説明

光電変換装置

【課題】電源給電時には多くのTV受像機にRF信号を入力できると共に、電源無給電時であっても告知放送を継続することができる、光電変換装置を提供すること。
【解決手段】光伝送システムにおいて光信号を電気信号に変換する光回線終端装置10であって、光信号を電気信号に変換するPD11aと、所定電源からの給電時にPD11aから出力された電気信号の少なくとも一部を増幅して外部機器に出力する第1出力部12と、所定電源からの給電時及び無給電時にPD11aから出力された電気信号の少なくとも一部を増幅することなく外部機器に出力する第2出力部13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムにおいて光信号を電気信号に変換する光電変換装置であって、特に無給電にて動作可能な光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、光通信技術の進展に伴い、光ケーブルを用いた光伝送システムが普及している。この光伝送システムによれば、数10Km程度の無中継伝送が可能となるため、伝送システムを容易に広域化できる。この光伝送システムは、概略的には、図7に示すように、送信者側に配置した光送信機100や光増幅器101と、受信者側に配置した光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)102とを、光ケーブル103にて構成された長距離伝送路を介して接続して構成されている。そして、送信者側においてTV信号や告知放送信号を混合し、この混合された電気信号を光送信機100によって光信号に変換し、この光信号を光増幅器101にて増幅した後、光ケーブル103を介して光回線終端装置102に送信する。この光回線終端装置102では、光信号を電気信号(RF信号)に変換して、TV受像機104や告知放送受信機105に出力する。図7では、光回線終端装置102の後段に分配器106が設けられており、この分配器106にて分配されたRF信号が、複数のTV受像機104の各々や告知放送受信機105に出力される。この構成では、光回線終端装置102のRF信号の出力レベルが大きい程、分配器106による分配数を多くすることができ、より多くのTV受像機104にRF信号を入力できる。
【0003】
この光回線終端装置102には、光信号を電気信号に変換するためのPD(Photo Diode)が組み込まれている。このPD周辺の回路図を図8に示す。例えば、PD110がPINフォトダイオードである場合、PD110には+Vccの逆電圧が印加されているため、PIN構造の中のi層内に空乏層ができる。この状態において、PD110の外部からエネルギ・バンドキャップ以上の光エネルギーが入射されると、この光エネルギーが空乏層で吸収され、伝導電子と正孔との生成及びドリフトが行われることにより、光強度変化に比例した電流(逆電流)が流れ、光電変換を行うことができる。そして、このようにPD110から出力される信号における交流成分をコンデンサ111によるAC結合によって取り出して、出力端子112に出力することができる。
【0004】
ここで、緊急告知放送を行う放送システムにおいては、災害等に伴う停電時においても告知放送を継続できる体制が必要になる。しかしながら、停電によって光回線終端装置に対する電源供給が停止すると、PD110に逆電圧が印加されなくなるため、光電変換を行うことができなくなる。このような事態を防止するため、従来は、乾電池や大容量キャパシタをバックアップ電源として光回線終端装置に内蔵することで、停電時においても逆電圧を印加し、光電変換を継続可能としていた(例えば特許文献1には大容量キャパシタを用いる例が開示されている)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−174211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、乾電池をバックアップ電源として用いた場合には、乾電池の寿命や自然放電を監視したり、必要に応じて乾電池を交換したりする等、光回線終端装置のメンテナンスに手間を要するという問題があった。また、大容量キャパシタをバックアップ電源として用いた場合には、最長でも1時間程度しか逆電圧を印加することができず、長時間のバックアップ体制を構築することが困難であった。
【0007】
その一方、このような課題を解決するため、本件出願人は、PDを逆電圧印加のない無バイアスモード(太陽電池モード)で使用し、このPDから出力される信号の交流成分のみを取り出して出力端子を介して出力することで、光電変換を行うことを発案した。例えば、図9のPD周辺の回路図に示すように、PD110をコンデンサ111によるAC結合を介して出力端子112に接続する。このPD110にエネルギ・バンドキャップ以上の光エネルギーが入射されると、光強度に比例した起電力が発生し、この起電力の直流成分がコンデンサ111で落とされることによって、交流成分(RF信号)のみが出力端子112に出力される。
【0008】
しかしながら、図9の如き回路においては、停電時でもRF信号を出力できるという利点がある一方、RF信号を増幅することができないので、図7のように分配器106にてRF信号を分配して多数のTV受像機104に供給することは困難になるという新たな問題が生ずる。しかしながら、図9の回路に単に増幅器を設けた場合には、停電時に増幅器への給電も停止することから当該増幅器が動作不能となってRF信号が出力できなくなり、停電時に告知放送を継続するという初期の目的が達成できなくなる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電源給電時には多くのTV受像機にRF信号を入力できると共に、電源無給電時であっても告知放送を継続することができる、光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、光伝送システムにおいて光信号を電気信号に変換する光電変換装置であって、前記光信号を前記電気信号に変換するフォトダイオードと、前記所定電源からの給電時に、前記フォトダイオードから出力された電気信号の少なくとも一部を、増幅して外部機器に出力する第1出力手段と、前記所定電源からの給電時及び無給電時に、前記フォトダイオードから出力された電気信号の少なくとも一部を、増幅することなく外部機器に出力する第2出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記フォトダイオードから出力された電気信号の交流成分のみを取り出すコンデンサを備え、前記コンデンサにて取り出された交流成分を前記第1出力手段及び前記第2出力手段に入力すること、を特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の本発明において、前記第1出力手段には、前記フォトダイオードから出力された電気信号の高周波数成分のみを取り出す高域通過濾波手段を設け、前記第2出力手段には、前記フォトダイオードから出力された電気信号の低周波数成分のみを取り出す低域通過濾波手段を設けたこと、を特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の本発明において、前記第2出力手段は、当該第2出力手段に接続される前記外部機器との間のインピーダンス整合を行う整合用手段を備えること、を特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の本発明において、前記第1出力手段の出力信号と前記第2出力手段の出力信号との混合信号を前記外部機器に出力する出力端子、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の本発明において、前記第1出力手段の出力信号を前記外部機器に出力する第1出力端子と、前記第2出力手段の出力信号を前記外部機器に出力する第2出力端子と、前記第1出力手段の出力信号と前記第2出力手段の出力信号とを方向性結合する方向性結合手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明によれば、給電時には、信号を増幅して高いレベルで出力でき、無給電時には、増幅器が停止状態にあっても信号の出力を継続することができる。
【0017】
請求項2に記載の本発明によれば、フォトダイオードから出力された電気信号の交流成分のみを分離して出力することができる。
【0018】
請求項3に記載の本発明によれば、給電時には、高周波信号のみを増幅して高いレベルで出力でき、無給電時には、増幅器が停止状態にあっても低周波数信号を分離して継続出力することができる。
【0019】
請求項4に記載の本発明によれば、整合用手段を用いて外部機器との間のインピーダンス整合を行うことが可能になる。特に、整合用手段を第2出力手段に設けることで、整合用手段のトランスの巻数を大きくした場合の巻線ロスの影響が第1出力手段の信号に及ばないので、第1出力手段の信号の出力レベルとは切り離して、第2出力手段の信号の出力レベルを設定できる。
【0020】
請求項5に記載の本発明によれば、第1出力手段の出力端子と第2出力手段の出力端子とを相互に共通化できるので、光回線終端装置とTV受像機や告知放送受信機の端末機器群とを相互に接続する同軸ケーブルの敷設数を低減することができる。
【0021】
請求項6に記載の本発明によれば、モニタ専用端子を設けることなくモニタ出力を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る光回線終端装置の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態は、光回線終端装置を、電源の給電時と無給電時の両方において動作可能とするものである。給電時には、従来と同様に、PDに逆電圧を印加して光電変換を行わせると共に、この光電変換によって取得したRF信号を増幅して出力することで、分配器で分配して多くのTV受像機にRF信号を入力することを可能とする。一方、停電等による無給電時には、PDに逆電圧を印加できないため、PDを無バイアスモードで使用して光電変換を行うことで、給電時より品質を落とした状態での信号伝送を行う。特に、これら増幅を行う系統と増幅を行わない系統とを分離したことで、増幅を行わない系統においては、増幅器への給電の有無に関わらず、信号を送信することができる。
【0024】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0025】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、給電時にRF信号を出力する第1出力手段と、給電時及び無給電時にRF信号を出力する第2出力手段とを、相互に完全に分離した形態である。
【0026】
図1は実施の形態1に係る光回線終端装置を用いた光伝送システムの構成を示すブロック図である(ただし光回線終端装置の上流側を省略する)。この光伝送システム1は、概略的には図7に示した従来の光伝送システムと同様に構成されているが、光回線終端装置10からは2系統の出力が出ており、そのうちの一方(図示における給電時出力であり、ここではTV信号)が分配器2を経て複数のTV受像機3に供給され、他方(図示における常時出力であり、ここでは告知放送信号)が告知放送受信機4に供給されている。
【0027】
図2は図1の光回線終端装置10の回路図である。この光回線終端装置10は、光電変換部11、第1出力部(給電時出力回路)12、及び、第2出力部(常時出力回路)13を図示のように接続して構成されている。
【0028】
光電変換部11は、光信号を電気信号に変換してRF信号として出力する光電変換手段であり、PD11a、抵抗11b、コイル11c、11d、スイッチ11e、及び、コンデンサ11fを備えて構成されている。抵抗11bは突入電流防止用の抵抗、コイル11cはチョークコイル、コイル11dはPD電流の直流成分をPD11aに還流するためのインダクタ(直流成分還流手段)である。スイッチ11eは、給電時に線路を開くことによって電圧をPD11aに印加させ、無給電時には線路を閉じることによってPD11aを直流的に短絡する切替手段であり、手動により又は公知の方法にて自動に切替えられる。コンデンサ11fはPD電流の交流成分(RF信号)のみを取り出すためのAC結合コンデンサである。
【0029】
第1出力部12は、光電変換部11のPD11aから出力されたRF信号の少なくとも一部を、増幅して外部機器(ここでは図1の分配器2)に出力するものであり、特許請求の範囲における第1出力手段に対応する。この第1出力部12は、HPF(High Pass Filter)12a、複数の増幅器12b、及び、第1出力端子(給電時出力端子)12cを図示のように接続して構成されている。HPF12aは、RF信号の高周波数成分のみを取り出すもので、特許請求の範囲における高域通過濾波手段に対応する。増幅器12bは、正電源+Vccを用いてRF信号を増幅する増幅手段である。なお、この増幅器12bの段数(図2では3段)は、所望のTV信号のレベルに応じて決定することができる。第1出力端子12cは、RF信号を図1の分配器2に対して出力する出力手段である。
【0030】
第2出力部13は、光電変換部11のPD11aから出力されたRF信号の少なくとも一部を、増幅することなく外部機器(ここでは図1の告知放送受信機4)に出力するものであり、特許請求の範囲における第2出力手段に対応する。この第2出力部13は、LPF(Low Pass Filter)13a、整合回路13b、及び、第2出力端子(常時出力端子)13cを図示のように接続して構成されている。LPF13aは、RF信号の低周波数成分のみを取り出すもので、特許請求の範囲における低域通過濾波手段に対応する。整合回路13bは、第2出力端子13cに接続される外部機器との間のインピーダンス整合を行うもので、特許請求の範囲における整合用手段に対応する。この整合回路13bは、抵抗13b及びトランス13bを図示のように接続して構成されている。この整合回路13bを設けることで、外部機器とのインピーダンス整合を行うことが可能になると共に、抵抗13bの抵抗値を極力大きくすることで第2出力端子13cから出力されるRF信号を大きくすることができる。
【0031】
このような構成において、正電源+Vccの給電時には、スイッチ11eがオープンされ、正電源+Vccから給電された電圧がPD11aに印加され、このPD11aにて光電変換され出力されたRF信号が第1出力部12及び第2出力部13へ出力される。このRF信号のうち、高周波数(例えば90MHz以上)成分であるTV信号は、HPF12aを通過して増幅器12bに入力され、この増幅器12bによって多段増幅されて、第1出力端子12cを介して図1の分配器2に出力される。このように光回線終端装置10からは増幅されたTV信号が出力されるので、このTV信号を分配器2にて分配しても一定の出力レベルを維持することができ、多くのTV受像機3にTV信号を供給することができる。また、光電変換部11から出力されたRF信号のうち、低周波数(例えば70〜76MHz)成分である告知放送信号は、LPF13aを通過して整合回路13bに至り、第2出力端子13cを介して図1の告知放送受信機4に出力される。なお、第2出力部13には増幅器がないことから、告知放送信号のレベルは、第1出力部12から出力されるTV信号のレベルより小さくなるが、通常、告知放送受信機4は宅内に1台しか設置されず、分配器2にて告知放送信号を分配する必要がないため、十分なレベルを確保することができる。
【0032】
一方、図2において、停電等によって正電源+Vccが無給電状態になった時には、スイッチ11eがクローズされ、PD11aは電圧印加のない無バイアスモードで使用される光電変換手段として機能する。図3はPD11aの電圧−電流特性図である。PD11aにエネルギ・バンドキャップ以上の光エネルギーが入射されると、この光エネルギーが空乏層で吸収され、伝導電子と正孔との生成及びドリフトが行われることにより、光強度に比例した起電力が発生する。この起電力は、図2のコンデンサ11fによるAC結合によって直流成分が落とされることによって、交流成分(RF信号)のみが第1出力部12及び第2出力部13へ出力される。特に、この回路では、スイッチ11eがクローズされることで、PD11aが直流的に短絡されるので、PD11aの端子間容量を無給電時において可能な限り小さくすることができ、PD11aの高速性を最大限に維持することができる。
【0033】
この無給電状態では、増幅器12bに正電源+Vccが供給されないことから、TV信号を第1出力端子12cから出力することができずTV放送は停止するが、停電時にはTV受像機3の電源も落ちるために実質的な問題は生じない。しかしながら、光電変換部11から出力されたRF信号のうち、低周波数成分である告知放送信号は、正電源+Vccの給電時と同様に、LPF13aを通過して整合回路13bに至り、第2出力端子13cを介して図1の告知放送受信機4に出力される。従って、無給電時においても、告知放送を継続することができる。
【0034】
なお、本実施の形態1においては、高周波数帯域のRF信号をTV信号とし、低周波数帯域のRF信号を告知放送信号として説明しているが、両信号を相互に分離できる限りにおいて、具体的な信号やフィルタの種類は任意である。例えば、緊急放送信号が108〜170MHzのミッドバンドで行われる場合、HPF12aに代えて阻止周波数帯域が108〜170MHzのBEF(Band Elimination Filter)を設けると共に、LPF13aに代えて通過周波数帯域が108〜170MHzのBPF(Band Pass Filter)を設けてもよい。
【0035】
また、整合回路13bは図2の位置P1や位置P2に移動してもよい。ただし、告知放送信号の出力レベルを大きくするために抵抗13bの抵抗値を大きくした場合には、トランス13bの巻数が大きくなるため、高周波数帯域での巻線ロスが大きくなる。この場合、整合回路13bを位置P1に配置すると、巻線ロスの影響が告知放送信号のみならず高周波数帯域の信号(ここではTV信号)にも生じるため、TV信号の出力レベルを大きくするためには抵抗13bの抵抗値を大きくすることができず、結果として、告知放送信号の出力レベルも制限される。一方、整合回路13bを図2に示した位置に配置すると、巻線ロスの影響は高周波数帯域の信号に及ばないので、TV信号の出力レベルを大きくした場合であっても、告知放送信号の出力レベルを上げることができるのでより好ましい。
【0036】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、給電時には、告知放送信号を出力できると共に、TV信号を増幅して高いレベルで出力でき、無給電時には、告知放送信号の出力を継続することができる。
【0037】
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る実施の形態2について詳細に説明する。この実施の形態2は、第1出力手段の出力信号と第2出力手段の出力信号との混合信号を外部機器に出力する共通の出力端子を設けた形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0038】
図4は実施の形態2に係る光回線終端装置を用いた光伝送システムの構成を示すブロック図である(ただし光回線終端装置の上流側を省略する)。この光伝送システム5は、概略的には図1の光伝送システム1と同様に構成されているが、光回線終端装置20からは1系統の出力のみが出ており、この出力が分波器を介して2分波され、その内の一方(給電時出力であり、ここではTV信号)が分配器2を介して複数のTV受像機3の各々に供給され、他方(常時出力であり、ここでは告知放送信号)が告知放送受信機4に供給されている。
【0039】
図5は図4の光回線終端装置20の回路図である。この光回線終端装置20は、光電変換部21、第1出力部22、第2出力部23、及び、共通の出力端子24を図示のように接続して構成されている。ここで、光電変換部21は、図2の光回線終端装置10の光電変換部11と同様に構成されているのでその説明を省略する。
【0040】
第1出力部22は、2つのHPF12aと、1つの増幅器12bを図示のように接続して構成されており、第2出力部23は、2つのLPF13aと、整合回路13bを備えて構成されている。なお、整合回路13bは図2と同様に構成できるので、図5(及び後述する他の図面)においては細部を省略したブロック表現にて示す。出力端子24は、これら第1出力部22及び第2出力部23の後段に配置されており、この出力端子24に対して第1出力部22及び第2出力部23の出力が混合して入力される。
【0041】
このような構成において、正電源+Vccの給電時には、光電変換部21から出力された信号が第1出力部22及び第2出力部23へ出力される。このRF信号のうち、高周波数成分であるTV信号は、第1出力部22のHPF12aを通過して増幅器12bに入力され、増幅器12bによって増幅されて、HPF12aを介して出力される。また、光電変換部21から出力されたRF信号のうち、低周波数成分である告知放送信号は、第2出力部23のLPF13aを通過して整合回路13bに至り、LPF13aを介して出力される。このように出力されたTV信号及び告知放送信号は、混合されて出力端子24へ出力される。この混合信号は、図4の分波器6にてTV信号と告知放送信号に分波され、TV信号は分配器2を経て複数のTV受像機3の各々に供給され、告知放送信号が告知放送受信機4に供給される。
【0042】
一方、図5において、停電等によって正電源+Vccが無給電状態になった時には、光電変換部21から出力された信号が第1出力部22及び第2出力部23へ出力され、低周波数成分である告知放送信号のみが、正電源+Vccの給電時と同様に、第2出力部23から出力端子24へ出力され、図4の分波器6を介して告知放送受信機4に供給される。
【0043】
この構成では、図4の分波器6が必要になるが、光回線終端装置20とTV受像機3や告知放送受信機4の如き端末機器群とが相互に離れているような場合には、これらを接続する同軸ケーブル7を1本のみ敷設すればよいので特に有効である。また、TV受像機3の設置数が比較的少ないような場合等、TV信号の出力レベルを告知放送信号の出力レベルに比べてあまり大きくする必要がない場合には特に有効である。なお、通常、告知放送受信機4の所要入力信号レベルは、TV受像機3の所要入力信号レベルより10dB程度低いため、図5の第1出力部22の増幅器12bにおける増幅が当該10dB程度以下であれば、告知放送信号をTV信号と同様に分配することができる(ただし、実際には、告知放送受信機4の所要入力信号レベルとTV受像機3の所要入力信号レベルとの相互の差異は、整合回路13bを用いた出力レベル調整や、図4の同軸ケーブル7や分配器2における高周波信号と低周波信号との損失の差異を補償するためのチルト(図示せず)の有無等に応じて異なり得る)。
【0044】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1の効果に加えて、TV信号の出力端子と告知放送信号の出力端子を相互に共通化できるので、光回線終端装置20とTV受像機3や告知放送受信機4の如き端末機器群とを相互に接続する同軸ケーブル7の敷設数を低減することができる。
【0045】
〔実施の形態3〕
次に、本発明に係る実施の形態3について詳細に説明する。この実施の形態3は、第1出力手段の出力信号と第2出力手段の出力信号とを方向性結合する方向性結合手段を設けた形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0046】
図6は本実施の形態3に係る光回線終端装置30の回路図である。この光回線終端装置30は、光電変換部31、第1出力部32、第2出力部33、及び、方向性結合器34を図示のように接続して構成されている。ここで、光電変換部31は、図2の光回線終端装置20の光電変換部11と同様に構成されているのでその説明を省略する。
【0047】
第1出力部32は、2つのHPF12a、1つの増幅器12b、及び、第1出力端子12cを備えて構成されており、第2出力部33は、2つのLPF13a、整合回路13b、及び、第2出力端子13cを備えて構成されている。また、第1出力部32における下流側のHPF12aの後段と第2出力部33における下流側のLPF13aの後段との相互間に、方向性結合器34が接続されている。この方向性結合器34は、第1出力部32の出力信号と第2出力部33の出力信号とを方向性結合するもので、特許請求の範囲における方向性結合手段に対応する。
【0048】
このような構成において、正電源+Vccの給電時には、光電変換部31から出力された信号が第1出力部32及び第2出力部33へ出力される。このRF信号のうち、高周波数成分であるTV信号は、第1出力部32のHPF12aを通過して増幅器12bに入力され、増幅器12bによって増幅されて、HPF12aを介して出力される。また、光電変換部31から出力されたRF信号のうち、低周波数成分である告知放送信号は、第2出力部33のLPF13aを通過して整合回路13bに至り、LPF13aを介して出力される。ここで、HPF12aの出力とLPF13aの出力とは、方向性結合器34にて混合されて第1出力端子12c及び第2出力端子13cを介して出力される。従って、第1出力端子12cからの出力は、TV放送出力として利用可能であると共に、告知放送信号のモニタ出力として利用でき、第2出力端子13cからの出力は、告知放送出力として利用可能であると共に、TV信号のモニタ出力として利用できる。このため、例えば、第1出力端子12cからの出力を用いてTV受像を継続しながら、第2出力端子13cからの出力を用いてTV信号をモニタすること等ができる。特に、モニタ専用の端子を設けることなくモニタ出力を得ることができる。
【0049】
一方、停電等によって正電源+Vccが無給電状態になった時には、光電変換部31から出力された信号が第1出力部32及び第2出力部33へ出力され、低周波数成分である告知放送信号のみが、正電源+Vccの給電時と同様に、第2出力部33のLPF13aを介して出力される。この出力は、方向性結合器34にて混合されて第1出力端子12c及び第2出力端子13cを介して出力される。従って、第2出力端子13cからの出力は告知放送出力として利用可能であると共に、第1出力端子12cからの出力は告知放送出力のモニタ出力として利用できる。
【0050】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態1の効果に加えて、モニタ専用端子を設けることなくモニタ出力を得ることができる。
【0051】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0052】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0053】
(光電変換装置について)
なお、本発明に係る光電変換装置は、光回線終端装置に限定されず、光信号を電気信号に変換するための任意の目的の装置に適用することができる。
【0054】
(回路構成について)
なお、実施の形態1から実施の形態3の回路においては、PD11aの極性を各実施の形態とは逆極性にすると共に、負電源による逆電圧を印加しても、同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明は、光伝送システムにおいて光信号を電気信号に変換する光電変換装置に適用でき、電源給電時には高出力レベルの信号を出力できると共に、長時間の停電時にも信号出力を継続することに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光回線終端装置を用いた光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の光回線終端装置の回路図である。
【図3】PDの電圧−電流特性図である。
【図4】実施の形態2に係る光回線終端装置を用いた光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図4の光回線終端装置の回路図である。
【図6】実施の形態3に係る光回線終端装置の回路図である。
【図7】従来の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図8】従来の光回線終端装置におけるPD周辺の回路図である。
【図9】従来の問題の一部を解決するためのPD周辺の回路図である。
【符号の説明】
【0057】
1、5 光伝送システム
2、106 分配器
3、104 TV受像機
4、105 告知放送受信機
6 分波器
7 同軸ケーブル
10、20、30、102 光回線終端装置
11、21、31 光電変換部
11a、110 PD
11b、13b 抵抗
11c、11d コイル
11e スイッチ
11f、111 コンデンサ
12、22、32 第1出力部
12a HPF
12b 増幅器
12c 第1出力端子
13、23、33 第2出力部
13a LPF
13b 整合回路
13b トランス
13c 第2出力端子
24、112 出力端子
100 光送信機
101 光増幅器
103 光ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送システムにおいて光信号を電気信号に変換する光電変換装置であって、
前記光信号を前記電気信号に変換するフォトダイオードと、
前記所定電源からの給電時に、前記フォトダイオードから出力された電気信号の少なくとも一部を、増幅して外部機器に出力する第1出力手段と、
前記所定電源からの給電時及び無給電時に、前記フォトダイオードから出力された電気信号の少なくとも一部を、増幅することなく外部機器に出力する第2出力手段と、
を備えることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記フォトダイオードから出力された電気信号の交流成分のみを取り出すコンデンサを備え、前記コンデンサにて取り出された交流成分を前記第1出力手段及び前記第2出力手段に入力すること、
を特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第1出力手段には、前記フォトダイオードから出力された電気信号の高周波数成分のみを取り出す高域通過濾波手段を設け、
前記第2出力手段には、前記フォトダイオードから出力された電気信号の低周波数成分のみを取り出す低域通過濾波手段を設けたこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2出力手段は、当該第2出力手段に接続される前記外部機器との間のインピーダンス整合を行う整合用手段を備えること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第1出力手段の出力信号と前記第2出力手段の出力信号との混合信号を前記外部機器に出力する出力端子、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第1出力手段の出力信号を前記外部機器に出力する第1出力端子と、
前記第2出力手段の出力信号を前記外部機器に出力する第2出力端子と、
前記第1出力手段の出力信号と前記第2出力手段の出力信号とを方向性結合する方向性結合手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光電変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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