説明

光量モニタとそれを用いた光源装置

【課題】 本発明は、照射光量が次第に減衰していく状態をセンサで確実に検出することができ、また導光ロッドから光ファイバーへ可視光を効率よく導くことができる光量モニタとそれを用いた光源装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 光源から照射される光を光ファイバー30により被照射物へ照射される光の照射光量を検出する光源装置に使用する光量モニタであって、光を導く導光ロッド20は蛍光ガラスで構成し、また同導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置し、さらに導光ロッドの中間一部で且つ導光ロッドの外周面に対応して、バンドパスフィルタ41を配置し、同バンドパスフィルタを通過した蛍光光をセンサ40が受光し、可視光として検出するように構成してある。また紫外線不透過物は、紫外線を反射若しくは吸収する特性を有して構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から被照射物に照射される照明光の照射光量を検出する光量モニタとそれを用いて光量制御を行う光源装置に関し、特にCCDカメラ等を使用した画像処理検査装置等のように検査対象物に照射される光量を一定に維持する必要のある検査装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
例えばフラットパネルディスプレイ製造工程では、光源からの光を光ファイバーで、検査対象物となるガラス板や塗料塗布面に光を導いて照射し、これをCCDカメラ等で観察して傷や塗装不良等の欠陥を検知する画像処理検査装置が使用されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2005−233927号公報
【0003】
検査の際、光源装置に要求される条件として、検査対象物(被照射物)への光量は少なくとも検査時間中は変化しないこと、また使用するカメラの受光感度性能レベルに応じて必要な光量の光を照射できることなどが挙げられる。
【0004】
画像処理検査用の光源装置の光源としては、ハロゲンランプ、LED等の固体光素子、水銀ランプおよびメタルハライドランプ等放電灯が使用されており、中でも水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電灯は、立ち上り時間が遅いものの高光量が得られることから、この種の光源として最適である。
しかしながらこれらの放電灯は1000〜2000時間点灯させると検査対象物への照射光量が次第に減衰していくために、使用するにあたっては、画像の明るさが変わらないようにその都度光量調整することが必要となる。
【0005】
またCCDカメラ等を使用した画像処理検査装置においては、例えば特開2005−233927号公報に記載されているように、「導光ロッド8の出射端面8outに、照射光量が著しく低下しない程度に、導光ロッド8を透過する光の一部を導光ロッド8内に戻すフロスト処理を施すことが」実施されている(同公報段落番号0027と0028の説明と、図7(a)と(b)参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、導光ロッド8の出射端面8outに、フロスト処理を施すと、特開2005−233927号公報の図9に記載してあるように、光ファイバーへの入射光量は、導光ロッド8内に戻る光量分減少する。導光ロッド8内に戻る光量は可能な限り少ない構成であることが望ましい。
また照射光量が次第に減衰していく状態を導光ロッドの周面に配置したセンサが確実に検出する必要がある。
【0007】
そこで本発明は、照射光量が次第に減衰していく状態をセンサで確実に検出することができ、また導光ロッドから光ファイバーへ可視光を効率よく導くことができる光量モニタとそれを用いた光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明に係る請求項1に記載の光量モニタは、光源から照射される光を光ファイバーにより被照射物へ照射される光の照射光量を検出する光源装置に使用する光量モニタであって、光源から被照射物に至る光路中に、光入射端面となる片端側から入射した光を光出射端面となる他端側から出射する導光ロッドを有して構成してある。
また同導光ロッドは蛍光ガラスで構成し、また同導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置し、さらに導光ロッドの中間一部で且つ導光ロッドの外周面に対応して、バンドパスフィルタを配置し、同バンドパスフィルタを通過した蛍光光をセンサが受光し、可視光として検出するように構成してある。
【0009】
請求項2は、請求項1記載の光量モニタにおける紫外線不透過物は、紫外線を反射若しくは吸収する特性を有して構成してある。
【0010】
請求項3は、請求項1及び請求項2の記載の光量モニタにおける紫外線不透過物は、導光ロッドの光出射端面にコーティングして構成してある。
【0011】
請求項4は、請求項1及び請求項2の記載光量モニタにおける紫外線不透過物は、導光ロッドの光出射端面と光ファイバーの入射端面との間にフィルタを配置して構成してある。
【0012】
請求項5は光源から照射される光を光ファイバーにより被照射物へ照射される光の照射光量を検出する光量モニタと、その検出光量に応じて照射光量を制御する光量コントローラを備えた光源装置に関する。
また前記、光源から被照射物に至る光路中に、光入射端面となる片端側から入射した光を光出射端面となる他端側から出射する導光ロッドと、同導光ロッドから出射する光を被照射物へ導く光ファイバーとを有して配置してある。また同導光ロッドは蛍光ガラスで構成し、同導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置し、さらに導光ロッドの中間一部で且つ導光ロッドの外周面に対応して、バンドパスフィルタを配置し、同バンドパスフィルタを通過した蛍光光をセンサが受光し、モニタ光として検出するように構成してある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項4に記載の本発明に係る光量モニタによると、導光ロッドは蛍光ガラスで構成し、同導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を有して構成してあるので、導光ロッドの光出射端面に投射した紫外線は反射して導光ロッドに戻り、蛍光光を励起しセンサが受光し、可視光として検出するので、効率よく正確に光ファイバーに導かれる光量を測定することができる。
さらに導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を有して構成してあるので、光ファイバーの入射端面に紫外線が投射されることがなくなるので、光ファイバーの入射端面から紫外線が反射することがなく、導光ロッドの光出射端面に紫外線が反射して入射して悪影響を与えることがなくなる効果がある。
また導光ロッドは蛍光ガラスで構成してあるので、導光ロッドを通過する過程で、紫外線は励起されて蛍光光として光ファイバーに導入し、可視光として所望の箇所へ効果的に導くことができる。
また導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置してあるので、光ファイバーに紫外線が入射され、光ファイバーが紫外線により劣化することはなくなる。
【0014】
請求項5に記載の光源装置によると、導光ロッドは蛍光ガラスで構成し、同導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を有して構成してあるので、導光ロッドを通過する過程で、紫外線の一部は励起されて蛍光光として光ファイバーに導入し、可視光として所望の箇所を効果的に照明することができ、さらに導光ロッドの光出射端面に投射した紫外線は反射して導光ロッドに戻り、蛍光光を励起しセンサが受光し、可視光として検出するので、効率よく正確に光ファイバーに導かれる光量を測定することができる。
また同光源装置によると、導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を有して構成してあるので、光ファイバーの入射端面に紫外線が投射されることがなく、光ファイバーの入射端面から紫外線が反射することがなく、導光ロッドの光出射端面に紫外線が反射して入射して悪影響を与えることがなくなる効果がある。
また同光源装置によると、導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置してあるので、光ファイバーに紫外線が入射され、光ファイバーが紫外線により劣化することはなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の光量モニタとそれを用いた光源装置の最良の形態を図1乃至図5について説明する。
【実施例1】
【0016】
以下本発明の実施例を図1乃至図5について説明する。
図1は本発明に係る光源装置を示す正面図、図2は図1に組み込む本発明に係る光量モニタの正面図、図3は図1における調光フィルタの側面図、図4は導光ロッドの蛍光ガラスの蛍光スペクトルを示す図、図5はバンドパスフィルタの分光透過率を示す図である。
【0017】
図1において、1は光源装置を構成する光源装置本体であって、筐体状に構成してある。2は光源装置本体1の内部に収納してなる光源であって、反射ミラー3に装着して構成してある。光源としては、例えば250ワット程度のメタルハライドランプを用いて構成してある。4は反射ミラー3の前方に40mmの間隔を有して設けた赤外線カットフィルタであって、光ファイバーへの伝達する熱線をカットする。5は赤外線カットフィルタ4の前方に10mmの間隔を有して設けた調光フィルタであって、図3に示すように、円形に構成し、開口率が除々に変化する多数のスリット6が配列形成され、回転することによって、回転方向に応じて透過光量が漸増若しくは漸減するように構成してある。7は調光フィルタ5を回転するためのステップモータであって、所定角度回転するように構成してある。
【0018】
図1において、10は光源2を点灯制御するための点灯回路である。11は検出光量に応じて、照射光量をフィードバックする調光フィルタ5を回転制御する光量コントローラである。調光フィルタは例えばアルミニウム材で構成してある。
【0019】
図1及び図2において、20は光量モニタを構成する導光ロッドであって、透光性蛍光ガラスで構成してある。同透光性蛍光ガラスは紫外線を吸収し、図4に示すように可視光610nm付近に励起する特性を有して構成してある。
また同導光ロッドは、例えばΦ21mm、長さ120mmに構成してある。また同導光ロッドは円柱状若しくは六角形状等に構成する。
【0020】
また導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置して構成してある。同光量モニタにおける紫外線不透過物は、紫外線を反射若しくは吸収する特性を有する構成としてある。請求項3記載の紫外線不透過物は、導光ロッドの光出射端面にコーティングして構成してある。導光ロッドの光出射端面に反射成分をコーティングするには、例えばZrOとSiOを交互に蒸着して構成する。また導光ロッドの光出射端面に吸収成分をコーティングするには、例えばTiOとZnOを交互に蒸着して構成する。
【0021】
また請求項4に記載の紫外線不透過物は、導光ロッドの光出射端面と光ファイバーの入射端面との間にフィルタを配置して構成してある。
導光ロッドの光出射端面と光ファイバーの入射端面との間に紫外線を反射するフィルタとしては、例えばガラス板の表面に例えばZrOとSiOを交互に蒸着し反射膜を構成する。また紫外線を吸収するフィルタとしては、フィルタに例えばTiO成分からなる吸収層を施す。
上記したように、導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置して構成すると、光ファイバーの入射端面に紫外線が投射されることがなく、光ファイバーの入射端面から紫外線が反射することがなく、導光ロッドの光出射端面に紫外線が反射して入射することがなくなる。
【0022】
また導光ロッド20は光源2から照射された光を集光する楕円形の反射鏡3の光軸と同軸に配置してある。21は導光ロッド20を収納する遮光体であって、例えばアルミニウム材で筒状に構成してある。
【0023】
図1及び図2において、導光ロッドの光出射端面に対応して配置してなる光ファイバーであって、多成分ガラス材で構成してある。
33は光ファイバー入射端を収納するファイバー保持具であって、例えばアルミニウム材で構成してある。
【0024】
図1及び図2において、40は光センサであって、センサ受光部は導光ロッド20の長軸方向の中間付近に配置して構成してある。41は光センサ40の導光ロッド側に配置したバンドパスフィルタであって、同バンドパスフィルタを通過した蛍光光をセンサ40が受光し、可視光として検出するように構成してある。42は光センサ側に配置した拡散板であって、光センサ40に向かって導光される光を効率よく導くことができる。
図4はバンドパスフィルタの分光透過率を示すものであり、波長610nm付近の光を透過する。
【0025】
次に上記した本発明の光量モニタとそれを用いた光源装置の動作について説明する。
(1)光源装置を作動すると、光源2から照射された光は楕円形の反射鏡3の第二焦点に集光され、赤外線カットフィルタ4にて、赤外線がカットされた光が調光フィルタ5を通って、導光ロッド20に入射され、同導光ロッド20の光出射端面に向って直進し、あるいは側面で反射しながら光出射端面23に導かれる。この過程において、紫外線の一部は励起されて蛍光光として導光ロッド20の光出射端面へ導かれる。
また導光ロッドの光出射端面に投射した紫外線は紫外線不透過物に投射されて反射若しくは吸収される。また導光ロッド20を通り、拡散板40とバンドパスフィルタを通過した蛍光光をセンサ40が受光し、可視光として検出する。
(2)一方、導光ロッド20の光出射端面に導かれた可視光は光出射端面23から出射され、光ファイバー30により検査対象物(被照射物)まで案内され、照明光として効率よく照射される。
(3)かかる後、センサ40の検出光量に応じて、調光フィルタ5を回転制御し、照射光量をコントロールする。本発明によると、絶えず光量を照射光量として検出することができ、照射光量をコントロールすることにより、被照射面への光量は一定とすることができる。
【0026】
上記の光源装置1を検査用照明光源として用いる場合、1500〜2000時間点灯後の照射光量は、初期光量と比して40%程度の減光が予想されるので、当初より調光フィルタ5で光源2の光量を最大光量の60%程度に調光しておき、光センサ40が受ける検出光量の変化に応じて、光量コントローラ11が信号を発し、調光フィルタ5を回転制御する。
ここでは、検出光量は経時的に低下する傾向にあるので、例えば検出光量が1%低下したときに、調光フィルタ5をそのスリット6が大きくなる方向に回転させて、被照射面への光量は一定とする。
【0027】
このようにして、検出光量に応じて徐々に調光フィルタ5により導光ロッド20への入射光量を増大させることにより、1500〜2000時間点灯後でも、当初照射光量と略等しい光量に維持して照射することができる。
【0028】
なお上述の説明では、光量コントローラ11として導光ロッド20への入射光量を可変制御する調光フィルタ5を用いたが、本発明はこれに限らず、光源の光量を可変制御する調光回路としも同様に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る光源装置を示す正面図。
【図2】図2は図1に組み込む本発明に係る光量モニタの正面図。
【図3】図1における調光フィルタの側面図。
【図4】導光ロッドの蛍光ガラスの蛍光スペクトルを示す図。
【図5】バンドパスフィルタの分光透過率を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1 光源装置本体
2 光源
3 反射ミラー
4 赤外線カットフィルタ
5 調光フィルタ
6 スリット
7 ステップモータ
10 点灯回路
11 光量コントローラ
20 導光ロッド
21 遮光体
23 光出射端面
30 光ファイバー
33 ファイバー保持具
40 光センサ
41 バンドパスフィルタ
42 拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から照射される光を光ファイバーにより被照射物へ照射される光の照射光量を検出する光源装置に使用する光量モニタであって、
光源から被照射物に至る光路中に、光入射端面となる片端側から入射した光を光出射端面となる他端側から出射する導光ロッドを有し、
同導光ロッドは蛍光ガラスで構成し、また同導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置し、さらに導光ロッドの中間一部で且つ導光ロッドの外周面に対応して、バンドパスフィルタを配置し、同バンドパスフィルタを通過した蛍光光をセンサが受光し、可視光として検出するように構成したことを特徴とする光量モニタ。
【請求項2】
紫外線不透過物は、紫外線を反射若しくは吸収することを特徴とする請求項1記載の光量モニタ。
【請求項3】
紫外線不透過物は導光ロッドの光出射端面にコーティングして構成したことを特徴とする請求項1及び請求項2の記載光量モニタ。
【請求項4】
紫外線不透過物は導光ロッドの光出射端面と光ファイバーの入射端面との間にフィルタを配置して構成したことを特徴とする請求項1及び請求項2の記載光量モニタ。
【請求項5】
光源から照射される光を光ファイバーにより被照射物へ照射される光の照射光量を検出する光量モニタと、その検出光量に応じて照射光量を制御する光量コントローラを備えた光源装置において、
前記、光源から被照射物に至る光路中に、光入射端面となる片端側から入射した光を光出射端面となる他端側から出射する導光ロッドと、同導光ロッドから出射する光を被照射物へ導く光ファイバーとを有して配置され、同導光ロッドは蛍光ガラスで構成し、また同導光ロッドの光出射端面に紫外線不透過物を配置し、さらに導光ロッドの中間一部で且つ導光ロッドの外周面に対応して、バンドパスフィルタを配置し、同バンドパスフィルタを通過した蛍光光をセンサが受光し、モニタ光として検出するように構成したことを特徴とする光源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−80078(P2009−80078A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251149(P2007−251149)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】