した。
【0090】
実施例にて製造した光ディスク製造用シートを、打抜き加工により上記光ディスク基板と同様の形状にカットした後、一方の剥離フィルム(基材12’)を剥離し、露出した硬化前保護層を上記光ディスク基板上の反射層面に20Nの圧力で圧着した。
【0091】
次に、他方の剥離フィルム(基材12)側から硬化前保護層に対して紫外線を照射し(リンテック社製,Adwill RAD−2000m/8を使用。照射条件:照度310mW/cm2,光量200mJ/cm2)、硬化前保護層を硬化させた後、他方の剥離フィルム(基材12)を剥離し、保護層が形成された光ディスクを得た。得られた光ディスクにおいては、接着層を形成することなく、しかも均一な物性を有する保護層を形成することができたため、良好な信号特性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、保護層の物性が均一で信号特性が良好な光記録媒体を、少ない製造工程で歩留り良く製造するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスクの保護層形成用シートの断面図である。
【図2】同実施形態に係る光ディスクの保護層形成用シートを使用した光ディスク製造方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1…光ディスク(光記録媒体)の保護層形成用シート
11…硬化前保護層
11’…保護層
12,12’…基材
2…光ディスク基板
3…反射層
3’…半透過反射層
4…スタンパー受容層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物を10〜70質量%含有し、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しない組成物からなる硬化前保護層を備えたことを特徴とする光記録媒体の保護層形成用シート。
【請求項2】
前記組成物は、さらに20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマーを30〜90質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の保護層形成用シート。
【請求項3】
前記硬化前保護層は、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の平滑面を有する基材の前記平滑面に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体の保護層形成用シート。
【請求項4】
前記硬化前保護層は、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の平滑面を有する2つの基材の前記平滑面相互間に挟まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体の保護層形成用シート。
【請求項5】
硬化前保護層を備えた光記録媒体の保護層形成用シートの製造方法であって、
融点25℃以上のエネルギー線硬化性化合物を10〜70質量%含有し、重量平均分子量が50,000以上の高分子成分を実質的に含有しない組成物を、溶剤を使用することなく第1の平面上に塗布するとともに、前記第1の平面と第2の平面によって挟むことにより、前記硬化前保護層を形成する
ことを特徴とする光記録媒体の保護層形成用シートの製造方法。
【請求項6】
前記組成物は、さらに20℃で液状のエネルギー線硬化性オリゴマーを30〜90質量%含有することを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体の保護層形成用シートの製造方法。
【請求項7】
光記録媒体基板と、1層または2層以上の情報記録層と、保護層とを備えてなる光記録媒体の製造方法であって、
最外層の情報記録層に対し、請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体の保護層形成用シートの硬化前保護層を圧着し、
エネルギー線の照射により前記硬化前保護層を硬化させ、もって光記録媒体の保護層を形成する
ことを特徴とする光記録媒体の製造方法。
【請求項8】
光記録媒体基板と、1層または2層以上の情報記録層と、保護層とを備えてなる光記録媒体の製造方法であって、
最外層の情報記録層に対し、請求項3に記載の光記録媒体の保護層形成用シートの硬化前保護層を、前記保護層形成用シートにおける前記基材の平滑面に接していた側の面が前記情報記録層側になるようにして圧着し、
エネルギー線の照射により前記硬化前保護層を硬化させ、もって光記録媒体の保護層を形成する
ことを特徴とする光記録媒体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体の保護層形成用シートの硬化前保護層を硬化してなる保護層を備えたことを特徴とする光記録媒体。
【請求項10】
光記録媒体基板と、1層または2層以上の情報記録層と、請求項3に記載の光記録媒体の保護層形成用シートの硬化前保護層を硬化してなる保護層とを備え、
前記保護層は、前記硬化前保護層における前記基材の平滑面に接していた側の面を情報記録層側として、前記情報記録層に積層されていることを特徴とする光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−236518(P2006−236518A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52470(P2005−52470)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】