説明

光電陰極及び電子管

【課題】化合物半導体を用いた光電陰極において、広いダイナミックレンジを実現すると共に、高速でのゲート動作が可能な光電陰極及び電子管を提供すること。
【解決手段】
電子管に適用可能な光電陰極10は、基板11と、基板11上に形成され、化合物半導体から構成されると共に、光の入射に応じて光電子放出面14Eから光電子を放出する光吸収層14と、基板11から光吸収層14に至る部位を同電位とするように、光電子放出面上14Eに形成されると共に光電子放出面14Eを露出する開口15Hを有する電極層15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体から構成される光吸収層を備える光電陰極及びこれを用いた電子管に関する。
【背景技術】
【0002】
光電子増倍管などの電子管に用いられる光電陰極では、いわゆるフィールドアシスト型の場合、光電陰極の内部で電界を生じさせるために光電子放出面上に電極を形成することが知られている(特許文献1及び2参照)。また、フィールドアシスト型以外の場合、光電陰極の外部と電気的な接続を取るために光吸収層(活性層)の周縁部に電極を設けることが知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】米国特許第6121612号明細書
【特許文献2】特開平8−255580号公報
【特許文献3】特開平9−213206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光電陰極を適用した光電子増倍管や画像増強管などの電子管では、過大入力光の遮断や高速現象の解析のために、陽極と陰極との間の電位を変化させることでいわゆるゲート動作を行うことが知られている。しかし、光電陰極の光吸収層に用いる化合物半導体によっては、高速でのゲート動作が困難になるという問題があった。特に、光吸収層に窒化物半導体を用いた場合、他の化合物半導体(例えば、GaAs、GaAsP若しくはInGaAs)を用いた場合と比較して、この問題は顕著に現れ、高速でのゲート動作はもちろん、ゲート動作そのものができない場合があった。
【0004】
本発明者はこの問題について鋭意検討した結果、光吸収層の材料によって面抵抗が異なることに着目し、ゲート動作が困難になる原因は、光電陰極の面抵抗の大きさに起因する低い感度特性(リニアリティ)にあると知見するに至った。面抵抗は、光電陰極の光吸収層のキャリア濃度や厚さ等によって大きく変化する。例えば、光電陰極が属する技術分野とは異なる技術分野に属するものではあるが、電子デバイスの1つである光電子移動度トランジスタ(HEMT)では、厚さ1μmのGaN層を備え、面抵抗値が360Ω/sq.というデバイスが報告されている。しかしながら、化合物半導体を光吸収層とする場合には、光電陰極の面抵抗値が1kΩ以上となる場合があり、ゲート動作に支障をきたすことがわかった。特に、光電陰極の面抵抗値が10kΩ以上となる場合には、高速でのゲート動作が極めて困難であることがわかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の知見に基づき、面抵抗の高い光電陰極であっても、高速でのゲート動作が可能となる光電陰極及び電子管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光電陰極は、(1)基板と、(2)基板上に形成され、化合物半導体から構成されると共に光の入射に応じて光電子放出面から光電子を放出する光吸収層と、(3)基板から光吸収層に至る部位を同電位とするように、光電子放出面上に形成されると共に光電子放出面を露出する開口を有する電極層と、を備える。
【0007】
本発明の光電陰極によれば、基板から光吸収層に至る部位を同電位とするように、光電子放出面上に電極層が形成される。このように構成することで、光電陰極全体に電荷が供給されると共に、電子放出面が有する特性の均質化が図られる。従って、面抵抗の高い化合物半導体を用いた光電陰極であっても、電子放出面の全体が有効に活用されることで入射光が強い場合でも入射光強度に応じた光電子を放出できるようになり、感度特性が改善される。また、当該光電陰極は、短時間に電位が変化する高速でのゲート動作にも適用することができる。なお、この感度特性の改善による効果は、光電子放出面の面積が大きい光電陰極では顕著なものとなる。加えて、本発明の光電陰極によれば、電子放出面が有する特性の均質化が図られることで、光電陰極に高電圧が印加された際の立ち上がりが改善されるため、広いダイナミックレンジが実現される。
【0008】
また、本発明の光電陰極は、(1)光入射面を有する基板と、(2)基板上に形成され、光入射面を通過する光に応じて光電子を放出し、かつ、化合物半導体から構成される光吸収層と、(3)光吸収層上に複数の開口を含むパターンを伴って形成され、かつ、基板の一部に接するまで延在する部分を有する電極層と、を備える。
【0009】
本発明の光電陰極によれば、電極層が複数の開口を含むパターンを伴って光吸収層上に形成され、かつ、基板の一部に接するまで延在する部分を有している。このように構成することで、光電陰極全体に電荷が供給される。加えて、光吸収層が電子を放出する面としての「電子放出面」が有する特性の均質化が図られる。従って、電極層が形成される前の状態で1kΩ/sq.以上という高い面抵抗値を有する光電陰極であっても良好な感度特性を実現できる。特に、電極層が形成される前の状態で10kΩ/sq.以上という極めて高い面抵抗値を有する光電陰極であっても高速でのゲート動作を実現できる。
【0010】
また、電極層が、光吸収層の側部を介して、基板の一部に接するまで延在する部分を有していても良い。このように構成することで、光電陰極に対して、より均一に電荷を供給することができる。
【0011】
また、複数の開口を含む前記パターンは、各開口が実質的に一定の間隔で設けられている部分を含むパターンであっても良い。このように構成することで、光電陰極に対して、より均一に電荷を供給することができる。
【0012】
また、上記光電陰極は、光吸収層と基板との間に介在し、AlGaAs系材料から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが光吸収層よりも広い窓層を更に備えてもよい。このように構成することで、光吸収層と基板との間の格子不整合を緩和することができる。また、光電子に対してAlGaAs系材料である窓層を障壁として作用させることができる。
【0013】
また、上記光電陰極は、基板と窓層との間に介在する反射防止膜を更に備えてもよい。反射防止膜が介在することによって、光吸収層に入射する光について所望の波長の反射率が低減され、光電子を放出する効率を高めることができる。
【0014】
また、上記光電陰極は、光吸収層を構成する化合物半導体が窒化物半導体としてもよい。このように構成することで、面抵抗が極めて高い窒化物半導体を光吸収層に用いることで、電極層が形成される前の状態で1kΩ/sq.以上という高い面抵抗値を有する光電陰極であっても、広いダイナミックを実現するとことができる。また、電極層が形成される前の状態で10kΩ/sq.以上という極めて高い面抵抗値を有する光電陰極であっても、高速でのゲート動作が可能な光電陰極を得ることができる。
【0015】
また、光吸収層を構成する化合物半導体を窒化物半導体とした場合には、光吸収層と基板との間に介在し、窒化物半導体から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが光吸収層よりも広いバッファ層を更に備えてもよい。このように構成することで、光吸収層と基板との間の格子不整合を緩和することができる。また、光電子に対してエネルギーバンドギャップが光吸収層よりも広いバッファ層を障壁として作用させることができる。
【0016】
また、本発明の電子管は、上記光電陰極と、上記光電陰極から放出された光電子を収集する陽極と、上記光電陰極及び陽極を収容する真空容器と、を備える。なお、上記電子管は、上記光電陰極と陽極との間に、パルス状の電圧を印加する電圧印加手段を更に備えてもよい。
【0017】
本発明の電子管によれば、光電陰極において基板から光吸収層に至る部位を同電位とするように、光電子放出面上に電極層が形成される。従って、光電陰極に面抵抗の高い化合物半導体を用いた場合であっても光電陰極全体に電荷が供給されることで、光電陰極の感度特性が改善されて、高速でのゲート動作が可能となる。更に、光電子放出面が有する特性の均質化が図られることで、光電陰極に高電圧が印加された際の立ち上がりが改善されるため、広いダイナミックレンジが実現される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光電陰極の基板から光吸収層に至る部位を同電位とするように、光電子放出面上に電極層が形成されることで、電子放出面の全体が有効に活用されて入射光が強い場合でも入射光強度に応じた光電子を放出できるようになり、高速でのゲート動作が可能な光電陰極及び電子管を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る光電陰極及び電子管について、添付の図面に基づき説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光電陰極10の平面図であり、図2は図1におけるII-II線に沿った断面図である。
【0021】
光電陰極10は、基板11と、反射防止膜12と、窓層13と、光吸収層14と、電極層15と、を備えている。光吸収層14は、光の入射に応じて光電子を放出する光電子放出面14Eを有している。また、この光電子放出面14E側において、開口15Hにより露出された光電子放出面14Eと電極層15との上には、活性層16が形成されている。
【0022】
基板11は、光入射面を一面に有する板状部材である。また、光電陰極10の入射窓となる部分であり、光吸収層14を構成するGaAsに近い熱膨張係数を有する材料(例えば、硼珪酸ガラス)からなる。基板11の厚さは特に限定されないが、画像増強管などの電子管に本実施の形態に係る光電陰極を適用する場合には、基板11は真空容器の一部となるので機械的強度が保たれる厚さとすればよい。
【0023】
反射防止膜12は、基板11と窓層13との間に介在し、第1反射防止層12Aと第2反射防止層12Bとを備えている。反射防止層12A,12Bは、SiO、Si等の材料からなり、所望の波長の反射率が最小となるように、それぞれの層に用いる材料が選択され、厚さが調整されている。
【0024】
窓層13は、光吸収層14と基板11との間に介在し、反射防止膜12の第2反射防止層12Bの面上に形成されている。この窓層13は、AlGaAs系材料から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが光吸収層14よりも広くされている。この窓層13に用いるAlGaAs系材料としては、組成式AlGa(1−x)As(0<x≦1)にて表されるものを用いることができる。窓層13の厚さは10μm未満とすることが好ましく、30nm以上5μm以下とすることがより好ましい。これは、厚さが30nm未満の場合には、窓層13が光電子に対して障壁として作用しなくなり、厚さが5μmを超える場合には、窓層13を形成するために行うエピタキシャル成長に要する成長時間の面から実用的でなくなるためである。また、窓層13はp型にドーピングされていることが好ましい。
【0025】
光吸収層14は、基板11の光入射面を通過した光hνに応じて光電子放出面14Eから光電子を放出する化合物半導体層である。光吸収層14は例えばGaAsから構成され、ドーピング濃度(原子濃度)が1017cm−3以上1020cm−3以下となる範囲でp型にドーピングされている。なお、キャリア濃度は、1018以上3×1019cm−3以下の範囲とすることがより好ましい。また、光吸収層14の厚さは0.5μm以上5μm以下とすることが好ましく、1μm以上2.5μm以下とすることがより好ましい。この厚さは光吸収層14の光電子の拡散長と光吸収率によって決定することができる。
【0026】
電極層15は、基板11から光吸収層14に至る部位を同電位とするように形成されている。具体的には、図1に示されるように、光電陰極10の上面である光電子放出面14E上において、電極層15はストライプ状に形成され、光電子放出面14Eの一部を露出する開口15Hを有する形状とされている。換言すれば、光吸収層14上に複数の開口15Hを含むパターンを伴って形成されている。
【0027】
また、図2に示されるように、電極層15は、基板11、反射防止膜12、窓層13及び光吸収層14の側面を覆うように形成されている。換言すれば、光吸収層14の側部を介して、基板11の一部に接するまで延在する部分を有している。
【0028】
電極層15の材料としては、半導体層である光吸収層14とオーミックな接触をとることができる材料を用いることが好ましい。ここでいうオーミックな接触とは、理想的なオーミックである必要はなく、オーミック的な接触と呼べるものであればよい。このような材料としては、タングステン、タンタル、クロミウム、チタニウムなどの高融点金属及びそれらのシリサイド、カーバイドなどの合金を好適に用いることができる。なお、光吸収層14にGaAsを用いた場合には、電極層15の材料としては、クロミウムを用いることが好ましい。また、電極層15の厚さは10μm以下とすることが好ましく、3nm以上1μm以下とすることがより好ましい。上述のクロミウムを用いて蒸着とフォトリソグラフィーにより電極層15を形成した際に、厚さが3nm未満の場合、形成された薄膜が電極として十分な導電性を有さなくなり、厚さが10μmを超える場合、蒸着速度の面から実用的でなくなる。
【0029】
また、電極層15の線幅は50nm以上100μm未満とすることが好ましく、100nm以上10μm未満とすることがより好ましい。間隔は50nm以上1000μm未満とすることが好ましく、100nm以上200μm未満とすることがより好ましい。このような範囲とすることで、電子線リソグラフィーなどの特別な装置を用いなくとも、一般的な光リソグラフィーで比較的再現性良く形成することができる。
【0030】
活性層16は、光電子の放出に必要な仕事関数を低下させるために形成される層であり、厚さは0.5単分子層程度である。この活性層16の材料にはCsOを用いることができるが、アルカリ金属としてはCs以外にK、Rb、Naなどを用いてもよく、Oの代わりにはFなどを用いてもよい。
【0031】
次に、第1実施形態に係る光電陰極の製造方法について説明する。なお、本実施形態に係る光電陰極は、特許文献3に記載されている透過型光電面と同様の方法で製造することができる。
【0032】
まず、GaAsからなる半導体基板を用意する。つぎに、この上にエピタキシャル成長装置(図示せず)を用いてAlGaAsからなるエッチングストップ層(図示せず)、GaAsからなる光吸収層14、そしてAlGaAsからなる窓層13を順次堆積させ、ヘテロ構造を有した半導体多層膜を作製する。
【0033】
半導体多層膜を作成した後、CVD法を用いることにより、窓層13上面に被検出光の波長に応じた膜厚で第2反射防止層12B(例えば、Si)と第1反射防止層12A(例えば、SiO)を順に堆積し、反射防止膜12を形成する。
【0034】
形成した反射防止膜12は基板11と熱圧着させる。このとき、基板11の材料には、GaAsからなる光吸収層14の熱膨張係数に比較的近く、かつ、反射防止膜12の構成材料よりも転移温度の低い材料、例えば、コーニング社の7056ガラスを用いる。
【0035】
基板11を反射防止膜12と熱圧着させた後、半導体基板に対してアンモニア系溶液を用いて選択的エッチングを行なうと、エッチング除去はエッチングストップ層が露出したときに自動的に停止する。
【0036】
露出したエッチングストップ層に対して塩酸溶液を用いてエッチングを行なうと、エッチングは光吸収層14において自動的に停止し、光吸収層14の面が露出する。そして、所定のマスクを用いることによって、図1及び図2に示されるように、光吸収層14の光電子放出面14Eの一部を露出する開口15Hを有する電極層15としてクロミウムを蒸着させる。
【0037】
最後に、電極層15の開口15Hによって露出された光吸収層14の光電子放出面14EにCs及びOを蒸着させる。これにより、図1及び図2に示される光電陰極10が得られる。
【0038】
以上に説明した第1実施形態に係る光電陰極10によれば、基板11から光吸収層14に至る部位を同電位とするように、光電子放出面14E上に電極層が形成される。このように構成することで、光電陰極10の全体に電荷が供給されると共に、光電子放出面14Eが有する特性の均質化が図られる。従って、電極層が形成される前の状態で1kΩ/sq.以上という高い面抵抗値を有する光電陰極であっても、光電子放出面14Eの全体が有効に活用されることで強い入射光に対しても入射光強度に応じた光電子を放出できるようになり、感度特性が改善される。更に、電極層が形成される前の状態で10kΩ/sq.以上という極めて高い面抵抗値を有する光電陰極であっても、高速でのゲート動作が可能となる。また、光電子放出面14Eが有する特性の均質化が図られることで、光電陰極10に高電圧が印加された際の立ち上がりが改善されるため、広いダイナミックレンジが実現される。
【0039】
また、光電陰極10は、光吸収層14と基板11との間に介在し、AlGaAs系材料から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが光吸収層よりも広い窓層13を備えている。このように構成することで、光吸収層14と基板11との間の格子不整合を緩和できるだけでなく、窓層13を光電子に対して壁として作用させることができる。
【0040】
また、光電陰極10は、基板11と窓層13との間に反射防止膜12が介在しているため、光吸収層14に入射する光について所望の波長の反射率が低減され、光電子を放出する効率を高めることができる。
【0041】
(第2実施形態)
図3は図1におけるII-II線に沿った第2実施形態に係る光電陰極20の断面図である。なお、光電陰極20の平面図は図1と同様の図となるため、図1において対応する要素に対応する符号を付すことで省略する。
【0042】
光電陰極20は、基板21と、バッファ層22と、光吸収層23と、開口24Hを有する電極層24と、を備えている。光吸収層23は、光の入射に応じて光電子を放出する光電子放出面23Eを有している。また、この光電子放出面23E側において、開口24Hにより露出された光電子放出面23Eと電極層24との上には、活性層25が形成されている。なお、本実施形態における窒化物半導体とは、III族元素としてIn、Ga、Alのうち少なくとも1つ以上を含み、V族元素として少なくともNを含む窒化物半導体またはそれらの混晶及びこれらの積層からなる半導体構造を意味する。
【0043】
基板21は、光入射面を一面に有する板状部材であり、被検出光の波長に対して透明で、且つ、良好な品質の窒化物半導体がエピタキシャル成長できる材料であればよい。このような材料としては、例えばサファイアがある。また、サファイア以外ではAlN、AlGaNなどの単結晶基板、ZnO、LAO、LGOなどの酸化物基板などを用いることができる。また、基板21の材料は、これらの材料を組み合わせたものでも構わない。
【0044】
バッファ層22は、基板21と光吸収層23との間に介在し、窒化物半導体から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが光吸収層23よりも広くされている。このバッファ層22は光吸収層23との間の格子不整合を緩和するための層であるので、必ずしも単層である必要はなく多膜層でも構わない。また、膜厚も特に制限されず、形状は平坦であっても、凹凸構造を有していてもよい。
【0045】
光吸収層23は、窒化物半導体から構成されると共に、基板21の光入射面を通過した光hνに応じて光電子放出面23Eから光電子を放出する。光吸収層23に用いる窒化物半導体は、例えば、(Al)GaNを用いることができるが、被検出光の波長に応じて、所望の組成(In,Ga,Al)N混晶を選択するとよい。また、光吸収層23の膜厚は、光電子の拡散長程度として、例えば100nmとすることができるが、拡散長は光吸収層の結晶性によって左右されるため、50nm以上500nm以下の範囲で選択するとよい。また、光吸収層23はp型にドーピングすることが好ましく、そのドーピング濃度(原子濃度)は1017cm−3以上1020cm−3以下の範囲が好適である。
【0046】
電極層24は、基板21から光吸収層23に至る部位を同電位とするように形成されている。具体的には、図1に示されるように、光電陰極20の光電子放出面23E上において、電極層24はストライプ状に形成され、光電子放出面23Eの一部を露出する開口24Hを有する形状とされている。本実施形態では、図3に示されるように、電極層24は第1実施形態のように光電陰極の側面全体を覆うようには形成されておらず、基板21については、側面に電極層を形成せずに、バッファ層22及び光吸収層23の幅よりも広くされた部分の端面にのみ電極層24を形成している。
【0047】
電極層24の形状は、例えば、厚さ500nm、線幅2μm、間隔100μmとすることができる。なお、電極層24の形状は特に限定されるものではないが、厚さが薄すぎると電極の抵抗が高くなり、厚すぎると剥がれやすくなる。また、線幅は太すぎると光電子放出面23Eの表面積に対する開口24Hの表面積の割合(開口率)が低下し光電子を十分に放出できなくなるが、細すぎると断線する恐れがある。間隔は窒化物半導体層の抵抗率に依存するが、広すぎると光電子放出面23Eの全体を有効に活用することができなくなり、高ダイナミックレンジの実現と高速ゲート動作ができなくなり、狭すぎると開口率が低下し光電子を十分に放出できなくなる。
【0048】
電極層24の厚さは10μm以下とすることが好ましく、3nm以上1μm以下とすることがより好ましい。線幅は50nm以上100μm未満とすることが好ましく、100nm以上10μm未満とすることがより好ましい。間隔は50nm以上1000μm未満とすることが好ましく、100nm以上200μm未満とすることがより好ましい。このような範囲とすることで、電子線リソグラフィーなどの特別な装置を用いなくとも、一般的な光リソグラフィーと蒸着で比較的再現性良く形成することができる。
【0049】
電極層24の材料としては、第1実施形態と同様に、半導体層である光吸収層23とオーミックな接触をとることができる材料を用いることが好ましい。このような材料としては、例えばCrを用いることができるが、抵抗の低い材料であれば特に限定されない。ただし、Csなどのアルカリ金属と反応しにくい材料を選択することが好ましい。
【0050】
また、光吸収層23が窒化物半導体である場合はタングステン、タンタルなどの高融点金属、あるいはそれらのシリサイド、カーバイドなどの合金が好適である。窒化物半導体から構成される光電陰極の場合、後述するように活性層25を形成する前の表面清浄化の工程でGaAs等から構成される光電陰極よりも高い温度が要求されるためである。
【0051】
活性層25は、第1実施形態の活性層16と同様に、光電子の放出に必要な仕事関数を低下させるために形成される層であり、第1実施形態と同様の材料を選択することができる。
【0052】
引き続き、第2実施形態に係る光電陰極の製造方法について、基板21にサファイア、電極層24にタングステン(W)を用いた場合を説明する。
【0053】
まず、サファイアからなる基板21を用意し、この上にエピタキシャル成長装置(図示せず)を用いて、バッファ層22及び光吸収層23を順次堆積させる。次に、光吸収層23の光電子放出面23Eと、バッファ層22及び光吸収層23の側面と、基板21の端面とにWを蒸着する。
【0054】
次に、光電子放出面23E上に形成されたWの表面にフォトレジストを塗布し所定の熱処理を施した後、ストライプ状(上記の例であれば、線幅2μm、間隔100μm)のフォトマスクを用いて露光及び現像を行う。エッチングによりWを所定の形状に加工し、その後、フォトレジストを除去することで光吸収層23の光電子放出面23E上に所定の形状を有する電極層24を形成する。最後に、電極層24の開口24Hによって露出された光吸収層23の光電子放出面23Eと、光電子放出面23Eに形成されている電極層24にCs及びOを蒸着させる。このように活性層25を形成することで光電子放出面23Eの表面における仕事関数を低下させる。これにより、図3に示される光電陰極20が得られる。
【0055】
以上に説明した第2実施形態に係る光電陰極20によれば、基板21から光吸収層23に至る部位を同電位とするように、光電子放出面23E上に電極層24が形成される。このように構成することで、光電陰極10の全体に電荷が供給されると共に、光電子放出面23Eが有する特性の均質化が図られる。従って、光吸収層23に光電陰極の面抵抗を高くする要因となる窒化物半導体が用いられることで、電極層が形成される前の状態で1kΩ/sq.以上という高い面抵抗値を有する光電陰極であっても、光電子放出面23Eの全体が有効に活用されることで強い入射光に対しても入射光強度に応じた光電子を放出できるようになり、感度特性が改善される。更に、光吸収層23に窒化物半導体が用いられることで、電極層が形成される前の状態で10kΩ/sq.以上という極めて高い面抵抗値を有する光電陰極であっても、高速でのゲート動作が可能となる。また、光電子放出面23Eが有する特性の均質化が図られることで、光電陰極20に高電圧が印加された際の立ち上がりが改善されるため、広いダイナミックレンジが実現される。
【0056】
また、光吸収層23と基板21との間に、窒化物半導体から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが光吸収層23よりも広いバッファ層22が介在しているため、光吸収層と基板との間の格子不整合を緩和することができる。また、光電子に対してエネルギーバンドギャップが光吸収層よりも広いバッファ層を障壁として作用させることができる。
【0057】
(画像増強管)
次に、上述の実施形態に記載の光電陰極が適用される電子管として、画像増強管について説明する。
【0058】
図4は、上記光電陰極として第1の実施形態に係る光電陰極20を備える画像増強管100の断面模式図である。画像増強管100は、光電陰極20と、マイクロチャンネルプレート(MCP)101と、蛍光体102と、ガラスプレート103と、を備え、各構成要素は、真空容器110に収容されている。また、光電陰極20、MCP101及び蛍光体102には、所望の電位を与えるための複数の電極121,122,123,124が設けられており、光電陰極20と真空容器110とは、In等からなるシール部104でシールされている。
【0059】
この画像増強管100は次の手順により作製される。まず、真空装置(図示せず)の中に、光電陰極10と共に、MCP101、蛍光体102及び電極121,122,123,124を取付けた真空容器110の側管部を設置する。真空装置の中に設置された光電陰極20は、排気後800℃程度に加熱されて、表面清浄化処理が施される。なお、この時点では、光電陰極20において、活性層25は形成されていないが、表面清浄化処理を施した後、真空装置を室温まで降温させて、CsとOを導入することで、光電陰極20の表面に活性層25が形成される。そして、真空装置内には、あらかじめ設置したしておいた真空容器110の側管部に光電陰極20を取付けて、シール部104にてInでシールすることにより画像増強管100が作製される。
【0060】
続いて、画像増強管100の動作を図3及び図4を用いて説明する。被検出光hνが画像増強管100の入射窓となる光電陰極20の基板21に入射すると、被検出光hνは基板21、バッファ層22を透過して光吸収層23で吸収されて光電子が励起される。励起された光電子は、光吸収層23内で拡散した後、電極層24の開口24Hによって露出された光吸収層23の光電子放出面23Eから活性層25を経て真空中へ放出される。真空中へ放出された光電子は蛍光体102に入射し発光する。蛍光体102からの発光はガラスプレート103を通して画像増強管100の外部に取り出される。
【0061】
なお、図4では、光電陰極として第2実施形態に係る光電陰極20を適用した場合を示したが、光電陰極20の代わりに第1実施形態に係る光電陰極10を適用してもよい。
【0062】
画像増強管では、画像のサンプリングを行うために、画像増強管内部にある電極の電位を変化させることで電極に対して短いパルス状の電圧を印加させるゲート動作を行う。次に、画像増強管をゲート動作させるための構成及び動作について説明する。
【0063】
図5は、陽極との間にパルス状の電圧を印加する電圧印加回路(電圧印加手段)の構成を示す模式図である。図5に示される電圧印加回路150は、電源部151と、スイッチ152と、電流計153と、制御部154と、抵抗R1,R2,R3と、を備え、図4に示される画像増強管100の電極と電気的に接続される。図5において示されるV,V,V,Vは各部の電位を示し、図4においてV,V,V,Vが付されている電極121,122,123,124とそれぞれ接続されて、回路の電流は電流計153により計測される。
【0064】
この電圧印加回路150に対して、外部より制御部154に動作トリガー(図5において、外部より制御部154に向けられた矢印)が入力されると、スイッチ152がオンになると共に、電源部151が動作して画像増強管100の電極121,122,123,124に対して、それぞれV,V,V,Vの電位が加えられる。このとき、電源部151は、光電陰極20に対してパルス状の電圧を印加することで、光電陰極20とMCP101との間の電位を変化させる。そして、光電陰極20の電位よりMCP101の電位が高い場合には、ゲート動作がオンの状態となり、光電陰極20で変換された光電子像は電位の高いMCP101へ引き寄せられ、増倍された後、蛍光体102へと導かれ光学像として出力される。一方、光電陰極20の電位よりMCP101の電位が低い場合には、ゲート動作がオフの状態となり、光電陰極20で変換された光電子像は電位の低いMCP101から反発され、遮断される。
【0065】
なお、ここでは画像増強管に対して行うゲート動作を例として説明したが、光電子増倍管などの電子管についても同様の電圧印加回路を用いてゲート動作をさせることができる。
【0066】
(光電子増倍管)
次に、上述の実施形態に記載の光電陰極が適用される電子管として、光電子増倍管について説明する。
【0067】
図6は、上記光電陰極として第1の実施形態に係る光電陰極10を備える光電子増倍管200の断面模式図である。光電子増倍管200は、光電陰極10と、電子増倍部201と、読み出し電極(陽極)202とを備えており、各構成要素は金属からなる真空容器210に収容されている。更に、電子増倍部201及び真空容器210には、所望の電位を与えるための複数の電極222,223,224が設けられている。また、この光電子増倍管200についても上述の画像増強管100の場合と同様に、図5に示される電圧印加回路150に光電子増倍管200を取付け、パルス状の電圧を印加することで、光電子増倍管200をゲート動作させることができる。
【0068】
なお、図6では、光電陰極として第1実施形態に係る光電陰極10を適用した場合を示したが、光電陰極10の代わりに第2実施形態に係る光電陰極20を適用してもよい。
【0069】
ここまで、電子管の例として画像増強管と光電子増倍管を説明したが、本発明の光電陰極を適用した電子管はこれらに限られるものではない。具体的には、電子増倍部を含まない、いわゆる2極管タイプのものや、一般的な光電子増倍管のように2次電子増倍部を備えるポイントセンサなどにも本発明の光電陰極を適用することが可能である。また、陽極にフォトダイオードあるいは電荷結合素子(CCD)などを用い高電圧を印加して光電子を加速して打ち込む、いわゆる電子打ち込み型の電子管にも適用できる。
【0070】
以上に説明した画像増幅管100及び光電子増倍管200といった電子管は第1若しくは第2実施形態に係る光電陰極10,20を備えており、光電陰極10,20において基板11,21から光吸収層14,23に至る部位を同電位とするように、光電子放出面14E,23E上に電極層15,24が形成されている。このように構成することで、第1若しくは第2実施形態に係る光電陰極の場合と同様に、光吸収層14,23に面抵抗が高い化合物半導体を用いた場合であっても、光電陰極の感度特性が改善されて、高速でのゲート動作が可能となる。更に、光電子放出面14E,23Eが有する特性の均質化が図られることで、光電陰極10,20に高電圧が印加された際の立ち上がりが改善されるため、広いダイナミックレンジが実現される。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である
【0072】
例えば、光電陰極の光吸収層を構成する化合物半導体としては、次の特徴を有する材料を選択することができる。
・GaAs(第1実施形態):紫外から波長900nm付近までの感度を有する。通常の微弱光検出では問題がないが、高速ゲート動作では、有効径が大きい場合には中心部での感度低下、ダイナミックレンジの低下が生じる。
・GaAsP:波長500−600nm付近でGaAsよりも高い感度を有する。GaAsと同様に高速ゲート動作では、有効径が大きい場合には中心部での感度低下、ダイナミックレンジの低下が生じる。
・InGaAs:GaAsよりも長波長側に感度を有する。GaAsと同様に高速ゲート動作では、有効径が大きい場合には中心部での感度低下、ダイナミックレンジの低下が生じる。
・(Al)GaN(第2実施形態):紫外領域に高感度を有する。p型にドーピングされるが抵抗率がGaAs等の場合に比較して桁違いに高い。そのため、高速ゲート動作はもちろん通常の微弱光検出でもダイナミックレンジが狭いことが問題となるため、本発明が好適に適用される。Al組成を増加させることにより、可視光をカットしいわゆるソーラーブラインド特性が得られるが、その場合には光電陰極の抵抗率は更に高くなる。
・その他:半導体結晶にアルカリ金属化合物を塗布して仕事関数を低下させた、いわゆる負の電子親和力光電陰極(NEA光電陰極)に対しても本発明を適用することができる。
【0073】
また、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る光電陰極では、光電陰極の光電子放出面上において電極層がストライプ状に形成された場合を説明したが、当該電極層の形状はこれに限定されない。すなわち、光電子放出面上において電極層がストライプ状に形成されていなくとも、光吸収層上に複数の開口を含むパターンを伴って形成してもよい。また、複数の開口を含むパターンとしては、各開口が実質的に一定の間隔で設けられている部分を含むパターンとすることができる。なお、ここで「実質的に一定の間隔」とは、電極層の形成における形状上の制約や寸法精度に起因して一定の間隔ではない部分が生じる状態を含む。このような状態としては、例えば、光電子放出面の縁部近傍に形成される開口の形状が、光電子放出面の中央部に形成される開口の形状と異なるために、一定の間隔ではない部分を生じる場合がある。
【0074】
形成される電極層の形状をストライプ状以外とする場合、例えば、図7に示されるように、メッシュ状に電極層15が形成されている部分を有していてもよい。なお、図7は、図1に対応する光電陰極の平面図であり、重複する説明は省略する。図1と異なる部分は、電極15H(24H)のパターン形状であり、電極15H(24H)は、メッシュ状のパターンを伴って、光吸収層上に形成されている。この場合も、ストライプ状の場合と同様に、光電子放出面が実質的に一定の間隔で露出している。
【0075】
つまり、電極15H(24H)のパターン形状は、メッシュ状、スパイラル状、光電子放出面の外端部内方に複数の矩形が形成された形状のいずれでもよい。また、光電子放出面上における電極層間で形成される開口の幅(図1では、開口15H(24H)の幅)は、面抵抗や要求されるゲート速度に応じて定めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光電陰極の平面図である。
【図2】図1におけるII-II線に沿った光電陰極の断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光電陰極の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光電陰極が適用された画像増強管の断面模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子管をゲート動作させるための電圧印加回路(電圧印加手段)の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る光電陰極が適用された光電子増倍管の断面模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光電陰極の他の平面図である。
【符号の説明】
【0077】
10,20…光電陰極、11,21…基板、12…反射防止膜、12A,12B…反射防止層、13…窓層、14,23…光吸収層、14E,23E…光電子放出面、15,24…電極層、15H,24H…開口、16,25…活性層、22…バッファ層、100…画像増強管(電子管)、101…マイクロチャンネルプレート(MCP)、102…蛍光体、103…ガラスプレート、104…シール部、110…真空容器、121,122,123,124,222,223,224…電極、150…電圧印加回路(電圧印加手段)、151…電源部、152…スイッチ、153…電流計、154…制御部、R1,R2,R3…抵抗、200…光電子増倍管(電子管)、201…電子増倍部、202…読み出し電極(陽極)、210…真空容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成され、化合物半導体から構成されると共に光の入射に応じて光電子放出面から光電子を放出する光吸収層と、
前記基板から前記光吸収層に至る部位を同電位とするように、前記光電子放出面上に形成されると共に前記光電子放出面を露出する開口を有する電極層と、
を備える光電陰極。
【請求項2】
光入射面を有する基板と、
前記基板上に形成され、前記光入射面を通過する光に応じて光電子を放出し、かつ、化合物半導体から構成される光吸収層と、
前記光吸収層上に複数の開口を含むパターンを伴って形成され、かつ、前記基板の一部に接するまで延在する部分を有する電極層と、
を備える光電陰極。
【請求項3】
前記電極層は、前記光吸収層の側部を介して、前記基板の一部に接するまで延在する部分を有していることを特徴とする請求項2に記載の光電陰極。
【請求項4】
前記パターンは、各開口が実質的に一定の間隔で設けられている部分を含むことを特徴とする請求項2に記載の光電陰極。
【請求項5】
前記光吸収層と前記基板との間に介在し、AlGaAs系材料から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが前記光吸収層よりも広い窓層を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光電陰極。
【請求項6】
前記基板と前記窓層との間に介在する反射防止膜を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の光電陰極。
【請求項7】
前記光吸収層を構成する化合物半導体が窒化物半導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光電陰極。
【請求項8】
前記光吸収層と前記基板との間に介在し、窒化物半導体から構成されると共に、エネルギーバンドギャップが前記光吸収層よりも広いバッファ層を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の光電陰極。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の光電陰極と、
前記光電陰極から放出された光電子を収集する陽極と、
前記光電陰極及び前記陽極を収容する真空容器と、
を備える電子管。
【請求項10】
前記光電陰極と前記陽極との間にパルス状の電圧を印加する電圧印加手段を更に備えることを特徴とする請求項9に記載の電子管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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