説明

光重合性組成物

【構成】 エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物、下記一般式〔1〕で表わされる増感色素、及びチタノセン化合物を含有することを特徴とする光重合性組成物。
【化1】


100 、R200 およびR300 はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換アリール基又はアラルキル基を表わす。
【効果】 紫外光から可視光の幅広い領域の活性光線に対して高感度を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光重合性組成物に関するものである。特に可視光領域の光線に対して極めて高感度であり、例えばAr+ レーザー、YAG−SHGレーザー光源に対しても良好な感応性を示す光重合性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光重合系を利用した画像形成法は多数知られており、印刷版、プリント回路、塗料、インキ、ホログラム記録、3次元造形等の広い分野に用いられている。例えば、付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物と光重合開始剤、さらに所望により用いられる有機高分子結合剤、熱重合禁止剤等からなる光重合性組成物を、支持体上に皮膜層として設け、所望画像を像露光して露光部分を重合硬化させ、未露光部分を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法、少なくとも一方が透明である2枚の支持体間に上述の光重合性組成物の層を設け、透明支持体側より像露光し光による接着強度の変化を誘起させた後、支持体を剥離することにより画像を形成する方法、光重合性組成物およびロイコ色素等の色材料を内容物に有するマイクロカプセル層を設けた感光材料を作成し、該感光材料を画像露光して露光部分のカプセルを光硬化させ、未露光部分のカプセルを加圧処理、あるいは加熱処理により破壊し、色材料顕色剤と接触させることにより発色させ、着色画像を形成する方法、その他、光重合性組成物の光によるトナー付着性の変化を利用した画像形成法、光重合性組成物の光による屈折率の変化を利用した画像形成法等が知られている。
【0003】これらの方法に応用されている光重合組成物の多くは、光重合開始剤として、ベンジル、ベンゾインエーテル、ミヒラーケトン、アントラキノン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン等が用いられてきた。しかしながら、これらの光重合開始剤は400nm以下の紫外光に対する光重合開始能力に比較し、400nm以上の可視光に対する光重合開始能力が顕著に低く、その結果その応用範囲が著しく限定されていた。近年、画像形成技術の発展に伴い、可視領域の光線に対し高い感応性を有するフォトポリマーが要請されている。それは、例えば非接触型の投影露光製版や可視光レーザー製版等に適合した感光材料である。該可視光レーザーとしてはAr+ レーザーの488nm光、YAG−SHGレーザーの532nm光などが、有望視されている。
【0004】可視光領域の光線に感応することのできる光重合開始系については、従来、多くの提案がなされてきた。例えば、米国特許2,850,445号に記載のある種の感光性染料、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭54−84183号)、置換トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−140203号、特開昭59−189340号)、ローダニン骨格の色素とラジカル発生剤の系(特開平2−244050号)等が挙げられる。
【0005】また、チタノセンが光重合開始剤として有効であることは、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−10602号、特開昭63−41484号、特開平3−12403号に記載されており、併用系としての使用例としては、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号)等を挙げることができる。しかしながら、これらの従来技術は確かに可視光線に対し有効であるが、感度が十分でない、あるいは高感度を示すが、保存安定性が乏しい等の問題があり、実用に供することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は高感度の光重合性組成物を提供することである。特に、400nm以上の可視光線、Ar+ レーザー、YAG−SHGレーザー光源の出力に対応する488nm、532nmのような光に対し、感度の高い光重合性組成物を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、保存安定性に優れた光重合性組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、特定の構造を有する色素と該増感色素との共存下で光照射時に活性ラジカルを発生しうるチタノセン化合物の併用系が、400nm以上の可視光線に対し極めて感度が高く、且つ、保存安定性に優れることを見出し、本発明に到達したものである。即ち、本発明は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する付加重合可能な化合物、下記一般式〔1〕〜〔8〕で表わされる増感色素、およびチタノセン化合物を含有することを特徴とする光重合性組成物である。本発明により、可視領域の光線に対し、高感度で且つ保存安定性の高い光重合性組成物が得られる。
【0008】
【化3】


【化4】


一般式〔1〕ないし〔8〕において、R100 、R200 およびR300 はそれぞれアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換アリール基又はアラルキル基を表わし、互いに等しくても異なってもよい。一般式〔3〕ないし〔8〕において、Wは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基又はハロゲン原子を表わす。一般式〔2〕においてPhはフェニル基を表わす。
【0009】本発明の一つの実施態様では、光重合開始系は、更に(イ)〜(チ)からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する。
(イ)炭素−ハロゲン結合を有する化合物(ロ)下記一般式〔II〕で示されるケトン化合物
【0010】
【化5】


ここでArは下記の一般式の一つから選ばれた芳香族基を示し、R3 、R4 は水素原子またはアルキル基を表し、また、R3 、R4 は互いに結合してアルキレン基を表してもよい。
【0011】
【化6】


ただし式中、R5 〜R9 は互いに同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換アリール基、水酸基、アルコキシ基、−S−R11基、−SO−R11基、−SO2 −R11基を表すが、但しR5 〜R9 の少なくとも一つは−S−R11基または−SO−R11基を表し、R11はアルキル基、アルケニル基、R10は水素原子、アルキル基またはアシル基を表す。
【0012】
【化7】


(ハ)下記一般式〔III 〕で示されるケトオキシム化合物
【0013】
【化8】


式中、R12、R13は同一または異なり、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは、ヘテロ環基を表す。R14、R15は同一または異なり、水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基を表わす。また、R14、R15は互いに結合して環を形成し、 -0-、-NR16-、 -O-CO- 、 -NH-CO-、-S- 、及び/又は、-SO2- を環の連結主鎖に含んでいても良い炭素数2から8のアルキレン基を表す。R16、R17は水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは置換カルボニル基を表す。
(ニ)有機過酸化物(ホ)下記一般式〔IV〕で示されるチオ化合物
【0014】
【化9】


ここで、R18はアルキル基、アリール基または置換アリール基を示し、R19は水素原子またはアルキル基を示す。また、R18とR19は互いに結合して酸素、硫黄および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでいてもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。
(へ)ヘキサアリールビイミダゾール(ト)芳香族オニウム塩(チ)ケトオキシムエステル
【0015】以下本発明について詳細に説明する。本発明の付加重合性不飽和結合を有する重合可能な化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
【0016】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0017】メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0018】イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0019】マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0020】その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。
【0021】
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH (A)
(ただし、RおよびR′はHあるいはCH3 を示す。)
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。なお、これらの使用量は、全成分に対して5〜50重量%(以下%と略称する。)、好ましくは10〜40%である。
【0022】次に本発明の光重合性組成物の第2の必須成分である光重合開始系について説明する。本発明の光重合開始系は少なくとも2種成分の組み合わせからなっており、その第一の成分は一般式〔1〕〜〔8〕で表される増感色素である。一般式〔1〕ないし〔8〕で表わされるメロシアニン色素の置換基Wは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基又はハロゲン原子を表わす。アルキル基としては炭素原子数が1から18までの直鎖状、分岐状および環状のアルキル基をあげることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ノルボルニル基をあげることがきる。これらのうちでは、炭素原子数1から10までの直線状、分岐状のアルキル基ならびに炭素原子数6から10までの環状のアルキル基が好ましい。最も好ましいのは炭素原子数1から4までの直線状および分岐状のアルキル基である。
【0023】置換アルキル基の置換基としてはハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素)およびヒドロキシル基をあげることができ、一方アルキル基としては前述の炭素原子数1から18までのアルキル基を、好ましくは同じく1から10までの直線状、分岐状のアルキル基ならびに炭素原子数6から10までの環状のアルキル基を、最も好ましくは炭素原子数1から4までの直線状および分岐状のアルキル基をあげることができる。その具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−クロロペンチル基、1−(クロロメチル)プロピル基、10−ブロモデシル基、18−メチルオクタデシル基、クロロシクロヘキシル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、10−ヒドロキシデシル基、2−ヒドロキシオクタデシル基、2−(ヒドロキシメチル)エチル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシ−2−ノルボルニル基をあげることができる。アルコキシ基としては炭素原子数1から10までの直線状、分岐状および環状のアルキル基をあげることができ、好ましくは炭素原子数1から4までの直線状および分岐状のアルキル基をあげることができる。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソプロポキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−ノルボルニルオキシ基をあげることができる。アリール基としては、1個のベンゼン環の残基(フェニル基)、2個および3個の縮合ベンゼン環の残基(ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基)、2個のベンゼン環集合系の残基(ビフェニル基)ならびにベンゼン環と5員不飽和環との縮合系の残基(イソデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基)をあげることができる。
【0024】置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子にハロゲン原子(弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アミノ基、置換アミノ基(モノアルキル置換アミノ基(アルキル基の例、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、イソペンチル基)、ジアルキルアミノ基(アルキル基の例はモノアルキル置換アミノの例と同じ)、モノアシルアミノ基(アシル基の例、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル(butyryl)基、イソブチリル基、バレリル(valeryl)基)、シアノ基、アルキル基(炭素原子数が1から18までの直線状、分岐状および環状のアルキル基、好ましくは炭素原子数1から10までの直線状、分岐状および環状のアルキル基、最も好ましくは炭素原子数1から4までの直線状および分岐状のアルキル基、これらの具体例はすでに上に述べた。)、ハロゲンアルキル基(例、クロロメチル基、2−クロロエチル基、5−クロロペンチル基、トリフルオロメチル基)、アルコキシ基(アルキル基の例、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、sec−ブチル基)、アリールオキシ基(アリール基の例、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基)、アルコキシカルボニル基(アルキル基の例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基)、アシルオキシ基(アシル基の例はモノアシルアミノ基の例と同じ)、アルコキシスルホニル基(アルキル基の例はアルコキシ基のアルキル基の例と同じ)等の置換基が1個又は2個以上の同じ置換基あるいは互いに異なる置換基が置換した残基をあげることができる。これらのアリール基および置換アリール基の具体例としては、フェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、(メチルアミノ)フェニル基、(エチルアミノ)フェニル基、(ジメチルアミノ)フェニル基、アセチルアミノフェニル基、トリル基、エチルフェニル基、(クロロメチル)フェニル基、アセチルフェニル基、フェノキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、アセトキシフェニル基、メトキシスルホニルフェニル基、ナフチル基、2−アミノ−1−ナフチル基、1−ジメチルアミノ−2−ナフチル基、クロロナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、ビフェニリル基、クロロビフェニリル基、アミノビフェニリル基、メチルビフェニリル基、アセナフチニル基をあげることができる。これらのうちではフェニル基および上述の置換基が1個又は2個以上の同じかあるいは互いに異なる上述の置換基が2個以上置換したフェニル基が好ましい。
【0025】アリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−ビフェニリルオキシ基、3−ビフェニリルオキシ基をあげることができ、このうちでフェノキシ基が好ましい。アラルキル基としては炭素原子数1から10まで、好ましくは同じく1から6までの直線状、分岐状又は環状のアルキル基にフェニル基又はナフチル基が置換した残基をあげることができ、その具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、3−フェニルヘキシル基、10−フェニルデシル基、4−フェニルシクロヘキシル基、1−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−ナフチルメチル基をあげることができる。ハロゲン原子としては弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子をあげることができ、これらのうちでは弗素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。一般式〔1〕〜〔8〕において、置換基R100 、R200 およびR300 はそれぞれアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換アリール基又はアラルキル基を表わし、アルキル基、アリール基、置換アリール基又はアラルキル基の場合には、前述の置換基Wがアルキル基、アリール基、置換アリール基又はアラルキル基の場合と同じ意味を表わす。
【0026】置換アルキル基の置換基としてはハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシ基、(アルキル基は前述の置換基Wがアルキル基である場合と同じ意味を表わす。)、アルコキシカルボニル基(アルキル基は前述の置換基Wがアルキル基である場合と同じ意味を表わす。)、ジアルキルアミノ基(アルキル基は前述の置換基Wがアルキル基である場合と同じ意味を表わし、2個のアルキル基は同じでも異なってもよい。)、テトラヒドロフリル基、オキサニル基(又はテトラヒドロピラニル基)又はジオキサニル基を表わし、これらの置換基が1個のみ又は2個(同じ置換基でも異なる置換基でもよい。)がアルキル基に結合した置換アルキル基を表わす。置換アルキル基の具体例としては、前述の置換基Wが置換アルキル基を表わす場合の具体例の他に、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、エトキシメチル基、ジメトキシメチル基、2,2−ジメトキシエチル基、2,2−ジエトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、2−(メトキシカルボニル)エチル基、2−(エトキシカルボニル)エチル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、2−テトラヒドロフリル基、2−オキサニル基、4−オキサニル基、ジオキサニル基をあげることができる。アルケニル基としては炭素原子数2から4までの直線状又は分岐状のアルケニル基を表わし、その具体例としてはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基をあげることができる。
【0027】一般式〔1〕ないし〔8〕で表わされる色素は「Journal of American Chemical Society」誌第73巻第5326〜5332頁(1951年)(L.G.S.Brooker 、G.H.Keyes. R.H.Sprague、R.H.Van Dyke、E.Van Lare、G. Van Zandt、F.L.Whiteの「Studies in the Cyanine Dye Series. XI. The Merocyanines 」と題する論文)に記載の方法に従い合成することができる。又日本感光色素研究所から入手することができる。
【0028】一般式〔1〕ないし〔8〕で表わされるメロシアニン色素の具体例としては、(a−1)5−〔(1′−エチル−2′−ピリジリデン)エチリデン〕−3−エチルローダニン(m.p.133℃)、(a−2)5−〔(3′−エチル−4′5′−ジフェニル−2′−チアゾリリデン)エチリデン〕−3−エチルローダニン(m.p.239℃)、(a−3)5−〔(3′−エチル−2′−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン〕−3−エチル−4−オキソ−2−チオキソオキサゾリジン(m.p.237℃)、(a−4)4−〔(3′−エチル−2′−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン〕−2−フェニル−5(4)−オキサゾロン(m.p.203℃)、(a−5)4−〔(3′−エチル−2′−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン〕−1−フェニル−3−メチル−ピラゾロン(m.p.246℃)、(a−6)5−〔(3′−エチル−2′−ベンゾオキサゾリリデン)エチリデン〕−3−エチル−4−オキソ−2−チオキソオキサゾリジン(m.p.265℃)、(a−7)5−〔(3′−エチル−2′−ベンゾオキサゾリリデン)エチリデン〕−3−エチルローダニン(m.p.227℃)、(a−8)5−〔(3′、3′−ジメチル−2′−インドリニリデン)エチリデン〕−3−エチル−4−オキソ−2−チオキソオキサゾリジン(m.p.171℃)などをあげることができるが、本発明の範囲はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
【0029】本発明の光重合性組成物に用いられる一般式〔1〕〜〔8〕で表される増感色素は、単独でまたは2種以上を併用して好適に使用することができる。次に本発明の光重合開始系で重要なチタノセン化合物について説明する。本発明のチタノセン化合物は、前記した増感色素との共存下で光照射した場合、活性ラジカルを発生し得るチタノセン化合物であれば、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
【0030】更に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下A−1と記す)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下A−2と記す)、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(以下A−3と記す)等を挙げることができる。
【0031】本発明の光重合性組成物に用いられるチタノセン化合物は単独でまたは2種以上併用して用いることができる。以上述べた本発明の光重合性組成物に用いられる光重合開始系を構成する増感色素、およびチタノセン化合物の使用量は、エチレン性化合物100重量部に対し、増感色素が0.05〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましくは0.2〜10重量部の範囲で、チタノセン化合物が0.5〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、更に好ましくは2〜50重量部の範囲が適当である。
【0032】本発明の光重合性組成物は、前記の増感色素とチタノセン化合物の他に、感度向上の目的で以下に説明する(イ)〜(チ)の化合物を含有することができる。
(イ)炭素−ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式〔V〕〜〔XI〕で示される化合物が好ましい。一般式〔V〕
【0033】
【化10】


【0034】(式中、Xはハロゲン原子を表わす。Y2 は−CX3 、−NH2 、−NHR21 、−NR212 、−OR21を表わす。ここでR21はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。またR20は−CX3 、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表わす。)で表わされる化合物。
【0035】一般式〔VI〕
【0036】
【化11】


【0037】(ただし、R22は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、ニトロ基又はシアノ基であり、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)で表わされる化合物。
【0038】一般式〔VII 〕
23−Z3 −CH2-m m −R24(ただし、R23は、アリール基又は置換アリール基であり、R24は−CO−NR2526
【0039】
【化12】


【0040】又はハロゲンであり、Z3 は−CO−、−CS−又は−SO2 −であり、R25、R26はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R27は一般式〔VI〕中のR22と同じであり、mは1又は2である。)で表わされる化合物。一般式〔VIII〕
【0041】
【化13】


【0042】ただし、式中R28は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R29は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。
【0043】一般式〔IX〕
【0044】
【化14】


【0045】ただし、Lは水素原子又は式:CO-(R30)n (CX3)m の置換基であり、Mは置換又は非置換のアルキレン基であり、Qはイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又はN−R31基であり、M+Qは一緒になって3又は4員環を形成し、R31はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R30は炭素環式又は複素環式の芳香族基であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。)で表わされる、トリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物。
【0046】一般式〔X〕
【0047】
【化15】


【0048】(ただし、Xはハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R32は水素原子又はCH3-t t 基であり、R33はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である)で表わされる、4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体。
【0049】一般式〔XI〕
【0050】
【化16】


【0051】(ただし、Xはハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R34は水素原子又はCH3-v v 基であり、R35はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である)で表わされる、2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体。
【0052】このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物としては、たとえば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan, 42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492 号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024 号明細書記載の化合物、たとえば下記の化合物を挙げることができる。
【0053】
【化17】


【0054】
【化18】


【0055】また、F. C. Schaefer等による J. Org Chem. ;29、1527(1964)記載の化合物、たとえば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。さらに特開昭62−58241号記載の化合物、たとえば下記の化合物を挙げることができる。
【0056】
【化19】


【0057】
【化20】


更に特開平5−281728号記載の化合物、例えば
【0058】
【化21】


【0059】等を挙げることができる。
【0060】あるいはさらに M. P. Hutt, E. F. Elslagerおよび L. M. Werbel 著 Journal of Heterocyclic chemistry第7巻(No. 3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて当業者が容易に合成することができる次のような化合物群を挙げることができる。
【0061】
【化22】


【0062】
【化23】


【0063】
【化24】


【0064】
【化25】


【0065】
【化26】


【0066】
【化27】


【0067】
【化28】


【0068】
【化29】


【0069】
【化30】


【0070】あるいは、ドイツ特許第2641100 号に記載されているような化合物、例えば、4−(4−メトキシ−スチリル)−6−(3,3,3−トリクロルプロペニル)−2−ピロン及び4−(3,4,5−トリメトキシ−スチリル)−6−トリクロルメチル−2−ピロン、あるいはドイツ特許第3333450 号に記載されている化合物、例えば、
【0071】
【化31】


【0072】
【表1】
38 M R36 a CX3 1 C2H5 1,2-フェニレン H 1 4−CCl3 2 CH2C6H5 1,2-フェニレン H 1 4−CCl3 3 C2H5 1,2-フェニレン H 1 3−CCl3 4 C2H5 1,2-フェニレン H 1 4−CF3 5 C2H5 5-CH3-1,2-フェニレン H 0 CCl3 6 CH2C6H5 1,2-フェニレン H 0 CCl3 7 C2H4OCH3 1,2-フェニレン H 1 4−CCl3あるいはドイツ特許第3021590 号に記載の化合物群、
【0073】
【化32】


【0074】あるいはドイツ特許第3021599 号に記載の化合物群例えば、
【0075】
【化33】


【0076】を挙げることができる。次に本発明で使用する成分(ロ)の一般式〔II〕で示されるケトン化合物について説明する。ここで、R3 、R4 は水素原子もしくは炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。またR3 、R4 は結合してアルキレン基を表してもよい。R5 〜R9 は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜12のアルケニル基、アリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、水酸基、−S−R11基、−SO−R11基、−SO2 −R11基を表し、R11はアルキル基またはアルケニル基、R10は水素原子、または炭素原子数1〜12のアルキル基、または炭素原子数2〜13のアシル基を示す。これらのアルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基は更に炭素原子数1〜6の置換基で置換されていても良い。具体的な例としては、米国特許4,318,791号、欧州特許0284561A号に記載の下記化合物を挙げることができる。
【0077】
【化34】


【0078】
【化35】


【0079】
【化36】


【0080】次に本発明で使用される成分(ハ)の一般式〔III 〕で示されるケトオキシム化合物について説明する。式中、R12、R13は同一または異なり、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは、ヘテロ環基を表す。R14、R15は同一または異なり、水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基を表す。また、R14、R15は互いに結合して環を形成し、 -0-、-NR16-、 -O-CO- 、 -NH-CO-、-S- 、及び/又は、-SO2- を環の連結主鎖に含んでいても良い炭素数2から8のアルキレン基を表す。R16、R17は水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは置換カルボニル基を表す。具体的な化合物として、以下のものを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0081】
【化37】


【0082】
【化38】


【0083】
【化39】


【0084】
【化40】


【0085】
【化41】


【0086】本発明で使用される成分(ニ)の有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を有する化合物を挙げることができる。例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリィブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1,−ビス(ターシャリィブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリィブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリィブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリィブチルパーオキサイド、ターシャリィブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリィブチルパーオシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリィブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリィブチルパーオキシ)ヘキシン−3、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、
【0087】2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリィブチルパーオキシアセテート、ターシャリィブチルパーオキシピバレート、ターシャリィブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリィブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリィブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリィブチルパーオキシラウレート、ターシャリィブチルパーオキシベンゾエート、ジターシャリィブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリィブチル過酸化マレイン酸、ターシャリィブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
【0088】これらの中で、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0089】本発明に使用される成分(ホ)としてのチオ化合物は、前記一般式(IV)で示される。一般式(IV)におけるR18,R19のアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。またR18のアリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。
【0090】一般式(IV)で示されるチオ化合物の具体例としては、下表に示すような化合物が挙げられる。
【0091】
【表2】
No. R1819 1 H H 2 H CH3 3 CH3 H 4 CH3 CH3 5 C6 5 2 5 6 C6 5 4 9 7 C6 4 Cl CH3 8 C6 4 Cl C4 9 9 C6 4 −CH3 4 9 10 C6 4 −OCH3 CH3 11 C6 4 −OCH3 2 5 12 C6 4 −OC2 5 CH3 13 C6 4 −OC2 5 2 5 14 C6 4 −OCH3 4 9 15 −(CH2 3 − 16 −(CH2 2 −S− 17 −CH(CH3 )−CH2 −S− 18 −CH2 −CH(CH3 )−S− 19 −C(CH3 2 −CH2 −S− 20 −CH2 −C(CH3 2 −S− 21 −(CH2 2 −O− 22 −CH(CH3 )−CH2 −O− 23 −C(CH3 2 −CH2 −O− 24 −CH=CH−N(CH3 )− 25 −(CH2 3 −S− 26 −(CH2 2 CH(CH3 )−S− 27 −(CH2 3 −O− 28 −(CH2 5 − 29 −C6 4 −O− 30 −N=C(SCH3 )−S− 31 −C6 4 −NH−
【0092】
【化42】


【0093】
【化43】


【0094】本発明に使用される成分(ヘ)のヘキサアリールビイミダゾールとしては、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。ケトオキシムエステルとてしは、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0095】また、本発明に使用される成分(ト)の芳香族オニウム塩としては、周期律表の第V、VI及びVII 族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、またはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩としては、特公昭52−14277号、特公昭52−14278号、特公昭52−14279号に示されている化合物を挙げることができ、具体的には、以下の化合物を挙げることができる。
【0096】
【化44】


【0097】
【化45】


【0098】
【化46】


【0099】
【化47】


【0100】
【化48】


【0101】
【化49】


【0102】
【化50】


【0103】これらの中で好ましいものは、BF4 塩、又はPF6 塩の化合物さらに好ましくは芳香族ヨードニウム塩のBF4 塩、又はPF6 塩である。本発明に使用される成分(チ)のケトオキシエムステルとしては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。これらの(イ)〜(チ)の添加剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性化合物100重量部に対し0.05〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、更に好ましくは3〜50重量部の範囲が適当である。
【0104】本発明の組成物中のこれらの光重合開始系の含有濃度は通常わずかなものである。また、不適当に多い場合には有効光線の遮断等好ましくない結果を生じる。本発明における光重合開始系の量は、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と必要に応じて添加される線状有機高分子重合体との合計に対して0.01重量%から60重量%の範囲で使用するのが好ましい。より好ましくは、1重量%から30重量%で良好な結果を得る。
【0105】本発明の光重合性組成物には、バインダーとしての線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と相溶性を有している線状有機高分子重合体である限り、どれを使用してもよい。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或は有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわちメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0106】特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。この他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度をあげるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成中に任意な量を混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85重量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和化合物と線状有機高分子重合体は、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は3/7〜5/5である。
【0107】また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5重量%〜約10重量%が好ましい。
【0108】さらに、感光層の着色を目的として染料もしくは顔料を添加してもよい。着色剤としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料及び顔料の添加量は全組成物の約0.5重量%〜約5重量%が好ましい。加えて、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性化合物と結合剤との合計重量に対し10重量%以下添加することができる。
【0109】本発明の光重合性組成物を支持体上に塗布する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0110】その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m 2 である。上記支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられる。該寸度的に安定な板状物としては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅などのような金属の板、さらに、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどがあげられる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0111】また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。さらに、砂目立てしたのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0112】また、米国特許第3,658,662号に記載されているようなシリケート電着も有効である。更に、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
【0113】また、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、たとえばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特願平5−304358号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0114】これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。支持体上に設けらた光重合性組成物の層の上には、空気中の酸素による重合禁止作用を防止するため、例えばポリビニルアルコール特にケン化度99%以上のポリビニルアルコール、酸性セルロース類などのような酸素遮断性に優れたポリマーよりなる保護層を設けてもよい。この様な保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
【0115】また本発明の光重合性組成物は通常の光重合反応に使用できる。さらに、印刷版、プリント基板等作成の際のフォトレジスト等多方面に適用することが可能である。特に本発明の光重合性組成物の特徴である高感度性と可視光領域までの幅広い分光感度特性により、Ar+ レーザー、YAG−SHG−レーザー等の可視光レーザー用の感光材料に適用すると良好な効果が得られる。
【0116】本発明の光重合性組成物を用いた感光材料は、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの光重合性組成物を平版印刷版の作成に使用する際の好ましい現像液としては、特公昭57−7427号に記載されているような現像液があげられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミン又はジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。該アルカリ溶液の濃度が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%になるように添加される。
【0117】また、該アルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3,375,171号および同第3,615,480号に記載されているものを挙げることができる。更に、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号に記載されている現像液も優れている。
【0118】
【発明の効果】本発明の光重合性組成物は紫外光から可視光の幅広い領域の活性光線に対して高感度を有する。従って光源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、及び太陽光等が使用できる。
【0119】
【実施例】以下実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1〜14、比較例1〜6厚さ0.30mmのアルミニウム板をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液とを用いその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA =12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で160クーロン/dm2 の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6μ(Ra表示)であった。引き続いて30%の硫酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2 において陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように2分間陽極酸化処理した。
【0120】このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の感光性組成物を乾燥塗布重量が1.4g/m2となるように塗布し、80℃2分間乾燥させ感光層を形成させた。
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.5 g アリルメタクリレート/メタアクリル酸共重合体 (共重合モル比80/20) 2.0 g 光重合開始系 X g フッ素系ノニオン界面活性剤 0.03g メチルエチルケトン 20 g プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20 gこの感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度86.5〜89モル%、重合度1000)の3重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃/2分間乾燥させた。
【0121】感光性試験は可視光により行なった。可視光としてはキセノンランプを光源とし、ケンコー光学フィルターBP−49を通して得た単色光を用いた。感光測定には富士PSステップガイド(富士写真フイルム株式会社製、初段の透過光学濃度が0.05で順次0.15増えていき15段まであるステップタブレット)を使用して行った。感光膜面部での照度が0.0132mW/cm2 で24秒露光した時のPSステップガイドのクリアー段数で示した。
【0122】その後、100℃で1分間加熱を行い、下記の現像液に25℃、20秒間浸漬して現像した。
1Kケイ酸カリウム 30g水酸化カリウム 15gC12H25-C6H4-O-C6H4-SO3Na 3g水 1000g光重合開始系として、下記の化合物を用い、その組合せを変えた時の感度の結果を表3に示す。( )内の数字の単位はgである。
【0123】
【表3】
実施例No. 増感色素 チタノセン化合物 グレイスケール 段数(クリアー) 1 a−1(0.05) A−1(0.1) 5 2 a−2(0.05) A−1(0.1) 6 3 a−3(0.05) A−1(0.1) 5 4 a−4(0.05) A−1(0.1) 6 5 a−5(0.05) A−1(0.1) 5 6 a−6(0.05) A−1(0.1) 5 7 a−7(0.05) A−1(0.1) 5.5 8 a−8(0.05) A−1(0.1) 5 9 a−2(0.05) A−2(0.1) 6.5 10 a−4(0.05) A−2(0.1) 7 11 a−7(0.05) A−2(0.1) 6 12 a−2(0.05) A−3(0.1) 6.5 13 a−4(0.05) A−3(0.1) 6.5 14 a−7(0.05) A−3(0.1) 6.5 比較例No.
1 a−2(0.1) ── 0 2 a−4(0.1) ── 0 3 a−7(0.1) ── 0 4 ── A−1(0.1) 0 5 ── A−2(0.1) 0 6 ── A−3(0.1) 0
【0124】実施例15〜37実施例1の光重合開始系を表4に記載の化合物に替えた他は、全く実施例1と同様に試料を作成し、感光性試験を行った。その結果を表4に示す。
【表4】
表4───────────────────────────────────実施例 増加色素 チタノセン ()〜() の グレイスケール No. 化合物 化合物 段数(クリアー) 15 a−2(0.05) A-1(O.1) ()-1(0.1) 7 16 a−2(0.1) A-1(O.15) ()-2(0.1) 7 17 a−2(0.08) A-1(O.2) ()-3(0.2) 7 18 a−2(0.05) A-1(O.1) II-1(0.2) 7.5 19 a−2(0.05) A-1(O.1) II-7(0.2) 7.5 20 a−2(0.1) A-1(O.2) III-6(0.2) 7.5 21 a−2(0.1) A-1(O.2) III-9(0.2) 7 22 a−2(0.05) A-1(O.1) ()-1(0.3) 7 23 a−2(0.05) A-1(O.1) ()-1(0.4) 7.5 24 a−2(0.05) A-1(O.15) ()-2(0.2) 7.5 25 a−2(0.05) A-1(O.1) ()-1(0.2) 7 26 a−2(0.05) A-1(O.2) ()-1(0.5) 7.5 27 a−2(0.05) A-1(O.1) ()-1(0.2) 7 28 a−4(0.1) A-1(O.1) ()-3(0.1) 7 29 a−4(0.05) A-3(O.1) II-1(0.1) 7.5 30 a−4(0.05) A-2(O.1) III-6(0.2) 7.5 31 a−4(0.1) A-3(O.2) ()-1(0.4) 7 32 a−4(0.1) A-1(O.15) ()-1(0.5) 7 33 a−4(0.1) A-3(O.2) ()-4(0.2) 7.5 34 a−4(0.1) A-2(O.2) III-3(0.4) 7.5 35 a−4(0.05) A-1(O.2) III-9(0.4) 7.5 36 a−4(0.05) A-1(O.1) ()-2(0.3) 7.5 37 a−4(0.05) A-1(O.1) ()-1(0.2) 7.5
【0125】()-1:2−(p−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン()-2:2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン()-3:2−ジクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール()-4:2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン()-1:3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン()-1:2-メルカプトベンゾチアゾール()-2:2-メルカプト−5−メトキシ−ベンゾイミダゾール()-1:2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール()-1:ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロフォスフェート()-1:3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン
【0126】表3及び表4に示された結果から、本発明の光重合性組成物において、光重合開始系として一般式〔1〕〜〔8〕で表される増感色素及びチタノセン化合物を含むものは高感度であり、これに加えて(イ)〜(チ)の少なくとも1種を含むものはさらに高感度であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する付加重合可能な化合物、下記一般式〔1〕〜〔8〕で表わされる増感色素、及びチタノセン化合物を含有することを特徴とする光重合性組成物。
【化1】


【化2】


一般式〔1〕ないし〔8〕において、R100 、R200 およびR300 はそれぞれアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換アリール基又はアラルキル基を表わし、互いに等しくても異なってもよい。一般式〔3〕ないし〔8〕において、Wは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基又はハロゲン原子を表わす。一般式〔2〕においてPhはフェニル基を表わす。

【公開番号】特開平8−272096
【公開日】平成8年(1996)10月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−71729
【出願日】平成7年(1995)3月29日
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)