免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物をサイトカインおよび/または化学療法剤または放射線療法と組み合わせて用いる、免疫系の相乗的刺激
本発明は、患者における疾患の処置、例えば、限定はされないが、癌、自己免疫疾患、喘息、気管支アレルギー、食物アレルギーおよび感染症の処置のために用いる、免疫刺激性化合物によって引き起こされる免疫反応を増強するための、最適化された方法および組成物を提供する。本発明による最適化された方法は、本発明に従った免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物の治療効果と、サイトカイン免疫療法および/または化学療法剤および/または放射線の治療効果との間の相乗的効果を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年7月15日に出願された米国仮出願第60/487,529号および2003年9月15日に出願された米国仮出願第60/503,242号の利益を主張し、これらの仮出願は参照としてその全体が組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、イムノマー化合物および免疫刺激性オリゴヌクレオチドの、治療剤としての使用に関する。
【0003】
関連分野の概要
近年、数人の研究者らにより、オリゴヌクレオチドを免疫療法の用途において免疫刺激剤として用いることの有効性が示された。ホスホジエステルオリゴヌクレオチドおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが免疫刺激を誘導できるとの観察は、これらの化合物を治療ツールとして開発することへの関心を創出した。これらの努力は、天然のジヌクレオチドCpGを含むホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに集中された。Kuramoto et al., Jpn. J. Cancer Res. 83:1128-1131 (1992)は、CpGジヌクレオチドを含むパリンドロームを含むホスホジエステルオリゴヌクレオチドが、インターフェロンアルファおよびガンマの合成を誘導し、ナチュラルキラー活性を増強できることを教示している。Krieg et al., Nature 371:546-549 (1995)は、ホスホロチオエートCpG含有オリゴヌクレオチドが免疫刺激性であることを開示している。Liang et al., J. Clin. Invest. 98:1119-1129 (1996)は、かかるオリゴヌクレオチドがヒトB細胞を活性化することを開示している。Moldoveanu et al., Vaccine 16:1216-124 (1998)は、CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、インフルエンザウィルスに対する免疫反応を増強することを教示している。McCluskie and Davis, J. Immunol.161:4463-4466 (1998)は、CpG含有オリゴヌクレオチドが、強力なアジュバントとして作用し、B型肝炎ウィルス表面抗原に対する免疫反応を増強することを教示している。
【0004】
CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修飾は、免疫反応の調節剤として作用するそれらの能力にも影響を及ぼし得る。例えば、Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 51:173-182;Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 52:1537-1544;Zhao et al., Antisense Nucleic Acid Drug Dev. (1997) 7:495-502;Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (1999) 9:3453-3458;Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:1051-1054;Yu et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:2585-2588;Yu et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. (2001) 11:2263-2267;およびKandimalla et al., Bioorg. Med. Chem. (2001)9:807-813を参照のこと。米国特許第6,426,334号は、これらの化合物が抗癌剤として期待されることを示す。
【0005】
免疫反応を調節し得る他の方法は、サイトカインの治療的使用を通したものである。サイトカインは、免疫系の細胞が他の細胞との反応を制御するために産生する、可溶性の分子である。従って、サイトカインは、液性免疫および細胞性免疫の調節因子である。T細胞がいかにして免疫反応を媒介するかについての理解は、反応を調節するために重要である。CD4+Tヘルパー(Th)細胞は、Th1またはTh2経路のどちらかに沿って分化する。Th1経路は、細胞媒介免疫の発生に重要であり、例えばγ−インターフェロンおよびインターロイキン−2(IL−2)の産生を特徴とする。Th2応答は、液性免疫の生成に重要であり、例えばIL−4およびIL−5の産生を特徴とする。Th1応答は、ウィルス感染などの感染に対する免疫系防御、および新生細胞の除去についての身体の免疫系監視に重要であることが知られている。
【0006】
Krieg, A., M. et al. (米国特許第6,429,199号)およびkreig, A., M. et al. (米国特許第6,218,371号)は、、免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチドおよびサイトカイン、特にGM−CSFの、同時投与の教示を主張する。Decker et al. (Experimental Hematology 28:558-565 (2000))は、IL−2とCpGオリゴヌクレオチドの同時投与が、慢性リンパ球B細胞(B−CLL)においてTNF−αおよびIL−6産生を増加させるが、正常なB細胞においては増加させないことを示す。
これらの報告は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドの疾患の処置のための治療的有効性をさらに最適化すること、および免疫刺激性オリゴヌクレオチドの抗癌活性を増強することの必要性が、依然として存在していることを明確にしている。
【0007】
発明の簡単な概要
本発明は、患者における疾患の処置のため、例えば、限定はされないが、癌、自己免疫疾患、喘息、気管支アレルギー、食物アレルギーおよび感染症などの処置のために用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドによって引き起こされる免疫反応を増強するための、最適化された方法、組成物および処置計画を提供する。本発明による最適化された方法は、本発明に従う免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療効果と、サイトカイン免疫療法および/または化学療法剤の治療効果の間の相乗効果を提供する。免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、5’末端を最適に提示するよう修飾することにより、その抗癌活性が劇的に増強される。かかるオリゴヌクレオチゴは、本明細書において「イムノマー」と呼び、これは1つまたは2つ以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含むことができる。
【0008】
従って第1の側面において、本発明は、癌患者における癌を処置するための、該患者に免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物を化学療法剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供し、ここで前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および化学療法剤は、相乗的治療効果を創出する。
【0009】
さらなる側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激する方法を提供する。方法は、患者に対して、本発明による少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2(および/またはin situでIL−2産生を誘導する剤、例えばDNAワクチンまたはIL−2を発現する発現ベクター)の治療的に有効な相乗作用量との組み合わせを投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ(IFN−γ)、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0010】
本発明により、「イムノマー」とは、直接その3’末端において、または直接、ヌクレオシド間結合を介して、または直接、官能化核酸塩基もしくは糖において結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、あるいは、非ヌクレオチドリンカーを介して間接的に一緒に結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む、任意の化合物であって、ここで少なくとも1つの前記オリゴヌクレオチドは、イムノマー化合物の文脈において、到達可能5’末端を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである、前記化合物を指す。本発明の文脈において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性CpGジヌクレオチド、免疫刺激性ドメイン、または他の免疫刺激性部分のうちの少なくとも1つを含む、オリゴヌクレオチドである。本明細書において、用語「到達可能5’末端」とは、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドを認識して結合し免疫系を刺激する因子が5’末端に到達できるように、オリゴヌクレオチドの5’末端が十分に利用可能であることを意味する。かかる免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、5’末端が到達可能であるとの条件の下で、二次構造を含むことができる。
【0011】
ある態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、CpG、C*pG、CpG*、およびC*pG*からなる群から選択される免疫刺激性ジヌクレオチドを含み、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、G*は、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、または他の非天然プリンヌクレオシドであり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。
【0012】
ある態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、式(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yは、シチジン、2’−デオキシチミジン、2’−デオキシシチジン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、その他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;
【0013】
Zは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O−置換アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシンまたはその他の非天然プリンヌクレオシドであり;
N1は、各々の場合に、好ましくは天然に存在するかまたは合成のヌクレオシドまたは免疫刺激部分であって、これらは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、β−L−デオキシリボヌクレオシド、およびホスホジエステルまたは修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側に結合されたヌクレオシドからなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、限定することなく、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、もしくはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択され;
【0014】
Nnは、各々の場合に独立して、天然に存在するヌクレオシドまたは免疫刺激部分であって、これらは好ましくは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、2’−O−置換リボヌクレオシド、および修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側に結合されたヌクレオシドからなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、アミノリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびメチルホスホネートヌクレオシド間結合からなる群から選択される;
で表される免疫刺激性領域を含み、
ただし、N1またはNnの少なくとも1つは免疫刺激性部分であり;
ここでnは、0〜30の数であり;
ここで、3’ ヌクレオシドは随意的に、直接または非ヌクレオチドリンカーを介して、他のオリゴヌクレオチドに結合されており、これは免疫刺激性であってもなくてもよい。
【0015】
第2の側面において、本発明は、癌患者における癌を処置する方法を提供し、該方法は、上に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と、該免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物に到達可能5’末端以外の位置で結合された癌抗原とを含む、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー結合体を、化学療法剤と組み合わせて投与することを含む。
第3の側面において、本発明は、本発明による免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたは免疫刺激性オリゴヌクレオチド結合体および/またはイムノマー化合物またはイムノマー結合体、化学療法剤および生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。
【0016】
第4の側面において、本発明は、癌細胞を電離放射線に感作する方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、哺乳動物に、本発明による免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を投与すること、および前記動物を電離放射線で処置することを含む。
第5の側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激する方法を提供し、該方法は、患者に対して、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量を、IL−2(および随意的に抗原)の治療的に有効な相乗作用量と組み合わせて投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。本発明のこの第2の側面のある態様において、抗原は、イムノマー化合物に、到達可能5’末端以外の位置で動作的に(operationally)結合している。
【0017】
本発明の第6の側面において、イムノマー化合物ではない少なくとも1つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、IL−2の治療的に有効な量と組み合わせて用いられ、患者におけるサイトカインの産生を選択的および相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。本発明により、イムノマー化合物ではない好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫刺激性CpGジヌクレオチドを含むものであり、ここでCはシトシンまたはデオキシシトシンではなく、および/または、Gはグアノシンまたは2−デオキシグアノシンではない。本発明の、その他の好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってイムノマー化合物ではないものは、CpGではない代替的な免疫刺激性部分を含むものである。かかる代替的な免疫刺激性部分の例は、限定はされないが、天然に存在しない塩基および/または糖および、オリゴヌクレオチドそれ自体の二次構造、例えばオリゴヌクレオチドを安定化するヘアピン構造を有するヌクレオシドを含む。
【0018】
第7の側面において、本発明は、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量、IL−2(および/またはin situでIL−2産生を誘導する剤、例えばDNAワクチンまたはIL−2を発現する発現ベクター)の治療的に有効な相乗作用量、および随意的に抗原を含む、治療組成物を提供し、ここで、前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
本発明の全ての側面による方法および組成物は、免疫系調節および免疫に基づく治療法が関与するヒトまたは動物の疾患への治療的アプローチにおいて有用である。特に好ましい疾患のターゲットには、癌、感染症、喘息およびアレルギーが含まれる。
【0019】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、免疫に基づく治療に用いる免疫刺激性化合物によって引き起こされる、免疫反応を増強するための最適化された方法および組成物に関する。本発明による最適化された方法は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物などの免疫刺激性化合物の治療効果と、サイトカイン免疫療法および/または化学療法剤の治療効果との間の相乗効果をもたらす。本明細書に引用された、発行された特許、特許出願、および参考文献は、その各々が具体的また個別に参照として組み込まれると示された場合同様に、参照としてここに組み込まれる。本明細書に引用された任意の参考文献の任意の教示と本明細書の間に不一致がある場合は、本発明のために後者を優先する。
【0020】
本発明は、癌の処置のための免疫療法用途で用いられる、免疫刺激性化合物によって生じる、抗癌効果を増強するための方法を提供する。本発明による方法において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、化学療法剤と組み合わせて用いた場合に、相乗的治療効果を提供する。この結果は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物は免疫系細胞の細胞分裂を引き起こし、一方、化学療法剤は一般に、活発に分裂する細胞を殺す、という事実からみれば驚くべきことである。
【0021】
第1の側面において、本発明は、化学療法剤と組み合わせて免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物を投与することを含む、癌患者における癌を処置するための方法を提供し、ここで後者は、該イムノマー化合物が2個以上の5’末端を有するように一緒に結合された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで該オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。本明細書において、用語「到達可能5’末端」とは、イムノマー化合物を認識して結合し免疫系を刺激する因子が到達できるように、オリゴヌクレオチドの5’末端が十分に利用可能であることを意味する。随意的に、5’OHは、ホスフェート、ホスホロチオエート、もしくはホスホロジチオエート部分、芳香族もしくは脂肪族リンカー、コレステロール、または到達可能性を損なわない他の実体と結合することができる。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物は、脊椎動物に投与されると免疫反応を引き起こす。化学療法剤と組み合わせて用いた場合、相乗的治療効果が得られる。
【0022】
本発明による方法において用いられる、好ましい化学療法剤は、限定することなく以下を含む:ゲムシタビン、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖非含有(non-sugar containing)クロロエチルニトロソウレア、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン(fragyline)、メグラミン(Meglamine)GLA、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)およびポリフェルポサン(poliferposan)、MMI270、BAY12−9566、RASファメシル(famesyl)トランスフェラーゼ阻害剤、ファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレク(Glamolec)、CI−994、TNP−470、ヒカムチン/トポテカン(Hycamtin/Topotecan)、PKC412、バルスポダール(Valspodar)/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Novantrone/Mitroxantrone)、メタレット/スラミン(Metaret/Suramin)、バチマスタット(Batimastat)、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、インセル(Incel)/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナール(Lemonal)DP2202、FK317、ピシバニル(Picibanil)/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン(Metastron)/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド(Temodal/Temozolomide)、エバセット(Evacet)/リポソームドキソルビシン、ユータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、キセロアド/カペシタビン(Xeload/Capecitabine)、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール(Flavopiridol)、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)RAS腫瘍遺伝子阻害剤、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール/レバミソール(Ergamisol/Levamisole)、エニルウラシル(Eniluracil)/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミソール(Campto/Levamisole)、カンプトサール/イリノテカン、ツモデックス/ラリトレキセド(Tumodex/Ralitrexed)、ルイスタチン/クラドリビン(Leustatin/Cladribine)、パキセックス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエリクス(Caelyx)/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルモルビシン/エピルビシン、デポシト(DepoCyt)、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタリミド(Bis-Naphtalimide)、LU103793/ドラスタイン(Dolastain)、カエチックス(Caetyx)/リポソームドキソルビシン、ゲムザール(Gemzar)/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメド(Anormed)、YM116、ロジンシード(lodine seeds)、CDK4およびCDK2阻害剤、PARP阻害剤、
【0023】
D4809/デキシホスファミド、イフェス/メスネックス(Ifes/Mesnex)/イホスファミド、ブモン/テニポシド(Vumon/Teniposide)、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベペシド(Vepeside)/エトポシド、ZD9331、タキソテレ/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソウレア、メルフェラン(melphelan)およびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アミノグルテチミド、アルパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロンブシル(Chlorombucil)、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチン(Estramustine)リン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン(Floxuridine)、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシウレア(ヒドロキシカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子類似体)、ロムスチン(Lomustine)(CCNU)、メクロレタミン(Mechlorethamine)HCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ(Mesna)、ミトタン(Mitotane)(o.p’−DDD)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)HCl、オクトレオチド(Octreotide)、プリカマイシン(Plicamycin)、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(Amsacrine)(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(Hexamethylmelamine)(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(Semustine)(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)および硫酸ビンデシン。
【0024】
本発明のこの側面による方法において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の投与は任意の好適な経路で実施でき、これは、限定することなく、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻内、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣、遺伝子銃、皮膚パッチまたは塗り薬または点眼液またはうがい薬の形態を含む。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の治療組成物の投与は、既知の方法を用いて、疾患の症状または代理マーカーを低減するのに効果的な用量および期間で、実施することができる。全身的に投与する場合、治療組成物は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルの血中濃度を達成するのに十分な用量で投与するのが好ましい。局所投与に対しては、これより大幅に低い濃度も効果的であることができ、そして大幅に高い濃度も耐容され得る。好ましくは、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の総用量は、約0.0001mg/患者・日〜約200mg/体重1kg・日の範囲である。1種または2種以上の本発明の治療組成物の治療的に有効な量を個人に対して、1回の処置として、同時にまたは連続して投与するのが望ましい。
【0025】
本発明のこの側面のために、用語「組み合わせて」は、同一患者の同一疾患を処置する過程において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および/または化学療法剤を任意の順序で投与することを含むことを意味し、これは同時投与および、数日間までの時間的に間隔をあけた順序での投与を含む。かかる組み合わせ処置はまた、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物、および/または単独の化学療法剤の、1回を超える投与を含むことができる。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および/または化学療法剤の投与は、同一または異なる経路で実施してよい。
【0026】
ある態様において、本発明による方法において用いるイムノマー化合物は、2つまたは3つ以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含み、(イムノマーとの関連において)これは同一または異なっていてよい。好ましくは、かかる免疫刺激性オリゴヌクレオチドの各々は、少なくとも1つの到達可能5’末端を有する。
【0027】
本発明による方法のある態様において、イムノマー化合物はまた、1つまたは2つ以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドに加えて、遺伝子に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。本明細書において、用語「相補的な」とは、生理的条件の下で、オリゴヌクレオチドが遺伝子のある部位にハイブリダイズすることを意味する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは遺伝子の発現を下方制御する。かかる下方制御オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムオリゴヌクレオチド、小阻害性RNA(small inhibitory RNA)およびデコイオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるのが好ましい。本明細書において、用語「遺伝子を下方制御する」とは、遺伝子の転写または遺伝子産物の翻訳を阻害することを意味する。従って、本発明による方法において用いられるイムノマー化合物は、1つまたは2つ以上の特定疾患ターゲットを標的化し、一方で免疫システムを刺激するのに用いることができる。
【0028】
ある態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む。本明細書において、用語「リボザイム」は、触媒作用を有するオリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、リボザイムは、特定の核酸標的に結合して、該標的を開裂する。本明細書において、用語「デコイオリゴヌクレオチド」は、配列特異的様式で転写因子に結合し、転写活性を阻むオリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドは二次構造を示し、これにはステムループまたはヘアピン構造が含まれるが、これらに限定はされない。ある態様において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドはポリ(I)−ポリ(dC)を含む。ある態様において、少なくとも1組のNnは、3〜10個のdGおよび/またはGのストリング、または2’−置換リボもしくはアラビノGを含む。
【0029】
本発明のためには、用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合したヌクレオシド単位から形成されるポリヌクレオシドを指す。かかるオリゴヌクレオチドは、ゲノムDNAまたはcDNAを含む既存の核酸源から得ることができるが、好ましくは合成方法により製造される。好ましい態様においては、各ヌクレオシド単位は、複素環塩基および、ペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2'−デオキシ−2'−置換アラビノース、2'−O−置換アラビノースまたはヘキソース糖基を含む。ヌクレオシド残基は、多くの知られたヌクレオシド間結合の任意のものによって互いに結合され得る。かかるヌクレオシド間結合は、限定することなく、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホラミダイト、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホラミダイト、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホンヌクレオシド間結合を含む。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、1つまたは2つ以上の立体特異的ヌクレオシド間結合(例えば、(RP)−もしくは (SP)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合)を有するポリヌクレオシドも含む。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、任意のかかるヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを明確に意図し、前記結合がホスフェート基を含むか含まないかは問わない。ある好ましい態様においては、これらヌクレオシド間結合はホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート結合、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0030】
ある態様において、イムノマー化合物は、約3〜約35のヌクレオシド残基を、好ましくは約4〜約30のヌクレオシド残基を、より好ましくは約4〜約20のヌクレオシド残基を各々が有するオリゴヌクレオチドを含む。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約5もしくは6〜約18、または約5もしくは6〜約14のヌクレオシド残基を含む。本明細書において、用語「約」とは、正確な数値が重要ではないことを意味する。従って、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は重要ではなく、1つもしくは2つ少ないヌクレオシド残基、または1つから数個の余分なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドもまた、本発明のためには、上記の態様の各々と等価であると考えられる。ある態様において、1つまたは2つ以上のオリゴヌクレオチドは11個のヌクレオチドを有する。
【0031】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定なく、タンパク質基、親油性基、インターカレート剤、ジアミン、葉酸、コレステロール、およびアダマンタンを含む付加的置換基を有するポリヌクレオシドを包含する。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、ポリマーを包含する他の任意の核酸塩基を含み、これらには、限定なしに、ペプチド核酸(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチド、および、アルキルリンカーやアミノリンカーをもつ骨格部分を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0032】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、またはこれらの混合物を含むことができる。本明細書において、用語「修飾ヌクレオシド」とは、修飾複素環塩基、修飾糖部分またはこれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。ある態様において、修飾ヌクレオシドは、ここで述べるような非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。ある態様においては、修飾ヌクレオシドは2’−置換リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシドまたは2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノシドである。
【0033】
本発明のためには、用語「2’−置換リボヌクレオシド」は、ペントース部分の2’位におけるヒドロキシル基が置換されて2’−O−置換リボヌクレオシドとなるリボヌクレオシドを含む。好ましくは、かかる置換は、1〜6個の飽和もしくは不飽和炭素原子を含む低級アルキル基、または、6〜10個の炭素原子を有するアリール基によりなされ、かかるアルキルまたはアリール基は、置換されていなくてもよく、または、例えばハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシ、もしくはアミノ基に置換されていてもよい。かかる2’−O−置換リボヌクレオシドの例は、限定なく、2’−O−メチルリボヌクレオシドおよび2’−O−メトキシエチルリボヌクレオシドを含む。
【0034】
用語「2’−置換リボヌクレオシド」はまた、2’−ヒドロキシル基が、1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基またはアミノもしくはハロ基により置換されている、リボヌクレオシドを含む。そのような2’−置換リボヌクレオシドの例は、限定なく、2’−アミノ、2’−フルオロ、2’−アリル、および2’−プロパルギルリボヌクレオシドを含む。
用語「オリゴヌクレオチド 」は、ハイブリッドおよびキメラオリゴヌクレオチドを含む。「キメラオリゴヌクレオチド」は、1種より多いヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドである。かかるキメラオリゴヌクレオチドの好ましい1例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステルまたはホスホロジチオエート部位および、アルキルホスホネートまたはアルキルホスホノチオエート結合などの非イオン結合を含むキメラオリゴヌクレオチドである(例えばPederson et al.の、米国特許第5,635,377号および第5,366,878号などを参照)。
【0035】
「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、1種より多いヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。かかるハイブリッドオリゴヌクレオチドの好ましい1例は、リボヌクレオチド、または2’−置換リボヌクレオチド部位、およびデオキシリボヌクレオチド部位を含む(例えばMetelevおよびAgrawal、米国特許第5,652,355号、第6,346,614号および第6,143,881号を参照)。
【0036】
本発明のためには、用語「免疫刺激性オリゴヌクレオチド」は、魚類、鳥類または哺乳類などの脊椎動物に投与された場合に免疫反応を引き起こす、上記のオリゴヌクレオチドを指す。本明細書において、用語「哺乳類」は、限定なく、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、家畜、ウシ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒトを含む。有用な免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、Agrawal et al.らの、1998年11月5日に公開されたWO 98/49288;2001年2月22日に公開されたWO 01/12804、2001年8月2日に公開されたWO 01/55370、2001年4月30日に申請されたPCT/US01/13682;および2001年9月26日に申請されたPCT/US01/30137に記載されている。好ましくは、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、またはホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む。
【0037】
さらなる側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激するための方法を提供する。該方法は、患者に対して、本発明による少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2(および/またはin situでIL−2産生を誘導する剤、例えばDNAワクチンまたはIL−2を発現する発現ベクター)の治療的に有効な相乗作用量との組合せを投与することを含み、ここで、前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。好ましくは、本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ(IFN−γ)、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0038】
本明細書において用語「有効な相乗作用量(effective synergistic amount)」は、有効な期間投与される、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの既知の濃度およびIL−2の既知の濃度であって、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびIL−2の組合せの刺激効果が相加的より大、すなわち、組合せの刺激効果が、個別の刺激効果の合計に基づき計算される予測された総刺激効果より大きい、前記濃度を指す。
【0039】
本明細書において、用語「サイトカイン」は、免疫系の細胞が他の細胞との反応を制御するために産生する、任意の多くの可溶性分子を指す。用語「サイトカイン」は、例えば、インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12等)、インターフェロン(例えばIFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−ガンマ)、ケモカイン、造血成長因子(例えばエリスロポエチン)、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えばG−CSF、M−CSF、GM−CSF)および形質転換成長因子(TGF−アルファ)を含む。
【0040】
本発明により、「イムノマー」は、直接その3’末端において、または直接、ヌクレオシド間結合を介して、または直接、官能化核酸塩基もしくは糖において結合している、少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、あるいは、非ヌクレオチドリンカーを介して間接的に一緒に結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む、任意の化合物であって、ここで少なくとも1つの前記オリゴヌクレオチドは、イムノマー化合物の文脈において、到達可能5’末端を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである、前記化合物を指す。本発明の文脈において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性「CpG」ジヌクレオチド、免疫刺激性ドメイン、または他の免疫刺激性部分のうちの少なくとも1つを含む、オリゴヌクレオチドである。本明細書において、用語「到達可能5’末端」とは、イムノマー化合物および免疫刺激性オリゴヌクレオチドを認識して結合し免疫系を刺激する因子が5’末端に到達できるように、オリゴヌクレオチドの5’末端が十分に利用可能であることを意味する。
【0041】
ある態様において、イムノマー化合物の少なくとも1つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、式:5’−Pyr−Pur−3’で表される免疫刺激性ジヌクレオチドを含み、式中、Pyrは天然または合成ピリミジンヌクレオシドであり、Purは天然または合成プリンヌクレオシドである。本明細書において、用語「ピリミジンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分がピリミジン塩基であるヌクレオシドを指す。同様に、用語「プリンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分がプリン塩基であるヌクレオシドを指す。本発明のためには、「合成」ピリミジンまたはプリンヌクレオシドは、天然に存在しないピリミジンまたはプリン塩基、天然に存在しない糖部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0042】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における好ましいピリミジンヌクレオシドは、構造(I):
【化1】
式中、
Dは、水素結合供与体(hydrogen bond donor)であり;
D’は、水素、水素結合供与体、水素結合受容体(hydrogen bond acceptor)、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
【0043】
Aは、水素結合受容体または親水基であり;
A’は、水素結合受容体、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
Xは、炭素または窒素であり;そして
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環、または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0044】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾ホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体に結合するのに好適な他のリンカー部分により誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体は、限定なく、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHを含む。好ましい水素結合受容体は、限定なく、C=O、C=S、および芳香族複素環の環窒素原子、例えばシトシンのN3を含む。
【0045】
ある態様において、(I)の塩基部分は、天然に存在しないピリミジン塩基である。天然に存在しない好ましいピリミジン塩基の例は、限定なく、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシンおよび4−チオウラシルを含む。ある態様において(I)の糖部分S’は、天然に存在しない糖部分である。本発明のためには、「天然に存在する糖部分」は、例えばリボースおよび2’−デオキシリボースなどの、核酸の一部として天然に存在する糖部分であり、「天然に存在しない糖部分」は、核酸の一部として天然に存在しない任意の糖であるが、オリゴヌクレオチドの骨格において用いることのできるもの、例えばヘキソースである。アラビノースおよびアラビノース誘導体は、好ましい糖部分の例である。
【0046】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましいプリンヌクレオシド類似体は、構造(II):
【化2】
式中、
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体、および親水基からなる群から選択され;
Aは、水素結合受容体または親水基であり;
【0047】
Xは、炭素または窒素であり;
各Lは、独立してC、O、NおよびSからなる群から選択され;そして、
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環、または天然に存在しない糖である、
を有する。
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾ホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体に結合するのに好適な他のリンカー部分により誘導体化されている。
【0048】
好ましい水素結合供与体は、限定なく、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHを含む。好ましい水素結合受容体は、限定なく、C=O、C=S、−NO2、および芳香族複素環の環窒素原子、例えばグアニンのN1を含む。
ある態様において、(II)の塩基部分は、天然に存在しないプリン塩基である。天然に存在しない好ましいプリン塩基の例は、限定なく、6−チオグアニンおよび7−デアザグアニンを含む。ある態様において、(II)の糖部分S’は、構造(I)について上記したように、天然に存在する糖部分である。
【0049】
好ましい態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における免疫刺激性ジヌクレオチドは、CpG、C*pG、CpG*、およびC*pG*からなる群から選択され、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、アラビノシチジン、2’−デオキシチミジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、G*は、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他の非天然プリンヌクレオシドであり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。
【0050】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性部分を、免疫刺激性ジヌクレオチドの片側または両側に含むことができる。従って、ある態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、構造(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yは、シチジン、2’デオキシチミジン、2’デオキシシチジン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−デオキシチミジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、その他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;
【0051】
Zは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシン、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O−置換アラビノグアノシン、2’デオキシイノシンまたはその他の非天然プリンヌクレオシドであり;
N1は、各々の場合に、好ましくは天然に存在するかまたは合成のヌクレオシドまたは免疫刺激性部分であって、これらは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、β−L−デオキシリボヌクレオシド、およびホスホジエステルまたは修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側へ結合されたヌクレオシドからなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、限定することなく、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、もしくはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択され;
【0052】
Nnは、各々の場合に、好ましくは天然に存在するヌクレオシドまたは免疫刺激性部分であって、これらは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、2’−O−置換リボヌクレオシド、および修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側へ結合されたヌクレオシド、からなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、好ましくは、アミノリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびメチルホスホネートヌクレオシド間結合からなる群から選択される;
で表される免疫刺激性ドメインを含み、
ただし、N1またはNnの少なくとも1つは免疫刺激性部分であり;
ここで各nは独立して、0〜30の数であり;そして
ここで、イムノマー化合物の場合は、3’末端は直接または非ヌクレオチドリンカーを介して他のオリゴヌクレオチドに結合されており、これは免疫刺激性であってもなくてもよい。
【0053】
ある好ましい態様において、YZは、アラビノシチジンまたは2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジンおよび、アラビノグアノシンまたは2’デオキシ−2’−置換アラビノグアノシンである。好ましい免疫刺激性部分はホスフェート骨格の修飾を含み、これには、限定なく、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホチオトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、トリエステルプロドラッグ、スルホン、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミダイト、特に1級アミノ−ホスホラミダイト、N3ホスホラミダイトおよびN5ホスホラミダイト、および立体特異的結合(例えば、(RP)−または(SP)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合)が含まれる。
【0054】
本発明による好ましい免疫刺激性部分は、糖修飾を有するヌクレオシドをさらに含み、これには限定なく以下が含まれる:限定なく2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボース、および2’−デオキシ−2’−フルオロリボースを含む、2’−置換ペントース糖;限定なく3’−O−メチルリボースを含む、3’−置換ペントース糖;1’,2’−ジデオキシリボース;アラビノース;限定なく1’−メチルアラビノース、3’−ヒドロキシメチルアラビノース、4’−ヒドロキシメチルアラビノース、および2’−置換アラビノース糖を含む、置換アラビノース糖;限定なく1,5−アンヒドロヘキシトールを含む、ヘキソース糖;並びにアルファ−アノマー。修飾糖が3’−デオキシリボヌクレオシドまたは3’−O−置換リボヌクレオシドである態様においては、免疫刺激性部分は、2’−5’ヌクレオシド間結合によって隣接するヌクレオシドに付着している。
【0055】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましい免疫刺激性部分は、他の炭水化物骨格修飾物および置換物を有するオリゴヌクレオチドをさらに含み、これには以下が含まれる:ペプチド核酸(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチド、および約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する骨格リンカー部を有するオリゴヌクレオチドであって、限定なくアルキルリンカーまたはアミノリンカーを含むもの。アルキルリンカーは、分枝または非分枝であってもよく、置換または無置換であってもよく、キラル的に純粋であってもラセミ混合物であってもよい。最も好ましくは、かかるアルキルリンカーは約2〜約18個の炭素原子を有する。ある好ましい態様においては、かかるアルキルリンカーは約3〜約9個の炭素原子を有する。あるアルキルリンカーは、ヒドロキシ、アミノ、チオール、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオエーテルからなる群から選択される、1つまたは2つ以上の官能基を含む。かかる官能基アルキルリンカーのあるものは、式−O−(CH2−CH2−O−)n(n=1〜9)で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーである。かかる官能基アルキルリンカーの他のあるものは、ペプチドまたはアミノ酸である。
【0056】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましい免疫刺激性部分は、限定なくβ−L−デオキシリボヌクレオシドおよびα−デオキシリボヌクレオシドを含むDNAアイソフォームを、さらに含む。好ましい免疫刺激性部分は、3’修飾を組み込み、そして、限定なく2’−5’、2’−2’、3’− 3’および5’−5’結合を含む、非天然のヌクレオシド間結合位を有するヌクレオシドをさらに含む。
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましい免疫刺激性部分は、修飾複素環塩基を有するヌクレオシドをさらに含み、これらは、限定なく、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシン、4−チオウラシル、6−チオグアニン、7−デアザグアニン、イノシン、ニトロピロール、C5−プロピニルピリミジン、および限定なく2,6−ジアミノプリンを含むジアミノプリンを含む。
【0057】
具体的な例により、そして限定することなく、例えば、構造(III)の免疫刺激性ドメインにおいて、N1位またはNn位のメチルホスホネートヌクレオシド間結合は、免疫刺激性部分であり、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、X1位のC2〜C18アルキルリンカーは免疫刺激性部分であり、そしてX1位のβ−L−デオキシリボヌクレオシドは免疫刺激性部分である。免疫刺激性部分の代表的な位置および構造については、下の表1を参照のこと。特定位置における免疫刺激性部分としてのリンカーの言及は、その位置のヌクレオシド残基がその3’−ヒドロキシルにおいて指定のリンカーによって置換され、それによって、そのヌクレオシド残基と3’側の隣接するヌクレオシドとの間に修飾ヌクレオシド間結合を生成することを意味すると理解される。同様に、特定位置における免疫刺激性部分としての修飾ヌクレオシド間結合の言及は、その位置のヌクレオシド残基が、3’側の隣接するヌクレオシドに、列挙された結合によって結合されていることを意味する。
【0058】
【表1】
【0059】
表2は、上流増強ドメイン(upstream potentiation domain)を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチド内の免疫刺激性部分の代表的な位置および構造を示す。本明細書において、用語「スペーサー9」は、式−O−(CH2CH2−O−)n−、式中nは3である、で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーを指す。用語「スペーサー18」は、式−O−(CH2CH2−O)n−、式中nは6である、で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーを指す。本明細書において、用語「C2〜C18アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)q−O−、式中qは2〜18の整数である、で表されるリンカーを指す。従って、用語「C3リンカー」および「C3アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)3−O−で表されるリンカーを指す。スペーサー9、スペーサー18、およびC2〜C18アルキルリンカーの各々について、リンカーは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたはメチルホスホネート結合によって、隣接するヌクレオシドに結合される。
【0060】
【表2】
【0061】
表3は、下流増強ドメイン(downstream potentiation domain)を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチド内の免疫刺激性部分の代表的な位置および構造を示す。
【0062】
【表3】
【0063】
本発明による方法において用いるイムノマー化合物は、直接または非ヌクレオチドリンカーを介して結合した、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。本発明のためには、「非ヌクレオチドリンカー」は、オリゴヌクレオチドに共有結合または非共有結合で結合できる任意の部分である。好ましくは、かかるリンカーの長さは約2オングストローム〜約200オングストロームである。好ましいリンカーの幾つかの例が、以下に記されている。非共有結合は、限定はされないが、静電相互作用、疎水性相互作用、πスタッキング相互作用、および水素結合を含む。用語「非ヌクレオチドリンカー」は、上記のような、例えばホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート官能基などの、2つのヌクレオシドの3’−ヒドロキシル基を直接結合するヌクレオシド間結合を指すことは意味しない。本発明のためには、かかる直接3’−3’結合は「ヌクレオチド結合」と考えられる。
【0064】
ある態様において、非ヌクレオチドリンカーは金属であり、限定なく、金粒子を含む。他のある態様において、非ヌクレオチドリンカーは可溶性または不溶性の生体分解性ポリマービーズである。
さらに他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドへの付着を許容する官能基を有する有機部分である。かかる付着は、任意の安定な共有結合によるのが好ましい。
【0065】
ある態様において、非ヌクレオチドリンカーは生体分子であり、限定なく、ポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲンおよびオリゴ糖を含む。他のある態様において、非ヌクレオチドリンカーは小分子である。本発明のためには、小分子は1,000Da未満の分子量を有する有機部分である。ある態様において、小分子は750Da未満の分子量を有する。
ある態様において、小分子は脂肪族または芳香族炭化水素であり、これらのどちらも、随意的に、オリゴヌクレオチドを結合する直鎖においてまたはそれに付加されて、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素、およびチオ尿素からなる群から選択される1つまたは2つ以上の官能基を含むことができる。小分子は、環式または非環式であることができる。小分子リンカーの例は、限定はされないが、アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテンおよび抗生物質を含む。しかし、非ヌクレオチドリンカーを記述するために、用語「小分子」はヌクレオシドを含むことを意図しない。
【0066】
ある態様において、小分子リンカーは、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表されるグリセロールまたはグリセロールホモログであり、式中、oおよびpは独立して、1〜約6、1〜約4、または1〜約3の整数である。他のある態様において、小分子リンカーは、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン誘導体である。幾つかのかかる誘導体は、式HO−(CH2)m−C(O)NH−CH2−CH(OH)−CH2−NHC(O)−(CH2)m−OHで表され、式中、mは、0〜約10、0〜約6、2〜約6、または2〜約4の整数である。
【0067】
本発明による方法において用いるイムノマー化合物における、ある非ヌクレオチドリンカーは、図1に模式的に示すように、2つより多いオリゴヌクレオチドの付着を許容する。例えば、小分子リンカーグリセロールは、オリゴヌクレオチドが共有的にそれに付着できる3個のヒドロキシル基を有する。本発明によるあるイムノマー化合物は、従って、非ヌクレオチドリンカーに3’末端で結合する、2つより多いオリゴヌクレオチドを含む。幾つかのかかるイムノマー化合物は、その各々が到達可能5’末端を有する、少なくとも2つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む。
【0068】
本発明による方法において用いる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、図5および図6に模式的に示されるように、また例にさらに記載されるように、自動合成装置およびホスホラミダイトアプローチを用いて好都合に合成することができる。ある態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、直線合成アプローチ(図5参照)により合成される。本明細書において、用語「直線合成」は、イムノマー化合物の1つの末端から開始して、直線的に他の末端へと進行する合成を指す。直線合成は、同一または非同一(長さ、塩基組成および/または組み込まれる化学修飾に関して)のモノマー単位を、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーに組み込むことを許容する。
【0069】
イムノマー化合物の合成の代替的な様式は「パラレル合成」であり、ここで合成は中心リンカー部分から外向きに進行する(図6参照)。パラレル合成には、米国特許第5,912,332号に記載されているように固体サポート付着リンカー(solid support attached linker)を用いることができる。代替的に、例えば制御ポアガラスサポートに付着したホスフェートなどのユニバーサル固体サポートを用いることもできる。
イムノマー化合物のパラレル合成は、直線合成に対して幾つかの利点を有する:(1)パラレル合成は同一のモノマー単位の組み込みを許容する;(2)直線合成とは異なり、両方(または全て)のモノマー単位が同時に合成され、そのため合成に必要な合成ステップ数および時間が、モノマー単位のそれらと同じになる;および(3)合成ステップ数の減少は、最終イムノマー産物の純度および収率を改善する。
【0070】
直線合成またはパラレル合成プロトコルによる合成の最後に、本発明による方法において用いる免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物は好都合に脱保護することができ、これは濃縮アンモニア溶液を用いて、またはもし修飾ヌクレオシドが組み込まれる場合はホスホラミダイト供給者による推奨に従って行う。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の産物は好ましくは、逆相HPLCにより精製され、脱トリチル化され(detritylated)、脱塩されそして透析される。
【0071】
イムノマー化合物の成分として、または本発明の第4の側面に従って用いるのに好適な免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、以下の米国特許および係属中の米国特許出願に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第6,426,334号および6,476,000号;および米国特許出願第09/770,602号、09/845,623号、09/965,116号、60/440,587号、10/361,111号、60/471,247号、60/477号。本発明の好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物は、係属中の米国特許出願第10/279,684号に記載されている。表4は、本発明による方法において用いる代表的なイムノマー化合物を示す。さらなるイムノマー化合物は、例および米国特許出願第10/279,684号に記載されている。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
本発明のさらなる側面は、少なくとも2個のオリゴヌクレオチド含む免疫刺激性核酸を提供し、ここで前記免疫刺激性核酸は、二次構造を有する。ある態様において、免疫刺激性核酸は、相補配列を有する水素結合による3’末端ステムループ二次構造を有する。ある態様において、低下した免疫刺激活性を有する核酸は、相補配列を有する水素結合による5’末端ステムループ二次構造を形成する。この側面において、免疫刺激性核酸は、式(I)に詳述された構造を含む。
ドメインA−ドメインB−ドメインC (I)
【0075】
ドメインは、約2〜約12個のヌクレオチド長であってよい。ドメインAは、CpG、C*pG、C*pG*およびCpG*からなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むかもしくは含まないパリンドロームまたは自己相補的ドメインを、有するかまたは有さない、5’−3’もしくは3’−5’もしくは2’−5’DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNAであることができ、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、2’−ジデオキシ−5−ハロシトシン、2’−デオキシ−5−ニトロシトシン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、または他のピリミジンヌクレオシド類似体であり;G*は、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他のプリンヌクレオシド類似体であり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。
【0076】
ある態様において、ドメインAは、CpG、C*pG、C*pG*およびCpG*からなる群から選択される1つより多いジヌクレオチドを含む。
ドメインBは、以下で「X」によって示されるように、ドメインAとCを結合するリンカーであり、3’−5’結合、または2’−5’結合、3’−3’結合、ホスフェート基、ヌクレオシド、または非ヌクレオシドリンカーであることができ、これは脂肪族、芳香族、アリール、環式、キラル、アキラル、ペプチド、炭水化物、脂質、脂肪酸、モノ−、トリ−もしくはヘキサポリエチレングリコール、または複素環部分であってよい。
【0077】
ドメインCは、CpG、C*pG、C*pG*、CpG*からなる群から選択されるジヌクレオチドを有することができるかもしくはできないパリンドロームまたは自己相補的ドメインを、有するかまたは有さない、5’−3’もしくは3’−5’、2’−5’DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNA、ポリI−ポリCであることができ、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、2’ジデオキシ−5−ハロシトシン、2’−デオキシ−5−ハロシトシン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、他のピリミジンヌクレオシド類似体であり;G*は、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他のプリンヌクレオシド類似体であり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。ある態様において、ドメインBは好ましくは、ドメインAとドメインCのオリゴヌクレオチドを結合する非ヌクレオチドリンカーであり、これは「イムノマー」と呼ばれる。ある好ましい態様において、ドメインCは、ジヌクレオチドCpG、C*pG、C*pG*またはCpG*を有さない。
【0078】
非限定的な例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は、式(II):
【化3】
に詳述される構造を有する。
当業者が認識するように、二次構造要素が分子の末端に分子内ステムループの形態で存在する。
【0079】
非限定的例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は、式(III):
【化4】
に詳述される構造を有する。式(III)に示された構造は、本明細書において、2つの末端の配列が相補的であり、分子間水素結合を許容するために、2つの分子の末端が遮断されているため、「末端ダイマー」と呼ぶ。さらに、ドメインAおよびA’は同一であってもなくてもよく、ドメインBおよびB’は同一であってもなくてもよく、ドメインCおよびC’は同一であってもなくてもよい。
【0080】
非限定的な例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は、式(IV):
【化5】
に詳述される構造を有する。
当業者により認識されるように、示された分子の末端は、その端の相補配列がこの領域に結合した水素であるために、二次構造を有する。ある態様において、細胞の取り込みを促進するため、または分子の安定性を改善するために、リガンドなどの分子を末端に付着させることができる。
【0081】
本発明のある核酸分子の非限定的例を、表5に示す。
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】
【表9】
【0085】
代替的に、本発明の核酸分子は、非ヌクレオチドリンカーによって結合された2つのイムノマーであることができる。これらの分子の非限定的な代表例を表6に示す。
【0086】
【表10】
【0087】
【表11】
【0088】
代替的に、さらに、非限定的な代表例を表7に示す。
【0089】
【表12】
イタリック体はホスホジエステル結合を示し、他の結合は特に指定のない限りホスホロチオエートである。
下線部=2’−OMe−ヌクレオシド;X=C3リンカー
R=2’−デオキシ−7−デアザグアノシン G1= 2’−デオキシ−7−デアザグアノシン
【0090】
本発明の他の側面は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーの配列が少なくとも部分的に自己相補的である、免疫刺激性核酸を提供する。本明細書における自己相補的配列とは、好適な配列において、分子内またはより典型的には分子間の、G−C、A−T、A−Uおよび/またはG−Uウォッブル対の間の塩基対を形成することができる塩基配列を指す。1つの態様において、自己相補性の程度は少なくとも50%である。例えば、少なくとも50%自己相補的な8マーは、4、5、6、7または8個のG−C、A−T、A−Uおよび/またはG−Uウォッブル塩基対を形成可能な配列を有することができる。かかる塩基対は、自己相補的な免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーの両末端に位置する塩基を含むことができるが、必ずしも含む必要はない。核酸の安定化が免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーに重要な場合、二本鎖核酸の一方または両方の末端を、塩基対合または任意の他の好適な方法により、一緒に「固定する(clamp)」することが有用である場合がある。自己相補性の程度は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーの間の配列に依存し、かかる配列は、1つまたは複数のヌクレオシドオーバーハングを含むこともでき、また含まなくてもよい。他の態様において、自己相補性の程度は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%である。
【0091】
非限定的例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は式(V):
【化6】
に詳述される構造を有する。当業者に認識されるように、示されたイムノマー化合物は二次構造を有し、これはドメインの配列が相補的であって分子間水素結合を許容するからである。ドメインAおよびA’は同一であってもなくてもよく、ドメインAおよびCは同一であってもなくてもよく、ドメインAおよびC’は同一であってもなくてもよく、ドメインA’およびCは同一であってもなくてもよく、ドメインA’およびC’は同一であってもなくてもよく、ドメインBおよびB’は同一であってもなくてもよく、そしてドメインCおよびC’は同一であってもなくてもよい。さらに、付加的なイムノマーを、分子間水素結合を通して結合することができ、これによって、本発明のイムノマーの鎖、またはマルチマーを生成する。nは、連続した自己相補的イムノマー化合物の任意の数であることができる。
【0092】
本明細書において、用語「相補的な」とは、核酸にハイブリダイズする能力を有することを意味する。かかるハイブリダイゼーションは、通常は相補鎖間の水素結合の結果であって、好ましくはワトソン−クリック型またはフーグステン(Hoogsteen)型塩基対を形成するが、ただし、他の様式の水素結合および塩基のスタッキング(base stacking)もまたハイブリダイゼーションをもたらすことができる。
本明細書において、用語「二次構造」は、分子間水素結合をさす。分子間水素結合は、二重の核酸分子の形成をもたらす。
【0093】
非限定的な代表的な核酸分子を、表8に示す。
【表13】
標準字体はホスホロチオエート結合を表す
G1=2’−デオキシ−7−デアザグアノシン
G2=アラビノグアノシン
G3=2’−デオキシイノシン
C1=1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル) −2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリン
C2=アラビノシチジン
C3=2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン
X=C3リンカー
【0094】
本発明の方法において用いるのに特に好ましいイムノマー化合物は、以下の構造を有する。
【化7】
【0095】
本発明の全ての側面による方法および組成物は、疾患を処置するための治療的アプローチにおいて、該処置が免疫系の調節および免疫に基づく治療に関連する場合に有用である。特に好ましい疾患ターゲットには、癌、感染症およびアレルギーが含まれる。
【0096】
ある態様において、治療方法は癌の処置のためである。癌または腫瘍は、限定はされないが、胆道癌;脳の癌;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内癌;リンパ腫;肝癌;肺癌(例えば小細胞および非小細胞);メラノーマ;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;睾丸癌;甲状腺癌;および腎臓癌、さらに他の癌腫および肉腫を含む。
【0097】
ある態様において、治療方法は感染の処置のためである。非限定的例により、ヒトに感染することが見出されたウィルスは、限定はされないが、以下を含む:レトロウィルス科(例えばヒト免疫不全ウィルス、例えばHIV−1(HTLV−III、LAVまたはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ぶ)およびHIV−LPなどの他の分離株;ピコルナウィルス科(例えばポリオウィルス、A型肝炎ウィルス;エンテロウィルス、ヒトコクサッキーウィルス、ライノウィルス、エコーウィルス);カリシウィルス科(例えば胃腸炎を引き起こす株);トガウィルス科(例えばウマ脳炎ウィルス、ルベラウィルス);フラビウィルス科(例えばデングウィルス、脳炎ウィルス、黄熱病ウィルス);コロナウィルス科(例えばコロナウィルス);ラブドウィルス科(例えば水疱性口内炎ウィルス、狂犬病ウィルス);フィロウィルス科(例えばエボラウィルス);パラミクソウィルス科(例えばパラインフルエンザウィルス、ムンプスウィルス、麻疹ウィルス、呼吸器合胞体ウィルス);オルトミクソウィルス科(例えばインフルエンザウィルス);ブニヤウィルス科(例えばハンターンウィルス、ブニヤウィルス、フレボウィルスおよびナイロウィルス):アレナウィルス科(例えば出血熱ウィルス);レオウィルス科(例えばレオウィルス、オルビウィルスおよびロタウィルス);ビルナウィルス科;ヘパドナウィルス科(B型肝炎ウィルス);パルボウィルス科(パルボウィルス);パポバウィルス科(パピローマウィルス、ポリオーマウィルス);アデノウィルス科(ほとんどのアデノウィルス);ヘルペスウィルス科(単純ヘルペスウィルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウィルス、サイトメガロウィルス(CMV)、ヘルペスウィルス);ポックスウィルス科(天然痘ウィルス、ワクシニアウィルス、ポックスウィルス);およびイリドウィルス科(例えばアフリカンスワインフィーバーウィルス);および未分類のウィルス(例えば海綿状脳症の病原体、デルタ肝炎の媒介物(B型肝炎ウィルスの欠損付随物と考えられる)、非A非B型肝炎の媒介物(クラス1=内部感染、クラス2=非経口感染(すなわちC型肝炎);ノーウォークおよび関連ウィルス、ならびにアストロウィルス)。
【0098】
ある態様において、本発明の治療方法は、アレルギーの処置に向けられる。「アレルゲン」とは、影響をうけやすい対象においてアレルギー反応または喘息反応を誘発し得る物質(抗原)を指す。アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物の鱗屑粉塵、真菌胞子および薬剤(例えばペニシリン)を含むことができる。天然の動物および植物アレルゲンは、限定はされないが、以下の属に特異的なタンパク質を含む:イヌ属(Canine)(Canis familiaris);ヒョウヒダニ属(例えばコナヒョウダニ);ネコ属(Felis domesticus);アンブロシア(Ambrosia artemiisfolia);ドクムギ属(例えばLolium perenneまたはLolium multiflorum);スギ属(Cryptomeria japonica);アルテルナリア属(Alternaria alternata);ハンノキ;ハンノキ属(Alnus gultinoasa);カバノキ属(Betula verrucosa);カシ属(Quercus alba);オリーブ属(Olea europa);ヨモギ属(Artemisia vulgaris);オオバコ属(例えばPlantago lanceolata);ヒカゲミズ属(例えばParietaria officinalisまたはParietaria judaica);チャバネゴキブリ属(例えばBlattela germanica);ミツバチ属(例えばApis multiflorum);イトスギ属(例えばCupressus sempervirens、Cupressus arizonicaおよびCupressus macrocarpa);ビャクシン属(例えばJuniperus sabinoides、Juniperus virginiana、Juniperus communisおよびJuniperus ashei);クロベ属(例えばThuya orientalis);ヒノキ属(例えばChamecyparis obtusa);ゴキブリ属(例えばPeriplaneta americana);カモジグサ属(例えばAgropyron repens);ライムギ属(例えばSecale cereale);コムギ属(例えばTriticum aestivum);カモガヤ属(例えばDactylis glomerata);ウシノケグサ属(例えばFestuca elatior);イチゴツナギ属(例えばPoa pratensisまたはPoa compressa);カラスムギ属(例えばAvena sativa);シラケガヤ属(例えばHolcus lanatus);ハルガヤ属(例えばAnthoxanthum odoratum);オオカニツリ属(例えばArrhenatherum elatius);ヌカボ属(例えばAgrostis alba);オオアワガエリ属(例えばPhleum pratense);クサヨシ属(例えばPhalaris arundinacea);スズメノヒエ属(例えばPaspalum notatum);モロコシ属(例えばSorghum halepensis);およびスズメノチャヒキ属(例えばBromus inermis)。具体的なアレルゲンは、市場で購入可能である(例えばINDOOR Biotechnologies, Inc., Charlottesville, VA 22903)。
【0099】
第2の側面において、本発明は、癌患者における癌を処置する方法を提供し、該方法は、該患者に対して、化学療法剤を、上に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と、該免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物に到達可能5’末端以外の位置で結合された癌抗原とを含む、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー結合体と組み合わせて投与することを含む。ある態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドに結合した、癌に関連する抗原を含む。他のある態様において、抗原は、オリゴヌクレオチドにその3’末端以外の位置で結合する。ある態様において、抗原はワクチン効果を生じる。本発明のためには、用語「関連する」は、癌が存在する場合には抗原が存在するが、癌が不在の場合は、抗原が存在しないかまたは少ない量で存在することを意味する。
【0100】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、抗原に共有結合で結合するか、そうでなければ、抗原と動作可能に結合する。本明細書において、用語「動作可能に結合する」は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および抗原の両方の活性を維持する任意の結合を指す。かかる動作可能な結合の非限定的な例は、同じリポソームまたは他のかかる送達ビヒクルもしくは試薬の一部となることである。さらに、抗原をコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングして、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と組み合わせて投与することができる。本明細書において、用語「ベクター」は、それらが結合した他の核酸を輸送する能力のある核酸分子を指す。好ましいベクターは、それらが結合した核酸(例えばエピソーム)の自己複製および発現が可能なベクターである。それらが動作可能に結合した遺伝子の発現を方向付けることができるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組み換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしば「プラスミド」の形をしており、通常、環状二本鎖DNAループと呼ばれ、そのベクター形態においてクロモソームに結合されない。本明細書において「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるため、同義的に用いられる。しかし、本発明は、等価な機能をもたらし、これから続いて当分野に知られるようになる発現ベクターの他の形態も包含することが意図される。
【0101】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物が抗原に共有結合で結合している態様においては、かかる共有結合は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドの到達可能5’末端以外の、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物上の任意の位置であるのが好ましい。例えば、抗原は、ヌクレオシド間結合に付着してもよく、または非ヌクレオチドリンカーに付着してもよい。代替的に、抗原はそれ自体が非ヌクレオチドリンカーであってもよい。
【0102】
第3の側面において、本発明は、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または免疫刺激性オリゴヌクレオチド結合体および/またはイムノマー化合物またはイムノマー結合体、化学療法剤および生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。本明細書において、用語「生理学的に許容し得る」とは、イムノマー化合物の有効性を妨げず、細胞、細胞培養物、組織、または生物などの生体系と適合する物質を指す。好ましくは、生体系は脊椎動物などの生物である。好ましい化学療法剤は、限定なく、ゲムシタビン メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖非含有クロロエチルニトロソウレア、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラギリン、メグラミンGLA、バルルビシン、カルムスタインおよびポリフェルポサン、MMI270、BAY12−9566、RASファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、ファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール、グラモレク、CI−994、TNP−470、ヒカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン、メタレット/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、インセル/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナールDP2202、FK317、ピシバニル/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド、エバセット/リポソームドキソルビシン、ユータキサン/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、キセロアド/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)RAS腫瘍遺伝子阻害剤、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール/レバミソール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、
【0103】
カンプト/レバミソール、カンプトサール/イリノテカン、ツモデックス/ラリトレキセド、ルイスタチン/クラドリビン、パキセックス/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエリクス/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルモルビシン/エピルビシン、デポシト、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタリミド、LU103793/ドラスタイン、カエチックス/リポソームドキソルビシン、ゲムザール/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメド、YM116、ロジンシード、CDK4およびCDK2阻害剤、PARP阻害剤、D4809/デキシホスファミド、イフェス/メスネックス/イホスファミド、ブモン/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール/シスプラチン、ベペシド/エトポシド、ZD9331、タキソテレ/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソウレア、メルフェランおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アミノグルテチミド、アルパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロンブシル、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシウレア(ヒドロシキカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子類似体)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p’−DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレオチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)および硫酸ビンデシンを含む。
【0104】
さらに他の態様において、製剤は、EFG、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMKメラノーマワクチン、MGVガングリオシド結合ワクチン、Her2/new、オバレックス(Ovarex)、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLテラトープ(theratope)、BLP25(MUC−1)、リポソームイディオタイプワクチン、メラシン(Melacine)、ペプチド抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVAベース(MVA-vased)ワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISCウィルスおよびImmunCyst/TheraCys、からなる群から選択される癌ワクチンを含む。
【0105】
さらなる側面において、本発明は、モノクローナル抗体を本明細書に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と組み合わせて患者に投与することを含む、癌患者における癌を処置する方法を提供する。抗体の形態、そして特にモノクローナル抗体の形態での受動免疫療法は、抗癌剤として多くの研究および開発の主題であった。本明細書における用語「モノクローナル抗体」は、単一の分子組成の抗体分子を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。従って、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、単一の結合特異性を示し、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を指す。抗癌剤の例は、限定はされないが、パノレックス(Panorex)(Glaxo-Welcome)、リツキサン(Rituxan)(IDEC/Genentech/Hoffman la Roche)、ミロターグ(Mylotarg)(Wyeth)、キャンパス(Campath)(Millennium)、ゼバリン(Zevalin) (IDEC and Schering AG)、ベキサール(Bexxar) (Corixa/GSK)、エルビタックス(Erbitux)(Imclone/BMS)、アバスチン(Avastin)(Genentech)およびヘルセプチン(Herceptin)(Genentech/Hoffman la Roche)を含む。抗体はまた、癌抗原を(免疫学的な意味において)模倣するように見える抗イディオタイプ抗体を利用する、能動免疫療法において用いてもよい。モノクローナル抗体は、組み換えDNA技術の分野の業者に知られている方法によって、作製することができる。
【0106】
本明細書において、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、脂質、または医薬製剤において用いるために当分野で知られている他の物質を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の用途のための投与経路に依存することが理解される。これらの物質を含む薬学的に許容し得る製剤の製造は、例えばRemingtonのPharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
【0107】
トール様受容体(TLR)は、感染のセンサーとして機能し、固有の適合的免疫反応の活性化を誘導する。TLRは、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる広い範囲のリガンドを認識する。保存されている病原体関連分子産物を認識すると、TLRは、その細胞内情報伝達ドメイン、すなわちトール/インターロイキン−1受容体(TIR)ドメイン、および下流のアダプタータンパク質MyD88を通して宿主防御反応を活性化する。樹状細胞およびマクロファージは通常、それらが産生もする、トール様受容体(TLR)リガンドおよびサイトカイン(例えばインターロイキン−1β;IL−6および腫瘍壊死因子、TNF)に応答する;ナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞も関与する。細菌性化合物によるTLRの刺激の後、固有免疫細胞はある範囲のサイトカインを放出する。TLRリガンドの幾つかの例には、限定はされないが、リポタンパク質;ペプチドグリカン、ザイモサン(TLR2)、二本鎖RNA、ポリI−ポリC(TLR3)、リポ多糖類、熱ショックタンパク質、タキソール(TLR4)、フラゲリン(TLR5)、およびイミダゾキノリン−R848、レシキモド(resiquimod)、イミキモド(imiquimod);ssRNA(TLR7/8)が含まれる。
【0108】
第4の側面において、本発明は、癌細胞を電離放射線に感作する方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、哺乳動物に、本発明による免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を投与すること、および前記動物を電離放射線で処置することを含む。ある好ましい態様においては、γ線照射を1.56Gy/分で適用する。ある好ましい態様においては、放射線療法を、約0.1〜約10.0Gy、好ましくは約0.25〜約8.0Gy、より好ましくは約0.5〜約5.0Gy、または、3.0Gyの照射で、1週間に2回、1週間に4回、または、2、4および9日目に合計3回、適用する。ある態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物での前処置は、γ線照射の約2〜約6時間前である。
【0109】
第5の側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激する方法を提供し、該方法は、患者に対して、イムノマー化合物の治療的に有効な相乗作用量を、IL−2の治療的に有効な相乗作用量、および抗原と組み合わせて投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により刺激される好ましいサイトカインは、限定はされないが、1種または2種以上のIL−12、インターフェロン−γ、IFN−αおよびIFN−βを含む。
【0110】
ある態様において、方法は癌の処置のためであり、抗原は癌に特異的または癌に関連する抗原である。幾つかの態様において、方法は、感染の処置のためであり、抗原は感染に関連する抗原である。ある態様において、方法は、アレルギーの処置のためであり、抗原はアレルギーに関連する。本明細書において、用語「関連する」は、癌、アレルゲンまたは感染症が存在する場合には抗原が存在するが、癌、アレルゲンまたは感染症が不在の場合は、抗原が存在しないかまたは少ない量で存在することを意味する。
【0111】
本明細書において用語「抗原」は、抗体またはT細胞抗原受容体によって特異的に認識され結合される物質を意味する。抗原は、ペプチド、タンパク質、糖たんぱく質、多糖類、ガングリオシドおよび脂質;これらの一部およびこれらの組合せを含むことができる。抗原は、天然に見出されるもの、または合成されるものであることができる。ハプテンは、「抗原」の範囲に包含される。ハプテンは、それ自体免疫性はないが、抗原決定基を含む免疫性分子と結合した場合に免疫性となる、低分子化合物である。
【0112】
ある態様において、本発明の方法および組成物において有用な抗原は、腫瘍関連抗原および/または腫瘍特異的抗原である。非限定的な例は以下を含む:前立腺特異的抗原(PSA)および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、これらは通常血中に少量で存在し、前立腺癌が存在すると増大するマーカーである;癌抗原125(CA−125)、これは、卵巣癌患者においてレベルが上昇し、他の癌が存在する場合も時に上昇する;CA15−3およびCA27−29、これらは、乳癌の経過およびその処置に対する応答の追跡調査に有用である;CA19−9、これは、一般に膵臓癌の広がりをチェックするために用いられ、直腸結腸、胃および胆管癌を有する患者においても上昇する;癌胎児性抗原(CEA)、これは、通常は少量で存在するが、広い範囲の癌を有する患者の血中で上昇し得る;アルファ−フェトプロテイン、これは、肝細胞癌および生殖細胞(非セミノーマ)癌のマーカーである;そして、ガラクトシル転位酵素II、ガラクトシル転位酵素のアイソザイムであり、種々の悪性腫瘍、主に胃腸での腫瘍において上昇することが示されている。当業者に知られているように、腫瘍関連および腫瘍特異的抗原は、市場で入手可能である。本発明により意図されるのはまた、組換え核酸技術によって作製できる抗原、および/または合成抗原、例えば、当分野で知られている方法により生成されるペプチドである。
【0113】
本発明の第5の側面のある態様において、本発明は癌患者における癌を処置する方法を提供し、該方法は、患者に対して、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を、上記のイムノマー化合物および抗原を含むイムノマー結合体と組み合わせて投与することを含む。ある態様において、抗原は、イムノマー化合物に到達可能5’末端以外の位置で結合している。幾つかの態様において、イムノマー化合物の非ヌクレオチドリンカーは、癌に関連する抗原を含む。幾つかの態様において、抗原は、イムノマー化合物にその5’末端以外の位置で結合している。幾つかの態様において、抗原はワクチン効果を生じる。本発明のために、用語「関連する」は、癌が存在する場合には抗原が存在するが、癌が不在の場合は、抗原が存在しないかまたは少ない量で存在することを意味する。
【0114】
本発明の第5の側面のある態様において、イムノマー化合物は、抗原に共有結合で結合するか、そうでなければ、抗原と動作可能に結合する。本明細書において、用語「動作可能に結合する」は、イムノマー化合物および抗原の活性を維持する任意の結合を指す。かかる動作可能な結合の非限定的な例は、同じリポソームまたは他のかかる送達ビヒクルもしくは試薬の一部となることである。イムノマー化合物が抗原に共有結合で結合している態様において、かかる共有結合は、イムノマー化合物の到達可能5’末端以外の、イムノマー化合物上の任意の位置であるのが好ましい。例えば、抗原は、ヌクレオシド間結合に付着してもよく、または非ヌクレオチドリンカーに付着してもよい。代替的に、抗原はそれ自体が非ヌクレオチドリンカーであってもよい。
【0115】
本発明の第6の側面において、イムノマー化合物ではない少なくとも1つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、IL−2の治療的に有効な量と組み合わせて用いられ、患者におけるサイトカインの産生を選択的および相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。本発明による、イムノマー化合物ではない好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫刺激性CpGジヌクレオチドを含むものであり、ここでCはシトシンまたはデオキシシトシンではなく、および/または、Gはグアノシンまたは2−デオキシグアノシンではない。本発明の、その他の好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってイムノマー化合物ではないものは、CpGではない代替的な免疫刺激性部分を含むものである。かかる代替的な免疫刺激性部分の例は、限定はされないが、天然に存在しない塩基および/または糖および、オリゴヌクレオチドそれ自体の二次構造、例えばオリゴヌクレオチドを安定化するヘアピン構造を有するヌクレオシド、を含み、これらは以下の米国特許および係属中の米国特許出願に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第6,426,334号および6,476,000号;および米国特許出願第09/770,602号、09/845,623号、09/965,116号、60/440,587号、10/361,111号、60/471,247号、60/477,608号。
【0116】
本発明のある態様において、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびIL−2の各々を、患者への投与の前に、薬学的に許容し得る担体と混合する。ある態様において、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、投与の前に薬学的に許容し得る担体と一緒に混合されるか、または本発明の第4の側面において記載したように、医薬組成物の一部として組み込まれる。本明細書において、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、脂質、または医薬製剤において用いるために当分野で知られている他の物質を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の用途のための投与経路に依存することが理解される。これらの物質を含む薬学的に許容し得る製剤の製造は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, ed. A. L. Gennnaro, Lippincott Williams & Wilkins Publishing Co., Philadelphia, PA, 19106 (ISBN: 0683306472)に記載されている。
【0117】
第7の側面において、本発明は、薬学的に許容し得る担体、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量、IL−2の治療的に有効な相乗作用量、および随意的に抗原を含む、治療組成物を提供し、ここで、前記治療組成物の投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0118】
本発明の全ての側面は疾患の処置に有用であり、特に、癌、感染症およびアレルギーを処置するための、免疫に基づく治療において有用である。本明細書において、用語、疾患を「処置する」または疾患の「処置」とは、疾患の予防;発症後の疾患の兆候または症状の軽減または根絶;および疾患の再発の予防、を含む。
【0119】
本発明による方法において、IL−2と組み合わせたイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの投与は、任意の好適な経路で実施でき、これは、限定することなく、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻内、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣、遺伝子銃、皮膚パッチまたは点眼液またはうがい薬の形態を含む。イムノマー化合物、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、IL−2またはこれらの治療組成物の投与は、既知の方法を用いて、治療的に有効な相乗作用量および疾患の処置に効果的な期間で、実施することができる。
【0120】
用語「組み合わせて」は、同一患者の同一疾患を処置する過程において、イムノマー化合物および/または免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはIL−2を任意の順序で投与することを含むことを意味し、これは同時投与および、数日間までの時間的に間隔をあけた順序での投与を含む。かかる組み合わせ処置はまた、イムノマー化合物および/または免疫刺激性オリゴヌクレオチド、および/またはIL−2を、独立して、1回を超えて投与することを含むことができる。イムノマー化合物およびIL−2の投与は、同一または異なる経路で実施してよい。
当業者は、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチド、IL−2のいずれか、または両方の、かかる相乗的効果は、組織、器官、本発明により処置される特定の疾患または患者に依存して、かなり変化することを理解する。さらに、当業者は、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはIL−2のいずれかの治療的に有効な相乗作用量は、他の成分の量の細かな調節および変更によって低減または増加できることを理解する。
【0121】
全身的に投与する場合、イムノマー化合物は、約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルのイムノマー化合物血中濃度を達成するのに十分な用量で投与するのが好ましい。局所投与に対しては、これより大幅に低い濃度も効果的であることができ、そして大幅に高い濃度も耐容され得る。好ましくは、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の総用量は、約0.0001mg/患者・日〜約200mg/体重1kg・日の範囲である。イムノマー化合物またはIL−2の各々の治療的に有効な相乗作用量を、1回の処置として、同時にまたは連続して個人に投与するのが望ましい。好ましくは、IL−2は、約750〜約75,000単位の量で投与する。
【0122】
本発明は、サイトカインおよび/または化学療法剤、および免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物を含むキットを提供し、ここで後者は、イムノマー化合物が1つより多い5’末端を有するように一緒に結合された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで少なくとも1つの前記オリゴヌクレオチドは免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。他の側面において、キットは、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または免疫刺激性オリゴヌクレオチド結合体および/またはイムノマー化合物またはイムノマー結合体、サイトカインおよび/または化学療法剤、および生理学的に許容し得る担体を含む。キットは一般に、使用のための指示書のセットも含む。
【0123】
以下の例は、本発明のある好ましい態様をさらに説明することを意図しており、本発明の範囲を限定することは意図していない。
例
例1:免疫刺激性部分を含有するオリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを、1μmolスケールでDNA自動合成装置(Expedite 8909; PerSeptive Biosystems, Framingham, MA)を用いて、図5および図6に概説した直線合成またはパラレル合成方法に従って合成した。
【0124】
デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイトは、Applied Biosystem (Foster City, CA)から入手した。1’,2’−ジデオキシリボースホスホラミダイト、プロピル−1−ホスホラミダイト、2−デオキシウリジンホスホラミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチル)ペンチルアミジル]−2−プロパノールホスホラミダイトおよびメチルホスホラミダイトは、Glen Research (Sterling, VA)から入手した。β−L−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、α−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、モノ−DMT−グリセロールホスホラミダイトおよびジ−DMT−グリセロールホスホラミダイトは、ChemGenes (Ashland, MA)から入手した。(4−アミノブチル)−1,3−プロパンジオールホスホラミダイトは、Clontech (Palo Alto, CA)から入手した。アラビノシチジンホスホラミダイト、アラビノグアノシン、アラビノチミジンおよびアラビノウリジンは、Reliable Pharmaceutical (St. Louis, MO)から入手した。アラビノグアノシンホスホラミダイト、アラビノチミジンホスホラミダイトおよびアラビノウリジンホスホラミダイトは、Hybridon, Inc. (Cambridge, MA)にて合成した(Noronha et al. (2000) Biochem., 39:7050-7062)。
【0125】
全てのヌクレオシドホスホラミダイトは、31Pおよび1HNMRスペクトルにより特性を明らかにした。修飾ヌクレオシドは、特定部位に通常のカプリングサイクルを用いて組み込んだ。合成の後、オリゴヌクレオチドは濃縮水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLCにより精製して、透析した。ナトリウム塩形態の精製オリゴヌクレオチドは、使用前に凍結乾燥した。純度は、CGEおよびMALDI−TOF MSにより試験した。
【0126】
例2:脾臓細胞増殖の解析
脾細胞増殖のin vitro解析を、前に記載した標準的方法(例えば、Zhao et al., Biochem Pharma 51:173-182(1996)を参照)を用いて行った。図8Aに結果を示す。これらの結果は、高濃度において、2つの到達可能5’末端を有するイムノマー6が、到達可能5’末端を有さないイムノマー5または1つの到達可能5’末端を有するオリゴヌクレオチド4よりも、多くの脾細胞増殖をもたらすことを示す。イムノマー6はまた、LPS陽性対照よりも多くの脾細胞増殖をもたらす。
【0127】
例3:in vivo脾腫試験
in vitroでの結果をin vivoモデルに適用可能かどうかを試験するために、選択したオリゴヌクレオチドをマウスに投与し、免疫刺激活性レベルの指標として脾腫の程度を測定した。5mg/kgの単回用量をBALB/cマウス(雌、4〜6週齢、Harlan Sprague Dawley Inc, Baltic, CT)に腹腔内投与した。オリゴヌクレオチド投与の72時間後にマウスを犠牲にし、脾臓を採取して重量測定した。図8Bに結果を示す。これらの結果は、2つの到達可能5’末端を有するイムノマー6が、オリゴヌクレオチド4またはイムノマー5よりも大幅に高い免疫刺激効果を有することを示す。
【0128】
例4:サイトカイン解析
脊椎動物細胞、好ましくはBALB/cマウス脾臓細胞またはヒトPBMCにおける、IL−12およびIL−6の分泌を、サンドイッチELISAで測定した。サイトカイン抗体および標準サイトカインを含む必要な試薬は、PharMingen, San Diego, CAより購入した。ELISAプレート(Costar)は、PBSN緩衝液(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)中の5μg/mLの適当な抗体を用いて4℃にて1晩インキュベートし、次にPBS/1%BSAを用いて37℃にて30分間ブロッキングした。細胞培養上清および標準サイトカインは、PBS/10%FBSで適切に希釈し、前記プレートにトリプリケート(triplicate)で添加し、25℃で2時間インキュベートした。プレートに1μg/mLの適当なビオチン化抗体を加え、25℃で1.5時間インキュベートした。次にプレートをPBS−T緩衝液(PBS/0.05%Tween 20)でよく洗浄し、ストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼ(Sigma, St. Louis, MO)を加えた後25℃で1.5時間さらにインキュベートした。プレートをSure Blue(登録商標)(Kirkegaard and Perry)発色試薬で発色させ、Stop Solution(Kirkegaard and Perry)を加えて反応を終了させた。色の変化をCeres 900 HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)で測定した。下の表5Aに結果を示す。
【0129】
健康なボランティアの末梢血から、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をFicoll-Paque密度勾配遠心分離(Histopaque-1077, Sigma, St. Louis, MO)により単離した。簡単に述べると、ヘパリン化された血液を円錐遠心分離機内のHistopaque-1077上(等量)に層状にし、400×gで30分間室温にて遠心分離した。単核細胞を含む軟膜(buffy coat)を注意して採取し、等浸透圧のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回、250×gで10分間の遠心分離により洗浄した。得られた細胞ペレットは次に、L−グルタミンを含有するRPMI 1640培地(Media Tech, Inc., Herndon, VA)内に再懸濁させ、熱により不活性化させた10%FCSおよびペニシリン−ストレプトマイシン(100U/ml)を補充した。細胞は、24ウェルプレートで異なる期間、1×106細胞/ml/ウェルで、オリゴヌクレオチドの存在下または非存在下で培養した。インキュベーション期間の終わりに上清を収集し、サンドイッチELISAによる、IL−6(BD Pharmingen, San Diego, CA)、IL−10(BD Pharmingen)、IL−12(BioSource International, Camarillo, CA)、IFN−α(BioSource International)および−γ(BD Pharmingen)およびTNF−α(BD Pharmingen)を含む種々のサイトカインのアッセイまで、−70℃で凍結して保存した。結果を下の表9および9Aに示す。
【0130】
全ての場合において、細胞培養上清におけるIL−12およびIL−16の濃度は、同じ実験条件下で作製したIL−12およびIL−16の標準カーブからそれぞれ計算した。細胞培養上清におけるIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αの濃度は、同じ実験条件下で作製したIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αの標準カーブからそれぞれ計算した。
【0131】
【表14】
D1およびD2はドナー1およびドナー2である。
【0132】
【表15】
イタリック体はホスホジエステル結合を示す。
【0133】
【化8】
【0134】
さらに、図7A〜7Cに示された結果は、2つの到達可能5’末端を有するイムノマー2は、それぞれ1つまたは0個の到達可能5’末端を有するオリゴヌクレオチド1またはイムノマー3と比べて、より低い濃度においてIL−12およびIL−6濃度を上昇させるが、IL−10濃度は上昇させないことを示す。
【0135】
例5:非天然ピリミジンヌクレオシドまたは非天然プリンヌクレオシドを含むイムノマー化合物の免疫刺激活性
表10〜12に示すように、免疫刺激性ジヌクレオチドモチーフ内に非天然ピリミジンヌクレオシドまたは非天然プリンヌクレオシドを含む、種々の長さのイムノマー化合物では、免疫刺激活性は維持された。
【0136】
【表16】
【0137】
【表17】
【0138】
【表18】
【0139】
例6:免疫刺激活性におけるリンカーの効果
2つのオリゴヌクレオチドを結合するリンカーの長さの効果を試験するため、同じオリゴヌクレオチドを含むがリンカーの異なるイムノマー化合物を合成し、免疫刺激活性を試験した。表13に示す結果は、リンカーの長さはイムノマー化合物の免疫刺激活性に役割を果たすことを示唆する。最大の免疫刺激効果は、C3〜C6−アルキルリンカーまたは分散されたホスフェート電荷(interspersed phosphate charge)を有する脱塩基リンカーにより達成された。
【0140】
【表19】
【0141】
例7:免疫刺激活性におけるオリゴヌクレオチド骨格の効果
一般に、天然のホスホジエステル骨格を含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格を有する同じ長さのオリゴヌクレオチドより免疫刺激性が低い。この低い免疫刺激活性の程度は、部分的に、実験条件下におけるホスホジエステルオリゴヌクレオチドの迅速な分解による可能性がある。オリゴヌクレオチドの分解は、第1に3’エキソヌクレアーゼのためであり、該ヌクレアーゼはオリゴヌクレオチドを3’末端から消化する。この例のイムノマーは遊離の3’末端を含まない。従って、ホスホジエステル骨格を有するイムノマー化合物は、実験条件下において対応するモノマーオリゴヌクレオチドより長い半減期を有するはずであり、従って改善された免疫刺激活性を示す。表14に示す結果はこの効果を示しており、イムノマー84および85は、サイトカイン誘導によりBALB/cマウスの脾臓細胞培養物において決定されたように、免疫刺激活性を示す。
【0142】
【表20】
【0143】
例8:化学療法剤と組み合わせたイムノマー化合物のin vivo抗癌活性
PC3細胞を、ペニシリン100U/mlおよびストレプトマイシン100μg/mlの存在下で10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む90%Ham’sF12K培地中で培養し、ヒト前立腺癌モデル(PC3)を確立した。4〜6週齢の雄の胸腺欠損ヌードマウス(Frederick Cancer Research and Development Center, Frederick MD)を、試験前に環境調節のため6日間順応させた。培養PC3細胞は、単層培養物から収集し、Ham’sF12K培地(10%FBS)で2回洗浄し、FBSなしのHam’sF12K培地:Matrigel基底膜マトリクス(Becton Dickinson Labware, Bedford, MA)(5:1;V/V)中に再懸濁させ、各マウスの左鼡径部に皮下注射した(5×106細胞、全量0.2ml)。動物は、通常の臨床的所見、体重、および腫瘍増殖について観察した。腫瘍増殖は、キャリパー(caliper)を用いて、移植組織の2つの直交する直径を測定して観察した。腫瘍質量(グラムによる重量)は、式:1/2a×b2により計算し、式中「a」は長径(cm)、「b」は短径(cm)である。平均腫瘍サイズが〜80mgに達したら、ヒト癌の異種移植片を有する動物を、処置群および対照群(1郡あたり5匹)にランダムに分けた。対照群には無菌生理食塩水(0.9%NaCl)のみを与えた。生理食塩水に無菌的に溶解したイムノマー26または194を、皮下注射により、0.5または1.0mg/kg/日を3用量/週で投与した。ゲムシタビンHCl(Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN)を、腹腔内注射により、160mg/kgで2回、0日目および3日目に与えた。詳細な処置のスケジュールを以下に示す。
【0144】
G1:生理食塩水
G2:ゲムシタビン(160mg/kg/日、IP、0日目および3日目)
G3:26(1.0mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G4:26(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G5:194(1.0mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G6:194(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G7:26(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)+ゲムシタビン(160mg/kg/日、0日目および3日目)
G8:194(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)+ゲムシタビン(160mg/kg/日、0日目および3日目)
種々の処置の後の腫瘍の測定値は、表15および図13に示す。イムノマー26および194で処置した全動物における腫瘍の増殖は、生理食塩水対照群に比べて顕著に阻害された(p<0.5)。これらの処置群には用量反応関係の傾向が見られた(図13)。イムノマー26と194の間には有意な差はなかった(表15)。
【0145】
【表21】
【0146】
【表22】
【0147】
処置後の種々の期間における体重測定値を表16および図14に示す。イムノマー26または194単独の場合を対照と比較すると、体重増加には有意差は見られなかった。ゲムシタビンで処置した動物は、第1週目に体重減少を示し、その1週間後に回復した。イムノマー26または194との組み合わせは、ゲムシタビンの副作用プロファイルを変化させなかった。全群において、他の臨床的異常または死亡は観察されなかった。
【0148】
【表23】
【0149】
まとめると、26および194は、重大な副作用なしに、ヒト前立腺癌PC3異種移植片を有するヌードマウスにおいて腫瘍増殖を有意に抑制した。26または194をゲムシタビンと組み合わせて与えた場合、各化合物は、副作用プロファイルを変えることなく、ゲムシタビンの治療効果を有意に増加させた。さらに、26または194の処置には用量反応関係の傾向が見られた。
【0150】
例9:化学療法剤と組み合わせたイムノマー化合物のin vivo抗癌活性
例8の実験を、ゲムシタビンの代わりにタキソテレを用いて繰り返した。タキソテレは、0日目および7日目に投与した。165は週に5日投与した。26および194は、0、2、4、7、9および11日目に投与した。結果を下の表17に示す。これらの結果は、イムノマー化合物とタキソテレの間の相乗効果を明確に示す。
【0151】
【表24】
【0152】
例10.免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびIL−2の投与
上述のようにしてBALB/cマウスから脾細胞を単離し、24ウェルディッシュに5×106細胞/mLの密度で播種した。CpGオリゴヌクレオチドをTE緩衝液中(10mM Tris-HCl、pH7.5、1mM EDTA)に溶解し、マウス脾細胞培養物に加えて、最終濃度を0.03、0.1、0.3、1.0、3.0、または10.0μg/mLとした。IL−2の、CpGオリゴヌクレオチド誘導時間依存サイトカイン分泌における役割を試験するため、組換えヒトIL−2(Sigma)を10U/mlの濃度で実験開始時に加えた。次に細胞を37℃で4、8、24および48時間、試験オリゴヌクレオチドの存在下においてインキュベートし、上清をELISAアッセイのために収集した。未処置の細胞(IL−2のみ添加)を対照として用いた。
【0153】
マウスのIL−12、IL−6およびIFN−γの分泌を、サンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体および標準サイトカインを含む必要な試薬は、PharMingenから購入した。ELISAプレート(Costar)は、PBSN(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)緩衝液中の適切な捕捉抗体(capture antibody)を用いて4℃で1晩インキュベートし、PBS/1%BSAで37℃にて30分間ブロッキングした。細胞培養上清および標準サイトカインは、PBS/1%BSAで適当に希釈し、トリプリケートでプレートに加え、25℃で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、適切なビオチン化抗体でインキュベートし、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートをPBS/0.05%Tween 20でよく洗浄し、次にストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼ(Sigma)を加えた後、25℃で1.5時間さらにインキュベートした。プレートを、Sure Blue(登録商標)(Kirkegaard and Perry)発色試薬で発色させ、Stop Solution(Kirkegaard and Perry)を加えて反応を終了させた。色の変化をCeres 900 HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)で450nmにおいて測定した。細胞培養上清におけるIL−12、IL6およびIFN−γ濃度は、同じ実験条件下で作製したIL−12、IL6およびIFN−γの標準カーブからそれぞれ計算した。
【0154】
この試験に用いたオリゴヌクレオチドを、表18に示す。
【表25】
【0155】
結果を図15〜19に示す。配列番号86〜90のみの使用は、IFN−γ産生をほんの僅か刺激しただけであることを示すアッセイは、示されていない。結果は、配列番号86〜90とIL−2の間の、IL−6、IL−12およびIFN−γの分泌の生成における相乗効果を示す。
【0156】
均等
前述の発明を、明確さと理解のためにある程度詳細に記述したが、この開示を読んだ当業者には、本発明の真の範囲および付属のクレームから乖離することなく、形態および詳細についての種々の改変が可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の代表的なイムノマー化合物の模式図である。
【図2】本発明の幾つかの代表的なイムノマー化合物を表す図である。
【図3】本発明のイムノマーの直線合成に好適な代表的小分子リンカーの群を表す図である。
【0158】
【図4】本発明のイムノマー化合物のパラレル合成に好適な代表的小分子リンカーの群を表す図である。
【図5】本発明のイムノマー化合物の直線合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【図6】本発明のイムノマー化合物のパラレル合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【0159】
【図7】図7Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴヌクレオチド(オリゴ)1およびイムノマー2〜3によるIL−12の誘導を示すグラフである。これらのデータは、到達可能5’末端を有するイムノマー2は、モノマーオリゴ1より強いIL−12の誘導因子であること、および、到達可能5’末端を有さないイムノマー3は、オリゴ1に比べて同等かまたは低い、免疫刺激を生成する能力を有することを示唆する。図7Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴ1およびイムノマー2〜3によるIL−6の誘導(それぞれ上から下へ)を示すグラフである。これらのデータは、到達可能5’末端を有するイムノマー2は、モノマーオリゴ1より強いIL−6の誘導因子であること、および、到達可能5’末端を有さないイムノマー3は、オリゴ1に比べて同等かまたは低い、免疫刺激を誘導する能力を有することを示唆する。図7Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴ1およびイムノマー2〜3によるIL−10の誘導(それぞれ上から下へ)を示すグラフである。
【0160】
【図8】図8Aは、到達不能5’末端および到達可能5’末端をそれぞれ有する異なる濃度のイムノマー5および6による、細胞培養物におけるBALB/cマウス脾臓細胞増殖の誘導を示すグラフである。図8Bは、CpGモチーフの5’フランキング配列に免疫化学的修飾を有するオリゴ4およびイムノマー5〜6による、BALB/cマウス脾臓の腫大を示すグラフである。ここでも、到達可能5’末端を有するイムノマー化合物(6)は、到達可能5’末端を有さないイムノマー5およびモノマーオリゴ4と比べて、脾臓腫大を増加させるより強い能力を有する。
【0161】
【図9】図9Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−12の誘導を示すグラフである。図9Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−6の誘導を示すグラフである。図9Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−10の誘導を示すグラフである。
【0162】
【図10】図10Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、イムノマー14、15および16による細胞増殖の誘導を示すグラフである。図10Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のイムノマー14および16による、IL−12による細胞増殖の誘導を示すグラフである。図10Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のイムノマー14および16による、IL−6による細胞増殖の誘導を示すグラフである。
【0163】
【図11】図11Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴ4および17並びにイムノマー19および20による細胞増殖の誘導を示すグラフである。図11Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−12細胞増殖の誘導を示すグラフである。図11Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−6細胞増殖の誘導を示すグラフである。
【0164】
【図12】オリゴ4並びにイムノマー14、23および24を用いた、BALB/cマウス脾臓の腫大を示すグラフである。
【図13】本発明による方法の、前立腺癌のヌードマウスモデルにおける腫瘍増殖に及ぼす効果を示す図である。
【図14】本発明による方法の、研究に用いたマウスの体重に及ぼす効果を示す図である。
【0165】
【図15】図15Aは、BALB/c脾細胞をオリゴ1およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。図15Bは、BALB/c脾細胞をオリゴ2およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。図15Cは、BALB/c脾細胞をオリゴ3およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。図15Dは、BALB/c脾細胞をオリゴ4およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。
【0166】
【図16】図16Aは、BALB/c脾細胞をオリゴ1およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。図16Bは、BALB/c脾細胞をオリゴ2およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。図16Cは、BALB/c脾細胞をオリゴ3およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。図16Dは、BALB/c脾細胞をオリゴ4およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。
【0167】
【図17】BALB/c脾細胞をオリゴ5およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。
【0168】
【図18】図18Aは、BALB/c脾細胞をオリゴ1およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。図18Bは、BALB/c脾細胞をオリゴ2およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。図18Cは、BALB/c脾細胞をオリゴ3およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。図18Dは、BALB/c脾細胞をオリゴ4およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。
【0169】
【図19】BALB/c脾細胞をオリゴ5およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年7月15日に出願された米国仮出願第60/487,529号および2003年9月15日に出願された米国仮出願第60/503,242号の利益を主張し、これらの仮出願は参照としてその全体が組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、イムノマー化合物および免疫刺激性オリゴヌクレオチドの、治療剤としての使用に関する。
【0003】
関連分野の概要
近年、数人の研究者らにより、オリゴヌクレオチドを免疫療法の用途において免疫刺激剤として用いることの有効性が示された。ホスホジエステルオリゴヌクレオチドおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが免疫刺激を誘導できるとの観察は、これらの化合物を治療ツールとして開発することへの関心を創出した。これらの努力は、天然のジヌクレオチドCpGを含むホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに集中された。Kuramoto et al., Jpn. J. Cancer Res. 83:1128-1131 (1992)は、CpGジヌクレオチドを含むパリンドロームを含むホスホジエステルオリゴヌクレオチドが、インターフェロンアルファおよびガンマの合成を誘導し、ナチュラルキラー活性を増強できることを教示している。Krieg et al., Nature 371:546-549 (1995)は、ホスホロチオエートCpG含有オリゴヌクレオチドが免疫刺激性であることを開示している。Liang et al., J. Clin. Invest. 98:1119-1129 (1996)は、かかるオリゴヌクレオチドがヒトB細胞を活性化することを開示している。Moldoveanu et al., Vaccine 16:1216-124 (1998)は、CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、インフルエンザウィルスに対する免疫反応を増強することを教示している。McCluskie and Davis, J. Immunol.161:4463-4466 (1998)は、CpG含有オリゴヌクレオチドが、強力なアジュバントとして作用し、B型肝炎ウィルス表面抗原に対する免疫反応を増強することを教示している。
【0004】
CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修飾は、免疫反応の調節剤として作用するそれらの能力にも影響を及ぼし得る。例えば、Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 51:173-182;Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 52:1537-1544;Zhao et al., Antisense Nucleic Acid Drug Dev. (1997) 7:495-502;Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (1999) 9:3453-3458;Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:1051-1054;Yu et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:2585-2588;Yu et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. (2001) 11:2263-2267;およびKandimalla et al., Bioorg. Med. Chem. (2001)9:807-813を参照のこと。米国特許第6,426,334号は、これらの化合物が抗癌剤として期待されることを示す。
【0005】
免疫反応を調節し得る他の方法は、サイトカインの治療的使用を通したものである。サイトカインは、免疫系の細胞が他の細胞との反応を制御するために産生する、可溶性の分子である。従って、サイトカインは、液性免疫および細胞性免疫の調節因子である。T細胞がいかにして免疫反応を媒介するかについての理解は、反応を調節するために重要である。CD4+Tヘルパー(Th)細胞は、Th1またはTh2経路のどちらかに沿って分化する。Th1経路は、細胞媒介免疫の発生に重要であり、例えばγ−インターフェロンおよびインターロイキン−2(IL−2)の産生を特徴とする。Th2応答は、液性免疫の生成に重要であり、例えばIL−4およびIL−5の産生を特徴とする。Th1応答は、ウィルス感染などの感染に対する免疫系防御、および新生細胞の除去についての身体の免疫系監視に重要であることが知られている。
【0006】
Krieg, A., M. et al. (米国特許第6,429,199号)およびkreig, A., M. et al. (米国特許第6,218,371号)は、、免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチドおよびサイトカイン、特にGM−CSFの、同時投与の教示を主張する。Decker et al. (Experimental Hematology 28:558-565 (2000))は、IL−2とCpGオリゴヌクレオチドの同時投与が、慢性リンパ球B細胞(B−CLL)においてTNF−αおよびIL−6産生を増加させるが、正常なB細胞においては増加させないことを示す。
これらの報告は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドの疾患の処置のための治療的有効性をさらに最適化すること、および免疫刺激性オリゴヌクレオチドの抗癌活性を増強することの必要性が、依然として存在していることを明確にしている。
【0007】
発明の簡単な概要
本発明は、患者における疾患の処置のため、例えば、限定はされないが、癌、自己免疫疾患、喘息、気管支アレルギー、食物アレルギーおよび感染症などの処置のために用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドによって引き起こされる免疫反応を増強するための、最適化された方法、組成物および処置計画を提供する。本発明による最適化された方法は、本発明に従う免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療効果と、サイトカイン免疫療法および/または化学療法剤の治療効果の間の相乗効果を提供する。免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、5’末端を最適に提示するよう修飾することにより、その抗癌活性が劇的に増強される。かかるオリゴヌクレオチゴは、本明細書において「イムノマー」と呼び、これは1つまたは2つ以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含むことができる。
【0008】
従って第1の側面において、本発明は、癌患者における癌を処置するための、該患者に免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物を化学療法剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供し、ここで前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および化学療法剤は、相乗的治療効果を創出する。
【0009】
さらなる側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激する方法を提供する。方法は、患者に対して、本発明による少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2(および/またはin situでIL−2産生を誘導する剤、例えばDNAワクチンまたはIL−2を発現する発現ベクター)の治療的に有効な相乗作用量との組み合わせを投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ(IFN−γ)、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0010】
本発明により、「イムノマー」とは、直接その3’末端において、または直接、ヌクレオシド間結合を介して、または直接、官能化核酸塩基もしくは糖において結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、あるいは、非ヌクレオチドリンカーを介して間接的に一緒に結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む、任意の化合物であって、ここで少なくとも1つの前記オリゴヌクレオチドは、イムノマー化合物の文脈において、到達可能5’末端を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである、前記化合物を指す。本発明の文脈において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性CpGジヌクレオチド、免疫刺激性ドメイン、または他の免疫刺激性部分のうちの少なくとも1つを含む、オリゴヌクレオチドである。本明細書において、用語「到達可能5’末端」とは、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドを認識して結合し免疫系を刺激する因子が5’末端に到達できるように、オリゴヌクレオチドの5’末端が十分に利用可能であることを意味する。かかる免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、5’末端が到達可能であるとの条件の下で、二次構造を含むことができる。
【0011】
ある態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、CpG、C*pG、CpG*、およびC*pG*からなる群から選択される免疫刺激性ジヌクレオチドを含み、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、G*は、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、または他の非天然プリンヌクレオシドであり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。
【0012】
ある態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、式(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yは、シチジン、2’−デオキシチミジン、2’−デオキシシチジン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、その他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;
【0013】
Zは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O−置換アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシンまたはその他の非天然プリンヌクレオシドであり;
N1は、各々の場合に、好ましくは天然に存在するかまたは合成のヌクレオシドまたは免疫刺激部分であって、これらは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、β−L−デオキシリボヌクレオシド、およびホスホジエステルまたは修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側に結合されたヌクレオシドからなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、限定することなく、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、もしくはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択され;
【0014】
Nnは、各々の場合に独立して、天然に存在するヌクレオシドまたは免疫刺激部分であって、これらは好ましくは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、2’−O−置換リボヌクレオシド、および修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側に結合されたヌクレオシドからなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、アミノリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびメチルホスホネートヌクレオシド間結合からなる群から選択される;
で表される免疫刺激性領域を含み、
ただし、N1またはNnの少なくとも1つは免疫刺激性部分であり;
ここでnは、0〜30の数であり;
ここで、3’ ヌクレオシドは随意的に、直接または非ヌクレオチドリンカーを介して、他のオリゴヌクレオチドに結合されており、これは免疫刺激性であってもなくてもよい。
【0015】
第2の側面において、本発明は、癌患者における癌を処置する方法を提供し、該方法は、上に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と、該免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物に到達可能5’末端以外の位置で結合された癌抗原とを含む、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー結合体を、化学療法剤と組み合わせて投与することを含む。
第3の側面において、本発明は、本発明による免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたは免疫刺激性オリゴヌクレオチド結合体および/またはイムノマー化合物またはイムノマー結合体、化学療法剤および生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。
【0016】
第4の側面において、本発明は、癌細胞を電離放射線に感作する方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、哺乳動物に、本発明による免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を投与すること、および前記動物を電離放射線で処置することを含む。
第5の側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激する方法を提供し、該方法は、患者に対して、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量を、IL−2(および随意的に抗原)の治療的に有効な相乗作用量と組み合わせて投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。本発明のこの第2の側面のある態様において、抗原は、イムノマー化合物に、到達可能5’末端以外の位置で動作的に(operationally)結合している。
【0017】
本発明の第6の側面において、イムノマー化合物ではない少なくとも1つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、IL−2の治療的に有効な量と組み合わせて用いられ、患者におけるサイトカインの産生を選択的および相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。本発明により、イムノマー化合物ではない好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫刺激性CpGジヌクレオチドを含むものであり、ここでCはシトシンまたはデオキシシトシンではなく、および/または、Gはグアノシンまたは2−デオキシグアノシンではない。本発明の、その他の好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってイムノマー化合物ではないものは、CpGではない代替的な免疫刺激性部分を含むものである。かかる代替的な免疫刺激性部分の例は、限定はされないが、天然に存在しない塩基および/または糖および、オリゴヌクレオチドそれ自体の二次構造、例えばオリゴヌクレオチドを安定化するヘアピン構造を有するヌクレオシドを含む。
【0018】
第7の側面において、本発明は、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量、IL−2(および/またはin situでIL−2産生を誘導する剤、例えばDNAワクチンまたはIL−2を発現する発現ベクター)の治療的に有効な相乗作用量、および随意的に抗原を含む、治療組成物を提供し、ここで、前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
本発明の全ての側面による方法および組成物は、免疫系調節および免疫に基づく治療法が関与するヒトまたは動物の疾患への治療的アプローチにおいて有用である。特に好ましい疾患のターゲットには、癌、感染症、喘息およびアレルギーが含まれる。
【0019】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、免疫に基づく治療に用いる免疫刺激性化合物によって引き起こされる、免疫反応を増強するための最適化された方法および組成物に関する。本発明による最適化された方法は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物などの免疫刺激性化合物の治療効果と、サイトカイン免疫療法および/または化学療法剤の治療効果との間の相乗効果をもたらす。本明細書に引用された、発行された特許、特許出願、および参考文献は、その各々が具体的また個別に参照として組み込まれると示された場合同様に、参照としてここに組み込まれる。本明細書に引用された任意の参考文献の任意の教示と本明細書の間に不一致がある場合は、本発明のために後者を優先する。
【0020】
本発明は、癌の処置のための免疫療法用途で用いられる、免疫刺激性化合物によって生じる、抗癌効果を増強するための方法を提供する。本発明による方法において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、化学療法剤と組み合わせて用いた場合に、相乗的治療効果を提供する。この結果は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物は免疫系細胞の細胞分裂を引き起こし、一方、化学療法剤は一般に、活発に分裂する細胞を殺す、という事実からみれば驚くべきことである。
【0021】
第1の側面において、本発明は、化学療法剤と組み合わせて免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物を投与することを含む、癌患者における癌を処置するための方法を提供し、ここで後者は、該イムノマー化合物が2個以上の5’末端を有するように一緒に結合された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで該オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。本明細書において、用語「到達可能5’末端」とは、イムノマー化合物を認識して結合し免疫系を刺激する因子が到達できるように、オリゴヌクレオチドの5’末端が十分に利用可能であることを意味する。随意的に、5’OHは、ホスフェート、ホスホロチオエート、もしくはホスホロジチオエート部分、芳香族もしくは脂肪族リンカー、コレステロール、または到達可能性を損なわない他の実体と結合することができる。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物は、脊椎動物に投与されると免疫反応を引き起こす。化学療法剤と組み合わせて用いた場合、相乗的治療効果が得られる。
【0022】
本発明による方法において用いられる、好ましい化学療法剤は、限定することなく以下を含む:ゲムシタビン、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖非含有(non-sugar containing)クロロエチルニトロソウレア、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン(fragyline)、メグラミン(Meglamine)GLA、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)およびポリフェルポサン(poliferposan)、MMI270、BAY12−9566、RASファメシル(famesyl)トランスフェラーゼ阻害剤、ファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレク(Glamolec)、CI−994、TNP−470、ヒカムチン/トポテカン(Hycamtin/Topotecan)、PKC412、バルスポダール(Valspodar)/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Novantrone/Mitroxantrone)、メタレット/スラミン(Metaret/Suramin)、バチマスタット(Batimastat)、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、インセル(Incel)/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナール(Lemonal)DP2202、FK317、ピシバニル(Picibanil)/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン(Metastron)/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド(Temodal/Temozolomide)、エバセット(Evacet)/リポソームドキソルビシン、ユータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、キセロアド/カペシタビン(Xeload/Capecitabine)、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール(Flavopiridol)、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)RAS腫瘍遺伝子阻害剤、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール/レバミソール(Ergamisol/Levamisole)、エニルウラシル(Eniluracil)/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミソール(Campto/Levamisole)、カンプトサール/イリノテカン、ツモデックス/ラリトレキセド(Tumodex/Ralitrexed)、ルイスタチン/クラドリビン(Leustatin/Cladribine)、パキセックス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエリクス(Caelyx)/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルモルビシン/エピルビシン、デポシト(DepoCyt)、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタリミド(Bis-Naphtalimide)、LU103793/ドラスタイン(Dolastain)、カエチックス(Caetyx)/リポソームドキソルビシン、ゲムザール(Gemzar)/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメド(Anormed)、YM116、ロジンシード(lodine seeds)、CDK4およびCDK2阻害剤、PARP阻害剤、
【0023】
D4809/デキシホスファミド、イフェス/メスネックス(Ifes/Mesnex)/イホスファミド、ブモン/テニポシド(Vumon/Teniposide)、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベペシド(Vepeside)/エトポシド、ZD9331、タキソテレ/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソウレア、メルフェラン(melphelan)およびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アミノグルテチミド、アルパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロンブシル(Chlorombucil)、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチン(Estramustine)リン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン(Floxuridine)、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシウレア(ヒドロキシカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子類似体)、ロムスチン(Lomustine)(CCNU)、メクロレタミン(Mechlorethamine)HCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ(Mesna)、ミトタン(Mitotane)(o.p’−DDD)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)HCl、オクトレオチド(Octreotide)、プリカマイシン(Plicamycin)、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(Amsacrine)(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(Hexamethylmelamine)(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(Semustine)(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)および硫酸ビンデシン。
【0024】
本発明のこの側面による方法において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の投与は任意の好適な経路で実施でき、これは、限定することなく、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻内、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣、遺伝子銃、皮膚パッチまたは塗り薬または点眼液またはうがい薬の形態を含む。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の治療組成物の投与は、既知の方法を用いて、疾患の症状または代理マーカーを低減するのに効果的な用量および期間で、実施することができる。全身的に投与する場合、治療組成物は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルの血中濃度を達成するのに十分な用量で投与するのが好ましい。局所投与に対しては、これより大幅に低い濃度も効果的であることができ、そして大幅に高い濃度も耐容され得る。好ましくは、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の総用量は、約0.0001mg/患者・日〜約200mg/体重1kg・日の範囲である。1種または2種以上の本発明の治療組成物の治療的に有効な量を個人に対して、1回の処置として、同時にまたは連続して投与するのが望ましい。
【0025】
本発明のこの側面のために、用語「組み合わせて」は、同一患者の同一疾患を処置する過程において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および/または化学療法剤を任意の順序で投与することを含むことを意味し、これは同時投与および、数日間までの時間的に間隔をあけた順序での投与を含む。かかる組み合わせ処置はまた、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物、および/または単独の化学療法剤の、1回を超える投与を含むことができる。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および/または化学療法剤の投与は、同一または異なる経路で実施してよい。
【0026】
ある態様において、本発明による方法において用いるイムノマー化合物は、2つまたは3つ以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含み、(イムノマーとの関連において)これは同一または異なっていてよい。好ましくは、かかる免疫刺激性オリゴヌクレオチドの各々は、少なくとも1つの到達可能5’末端を有する。
【0027】
本発明による方法のある態様において、イムノマー化合物はまた、1つまたは2つ以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドに加えて、遺伝子に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。本明細書において、用語「相補的な」とは、生理的条件の下で、オリゴヌクレオチドが遺伝子のある部位にハイブリダイズすることを意味する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは遺伝子の発現を下方制御する。かかる下方制御オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムオリゴヌクレオチド、小阻害性RNA(small inhibitory RNA)およびデコイオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるのが好ましい。本明細書において、用語「遺伝子を下方制御する」とは、遺伝子の転写または遺伝子産物の翻訳を阻害することを意味する。従って、本発明による方法において用いられるイムノマー化合物は、1つまたは2つ以上の特定疾患ターゲットを標的化し、一方で免疫システムを刺激するのに用いることができる。
【0028】
ある態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む。本明細書において、用語「リボザイム」は、触媒作用を有するオリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、リボザイムは、特定の核酸標的に結合して、該標的を開裂する。本明細書において、用語「デコイオリゴヌクレオチド」は、配列特異的様式で転写因子に結合し、転写活性を阻むオリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドは二次構造を示し、これにはステムループまたはヘアピン構造が含まれるが、これらに限定はされない。ある態様において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドはポリ(I)−ポリ(dC)を含む。ある態様において、少なくとも1組のNnは、3〜10個のdGおよび/またはGのストリング、または2’−置換リボもしくはアラビノGを含む。
【0029】
本発明のためには、用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合したヌクレオシド単位から形成されるポリヌクレオシドを指す。かかるオリゴヌクレオチドは、ゲノムDNAまたはcDNAを含む既存の核酸源から得ることができるが、好ましくは合成方法により製造される。好ましい態様においては、各ヌクレオシド単位は、複素環塩基および、ペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2'−デオキシ−2'−置換アラビノース、2'−O−置換アラビノースまたはヘキソース糖基を含む。ヌクレオシド残基は、多くの知られたヌクレオシド間結合の任意のものによって互いに結合され得る。かかるヌクレオシド間結合は、限定することなく、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホラミダイト、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホラミダイト、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホンヌクレオシド間結合を含む。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、1つまたは2つ以上の立体特異的ヌクレオシド間結合(例えば、(RP)−もしくは (SP)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合)を有するポリヌクレオシドも含む。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、任意のかかるヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを明確に意図し、前記結合がホスフェート基を含むか含まないかは問わない。ある好ましい態様においては、これらヌクレオシド間結合はホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート結合、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0030】
ある態様において、イムノマー化合物は、約3〜約35のヌクレオシド残基を、好ましくは約4〜約30のヌクレオシド残基を、より好ましくは約4〜約20のヌクレオシド残基を各々が有するオリゴヌクレオチドを含む。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約5もしくは6〜約18、または約5もしくは6〜約14のヌクレオシド残基を含む。本明細書において、用語「約」とは、正確な数値が重要ではないことを意味する。従って、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は重要ではなく、1つもしくは2つ少ないヌクレオシド残基、または1つから数個の余分なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドもまた、本発明のためには、上記の態様の各々と等価であると考えられる。ある態様において、1つまたは2つ以上のオリゴヌクレオチドは11個のヌクレオチドを有する。
【0031】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定なく、タンパク質基、親油性基、インターカレート剤、ジアミン、葉酸、コレステロール、およびアダマンタンを含む付加的置換基を有するポリヌクレオシドを包含する。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、ポリマーを包含する他の任意の核酸塩基を含み、これらには、限定なしに、ペプチド核酸(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチド、および、アルキルリンカーやアミノリンカーをもつ骨格部分を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0032】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、またはこれらの混合物を含むことができる。本明細書において、用語「修飾ヌクレオシド」とは、修飾複素環塩基、修飾糖部分またはこれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。ある態様において、修飾ヌクレオシドは、ここで述べるような非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。ある態様においては、修飾ヌクレオシドは2’−置換リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシドまたは2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノシドである。
【0033】
本発明のためには、用語「2’−置換リボヌクレオシド」は、ペントース部分の2’位におけるヒドロキシル基が置換されて2’−O−置換リボヌクレオシドとなるリボヌクレオシドを含む。好ましくは、かかる置換は、1〜6個の飽和もしくは不飽和炭素原子を含む低級アルキル基、または、6〜10個の炭素原子を有するアリール基によりなされ、かかるアルキルまたはアリール基は、置換されていなくてもよく、または、例えばハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシ、もしくはアミノ基に置換されていてもよい。かかる2’−O−置換リボヌクレオシドの例は、限定なく、2’−O−メチルリボヌクレオシドおよび2’−O−メトキシエチルリボヌクレオシドを含む。
【0034】
用語「2’−置換リボヌクレオシド」はまた、2’−ヒドロキシル基が、1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基またはアミノもしくはハロ基により置換されている、リボヌクレオシドを含む。そのような2’−置換リボヌクレオシドの例は、限定なく、2’−アミノ、2’−フルオロ、2’−アリル、および2’−プロパルギルリボヌクレオシドを含む。
用語「オリゴヌクレオチド 」は、ハイブリッドおよびキメラオリゴヌクレオチドを含む。「キメラオリゴヌクレオチド」は、1種より多いヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドである。かかるキメラオリゴヌクレオチドの好ましい1例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステルまたはホスホロジチオエート部位および、アルキルホスホネートまたはアルキルホスホノチオエート結合などの非イオン結合を含むキメラオリゴヌクレオチドである(例えばPederson et al.の、米国特許第5,635,377号および第5,366,878号などを参照)。
【0035】
「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、1種より多いヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。かかるハイブリッドオリゴヌクレオチドの好ましい1例は、リボヌクレオチド、または2’−置換リボヌクレオチド部位、およびデオキシリボヌクレオチド部位を含む(例えばMetelevおよびAgrawal、米国特許第5,652,355号、第6,346,614号および第6,143,881号を参照)。
【0036】
本発明のためには、用語「免疫刺激性オリゴヌクレオチド」は、魚類、鳥類または哺乳類などの脊椎動物に投与された場合に免疫反応を引き起こす、上記のオリゴヌクレオチドを指す。本明細書において、用語「哺乳類」は、限定なく、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、家畜、ウシ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒトを含む。有用な免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、Agrawal et al.らの、1998年11月5日に公開されたWO 98/49288;2001年2月22日に公開されたWO 01/12804、2001年8月2日に公開されたWO 01/55370、2001年4月30日に申請されたPCT/US01/13682;および2001年9月26日に申請されたPCT/US01/30137に記載されている。好ましくは、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、またはホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む。
【0037】
さらなる側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激するための方法を提供する。該方法は、患者に対して、本発明による少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2(および/またはin situでIL−2産生を誘導する剤、例えばDNAワクチンまたはIL−2を発現する発現ベクター)の治療的に有効な相乗作用量との組合せを投与することを含み、ここで、前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。好ましくは、本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ(IFN−γ)、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0038】
本明細書において用語「有効な相乗作用量(effective synergistic amount)」は、有効な期間投与される、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの既知の濃度およびIL−2の既知の濃度であって、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびIL−2の組合せの刺激効果が相加的より大、すなわち、組合せの刺激効果が、個別の刺激効果の合計に基づき計算される予測された総刺激効果より大きい、前記濃度を指す。
【0039】
本明細書において、用語「サイトカイン」は、免疫系の細胞が他の細胞との反応を制御するために産生する、任意の多くの可溶性分子を指す。用語「サイトカイン」は、例えば、インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12等)、インターフェロン(例えばIFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−ガンマ)、ケモカイン、造血成長因子(例えばエリスロポエチン)、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えばG−CSF、M−CSF、GM−CSF)および形質転換成長因子(TGF−アルファ)を含む。
【0040】
本発明により、「イムノマー」は、直接その3’末端において、または直接、ヌクレオシド間結合を介して、または直接、官能化核酸塩基もしくは糖において結合している、少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、あるいは、非ヌクレオチドリンカーを介して間接的に一緒に結合している少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む、任意の化合物であって、ここで少なくとも1つの前記オリゴヌクレオチドは、イムノマー化合物の文脈において、到達可能5’末端を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである、前記化合物を指す。本発明の文脈において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性「CpG」ジヌクレオチド、免疫刺激性ドメイン、または他の免疫刺激性部分のうちの少なくとも1つを含む、オリゴヌクレオチドである。本明細書において、用語「到達可能5’末端」とは、イムノマー化合物および免疫刺激性オリゴヌクレオチドを認識して結合し免疫系を刺激する因子が5’末端に到達できるように、オリゴヌクレオチドの5’末端が十分に利用可能であることを意味する。
【0041】
ある態様において、イムノマー化合物の少なくとも1つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、式:5’−Pyr−Pur−3’で表される免疫刺激性ジヌクレオチドを含み、式中、Pyrは天然または合成ピリミジンヌクレオシドであり、Purは天然または合成プリンヌクレオシドである。本明細書において、用語「ピリミジンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分がピリミジン塩基であるヌクレオシドを指す。同様に、用語「プリンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分がプリン塩基であるヌクレオシドを指す。本発明のためには、「合成」ピリミジンまたはプリンヌクレオシドは、天然に存在しないピリミジンまたはプリン塩基、天然に存在しない糖部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0042】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における好ましいピリミジンヌクレオシドは、構造(I):
【化1】
式中、
Dは、水素結合供与体(hydrogen bond donor)であり;
D’は、水素、水素結合供与体、水素結合受容体(hydrogen bond acceptor)、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
【0043】
Aは、水素結合受容体または親水基であり;
A’は、水素結合受容体、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
Xは、炭素または窒素であり;そして
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環、または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0044】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾ホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体に結合するのに好適な他のリンカー部分により誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体は、限定なく、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHを含む。好ましい水素結合受容体は、限定なく、C=O、C=S、および芳香族複素環の環窒素原子、例えばシトシンのN3を含む。
【0045】
ある態様において、(I)の塩基部分は、天然に存在しないピリミジン塩基である。天然に存在しない好ましいピリミジン塩基の例は、限定なく、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシンおよび4−チオウラシルを含む。ある態様において(I)の糖部分S’は、天然に存在しない糖部分である。本発明のためには、「天然に存在する糖部分」は、例えばリボースおよび2’−デオキシリボースなどの、核酸の一部として天然に存在する糖部分であり、「天然に存在しない糖部分」は、核酸の一部として天然に存在しない任意の糖であるが、オリゴヌクレオチドの骨格において用いることのできるもの、例えばヘキソースである。アラビノースおよびアラビノース誘導体は、好ましい糖部分の例である。
【0046】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましいプリンヌクレオシド類似体は、構造(II):
【化2】
式中、
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体、および親水基からなる群から選択され;
Aは、水素結合受容体または親水基であり;
【0047】
Xは、炭素または窒素であり;
各Lは、独立してC、O、NおよびSからなる群から選択され;そして、
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環、または天然に存在しない糖である、
を有する。
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾ホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体に結合するのに好適な他のリンカー部分により誘導体化されている。
【0048】
好ましい水素結合供与体は、限定なく、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHを含む。好ましい水素結合受容体は、限定なく、C=O、C=S、−NO2、および芳香族複素環の環窒素原子、例えばグアニンのN1を含む。
ある態様において、(II)の塩基部分は、天然に存在しないプリン塩基である。天然に存在しない好ましいプリン塩基の例は、限定なく、6−チオグアニンおよび7−デアザグアニンを含む。ある態様において、(II)の糖部分S’は、構造(I)について上記したように、天然に存在する糖部分である。
【0049】
好ましい態様において、本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における免疫刺激性ジヌクレオチドは、CpG、C*pG、CpG*、およびC*pG*からなる群から選択され、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、アラビノシチジン、2’−デオキシチミジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、G*は、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他の非天然プリンヌクレオシドであり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。
【0050】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性部分を、免疫刺激性ジヌクレオチドの片側または両側に含むことができる。従って、ある態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、構造(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yは、シチジン、2’デオキシチミジン、2’デオキシシチジン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−デオキシチミジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、その他の非天然ピリミジンヌクレオシド、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり;
【0051】
Zは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシン、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O−置換アラビノグアノシン、2’デオキシイノシンまたはその他の非天然プリンヌクレオシドであり;
N1は、各々の場合に、好ましくは天然に存在するかまたは合成のヌクレオシドまたは免疫刺激性部分であって、これらは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、β−L−デオキシリボヌクレオシド、およびホスホジエステルまたは修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側へ結合されたヌクレオシドからなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、限定することなく、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、もしくはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択され;
【0052】
Nnは、各々の場合に、好ましくは天然に存在するヌクレオシドまたは免疫刺激性部分であって、これらは、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、2’−O−置換リボヌクレオシド、および修飾ヌクレオシド間結合により隣接ヌクレオシドの3’側へ結合されたヌクレオシド、からなる群から選択され、ここで前記修飾ヌクレオシド間結合は、好ましくは、アミノリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびメチルホスホネートヌクレオシド間結合からなる群から選択される;
で表される免疫刺激性ドメインを含み、
ただし、N1またはNnの少なくとも1つは免疫刺激性部分であり;
ここで各nは独立して、0〜30の数であり;そして
ここで、イムノマー化合物の場合は、3’末端は直接または非ヌクレオチドリンカーを介して他のオリゴヌクレオチドに結合されており、これは免疫刺激性であってもなくてもよい。
【0053】
ある好ましい態様において、YZは、アラビノシチジンまたは2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジンおよび、アラビノグアノシンまたは2’デオキシ−2’−置換アラビノグアノシンである。好ましい免疫刺激性部分はホスフェート骨格の修飾を含み、これには、限定なく、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホチオトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、トリエステルプロドラッグ、スルホン、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミダイト、特に1級アミノ−ホスホラミダイト、N3ホスホラミダイトおよびN5ホスホラミダイト、および立体特異的結合(例えば、(RP)−または(SP)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合)が含まれる。
【0054】
本発明による好ましい免疫刺激性部分は、糖修飾を有するヌクレオシドをさらに含み、これには限定なく以下が含まれる:限定なく2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボース、および2’−デオキシ−2’−フルオロリボースを含む、2’−置換ペントース糖;限定なく3’−O−メチルリボースを含む、3’−置換ペントース糖;1’,2’−ジデオキシリボース;アラビノース;限定なく1’−メチルアラビノース、3’−ヒドロキシメチルアラビノース、4’−ヒドロキシメチルアラビノース、および2’−置換アラビノース糖を含む、置換アラビノース糖;限定なく1,5−アンヒドロヘキシトールを含む、ヘキソース糖;並びにアルファ−アノマー。修飾糖が3’−デオキシリボヌクレオシドまたは3’−O−置換リボヌクレオシドである態様においては、免疫刺激性部分は、2’−5’ヌクレオシド間結合によって隣接するヌクレオシドに付着している。
【0055】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましい免疫刺激性部分は、他の炭水化物骨格修飾物および置換物を有するオリゴヌクレオチドをさらに含み、これには以下が含まれる:ペプチド核酸(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチド、および約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する骨格リンカー部を有するオリゴヌクレオチドであって、限定なくアルキルリンカーまたはアミノリンカーを含むもの。アルキルリンカーは、分枝または非分枝であってもよく、置換または無置換であってもよく、キラル的に純粋であってもラセミ混合物であってもよい。最も好ましくは、かかるアルキルリンカーは約2〜約18個の炭素原子を有する。ある好ましい態様においては、かかるアルキルリンカーは約3〜約9個の炭素原子を有する。あるアルキルリンカーは、ヒドロキシ、アミノ、チオール、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオエーテルからなる群から選択される、1つまたは2つ以上の官能基を含む。かかる官能基アルキルリンカーのあるものは、式−O−(CH2−CH2−O−)n(n=1〜9)で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーである。かかる官能基アルキルリンカーの他のあるものは、ペプチドまたはアミノ酸である。
【0056】
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましい免疫刺激性部分は、限定なくβ−L−デオキシリボヌクレオシドおよびα−デオキシリボヌクレオシドを含むDNAアイソフォームを、さらに含む。好ましい免疫刺激性部分は、3’修飾を組み込み、そして、限定なく2’−5’、2’−2’、3’− 3’および5’−5’結合を含む、非天然のヌクレオシド間結合位を有するヌクレオシドをさらに含む。
本発明による方法において用いられる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物における、好ましい免疫刺激性部分は、修飾複素環塩基を有するヌクレオシドをさらに含み、これらは、限定なく、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシン、4−チオウラシル、6−チオグアニン、7−デアザグアニン、イノシン、ニトロピロール、C5−プロピニルピリミジン、および限定なく2,6−ジアミノプリンを含むジアミノプリンを含む。
【0057】
具体的な例により、そして限定することなく、例えば、構造(III)の免疫刺激性ドメインにおいて、N1位またはNn位のメチルホスホネートヌクレオシド間結合は、免疫刺激性部分であり、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、X1位のC2〜C18アルキルリンカーは免疫刺激性部分であり、そしてX1位のβ−L−デオキシリボヌクレオシドは免疫刺激性部分である。免疫刺激性部分の代表的な位置および構造については、下の表1を参照のこと。特定位置における免疫刺激性部分としてのリンカーの言及は、その位置のヌクレオシド残基がその3’−ヒドロキシルにおいて指定のリンカーによって置換され、それによって、そのヌクレオシド残基と3’側の隣接するヌクレオシドとの間に修飾ヌクレオシド間結合を生成することを意味すると理解される。同様に、特定位置における免疫刺激性部分としての修飾ヌクレオシド間結合の言及は、その位置のヌクレオシド残基が、3’側の隣接するヌクレオシドに、列挙された結合によって結合されていることを意味する。
【0058】
【表1】
【0059】
表2は、上流増強ドメイン(upstream potentiation domain)を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチド内の免疫刺激性部分の代表的な位置および構造を示す。本明細書において、用語「スペーサー9」は、式−O−(CH2CH2−O−)n−、式中nは3である、で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーを指す。用語「スペーサー18」は、式−O−(CH2CH2−O)n−、式中nは6である、で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーを指す。本明細書において、用語「C2〜C18アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)q−O−、式中qは2〜18の整数である、で表されるリンカーを指す。従って、用語「C3リンカー」および「C3アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)3−O−で表されるリンカーを指す。スペーサー9、スペーサー18、およびC2〜C18アルキルリンカーの各々について、リンカーは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたはメチルホスホネート結合によって、隣接するヌクレオシドに結合される。
【0060】
【表2】
【0061】
表3は、下流増強ドメイン(downstream potentiation domain)を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチド内の免疫刺激性部分の代表的な位置および構造を示す。
【0062】
【表3】
【0063】
本発明による方法において用いるイムノマー化合物は、直接または非ヌクレオチドリンカーを介して結合した、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。本発明のためには、「非ヌクレオチドリンカー」は、オリゴヌクレオチドに共有結合または非共有結合で結合できる任意の部分である。好ましくは、かかるリンカーの長さは約2オングストローム〜約200オングストロームである。好ましいリンカーの幾つかの例が、以下に記されている。非共有結合は、限定はされないが、静電相互作用、疎水性相互作用、πスタッキング相互作用、および水素結合を含む。用語「非ヌクレオチドリンカー」は、上記のような、例えばホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート官能基などの、2つのヌクレオシドの3’−ヒドロキシル基を直接結合するヌクレオシド間結合を指すことは意味しない。本発明のためには、かかる直接3’−3’結合は「ヌクレオチド結合」と考えられる。
【0064】
ある態様において、非ヌクレオチドリンカーは金属であり、限定なく、金粒子を含む。他のある態様において、非ヌクレオチドリンカーは可溶性または不溶性の生体分解性ポリマービーズである。
さらに他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドへの付着を許容する官能基を有する有機部分である。かかる付着は、任意の安定な共有結合によるのが好ましい。
【0065】
ある態様において、非ヌクレオチドリンカーは生体分子であり、限定なく、ポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲンおよびオリゴ糖を含む。他のある態様において、非ヌクレオチドリンカーは小分子である。本発明のためには、小分子は1,000Da未満の分子量を有する有機部分である。ある態様において、小分子は750Da未満の分子量を有する。
ある態様において、小分子は脂肪族または芳香族炭化水素であり、これらのどちらも、随意的に、オリゴヌクレオチドを結合する直鎖においてまたはそれに付加されて、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素、およびチオ尿素からなる群から選択される1つまたは2つ以上の官能基を含むことができる。小分子は、環式または非環式であることができる。小分子リンカーの例は、限定はされないが、アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテンおよび抗生物質を含む。しかし、非ヌクレオチドリンカーを記述するために、用語「小分子」はヌクレオシドを含むことを意図しない。
【0066】
ある態様において、小分子リンカーは、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表されるグリセロールまたはグリセロールホモログであり、式中、oおよびpは独立して、1〜約6、1〜約4、または1〜約3の整数である。他のある態様において、小分子リンカーは、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン誘導体である。幾つかのかかる誘導体は、式HO−(CH2)m−C(O)NH−CH2−CH(OH)−CH2−NHC(O)−(CH2)m−OHで表され、式中、mは、0〜約10、0〜約6、2〜約6、または2〜約4の整数である。
【0067】
本発明による方法において用いるイムノマー化合物における、ある非ヌクレオチドリンカーは、図1に模式的に示すように、2つより多いオリゴヌクレオチドの付着を許容する。例えば、小分子リンカーグリセロールは、オリゴヌクレオチドが共有的にそれに付着できる3個のヒドロキシル基を有する。本発明によるあるイムノマー化合物は、従って、非ヌクレオチドリンカーに3’末端で結合する、2つより多いオリゴヌクレオチドを含む。幾つかのかかるイムノマー化合物は、その各々が到達可能5’末端を有する、少なくとも2つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む。
【0068】
本発明による方法において用いる免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、図5および図6に模式的に示されるように、また例にさらに記載されるように、自動合成装置およびホスホラミダイトアプローチを用いて好都合に合成することができる。ある態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、直線合成アプローチ(図5参照)により合成される。本明細書において、用語「直線合成」は、イムノマー化合物の1つの末端から開始して、直線的に他の末端へと進行する合成を指す。直線合成は、同一または非同一(長さ、塩基組成および/または組み込まれる化学修飾に関して)のモノマー単位を、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーに組み込むことを許容する。
【0069】
イムノマー化合物の合成の代替的な様式は「パラレル合成」であり、ここで合成は中心リンカー部分から外向きに進行する(図6参照)。パラレル合成には、米国特許第5,912,332号に記載されているように固体サポート付着リンカー(solid support attached linker)を用いることができる。代替的に、例えば制御ポアガラスサポートに付着したホスフェートなどのユニバーサル固体サポートを用いることもできる。
イムノマー化合物のパラレル合成は、直線合成に対して幾つかの利点を有する:(1)パラレル合成は同一のモノマー単位の組み込みを許容する;(2)直線合成とは異なり、両方(または全て)のモノマー単位が同時に合成され、そのため合成に必要な合成ステップ数および時間が、モノマー単位のそれらと同じになる;および(3)合成ステップ数の減少は、最終イムノマー産物の純度および収率を改善する。
【0070】
直線合成またはパラレル合成プロトコルによる合成の最後に、本発明による方法において用いる免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物は好都合に脱保護することができ、これは濃縮アンモニア溶液を用いて、またはもし修飾ヌクレオシドが組み込まれる場合はホスホラミダイト供給者による推奨に従って行う。免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の産物は好ましくは、逆相HPLCにより精製され、脱トリチル化され(detritylated)、脱塩されそして透析される。
【0071】
イムノマー化合物の成分として、または本発明の第4の側面に従って用いるのに好適な免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、以下の米国特許および係属中の米国特許出願に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第6,426,334号および6,476,000号;および米国特許出願第09/770,602号、09/845,623号、09/965,116号、60/440,587号、10/361,111号、60/471,247号、60/477号。本発明の好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびイムノマー化合物は、係属中の米国特許出願第10/279,684号に記載されている。表4は、本発明による方法において用いる代表的なイムノマー化合物を示す。さらなるイムノマー化合物は、例および米国特許出願第10/279,684号に記載されている。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
本発明のさらなる側面は、少なくとも2個のオリゴヌクレオチド含む免疫刺激性核酸を提供し、ここで前記免疫刺激性核酸は、二次構造を有する。ある態様において、免疫刺激性核酸は、相補配列を有する水素結合による3’末端ステムループ二次構造を有する。ある態様において、低下した免疫刺激活性を有する核酸は、相補配列を有する水素結合による5’末端ステムループ二次構造を形成する。この側面において、免疫刺激性核酸は、式(I)に詳述された構造を含む。
ドメインA−ドメインB−ドメインC (I)
【0075】
ドメインは、約2〜約12個のヌクレオチド長であってよい。ドメインAは、CpG、C*pG、C*pG*およびCpG*からなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むかもしくは含まないパリンドロームまたは自己相補的ドメインを、有するかまたは有さない、5’−3’もしくは3’−5’もしくは2’−5’DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNAであることができ、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、2’−ジデオキシ−5−ハロシトシン、2’−デオキシ−5−ニトロシトシン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、または他のピリミジンヌクレオシド類似体であり;G*は、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他のプリンヌクレオシド類似体であり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。
【0076】
ある態様において、ドメインAは、CpG、C*pG、C*pG*およびCpG*からなる群から選択される1つより多いジヌクレオチドを含む。
ドメインBは、以下で「X」によって示されるように、ドメインAとCを結合するリンカーであり、3’−5’結合、または2’−5’結合、3’−3’結合、ホスフェート基、ヌクレオシド、または非ヌクレオシドリンカーであることができ、これは脂肪族、芳香族、アリール、環式、キラル、アキラル、ペプチド、炭水化物、脂質、脂肪酸、モノ−、トリ−もしくはヘキサポリエチレングリコール、または複素環部分であってよい。
【0077】
ドメインCは、CpG、C*pG、C*pG*、CpG*からなる群から選択されるジヌクレオチドを有することができるかもしくはできないパリンドロームまたは自己相補的ドメインを、有するかまたは有さない、5’−3’もしくは3’−5’、2’−5’DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNA、ポリI−ポリCであることができ、この式中、Cは、シチジンまたは2’−デオキシシチジンであり、Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、2’ジデオキシ−5−ハロシトシン、2’−デオキシ−5−ハロシトシン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、他のピリミジンヌクレオシド類似体であり;G*は、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’ 置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他のプリンヌクレオシド類似体であり、そしてpは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である。ある好ましい態様において、免疫刺激性ジヌクレオチドはCpGではない。ある態様において、ドメインBは好ましくは、ドメインAとドメインCのオリゴヌクレオチドを結合する非ヌクレオチドリンカーであり、これは「イムノマー」と呼ばれる。ある好ましい態様において、ドメインCは、ジヌクレオチドCpG、C*pG、C*pG*またはCpG*を有さない。
【0078】
非限定的な例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は、式(II):
【化3】
に詳述される構造を有する。
当業者が認識するように、二次構造要素が分子の末端に分子内ステムループの形態で存在する。
【0079】
非限定的例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は、式(III):
【化4】
に詳述される構造を有する。式(III)に示された構造は、本明細書において、2つの末端の配列が相補的であり、分子間水素結合を許容するために、2つの分子の末端が遮断されているため、「末端ダイマー」と呼ぶ。さらに、ドメインAおよびA’は同一であってもなくてもよく、ドメインBおよびB’は同一であってもなくてもよく、ドメインCおよびC’は同一であってもなくてもよい。
【0080】
非限定的な例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は、式(IV):
【化5】
に詳述される構造を有する。
当業者により認識されるように、示された分子の末端は、その端の相補配列がこの領域に結合した水素であるために、二次構造を有する。ある態様において、細胞の取り込みを促進するため、または分子の安定性を改善するために、リガンドなどの分子を末端に付着させることができる。
【0081】
本発明のある核酸分子の非限定的例を、表5に示す。
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】
【表9】
【0085】
代替的に、本発明の核酸分子は、非ヌクレオチドリンカーによって結合された2つのイムノマーであることができる。これらの分子の非限定的な代表例を表6に示す。
【0086】
【表10】
【0087】
【表11】
【0088】
代替的に、さらに、非限定的な代表例を表7に示す。
【0089】
【表12】
イタリック体はホスホジエステル結合を示し、他の結合は特に指定のない限りホスホロチオエートである。
下線部=2’−OMe−ヌクレオシド;X=C3リンカー
R=2’−デオキシ−7−デアザグアノシン G1= 2’−デオキシ−7−デアザグアノシン
【0090】
本発明の他の側面は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーの配列が少なくとも部分的に自己相補的である、免疫刺激性核酸を提供する。本明細書における自己相補的配列とは、好適な配列において、分子内またはより典型的には分子間の、G−C、A−T、A−Uおよび/またはG−Uウォッブル対の間の塩基対を形成することができる塩基配列を指す。1つの態様において、自己相補性の程度は少なくとも50%である。例えば、少なくとも50%自己相補的な8マーは、4、5、6、7または8個のG−C、A−T、A−Uおよび/またはG−Uウォッブル塩基対を形成可能な配列を有することができる。かかる塩基対は、自己相補的な免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーの両末端に位置する塩基を含むことができるが、必ずしも含む必要はない。核酸の安定化が免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーに重要な場合、二本鎖核酸の一方または両方の末端を、塩基対合または任意の他の好適な方法により、一緒に「固定する(clamp)」することが有用である場合がある。自己相補性の程度は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーの間の配列に依存し、かかる配列は、1つまたは複数のヌクレオシドオーバーハングを含むこともでき、また含まなくてもよい。他の態様において、自己相補性の程度は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%である。
【0091】
非限定的例により、この側面のある態様において、免疫刺激性核酸は式(V):
【化6】
に詳述される構造を有する。当業者に認識されるように、示されたイムノマー化合物は二次構造を有し、これはドメインの配列が相補的であって分子間水素結合を許容するからである。ドメインAおよびA’は同一であってもなくてもよく、ドメインAおよびCは同一であってもなくてもよく、ドメインAおよびC’は同一であってもなくてもよく、ドメインA’およびCは同一であってもなくてもよく、ドメインA’およびC’は同一であってもなくてもよく、ドメインBおよびB’は同一であってもなくてもよく、そしてドメインCおよびC’は同一であってもなくてもよい。さらに、付加的なイムノマーを、分子間水素結合を通して結合することができ、これによって、本発明のイムノマーの鎖、またはマルチマーを生成する。nは、連続した自己相補的イムノマー化合物の任意の数であることができる。
【0092】
本明細書において、用語「相補的な」とは、核酸にハイブリダイズする能力を有することを意味する。かかるハイブリダイゼーションは、通常は相補鎖間の水素結合の結果であって、好ましくはワトソン−クリック型またはフーグステン(Hoogsteen)型塩基対を形成するが、ただし、他の様式の水素結合および塩基のスタッキング(base stacking)もまたハイブリダイゼーションをもたらすことができる。
本明細書において、用語「二次構造」は、分子間水素結合をさす。分子間水素結合は、二重の核酸分子の形成をもたらす。
【0093】
非限定的な代表的な核酸分子を、表8に示す。
【表13】
標準字体はホスホロチオエート結合を表す
G1=2’−デオキシ−7−デアザグアノシン
G2=アラビノグアノシン
G3=2’−デオキシイノシン
C1=1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル) −2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリン
C2=アラビノシチジン
C3=2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン
X=C3リンカー
【0094】
本発明の方法において用いるのに特に好ましいイムノマー化合物は、以下の構造を有する。
【化7】
【0095】
本発明の全ての側面による方法および組成物は、疾患を処置するための治療的アプローチにおいて、該処置が免疫系の調節および免疫に基づく治療に関連する場合に有用である。特に好ましい疾患ターゲットには、癌、感染症およびアレルギーが含まれる。
【0096】
ある態様において、治療方法は癌の処置のためである。癌または腫瘍は、限定はされないが、胆道癌;脳の癌;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内癌;リンパ腫;肝癌;肺癌(例えば小細胞および非小細胞);メラノーマ;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;睾丸癌;甲状腺癌;および腎臓癌、さらに他の癌腫および肉腫を含む。
【0097】
ある態様において、治療方法は感染の処置のためである。非限定的例により、ヒトに感染することが見出されたウィルスは、限定はされないが、以下を含む:レトロウィルス科(例えばヒト免疫不全ウィルス、例えばHIV−1(HTLV−III、LAVまたはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ぶ)およびHIV−LPなどの他の分離株;ピコルナウィルス科(例えばポリオウィルス、A型肝炎ウィルス;エンテロウィルス、ヒトコクサッキーウィルス、ライノウィルス、エコーウィルス);カリシウィルス科(例えば胃腸炎を引き起こす株);トガウィルス科(例えばウマ脳炎ウィルス、ルベラウィルス);フラビウィルス科(例えばデングウィルス、脳炎ウィルス、黄熱病ウィルス);コロナウィルス科(例えばコロナウィルス);ラブドウィルス科(例えば水疱性口内炎ウィルス、狂犬病ウィルス);フィロウィルス科(例えばエボラウィルス);パラミクソウィルス科(例えばパラインフルエンザウィルス、ムンプスウィルス、麻疹ウィルス、呼吸器合胞体ウィルス);オルトミクソウィルス科(例えばインフルエンザウィルス);ブニヤウィルス科(例えばハンターンウィルス、ブニヤウィルス、フレボウィルスおよびナイロウィルス):アレナウィルス科(例えば出血熱ウィルス);レオウィルス科(例えばレオウィルス、オルビウィルスおよびロタウィルス);ビルナウィルス科;ヘパドナウィルス科(B型肝炎ウィルス);パルボウィルス科(パルボウィルス);パポバウィルス科(パピローマウィルス、ポリオーマウィルス);アデノウィルス科(ほとんどのアデノウィルス);ヘルペスウィルス科(単純ヘルペスウィルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウィルス、サイトメガロウィルス(CMV)、ヘルペスウィルス);ポックスウィルス科(天然痘ウィルス、ワクシニアウィルス、ポックスウィルス);およびイリドウィルス科(例えばアフリカンスワインフィーバーウィルス);および未分類のウィルス(例えば海綿状脳症の病原体、デルタ肝炎の媒介物(B型肝炎ウィルスの欠損付随物と考えられる)、非A非B型肝炎の媒介物(クラス1=内部感染、クラス2=非経口感染(すなわちC型肝炎);ノーウォークおよび関連ウィルス、ならびにアストロウィルス)。
【0098】
ある態様において、本発明の治療方法は、アレルギーの処置に向けられる。「アレルゲン」とは、影響をうけやすい対象においてアレルギー反応または喘息反応を誘発し得る物質(抗原)を指す。アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物の鱗屑粉塵、真菌胞子および薬剤(例えばペニシリン)を含むことができる。天然の動物および植物アレルゲンは、限定はされないが、以下の属に特異的なタンパク質を含む:イヌ属(Canine)(Canis familiaris);ヒョウヒダニ属(例えばコナヒョウダニ);ネコ属(Felis domesticus);アンブロシア(Ambrosia artemiisfolia);ドクムギ属(例えばLolium perenneまたはLolium multiflorum);スギ属(Cryptomeria japonica);アルテルナリア属(Alternaria alternata);ハンノキ;ハンノキ属(Alnus gultinoasa);カバノキ属(Betula verrucosa);カシ属(Quercus alba);オリーブ属(Olea europa);ヨモギ属(Artemisia vulgaris);オオバコ属(例えばPlantago lanceolata);ヒカゲミズ属(例えばParietaria officinalisまたはParietaria judaica);チャバネゴキブリ属(例えばBlattela germanica);ミツバチ属(例えばApis multiflorum);イトスギ属(例えばCupressus sempervirens、Cupressus arizonicaおよびCupressus macrocarpa);ビャクシン属(例えばJuniperus sabinoides、Juniperus virginiana、Juniperus communisおよびJuniperus ashei);クロベ属(例えばThuya orientalis);ヒノキ属(例えばChamecyparis obtusa);ゴキブリ属(例えばPeriplaneta americana);カモジグサ属(例えばAgropyron repens);ライムギ属(例えばSecale cereale);コムギ属(例えばTriticum aestivum);カモガヤ属(例えばDactylis glomerata);ウシノケグサ属(例えばFestuca elatior);イチゴツナギ属(例えばPoa pratensisまたはPoa compressa);カラスムギ属(例えばAvena sativa);シラケガヤ属(例えばHolcus lanatus);ハルガヤ属(例えばAnthoxanthum odoratum);オオカニツリ属(例えばArrhenatherum elatius);ヌカボ属(例えばAgrostis alba);オオアワガエリ属(例えばPhleum pratense);クサヨシ属(例えばPhalaris arundinacea);スズメノヒエ属(例えばPaspalum notatum);モロコシ属(例えばSorghum halepensis);およびスズメノチャヒキ属(例えばBromus inermis)。具体的なアレルゲンは、市場で購入可能である(例えばINDOOR Biotechnologies, Inc., Charlottesville, VA 22903)。
【0099】
第2の側面において、本発明は、癌患者における癌を処置する方法を提供し、該方法は、該患者に対して、化学療法剤を、上に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と、該免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物に到達可能5’末端以外の位置で結合された癌抗原とを含む、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー結合体と組み合わせて投与することを含む。ある態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドに結合した、癌に関連する抗原を含む。他のある態様において、抗原は、オリゴヌクレオチドにその3’末端以外の位置で結合する。ある態様において、抗原はワクチン効果を生じる。本発明のためには、用語「関連する」は、癌が存在する場合には抗原が存在するが、癌が不在の場合は、抗原が存在しないかまたは少ない量で存在することを意味する。
【0100】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物は、抗原に共有結合で結合するか、そうでなければ、抗原と動作可能に結合する。本明細書において、用語「動作可能に結合する」は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物および抗原の両方の活性を維持する任意の結合を指す。かかる動作可能な結合の非限定的な例は、同じリポソームまたは他のかかる送達ビヒクルもしくは試薬の一部となることである。さらに、抗原をコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングして、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と組み合わせて投与することができる。本明細書において、用語「ベクター」は、それらが結合した他の核酸を輸送する能力のある核酸分子を指す。好ましいベクターは、それらが結合した核酸(例えばエピソーム)の自己複製および発現が可能なベクターである。それらが動作可能に結合した遺伝子の発現を方向付けることができるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組み換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしば「プラスミド」の形をしており、通常、環状二本鎖DNAループと呼ばれ、そのベクター形態においてクロモソームに結合されない。本明細書において「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるため、同義的に用いられる。しかし、本発明は、等価な機能をもたらし、これから続いて当分野に知られるようになる発現ベクターの他の形態も包含することが意図される。
【0101】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物が抗原に共有結合で結合している態様においては、かかる共有結合は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドの到達可能5’末端以外の、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物上の任意の位置であるのが好ましい。例えば、抗原は、ヌクレオシド間結合に付着してもよく、または非ヌクレオチドリンカーに付着してもよい。代替的に、抗原はそれ自体が非ヌクレオチドリンカーであってもよい。
【0102】
第3の側面において、本発明は、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または免疫刺激性オリゴヌクレオチド結合体および/またはイムノマー化合物またはイムノマー結合体、化学療法剤および生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。本明細書において、用語「生理学的に許容し得る」とは、イムノマー化合物の有効性を妨げず、細胞、細胞培養物、組織、または生物などの生体系と適合する物質を指す。好ましくは、生体系は脊椎動物などの生物である。好ましい化学療法剤は、限定なく、ゲムシタビン メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖非含有クロロエチルニトロソウレア、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラギリン、メグラミンGLA、バルルビシン、カルムスタインおよびポリフェルポサン、MMI270、BAY12−9566、RASファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、ファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール、グラモレク、CI−994、TNP−470、ヒカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン、メタレット/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、インセル/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナールDP2202、FK317、ピシバニル/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド、エバセット/リポソームドキソルビシン、ユータキサン/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、キセロアド/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)RAS腫瘍遺伝子阻害剤、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール/レバミソール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、
【0103】
カンプト/レバミソール、カンプトサール/イリノテカン、ツモデックス/ラリトレキセド、ルイスタチン/クラドリビン、パキセックス/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエリクス/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルモルビシン/エピルビシン、デポシト、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタリミド、LU103793/ドラスタイン、カエチックス/リポソームドキソルビシン、ゲムザール/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメド、YM116、ロジンシード、CDK4およびCDK2阻害剤、PARP阻害剤、D4809/デキシホスファミド、イフェス/メスネックス/イホスファミド、ブモン/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール/シスプラチン、ベペシド/エトポシド、ZD9331、タキソテレ/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソウレア、メルフェランおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アミノグルテチミド、アルパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロンブシル、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシウレア(ヒドロシキカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子類似体)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p’−DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレオチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)および硫酸ビンデシンを含む。
【0104】
さらに他の態様において、製剤は、EFG、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMKメラノーマワクチン、MGVガングリオシド結合ワクチン、Her2/new、オバレックス(Ovarex)、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLテラトープ(theratope)、BLP25(MUC−1)、リポソームイディオタイプワクチン、メラシン(Melacine)、ペプチド抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVAベース(MVA-vased)ワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISCウィルスおよびImmunCyst/TheraCys、からなる群から選択される癌ワクチンを含む。
【0105】
さらなる側面において、本発明は、モノクローナル抗体を本明細書に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物と組み合わせて患者に投与することを含む、癌患者における癌を処置する方法を提供する。抗体の形態、そして特にモノクローナル抗体の形態での受動免疫療法は、抗癌剤として多くの研究および開発の主題であった。本明細書における用語「モノクローナル抗体」は、単一の分子組成の抗体分子を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。従って、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、単一の結合特異性を示し、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を指す。抗癌剤の例は、限定はされないが、パノレックス(Panorex)(Glaxo-Welcome)、リツキサン(Rituxan)(IDEC/Genentech/Hoffman la Roche)、ミロターグ(Mylotarg)(Wyeth)、キャンパス(Campath)(Millennium)、ゼバリン(Zevalin) (IDEC and Schering AG)、ベキサール(Bexxar) (Corixa/GSK)、エルビタックス(Erbitux)(Imclone/BMS)、アバスチン(Avastin)(Genentech)およびヘルセプチン(Herceptin)(Genentech/Hoffman la Roche)を含む。抗体はまた、癌抗原を(免疫学的な意味において)模倣するように見える抗イディオタイプ抗体を利用する、能動免疫療法において用いてもよい。モノクローナル抗体は、組み換えDNA技術の分野の業者に知られている方法によって、作製することができる。
【0106】
本明細書において、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、脂質、または医薬製剤において用いるために当分野で知られている他の物質を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の用途のための投与経路に依存することが理解される。これらの物質を含む薬学的に許容し得る製剤の製造は、例えばRemingtonのPharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
【0107】
トール様受容体(TLR)は、感染のセンサーとして機能し、固有の適合的免疫反応の活性化を誘導する。TLRは、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる広い範囲のリガンドを認識する。保存されている病原体関連分子産物を認識すると、TLRは、その細胞内情報伝達ドメイン、すなわちトール/インターロイキン−1受容体(TIR)ドメイン、および下流のアダプタータンパク質MyD88を通して宿主防御反応を活性化する。樹状細胞およびマクロファージは通常、それらが産生もする、トール様受容体(TLR)リガンドおよびサイトカイン(例えばインターロイキン−1β;IL−6および腫瘍壊死因子、TNF)に応答する;ナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞も関与する。細菌性化合物によるTLRの刺激の後、固有免疫細胞はある範囲のサイトカインを放出する。TLRリガンドの幾つかの例には、限定はされないが、リポタンパク質;ペプチドグリカン、ザイモサン(TLR2)、二本鎖RNA、ポリI−ポリC(TLR3)、リポ多糖類、熱ショックタンパク質、タキソール(TLR4)、フラゲリン(TLR5)、およびイミダゾキノリン−R848、レシキモド(resiquimod)、イミキモド(imiquimod);ssRNA(TLR7/8)が含まれる。
【0108】
第4の側面において、本発明は、癌細胞を電離放射線に感作する方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、哺乳動物に、本発明による免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を投与すること、および前記動物を電離放射線で処置することを含む。ある好ましい態様においては、γ線照射を1.56Gy/分で適用する。ある好ましい態様においては、放射線療法を、約0.1〜約10.0Gy、好ましくは約0.25〜約8.0Gy、より好ましくは約0.5〜約5.0Gy、または、3.0Gyの照射で、1週間に2回、1週間に4回、または、2、4および9日目に合計3回、適用する。ある態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物での前処置は、γ線照射の約2〜約6時間前である。
【0109】
第5の側面において、本発明は、患者における免疫反応を相乗的に刺激する方法を提供し、該方法は、患者に対して、イムノマー化合物の治療的に有効な相乗作用量を、IL−2の治療的に有効な相乗作用量、および抗原と組み合わせて投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により刺激される好ましいサイトカインは、限定はされないが、1種または2種以上のIL−12、インターフェロン−γ、IFN−αおよびIFN−βを含む。
【0110】
ある態様において、方法は癌の処置のためであり、抗原は癌に特異的または癌に関連する抗原である。幾つかの態様において、方法は、感染の処置のためであり、抗原は感染に関連する抗原である。ある態様において、方法は、アレルギーの処置のためであり、抗原はアレルギーに関連する。本明細書において、用語「関連する」は、癌、アレルゲンまたは感染症が存在する場合には抗原が存在するが、癌、アレルゲンまたは感染症が不在の場合は、抗原が存在しないかまたは少ない量で存在することを意味する。
【0111】
本明細書において用語「抗原」は、抗体またはT細胞抗原受容体によって特異的に認識され結合される物質を意味する。抗原は、ペプチド、タンパク質、糖たんぱく質、多糖類、ガングリオシドおよび脂質;これらの一部およびこれらの組合せを含むことができる。抗原は、天然に見出されるもの、または合成されるものであることができる。ハプテンは、「抗原」の範囲に包含される。ハプテンは、それ自体免疫性はないが、抗原決定基を含む免疫性分子と結合した場合に免疫性となる、低分子化合物である。
【0112】
ある態様において、本発明の方法および組成物において有用な抗原は、腫瘍関連抗原および/または腫瘍特異的抗原である。非限定的な例は以下を含む:前立腺特異的抗原(PSA)および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、これらは通常血中に少量で存在し、前立腺癌が存在すると増大するマーカーである;癌抗原125(CA−125)、これは、卵巣癌患者においてレベルが上昇し、他の癌が存在する場合も時に上昇する;CA15−3およびCA27−29、これらは、乳癌の経過およびその処置に対する応答の追跡調査に有用である;CA19−9、これは、一般に膵臓癌の広がりをチェックするために用いられ、直腸結腸、胃および胆管癌を有する患者においても上昇する;癌胎児性抗原(CEA)、これは、通常は少量で存在するが、広い範囲の癌を有する患者の血中で上昇し得る;アルファ−フェトプロテイン、これは、肝細胞癌および生殖細胞(非セミノーマ)癌のマーカーである;そして、ガラクトシル転位酵素II、ガラクトシル転位酵素のアイソザイムであり、種々の悪性腫瘍、主に胃腸での腫瘍において上昇することが示されている。当業者に知られているように、腫瘍関連および腫瘍特異的抗原は、市場で入手可能である。本発明により意図されるのはまた、組換え核酸技術によって作製できる抗原、および/または合成抗原、例えば、当分野で知られている方法により生成されるペプチドである。
【0113】
本発明の第5の側面のある態様において、本発明は癌患者における癌を処置する方法を提供し、該方法は、患者に対して、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を、上記のイムノマー化合物および抗原を含むイムノマー結合体と組み合わせて投与することを含む。ある態様において、抗原は、イムノマー化合物に到達可能5’末端以外の位置で結合している。幾つかの態様において、イムノマー化合物の非ヌクレオチドリンカーは、癌に関連する抗原を含む。幾つかの態様において、抗原は、イムノマー化合物にその5’末端以外の位置で結合している。幾つかの態様において、抗原はワクチン効果を生じる。本発明のために、用語「関連する」は、癌が存在する場合には抗原が存在するが、癌が不在の場合は、抗原が存在しないかまたは少ない量で存在することを意味する。
【0114】
本発明の第5の側面のある態様において、イムノマー化合物は、抗原に共有結合で結合するか、そうでなければ、抗原と動作可能に結合する。本明細書において、用語「動作可能に結合する」は、イムノマー化合物および抗原の活性を維持する任意の結合を指す。かかる動作可能な結合の非限定的な例は、同じリポソームまたは他のかかる送達ビヒクルもしくは試薬の一部となることである。イムノマー化合物が抗原に共有結合で結合している態様において、かかる共有結合は、イムノマー化合物の到達可能5’末端以外の、イムノマー化合物上の任意の位置であるのが好ましい。例えば、抗原は、ヌクレオシド間結合に付着してもよく、または非ヌクレオチドリンカーに付着してもよい。代替的に、抗原はそれ自体が非ヌクレオチドリンカーであってもよい。
【0115】
本発明の第6の側面において、イムノマー化合物ではない少なくとも1つの免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、IL−2の治療的に有効な量と組み合わせて用いられ、患者におけるサイトカインの産生を選択的および相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。本発明による、イムノマー化合物ではない好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫刺激性CpGジヌクレオチドを含むものであり、ここでCはシトシンまたはデオキシシトシンではなく、および/または、Gはグアノシンまたは2−デオキシグアノシンではない。本発明の、その他の好ましい免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってイムノマー化合物ではないものは、CpGではない代替的な免疫刺激性部分を含むものである。かかる代替的な免疫刺激性部分の例は、限定はされないが、天然に存在しない塩基および/または糖および、オリゴヌクレオチドそれ自体の二次構造、例えばオリゴヌクレオチドを安定化するヘアピン構造を有するヌクレオシド、を含み、これらは以下の米国特許および係属中の米国特許出願に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第6,426,334号および6,476,000号;および米国特許出願第09/770,602号、09/845,623号、09/965,116号、60/440,587号、10/361,111号、60/471,247号、60/477,608号。
【0116】
本発明のある態様において、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびIL−2の各々を、患者への投与の前に、薬学的に許容し得る担体と混合する。ある態様において、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、投与の前に薬学的に許容し得る担体と一緒に混合されるか、または本発明の第4の側面において記載したように、医薬組成物の一部として組み込まれる。本明細書において、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、脂質、または医薬製剤において用いるために当分野で知られている他の物質を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の用途のための投与経路に依存することが理解される。これらの物質を含む薬学的に許容し得る製剤の製造は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, ed. A. L. Gennnaro, Lippincott Williams & Wilkins Publishing Co., Philadelphia, PA, 19106 (ISBN: 0683306472)に記載されている。
【0117】
第7の側面において、本発明は、薬学的に許容し得る担体、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量、IL−2の治療的に有効な相乗作用量、および随意的に抗原を含む、治療組成物を提供し、ここで、前記治療組成物の投与が、患者においてサイトカインの産生を相乗的に刺激する。本発明により相乗的に刺激される好ましいサイトカインは、IL−12およびインターフェロン−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0118】
本発明の全ての側面は疾患の処置に有用であり、特に、癌、感染症およびアレルギーを処置するための、免疫に基づく治療において有用である。本明細書において、用語、疾患を「処置する」または疾患の「処置」とは、疾患の予防;発症後の疾患の兆候または症状の軽減または根絶;および疾患の再発の予防、を含む。
【0119】
本発明による方法において、IL−2と組み合わせたイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの投与は、任意の好適な経路で実施でき、これは、限定することなく、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻内、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣、遺伝子銃、皮膚パッチまたは点眼液またはうがい薬の形態を含む。イムノマー化合物、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、IL−2またはこれらの治療組成物の投与は、既知の方法を用いて、治療的に有効な相乗作用量および疾患の処置に効果的な期間で、実施することができる。
【0120】
用語「組み合わせて」は、同一患者の同一疾患を処置する過程において、イムノマー化合物および/または免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはIL−2を任意の順序で投与することを含むことを意味し、これは同時投与および、数日間までの時間的に間隔をあけた順序での投与を含む。かかる組み合わせ処置はまた、イムノマー化合物および/または免疫刺激性オリゴヌクレオチド、および/またはIL−2を、独立して、1回を超えて投与することを含むことができる。イムノマー化合物およびIL−2の投与は、同一または異なる経路で実施してよい。
当業者は、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチド、IL−2のいずれか、または両方の、かかる相乗的効果は、組織、器官、本発明により処置される特定の疾患または患者に依存して、かなり変化することを理解する。さらに、当業者は、イムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはIL−2のいずれかの治療的に有効な相乗作用量は、他の成分の量の細かな調節および変更によって低減または増加できることを理解する。
【0121】
全身的に投与する場合、イムノマー化合物は、約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルのイムノマー化合物血中濃度を達成するのに十分な用量で投与するのが好ましい。局所投与に対しては、これより大幅に低い濃度も効果的であることができ、そして大幅に高い濃度も耐容され得る。好ましくは、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物の総用量は、約0.0001mg/患者・日〜約200mg/体重1kg・日の範囲である。イムノマー化合物またはIL−2の各々の治療的に有効な相乗作用量を、1回の処置として、同時にまたは連続して個人に投与するのが望ましい。好ましくは、IL−2は、約750〜約75,000単位の量で投与する。
【0122】
本発明は、サイトカインおよび/または化学療法剤、および免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマー化合物を含むキットを提供し、ここで後者は、イムノマー化合物が1つより多い5’末端を有するように一緒に結合された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで少なくとも1つの前記オリゴヌクレオチドは免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。他の側面において、キットは、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または免疫刺激性オリゴヌクレオチド結合体および/またはイムノマー化合物またはイムノマー結合体、サイトカインおよび/または化学療法剤、および生理学的に許容し得る担体を含む。キットは一般に、使用のための指示書のセットも含む。
【0123】
以下の例は、本発明のある好ましい態様をさらに説明することを意図しており、本発明の範囲を限定することは意図していない。
例
例1:免疫刺激性部分を含有するオリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを、1μmolスケールでDNA自動合成装置(Expedite 8909; PerSeptive Biosystems, Framingham, MA)を用いて、図5および図6に概説した直線合成またはパラレル合成方法に従って合成した。
【0124】
デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイトは、Applied Biosystem (Foster City, CA)から入手した。1’,2’−ジデオキシリボースホスホラミダイト、プロピル−1−ホスホラミダイト、2−デオキシウリジンホスホラミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチル)ペンチルアミジル]−2−プロパノールホスホラミダイトおよびメチルホスホラミダイトは、Glen Research (Sterling, VA)から入手した。β−L−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、α−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、モノ−DMT−グリセロールホスホラミダイトおよびジ−DMT−グリセロールホスホラミダイトは、ChemGenes (Ashland, MA)から入手した。(4−アミノブチル)−1,3−プロパンジオールホスホラミダイトは、Clontech (Palo Alto, CA)から入手した。アラビノシチジンホスホラミダイト、アラビノグアノシン、アラビノチミジンおよびアラビノウリジンは、Reliable Pharmaceutical (St. Louis, MO)から入手した。アラビノグアノシンホスホラミダイト、アラビノチミジンホスホラミダイトおよびアラビノウリジンホスホラミダイトは、Hybridon, Inc. (Cambridge, MA)にて合成した(Noronha et al. (2000) Biochem., 39:7050-7062)。
【0125】
全てのヌクレオシドホスホラミダイトは、31Pおよび1HNMRスペクトルにより特性を明らかにした。修飾ヌクレオシドは、特定部位に通常のカプリングサイクルを用いて組み込んだ。合成の後、オリゴヌクレオチドは濃縮水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLCにより精製して、透析した。ナトリウム塩形態の精製オリゴヌクレオチドは、使用前に凍結乾燥した。純度は、CGEおよびMALDI−TOF MSにより試験した。
【0126】
例2:脾臓細胞増殖の解析
脾細胞増殖のin vitro解析を、前に記載した標準的方法(例えば、Zhao et al., Biochem Pharma 51:173-182(1996)を参照)を用いて行った。図8Aに結果を示す。これらの結果は、高濃度において、2つの到達可能5’末端を有するイムノマー6が、到達可能5’末端を有さないイムノマー5または1つの到達可能5’末端を有するオリゴヌクレオチド4よりも、多くの脾細胞増殖をもたらすことを示す。イムノマー6はまた、LPS陽性対照よりも多くの脾細胞増殖をもたらす。
【0127】
例3:in vivo脾腫試験
in vitroでの結果をin vivoモデルに適用可能かどうかを試験するために、選択したオリゴヌクレオチドをマウスに投与し、免疫刺激活性レベルの指標として脾腫の程度を測定した。5mg/kgの単回用量をBALB/cマウス(雌、4〜6週齢、Harlan Sprague Dawley Inc, Baltic, CT)に腹腔内投与した。オリゴヌクレオチド投与の72時間後にマウスを犠牲にし、脾臓を採取して重量測定した。図8Bに結果を示す。これらの結果は、2つの到達可能5’末端を有するイムノマー6が、オリゴヌクレオチド4またはイムノマー5よりも大幅に高い免疫刺激効果を有することを示す。
【0128】
例4:サイトカイン解析
脊椎動物細胞、好ましくはBALB/cマウス脾臓細胞またはヒトPBMCにおける、IL−12およびIL−6の分泌を、サンドイッチELISAで測定した。サイトカイン抗体および標準サイトカインを含む必要な試薬は、PharMingen, San Diego, CAより購入した。ELISAプレート(Costar)は、PBSN緩衝液(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)中の5μg/mLの適当な抗体を用いて4℃にて1晩インキュベートし、次にPBS/1%BSAを用いて37℃にて30分間ブロッキングした。細胞培養上清および標準サイトカインは、PBS/10%FBSで適切に希釈し、前記プレートにトリプリケート(triplicate)で添加し、25℃で2時間インキュベートした。プレートに1μg/mLの適当なビオチン化抗体を加え、25℃で1.5時間インキュベートした。次にプレートをPBS−T緩衝液(PBS/0.05%Tween 20)でよく洗浄し、ストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼ(Sigma, St. Louis, MO)を加えた後25℃で1.5時間さらにインキュベートした。プレートをSure Blue(登録商標)(Kirkegaard and Perry)発色試薬で発色させ、Stop Solution(Kirkegaard and Perry)を加えて反応を終了させた。色の変化をCeres 900 HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)で測定した。下の表5Aに結果を示す。
【0129】
健康なボランティアの末梢血から、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をFicoll-Paque密度勾配遠心分離(Histopaque-1077, Sigma, St. Louis, MO)により単離した。簡単に述べると、ヘパリン化された血液を円錐遠心分離機内のHistopaque-1077上(等量)に層状にし、400×gで30分間室温にて遠心分離した。単核細胞を含む軟膜(buffy coat)を注意して採取し、等浸透圧のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回、250×gで10分間の遠心分離により洗浄した。得られた細胞ペレットは次に、L−グルタミンを含有するRPMI 1640培地(Media Tech, Inc., Herndon, VA)内に再懸濁させ、熱により不活性化させた10%FCSおよびペニシリン−ストレプトマイシン(100U/ml)を補充した。細胞は、24ウェルプレートで異なる期間、1×106細胞/ml/ウェルで、オリゴヌクレオチドの存在下または非存在下で培養した。インキュベーション期間の終わりに上清を収集し、サンドイッチELISAによる、IL−6(BD Pharmingen, San Diego, CA)、IL−10(BD Pharmingen)、IL−12(BioSource International, Camarillo, CA)、IFN−α(BioSource International)および−γ(BD Pharmingen)およびTNF−α(BD Pharmingen)を含む種々のサイトカインのアッセイまで、−70℃で凍結して保存した。結果を下の表9および9Aに示す。
【0130】
全ての場合において、細胞培養上清におけるIL−12およびIL−16の濃度は、同じ実験条件下で作製したIL−12およびIL−16の標準カーブからそれぞれ計算した。細胞培養上清におけるIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αの濃度は、同じ実験条件下で作製したIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αの標準カーブからそれぞれ計算した。
【0131】
【表14】
D1およびD2はドナー1およびドナー2である。
【0132】
【表15】
イタリック体はホスホジエステル結合を示す。
【0133】
【化8】
【0134】
さらに、図7A〜7Cに示された結果は、2つの到達可能5’末端を有するイムノマー2は、それぞれ1つまたは0個の到達可能5’末端を有するオリゴヌクレオチド1またはイムノマー3と比べて、より低い濃度においてIL−12およびIL−6濃度を上昇させるが、IL−10濃度は上昇させないことを示す。
【0135】
例5:非天然ピリミジンヌクレオシドまたは非天然プリンヌクレオシドを含むイムノマー化合物の免疫刺激活性
表10〜12に示すように、免疫刺激性ジヌクレオチドモチーフ内に非天然ピリミジンヌクレオシドまたは非天然プリンヌクレオシドを含む、種々の長さのイムノマー化合物では、免疫刺激活性は維持された。
【0136】
【表16】
【0137】
【表17】
【0138】
【表18】
【0139】
例6:免疫刺激活性におけるリンカーの効果
2つのオリゴヌクレオチドを結合するリンカーの長さの効果を試験するため、同じオリゴヌクレオチドを含むがリンカーの異なるイムノマー化合物を合成し、免疫刺激活性を試験した。表13に示す結果は、リンカーの長さはイムノマー化合物の免疫刺激活性に役割を果たすことを示唆する。最大の免疫刺激効果は、C3〜C6−アルキルリンカーまたは分散されたホスフェート電荷(interspersed phosphate charge)を有する脱塩基リンカーにより達成された。
【0140】
【表19】
【0141】
例7:免疫刺激活性におけるオリゴヌクレオチド骨格の効果
一般に、天然のホスホジエステル骨格を含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格を有する同じ長さのオリゴヌクレオチドより免疫刺激性が低い。この低い免疫刺激活性の程度は、部分的に、実験条件下におけるホスホジエステルオリゴヌクレオチドの迅速な分解による可能性がある。オリゴヌクレオチドの分解は、第1に3’エキソヌクレアーゼのためであり、該ヌクレアーゼはオリゴヌクレオチドを3’末端から消化する。この例のイムノマーは遊離の3’末端を含まない。従って、ホスホジエステル骨格を有するイムノマー化合物は、実験条件下において対応するモノマーオリゴヌクレオチドより長い半減期を有するはずであり、従って改善された免疫刺激活性を示す。表14に示す結果はこの効果を示しており、イムノマー84および85は、サイトカイン誘導によりBALB/cマウスの脾臓細胞培養物において決定されたように、免疫刺激活性を示す。
【0142】
【表20】
【0143】
例8:化学療法剤と組み合わせたイムノマー化合物のin vivo抗癌活性
PC3細胞を、ペニシリン100U/mlおよびストレプトマイシン100μg/mlの存在下で10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む90%Ham’sF12K培地中で培養し、ヒト前立腺癌モデル(PC3)を確立した。4〜6週齢の雄の胸腺欠損ヌードマウス(Frederick Cancer Research and Development Center, Frederick MD)を、試験前に環境調節のため6日間順応させた。培養PC3細胞は、単層培養物から収集し、Ham’sF12K培地(10%FBS)で2回洗浄し、FBSなしのHam’sF12K培地:Matrigel基底膜マトリクス(Becton Dickinson Labware, Bedford, MA)(5:1;V/V)中に再懸濁させ、各マウスの左鼡径部に皮下注射した(5×106細胞、全量0.2ml)。動物は、通常の臨床的所見、体重、および腫瘍増殖について観察した。腫瘍増殖は、キャリパー(caliper)を用いて、移植組織の2つの直交する直径を測定して観察した。腫瘍質量(グラムによる重量)は、式:1/2a×b2により計算し、式中「a」は長径(cm)、「b」は短径(cm)である。平均腫瘍サイズが〜80mgに達したら、ヒト癌の異種移植片を有する動物を、処置群および対照群(1郡あたり5匹)にランダムに分けた。対照群には無菌生理食塩水(0.9%NaCl)のみを与えた。生理食塩水に無菌的に溶解したイムノマー26または194を、皮下注射により、0.5または1.0mg/kg/日を3用量/週で投与した。ゲムシタビンHCl(Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN)を、腹腔内注射により、160mg/kgで2回、0日目および3日目に与えた。詳細な処置のスケジュールを以下に示す。
【0144】
G1:生理食塩水
G2:ゲムシタビン(160mg/kg/日、IP、0日目および3日目)
G3:26(1.0mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G4:26(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G5:194(1.0mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G6:194(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)
G7:26(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)+ゲムシタビン(160mg/kg/日、0日目および3日目)
G8:194(0.5mg/kg/日、SC、3用量/週で6週間)+ゲムシタビン(160mg/kg/日、0日目および3日目)
種々の処置の後の腫瘍の測定値は、表15および図13に示す。イムノマー26および194で処置した全動物における腫瘍の増殖は、生理食塩水対照群に比べて顕著に阻害された(p<0.5)。これらの処置群には用量反応関係の傾向が見られた(図13)。イムノマー26と194の間には有意な差はなかった(表15)。
【0145】
【表21】
【0146】
【表22】
【0147】
処置後の種々の期間における体重測定値を表16および図14に示す。イムノマー26または194単独の場合を対照と比較すると、体重増加には有意差は見られなかった。ゲムシタビンで処置した動物は、第1週目に体重減少を示し、その1週間後に回復した。イムノマー26または194との組み合わせは、ゲムシタビンの副作用プロファイルを変化させなかった。全群において、他の臨床的異常または死亡は観察されなかった。
【0148】
【表23】
【0149】
まとめると、26および194は、重大な副作用なしに、ヒト前立腺癌PC3異種移植片を有するヌードマウスにおいて腫瘍増殖を有意に抑制した。26または194をゲムシタビンと組み合わせて与えた場合、各化合物は、副作用プロファイルを変えることなく、ゲムシタビンの治療効果を有意に増加させた。さらに、26または194の処置には用量反応関係の傾向が見られた。
【0150】
例9:化学療法剤と組み合わせたイムノマー化合物のin vivo抗癌活性
例8の実験を、ゲムシタビンの代わりにタキソテレを用いて繰り返した。タキソテレは、0日目および7日目に投与した。165は週に5日投与した。26および194は、0、2、4、7、9および11日目に投与した。結果を下の表17に示す。これらの結果は、イムノマー化合物とタキソテレの間の相乗効果を明確に示す。
【0151】
【表24】
【0152】
例10.免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびIL−2の投与
上述のようにしてBALB/cマウスから脾細胞を単離し、24ウェルディッシュに5×106細胞/mLの密度で播種した。CpGオリゴヌクレオチドをTE緩衝液中(10mM Tris-HCl、pH7.5、1mM EDTA)に溶解し、マウス脾細胞培養物に加えて、最終濃度を0.03、0.1、0.3、1.0、3.0、または10.0μg/mLとした。IL−2の、CpGオリゴヌクレオチド誘導時間依存サイトカイン分泌における役割を試験するため、組換えヒトIL−2(Sigma)を10U/mlの濃度で実験開始時に加えた。次に細胞を37℃で4、8、24および48時間、試験オリゴヌクレオチドの存在下においてインキュベートし、上清をELISAアッセイのために収集した。未処置の細胞(IL−2のみ添加)を対照として用いた。
【0153】
マウスのIL−12、IL−6およびIFN−γの分泌を、サンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体および標準サイトカインを含む必要な試薬は、PharMingenから購入した。ELISAプレート(Costar)は、PBSN(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)緩衝液中の適切な捕捉抗体(capture antibody)を用いて4℃で1晩インキュベートし、PBS/1%BSAで37℃にて30分間ブロッキングした。細胞培養上清および標準サイトカインは、PBS/1%BSAで適当に希釈し、トリプリケートでプレートに加え、25℃で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、適切なビオチン化抗体でインキュベートし、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートをPBS/0.05%Tween 20でよく洗浄し、次にストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼ(Sigma)を加えた後、25℃で1.5時間さらにインキュベートした。プレートを、Sure Blue(登録商標)(Kirkegaard and Perry)発色試薬で発色させ、Stop Solution(Kirkegaard and Perry)を加えて反応を終了させた。色の変化をCeres 900 HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)で450nmにおいて測定した。細胞培養上清におけるIL−12、IL6およびIFN−γ濃度は、同じ実験条件下で作製したIL−12、IL6およびIFN−γの標準カーブからそれぞれ計算した。
【0154】
この試験に用いたオリゴヌクレオチドを、表18に示す。
【表25】
【0155】
結果を図15〜19に示す。配列番号86〜90のみの使用は、IFN−γ産生をほんの僅か刺激しただけであることを示すアッセイは、示されていない。結果は、配列番号86〜90とIL−2の間の、IL−6、IL−12およびIFN−γの分泌の生成における相乗効果を示す。
【0156】
均等
前述の発明を、明確さと理解のためにある程度詳細に記述したが、この開示を読んだ当業者には、本発明の真の範囲および付属のクレームから乖離することなく、形態および詳細についての種々の改変が可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の代表的なイムノマー化合物の模式図である。
【図2】本発明の幾つかの代表的なイムノマー化合物を表す図である。
【図3】本発明のイムノマーの直線合成に好適な代表的小分子リンカーの群を表す図である。
【0158】
【図4】本発明のイムノマー化合物のパラレル合成に好適な代表的小分子リンカーの群を表す図である。
【図5】本発明のイムノマー化合物の直線合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【図6】本発明のイムノマー化合物のパラレル合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【0159】
【図7】図7Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴヌクレオチド(オリゴ)1およびイムノマー2〜3によるIL−12の誘導を示すグラフである。これらのデータは、到達可能5’末端を有するイムノマー2は、モノマーオリゴ1より強いIL−12の誘導因子であること、および、到達可能5’末端を有さないイムノマー3は、オリゴ1に比べて同等かまたは低い、免疫刺激を生成する能力を有することを示唆する。図7Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴ1およびイムノマー2〜3によるIL−6の誘導(それぞれ上から下へ)を示すグラフである。これらのデータは、到達可能5’末端を有するイムノマー2は、モノマーオリゴ1より強いIL−6の誘導因子であること、および、到達可能5’末端を有さないイムノマー3は、オリゴ1に比べて同等かまたは低い、免疫刺激を誘導する能力を有することを示唆する。図7Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴ1およびイムノマー2〜3によるIL−10の誘導(それぞれ上から下へ)を示すグラフである。
【0160】
【図8】図8Aは、到達不能5’末端および到達可能5’末端をそれぞれ有する異なる濃度のイムノマー5および6による、細胞培養物におけるBALB/cマウス脾臓細胞増殖の誘導を示すグラフである。図8Bは、CpGモチーフの5’フランキング配列に免疫化学的修飾を有するオリゴ4およびイムノマー5〜6による、BALB/cマウス脾臓の腫大を示すグラフである。ここでも、到達可能5’末端を有するイムノマー化合物(6)は、到達可能5’末端を有さないイムノマー5およびモノマーオリゴ4と比べて、脾臓腫大を増加させるより強い能力を有する。
【0161】
【図9】図9Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−12の誘導を示すグラフである。図9Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−6の誘導を示すグラフである。図9Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−10の誘導を示すグラフである。
【0162】
【図10】図10Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、イムノマー14、15および16による細胞増殖の誘導を示すグラフである。図10Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のイムノマー14および16による、IL−12による細胞増殖の誘導を示すグラフである。図10Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のイムノマー14および16による、IL−6による細胞増殖の誘導を示すグラフである。
【0163】
【図11】図11Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、オリゴ4および17並びにイムノマー19および20による細胞増殖の誘導を示すグラフである。図11Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−12細胞増殖の誘導を示すグラフである。図11Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、異なる濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−6細胞増殖の誘導を示すグラフである。
【0164】
【図12】オリゴ4並びにイムノマー14、23および24を用いた、BALB/cマウス脾臓の腫大を示すグラフである。
【図13】本発明による方法の、前立腺癌のヌードマウスモデルにおける腫瘍増殖に及ぼす効果を示す図である。
【図14】本発明による方法の、研究に用いたマウスの体重に及ぼす効果を示す図である。
【0165】
【図15】図15Aは、BALB/c脾細胞をオリゴ1およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。図15Bは、BALB/c脾細胞をオリゴ2およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。図15Cは、BALB/c脾細胞をオリゴ3およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。図15Dは、BALB/c脾細胞をオリゴ4およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。
【0166】
【図16】図16Aは、BALB/c脾細胞をオリゴ1およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。図16Bは、BALB/c脾細胞をオリゴ2およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。図16Cは、BALB/c脾細胞をオリゴ3およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。図16Dは、BALB/c脾細胞をオリゴ4およびIL−2で処置した後の、IL−6産生に及ぼす効果を示すグラフである。
【0167】
【図17】BALB/c脾細胞をオリゴ5およびIL−2で処置した後の、IL−12産生に及ぼす相乗的効果を示すグラフである。
【0168】
【図18】図18Aは、BALB/c脾細胞をオリゴ1およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。図18Bは、BALB/c脾細胞をオリゴ2およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。図18Cは、BALB/c脾細胞をオリゴ3およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。図18Dは、BALB/c脾細胞をオリゴ4およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。
【0169】
【図19】BALB/c脾細胞をオリゴ5およびIL−2で処置した後の、IFN−γ産生に及ぼす効果を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における癌を処置する方法であって、腫瘍を有する哺乳動物に、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を投与すること、および該動物を電離放射線によって処置することを含む、前記方法。
【請求項2】
γ線照射を1.56Gy/分で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
放射線療法を、3Gyの照射で、1週間に2回、1週間に4回、または2、4および9日目に合計3回のいずれかで行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物を、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を用いて、γ線照射の約2〜約6時間前に前処置する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2の治療的に有効な相乗作用量との組み合わせを前記患者に投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、サイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項7】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2の治療的に有効な相乗作用量との組み合わせを前記患者に投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項8】
イムノマー化合物が以下の構造:
【化1】
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者に抗原を投与することをさらに含む、請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項10】
抗原が、癌、感染症またはアレルギーに関連する抗原である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を含む組成物であって、該組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記組成物。
【請求項12】
患者における癌を処置する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を患者に投与することを含み、ここで前記組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項13】
癌に関連する抗原を投与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
患者におけるアレルギーを処置する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を患者に投与することを含み、ここで前記組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項15】
アレルギーに関連する抗原を投与することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
患者における感染症を処置する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を患者に投与することを含み、ここで前記組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項17】
感染症に関連する抗原を投与することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種の免疫刺激性CpGジヌクレオチドであって、ここでCはシトシンまたはデオキシシトシンではなく、および/またはGはグアノシンまたは2−デオキシグアノシンではない、前記免疫刺激性CpGジヌクレオチドを含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を、患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項1】
哺乳動物における癌を処置する方法であって、腫瘍を有する哺乳動物に、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を投与すること、および該動物を電離放射線によって処置することを含む、前記方法。
【請求項2】
γ線照射を1.56Gy/分で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
放射線療法を、3Gyの照射で、1週間に2回、1週間に4回、または2、4および9日目に合計3回のいずれかで行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物を、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはイムノマー化合物を用いて、γ線照射の約2〜約6時間前に前処置する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2の治療的に有効な相乗作用量との組み合わせを前記患者に投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、サイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項7】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量と、IL−2の治療的に有効な相乗作用量との組み合わせを前記患者に投与することを含み、ここで前記組合せの投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項8】
イムノマー化合物が以下の構造:
【化1】
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者に抗原を投与することをさらに含む、請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項10】
抗原が、癌、感染症またはアレルギーに関連する抗原である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を含む組成物であって、該組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記組成物。
【請求項12】
患者における癌を処置する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を患者に投与することを含み、ここで前記組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項13】
癌に関連する抗原を投与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
患者におけるアレルギーを処置する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を患者に投与することを含み、ここで前記組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項15】
アレルギーに関連する抗原を投与することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
患者における感染症を処置する方法であって、少なくとも1種のイムノマー化合物または免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を患者に投与することを含み、ここで前記組成物の投与が、IL−12およびIFN−γ、IFN−α、IFN−βまたはこれらの組合せからなる群から選択される1種または2種以上のサイトカインの産生を相乗的に刺激する、前記方法。
【請求項17】
感染症に関連する抗原を投与することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
患者における免疫反応を刺激する方法であって、少なくとも1種の免疫刺激性CpGジヌクレオチドであって、ここでCはシトシンまたはデオキシシトシンではなく、および/またはGはグアノシンまたは2−デオキシグアノシンではない、前記免疫刺激性CpGジヌクレオチドを含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドの治療的に有効な相乗作用量および、IL−2の治療的に有効な相乗作用量を、患者に投与することを含む、前記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2007−531699(P2007−531699A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520344(P2006−520344)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022797
【国際公開番号】WO2005/009355
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022797
【国際公開番号】WO2005/009355
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】
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