説明

光通信システム

【課題】光通信システムにおいて、通信のリアルタイム性を損なうことなく高い通信品質を維持すること。
【解決手段】光通信システムは、2台の通信装置A、Bと、通信装置A、B間を接続する光ファイバとによって構成されている。通信装置Aは、強度変調された波長λ1の光信号1と、強度変調された波長λ2の光信号2とを、先の時間スロットに光信号2、後の時間スロットに光信号1として時分割多重化して送信する。通信装置Bは、光信号1と光信号2とを分離して受信し、先に受信した光信号2の変調強度レベルから、光信号1の弁別のための弁別しきい値を生成する。そして、その後に受信した光信号1を、生成した弁別しきい値により弁別する。これにより、通信のリアルタイム性を損なうことなく高い通信品質を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載LANなどに適用される光通信システムに関するものであり、特にリアルタイム性を損なうことなく、通信品質が管理された光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1対多の光通信システムにおいて、光強度を制御して通信品質を改善する方法として、たとえば特許文献1〜3に記載の方法がある。
【0003】
特許文献1では、1つの親局と多数の子局との通信において、子局が、親局から受信した下り信号の受信レベルと所定の基準レベルとの差を検出し、その差から親局と子局との伝送路長を推定し、これに基づいて子局の送信する上り信号の送信レベルを制御することで、親局での上り信号の受信レベルが揃うようにしている。
【0004】
また、特許文献2では、局側装置と複数の加入者側装置とをスターカプラ、光伝送路によって接続し、複数の加入者側装置側が時分割多重方式によって上り光信号を出力する光通信システムにおいて、局側装置は各加入者側装置からの上り光信号の受信レベルを検出し、その受信レベルに応じた情報を下り光信号として各加入者側装置に送信し、各加入者側装置は、下り光信号による受信レベルの情報に応じて、送信レベルを低下させることで、局側装置における上り光信号の受信レベルが揃うようにしている。
【0005】
また、特許文献3では、親局は受信した光信号のエラー発生状態を検出し、エラー情報を含む光信号を送信し、子局は受信した光信号のエラー情報に基づき、送信する光信号の送信レベルを制御する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−163960
【特許文献2】特開2001−60921
【特許文献3】特開平9−214439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車載LANのような多ノード間の光通信システムでは、通信ノード間ごとに距離や中継コネクタ数などが異なり、一般には送信元の送信レベルは一定であるから、各受信ノード側での受信レベルが異なってしまう。これは、送信ノードと受信ノードが随時変更される場合において、信号品質の管理が難しくなる要因になっていると考えられ、また、LANの一部ノード間において通信不良を引き起こす原因ともなっている。また、ケーブルの張り替え前後や通信ノードの追加などで光ファイバの損失が変化した場合でも、十分な通信品質が得られることが望ましい。
【0008】
車載LANの通信プロトコルには、LIN、CAN、FlexRayなど多数存在するが、FlexRayなどのトポロジー自由度の高いLANでは、上記の問題が顕在化しやすい。また、FlexRayなどの通信プロトコルでは、通信のリアルタイム性に関する通信規約が厳しい。
【0009】
そこで、FlexRayなどの通信プロトコルの場合でも適用できるように、光信号からデータを復調する場合には、信号遅延などによって通信のリアルタイム性を損なわないようにしつつ、受信レベルに応じて適切な論理レベル判定の弁別しきい値を設定する仕組みが必要と考えられる。加えて、制御系車載LANなどのように特に高い信頼性が必要とされる通信に対しては、通信品質を確保することも必要である。
【0010】
特許文献1〜3の方法は、光信号を受信した後に、その受信した光信号を利用して、送信する光信号の送信レベルを制御するものであり、送信する光信号のレベル補正のために、光信号受信後に処理時間を要することから、伝搬遅延が発生して通信のリアルタイム性を損なう原因となる。そのため、通信のリアルタイム性が要求される光通信システムには、特許文献1〜3の方法を適用することはできない。
【0011】
そこで本発明の目的は、通信のリアルタイム性を損なうことなく高い通信品質を維持し、通信品質を容易に管理することができる光通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、送信装置と、受信装置と、送信装置と受信装置との間に接続された光伝送路と、を備え、光伝送路を介して送信装置と受信装置との間で光通信を行う光通信システムにおいて、送信装置は、強度変調された第1波長の第1光信号と、強度変調された、第1波長とは異なる波長である第2波長の第2光信号とを、先の時間スロットに第2光信号、後の時間スロットに第1光信号として時分割多重化して送信する送信手段を有し、受信装置は、第1光信号と第2光信号とを分離して受信し、先に受信した第2光信号の光強度レベルから、第1光信号の論理レベルを判定するための弁別しきい値を生成し、その弁別しきい値をもとに、第1光信号の論理レベルを判定する受信手段を有する、ことを特徴とする光通信システムである。
【0013】
光伝送路は、光ファイバや光導波路などであり、光カプラ、光コネクタ等が挿入されていてもよい。各通信装置間を接続する光伝送路のネットワーク構成は、スター型、ダブルスター型、バス型、リング型、およびそれらの組み合わせなど、種々の構成を採用することができる。
【0014】
第1光信号、および第2光信号は、2値に限らず、3値以上に強度変調されていてもよい。その場合には、弁別しきい値を2つ以上生成して判定すればよい。
【0015】
また、弁別しきい値の生成は、受信した第2光信号の光強度レベルから、その後に受信する第1光信号の光強度レベルを推定し、その推定された第1光信号の光強度レベル基づいて弁別しきい値を生成する方法であれば、任意の方法でよい。たとえば、送信装置において、第1光信号の変調強度レベルと第2光信号の変調強度レベルの比が一定となるよう制御し、受信装置において、受信した第2光信号の変調強度レベルを測定すれば、その後に受信する第1光信号の変調強度レベルを推定することができる。変調強度レベルは、3値以上に強度変調されている場合には、任意の2値間の光強度差でよい。また、送信装置において、第1光信号のハイレベルと第2光信号のハイレベルの比が一定となるよう制御し、受信装置において、受信した第2光信号のハイレベルから、その後に受信する第1光信号のハイレベルを推定するようにしてもよい。
【0016】
第1光信号と第2光信号は、それぞれ通信フォーマットが異なっていてもよい。たとえば、通信プロトコルや通信速度が異なっていてもよい。
【0017】
本発明の光通信システムは、任意の通信方式に対応可能であり、送信装置と受信装置間での1対1の一方向の通信であってもよいし、1台または複数台の送信装置と、複数台の受信装置間での1対多または多対多の一方向の通信であってもよい。また、送信装置と受信装置との双方を備えた通信装置間での1対1または1対多の双方向通信であってもよい。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、送信装置は、第1光信号の変調強度レベルと、第2光信号の変調強度レベルの比αを一定とし、受信装置は、比αと受信した第2光信号の変調強度から、その後に受信する第1光信号の変調強度を推定し、その推定された第1光信号の変調強度から、弁別しきい値を生成する、ことを特徴とする光通信システムである。
【0019】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、光伝送路には、第1光信号は透過し、第2光信号の減衰量を調整する光減衰器が挿入されている、ことを特徴とする光通信システムである。
【0020】
1対多あるいは多対多の通信では、すべての光伝送路間に光減衰器が挿入されている必要はなく、特定の光伝送路間にのみ光減衰器が挿入されていてもよい。
【0021】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明において、光通信システムは、前記送信装置と前記受信装置との双方を有した複数の通信装置間で光通信を行うシステムであって、受信装置は、受信した第2光信号の光強度レベルが、所定のアラームしきい値よりも低いか否かを判定する手段と、第2光信号の光強度レベルがアラームしきい値よりも低いと判定された場合に、通信不良である旨の情報を含むアラーム信号である第2波長の第3光信号を生成するアラーム信号生成手段と、を有し、送信装置は、第1光信号を受信する時間スロット内において、第3光信号を送信する、ことを特徴とする光通信システムである。
【0022】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明において、1つの送信ノードと、複数の受信ノードで構成されるLANシステムであることを特徴とする光通信システムである。
【0023】
第6の発明は、第5の発明において、LANシステムは、車載LANシステムであることを特徴とする光通信システムである。
【0024】
第7の発明は、第6の発明において、車載LANシステムは、アイドル信号として第2光信号を割り当て、データ信号として第1光信号を割り当てたFlexRayプロトコルによる通信であることを特徴とする光通信システムである。
【0025】
第8の発明は、第1の発明から第4の発明において、光通信システムは、送信装置と受信装置との双方を有した2つの通信装置間で光通信を行うシステムであって、一方の通信装置が第1光信号を送信している間に、他方の通信装置が第2光信号を送信し、一方の通信装置が第2光信号を送信している間に、他方の通信装置が第1光信号を送信するように、第1光信号と第2光信号の時間スロットを相互に入れ替えることで、2つの通信装置間で全二重通信を行う、ことを特徴とする光通信システムである。
【発明の効果】
【0026】
第1の発明では、第1光信号と第2光信号とを波長多重と時分割多重によって送信しているので、第1光信号と第2光信号とをそれぞれ分離して受信することができ、また、第2光信号を第1光信号よりも先に受信することができる。そのため、第1光信号を受信する前に、第2光信号の光強度レベルから、第1光信号の論理レベルを判定するための弁別しきい値を生成することができ、通信のリアルタイム性を損なうことなく第1光信号からデータの復調を行うことができる。また、第2光信号を受信するたびに弁別しきい値を更新することになるため、送信ノードが変更、追加されるなどして、送信装置と受信装置間の損失に変化が生じ、第1、2光信号の光強度レベルが大きく変化したとしても、それに対応した最適な弁別しきい値が生成されて、第1光信号の通信品質を維持することができる。また、弁別しきい値は自動的に生成、設定されるため、通信品質の管理が容易である。したがって、本発明により信頼性、保守性、拡張性に優れた光通信システムを提供することができる。
【0027】
また、第2の発明によれば、第1光信号の受信の前に、第1光信号の変調強度を推定し、これによって弁別しきい値を生成することができるので、通信品質を高めることができる。
【0028】
また、第3の発明によれば、通信状態の確認や、通信品質の調整などを行うことができるので、より信頼性の高い光通信システムを実現することができる。また、送信装置や受信装置の設定値を変更しなくとも、光減衰器により第2光信号の減衰量を調整することで、弁別しきい値を変更することが可能であり、たとえば弁別しきい値を低く設定して光損失に対する余裕を大きくすることで、長距離伝送などに適応した光通信システムを実現させることが可能である。
【0029】
また、第4の発明によれば、他の通信装置に通信異常が生じていることを通知することができ、通信ネットワーク全体およびシステム機能の誤動作を防止することができる。
【0030】
また、第5の発明のように、本発明の光通信システムは、1つの送信ノードと、複数の受信ノードで構成されるLANシステムに適用可能であり、特に第6の発明のように、本発明の光通信システムは、通信のリアルタイム性や高い信頼性を要求される車載LANシステムに好適である。
【0031】
また、第7の発明のように、本発明の光通信システムは、FlexRayプロトコルによる車載LANシステムに容易に導入することができる。
【0032】
また、第8の発明のように、第1光信号の時間スロットと第2光信号の時間スロットを互いに入れ替えることで、2つの通信装置間で全二重通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1の光通信システムの構成を示した図。
【図2】通信装置の構成を示した図。
【図3】電気/光変換器21と光/電気変換器23の構成を示した図。
【図4】光信号1、2の時間波形を示した図。
【図5】光信号1、2の時間波形を示した図。
【図6】実施例2の光通信システムの構成を示した図。
【図7】光信号1、2の時間波形を示した図。
【図8】実施例3の光通信システムの構成を示した図。
【図9】送信信号1、2、光信号1、2の時間波形と、時間スロットとを示した図。
【図10】FlexRayプロトコルでの電気信号と光信号のフォーマットを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
図1は、実施例1の光通信システムの構成を示した図である。実施例1の光通信システムは、2つの通信装置A、Bと、通信装置A、B間を接続する光ファイバ10と、によって構成されている。光ファイバ10の他に光導波路を用いてもよく、光ファイバと光導波路を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
通信装置Aは、図2に示すように、通信器20と、電気/光変換器21と、光合分波器22と、光/電気変換器23と、によって構成されている。通信装置Bについても、通信装置Aと同様の構成である。
【0037】
通信器20は、電気信号である2つの送信信号1、2を電気/光変換器21に出力する手段を有している。送信信号1、2は、電圧レベルによって2値化された信号である。送信信号1、2は時分割多重化されており、送信信号2が先の時間スロットに割り当てられ、送信信号1がその後の時間スロットに割り当てられ、送信信号2と送信信号1とが交互に出力される。また通信器20は、光/電気変換器23からの電気信号である2つの受信信号1、2を受信する手段とを有している。
【0038】
電気/光変換器21は、通信器20からの2つの送信信号1、2を、それぞれ波長λ1の光信号1、波長λ2の光信号2に変換して出力する手段である。波長λ1と波長λ2は異なる波長である。また、光信号1、2は、それぞれ送信信号1、2で2値に光強度変調された信号である。光信号1、2も時分割多重化されており、波長λ2の光信号2が先の時間スロットであり、波長λ1の光信号1がその後の時間スロットである。
【0039】
光合分波器22は、電気/光変換器21からの光信号1、2を合波して光ファイバ10に出力し、光ファイバ10からの光信号を、波長λ1の光信号1と、波長λ2の光信号2とにそれぞれ分波して、光/電気変換器23に出力する。
【0040】
光/電気変換器23は、光合分波器22からの光信号1、2を、それぞれ電気信号である受信信号1、2に変換する手段である。
【0041】
図3は、電気/光変換器21と、光/電気変換器23のより詳細な構成を示した図である。
【0042】
電気/光変換器21は、図3のように、波長λ1の光を放射する発光素子30aと、波長λ2の光を放射する発光素子30bと、駆動回路31a、bと、アラーム信号生成回路32と、によって構成されている。発光素子30a、30bは、半導体レーザーやLEDなどである。
【0043】
駆動回路31aは、通信器20からの送信信号1に基づいて発光素子30aの発光強度を制御し、送信信号1によって強度変調された波長λ1の光信号1を生成する。
【0044】
駆動回路31bは、OR回路33を介して入力される通信器20からの送信信号2またはアラーム信号生成回路32からのアラーム信号S2に基づいて、発光素子30bの発光強度を制御し、送信信号2によって強度変調された波長λ2の光信号2、またはアラーム信号S2によって強度変調された波長λ2の光信号3を生成する。
【0045】
アラーム信号生成回路32は、後述する光/電気変換器23の信号比較回路43bからの制御信号に基づいて、通信不良であるという情報を含むアラーム信号S2を生成し、OR回路33を介して駆動回路31bに出力する。
【0046】
また、光/電気変換器23は、図3のように、波長λ1の光を受光する受光素子40aと、波長λ2の光を受光する受光素子40bと、前置増幅器41a、41bと、弁別しきい値生成回路42と、信号比較回路43a、43bと、波形整形回路44a、44bと、によって構成されている。
【0047】
受光素子40aは、波長λ1の光信号1を受光して電流信号に変換し、受光素子40bは、波長λ2の光信号2を受光して電流信号に変換する。受光素子40a、40bは、フォトダイオードやフォトトランジスタなどである。
【0048】
前置増幅器41a、41bは、受光素子40a、40bによって変換された電流信号をそれぞれ電圧信号に変換して出力する。
【0049】
信号比較回路43aは、前置増幅器41aからの電圧信号の強度レベルを検出し、弁別しきい値生成回路42によって生成された弁別しきい値と、前置増幅器41aからの電圧信号の強度レベルを比較し、強度レベルが弁別しきい値以上の高さであるか、弁別しきい値よりも低いかで2値化し、その2値化された信号をAND回路45を介して波形整形回路44aに出力する。
【0050】
信号比較回路43bは、前置増幅器41bからの電圧信号の強度レベルを検出し、その電圧信号の強度レベルを、所定のアラームしきい値と比較し、光信号2を受信する時間スロットにおける電圧信号の強度レベルがアラームしきい値以上の高さである場合には、AND回路45にハイレベルの出力信号S1を出力するとともに、そのまま電圧信号を波形整形回路44bへ出力する。そして、AND回路45への出力信号S1がハイレベルの場合には、信号比較回路43aの出力信号がAND回路45を通過して波形整形回路44aに入力される。一方、光信号2を受信する時間スロットにおける電圧信号の強度レベルがアラームしきい値より低い場合には、AND回路45にローレベルの出力信号S1を出力する。これにより、信号比較回路43aから波形整形回路44aへの信号の入力は、AND回路45によって遮断される。また、信号比較回路43bは、電気/光変換器21のアラーム信号生成回路32にアラーム信号S2を生成させるためのローレベルの出力信号S1をアラーム信号生成回路32に出力する。なお、波形整形回路44aへの信号の入力を遮断する替わりに、アラーム信号生成回路32が生成するアラーム信号S2を波形整形回路44bに出力してもよいし、両方の動作を行ってもよい。また、アラーム信号生成回路32は、光/電気変換器23内に設けるようにしてもよい。
【0051】
弁別しきい値生成回路42は、前置増幅器41bからの電圧信号の強度レベルを検出し、その電圧信号の強度レベルから、弁別閾値を生成する。
【0052】
波形整形回路44aは、信号比較回路43aからの信号の波形整形を行い、受信信号1を出力する。また、波形整形回路44bは、信号比較回路43bからの電圧信号の波形整形を行い、受信信号2を出力する。
【0053】
次に、実施例1の光通信システムにおいて、通信装置Aが送信、通信装置Bが受信する場合について説明する。
【0054】
通信装置Aは、通信器20で生成した送信信号1、2を、それぞれ波長λ1の光信号1、波長λ2の光信号2に変換し、光ファイバ10に出力する。図4は、通信装置Aから出力された光信号1、2の時間波形を示した図である。光信号1、2は時分割多重化されており、先の時間スロット2に光信号2が割り当てられ、次の時間スロット1に光信号1が割り当てられ、光信号2と光信号1が交互に送信される。時間スロット1、2のスロット長は固定でもよいが、通信状態などに応じて可変とするようにしてもよい。光信号1、2は、送信信号1、2によって強度変調されたハイレベルとローレベルの2値信号である。また、光信号2は、割り当てられた時間スロット2においては、常にハイレベルでデータのない信号であり、時間スロット1においては常時ローレベルである。このように、時間スロット1においても光信号2を常時出力することで、通信装置A、B間の伝送状態の把握等を行う。なお、光信号2にはデータを乗せていないが、データを乗せてもよい。また、光信号1は、割り当てられた時間スロット1においては、送信信号1によって強度変調されたハイレベルとローレベルの2値を取るデータ信号であり、時間スロット2においては、常時ローレベルである。
【0055】
また、送信時の光信号1の変調強度レベル(ハイレベルとローレベルとの強度差)ΔP1と、送信時の光信号2の変調強度レベルΔP2の比α(=ΔP1/ΔP2)は、一定の値となるように設定する。
【0056】
通信装置Aから送信された光信号1、2は、光ファイバ10を伝送し、通信装置Bにおいて受信される。図5は、通信装置Bが受信する光信号1、2の時間波形を示した図である。光信号1、2は、共通の光ファイバ10によって伝送されるので、それぞれの光損失はほぼ等しくなる。したがって、受信時の光信号1の変調強度レベルΔP1’と、受信時の光信号2の変調強度レベルΔP2’の比ΔP1’/ΔP2’は、α(=ΔP1/ΔP2)と等しいとみなせる。なお、波長λ1および波長λ2に対する光ファイバ10の光損失が異なる場合には、その損失比(光信号2の光損失に対する光信号1の光損失)をβとして、βをαに乗じて補正すればよい。
【0057】
通信装置Bでは、光信号1と光信号2がそれぞれ分離されて受信される。受信された光信号1、2は、次のようにして受信信号1、2に変換される。光信号1、2は、光信号2を先、光信号1を後として時分割多重化されているので、通信装置Bは、先に光信号2を受信する。光信号2は、光/電気変換器23における受光素子40b、前置増幅器41bによって電圧信号に変換された後、信号比較回路43bと弁別しきい値生成回路42に入力される。
【0058】
信号比較回路43bでは、光信号2から変換された電圧信号の受信レベルが検出され、その受信レベルと、アラームしきい値が比較される。受信レベルがアラームしきい値以上の高さであれば、ハイレベルの出力信号S1をAND回路45に出力するとともに、電圧信号はそのまま波形整形回路44bに出力され、波形整形回路44bによって波形整形された後、受信信号2として出力され、通信器20に入力される。受信レベルがアラームしきい値より低い場合には、通信不良と判断され、信号比較回路43bはローレベルの出力信号S1をAND回路45に出力し、信号比較回路43aから波形成形回路44aへの電圧信号の入力をAND回路45において遮断し、受信信号1が通信器20に入力されないようにする。これにより、データ誤りの多い受信信号1が通信器20に入力されてしまうのを防止することができる。さらに、信号比較回路43bから電気/光変換器21のアラーム信号生成回路32にローレベルの出力信号S1が出力され、その出力信号S1に基づいて、アラーム信号生成回路32において通信不良であるという情報を含むアラーム信号S2が生成される。アラーム信号S2はOR回路33を介して駆動回路31bに入力され、アラーム信号S2で光強度変調された波長λ2の光信号3が生成され、その光信号3は、通信装置Bにおいて波長λ1の光信号1を受信している時間スロット1内において、通信装置Aに送信される。これにより、通信異常が生じていることを通信装置Aに通知することができ、通信ネットワークおよびシステム機能の誤動作防止に有用である。
【0059】
信号比較回路43aから波形成形回路44aへの電圧信号の入力を遮断するのに替えて、アラーム信号生成回路32で生成されたアラーム信号S2を波形整形回路44bに出力してもよいし、ローレベルの出力信号S1をアラーム信号替わりに波形整形回路44bに出力するようにしてもよい。
【0060】
なお、波長λ2を緑や赤などの可視光波長域とし、アラーム信号で光強度変調された波長λ2の光信号を目視によって確認できるようにすることで、光通信システムの保守、管理等を容易にすることも可能である。
【0061】
一方、弁別しきい値生成回路42においては、その光信号2から変換された電圧信号の受信レベルを検出し、その受信レベルから、変調強度レベルΔP2’を検出する。また、α(=ΔP1/ΔP2)が既知であることを利用し、ΔP1’=α*P2’=ΔP1*ΔP2’/ΔP2によって、受信時の光信号1の変調強度レベルΔP1’を推定する。この推定されたΔP1’に応じて、弁別しきい値生成回路42は弁別しきい値を生成する。たとえば、推定されたΔP1’に比例する値を弁別しきい値とする。このように、光信号1の受信前に、受信時の光信号1の変調強度レベルΔP1’を推定することができ、その推定されたΔP1’に応じて、高い通信品質を維持するのに適した弁別しきい値を逐次生成することができる。
【0062】
通信装置Bは、光信号2の受信の後、光信号1を受信する。光信号1は、光/電気変換器23における受光素子40a、前置増幅器41aによって電圧信号に変換された後、信号比較回路43aに入力される。信号比較回路43aでは、前置増幅器41aからの電圧信号の受信レベルが検出され、その受信レベルと弁別しきい値が比較される。そして、受信レベルが弁別しきい値以上の高さであるか否かで2値化され、その2値化された信号が波形整形回路44aに出力され、波形整形回路44aによって波形整形された後、受信信号2として通信器20に出力される。ただし、前述のように、信号比較回路43bにおいて通信不良であると判断されている場合には、信号比較回路43aから波形整形回路44aへの信号の入力はAND回路45において遮断され、通信器20には受信信号1が入力されず、誤データの受信が防止される。
【0063】
ここで、光信号1を弁別するための弁別しきい値として、光信号2の受信レベルに応じた適切な値を用いており、また、その弁別しきい値は、光信号1を受信する前に設定されるため、通信のリアルタイム性を損なうことなく光信号1の通信品質を高めることができる。
【0064】
また、光信号2を受信するたびに、光信号1を弁別するための弁別しきい値が更新されるため、通信装置A、B間の損失に変化が生じ、光信号1、2の光強度レベルが大きく変化したとしても、それに対応した最適な弁別しきい値が生成されて、光信号1の通信品質を維持することができる。したがって、信頼性、保守性、拡張性に優れた光通信システムを提供することができる。
【0065】
以上のように、実施例1の光通信システムでは、波長λ2の光信号2を先の時間スロットに割り当て、波長λ1の光信号1を後の時間スロットに割り当てて時分割多重化することで、光信号1を受信する前に光信号2を受信できるようにし、光信号1を受信する前に光信号2の受信レベルに応じて光信号1を弁別するための弁別しきい値を設定することができるので、通信のリアルタイム性を損なうことなく光信号1の通信品質を向上させることができ、通信品質の管理を容易にすることができる。
【0066】
この実施例1の光通信システムは、光信号2に比べて光信号1の方が通信品質の優先度が高い場合に特に有効である。たとえば、光信号2と比べて光信号1の方が高い信号品質を求められる場合(符号誤り率が高い場合)や、光信号2と比べて光信号1の方が外来ノイズなどに弱い場合(伝送速度が高い場合)、光信号1を発生させる発光素子30aとして半導体レーザ、光信号2を発生させる発光素子30bとしてLEDを用いる場合、などである。また、光信号1よりも優先度の低い光信号2とは、たとえば、低速の制御信号や、動作状態の確認や診断のための信号、などである。実施例1の光通信システムでは、光信号2の光強度を参照に、光信号1の弁別しきい値を最適化することができ、光信号1の通信品質を優先的に高めることができる。
【0067】
なお、通信装置Aが波長λ1の光信号1を送信している間に通信装置Bが波長λ2の光信号2を送信し、ついでこれを入れ換えて、通信装置Aが波長λ2の光信号2を送信している間に通信装置Bが波長λ1の光信号1を送信するように、光信号1の時間スロットと光信号2の時間スロットを相互に入れ替えることで、実施例1の光通信システムにおいて、通信装置A、B間で全二重通信を実現することも可能である。
【0068】
また、実施例1の光通信システムでは、波長λ2の光信号2の受信レベルから、光信号1を弁別するための弁別しきい値を生成しているが、波長λ2の光信号2を弁別するための弁別しきい値を、同様の手法により生成してもよい。つまり、波長λ1の光信号1の受信レベルから弁別しきい値を生成して波長λ2の光信号2の弁別を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0069】
図6は、実施例2の光通信システムの構成を示した図である。実施例1の光通信システムとの違いは、通信装置A、B間を接続する光伝送路の構成にある。実施例2の光通信システムでは、中継コネクタ101a、101bによって接続された光ファイバ100で通信装置A、B間が接続されており、中継コネクタ101aと中継コネクタ101bとの間の区間の光ファイバ100に光減衰器200が挿入されている。光減衰器200は、波長λ1の光信号1は透過し、波長λ2の光信号2は減衰させるものであり、波長λ2の光の減衰量は任意の量に調整することができる。
【0070】
この実施例2の光通信システムでは、光減衰器200によって波長λ2の光信号2を定量的に減衰させていくことでアラーム信号を発生させ、アラーム信号発生時の光減衰器200による光信号2の減衰量から、通信装置A、B間の光伝送損失を推定することができる。これにより、光通信リンクの動作確認や、通信品質を確保するための光損失余裕値などの検査を行うことができる。
【0071】
また、この実施例2の光通信システムでは、図7に示す光信号1、2の時間波形のように、光減衰器200による光信号2の減衰によって光信号2の変調強度レベルΔP2を減少させ、受信時の光信号2の変調強度レベルP2’を減少させることで、通信装置A、Bの設定値を変更することなく、光信号1を弁別するための弁別しきい値を低く変更することができる。これにより、外来ノイズなどを受けない場合等では、通信品質が許容される範囲で弁別しきい値を低く設定して、光損失に対する余裕を大きくし、長距離伝送などに適応させることができる。
【実施例3】
【0072】
図8は、実施例3の光通信システムの構成を示した図である。実施例3の光通信システムは、通信装置A〜Hと、光ファイバ300と、2つのスターカプラ301a、301bと、によって構成されている。2つのスターカプラ301a、301b間は、光ファイバ300によって中継コネクタ302を介して接続されており、スターカプラ301aを中心に通信装置A、B、G、Hが光ファイバ300によって中継コネクタ302を介して放射状に接続されていて、スターカプラ301bを中心に通信装置C〜Fが光ファイバ300によって中継コネクタ302を介して放射状に接続されている。各通信装置A〜Hの構成は、実施例1の通信装置A、Bと同様である。
【0073】
この実施例3の光通信システムは、時分割多元接続方式によって、通信装置A、B、C、D、・・・の順に送信ノードを変更して1対多の通信を行うLANシステムである。以下、通信装置B〜Eからの光信号を通信装置Aが順に受信する場合を説明する。
【0074】
図9(a)は、各通信装置B〜Eにおいて生成される送信信号1、2、およびそれを変換した光信号1、2の時間波形を示している。また、図9(b)は、通信装置Aが受信する各通信装置B〜Eからの光信号1、2、およびそれを変換した受信信号1、2の時間波形を示している。また、図9(c)は、時間スロットを示している。図9(c)のように、通信装置Bの送信スロット、通信装置Cの送信スロット、・・・、の順に時分割されており、通信装置Bの送信スロットは、さらにB1、B2の2つに分割されている。通信装置Bの送信信号は、先の送信スロットB1に送信信号2が割り当てられ、後の送信スロットB2に送信信号1が割り当てられて、時分割多重化されている。送信信号1、2は、実施例1と同様に、それぞれ光信号1、2に変換され、先の送信スロットB1に光信号2、後の送信スロットB2に光信号1を割り当てた時分割多重、波長多重で通信装置Bから送信される。他の通信装置C〜Eの送信スロットも同様に2分割されており、送信信号、光信号も同様に時分割多重化されている。また、各通信装置B〜Eからの光信号1、2の送信レベルは、図9(a)のようにそれぞれ異なっている。
【0075】
通信装置Aでは、各通信装置B〜Eからの光信号をこの順に受信する。前述のように光信号1、2が時分割多重化されているので、各通信装置B〜Eからの光信号の受信において、先に光信号2を受信する。各各通信装置B〜Eにおいて、光信号2の受信レベルとアラームしきい値が比較される。光信号2の受信レベルがアラームしきい値よりも高い通信装置B、C、Eにおいては、受信した光信号2の変調強度レベルから、光信号1の変調強度レベルが推定され、その推定された光信号1の変調強度レベルに応じて、高い通信品質を維持するのに適した光信号1の論理レベルを判定する弁別しきい値が生成される。そして、その弁別しきい値によって光信号1の論理レベルが判定されて、光信号1が受信信号1に変換される。ここで、弁別しきい値は、通信装置B、C、Eからの光信号2の受信のたびに、最適な値に自動的に更新設定される。そのため、送信ノードが順次入れ替わっても高い通信品質を維持、管理することができる。
【0076】
一方、光信号2の受信レベルがアラームしきい値よりも低い通信装置Dについては、受信信号1の出力を停止し、誤ったデータを受信してしまうことを防止する。さらに、光信号1を受信する時間スロットD2において、通信不良である旨の情報を含むアラーム信号である波長λ2の光信号3を、通信装置D以外の通信装置に送信し、通信異常が生じていることを通知する。この光信号3を受信する通信装置D以外の通信装置は、光信号3を復調してアラーム信号を検出することができる。そして通信装置D以外の通信装置は、通信装置Dに対してデータを送信しない、データの再送信を行う、などの対応を取る。これによって、通信ネットワーク全体、およびシステム機能の誤動作を防止することができる。
【0077】
実施例3の光通信システムでは、中継コネクタ302、スターカプラ301a、301b、光ファイバ300の長さ、光ファイバ300の曲げなどによって、通信装置Aと各通信装置B〜Hとの間の伝送損失がそれぞれ異なっており、通信装置Aにおける各通信装置B〜Hからの光信号の受信レベルはそれぞれ異なっている。しかし、そのような場合であっても、実施例3の光通信システムでは、各通信装置からの光信号の受信ごとに、各受信レベルに応じた最適な弁別しきい値が設定されるため、高い通信品質が維持され、安定した通信を行うことができる。また、実施例1と同様に、通信のリアルタイム性を損なうことはない。
【0078】
以上のように、本発明は多ノード間のLANシステムのような通信システムにも有効であり、特に通信のリアルタイム性が要求される車載LANシステムに好適である。
【0079】
この実施例3の光通信システムは、FlexRayプロトコルによる車載LANシステムに、以下のようにして容易に適用することができる。
【0080】
図10(a)は、FlexRayプロトコルでの電気信号(バス信号)のフォーマットを示している。図10(a)のように、データフレームの前後にアイドル時間が設けられた構成となっている。図10(b)は、図10(a)のフォーマットに対応させて示したFlexRayプロトコルでの電気信号の時間波形である。図10(b)のように、FlexRayプロトコルでの電気信号は、ハイレベルのデータ信号であるData_1、ローレベルのデータ信号であるData_0、アイドル信号であるIdleの3値を取る電気信号である。図10(c)は、図10(b)FlexRayプロトコルでの電気信号の時間波形に対応した、光信号の時間波形である。図10(c)のように、FlexRayプロトコルでの電気信号におけるData_0、Data_1に対して、実施例3の光通信システムにおける波長λ1の光信号1を対応させ、FlexRayプロトコルでの電気信号におけるIdleとして、実施例3の光通信システムにおける波長λ2の光信号2を対応させることで、FlexRayプロトコルによる光通信システムを容易に実現することができる。
【0081】
なお、実施例1〜3では、光信号1を2値に光強度変調された信号とし、光信号2の光強度変化から弁別しきい値を1つ生成して、受信した電気信号を2値に判定しているが、光信号1を3以上の多値に光強度変調された信号としてもよい。その場合は、光信号2の光強度変化から複数の弁別しきい値を生成し、複数の弁別しきい値によって多値の判定を行うようにすればよい。
【0082】
また、実施例3では複数の通信装置を光ファイバによって接続するネットワーク構成をスター型としているが、本発明の光通信システムは、スター型以外にもバス型やリング型、それらを組み合わせた構成など任意のトポロジーに適用可能である。
【0083】
また、実施例3では、時分割多元接続方式によって1対多の通信を実現しているが、符号分割多元接続方式などによって1対多の通信を実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の光通信システムは、高い信頼性と通信のリアルタイム性を要求される車載LANに好適であり、特にFlexRayプロトコルによる車載LANに好適である。
【符号の説明】
【0085】
A〜H:通信装置
10、100:光ファイバ
20:通信器
21:電気/光変換器
22:光合分波器
23:光/電気変換器
30a、30b:発光素子
31a、31b:駆動回路
32:アラーム信号生成回路
40a、40b:受光素子
41a、41b:前置増幅器
42:弁別しきい値生成回路
43a、43b:信号比較回路
44a、44b:波形整形回路
200:光減衰器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と、受信装置と、前記送信装置と前記受信装置との間に接続された光伝送路と、を備え、前記光伝送路を介して前記送信装置と前記受信装置との間で光通信を行う光通信システムにおいて、
前記送信装置は、
強度変調された第1波長の第1光信号と、強度変調された、前記第1波長とは異なる波長である第2波長の第2光信号とを、先の時間スロットに前記第2光信号、後の時間スロットに前記第1光信号として時分割多重化して送信する送信手段を有し、
前記受信装置は、
前記第1光信号と前記第2光信号とを分離して受信し、先に受信した前記第2光信号の光強度レベルから、前記第1光信号の論理レベルを判定するための弁別しきい値を生成し、その弁別しきい値をもとに、前記第1光信号の論理レベルを判定する受信手段を有する、
ことを特徴とする光通信システム。
【請求項2】
前記送信装置は、前記第1光信号の変調強度レベルと、前記第2光信号の変調強度レベルの比αを一定とし、
前記受信装置は、前記比αと受信した前記第2光信号の変調強度から、その後に受信する前記第1光信号の変調強度を推定し、その推定された前記第1光信号の変調強度から、前記弁別しきい値を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記光伝送路には、前記第1光信号は透過し、前記第2光信号の減衰量を調整する光減衰器が挿入されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記光通信システムは、前記送信装置と前記受信装置との双方を有した複数の通信装置間で光通信を行うシステムであって、
前記受信装置は、
受信した前記第2光信号の光強度レベルが、所定のアラームしきい値よりも低いか否かを判定する手段と、
前記第2光信号の光強度レベルが前記アラームしきい値よりも低いと判定された場合に、通信不良である旨の情報を含む前記アラーム信号である第2波長の第3光信号を生成するアラーム信号生成手段と、を有し、
前記送信装置は、前記第1光信号を受信する時間スロット内において、前記第3光信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項5】
1つの送信ノードと、複数の受信ノードで構成されるLANシステムであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項6】
前記LANシステムは、車載LANシステムであることを特徴とする請求項5に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記車載LANシステムは、アイドル信号として前記第2光信号を割り当て、データ信号として前記第1光信号を割り当てたFlexRayプロトコルによる通信であることを特徴とする請求項6に記載の光通信システム。
【請求項8】
前記光通信システムは、前記送信装置と前記受信装置との双方を有した2つの前記通信装置間で光通信を行うシステムであって、
一方の前記通信装置が前記第1光信号を送信している間に、他方の前記通信装置が前記第2光信号を送信し、一方の前記通信装置が前記第2光信号を送信している間に、他方の前記通信装置が前記第1光信号を送信するように、前記第1光信号と前記第2光信号の時間スロットを相互に入れ替えることで、2つの前記通信装置間で全二重通信を行う、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−205508(P2011−205508A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72163(P2010−72163)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】