説明

免疫学的寛容および調節性前駆細胞

本明細書に記載するのはリンパ球とリンパ球により外来と認識される物質との間の免疫反応を調節する方法である。この方法は、ヒト臍帯の脈管周囲細胞に由来するHUCPVCと呼ばれる新規クラスの前駆細胞の免疫調節活性を活用する。この方法は培養したHUCPVCにより滲出する可溶性因子も使用することができる。この方法は対宿主性移植片病、自己免疫障害等を含む免疫障害を処置するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は免疫学的寛容(immunoprivileged)および/または免疫調節性(immunomodulatory)である前駆細胞、それらの生産、それらの製剤およびそれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
成人の骨髄(BM)は、インビトロで骨格組織;骨2−4、軟骨5−7、脂肪および筋肉に分化する能力により機能的に定義される間葉系幹/前駆細胞(MSC)(間葉系ストローマ細胞とも呼ばれる)の最も通常の供給源である。MSCは古典的には組織培養プラスチックへの接着および繊維芽細胞コロニー形成単位(colony unit−fibroblasts:CFU−Fs)の形成を介して異質な環境の細胞から識別され、その頻度は成人の骨髄で1:100,000〜1:500,000の有核細胞であり10、そして現在の研究ではMSCを分類する一揃いのマーカーが同定されている10、11。この低比率のMSCは、任意の種類の細胞療法に適する細胞数を達成するために使用前に培養による拡大および選択を必要とする。脂肪組織12、海綿質13および胎児肝臓14のような他の新たに生じたMSC源があり、これらはそれぞれ1:3215、1:63613および1:88,49514のCFU−F頻度を有する。脂肪組織が最高頻度の前駆細胞を有するようであるが、これら細胞の倍加時間は3.6〜4.4日15の間の範囲であり、そして抽出手順が複雑で侵襲的かつ長い12。海綿質の収穫は、低い細胞収量(若年の供与体に由来する骨の89x10細胞/グラム13)を生じ、これはCFU−F頻度と合わせると特に低く、しかも極度に侵襲的で供与体の部位を病的状態にする。
【0003】
これらの新規MSC源の中でも独自であるのはヒト臍帯脈管周囲細胞(HUCPVC)であり、これは容易に入手でき、20時間の細胞倍加時間を持つ高度に増殖性の細胞供給源である(血清に依存する)16。HUCPVC中のCFU−Fの頻度は、継代0で1:300だが、継代1で1:3に増加し17、この規模の次元は骨髄よりも高い16。したがってHUCPVCは大変早く分裂が進む非常に高いMSC比率を有する細胞集団を表し、これによりそれらは臨床的な間葉系療法の優れた候補となる。これらの細胞はマーカー発現の表現型および分化能を決定するために様々なアッセイに使用され16、18、そしてBM−MSCと生物学的等価であるか、またはより良い性能であることが分かった。
【0004】
それらの分化能力に加えて、BM−MSCが免疫学的寛容および免疫調節性の両方となることが示されたので、MSCも有望な免疫学的用途を有する19−21。これらの用語は、ミスマッチの宿主免疫系からの認識を逃れる細胞の能力、およびその系により進行している応答を和らげる能力をそれぞれ指している。骨髄以外の幾つかの供給源に由来するMSCがそれらの免疫原性についてインビトロ培養で試験された。成人の皮および脂肪吸引(dermolipectomy)に由来する脂肪組織からのMSCは、インビトロで免疫学的寛容および免疫調節性の両方となり得ることが示され22、一方、胎児肝細胞はミスマッチの免疫応答を避けることができることが分かったが、それらはリンパ球の2つのミスマッチした集団により引き起こされるアロ反応性(alloreactivity)を調節(modulate)することができなかった23、24。このようにMSCの供給源はこれら細胞の免疫原性能力に直接影響を及ぼす。
【0005】
このインビトロの研究は、臨床的な設定で確認するために始まった;例えばある少年は彼の母親に由来するハプロ同一性骨髄MSCの移植により重篤な急性の対宿主性移植片病
(GvHD)から救済された25。処置から1年後、同じ重篤度レベルのこの疾患に罹患している患者のコホートと比較して、彼だけが生存していた。この初期の患者から、8名の患者が揃ってBM−MSCで処置され、そのうちの6名が症状の完全な寛解を示した26。同種異系のBM−MSCも現行の処置に難治性の患者を処置するためにクローン病で使用され、そしてこの処置は米国で臨床試験中である27、28。胎児肝臓MSCは骨形成不全症(OI)の初期の処置に効力を示した。男性胎児肝臓に由来するMSCが、数箇所の子宮内骨折を患っている無関係な32週齢の重篤なOIの女性胎児に移植された29。移植後、残る妊娠期間は正常に進み、そしてさらに骨折することはなかった。この患者を出生後2年間追跡し、そして子供は正常な成長曲線を示し、そして3カ所の骨折を起こしただけだった。XY−特異的プローブを使用して、患者は骨の生検で0.3%移植されている(engraftment)ことが分かった。
【0006】
未分化細胞に加えて、骨形成的に誘導されたウサギのBM−MSCがインビトロで免疫学的寛容および免疫調節性であることが分かったが、インビボに移植すると免疫調節能が失われた30。しかしながらそれらはBM−MSCの役割を果たすために免疫応答からの保護を必要とするだけなので、細胞の機能に影響を及ぼさないだろう。さらに難しい誘導では、マウス骨髄MSCがエリスロポイエチンを放出するように操作され、そしてマウスに移植され、これは未操作対照に比べて有意に少ない移植を生じた31。このようにMSCの操作はそれらの免疫調節および/または免疫学的寛容の損失を導く可能性があり、そして移植片の生存および機能に決定的となり得る。
【0007】
MSCの免疫学的寛容が種の境界を越え、そしてそれらが異種移植に使用できることを支持する証拠がある。これはヒトBM−MSCをヒヒに使用したBartholomew
et alにより初めて証明され、そして強化された皮膚移植片の生存が示された21。この実験の最終結果はポジティブであったが、投与された細胞の具体的運命は決定されなかった。Wang et alはGFPトランスフェクト細胞、および試験した異種移植BM−MSCの生存に対して組織学的分析を利用し、そして細胞が免疫抑制なしに11週の時点まで生存することを示したが、上昇した宿主免疫反応があった32。MSCは2つの心臓モデルで異種移植において生存することも報告された33、34。HUCPVCを用いた予備実験では、細胞は透過性容器中、腹膜に送達された。3週間後、肉眼で見て注目すべき炎症はなかった35。これはHUCPVCの免疫学的寛容だけでなく、それらを拒絶なしに動物モデルで試験するための能力に可能性を示す有望な予備実験である。
【0008】
本発明者は、HUCPVCとマッチしないリンパ球との共存培養、および2つのHLAミスマッチ供与体に存在する混合リンパ球培養(MLC)の両方を行うことにより、インビトロでHUCPVCの免疫学的寛容および免疫調節性を調査した。また実験は、ナイーブなおよび活性化リンパ球の環境の両方において、存在するHUCPVCのレベルを変えたHUCPVCの死、リンパ球の増殖および活性化であった。さらに免疫学的効果の観察のために、細胞接触の必要性を調査した。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
本発明者はここに、1および2方向(one and two−way)のインビトロ混合リンパ球培養(MLC)で試験した時、HUCPVCの免疫学的寛容および免疫調節能の両方を具体的に説明する一連の実験を本明細書に報告する。さらにMLCは前以て刺激したリンパ球の活性化にHUCPVCが誘導する低下を明らかにすることも行った。さらに発明者は細胞接触が、観察される免疫調節効果に必要でないので、HUCPVCの免疫調節機能がHUCPVCの培養で生産される可溶性因子(1もしくは複数)を介して媒介されることを示す。さらに発明者はHUCPVCが2方向のインビトロMLCを調節できることを具体的に説明し、そして特に免疫応答を調節するための細胞療法にこれら細胞
を応用する用途を記載する。
【0010】
このように本発明の1つの観点では、本発明は個体に免疫を調節する有効量の(1)ヒト臍帯脈管周囲細胞(HUCPVC)を含んでなる、そして好ましくは本質的にそれからなる細胞集団、および/または(2)該細胞の培養で生産される免疫調節可溶性因子を投与する工程を含んでなる、有害な免疫反応を発症しているか、またはその危険性がある個体を処置する方法を提供する。関連する態様では、この方法は細胞、組織および臓器を含む同種異系もしくは異種異系移植片の受容体の、対宿主性移植片病を含むそれらに対する有害免疫反応の発症または重症化を下げるための処置に応用される。一般的な観点では、本発明はこのように末梢血リンパ球のようなリンパ球と、リンパ球に外来と認識される物質(body)との間の免疫反応を調節する方法を提供し、この方法は生理学的に許容され得る媒体およびHUCPVC細胞、またはそれらから抽出可能な免疫調節可溶性因子を含んでなる製剤を、その免疫反応を調節し、そして特に抑制もしくは下げるために有効な量で導入する工程を含んでなる。
【0011】
関連する観点では、本発明は有害免疫反応を発症しているか、その危険性がある個体を処置するために、あるいは移植片と受容体との間の免疫反応を軽減または減少するために、移植前の移植片を処置する薬剤の製造において、HUCPVC細胞またはそれにより生産される免疫調節可溶性因子の使用を提供する。
【0012】
本発明の別の観点では、本発明は免疫調節に有効量のHUCPVCおよび/またはそれらにより生産される免疫調節可溶性因子、および生理学的に許容され得るそれらの媒体を含んでなる単位剤形または多用量剤形(multidosage form)で製剤を提供する。
【0013】
さらなる観点では、本発明は培養したHUCPVCにより生産された1もしくは複数の可溶性因子を含んでなる免疫調節抽出物、またはその免疫調節画分を提供する。
【0014】
別の観点では、本発明は上記の処置法を提供し、ここで投与される細胞は低温保存なしで得られ、そして投与される。
【0015】
本発明のさらなる観点では、投与されるHUCPVCは免疫学的寛容および免疫調節細胞である。態様では、HUCPVCは実質的にMHCクラスIおよびクラスII表現型の両方を欠いている。関連する態様では、投与されるHUCPVCは凍結HUCPVC集団を解凍することにより得られる。
【0016】
本発明のさらなる態様では、投与される免疫学的寛容HUCPVCは遺伝的に操作され、そして目的の異種タンパク質をコードする導入遺伝子を包含し、これには限定するわけではないが免疫調節を強化するタンパク質のような免疫系を管理するために効果的なタンパク質、そして特にCTLA4のような有害免疫反応を抑制するタンパク質を含む。
【0017】
本発明のこれらのおよび他の観点を添付する図面を参照にしながら以下にさらに詳細に記載する。
【0018】
詳細な説明および好適な態様
本発明は、特に宿主による有害免疫反応から、または宿主に対して抗原性の物質による有害免疫反応のいずれかから生じる同種抗原および異種抗原性物質により誘導される有害反応の減少が有益となる状態の処置に、HUCPVCの新規かつ臨床的に有用な応用を提供する。より一般的には本発明は、リンパ球と外来と認識される物質との間の免疫反応を抑制または下げるために、HUCPVCおよび/またはそれらにより生産される可溶性因
子が導入される方法を提供する。
【0019】
本明細書で使用するように、そのような物質にはヒトを含む哺乳動物の身体に送達されるか、またはそれに侵襲的な任意の生きているまたは死んだ生物学的物質を含むことができる。抗原性のそのような物質は、正常な過程で受容体または物質のいずれかによる免疫応答を誘導し、例えばここで物質自体が骨髄、組織もしくは臓器移植片のようなリンパ球を含む免疫細胞を含んでなる。同種抗原性物質は、同じ種内の個体間で抗原性である物質であり;異種抗原性物質は異なる種の個体間で抗原性である物質である。自家移植物質は、受容体からの物質である。態様では、物質はHLAミスマッチ物質である。他の態様では、物質はHLAミスマッチリンパ球を含んでなる。
【0020】
HUCPVCの免疫調節作用のメカニズムが完全に解明されているわけではないが、HUCPVCおよびそれらにより生産される可溶性因子は、抗原提示細胞、細胞傷害性T細胞を含むT細胞およびナチュラルキラー細胞のような同種抗原認識および排除に関与する主要な細胞集団に効果を有する。
【0021】
本発明の方法に有用なHUCPVCは、これまでに注記した文献に記載され、そして限定するわけではないが特にヒト臍帯を含む臍帯の脈管周囲領域から抽出可能な前駆細胞としてさらに特徴付けられる。本明細書に記載するプロトコールを使用して、臍帯脈管周囲細胞はウマ、ウシ、ブタ、霊長類等を含む他の哺乳動物の臍帯脈管からも抽出できると考えられる。脈管周囲領域は臍帯脈管構造に付随するか、またはその外部のホウォートンゼリーを含んでなる。HUCPVCは脈管周囲領域にあるホウォートンゼリーから、コラゲナーゼもしくは例えばSarugaser et al.,2005(この内容は引用により全部、本明細書に編入する)に記載されているような付随する結合組織を除去するために適する関連する酵素のような標準的な消化法を使用して抽出することができる。好ましくはHUCPVCは脈管周囲領域を越えて伸びるホウォートンゼリーからではなく、脈管周囲細胞からのみ回収され、あるいは脈管自体の部分もしくは内部にある組織もしくは流体から回収される。これは一般的に帯にある他の細胞の混入を回避する。他の方法では、脈管周囲細胞の選択なしにホウォートンゼリーからの抽出を行うことができるが、ただし生じた細胞集団は本明細書に記載する表現型および特徴を有する前駆細胞を濃縮するために、例えばフローサイトメトリーを使用してHUCPVCについて濃縮される。HUCPVCはさらに比較的急速な増殖により特徴付けられ、標準的な接着条件下で培養した場合、各2〜7継代で約20時間の倍加時間を表す(血清依存的)。表現型的には、HUCPVCは収穫時にOct4−、CD14−、CD19−、CD34−、CD44+、CD45−、CD49e+、CD90+、CD105(SH2)+、CD73(SH3)+、CD79b−、HLA−G−、CXCR4+、c−kit+と特性付けられる。さらにHUCPVCは脈管周囲領域以外のホウォートンゼリー源から抽出された細胞集団中よりも高レベルでCK8、CK18、CK19、PD−L2、CD146および3G5(周皮細胞マーカー)に陽性の細胞を含む。
【0022】
またHUCPVCは操作に依存して0〜100%の変動性のレベルでMHCクラスIを発現することもできる。回収した細胞を、例えばSarugaser et al.,2005(引用により本明細書に編入する)により記載されるように凍結−解凍サイクルにかけることにより、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの両方に実質的にネガティブなHUCPVC集団を得る(95%)。本明細書で使用するように、HUCPVCが所定の集団にあり、そして1もしくは両方の表現型を表している細胞の数が細胞集団中の約20%よりも多くなければ、例えば全HUCPVC集団の15%、10%、5%以下ならば、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの両方に「実質的に」ネガティブであると考えられる。決定は適切な標的抗体を用いて標準的技術のフローサイトメトリーを使用して行うことができる。このMHCダブルネガティブHUCPVC集団は、本発明の方法に特に
有用である。本方法では、投与されるHUCPVC集団が新たに抽出された(場合により拡大された)MHCクラスIネガティブ細胞または解凍したMHCダブルネガティブHUCPVCのいずれかを含んでなることができると考えられる。MHCダブルネガティブHUCPVCは、受容体で免疫応答を刺激する見込みがさらに低く、したがってそれらの臨床的使用は本発明で好適となる。しかしMHCの表現型の操作は本質的ではないと考えるべきである。免疫学的寛容および免疫調節的特性は場合により保存された新たに抽出されたHUCPVCにも見られ、凍結/解凍により操作されたHUCPVCで見られるだけではない。
【0023】
本方法で、HUCPVCは、それらの免疫学的寛容および免疫調節性から有益となる臨床的設定で活用される。本明細書で用語「免疫学的寛容」とは、末梢血リンパ球とインキュベーションした時、特にこの分野で確立され、そして本明細書中に例示するいわゆる1方向MLCアッセイを使用して試験した時に、PBLの増殖を統計的に有意な程度まで刺激しないか、またはそれらの生存能を統計的に有意なレベルで維持するいずれかのHUCPVCのような細胞を称する。
【0024】
本明細書で「免疫調節」とは、リンパ球集団の死亡率における減少により、または例えばいわゆる1方向もしくは2方向の混合リンパ球反応(MLR)を使用して測定されるようなリンパ球集団の生存能の上昇のいずれかにより明らかにされるようなリンパ球のミスマッチした集団間の反応を軽減、減少または抑制するHUCPVCの能力を指す。
【0025】
さらに培養したHUCPVCにより滲出する因子は単独で無傷(intact)のHUCPVCが使用された時に見られる種類の免疫調節効果を発揮できることが見いだされた。すなわち本発明の観点および態様では、HUCPVCの培養で生産される抽出された可溶性因子が免疫調節物質(immunomodulator)として単独またはHUCPVC細胞と組み合わせて使用される。
【0026】
HUCPVC培養で滲出する1もしくは複数の免疫調節因子を本明細書では可溶性因子と呼び、そしてHUCPVCが培養される培地から抽出可能である。1つの態様では免疫調節可溶性因子は、HUCPVC細胞がそれらの増殖によりコンディショニングされた培地から遠心などにより除去される時に得られる抽出物として提供される。遠心が使用される場合、抽出物は上清として提供される。適切なHUCPVC培養条件を本明細書に例示する。抽出物は細胞をコンディショニングした培養基から遠心などにより分離することにより得られる。他の態様では、可溶性因子は抽出物のような免疫調節画分として提供される。ここで免疫調節活性を有する抽出画分も有用であり、そして本明細書に記載する混合リンパ球反応を使用して同定することができる。もちろんこれらの抽出画分は、溶媒抽出、HPLC分画、遠心、サイズ排除、塩もしくは浸透圧勾配分画等を含む便利な技術を使用してHUCPVC抽出物を分画することにより得ることができる。次いで溶出もしくは集めた画分はそれぞれMLRにかけられ、そして免疫調節について活性な画分を同定することができ、そして免疫調節活性を有する画分を本明細書に記載する様式で臨床的に使用することができる。
【0027】
このように態様では本発明はHUCPVCの培養中に滲出する可溶性画分を含んでなる免疫調節抽出物またはその免疫調節画分の使用を含んでなる。
【0028】
HUCPVC、および免疫学的寛容および/または免疫調節性のそれらの集団を本発明に従い使用することは、それらの収集、場合によりそれらの拡大、さらに場合によりそれらの低温保存そして凍結状態からの再生、および引き続きそれらの意図する受容体への投与のための製剤を包含する。もちろん特定の操作、投薬および処置計画は、処置する疾患もしくは状態の種類および重篤度を含む多くの因子に依存する。免疫学的状態(例えばG
vHD、自己免疫状態)には、HUCPVC集団のサイズ、すなわち受容体へ投与する用量は一般に受容体の体重1キログラムあたり0.01〜約5百万個の細胞の範囲になる。送達には細胞は、生理学的に許容され得る媒体、すなわち細胞だけでなく受容体によっても許容され得る媒体をさらに含んでなる製剤として適切に提供される。細胞は担体として塩水、PBSのような緩衝化生理食塩水、細胞培養基または:必須アミノ酸、増殖因子、サイトカイン、ビタミン、抗生物質もしくは無血清の化学的に定められた培地等もしくは滅菌水を含有する類似の液体のような生理学的に許容され得る媒体を含んでなる滅菌製剤で適切に提供される。配合された細胞は注入により、または例えば1〜25mLの範囲の容量を使用する注射により投与することができる。
【0029】
HUCPVCにより生産され、そして消耗されたHUCPVC培養基から抽出できる免疫調節可溶性因子は、無傷のHUCPVCに関して上に記載した様式において同様に有用である。1つの態様では、抽出物自体が製薬学的組成物を構成し、これは免疫調節可溶性因子の状態での活性剤、および生理学的に許容し得る媒体を構成する培地を含んでなる。他の態様では、抽出物を乾燥して可溶性因子(1もしくは複数)を保持し、そしてリン酸緩衝化生理食塩水のような種々の媒体で再構成することができる。臨床的応用のための投薬用量サイズおよび投薬計画は、無傷のHUCPVCについて効果的な投薬を参照にして定めることができる。抽出物の用量等価物は、MLRアッセイで抽出物および無傷な細胞の相対的効力を算出することにより、あるいは標的とする兆候の適切な動物モデルにおけるような、療法が活用される臨床的環境を反映するその任意の代替により決定することができる。
【0030】
使用では、配合されたHUCPVCまたはそれにより生産された可溶性因子が、有害免疫反応を経験しているか、またはそれを発症する危険性がある個体を処置するために投与される。そのような個体には特に、骨髄および末梢血のような細胞、皮膚および冠状組織および胃腸管組織を含む脈管組織を含む組織、または肝臓、腎臓、心臓、肺等のような臓器の状態の同種もしくは異種移植または移植片を受けているか、正に受けようとしている個体を含む。配合されたHUCPVCは、特に対宿主性移植片病、供与体移植片に存在するリンパ球により媒介される宿主組織の免疫攻撃から生じる状態の発症または重篤度を下げるために有用である。本発明の1つの態様では、HUCPVCは移植前に移植片中に存在するリンパ球の活性を下げるまたは止めるために十分な期間、移植片とインキュベーションすることにより移植片を処理するために使用することができる。このインキュベーションにはHUCPVC(新鮮または凍結ストックからの)が、移植前に増殖を停止するために、4から10日の間、全移植片リンパ球の5〜60%(移植片中に存在する血液の容量により定められる)、好ましくは10〜40%の用量で含まれることが求められる。臓器移植片の場合、臓器は新鮮な、または凍結ストックに由来するHUCPVC(上に述べた生理学的に許容され得る媒体に懸濁された)と1グラムの臓器塊あたり0.01〜5x10細胞の用量で、移植前に臓器のリンパ球を不活性とするために十分な期間インキュベーションされる。移植片の受容体である個体に関して、HUCPVCは望ましくは同種移植臓器を直接囲む組織中に移植の前(例えば数時間以内)、移植と同時、または移植後(数時間以内、そしてその後、免疫反応を防御するために必要な時)に受容体に投与される。HUCPVCは最適には移植片の部位に、例えば皮下、筋肉内、脈管内、静脈内、動脈内または腹腔内のいずれかによる注入もしくは注射により投与することができる。1つの態様では、受容体は移植時に体重1キログラムあたり5x10〜5x10個の細胞の範囲、例えば約1〜5x10細胞のHUCPVC用量を注入することにより処置される。細胞は5%ヒト血清アルブミンを含む10mlの生理食塩水中に配合される。2回以上の注入を使用することができ、各々が約10〜15分間続く。また細胞は生きている細胞を移植部位(腹腔、筋肉内等のような)に経時的に放出できるようにする遅効性(slow release)製剤で移植することもできる。この目的に適する担体には、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギン酸等がある。本発明の他の態様では、HUCPVCを利用
して進行中で、そして恐らくは他の処置には難治性のGvHDのような免疫学的状態を処置することができる。HUCPVCまたは滲出した可溶性因子は、このように免疫細胞もしくはそれを含有する組織の移植が示される白血病、再生不良性貧血および酵素もしくは免疫不全症に罹患している個体を処置するために有用である。
【0031】
またHUCPVCまたは可溶性因子の投与は、クローン病、狼瘡および多発性硬化症、ならびに慢性関節リウマチ、1型インスリン依存性糖尿病、成人呼吸促進性症候群、炎症性腸疾患、皮膚炎、髄膜炎、血栓性血小板減少性紫斑病、ショーグレン症候群、脳炎、ブドウ膜炎、白血球接着不全、リウマチ熱、ライター症候群、乾癬性関節炎、進行性全身性効果症、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、エリテマトーデス、脈管炎、悪性貧血、抗原−抗体複合体媒介疾患、レイナード(Reynard’s)症候群、糸球体腎炎、慢性活動性肝炎、腹膜疾患、AIDSの自己免疫合併症、強直性脊椎炎およびアディソン病のような自己免疫疾患の処置に応用がある。この場合HUCPVCの投与は、生理学的に許容され得る媒体(前に述べたような)中で静脈内に0.1〜10x10細胞/kg体重の投薬範囲である。1回より多くの投薬が必要とされ、そして投与は必要に応じで反復できる。
【0032】
第2に、HUCPVCはタンパク質/酵素不全症を処置するために使用することができ、ここでHUCPVCは所望するタンパク質/酵素を生産するために必要な遺伝子でトランスフェクトされる。この工程には遺伝子導入(限定するわけではないがレンチウイルスの、レトロウイルスのおよびアデノウイルスのものを含む);およびトランスフェクション(限定するわけではないがヌクレオフェクション(nucleofection)の、エレクトロポレーションの、リポソームのものを含む)を含むことができ、そして不全症に罹患している患者に輸注される。受容体に投与される用量は、一般に受容体の体重1キログラムあたり0.01〜約5百万個の範囲の細胞となる。次いでHUCPVCが目的のタンパク質または酵素を構成的に生産する。
【0033】
最後にHUCPVCは、特定のウイルス/抗原に暴露される危険性がある人への投与に大量に生産するために、ワクチンとして使用するため導入遺伝子を上に挙げたトランスフェクション法を介して導入するために工作することができる。
【0034】
材料および方法
細胞の収集
HUCPVC
この研究に関する倫理的承認はトロント大学ならびにサニーブロック アンド ウィメンズ カレッジ ヘルス サイエンスセンター(Sunnybrook & Women’s College Health Science Centre)から得た。臍帯は両親の十分な説明に基づく同意を得て、月満ちた赤子の無菌的帝王切開から集めた。帯は直ちにトロント大学に輸送し、ここで細胞を以前に報告されたように脈管周囲領域から無菌的条件下で抽出した16。簡単に説明すると、4cmの帯切片を切り出し、そして上皮を取り出した。次いで脈管をそれらの周囲にあるホウォートンゼリーを含めて摘出し、平滑筋消化を防止するためにループに結び、そしてコラゲナーゼ溶液中で一晩消化した。翌日、消化物を除去した際、細胞を塩化アンモニウム中ですすいで帯の血液から赤血球を溶解した。この後、細胞をすすぎ、そして5%のウシ胎児血清および10%の抗生物質(ペニシリンGを167単位/ml;シグマ(Sigma)、ゲンタマイシンを50μg/ml;シグマ、およびアンフォテリシンBを0.3μg/ml)を含有する85%のα−MEMに4,000細胞/cmの密度でまいた。細胞はそれらが75〜80%の集密度になった時に植え継ぎ、これはおよそ6〜7日毎である。
【0035】
MHC−/−HUCPVC
1x10個の細胞より多い試験細胞集団(>1x10)は、2%FBSを含有するPBS中で洗浄し、そして飽和濃度(1:100希釈)の以下の結合化マウスIgG1 HLA−A,B,C−PE(BDバイオサイエンス:Bioscience#555553、Lot M076246)(MHC I)、HLA−DR、DP,DQ−FITC(BDバイオサイエンス#555558、Lot M074842)(MHC II)およびCD45−Cy−チトクローム(BDバイオサイエンス#555484、Lot 0000035746)を含むPBS+2%FBSに4℃で30分間懸濁した。細胞懸濁液をPBS+2%FBSで2回洗浄し、そしてExpoADCXL4ソフトウェア(ベックマン−コールター:Beckman−Coulter)を使用したフローサイトメーター(XL、ベックマン−コールター、マイアミ、フロリダ州)での分析のためにPBS+2%FBSに懸濁した。陽性染色は、対となるアイソタイプ抗体(FITC−,PE−およびCy−チトクローム結合化マウスIgG1,κモノクローナルアイソタイプ標準、BDバイオサイエンス)で染色した対照集団からの99%より多くの細胞により得られるレベルを越えた蛍光シグナルの発光と定め、これはヒトBMサンプルの陽性蛍光により確認された。各サンプルについて、少なくとも10,000のリストモードイベント(list mode event)を集めた。すべてのプロットはEXPO32ADC分析ソフトウェアで作成した。
【0036】
付着した細胞は、7日後に0.1%トリプシン溶液を使用してサブカルチャー(継代)し、この時点でそれらは光学顕微鏡により観察した時、80〜90%の集密度を現した。継代で細胞はMHC−A,B,C、MHC−DR、DP、DQおよびCD45の発現に関してフローサイトメーターにより観察された。次いでそれらをT−75組織培養ポリスチレンフラスコに4x10細胞/cm(SM中)でまき、そして10−8M Dex、5mM β−GPおよび50μg/mlのアスコルビン酸で処理してこれら細胞の骨形成能を試験した。これらのフラスコは培養の2、3、4、5および6日目にCFU−O、または骨小節の形成について観察した。継代手順で存在するいかなる細胞も後の使用に低温保存した。
【0037】
1x10個のPVT細胞を、90%FBS、10%ジメチルスルフォキシド(DMSO)(シグマD−2650、Lot#11K2320)からなる1ml総容量に調製し、そして1mlのポリプロピレンクリオ−バイアル(cryo−vial)にピペットで入れた。このバイアルを−70℃の冷凍庫に一晩置き、そして翌日、長期保存用の−150℃の冷凍庫に移した。低温保存から1週間後、PVT細胞を解凍し、そしてフローサイトメーターによりMHC−A,B,C、MHC−DR、DP、DQおよびCD45の発現について観察した。PVT細胞を1週間の低温保存後に解凍する第2プロトコールを使用し、1週間再培養し、サブカルチャーし、次いでフローサイトメーターによりMHC−A,B,C、MHC−DR、DP、DQおよびCD45の発現について再分析した。
【0038】
新たな細胞集団中のMHC−/−の頻度は、数回の継代を通して維持されることに注目した。新たな細胞が継代後に−150℃で1週間凍結され、次いでMHCの表現型について直ちに分析される場合、この分析した集団は、MHC−/−表現型の細胞について顕著に強化された頻度を提示する。特に低温保存した細胞の第1代は、MHC−/−細胞の相対的集団を50%より多くまで上げ、そして続いてこれら細胞の凍結および継代で80%、85%、90%および95%より高いMHC−/−集団を生じる。
【0039】
リンパ球
末梢血リンパ球(PBL)は、健康な供与体のヘパリン処理した血液から抽出した。細胞の分離は、Ficoll−Paque(商標)PLUS密度勾配(アマシャム バイオサイエンス:Amersham Bioscience#17−1440−03)により行い、ここで細胞を380 x gで35分間遠心した。軟膜を除去し、そしてViCe
ll−XR(商標)(ベックマン コールター)を使用して、細胞および核のサイズにより決定されるようなリンパ球に特異的なプロトコールを用いてカウントした。次いで細胞はアッセイの要件毎に、HEPES(25mmol/L)、L−グルタミン(2mmol/L)、10%ウシ胎児血清および10%抗生物質を含有する80%RPMI−1640培地(シグマ#R5886)中にまいた。
【0040】
混合リンパ球培養
マイトマイシンC
1方向MLCを行うために、HUCPVCおよびPBL集団の1つを休止させておかなければならない。これはMMCがDNAに結合し、そして分割を防止できるようにするために細胞を一定濃度および時間でマイトマイシンC(MMC)を用いて処理することにより達成される。この濃度は、96ウェルプレートのウェル中に5000個の細胞の細胞集団から出発して、37℃(5%CO)で20分間インキュベーションするMMCの滴定曲線により決定された。10、20、30、40、50および75μg/mL濃度のMMCを基準培地(85%α−MEM、5%FBS、10%抗生物質)中で試験し、そしてPBSで2回洗浄し、その後にいかなる微量のMMCも除去した。ウェルは1週間後にカウントして増殖について評価した。細胞集団をMLC中で合わせる時、リンパ球の増殖能に影響しないように、すべての微量MMCも除去することが必須である。これを確実にするために、96ウェルプレート(ファルコン:Falcon)の空のウェルをMMCで処理し、そしてプロトコール毎に洗浄した。次いでリンパ球を加え、そして対照標準ウェルと比べてそれらの増殖をアッセイした。
【0041】
免疫学的寛容アッセイ
3連の1x10のHUCPVC(新鮮および凍結の両方をアッセイした)を96ウェルプレートにまいた(n=5)。いったん細胞が接着したら(約2時間後)、それらを20μg/mLのMMCで処理した。次いでHUCPVCをすすぎ、そして供与体1からの10PBLを各ウェルに加えた。プレートを37℃にて5%CO空気中で、HEPES(25mmol/L)、L−グルタミン(2mmol/L)、10%ウシ胎児血清および10%抗生物質を含有する80%RPMI−1640培地中でインキュベーションした。6日後、HUCPVCを含むカルチャーに存在するリンパ球をViCellカウンターを使用してカウントし、そして対照と比較した。細胞死アッセイについては、プレートを4時間インキュベーションし、そしてHUCPVCが初期および後期段階の細胞死マーカー(アネキシン5(R&D システムズ:Systems TA4638)および7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD)についてそれぞれアッセイされた。これらのレベルはベックマンコールターのFlowCenterでフローサイトメトリーを使用して測定そして比較された。PBL増殖アッセイについて、細胞を6日間インキュベーションし、その後、細胞を5−ブロモ−2−デオキシウリジン(BrdU)(チミジンの塩基類似体)で染色し、そしてフローサイトメトリーを使用して測定した。PBL単独およびHUCPVC単独の対照を両アッセイに使用した。
【0042】
1方向MLCには、HUCPVCは始めに96ウェルプレートに3連(ウェルあたり1,2,3および4x10細胞)でまき、MMCで処理し、そしてPBSで洗浄した。PBLは潜在的供与体のプールから選択した2つのミスマッチ供与体から回収した(試験した6つのHLAのうちの5つのミスマッチについて:供与体1 HLA−A01、02;B07、18;DRB115、−−;供与体201、−−;B08、−−;DRB103、−−)。タイピングはRegional Histocompatibility Laboratory(トロントジェネラルホスピタル、トロント、オンタリオ州)で、低い解像度のDNA割り当て(DNA assignment)技術を使用して行った。 Ficollで処理した後、供与体2のリンパ球をMMCで処理して休止させた。次いで細胞を遠心で落とし、そして洗浄し、そして96ウェルプレートにウェルあたり10細胞で加えた。供与体1のリンパ球をウェルあたり10細胞で加え、そして3つの細胞集団を6日間コーインキュベーションし、その後、それらを5−ブロモ−2−デオキシウリジン(BrdU)、チミジンの塩基類似体で染色した。次いでBrdUに関するフローサイトメトリーをリンパ球について行って増殖をアッセイした。これに続いて、類似のアッセイを、リンパ球の毎日のカウント(1〜6日)を使用して測定された結果を用いて、ViCell−XR(商標)細胞カウンターを使用してリンパ球特異的プロトコールで行った。すべての結果は両供与体の同種および異種対照について比較した。
【0043】
免疫調節アッセイ
2方向MLCは、両方とも増殖できるミスマッチ供与体(上記と同じ供与体)に由来する2つのPBL集団を含む。簡単に説明すると両供与体に由来する1x10のPBLを96ウェルプレートの各ウェルに加え、そして6日間インキュベーションした。実験の過程で、免疫反応がすでに始まっていればHUCPVCの効果を分析するために1または4x10HUCPVCをウェルに3連で0、3または5日に加えた。両方とも陽性の結果を以前に示したので、10および40%のHUCPVC:PBL比を選択し、すなわちこれは低および高レベルのHUCPVC包含として選択した。各プレートからのサンプルは、ViCell−XR(商標)細胞カウンターを使用して毎日カウントし、そして自己由来および同種異系対照と比較した。
【0044】
可溶性因子
2方向MLCアッセイは、HUCPVCをPBL細胞接触に向けずに再度行って、この効果が可溶性因子によるのかどうか、または細胞−細胞接触が必要であるのかどうかを決定した。HUCPVC(ウェルあたり1および4x10細胞)をTranswell(商標)インサート(コーニング)で24ウェルプレートについて培養し、そして約2時間付けた。細胞がいったん付けば、インサートは供与体1/供与体2(上と同じ供与体)からのPBL集団の共存培養を含む24ウェルプレートに移した(n=3)。リンパ球細胞数は6日間、毎日カウントし、そして自己由来および同種異系対照とViCell−XR(商標)を使用して比較した。
【0045】
リンパ球活性化
免疫学的寛容アッセイおよび2方向MLCの両方は、前述したように行った。このアッセイの終点は活性化されたリンパ球のマーカーであるIL−2R(CD25)(ベクトン
デッキンソン、#555431)の存在に関するリンパ球のフローサイトメトリーによる分析であった。このアッセイを6日にわたり行ってHUCPVCがリンパ球の活性化の上昇または減少を引き起こすかどうかを決定した。またリンパ球はCD45で同時染色して、適性な細胞集団が得られることを確認した。陰性対照はHUCPVCを加えないリンパ球カルチャーであり、そして染色しなかった。
【0046】
活性化T細胞株の生成
PBLは供与体1および2から前記のように抽出し、そしてFicoll勾配を使用して分離した。細胞をカウントし、そして供与体2からの細胞をMMCで休止させた。供与体1からの10細胞を24ウェルプレートにまき、そして1:1の比の供与体2からの休止PBLで刺激した。細胞に2mLのRPMI−1640培地を供給し(以前のように10%血清および10%補充物を補給した)、そして活性化させた。培地はその色が黄色になったと気づいた時に交換した(〜3日)。〜11日後(または培地の色が3日以内で変わった時)、細胞を回収し、そしてカウントした。それらはウェルあたり10で再度まき、そして1:1の比の供与体2に由来する休止PBLで再刺激した。第2の刺激で、IL−2を100U/mLの濃度で加え(BDバイオサイエンス#354043)、2日毎に供給した。培地が3日前に黄色に変わった時、細胞を回収し、カウントし、そして分
離(split)した。この手順後、細胞は供与体2に対する特異的抗体を用いて活性化Tリンパ球(ATL)として使用される準備ができた。PBL共存培養および2方向MLCは前記のように行い、そして細胞の増殖およびCD25の発現についてアッセイした。
【0047】
リンパ球標識
2つのリンパ球集団間の差異を視覚化し、そして定量するために、PKH26(シグマ#PKH26−GL)を使用した。PHK26は長い半減期(〜100日)を持つ非細胞傷害性膜染料である。細胞は製品に提供されたプロトコールにより染色した:リンパ球はトリプシン処理し、プールし、そしてペレット化した;次いで希釈した染料を細胞懸濁液に2〜5分間加えた(2mLの2x10−6モルPHK26溶液)。染色後、等容量の血清を反応を止めるために加えた;細胞を培地に懸濁し、遠心して落とし、そして数回洗浄した。次いで染色は蛍光顕微鏡で視覚化して、適切な染料の取り込みが生じたことを確認した。染色に使用した細胞は供与体1から得たATLであった;これらの赤血球をMLC中に供与体2からの非染色細胞、およびHUCPVCと含んだ。アッセイの終点は、PHK26の存在または不存在で振り分ける(gated)CD45(BD#555482)およびCD25に関するフローサイトメトリーであった。陰性対照は非染色細胞、およびHUCPVCを含まないMLCであった。
【0048】
トランスフェクション
最初に293細胞を所望のDNAおよびプラスミド(ベクターDNA、10μgのgag/pol発現プラスミド、10μgのrev発現プラスミド、10μgのtat発現プラスミド、5μgのVSV−G発現プラスミド、2.5MのCaClで)でトランスフェクトした。これらを一晩インキュベーションし、その後、培地を交換する。次いで細胞をこの培地中に3日以上おいた後、細胞上清を集め、そして濾過する。次いでウイルス上清を超遠心(50000gで90分)またはAmicon Ultra−15Centrifugal Filterデバイス(100,000MWCO;ミリポア(Millipore))により濃縮する。この工程が完了した時、ウイルス上清はHUCPVCと濃縮したウイルスを滴定することにより決定された濃度で合わせることができ、そして一晩インキュベーションする。翌日、さらに培地を加え、そして細胞を6時間以上インキュベーションした後に培地を交換する。この様式でHUCPVCは、有害免疫反応を管理するために有用なタンパク質(免疫抑制タンパク質)を含む任意のタンパク質をコードする導入遺伝子を導入し、そして発現するように工作され得る。そのようなタンパク質にはCTLA4、VCP、PLIF、LSF−1、Nip、CD200およびUromodulinがある。
【0049】
マイクロアレイ分析
Oligo GEArray Human Cancer Microarray(スーパーアレイ バイオサイエンス(Superarray Bioscience)、フレデリック、メリーランド州、Cat#:OHS−802)を使用して、ガンの進行中に頻繁に変化する代表的な幾つかの異なる経路の遺伝子の発現に変化を見いだした。ヒトのガンに関するOligo GEArrayは、440の代表的なガン遺伝子を有し、そしてアポトーシス、細胞サイクル、細胞成長および分化、シグナル伝達および他のガン関連遺伝子を含む機能的遺伝子のグループに組織化されている。
【0050】
HUCPVCおよびヒト骨髄由来MSCを2継代まで成長させ、そしてRNAをこれらの細胞から単離した。精製したRNAは製造元のプロトコール(スーパーアレイ バイオサイエンス社)に従い処理し、そしてOligo GEArray Human Cancer Microarrayにハイブリダイズさせた。Oligo GEArray Human Cancer Microarrayは、正常ヒト骨髄由来MSCに比べてHUCPVC中でガンに関連する遺伝子の示差的発現を測定するために使用した。
【0051】
結果
マイトマイシンCはHUCPVCに対する効果的な抗増殖剤である
HUCPVCをある範囲の濃度のMMCで37℃にて20分間処理した(5%CO)。図1は、MMC処置から1週間後のカルチャー中のHUCPVCの細胞数を示す(n=2)。すべての細胞が対照に比べて増殖に顕著な減少を示し(p<0.001)、処置間で差異はない。したがって20μg/mLを文献に従い選択した。図2は、未処理ウェルに対してMMCで処理し、そして洗浄したウェルにまいた細胞の効果の欠如を具体的に説明する(n=2、p=0.16)。したがってMMCはMMCで前以て処理したウェルで得られた実験の結果には効果がないだろう。本明細書に提示するすべての統計は、R Project for Statistical Computingを介した平均を比較するためにANOVAを使用して得た。
【0052】
HUCPVCはリンパ球により外来とは認識されない
HUCPVC集団とリンパ球(供与体1)とのコーインキュベーションで、アネキシン5平均蛍光強度(MFI)により測定されるように、10%のHUCPVC:PBL(n=5、p=0.01)の集団で、HUCPVC死に統計的に有意な上昇があった。図3はこの上昇した細胞死が10%より高いHUCPVC用量では記録されず、すなわち正しい比率では、HUCPVCはミスマッチのリンパ球により攻撃されないことを示す。これはBrdU MFI(p=0.02)により測定される時、10%HUCPVC:PBLに応答してリンパ球が増殖するが、より高いHUCPVC濃度では増殖しないことが分かるリンパ球増殖アッセイを使用して確認された(図4)。TおよびBリンパ球の両方の分割が活性化カスケードで起こるので、リンパ球の増殖は活性化の標準的尺度である。したがって、より低い比率でHUCPVCは十分な存在を提供しないので、それらの免疫学的回避能が実現される。しかしより高濃度(20〜40%)では、PBLは増殖せず、そしてHUCPVCは殺されない。
【0053】
またHUCPVCは、休止PBLまたはATLとの共存培養に含まれた時にそれらがリンパ球細胞数に及ぼす効果についても分析された。両方の場合で、HUCPVCは対照細胞数を超える有意な増加を生じず(PBL:35.2±3.1x10、+10%HUCPVC45.0±5.7x10;ATL:38.8±18.2x10、+10%HUCPVC40.8±4.8x10)、休止または刺激条件のいずれにおいてもそれらの免疫学的寛容を示す(図7)。
【0054】
HUCPVCは1方向MLCにおいて10、20、30および40%のPBL集団中に含まれ、そしてそれらの増殖を6日後のBrdU発現で評価した。図8は含まれるHUCPVCの比率にかかわらず増殖している細胞数に有意な増加が無いことを示す。
【0055】
HUCPVCは免疫調節物質である
図5は6日目に同種異系の共存培養リンパ球の数が上昇したにとを示し、一方HUCPVCを含むすべてのカルチャーでは;それらが加えられた時または加えられた比率にかかわらず、対照よりも有意に低いリンパ球の細胞カウントを有したことを示す(n=3)。
【0056】
HUCPVCは可溶性因子を介してそれらの作用を発揮することができる
TransWell(商標)インサートは、2方向MLCでPBLからHUCPVCを分離するために使用した。対照と比べたリンパ球数の有意な減少は、10%または40%HUCPVCを用いたいずれの日にも見られなかった(n=3)(図6)。しかしサンプル数が増えると、10%HUCPVCの添加は対照に比べて6日間の培養期間にわたりリンパ球細胞の数に有意な減少を示した(MLC:40.7±32.9x10細胞、10%HUCPVCな21.3±14.7x10細胞)(図9)。ゆえに因子(1もしくは
複数)はHUCPVCの免疫調節に貢献できるが、どの因子(1もしくは複数)が、およびそれらがどのようにリンパ球に影響するかは未だ不明である。
【0057】
HUCPVCはリンパ球の活性化状態を下げる
PKH26で染色したATLを、10%HUCPVCとの共存培養に加え、そしてそれらのCD25(IL−25受容体)(リンパ球活性化のマーカー)の発現についてアッセイした。HUCPVCの包含で、CD25を発現している細胞の割合(対照:100%±0、10%HUCPVC:96.9%±0.7)、および平均蛍光強度(対照:28.6±0.1、10%HUCPVC:3.76%±0.1)の両方が有意に低下した(図10)。すなわちHUCPVCはリンパ球の活性化状態を下げることにより活性化リンパ球に対する身体的効果を有する。
【0058】
さらにHUCPVCはリンパ球のCD45の発現を下げ、割合(対照:100%±0、10%HUCPVC:99.6%±0.1、40%HUCPVC:98.4%±0.36)、および平均蛍光強度(対照:28.20±4.24、10%HUCPVC:16.33±1.27、40%HUCPVC:14.70±1.22)の両方が有意に異なった(p<0.05)(図11)。これらの結果はCD45がすべてのリンパ球上で発現するので予測されなかった。しかしこれはCD45がリンパ球の発生および機能に決定的であると分かっており36、さらにHUCPVCの添加によるリンパ球の低下した機能のさらなる表示かもしれない。
【0059】
トランスフェクション
HUCPVCはGFPにより成功裏にトランスフェクトされ、そして細胞は高レベルのプロテインAを発現した。97%のトランスフェクション効率が達成され(図12)、良好な増殖率が維持された。この成功率は細胞をトランスフェクトした継代に従い変動する。このように機能するトランスフェクションプロトコールを用いて細胞を任意のタンパク質でトランスフェクトし、そしてそれを構成的に発現させることが可能である。
【0060】
マイクロアレイ分析
HUCPVCは検出可能なレベルの腫瘍形成に関連する遺伝子を発現しない。遺伝子アレイ分析はヒトのガンに関連する機能的遺伝子の不存在をもたらし、そしては輸入されたことが既知の遺伝子(例えば細胞サイクルの調節ではサイクリンD1(CCND1)、CCND2およびCCND3のような)を発現した(図13)。
【0061】
考察
ここで記載したことは骨髄以外の供給源であるヒト臍帯に由来するMSC集団のインビトロでの免疫学的寛容および免疫調節性である。HUCPVCは、帯の脈管周囲領域が細胞の最も迅速に増殖している集団であると考えられるので、そこから抽出される。以前には臍帯静脈の壁に由来する内皮細胞がリンパ球をインビトロで刺激することが示された37。これは報告する結果とは全く対照的で、そしてHUCPVCが異なる領域から回収されることを強要する。
【0062】
このようにHUCPVCは特に臨床的使用によく適するが、対宿主性移植片病の発症および/または重篤度を下げ、そして宿主による移植片拒絶を下げ、または排除し、そして混合リンパ球反応の抑制から利益を受ける他の免疫媒介傷害の処置に適するだけではない。さらに目的のタンパク質/酵素の遺伝子を含むためにトランスフェクションにより操作される場合、HUCPVCはこの産物を構成的に生産することもでき、すなわちタンパク質/酵素不全症が患者に有害な効果をもたらす状態の処置に、特に拒絶なしにミスマッチの患者においてそれらを同種異系的に使用できるので有用である。加えてHUCPVCは必要な遺伝子でトランスフェクションした後に目的のワクチンを生成するためにも使用す
ることができる。
【0063】
前駆細胞は、それらの成長環境により規定された様々な間葉系組織に経時的に拡大そして分化する傾向を有するので、他の間葉系前駆細胞または幹細胞のようにHUCPVCはそれらのインビボでの成長および分化が制御されないという危険性を持つかもしれない。注目すべきは、HUCPVCの臨床的使用のさらなる利点として、HUCPVCは極端に低いテロメラーゼ活性(腫瘍形成性に関するそれらの傾向の指標)を現すことが決定された。さらにHUCPVCは腫瘍形成性の太鼓判が押される多くの遺伝子マーカーを欠いている。腫瘍形成は生物学的経路を統制解除し、細胞の抑制されていない成長および分割を引き起こし、アポトーシス(プログラムされた細胞死)を回避し、増殖因子に異常に応答し、血液供給を受け(脈管形成)、そして1つの場所から別の場所へ移動する(転移および侵襲性)突然変異により起こる。多くの遺伝子がこれらの各制御メカニズムに関与し、そしてそれらの1つの突然変異が統制解除を引き起こす可能性がある。
【0064】
以下の参考文献は引用により全部、本明細書に編入する:
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】MMC処理後のカルチャー中、7日後のHUCPVCの細胞カウント(n=2)。細胞はMMC濃度を上げながら5%COで37℃にて20分間処理し、そしてそれらの増殖をアッセイした。すべてが対照よりも有意に低いと思われる(p<0.001)。
【図2】MMCで処理した、および未処理のウェルにまいた細胞の増殖。増殖はBrdUについてフローサイトメトリーを使用して測定し、そして平均蛍光強度を使用して定量した。これらには処理と未処理ウェルとの間に有意な差異が無かった(p=0.62)。
【図3】HUCPVC死を、供与体1に由来するPBLとのコーインキュベーションから4時間後、初期細胞死マーカーであるアネキシン5について平均蛍光強度(MFI)を使用して測定した(n=5)。対照に比べて10%HUCPVCを含むカルチャーでの平均アネキシン5発現に有意な上昇があった(p=0.01、により示す);これはわずかに有意な上昇であった。
【図4】リンパ球の増殖は、HUCPVCのレベルを変動させたコーインキュベーションの6日後にBrdUについて平均蛍光強度を使用して測定した(n=5)。対照に比べて10%HUCPVCを含むカルチャーでの平均BrdU発現に有意な上昇があった(p=0.02、により示す)。
【図5】総リンパ球細胞数を1日目から6日目まで、10および40%HUCPVCを0、3または5日目に加えた処置にわたり測定した(n=3)。6日までに、対照リンパ球の数は互いに応答して増加したが、HUCPVCでの処置は加えた割合および日にかかわらず有意に低かった(p<0.05、により示す)。
【図6】総リンパ球カウントを1日目から6日目まで、10および40%HUCPVCをTransWell(商標)インサートに加えた処置にわたり測定した(n=3)。いかなる日にも同種対照とHUCPVC処置との間に有意な差異が無いことがわかる。
【図7】HUCPVCは休止または活性化リンパ球細胞数を増加しない。HUCPVCの添加はカルチャー中6日間にわたり対照に比べてリンパ球細胞数に有意な増加がないことを示した(n=6)。この図は平均細胞数、+標準偏差を示す。
【図8】フローサイトメトリーで測定したHUCPVCを含むコーカルチャー中のPBLのBrdU発現。細胞分割の割合は、用量にかかわらずHUCPVCの添加で増加しない(n=3)。対照はHUCPVCなしでのPBLのBrdU発現であった。
【図9】HUCPVCは可溶性因子を介して作用する。HUCPVCは、TransWellインサートを使用して分離した時、MLCでリンパ球細胞数を有意に減少することができる。図では平均対照リンパ球細胞数を100%に設定し、実験間のカウントにおける変動を減らした。この図はリンパ球細胞カウントの平均パーセント、+標準偏差を示す(n=6)(p<0.05)。
【図10】HUCPVCは活性化リンパ球のコーカルチャー中、CD25発現を下げる。この図面は、10%HUCPVCと、またはそれを含まず共存培養したリンパ球上のCD25発現の発現の平均パーセント(棒)および平均蛍光強度(線)の両方を具体的に説明する。リンパ球はPKH26で染色して確実に集団の適切な検出を行い、そして結果はPKH26発現で分けた。平均は±標準偏差(n=3)。(p<0.05)
【図11】HUCPVCを用いた1方向MLCにおけるCD45の発現(活性化リンパ球での)。活性化リンパ球はPHK26で染色して不活性集団からそれらを線引きし(delineate)、そして結果をPKH26発現で分ける。発現のパーセント(棒p<0.05)およびMFI(線+p<0.05)の両方を示す(n=3)。対照はHUCPVCを含まないATLのCD45発現であった。
【図12】(A)緑色蛍光タンパク質(GFP)でトランスフェクトしたHUCPVC、97.89%の発現レベルであった(B)。これらの細胞はレンチウイルスベクターで確立された技術の使用してトランスフェクトされた。および
【図13】骨髄由来MSC(A)およびHUCPVC(B)に関する高処理Cancer Pathfinder Gene Arrayの結果。括弧内の遺伝子は存在しないそれら遺伝子を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンパ球とリンパ球により外来と認識される物質との間の免疫反応を調節する方法であって、該免疫反応を抑制または減少させるために有効な量の(1)臍帯脈管周囲細胞および/または(2)該細胞により生産される免疫調節可溶性因子から選択される作用物質を導入する工程を含んでなる上記方法。
【請求項2】
個体に免疫を調節する有効量の(1)臍帯脈管周囲細胞および/または(2)該細胞により生産される免疫調節可溶性因子から選択される作用物質を投与する工程を含んでなる、有害な免疫反応を発症しているか、またはその危険性がある個体を処置するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】
個体が対宿主性移植片病を有するか、またはその危険性がある請求項2に記載の方法。
【請求項4】
個体が混合リンパ球反応を有するか、またはその危険性がある請求項2に記載の方法。
【請求項5】
個体が移植片拒絶を有するか、またはその危険性がある請求項2に記載の方法。
【請求項6】
移植片が皮膚移植片である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
移植片が臓器移植片である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
移植片が骨髄移植片である請求項5に記載の方法。
【請求項9】
移植片が末梢血移植である請求項5に記載の方法。
【請求項10】
個体が自己免疫障害を有する請求項2に記載の方法。
【請求項11】
個体が白血病を患い、そして対宿主性移植片病の危険性がある請求項2に記載の方法。
【請求項12】
移植片受容体における対宿主性移植片病を減少する方法であって、移植片をその移植前に免疫を調節する有効量の(1)臍帯脈管周囲細胞および/または(2)該細胞により生産される免疫調節可溶性因子から選択される作用物質に暴露する工程を含んでなる上記方法。
【請求項13】
作用物質が臍帯脈管周囲細胞である前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
作用物質がヒト臍帯脈管周囲細胞(HUCPVC)である前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
臍帯脈管細胞が目的タンパク質をコードする導入遺伝子を含んでなる前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
臍帯脈管周囲細胞が実質的にMHCダブルネガティブHUCPVCである前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
HUCPVCが単位用量中に1キログラムの個体あたり0.01〜5百万個のHUCPVC細胞の範囲で存在する、請求項14ないし16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
作用物質がHUCPVCにより生産される免疫調節可溶性因子である、請求項1ないし
13のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
免疫調節可溶性因子がHUCPVCの成長によりコンディショニングされた培地の抽出物として提供される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
HUCPVCの培養で生産された免疫調節可溶性因子を含んでなる抽出物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−536163(P2009−536163A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508067(P2009−508067)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000781
【国際公開番号】WO2007/128115
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(309016108)
【出願人】(508188905)
【出願人】(309016119)
【出願人】(505304034)
【Fターム(参考)】