説明

光通信用アダプタ

【課題】 指向性を向上させて安定して通信を行うことのできる光通信用アダプタを提供する。
【解決手段】 光通信用アダプタ30は、カメラ10等の第1の機器と、テレビ20等の第2の機器との間を光信号で通信する。第1の機器からの出力信号光を第2の機器に投光するために、第1の機器からの信号光の出力方向を第1反射部32によって変更している。また、出力方向を目視確認するために、受光部19aの像を第2反射部33で反射し、窓部36を通して目視確認するための視野制限マスク34を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信用アダプタに関し、詳しくは、カメラ等の第1の機器から、テレビ等の第2の機器に光通信で信号を送信する際に使用する光通信用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
写真技術がデジタル化されるに伴って、デジタル画像ならではの楽しみ方が、登場してきている。例えば、撮影画像を逐次再生するスライドショーがあり、画像と共に音楽を流すなどの改良がなされ、カメラにもスライドショーの機能が搭載されてきている。しかし、スライドショーは、カメラに設けられている液晶画面で鑑賞しても、画面が小さいため十分楽しむことができず、一般ユーザーにはあまり普及してはいない。
【0003】
そこで、テレビのような大画面でスライドショーを楽しむことが考えられ、この場合に、テレビとカメラとの間で画像通信が必要になる。画像通信として、面倒な接続を不要にできるものとして、無線で信号を送る技術があり、特に赤外線を利用するものが知られている。赤外線で送受信を行う場合には、集光用のレンズが必要であり、これが小さいと通信距離が短く、大きくするとデザイン上の制約が大きくなる。また、指向性の問題があり、広範囲の指向性を持たせると、送信側のパワーは弱くなり、また、狭範囲の指向性を持たせると、パワーは強くなるが機器が少しでも傾くと正しい画像を送信することができなくなる。
【0004】
赤外線による通信には上述のような特性があり、これらの特性を考慮して、例えば、特許文献1には、赤外線送受光部からの送信または受信の方向を任意に可変できるように、赤外線送受光部の近傍に、任意の方向に送受信可能にする反射体を配置した電子機器が開示されている。また、特許文献2には、光ノイズの入射を制限し、光ノイズの影響を提言するために、光ノイズを減衰させる光量調整フィルタを備えた光リモコン受信器が開示されている。
【特許文献1】特開2000−105643号公報
【特許文献2】特開平7−298374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように特許文献1、2には、赤外線の指向性やパワーの問題について改良しているが、赤外線は、裸眼では目視できず、指向性を向上させながら、正しく機器を通信させることは、困難であった。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、指向性を向上させて安定して通信を行うことのできる光通信用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる光通信用アダプタは、第1の機器と第2の機器との間を光信号で通信するための光通信用アダプタであって、上記第1の機器からの出力信号光を上記第2の機器に投光するために、上記第1の機器からの信号光の出力方向を変更する光学部と、上記出力方向を目視確認するための指標部と、を備える。
【0008】
第2の発明に係わる光通信用アダプタは、上記第1の発明において、上記光学部は上記第1の機器からの信号光を反射して上記第2の機器に投光するための第1の反射部を有し、上記指標部は上記信号光が上記第2の機器の受光部に投光されるとき、上記受光部からの反射光が眼に導かれるように調整された第2の反射部を有する。
第3の発明に係わる光通信用アダプタは、上記第1の発明において、上記第1の反射部と上記第2の反射部は一体となって、ヒンジ部を介してアダプタ本体に対して回動可能となっている。
【0009】
第4の発明に係わる光通信用アダプタは、上記第1の発明において、上記第1の機器はカメラであり、上記第2の機器は上記カメラで撮影した画像を表示する表示機器である
を行う。
第5の発明に係わる光通信用アダプタは、上記第1の発明において、上記指標部は、上記第2の機器の受光部の像と位置あわせを行う。
第6の発明に係わる光通信用アダプタは、上記第1の発明において、上記光学部は、平面状の反射鏡もしくは凸面鏡を含む。
【0010】
第7の発明に係わる光通信用アダプタは、第1の機器と第2の機器との間を光信号で通信するための光通信用アダプタであって、上記第1の機器からの出力信号光を上記第2の機器に投光するために、上記第1の機器からの信号光の出力方向を変更する第1の光学部と、上記第2の機器の上記出力信号光の受光部の像を目視確認するための第2の光学部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、指向性を向上させて安定して通信を行うことのできる光通信用アダプタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に従って本発明を適用した光通信用アダプタを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係わるアダプタ30を取り付けたカメラ10とテレビ20とからなるシステムの構成を示すブロック図である。カメラ10は被写体を撮影し、画像を取得するデジタルカメラである。カメラ10は、制御部1、撮影部2、スイッチ部3、画像記録部5、表示部8、画像送信部9を有している。
【0013】
制御部1は、CPU等により構成され、カメラ10の全体制御を行う。撮影部2は、被写体像を結像するための光学系、被写体像を光電変換する撮像素子、この撮像素子から出力される信号を処理する画像処理部等を含み、画像データを出力する。
【0014】
画像記録部5は、撮影部1から出力される画像データを圧縮処理の上、記録する。表示部8は、カメラ本体の背面に配置される液晶モニタ等によって構成され、画像記録部2に記録されている画像の再生表示や、撮影部2から出力される画像データに基づいてライブビュー等の表示を行う。
【0015】
スイッチ部3は、レリーズ釦、再生釦、メニューモード設定部材、十字釦、ズーム操作部材等の操作部材にそれぞれ連動してオンオフする複数のスイッチである。ここで、再生釦は、カメラ10の背面に設けられている。また、メニューモード設定部材は、メニューモードの設定のための操作部材であり、スライドショーや、またテレビ送信モードは、このメニューモードの中で設定する。前述の制御部1は、スイッチ部3を介してレリーズ釦や再生釦が操作されたことを検出すると、操作部材の操作に応じた制御を実行する。画像再生は、表示部8以外にも他の機器においても画像送信部9を介して送信することにより可能である。
【0016】
画像送信部9は赤外線による画像信号の送信部であり、赤外発光素子や投光用のレンズ等を含み、画像記録部5に記録された画像等を、外部の機器、例えばテレビに赤外通信により送信する。このときの赤外線通信によって、送信範囲11の範囲で赤外光が投射される。
【0017】
表示用の外部機器としてのテレビ20は、再生部17、表示部18、画像受信部19を有している。画像受信部19は、受光用の集光レンズや受光素子等を含み、受光範囲21の範囲内で、カメラ10の画像送信部9から赤外通信によって送信されてきた画像データを受信する。再生部17は、画像受信部19において受信した画像データを再生する。表示部18は、再生部17において再生された画像を表示する。
【0018】
カメラ10には、光通信用のアダプタ30が取り付け可能となっている。アダプタ30は、画像送信部9から送信される赤外通信光の送信範囲11を、テレビ20の画像受信部19の受光範囲21の範囲内に入るように調整を行う。
【0019】
すなわち、赤外線通信は、遠距離まで届かせようとすると、投光用や受光用のレンズが大型化してデザインに制約を与え、電力の浪費が大きくなる等の問題がある。また、赤外線通信を行うには、送信範囲11と受光範囲21を合わせる必要もあり、カメラ10とテレビ20の位置関係に著しい制約を生じさせがちである。
【0020】
つまり、図3(a)に示すように、操作者がカメラ10を手に持ち、テレビ20に向かって送信する場合はよいが、スライドショーで、順次、画像を送る場合などは、カメラ10をテレビ20に向けて持ち続ける必要があり、手が疲れてしまうという問題があった。この場合、図3(b)に示すように、カメラ10を床に置いたままにしておきたいが、これではカメラ10の送信範囲11とテレビ20の受光範囲21が一致せず、信号が正しく送信されない。
【0021】
図3(b)に示すように、カメラ10を床に置いた状態で通信するために、カメラ10を傾ければよいが、これではカメラ10の姿勢が不安定になり、カメラ10の背面のスイッチの操作などが困難になる、そこで、本実施形態では、アダプタ30を設けて、矢印Aに示す通信ラインとなるようにすることにより、効率よく、画像送信部9から送信された赤外線を、画像受信部19に入力できるようにしている。
【0022】
次に、本実施形態におけるアダプタ30の構成について、図2を用いて説明する。図2(a)はカメラ10をアダプタ30上に載置した状態における側面図であり、図2(b)は同状態における平面図である。アダプタ30はカメラ10の受け台部30aと、受け台部30aの側部から立ち上がっている投光受光部30bとから構成されている。
【0023】
アダプタ30の受け台部30aの上面には、カメラ受け部35が設けられており、カメラ10はカメラ受け部35に載置される。このカメラ受け部35は、カメラ10の撮影レンズ2aを傷めないように、またカメラ10を水平に保持するものである。反射部30b内であって、カメラ10内の画像送信部9を構成する赤外発光素子9aの投射光の光軸に対して斜めに第1反射部32が配置されている。
【0024】
第1反射部32からの反射光が射出する位置に、集光用のレンズ31が設けられている。また、このレンズ31は、後述するように画像受信部19の受光部19aの像を受光する。したがって、レンズ31は、集光作用を有する投光用レンズ31aと受光用レンズ31bから構成される。
【0025】
また、アダプタ30の反射部30b内には、上述の第1反射部32に交わるような角度で第2反射部33が配置されている。この第2反射部33は、受光用レンズ31bを介して受光した受光部19aの像を反射部30bの上面の窓部36に反射し、ユーザーの目Eに導く。
【0026】
反射部30bの上面であって、窓部36よりカメラ10側には、視野制限マスク34が配置されている。この視野制限マスク34は、ユーザーが受光部19aの像を見る位置を制限し、指標部としての作用を行う。
【0027】
このように、アダプタ30は構成されているので、カメラ10を図3(b)に示すような低位置に置いた状態であっても、テレビ20の受光部19aに赤外通信によって画像データを送信することができる。すなわち、画像送信部9の赤外発光素子9aから投射された赤外光は第1反射部32によって反射され、投光用レンズ31aを介して、テレビ20の受光部19aに集光投光される。つまり、赤外光が第1反射部32によって上方に反射されることから、カメラ10を低位置においても、テレビ20に赤外光を送信することができ、また、レンズ31によって集光されることから、距離を稼ぐこともできる。
【0028】
しかし、集光することにより、送信範囲11が狭まることから、少しの角度のずれによっても通信を行うことができなくなる。そこで、本実施形態においては、赤外光がテレビ20の受光部19aを向くようにユーザーが調整できるように第2反射部33を設けている。
【0029】
すなわち、カメラ10の赤外光がテレビ20の受光部19aに投射されている場合には、テレビ20の受光部19aの像は、レンズ31の受光用レンズ31bを介して第2反射部33において反射され、窓部36を通してユーザーの目Eに入る。一方、カメラ10の赤外光がテレビ20の受光部19aに投射されていない場合には、第2反射部33において、反射された受光部19aの像は、視野制限マスク34の働きによってユーザーの目Eには入らない。そこで、ユーザーは、窓部36を通して、テレビ20の受光部19aの像が見えるように、アダプタ30の向きを調整すれば良い。
【0030】
次に、カメラ10の制御動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。カメラ制御のフローに入ると、まず、撮影モードに設定されているか否かの判定を行う(S1)。ステップS1における判定の結果、撮影モードが設定されていた場合には、ズーム制御か否かの判定を行う(S2)。このステップでは、ズーム操作部材に連動するスイッチ部3の状態を検出する。
【0031】
ステップS2における判定の結果、ズーム操作がなされていた場合には、スイッチ部3の状態に応じて、テレ側またはワイド側へズーム制御を行う(S3)。ズーム制御が終わると、または、ステップS2における判定の結果、ズーム操作がなされていなかった場合には、レリーズ操作がなされ撮影を行うか否かの判定を行う(S11)。このステップでは、レリーズ釦に連動するスイッチ部3の状態を検出する。
【0032】
ステップS11における判定の結果、レリーズ操作がなされていなかった場合には、リターンし、ステップS1から実行する。なお、以下「リターン」とは、ステップS1に戻る処理を意味するものとする。一方、ステップS11における判定の結果、レリーズ操作がなされていた場合には、撮影と記録を行う(S12)。すなわち、撮影部2によって画像データを取得し、この取得した画像データを画像記録部5に記録する。撮影および記録が終わると、リターンし、ステップS1から実行する。
【0033】
ステップS1における判定の結果、撮影モードではなかった場合には、再生モードか否かの判定を行う(S21)。このステップでは、再生釦に連動するスイッチ部3の状態を検出し判定する。ステップS21における判定の結果、再生モードではなかった場合には、ステップS1に戻り、一方、再生モードであった場合には、選択された撮影画像の再生表示を行う(S22)。
【0034】
続いて、スライドショーが選択されたか否かの判定を行う(S23)。前述したように、メニューモードにおいて、スライドショーの設定が可能であり、このステップでは、この設定がなされているか否かを判定する。スライドショーは、順次、画像が自動的に切り替えられて再生表示されるモードである。
【0035】
ステップS23における判定の結果、スライドショーが設定されていた場合、テレビ送信を行うか否かの判定を行う(S31)。前述したように、メニューモードにおいて、テレビ送信モードの設定が可能であるので、ここでは、この設定がなされているか否かを判定する。
【0036】
ステップS31における判定の結果、テレビ送信の設定がなされていた場合には、テレビ送信を行う(S32)。このテレビ送信では、スライドショーで再生表示する1駒分の画像データを、画像送信部9からアダプタ30を介して、テレビ20の受信部19aに送信し、テレビ20は表示部18に受信した画像を再生表示する。
【0037】
ステップS32において、1駒分の画像データを送信すると、またはステップS31における判定の結果、テレビ送信ではなかった場合には、スライドショーにおける画像が最後になったか、すなわち終了か否かを判定する(S33)。ステップS32における判定の結果、終了でなかった場合には、画像の変更再生を行う(S34)。すなわち、スライドショーにおける次の画像に変更し、これを表示部8に再生表示する。画像の変更再生を行うと、ステップS31に戻る。ステップS32における判定の結果、終了であった場合には、リターンし、ステップS1から実行する。
【0038】
ステップS23における判定の結果、スライドショーが設定されていなかった場合には、ステップS22で選択された画像が表示されたままである。続いて、ステップS31と同様に、テレビ送信を行うかを判定する(S24)。
【0039】
ステップS24における判定の結果、テレビ送信を行う場合には、ステップS22において選択された画像データを、画像送信部9からアダプタ30を介して、テレビ20の受信部19aに送信し、テレビ20は表示部18に受信した画像を再生表示する。ステップS25におけるテレビ送信が終わると、またはステップS24における判定の結果、テレビ送信でなかった場合には、リターンし、ステップS1から実行する。
【0040】
ステップS32、S34において、撮影画像が順次、再生表示される場合には、従来のやり方では、スライドショーの再生期間中、図3(a)に示すように、カメラ10をテレビ20に向けて保持する必要があった。しかし、本実施形態におけるアダプタ30を用いることによって、図3(b)に示すように、カメラ10を床やテーブルの上に置いておくだけでよく、鑑賞者はリラックスして画像鑑賞を行うことができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。図5(a)はカメラ10をアダプタ30上に載置した状態における側面図であり、図5(b)は同状態における平面図である。第1実施形態においては、第1反射部32の形状は平面形状であり、レンズ31によって集光していたが、第2実施形態においては、第1反射部を凹面鏡32Aとし、レンズ31aを省略している。本実施形態においては、カメラ10、テレビ20からなるシステムは第1実施形態と同様であり、相違するアダプタ30を中心に説明する。
【0042】
画像送信部9の赤外発光素子9aから投射された赤外線は、凹面鏡32Aによって集光され、反射される。この反射光は、テレビ20の画像受信部19の受光部19aによって受光される。また、受光部19aの像は、レンズ31bを介して第2反射部33で反射され、ユーザーの目Eに導かれる。この場合、赤外線が受光部19aに正しく向かっていない場合には、ユーザーの目Eの位置では、受光部19aの像を確認することができないので、受光部19aの像を確認できるように、アダプタ30の向きを調整する。
【0043】
このように、本発明の第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、カメラ10を載置したアダプタ30によって、光通信用の赤外線を反射してテレビ20に伝達するようにしているので、図3(a)に示すように、ユーザーがカメラ10を持ち続ける必要はなく、図3(b)に示すように、床等に置いたままで、スライドショー等を楽しむことができる。また、指標部としての作用を有する視野制限マスク34や、第2反射部33の作用により、アダプタ30の位置調整を簡単に行うことができ、安定した通信を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態においては、凹面鏡32Aを採用したことにより、集光用のレンズ31aを省略することができる。勿論、集光用レンズ31aを配置しても良く、その場合には、第1実施形態に比較し、さらに集光力を向上させることができる。
【0045】
次に、本発明の第3実施形態について、図6を用いて説明する。第1および第2実施形態においては、第1反射部32、第2反射部33、凹面鏡32Aは、アダプタ30の反射部30bに固定されていたが、第3実施形態においては、これらの反射部30bを一体とし、ヒンジ部37を設け、折りたたんで収納可能としている。本実施形態においては、カメラ10、テレビ20からなるシステムは第1実施形態と同様であり、相違するアダプタ30を中心に説明する。
【0046】
アダプタ30は、受け台部30aと反射部30bとから構成されており、両者はヒンジ部37によって回動可能となっている。反射部30bは、平面状の第1反射部32Bと、平面状の第2反射部33Bとから構成されている。第2反射部33Bには、視野制限マスク34に代えてアダプタ30の位置調整を行うための指標38を設けてある。なお、第1、第2実施形態において設けられていた集光用のレンズ31は設けていない。
【0047】
以上のように、本実施形態のアダプタ30は構成されている。アダプタ30をカメラ10に装着せず、使用しない状態においては、ヒンジ部37において、反射部30bを折りたたむことができる。このため、持ち運びが容易となる。
【0048】
また、使用する場合には、ヒンジ部27において、反射部30bを開き、カメラ10をカメラ受け部35に載置する。画像送信部9の赤外発光素子9aから投射された赤外線は、第1反射部32Bによって反射される。この反射光は、テレビ20の画像受信部19の受光部19aによって受光される。また、受光部19aの像は、第2反射部33Bで反射され、ユーザーの目Eに導かれる。この場合、ユーザーは、受光部19aの像と、指標38とが合致するようにアダプタ30の位置を調整すればよい。
【0049】
このように、本発明の第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に、カメラ10を載置したアダプタ30によって、光通信用の赤外線を反射してテレビ20に伝達するようにしているので、図3(a)に示すように、ユーザーがカメラ10を持ち続ける必要はなく、図3(b)に示すように、床等に置いたままで、スライドショー等を楽しむことができる。
【0050】
また、本実施形態においては、反射部30bを折りたたむことができるので、持ち運びが簡単である。また、指標38を設けてあり、ユーザーはこの指標38を用いて、アダプタ30の向きを調整することができ、カメラ10とテレビ20との間で、正確に赤外線通信を行うことができる。
【0051】
次に、本発明の第4実施形態について、図7を用いて説明する。第1乃至第3実施形態においては、反射部30bは、テレビ20側に配置していたが、第4実施形態においては、反射部30bをテレビ20とは反対側に配置している。本実施形態においては、カメラ10、テレビ20からなるシステムは第1実施形態と同様であり、相違するアダプタ30を中心に説明する。
【0052】
テレビ20は、テレビ台23によって保持されている。アダプタ30は、テレビ台23の下部の平面に載置可能である。アダプタ30の受け台部30aと反射部30bは、第3実施形態と同様に、ヒンジ部37によって回動自在となっており、反射部30bを受け台部30a側に折りたたむことが可能である。
【0053】
反射部30bに設けられた第1反射部32Cは、凹面鏡で構成され、赤外発光素子9aからの投射光を集光し、テレビ20の受光部19aに反射する。また、第1反射部32Cには、指標38が設けられている。ユーザーはこの指標38を用いて、受光部19aの像が指標38に一致するように、アダプタ30の向きを調整する。これによって、カメラ10とテレビ20との間で、正確に赤外線通信を行うことができる。
【0054】
このように、本発明の第4実施形態においても、第1乃至第3実施形態と同様に、カメラ10を載置したアダプタ30によって、光通信用の赤外線を反射してテレビ20に伝達するようにしているので、図3(a)に示すように、ユーザーがカメラ10を持ち続ける必要はなく、図3(b)に示すように、床等に置いたままで、スライドショー等を楽しむことができる。
【0055】
また、本実施形態においては、カメラ10の赤外線の投射方向を反対にしていることから、テレビ20の直ぐ近くにカメラ10を置くことが可能となり、テレビ20のテレビ台23の台の上などに置いて使うことができる。
【0056】
次に、本発明の第5実施形態について、図8を用いて説明する。第1乃至第4実施形態においては、アダプタ30は、床等に置き、カメラ10からは水平に赤外線を投射していたが、第5実施形態においては、アダプタ30をテレビ20に紐41等でつるし、カメラ10から赤外線を垂直方向等に投射するようにしている。本実施形態においては、カメラ10、テレビ20からなるシステムは第1実施形態と同様であり、相違するアダプタ30を中心に説明する。
【0057】
アダプタ30の受け台部30aの一端側には、ヒンジ部37を介して、反射部30bが設けられている。この反射部30bには凹面鏡からなる第1反射部32Dが設けられている。受け台部30aとヒンジ部37は第1回動部37aによって回動自在であり、またヒンジ部37と反射部30bは、第2回動部37bによって回動自在である。このため、反射部30b等は、折りたたむことができ、持ち運びの際に小型化できる。
【0058】
また、受け台部30には、覗き穴39が設けてある。この覗き穴39の位置は、第1反射部32Dの凹面鏡によって反射された赤外光がテレビ20の受光部19aに入射される場合に、ユーザーの目Eが覗き穴39を通して眺めると、丁度、受光部19aを見ることができる。
【0059】
アダプタ30には紐41が設けてあり、この紐41は、テレビ20のサイド等に引っ掛けることが可能である。アダプタ30の紐41がテレビ20に掛けた状態では、カメラ10の赤外線発光素子9aは、上を向いており、第1反射部32Dの凹面鏡によって反射された赤外光は、テレビ20の受光部19aの方向に進む。
【0060】
このように、本発明の第5実施形態においても、第1乃至第4実施形態と同様に、カメラ10を載置したアダプタ30によって、光通信用の赤外線を反射してテレビ20に伝達するようにしている。本実施形態においては、今までの実施形態と異なり、テレビ20に紐等で掛けて使用するが、図3(a)に示すように、ユーザーがカメラ10を持ち続ける必要はない。
【0061】
また、本実施形態によれば、テレビ20にアダプタ30を掛けて使用することができることから、テレビ20に接近して置くことができ、スペースをとらない。さらに、テレビ20に取り付けられた状態になっているので、テレビ20の向きを変えたりしてもアダプタ30の再調整は不要である。また、テレビ20の高さが高くとも、受信部の近くに配置でき、テレビ20の設置状態にかかわらず確実な送信ができる。
【0062】
次に、本発明の第6実施形態について、図9を用いて説明する。第1乃至第5実施形態においては、アダプタ30に載置したカメラ10から、テレビ20に向けて、またはテレビ20と反対側に向けて赤外線を投射していたが、第6実施形態においては、カメラ10をテレビ20と並行に置き、第1反射部において、90°折り返し、打ち上げるように赤外線を送信するようにしている。本実施形態においては、カメラ10、テレビ20からなるシステムは第1実施形態と同様であり、相違するアダプタ30を中心に説明する。
【0063】
図9(a)は、テレビ20の側面側から見た図であり、また図9(b)は、テレビ20の正面側から見た図である。アダプタ30上にはカメラ10が載置され、赤外発光素子9aの投射光軸がテレビ20の画面と並行となるように、アダプタ30およびカメラ10は配置されている。アダプタ30上であって、赤外発光素子9aの投射光が当たる位置に第1反射部32Eが配置されている。
【0064】
この第1反射部32Eの反射面は、赤外線をテレビ20の受光部19aに反射するように、投射光軸に対して45°傾いており、かつ上向きの平面となっている。なお、テレビ20の受光部19aは、画面外であればどこでも良いが、下側であれば、上向きの角度が小さくて済む。
【0065】
また、アダプタ30には、テレビ20に対する位置調整用の目印38aが設けてある。調整は、まず、ユーザーの目Eをテレビ20の受光部19aの真向かいに位置させ、この状態で真下を見た際に、目印38aが見えるように、アダプタ30の位置を動かすことにより行う。本実施形態においては、テレビ20のパネル面(表示面)とアダプタ30の並行関係がとれていれば、図9(b)のように打ち上げる形で光線が送信されるので、指標(目印38a)で横方向は決まり、前後方向の微調整で光線は受光部19aに入射する。テレビ20とテレビ台23の高さ関係が決まっていれば、パネル面と並行にガイドの線を設けておくことによって、前後方向の調整も省略できる。
【0066】
このように、本発明の第6実施形態においても、第1乃至第5実施形態と同様に、カメラ10を載置したアダプタ30によって、光通信用の赤外線を反射してテレビ20に伝達するようにしているので、図3(a)に示すように、ユーザーがカメラ10を持ち続ける必要はなく、テレビ台23等に置いたままで、スライドショー等を楽しむことができる。
【0067】
また、本実施形態においては、カメラ10やアダプタ30をテレビ20と並行して置くことができるので、スライドショー等の鑑賞にあたって、カメラ10等が出っ張らずにテレビ20の近傍に配置することができる。
【0068】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、カメラ等の第1の機器と、テレビ等の第2の機器との間を光信号で通信するための光通信用アダプタであって、第1の機器からの出力信号光を第2の機器に投光するために、第1の機器からの信号光の出力方向を反射部によって変更している。また、出力方向を目視確認するための指標部(例えば、視野制限マスク34、指標38、覗き穴39、目印38a)、もしくは、第2の機器の出力信号光の受光部の像を目視確認するための第2の光学部(例えば、第2反射部32、覗き穴39)を備えている。このため、第1の機器からの光信号の送信範囲が狭くても出力方向を目視確認できることから、指向性を向上させて安定した通信を行うことが可能となる。なお、指標部や第2の光学部は、少なくとも一方あれば良い。
【0069】
なお、本発明の各実施形態においては、第1の機器からの信号光の出力方向を平面鏡または凹面鏡によって反射していたが、凸面鏡でも良く、また鏡に限らずプリズム面等の反射部材でも良い。また、本発明の各実施形態においては、無線通信にあたって、赤外線を用いた通信を示したが、これに限らず可視光等、指向性のある無線通信手段であれば良い。
【0070】
さらに、本発明の各実施形態においては、第1の機器としてカメラを使用した例を示したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、また、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも勿論構わない。また、カメラ以外でも、画像データ等のデータの送信機能を有するコンピュータ等にも適用することができる。
【0071】
さらに、本発明の各実施形態においては、第1の機器としてカメラを使用し、このカメラ10で撮影した画像をテレビ20に表示していたが、カメラ10で撮影した画像以外の画像をテレビ20に連続的に表示する際に本発明を適用することができる。
【0072】
さらに、本発明の各実施形態においては、第2の機器として、テレビ20を用いた例を示したが、第2の機器としてはテレビに限らず、液晶プロジェクタ等の表示装置であっても良い。第1の機器から送信した画像を表示できる装置であれば良い。
【0073】
本発明は、上記各実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるアダプタを取り付けたカメラとテレビとからなるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるアダプタの構成を示す図であり、図2(a)はカメラをアダプタに載置した状態における側面図であり、図2(b)は同状態における平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるアダプタの使用を説明する図であり、(a)は従来におけるカメラからテレビへの送信方法を示し、(b)は本実施形態におけるカメラからテレビへの送信方法を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わるアダプタと一緒に使用するカメラにおけるカメラ制御の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係わるアダプタの構成を示す図であり、カメラをアダプタに載置した状態における側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係わるアダプタの構成を示す図であり、カメラをアダプタに載置した状態における側面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係わるアダプタの構成を示す図であり、カメラをアダプタに載置した状態における側面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係わるアダプタの構成を示す図であり、カメラをアダプタに載置した状態における側面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係わるアダプタの構成を示す図であり、(a)はカメラをアダプタに載置した状態における側面図であり、(b)同状態における正面図である。
【符号の説明】
【0075】
1・・・制御部、2・・・撮影部、2a・・・撮影レンズ、3・・・スイッチ部、5・・・画像記録部、8・・・表示部、9・・・画像送信部、9a・・・赤外発光素子、10・・・カメラ、11・・・送信範囲、17・・・再生部、18・・・表示部、19・・・画像受信部、19a・・・受光部、20・・・テレビ、21・・・受光範囲、23・・・テレビ台、30・・・アダプタ、30a・・・受け台部、30b・・・反射部、31・・・レンズ、31a・・・投光用レンズ、31b・・・受光用レンズ、32・・・第1反射部、32A・・・凹面鏡、32B・・・第1反射部、32C・・・第1反射部、32D・・・第1反射部、32E・・・第1反射部、33・・・第2反射部、33B・・・第2反射部、34・・・視野制限マスク部、35・・・カメラ受け部、36・・・窓部、37・・・ヒンジ部、37a・・・第1回動部、37b・・・第2回動部、38・・・指標、38a・・・目印、39・・・覗き穴、41・・・紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機器と第2の機器との間を光信号で通信するための光通信用アダプタであって、
上記第1の機器からの出力信号光を上記第2の機器に投光するために、上記第1の機器からの信号光の出力方向を変更する光学部と、
上記出力方向を目視確認するための指標部と、
を備えたことを特徴とする光通信用アダプタ。
【請求項2】
上記光学部は上記第1の機器からの信号光を反射して上記第2の機器に投光するための第1の反射部を有し、上記指標部は上記信号光が上記第2の機器の受光部に投光されるとき、上記受光部からの反射光が眼に導かれるように調整された第2の反射部を有することを特徴とする請求項1に記載の光通信用アダプタ。
【請求項3】
上記第1の反射部と上記第2の反射部は一体となって、ヒンジ部を介してアダプタ本体に対して回動可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の光通信用アダプタ。
【請求項4】
上記第1の機器はカメラであり、上記第2の機器は上記カメラで撮影した画像を表示する表示機器であることを特徴とする請求項1に記載の光通信用アダプタ。
【請求項5】
上記指標部は、上記第2の機器の受光部の像と位置あわせを行うことを特徴とする請求項1に記載の光通信用アダプタ。
【請求項6】
上記光学部は、平面状の反射鏡もしくは凸面鏡を含むことを特徴とする請求項1に記載の光通信用アダプタ。
【請求項7】
第1の機器と第2の機器との間を光信号で通信するための光通信用アダプタであって、
上記第1の機器からの出力信号光を上記第2の機器に投光するために、上記第1の機器からの信号光の出力方向を変更する第1の光学部と、
上記第2の機器の上記出力信号光の受光部の像を目視確認するための第2の光学部と、
を備えたことを特徴とする光通信用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−200867(P2009−200867A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40912(P2008−40912)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】