説明

免疫刺激薬、腫瘍溶解性ウイルスおよび付加的抗癌療法の組合せ

哺乳類に腫瘍溶解性ウイルスと免疫刺激薬を投与することを含んでなる方法。第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍、またはその双方を処置する方法であって、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること;および免疫刺激薬を該哺乳類に全身投与することを含んでなる方法。腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬、ならびにその腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を哺乳類に投与することに関する説明書を含んでなるキット。腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬、ならびに腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、および免疫刺激薬を哺乳類に全身投与することによって第一の腫瘍を有する哺乳類における第二の腫瘍を処置することに関する説明書を含んでなるキット。本発明は場合により、付加的抗癌療法を施すことを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本願は、引用することにより本明細書の一部とされる2009年5月19日に出願された米国仮特許出願第61/179,480号の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は、癌治療に関する。
【発明の概要】
【0003】
一つの実施態様において、本発明は、哺乳類に腫瘍溶解性ウイルスと免疫刺激薬を投与することを含んでなる方法に関する。一つの実施態様において、免疫刺激薬は、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);およびその2つ以上からなる群から選択される。
【0004】
一つの実施態様において、本発明は、第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍、またはその双方を治療する方法に関する。この方法は、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、および免疫刺激薬を該哺乳類に全身投与することを含んでなる。一つの実施態様において、免疫刺激薬は、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される。
【0005】
別の実施態様において、本発明は、腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬、ならびにその腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を哺乳類に投与することに関する説明書を含んでなるキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施例1に述べられた足蹠腫瘍の増殖のグラフである。
【図2】実施例1に述べられた反対側の側腹腫瘍の増殖のグラフである。
【発明の具体的説明】
【0007】
一つの実施態様において、本発明は、腫瘍を有する哺乳類に腫瘍溶解性ウイルスと免疫刺激薬投与することを含んでなる方法に関する。さらなる実施態様において、免疫刺激薬は、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される。
【0008】
一つの実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、パラミクソウイルス、レオウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびセムリキ森林ウイルスからなる群から選択される。さらなる一つの実施態様において、パラミクソウイルスは、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、麻疹ウイルスおよび流行性耳下腺炎ウイルスからなる群から選択される。なおさらなる一つの実施態様において、NDVは、MTH68/H、PV−701および73−Tからなる群から選択される株に由来する。腫瘍溶解性ウイルスを、上記に挙げた具体的なものを含め、以下にさらに詳しく記載する。
【0009】
本明細書において「多重感染度」または「MOI」とは、腫瘍細胞に対する感染性ウイルス粒子の比を意味する。
【0010】
「単離された」または「精製された」ウイルスとは、細胞性の、または細胞培養液もしくはウイルスが増殖される他の媒体(水、水溶液およびウイルスを保存もしくは投与する際に用いるための当技術分野で公知の材料で、夾雑材料ではない)の由来する他の夾雑材料を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、夾雑材料の約50重量%未満、例えば、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満または約0.1重量%未満の夾雑材料を含むウイルス調製物を意味する。
【0011】
本明細書において腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞に感染し、癌細胞を溶解させることができるウイルスである。腫瘍溶解性ウイルスの複製は、腫瘍細胞の破壊を助長するとともに、その腫瘍での用量増幅をもたらし得る。
【0012】
NDVは、数種の飼い鳥および野鳥種を侵す伝染性の高い疾病を引き起こすネガティブセンス一本鎖RNAウイルスである。具体的には、NDVは、モノネガウイルス(mononegaviralis)目パラミクソウイルス科ルブラウイルス属の鳥パラミクソウイルス−1(APMV−1)として分類される。NDVは、およそ16,000ヌクレオチドのネガティブセンス一本鎖RNAゲノムを有する100〜300nm径の、エンベロープを有するウイルスである。NDVゲノムは、6つの主要ポリペプチド:L、HN、F、M、PおよびNPをコードする6つの遺伝子を含む。RNA依存性RNAポリメラーゼは、タンパク質L、PおよびNPを含み、これらは感染細胞の細胞質の遊離リボソームにおいて翻訳される。F糖タンパク質は不活性前駆体(F0、67kDa)として合成され、タンパク質分解切断を受けて、F1鎖(55kDa)とF2鎖(12.5kDa)がジスルフィド結合したものからなる生物学的に活性なタンパク質を生じる。
【0013】
種々の分野によって単離された形態のNDVは、それらの毒力に応じて、短潜伏期性(velogenic)(高病原性)、亜病原性(mesogenic)(中間病原性)、または長潜伏期性(非病原性)に分類されてきた。
【0014】
NDVは一般にヒトの健康に害を持たないと考えられるが、ヒトがこのウイルスに曝されると、軽度の結膜炎や風邪のような症状(例えば、約24時間の軽い発熱)に至ることがある。NDVのようなエンベロープを有するウイルスは、2つの主要な経路、すなわち、1)エンベロープと原形質膜との直接的融合、および2)受容体により媒介されるエンドサイトーシスを介して細胞に侵入する。NDVに関しては、膜融合プロセスはpH非依存的に宿主原形質膜で起こることが確認されている。融合タンパク質Fの活性化は、ウイルスの糖タンパク質と、ガングリオシドおよびN−糖タンパク質などのシアル酸を含む細胞受容体との相互作用によって起こる。さらに、最近、NDVは、もう1つの経路としてカベオラ依存性エンドサイトーシス経路によっても細胞に感染することがあることが示された。融合が低pHで起こる場合には、一定のパーセンテージのビリオンがエンドソームにエンドサイトーシスされるようになる。規則正しいアセンブリと感染性NDV粒子の放出は、膜脂質ラフトに依存していることが示されている。これらは細胞の原形質膜の外葉にあるコレステロールおよびスフィンゴ脂質が豊富な微小ドメインとして定義される。新たに産生されたビリオンは、合成後の早期に脂質ラフトにおけるHN、FおよびNPウイルスタンパク質の蓄積を示し、脂質ラフト会合タンパク質であるカベオリン−1、フロチリン−2およびアクチンを含むが、非脂質ラフト会合形質転換受容体は含まなかった。
【0015】
種々のNDV株が、ヒト細胞に対して溶解性または非溶解性であることが見出されている。溶解性株は一般に、ヒト細胞内の後代ウイルスの外被で活性化血球凝集素−ノイラミダーゼと融合タンパク質分子を産生するが、非溶解性株は一般に、これらの分子の不活性型を産生する。特定の理論に縛られるものではないが、NDVのヒト細胞への侵入は、ヒト細胞表面上のシアル酸含有分子と結合するウイルス表面上の活性化血球凝集素−ノイラミダーゼおよび融合タンパク質分子に依存している可能性がある。
【0016】
NDVの溶解性株と非溶解性株はまた、感染細胞を期滅させる機構が異なる。溶解性株では、外被に活性化血球凝集素−ノイラミダーゼおよび融合タンパク質分子を含む後代ウイルスの出芽が一般にNDV感染細胞の原形質膜を隣接する細胞の原形質膜と融合させ、大きな、生存不能の融合細胞(合胞体)の形成をもたらす。非溶解性株は、ウイルスが正常な宿主細胞代謝を見出すことによって、もっと緩慢に感染細胞を死に至らせる。非溶解性株によって生産された後代ウイルス粒子は、不活性型のF分子を含む。
【0017】
NDVは、細胞死の内因性および外因性双方のカスパーゼ依存経路によって腫瘍溶解を発揮する。腫瘍溶解性NDV株は、外胚葉、内胚葉および中胚葉起源のヒト腫瘍細胞系統に対して細胞傷害性を示す。このような細胞傷害性は主として、複数のカスパーゼ依存性アポトーシス経路によるものである。NDVは、ミトコンドリア系/内因性アポトーシス経路を活性化することによってアポトーシスを誘発する。NDV感染は、ミトコンドリア膜電位の低下とミトコンドリアタンパク質シトクロムCの放出をもたらす。さらに、NDV感染は、カスパーゼ9およびカスパーゼ3の初期活性化をもたらす。これに対して、主として細胞死受容体経路によって活性化されるカスパーゼ8の切断は、腫瘍細胞のNDV媒介性アポトーシスにおける、TRAILにより誘導される後期事象である。腫瘍細胞においてNDVによって生成された細胞死シグナルは最終的にミトコンドリアに収束する。
【0018】
どちらのタイプのNDV株も一般に、ヒト癌細胞では、ほとんどのヒト細胞におけるよりも遙かに容易に複製する。あるNDV株はヒト新生物形質転換細胞で、ほとんどのヒト細胞におけるよりも、最大10,000倍良好に増幅することができた。例えば、非腫瘍形成性ヒト末梢血単核細胞(PBMC)では、NDVの複製はポジティブ鎖RNAが産生された後に停止するが、PBMC腫瘍細胞は、感染後10〜50時間以内は、複製周期を継続し、ウイルスゲノムをコピーする。
【0019】
NDV株の例としては、73−T、MTH−68、UlsterおよびNDV−HUJが挙げられる。Sinkovics, et al, J. Clin. Virol. 16:1-15 (2000); Freeman, et al., Molec. Therapy 13:221 (2006);米国特許第7,223,389号; WO2005/051330; WO2005/051433; Csatary, et al., Anticancer Res. 19:635-638 (1999); Csatary, et al., J. Am. Med. Assoc. 281:1588-1589 (1999); Csatary, et al., J. Neurooncol. 67:83-93 (2004)。
【0020】
他の腫瘍溶解性ウイルスとしては、ヘルペスウイルス、レオウイルス、E1B欠失アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルスおよびポックスウイルスが挙げられる。これらの腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞を破壊するだけでなく、破壊された腫瘍細胞から抗原を放出し、それにより免疫応答を誘発する可能性を持つ。
【0021】
上述のように、免疫刺激薬は、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される。
【0022】
一つの実施態様において、免疫刺激薬は、CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬である。
【0023】
一つの実施態様において、CTLA−4遮断薬は、抗体またはその抗原結合フラグメントを含んでなる。CTLA−4遮断薬、抗体またはその抗原結合フラグメントを含んでなるものを含め、以下および引用することにより本明細書の一部とされる米国特許第7,229,628号にさらに詳しく記載される。
【0024】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は、顆粒球(granulocyes)および単球(プロト−マクロファージ)を産生し、樹状細胞の発達を促すように幹細胞を刺激する。GM−CSFは任意の供給源から、好都合には、GM−CSFをコードするコード領域で形質転換された組換え微生物で発現させ、そこから単離することによって誘導することができる。一つの実施態様において、GM−CSFは、その免疫刺激薬が投与される哺乳類の天然GM−CSFと少なくとも95%同一(例えば、少なくとも96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%または100%同一)である。
【0025】
一つの実施態様において、GM−CSFは、上述した腫瘍溶解性ウイルスの組換え株に由来する。一つの実施態様において、組換え腫瘍溶解性ウイルス内のGM−CSFをコードするコード領域は、構成プロモーターまたはin vivoにおいて腫瘍溶解性ウイルスを腫瘍細胞に注射した後に優勢となる条件によって誘導されるプロモーターの制御下に置かれる。特定の理論に縛られるものではないが、GM−CSFを発現する組換え腫瘍溶解性ウイルスは、樹状細胞作用の増強をもたらし得る(以下に述べる)。その後、組換え腫瘍溶解性ウイルス内のToll様受容体(TLR)アゴニストが樹状細胞を活性化して、次に、抗原特異的T細胞を活性化することができる。
【0026】
特定の理論に縛られるものではないが、CTLA−4遮断薬は、CTLA−4を介して媒介される阻害シグナルからT細胞を解放するものと予想される。CTLA−4により媒介されるシグナルは、細胞周期の進行およびIL−2発現を明らかに阻害する。これにより、抗原および共刺激CD28のシグナル伝達に対するT細胞応答が、CTLA−4遮断薬の存在下でアップレギュレーションされる。CTLA−4遮断薬は無刺激T細胞の増殖全般を促進するのではない。
【0027】
in vivoにおいてT細胞により媒介される応答は、細胞溶解性T細胞の生成および大部分の抗体応答、特に免疫グロブリンイソ型のクラススイッチを含む応答を含む。抗原刺激は感染細胞におけるウイルス抗原の存在;非天然状態の、もしくはこのようなタンパク質をコードする遺伝子の体細胞突然変異の過程で生じたタンパク質もしくはタンパク質の組合せを発現する腫瘍細胞;寄生体もしくは細菌の感染;または感作、例えば、腫瘍抗原の予防接種などであり得る。in vitroにおいて、当該法は、抗原に対する培養T細胞の応答を増強するために使用することもできる。このような活性化T細胞は、養子免疫療法、活性化機構の研究、薬物スクリーニングなどに使用が見出せる。
【0028】
CTLA−4遮断薬は、CTLA−4タンパク質の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、その対抗受容体、例えば、CD80、CD86などへの結合を遮断する分子である。通常、遮断薬の結合親和性は少なくとも約100μMである。遮断薬は、CD28などのCTLA−4の近縁分子やこの免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバーとは実質的に反応しない。従って、CD80およびCD86のような分子は遮断薬としては排除される。さらに、遮断薬はCTLA−4シグナル伝達を活性化しない。好都合には、これは一価または二価結合分子を用いることによって達成される。当業者には、異分子間の交差反応性および競合に関する以下の考察が、同種の起源を有する分子に関して言及することを意図するものであることが理解されるであろう(例えば、ヒトCTLA−4はヒトCD80および86と結合するなど)。
【0029】
候補遮断薬は、この基準を満たすそれらの能力に関してスクリーニングすればよく、このスクリーニングは当業者には慣例の実験の範囲である。例えば、結合の親和性および特異性を判定するアッセイは、競合および非競合アッセイを含め、当技術分野で公知である。着目されるアッセイとして、ELISA、RIA、フローサイトメトリーなどが挙げられる。結合アッセイは精製されたまたは半精製されたCTLA−4タンパク質を用いてもよいし、あるいはCTLA−4を発現するT細胞、例えば、CTLA−4の発現構築物でトランスフェクトされた細胞;CD3とCD28の架橋を介して刺激されたT細胞;照射した同種異系細胞の添加などを用いてもよい。結合アッセイの一例として、精製されたCTLA−4タンパク質を不溶性支持体、例えば、マイクロタイタープレート、磁性ビーズなどに結合させる。候補遮断薬および可溶性の標識CD80またはCD86を細胞に加えた後、非結合成分を洗い流せばよい。CTLA−4との結合をめぐってCD80およびCD86と競合する遮断薬の能力は、結合した標識CD80またはCD86を定量することによって測定される。遮断薬がCD28と交差反応しないという確認は、CTLA−4をCD28に置き換えて同様のアッセイを行えばよい。好適な分子としては、CTLA−4に対するよりも、少なくとも約10低い結合、より通常には少なくとも約10低い結合をCD28に対して示す。
【0030】
一般に、可溶性一価または二価結合分子は、CTLA−4シグナル伝達を活性化しない。確認には、T細胞の活性化を検出する機能アッセイを使用することができる。例えば、あるT細胞集団を、候補遮断薬の存在下または不在下、CD80またはCD86を発現する同種異系細胞に照射を行ったもので刺激すればよい。CTLA−4シグナル伝達を遮断する薬剤は、増殖および細胞周期の進行、IL−2の放出、CD25およびCD69のアップレギュレーションなどによって測定される、T細胞活性化の増大を生じる。当業者には、細胞表面での発現、リポソーム内へのパッケージング、粒子またはウェルへの接着などが分子の有効原子価を増すことが理解されるであろう。
【0031】
遮断薬には、ペプチド、小有機分子、ペプチドミメティクス、可溶性T細胞受容体または抗体などが含まれる。抗体は好ましい遮断薬である。抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよく;完全なものでも末端切断型、例えば、F(ab’)、Fab、Fvでもよく;異種、同種異系、同系またはそれらの改変型、例えば、ヒト化型、キメラ型などであり得る。
【0032】
多くの場合、遮断薬はオリゴペプチド、例えば、抗体またはそのフラグメントなどであるが、相対的に高い特異性および親和性を提供する他の分子も使用可能である。コンビナトリアルライブラリーは、必要な結合特性を有するオリゴペプチド以外の化合物を提供する。一般に、この親和性は少なくとも約10−6、より通常には約10−8M、すなわち、特異的モノクローナル抗体の場合に通常見られる結合親和性である。
【0033】
遮断薬には、いくつかのスクリーニングアッセイを利用できる。このようなアッセイの成分は一般に、CTLA−4タンパク質と、場合によりCTLA−4活性化剤、例えば、CD80、CD86などを含む。一般に、異なる薬剤濃度を用いて複数のアッセイ混合物を並行して実施し、種々の濃度に対する示差的反応を得ることができる。一般に、これらの濃度の1つを陰性対照、すなわち、ゼロ濃度または検出に満たないレベルとする。
【0034】
好都合には、これらのアッセイにおいて、1以上の分子を標識と結合させるが、この場合、この標識は直接的または間接的に検出可能なシグナルを提供する。様々な標識として、放射性同位元素、蛍光剤、化学発光剤、酵素、特異的結合分子、粒子、例えば、磁性粒子などが挙げられる。特異的結合分子には、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンと抗ジゴキシンなどのペアが含まれる。特異的結合メンバーに関しては、相補的メンバーを通常、既知の手順に従って、検出のために提供する分子で標識する。
【0035】
注目される1つのスクリーニングアッセイとして、その対抗受容体によりCTLA−4の活性化を妨げる薬剤に向けたものがある。活性化の定量は、当技術分野で公知のいくつかの方法によって行うことができる。例えば、T細胞活性化の阻害は、細胞増殖、サイトカインの放出を定量することなどによって測定することができる。
【0036】
注目される他のアッセイとして、CTLA−4とその対抗受容体との結合を遮断する薬剤に向けたものがある。アッセイ混合物は、天然対抗受容体の少なくとも一部、または特異的結合を提供するのに十分な配列類似性を有するオリゴペプチド、および候補医薬を含んでなる。オリゴペプチドは、アッセイ条件および要件に見合った任意の長さであってよく、通常には少なくとも約8aaの長さ、最大には全長タンパク質またはその融合物であり得る。CTLA−4は不溶性支持体に結合させてもよい。この支持体は、例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、レジン粒子など、多様な材料で製造され、多様な形状であってよい。支持体は、バックグラウンドを最小にし、かつ、シグナル/ノイズ比を最大にするように選択される。結合は当技術分野で公知の様々な方法によって定量することができる。結合を平衡に到達させるに十分なインキュベーション期間の後、不溶性支持体を洗浄し、残留する標識を定量する。結合を妨げる薬剤は検出される標識を少なくする。
【0037】
候補薬剤は多くの化学種を包含するが、一般には、有機分子、好ましくは、50ダルトンより大きく約2,500ダルトンより小さい分子量を有する小有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含んでなり、一般に、少なくとも1つのアミン、カルボニル、ヒドロキシル、スルフヒドリルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2つの官能性化学基を含む。候補薬剤は多くの場合、1以上の上記官能基で置換された環式炭素または複素環式構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含んでなる。候補薬剤は、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体またはそれらの組合せをはじめとする生体分子にも見られる。
【0038】
候補薬剤は、合成または天然化合物のライブラリーを含む多様な供給源から得ることもできる。例えば、多様な有機化合物および生体分子のランダム合成および定方向合成には、ランダムオリゴヌクレオチドの発現をはじめとする多くの手段が利用できる。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物ライブラリーが利用可能であるか、または容易に作製される。さらに、天然または合成により製造したライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的および生化学的手段によって容易に修飾される。既知の医薬剤に、構造類似体を作出するために、アシル化、アルキル化、エステル化、またはアミジフィケーション(amidification)などの定方向またはランダムな化学修飾を施してもよい。
【0039】
様々な他の試薬もこのスクリーニングアッセイに含めることができる。これらには、塩、中性タンパク質、例えば、アルブミン、洗剤などのような、最適なタンパク質−DNA結合を助け、かつ/または非特異的もしくはバックグラウンド相互作用を低減するために使用することができる試薬が含まれる。また、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌薬などのような、別の方法でアッセイ効率を改善する試薬も使用可能である。
【0040】
遮断薬として用いるのに好適な抗体は、宿主動物を、CTLA−4タンパク質の全部または一部を含んでなるペプチドで免疫化することによって得ることができる。好適な宿主動物としては、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ハムスター、ウサギなどが挙げられる。タンパク質免疫原の起源はマウス、ヒト、ラット、サルなどであり得る。宿主動物は一般に免疫原とは異なる種であり、例えば、ハムスターを免疫化するにはマウスCTLA−4を用い、マウスを免疫化するにはヒトCTLA−4を用いる。ヒトCTLA−4とマウスCTLA−4は、その細胞外ドメインに保存性の高いストレッチを含む(Harper et al. (1991) J. Immunol. 147: 1037-1044)。このように保存性の高い領域に由来するペプチドは、交差特異的抗体を作製するための免疫原として使用することができる。
【0041】
免疫原は、完全なタンパク質、またはそのフラグメントおよび誘導体を含み得る。好ましい免疫原は、ヒトCTLA−4の細胞外ドメイン(例えば、アミノ酸残基38〜161)の全部または一部を含んでなり、この場合、これらの残基は、天然CTLA−4に見られるグリコシル化などの翻訳後調節を含む。細胞外ドメインを含んでなる免疫原は、例えば、従来の組換え法を用いたクローニング遺伝子の発現、高レベルのCTLA−4を発現する選別細胞集団であるT細胞からの単離などの、当技術分野で公知の様々な方法で作製することができる。
【0042】
組換えまたは改変タンパク質の発現が望まれる場合には、CTLA−4の所望の部分をコードするベクターを使用する。一般に、発現ベクターは、CTLA−4分子の細胞外ドメインがトランスフェクト細胞の表面にあるように、あるいは、細胞外ドメインが細胞から分泌されるように設計される。細胞外ドメインを分泌させる場合には、細胞外ドメインのコード配列を、シグナルペプチドを含む、分泌を可能とする配列とインフレームで融合する。シグナルペプチドは外因性のものでも天然のものでもよい。免疫目的の融合タンパク質は、CTLA−4細胞外ドメインと免疫グロブリンの定常領域を連結したものである。例えば、マウスCTLA−4の細胞外ドメインとヒトCgI(例えば、ヒンジ−CH2−CH3)ドメインのヒンジ領域を連結したものを含んでなる融合タンパク質を、ハムスターの免疫に使用することができる。
【0043】
CTLA−4を細胞表面で発現させる場合には、細胞外ドメインのコード配列を、その細胞外ドメインを膜およびシグナル配列に係留するペプチドをコードする配列とインフレームで融合させる。このような係留配列としては、天然CTLA−4トランスメンブランドメイン、または他の細胞表面タンパク質、例えば、CD4、CD8、sIgなどのトランスメンブランドメインが含まれる。ヒトCTLA−4遺伝子でトランスフェクトされたマウス細胞を用いてマウスを免疫化し、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的な抗体を作製することができる。
【0044】
モノクローナル抗体は従来の技術によって作製することができる。一般に、免疫化した宿主動物の脾臓および/またはリンパ節が形質細胞源となる。これらの形質細胞は、骨髄腫細胞と融合させることにより不死化してハイブリドーマ細胞を作製することができる。個々のハイブリドーマからの培養上清を、所望の特異性を有する抗体を産生するものを同定するための標準技術を用いてスクリーニングする。ヒトタンパク質に対するモノクローナル抗体を作製するのに好適な動物としては、マウス、ラット、ハムスターなどが挙げられる。マウスタンパク質に対する抗体を作製するには、この動物は一般にハムスター、モルモット、ウサギなどである。抗体は、例えば、不溶性の支持体であるプロテインAセファロースなどに結合されたCTLA−4を用いたアフィニティークロマトグラフィーなどの従来技術によって、ハイブリドーマ細胞上清または腹水から精製することができる。
【0045】
抗体は、通常の多量体構造の代わりに一本鎖として作製することもできる。一本鎖抗体はJost et al. (1994) J.B.C. 269:26267-73およびその他に記載されている。重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域をコードするDNA配列は、グリシンおよび/またはセリンを含む小型の中性アミノ酸の少なくとも約4個のアミノ酸をコードするスペーサーと連結することができる。この融合物によってコードされるタンパク質は、元の抗体の特異性および親和性を保持する機能的可変領域のアセンブリを可能とする。
【0046】
in vivo使用、特にヒトへの注射に関しては、遮断薬の抗原性を低減することが望ましい。遮断薬に対するレシピエントの免疫応答は、その療法が有効である期間を短くする可能性がある。抗体をヒト化する方法は当技術分野で公知である。ヒト化抗体は、トランスジェニックヒト免疫グロブリン定常領域遺伝子を有する動物の産物であり得る(例えば、PCT公開WO90/10077およびWO90/04036参照)。あるいは、目的の抗体を、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメインおよび/またはフレームワークドメインを対応するヒト配列に置き換えるべく組換えDNA技術によって操作することもできる(WO92/02190参照)。
【0047】
キメラ免疫グロブリン遺伝子の構築のためのIg cDNAの使用は当技術分野で公知である(Liu et al. (1987) P.N.A.S. 84:3439および(1987) J. Immunol. 139:3521)。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞からmRNAを単離し、これを用いてcDNAを作製する。目的のcDNAは、特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって増幅することができる(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)。あるいは、ライブラリーを作製し、目的配列を単離するためにスクリーニングする。次に、抗体の可変領域をコードするDNA配列をヒト定常領域配列と融合させる。ヒト定常領域遺伝子の配列は、Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, N.I.H. publication no. 91-3242に見出せる。ヒトC領域遺伝子は既知のクローンから容易に入手できる。イソ型の選択は、補体結合などの所望のエフェクター機能、または抗体依存性細胞傷害性における活性を指針とすることができる。好ましいイソ型は、IgG1、IgG3およびIgG4である。ヒト軽鎖定常領域κまたはλのいずれかを使用することができる。その後、キメラ、ヒト化抗体を従来法によって発現させる。
【0048】
Fv、F(ab’)およびFabなどの抗体フラグメントは、完全なタンパク質の切断、例えばプロテアーゼまたは化学的切断によって作製することができる。あるいは、末端切断型遺伝子を設計することもできる。例えば、F(ab’)フラグメントの一部をコードするキメラ遺伝子は、末端切断型分子となるようにH鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域、その後に翻訳停止コドンをコードするDNA配列を含む。
【0049】
HおよびL J領域のコンセンサス配列を用い、J領域に、後にV領域セグメントをヒトC領域セグメントに結合させるのに有用な制限部位を導入するためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドを設計することができる。C領域のcDNAは、ヒト配列の類似の位置に制限部位を配置するための部位特異的突然変異誘発によって改変することができる。
【0050】
発現ベクターとしては、プラスミド、レトロウイルス、YAC、EBV由来エピソームなどが含まれる。好都合のベクターは、機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードし、任意のVHまたはVL配列を容易に挿入および発現可能なように操作された適当な制限部位を伴うものである。このようなベクターでは、スプライシングは通常、挿入されたJ領域のスプライス供与部位とヒトC領域の前のスプライス受容部位の間で、また、ヒトCHエキソン内に存在するスプライス領域においても生じる。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流の天然染色体部位で起こる。得られたキメラ抗体をレトロウイルスLTR、例えば、SV−40初期プロモーター(Okayama et al. (1983) Mol. Cell. Bio. 3:280)、ラウス肉腫ウイルスLTR(Gorman et al. (1982) P.N.A.S. 79:6777)およびモロニーマウス白血病ウイルスLTR(Grosschedl et al. (1985) Cell 41:885);天然Igプロモーターなどをはじめとする任意の強力なプロモーターと連結することができる。
【0051】
抗原に対する欠陥型の宿主T細胞応答に特徴的な状態としては、慢性感染、腫瘍、ペプチドワクチンによる免疫化などが含まれる。当該CTLA−4遮断薬をこのような宿主に投与すると、活性化T細胞の表現型を特異的に変化し、抗原により媒介された活性化に対する応答が増強される。
【0052】
CTLA−4遮断薬は、抗原刺激に対するT細胞の応答を増強するのに有効な用量で投与される。当該処置により、この活性化T細胞の応答は、休止T細胞よりも高い程度で影響を受け得る。T細胞応答の測定は、処置される条件によって異なる。T細胞活性の有用な尺度は、増殖、サイトカイン、例えば、IL−2、IFNg、TNFaなどの放出;CD25およびCD69などのマーカーの細胞発現;ならびに当技術分野で公知のT細胞活性の他の尺度であり得る。
【0053】
市販のCTLA−4遮断薬としては、イピリムマブ(Bristol-Myers Squibb, New York, NY)およびトレミリムマブ(tremilimumab)(Pfizer, New York, NY)が挙げられる。
【0054】
一つの実施態様において、免疫刺激薬はインターロイキン−21(IL−21)である。IL−21は、Parrish-Novak, et al, Nature 408:57-63 (2000); Wang, et al., Cancer Res. 63:9016-9022 (2003);およびThompson, et al., J. Clin. Oncol. 26:2034-2039 (2008)により記載されている。これらの文献は引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。
【0055】
インターロイキン−21(IL−21)は、先天免疫と適応免疫の双方に影響を及ぼすクラスIサイトカインである。IL−21の影響としては、腫瘍特異的CD8細胞傷害性Tリンパ球の活性化、増殖の増大および生存の延長;T細胞依存性B細胞増殖および抗体産生の増強;ならびにナチュラルキラー細胞の最終分化および活性化が含まれる。IL−2とは違い、IL−21は、CD4 T細胞を調節性T細胞抑制に対して耐性とし、調節性T細胞の増殖を促進せず、IL−21はまた、メモリーT細胞の生成の促進をもたらし得る。IL−21は、種々の前臨床癌モデルにおいて抗腫瘍効果を持つことが報告されている。
【0056】
ある研究では、マウスにおいて確立した皮下腫瘍を、流体力学に基づく遺伝子送達技術を用い、ネズミIL−21をコードするプラスミドDNAを全身投与することによって処置した。IL−21プラスミドDNAの投与の結果、in vivoにおいて高レベルの循環IL−21が得られた。担癌マウスをIL−21プラスミドDNAで処置したところ、対照プラスミドDNAで処置したマウスに比べ、B16黒色腫およびMCA205繊維肉腫の増殖を、有意な毒性なく、用量依存的に有意に阻害し、生存率も高めた。in vivoにおいてCD4またはCD8のいずれかのT細胞を枯渇させたが、IL−21により媒介される抗腫瘍活性は影響を受けなかった。しかしながら、NK細胞を枯渇させると、IL−21により誘導される腫瘍阻害は実質的に消失した。このことと一致して、IL−21の抗腫瘍活性は、NK細胞の細胞溶解活性の増強によって媒介されるものと思われた。この研究により、IL−21が有意な抗腫瘍活性を持ち、臨床において抗腫瘍薬としての治療可能性を持ち得ることが示唆された。
【0057】
一つの実施態様において、免疫刺激薬は抗CD40である。CD40は、TNFスーパーファミリーのメンバーであり、B細胞および樹状細胞で発現される。CD40リガンドは、活性化T細胞で発現される。樹状細胞においてCD40が刺激されると、樹状細胞の活性化とIL−12の放出が誘発される。CD40に対する刺激性抗体は、抗原特異的免疫応答を増強することができる。
【0058】
免疫刺激薬の投与は、抗原提示細胞を刺激するサイトカイン、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン12(IL−12)などの投与と組み合わせてもよい。T細胞の増殖および分泌を増強することが知られている、IL−I、IL−2、B7、抗CD3および抗CD28などの付加的タンパク質および/またはサイトカインを免疫刺激薬と同時または逐次に用いて、免疫応答を増強することができる。免疫刺激薬の投与は、種々のサイトカインまたは細胞表面受容体をコードする遺伝子による腫瘍細胞または腫瘍浸潤リンパ球のトランスフェクションと組み合わせてもよい(Ogasawara et al. (1993) Cancer Res. 53:3561-8;およびTownsend et al. (1993) Science 259:368-370参照)。例えば、CD80をコードするcDNAによる腫瘍細胞のトランスフェクションはトランスフェクトされた腫瘍細胞の排除をもたらし、その後の非トランスフェクト親腫瘍細胞による攻撃に対して免疫を誘導することができることが示されている(Townsend et al. (1994) Cancer Res. 54:6477-6483)。
【0059】
腫瘍特異的宿主T細胞は、ex vivoにおいて、免疫刺激薬および腫瘍抗原または腫瘍細胞と組み合わせ、患者に再注入してもよい。宿主に投与すると、刺激された細胞は腫瘍死滅反応誘発し、その結果、腫瘍が退縮する。これらの宿主細胞は、リンパ節、例えば、鼠径リンパ節、腸間膜リンパ節、表在性遠位液窩リンパ節;骨髄;脾臓;または末梢血などの種々の供給源から、ならびに腫瘍、例えば、腫瘍浸潤リンパ球から単離することができる。細胞は同種異系のものであってよく、自己のものが好ましい。ex vivo刺激については、宿主細胞を無菌的に取り出し、当技術分野で公知の任意の好適な培地に懸濁させればよい。これらの細胞を、種々のプロトコールのいずれか、特に、B7、抗CD28などの組合せにより、遮断薬と組み合わせて刺激することができる。刺激された細胞は、結合剤、増量剤、担体、保存剤、分解防止剤、乳化剤およびバッファーなどの添加剤を含む種々の医薬処方物として、例えば静脈注射、腹腔内注射などの注射によって宿主に再導入することができる。好適な希釈剤および賦形剤としては、水、生理食塩水、グルコースなどが挙げられる。
【0060】
免疫刺激遮断薬の投与によって増殖が低下可能な腫瘍細胞としては、癌腫、例えば、乳房、卵巣、子宮内膜、頸部、結腸、肺、膵臓、食道、前立腺、小腸、直腸、子宮または胃に原発腫瘍部位を持ち得る腺癌;ならびに肺、口腔、舌、喉頭、食道、皮膚、膀胱、頸部、眼瞼、結膜、膣などに原発部位を持ち得る扁平上皮癌が含まれる。処置可能な他のクラスの腫瘍としては、肉腫、例えば、筋原性肉腫;神経腫;黒色腫;白血病、ある種のリンパ腫、栄養膜腫瘍および生殖細胞腫瘍;神経内分泌腫瘍および神経外胚葉性腫瘍が含まれる。
【0061】
特に注目される腫瘍としては、腫瘍特異的抗原を提示するものが含まれる。このような抗原は、異常な関係性で、または異常に高いレベルで提示され得るか、または突然変異型であり得る。この腫瘍抗原は、腫瘍細胞に対する宿主T細胞応答を増強するために当該遮断薬とともに投与することができる。このような抗原調製物は、精製タンパク質、または腫瘍細胞由来の溶解液を含んでなり得る。
【0062】
腫瘍抗原の例としては、癌腫の抗原としてのサイトケラチン、特に、サイトケラチン8、18および19が挙げられる。上皮膜抗原(EMA)、ヒト胚抗原(HEA−125);ヒト乳脂肪球、MBr1、MBr8、Ber−EP4、17−1A、C26およびT16も既知の癌腫抗原である。デスミンおよび筋肉特異的アクチンは、筋原性肉腫の抗原である。胎盤アルカリ性ホスファターゼ、β−ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンおよびα−フェトタンパク質は、栄養膜腫瘍および生殖細胞腫瘍の抗原である。前立腺特異的抗原としては、前立腺癌腫の抗原、結腸腺癌の癌胎児性抗原がある。HMB−45は、黒色腫の抗原である。クロモグラニン(Chromagranin)−Aおよびシナプトフィジンは、神経内分泌腫瘍および神経外胚葉性腫瘍の抗原である。特に注目されるものとしては、壊死領域を有する固形腫瘍塊を形成する急速進行性腫瘍が挙げられる。このような壊死細胞の溶解は、抗原提示細胞のための抗原の豊富な供給源である。
【0063】
免疫刺激薬の投与は、ある種のリンパ腫に対しては禁忌である場合がある。特に、T細胞リンパ腫は、活性化の増大からは利益を受けない場合がある。CD80抗原は、ホジキン病のリード・シュテルンベルク(Reed-Sternberg)細胞によって強く発現され、CD28発現T細胞によって取り囲まれている場合が多い(Delabie et al. (1993) Blood 82:2845-52)。このリード・シュテルンベルク細胞の補助的細胞機能はT細胞の活性化をもたらし、ホジキン症候群の一因となることが示唆されている。
【0064】
化学療法および放射線療法などの多くの従来の癌療法が、リンパ球集団を著しく減らしてしまう。免疫刺激薬の投与はこの免疫抑制をある程度緩和することができるが、1つの併用治療コースとして、腫瘍抗原をさらに放出させるため、または免疫調節リンパ球集団を減らすために当該療法の前および/または後にこのようなリンパ球毒性療法を用いるものがある。
【0065】
アジュバントは抗原に対する免疫応答を増強する。免疫刺激薬は、T細胞の活性化を増強し、抗体産生細胞のクラススイッチを増大させ、それにより、免疫原に応答して産生されるIgGクラス抗体の濃度を高めるためにアジュバントとして用いられる。免疫刺激薬は、アジュバント使用に関する従来技術に従って、生理学上許容される媒体中で免疫原と合わせる。免疫原は単一の処方物として免疫刺激薬と合わせてもよいし、あるいは別に投与してもよい。免疫原としては、多糖、タンパク質、タンパク質フラグメント、ハプテンなどが含まれる。特に注目されるものとして、ペプチド免疫原の併用がある。ペプチド免疫原としては、上記のような腫瘍抗原およびウイルス抗原またはそれらのフラグメントが挙げられる。
【0066】
免疫刺激薬は、モノクローナル抗体生産用の、例えばマウス、ラット、ハムスター、ウサギなどの実験動物の免疫化の際に使用することができる。免疫刺激薬を投与すると、抗原に対する応答レベルが高まり、クラススイッチを受ける形質細胞の割合が増える。
【0067】
免疫刺激薬は、例えば不死化細胞系統、混合または精製細胞集団の初代培養物、非形質転換細胞などの任意のin vitro細胞培養系を含む、培養T細胞の活性化を増強するためにin vitroにおいて投与することができる。特に注目されるものとしては、細胞が患者または同種異系ドナーから取り出され、ex vivoで刺激され、患者に再注入され得る初代T細胞培養物である。
【0068】
場合によっては、過剰なT細胞増殖のために治療期間を制限するのが望ましいこともある。これらの制限は、療法に対する患者の応答、患者のT細胞数などに応じて経験的に決定することができる。T細胞数は、T細胞特異的抗体による染色およびフローサイトメトリーを含む当技術分野で公知の方法によって患者においてモニタリングすることができる。
【0069】
また、免疫刺激の機能的効果は、当該発明を用いた場合に見られる細胞内シグナル伝達における変換を模倣する他の薬剤の投与によって誘導することもできる。例えば、特定の細胞質キナーゼが細胞外受容体の結合に応答して活性化され得ることが知られている。キナーゼ活性を遮断する薬剤は、受容体結合の遮断と類似の生理学的効果を持つであろう。同様に、環状AMP、GTP濃度および細胞内カルシウムレベルを高める薬剤は、細胞外受容体結合の場合に見られるものと類似の生理学的効果をもたらし得る。
【0070】
腫瘍を有するいずれの哺乳類にも、腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を施すことができる。哺乳類は、ヒトまたはヒトにとって経済的または美的有用性を有する哺乳類、例えば、農用動物、補助動物またはペットであり得る。一つの実施態様において、哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットからなる群から選択される。
【0071】
一つの実施態様において、腫瘍は、脳、肺、皮膚、口腔、食道、胃、小腸、大腸、結腸、肝臓、腎臓、乳房、卵巣、前立腺、精巣、膵臓、膀胱およびリンパ節からなる群から選択される器官におけるものである。
【0072】
腫瘍溶解性ウイルスと免疫刺激薬は哺乳類に、同じ経路によって投与してもよいし、または異なる経路によって投与してもよい。一つの実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスを、例えば腫瘍内注射によって腫瘍に投与し、免疫刺激薬を、例えば血管内、皮下、腹腔内などで全身投与する。
【0073】
腫瘍溶解性ウイルスの別の投与経路としては、静脈注射、筋肉注射、吸入(肺の腫瘍に特に好適であり得る)、または直腸(大腸または結腸の腫瘍に特に好適であり得る)経路が含まれる。
【0074】
腫瘍溶解性ウイルスの用量レベルは、医師または獣医師によって慣例的に選択することができる。望ましくは、腫瘍溶解性ウイルスの用量は、所望の治療応答が迅速に起こるに十分多く、患者に対して有害とならないよう十分少ないものである(ここで、「患者に対して有害」とは、重度の悪心および毛髪の喪失などの、薬物または放射線に基づく抗癌療法の典型的な症状、ならびに重度の呼吸器系疾患、重度の消化管障害、神経系の損傷などの鳥類のNDV感染の典型的症状、および呼吸困難、下痢、脱水、一時的血小板減少症および広汎性血管漏出などのヒトに対する過量のNDVの症状を含む。軽度の発熱、結膜炎、その他の一時的な風邪のような症状は「患者に対して有害」ではない)。例えば、NDV株PV−701は、進行固形癌を有する患者において、i.v.経路による場合には少なくとも3×10感染性粒子、そして腫瘍内経路による場合には少なくとも4×1012の用量で、十分な耐用性がある。患者がより低い初期用量で脱感作された場合、最大耐用量(MTD)は約10倍増加した。
【0075】
一つの実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、約2〜4ヶ月間、週に1回腫瘍内注射によって投与した後、約2〜4か月おきに腫瘍内注射1回の維持レジメンを行う。
【0076】
免疫刺激薬の用量は、疾病の性質、投与頻度、投与様式、投与目的、宿主からの薬剤の排泄などによって、幅広く変更可能である。投与量は、特定の薬剤の薬力学的特徴、投与の様式および経路、レシピエントの齢、健康状態および体重、症状の性質および程度、併用治療、治療頻度、ならびに望まれる高価などの既知の因子によって異なる。この用量は、毎週もしくは隔週といった低頻度で投与してもよいし、または有効用量レベルを維持するために、少用量に分割して毎日、週2回などの投与を行ってもよい。一般に、有効成分の1日量は約0.1〜100mg/体重kgとすることができる。内服投与に好適な投与形は一般に、1単位当たり約0.1mg〜500mgの有効成分を含有する。有効成分は、免疫刺激薬の総重量に対して0.5〜95重量%まで可変である。
【0077】
一般に、免疫刺激薬は、本発明の方法に従って投与した場合、腫瘍溶解性ウイルスを伴わずに投与した場合の免疫刺激薬で一般に見られるものよりも低用量で有効であり得る。
【0078】
一つの実施態様において、免疫刺激薬は、約2〜4か月間、約2〜4週おきに1回、約10mg/体重kgの用量で静脈注射によって投与し、その後、約2〜4か月おきに1回、約10mg/体重kg用量の静脈注射で維持レジメンを行う。
【0079】
当該免疫刺激薬は、例えば、生理食塩水、植物油、鉱油、PBSなどの薬学上許容される媒体中の有効用量で処方物として調製することができる。治療製剤は、生理学上許容される液体、ゲルまたは固体担体、希釈剤、アジュバントおよび賦形剤を含み得る。添加剤は、殺菌剤、例えばNaCl、マンニトールなどの等張性を維持する添加剤;および例えばバッファーおよび保存剤などの化学的安定性を維持するための添加剤などを含み得る。免疫刺激薬はカクテルとして投与してもよいし、または単一の薬剤として投与してもよい。非経口投与に関しては、免疫刺激薬は、薬学上許容される非経口ビヒクルと組み合わせた溶液、懸濁液、エマルションまたは凍結乾燥粉末として処方することができる。リポソーム、または硬化油などの非水性ビヒクルも使用可能である。処方物は当技術分野で公知の技術によって滅菌することができる。
【0080】
腫瘍溶解性ウイルスは、免疫刺激薬が投与される前のある時点で、哺乳類に投与することができる。一つの実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、免疫刺激薬が投与される1日〜5日前に投与される。特定の理論に縛られるものではないが、腫瘍溶解性ウイルスは、2つの役割を果たし得る。第一に、腫瘍溶解性ウイルスはいくつかの腫瘍細胞を直接死滅させることができる。第二に、腫瘍溶解性ウイルスは、それが死滅させる腫瘍細胞の溶解を導くことによって免疫系を刺激することができ、その後、溶解によって放出された腫瘍細胞抗原は樹状細胞によって捕捉され、T細胞を刺激し、それにより、その哺乳類の免疫系による他の腫瘍細胞の死滅を促進する。免疫刺激薬は、後者のプロセスを促進することができる。例えば、CTLA−4遮断薬は、T細胞をダウンレギュレーションするCTLA−4の活性を低減させ得る。ウイルスはまた、免疫細胞においてtoll様受容体(TLR)を誘発することにより、先天免疫を直接活性化させることができる。
【0081】
腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を投与することに加え、種々の実施態様では、この方法は付加的工程をさらに含んでなってよい。
【0082】
一つの実施態様において、この方法は、腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を除く他の抗癌薬を哺乳類に投与することをさらに含んでなる。いずれの既知の抗癌薬も、抗癌療法の熟練者に知られた経路、用量および治療レジメンで投与することができる。
【0083】
さらなる一つの実施態様において、前記抗癌薬は、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン、アクチノマイシンD、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン(mitozantrone)、オキサリプラチン、プロカルバジン、ステロイド、ストレプトゾシン、タキソテール、テモゾロミド(tamozolomide)、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トポテカン、トレオスルファン、UFT(ウラシル−テガフール(tegufur))、ビンブラスチン、ビンデシン、およびそれらの2種類以上からなる群から選択される。
【0084】
別のさらなる実施態様では、抗癌薬は、アレムツズマブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ベバシズマブ、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン(campothecin)、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、CeaVac、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エドレコロマブ、エピルビシン、エピラツズマブ、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、ゲニステイン、ゴセレリン、huJ591、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イダルビシン、イフォスファミド、IGN−101、イマチニブ、インターフェロン、インターロイキン−2、イリノテカン、イロノテカン(ironotecan)、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、リンツズマブ、ロムスチン、MDX−210、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ミツモマブ、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、ペルツズマブ、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ソラフィニブ(sorafinib)、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タモキシフェン、テモゾロマイド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トポテカン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、チボシニブ(tivosinib)、バタラニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、およびそれらの2種類以上からなる群から選択される。
【0085】
さらに別のさらなる実施態様では、抗癌薬は、MDX−010;MAb、AME;ABX−EGF;EMD72000;アポリズマブ;ラベツズマブ;ior−tl;MDX−220;MRA;H−11 scFv;オレゴボマブ;huJ591 MAb、BZL;ビジリズマブ;TriGem;TriAb;R3;MT−201;G−250、非複合体;ACA−125;Onyvax−105;CDP−860;BrevaRex MAb;AR54;IMC−1C11;GlioMAb−H;ING−1;抗LCG MAb;MT−103;KSB−303;Therex;KW−2871;抗HMI.24;抗PTHrP;2C4抗体;SGN−30;TRAIL−RI MAb、CAT;前立腺癌抗体;H22xKi−4;ABX−MA1;イムテラン(Imuteran);モノファーム(Monopharm)−C;AV−299;およびそれらの2種類以上からなる群から選択される。
【0086】
腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬以外のこれら抗癌薬は、それらの作用機序によって例えば以下の群に分類することができる:ピリミジン類似体(例えば、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビンおよびシタラビン)およびプリン類似体、葉酸拮抗薬および関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン))などの抗代謝産物/抗癌薬;ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン)などの天然物、微小管崩壊剤[タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビンなど]、エピジポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(テニポシド)、DNA傷害薬(例えば、アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、サイトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イホスファミド、メルファラン、メルクロレアミン(merchlorethamine)、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、パクリタキセル、プリカマイシン、プロカルバジン、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびエトポシド(VP16))を含む抗増殖/抗有糸分裂薬;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシンなどの抗生物質;酵素(例えば、L−アスパラギンを全身代謝し、それら独自のアスパラギンを合成する能力を持たない細胞を枯渇させるL−アスパラギナーゼ);抗血小板薬;ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン、およびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、スルホン酸アルキル−ブスルファン、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(trazenes - dacarbazinine)(DTIC)などの抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤;葉酸類似体(例えば、メトトレキサート);プラチナ錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミドなどの抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗薬;ホルモン、ホルモン類似体(例えば、エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)およびアロマターゼ阻害剤(例えば、レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固薬(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩および他のトロンビン阻害剤);繊維素溶解薬(組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼなど)、アスピリン、COX−2阻害剤、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走薬;分泌抑制薬(例えば、ブレベルジン);免疫抑制薬(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);抗血管形成化合物(例えば、TNP−470、ゲニステイン)および増殖因子阻害剤(例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤、繊維芽細胞増殖因子(FGF)阻害剤、上皮細胞増殖因子(EGF)阻害剤);アンギオテンシン受容体遮断薬;酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(例えば、トラスツズマブおよび上記に挙げられている他のもの);細胞周期阻害剤および分化誘導物質(例えば、トレチノイン);mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT−11)およびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン(methylpednisolone)、プレドニゾンおよびプレドニソロン(prenisolone));増殖因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;ミトコンドリア機能不全誘発薬およびカスパーゼアクチベーター;クロマチン崩壊薬。
【0087】
腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬以外の抗癌薬の用量を減らしたり、治療レジメンを短縮または弱化したりしても、本方法の一部として行う場合には、腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬以外の抗癌薬をそれ自体で投与する場合よりも有効であり得ることが当業者には分かるであろう。特定の実施態様において、抗癌薬または薬剤組合せの有効用量(ED50)は、本発明の腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬と併用する場合には、抗癌薬単独のED50の少なくとも2分の1、いっそうより好ましくは5分の1、10分の1、さらには25分の1である。逆に、このような抗癌薬または薬剤組合せの治療係数(TI)は、本発明の腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬と併用する場合には、従来の化学療法レジメン単独のTIの少なくとも2倍、いっそうより好ましくは5倍、10倍、さらには25倍であり得る。
【0088】
一つの実施態様において、本方法は、哺乳類に放射線療法を施すことをさらに含んでなる。いずれの既知の放射線源を、癌に対する放射線療法の熟練者に知られている技術、線量および治療レジメンで施してもよい。放射線療法の線量を減らしたり、治療レジメンを短縮または弱化したりしても、本方法の一部として行う場合には、放射線療法をそれ自体で施す場合よりも有効であり得ることが当業者には分かるであろう。
【0089】
本方法の実施からもたらされる治療の進行は、限定されるものではないが、とりわけ、非侵襲的画像法、生検および腫瘍活性(一般に腫瘍質量に相関)の血中マーカーの分析を含む当業者に公知の技術によって慣例的にモニタリングすることができる。
【0090】
別の実施態様において、本発明は、腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬、ならびにその腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を、腫瘍を有する哺乳類に投与することに関する説明書を含んでなるキットに関する。腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬は上記の通りであり得る。
【0091】
一つの実施態様において、本発明は、第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍、またはその双方を治療する方法に関する。この方法は、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、および免疫刺激薬を該哺乳類に全身投与することを含んでなる。
【0092】
一般的な癌の進行は、原発腫瘍が哺乳類の身体の特定の組織、器官、または器官系に発生することである。その後、原発腫瘍の1以上の細胞が哺乳類の血液またはリンパを通じて移動することにより、原発腫瘍の1以上の転移が哺乳類身体の他の特定の組織、器官または器官系に生じ得る。
【0093】
多くの場合、転移癌を治療することは原発腫瘍の場合よりも難しい。転移癌は、種々の治療選択に従いにくい1以上の場所、および/または種々の治療選択が比較的効果的でないような多数の部位で生じ得る。さらに、転移癌は、原発腫瘍が比較的進行し、患者の予後がすでに比較的悪い場合に生じる。
【0094】
予期しないことに、本発明者らは、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍(原発腫瘍または転移腫瘍であり得る)に投与すること、および免疫刺激薬を哺乳類に全身投与することによって、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与することだけまたは免疫刺激薬を哺乳類に全身投与することだけを行う場合に見られるものよりも、第二の腫瘍の大きさをより縮小できることを見出した。
【0095】
本明細書において「腫瘍」とは、特に、この語を含む句または文章が、その語が固形新生物を表すことが当業者に示唆される下りを除き、固形新生物に見られるものに限らず、任意の新生細胞に対して用いられる。
【0096】
腫瘍溶解性ウイルスは上記の通りであり得る。一つの実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、パラミクソウイルス、レオウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびセムリキ森林ウイルスからなる群から選択される。
【0097】
免疫刺激薬は上記の通りであり得る。一つの実施態様において、免疫刺激薬は、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される。
【0098】
一つの実施態様において、この方法は、第一の腫瘍に局部的抗癌療法を施すことをさらに含んでなる。局部的抗癌療法は放射線療法であり得るが、代わりに、または加えて、標的化学療法を含む標的療法などの他の局部的抗癌療法を使用することもできる。予期しないことに、本発明者らは、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、免疫刺激薬を哺乳類に全身投与すること、および局部的抗癌療法を第一の腫瘍に施すことによって、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与することだけ、免疫刺激薬を哺乳類に全身投与することだけ、または局部的抗癌療法を第一の腫瘍に投与することだけを行う場合に見られるものよりも、第二の腫瘍の大きさをより縮小できることを見出した。
【0099】
腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、および免疫刺激薬を哺乳類に全身投与することによって、第一の腫瘍の大きさを縮小することができる。また、腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、免疫刺激薬を哺乳類に全身投与すること、および局部的抗癌療法を第一の腫瘍に施すことによって、第一の腫瘍の大きさを縮小することができる。
【0100】
一つの実施態様において、本発明は、腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬、ならびに腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、および免疫刺激薬を哺乳類に全身投与することによって、第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍またはその双方を治療することに関する説明書を含んでなるキットに関する。
【0101】
一つの実施態様において、本発明は、薬剤としての腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬に関する。さらなる実施態様において、本発明は、薬剤としての腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬および抗癌療法に関する。
【0102】
一つの実施態様において、本発明は、第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍またはその双方の治療を目的とした薬剤の製造のための腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬の使用に関する。さらなる実施態様において、本発明は、第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍またはその双方の治療を目的とした薬剤の製造のための腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬および抗癌薬の使用に関する。
【0103】
一つの実施態様において、本発明は、腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を含んでなるキットに関する。さらなる実施態様において、本発明は、腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬および抗癌療法を含んでなるキットに関する。指定された成分は、目的指向適用(本明細書に示される通り)機能的単位を形成する(本明細書で示される理由で)。
【0104】
以下、実施例を示し、本発明の特定の実施態様を説明する。当業者には、以下の実施例に開示されている技術が本発明の実施において十分機能することが発明者らによって見出された技術を表すことが理解されるはずである。しかしながら、当業者には、本開示に照らして、開示されている特定の実施態様に多くの変更を行っても、なお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様の、または類似体時の結果が得られることが理解されるはずである。
【実施例】
【0105】
8〜10週齢の雄C57B16Jマウスを用いた。これらのマウスの平均体重は20〜22gであった。マウスを、1群各5または6匹ずつの6つの試験群に分けた。実験群は次の通りであった。
第1群 Mock処置(腫瘍内および腹腔内PBS、切断)
第2群 X線処置
第3群 ニューカッスル病ウイルス(NDV)処置
第4群 NDV処置およびX線処置
第5群 CTLA4処置
第6群 NDV処置、抗CTLA−4処置およびX線処置
【0106】
以下の手順を行った。
0日目に、20μl容量のPBS中、300,000個の腫瘍細胞(MCA205、B16ova)(第1群〜6群)を右足蹠に移植した。
6日後、100μl容量のPBS中、200,000個の腫瘍細胞(MCA205、Bl6ova)(第1群〜6群)を左側腹(すなわち、反対側)に移植した。
12日目に、足蹠腫瘍が明らかに視認できた。第2群、4群および6群の足蹠腫瘍に、0.528Gy/分の線量率で4GyのX線を照射した。腫瘍照射中、マウス身体の残りの部分は鉛で遮蔽した。
X線処置後すぐに、第3、4群および6群では、足蹠腫瘍に10μlのPBS中0.6×10個のNDV MTH68H株ウイルス粒子を注射した。第1群には、10μlのPBSのmock注射を施した。実験期間の間、NDV処置は、月〜金曜の毎日1回、週に5回行った。第2週目の処置以降、20μlのNDV溶液(1.2×10個のウイルス粒子)を注射した。
第5群および6群には、1回目のX線処置の1時間後、抗CTLA−4を腹膜内に投与した(100μg/マウス、およそ100μl PBS中)。第1群には、100μl PBSのmock注射を施した。処置は3日おきに5回繰り返した。
第1群〜6群について、足蹠腫瘍と反対側腫瘍の双方の腫瘍増殖を平均腫瘍体積から定量した。
【0107】
図1は、足蹠腫瘍の増殖を示す。照射とNDVと抗CTLA−4の組合せを施した第6群は、32日目において、第2群(照射だけを施与)および第4群(照射とNDVを施与)の双方を含む他のどの群よりも腫瘍体積が小さかった。
【0108】
図2は、第1群〜6群について、反対側の側腹腫瘍の増殖を示す。上記から明らかであることが示されるように、側腹腫瘍は照射、ウイルス注射または抗CTLA−4によって直接処置されなかった。照射とNDVと抗CTLA−4の組合せを施した第6群は、19〜28日目において、第2群(照射だけを施与)および第4群(照射とNDVを施与)の双方を含む他のどの群よりも腫瘍体積が小さかった。
【0109】
本明細書に開示され、特許請求される組成物および方法は総て、本開示に照らし、過度な実験を行わなくとも実施および達成可能である。本発明の組成物および方法は特定の実施態様において記載されているが、変形形態が、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に記載されている組成物および方法、方法の工程または一連の工程に適用可能であることは当業者には自明である。より具体的には、本明細書に記載されている薬剤を、化学的に関連するある特定の薬剤に置き換えても同じまたは類似の結果を達成できるのは明らかである。このような当業者に自明の類似の置換および改変は総て、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲および概念の範囲内にあると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍、またはその双方を治療する方法であって、
腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること;および
免疫刺激薬を該哺乳類に全身投与すること
を含んでなる、方法。
【請求項2】
腫瘍溶解性ウイルスが、パラミクソウイルス、レオウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびセムリキ森林ウイルスからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
免疫刺激薬が、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一の腫瘍に局部的抗癌療法を施すこと
をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
局部的抗癌療法が放射線療法である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
哺乳類に腫瘍溶解性ウイルスと免疫刺激薬を投与すること
を含んでなる、方法。
【請求項7】
免疫刺激薬が、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
免疫刺激薬が、CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
CTLA−4遮断薬が、抗体またはその抗原結合フラグメントを含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
腫瘍溶解性ウイルスが、パラミクソウイルス、レオウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびセムリキ森林ウイルスからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
パラミクソウイルスが、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、麻疹ウイルスおよび流行性耳下腺炎ウイルスからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
NDVが、MTH68/H、PV−701および73−Tからなる群から選択される株に由来する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
哺乳類が、脳、肺、皮膚、口腔、食道、胃、小腸、大腸、結腸、肝臓、腎臓、乳房、卵巣、前立腺、精巣、膵臓、膀胱およびリンパ節からなる群から選択される器官に腫瘍を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を除く他の抗癌薬を哺乳類に投与することをさらに含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記抗癌薬が、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン、アクチノマイシンD、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、プロカルバジン、ステロイド、ストレプトゾシン、タキソテール、テモゾロミド、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トポテカン、トレオスルファン、UFT(ウラシル−テガフール)、ビンブラスチン、ビンデシン、およびそれらの2種類以上からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
哺乳類に放射線療法を施すことをさらに含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬、ならびにその腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫刺激薬を哺乳類に投与することに関する説明書を含んでなる、キット。
【請求項18】
免疫刺激薬が、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
免疫刺激薬が、CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬である、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
CTLA−4遮断薬が、抗体またはその抗原結合フラグメントを含んでなる、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
腫瘍溶解性ウイルスが、パラミクソウイルス、レオウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびセムリキ森林ウイルスからなる群から選択される、請求項17に記載のキット。
【請求項22】
パラミクソウイルスが、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、麻疹ウイルスおよび流行性耳下腺炎ウイルスからなる群から選択される、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
NDVが、MTH68/H、PV−701および73−Tからなる群から選択される株に由来する、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
腫瘍溶解性ウイルス、免疫刺激薬、ならびに腫瘍溶解性ウイルスを第一の腫瘍に投与すること、および免疫刺激薬を哺乳類に全身投与することによって、第一の腫瘍を有する哺乳類において第一の腫瘍、第二の腫瘍またはその双方を治療することに関する説明書を含んでなる、キット。
【請求項25】
腫瘍溶解性ウイルスが、パラミクソウイルス、レオウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびセムリキ森林ウイルスからなる群から選択される、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
免疫刺激薬が、(i)CTLA−4の細胞外ドメインと特異的に結合し、CTLA−4の、CD80またはCD86への結合を遮断するCTLA−4遮断薬;(ii)インターロイキン−21(IL−21);(iii)抗CD40;(iv)GM−CSF;およびその2つ以上からなる群から選択される、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
説明書が、
第一の腫瘍に局部的抗癌療法を施すこと
をさらに含む、請求項24に記載のキット。
【請求項28】
局部的抗癌療法が放射線療法である、請求項24に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−527465(P2012−527465A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511934(P2012−511934)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/035113
【国際公開番号】WO2010/135242
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511281187)エデン、セラピューティックス、インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】EDEN THERAPEUTICS, INC.
【Fターム(参考)】