光走査型タッチパネル
【課題】光学部材の位置調整、特に発光素子の位置調整を高精度かつ容易に行え、指、ペン等の指示物の位置を精度良く検出する光走査型タッチパネルを提供する。
【解決手段】発光素子11は、直方体状をなす発光素子固定基板に固定されており、この発光素子固定基板を光学ユニット本体19に平行に接してネジ止めにて取り付ける。発光素子固定基板には2個の取付け孔が形成されている。2個の取付け孔と発光素子11とがY軸方向(発光素子11の光軸方向をZ軸としてこれに垂直なモータ18の軸芯方向(アパーチャミラー16からの反射光の光軸方向))またはX軸方向(上記Y軸,Z軸方向に垂直な方向)に直線状に配置されている。発光素子固定基板がX軸方向,Y軸方向に安定して動けるので、発光素子のXY軸調整に要する作業工数は短縮する。
【解決手段】発光素子11は、直方体状をなす発光素子固定基板に固定されており、この発光素子固定基板を光学ユニット本体19に平行に接してネジ止めにて取り付ける。発光素子固定基板には2個の取付け孔が形成されている。2個の取付け孔と発光素子11とがY軸方向(発光素子11の光軸方向をZ軸としてこれに垂直なモータ18の軸芯方向(アパーチャミラー16からの反射光の光軸方向))またはX軸方向(上記Y軸,Z軸方向に垂直な方向)に直線状に配置されている。発光素子固定基板がX軸方向,Y軸方向に安定して動けるので、発光素子のXY軸調整に要する作業工数は短縮する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステム等により情報が表示される表示装置の表示画面上での指示物の位置を光学的に検出する光走査型タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
主としてパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムの普及に伴って、コンピュータシステムにより情報が表示される表示装置の表示画面上を人の指または特定の指示物により指示することにより、新たな情報を入力したり、コンピュータシステムに対して種々の指示を与えたりする装置が利用されている。
【0003】
このようなパーソナルコンピュータ等の表示装置の表示画面に表示された情報に対してタッチ方式にて入力操作を行う場合には、その表示画面上での接触位置(指示位置)を高精度に検出する必要がある。このような座標面となる表示画面上の指示位置を検出する方法の一例として、光学的な位置検出方法が、特許文献1に開示されている。この方法は、レーザ光線のような絞った光を表示画面の外側から角度走査し、反射手段を有する専用ペンからの反射光の2つのタイミングから専用ペンが存在する角度をそれぞれ求め、求めた角度を三角測量の原理にあてはめて位置座標を計算にて検出する。この方法では、部品点数を大幅に削減でき、また、高い分解能を有することも可能である。しかしながら、専用の反射ペンを利用しなければならない等、操作性に問題があり、また、指,任意のペン等の位置は検出することができない。
【0004】
また、他の光学的な位置検出方法が、特許文献2に提案されている。この方法は、表示画面の両側枠に光再帰性反射体を配置し、角度走査したレーザ光線のこの光再帰性反射体からの戻り光を検知し、指またはペンによって光線が遮断されるタイミングから指またはペンの存在角度を求め、求めた角度から三角測量の原理にて位置座標を検出する。この方法では、部品点数が少なくて検出精度を維持でき、指,任意のペン等の位置も検出できる。
【特許文献1】特開昭57−211637号公報
【特許文献2】特開昭62−5428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような光を角的に走査するようにした光走査型タッチパネルでは、その指示物の位置の検出精度が、発光素子,受光素子,レンズ,角的走査手段(ポリゴンミラー)等における光軸の精度、即ちこれらの光学部材の垂直度,平行度の精密さに大きく依存する。特に、この光走査型タッチパネルでは、同じように走査光を利用する走査型のプリンタ装置等とは異なり、走査光が人体に触れる確率が高いので人体への影響を考えて使用する光の強度をあまり上げられない、また、走査型のプリンタ装置等に比べて走査光の光路が長いので減衰の影響が大きいといったような制約があるので、特に、高い光軸精度が要求される。しかしながら、上述したような従来の光走査型タッチパネルは、十分に光軸精度が考慮されているとは言い難かった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、発光素子の位置調整に要する作業工数を大幅に短縮できる光走査型タッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光走査型タッチパネルは、所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置するようにしていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る光走査型タッチパネルは、上記構成において、前記発光素子固定基板に形成された前記穴と前記発光素子とが、鉛直方向または鉛直方向と垂直な方向に並んでいることを特徴とする。
【0009】
本発明の光走査型タッチパネルにあっては、発光素子固定基板を基体に取付けるための穴を、発光素子と同一直線上(例えば、発光素子の光軸方向をZ軸方向とした場合のX軸方向またはY軸方向)に配置している。よって、発光素子固定基板はその直線方向(X軸方向またはY軸方向)に安定して動けるため、発光素子の位置調整を容易に行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光走査型タッチパネルでは、発光素子固定基板を基体に取付けるための穴を、発光素子と同一直線上に配置するようにしたので、発光素子固定基板がその直線方向(例えば、X軸方向またはY軸方向)に安定して動けるため、発光素子の位置調整(例えば、XY軸調整)に要する作業工数を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【0012】
図1において参照符号10は、パーソナルコンピュータ等の電子機器におけるCRTまたはフラットディスプレイパネル(PDP,LCD,EL等),投射型映像表示装置等の表示画面であり、本実施の形態では横方向92.0cm×縦方向51.8cmで対角105.6cmの表示寸法を有するPDP(プラズマディスプレイ)の表示画面として構成されている。
【0013】
例えば指,ペン等である指示物(遮断物)Sによりタッチするための目標区域として規定された平面の範囲であるこの長方形の表示画面10の一つの短辺(本実施の形態では右側の辺)の両隅の外側には、発光素子,受光素子,ポリゴンミラー,各種のレンズ等を含む光学系を内部に有する光学ユニット1a,1bがそれぞれ設けられている。また、表示画面10の右側の辺を除く3辺、つまり、上下両側の辺及び左側の辺の外側には再帰性反射シート7が設けられている。
【0014】
なお、参照符号70は光遮蔽部材である。この光遮蔽部材70は、両光学ユニット1a,1b間で直接光が入射されないように、具体的には光学ユニット1aから投射された光が光学ユニット1bへ入射されないように、また逆に光学ユニット1bから投射された光が光学ユニット1aへ入射されないように、両光学ユニット1a,1bを結ぶ線上に設けられている。またこの光遮蔽部材70は、光の反射率が実用上”0”である物体で、再帰性反射シート7の高さとほぼ同じ程度の高さに構成されている。
【0015】
図2は、光学ユニット1a,1bの構成及び光路を示す図である。両光学ユニット1a,1bは同じ内部構成をなしている。光学ユニット1a(1b)は、赤外線レーザ光を出射するレーザダイオード(LD)からなる発光素子11と、発光素子11からのレーザ光を平行光にするためのコリメーションレンズ12と、再帰性反射シート7からの反射光を受光するフォトダイオード(PD)からなる受光素子13と、受光素子13への入射光を制限するためのスリット14aを有するスリット板14と、発光素子11からのレーザ光を角度走査するための例えば4角柱状のポリゴンミラー15と、アパーチャ16aによりコリメーションレンズ12からポリゴンミラー15への投射光を制限すると共に、ポリゴンミラー15を介した再帰性反射シート7からの反射光を受光素子13側へ反射するアパーチャミラー16と、アパーチャミラー16での反射光を発光素子11に集束させるための受光レンズ17と、ポリゴンミラー15を回転させるモータ18と、これらを取付け固定するための光学ユニット本体19(図3参照)とを備える。
【0016】
上記発光素子11,コリメーションレンズ12及びアパーチャミラー16にて発光系を構成し、アパーチャミラー16,受光レンズ17,スリット板14及び受光素子13にて受光系を構成しており、これらの発光系及び受光系にて光送受手段を構成している。また、光走査手段は、上記ポリゴンミラー15及びモータ18にて構成されている。光学ユニット本体19には、この光走査手段(モータ18)を固定するためのモータ固定穴19aが3個設けられている。
【0017】
発光素子11から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ12にて平行光にされ、アパーチャミラー16のアパーチャ16aを通過した後、ポリゴンミラー15の回転によって表示画面10と実質的に平行である面内を角度走査されて再帰性反射シート7に投射される。そして、再帰性反射シート7からの反射光が、ポリゴンミラー15及びアパーチャミラー16にて反射された後、受光レンズ17で集束されてスリット板14のスリット14aを通って、受光素子13に入射される。但し、投射光の光路に指示物Sが存在する場合には投射光が遮断されるため、反射光が受光素子13に入射されることはない。
【0018】
各光学ユニット1a,1bには、各発光素子11を駆動する発光素子駆動回路2a,2bと、各受光素子13の受光量を電気信号に変換する受光信号検出回路3a,3bと、各ポリゴンミラー15の動作を制御するポリゴン制御回路4とが接続されている。また、参照符号5は指示物Sの位置,大きさを算出すると共に、装置全体の動作を制御するMPUであり、6はMPU5での算出結果等を表示する表示装置である。
【0019】
MPU5は、発光素子駆動回路2a,2bに駆動制御信号を送り、その駆動制御信号に応じて発光素子駆動回路2a,2bが駆動されて、各発光素子11の発光動作が制御される。受光信号検出回路3a,3bは、各受光素子13での反射光の受光信号をMPU5へ送る。MPU5は、各受光素子13からの受光信号に基づいて、指示物Sの位置,大きさを算出し、その算出結果を表示装置6に表示する。なお、表示装置6は表示画面10を兼用することも可能である。
【0020】
このような本発明の光走査型タッチパネルにおいては、図1に示されているように、例えば光学ユニット1bに関して説明すると、光学ユニット1bからの投射光は、受光素子13に入射する位置から光遮蔽部材70により遮蔽される位置を経て図1上で反時計方向回りに走査され、再帰性反射シート7の先端部分で反射される位置(Ps)に至って走査開始位置になる。そして、指示物Sの一端に至る位置(P1)までは再帰性反射シート7により反射されるが、指示物Sの他端に至る位置(P2)までの間は指示物Sによって遮断され、その後の走査終了位置(Pe)に至るまでは再帰性反射シート7により反射される。
【0021】
次に、本発明の特徴部分をなす光学ユニット1a,1bの内部構成について説明する。本発明の光走査型タッチパネルの光学ユニット1a,1bにあっては、図3に示すような光学ユニット本体19に、発光素子11,コリメーションレンズ12及びアパーチャミラー16からなる発光系と、アパーチャミラー16,受光レンズ17,スリット板14及び受光素子13からなる受光系と、ポリゴンミラー15及びモータ18からなる光走査系とを設けて構成される。即ち、後述するように、まず、光学ユニット本体19に、光軸を調整しながら発光系及び受光系の各部材を設置した後、モータ固定穴19aを用いて光走査系を設置して、光学ユニット1a,1bが構成される。
【0022】
このように、1つの光学ユニット本体19に、発光系,受光系及び光走査系のすべての光学部材を一体的に設けるようにしているので、光軸と光学ユニット本体19との間での垂直度,平行度を高精度に規定することができる。また、部品点数及び光軸調整工数も削減できて、低コスト化を図れる。
【0023】
以下、各光学部材の取付け,構成について詳述する。
(光走査系)
ポリゴンミラー15及びモータ18からなる光走査系は、モータ固定穴19aを用いて光学ユニット本体19に取付けられる。図4,図5は、ポリゴンミラー15及びモータ18の取付け例を示す断面図、また、図6はその上面図である。中空の直方体状をなすポリゴンミラー15の円筒状の中空部にモータ18のモータ軸18aを挿入させ、ポリゴンミラー15の上面に中空円盤状の押え板21を被せて、1本のネジ22にて、ポリゴンミラー15及びモータ18を光学ユニット本体19を固定する。ネジ22と押え板21との間にはリング23を挟ませている。
【0024】
このように、ポリゴンミラー15とモータ18とを1点止めによって固定するので、複数点止め固定に比べて、取付け作業工数を低減できる。また、ネジ22と押え板21との間にリング23を設けているので、ネジ首下面のガタによる取付け不良が発生しない。
【0025】
図5に示す例では、ポリゴンミラー15の内部をザグリ構造としており、押え板21,ネジ22及びリング23の全てをポリゴンミラー15の内部に収納することができ、高さ方向の省スペース化を図れる。
【0026】
図6に示すように、押え板21の外径がポリゴンミラー15の内接円の直径より小さくなるようにしたので、押え板21,ネジ22及びリング23の全てをポリゴンミラー15の内部に収納することができ、省スペース化を図れる。
【0027】
図7(a),(b)は、光走査面であるポリゴンミラー15の側面の一例の模式図であり、側面の上部及び/または下部が両端において面取りされている。よって、ポリゴンミラー15の鏡面仕上げの作業性が向上する。また、回転時の風切りが減少して、騒音を低減できる。
【0028】
また、このポリゴンミラー15はニッケルまたはステンレス製とする。ポリゴンミラー15の材質としてはアルミニウムが一般的であるが、アルミニウムに比べて比重が約3倍大きいニッケルまたはステンレスを用いることにより、モータ18の回転が安定する。
【0029】
また、ニッケルまたはステンレスの表面にアルミニウム膜,SiO2 膜をこの順に積層する。光走査型タッチパネルのような光学的な位置検出装置では、ポリゴンミラーの表面反射率がS/N比に反映されるので、表面反射率は重要な要素であり、表面にアルミニウム膜を設けてそれを高めるようにする。また、SiO2 膜はアルミニウム膜の酸化防止の機能を果たす。なお、これらのアルミニウム膜,SiO2 膜の厚さは、SiO2 膜での表面反射光と、SiO2 膜/アルミニウム膜の界面での反射光とが干渉して強め合うように、レーザ光の波長に応じて設定することが好ましい。
【0030】
図8は、光学ユニット本体19へのモータ18の取付け状態を示す図である。図8に示すように、モータ軸18aの外周部に環状の溝18bを形成している。その溝18bの幅,深さはそれぞれ0.5mm以上,0.2mm以上とする。このような溝18bを形成しておくことにより、モータ軸18a近傍が中高になることを防止する。もし、モータ軸18a近傍が中高になると、モータ18に対してポリゴンミラー15が傾斜するので、光を一定の位置で走査させることができない。よって、従来では、この中高によるポリゴンミラーの傾斜を解消するために多大な調整工数を必要としていた。これに対して、本発明では中高を防止するために溝18bを設けているので、このような調整工数が不要となり、取付け時間を大幅に短縮できる。なお、設ける溝18bのサイズをこのような数値に設定することにより、このような溝18bは容易に形成できる。
【0031】
(コリメーションレンズ)
図9は、コリメーションレンズ12の固定状態を示す図である。コリメーションレンズ12は、光学ユニット本体19の中空部に嵌挿された円筒状のレンズホルダ31内に固定されている。レンズホルダ31の周面には光軸と垂直な方向に溝31aが設けられており、この溝31aは光学ユニット本体19の孔19bと連通している。この孔19b及び溝31aに後述する偏芯治具32を光軸と垂直な方向に差し込んで、それを動かすことにより、レンズホルダ31を光軸方向に移動できるようになっている。
【0032】
図10は、コリメーションレンズ12の位置調整及び固定の実施状態を示す図である。コリメーションレンズ12の位置調整を行う場合には、孔19b及び溝31aに偏芯治具32を光軸と垂直な方向に差し込んでレンズホルダ31を移動させ、発光素子11とコリメーションレンズ12との距離を微調整してコリメート調整を行い、調整終了後に、偏芯治具32と垂直な方向から板バネ33でレンズホルダ31を押さえ、着脱可能な2本のネジ34a,34bにより固定する。この際、各ネジ34a,34bと板バネ33との間に、各ネジ34a,34bよりも径が大きいワッシャ35a,35bをそれぞれ介装する。
【0033】
図11は、板バネ33固定の他の例を示しており、この場合には、上述の例と同様にコリメーションレンズ12の位置調整を行った後に、光軸と垂直で、しかも偏芯治具32と平行な方向から板バネ33でレンズホルダ31を押さえ、着脱可能な2本のネジ34a,34bにより固定している。
【0034】
本発明では、このようにしてコリメート調整を行うので、高精度に調整を行えると共に、その調整時間が極めて短くなる。従来では、ネジにて直接レンズホルダを固定することが一般的であり、この場合にはネジを締め付ける際にレンズホルダがずれてコリメート状態が損なわれる可能性が高かったが、本発明では板バネ33を使用した面固定であるため調整時のレンズホルダ31に微小な圧力をかけることができるので、レンズホルダ31が急激に大きく動くことがなく、コリメート調整を容易に行える。
【0035】
ネジ34a,34bと板バネ33との間に、ネジ34a,34bよりも径が大きいワッシャ35a,35bを介装しているので、板バネ33をワッシャ面で押さえることができ、レンズホルダ31と板バネ33との密着性が高い。なお、板バネ33でレンズホルダ31を固定する際、レンズホルダ31との距離が遠い方をネジ34bにて先に固定し、レンズホルダ31との距離が近い方をコリメート調整後にネジ34aにて固定するようにすれば、レンズホルダ31と板バネ33との密着性をより高くできる。また、レンズホルダ31と2ヵ所の板バネ33固定部との距離の比(図10のP:Q)を1:3以下にすることにより、調整時のレンズホルダ31に微小な圧力をかけることがより容易となる。
【0036】
図12〜図14は、板バネ33の形状を示す図である。図12に示す例では、レンズホルダ31に接する部分が凹面状に広くなっている。図13に示す例では、板バネ33の幅がレンズホルダ31の幅より長くなっている。図14に示す例では、レンズホルダ31に接する部分が十字状になっていて、しかもその十字状の先端部は曲面になっている。板バネ33の形状をこのようにすることにより、板バネ33とレンズホルダ31とが噛み合ってレンズホルダ31が傾いたり、レンズホルダ31が傷つくことを防止できる。なお、図14に示す先端部の曲面形状は、エッチング処理によって容易に形成できる。
【0037】
(発光素子)
発光素子11は、直方体状をなす発光素子固定基板41に固定されており、この発光素子固定基板41を光学ユニット本体19に平行に接してネジ止めにて取り付ける。図15,図16はこの発光素子固定基板41を示す図であり、発光素子固定基板41には2個の取付け孔41aが形成されている。図15に示す例では、2個の取付け孔41aと発光素子11とがY軸方向(発光素子11の光軸方向をZ軸としてこれに垂直なモータ18の軸芯方向(アパーチャミラー16からの反射光の光軸方向))に直線状に配置されており、図16に示す例では、2個の取付け孔41aと発光素子11とがX軸方向(上記Y軸,Z軸方向に垂直な方向)に直線状に配置されている。このような構成とすることにより、発光素子固定基板41がX軸方向,Y軸方向に安定して動けるので、発光素子11のXY軸調整に要する作業工数を大幅に短縮できる。
【0038】
図17は、発光素子固定基板41の他の例を示す図であり、この例では、図15,図16に示す例とは異なり、2個の取付け孔41aと発光素子11とが直線状に配置されていない。このような配置にすることにより、発光素子固定基板41をコンパクトに設計でき、省スペース化を図れる。
【0039】
図18は、発光素子固定基板41における取付け孔41aと取付け部材(ネジ)42との大きさの関係を示す図である。取付け孔41aの半径を取付け部材42の半径よりもΔd/2以上大きくしている。Δdは以下の条件式(A)を満たし、具体的には0.4〜0.6mm程度である。なお、図19,図20は、発光素子11とコリメーションレンズ12とレンズホルダ31と光学ユニット本体19との位置関係を示す図,発光素子11と発光素子固定基板41との位置関係を示す図であり、この条件式(A)に見られるパラーメータの一部を示している。
Δd/2≧(X2 +Y2 )1/2 …(A)
但し、
X=(w/2−d)・sinθ+m+r・sinj
Y=(w/2−d)・sinη+n+r・sink
θ=θ1 +θ2
η=η1 +η2
θ1 :X軸に関する、コリメーションレンズ12のレンズホルダ31に対する 傾き
θ2 :X軸に関する、レンズホルダ31の光学ユニット本体19に対する傾き
η1 :Y軸に関する、コリメーションレンズ12のレンズホルダ31に対する 傾き
η2 :Y軸に関する、レンズホルダ31の光学ユニット本体19に対する傾き
w:レンズホルダ31の長さ
d:コリメーションレンズ12の基準面からレンズホルダ31の出口側端面 までの長さ
r:点H(発光素子11基準面の法線とZ軸との交点)から発光点までの長さ
m:X軸に対する発光素子11の発光点自身のずれ
n:Y軸に対する発光素子11の発光点自身のずれ
j:X軸に関する、発光素子11基準面の法線のZ軸に対する傾き
k:Y軸に関する、発光素子11基準面の法線のZ軸に対する傾き
【0040】
このように、取付け孔41aの半径を取付け部材42の半径よりもΔd/2以上大きくしているので、XY軸調整の際に、発光素子固定基板41に固定されている発光素子11が必要な可動範囲を得ることができるので、この結果、XY軸調整に要する作業工数を大幅に低減することが可能である。
【0041】
(アパーチャミラー)
図21,図22は、アパーチャミラー16のアパーチャ16aの構成を示す断面図,平面図である。コリメーションレンズ12からの平行光の大きさを制限するためのアパーチャ16aは、コリメーションレンズ12側の径が大きい2段以上の構成をなしており、その形状は楕円穴形(図22(a))または円穴形(図22(b))である。また、アパーチャ16aの内面は鏡面処理されておらず、その反射率は低い。
【0042】
アパーチャ16aを複数段設けることにより、アパーチャ16a内面での反射を低減できる。また、その形状を楕円穴形または円穴形とすることにより、光の回折または反射を低減できる。更に、アパーチャ16aの内面の反射率を低くすることにより、その内面での反射を低減できる。よって、平行光でない光がポリゴンミラー15へ投射されることを防止できる。
【0043】
図23,図24は、アパーチャ16aの構成と光学ユニット本体19との関係を示す図である。図23に示す例では、アパーチャミラー16が取付けられる部分(コリメーションレンズ12からの平行光の出口部分)の光学ユニット本体19の肉厚が薄くなっており(1mm以下)、アパーチャ16aでの光の回折または反射を低減するようにしている。図24に示す例では、アパーチャミラー16が取付けられる部分の光学ユニット本体19の開口径(コリメーションレンズ12からの平行光の出口の径)(D)が、アパーチャ16aの出口の径(d2)よりは大きく、そのアパーチャ16aの入口の径(d1)よりは小さくなっており、アパーチャ16aでの光の回折または反射を低減するようにしている。
【0044】
図25は、アパーチャーミラー16の一例の構成図である。図25の例では、ポリゴンミラー15に対向する面が鏡面処理されており、再帰性反射シート7から戻って来た光をこの鏡面部分にて受光系(受光レンズ17)へ効率良く導けるようになっている。このようなアパーチャーミラー16では、アパーチャ16aとミラー部とが一体形成されているので、光軸とアパーチャーミラー16との平行度の精度を容易に高くできる。
【0045】
図26は、アパーチャーミラー16の他の例の構成図である。図26の例ではポリゴンミラー15に対向する面にミラー51が貼付されており、再帰性反射シート7から戻って来た光をこのミラー51にて受光系(受光レンズ17)へ効率良く導けるようになっている。このようなアパーチャーミラー16では、鏡面仕上げが不要であり、低コスト化を図れる。
【0046】
図27,図28は、アパーチャミラー16の光学ユニット本体19への取付け状態を示す図である。図27に示す例では、アパーチャミラー16の光学ユニット本体19に対する位置決めが突き当て構造となっており、光軸とアパーチャミラー16との平行度を高い精度で実現できる。また、図27に示す例では、光学ユニット本体19のアパーチャミラー16が突き当てられる部分に逃げ穴19cが設けられており、十分な受光面積を確保でき、S/N比の向上をもたらす。図28に示す例では、アパーチャミラー16が着脱可能な取付け部材52にて光学ユニット本体19に取付けられており、接着による固定ではないので、アパーチャミラー16の交換が容易であるという利点がある。
【0047】
(受光レンズ)
受光レンズ17は、上述したコリメーションレンズ12と同様の光軸調整を行えるようになっている。図29は、受光レンズ17の位置調整及び固定の実施状態を示す図である。受光レンズ17は、光学ユニット本体19の中空部に嵌挿された円筒状のレンズホルダ61内に固定されている。レンズホルダ61の周面には光軸と垂直な方向に溝61aが設けられており、この溝61aは光学ユニット本体19の孔19dと連通している。この孔19d及び溝61aに偏芯治具62を光軸と垂直な方向に差し込んで、それを動かすことにより、受光レンズ17を固定したレンズホルダ61を光軸方向に移動できるようになっている。
【0048】
そして、受光レンズ17の位置調整を行う場合には、孔19d及び溝61aに偏芯治具62を光軸と垂直な方向に差し込んでレンズホルダ61を移動させ、受光素子13と受光レンズ17との距離を微調整して焦点調整を行い、調整終了後に、コリメーションレンズ12の場合と同様に、板バネでレンズホルダ61を押さえ、ネジにより固定する。よって、受光レンズ17の調整時間を大幅に低減できる。
【0049】
(スリット板14)
図30は、スリット板14の構成例を示す図であり、スリット板14を光学ユニット本体19に取り付けるためのネジ穴71のスリット14aの長手方向に垂直な方向の長さが、ネジ72の径よりも長くなっており、ネジ穴71にスリット板14をスライドさせるための遊びを持たせて、スリット板14をスライド可能に取付けている。よって、スリット板14のスリット14aの位置決めを精度良く行える。
【0050】
図31は、スリット板14の光学ユニット本体19への取付け例を示す図である。光学ユニット本体19の溝型の保持構造部19eにスリット板14を挿入させた構成をなし、スリット板14のスライド方向を一方向に制限している。
【0051】
図32は、スリット板14の光学ユニット本体19への他の取付け例を示す図である。スリット板14の片側を光学ユニット本体19に突き当てて取付けた構成をなし、スリット板14の移動方向を制限している。
【0052】
次に、このような光学部材の光学ユニット本体19への取付け工程について説明する。まず、コリメーションレンズ12を固定したレンズホルダ31を光学ユニット本体19内に入れ、コリメート調整を行いながらレンズホルダ31を光学ユニット本体19に取付ける。次に、XY軸調整を行いながら発光素子11を固定した発光素子固定基板41を取付ける。次に、アパーチャ補正を行いながらアパーチャミラー16を取付ける。このとき、コリメート調整を確認する。次に、受光レンズ17を固定したレンズホルダ61を光学ユニット本体19内に入れ、光焦点調整を行いながらレンズホルダ61を光学ユニット本体19に取付ける。そして、照明光等の外乱光の影響を防止して所望のスリット機能を果たせるようにスリット板14を取付ける。このとき、焦点調整を確認する。次に、ポリゴンミラー15及びモータ18をモータ固定穴19aを用いて光学ユニット本体19に取付ける。この際、モータ固定穴19aが光学ユニット本体19に一体に形成されていてモータ固定穴19aと光軸との位置合わせは既になされているので、単にモータ固定穴19aに取付けるだけで良く、光走査系の精細な調整処理は不要である。最後に、受光素子13を取付ける。
【0053】
次に、本発明の光走査型タッチパネルによる指示物Sの位置,大きさの算出動作について説明する。図33は、光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。但し、図33では光学ユニット1a,1b、再帰性反射シート7,表示画面10以外の構成部材は図示を省略している。また、指示物Sとして指を用いた場合を示している。
【0054】
MPU5はポリゴン制御回路4を制御することにより、光学ユニット1a,1b内の各ポリゴンミラー15を回転させて、各発光素子11からのレーザ光を角度走査する。この結果、再帰性反射シート7からの反射光が各受光素子13に入射する。このようにして各受光素子13に入射した光の受光量は受光信号検出回路3a,3bの出力である受光信号として得られる。
【0055】
なお、図33において、θ00,φ00は両光学ユニット1a,1bを結ぶ基準線から各受光素子までの角度を、θ0,φ0は両光学ユニット1a,1bを結ぶ基準線から再帰性反射シート7の端部までの角度を、θ1,φ1は基準線から指示物Sの基準線側端部までの角度を、θ2,φ2は基準線から指示物Sの基準線と逆側端部までの角度をそれぞれ示している。
【0056】
表示画面10上の走査光の光路に指示物Sが存在する場合には、光学ユニット1a,1bから投射された光の指示物Sからの反射光は各受光素子13に入射されない。従って、図33に示されているような状態では,走査角度が0°からθ0までの間では光学ユニット1a内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がθ0からθ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がθ1からθ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。同様に、走査角度が0°からφ0までの間では光学ユニット1b内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がφ0からφ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がφ1からφ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。
【0057】
次に、このようにして求めた遮断範囲から、指示物S(本例では指)の中心位置(指示位置)の座標を求める処理について説明する。まず、三角測量に基づく角度から直交座標への変換を説明する。図34に示すように、光学ユニット1aの位置を原点O、表示画面10の右辺,上辺をX軸,Y軸に設定し、基準線の長さ(光学ユニット1a,1b間の距離)をLとする。また、光学ユニット1bの位置をBとする。表示画面10上の指示物Sが指示した中心点P(Px,Py)が、光学ユニット1a,1bからX軸に対してθ,φの角度でそれぞれ位置している場合、点PのX座標Px,Y座標Pyの値は、三角測量の原理により、それぞれ以下の(1),(2)式のように求めることができる。
【0058】
Px(θ,φ)=(tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L …(1)
Py(θ,φ)=(tanθ・tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L …(2)
【0059】
ところで、指示物S(指)には大きさがあるので、検出した受光信号の立ち上がり/立ち下がりのタイミングでの検出角度を採用した場合、図35に示すように、指示物S(指)のエッジ部の4点(図35のP1〜P4)を検出することになる。これらの4点は何れも指示した中心点(図35のPc)とは異なっている。そこで、以下のようにして 中心点Pcの座標(Pcx,Pcy)を求める。Pcx,Pcyは、それぞれ以下の(3),(4)式のように表せる。
【0060】
Pcx(θ,φ)=Pcx(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(3)
Pcy(θ,φ)=Pcy(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(4)
【0061】
そこで、(3),(4)式で表されるθ1+dθ/2,φ1+dφ/2を上記(1),(2)式のθ,φとして代入することにより、指示された中心点Pcの座標を求めることができる。
【0062】
なお、上述した例では、最初に角度の平均値を求め、その角度の平均値を三角測量の変換式(1),(2)に代入して、指示位置である中心点Pcの座標を求めるようにしたが、最初に三角測量の変換式(1),(2)に従って走査角度から4点P1〜P4の直交座標を求め、求めた4点の座標値の平均を算出して、中心点Pcの座標を求めるようにすることも可能である。また、視差、及び、指示位置の見易さを考慮して、指示位置である中心点Pcの座標を決定することも可能である。
【0063】
ところで、前述したように、各ポリゴンミラー15の回転角速度が一定であるので、時間を計時することにより走査角度の情報を得ることができる。図36は、受光信号検出回路3aからの受光信号と、光学ユニット1a内のポリゴンミラー15の走査角度θ及び走査時間Tとの関係を示すタイミングチャートである。ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合、その走査角速度をωとすると、走査角度θ及び走査時間Tには、下記(5)式に示すような比例関係が成り立つ。
θ=ω×T …(5)
【0064】
よって、受光信号の立ち下がり,立ち上がり時の角度θ1,θ2は、それぞれの走査時間t1,t2と下記(6),(7)式の関係が成り立つ。
θ1=ω×t1 …(6)
θ2=ω×t2 …(7)
【0065】
従って、ポリゴンミラー16a,16bの走査角速度が一定である場合には、時間情報を用いて、指示物S(指)の遮断範囲及び座標位置を計測することが可能である。
【0066】
また、本発明の光走査型タッチパネルでは、計測した遮断範囲から指示物S(指)の大きさ(断面長)を求めることも可能である。図37は、この断面長計測の原理を示す模式図である。図37において、D1,D2はそれぞれ光学ユニット1a,1bから見た指示物Sの断面長である。まず、光学ユニット1a,1bの位置O(0,0),B(L,0)から指示物Sの中心点Pc(Pcx,Pcy)までの距離OPc(r1),BPc(r2)が、下記(8),(9)式の如く求められる。
【0067】
OPc=r1=(Pcx2 +Pcy2 )1/2 …(8)
BPc=r2={(L−Pcx)2 +Pcy2 }1/2 …(9)
【0068】
断面長は距離と遮断角度の正弦値との積で近似できるので、各断面長D1,D2は、下記(10),(11)式に従って計測可能である。
【0069】
D1=r1・2sindθ/2
=(Pcx2 +Pcy2 )1/2 ・2sindθ/2 …(10)
D2=r2・2sindφ/2
={(L−Pcx)2 +Pcy2 }1/2 ・2sindφ/2 …(11)
【0070】
なお、θ,φ≒0である場合には、sindθ≒dθ≒tandθ,sindφ≒dφ≒tandφと近似できるので、(10),(11)式においてsindθ,sindφの代わりに、dθまたはtandθ,dφまたはtandφとしても良い。
【0071】
以上の説明に対して更に以下の項を開示する。
(1)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光走査手段を構成するポリゴンミラーとモータとの間にガタ調整用リング及びポリゴンミラー押さえ部材を介し、1個の取付け部材で前記ポリゴンミラー及びモータを固定している光走査型タッチパネル。
(2)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーの内部をザグリ構造としている。
(3)第2項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラー押さえ部材の外径が前記ポリゴンミラーの内接円の直径よりも小さくしている。
(4)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーの両端の上部及び/または下部が面取りされている。
(5)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーがニッケルまたはステンレス製である。
(6)第5項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーの表面にアルミニウム膜とSiO2 膜とを設けている。
(7)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラー及びモータを取付ける座面において、モータ軸外周部に溝を設けている。
(8)第7項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラー及びモータを取付ける座面において、モータ軸外周部の前記溝の深さを0.2mm以上、幅を0.5mm以上としている。
【0072】
(9)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子からの光を平行光にするコリメーションレンズと該コリメーションレンズを固定するレンズホルダとを有しており、前記レンズホルダに光軸と垂直方向に溝を設け、該溝に偏芯治具を光軸と垂直方向から差込み、前記レンズホルダを光軸と平行方向に移動させて前記発光素子と前記コリメーションレンズとの距離を微調整して、コリメート調整するようにしている光走査型タッチパネル。
(10)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、コリメート調整後の前記レンズホルダを、光軸と垂直でかつ偏芯治具と垂直な方向から板バネで押さえ、更に着脱可能な取付け部材でその板バネを固定するようにしている。
(11)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、コリメート調整後の前記レンズホルダを、光軸と垂直でかつ偏芯治具と平行な方向から板バネで押さえ、更に着脱可能な固定部材でその板バネを固定するようにしている。
(12)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記レンズホルダと接する部分が凹面状に広くなっている。
(13)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネの幅が前記レンズホルダの幅よりも長くなっている。
(14)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネと前記取付け部材との間に、前記取付け部材の径よりも大きい径のワッシャを介在させている。
(15)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記レンズホルダと接する部分が十字状に広くなっており、その十字状の先端部が曲線状になっている。
(16)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記板バネを固定する際、前記レンズホルダからの距離が遠い固定部を先に固定し、前記レンズホルダからの距離が近い固定部をコリメート調整後に固定するようにしている。
(17)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記レンズホルダから2ヵ所の固定部までの距離の比が1:3以下である。
【0073】
(18)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置するようにしている光走査型タッチパネル。
(19)第18項記載の光走査型タッチパネルであって、前記発光素子固定基板に形成された前記穴と前記発光素子とが、鉛直方向または鉛直方向と垂直な方向に並んでいる。
(20)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置していないようにしている光走査型タッチパネル。
(21)第18または20項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、発光素子からの光を平行光にするコリメーションレンズと該コリメーションレンズを固定するレンズホルダとを更に有しており、前記発光素子固定基板に形成された前記穴の半径を、取付け部材の半径よりも下記条件(A)で示すΔd/2以上大きくしている。
Δd/2≧(X2 +Y2 )1/2 …(A)
但し、
X=(w/2−d)・sinθ+m+r・sinj
Y=(w/2−d)・sinη+n+r・sink
θ=θ1 +θ2
η=η1 +η2
θ1 :X軸に関する、前記コリメーションレンズの前記レンズホルダに対する
傾き
θ2 :X軸に関する、前記レンズホルダの前記基体に対する傾き
η1 :Y軸に関する、前記コリメーションレンズの前記レンズホルダに対する
傾き
η2 :Y軸に関する、前記レンズホルダの前記基体に対する傾き
w:前記レンズホルダの長さ
d:前記コリメーションレンズの基準面から前記レンズホルダの出口側端面まで の長さ
r:前記発光素子の基準面の法線とZ軸との交点から発光点までの長さ
m:X軸に対する前記発光素子の発光点自身のずれ
n:Y軸に対する前記発光素子の発光点自身のずれ
j:X軸に関する、前記発光素子の基準面の法線のZ軸に対する傾き
k:Y軸に関する、前記発光素子の基準面の法線のZ軸に対する傾き
(22)第21項記載の光走査型タッチパネルであって、前記発光素子固定基板に形成された前記穴の直径を、取付け部材の直径より、0.4〜0.6mm大きくしている。
【0074】
(23)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けられており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子からの光を平行光にするコリメーションレンズとを有しており、前記コリメーションレンズからの光の大きさを制限するアパーチャが2段以上設けられている光走査型タッチパネル。
(24)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャの内面が鏡面処理されていない。
(25)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャの形状が長円形または円形にしている。
(26)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャに接する部分の前記基体の厚さを薄くしている。
(27)第26項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャに接する部分の前記基体の厚さを1mm以下にしている。
(28)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャに接する部分の前記基体の開口の大きさが、前記アパーチャの出口の大きさより大きく、前記アパーチャの入口の大きさより小さくしている。
(29)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、走査光の一部を受光する受光素子と走査光の一部を前記受光素子へ導くミラーを前記アパーチャに一体形成してなるアパーチャミラーとを更に有している。
(30)第29項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャミラーは貼り合わせミラーを有している。
(31)第29項記載の光走査型タッチパネルであって、前記基体と前記アパーチャミラーとの位置決めを突き当て構造としている。
(32)第31項記載の光走査型タッチパネルであって、前記基体と前記アパーチャミラーとの突き当て部に逃げ穴を設けている。
(33)第29項記載の光走査型タッチパネルであって、着脱可能な取付け部材で前記アパーチャミラーを前記基体に固定するようにしている。
【0075】
(34)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、走査光の一部を受光する受光素子と該受光素子へ光を集束させる受光レンズと該受光レンズを固定するレンズホルダとを有しており、前記レンズホルダに光軸と垂直方向に溝を設け、該溝に偏芯治具を光軸と垂直方向から差込み、前記レンズホルダを光軸と平行方向に移動させて前記受光素子と前記受光レンズとの距離を微調整するようにしている光走査型タッチパネル。
(35)第34項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、前記受光レンズからの光を制限するスリットを持つスリット板を更に有しており、前記スリットの短軸方向に移動可能に、前記スリット板が前記基体に取付けられているようにしている。
(36)第34項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、前記受光レンズからの光を制限するスリットを持つスリット板を更に有しており、前記スリットの短軸方向に移動可能に、前記スリット板が前記基体の溝形状の保持部に挿入されるようにしている。
(37)第34項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、前記受光レンズからの光を制限するスリットを持つスリット板を更に有しており、前記スリットの短軸方向に移動可能に、前記スリット板が前記基体に片側突き当て型構造で保持されるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【図2】光学ユニットの構成及び光路を示す図である。
【図3】光学ユニット本体を示す図である。
【図4】ポリゴンミラー及びモータの取付けの一例を示す断面図である。
【図5】ポリゴンミラー及びモータの取付けの他の例を示す断面図である。
【図6】ポリゴンミラー及びモータの取付け例を示す上面図である。
【図7】ポリゴンミラーの側面(光走査面)を示す図である。
【図8】モータの光学ユニット本体への取付け状態を示す図である。
【図9】コリメーションレンズの固定状態を示す図である。
【図10】コリメーションレンズの位置調整及び固定の実施状態を示す図である。
【図11】コリメーションレンズの位置調整及び固定の他の実施状態を示す図である。
【図12】板バネの一例の形状を示す図である。
【図13】板バネの他の例の形状を示す図である。
【図14】板バネの更に他の例の形状を示す図である。
【図15】発光素子固定基板の一例を示す図である。
【図16】発光素子固定基板の他の例を示す図である。
【図17】発光素子固定基板の更に他の例を示す図である。
【図18】発光素子固定基板における取付け孔と取付け部材との大きさの関係を示す図である。
【図19】発光素子とコリメーションレンズとレンズホルダと光学ユニット本体との位置関係を示す図である。
【図20】発光素子と発光素子固定基板との位置関係を示す図である。
【図21】アパーチャの構成を示す断面図である。
【図22】アパーチャの構成を示す平面図である。
【図23】アパーチャの構成と光学ユニット本体との関係の一例を示す図である。
【図24】アパーチャの構成と光学ユニット本体との関係の他の例を示す図である。
【図25】アパーチャーミラーの一例の構成図である。
【図26】アパーチャーミラーの他の例の構成図である。
【図27】アパーチャミラーの光学ユニット本体への取付け状態の一例を示す図である。
【図28】アパーチャミラーの光学ユニット本体への取付け状態の他の例を示す図である。
【図29】受光レンズの位置調整及び固定の実施状態を示す図である。
【図30】スリット板の構成例を示す図である。
【図31】スリット板の光学ユニット本体への取付けの一例を示す図である。
【図32】スリット板の光学ユニット本体への取付けの他の例を示す図である。
【図33】光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。
【図34】座標検出のための三角測量の原理を示す模式図である。
【図35】指示物及び遮断範囲を示す模式図である。
【図36】受光信号と走査角度と走査時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図37】断面長計測の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1a,1b 光学ユニット
5 MPU
7 再帰性反射シート
10 表示画面(座標面)
11 発光素子
12 コリメーションレンズ
13 受光素子
14 スリット板
15 ポリゴンミラー
16 アパーチャミラー
16a アパーチャ
17 受光レンズ
18 モータ
19 光学ユニット本体
19a モータ固定穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステム等により情報が表示される表示装置の表示画面上での指示物の位置を光学的に検出する光走査型タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
主としてパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムの普及に伴って、コンピュータシステムにより情報が表示される表示装置の表示画面上を人の指または特定の指示物により指示することにより、新たな情報を入力したり、コンピュータシステムに対して種々の指示を与えたりする装置が利用されている。
【0003】
このようなパーソナルコンピュータ等の表示装置の表示画面に表示された情報に対してタッチ方式にて入力操作を行う場合には、その表示画面上での接触位置(指示位置)を高精度に検出する必要がある。このような座標面となる表示画面上の指示位置を検出する方法の一例として、光学的な位置検出方法が、特許文献1に開示されている。この方法は、レーザ光線のような絞った光を表示画面の外側から角度走査し、反射手段を有する専用ペンからの反射光の2つのタイミングから専用ペンが存在する角度をそれぞれ求め、求めた角度を三角測量の原理にあてはめて位置座標を計算にて検出する。この方法では、部品点数を大幅に削減でき、また、高い分解能を有することも可能である。しかしながら、専用の反射ペンを利用しなければならない等、操作性に問題があり、また、指,任意のペン等の位置は検出することができない。
【0004】
また、他の光学的な位置検出方法が、特許文献2に提案されている。この方法は、表示画面の両側枠に光再帰性反射体を配置し、角度走査したレーザ光線のこの光再帰性反射体からの戻り光を検知し、指またはペンによって光線が遮断されるタイミングから指またはペンの存在角度を求め、求めた角度から三角測量の原理にて位置座標を検出する。この方法では、部品点数が少なくて検出精度を維持でき、指,任意のペン等の位置も検出できる。
【特許文献1】特開昭57−211637号公報
【特許文献2】特開昭62−5428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような光を角的に走査するようにした光走査型タッチパネルでは、その指示物の位置の検出精度が、発光素子,受光素子,レンズ,角的走査手段(ポリゴンミラー)等における光軸の精度、即ちこれらの光学部材の垂直度,平行度の精密さに大きく依存する。特に、この光走査型タッチパネルでは、同じように走査光を利用する走査型のプリンタ装置等とは異なり、走査光が人体に触れる確率が高いので人体への影響を考えて使用する光の強度をあまり上げられない、また、走査型のプリンタ装置等に比べて走査光の光路が長いので減衰の影響が大きいといったような制約があるので、特に、高い光軸精度が要求される。しかしながら、上述したような従来の光走査型タッチパネルは、十分に光軸精度が考慮されているとは言い難かった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、発光素子の位置調整に要する作業工数を大幅に短縮できる光走査型タッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光走査型タッチパネルは、所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置するようにしていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る光走査型タッチパネルは、上記構成において、前記発光素子固定基板に形成された前記穴と前記発光素子とが、鉛直方向または鉛直方向と垂直な方向に並んでいることを特徴とする。
【0009】
本発明の光走査型タッチパネルにあっては、発光素子固定基板を基体に取付けるための穴を、発光素子と同一直線上(例えば、発光素子の光軸方向をZ軸方向とした場合のX軸方向またはY軸方向)に配置している。よって、発光素子固定基板はその直線方向(X軸方向またはY軸方向)に安定して動けるため、発光素子の位置調整を容易に行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光走査型タッチパネルでは、発光素子固定基板を基体に取付けるための穴を、発光素子と同一直線上に配置するようにしたので、発光素子固定基板がその直線方向(例えば、X軸方向またはY軸方向)に安定して動けるため、発光素子の位置調整(例えば、XY軸調整)に要する作業工数を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【0012】
図1において参照符号10は、パーソナルコンピュータ等の電子機器におけるCRTまたはフラットディスプレイパネル(PDP,LCD,EL等),投射型映像表示装置等の表示画面であり、本実施の形態では横方向92.0cm×縦方向51.8cmで対角105.6cmの表示寸法を有するPDP(プラズマディスプレイ)の表示画面として構成されている。
【0013】
例えば指,ペン等である指示物(遮断物)Sによりタッチするための目標区域として規定された平面の範囲であるこの長方形の表示画面10の一つの短辺(本実施の形態では右側の辺)の両隅の外側には、発光素子,受光素子,ポリゴンミラー,各種のレンズ等を含む光学系を内部に有する光学ユニット1a,1bがそれぞれ設けられている。また、表示画面10の右側の辺を除く3辺、つまり、上下両側の辺及び左側の辺の外側には再帰性反射シート7が設けられている。
【0014】
なお、参照符号70は光遮蔽部材である。この光遮蔽部材70は、両光学ユニット1a,1b間で直接光が入射されないように、具体的には光学ユニット1aから投射された光が光学ユニット1bへ入射されないように、また逆に光学ユニット1bから投射された光が光学ユニット1aへ入射されないように、両光学ユニット1a,1bを結ぶ線上に設けられている。またこの光遮蔽部材70は、光の反射率が実用上”0”である物体で、再帰性反射シート7の高さとほぼ同じ程度の高さに構成されている。
【0015】
図2は、光学ユニット1a,1bの構成及び光路を示す図である。両光学ユニット1a,1bは同じ内部構成をなしている。光学ユニット1a(1b)は、赤外線レーザ光を出射するレーザダイオード(LD)からなる発光素子11と、発光素子11からのレーザ光を平行光にするためのコリメーションレンズ12と、再帰性反射シート7からの反射光を受光するフォトダイオード(PD)からなる受光素子13と、受光素子13への入射光を制限するためのスリット14aを有するスリット板14と、発光素子11からのレーザ光を角度走査するための例えば4角柱状のポリゴンミラー15と、アパーチャ16aによりコリメーションレンズ12からポリゴンミラー15への投射光を制限すると共に、ポリゴンミラー15を介した再帰性反射シート7からの反射光を受光素子13側へ反射するアパーチャミラー16と、アパーチャミラー16での反射光を発光素子11に集束させるための受光レンズ17と、ポリゴンミラー15を回転させるモータ18と、これらを取付け固定するための光学ユニット本体19(図3参照)とを備える。
【0016】
上記発光素子11,コリメーションレンズ12及びアパーチャミラー16にて発光系を構成し、アパーチャミラー16,受光レンズ17,スリット板14及び受光素子13にて受光系を構成しており、これらの発光系及び受光系にて光送受手段を構成している。また、光走査手段は、上記ポリゴンミラー15及びモータ18にて構成されている。光学ユニット本体19には、この光走査手段(モータ18)を固定するためのモータ固定穴19aが3個設けられている。
【0017】
発光素子11から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ12にて平行光にされ、アパーチャミラー16のアパーチャ16aを通過した後、ポリゴンミラー15の回転によって表示画面10と実質的に平行である面内を角度走査されて再帰性反射シート7に投射される。そして、再帰性反射シート7からの反射光が、ポリゴンミラー15及びアパーチャミラー16にて反射された後、受光レンズ17で集束されてスリット板14のスリット14aを通って、受光素子13に入射される。但し、投射光の光路に指示物Sが存在する場合には投射光が遮断されるため、反射光が受光素子13に入射されることはない。
【0018】
各光学ユニット1a,1bには、各発光素子11を駆動する発光素子駆動回路2a,2bと、各受光素子13の受光量を電気信号に変換する受光信号検出回路3a,3bと、各ポリゴンミラー15の動作を制御するポリゴン制御回路4とが接続されている。また、参照符号5は指示物Sの位置,大きさを算出すると共に、装置全体の動作を制御するMPUであり、6はMPU5での算出結果等を表示する表示装置である。
【0019】
MPU5は、発光素子駆動回路2a,2bに駆動制御信号を送り、その駆動制御信号に応じて発光素子駆動回路2a,2bが駆動されて、各発光素子11の発光動作が制御される。受光信号検出回路3a,3bは、各受光素子13での反射光の受光信号をMPU5へ送る。MPU5は、各受光素子13からの受光信号に基づいて、指示物Sの位置,大きさを算出し、その算出結果を表示装置6に表示する。なお、表示装置6は表示画面10を兼用することも可能である。
【0020】
このような本発明の光走査型タッチパネルにおいては、図1に示されているように、例えば光学ユニット1bに関して説明すると、光学ユニット1bからの投射光は、受光素子13に入射する位置から光遮蔽部材70により遮蔽される位置を経て図1上で反時計方向回りに走査され、再帰性反射シート7の先端部分で反射される位置(Ps)に至って走査開始位置になる。そして、指示物Sの一端に至る位置(P1)までは再帰性反射シート7により反射されるが、指示物Sの他端に至る位置(P2)までの間は指示物Sによって遮断され、その後の走査終了位置(Pe)に至るまでは再帰性反射シート7により反射される。
【0021】
次に、本発明の特徴部分をなす光学ユニット1a,1bの内部構成について説明する。本発明の光走査型タッチパネルの光学ユニット1a,1bにあっては、図3に示すような光学ユニット本体19に、発光素子11,コリメーションレンズ12及びアパーチャミラー16からなる発光系と、アパーチャミラー16,受光レンズ17,スリット板14及び受光素子13からなる受光系と、ポリゴンミラー15及びモータ18からなる光走査系とを設けて構成される。即ち、後述するように、まず、光学ユニット本体19に、光軸を調整しながら発光系及び受光系の各部材を設置した後、モータ固定穴19aを用いて光走査系を設置して、光学ユニット1a,1bが構成される。
【0022】
このように、1つの光学ユニット本体19に、発光系,受光系及び光走査系のすべての光学部材を一体的に設けるようにしているので、光軸と光学ユニット本体19との間での垂直度,平行度を高精度に規定することができる。また、部品点数及び光軸調整工数も削減できて、低コスト化を図れる。
【0023】
以下、各光学部材の取付け,構成について詳述する。
(光走査系)
ポリゴンミラー15及びモータ18からなる光走査系は、モータ固定穴19aを用いて光学ユニット本体19に取付けられる。図4,図5は、ポリゴンミラー15及びモータ18の取付け例を示す断面図、また、図6はその上面図である。中空の直方体状をなすポリゴンミラー15の円筒状の中空部にモータ18のモータ軸18aを挿入させ、ポリゴンミラー15の上面に中空円盤状の押え板21を被せて、1本のネジ22にて、ポリゴンミラー15及びモータ18を光学ユニット本体19を固定する。ネジ22と押え板21との間にはリング23を挟ませている。
【0024】
このように、ポリゴンミラー15とモータ18とを1点止めによって固定するので、複数点止め固定に比べて、取付け作業工数を低減できる。また、ネジ22と押え板21との間にリング23を設けているので、ネジ首下面のガタによる取付け不良が発生しない。
【0025】
図5に示す例では、ポリゴンミラー15の内部をザグリ構造としており、押え板21,ネジ22及びリング23の全てをポリゴンミラー15の内部に収納することができ、高さ方向の省スペース化を図れる。
【0026】
図6に示すように、押え板21の外径がポリゴンミラー15の内接円の直径より小さくなるようにしたので、押え板21,ネジ22及びリング23の全てをポリゴンミラー15の内部に収納することができ、省スペース化を図れる。
【0027】
図7(a),(b)は、光走査面であるポリゴンミラー15の側面の一例の模式図であり、側面の上部及び/または下部が両端において面取りされている。よって、ポリゴンミラー15の鏡面仕上げの作業性が向上する。また、回転時の風切りが減少して、騒音を低減できる。
【0028】
また、このポリゴンミラー15はニッケルまたはステンレス製とする。ポリゴンミラー15の材質としてはアルミニウムが一般的であるが、アルミニウムに比べて比重が約3倍大きいニッケルまたはステンレスを用いることにより、モータ18の回転が安定する。
【0029】
また、ニッケルまたはステンレスの表面にアルミニウム膜,SiO2 膜をこの順に積層する。光走査型タッチパネルのような光学的な位置検出装置では、ポリゴンミラーの表面反射率がS/N比に反映されるので、表面反射率は重要な要素であり、表面にアルミニウム膜を設けてそれを高めるようにする。また、SiO2 膜はアルミニウム膜の酸化防止の機能を果たす。なお、これらのアルミニウム膜,SiO2 膜の厚さは、SiO2 膜での表面反射光と、SiO2 膜/アルミニウム膜の界面での反射光とが干渉して強め合うように、レーザ光の波長に応じて設定することが好ましい。
【0030】
図8は、光学ユニット本体19へのモータ18の取付け状態を示す図である。図8に示すように、モータ軸18aの外周部に環状の溝18bを形成している。その溝18bの幅,深さはそれぞれ0.5mm以上,0.2mm以上とする。このような溝18bを形成しておくことにより、モータ軸18a近傍が中高になることを防止する。もし、モータ軸18a近傍が中高になると、モータ18に対してポリゴンミラー15が傾斜するので、光を一定の位置で走査させることができない。よって、従来では、この中高によるポリゴンミラーの傾斜を解消するために多大な調整工数を必要としていた。これに対して、本発明では中高を防止するために溝18bを設けているので、このような調整工数が不要となり、取付け時間を大幅に短縮できる。なお、設ける溝18bのサイズをこのような数値に設定することにより、このような溝18bは容易に形成できる。
【0031】
(コリメーションレンズ)
図9は、コリメーションレンズ12の固定状態を示す図である。コリメーションレンズ12は、光学ユニット本体19の中空部に嵌挿された円筒状のレンズホルダ31内に固定されている。レンズホルダ31の周面には光軸と垂直な方向に溝31aが設けられており、この溝31aは光学ユニット本体19の孔19bと連通している。この孔19b及び溝31aに後述する偏芯治具32を光軸と垂直な方向に差し込んで、それを動かすことにより、レンズホルダ31を光軸方向に移動できるようになっている。
【0032】
図10は、コリメーションレンズ12の位置調整及び固定の実施状態を示す図である。コリメーションレンズ12の位置調整を行う場合には、孔19b及び溝31aに偏芯治具32を光軸と垂直な方向に差し込んでレンズホルダ31を移動させ、発光素子11とコリメーションレンズ12との距離を微調整してコリメート調整を行い、調整終了後に、偏芯治具32と垂直な方向から板バネ33でレンズホルダ31を押さえ、着脱可能な2本のネジ34a,34bにより固定する。この際、各ネジ34a,34bと板バネ33との間に、各ネジ34a,34bよりも径が大きいワッシャ35a,35bをそれぞれ介装する。
【0033】
図11は、板バネ33固定の他の例を示しており、この場合には、上述の例と同様にコリメーションレンズ12の位置調整を行った後に、光軸と垂直で、しかも偏芯治具32と平行な方向から板バネ33でレンズホルダ31を押さえ、着脱可能な2本のネジ34a,34bにより固定している。
【0034】
本発明では、このようにしてコリメート調整を行うので、高精度に調整を行えると共に、その調整時間が極めて短くなる。従来では、ネジにて直接レンズホルダを固定することが一般的であり、この場合にはネジを締め付ける際にレンズホルダがずれてコリメート状態が損なわれる可能性が高かったが、本発明では板バネ33を使用した面固定であるため調整時のレンズホルダ31に微小な圧力をかけることができるので、レンズホルダ31が急激に大きく動くことがなく、コリメート調整を容易に行える。
【0035】
ネジ34a,34bと板バネ33との間に、ネジ34a,34bよりも径が大きいワッシャ35a,35bを介装しているので、板バネ33をワッシャ面で押さえることができ、レンズホルダ31と板バネ33との密着性が高い。なお、板バネ33でレンズホルダ31を固定する際、レンズホルダ31との距離が遠い方をネジ34bにて先に固定し、レンズホルダ31との距離が近い方をコリメート調整後にネジ34aにて固定するようにすれば、レンズホルダ31と板バネ33との密着性をより高くできる。また、レンズホルダ31と2ヵ所の板バネ33固定部との距離の比(図10のP:Q)を1:3以下にすることにより、調整時のレンズホルダ31に微小な圧力をかけることがより容易となる。
【0036】
図12〜図14は、板バネ33の形状を示す図である。図12に示す例では、レンズホルダ31に接する部分が凹面状に広くなっている。図13に示す例では、板バネ33の幅がレンズホルダ31の幅より長くなっている。図14に示す例では、レンズホルダ31に接する部分が十字状になっていて、しかもその十字状の先端部は曲面になっている。板バネ33の形状をこのようにすることにより、板バネ33とレンズホルダ31とが噛み合ってレンズホルダ31が傾いたり、レンズホルダ31が傷つくことを防止できる。なお、図14に示す先端部の曲面形状は、エッチング処理によって容易に形成できる。
【0037】
(発光素子)
発光素子11は、直方体状をなす発光素子固定基板41に固定されており、この発光素子固定基板41を光学ユニット本体19に平行に接してネジ止めにて取り付ける。図15,図16はこの発光素子固定基板41を示す図であり、発光素子固定基板41には2個の取付け孔41aが形成されている。図15に示す例では、2個の取付け孔41aと発光素子11とがY軸方向(発光素子11の光軸方向をZ軸としてこれに垂直なモータ18の軸芯方向(アパーチャミラー16からの反射光の光軸方向))に直線状に配置されており、図16に示す例では、2個の取付け孔41aと発光素子11とがX軸方向(上記Y軸,Z軸方向に垂直な方向)に直線状に配置されている。このような構成とすることにより、発光素子固定基板41がX軸方向,Y軸方向に安定して動けるので、発光素子11のXY軸調整に要する作業工数を大幅に短縮できる。
【0038】
図17は、発光素子固定基板41の他の例を示す図であり、この例では、図15,図16に示す例とは異なり、2個の取付け孔41aと発光素子11とが直線状に配置されていない。このような配置にすることにより、発光素子固定基板41をコンパクトに設計でき、省スペース化を図れる。
【0039】
図18は、発光素子固定基板41における取付け孔41aと取付け部材(ネジ)42との大きさの関係を示す図である。取付け孔41aの半径を取付け部材42の半径よりもΔd/2以上大きくしている。Δdは以下の条件式(A)を満たし、具体的には0.4〜0.6mm程度である。なお、図19,図20は、発光素子11とコリメーションレンズ12とレンズホルダ31と光学ユニット本体19との位置関係を示す図,発光素子11と発光素子固定基板41との位置関係を示す図であり、この条件式(A)に見られるパラーメータの一部を示している。
Δd/2≧(X2 +Y2 )1/2 …(A)
但し、
X=(w/2−d)・sinθ+m+r・sinj
Y=(w/2−d)・sinη+n+r・sink
θ=θ1 +θ2
η=η1 +η2
θ1 :X軸に関する、コリメーションレンズ12のレンズホルダ31に対する 傾き
θ2 :X軸に関する、レンズホルダ31の光学ユニット本体19に対する傾き
η1 :Y軸に関する、コリメーションレンズ12のレンズホルダ31に対する 傾き
η2 :Y軸に関する、レンズホルダ31の光学ユニット本体19に対する傾き
w:レンズホルダ31の長さ
d:コリメーションレンズ12の基準面からレンズホルダ31の出口側端面 までの長さ
r:点H(発光素子11基準面の法線とZ軸との交点)から発光点までの長さ
m:X軸に対する発光素子11の発光点自身のずれ
n:Y軸に対する発光素子11の発光点自身のずれ
j:X軸に関する、発光素子11基準面の法線のZ軸に対する傾き
k:Y軸に関する、発光素子11基準面の法線のZ軸に対する傾き
【0040】
このように、取付け孔41aの半径を取付け部材42の半径よりもΔd/2以上大きくしているので、XY軸調整の際に、発光素子固定基板41に固定されている発光素子11が必要な可動範囲を得ることができるので、この結果、XY軸調整に要する作業工数を大幅に低減することが可能である。
【0041】
(アパーチャミラー)
図21,図22は、アパーチャミラー16のアパーチャ16aの構成を示す断面図,平面図である。コリメーションレンズ12からの平行光の大きさを制限するためのアパーチャ16aは、コリメーションレンズ12側の径が大きい2段以上の構成をなしており、その形状は楕円穴形(図22(a))または円穴形(図22(b))である。また、アパーチャ16aの内面は鏡面処理されておらず、その反射率は低い。
【0042】
アパーチャ16aを複数段設けることにより、アパーチャ16a内面での反射を低減できる。また、その形状を楕円穴形または円穴形とすることにより、光の回折または反射を低減できる。更に、アパーチャ16aの内面の反射率を低くすることにより、その内面での反射を低減できる。よって、平行光でない光がポリゴンミラー15へ投射されることを防止できる。
【0043】
図23,図24は、アパーチャ16aの構成と光学ユニット本体19との関係を示す図である。図23に示す例では、アパーチャミラー16が取付けられる部分(コリメーションレンズ12からの平行光の出口部分)の光学ユニット本体19の肉厚が薄くなっており(1mm以下)、アパーチャ16aでの光の回折または反射を低減するようにしている。図24に示す例では、アパーチャミラー16が取付けられる部分の光学ユニット本体19の開口径(コリメーションレンズ12からの平行光の出口の径)(D)が、アパーチャ16aの出口の径(d2)よりは大きく、そのアパーチャ16aの入口の径(d1)よりは小さくなっており、アパーチャ16aでの光の回折または反射を低減するようにしている。
【0044】
図25は、アパーチャーミラー16の一例の構成図である。図25の例では、ポリゴンミラー15に対向する面が鏡面処理されており、再帰性反射シート7から戻って来た光をこの鏡面部分にて受光系(受光レンズ17)へ効率良く導けるようになっている。このようなアパーチャーミラー16では、アパーチャ16aとミラー部とが一体形成されているので、光軸とアパーチャーミラー16との平行度の精度を容易に高くできる。
【0045】
図26は、アパーチャーミラー16の他の例の構成図である。図26の例ではポリゴンミラー15に対向する面にミラー51が貼付されており、再帰性反射シート7から戻って来た光をこのミラー51にて受光系(受光レンズ17)へ効率良く導けるようになっている。このようなアパーチャーミラー16では、鏡面仕上げが不要であり、低コスト化を図れる。
【0046】
図27,図28は、アパーチャミラー16の光学ユニット本体19への取付け状態を示す図である。図27に示す例では、アパーチャミラー16の光学ユニット本体19に対する位置決めが突き当て構造となっており、光軸とアパーチャミラー16との平行度を高い精度で実現できる。また、図27に示す例では、光学ユニット本体19のアパーチャミラー16が突き当てられる部分に逃げ穴19cが設けられており、十分な受光面積を確保でき、S/N比の向上をもたらす。図28に示す例では、アパーチャミラー16が着脱可能な取付け部材52にて光学ユニット本体19に取付けられており、接着による固定ではないので、アパーチャミラー16の交換が容易であるという利点がある。
【0047】
(受光レンズ)
受光レンズ17は、上述したコリメーションレンズ12と同様の光軸調整を行えるようになっている。図29は、受光レンズ17の位置調整及び固定の実施状態を示す図である。受光レンズ17は、光学ユニット本体19の中空部に嵌挿された円筒状のレンズホルダ61内に固定されている。レンズホルダ61の周面には光軸と垂直な方向に溝61aが設けられており、この溝61aは光学ユニット本体19の孔19dと連通している。この孔19d及び溝61aに偏芯治具62を光軸と垂直な方向に差し込んで、それを動かすことにより、受光レンズ17を固定したレンズホルダ61を光軸方向に移動できるようになっている。
【0048】
そして、受光レンズ17の位置調整を行う場合には、孔19d及び溝61aに偏芯治具62を光軸と垂直な方向に差し込んでレンズホルダ61を移動させ、受光素子13と受光レンズ17との距離を微調整して焦点調整を行い、調整終了後に、コリメーションレンズ12の場合と同様に、板バネでレンズホルダ61を押さえ、ネジにより固定する。よって、受光レンズ17の調整時間を大幅に低減できる。
【0049】
(スリット板14)
図30は、スリット板14の構成例を示す図であり、スリット板14を光学ユニット本体19に取り付けるためのネジ穴71のスリット14aの長手方向に垂直な方向の長さが、ネジ72の径よりも長くなっており、ネジ穴71にスリット板14をスライドさせるための遊びを持たせて、スリット板14をスライド可能に取付けている。よって、スリット板14のスリット14aの位置決めを精度良く行える。
【0050】
図31は、スリット板14の光学ユニット本体19への取付け例を示す図である。光学ユニット本体19の溝型の保持構造部19eにスリット板14を挿入させた構成をなし、スリット板14のスライド方向を一方向に制限している。
【0051】
図32は、スリット板14の光学ユニット本体19への他の取付け例を示す図である。スリット板14の片側を光学ユニット本体19に突き当てて取付けた構成をなし、スリット板14の移動方向を制限している。
【0052】
次に、このような光学部材の光学ユニット本体19への取付け工程について説明する。まず、コリメーションレンズ12を固定したレンズホルダ31を光学ユニット本体19内に入れ、コリメート調整を行いながらレンズホルダ31を光学ユニット本体19に取付ける。次に、XY軸調整を行いながら発光素子11を固定した発光素子固定基板41を取付ける。次に、アパーチャ補正を行いながらアパーチャミラー16を取付ける。このとき、コリメート調整を確認する。次に、受光レンズ17を固定したレンズホルダ61を光学ユニット本体19内に入れ、光焦点調整を行いながらレンズホルダ61を光学ユニット本体19に取付ける。そして、照明光等の外乱光の影響を防止して所望のスリット機能を果たせるようにスリット板14を取付ける。このとき、焦点調整を確認する。次に、ポリゴンミラー15及びモータ18をモータ固定穴19aを用いて光学ユニット本体19に取付ける。この際、モータ固定穴19aが光学ユニット本体19に一体に形成されていてモータ固定穴19aと光軸との位置合わせは既になされているので、単にモータ固定穴19aに取付けるだけで良く、光走査系の精細な調整処理は不要である。最後に、受光素子13を取付ける。
【0053】
次に、本発明の光走査型タッチパネルによる指示物Sの位置,大きさの算出動作について説明する。図33は、光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。但し、図33では光学ユニット1a,1b、再帰性反射シート7,表示画面10以外の構成部材は図示を省略している。また、指示物Sとして指を用いた場合を示している。
【0054】
MPU5はポリゴン制御回路4を制御することにより、光学ユニット1a,1b内の各ポリゴンミラー15を回転させて、各発光素子11からのレーザ光を角度走査する。この結果、再帰性反射シート7からの反射光が各受光素子13に入射する。このようにして各受光素子13に入射した光の受光量は受光信号検出回路3a,3bの出力である受光信号として得られる。
【0055】
なお、図33において、θ00,φ00は両光学ユニット1a,1bを結ぶ基準線から各受光素子までの角度を、θ0,φ0は両光学ユニット1a,1bを結ぶ基準線から再帰性反射シート7の端部までの角度を、θ1,φ1は基準線から指示物Sの基準線側端部までの角度を、θ2,φ2は基準線から指示物Sの基準線と逆側端部までの角度をそれぞれ示している。
【0056】
表示画面10上の走査光の光路に指示物Sが存在する場合には、光学ユニット1a,1bから投射された光の指示物Sからの反射光は各受光素子13に入射されない。従って、図33に示されているような状態では,走査角度が0°からθ0までの間では光学ユニット1a内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がθ0からθ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がθ1からθ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。同様に、走査角度が0°からφ0までの間では光学ユニット1b内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がφ0からφ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がφ1からφ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。
【0057】
次に、このようにして求めた遮断範囲から、指示物S(本例では指)の中心位置(指示位置)の座標を求める処理について説明する。まず、三角測量に基づく角度から直交座標への変換を説明する。図34に示すように、光学ユニット1aの位置を原点O、表示画面10の右辺,上辺をX軸,Y軸に設定し、基準線の長さ(光学ユニット1a,1b間の距離)をLとする。また、光学ユニット1bの位置をBとする。表示画面10上の指示物Sが指示した中心点P(Px,Py)が、光学ユニット1a,1bからX軸に対してθ,φの角度でそれぞれ位置している場合、点PのX座標Px,Y座標Pyの値は、三角測量の原理により、それぞれ以下の(1),(2)式のように求めることができる。
【0058】
Px(θ,φ)=(tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L …(1)
Py(θ,φ)=(tanθ・tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L …(2)
【0059】
ところで、指示物S(指)には大きさがあるので、検出した受光信号の立ち上がり/立ち下がりのタイミングでの検出角度を採用した場合、図35に示すように、指示物S(指)のエッジ部の4点(図35のP1〜P4)を検出することになる。これらの4点は何れも指示した中心点(図35のPc)とは異なっている。そこで、以下のようにして 中心点Pcの座標(Pcx,Pcy)を求める。Pcx,Pcyは、それぞれ以下の(3),(4)式のように表せる。
【0060】
Pcx(θ,φ)=Pcx(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(3)
Pcy(θ,φ)=Pcy(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(4)
【0061】
そこで、(3),(4)式で表されるθ1+dθ/2,φ1+dφ/2を上記(1),(2)式のθ,φとして代入することにより、指示された中心点Pcの座標を求めることができる。
【0062】
なお、上述した例では、最初に角度の平均値を求め、その角度の平均値を三角測量の変換式(1),(2)に代入して、指示位置である中心点Pcの座標を求めるようにしたが、最初に三角測量の変換式(1),(2)に従って走査角度から4点P1〜P4の直交座標を求め、求めた4点の座標値の平均を算出して、中心点Pcの座標を求めるようにすることも可能である。また、視差、及び、指示位置の見易さを考慮して、指示位置である中心点Pcの座標を決定することも可能である。
【0063】
ところで、前述したように、各ポリゴンミラー15の回転角速度が一定であるので、時間を計時することにより走査角度の情報を得ることができる。図36は、受光信号検出回路3aからの受光信号と、光学ユニット1a内のポリゴンミラー15の走査角度θ及び走査時間Tとの関係を示すタイミングチャートである。ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合、その走査角速度をωとすると、走査角度θ及び走査時間Tには、下記(5)式に示すような比例関係が成り立つ。
θ=ω×T …(5)
【0064】
よって、受光信号の立ち下がり,立ち上がり時の角度θ1,θ2は、それぞれの走査時間t1,t2と下記(6),(7)式の関係が成り立つ。
θ1=ω×t1 …(6)
θ2=ω×t2 …(7)
【0065】
従って、ポリゴンミラー16a,16bの走査角速度が一定である場合には、時間情報を用いて、指示物S(指)の遮断範囲及び座標位置を計測することが可能である。
【0066】
また、本発明の光走査型タッチパネルでは、計測した遮断範囲から指示物S(指)の大きさ(断面長)を求めることも可能である。図37は、この断面長計測の原理を示す模式図である。図37において、D1,D2はそれぞれ光学ユニット1a,1bから見た指示物Sの断面長である。まず、光学ユニット1a,1bの位置O(0,0),B(L,0)から指示物Sの中心点Pc(Pcx,Pcy)までの距離OPc(r1),BPc(r2)が、下記(8),(9)式の如く求められる。
【0067】
OPc=r1=(Pcx2 +Pcy2 )1/2 …(8)
BPc=r2={(L−Pcx)2 +Pcy2 }1/2 …(9)
【0068】
断面長は距離と遮断角度の正弦値との積で近似できるので、各断面長D1,D2は、下記(10),(11)式に従って計測可能である。
【0069】
D1=r1・2sindθ/2
=(Pcx2 +Pcy2 )1/2 ・2sindθ/2 …(10)
D2=r2・2sindφ/2
={(L−Pcx)2 +Pcy2 }1/2 ・2sindφ/2 …(11)
【0070】
なお、θ,φ≒0である場合には、sindθ≒dθ≒tandθ,sindφ≒dφ≒tandφと近似できるので、(10),(11)式においてsindθ,sindφの代わりに、dθまたはtandθ,dφまたはtandφとしても良い。
【0071】
以上の説明に対して更に以下の項を開示する。
(1)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光走査手段を構成するポリゴンミラーとモータとの間にガタ調整用リング及びポリゴンミラー押さえ部材を介し、1個の取付け部材で前記ポリゴンミラー及びモータを固定している光走査型タッチパネル。
(2)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーの内部をザグリ構造としている。
(3)第2項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラー押さえ部材の外径が前記ポリゴンミラーの内接円の直径よりも小さくしている。
(4)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーの両端の上部及び/または下部が面取りされている。
(5)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーがニッケルまたはステンレス製である。
(6)第5項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラーの表面にアルミニウム膜とSiO2 膜とを設けている。
(7)第1項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラー及びモータを取付ける座面において、モータ軸外周部に溝を設けている。
(8)第7項記載の光走査型タッチパネルであって、前記ポリゴンミラー及びモータを取付ける座面において、モータ軸外周部の前記溝の深さを0.2mm以上、幅を0.5mm以上としている。
【0072】
(9)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子からの光を平行光にするコリメーションレンズと該コリメーションレンズを固定するレンズホルダとを有しており、前記レンズホルダに光軸と垂直方向に溝を設け、該溝に偏芯治具を光軸と垂直方向から差込み、前記レンズホルダを光軸と平行方向に移動させて前記発光素子と前記コリメーションレンズとの距離を微調整して、コリメート調整するようにしている光走査型タッチパネル。
(10)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、コリメート調整後の前記レンズホルダを、光軸と垂直でかつ偏芯治具と垂直な方向から板バネで押さえ、更に着脱可能な取付け部材でその板バネを固定するようにしている。
(11)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、コリメート調整後の前記レンズホルダを、光軸と垂直でかつ偏芯治具と平行な方向から板バネで押さえ、更に着脱可能な固定部材でその板バネを固定するようにしている。
(12)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記レンズホルダと接する部分が凹面状に広くなっている。
(13)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネの幅が前記レンズホルダの幅よりも長くなっている。
(14)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネと前記取付け部材との間に、前記取付け部材の径よりも大きい径のワッシャを介在させている。
(15)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記レンズホルダと接する部分が十字状に広くなっており、その十字状の先端部が曲線状になっている。
(16)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記板バネを固定する際、前記レンズホルダからの距離が遠い固定部を先に固定し、前記レンズホルダからの距離が近い固定部をコリメート調整後に固定するようにしている。
(17)第9項記載の光走査型タッチパネルであって、前記レンズホルダを固定する前記板バネにおいて、前記レンズホルダから2ヵ所の固定部までの距離の比が1:3以下である。
【0073】
(18)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置するようにしている光走査型タッチパネル。
(19)第18項記載の光走査型タッチパネルであって、前記発光素子固定基板に形成された前記穴と前記発光素子とが、鉛直方向または鉛直方向と垂直な方向に並んでいる。
(20)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置していないようにしている光走査型タッチパネル。
(21)第18または20項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、発光素子からの光を平行光にするコリメーションレンズと該コリメーションレンズを固定するレンズホルダとを更に有しており、前記発光素子固定基板に形成された前記穴の半径を、取付け部材の半径よりも下記条件(A)で示すΔd/2以上大きくしている。
Δd/2≧(X2 +Y2 )1/2 …(A)
但し、
X=(w/2−d)・sinθ+m+r・sinj
Y=(w/2−d)・sinη+n+r・sink
θ=θ1 +θ2
η=η1 +η2
θ1 :X軸に関する、前記コリメーションレンズの前記レンズホルダに対する
傾き
θ2 :X軸に関する、前記レンズホルダの前記基体に対する傾き
η1 :Y軸に関する、前記コリメーションレンズの前記レンズホルダに対する
傾き
η2 :Y軸に関する、前記レンズホルダの前記基体に対する傾き
w:前記レンズホルダの長さ
d:前記コリメーションレンズの基準面から前記レンズホルダの出口側端面まで の長さ
r:前記発光素子の基準面の法線とZ軸との交点から発光点までの長さ
m:X軸に対する前記発光素子の発光点自身のずれ
n:Y軸に対する前記発光素子の発光点自身のずれ
j:X軸に関する、前記発光素子の基準面の法線のZ軸に対する傾き
k:Y軸に関する、前記発光素子の基準面の法線のZ軸に対する傾き
(22)第21項記載の光走査型タッチパネルであって、前記発光素子固定基板に形成された前記穴の直径を、取付け部材の直径より、0.4〜0.6mm大きくしている。
【0074】
(23)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けられており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子からの光を平行光にするコリメーションレンズとを有しており、前記コリメーションレンズからの光の大きさを制限するアパーチャが2段以上設けられている光走査型タッチパネル。
(24)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャの内面が鏡面処理されていない。
(25)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャの形状が長円形または円形にしている。
(26)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャに接する部分の前記基体の厚さを薄くしている。
(27)第26項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャに接する部分の前記基体の厚さを1mm以下にしている。
(28)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャに接する部分の前記基体の開口の大きさが、前記アパーチャの出口の大きさより大きく、前記アパーチャの入口の大きさより小さくしている。
(29)第23項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、走査光の一部を受光する受光素子と走査光の一部を前記受光素子へ導くミラーを前記アパーチャに一体形成してなるアパーチャミラーとを更に有している。
(30)第29項記載の光走査型タッチパネルであって、前記アパーチャミラーは貼り合わせミラーを有している。
(31)第29項記載の光走査型タッチパネルであって、前記基体と前記アパーチャミラーとの位置決めを突き当て構造としている。
(32)第31項記載の光走査型タッチパネルであって、前記基体と前記アパーチャミラーとの突き当て部に逃げ穴を設けている。
(33)第29項記載の光走査型タッチパネルであって、着脱可能な取付け部材で前記アパーチャミラーを前記基体に固定するようにしている。
【0075】
(34)所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、走査光の一部を受光する受光素子と該受光素子へ光を集束させる受光レンズと該受光レンズを固定するレンズホルダとを有しており、前記レンズホルダに光軸と垂直方向に溝を設け、該溝に偏芯治具を光軸と垂直方向から差込み、前記レンズホルダを光軸と平行方向に移動させて前記受光素子と前記受光レンズとの距離を微調整するようにしている光走査型タッチパネル。
(35)第34項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、前記受光レンズからの光を制限するスリットを持つスリット板を更に有しており、前記スリットの短軸方向に移動可能に、前記スリット板が前記基体に取付けられているようにしている。
(36)第34項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、前記受光レンズからの光を制限するスリットを持つスリット板を更に有しており、前記スリットの短軸方向に移動可能に、前記スリット板が前記基体の溝形状の保持部に挿入されるようにしている。
(37)第34項記載の光走査型タッチパネルであって、前記光送受手段は、前記受光レンズからの光を制限するスリットを持つスリット板を更に有しており、前記スリットの短軸方向に移動可能に、前記スリット板が前記基体に片側突き当て型構造で保持されるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【図2】光学ユニットの構成及び光路を示す図である。
【図3】光学ユニット本体を示す図である。
【図4】ポリゴンミラー及びモータの取付けの一例を示す断面図である。
【図5】ポリゴンミラー及びモータの取付けの他の例を示す断面図である。
【図6】ポリゴンミラー及びモータの取付け例を示す上面図である。
【図7】ポリゴンミラーの側面(光走査面)を示す図である。
【図8】モータの光学ユニット本体への取付け状態を示す図である。
【図9】コリメーションレンズの固定状態を示す図である。
【図10】コリメーションレンズの位置調整及び固定の実施状態を示す図である。
【図11】コリメーションレンズの位置調整及び固定の他の実施状態を示す図である。
【図12】板バネの一例の形状を示す図である。
【図13】板バネの他の例の形状を示す図である。
【図14】板バネの更に他の例の形状を示す図である。
【図15】発光素子固定基板の一例を示す図である。
【図16】発光素子固定基板の他の例を示す図である。
【図17】発光素子固定基板の更に他の例を示す図である。
【図18】発光素子固定基板における取付け孔と取付け部材との大きさの関係を示す図である。
【図19】発光素子とコリメーションレンズとレンズホルダと光学ユニット本体との位置関係を示す図である。
【図20】発光素子と発光素子固定基板との位置関係を示す図である。
【図21】アパーチャの構成を示す断面図である。
【図22】アパーチャの構成を示す平面図である。
【図23】アパーチャの構成と光学ユニット本体との関係の一例を示す図である。
【図24】アパーチャの構成と光学ユニット本体との関係の他の例を示す図である。
【図25】アパーチャーミラーの一例の構成図である。
【図26】アパーチャーミラーの他の例の構成図である。
【図27】アパーチャミラーの光学ユニット本体への取付け状態の一例を示す図である。
【図28】アパーチャミラーの光学ユニット本体への取付け状態の他の例を示す図である。
【図29】受光レンズの位置調整及び固定の実施状態を示す図である。
【図30】スリット板の構成例を示す図である。
【図31】スリット板の光学ユニット本体への取付けの一例を示す図である。
【図32】スリット板の光学ユニット本体への取付けの他の例を示す図である。
【図33】光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。
【図34】座標検出のための三角測量の原理を示す模式図である。
【図35】指示物及び遮断範囲を示す模式図である。
【図36】受光信号と走査角度と走査時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図37】断面長計測の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1a,1b 光学ユニット
5 MPU
7 再帰性反射シート
10 表示画面(座標面)
11 発光素子
12 コリメーションレンズ
13 受光素子
14 スリット板
15 ポリゴンミラー
16 アパーチャミラー
16a アパーチャ
17 受光レンズ
18 モータ
19 光学ユニット本体
19a モータ固定穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置するようにしていることを特徴とする光走査型タッチパネル。
【請求項2】
前記発光素子固定基板に形成された前記穴と前記発光素子とが、鉛直方向または鉛直方向と垂直な方向に並んでいることを特徴とする請求項1記載の光走査型タッチパネル。
【請求項1】
所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段へ光を投射すると共に、前記光走査手段による走査光の一部を受光する光送受手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記光送受手段の受光出力に基づいて計測する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段及び前記光送受手段を1つの基体に一体的に取付けており、前記光送受手段は、発光素子と該発光素子を固定する発光素子固定基板とを有しており、前記発光素子固定基板と前記基体とが平行に接し、前記発光素子固定基板に形成された、前記発光素子固定基板を前記基体に取付けるための穴を、前記発光素子と直線上に配置するようにしていることを特徴とする光走査型タッチパネル。
【請求項2】
前記発光素子固定基板に形成された前記穴と前記発光素子とが、鉛直方向または鉛直方向と垂直な方向に並んでいることを特徴とする請求項1記載の光走査型タッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2007−184010(P2007−184010A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101987(P2007−101987)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【分割の表示】特願平10−331738の分割
【原出願日】平成10年11月20日(1998.11.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【分割の表示】特願平10−331738の分割
【原出願日】平成10年11月20日(1998.11.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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