説明

光走査装置および画像形成装置

【課題】可動部の最大振れ角を変更しても、当該最大振れ角の検出精度を維持することができる光走査装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】光走査装置1は、板状体で構成され、その一方の面に設けられた、レーザー光SSを反射する光反射部311eを有し、回動中心軸J3回りに回動し、その最大振れ角の大きさが可変の可動板311aと、可動板311aが最大振れ角で回動していることを検出する回動検出手段2とを備えている。回動検出手段2は、光反射部311eに向かってレーザー光SSを照射する光源21と、光源21からのレーザー光SSが光反射部311eで反射した反射光を受ける受光部22と、可動板311aの最大振れ角に応じて受光部22の位置を変更する変位駆動部23とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スクリーンに所望の画像(例えばCM等の宣伝広告)を表示する装置として、光源から出射されたレーザー光を2つのガルバノミラーによってスクリーンの横方向および縦方向にそれぞれ走査するよう構成された装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1に記載の装置では、スクリーン上に固定された光センサーの検出信号に基づいて、各ガルバノミラーの駆動タイミングを制御している。また、光センサーの検出信号から、ガルバノミラーの最大変位角を求めることもできる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、ガルバノミラーの最大変位角を変更することによってスクリーン上の画像の大きさを変更する場合に、光センサーがスクリーンに対して固定されているため、ガルバノミラーの最大変位角の大小(特に「大」の場合)によっては、光センサーの検出精度が低下してしまう傾向がある。例えば、最大変位角が40度であり、その最大変位角に最も反応する位置に光センサーが設置されている場合に、最大変位角を80度に変更すると、光センサーによって検出できる、振れ角の分解能が低下してしまう。このように、特許文献1に記載の装置では、最大変位角の検出精度に差が生じてしまい、ガルバノミラーが最大変位角で回動していることを正確に検出し、制御することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−131151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、可動部の最大振れ角を変更しても、当該最大振れ角の検出精度を維持することができる光走査装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光走査装置は、板状体で構成され、その一方の面に設けられた、光を反射する光反射部を有し、前記板状体の厚さ方向と直交する回動中心軸まわりに回動し、その最大振れ角の大きさが可変の可動部と、
前記可動部が前記最大振れ角で回動していることを検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記光反射部に向かって光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記光反射部で反射した反射光を受ける受光部と、
前記可動部の前記最大振れ角に応じて前記受光部の位置を変更する変位駆動部とを有することを特徴とする。
これにより、可動板の最大振れ角を変更しても、当該最大振れ角の検出精度を確実に維持することができる。
【0007】
本発明の光走査装置では、前記最大振れ角をθmaxとし、前記光源と前記可動部の前記回動中心軸と前記受光部とのなす角度を2θとしたとき、θmaxとθとの比θmax/θが一定となる関係を満足することが好ましい。
これにより、可動板の最大振れ角を変更しても、当該最大振れ角の検出精度をより確実に維持することができる。
【0008】
本発明の光走査装置では、前記比θmax/θは、1を越え1.3以下のうちのいずれかの値であることが好ましい。
これにより、可動板の最大振れ角を変更しても、当該最大振れ角の検出精度をより確実に維持することができる。
本発明の光走査装置では、前記変位駆動部は、回転するシャフトを有するモーターと、該モーターの作動を制御する機能を有する制御部と、前記シャフトに連結され、前記受光部を支持する支持梁とを有することが好ましい。
これにより、変位駆動部の構成を比較的簡単なものとすることができる。
【0009】
本発明の光走査装置では、前記シャフトは、前記可動部の前記回動中心軸と同軸上に配置されていることが好ましい。
これにより、変位駆動部で受光部を変位させる際の制御が容易となる。
本発明の光走査装置では、前記変位駆動部は、前記可動部と前記受光部との距離を一定に規制する機能を有することが好ましい。
これにより、光源から発せられた光が可動板の光反射部で反射して、受光部に到達するまでの光の光路長を一定とすることができ、よって、受光部で反射光を安定して受光することができる。
【0010】
本発明の光走査装置では、前記受光部は、フォトダイオードであることが好ましい。
これにより、受光部は、受光した光の強度に応じた強さの電流を生じるものとなる。そして、この電流の大きさと予め設定された所定の閾値との大小関係とに基づいて、受光部が光を受光しているか否かの判断が容易となる。
本発明の光走査装置では、前記光源は、レーザー光を照射するよう構成されていることが好ましい。
レーザー光は指向性、収束性、高輝度性等の優れた光学特性を有する光であるため、可動板の光反射部に向けてレーザー光を確実に照射することができる。
【0011】
本発明の光走査装置では、直立したスクリーンに光で画像を形成する際に、前記可動部は、前記スクリーンに対して前記光反射部で水平方向に光を走査するのに用いられるものであることが好ましい。
これにより、例えば直立したスクリーンに画像を投影する際にその画像の水平方向の大きさを変更したい場合には、最大振れ角の大きさを可変とすることにより、その変更を確実に行なうことができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、本発明の光走査装置を備え、前記光反射部で光を走査して、該光で画像を形成することを特徴とする。
これにより、可動板の最大振れ角を変更しても、当該最大振れ角の検出精度をより確実に維持することができる。
本発明の画像形成装置は、板状体で構成され、その一方の面に設けられた、光を反射する光反射部を有し、前記板状体の厚さ方向と直交する回動中心軸まわりに回動し、その最大振れ角の大きさが可変の可動部と、
前記可動部が前記最大振れ角で回動していることを検出する角度検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記光反射部に向かって光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記光反射部で反射した反射光を受ける受光部と、
前記可動部の前記最大振れ角に応じて前記受光部の位置を変更する変位駆動部と、を有し、
前記光反射部で光を走査して画像を形成することを特徴とする。
これにより、可動板の最大振れ角を変更しても、当該最大振れ角の検出精度をより確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の画像形成装置(第1実施形態)が備えるプロジェクターの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すプロジェクターに内蔵された光走査装置を示す斜視図である。
【図3】図2に示す光走査装置の作動状態を示す平面図である。
【図4】図2に示す光走査装置の作動状態を示す平面図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示す画像形成装置が備えるプロジェクターの概略構成を示す図である。
【図7】図5に示す画像形成装置が備えるスクリーン(表示装置)を示す断面図である。
【図8】図7に示すスクリーンの透過率と液晶高分子複合層に印加される電圧の強さとの関係を示すグラフである。
【図9】スクリーンの作動状態を示す図である。
【図10】スクリーンの作動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の光走査装置および画像形成装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の画像形成装置(第1実施形態)が備えるプロジェクターの概略構成を示す図、図2は、図1に示すプロジェクターに内蔵された光走査装置を示す斜視図、図3および図4は、それぞれ、図2に示す光走査装置の作動状態を示す平面図である。なお、以下では、説明の都合上、図2中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
【0015】
図1に示す本実施形態の画像形成装置100は、例えばビル等の建物内(屋内)また屋外に設置されたスクリーン(表示対象物)600と、スクリーン600の正面に形成された表示面600aに静止画や動画等の所定の画像を表示させるプロジェクター700とを有している。
スクリーン600は、例えば建物の壁等に固定されている。このスクリーン600の表示面600aは、光不透過性の、すなわち、不透明な例えば白色のものである。これにより、プロジェクター700からの、後述する表示光LL”で画像を鮮明に表示することができる。
【0016】
また、本実施形態のプロジェクター700は、スクリーン600の近傍に設けられておりスクリーン600に対して近接投影にて画像を表示するように構成されている。本実施形態では、プロジェクター700がスクリーン600の下前方に設けられている。また、プロジェクター700は、スクリーン600の表示面600aの最もプロジェクター700に近い部位から1m以内に設けられている。このように、プロジェクター700をスクリーン600の近傍に設けることにより、プロジェクター700から照射される表示光LL”が例えば歩行者等の障害物によって遮られてしまうのを効果的に防止することができ、より確実に、表示面600aに所望の画像を表示することができる。
【0017】
図1に示すように、プロジェクター700は、表示光LL”を出射する光源ユニット(光出射部)200と、光源ユニット200から出射された表示光LL”を反射しスクリーン600の表示面600aに走査する光走査装置(光走査部)1と、光源ユニット200および光走査装置1の作動を制御する制御部400とを有している。また、光源ユニット200は、表示面600aに画像を表示するための表示光LL”を出射する表示光用光源200bを有している。
【0018】
表示光用光源200bは、各色のレーザー光源210r、210g、210bと、各色のレーザー光源210r、210g、210bに対応して設けられたコリメーターレンズ220r、220g、220bおよびダイクロイックミラー230r、230g、230bとを備えている。各色のレーザー光源210r、210g、210bは、それぞれ、赤色、緑色および青色のレーザー光RR、GG、BBを出射する。レーザー光RR、GG、BBは、それぞれ、制御部400から送信される駆動信号に対応して変調された状態で出射され、コリメーターレンズ220r、220g、220bによって平行化されて細いビームとされる。
【0019】
ダイクロイックミラー230r、230g、230bは、それぞれ、赤色のレーザー光RR、緑色のレーザー光GG、青色のレーザー光BBを反射する特性を有し、各色のレーザー光RR、GG、BBを結合して1つの表示光LL”(レーザー光)を出射することができる。
なお、コリメーターレンズ220r、220g、220bに代えてコリメーターミラーを用いることができ、この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、各色のレーザー光源210r、210g、210bから平行光束が出射される場合、コリメーターレンズ220r、220g、220bは、省略することができる。さらに、レーザー光源210r、210g、210bについては、同様の光束を発生する発光ダイオード等の光源に置換することができる。また、図1の各色のレーザー光源210r、210g、210b、コリメーターレンズ220r、220g、220b、およびダイクロイックミラー230r、230g、230bの順番はあくまで1例であり、各色の組み合わせ(赤色はレーザー光源210r、コリメーターレンズ220r、ダイクロイックミラー230r、緑色はレーザー光源210g、コリメーターレンズ220g、ダイクロイックミラー230g、青色はレーザー光源210b、コリメーターレンズ220b、ダイクロイックミラー230b)を保持したままその順序は自由に設定できる。例えば、光スキャナー310に近い順に、青色、赤色、緑色という組み合わせも可能である。
【0020】
光走査装置1は、光源ユニット200から出射した表示光LL”をスクリーン600の表示面600aに走査する機能を有している。このような光走査装置1は、光源ユニット200から出射した表示光LL”を表示面600aに対し水平方向(x方向)に走査する水平走査用ミラーである光スキャナー310と、光源ユニット200から出射した表示光LL”を表示面600aに対し、垂直方向(y方向)に走査する垂直走査用ミラーである光スキャナー330と、光スキャナー330が有する可動板331aの回動角度(挙動)を検出する角度検出手段340とを有している。
【0021】
可動板311aは、板状体で構成されたものである。そして、この可動板311aには、その一方の面に光反射性を有する光反射部(ミラー)311eが設けられている。また、例えば電磁コイル(図示せず)と永久磁石(図示せず)とを用いた電磁駆動により、可動板311aは、その厚さ方向と直交する回動中心軸J1回りに回動するものである。この回動により、光反射部311eで反射した表示光LL”をスクリーン600に対して水平方向に走査することができる。
【0022】
また、前記電磁コイルに印加する電圧の大きさおよび駆動周波数を制御部400で調整することにより、可動板311aの最大振れ角(回動角度)θmaxの大きさを変更することができる(図3、図4参照)。例えばスクリーン600上の画像の水平方向の大きさ(投影サイズ)を変更したい場合には、最大振れ角θmaxの大きさを可変とすることにより、その変更を確実に行なうことができる。ここで、最大振れ角θmaxとは、可動板311aが未だ作動していない初期状態での当該可動板311aの法線Nに対する図3、図4中の左右の最大の角度のことを言う。
【0023】
ところで、光スキャナー310の可動板311aの振れ角が一定の場合は、光出射状態での表示光LL”の振れ幅は、光スキャナー330の可動板331aの角度に応じて変化し、表示光LL”が走査される表示面600a上の垂直方向の位置がプロジェクター700から遠いほど大きくなる。そこで、プロジェクター700では、表示面600a上の垂直方向の位置がプロジェクター700から遠いほど、可動板311aの振れ角を小さくすることにより、光出射状態での表示光LL”の振れ幅を垂直方向に沿って一定にする。このような補正を行うことにより、いわゆる「台形撓み」を補正することができる。
【0024】
可動板331aも、板状体で構成されたものである。そして、この可動板331aには、その一方の面に光反射性を有する光反射部(ミラー)331eが設けられている。また、可動板331aは、例えば電磁コイル(図示せず)と永久磁石(図示せず)とを用いた電磁駆動により、回動中心軸J1とねじれの位置関係にある回動中心軸J2回りに駆動するものである。この回動により、光反射部331eで反射した表示光LL”をスクリーン600に対して垂直方向(鉛直方向)に走査することができる。そして、この垂直方向の走査と前述した水平方向の走査とにより、スクリーン600上に画像を形成することができる。
【0025】
また、可動板331aの最大振れ角の大きさの調整も、可動板331aに対応して設けられた前記電磁コイルに印加する電圧の大きさを制御部400で調整することによりなされる。
可動板311a(光反射部311eを除く)や可動板331a(光反射部331eを除く)は、それぞれ、例えばシリコンを主材料として構成されている。光反射部311e、331eは、それぞれ、例えば、例えば蒸着により形成された金属薄膜で構成されている。
【0026】
角度検出手段340は、例えば、可動板331aが可動しているときに可動板331aに発生する応力を検出するひずみゲージと可動板の応力変化に伴うひずみゲージの抵抗変化を検出する抵抗変化検出部と、抵抗変化検出部の検出結果に基づいて対応する可動板331aの角度を求める(挙動を検知する)角度検知部とで構成することができる。また、圧電素子と、圧電素子から発生する起電力を検出する起電力検出部と、起電力検出部の検出結果に基づいて対応する可動板の角度を求める(挙動を検知する)角度検知部とで構成することもできる。
【0027】
制御部400は、図示しないコンピューター等から送信されたスクリーン600の表示面600aに表示する画像データから表示光LL”が照射されるように、光源ユニット200および光走査装置1の作動を制御するよう構成されている。これにより、より確実に、表示面600aに所望の画像を表示することができる。
さて、図1、図2に示すように、光走査装置1は、さらに、光スキャナー310の可動板311aが最大振れ角θmaxで回動していることを検出する回動検出手段(検出部)2を備えている。光走査装置1では、回動検出手段2の作動により、後述する所定の検出精度(最大振れ角θmax±1度)の範囲内で可動板311aが最大振れ角θmaxで回動していることを保証することができる。
【0028】
図2に示すように、回動検出手段2は、可動板311aの光反射部311eに向かってレーザー光SSを照射する光源21と、光源21からのレーザー光SSが光反射部311eで反射した反射光を受ける受光部22と、可動板311aの最大振れ角θmaxに応じて受光部22の位置を変更する変位駆動部23とで構成されている。また、光源21と受光部22と変位駆動部23とは、光走査装置1内では、光源ユニット200からの表示光LL”の光路の外側、すなわち、表示光LL”の妨げとなるのが防止される位置に配置されている。
【0029】
光源21は、例えば光走査装置1の筐体(図示せず)に固定されている。なお、光源21は、レーザー光SSが表示光LL”との干渉が防止される位置に配置されているのが好ましい。
また、光源21は、制御部400と電気的に接続されている。これにより、光源21の点灯・消灯の制御を行なうことができる。
【0030】
このような光源21は、レーザー光SSを照射することができるものである。レーザー光SSは指向性、収束性、高輝度性等の優れた光学特性を有する光であるため、可動板311aの光反射部311eに向けてレーザー光SSを確実に照射することができる。なお、レーザー光SSとしては、特に限定されず、例えばHe−Neレーザー等の気体レーザー、Nd−YAGレーザー等の固体レーザー、GaAlAsレーザー等の半導体レーザー等が挙げられる。
【0031】
可動板311aの光反射部311eで反射したレーザー光SS(反射光)は、受光部22で受光される。この受光部22は、制御部400と電気的に接続されたフォトダイオードで構成されている。これにより、受光部22は、受光したレーザー光SSの強度に応じた強さの電流を生じるものとなる。そして、この電流の大きさと予め設定された所定の閾値との大小関係とに基づいて、受光部22がレーザー光SSを受光しているか否かの判断が容易となる。なお、前記閾値は、制御部400に記憶されている。
【0032】
ところで、仮に受光部22が可動板311aの回動中心軸J1に対して固定的に設置されている場合には、最大振れ角θmaxが受光部22の設置角度、すなわち、光源21と可動板311aの回動中心軸J1と受光部22とのなす角度に比べて著しく大きな角度になった場合、受光部22の検出精度(分解能)が低下してしまう。最大振れ角θmaxは、下記式(1)から求めることができる。
【0033】
【数1】

【0034】
なお、図3に示すように、tは、可動板311aの光反射部311eの法線が可動板311aの回動中心軸J1と受光部22とを結ぶ線上から回動を開始した場合、その法線が往復動して再度当該線上に戻るまでの時間、すなわち、可動板311aが回動した際の往復時間(1周期)である。また、tは、可動板311aの光反射部311eの法線が可動板311aの回動中心軸J1と受光部22とを結ぶ線上から回動を開始した場合、その法線が受光部22を越えて回動限界方向に(図4中の時計回りに)回動して次に線上に戻るまでの時間である。
【0035】
例えば、最大振れ角θmaxが40度であり、その最大振れ角θmaxに最も反応する位置に受光部22が設置されている場合に、最大振れ角θmaxを80度に変更すると、受光部22の検出精度(感度)が低下してしまう。このように、受光部22が固定的に設置されている場合には、受光部22の検出精度に差が生じてしまい、可動板311aが最大振れ角θmaxで回動していることを保証することができない。
【0036】
そこで、光走査装置1では、このような不具合を防止するよう構成されている。具体的には、光走査装置1は、最大振れ角θmaxが変化した際、それに連動して、受光部22の位置を変化させる、すなわち、受光部22を回動中心軸J3回りに追従角度(回動角度)θ分だけ回動させるよう構成されている(図3、図4参照)。受光部22の位置を変化させる機構として、変位駆動部23が設置されている。なお、追従角度θは、光源21と可動板311aの回動中心軸J1と受光部22とのなす角度の1/2に相当する角度でもある。
【0037】
また、図2に示すように、回動検出手段2が有する変位駆動部23は、モーター24と、モータードライバー28(制御部400)と、エンコーダー25と、支持梁26とで構成されている。これにより、変位駆動部23を4つの部品で構成することができ、よって、変位駆動部23の構成を比較的簡単なものとすることができる。
モーター24は、回転するシャフト241を有する、例えばサーボモーターである。モーター24は、モータードライバー28を介して、制御部400と電気的に接続されている。制御部400からのシャフト241の回動条件(追従角度θ、回動速度等)に関する命令は、モータードライバー28に伝達される。モータードライバー28は、その命令に従ってモーター24の作動を制御することができる。
【0038】
また、エンコーダー25で実際のシャフト241の追従角度θ等を検知することができる。この検知結果を制御部400にフィードバックして、モーター24の正確な作動を制御することができる。
図2〜図4に示すように、モーター24は、シャフト241の回動中心軸J3が可動板311aの回動中心軸J1と同軸上に位置するように配置されている。これにより、後述する制御部400での「比θmax/θが一定となる関係を満足する」制御が容易となる。
【0039】
モーター24のシャフト241には、長尺状をなす支持梁26が連結されている。支持梁26は、シャフト241と直交する方向に延在しており、その端部においてスペーサー27を介して受光部22を支持している。これにより、シャフト241が回動中心軸J3回りに回動した際には、受光部22も回動中心軸J3回りに回動することができる(図2〜図4参照)。
【0040】
支持梁26の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等のような各種金属材料や、ポリプロピレン等のような各種樹脂材料を用いることができる。そして、このような比較的硬質の材料で支持梁26を構成することにより、支持梁26は、受光部22と可動板311a(回動中心軸J1)のとの距離を一定に規制することができる。これにより、追従角度θの大きさによらず、光源21から発せられたレーザー光SSが可動板311aの光反射部311eで反射して、受光部22に到達するまでのレーザー光SSの光路長を一定とすることができ、よって、受光部22で受光するレーザー光SSの強度も一定となり、すなわち、安定した受光が可能となる。
【0041】
次に、最大振れ角θmaxが変動したとしても、可動板311aが最大振れ角θmaxで回動しているのを確認する際の制御部400の制御(光走査装置1の作動)について、図3および図4を参照しつつ説明する。以下、図3に示す状態を「第1の状態」と言い、図4に示す状態を「第2の状態」と言う。
制御部400では、最大振れ角θmaxと追従角度θとの比θmax/θが一定となる関係を満足するように制御する。比θmax/θとしては、特に限定されず、例えば、1を越え1.3以下のうちのいずれかの値であるのが好ましく、1.01以上1.25以下のうちのいずれかの値であるのがより好ましい。なお、比θmax/θの値は、制御部400に予め記憶されており、以下の説明では、例えば1.03と設定されているものとする。
【0042】
図3に示す第1の状態では、可動板311aが例えば40度の最大振れ角θmaxで回動しているとする。このとき、比θmax/θ=1.03を満足すればよいので、受光部22を39度の追従角度θとなる位置に配置しておけばよい。
そして、図3に示す第1の状態から、可動板311aが例えば80度の最大振れ角θmaxで回動する、図4に示す第2の状態となったとする。この場合も、比θmax/θ=1.03を満足すればよいので、受光部22を78度の追従角度θとなる位置に配置しておけばよい。
このような制御により、最大振れ角θmaxが大幅に変動したとしても、受光部22での最大振れ角θmaxの検出精度を確実に維持することができる。これにより、可動板311aが最大振れ角θmaxで回動していることを保証することができる。
【0043】
<第2実施形態>
図5は、本発明の画像形成装置の第2実施形態を示す斜視図、図6は、図5に示す画像形成装置が備えるプロジェクターの概略構成を示す図、図7は、図5に示す画像形成装置が備えるスクリーン(表示装置)を示す断面図、図8は、図7に示すスクリーンの透過率と液晶高分子複合層に印加される電圧の強さとの関係を示すグラフ、図9および図10は、それぞれ、スクリーンの作動状態を示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図5、図9および図10中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図7中の上側を「前(正面)」または「前方」、下側を「後(背面)」または「後方」と言う。
【0044】
以下、これらの図を参照して本発明の光走査装置および画像形成装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、スクリーンおよびプロジェクターの構成がそれぞれ異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0045】
図5に示すように、本実施形態では、スクリーン500は、ステージ900によって直立した状態で支持されており、例えば、建物の壁等に固定されたり、立て懸けられたりすることなく設置されている。
また、図6に示すように、本実施形態の画像形成装置100では、プロジェクター700の光源ユニット200がアドレス光用光源200aをさらに有するものとなっている。
【0046】
スクリーン500は、画像を表示しないときは、無色透明(光透過状態)であり、まるで透明なガラス板のようにその背後を視認できるようになっている。そして、プロジェクター700によって、スクリーン500に画像を表示する際には、表示面500aの画像が表示される領域のみを白濁した状態(光拡散状態)とし、その白濁した状態の領域にプロジェクター700からレーザー光LLを照射することにより、スクリーン500に所望の画像を表示する。この際、画像が表示されていない領域は光透過状態(透明状態)を保ったままである。そのため、このような構成の画像形成装置100によれば、第1に、未使用時(画像を表示しないとき)にスクリーン500が視覚的に邪魔にならないという利点がある。第2に、使用時(画像を表示しているとき)には、透明な板に画像が表示されるため、観察者に画像が浮き出ているような感覚を与えることができ、表示されている画像への興味・関心を効果的に持たせることができる。すなわち、画像形成装置100によれば、優れた広告宣伝効果を発揮することができる。
【0047】
前述したように、画像形成装置100は、スクリーン500とプロジェクター700とを有している。以下、各部の構成について説明する。
まず、スクリーン500について説明する。
図7に示すように、スクリーン500は、第1の電極511が形成された第1の基板510、光導電膜520、配向膜530、液晶高分子複合層(液晶層)540、配向膜550および第2の電極561が形成された第2の基板560が表示面500a側からこの順で積層することにより構成されたスクリーン本体580と、第1の電極511および第2の電極561間に電圧を印加する電圧印加手段570とを有している。このような構成とすることにより、簡単に、前述したような光透過状態と光拡散状態とを切り替えることのできるスクリーン500を得ることができる。
【0048】
第1の基板510および第2の基板560は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配置される各部材を支持および保護する機能を有している。また、第1の基板510および第2の基板560は、それぞれ、光透過性を有しており実質的に無色透明である。第1の基板510および第2の基板560は、それぞれ、可撓性を有していてもよく、硬質であってもよい。
【0049】
第1の基板510および第2の基板560の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ガラス、シリコン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどの高分子フィルムを用いることができる。
第1の基板510の背面(液晶高分子複合層540側の面)には、膜状の第1の電極511が形成されており、第2の基板560の前面(液晶高分子複合層540側の面)には、膜状の第2の電極561が形成されている。第1の電極511および第2の電極561は、それぞれ、光透過性を有しており実質的に無色透明である。このような第1の電極511および第2の電極561は、電圧印加手段570に電気的に接続されており、電圧印加手段570によって、第1の電極511および第2の電極561間に電圧を印加するとこれらの間に電界が生じ、生じた電界が光導電膜520および液晶高分子複合層540に作用する。
【0050】
第1の電極511および第2の電極561の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有し、かつ実質的に無色透明であれば特に限定されない。このような構成材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリフルオレンまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート等のマトリックス樹脂中に、NaCl、Cu(CFSO等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム酸化物(IO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられる。第1の電極511および第2の電極561の構成材料は、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
光導電膜520は、膜状をなし、第1の電極511の背面(液晶高分子複合層540側の面)に形成されている。また、光導電膜520は、光透過性を有し実質的に無色透明である。このような光導電膜520は、光が照射されると、その光量に応じてインピーダンスが変化するものであればよい。そして、光導電膜520としては、例えば、電荷発生物質を蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法などによって成膜したもの、電荷発生物質を樹脂バインダーに分散し、バーコート法、スピンコート法、ロールコート法、ディップ法、キャスティング法などによって塗布したもの、あるいは、これらの電荷発生層に、電荷輸送層を積層したものなどを用いることができる。
電荷発生物質としては、特に限定されず、例えば、a−Si、ZnS、ZnO、CdS、CdSe、Se、SeTe、TiOなどの無機材料、フタロシアニン系、アゾ系、多環キノン系、インジゴ系、キナクリドン系、ペリレン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系などの有機材料を用いることができる。
【0052】
また、樹脂バインダーとしては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、アクリル、メタクリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、これらの共重合体などを用いることができる。電荷輸送物質として、カルバゾール系、トリアゾール系、オキサジアゾール系、イミダゾール系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、アミン系、ニトロフルオレノン系などの有機材料を用いることができる。
【0053】
液晶高分子複合層540は、高分子542の粒子が液晶541中に分散して相分離した状態となっている。
高分子542としては、液晶相の状態において液晶541と相溶して、その後、硬化する際に、液晶541と相分離するものが使用される。このような高分子542としては、例えば、高分子主鎖にベンゼン骨格あるいはビフェニル骨格を有する側鎖をつけたものであれば、熱可塑性高分子、熱硬化型高分子、紫外線硬化型高分子の別を問わず、広く用いることができる。
【0054】
一方、液晶541としては、電界方向と平行方向に配向する正の誘電異方性を有するものが使用される。このような液晶541としては、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等を用いることができる。また、液晶541としては、スクリーン500のコントラストを向上させる為に、屈折率異方性Δnのできるだけ大きいものを用いることが好ましい。
【0055】
配向膜530、550は、液晶高分子複合層540の液晶541および高分子542を第1の基板510および第2の基板560と平行な方向に配向させる配向処理が施されている。高分子542は、配向する際は液晶相であるが、その後、硬化される為、その配向状態が保たれたまま固定されている。このため、高分子542は、その後、電界が印加されても配向方向が電界方向に揃うことはない。一方、液晶541は、配向状態が固定されていない為、電界を印加すると電界方向に揃うことになる。
【0056】
従って、液晶高分子複合層540に電界を印加していない場合(後述するように電界の強さが例えばV1に達していない場合)には、高分子542と液晶541の配向方向は、第1の基板510および第2の基板560に対して平行方向に一致する状態(液晶541と高分子542が揃って配向する状態)となる。この状態において、両者の屈折率を一致させることにより、スクリーン500は透明状態(光透過状態)となる。
【0057】
反対に、液晶高分子複合層540に電界を印加した場合には、液晶541の配向方向が電界方向に揃うため(液晶541と高分子542が異なる方向へ配向する状態となるため)、電界方向において、液晶541と高分子542と界面で屈折率の不一致により光散乱状態となり、スクリーン500は白濁状態(光拡散状態)となる。
このような液晶高分子複合層540によれば、電圧が印加されていないときは、無色透明な光透過状態となり、電圧を印加することにより白濁した光拡散状態とすることができるため、画像形成装置100の用途に適したスクリーン500を得ることができる。なお、このような光透過状態と光拡散状態との切り替えは、表示面500aの各部位で独立して行うことができる。
この光透過状態と光拡散状態との切り替えについて詳細に説明する。
【0058】
図7に示す高分子542および液晶541は、同様の屈折率異方性を示し、配向方向と平行方向における屈折率は1.5程度あり、配向方向と垂直方向の屈折率は1.7程度である。液晶高分子複合層540に電界が印加されていない状態では、液晶541が高分子542と同方向に配向しているため、第1の基板510および第2の基板560と垂直な方向における液晶541と高分子542の屈折率が一致する。従って、この状態では、スクリーン500は、透過率80%程度の実質的に無色透明な状態(光透過状態)となる。
【0059】
一方、電圧印加手段570によって、第1の電極511と第2の電極561との間に電圧を印加し、液晶高分子複合層540に電界を作用させると、高分子542の配向方向はそのままであるのに対し、液晶541だけが電界方向、つまり第1の基板510および第2の基板560に対して垂直な方向に配向する。このため、第1の基板510および第2の基板560と垂直な電界方向において、高分子542の屈折率は1.7程度のままであるのに対し、液晶541の屈折率が1.5程度に変化する。従って、電界方向における高分子542と液晶541の屈折率の差が0.2程度となり、第1の基板510および第2の基板560と垂直な方向から入射した光は、散乱することなる。その結果、この状態では、スクリーン500は、電界方向において白濁する状態(光拡散状態)となる。
【0060】
次に、スクリーン500の透過率と液晶高分子複合層540に印加される電圧の強さとの関係を図8を参照しつつ説明する。
図8に示すように、スクリーン500は、液晶高分子複合層540に印加される電圧の強さがV1を超えるまでは80%程度の高い透過率を保ち、実質的に無色透明の状態を保っている。そして、電圧の強さがV1を超えてからV2に達するまでの間に急峻に透過率が低下し、V2を超えると透過率がほぼゼロになる。このように、スクリーン500では、液晶高分子複合層540に印加される電圧の大きさに対してリニアに透過率が低下するのではなく、所定の電圧V1を超えたときに、急峻に透過率が低下することが分かる。
以上のような構成のスクリーン500の使用方法について説明する。
【0061】
まず、電圧印加手段570により、第1の電極511と第2の電極561との間に電圧(交番電圧)を印加する(以下では、この状態を「スタンバイ状態」とも言う)。印加する電圧の強さは、液晶高分子複合層540に実際に印加される電圧がV1よりも若干低いかV1と等しくなるような強さであるのが好ましい。これにより、スタンバイ状態においてスクリーン500を実質的に無色透明に保つことができるとともに、スタンバイ状態から電圧を少し増加させることによってスクリーン500を光拡散状態に変化させることができる。なお、本実施形態では、スタンバイ状態でのスクリーン500の透過率が80%程度となるように、第1の電極511および第2の電極561間に印加する電圧の強さを決定しているが、スタンバイ状態でのスクリーン500の透過率は特に限定されず、例えば70%程度に設定してもよい。これは、スクリーン500のスタンバイ状態において求められる透過率に応じて適宜設定すればよい。
【0062】
次いで、スタンバイ状態のスクリーン500の表示面500aの所望の部位(微少領域)にプロジェクター700からアドレス光LL’を照射する。すると、アドレス光LL’が照射された部位では、アドレス光LL’が照射されることにより光導電膜520の電気抵抗が低下し、液晶高分子複合層540に印加される実際の電圧が高くなる。これにより、この部位の透過率が低下して白濁し光拡散状態となる。一方、アドレス光LL’が照射されない部位については、液晶高分子複合層540に印加されている電圧の強さが変化しないため光透過状態を維持している。そして、光拡散状態の部位を、表示面500aに表示する画像に対応して、すなわち画像を表示する領域に形成することにより、例えば図9に示すように、表示面500aに画像の輪郭に沿った光拡散領域500b(実際にスクリーンとして機能する領域)が形成される。
【0063】
表示面500aに照射するアドレス光LL’の光量としては、アドレス光LL’を照射した部位の透過率を低下させることができれば特に限定されないが、スクリーン500の透過率が20%以下となるような光量であるのが好ましく、5%以下となるような光量であるのがより好ましい。これにより、優れた光拡散性を有する光拡散領域500bを形成することができる。
このように、スクリーン500は、スタンバイ状態では無色透明とし、画像が表示される領域のみを光拡散状態とするように使用される。これにより、前述のような優れた広告宣伝効果を発揮することができる。
【0064】
次に、プロジェクター700について説明する。
図6に示すように、本実施形態では、プロジェクター700は、レーザー光LLを出射する光源ユニット200を有している。この光源ユニット200は、表示光用光源200bの他に、表示面500aに所望の画像を表示することができるように、表示面500aの前記画像に対応する領域を光拡散状態とするためのアドレス光LL’を出射するアドレス光用光源200aを有している。
【0065】
このようなプロジェクター700は、アドレス光LL’を表示面500aに走査するとともに、表示光LL”をアドレス光LL’の照射によって光拡散状態となった領域に走査することにより、表示面500aに所望の画像を表示させる(形成する)よう構成されている。これにより、表示面500aに光拡散領域500bを形成する工程(図9参照)と、光拡散領域500bに画像を形成する工程(図10参照)とを1つのプロジェクター700によってほぼ同時に行うことができるため、画像形成装置100の装置構成が簡単となるとともに、画像表示の効率が高まる。
【0066】
アドレス光用光源200aは、アドレス光LL’としての赤外レーザーを出射するレーザー光源210iと、レーザー光源210iに対応して設けられたコリメーターレンズ220iおよびダイクロイックミラー230iとを備えている。レーザー光源210iから出射されたアドレス光LL’は、コリメーターレンズ220iによって平行化されて細いビームとされた後、ダイクロイックミラー230iによって反射される。そして、反射されたアドレス光LL’は、表示光LL”に結合(重畳)され、レーザー光LLとして光源ユニット200から出射する。
このように、アドレス光LL’として赤外レーザーを用いることにより、アドレス光LL’が観察者に視認されるのを防止することができるとともに、アドレス光LL’が表示面500aに表示された画像の色合い等に影響を与えるのを防止でき、表示面500aに所望の画像を表示することができる。
【0067】
なお、アドレス光用光源200aでは、コリメーターレンズ220iに代えてコリメーターミラーを用いることができ、この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、レーザー光源210iから平行光束が出射される場合、コリメーターレンズ220iを省略することができる。
光走査装置1は、光スキャナー310および330の可動により、光源ユニット200から出射したレーザー光LLをスクリーン500の表示面500aに走査することができる。ここで、レーザー光LLは、画像表示用のレーザー光である表示光LL”と、表示面500aの所望の領域を光拡散状態とするためのレーザー光であるアドレス光LL’が結合したレーザー光である。そのため、光走査装置1によって、表示光LL”とアドレス光LL’を表示面500aの同じ部位に同時に照射することができるため、確実に、光拡散状態となった部位に表示光LL”を照射することができ、スクリーン500に所望の画像を表示することができる。
【0068】
なお、制御部400は、図示しないコンピューター等から送信されたスクリーン500の表示面500aに表示する画像データから表示面500aの光拡散状態とする領域を決定し、決定された領域にアドレス光LL’が照射されるとともに、表示光LL”がアドレス光LL’の照射によって光拡散状態となった領域に照射されるように、光源ユニット200および光走査装置1の作動を制御するよう構成されている。これにより、より確実に、表示面500aの画像を表示したい領域のみを光拡散状態とすることができ、表示面500aに所望の画像を表示することができる。
【0069】
具体的には、まず、制御部400に画像データが入力される。次いで、制御部400は、入力された画像データを表示面500aに表示した際に、表示光LL”が照射される表示面500aの領域(部位)を求める。次いで、制御部400は、求められた領域にアドレス光LL’が照射されるように、光スキャナー310、330を駆動するとともに、角度検出手段340等から送信される可動板311a、331aの挙動に対応(同期)させてアドレス光用光源200aからアドレス光LL’を出射する。
【0070】
これとともに、制御部400は、入力された画像データに基づいて、表示光LL”が照射される表示面500aの領域の各部位について、照射する表示光LL”の色および光量を決定し、決定した色情報に基づいて、可動板311a、331aの挙動に対応(同期)させて、表示光用光源200bから表示光LL”を出射する。これにより、表示面500aの画像を表示する領域の各部位に、アドレス光LL’と表示光LL”が結合したレーザー光LLが照射される。
【0071】
表示面500aの画像を表示する領域の各部位にレーザー光LLが照射されると、照射された部位が、レーザー光LL’に含まれるアドレス光LL’によって透明状態から光拡散状態となる(図9参照)。そして、光拡散状態となったところにレーザー光LLに含まれる表示光LL”が照射されるため、照射された表示光LL”が反射・拡散され、所望の色が表示される。これを表示面500aの画像を表示する領域の各部位において行うことにより、例えば図10に示すような画像を表示面500aに表示することができる。
【0072】
なお、スクリーン500は、メモリー性を有していないため、光透過状態からアドレス光LL’を照射させたことによって光拡散状態となった部位は、アドレス光LL’の照射がされなくなると光透過状態に戻る。そのため、例えば、表示面500aに表示する画像が静止画である場合には、その静止画を例えば60フレーム/1秒程度の比較的早い速度で描画し続けることが好ましい。これにより、残像によって表示面500aにちらつきの無い静止画を表示することができる。また、表示面500aに表示する画像が動画である場合には、n回目のフレームを描画し終わり、次のフレームを描画する際には、前のフレームの画像がスクリーン500から消去されているため、表示面500aの全域を一端光透過状態に戻す等のリセット工程が不要である。なお、n回目のフレームを描画し終わってからn+1回目のフレームを描画し始めるまでの時間は、アドレス光LL’が照射されなくなることにより光拡散状態から光透過状態に戻る時間に等しいほど好ましい。これにより、フレーム間が良好に連続した動画を表示することができる。
【0073】
このような構成の画像形成装置100では、前述したように観察者に画像が浮き出ているような感覚を与えることができ、また、画像の大小が切り替わり、このため、画像への興味・関心を効果的に持たせることができる。そして、画像の大小が切り替わる際に可動板311aの最大振れ角θmaxが変更されるが、この場合でも、所定の検出精度の範囲内で可動板311aが最大振れ角θmaxで回動していることを確実に保証することができる。これにより、観察者が興味・関心を抱くような画像を確実に表示することができる。
以上、本発明の光走査装置および画像形成装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、光走査装置および画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
100……画像形成装置 1……光走査装置(光走査部) 2……回動検出手段(検出手段) 21……光源 22……受光部 23……変位駆動部 24……モーター 241……シャフト 25……エンコーダー 26……支持梁 27……スペーサー 28……モータードライバー 200……光源ユニット(光出射部) 200a……アドレス光用光源 200b……表示光用光源 210r、210g、210b、210i……レーザー光源 220r、220g、220b、220i……コリメーターレンズ 230r、230g、230b、230i……ダイクロイックミラー 310、330……光スキャナー 340……角度検出手段 311a、331a……可動板 311e、331e……光反射部 400……制御部 500……スクリーン(表示対象物) 500a……表示面 500b……光拡散領域 510……第1の基板 511……第1の電極 520……光導電膜 530、550……配向膜 540……液晶高分子複合層(液晶層) 541……液晶 542……高分子 560……第2の基板 561……第2の電極 570……電圧印加手段 580……スクリーン本体 600……スクリーン 600a……表示面 700……プロジェクター 900……ステージ BB、GG、LL、RR、SS……レーザー光 LL’……アドレス光 LL”……表示光 N……法線 J1、J2、J3……回動中心軸 θmax……最大振れ角(回動角度) θ……追従角度(回動角度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体で構成され、その一方の面に設けられた、光を反射する光反射部を有し、前記板状体の厚さ方向と直交する回動中心軸まわりに回動し、その最大振れ角の大きさが可変の可動部と、
前記可動部が前記最大振れ角で回動していることを検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記光反射部に向かって光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記光反射部で反射した反射光を受ける受光部と、
前記可動部の前記最大振れ角に応じて前記受光部の位置を変更する変位駆動部とを有することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記最大振れ角をθmaxとし、前記光源と前記可動部の前記回動中心軸と前記受光部とのなす角度を2θとしたとき、θmaxとθとの比θmax/θが一定となる関係を満足する請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記比θmax/θは、1を越え1.3以下のうちのいずれかの値である請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記変位駆動部は、回転するシャフトを有するモーターと、該モーターの作動を制御する機能を有する制御部と、前記シャフトに連結され、前記受光部を支持する支持梁とを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項5】
前記シャフトは、前記可動部の前記回動中心軸と同軸上に配置されている請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記変位駆動部は、前記可動部と前記受光部との距離を一定に規制する機能を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項7】
前記受光部は、フォトダイオードである請求項1ないし6のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項8】
前記光源は、レーザー光を照射するよう構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項9】
直立したスクリーンに光で画像を形成する際に、前記可動部は、前記スクリーンに対して前記光反射部で水平方向に光を走査するのに用いられるものである請求項1ないし8のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の光走査装置を備え、前記光反射部で光を走査して、該光で画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
板状体で構成され、その一方の面に設けられた、光を反射する光反射部を有し、前記板状体の厚さ方向と直交する回動中心軸まわりに回動し、その最大振れ角の大きさが可変の可動部と、
前記可動部が前記最大振れ角で回動していることを検出する角度検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記光反射部に向かって光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記光反射部で反射した反射光を受ける受光部と、
前記可動部の前記最大振れ角に応じて前記受光部の位置を変更する変位駆動部と、を有し、
前記光反射部で光を走査して画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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