説明

免疫応答を誘発するための組成物、方法およびキット

本発明は、とりわけ癌を処置および予防するための、癌細胞により発現される最低1種のCMV抗原に対する免疫応答を誘発するための組成物、方法およびキットに関する。CMV測定の方法、組成物およびキットもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の交差引用
本出願は、35 USC §119の下で、2008年6月20日に出願された米国仮出願第61/074,582号明細書(そっくりそのまま引用することより本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【0002】
政府の利権
米国政府は、国立保健研究所、国立癌研究所、および国立神経疾患・卒中研究所(Natioanl Institute of Neurological Disorders and Stroke)からの助成金(脳癌におけるNINDS SPORE(NINDS SPORE in Brain Cancer)P50−CA1−0876;NCI悪性神経膠腫の樹状細胞免疫療法(NCI Dendritic Cell Immunotherapy of Malignant Glioma)R01 CA 97222)を介して本出願にある種の利権を有する。
【0003】
本発明は、サイトメガロウイルス(CMV)抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するための組成物、方法およびキットに関する。本発明はまた、CMVを測定するための方法、組成物およびキットにも関する。
【背景技術】
【0004】
癌の処置方法は化学療法剤、放射線治療および外科手術の使用を包含する。多数の腫瘍抗原の同定が細胞に基づく治療の開発での試みにつながった。いくつかの方法は、腫瘍抗原、すなわち非腫瘍細胞に関して腫瘍細胞で優先的に発現されるポリペプチドを最初に同定することに頼っている。例えば、数種のヒト腫瘍抗原が黒色腫患者から単離され、同定されかつ特徴付けられている。
【0005】
CMVはβ−ヘルペスウイルスである。ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)はヒト集団で固有であり、また、該ウイルスは免疫無防備状態宿主でを除き通常は臨床的疾患を引き起こさないことが報告されている。数種のヒトヘルペスウイルスがリンパ腫、上咽頭癌、子宮頚癌およびカポジ肉腫を包含する多数のヒト悪性病変に関与している。最近、無傷のウイルスのHCMV抗原の発現および検出が数種の腫瘍で起こることが報告された。
【0006】
外科手術、放射線照射および化学療法を包含する攻撃的な多様式治療にもかかわらず、癌を伴う患者の予後は比較的不良なままである。さらに、癌に対する慣習的治療の非特異的な性質は、しばしば、周囲の正常および全身の組織に対する無能力にする損傷をもたらす。従って、癌細胞を標的とする有効な診断ならびに治療および予防戦略の開発に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
[発明の要約]
一局面において、本発明は、サイトメガロウイルス(CMV)抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供する。該方法は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合に該細胞に対する免疫応答を誘発する。
【0008】
別の局面において,本発明は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原
をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を提供し、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する。
【0009】
いくつかの局面において、予防的若しくは治療的有効量の製薬学的組成物が本発明により提供され、該製薬学的に許容できる組成物は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなり、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する。
【0010】
他の局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供し、該方法は
有効量の抗原提示細胞、Tリンパ球若しくは双方を含んでなる組成物を被験体に投与することであって、該抗原提示細胞およびTリンパ球は、感作有効量(sensitizing−effective amount)の最低1種のCMV抗原でin vitroで感作されており、抗原提示細胞、Tリンパ球若しくは双方の有効量は、該CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するのに十分である、
を含んでなる。
【0011】
一局面において、本発明は抗原提示細胞の作成方法を提供し、該方法は、最低1種のCMV抗原が該抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と抗原提示細胞を接触させることを含んでなり、該抗原提示細胞が該最低1種のCMV抗原を提示する。
【0012】
なおさらなる一局面において、本発明は、最低1種のCMV抗原が抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と接触された抗原提示細胞を含んでなる組成物を提供する。
【0013】
いくつかの局面において、本発明はリンパ球の作成方法を提供し、該方法は、
a)最低1種のCMV抗原が抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と抗原提示細胞を接触させること;および
b)リンパ球を産生するのに十分な条件下で段階a)の抗原提示細胞とリンパ球を接触させることであって、該リンパ球はCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発することが可能である、
を含んでなる。
【0014】
他の局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発することが可能なTリンパ球を産生するのに十分な条件下で抗原提示細胞と接触されたTリンパ球を含んでなる組成物を提供し、該抗原提示細胞は、最低1種のCMV抗原が該抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と接触されている。
【0015】
一局面において、被験体における癌の処置方法若しくはその重症度の低減方法が本発明により提供される。該方法は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発することが可能なTリンパ球を産生するのに十分な条件下で抗原提示細胞と接触されたTリンパ球を含んでなる組成物の治療的若しくは予防的有効量を被験体に投与することを含んでなり、該抗原提示細胞は、最低1種のCMV抗原が該抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と接触されている。
【0016】
別の局面において、本発明はCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供する。該方法は、
最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸をex vivoで負荷した樹状細胞を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与することであって、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する、
を含んでなる。
【0017】
いくつかの局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞の処置方法を提供し、該方法は、被験体における細胞の増殖若しくは広がりを低減若しくは阻害するために治療的若しくは予防的有効量の製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該組成物は、
a)最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードするポリヌクレオチド;
b)抗CMV抗体;
c)最低1種のCMV抗原を提示する抗原提示細胞、該CMV抗原に対しプライミングされたリンパ球、若しくは双方;または
d)それらの組合せ
を含んでなる。
【0018】
他の局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供し、該方法は、
有効量の抗原提示細胞、リンパ球若しくは双方を含んでなる組成物を被験体に投与することであって、該抗原提示細胞およびリンパ球は、感作有効量の最低1種のCMV抗原でin vitroで感作されており、抗原提示細胞、リンパ球若しくは双方の有効量は、該CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するのに十分である、
を含んでなる。
【0019】
一局面において、本発明はCMV抗原を発現する細胞の処置方法を提供し、該方法は、有効量の抗原提示細胞、リンパ球若しくは双方を含んでなる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該抗原提示細胞は、最低1種のCMV抗原が該抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下で、該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸とin vitroで接触されており、該リンパ球は、該最低1種のCMV抗原を提示する抗原提示細胞と接触されている。
【0020】
別の局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供し、該方法は、
抗CMV抗体を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与すること
を含んでなる。
【0021】
多様な他の局面において、本発明は、被験体中のCMV核酸、好ましくは血液若しくは他の生物学的液体中のCMV DNAを測定する、例えば被験体から得られる血液のサンプル中の無症候性ウイルス血症を決定するための組成物および方法を提供する。従って、該組成物および方法は、例えば、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症する素因となる細胞型と関連する疾患若しくは状態の予防的かつ/若しくは治療的処置のような、本明細書に記述される方法を包含する多様な診断および/若しくは治療処置(procedure)および処置(treatment)を補完する診断、モニタリングおよび予後試験/アッセイを提供する。
【0022】
他の局面において、本発明は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を含んでなるキットを提供し、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(A)ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)タンパク質の免疫組織化学的検出を示し:(a)陰性対照(一次抗体なし;対物レンズ10倍);(b)抗平滑筋アクチン(マウスIgG2a mAb;10倍);(c)抗HCMV IE1(マウスIgG2a mAb、10倍)で染色された多形神経膠芽腫(GBM)試料1;(d)抗IE1染色のより高倍率は、陽性の腫瘍細胞および内皮細胞しかし陰性のリンパ球および血管内膜を示す(20倍);(e)血管周囲腫瘍細胞の染色しかし壊死領域の検出の欠如を示す抗HCMV IE1で染色されたGBM試料2(10倍);(f)抗IE1 mAbで染色された血管周囲腫瘍細胞(20倍);(gおよびh)GBM試料全体に散乱した腫瘍細胞の核および核周囲染色を示す、抗HCMV pp65 mAbで染色されたGBM試料3(それぞれ10倍および20倍);(iおよびj)抗平滑筋アクチンmAbで染色されたCMVに感染した肺(10倍);(k)抗HCV IE1で染色されたCMVに感染した肺(20倍);(l)抗HCMV pp65 mAbで染色されたCMVに感染した肺(20倍);ならびに(B)一致させたGBMおよび正常脳中のHCMV検出。正常脳および腫瘍の領域を含有する2種のGBM試料からの代表的組織化学的切片を、アイソタイプ対照抗体(患者1、左列)若しくは抗HCMV pp65(患者1腫瘍、中列;患者2、右列)を使用して検出のため染色した。HCMV pp65抗体に対する反応性の中心領域が腫瘍に関与する領域全体で観察されたが、しかし正常脳はHCMV特異的抗体に対する免疫反応性を欠いた(IE1染色は腫瘍中のIE1のより偏在性検出(示されない)と同一の知見を示した)。全部の写真は40倍対物拡大で撮影した。
【図2】悪性神経膠腫試料中のHCMVのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検出を示す。レーン1:100bpラダー、レーン2−E:MG試料;レーン4:MGサンプル4+100bpラダー;レーンF:陰性対照(DNA鋳型なし)。
【図3】CMVについて血清陽性および血清陰性である被験体での自己リンパ球移植(ALT)を伴う若しくは伴わない治療的TMZ誘発性リンパ球減少症からの回復の間のCMV pp65−LAMP RNAを負荷したDCを使用する新たに診断されたGBMを伴う被験体のワクチン接種プロトコルの図解を示す。
【図4】CMV pp65 RNAを負荷したDCで処置した新たに診断されたGBMを伴う患者の腫瘍増殖停止期間を示すグラフである。GBMを伴う13例の患者を、CMV pp65を標的とするDCワクチンで処置した。腫瘍増殖停止期間は既存対照被験者と比較して好都合である(P=0.0008)。
【図5】CMV pp65 RNAを負荷したDCワクチンで処置したGBMを伴う患者の全体生存を示すグラフである。
【図6】GBMを伴う33歳女性被験体のpp65 RNAを負荷したDCワクチン接種の間のほぼ完全なX線検査応答を示す磁気共鳴画像(MRI)である。
【図7】CMV pp65に対する多機能T細胞応答の分析を示す。CMV血清陽性ドナーからの末梢血単核細胞(PBMC)をCMV pp65ペプチド混合物でin vitroで刺激し、そしてHIVワクチン試験ネットワークの免疫学的モニタリング中央検査室(Immunologic Monitoring Core Laboratory of the HIV Vaccine Trials Network)で、検証済みの11色多色フローサイトメトリー分析を使用して分析した。機能的およびブール型ゲーティングソフトウェアを使用して多機能T細胞(複数のサイトカインを分泌しかつグランザイム活性化マーカーCD107aを表示する)の比率を決定した。多機能免疫応答は、HIV感染を伴う進行者(progressor)を非進行者(non−progressor)から識別することが示されており、また、特定の1サイトカインを分泌する細胞の絶対数若しくはパーセンテージよりもウイルス感染の免疫保護とより良好に相関した。
【図8】pp65 mRNAでパルスした自己樹状細胞を用いるワクチン接種を受領する新たに診断されたGBMを伴う患者でのpp65抗体応答の増大を示すグラフである。左の図は、組換えpp65タンパク質で被覆されたビーズへのpp65特異的モノクローナル抗体の標準曲線結合を示す。右図は、組換えpp65で被覆されたビーズへの患者の血清の希釈中に存在する抗体の特異的結合を示す。ワクチン前血清は、低力価のpp65特異的抗体、およびワクチン#5で増大する力価(抗ヒトIgG蛍光抗体での検出後の平均倍数増大(mean fold increase)(MFI)として示される)、ならびにワクチン#9によるさらなる増大を含有する。さらに、これらの応答はテモゾロミドの周期の間に誘導され、同時の化学療法投与の間の強力な体液性応答を誘発する能力を示す。
【図9】pp65 mRNAでパルスした自己樹状細胞でのワクチン接種を受領する新たに診断されたGBMを伴う患者での遅延型過敏性(DTH)応答の増大を示す棒グラフである。pp65および対照抗原(破傷風およびカンジダ)に対しワクチン接種前および後に陽性のDTH応答(10mm以上)を示す患者の比率を左に示し;ならびに、ワクチン接種の前および後の皮膚紅斑の面積を右に示す。さらに、これらの応答はテモゾロミドの周期の間に誘発され、同時の化学療法投与の間の細胞性DTH応答を誘発する能力を示す。
【図10】蛍光標示式細胞分取(FACS)プロファイルである。PBMCからの非接着細胞を、抗CD3被覆プレートを使用してin vitroで72時間刺激し、そして収集し、洗浄し、そして下の実施例10および11に記述されるとおり緑色蛍光タンパク質(GFP)若しくはCXCケモカイン受容体2(CXCR2)をコードするRNA(10細胞あたり2μgのRNA)で電気穿孔した。細胞を培地(AIM−V培地、2%AB血清、hIL−2[100U/ml])中で48時間培養し、洗浄し、そしてアロフィコシアニン(APC)結合CXCR2特異的モノクローナル抗体の投与およびフローサイトメトリーによりGFP発現およびCXCR2について分析した。上:GFP(上左)およびCXCR2(上右)の未トランスフェクトT細胞発現。下:GFP RNAでの電気穿孔後のGFP発現(下左)およびCXCR2 RNAでの電気穿孔後のCXCR2発現(下右)。本実験は類似の結果を伴い2回反復した。
【図11】FACSプロファイルである。HLA−A2陽性ドナーからのPBMCを、HLA−A2拘束性pp65ペプチド(N9V)でパルスした自己DCで7日間刺激し、収集し、そしてGFP RNAで電気穿孔した。48時間後にGFP発現をN9V四量体陽性およびN9V四量体陰性CD8+ T細胞で検査した。左:芽球様リンパ球(R1;上)およびCD8+ T細胞(R2;下)上でのゲーティング。中:対照RNA(CXCR2)でトランスフェクトした細胞でのGFP発現なし。右:四量体染色(リンパ球(R1)およびCD8+細胞(R2)でゲートされる)(下右)により示されるところのpp65特異的T細胞からほぼ完全になる、24.57%のCD8+ T細胞でのGFP発現(上右)。
【図12】GFP発現細胞のパーセンテージおよびFACSプロファイルを示すグラフである。(A)DCで刺激されたRNAでトランスフェクトしたT細胞でのGFP発現のキネティクス。PBMCを、下の実施例10および11に記述されるところのpp65 mRNAでパルスした自己DCでin vitroで11日間刺激した。細胞を収集しかつGFP RNA(2μg/106細胞)でトランスフェクトした。四量体陽性(HLA−A2B)および四量体陰性細胞でのGFP発現を、電気穿孔24時間後に開始して評価しかつ電気穿孔後第7日までモニターした。(B)分取したGFP RNAでトランスフェクトしたT細胞の増殖。PBMCは材料および方法に記述されるとおりpp65 mRNAでパルスした自己DCでin vitroで11日間刺激した。細胞を収集しかつGFP RNA(2μg/10細胞)でトランスフェクトした。48時間後に細胞をGFP発現(GFP+およびGFP−)に基づきフローサイトメトリーにより分取し、そして高用量のIL−2を含む培地に戻し入れた。細胞の増殖をトリパンブルー染色および3〜4日ごとの細胞のアリコートの計数により評価した。本実験を別のドナーからのPBMCを用いて反復し、類似の結果を伴った。(C)HLA−A2およびHLA−B7拘束性pp65特異的T細胞の四量体分析。四量体の一団を使用して、四量体により検出可能なpp65に対する1種類以上のハプロタイプ拘束性T細胞反応性を伴う患者を同定した。左:GFP−画分中のHLA−A2およびHLA−B7 pp65特異的T細胞の頻度。右:GFP画分中の四量体陽性細胞の頻度。(D)RNA電気穿孔によるCMV抗原特異的CD4 T細胞の単離。pp65 RNAでパルスしたDCで刺激したPBMCを前述されたとおり生成し、そしてDC刺激後第11日にGFP RNAで電気穿孔した。細胞をGFP+およびGFP−画分に分取し、そして48時間後に抗原なし、SEB(1Bg/ml)若しくはCMV pp65ペプチド混合物(Beckman Coulter)への曝露後のIFN−B産生について細胞内サイトカインフローサイトメトリーにより分析した。左:GFP−CD4+ T細胞中のIFN−Bの発現。右:GFP+CD4+ T細胞中のIFN−B。
【図13】FACSプロファイルである。RNA電気穿孔後のpp65特異的T細胞中のCXCR2の選択的発現。PBMCを、実施例10および11に記述されるとおりpp65 mRNAでパルスした自己DCでin vitroで11日間刺激した。細胞を収集しかつCXCR2 RNA(2μg/10細胞)でトランスフェクトした。48時間後に細胞を収集し、そして四量体陽性(HLA−A2拘束性ドナー)および四量体陰性CD8+細胞でのCXCR2発現について分析した。CXCR2の活性化されたCD8+ T細胞中の基礎発現はおよそ10%であった(データは示されない)。結果は、RNA電気穿孔が、四量体陽性細胞の49.1%での発現を伴い、CMV特異的T細胞のみで増大されたCXCR2発現をもたらした一方、基礎を上回る発現の増大はDC刺激後四量体陰性細胞で観察されなかったことを示した。
【図14】グラフである。(A)CXCR2およびGFP RNAでトランスフェクトしたT細胞のIL−8へのin vitro走化性。PBMCを、実施例10および11に記述されるとおり固定した抗CD3抗体媒介性刺激を使用してin vitroで活性化した。細胞を収集しかつCXCR2若しくはGFP RNA(2μg/10細胞)でトランスフェクトした。48時間後に細胞を収集し、計数し、そして実施例10および11に記述されるとおりフィルターチャンバー培養プレートに三重で入れた。増大する濃度のIL−8に応答しての未トランスフェクト、GFP RNAでトランスフェクト、およびCXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞の移動を、下チャンバー中の示される濃度のIL−8の存在下で45分の培養後に評価した。結果は、未トランスフェクトおよびGFP RNAでトランスフェクトした細胞に比較してのCXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞の高められた走化性応答を示した(*p<0.05;t検定)。本実験を数回反復し同一の結果を伴った。(B)CXCR2およびGFP RNAでトランスフェクトしたT細胞のGRO−αへのin vitro走化性。細胞は、フィルターチャンバープレートの下チャンバー中の増大する濃度のGRO−αに対して上述されたとおりアッセイした。CXCR2でトランスフェクトしたT細胞はGRO−αに応答して有意に増大された走化性活性を表した一方、GFP RNAでトランスフェクト、および未トランスフェクトのT細胞はGRO−αに応答しての移動の有意の変化を示さなかった(*p<0.05;t検定)。(C)CXCR2およびGFP RNAでトランスフェクトしたT細胞のUL146へのin vitro走化性。細胞は、フィルターチャンバープレートの下チャンバー中の増大する濃度のCMVに分泌されるケモカインUL146に対して上述されたとおりアッセイした。CXCR2でトランスフェクトしたT細胞はUL146に応答して顕著に増大された走化性活性を表した一方、GFP RNAでトランスフェクト、および未トランスフェクトのT細胞はUL146に応答しての移動の変化を示さなかった(**p<0.01;t検定)。
【図15】グラフおよびFACSプロファイルである。(A)CXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞の腹腔中への移動。PBMCを、下の実施例10および11に記述されるとおりpp65 mRNAでパルスした自己DCでin vitroで11日間刺激した。細胞を収集しかつCXCR2 RNA(2Bg/106細胞)でトランスフェクトした。48時間後に、未トランスフェクトおよびCXCR2 RNAでトランスフェクトした細胞を収集し、そしてCFSE(未トランスフェクト細胞について1μM、およびCXCR2 RNAでトランスフェクトした細胞について10BM)でPBS中5分間示差的に標識し、洗浄し、混合し、そしてSCIDマウスに静脈内注入した(マウスあたり2×10細胞、群あたりn=3)。マウスに、PBSのみ、若しくはPBS中1μg/mlのケモカイン(GRO−α、IL−8若しくはUL146)を、T細胞の注入後24時間、8時間ごとに腹腔内注入した。殺した後に腹腔洗浄によりリンパ球を収集しかつ遠心分離し、そして未トランスフェクトおよびCXCR2 RNAでトランスフェクトした細胞の相対的蓄積をフローサイトメトリー分析により評価した。PBS処置動物のCFSEhigh細胞(CXC2 RNAでトランスフェクトしたT細胞)およびCFSElow細胞(未トランスフェクトT細胞)の蓄積を、サイトカイン処置動物の細胞の蓄積との比較のための基礎として使用した。データはPBS処置動物と比較しての倍数変化として表す。(B)CXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞のCNSへの移動。PBMCは、実施例10および11に記述されるとおりpp65 mRNAでパルスした自己DCでin vitroで11日間刺激した。細胞を収集しかつCXCR2 RNA(2μg/10細胞)でトランスフェクトした。48時間後に、未トランスフェクト、およびCXCR2 RNAでトランスフェクトした細胞を収集しかつCFSE(5μM)でPBS中5分間標識し、洗浄し、そしてSCIDマウスに静脈内注入した(マウスあたり1×10細胞、群あたりn=3)。麻酔したマウスにその後、右頭頂葉を介してCMVのケモカインUL146(5μl PBS中1μg)を、および左頭頂葉を介してPBSのみを注入した。右および左頭頂葉でのCFSE標識細胞の蓄積を6時間後に大脳半球の切開および頭頂葉からの単細胞消化調製後にフローサイトメトリーにより評価した。CXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞を注入したマウスの代表的フローサイトメトリードットプロットは、CXCR2リガンドUL146を注入した右頭頂葉内のリンパ球のより多い蓄積を示す。(C)CXCR2でトランスフェクトしたT細胞のin vitro移動。右(UL146注入)および左(PBS注入)頭頂葉内のT細胞の蓄積をフローサイトメトリーにより評価し、そして100,000事象あたりのヒトT細胞をプロットした。結果は、UL146に応答してのCNS内のCXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞の有意の蓄積を示した一方、未トランスフェクトT細胞はいかなる優先的蓄積も表さなかった(*p<0.05;t検定)。
【図16】GBMを伴う患者の末梢血および腫瘍からのCMV gB(UL55)DNAの増幅を示す電気泳動ゲルである。A:レーン1:100bp DNAラダー;レーン2−12:腫瘍の初回切除時点で採取された新たに診断されたGBMを伴う11例の患者からの末梢血サンプルは、11例の患者のうち6例でウイルスDNAの強い検出、および11例の患者のうち3例で適切な大きさの弱いバンドを示す。B:レーン1:100bp DNAラダー;レーン2−F:高悪性度星状細胞腫を伴う14例の患者(11例GBM、3例AA)からのGBM腫瘍サンプルは、14例の患者のうち11例で適切な大きさの明瞭なバンドを示す。レーン4は、増幅されたバンドとの整列のため100bp DNAラダーをサンプルと混合している。
【図17】GBM患者血清からのHCMV gp64リアルタイムPCRの融解曲線グラフである。
【図18】GBM患者血清からのHCMV gp64リアルタイムPCRのPCR増幅周期グラフである。
【図19】配列相同性を示す。22種の新たに切除したGBM試料からの増幅されたgB(UL55)DNAを、デュークDNA配列決定中核施設(Duke DNA Sequencing Core Facility)で実施されたDNA配列決定により評価した。配列アライメントはVector NTI Advance 10(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)を使用して実施した。同定されたCMV株に対する相同性をNCBI DNAデータベースのBLASTにより評価した。サンプル間の配列変動の領域を青色で示し、ヌクレオチドの差違を白色で強調している。黄色は全22種の試料全体の保存された同一性を示す。白色および青色は配列変動の領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[発明の詳細な記述]
発明者は、CMV抗原を発現する細胞を、例えばワクチンを必要とする免疫療法を包含するCMV特異的免疫学的技術を使用して標的とし得ることを発見した。本発明は、限定されるものでないがCMV抗原を発現する細胞に対する診断薬および治療薬のための組成物、方法およびキットの開発に応用可能である。
【0025】
I.定義
「免疫応答」という用語は、本明細書で、抗原若しくは抗原決定基に対する免疫系によるいかなる応答も指す。例示的免疫応答は、体液性免疫応答(例えば抗原特異的抗体(中和若しくは別のもの)の産生)および細胞媒介性免疫応答(例えばリンパ球増殖)を包含する。
【0026】
II.方法および組成物
一局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供する。該方法は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を該被験体に投与することを含んでなり、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合に該細胞に対する免疫応答を誘発する。
【0027】
CMV抗原を発現する細胞はいかなる種類の細胞でもあり得る。該細胞は、癌細胞、前癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発生する素因となる細胞型を特徴とすることができる。癌は、限定されるものでないが脳癌(例えば神経膠腫)、肺癌、肝癌、子宮頚癌、軟組織肉腫、内分泌腫瘍、造血癌、黒色腫、膀胱癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、結腸癌および卵巣癌を挙げることができる。癌は良性若しくは悪性もまた特徴とし得る。一態様において、癌は高悪性度神経膠腫である。別の態様において、高悪性度神経膠腫は多形神経膠芽腫、未分化星状細胞腫若しくは乏突起神経膠腫である。
【0028】
一般に、免疫応答は、体液性免疫応答、細胞媒介性免疫応答若しくは双方を包含し得る。例えば、MHC IIタンパク質が関わる免疫学的経路若しくは直接B細胞刺激による抗原提示は体液性応答を生じ得;また、MHC Iタンパク質が関わる経路により提示さ
れる抗原は免疫系の細胞アームを誘導し得る。
【0029】
体液性応答は、製薬学的に許容できる組成物を受領する被験体からの血清サンプル中の抗体レベルの標準的イムノアッセイにより測定し得る。細胞性免疫応答はT細胞が関わる応答であり、そしてin vitro若しくはin vivoで測定し得る。例えば、一般的細胞性免疫応答は、製薬学的に許容できる組成物の投与後適切な時点で被験体からサンプリングした細胞(例えば末梢血白血球(PBL))中のT細胞増殖活性として測定し得る。例えばPBMCの刺激物質との適切な時間のインキュベーション後に[H]チミジン取り込みを測定し得る。増殖しているT細胞のサブセットはフローサイトメトリーを使用して測定し得る。T細胞の細胞傷害性(CTh)もまた測定し得る。
【0030】
一態様において、誘発される免疫応答は、腫瘍性疾患若しくはそれに伴う症状、具体的にはCMVに関連する癌の予防的若しくは治療的処置に十分である。従って、製薬学的に許容できる組成物の有益な影響は、一般に少なくとも部分的に免疫媒介性であることができるとは言え、免疫応答は、本明細書に記述される組成物および方法が本発明の範囲内にあるために確実に示される必要はない。
【0031】
ヒトおよびヒト以外の脊椎動物の双方に投与することを本発明の範囲内で企図している。獣医学の応用もまた企図している。一般に、被験体は免疫応答を誘発し得るいかなる生存生物体でもある。被験体の例は、限定されるものでないが、ヒト、家畜、イヌ、ネコ、マウス、ラットおよびそれらのトランスジェニック種を挙げることができる。
【0032】
被験体は腫瘍性疾患(例えば腫瘍)を有し得るか、若しくは腫瘍性疾患を発症する危険にさらされていることができるかのいずれかである。被験体は、臨床基準、例えば臨床で測定可能な腫瘍を表す進行腫瘍性疾患若しくは高腫瘍負荷を伴うものを特徴とし得る。臨床で測定可能な腫瘍は(例えば触診、MRI、CATスキャン、X線により)腫瘍体積に基づき検出し得るものである。従って、例えば、本発明の製薬学的に許容できる組成物は、それらの状態を緩和するという目的を伴い進行疾患を伴う被験体に投与し得る。好ましくは、腫瘍体積の減少は本発明の製薬学的に許容できる組成物を投与することの結果として発生するが、しかしいかなる臨床的改善も利益を構成する。臨床的改善は、例えば低下された危険性若しくは進行速度、または腫瘍の病理学的意義の低下を包含する。
【0033】
別の例として、被験体は、癌の病歴を有しかつ別の治療様式に応答性であったものであり得る。該他の治療は、例えば外科的切除、放射線治療、化学療法、およびそれにより該他の治療の結果として被験体が臨床で測定可能な腫瘍を呈しない他の様式の免疫療法を包含していたかもしれない。しかしながら、該被験体は元の腫瘍部位の近くで若しくは転移によるかのいずれかで癌の再発若しくは進行の危険にさらされていることが決定されるものであり得る。こうした被験体は高リスクおよび低リスク被験体とさらに分類し得る。該細分は初期治療の前若しくは後に観察される特徴に基づき行い得る。これらの特徴は臨床の技術分野で既知であり、そして各異なる癌について適して定義されている。高リスクサブグループの典型的な特徴は、腫瘍が隣接組織に侵襲したか若しくはリンパ節の関与を示すものである。従って、例えば、本発明の製薬学的に許容できる組成物は、主に再発に対する予防的措置として抗癌応答を誘発するため被験者に投与し得る。好ましくは、該組成物を投与することは癌の再発を遅らせるか、若しくは、より好ましくは再発のリスクを低減する(すなわち治癒率を向上させる)。こうしたパラメータは他の患者集団および他の治療様式と比較して決定し得る。
【0034】
該製薬学的に許容できる組成物は適切であるいずれの時点でも投与し得る。例えば、該投与することは、腫瘍負荷を有する被験体の伝統的治療の前若しくは間に実施し得、そして該腫瘍が臨床で検出不可能になった後に継続し得る。該投与することは再発の徴候を示
す被験体でもまた継続し得る。
【0035】
該製薬学的に許容できる組成物は、治療的若しくは予防的有効量で投与し得、該製薬学的に許容できる組成物は、単独でまたは1種若しくはそれ以上の他の抗原と組合せのいずれかで最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる。本発明の製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与することは、既知の手順を使用して、および所望の効果を達成するのに十分な投薬量でかつ時間実施し得る。例えば、該製薬学的に許容できる組成物の治療的若しくは予防的有効量は、被験体の齢、性および重量のような因子に従って変動し得る。投与計画は、治療若しくは予防効果を提供する免疫応答を包含する所望の免疫応答を誘発するように当業者により調節し得る。
【0036】
該製薬学的に許容できる組成物は、いずれかの適する部位、例えば原発腫瘍に遠位若しくは近位である部位で被験体に投与し得る。投与経路は、非経口、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、鼻内、静脈内(留置カテーテルを介してを包含する)、輸入リンパ管を介して、若しくは処置される腫瘍性疾患および被験体の状態を鑑みて適するいずれかの他の経路によることができる。好ましくは、用量は、それが免疫応答または腫瘍性疾患および/若しくはそれに伴う症状の予防的若しくは治療的処置を誘発する場合は、所望の応答をもたらす際に有効な量および時間で投与することができる。
【0037】
該製薬学的に許容できる組成物は、被験体で免疫応答をまた誘発する治療を包含する他の治療の後、それに先行して、若しくはそれと同時期に与えることができる。例えば、被験体は、化学療法(例えばテモゾロミドのようなアルキル化剤により)、放射線治療、および他の形態の免疫療法により事前に若しくは同時に処置してもよく、こうした他の治療は、好ましくは、本発明の組成物の免疫原性を妨害しないような方法で提供される。
【0038】
投与することは、医療提供者(例えば医師、獣医師)により適正に時刻を設定することができ、そして、被験体の臨床状態、投与することの目的、および/またはまた企図している若しくは投与されている他の治療に依存し得る。いくつかの態様において、初回用量を投与し得、そして被験体を免疫学的若しくは臨床いずれかの応答、好ましくは双方についてモニターし得る。免疫学的モニタリングの適する手段は、レスポンダーとして患者の末梢血リンパ球(PBL)および刺激物質として腫瘍細胞を使用することを包含する。免疫学的反応は投与の部位の遅延性炎症反応によってもまた決定し得る。初回用量後の1若しくはそれ以上の用量を、所望の効果が達成されるまで適切なように、典型的には月1回、月2回、若しくは好ましくは週1回与えることができる。その後、付加的な追加免疫若しくは維持用量を、必要とされるとおり、具体的には免疫学的若しくは臨床的利益が低下したようである場合に与えることができる。
【0039】
A.CMV抗原
一態様において、該最低1種のCMV抗原は、CMV遺伝子によりコードされるポリペプチド若しくはその免疫原性フラグメントである。上で示されたとおり、本明細書で使用されるところの「CMV」という用語は、動物、例えばヒトおよびサルのような哺乳動物を感染させるウイルスのいかなる株も包含する。ヒトを感染させるCMVの株は典型的にヒトCMV(HCMV)と呼称される。HCMVからのORFおよび/若しくはそれらの対応するポリペプチドは、例えばCheeら、Curr.Top.Microbiol.Immunol.,154:125(1990)およびSpaeteら、J.General Virology,74:3287(1994)(それらのそれぞれはこうしたポリペプチドおよびそれらの命名法のそれらの教示について引用することにより本明細書に組み込まれる)により記述されるところの命名法を使用して言及することができる。CMVからのこうしたリーディングフレームおよびポリペプチドへの言及は、いずれかの天然に存在するCMV株中の配列、およびこうした株に対する突然変異ならびにスプライスバ
リアントを包含する多様な株で見出される対応する配列および位置ホモログ(positional homolog)もまた言及することができる。
【0040】
限定されるものでないが、HCMV AD169(American Type Culture Collection(ATCC)# VR 538)、HCMV Towne(ATCC# VR 977)、HCMV Davis(ATCC# VR 807)、HCMV Toledo(Quinnanら、Ann.Intern.Med.,101:478−83(1984))、サルCMV Rh68.1(ATCC# VR 677)、サルCMV CSG(ATCC# VR 706)、ラットCMV Priscott(ATCC# VR 991)、およびマウスCMV Smith(ATCC# VR 1399)を挙げることができる多様な株のCMVの遺伝子配列ならびにORFおよびコードされるポリペプチドが当該技術分野で既知である。別の一例として、HCMV
AD169株の遺伝子およびポリペプチド配列情報はGENBANK受託番号BK000394.2およびX17403.1(それらのそれぞれはそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)によってもまた記述されている。また、1種のCMV株(例えばHCMV AD169株)に対応する既知の配列情報を使用して、別のCMV株の遺伝子およびポリペプチドの配列情報を決定し得る。例えば、共通の進化起源、構造/機能を共有しかつその産物が最低約20%のアミノ酸配列同一性、具体的には約20ないし約100%、約30ないし約90%、約40ないし約80%、約50ないし約70%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を包含するホモログを決定し得る。ホモログは、BLASTのようなコンピュータプログラムを使用する相互との核酸若しくはアミノ酸配列の比較のような当該技術分野で既知の方法により、または配列間の予め決定された量のミスマッチを検出するよう設計されている緊縮性下のハイブリダイゼーションにより同定し得る。また、ホモログに基づく配列情報を、特定の1単離物を単離しかつ例えばプライマーおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してその配列を特徴付けるのに使用し得る。
【0041】
いくつかの態様において、最低1種のCMV抗原は、HCMV遺伝子若しくはそのホモログのオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされるポリペプチド若しくはその免疫原性フラグメントである。一態様において、該ポリペプチド若しくはその免疫原性フラグメントは、GENBANK受託番号BK000394.2若しくはX17403.1により示されるCMV株に対応する遺伝子によりコードされる。
【0042】
他の態様において、最低1種のCMV抗原は、リンタンパク質unique long
83(ppUL83;pp65として知られる)、糖タンパク質UL55(gpUL55;gBとして知られる)、UL123前初期(immediate early)1(IE1)タンパク質、UL122 IE2タンパク質、UL111A(mtrIIとして知られる)、US28、ppUL32、ppUL65、ppUL80a、ppUL82、ppUL98a、ppUL99、gpUL4(gp48として知られる)、gpUL16、gpUL18(MHCとして知られる)、gpUL75(gHとして知られる)、gpUL100、gpUL110(gMとして知られる)、gpUL115(gLとして知られる)、pUL46、pUL48、pUL56、pUL86(MCPとして知られる)、糖タンパク質unique short 10(gpUS10)、gpUS11、糖タンパク質複合体(glycoprotein complex)II(gcII)、gp65およびgp93よりなる群から選択されるポリペプチド若しくはその免疫原性フラグメントに対応する。
【0043】
一態様において、該最低1種のCMV抗原はCMVの同一抗原若しくは異なる抗原からの1個若しくはそれ以上のエピトープに対応するアミノ酸配列を含んでなる。いくつかの態様において、該1個若しくはそれ以上のエピトープは単一MHCクラスIハプロタイプ
に拘束される若しくは拘束されないことを特徴とし得る。他の態様において、該1個若しくはそれ以上のエピトープは、人種的起源若しくは民族性に関係なく一般集団の最低約5%、具体的には一般集団の最低約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90および100%の適用範囲を提供するのに十分な数のMHCクラスI分子に特異的である。当業者は、HLA特異性実験を使用して、いずれかの所定の集団の適用範囲を提供するのに必要とされる個々のHCMV細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープの数を決定するための立場に容易にあることができる。場合によっては、該1個若しくはそれ以上のエピトープは、HLAスーパータイプ特異性をさらに表し、かつ/または被験体におけるTヘルパー機能を助長するのに十分な1個若しくはそれ以上のCD4+決定基を含んでなる。
【0044】
CMVエピトープの例は、限定されるものでないが、Trivediら、Blood,105:2793(2005)および米国特許出願公開第2005/0019344号明細書(それらのそれぞれはCMVエピトープのそれらの教示について引用することにより本明細書に組み込まれる)により記述されるところのアミノ酸配列を含んでなるペプチドを挙げることができる。一態様において、該最低1種のCMV抗原は、配列番号1、2若しくは3のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド若しくはその抗原フラグメントである。
【0045】
別の態様において、該最低1種の抗原はドミナントHLAアレルにより拘束されている1個若しくはそれ以上のCMV CTLエピトープを含んでなる。例えば、ワクチン戦略は、例えば複数のペプチドを混合することにより、または、あるいは、組換え若しくは合成ポリエピトープポリペプチドを構築するために融合し得る最小CTLエピトープを使用することにより、CMVで誘発されるCTL応答により認識されることが既知の免疫優性エピトープを模倣する合成ペプチドの製剤(formulation)を用いるCD8+
T細胞レパートリーの生成を必要とし得る。また、潜在性抗原からのCTLエピトープに基づくワクチン設計は、CMVで形質転換された潜伏感染細胞に向けることができ、ならびに、CMVウイルスで誘発される状態に対するそれらの増大された感受性によりCMV血清陰性移植レシピエントでもまた使用し得る。
【0046】
他の態様において、該最低1種の抗原はペプチドのプールに対応する。一態様において、該ペプチドのプールは最低約8merのアミノ酸配列、具体的には約8merないし約30mer、約9merないし約25mer、約10merないし約20mer、約11merないし約18mer、約12merないし約16mer、および約13merないし約15merを含んでなり、該ペプチドの配列は最低約6アミノ酸のオーバーラップ、具体的には約6ないし約20、約7ないし約19、約8ないし約18、約9ないし約17、約10ないし約16、および約11ないし約14アミノ酸のオーバーラップを有し、ペプチドの該プールは、HCMVタンパク質の最低約10%、具体的にはHCMVタンパク質の約10ないし約100%、約20ないし約90%、約30ないし約80%、約40ないし約70%、および約50ないし約60%を包括する。
【0047】
一態様において、該HCMVタンパク質はIE−1タンパク質(例えばHCMV株AD169のIE−1タンパク質;例えばSwiss−Prot受託番号P13202(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい)である。別の態様において、HCMVタンパク質はpp65タンパク質(例えばHCMV株AD169のpp65タンパク質;例えばSwiss−Prot受託番号P06725(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい)である。
【0048】
他の態様において、該ペプチドのプールは、1種若しくはそれ以上のHCMVタンパク質の完全な若しくは実質的に完全な配列を包括する11アミノ酸のオーバーラップの15
merアミノ酸配列を含んでなる。いくつかの態様において、該1種若しくはそれ以上のHCMVタンパク質はIE−1タンパク質若しくはpp65タンパク質である。例えば、いくつかの態様において、ペプチドの該プールはPepTivatorTM CMV pp65(Miltenyi Biotec、独国グラードバッハ)若しくはPepTivatorTM CMV IE−1(Miltenyi Biotec、独国グラードバッハ)を含んでなる。
【0049】
いくつかの態様において、ペプチドエピトープの使用は現在の優良医薬品製造基準(cGMP)等級の製品を製造することをより容易にし得る。従って、いくつかの態様において、本発明はペプチドの該プールを含んでなる免疫原性組成物を提供する。
【0050】
従って、いくつかの局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する細胞性免疫応答を誘発することが可能な1種若しくはそれ以上の免疫学的に活性のペプチドおよびそれらの機能的バリアントを提供する。例えば、該細胞は、癌細胞、前癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症する素因となる細胞型を特徴とし得る。いくつかの態様において、該ペプチドは該細胞を認識しかつ溶解するようヒトCTLに指図することが可能である。こうした免疫学的に活性のペプチドは、MHCクラスI分子と関連して、潜伏若しくは活動性HCMV感染を有する個体のCTLにより認識され得る。
【0051】
こうしたペプチド(1種若しくは複数)(例えばペプチドの該プール)は、場合によってはアジュバントを含むペプチド(1種若しくは複数)またはリポペプチド(1種若しくは複数)ワクチンの形態で投与しうる。いくつかの態様において、該ペプチド(1種若しくは複数)は、それらの表面上に該プールのペプチドを提示するようにin vitroで処理された自己若しくは同種の抗原提示細胞若しくは樹状細胞の投与を介する細胞ワクチンの形態で投与しうる。別の態様において、T細胞を個体から取り出しかつin vitroで該ペプチド(1種若しくは複数)で処理し得、該生じるCTLを該被験体に自己若しくは同種再注入する。多様な他の態様において、本発明のペプチド(1種若しくは複数)は、ポリヌクレオチドワクチンの形態で被験体に若しくはin vitroでT細胞にもまた投与することができ、適切な発現制御配列の制御下にペプチドフラグメント(1種若しくは複数)をコードするDNAを含有するプラスミド若しくは工作されたウイルスベクターのような1種若しくはそれ以上の適する遺伝子移入ベクターを、被験体に若しくはin vitroでT細胞に投与する。
【0052】
ペプチドのプールは、例えばKieckerら、Hum Immunol.65:523−36(2204)(ペプチドのプール、およびT細胞を刺激するためにペプチドのプールを使用することのその教示について引用することにより本明細書に組み込まれる)により開示されている。
【0053】
該最低1種のCMV抗原は当該技術分野で既知の技術を使用する慣例の実験によってもまた決定し得る。例えば、免疫系により認識される特定の1CMV株の抗原決定基をクローン化し得、そしてライブラリーおよび発現ベクターを使用して特徴付け得る。例として、DNAのランダムフラグメントをHCMV DNAのコスミドライブラリーから生成し得る。多様な長さ、例えば長さ約50ないし600bpのフラグメントを選択しかつオープンリーディングフレーム(ORF)発現ベクターにクローン化して、ウイルスゲノム全体若しくは定義される小領域のいずれかを表すORFライブラリーを創製し得る。クローンを単離し、そして、レポーター例えば大腸菌(E.coli)β−ガラクトシダーゼ分子に結合されたCMV配列によりコードされる抗原ペプチドよりなる融合タンパク質の合成について免疫学的にスクリーニングする。動物で生じられた抗CMV血清ならびにヒト過免疫グロブリンをコロニースクリーニングに使用し得る。異なる組の抗原融合タンパク質は異なる抗血清により認識され得る。免疫血清との強い反応を示すクローンをCMVゲ
ノム上でマッピングし得、そしてCMV挿入物の配列を決定し得る。融合タンパク質に対する抗体を、対応するCMVタンパク質を同定するためにマウス若しくはウサギで生じさせ得る。
【0054】
他の態様において、該最低1種のCMV抗原は、1種若しくはそれ以上のシグナル配列、例えば、限定されるものでないがgp96小胞体標的化ペプチドシグナル配列、LAMP−1リソソーム標的化ペプチドシグナル配列などをさらに含んでなる。シグナル配列は、MHCクラスIおよびクラスIIの抗原プロセシングおよび提示を高めることができ、ならびに他の標的化特性を提供し得る。他の態様において、該最低1種のCMV抗原は、担体タンパク質(例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH))に複合し得るか、若しくは核酸コーディング配列の組換えにより融合タンパク質として合成し得る。
【0055】
下でさらに具体的に説明されるとおり、該製薬学的に許容できる組成物は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含み得る。
【0056】
A.核酸
一般に、被験体は核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物をいずれかの非経口経路により接種し得る。例えば、被験体は、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、吸入若しくは筋肉内経路により、または遺伝子銃を使用する微粒子銃により接種し得る。好ましくは、筋組織がポリヌクレオチドの送達および発現の部位となり得る。1用量のポリヌクレオチドを、例えば投与を長期にわたり延長するために複数および/若しくは反復注入により筋中に投与し得る。従って、筋細胞に該最低1種のCMV抗原をコードするポリヌクレオチドを注入し得、そして発現される抗原は、主要組織適合複合体の抗原の状況で筋細胞により提示されて、該最低1種のCMV抗原に対する免疫応答を誘発し得る。
【0057】
表皮は、例えば直接注入若しくは微粒子銃いずれかによるポリヌクレオチドの送達および発現のための別の有用な部位であり得る。1用量のポリヌクレオチドを、例えば投与することを長期にわたり延長するために複数注入若しくは照射により表皮中に投与し得る。例えば、皮膚細胞に該最低1種のCMV抗原をコードするポリヌクレオチドを注入し得、そして、発現される抗原は、主要組織適合複合体の抗原の状況で皮膚細胞により提示されて、該最低1種のCMV抗原に対する免疫応答を誘発し得る。
【0058】
被験体は粘膜経路によってもまた接種し得る。ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド含有点鼻薬、吸入薬、坐剤、ミクロスフェア被包化ポリヌクレオチドを包含する多様な方法により、若しくはポリヌクレオチド被覆金粒子を用いる照射により、粘膜表面に投与し得る。例えば、最低1種のCMV抗原をコードする核酸を呼吸器粘膜表面に投与し得る。
【0059】
注入のための生理的食塩水若しくは微粒子銃のための金粒子のようないかなる適切な生理学的に適合性の媒体も、被験体にポリヌクレオチドを導入するのに適する。
【0060】
1.RNA
いくつかの態様において、該製薬学的に許容できる組成物は最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなり、該核酸はRNAである。RNAは、該最低1種のCMV抗原を提供するアミノ酸鎖の細胞内合成を導くための翻訳可能なRNA鋳型を含んでなる。該最低1種のCMV抗原をコードするRNAはまたin vitroで転写、例えば逆転写されてcDNAを産生することもまたでき、このcDNAをその後、所望の場合はPCRにより増幅し得、そしてその後該cDNAをクローン化することを伴い若しくは伴わずにin vitroで転写し得る。該最低1種のCMV抗原をコードするRNAの多数の製造方法が当業者に利用可能である。従って、例えば、慣習的なin vitro転写技術および細菌ポリメラーゼを使用してin vitroで転写されるRNAを製造し得るか
、若しくは、in vitroで転写されるRNAを、該最低1種のCMV抗原をコードするクローン化されたDNA配列から合成し得る。
【0061】
2.DNA
別の態様において、該最低1種のCMV抗原をコードする核酸は、該最低1種のCMV抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するDNAを含んでなる。例えば、該最低1種のCMV抗原をコードするDNAオープンリーディングフレームを有する発現ベクターを含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与し得る。
【0062】
該最低1種のCMV抗原をコードするオープンリーディングフレームを含んでなるゲノムDNAフラグメントおよび/若しくはcDNAを本発明の方法で使用し得る。cDNAは、当業者に既知の技術を使用して、該最低1種のCMV抗原をコードする上述されたRNAから製造し得る。所望の場合は、DNAを例えば物理的断片化により、若しくは好ましくは酵素切断すなわち制限エンドヌクレアーゼの使用により断片化し得る。断片化法は当業者に公知であり、そして大きさおよび組成の異なるフラグメントを得るために(例えば多様な制限エンドヌクレアーゼ若しくは組合せおよび消化時間の使用により)変動させ得る。該最低1種のCMV抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するDNA若しくはそれらのフラグメントは、当該技術分野で既知の方法および試薬により発現ベクターにクローン化し得る。
【0063】
選択可能なマーカー(例えばアンピシリン)、ならびに好ましくは複製起点(例えばori)および適するプロモーターを有する標準的クローニングベクターを使用し得る。細菌(例えば大腸菌(E.coli))若しくは他の適する宿主をその後該ベクターで形質転換し得、そして形質転換体を標準的手順により培養し得かつプラスミドDNAをクロマトグラフィー若しくは有機分離のような方法により単離し得る。例えば、該オープンリーディングフレームにより発現される該最低1種のCMV抗原をMHC I若しくはIIに向けることができる部位にクローン化するためのプラスミドが利用可能である。免疫応答を誘発するのに使用される発現ベクターおよびそれの使用方法は、米国特許出願公開第20040241140号明細書(免疫応答を誘発するのに使用される発現ベクターおよびそれの使用方法のその教示について本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0064】
細胞(例えば筋細胞、樹状細胞のような抗原提示細胞(APC)、マクロファージなど)により取り込まれる場合、DNA分子は細胞中で染色体外分子として存在し得かつ/若しくは染色体に組込み得る。DNAは、別個の遺伝子材料として留まることができるプラスミドの形態で細胞に導入し得る。あるいは、染色体に組込み得る直鎖状DNAを細胞に導入し得る。場合によっては、DNAを細胞に導入する場合に、染色体へのDNA組込みを促進する試薬を添加し得る。
【0065】
従って、好ましくは、DNAはオープンリーディングフレームの発現に必要な調節エレメントを包含する。こうしたエレメントは、例えばプロモーター、開始コドン、終止コドンおよびポリアデニル化シグナルを包含し得る。加えてエンハンサーを包含し得る。当該技術分野で既知であるとおり、これらのエレメントは、好ましくは、該最低1種のCMV抗原をコードする配列に作動可能に連結されている。それらが投与されるはずである被験体の種で作動可能である調節エレメントを好ましくは選択する。コーディング配列とインフレームの開始コドンおよび終止コドンが好ましくは包含される。
【0066】
プロモーターの例は、限定されるものでないが、SV40(SV40)、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、HIV末端反復配列(LTR)プロモーターのようなヒト免疫不全ウイルス(HIV)、モロニーウイルス、CMV前初期プロモーターのようなサイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、ラウス肉
腫ウイルス(RSV)からのプロモーター、ならびにヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチンおよびヒトメタロチオネインのようなヒト遺伝子からのプロモーターを挙げることができる。適するポリアデニル化シグナルの例は、限定されるものでないがSV40ポリアデニル化シグナルおよびLTRポリアデニル化シグナルを挙げることができる。
【0067】
DNA発現に必要とされる調節エレメントに加え、他のエレメントもまたDNA分子に包含しうる。こうした付加的なエレメントはエンハンサーを包含する。エンハンサーは上述されたプロモーターを包含する。好ましいエンハンサー/プロモーターは、例えば、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、ならびにCMV、RSVおよびEBVからのもののようなウイルスエンハンサーを包含する。
【0068】
場合によっては、該DNAは担体若しくは送達ベクターに作動可能に組み込み得る。有用な送達ベクターは、限定されるものでないが、生物分解可能なマイクロカプセル、免疫刺激性複合体(ISCOM)若しくはリポソーム、およびウイルス若しくは細菌のような遺伝子的に工作された弱毒化生存担体を挙げることができる。
【0069】
いくつかの態様において、ベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス鶏痘、AVポックス、改変ワクシニアアンカラ(MVA)および他の組換えウイルスのようなウイルスベクターである。例えば、ワクシニアウイルスベクターは樹状細胞を感染させるのに使用し得る。
【0070】
従って、該最低1種のCMV抗原若しくはその免疫原性フラグメントをコードするベクターを、ウイルスベクターを使用して、若しくはDNAの直接導入により、in vivo、ex vivo若しくはin vitroで導入し得る。標的化された組織での発現は、ウイルスベクター若しくは受容体リガンドを用いて、または組織特異的プロモーターを使用することにより、あるいは双方でのように、該トランスジェニックベクターを特定の細胞に標的化することにより遂げることができる。
【0071】
in vivo若しくはex vivo標的化およびワクチン接種処置に普遍的に使用されるウイルスベクターは、DNAに基づくベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターの構築および使用方法は当該技術分野で既知である(例えば、MillerとRosman、BioTechniques,7:980−990,1992を参照されたい)。好ましくはウイルスベクターは複製欠損である。すなわちそれらは標的細胞中で自律的に複製することが不可能である。好ましくは複製欠損ウイルスは最小ウイルス(minimal virus)である。すなわち、それは、ウイルス粒子を産生するためゲノムを被包化するのに必要であるそのゲノムの配列のみを保持する。
【0072】
DNAウイルスベクターは、限定されるものでないが、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルスなどを挙げることができる弱毒化若しくは欠損DNAウイルスを包含する。特定のベクターの例は、限定されるものでないが欠損ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(Kaplittら、Molec.Cell.Neurosci.2:320−330,1991;国際特許公開第WO 94/21807号明細書、1994年9月29日公開;国際特許公開第WO 92/05263号明細書、1994年4月2日公開);Stratford−Perricaudetら、(J.Clin.Invest.90:626−630,1992;La Salleら、Science 259:988−990,1993もまた参照されたい)により記述されるベクターのような弱毒化アデノウイルスベクター;および欠損アデノ随伴ウイルス
ベクター(Samulskiら、J.Virol.61:3096−3101,1987;Samulskiら、J.Virol.63:3822−3828,1989;Lebkowskiら、Mol.Cell.Biol.8:3988−3996,1988)を挙げることができる。ウイルスベクターは商業的にもまた入手可能である。
【0073】
場合によっては、該DNAは細胞による遺伝子材料の取り込みを改善する試薬とともにもまた提供し得る。例えば、該DNAは、安息香酸エステル、アニリド、アミジンおよびウレタンよりなる群から選択される取り込み促進剤試薬とともに処方若しくは投与し得る。
【0074】
B.樹状細胞
当業者は、in vitroで樹状細胞(DC)を生成する能力もまた、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の誘発戦略としての該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸でのDCのex vivo負荷およびDCワクチンの投与のために本発明により使用し得ることを認識するであろう。前臨床研究は、DCが新規の強力な活性化因子でありかつBおよびTリンパ球で応答を復活させることを示している。
【0075】
いくつかの態様において、本発明はCMVを発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供し、該方法は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸をex vivoで負荷した樹状細胞を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合に該細胞に対する免疫応答を誘発する。
【0076】
従って、本発明のCMV抗原でプライミングされた抗原提示細胞、およびこれらの抗原提示細胞を用いて生成されるCMV抗原特異的Tリンパ球を、予防的若しくは治療的応用のための免疫調節組成物中で有効成分として使用し得る。下述されるとおり、いくつかの態様において、本発明の抗原でプライミングされた抗原提示細胞を、被験体への養子移入のための細胞傷害性Tリンパ球(CTL)(例えばCD8+若しくはCD4+ CTL)を生成するのに使用し得る。
【0077】
C.組成物
他の局面において、本発明は、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を提供する。該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発し得る。本発明の製薬学的に許容できる組成物は、腫瘍性疾患若しくはその症状の予防的若しくは治療的処置のため、とりわけ被験体におけるCMVが関連する癌(例えば腫瘍)を予防若しくは処置するためのワクチン組成物として有用であり得る。
【0078】
いくつかの態様において、該製薬学的に許容できる組成物は生理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤をさらに含んでなる。処方および投与技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン、最新版にもまた見出し得る。
【0079】
当該技術分野で既知の製薬学的に許容できる担体は、限定されるものでないが滅菌水、生理的食塩水、グルコース、右旋糖若しくは緩衝溶液を挙げることができる。希釈剤、安定剤(例えば糖およびアミノ酸)、保存剤、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、粘度を高める添加物などのような剤。好ましくは、媒体若しくは担体は最小限の副作用を生じるか若しくは副作用を生じないことができる。
【0080】
他の態様において、該製薬学的に許容できる組成物は生理学的に許容できるアジュバントをさらに含んでなる。好ましくは、使用されるアジュバントは増大された免疫原性を提供する。アジュバントは抗原の徐放を提供するものであり得る(例えばアジュバントはリポソームであり得る)か、若しくは、それはそれ自体で免疫原性でありそれにより抗原と相乗的に機能するアジュバントであり得る。例えば、アジュバントは、既知のアジュバント、または核酸の取り込みを促進するか、免疫系細胞を投与の部位に動員するか、若しくは応答するリンパ系細胞の免疫活性化を助長する他の物質であり得る。アジュバントは、限定されるものでないが、免疫調節分子(例えばサイトカイン)、油および水乳剤、水酸化アルミニウム、グルカン、デキストラン硫酸、酸化鉄、アルギン酸ナトリウム、Bacto−Adjuvant、ポリアミノ酸およびアミノ酸のコポリマーのような合成ポリマー、サポニン、パラフィン油ならびにムラミルジペプチドを挙げることができる。
【0081】
一態様において、アジュバントは免疫調節分子である。例えば、免疫調節分子は、組換えタンパク質サイトカイン、ケモカイン、若しくは免疫刺激剤、またはサイトカイン、ケモカイン若しくは免疫学的応答を高めるよう設計された免疫調節剤をコードする核酸であり得る。
【0082】
免疫調節性サイトカインの例は、インターフェロン(例えばIFNα、IFNβおよびIFNγ)、インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12およびIL−20)、腫瘍壊死因子(例えばTNFαおよびTNFβ)、エリスロポエチン(EPO)、FLT−3リガンド、gIp10、TCA−3、MCP−1、MIF、MIP−1α、MIP−1β、Rantes、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ならびに前述のいずれかの機能的フラグメントを包含する。ケモカイン受容体、すなわちCXC、CC、C若しくはCX3Cケモカイン受容体に結合するいかなる免疫調節性ケモカインもまた本発明の文脈で使用し得る。ケモカインの例は、限定されるものでないが、Mip1α、Mip−1β、Mip−3α(Larc)、Mip−3β、Rantes、Hcc−1、Mpif−1、Mpif−2、Mcp−1、Mcp−2、Mcp−3、Mcp−4、Mcp−5、エオタキシン、Tarc、Elc、I309、IL−8、Gcp−2 Gro−α、Gro−β、Gro−γ、Nap−2、Ena−78、Gcp−2、Ip−10、Mig、I−Tac、Sdf−1およびBca−1(Blc)、ならびに前述のいずれかの機能的フラグメントを挙げることができる。
【0083】
別の態様において、アジュバントは、GM−CSF、G−CSF、IL−2、IL−4、IL−7、IL−12、IL−15、IL−21、TNF−αおよびM−CSFよりなる群から選択されるサイトカインである。いくつかの態様において、アジュバントはフロイントの不完全アジュバント(モンタニドISA 51)若しくはコリネバクテリウム グラヌロサム(Corynebacterium granulosum)P40より構成される。
【0084】
当業者は、これらのアジュバントのいくつかがベクターから発現され得ないことを認識することができ、この場合、該アジュバントは、使用される場合に同時に若しくはいずれかの順序で連続して投与し得る。
【0085】
当業者は、本発明の方法および組成物が併用療法の一部として、例えば、限定されるものでないが化学療法剤、免疫療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗ウイルス剤およびホルモン剤を挙げることができる1種若しくはそれ以上の他の剤を含んでなる方法および/若しくは組成物として使用し得ることを知っている。
【0086】
抗ウイルス剤の例は、限定されるものでないが、ガンシクロビル(例えばCYTOVENE(R))、バルガンシクロビル(例えばValcyte(R))、ホスカルネット(例えばFOSCAVIR(R))、シドフォビル(例えばVISTIDE(R)、HPMPC)、アデフォビル(例えば、PMEA、PREVEON(R)、HEPSERA(R))、アシクロビル(例えばZOVIRAX(R))、バラシクロビル(例えばVALTREXTM、ZELITREXTM)、ポリアニオン、およびタンパク質キナーゼC阻害剤(例えばビス−インドリルマレイド(bis−indolylmaleide))を挙げることができる。一態様において、本発明の組成物および方法と組合せで使用される抗ウイルス剤は、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、シドフォビル若しくはホスカルネットである。
【0087】
他の態様において、該1種若しくはそれ以上の他の剤は、好ましくはCMV抗原発現を高めることにより、好ましくは潜伏感染細胞、好ましくは神経膠腫細胞中のCMV抗原発現を高めることにより、CMV抗原発現を遂げる。一態様において、該1種若しくはそれ以上の剤は、レチノイン酸(RA)、アレムツズマブ(Campath 1H)および免疫抑制剤(例えばシクロホスファミド、シクロスポリン)よりなる群から選択される。別の態様において、照射および/若しくは免疫除去が本発明の組成物および方法とともに提供される。
【0088】
多様な態様において、該1種若しくはそれ以上の他の剤は、例えば“Cancer Chemotherapeutic Agents”,American Chemical Society,1995,W.O.Foye編に記述されるとろこの天然に存在する若しくは合成の化学療法剤であり得る。
【0089】
一態様において、化学療法剤は、場合によっては製薬学的に許容できる塩の形態の、水和物および/若しくは溶媒和物の形態の、ならびに場合によっては個々の光学異性体、個々の鏡像異性体の混合物若しくはそれらのラセミ化合物の形態の、バタラニブ、SU 11248若しくはAZD−6474のような小分子受容体アンタゴニスト、ゲフィニチブ、エルロチニブ、CI−1033若しくはHerceptinのようなEGFR若しくはHER2アンタゴニスト、ベバシズマブ、セツキシマブ、リツキシマブのような抗体、シスプラチン、オキザリプラチン若しくはカルボプラチンのようなDNAアルキル化薬、ドキソルビシン若しくはエピルビシンのようなアントラサイクリン、5−FU、ペメトレキセド、ゲムシタビン若しくはカペシタビンのような代謝拮抗剤、イリノテカン若しくはトポテカンのようなカンプトテシン、パクリタキセル若しくはドセタキセルのような抗癌剤、エトポシド若しくはテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、ボルテゾミブのようなプロテアソーム阻害剤、またはセレコキシブ若しくはロフェコキシブのような抗炎症剤よりなる群から選択される。
【0090】
別の態様において、化学療法剤は、バタラニブ(PTK−787/ZK222584)、SU−5416、SU−6668、SU−11248、SU−14813、AZD−6474、AZD−2171、CP−547632、CEP−7055、AG−013736、IM−842若しくはGW−786034のような小分子VEGF受容体アンタゴニスト、ゲフィニチブ、エルロチニブ、CI−1033若しくはGW−2016のような二重EGFR/HER2アンタゴニスト、イレッサ(iressa)(ZD−1839)、タルセバ(tarceva)(OSI−774)、PKI−166、EKB−569、HKI−272若しくはハーセプチン(herceptin)のようなEGFRアンタゴニスト、BAY−43−9006若しくはBAY−57−9006のようなマイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−{[4−(N,N−ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ}−7−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)キナゾリン若しくは4−[(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)アミノ]−6−{[4−(ホモモルホリン−4−イル)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ}−7−[(S)−(テトラヒドロフラン−3−イル)オキシ]−キナゾリンのようなキナゾリン誘導体、またはそれらの製薬学的に許容できる塩、アトラセンタン、リツキシマブ、セツキシマブ、AvastinTM(ベバシズマブ)、IMC−1C11、アービタックス(erbitux)(C−225)、DC−101、EMD−72000、ビタキシン(vitaxin)、イマニチブのような合成小分子に分類されないタンパク質キナーゼ受容体アンタゴニスト、VEGFtrapのような融合タンパク質であるタンパク質チロシンキナーゼ阻害
剤、メルファラン、シクロホスファミド、オキサザホスホリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキザリプラチン、サトラプラチン(satraplatin)、テトラプラチン(tetraplatin)、イプロプラチン、マイトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イホスファミド、ストレプトゾシン、チオテパ、クロラムブシルのようなアルキル化剤若しくは白金化合物、メクロレタミンのようなナイトロジェンマスタード、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネート、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドキソルビシン(ドキシル(doxil))、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ディスタマイシン若しくはそれらの誘導体、ネトロプシン、ピベンジモール、マイトマイシン、CC−1065、デュオカルマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン、プロパミジン若しくはスチルバミジンのようなフタラニリド(phtalanilide)、アントラマイシン、アジリジン、ニトロソウレア若しくはその誘導体、シタラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ペメトレキセド、テガフール/ウラシル、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキセート、ペントスタチン、ヒドロキシウレアのようなピリミジン若しくはプリンアナログまたはヌクレオシド二リン酸還元酵素の阻害剤若しくはアンタゴニスト、あるいは葉酸、フレオマイシン、ブレオマイシンまたはそれらの誘導体若しくは塩、CHPP、BZPP、MTPP、BAPP、リブロマイシン、アクリジン若しくはその誘導体、リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン(adramycin)、イリノテカン(カンプトサール(camptosar))若しくはトポテカンのようなカンプトテシン、アムサクリン若しくはそのアナログ、三環性カルボキサミド、SAHA、MD−275、トリコスタチンA、CBHA、LAQ824若しくはバルプロ酸のようなヒストンデアセチラーゼ阻害剤、パクリタキセル(タキソール(taxol))、ドセタキセル若しくはタキソテール(taxotere)のような植物からの抗癌剤、ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン若しくはビノレルビンのようなビンカアルカロイド、コルヒチンのようなトロポロンアルカロイド若しくはその誘導体、マイタンシン、アンサマイトシン(ansamitocin)若しくはリゾキシン(rhizoxin)のようなマクロライド、ホモプシン(phomopsin)若しくはドラスタチンのような抗有糸分裂ペプチド、エトポシド若しくはテニポシド、ステガナシンのようなエピポドフィロトキシン若しくはポドフィロトキシンの誘導体、コンブレタスタチン若しくはアンフェチニル(amphetinile)のような抗有糸分裂カルバメート誘導体、プロカルバジン、ボルテゾミブのようなプロテアソーム阻害剤、アスパラギナーゼ、ペグ化アスパラギナーゼ(ペグアスアパルガーゼ)のような酵素、または、チミジンホスホリラーゼ阻害剤、エストラムスチン(T−66)若しくはメゲストロールのようなゲスターゲン若しくはエストロゲン、フルタミド、カソデックス(casodex)、アナンドロン(anandron)若しくはシプロテロン酢酸塩のような抗アンドロゲン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ホルメスタン若しくはレトロゾールのようなアロマターゼ阻害剤、リュープロレリン、ブセレリン、ゴセレリン若しくはトリプトレリンのようなGNrHアナログ、タモキシフェン若しくはそのクエン酸塩、ドロロキシフェン、トリオキシフェン、ラロキシフェンまたはジンドキシフェン(zindoxifene)のような抗エストロゲン、ICI 164,384若しくはICI 182,780のような17β−エストラジオールの誘導体、アミノグルテチミド、ホルメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、ケトコナゾール、リュープロリドのようなLH−RHアンタゴニスト、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン、ブデノシド、フルオコルトロン若しくはトリアムシノロンのようなステロイド、インターフェロンβのようなインターフェロン、IL−10若しくはIL−12のようなインターロイキン、エタネルセプトのような抗TNFα抗体、サリドマイド、そのRおよびS鏡像異性体ならびにその誘導体すなわちレビミド(revimid)(CC−5013)のような免疫調節薬、ロイコトリエンアンタゴニスト、マイトマイシンC、BMY−42355、AZQ若しくはEO−9のよう
なアジリドキノン(aziridoquinone)、ミソニダゾール、NLP−1若しくはNLA−1のような2−ニトロイミダゾール、ニトロアクリジン、ニトロキノリン、ニトロピラゾロアクリジン、RSU−1069若しくはRB−6145、CB−1954のような「二重機能」ニトロ芳香族、ニトロミン(nitromin)のようなナイトロジェンマスタードのN−オキシド、ナイトロジェンマスタードの金属錯体、抗CD3若しくは抗CD25抗体、耐性誘導剤、ミノドロン酸若しくはその誘導体(YM−529、Ono−5920、YH−529)、ゾレドロン酸一水和物、イバンドロン酸ナトリウム水和物若しくはクロドロン酸二ナトリウムのようなビホスホネート若しくはその誘導体、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ベンズニダゾール若しくはニモラゾールのようなニトロイミダゾール、RSU−1069のようなニトロアリール化合物、SR−4233のようなニトロキシル若しくはN−オキシド、ブロモデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジンのようなハロゲン化ピリミジンアナログ、WR−272 1のようなチオホスフェート、ポルフィマー、フォトフリン(photofrin)のような光化学的に活性化される薬物、ベンゾポルフィリン誘導体、フェオホルビド(pheophorbide)誘導体、メロシアニン(merocyanin)540(MC−540)若しくはスズエチオポルプリン(etioporpurin)、オブリメルセンのようなant−template若しくはアンチセンスRNA若しくはDNA、アセチルサリチル酸、メサラジン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ナブメトン、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、アルクロフェナク、ブロムフェナク、イブフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、エトドラク、オクスピナク(oxpinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、テノキシカム、ロモキシカム、ニメスリド、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブのような非ステロイド性炎症薬、若しくは非ステロイド性炎症薬の製薬学的に許容できる塩、細胞傷害性抗生物質、アポリズマブ若しくは1D09C3のような癌細胞の表面分子を標的とする抗体、TIMP−1若しくはTIMP−2のようなメタロプロテイナーゼの阻害剤、亜鉛、P53およびRbのような癌遺伝子の阻害剤、ランタニドの複素環錯体のような希土類元素の錯体、PUVAのような光化学治療剤、転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur−2の阻害剤、熱ショックタンパク質HSP90調節物質ゲルダナマイシンおよびその誘導体17−アリルアミノゲルダナマイシンすなわち17−AAGのようなHER−2発現の阻害剤、あるいは、IM−842、テトラチオモリブデン酸、スクアラミン、コムブレスタチン(combrestatin)A4、TNP−470、マリマスタット、ネオバスタット(neovastat)、ビカルタミド、アバレリックス、オレゴボマブ、ミツモマブ、TLK−286、アレムツズマブ、イブリツモマブ、テモゾロミド、デニロイキンジフチトクス、アルデスロイキン、ダカルバジン、フロクスウリジン、プリカマイシン、ミトタン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェンおよびテストラクトンから選択される治療薬よりなる群から選択される。好ましい化合物は、バタラニブ(PTK−787/ZK222584)、SU−5416、SU−6668、SU−11248、SU−14813、AZD−6474のような小分子VEGF受容体アンタゴニスト、CI−1033若しくはGW−2016のようなEGFR/HER2アンタゴニスト、イレッサ(iressa)(ゲフィニチブ、ZD−1839)、タルセバ(tarceva)(エルロチニブ、OSI−774)、PKI−166、EKB−569、HKI−272若しくはハーセプチン(herceptin)のようなEGFRアンタゴニスト、BAY−43−9006若しくはBAY−57−9006のようなマイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、アトラセンタン、リツキシマブ、セツキシマブ、Avastin.TM.(ベバシズマブ)、IMC−1C11、アービタックス(erbitux)(C−225)、DC−101、EMD−
72000、ビタキシン(vitaxin)、イマニチブ、メルファラン、シクロホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、オキザリプラチン、サトラプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドキソルビシン(ドキシル(doxil))、エピルビシン、イダルビシンのようなアルキル化剤若しくは白金化合物、シタラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ペメトレキセド、テガフール/ウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサートのようなピリミジン若しくはプリンアナログまたはヌクレオシド二リン酸還元酵素のアンタゴニスト若しくは阻害剤、パクリタキセル(タキソール(taxol))若しくはドセタキセルのような抗癌剤、ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン若しくはビノレルビンのようなビンカアルカロイド、ドラスタチンのような抗有糸分裂ペプチド、エトポシド若しくはテニポシドのようなエピポドフィロトキシン若しくはポドフィロトキシンの誘導体、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブのような非ステロイド性炎症薬、アポリズマブ若しくはID09C3のような癌細胞の表面分子を標的とする抗体、または熱ショックタンパク質HSP90調節物質ゲルダナマイシンおよびその誘導体17−アリルアミノゲルダナマイシンすなわち17−AAGを包含する。
【0091】
別の態様において、化学療法剤は、チューブリンと相互作用する若しくはそれを結合する化合物、合成小分子VEGF受容体アンタゴニスト、小分子増殖因子受容体アンタゴニスト、EGF受容体および/若しくはVEGF受容体および/若しくはインテグリン受容体、または合成小分子に分類されないいずれかの他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体の阻害剤、EGF受容体および/若しくはVEGF受容体および/若しくはインテグリン受容体または融合タンパク質であるいずれかの他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体に向けられる阻害剤、核酸と相互作用しかつアルキル化剤若しくは白金化合物に分類される化合物、核酸と相互作用しかつアントラサイクリン、DNA挿入剤、若しくはDNA副溝結合化合物を包含するDNA架橋剤に分類される化合物、代謝拮抗剤、天然に存在する、半合成性若しくは合成のブレオマイシン型抗生物質、DNA転写酵素の阻害剤、ならびにとりわけトポイソメラーゼI若しくはトポイソメラーゼII阻害剤、クロマチン修飾剤、有糸分裂阻害剤、抗有糸分裂剤、細胞周期阻害剤、プロテアソーム阻害剤、酵素、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、ホルモン阻害剤、ステロイド生合成の阻害剤、ステロイド、サイトカイン、低酸素選択的細胞毒、サイトカイン、リンホカインの阻害剤、サイトカインに向けられる抗体、経口および非経口耐性誘導剤、支持剤(supportive agent)、化学的放射線増感剤および保護剤、光化学的に活性化される薬物、場合によっては修飾若しくは複合されている合成ポリ若しくはオリゴヌクレオチド、非ステロイド性抗炎症薬、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、増殖因子若しくはそれらの受容体を標的とする抗体、メタロプロテイナーゼの阻害剤、金属、癌遺伝子の阻害剤、遺伝子転写またはRNA転写若しくはタンパク質発現の阻害剤、希土類元素の錯体、ならびに光化学治療剤よりなる群から選択される。
【0092】
他の態様において、化学療法剤は、パクリタキセル(タキソール(taxol))、ドセタキセル、ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン若しくはビノレルブンのようなビンカアルカロイド、メルファラン、シクロホスファミド、オキサザホスホリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキザリプラチン、サトラプラチン、テトラプ
ラチン、イプロプラチン、マイトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イホスファミド、ストレプトゾシン、チオテパ、クロラムブシルのようなアルキル化剤若しくは白金化合物、メクロレタミンのようなナイトロジェンマスタード、サリドマイド、そのRおよびS鏡像異性体ならびにその誘導体すなわちレビミド(revimid)(CC−5013)のような免疫調節剤、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネート、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドキソルビシン(ドキシル(doxil))、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ディスタマイシン若しくはその誘導体、ネトロプシン、ピベンジモール、マイトマイシン、CC−1065、デュオカルマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン、プロパミジン若しくはスチルバミジンのようなフタラニリド(phtalanilide)、アントラマイシン、アジリジン、ニトロソウレア若しくはその誘導体、シタラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキサート、ペントスタチン、ヒドロキシウレアのようなピリミジン若しくはプリンアナログまたはヌクレオシド二リン酸還元酵素のアンタゴニスト若しくは阻害剤、あるいは葉酸、アクリジン若しくはその誘導体、リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン(adramycin)、イリノテカン(カンプトサール(camptosar))若しくはトポテカンのようなカンプトテシン、アムサクリン若しくはそのアナログ、三環性カルボキサミド、SAHA、MD−275、トリコスタチンA、CBHA、LAQ824、若しくはバルプロ酸のようなヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ボルテゾミブのようなプロテアソーム阻害剤、バタラニブ(PTK−787/ZK222584)、SU−5416、SU−6668、SU−11248、SU−14813、AZD−6474、AZD−2171、CP−547632、CEP−7055、AG−013736、IM−842若しくはGW−786034のような小分子VEGF受容体アンタゴニスト、BAY−43−9006若しくはBAY−57−9006のようなマイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、ゲフィニチブ、エルロチニブ、CI−1033若しくはGW−2016のような二重EGFR/HER2アンタゴニスト、イレッサ(iressa)(ZD−1839)、タルセバ(tarceva)(OSI−774)、PKI−166、EKB−569、HKI−272若しくはハーセプチン(herceptin)のようなEGFRアンタゴニスト、4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−{[−4−(N,N−ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブト−エン−1−イル]アミノ}−7−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−キナゾリン若しくは4−[(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)アミノ]−6−{[4−(ホモモルホリン−4−イル)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ}−7−[(S)−(テトラヒドロフラン−3−イル)オキシ]−キナゾリンのようなキナゾリン誘導体、またはその製薬学的に許容できる塩、転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur−2の阻害剤、熱ショックタンパク質HSP90調節物質ゲルダナマイシンおよびその誘導体17−アリルアミノゲルダナマイシンすなわち17−AAGのようなHER−2発現の阻害剤、アトラセンタン、リツキシマブ、セツキシマブ、AvastinTM(ベバシズマブ)、IMC−1C11、アービタックス(erbitux)(C−225)、DC−101、EMD−72000、ビタキシン(vitaxin)、イマチニブのような合成小分子に分類されないタンパク質キナーゼ受容体アンタゴニスト、ならびにアポリズマブ若しくは1D09C3のような癌細胞の表面分子を標的とする抗体よりなる群から選択される。
【0093】
いくつかの他の態様において、化学療法剤は、1種若しくはそれ以上のABCトランスポーターにより媒介されるヒアルロナンの輸送を低下させる化合物、またはP−糖タンパク質(P−gp)阻害剤分子若しくは阻害剤ペプチドのような薬物輸送阻害剤、MRP1阻害剤、ABCトランスポーターに向けられかつそれを阻害することが可能な抗体、1種若しくはそれ以上のABCトランスポーターに向けられるアンチセンスオリゴマー、iR
NA、siRNA若しくはアプタマーである。本発明のP−糖タンパク質(P−gp)阻害剤分子の例は、ゾスキダル(LY 335973)、その塩(とりわけ三塩化物塩)、ならびにその多形、シクロスポリン(cyclosporin)A(シクロスポリン(cyclosporine)としてもまた知られる)、ベラパミル若しくはそのR異性体、タモキシフェン、キニジン、d−αトコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、VX−710、PSC833、フェノチアジン、GF120918(II)、SDZ PSC 833、TMBY、MS−073、S−9788、SDZ 280−446、XR(9051)ならびにこれらの機能的誘導体、アナログおよび異性体である。
【0094】
D.養子免疫療法
他の局面において、該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸は、例えば、免疫調節組成物中の有効成分としての使用のためのCMV抗原でプライミングされた抗原提示細胞および/若しくはこれらの抗原提示細胞を用いて生成されるCMV抗原特異的Tリンパ球を提供するための組成物および方法、ならびにCMV抗原を発現する細胞に向けられる予防若しくは治療的応用のための方法もまた提供し得る。
【0095】
従って、一局面において、本発明は、
最低1種のCMV抗原が抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と抗原提示細胞を接触させること
による、CMV抗原でプライミングされた抗原提示細胞の作成方法を提供する。該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸は上述されるとおりである。
【0096】
該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸は、抗原提示細胞を含んでなる均一な、実質的に均一な若しくは不均一な組成物と接触し得る。例えば、該組成物は、全血、新鮮血、若しくは、限定されるものでないが末梢血単核細胞、全血のバフィーコート画分、濃縮赤血球、照射血、樹状細胞、単球、マクロファージ、好中球、リンパ球、ナチュラルキラー細胞およびナチュラルキラーT細胞を挙げることができるそれらの画分を限定されるものでないが包含し得る。場合によっては、抗原提示細胞の前駆細胞を使用する場合、該前駆細胞が抗原提示細胞に分化するのに十分な適する培養条件下で該前駆細胞を培養し得る。好ましくは、該抗原提示細胞(若しくは場合によっては前駆細胞)は、単球、マクロファージ、骨髄球系統の細胞、B細胞、樹状細胞若しくはランゲルハンス細胞から選択される。
【0097】
抗原提示細胞との接触に置かれるべき最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸の量は、慣例の実験により当業者により決定され得る。一般に、抗原提示細胞は、T細胞の調節のためにプロセシングされた形態の抗原を細胞が提示するのに十分な時間、該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と接触される。一態様において、抗原提示細胞を、該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸の存在下で約1週未満、具体的には約1分ないし約48時間、約2分ないし約36時間、約3分ないし約24時間、約4分ないし約12時間、約6分ないし約8時間、約8分ないし約6時間、約10分ないし約5時間、約15分ないし約4時間、約20分ないし約3時間、約30分ないし約2時間、および約40分ないし約1時間インキュベートする。抗原提示細胞が該抗原をプロセシングしかつ提示するのに必要な時間および抗原若しくは該抗原をコードする核酸の量は、例えば、接触の後に洗浄期間、および読み取り系例えば抗原反応性T細胞への曝露が起こるパルスチェイス法を使用して決定し得る。
【0098】
典型的には、抗原提示細胞がその表面上に抗原を提示するのに必要な時間の長さは、使用される抗原若しくは抗原の形態(例えばペプチド対コーディングポリヌクレオチド)、その用量、および使用される抗原提示細胞、ならびに抗原負荷が始められる条件を包含する多数の因子に依存して変動し得る。これらのパラメータは慣例の手順を使用して当業者により決定され得る。抗原提示細胞のプライミングの効率は、T細胞の細胞傷害活性をin vitroでアッセイすること、若しくはCTLの標的として抗原提示細胞を使用することにより決定し得る。抗原提示細胞の表面上の抗原の存在を検出し得る他の方法もまた本発明により企図している。
【0099】
抗原提示細胞の内因性プロセシング経路への抗原の多数の送達方法が既知である。こうした方法は、限定されるものでないが、pH感受性リポソームを必要とする方法、強力なアジュバントへの抗原の結合、アポトーシス細胞送達、樹状細胞上へ細胞をパルス(pulse)すること、抗原を含んでなる組換えキメラウイルス様粒子(VLP)を樹状細胞株のMHCクラスIプロセシング経路に送達することを挙げることができる。
【0100】
一態様において、可溶化CMV抗原を抗原提示細胞とともにインキュベートする。他の態様において、該最低1種のCMV抗原を細胞溶解素に結合して、MHCクラスI経路への送達のための抗原提示細胞のサイトゾル中への該抗原の移動を高め得る。例示細胞溶解素は、サポニン含有免疫刺激複合体(ISCOM)のようなサポニン化合物、ポア形成毒素(例えばαトキシン)、ならびにリステリオリジンO(LLO)、ストレプトリジンO(SLO)およびパーフリンゴリジンO(PFO)のようなグラム陽性細菌の天然の細胞溶解素を包含する。
【0101】
別の例として、他の態様において、抗原提示細胞、好ましくは樹状細胞およびマクロファージを当該技術分野で既知の方法により単離し得、そして、CMV抗原をコードする核酸をAPCに導入するための当該技術分野で既知の方法によりポリヌクレオチドでトランスフェクトし得る。トランスフェクション試薬および方法(例えばSuperFect(R))もまた商業的に入手可能である。例えば、CMV抗原をコードするRNAを適する媒体(例えばOpti−MEM(R))中で提供し得、そしてAPCとの接触前に脂質(例えば陽イオン性脂質)と組合せ得る。脂質の制限しない例は、LIPOFECTINTM、LIPOFECTAMINETM、DODAC/DOPEおよびCHOL/DOPEを包含する。生じるポリヌクレオチド−脂質複合体をその後APCと接触させ得る。あるいは、ポリヌクレオチドを、電気穿孔法若しくはリン酸カルシウムトランスフェクションのような技術を使用してAPCに導入し得る。ポリヌクレオチドを負荷したAPCをその後、in vivo若しくはex vivoで細胞傷害性Tリンパ球(CTL)増殖を刺激するのに使用し得る。一態様において、ex vivoで増殖させたCTLを養子免疫療法の方法で被験体に投与する。ポリヌクレオチドを負荷した抗原提示細胞のCTL応答を刺激する能力は、既知の方法により、例えば標的細胞を溶解するエフェクター細胞の能力をアッセイすることにより測定し得る。例えばRNAを負荷した抗原提示細胞を使用する方法および組成物は、Nairらへの米国特許第6,306,388号明細書(RNAを負荷したAPCの生成および使用方法のその教示について引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0102】
別の局面において、本発明は、最低1種のCMV抗原が抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下で最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸とin vitroで接触された抗原提示細胞を含んでなる組成物を提供する。
【0103】
別の局面において、本発明は、最低1種のCMV抗原に特異的なリンパ球の製造方法を提供する。該方法は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発することが可能なCMV抗原特異的リンパ球を産生するのに十分な条件下で、上述された抗原提示細胞とリンパ球を接触されることを含んでなる。従って、該抗原提示細胞は、CMV抗原を発現
する細胞に対する免疫応答を誘発するための、Tリンパ球およびBリンパ球を包含するリンパ球を提供するのにもまた使用し得る。
【0104】
一態様において、Tリンパ球の調製物を、抗原提示細胞により提示される最低1種のCMV抗原に対しTリンパ球をプライミングするために、ある期間、好ましくは最低約24時間、上述された抗原提示細胞と接触させる。
【0105】
例えば、別の態様において、抗原提示細胞の1集団を、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原を含んでなる核酸と一緒に末梢血Tリンパ球の不均一な集団と共培養し得る。該細胞は、ある期間、および、CMV抗原若しくはそれらのプロセシングされた形態が該抗原提示細胞により提示されかつ該抗原提示細胞がCMV抗原を発現する細胞に応答するようTリンパ球の1集団をプライミングするのに十分な条件下で共培養し得る。従って、CMV抗原を発現する細胞に応答するようプライミングされているTリンパ球およびBリンパ球を製造し得る。
【0106】
本明細書に記述されるとおり、免疫応答を表すようにリンパ球を誘導する能力は、限定されるものでないが、CMV抗原特異的細胞溶解性Tリンパ球(CTL)の標的として例えばCMV抗原特異的抗原提示細胞を使用してTリンパ球の細胞溶解活性をin vitroで測定すること;CMV抗原特異的Tリンパ球増殖をアッセイすること;およびCMV抗原を発現する細胞に対するB細胞応答を例えばELISA法を使用して測定することを挙げることができるいずれかの方法により決定し得る。
【0107】
Tリンパ球は末梢血、脾およびリンパ節のようないずれかの適する供給源から得ることができる。Tリンパ球は、粗調製物として、または、限定されるものでないが抗体を使用する免疫磁気若しくはフローサイトメトリー技術を必要とする方法を挙げることができる標準的技術により得ることができる部分的に精製された若しくは実質的に精製された調製物として使用し得る。
【0108】
CMV抗原を発現する細胞の特異的認識のために遺伝子的に改変された細胞(例えばそれらの表面上に細胞特異的抗体を発現するよう遺伝子的に工作されたT細胞)もまた本発明の範囲内で企図している。いくつかの態様において、抗原特異的T細胞を、1種若しくはそれ以上の異種遺伝子、例えばマーカー遺伝子、または遺伝子産物が特定の表現型若しくは機能をを高め得るか若しくは抗原特異的T細胞に賦与し得る遺伝子を発現するように、当該技術分野で既知の遺伝子移入技術により改変する。従って、例えば、抗原でパルスした樹状細胞に応答する活性化T細胞内でマーカー遺伝子を発現させ得、そして抗原特異的T細胞の選択的濃縮および改変を見込み得る。別の例として、抗原特異的T細胞は、in vitroおよびin vivoで受容体のリガンドに向けて移動させるため受容体(例えばケモカイン受容体)を発現するように改変し得る。
【0109】
他の局面において、本発明は上述された抗原提示細胞若しくはリンパ球、ならびに製薬学的に許容できる担体および/若しくは希釈剤を含んでなる組成物を提供する。いくつかの態様において、該組成物は上述されたところのアジュバントをさらに含んでなる。
【0110】
別の局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の誘発方法を提供し、該方法は、免疫応答を誘発するのに十分な有効量の上述された抗原提示細胞若しくはリンパ球を被験体に投与することを含んでなる。いくつかの態様において、本発明は、CMVと関連する腫瘍性疾患若しくは症状の処置若しくは予防方法を提供し、該方法は、有効量の上述された抗原提示細胞若しくはリンパ球を被験体に投与することを含んでなる。一態様において、該抗原提示細胞若しくは該リンパ球は好ましくは注入により全身に投与される。あるいは、例えば組織中に直接注入を介して、好ましくはデポー若しくは
徐放製剤で全身よりはむしろ局所に投与し得る。さらに、標的化ドラッグデリバリーリステム、例えば組織特異的抗体で被覆されているリポソーム中で投与し得る。該リポソームは組織に向けられかつ該組織により選択的に取り込まれることができる。別の態様において、本発明は、好ましくは癌を処置若しくは予防するための、CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するための医薬品の製造における該抗原提示細胞若しくは該リンパ球の使用を提供する。
【0111】
従って、本発明の抗原でプライミングされた抗原提示細胞およびこれらの抗原提示細胞を用いて生成される抗原特異的Tリンパ球を、癌の予防的若しくは治療的応用のための免疫調節組成物中の有効成分として使用し得る。いくつかの態様において、本発明のCMV抗原でプライミングされた抗原提示細胞を、被験体への養子移入のためのCD8+ CTL、CD4+ CTLおよび/若しくはBリンパ球を生成するのに使用し得る。従って、例えば、CMV抗原特異的CTLを、神経膠種のような悪性腫瘍で苦しめられている被験体で治療目的上養子移入し得る。
【0112】
上述された抗原提示細胞および/若しくはリンパ球は、免疫応答を誘発するため、とりわけCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するために、単独で若しくは組合せでのいずれかで被験体に投与し得る。こうした細胞に基づく組成物は、従って癌を処置若しくは予防するのに有用である。該細胞は、CMV抗原を発現する細胞に対する所望の免疫応答を誘発するいずれかの様式により被験体に導入し得る。さらに、該抗原提示細胞および/若しくはリンパ球は、該被験体(すなわち自己細胞)または該被験体とMHCが適合する若しくは不適合である異なる被験体(すなわち同種)に由来し得る。注入部位は、皮下、腹腔内、筋肉内、皮内、静脈内若しくはリンパ系内から選択し得る。
【0113】
該抗原提示細胞およびリンパ球の単回若しくは複数回投与は、医療提供者(例えば医師)により選択されている細胞数および処置を用いて実施し得る。好ましくは、該抗原提示細胞および/若しくはリンパ球は製薬学的に許容できる担体中で投与される。適する担体は、細胞が増殖された増殖培地、若しくはリン酸緩衝生理的食塩水のようないずれかの適する緩衝媒体であり得る。該細胞は単独で若しくは他の治療薬とともにの補助療法として投与し得る。
【0114】
従って、本発明は、CMV抗原を発現する細胞、好ましくはCMVに関連する癌細胞の処置および/若しくは予防方法を企図しており、該方法は、こうした処置若しくは予防の必要な被験体に治療的/予防的有効量の本明細書に記述される組成物を投与することを含んでなる。
【0115】
処方および投与技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,ペンシルバニア州イーストン、最新版に見出し得る。適する経路は、例えば、経口、直腸、経粘膜若しくは腸投与;筋肉内、皮下、髄内注入、ならびにくも膜下腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻内若しくは眼内注入を包含する非経口送達を包含し得る。注入のために、本発明の治療的/予防的組成物は、水性溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液若しくは生理学的食塩水緩衝液のような生理学的に適合性の緩衝液中で処方し得る。
【0116】
F.抗体
本発明の組成物は、CMV抗原を発現する細胞を標的とする抗体を生じさせるのにもまた使用し得る。従って、他の局面において、本発明の組成物および方法は、CMV抗原を発現する細胞に対する1種若しくはそれ以上の抗体を提供し、こうした抗体それら自身は、例えば、受動免疫若しくはエフェクターの標的特異的送達のような多くの用途、ならびに免疫学的結合に基づく診断試験およびキットのための用途を有する。従って、いくつか
の態様において、本発明は治療的および/若しくは診断的応用で使用し得るCMVに関連する癌細胞特異的抗体を提供する。
【0117】
本発明の抗体はスクリーニング若しくは診断の応用で使用し得る。本発明の抗体はin
vitroおよびin vivo診断目的上貴重である。例えば、該抗体は、ウエスタンブロット、免疫沈降法、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、蛍光標示式細胞分取(FACS)、間接的免疫蛍光顕微鏡検査、免疫組織化学(IHC)などで使用し得る。一態様において、本発明はCMV抗原を発現する細胞の免疫学的決定方法を提供し、該方法は、本明細書に開示されるところの最低1種の抗体と該細胞を接触させることを含んでなる。
【0118】
例えば、該抗体は、CMV抗原を発現する細胞の検出についてアッセイするための診断薬として使用し得る。本発明の抗体は、CMV抗原を発現する細胞に対するそれらの結合親和性を考えれば、診断薬としてとりわけ適するはずである。本質的に、細胞(例えば癌細胞)を含んでなるサンプルを、免疫学的相互作用が発生することを可能にするのに十分な時間、抗体とともにインキュベートすることができる。当業者はこれらの基礎的手順に多くの変形が存在することを認識するであろう。これらの変形は、例えばRIA、ELISA、沈殿、凝集、補体固定および免疫蛍光を包含する。好ましくは、主題の抗体は抗体−細胞免疫複合体の検出を可能にするよう標識することができる。さらに、本発明の抗体は、CMV抗原を発現する細胞のin vitroでの検出および定量のため、若しくは他の細胞の精製の一段階として混合された細胞の1集団からこうした細胞を殺しかつ排除するためにもまた有用である。
【0119】
抗体の標識されたバージョンの作成において使用される標識は、放射標識および蛍光色素のような直接検出されうる部分、ならびに検出されるために反応若しくは誘導体化されなければならない酵素のような部分を包含する。放射標識は、限定されるものでないが99Tc、203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113mIn、97Ru、62Cu、641Cu、52Fe、52mMn、51Cr、186Re、188Re、77As、90Y、67Cu、169Er、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、161Tb、109Pd、165Dy、149Pm、151Pm、153Sm、157Gd、159Gd、166Ho、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rhおよび111Agを挙げることができる。放射標識は現在利用可能な計数手順のいずれによっても検出し得る。
【0120】
酵素標識は、現在利用されている比色、分光測光、蛍光分光測光若しくは気体定量技術のいずれによっても検出し得る。酵素は、カルボジイミド、過ヨウ素酸、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどのような架橋分子を用いて抗体と結合する。これらの手順で使用し得る多くの酵素が既知でありかつ利用し得る。例は、ペリオキシダーゼ(perioxidase)、アルカリホスファターゼ、β−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、ウレアーゼ、グルコース酸化酵素およびペルオキシダーゼ、ガラクトース酸化酵素およびペルオキシダーゼ、ならびに酸ホスファターゼである。使用しうる蛍光物質は、例えば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、オーラミン、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリア(luciferia)、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リゾチーム、ならびにグルコース−6−リン酸脱水素酵素を包含する。抗体は既知の方法によりこうした標識で標識しうる。例えば、アルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、イミダート、スクシンイミド、ビス−ジアゾ化ベンザジン(benzadine)などのようなカップリング剤を使用して、上述された蛍光、化学発光および酵素標識で抗体を標識しうる。多様な標識技術が、Morrison,Methods in Enzymology,(1974),32B,103;Syvanenら、J.Biol.Chem.,(197
3),284,3762;およびBoltonとHunter,Biochem J.,(1973),133,529に記述されている。
【0121】
該抗体および標識された抗体は、被験体でCMV抗原を発現する細胞の存在を検出するため、または該被験体でのこうした細胞若しくは癌の状態をモニターするために、多様な免疫画像化若しくはイムノアッセイ手順で使用しうる。CMV抗原を発現する細胞の状態をモニターするのに使用される場合、定量的イムノアッセイ手順を使用し得る。例えば、こうしたモニタリングアッセイを定期的に実施しかつ該結果を比較する場合、被験者の腫瘍負荷が増大したか若しくは減少したかに関する決定を行うことができ、該腫瘍はCMV関連腫瘍である。使用しうる一般的アッセイ技術は直接および間接アッセイを包含する。
【0122】
例えば、治療的応用の場合、疾患の進行に関与する標的を阻害する、若しくは標的細胞の細胞傷害死をもたらすために該抗体を使用し得る。また、こうした治療的抗体は、シグナル伝達経路を阻害、若しくは抗体依存性細胞傷害、補体依存性細胞傷害などを誘発し得る。
【0123】
本発明の抗体は、従って、エフェクターに一過性に若しくは永続的に結合され得(それによりハイブリッド分子若しくはキメラ部分を形成する)かつそのエフェクターを特定の1標的細胞(例えば癌細胞)に向けるのに使用し得るがその必要はない、効果的標的化部分を提供する。
【0124】
該エフェクター分子は、標的細胞に特異的に輸送されるはずである分子若しくは分子の群を指す。エフェクター分子は、典型的に、標的細胞に送達されるはずである特徴的活性を有する。エフェクター分子は、限定されるものでないが細胞毒、標識、放射性核種(例えば211At)、リガンド、抗体、薬物、リポソーム、エピトープ標識などを挙げることができる。好ましいエフェクターは、細胞毒(例えばシュードモナス属(Pseudomonas)外毒素、ゲロニン、リシン、アブリン、ジフテリア毒素など)、本明細書に記述されるところの免疫調節物質、または細胞傷害性の薬物若しくはプロドラッグを包含し、この場合ハイブリッド分子は、CMV抗原を発現する細胞にサイトトキシンの標的を特異的に定める強力な細胞死滅剤として作用しうる。
【0125】
エフェクターのさらなる例は、限定されるものでないが、グランザイム、ルシフェラーゼ、血管内皮増殖因子、β−ラクタマーゼ、Tr−apo−1、Ang II、TAT、アルキル化剤、ダウノマイシン、アドリアマイシン、クロラムブシル、代謝拮抗剤(例えばメトトレキサート)、モダシン(modaccin)A鎖、α−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca amaricana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、ツルレイシ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア オフィシナリス(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトコイン(restrictocoin)、フェノマイシンおよびエノマイシンを挙げることができる。
【0126】
なお他の態様において、エフェクターは、薬物(例えばドキソルビシン、ビンブラスチン、タキソール(taxol)のような抗癌剤若しくは本明細書に記述される他の化学療法剤)を被包化するリポソーム、免疫系の成分による結合された細胞の認識を刺激する抗原、および免疫系の成分を特異的に結合しかつCMV抗原を発現する細胞にそれらを向ける抗体、などを包含し得る。
【0127】
他の適するエフェクター分子は、薬理学的剤、若しくは多様な薬理学的剤を含有する被
包化系を包含する。従って、ハイブリッド分子の標的化分子は、CMV抗原を発現する細胞に直接送達されるはずである薬物に直接結合しうる。こうした薬物は当業者に公知であり、そして限定されるものでないがドキソルビシン、ビンブラスチン、ゲニステイン、アンチセンス分子、本明細書に記述される多様な他の化学療法剤などを挙げることができる。
【0128】
あるいは、エフェクター分子は、薬物、核酸(例えばアンチセンス核酸)、若しくは循環系への直接曝露から好ましくは遮蔽されている別の治療的部分のような治療的組成物を含有するウイルスキャプシド、リポソーム若しくはミセルのような被包化系でありうる。抗体に結合されるリポソームの製造方法は当業者に公知である。例えば米国特許第4,957,735号明細書;Connor,J.ら(1985)Pharmacol.Ther.,28:341−365を参照されたい。
【0129】
G.CMV核酸の測定
他の態様において、本発明は、被験体中のCMV核酸、好ましくは血液若しくは他の生物学的液体中のCMV DNAを測定するための、例えば被験体から得られる血液のサンプル中の無症候性ウイルス血症を決定するための組成物および方法を提供する。従って、多様な態様において、該組成物および方法は、例えば、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症する素因となる細胞型と関連する疾患若しくは状態の予防的および/若しくは治療的処置のような本明細書に記述される方法を包含する多様な診断および/若しくは治療的処置(procedure)および処置(treatment)を企図している有効な診断、モニタリングおよび予後試験/アッセイを提供する。
【0130】
例として、同種骨髄移植(aBMT)を受けるヒト患者でのCMV再活性化の決定、およびいくつかの場合には、現在使用されている臨床で承認されている診断的CMV PCRアッセイと比較して約6週先行するウイルス再活性化の検出において信頼できる増幅方法が提供される。本明細書に提供される実施例によってもまた具体的に説明されるとおり、外科的に切除されたGBM試料からのCMV DNAを、例えばHCMVゲノム中のgB遺伝子の可変領域(領域82801−84180、NCBI GenBank受託番号NC_001347)にわたるPCR増幅およびその後のDNA配列決定を使用して分析し得る。
【0131】
一態様において、本発明は被験体中のCMV核酸の測定方法を提供し、該方法は、(a)生物学的サンプルから核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることであって、増幅することは、第一のプライマーおよび第二のプライマーを含んでなる最低一対のプライマーと該核酸分子を接触させることを含んでなり、該アンプリコンは長さが約1000塩基対(bp)若しくはそれ未満であり;ならびに(b)アンプリコンの存在を決定することであって、該アンプリコンの存在が被験体中のCMV核酸を暗示する、を含んでなる。
【0132】
いくつかの態様において、該アンプリコンは長さが約1000bpを超えない、具体的には、長さが約900bpを超えない、約800bpを超えない、約700bpを超えない、約600bpを超えない、約500bpを超えない、約400bpを超えない、約300bpを超えない、約200bpを超えない、約150bpを超えない、約100bpを超えない、約90bpを超えない、約80bpを超えない、約70bpを超えない、約60bpを超えない、約50bpを超えない、および約40bpを超えない。いくつかの態様において、該アンプリコンは長さが200塩基対(bp)若しくはそれ未満である。
【0133】
プライマー対およびそれらの対応する標的遺伝子の制限しない例を表1および2に示す。
【0134】
【表1−1】

【0135】
【表1−2】

【0136】
【表2−1】

【0137】
【表2−2】

【0138】
【表2−3】

【0139】
一態様において、第一のプライマーおよび第二のプライマーは、gBの一領域(例えばUL55)若しくはMIE遺伝子に対応するアンプリコンを提供するのに十分である。しかしながら、CMV核酸のいずれかの領域に対応するアンプリコンを提供し得るいかなるプライマー対もまた本発明の範囲内にある。いくつかの態様において、本発明の使用のためのプライマーは配列番号8〜63に示されるところのヌクレオチド配列を含んでなる。
【0140】
別の態様において、第一のプライマーおよび第二のプライマーは、第一のプライマーが配列番号8により示されるところの第一プライマー配列を含んでなり、第二のプライマーが配列番号9により示されるところの第二のプライマー配列を含んでなるプライマー対に対応する。他の態様において、第一のプライマーおよび第二のプライマーは、第一のプライマーが配列番号10により示されるところの第一プライマー配列を含んでなり、第二のプライマーが配列番号11により示されるところの第二のプライマー配列を含んでなるプライマー対に対応する。
【0141】
別の態様において、第一のプライマーおよび第二のプライマーは、第一のプライマーが配列番号16により示されるところの第一プライマー配列を含んでなり、第二のプライマーが配列番号17により示されるところの第二のプライマー配列を含んでなるプライマー対に対応する。一態様において、第一のプライマーおよび第二のプライマーは、第一のプライマーが配列番号34により示されるところの第一のプライマー配列を含んでなり、第二のプライマーが配列番号35により示されるところの第二のプライマー配列を含んでなるプライマー対に対応する。
【0142】
他の態様において、本発明は被験体中のCMV核酸の測定方法を提供し、該方法は、(a)生物学的サンプルから核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることを含んでなり、増幅することは、表2に示されるところの最低一対のプライマーおよび最低1種の対応するプローブと該核酸分子を接触させることを含んでなる。一態様において、該プライマー対は配列番号67および68として示される配列を有し;ならびに対応するプローブは配列番号69として示される配列を有する。
【0143】
いくつかの態様において、被験体中のCMV核酸の測定方法は、生物学的サンプルを急速凍結にかけることをさらに含んでなる。急速凍結法は当該技術分野で公知であり、そして、例えば液体窒素若しくはアルコール/ドライアイス(例えばMeOH/ドライアイス)中で急速凍結することを包含する多様な試薬および技術を使用して実施し得る。
【0144】
好ましくは、方法は急速凍結の段階後に核酸を濃縮することをさらに含んでなる。一態様において、濃縮する段階は、核酸を沈殿させること、次いで急速凍結の段階を含んでなる。別の態様において、沈殿させることは核酸をアルコールと接触させること(例えばEtOH沈殿)を含んでなる。
【0145】
なおさらなる態様において、アンプリコンの存在を決定する段階は、アンプリコンのいずれかの適する検出方法、例えば、臭化エチジウムで染色されたアガロースゲルのもの最低10倍の検出感度を有することを特徴とする検出方法により実施する。
【0146】
他の局面において、本発明は細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供し、該方法は、
(a)被験体からの生物学的サンプルから核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることであって、増幅することは、第一のプライマーおよび第二のプライマーを含んでなる最低一対のプライマーと該核酸分子を接触させることを含んでなり、該アンプリコンは長さが約1000塩基対(bp)若しくはそれ未満であり;
(b)アンプリコンの存在を決定することであって、該アンプリコンの存在は該被験体中のCMV核酸を暗示し;ならびに
(c)最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を該被験体に投与することであって、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合に該細胞に対する免疫応答を誘発する
を含んでなる。段階(a)、(b)および(c)は上述されるとおりである。
【0147】
別の局面において、本発明は細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法を提供し、該方法は、
(a)被験体からの生物学的サンプルから核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることであって、増幅することは、第一のプライマーおよび第二のプライマーを含んでなる最低一対のプライマーと該核酸分子を接触させることを含んでなり、該アンプリコンは長さが約1000塩基対(bp)若しくはそれ未満であり;
(b)アンプリコンの存在を決定することであって、該アンプリコンの存在は該被験体中のCMV核酸を暗示し;ならびに
(c)有効量の抗原提示細胞、Tリンパ球若しくは双方を含んでなる組成物を該被験体に投与することであって、該抗原提示細胞およびTリンパ球は感作有効量の最低1種のCMV抗原でin vitroで感作されており、抗原提示細胞、Tリンパ球若しくは双方の該有効量は、該CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するのに十分である、を含んでなる。
【0148】
一局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞の増殖若しくは広がりの低減若しくは阻害方法を提供し、該方法は、
(a)被験体からの生物学的サンプルから核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることであって、増幅することは、第一のプライマーおよび第二のプライマーを含んでなる最低一対のプライマーと該核酸分子を接触させることを含んでなり、該アンプリコンは長さが約1000塩基対(bp)若しくはそれ未満であり;
(b)アンプリコンの存在を決定することであって、該アンプリコンの存在は該被験体中のCMV核酸を暗示し;ならびに
(c)治療的若しくは予防的有効量の製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与して該被験体での該細胞の増殖若しくは広がりを低減若しくは阻害すること
を含んでなる。段階(a)、(b)および(c)は上述されるとおりである。
【0149】
なおさらなる局面において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞を有する被験体を処置することの治療的有効性のモニタリング方法を提供し、該方法は、
(a)該被験体からの第一の生物学的サンプル中でCMV核酸の第一の量を測定することであって、測定することは、該生物学的サンプルからの核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることを含んでなり、増幅することは、第一のプライマーおよび第二のプライマーを含んでなる最低一対のプライマーと該核酸分子を接触させることを含んでなり、該アンプリコンは長さが約1000塩基対(bp)若しくはそれ未満であり、該アンプリコンの存在が該被験体中のCMV核酸を暗示し;
(b)被験体を処置すること;
(c)適する期間の後に、該処置された被験体から得た第二のサンプル中のCMV核酸の第二の量を測定すること;ならびに
(d)第一の量を第二の量と比較することであって、該第一の量と該第二の量の間の差違は該処置の有効性を暗示する、
を含んでなる。
【0150】
いくつかの態様において、段階(b)の処置することは、治療若しくは予防量の上述されたところの製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる。
【0151】
他の態様において、本発明は、CMV抗原を発現する細胞に対する活性を有する製薬学的剤を決定することに向けられるアッセイを提供し、該方法は、
(a)被験体からの第一の生物学的サンプル中でCMV核酸の第一の量を測定することであって、測定することは、該生物学的サンプルからの核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることを含んでなり、増幅することは、第一のプライマーおよび第二のプライマーを含んでなる最低一対のプライマーと該核酸分子を接触させることを含んでなり、該アンプリコンは長さが約1000塩基対(bp)若しくはそれ未満であり、該アンプリコンの存在が該被験体中のCMV核酸を暗示し;
(b)該被験体を該製薬学的剤で処置すること;
(c)適する期間の後に、処置された被験体から得た第二のサンプル中のCMV核酸の第二の量を測定すること;ならびに
(d)第一の量を第二の量と比較することであって、該製薬学的剤は、該第二の量が該第一の量未満である場合に該細胞に対する活性を有する、
を含んでなる。
【0152】
III.キット
本発明の組成物は単位投薬量若しくはキットの形態で供給し得る。キットは、個別の容器中で提供される製薬学的に許容できる組成物若しくはそのワクチンの多様な成分、ならびに化学療法剤を包含する多様な他の有効成分若しくは剤を含み得る。例えば、該容器は、キットの他の成分と一緒に組合せられる場合に単位投薬量若しくは複数剤形の製薬学的に許容できる組成物を構成するような、最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を個別に含み得る。好ましいキットは、少なくとも、個別の容器中に、抗原(例えば最低1種のCMV抗原若しくはそれらをコードする核酸)の供給源;および1種若しくはそれ以上のアジュバント(例えばサイトカイン)を含んでなる。該キットは、生理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を別個の容器中にさらに含み得る。場合によっては、該キットはナノ粒子若しくはトランスフェクション試薬のような送達剤をさらに含み得る。本発明の包装された組成物およびキットは、貯蔵、調製および投与のための説明書もまた包含し得る。本発明の1種若しくはそれ以上の核酸プライマーは、場合によっては、好ましくは1個若しくはそれ以上の個別の容器中で提供されて該キットに包含される。
【0153】
本発明は実施例によってより詳細に具体的に説明されることができるが、しかし本発明は該実施例に制限されないことに注意されるべきである。
【0154】
実施例
【実施例1】
【0155】
HCMVタンパク質は悪性神経膠腫中で発現される
HCMVタンパク質が悪性神経膠種(MG)中で発現されたかどうか決定するため、われわれの脳腫瘍バンクから選択した45個のGBM試料からのパラフィン切片を免疫組織化学(IHC)により検査した。
【0156】
ヒトGBM、乏突起神経膠腫、髄膜腫、上衣腫および正常脳の外科的試料をパラフィンブロック中で得た(施設内審査委員会[IRB]の承認を伴う)。腫瘍試料は、診断にのみ基づいてデューク組織バンク(Duke Tissue Bank)のプレストン・ロバート・ティッシュ脳腫瘍センター(Preston Robert Tisch Brain Tumor Center)から要求した。神経病理医により確認された合計45のGBM症例を選択した(36例の原発性GBMおよび9例の再発性GBM)。該群は51歳の年齢の中央値を伴う26例の男性および19例の女性よりなった。試料を薄片にし(6μm)かつ内因性ペルオキシダーゼについて阻害し(3%H2O2、12分間)、そしてモノクローナル抗体(mAb)の添加前にFc受容体阻害剤とともにインキュベートした(20℃で10分;Innovex Biosciences、米国カリフォルニア州リッチモンド)。IHCは、以下のmAb、すなわち抗IE1−72(25倍;BioGenex)、抗pp65(30倍;Novocastra、英国ニューカッスル・アポン・タイン)および抗平滑筋アクチン(15倍;BioGenex)を用いる3段階のワサビペルオキシダーゼ検出系(BioGenex、米国カリフォルニア州サンラモン;Dako、米国カリフォルニア州カーピンテリア;およびInnovex Biosciences)を使用して実施した。抗体パラメータ(例えば後固定、回収およびインキュベーション時間)は、色素源としてDAB(Innovex Biosciences)を使用して各mAbについて確立した。新たに切除されたGBM試料から14ないし21日間樹立した初代神経膠腫培養物を固定し、そして冷メタノールを使用して透過処理し、次いで10%中性緩衝ホルマリンで10分間後固定した。非特異的結合の阻害を、ビオチンブロックおよびアビジンブロック(BioGenex)ならびにFC受容体阻害(Innovex)を使用して実施した。アイソタイプ対照(マウスIgG1、マウスIgG2a;Invitrogen、米国カリフォルニア州カールズバッド)、CD45抗体(BD Biosciences、米国カリフォルニア州サンノゼ)、pp28抗体(Virusys、米国メリーランド州サイクスビル)、糖タンパク質B(gB;Virusys)およびHIV p17(Virogen、米国メリーランド州ウォータータウン)を使用する一次抗体とのインキュベーションを4℃で2時間若しくは一夜実施し(1μg/ml抗体濃度)、そしてBioGenexの3段階ワサビ検出系を使用して検出を実施した。
【0157】
検出はHCMVにコードされる抗原IE1−72に特異的なmAbを使用して実施した。IE1−72の免疫反応性はIHCにより検査される45種の試料のうち42種(95%)で検出された。強い核および細胞質染色が腫瘍細胞およびときに内皮細胞で同様に検出された(図1)。しかしながら、浸潤リンパ球および周囲の正常脳領域はIE1−72抗体に対する免疫反応性を欠いた。HCMVの特異的検出をさらに確認するため、45症例の33例をHCMVマトリックスタンパク質pp65に特異的なmAbに対する反応性について検査した。33症例の30例(91%)は腫瘍細胞中でpp65について免疫反応性であったが、しかし隣接する正常脳領域ではそうでなかった。pp65の反応性は全般として腫瘍細胞中のIE1−72検出より少なく偏在性であったが、しかし検査した全試料中の腫瘍細胞の大多数はpp65抗体に対する免疫反応性を表した(図1;表3)。
【0158】
【表3】

【0159】
腫瘍細胞中の非特異的検出の可能性を除外するため、IHCを、アイソタイプおよび濃度を一致させた対照mAbを用いて腫瘍切片で実施した。HCMV特異的mAbと同一濃度で使用したアイソタイプを一致させた対照抗体は、腫瘍細胞内で免疫反応性を示さず、ならびに、平滑筋アクチンに対するアイソタイプを一致させたmAbは、腫瘍および正常脳切片内の血管に対する反応性を示した(図1A)が、しかし腫瘍細胞との反応性は示さなかった。髄膜腫(n=5)、上衣腫(n=5)および乏突起神経膠腫(n=5)の検査結果は、IE1モノクローナル抗体を用いて乏突起神経膠腫の単一症例で観察された限局性内皮染色を除き、IE1およびpp65の検出について陰性であった(表3)。
【実施例2】
【0160】
悪性神経膠腫試料中のHCMVのPCR検出
図2に示されるとおり、11/13の高悪性度MG(9/11GBMS、2/2AAs)でのgBのPCR増幅を実施した。40周期のPCRをgB特異的プライマーを使用して実施して122bpの産物を増幅した。HCMV gBは32種の陽性サンプルの17種で配列確認された。
【実施例3】
【0161】
CMV抗原は前悪性病変中に存在する
前悪性結腸直腸ポリープの約75%以上および結腸の腺癌の約80%以上での(しかし隣接する非腫瘍性結腸生検サンプルではない)CMV IE1およびpp65タンパク質の存在が示されている(例えばHarkinsら、Lancet,360:1557(2002)を参照されたい)。さらに、低悪性度神経膠腫(頻繁に高悪性度病変に進行する)の約48%でのCMVの存在が示されている(例えばScheurerら、Detection of Human Cytomegalovirus in Different Histological Types of Gliomas,Acta Neuropathologica,2008年3月20日電子出版、Springer Berlin/Heidelbergを参照されたい)。従って、本発明の組成物および方法は、前腫瘍性、低悪性度および/若しくは前悪性病変ならびに腫瘍性疾患への進行を予防若しくは処置するためにもまた提供され得る。
【実施例4】
【0162】
自己DCのex vivo生成
白血球アフェレーシス生成物(LP)バッグの内容物を1L滅菌コーニング(corning)瓶に入れ、そして等量のリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)を添加してLPを希釈した。遠心管を使用して、20mLのHistopaqueTM(Sigma #1077−1)を30mLの希釈したLPで穏やかに覆い、その後1300×gで25分間回転した。界面(管あたり1界面)を取り出し;PBSを50mLまで添加し;そして細胞を500×gで室温(RT)で5分間ペレットにした。上清をデカンテーションし、そしてペレットを50mL PBSに再懸濁し、その後上のとおりペレットにした。上清をデカンテーションし、そして2個のペレットを50mL PBS中で合わせ、その後上のとおりペレットにした。再度、上清をデカンテーションし、そして2個のペレットを50mL PBS中で合わせ、その後上のとおりペレットにした。細胞の全部が1本の管に合わせられるまで、ペレットを合わせかつPBSで洗浄した。
【0163】
トリパンブルー排除を実施して、血球計算器の助けを借りてを介して生存および死細胞の数を決定した。細胞を、2%ヒトAB血清(HABS)(Valley Biomedical #HP1022)を含むAIM V培地(Life Technologies #870112dk)に1mLあたり2×10で再懸濁した。2%HABSを含有する29mLのAIM V培地および1mLのPBMC細胞懸濁液をT−150細胞培養フラスコに添加した。全部の細胞培養フラスコを37℃、5%COの単一の専用加湿インキュベーターに2時間入れて単球前駆細胞を接着させた。接着期間の後に、非接着細胞を除去し、そして残存する単層をPBSで1回洗浄した。接着細胞に、800U/mL組換えヒトGM−CSF(Berlex Laboratories,Inc.)および500U/mL組換えヒトIL−4(R&D Systems #204−IL/CF)を補充したフラスコあたり30mlのAIM−Vを補給し、そして37℃、5%COの加湿インキュベーター中で7日間インキュベートした。
【0164】
7日の培養期間後に接着性DCを冷PBSで洗浄した。10mlの無酵素解離緩衝液(Life Technologies #13150−016)を添加し、そしてDCを4℃で10分間インキュベートした。接着性DCの残りをフラスコから洗い流し、そして以前に収集したDCと合わせ、その後500×gで4℃で10分間ペレットにした。冷PBSでの1回の洗浄後に、細胞を数および生存率について確認した。
【実施例5】
【0165】
樹状細胞のRNA負荷および成熟
上述されたとおり生成させた樹状細胞を、1mLのViaSpan(Belzer UW−CSS、DuPont Pharmaceuticals、デラウェア州ウィルミントン)あたり2.5×10細胞で再懸濁した。200μLの懸濁液をその後、10μgのpp65 RNAと一緒にキュベット(Gene Pulser Cuvette、Bio−Rad #165−2086)に入れ、そして細胞を300ボルトで500マイクロ秒間電気穿孔した(BTX Electro Square Porator #ECM830)。およそ1×10の電気穿孔した細胞を、800U/mLの組換えヒトGM−CSF(Berlex Laboratories,Inc.)および500U/mL組換えヒトIL−4(R&D Systems #204−IL/CF)を補充した50mLのAIM Vを含有するT225フラスコに移し、その後37℃、5%COで1時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、成熟化サイトカインを含む適切な量の培地を、10ng/ml TNF−α(R&D Systems、#210−TA/CF);10ng/ml IL−1β(R&D Systems、#201−LB/CF);および1000単位/ml IL−6(R&D Systems、#208−IL/CF)の成熟化カクテル中のサイトカインの最終濃度まで添加した。細胞を37℃および5%COで一夜インキュベートした。
【0166】
成熟期間の終了時に、上清を取り出しかつ氷上の冷却した50mlコニカルチューブに入れた。残存する単層を氷冷PBSで洗浄し;上清と合わせ;その後4℃で500×gで5分間ペレットにした。ペレットを10mlの氷冷PBSに再懸濁しかつ氷上に保った。10ないし20mlの無酵素解離緩衝液(Life Technologies #13150−016)を添加しかつ細胞を4℃に保ち、そして細胞剥離の進行を5分ごとにモニターした。フラスコを10mlの氷冷PBSで2回洗浄し、解離緩衝液からの細胞と合わせ、そして500×gを使用してペレットにした。細胞を他の細胞と合わせ、そして50mlに合わせかつ計数した。
【実施例6】
【0167】
ワクチン接種のための樹状細胞の調製
50mLコニカル遠心管および25mlのPBS中の成熟抗原負荷樹状細胞をゆっくりと添加し、その後細胞を22℃で200×gで5分間ペレットにした。細胞を10mlのPBSに再懸濁し、そして2mlピペットを使用して懸濁液のサンプル100μlを取り出し、そして細胞を上述されたとおり血球計算器およびトリパンブルーを使用して計数した。細胞は処理する前に70%以上が生存可能であることが確認された。細胞を22℃で500×gで5分間ペレットにし、そして0.9%塩化ナトリウム中5×10細胞/mLで再懸濁した。細胞を25G 5/8ゲージ針を伴う1ccシリンジに負荷した。サンプルは投与前にグラム染色および内毒素試験に送った。
【実施例7】
【0168】
CMV pp65−LAMP RNAを負荷したDCを使用する新たに診断されたGBMを伴う被験体のワクチン接種
新たに診断されたGBMを伴う25例の患者(各ランダム化群で3例以上のCMV血清陽性患者を含む)を切除6週以内に登録する。1用量レベルのDC(2×10)および1用量レベルのALT(3×10/kg)のみ評価する。その後の試験で用量を増加することの決定は、この試験で得られる安全性および免疫学的応答の分析に依存する。患者は死亡まで追跡する。該試験は、いずれかの群のいずれか2例の患者が薬物関連のグレードIV若しくは無関係のグレードIIIの毒性を経験する場合に中止する。全患者がALTおよびDCの生成のためのPBLの収集のため切除後に白血球アフェレーシスを受ける。図3はワクチン接種プロトコルを図解する。
【0169】
患者は放射線治療(RT)および75mg/m/日という標準標的化用量の同時のTMZを受領する。放射の間に進行性疾患を伴いかつワクチン接種の時点で生理学的レベルより上のステロイド補充に依存し、TMZに耐えることが不可能であり、ならびにそのDC若しくはPBLが放出基準に合致することに失敗する患者は置き換える。残存する患者はその後、RTを完了した3±1週後に200mg/m/日という標準標的化用量のTMZの最初のサイクルを5日間受領し、そしてALTを受領するか若しくはDCワクチン#1と同時に受領しないようにランダム化する。DCは皮内に投与し、そして双方の鼠径部領域に等しく分割する。ワクチン#2および#3は2週間隔で発生する。全患者は、基礎抗原特異的細胞性および体液性免疫応答の特異的評価を含む免疫学的モニタリングならびさらなるDC生成のため、ワクチン#3の4±2週後に再度白血球アフェレーシスを受ける。患者はその後、RT後に5±1週ごとに合計6周期のその後のTMZサイクルとともに毎月ワクチン接種する。TMZは第1〜5日に投与し、DCは第21±7日に投与する。DCワクチン接種はTMZ周期が終了した後に継続する。
【0170】
患者は、いずれかの他の処方された抗腫瘍療法を受領することを伴わずに2か月に1回画像撮影し、そして進行までワクチン接種を継続する。患者は、ワクチン接種を継続することが必要とされる場合はDCの生成のため追加の白血球アフェレーシスを受ける。ワク
チン#4で、患者を鼠径部部位の多様な皮膚準備(preparation)にランダム化し、そしてDC移動に対する多様な皮膚準備の影響を比較するために111In標識DCを受領する。進行が発生する場合に、患者は、DC移動に対する異なるワクチン接種部位の影響を比較するため、鼠径部領域および顎角部(angle of the jaw)に両側で111In標識DCを用いる最後の皮内ワクチン接種を受領する。これらの患者の標準治療の一部として、腫瘍進行に際し、参加者は定位生検若しくは切除を受けてもよい。これは研究処置でないため同意は別個に得る。しかしながら、組織が得られる場合、それを使用して腫瘍進行を組織学的に確認しかつ腫瘍部位の免疫学的細胞浸潤およびpp65抗原エスケープを評価する。
【0171】
試験の組み入れ基準は、年齢18歳超;いずれかの軸方向面で最大径1cm未満の切除後CT若しくはMRI上の残存X線撮影コントラスト増強を伴う、登録前6週以内の決定的切除を伴うGBM(WHOグレードIV):ならびに80%超のカルノフスキー・パフォーマンス・ステータス(KPS)およびI〜IVのCurranグループ・ステータスを包含する。
【0172】
試験の除外基準は、ワクチン接種前のいずれかの時点での髄軟膜若しくは多中心性疾患のX線検査若しくは細胞学的エビデンス;ステロイド、RT若しくはTMZ以外の以前の慣習的抗腫瘍療法;試験期間の妊娠若しくは授乳の必要性(陰性のβ−HCG試験が必要とされる);最初のワクチン接種の時点で生理学的レベルより上の継続的コルチコステロイドの要件;処置を必要とする活動性感染症若しくは原因不明の発熱性(101.5°F超)疾患;既知の免疫抑制性疾患若しくはヒト免疫不全ウイルス感染症;重度の心若しくは肺疾患のような不安定性若しくは重篤な併発性の医学的状態を伴う患者;TMZに対しアレルギー性、若しくはリンパ球減少以外の理由でTMZに耐えることが不可能;または以前の鼠径部リンパ節郭清を伴う患者を包含する。
【0173】
研究的である例示的処置は;DCおよびALTでの生成のための白血球アフェレーシス;抗原を負荷したDCでの皮内免疫化;ALT;111In標識抗原を負荷したDCでの皮内免疫化およびSPECTスキャン;ならびに標準的リコール抗原ならびに抗原を負荷したおよびナイーブなDCでのDTH試験を包含する。
【0174】
標準的治療活動とみなされるプロトコル関連の活動は、外照射療法;テモゾロミド(TMZ);MRI;および再発時の生検を包含する。
【0175】
患者は、注入反応を予防するためのベナドリル(Benadryl)25〜50mgおよび650mgのタイレノール(Tylenol)での前投薬後に(あなたの静脈中に留置されたカテーテルを通して)彼ら自身のリンパ球を静脈内で受領する。輸血は重量および受領される細胞の数に依存して45ないし90分にわたり受領される。感染症の危険性の確率は、小さい注入容量(2箇所を超える皮内部位の間で分割される1mL)およびDCが各注入の前に無菌性について厳格に試験されるという事実を考えれば比較的低い。実験室でのDCの潜在的汚染による感染の危険性は、バイオセイフティー品質保証および試験により最小化される。全部の細胞培養物はヒト細胞の処理専用の中核組織培養施設で無菌条件下で取り扱う。患者への注入前に、DCは、チグリコレート(thiglycolate)ブロス、トリプティックソイ血液寒天、および阻害性サブロー寒天での無菌性試験に合格する。注入後、患者を感染症のいかなる徴候および症状についても試験の経過を通してモニターする。活動性の感染症が疑われる場合は、患者を培養しかつ適切な抗生物質で処置する。
【0176】
患者のDCは相関試験のため111Inで放射標識する。患者および医療スタッフへの放射線曝露は提案される用量で最少であり、そしてデンバーのような高い標高の都市で1
3日間生活すること、またはニューヨーク若しくはロサンゼルスから4回飛行機で飛行することにほぼ等しい。従って特別な放射線予防措置は取られない。SPECT画像を分析のために得る。
【0177】
MRIの間、患者に造影剤を投与する。該剤は脳の強調MRIスキャンを得るために慣例に投与される。該剤は静脈を通して投与し、そしてIVカテーテルの留置を必要とする。カテーテル留置は、該剤が活発に送達される時間、カテーテルが静脈中に留まることを除き、採血することに同様である。
【実施例8】
【0178】
腫瘍増殖停止期間(TTP)はCMV pp65 RNAを負荷したDCで処置される新たに診断されたGBMを伴う患者について増加する
DCを、GM−CSFおよびIL−4を用いる7日培養により白血球アフェレーシスからin vitroで生成した。DCのin vitro生成のため、PBMCを白血球アフェレーシスにより得そして細胞処理施設に輸送した。白血球アフェレーシスのための十分な静脈アクセスを伴わない患者については、一時的静脈内カテーテルを挿入した。
【0179】
DCを生成するための7日インキュベーションの終了時に、マイコプラスマ試験のため培地のサンプルを採取し、そして細胞をその後収集しかつpp65−LAMP mRNA(百万DCあたり2マイクログラムのRNA)で電気穿孔した。DCを、成熟化のため、GM−CSF+IL−4+TNF−α+IL−6+IL−1βを含むAIM V培地を含むフラスコに37℃、5%COで18〜20時間置いた。細胞をPBSで2回洗浄し、そして、1℃/分の速度の制御された速度の冷凍庫中で90%自己ヒトAB血清(Valley Biomedical、バージニア州ウィンチェスター 22602)、10%DMSOおよび5%グルコース中5×10細胞/mLで凍結させた。DCをその後必要とされるまで−135℃で保存した。凍結した後に細胞のアリコートを融解し、そして好気性および嫌気性細菌培養(1×10DC)ならびに真菌培養(1×10DC)のため送付した。
【0180】
各ワクチン接種のため、DCを37℃で迅速に融解し、PBSで3回洗浄し、生存率を評価しかつ計数した。進めるために70%以上の細胞生存率を得た。細胞濃度を4×10細胞/mLに調節し、そしてDCを保存剤を含まない生理的食塩水に再懸濁しかつ27ゲージ針を伴う無菌ツベルクリンシリンジに入れた。
【0181】
全部のDC調製物について、細胞のサンプルをグラム染色および内毒素試験のため投与前に送付した。DCワクチン接種は、内毒素試験に合格し(5.0E.U./kg未満)かつグラム染色が陰性となるまで与えなかった。細胞のアリコートは好気性および嫌気性細菌培養(1×10DC)ならびに真菌培養(1×10DC)のためにもまた送付した。
【0182】
自己pp65 RNAを負荷したDCを使用するフェーズI/II臨床試験を開始した。この試験は、肉眼的全摘出(95%超)、次いで標準的外照射療法(60Gy)および同時のTMZ(75mg/m/日)を6週間、次いで月5日のTMZ(150〜200mg/m/日)を6周期受けた、新たに診断されたGBMを伴う21患者を登録した。5例の患者は放射線照射中に進行しそしてプロトコルに従って(on−protocol)処置しなかった。2例の患者は救済使用でプロトコルに従わず(off−protocol)処置した。外科的切除後かつTMZの開始前に収集した白血球アフェレーシスを使用してDCを生成し、そしてpp65 RNAで電気穿孔した自己DC(2×10DC
i.d.)を、最初のTMZ周期後最初の3用量について2週ごと、およびその後月1回各周期の第21日に投与した。患者を腫瘍進行についてMRI(2か月ごと)によりモ
ニターし、また、血液を免疫学的モニタリングのため毎月収集した。対照は、MDアンダーソン(MD Anderson)データベース由来のATTAC試験に登録した患者と同一の適格性基準と年齢、予後因子を一致させている。
【0183】
結果を図4に示す。21か月の経過観察で、16例の患者の13例が、12.5か月のTTP中央値を伴い生存しており(範囲 手術後7.6か月ないし2か月)、また、全体生存中央値は達成されていないがしかし20.1か月より長く、これは既存対照被験者と比較して高度に好都合である(例えばStuppら、N.Engl.J.Med.352:987(2005)を参照されたい;フェーズIIIのTMZ/XRT+アジュバントTMZのTTP中央値は7.1か月、および、生存中央値は14.6か月である)。
【実施例9】
【0184】
全体生存はCMV pp65 RNAを負荷したDCワクチンで処置したGMB患者について増大する
同時の連日のTMZ(75mg/m/日)を伴うRTの完了後に、患者を、DCワクチン接種のみを受領するもの、および最初のDCワクチン接種と一緒にALTを受領するものにランダム化した。ランダム化はCMV血清学の状態により層別化し、そして、割り当ては、乱数発生器を使用して試験統計学者により準備された連続的な封止された封筒のプールから行った。DCワクチン接種は最初の5日周期(第1〜5日)のTMZ(200mg/m)と一緒に開始した。TMZ周期の第21±2日に、双方の患者群が、2×10のpp65−LAMP mRNAを負荷した成熟DCを用いる合計3回の免疫化のため、2週ごとに皮内免疫化を受領した。各免疫化は双方の鼠径部領域に等しく分割した。側あたり総容量200μLを皮内に送達した(SOP−JHS−HDC−CL−012 “Intradermal Administration of Dendritic
Cells Procedure(樹状細胞の皮内投与手順)”)。該手順の詳細は適切な形態で記録した(FORM−JHS−HDC−CL−012)。注入は1.5インチ25ゲージ針を使用して実施した。患者は、いずれかの副作用の発生について免疫化後30分ないし1時間診察室でモニターした。該免疫化処置は、二次救命処置(ACLS)コースを終了した看護師若しくは医師により監督された。重度のアレルギー反応の場合にはこれらの免疫化を実施する場合にすぐ近傍で心蘇生カートが利用可能であった。初期の3回のワクチンは各2±1週間隔で投与した。
【0185】
第3のワクチン後、患者は免疫学的モニタリングおよびDC生成のため4時間の白血球アフェレーシスを受けた。その後、患者を5±1週ごとに送達したTMZの各周期の第21±2日に免疫化した。従って、放射線照射とともに投与した同時のTMZ(75mg/m/日)に加え、合計6追加周期のTMZ(200mg/m/第1〜5日)を投与した。
【0186】
TMZ周期が進行を伴わずに終了した場合は、DCワクチン接種を、いずれの追加の処方される抗腫瘍療法も伴わない臨床的若しくはX線検査的進行まで5±1週ごとに継続した。その期間、患者を、各来院時の慣例の身体および神経学的検査ならびにMMSE試験、ならびに8±4週ごとの造影剤で強調したCT若しくはMRIで臨床的にモニターした。末梢血を各来院時に良好な免疫学的モニタリングとして得た。
【0187】
フェーズIIランダム化プロスペクティブ臨床試験を、pp65−RNAをトランスフェクトした樹状細胞(DC)を使用して、新たに診断されたGBMを伴う患者で、免疫優性のCMV外皮タンパク質pp65の免疫原性およびそれに標的化すること有効性を評価するために開始した。切除および同時のTMZ(75mg/m/日)を伴う放射線照射後に、患者は皮内ワクチン接種と同時のTMZ(200mg/m)のその後の毎月の周期を受領し、そしてワクチン接種前にALT(3×10/kg)を受領するようランダ
ム化した。被験者は腫瘍進行のエビデンスが存在するまでワクチン接種を受領した。
【0188】
結果を図5に示す。21例の患者が同意した。5例が放射線治療中に進行した。ワクチン関連の報告可能な重篤な有害事象(SAE)は存在しなかった。しかしながら、TMZ療法は第一のTMZ周期後に患者の70%でグレード3のリンパ球減少(500細胞/mL)を誘発した。TMZ後に、免疫抑制性調節性T細胞(TReg)(CD4CD25++CD45ROCD127FOXP3)レベルが、5.2%(3.3−7.5)から11.8%(6.9−13.8)に増大した(P=0.0004;両側t検定)。1例のほぼ完全奏功が観察された。PFSの中央値は12.5か月(CI95;10.0、∞)であった。CMV pp65 RNAを負荷したDCワクチンで処置されたGBMを伴う患者の全体生存は好ましい。6PFS(100%;13患者の13例)、12か月生存(92.3%;13患者の12例)および15か月生存(90%;10患者の9例)は、同様の診断を伴う患者に好都合に匹敵する(例えば、Temodar(R)(63.7週)(Stuppら、N Engl J Med.,352:987(2005);およびGliadelTM(59.6週)(Westphalら、Neuro Oncol.,5:79−88(2003)を参照されたい)。全体中央値生存は19.7か月以上である。図6に示されるとおり、GBMを伴う33歳女性は、自己リンパ球移植と組み合わせたCMV pp65 RNAを負荷したDCワクチンに対するほぼ完全なX線検査の応答を有した。MRIは強調病変の減少、正中偏位の是正および神経学的症状の解消を示した。この患者はGBMの初回外科切除後21か月で健在なままであった。
【0189】
CMV特異的多機能細胞性および体液性免疫応答の予備結果は、GBMを伴う患者がCMV特異的免疫不全を有することを示す(図7〜9)。
【実施例10】
【0190】
抗原特異的CD8+およびCD4+ T細胞はCMV pp65抗原でパルスしたDCに応答してバルク培養物から分離し得る
抗原特異的CD4+およびCD8+ T細胞のポリクローナル集団を同定かつ単離するため、緑色蛍光タンパク質(GFP)RNA電気穿孔法を、CMVの完全長pp65抗原をコードするmRNAでトランスフェクトしたDCで刺激したT細胞で実施した。
【0191】
樹状細胞生成、ペプチドおよびRNAでの抗原負荷ならびに樹状細胞の成熟化:
これらの実験で使用した全部の細胞材料は、正常志願者、および悪性神経膠腫を伴う患者から、デューク大学施設内審査委員会の承認の下でインフォームド・コンセントを与えられた後に得た。末梢血単核細胞(PBMC)を白血球アフェレーシスにより得、そして37℃でAIM−V培地(Invitrogen Life Technologies、ニューヨーク州グランドアイランド)中で1時間インキュベートしてプラスチックへの接着を可能にし、そしてその後、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(800単位/ml)およびIL−4(500単位/ml)を補充したAIM−V培地中で6日間培養した。未熟樹状細胞を第6日に収集し、洗浄しかつ2.5×10/mlでOpti−MEM(Invitrogen Life Technologies)に再懸濁した。DC培養物からの上清を後の使用のための馴化培地として取っておいた。細胞を2mmキュベット中で電気穿孔した。すなわち、方形波形発生器(ECM 830 Electro Square Porator;BTX、Genetronicsの一部門、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して300Vで500μ秒間、200μlのDC(5×10細胞)。DCは10細胞あたり2.5μgのRNAで電気穿孔した。細胞を馴化樹状細胞増殖培地および新鮮培地の1:1組合せを含有する60mm組織培養ペトリ皿に移した。細胞を、IL−1β(5ng/ml)、腫瘍壊死因子−α(5ng/ml)、IL−6(150ng/ml)およびプロスタグランジンE(1μg/ml)で一夜成熟させた。IL−4、腫瘍壊死因子−α、IL−1βおよびIL−6はR&D Systems
(ミネソタ州ミネアポリス)から得;顆粒球マクロファージコロニー刺激因子はデューク大学メディカルセンター(ノースカロライナ州ダラム)の薬局からであり、そしてプロスタグランジンEはPharmacia(独国エルランゲン)からであった。ペプチド刺激のため、成熟樹状細胞を洗浄し、そして、10μg/ml濃度のHLA−A2拘束性免疫原性ヒトサイトメガロウイルスpp65ペプチドNLVPMVATV(pp65465−503)(配列番号109)(AnaSpec、カリフォルニア州サンノゼ)を含む1:1の馴化培地および新鮮培地に再懸濁した。
【0192】
pp65ペプチド若しくはmRNAでの樹状細胞のパルスおよびT細胞の活性化:
DCはHLA−A2の正常志願者および悪性神経膠腫を伴う患者から生成し、そしてAIM−V培地−2%ヒトAB血清中でpp65ペプチド(10μg/ml)で37℃で3時間パルスした。pp65をコードするmRNAを負荷するため、DCを洗浄し、そして電気穿孔のためOpti−MEMに再懸濁した。1×10DCあたり完全長HCMV
pp65をコードするmRNA2マイクログラムをBTX ECM 830で電気穿孔した。DCを45mlのAIM−V培地で1回洗浄し、そして自己レスポンダーリンパ球を1:10の比(DC:T細胞)で添加した。容量を2×10細胞/mlに調節し、そして5%CO2を含有する加湿雰囲気中37℃で細胞をインキュベートした。3日後に、2%プールヒトAB血清およびIL−2(10U/ml)を含む等量のAIM−V培地を添加し、そして細胞を1ml/ウェルの容量で24ウェルプレートに移した。その後、2〜3日ごとに細胞を増殖について評価しかつ1×10細胞/mlに調節した。pp65でパルスしたDCとの共培養の8ないし11日後にT細胞を収集し、そしてGFPをコードするmRNAで電気穿孔した。あるいは、T細胞を、固定した抗CD3モノクローナル抗体(Ortho Biotech、ニュージャージー州ラリタン)を使用するポリクローナル刺激により刺激した(T−150フラスコ中リン酸緩衝生理的食塩水[PBS]中2μg/mlで一夜)。細胞をCD3被覆プレート中2%ヒトAB血清を含むAIM−V培地中でプレーティングし(10細胞/ml)、そして収集する前に3ないし5日間培養した。
【0193】
Tリンパ球の供給源:
非接着性(NA)細胞を、デューク大学施設内審査委員会の承認の下、情報を与えられた患者の同意が与えられた後に、悪性神経膠腫を伴う患者および正常志願者からのPBMCから生成した。末梢血からの単核細胞は、Ficoll−Hypaque勾配分離(LSM;MP Biomedicals、オハイオ州ソロン)により単離した。
【0194】
DCでパルスしたpp65ペプチドで刺激したT細胞のGFPでの電気穿孔:
GFPをコードするmRNAを、以前に記述された(Zhaoら、Blood、102:4137(2003))とおりPGEM4Z/GFP/A64ベクター(E.Gilboa、デューク大学メディカルセンターより恵与された)から製造した。pp65ペプチドでパルスしたDCを使用して、上述されたとおり自己T細胞を刺激した。細胞を10U/mlのIL−2を含む培地中に保ちかつ37℃で7日間インキュベートした。電気穿孔のため、0.2mlの細胞懸濁液(5×10)を10μgのin vitro転写したGFP mRNAと混合した。該混合物を、電気穿孔装置を使用して0.4cmキュベット(EquiBio;PEQLAB Biotechnologie、独国エルランゲン)中300Vおよび150Mfで電気穿孔した。電気穿孔後に細胞を2%ヒトAB血清を補充した新鮮AIM−V培地中で培養しかつ一夜インキュベートした。電気穿孔の24時間後に細胞を収集し、そしてCD8およびHLA−A2四量体陽性について染色しかつフローサイトメトリーにより分析した。
【0195】
分取したT細胞の増殖:
上述されたと同一の刺激および電気穿孔法を使用して、GFP陽性および陰性のT細胞
をトランスフェクション24時間後にFACSVantage SEフローサイトメーター(BD Biosciences、カリフォルニア州サンノゼ)で分取した。細胞を100U/mlのIL−2を補充したAIM−V培地に入れて増殖を可能にした。生存細胞を、第0、7、10、14および17日に光学顕微鏡検査およびトリパンブルー色素排除を使用して計数した。
【0196】
抗CD3で活性化したT細胞でのGFP発現:
電気穿孔48〜96時間前の固定した抗CD3抗体でのT細胞の刺激は、フローサイトメトリーにより分析されるとおりT細胞の60〜70%で高レベルのGFP発現をもたらした(図10A)。
【0197】
GFPのRNA電気穿孔を使用するCMV抗原特異的CD8+ T細胞の選択:
効率的なRNAトランスフェクションのためのT細胞活性化の要件は、大量の刺激されたPBMC培養物内の抗原特異的T細胞の同定を見込むことができる。抗原特異的T細胞でのRNA電気穿孔の効率を測定するため、PBMCを、HLA−A2拘束性pp65ペプチドでパルスした自己DCで7日間刺激した。第7日の刺激した培養物をGFP RNAで電気穿孔し、そして、GFPの発現をHLA−A2 pp65四量体を使用して抗原特異的および非特異的T細胞で検査した。前方および側方散乱ゲーティングは、芽球様の形態の活性化されたリンパ球細胞を示した(図11、上左)。GFP発現は全CD8+ T細胞のおよそ25%で示され(図11、上右)、また、四量体分析は、発現がpp65特異的T細胞にほぼ独占的に制限されたことを示した(図11、下右)。GFPタンパク質を発現するT細胞のうち、97%が四量体染色によりpp65特異的と同定された。さらに、全四量体陽性CD8+ T細胞の98%以上がGFPタンパク質を発現し、RNAトランスフェクションが、抗原で刺激されたT細胞に制限されたことのみならず(優れた特異性を示す;97.40%)、しかしこの方法はまた関連するレスポンダーT細胞の全部を効率的に同定した(抗原特異的T細胞を同定するための高感度を示す;全部の関連細胞を同定するための89.77%の感受性)ことも示した。これらの結果は、93.10±5.87%という抗原特異的T細胞のトランスフェクションの平均特異度および86.45±8.45%のGFP発現による全部の四量体陽性T細胞を検出することの感受性を伴い、3回の反復実験で確認された。IL−2(10U/ml)中で培養した、DCで刺激したT細胞でのGFP発現は、5〜7日間持続することが見出され(図12A)、急速に増殖するT細胞中でタンパク質を一過性に発現する能力を示す。
【0198】
GFPのRNA電気穿孔を使用するCMV抗原特異的CD8+およびCD4+ T細胞の濃縮および増殖:
CMV抗原特異的CD4+およびCD8+T細胞のポリクローナル集団を同定かつ単離するため、GFP RNA電気穿孔を、完全長pp65抗原をコードするmRNAでトランスフェクトしたDCで刺激したT細胞で実施した。pp65 RNAでパルスしたDCでのin vitro刺激の11日後に、HLA−A2陽性患者(n=3)からのPBMCをGFP RNAで電気穿孔し、そしてRNA発現のキネティクスをフローサイトメトリーにより評価した(図12A)。遺伝子発現は48時間でピークに達することおよびトランスフェクション後第7日までに基礎まで減少することが見出された。従って、反復実験でT細胞をDC刺激後第11日に電気穿孔し、そして48時間後にGFP陽性(GFP+)およびGFP陰性(GFP−)T細胞をフローサイトメトリー細胞分取により分離した。分取した細胞を、CMV抗原特異的T細胞の濃縮について四量体分析およびサイトカインフローサイトメトリーにより分析した。等しい数のGFP+およびGFP−細胞をIL−2(100U/ml)を含有する培地に戻し入れ、そして増殖を分取後第7、10、14および17日に評価した。興味深いことに、GFP+ T細胞のみが、IL−2とともに培養した場合にさらなる増殖が可能であり、RNA電気穿孔が、RNAでパルスしたDCでの刺激後にin vitroでのさらなる増殖が可能なT細胞をアネルギー性すな
わち不活性化されたT細胞から効率的に分離し得ることを示す(図3B)。GFP発現が増殖するT細胞をアネルギー性細胞から単純に分離していたかどうかを決定するため、GFP+およびGFP−の分取した細胞を、臨床スケールのT細胞増殖(1000倍増殖)を14日以内に生成するのに適する迅速増殖プロトコル(REP)で、同種フィーダー細胞(一致させていない正常ドナーからのPBMC)、抗CD3および高用量IL−2(100U/ml)よりなるポリクローナル増殖プラットフォームでもまた刺激した。該REPプロトコルを使用して、GFP−およびGFP+双方のT細胞が効率的に増殖され、RNAトランスフェクションの能力は機能的T細胞を非機能的T細胞から分離しないが、しかしむしろ、抗原でパルスした樹状細胞との共培養の間に有糸分裂細胞周期に入るのに十分な活性化を受領したT細胞を同定することを示す。
【0199】
検査した3例の患者のサンプルの1種が、RNAでパルスしたDCでの刺激後にHLA−A2およびHLA−B7拘束性の双方のpp65特異的CD8+ T細胞の増殖を示した。RNA電気穿孔および分取後に、GFP+画分はHLA−A2拘束性T細胞の95%およびHLA−B7拘束性T細胞の98%を含有し、GFP+画分内の抗原特異的T細胞の20ないし50倍濃縮を表し、かつ、抗原特異的CD8+ T細胞のほぼ全部の効率的な同定および分離を示す(図12C)。同様の結果が、HLA−A2拘束性pp65 T細胞反応性のみを示した2例の他の患者で得られた。CMV抗原特異的CD4+ T細胞について濃縮する能力を決定するため、未刺激、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)で刺激、若しくはCMV pp65ペプチド混合物で刺激したT細胞画分を用いてサイトカインフローサイトメトリーを実施した。陽性対照(SEB刺激T細胞)は、CD4+
T細胞の13.69%がGFP陰性画分でIFN−γを分泌し、また、GFP+ CD4+ T細胞の22.49%がIFN−γを分泌したことを示し、双方の画分がスーパー抗原に応答することが可能な機能的エフェクターCD4+ T細胞を含有したことを確認した。しかしながら、CD4+ T細胞によるCMVペプチド混合物に応答してのIFN−γ分泌はGFP+画分に制限され、CD4+ T細胞の14.15%が、GFP−画分中のCD4+ T細胞の0.31%と比較してサイトカインを分泌した(図12D)。
【0200】
該結果は、pp65でパルスしたDCで刺激したT細胞の分離後のGFP+画分内での抗原特異的CD4+ T細胞の45倍濃縮を示し、また、濃縮のための、バルクPBMC培養物内の抗原特異的CD8+およびCD4+ T細胞の効果的同定方法を示した。さらに、抗原特異的CD8+およびCD4+ T細胞のポリクローナル集団を同定かつ濃縮する能力は、養子免疫療法での使用のための広範な抗原認識およびエフェクター機能をもつT細胞の集団の生成方法を提供する。
【実施例11】
【0201】
抗原特異的T細胞はin vitroおよびin vivoで受容体特異的ケモカインに移動するように改変し得る
樹状細胞生成、ペプチドおよびRNAでの抗原負荷、樹状細胞の成熟化、pp65ペプチド若しくはmRNAでの樹状細胞のパルス、Tリンパ球の供給源、ならびにT細胞の活性化を、DCでパルスしたpp65ペプチドで刺激したT細胞の電気穿孔にCXCR2 mRNAを使用したことを除き、上の実施例7で記述されたとおり実施した。CXCR2
mRNAはpcDNA3.1+ベクター(ミズーリS&T cDNA資源センター(Missouri S&T cDNA Resource Center)、ミズーリ科学技術大学(Missouri University of Science and Technology)、ミズーリ州ローラ)から製造し、そしてPsp73−sph/A64ベクター(またE.Gilboaにより恵与される)(Nairら、Blood、102:964(2003))中で発現させた。
【0202】
細胞移動アッセイのため、活性化したリンパ球(5×10細胞)を6ウェルフィルタ
ーチャンバープレート(Beckman Coulter、カリフォルニア州フラートン)の上チャンバーに三重で入れた。サイトカインを含有しない、または多様な濃度のIL−8、GRO−α若しくはUL146を含有する培地を下チャンバーに入れ、そして細胞を37℃で45分ないし1時間インキュベートした。下チャンバーの培地を収集し、そして細胞を遠心分離しかつ50mlの培地に再懸濁し、そしてトリパン色素排除により計数した。腹腔中へのin vivo移動のアッセイのため、未改変の若しくはCXCR2 RNAでトランスフェクトしたTリンパ球を、PBS中1μM(未トランスフェクト)および10μM(CXCR2 RNAでトランスフェクト)のカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)で5分間示差的に標識し、洗浄し、そしてレシピエントのNOD/SCIDマウス(Taconic、ニューヨーク州ハドソン)にマウスあたり10細胞で静脈内注入した。1mlのPBS中1マイクログラムのケモカイン(IL−8、UL146若しくはGRO−α)をT細胞の注入後24時間、8時間ごとに腹腔内注入した。マウスを殺し、3mlのPBSでの腹腔洗浄によりリンパ球を収集し、そして細胞を遠心分離により濃縮した。細胞をフィコエリトリン(PE)結合抗ヒトCD45(BD Biosciences)で染色し、そして未トランスフェクト(CFSElow)およびCXCR2 RNAでトランスフェクトした(CFSEhigh)細胞の蓄積をフローサイトメトリーにより評価した。T細胞集団の相対的蓄積を、ケモカイン注入に対する応答の比較のための基礎としてPBSで処置した動物での蓄積を使用することにより決定した。CNSへのin
vivo移動アッセイのため、5μlのPBS中1μgのUL146を、定位フレームを使用して全身麻酔下のマウスの右頭頂葉に注入し、また、5μlのPBSを左頭頂葉に注入した。CFSE(5μM)標識した未トランスフェクト若しくはCXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞を、マウスあたり10細胞でレシピエントマウスに注入した。6時間後にマウスを殺し、そして脳を収集しかつ右および左頭頂葉に切開した。単細胞消化物を、37℃で30分間の刻んだ組織のコラゲナーゼ消化(RPMI中1mg/ml)(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)により調製した。左および右頭頂葉の単細胞懸濁液を、注入したリンパ球の蓄積についてCFSE標識細胞のフローサイトメトリー分析により評価し;100,000事象を収集し、そして浸潤T細胞の総数をCFSE陽性細胞のフローサイトメトリー計数により決定した。
【0203】
抗原特異的T細胞でのCXCR2 mRNAの発現:
pp65でパルスしたDCで刺激したT細胞へのケモカイン受容体CXCR2 RNA電気穿孔後のCXCR2の発現によるT細胞の移動機能を調節する能力を検査した。CXCR2発現を、CXCR2特異的抗体およびフローサイトメトリーを使用して四量体陽性対四量体陰性CD8+ T細胞でモニターした。刺激されたCD8+ T細胞の10〜15%が基礎でそれらの表面上にCXCR2を発現し(図10B)、また、CXCR2 RNAトランスフェクション後に、CMV抗原特異的T細胞のおよそ50%がそれらの表面上にCXCR2を発現した(図13)。四量体陰性T細胞は対照的にバックグラウンド(10.9%)より上のCXCR2発現を表さず、RNA電気穿孔後の抗原特異的T細胞でのケモカイン受容体の選択的発現を示す。
【0204】
CXCR2 RNAで改変したT細胞のin vitroでの高められた走化性機能:
CXCR2特異的リガンドIL−8、GRO−αおよびUL146に応答してのトランスウェル移動アッセイで、未改変、GFP RNAでトランスフェクトした、およびCXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞の走化性機能もまた検査した(図14A−C)。CXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞は、未改変若しくはGFP RNAでトランスフェクトしたT細胞に比較して全3種のリガンドに対する用量応答性の高められた走化性応答を表した。多数の腫瘍内で高レベルで分泌されるIL−8、およびヒトサイトメガロウイルスにより産生されるケモカインかつCXCR2に限定的な唯一のリガンドUL146への走化性応答は、CXCR2で改変したT細胞で300〜500%以
上増大した。
【0205】
CXCR2 RNAで改変したT細胞のin vivoでの高められた移動:
活性化されたT細胞へのCXCR2 RNAのトランスフェクションがin vivoでT細胞移動を助長し得るかどうかを決定するため、CXCR2特異的ケモカインを注入したSCIDマウスの腹腔およびCNSへのRNAで改変したT細胞の移動を評価した。マウスに、示差的にCFSE標識した未トランスフェクト若しくはCXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞の注入後24時間、8時間ごとにケモカイン(1μg/ml)を腹腔内注入した。マウスを殺しかつ細胞を腹腔洗浄により収集し、そして、CXCR2でトランスフェクトしたおよび未トランスフェクトのT細胞の蓄積を、ヒトCD45+細胞でゲーティングすることおよびCFSEhigh細胞(CXCR2 RNAでトランスフェクト)に対するCFSElow(未トランスフェクト)の相対的蓄積を評価することによりフローサイトメトリーにより分析した。ケモカインを注入したマウスでのT細胞の相対的蓄積をPBSを注入したマウスと比較し、そして図15Aに示す。結果は、UL146およびIL−8に応答してのCXCR2 RNAでトランスフェクトした細胞の蓄積を示す。最大の走化性応答はUL146に対してであり、in vitro研究の知見と一致した。このin vivoアッセイではGRO−αに応答しての有意の蓄積は観察されなかった。
【0206】
CXCR2 RNA改変が、UL146に応答してのCNS内でのT細胞の蓄積につながり得たかどうかもまた検査した。免疫不全マウスに、定位フレームのガイド下に左前頭頂葉にPBSの、若しくは右前頭頂葉へのIL146(1μg)の単回注入を投与した。CFSE標識した未トランスフェクト若しくはCXCR2 RNAでトランスフェクトしたT細胞を静脈内注入し、そして注入6時間後に左および右大脳半球を収集し、単細胞消化物を調製し、そしてCFSE標識T細胞の検出をフローサイトメトリーにより評価した。図15Bに示されるとおり、CXCR2 RNAで改変したT細胞は、PBSを注入した半球に比較してUL146を注入した半球の高められた浸潤を表した一方、未トランスフェクトT細胞はいずれの半球の浸潤にも有意の差違を表さなかった。ありそうには頭蓋内注入により確立されるケモカインの一過性勾配に二次的な、CXCR2 RNAで改変したT細胞の後の時点での優先的蓄積は観察されなかった。
【0207】
これらの結果は、CXCR2 RNAで改変したT細胞がin vitroおよびin
vivoで高められた走化性機能を表すこと、ならびにT細胞のRNAに基づく改変を使用して抗原特異的T細胞を選択的に同定かつ改変し得ることを示した。
【0208】
従って、未トランスフェクトT細胞集団からトランスフェクトしたT細胞集団を同定かつ分離しならびにそれらの移動機能を改変するのに使用し得るメッセンジャーRNAコーディング遺伝子の電気穿孔を使用する遺伝子移入技術を利用した。GFPをマーカー遺伝子の一例として使用して、CMV抗原特異的T細胞がpp65でパルスしたDCで刺激した培養物から容易に同定かつ分離され、そしてそのRNAトランスフェクションを使用して抗原特異的CD4+およびCD8+双方のT細胞を同時に単離し得る。抗原特異的T細胞の核酸媒介性トランスフェクションは、目的のケモカイン受容体若しくは他の表面受容体の電気穿孔法およびトランスフェクトされた受容体の発現に基づく細胞の単離のような単一戦略により抗原特異的T細胞の純度を同時に高めかつそれらの機能を改変することが可能であることにおいて特定の利点を有する。CXCR2のようなT細胞の機能を調節し得るタンパク質をコードする遺伝子の発現は、例えば抗原特異的刺激プラットフォーム、次いでRNA電気穿孔を使用して、目的の特異性をもつT細胞に優先的に標的化し得る。ケモカイン受容体のような炎症、ウイルス感染若しくは腫瘍進行の部位へのT細胞の移動を高める遺伝子は、養子移入されるリンパ球の有効性をその発現が大きく高めうる一分類のタンパク質を表す。CXCR2は通常Tリンパ球の小画分でのみ発現され、そしてIL
−8、GRO−αおよびUL146への走化性を媒介し、後者はCMV抗原特異的ケモカインである。IL−8は、炎症の部位で増大されならびに神経膠腫および他の腫瘍内で劇的に高められることが示されている。GRO−αは、黒色腫、胃腸癌および悪性神経膠腫を包含する多数の悪性病変で発現が増大されている。神経膠腫でのその発現は腫瘍のグレードと相関し、侵襲性高悪性度病変を見つけ出すことにおいて有用なエフェクターGRO−αへの走化性機能をもつT細胞を与える。UL146はCXCR2に対する特異性をもつCMVにより合成されるケモカインである。UL146媒介性の化学誘引によるウイルス感染部位へのCXCR2を発現するCMV抗原特異的T細胞の局在化は、免疫療法の有効性を高め得る。
【0209】
加えて、これらの研究は少なくとも、ケモカイン受容体若しくは他の走化性受容体をコードするRNAを使用してT細胞を例えば治療目的の部位に局在化し得ることを示す。これは、CNSが循環する免疫細胞の制限された正常な輸送を表すため、脳腫瘍の標的化でとりわけ有用である。とりわけ、このアプローチは抗原特異的エフェクターT細胞を、優先的増殖のため腫瘍増殖、ウイルス感染の部位若しくはワクチン部位に向けることもまたできる。
【実施例12】
【0210】
定性的CMV検出
定性的CMV検出方法を開発するため、10種の異なるCMV遺伝子におよぶ29種の異なるPCRプライマー(表1)を、新たに診断されたGBMを伴う患者からの血液サンプルの拡大されたコホート(新たに診断されたGBMを伴う45例の患者からの223種の連続的血液サンプル)中のCMV DNAを検出することについて評価した。
【0211】
正常志願者(健康志願者(n=11)について年齢中央値42歳および外科的対照患者(n=6)について年齢46歳)、新たに診断されたGBMを伴う患者(年齢中央値52.5歳(n=45))ならびに同種骨髄移植を受ける患者(年齢中央値(n=5))からの末梢血を、デューク大学施設内審査委員会に従って収集した。全血を低温チューブに分注しかつ液体窒素中で急速凍結し、そしてDNA抽出まで−130℃で保存した。血漿および血清を、ヘパリン処理若しくはヘパリン未処理血液の2000gで20分間の丁寧な遠心分離により収集し、そして液体窒素中低温チューブ中で急速凍結しかつDNA抽出まで−130℃で保存した。腫瘍は、新たに診断されたGBMを伴う患者からのインフォームド・コンセント後の外科手術の間に収集し、刻み、そして液体窒素中で急速凍結した。試料をDNA抽出まで−130℃で保存した。DNAは、TissueDirectTM
Multiplex PCR系(GenScript Corporation、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用して、刻んだ組織10mgから抽出した。
【0212】
DNAを、TissueDirectTM Multiplex PCR系(GenScript Corporation、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用い、GBM腫瘍試料およびヒト血液または血漿若しくは血清から抽出した。陽性対照サンプルについて、血清陰性志願者からの全血、血清若しくは血漿に既知濃度のCMV定量済ウイルスDNA AD169株(Advanced Biotechnologies(カタログ番号08−925−000)、メリーランド州コロンビア)を添加した。TissueDirectTM Multiplexキットからの溶解溶液を、溶液TD−Aを溶液TD−Bと1:9の比で混合することにより作成した。DNA抽出のため、サンプル容量に対する溶解溶液の多様な比を評価し、そして50μLの溶解溶液TD−A/Bをサンプルあたり10μLの血液(血清若しくは血漿または腫瘍組織)に添加し、ピペットで出し入れすること若しくはチューブを叩く/回転することにより十分に混合し、そして短時間回転した。サンプルを、サンプルが溶解溶液により均一に溶解されるまで蒸発による喪失を予防するためにキャップをきつく締めたことを確認して、95℃で15〜30分間インキ
ュベートした。50μLの溶液TD−Cを各サンプルに添加し、十分に混合しかつ微小遠心機で高速で1分間回転しそして上清を収集した。11μLの5M NaAC若しくは3M NHAC(溶解したサンプル容量の10倍容量)および220μLの100%アルコール(EtOH、サンプル容量の2容量)をDNAを沈殿するため上清に添加した。DNAペレットをその後微小遠心機中最高速度(約14,000rpm)で最低10分間遠心分離し、そして70%EtOHで2回洗浄しかつ10μLのヌクレアーゼを含まない水若しくはTE緩衝液で再構成した。全DNA抽出は、PCR反応を実施した分子生物学実験室と別個の実験室で実施した。2〜5μLの各サンプル(2〜5μLの全血、血漿若しくは血清から抽出したDNAに同等)をCMV検出のためのPCR反応に添加した。
【0213】
定性的PCR検出は、製造元の説明書に従ってTissueDirectTM Multiplex PCR系(GenScript Corporation、ニュージャージー州ピスカタウェイ)およびゲル電気泳動による可視化を使用して実施した。10種のCMV遺伝子におよぶ29種の異なるプライマーを、刊行された文献から選択したか、若しくはVector NTI Advance 9ソフトウェア(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)で設計しかつIntegrated DNA Technologies(IDT、アイオワ州コーラルビル)により合成した。2〜5μLのサンプル(全血、血清若しくは血漿)または腫瘍組織から抽出したDNAを各50μLのPCR反応に慎重に添加した。CMV血清陰性ドナーからのサンプルおよびDNアーゼを含まない水をPCR陰性対照として同時に使用した。PCRは、94℃15分間、94℃40秒間、1分間アニーリング温度、および72℃1分間の40周期でiCycler(Bio−Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)で実施し、そして72℃10分間の伸長で終了した。PCR産物を、1×TBE(Bio−Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)中ポリアクリミドゲルのCriterion Precast 10%(Bio−Rad(カタログ番号345−0053)、カリフォルニア州ハーキュリーズ)での電気泳動により可視化し、そしてSYBR Gold核酸ゲル染料(Invitrogen(カタログ番号S11494)、カリフォルニア州カールズバッド)で染色した。CMV DNA検出の確認のため、数種の増幅されたDNAバンドを製造元のプロトコルに従ってQIAEXII(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)でゲルから単離し、そしてデューク大学総合癌センターDNA配列決定施設(Duke University Comprehensive Cancer Center DNA Sequencing Facility)で配列決定した。配列同一性を、NCBIデータベースのBLASTを使用して分析し、および試料のアライメント分析をVector NTI
Advance 10(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)を使用して実施した。
【0214】
表1に示されるとおり、GBMを伴う患者の末梢血サンプル中のCMVウイルス血症の検出率は、PCRアッセイに利用されたプライマーに依存して12%から73.5%までの範囲にわたった。gB遺伝子(例えばB−i1i2)内のプライマーはGBMを伴う患者の末梢血中のCMVの検出に最も感受性であることが見出された。対照レーン(水のみ)でウイルスDNAは検出されず、また、正常志願者の末梢血は数回の反復アッセイに際してウイルスDNAの検出について陰性であった(11名のCMV血清陽性志願者を包含する17サンプルのうち0;p=8.4×10−10;フィッシャーの正確確率検定)。223種の血液サンプルの拡大されたコホートでのCMVの検出率(223サンプルのうち164種の陽性)は、20種の陽性血液サンプルの16種という初期の知見と有意に異ならなかった(p=0.603;フィッシャーの正確確率検定)(データは示されない)。
【0215】
CMV検出率に対するアンプリコンの大きさの影響を評価するため、全プライマーについてのGBMを伴う患者の血液中のCMVの全体検出率を、SpearmanとPear
sonの相関係数分析によりアンプリコンの大きさ単独に基づき比較した。200bp若しくはそれ未満のアンプリコンを生じるよう設計されたプライマーは、CMVの検出のより低い閾値およびより信頼できるアンプリコンを有することもまた見出された(表1)。例えば、プライマーgB E1E2(アンプリコンの大きさ268)、gBi1i2(アンプリコンの大きさ144)およびgBi3i4(アンプリコンの大きさ122)は全部gB遺伝子内のDNAの同一領域にわたり、そしてプライマー組の間の距離によってのみ異なる。より小さいアンプリコンがより高い検出率を示したという観察が、他のCMV遺伝子中のプライマーで同様になされた。アンプリコンの大きさと検出率の間の逆相関が、評価された遺伝子に独立に検討された29種のプライマーについて示された。Pearson相関係数(r=−0.37622)およびSpearman相関係数(r=−0.41523は双方とも有意であった(それぞれp=0.0443および0.0251)。これらの結果は、GBMを伴う患者の末梢血中のCMV DNAの検出率におけるプライマー選択とアンプリコンの大きさの顕著な影響を示す。
【0216】
DNA精製を伴わないサンプルから直接のPCR増幅の影響を検討するため、BloodReadyTMキット(GenScript Corporation、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を、全血および腫瘍組織からのDNAの直接増幅についてTissueDirectTMキット(GenScript Corporation、ニュージャージー州ピスカタウェイ)と比較した。PCR増幅は、DNA抽出後の細胞ライセートから直接、若しくは細胞ライセート中内に存在する他の有機分子からのDNAの精製後に実施し得る。
【0217】
ヒト組織を手術直後に氷上に保存し、そして半時間未満以内に10mgの大きさに刻み、その後液体窒素中で急速凍結し、そして使用するまで−137℃で保存した。患者若しくは正常の血液をチューブあたり10μl分注し、そして液体窒素中で急速凍結しかつ使用するまで−137℃で保存した。
【0218】
ゲノムDNA調製:TissueDirectTM DNA Preparation
and Multiplex PCRキット(カタログ番号L00195;GenScript、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用した。すなわち、1.緩衝液TD−A、TD−BおよびTD−Cを室温で融解しかつ融解した後氷上に置き;2.各サンプルについて5μlのTD−Aおよび45μlのTD−B(1:9の比)を混合し、そして回転してサンプルあたり50μlの溶解溶液(TD−A/B)を生じ;3.50μlの溶解溶液TD−A/Bを各サンプル10mgの組織または10μlの血液(血清若しくは血漿)に添加し、そしてピペットで出し入れすること若しくはチューブを叩く/回転することにより十分に混合し;4.サンプルの完全な溶解が発生するまでサンプルを65℃で最低10分間インキュベートし;5.チューブをインキュベーションから取り出し、各チューブに50μlのTD−Cを添加しかつ十分に混合し;6.サンプルを約14,000rpmで最低1分間回転し;7.上清(ゲノムDNA抽出液)を4℃で保存するか、若しくはPCR増幅に進み;8.サンプルあたり20μlのPCRで1.5μlのゲノムDNA抽出液を使用した。
【0219】
PCR増幅:
A.定性的評価:PCR増幅は、TissueDirectTM DNA Preparation and Multiplex PCRキット(カタログ番号L00195;GenScript、ニュージャージー州ピスカタウェイ)若しくはHotMasterTM Taq PCR系(Brinkmann、ニュージャージー州ウェストベリー)を用いて実施した。
【0220】
前混合溶液を表4に示す。
【0221】
【表4】

【0222】
表4に示される18.5μlの前混合に1.5μlのゲノムDNA溶液を添加してチューブあたり20μlのPCR溶液を生じた。PCRチューブをBio−Rad iCycler(Bio−Rad、カリフォルニア州ミルピタス)に入れ、そして後に続くとおり、すなわち94℃5分間の1周期(変性);および、94℃40秒間(変性)/60℃40秒間(アニーリング)/72℃40秒間(伸長)の40周期/72℃10分間の1周期(伸長)循環した。
【0223】
B.定量的測定:iQ SYBR Green SuperMix(リアルタイムのための2×混合物、Bio−Radカタログ番号170−8880)若しくはiQ SuperMix(リアルタイムのための2×SuperMix、Bio−Radカタログ番号170−8860)を用いるリアルタイムPCR増幅:
前混合溶液を表5に示す。
【0224】
【表5】

【0225】
表5に示される前混合37μlに3μlのゲノムDNAを添加して40μlのPCR溶液を生じた。該PCR溶液をByroad iCyclerに入れ、そして後に続くとおり、すなわち95℃3分間の1周期(変性);および94℃30秒間(変性)/60℃30秒間(アニーリング)/72℃30秒間(伸長)の40周期/72℃10分間の1周期(伸長)循環した。
【0226】
増幅後、リアルタイムPCR産物を標準曲線で分析し、そしてデータをハウスキーピング遺伝子で正規化した。
【0227】
PCR産物検出:TBE中のCriterionTM Precast10%ゲル(26ウェル、15μl/ウェル)(カタログ番号345−0053;BioRad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を、本質的に後に続くとおり使用した。すなわち、1×TBE緩衝液を充填線まで電気泳動チャンバーに添加した。2.5μlのDNA負荷緩衝液をサンプルあたり10μlのPCR産物と混合して12.5μlのアリコートを生じた。1.5μlのEZ DNA分子量標準(100bp MW、BioRadカタログ番号170−8352、0.05μg/ml、500μl)をゲルの最初のウェルに添加した。PCR産物の12.5μlのアリコートをウェル2〜26に添加した。ゲルを120ボルト数で室温(RT)で2時間泳動した。電気泳動を終了し、そして各ゲルを25mlの1×TBE中染色緩衝液(SYBR Gold核酸ゲル染料、Invitrogen/Molecular Probeカタログ番号511494)中に移した。ゲルをRTで15分間染色した。異なる露出時間を使用してゲルの写真を撮影して記録しかつPCR産物を分析した。各正しい大きさのPCR産物をその後ゲルから切り出し、そしてDNAをQIAEX II(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)を使用して抽出した。抽出されたDNAをその後配列決定した。
【0228】
図16に示されるとおり、TissueDirectTMキットは全血および腫瘍サンプル双方から明瞭かつ明確な増幅可能なバンドを提供するために確実であった。また、小サンプル容量(10〜20μL)でTissueDirectTMキットを使用するPCR結果を、2種の商業的DNA精製キット、すなわち、DNA抽出により多量のサンプル容量(0.2mlないし1.0mlの全血、血清若しくは血漿)を必要とするDNeasy(R)(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)およびGentra(R)PureGene(R)(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)と比較した。より多量のサンプル容量からDNAを精製することに比較してTissueDirectTMキットを使用した場合にウイルスDNA検出の下限の差違は見出されず(示されない)、より単純かつより迅速な直接DNA抽出法が等しく効果的であり、そしてとりわけサンプル容量が制限する場合に好ましいとみられる。GBM患者血清からのHCMV gp64リアルタイムPCRの融解曲線グラフを図17に示し、また、GBM患者血清からのHCMV gp64リアルタイムPCRのPCR増幅周期グラフを図18に示す。
【0229】
さらに、組織溶解緩衝液に対するサンプルの比を、1:5、1:0および1:20のサンプル:緩衝液比を使用して比較し、そして34種の既知の陽性サンプルでgBプライマー組(B−i1i2;表1)を使用するCMV DNAのPCR検出により評価した。表6に示されるとおり、5に対し1の緩衝液に対するサンプルの比が適切な大きさ(122bp)の強い明瞭なバンドでの検出を示した一方、他の比はバンドシグナルの低下された強度を示したか若しくは非特異的バンドの検出をもたらしたかのいずれかであった。
【0230】
【表6】

【0231】
全部の場合で、優勢なバンドはgB遺伝子産物に対応した。さらに、SYBR Gold核酸ゲル染料(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)は、臭化エチジウム染色に比較してウイルスDNAバンドの高められた可視化を示した(示されない)。1:5という比を全部のその後の分析に選んた。
【0232】
本明細書に記述される単一段階プロトコル内のサンプルからのゲノムDNA抽出の間にウイルスDNAの損失は存在せず、そして、とりわけ、これはサンプル中の低レベルのウイルスDNAを検出してそれにより貴重な患者サンプルを節約するために非常に重要である。GenScript TissueDirectTM Multiplex PCR系を、ウイルスDNAが溶解緩衝液(TD−A/B)中に完全に放出されることを確実にするために全部の血液、血清および組織に使用した。従って、われわれは、ウイルスDNA損失を得ずかつPCRに対する阻害剤を制限することが可能であった。さらに、PCRプライマーを、高い遺伝子特異性をもつより小さいアンプリコン(200bp未満)を作成し、ならびに、高いヒトゲノム含量内のより効率的かつ感受性のPCRアンプリコンについてヒトゲノムへの架橋なくかつおよびPCRに対する阻害剤を除去するための精製がないように設計した。該PCR条件は非常に低レベルの標的DNAで遺伝子特異的産物を増幅した。検出感度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動後に臭化エチジウムで染色された慣習的アガロースゲルに比較して最低10倍増大した。SYBR Gold染色およびディジタル写真を全部一緒に最適化し、それによりウイルスDNA若しくはNEST PCRを検出するための遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションのために分離されたPCR産物をアガロースゲルからメンブレンに転写することを回避した。
【実施例13】
【0233】
定量的CMV検出
患者サンプル中のCMV DNAレベルを特異的に測定するための定量的PCRアッセイを提供するため、15種の遺伝子特異的プライマーおよびプローブの組合せ(表2)を、リアルタイムPCRを使用して、陽性対照標準としてCMV全ゲノムDNAを添加した全血中のCMV DNAコピー数を定量化することについて評価した。
【0234】
リアルタイムPCR検出は、以下の製造元の説明書に従うことによりTaqMan(R)Universal PCRマスターミックス(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)で実施した。5種のCMV遺伝子におよぶ15種の異なる遺伝子特異的プライマーおよびプローブ組を、実験室で、刊行された文献から選んだか若しくはPrimer 3.0ソフトウェア(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を用いて設計し、そしてIntegrated DNA Technologies(IDT、アイオワ州コーラルビル)により合成した。2〜5μlのサンプル(全血、血清若しくは血漿)からのDNAを各50μlのPCR反応に添加した。PCRは、指定されたアニーリング温度で、製造元の標準的プロトコルに従うことにより7900HT(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)で実施した。コピー数は、CMV Quantitated Viral DNAからの標準曲線に基づきSDS 2.3ソフトウェア(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)で分析した。
【0235】
表2に示されるとおり、gBプライマー/プローブ組gB21/22/23は、ゲノムCMV DNAの限界希釈を使用してのCMV標準の検出の最低の閾値、GBMを伴う患者からの末梢血試料で最高頻度のCMV DNA検出、ならびに、評価したプローブおよびプライマー組の最も早い対数増幅周期(Ct値)を表した。
【0236】
評価した15種のプライマー/プローブの組合せ間で有意に異なるCt値が存在し、C
t値は31.5から38.1までの範囲にわたった。これは、血液中の同一の濃度のCMV DNA標準の検出での多様なプライマー/プローブの感度の100倍を超える差違を示す。プライマー/プローブ組間の感度の差違は、限界濃度のCMV標準のより少なく感受性のプローブの組合せを使用して偽陰性を、およびGBMを伴う患者からの血液サンプル中でもまた偽陰性をもたらした(表2)。
【実施例14】
【0237】
同種骨髄移植を受ける患者におけるウイルス再活性化の検出
実施例12および13に記述される定性的および/若しくは定量的PCR法をさらに検査するため、同種骨髄移植(aBMT)を受けた後のウイルス再活性化について連続的にモニターされている患者でのCMVウイルス血症の検出を評価した。
【0238】
aBMT後に5例の患者から連続して得た30種の血清サンプルを、本発明の定性的および定量的PCRアッセイを使用して、ならびにCMV UL54被検体特異的試薬(ASR)試験(Roche Diagnositics、インジアナ州インジアナポリス)を使用してデューク臨床微生物学検査室でもまた評価した。該試験検査室はASR試験の結果に対し盲検化され、そして患者サンプルをゲル電気泳動分析後の定性的実験室PCRアッセイによりそれらが陽性であるか陰性であるかに関して評価し、また、血液1mlあたりのコピー数でのウイルス負荷量を定量的実験室PCRアッセイを使用して測定した。
【0239】
デューク大学メディカルセンターの臨床微生物学検査室により実施されたASR試験によるCMV DNAの検出、ならびに定性的および定量的PCR試験を表7に示す。
【0240】
【表7】

【0241】
陽性の結果はゲル電気泳動後のDNAバンドの単離およびDNA配列決定により確認し、われわれのPCR試験による擬陽性がないことを示した。分析後、ASR試験によるこれらの患者の臨床診断評価からの結果を盲検解除した。該PCR試験は、臨床微生物学検査室により実施されたRoche CMV UL54 ASR qPCR試験により陽性と思われるCMVウイルス血症の全症例で陽性であり、本発明のPCR試験による偽陰性がないことを示す。しかしながら、本発明のPCR試験は、臨床診断試験によるウイルス再活性化の検出前に数種の患者サンプルでウイルスDNAを検出した(表7)。いくつかの症例において、ウイルス血症は該臨床診断アッセイによる最初の陽性の結果の6週前に検出された。これらの結果は、増幅されたバンドのDNA配列決定により真の陽性と確認され、そしてNCBI DNAデータベースを使用してCMVと同定された。
【0242】
これらの結果は、本発明の実験室PCR法が、CMV DNAの検出について正確であ
りかつRoche UL54 ASPアッセイの検出の閾値より下であるaBMTを受ける患者におけるウイルス再活性化を検出することが可能であることを示す。これらの結果は、CMV DNAのより容易、迅速かつより感受性の検出アッセイ検出としてのこのアッセイの利用性を強調し、また、CMV疾患の危険にさらされている患者の予防的モニタリング、ならびに検出が論争の的になっている悪性病変およびアテローム硬化症のような疾患とのCMVの関連を研究するための本アッセイの使用を検証するためのさらなる研究を保証する。
【実施例15】
【0243】
GBM腫瘍試料からのgB(UL55)DNAの配列決定はウイルス遺伝子型を同定する
GBM腫瘍と関連するウイルス株の同一性を、gB(UL55)遺伝子の株可変領域のPCR増幅およびDNA配列決定により検討した。22種の外科的に切除されたGBM試料からのCMV gB DNAをgBi1i2プライマー組を使用して増幅し、DNAをゲル電気泳動により分析し、そして増幅されたバンドを切り出しかつDNA配列決定にかけた。DNA配列を配列同一性についてNCBI DNAデータベースを使用して検索し、そして全DNAがCMV gBに一致した。株の同一性およびgBファミリーをDNA配列同一性についてのNCBIデータベースの検査により決定した。最高程度の相同性をもつ株(1種若しくは複数)を表8に列挙する。
【0244】
【表8】

【0245】
GBM試料からのウイルスDNAの配列アライメントは、臨床単離物間の17%までのDNA配列変動を含むGBM試料からの独特なウイルス単離物を示した(図19;および
表8)。増幅されたウイルスDNA gB配列のNCBIデータベース内のgB遺伝子配列との比較もまた実施し、そしてgB遺伝子型に対する最高程度の相同性を表8に列挙する。1種以上のgB遺伝子型に対する同一程度の相同性が示された場合は、該ウイルス株の同一性を使用してgB遺伝子型を決定した。数種の単離物はCMVの1種以上の株との同一程度の相同性を有し、そして従って列挙した。GBM試料からの株は、CMVのMerlin(gBアイソタイプ1)、N1(gBアイソタイプ1)、Towne(gBアイソタイプ1)、AD169(gBアイソタイプ2)およびN12(gBアイソタイプ2)株と相同であることが見出され、別個のウイルス単離物が腫瘍試料中で検出されたこと、およびまたGBM腫瘍がCMVウイルスのgB1およびgB2ファミリー遺伝子型による感染に対し許容性であることも示す。観察されたgB遺伝子型の分布はB1 16/22(72.7%);gB 6/22(27.3%)であった。
【0246】
これらの結果は、少なくとも、GBM試料がgB1遺伝子型のCMV株によりより頻繁に感染されていることを示す。数種の患者腫瘍サンプルを、凍結保存した全血若しくは腫瘍試料からのDNA抽出、PCR増幅およびgBアンプリコンのDNA配列決定で開始して数か月間隔で再分析し、そして同一ウイルス配列が得られ、これらのサンプルでのウイルス同定の正確さを示す。
【0247】
CMVと多様な疾患状態の間の関連の一貫した検出は論争の的になっており、病変領域内のウイルスDNAおよびタンパク質の存在について報告する多様な研究室による対立する知見を伴う。上の実施例は、外科的に切除されたGBM試料中で検出するCMVの22種の臨床株のPCRに基づくアッセイおよび株の同一性を記述する。本発明のCMVの確実な検出のためのCMV PCR試験の開発はまた、とりわけ神経膠腫の発生および進行でCMVが演じている役割への研究も容易にする。GBM腫瘍は、B1タイプウイルスの優勢を伴いgB1およびgB2遺伝子型が一致する株により感染されていることが見出された。gB1遺伝子型は、米国での臨床的CMV感染症で見出される最も優勢なウイルスファミリーであるが、しかし、gB3若しくはgB4遺伝子型の最高程度の相同性が一致する臨床株を伴ういかなる検出も欠如していることは、悪性神経膠腫のCMV感染に対する制限された向性が存在しうることを示唆している。
【0248】
腫瘍試料内のウイルスDNAの検出は、ヒトパピローマウイルス関連の子宮頚癌の場合のような関連が十分に確立されている腫瘍中であってもささいな問題ではなく、そして、検出はしばしば標準的PCRアッセイによる感度の限界若しくはそれより下であり得る。上で示されたとおり、新たに診断されたGBMを伴う患者の血液および腫瘍中の低レベルのウイルスDNAの検出を高めた数種のパラメータが決定された。
【0249】
gB遺伝子内のDNAの同一領域におよびかつプライマー組間の距離によってのみ異なるプライマーが、ウイルスDNAの検出のアンプリコンの大きさに依存する頻度を示した。この領域内で最小のアンプリコンの大きさを有するgBi1i2およびgB−i3i4は最高検出率もまた示し、偽陰性の結果がより大きいDNAフラグメントの非効率的な増幅によることができ、およびウイルスDNAが制限しうる場合にサンプル内のウイルスDNAの非存在によらないことができることを示す。11種の異なる遺伝子におよぶ29種の独立に由来するCMVプライマー組の分析は、アンプリコンの大きさとCMV DNAの検出率の間の逆相関を示した。これらの結果は、制限する量のウイルスDNAの他者による偽陰性のPCR検出が、無効な抽出および増幅条件によることができ、および必ずしも決定的であると思われ得ないことを示唆している。さらに、抽出および増幅条件はウイルスDNA検出における偽陰性の結果を説明し得る。
【0250】
増幅された産物の大多数をDNA配列決定により確認し、そして全部の場合でCMV特異的DNAが増幅された。また、ウイルスDNAをサンプルからより効率的に放出するた
め、血液を液体窒素中で急速凍結し、その後、溶解緩衝液の添加後にTissueDirectTMキットによる65℃という示唆される温度より高温(95℃)でインキュベートした。DNAを濃縮しかつ粗サンプル抽出液中にしばしば存在するPCR阻害剤を排除するために、DNA抽出後にEtOH沈殿段階もまた組み込んだ。定性的PCRについては、ポリアクリルアミドゲルおよびSYBR Gold染色の組合せが、臭化エチジウムで染色した慣習的アガロースゲルに比較して最低10倍のPCR検出感度を増大させた。この増大された感度は、ネステッドPCR、若しくはブロットされたDNAの遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションのようなより強力なプロトコルの使用を伴わずに検出を可能にした。このアッセイは、サンプルの反復分析および制限しうる患者サンプルの保存を可能にする小容量の試料(10〜20μL)を利用することが可能であるという付加的な利点を有する。さらに、骨髄移植を受ける患者での評価は、該アッセイが現在利用可能な診断的PCR試験よりも免疫抑制患者でのウイルス再活性化のより早期の検出が可能であることを示した。
【0251】
CMVは、癌、アテローム硬化症および炎症性腸疾患を包含する多数の疾患過程で関連および可能な病因の役割を有する。これらの疾患と関連するCMVの検出は、しかしながら研究者の研究室間でかなり異なる。少量の血液および組織試料を利用し得る比較的単純かつ高められた増幅検出法は、こうした疾患過程とのCMVの関連のより確実な決定を見込むことができる。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイトメガロウイルス(CMV)抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法であって、該方法が
最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該製薬学的に許容できる組成物は被験体に投与された時に該細胞に対する免疫応答を誘発する、
上記方法。
【請求項2】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
製薬学的に許容できる組成物が、被験体におけるCMVと関連する癌を予防若しくは処置するのに十分な予防的若しくは治療的有効量で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
最低1種のCMV抗原が、キャプシドポリペプチド、外皮ポリペプチドおよびエンベロープポリペプチドよりなる群から選択されるポリペプチド若しくはその免疫原性フラグメントに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
最低1種のCMV抗原が、リンタンパク質unique long 83(ppUL83;pp65として知られる)、糖タンパク質UL55(gpUL55;gBとして知られる)、UL123前初期1(IE1)タンパク質、UL122 IE2タンパク質、UL111A(mtrIIとして知られる)、US28、ppUL32、ppUL65、ppUL80a、ppUL82、ppUL98a、ppUL99、gpUL4(gp48として知られる)、gpUL16、gpUL18(MHCとして知られる)、gpUL75(gHとして知られる)、gpUL100、gpUL110(gMとして知られる)、gpUL115(gLとして知られる)、pUL46、pUL48、pUL56、pUL86(MCPとして知られる)、糖タンパク質unique short 10(gpUS10)、gpUS11、糖タンパク質複合体II(gcII)、gp65およびgp93よりなる群から選択されるポリペプチド若しくはその免疫原性フラグメントに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該最低1種のCMV抗原をコードする核酸がRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該最低1種のCMV抗原をコードする核酸がcDNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該最低1種のCMV抗原が全CMV抗原、全不活化CMVウイルス若しくはそれらの画分である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
製薬学的に許容できる組成物が、最低1種のアジュバント若しくは該アジュバントをコードする核酸をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アジュバントが、GM−CSF、G−CSF、IL−2、IL−4、IL−7、IL−12、IL−15、IL−21、TNF−αおよびM−CSFよりなる群から選択されるサイトカインである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アジュバントが、フロイントの不完全アジュバント(モンタニドISA 51)若しくはコリネバクテリウム グラヌロサム(Corynebacterium granulosum)P40を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物であって、該製薬学的に許容できる組成物が、被験体に投与される場合にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する、上記組成物。
【請求項13】
生理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤をさらに含んでなる、請求項12に記載の製薬学的に許容できる組成物。
【請求項14】
アジュバントをさらに含んでなる、請求項12に記載の製薬学的に許容できる組成物。
【請求項15】
アジュバントがサイトカインである、請求項14に記載の製薬学的に許容できる組成物。
【請求項16】
アジュバントが、GM−CSF、G−CSF、IL−2、IL−4、IL−7、IL−12、IL−15、IL−21、TNF−αおよびM−CSFよりなる群から選択されるサイトカインである、請求項14に記載の製薬学的に許容できる組成物。
【請求項17】
アジュバントが、フロイントの不完全アジュバント(モンタニドISA 51)若しくはコリネバクテリウム グラヌロサム(Corynebacterium granulosum)P40を含んでなる、請求項14に記載の製薬学的に許容できる組成物。
【請求項18】
予防的若しくは治療的有効量の請求項12−17のいずれか1つに記載の製薬学的に許容できる組成物。
【請求項19】
CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法であって、該方法が、
有効量の抗原提示細胞、Tリンパ球若しくは双方を含んでなる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該抗原提示細胞およびTリンパ球は感作有効量の最低1種のCMV抗原でin vitroで感作されており、抗原提示細胞、Tリンパ球若しくは双方の有効量は該CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するのに十分である、
上記方法。
【請求項20】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該抗原提示細胞若しくはTリンパ球が自己である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
抗原提示細胞の作成方法であって、該方法が
最低1種のCMV抗原が該抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と抗原提示細胞を接触させることを含んでなり、該抗原提示細胞が該最低1種のCMV抗原を提示する、
上記方法。
【請求項23】
最低1種のCMV抗原が抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と接触された抗原提示細胞を含んでなる組成物。
【請求項24】
リンパ球の作成方法であって、該方法が
a)最低1種のCMV抗原が抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と
抗原提示細胞を接触させること;および
b)リンパ球を製造するのに十分な条件下で、段階a)の抗原提示細胞とリンパ球を接触させることを含んでなり、該リンパ球はCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発することが可能である、
上記方法。
【請求項25】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
リンパ球がTリンパ球である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発することが可能なTリンパ球を製造するのに十分な条件下で抗原提示細胞と接触されたTリンパ球を含んでなる組成物であって、該抗原提示細胞は、最低1種のCMV抗原が該抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下でin vitroで該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸と接触されている、上記組成物。
【請求項28】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
被験体での癌の処置若しくは重症度の低下方法であって、該方法が
請求項23若しくは28に記載の組成物の治療的若しくは予防的有効量を被験体に投与すること
を含んでなる、上記方法。
【請求項30】
CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法であって、該方法が、
最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸をex vivoで負荷された樹状細胞を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該製薬学的に許容できる組成物は被験体に投与された時にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する、
を含んでなる、上記方法。
【請求項31】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
CMV抗原を発現する細胞の処置方法であって、該方法は、治療的若しくは予防的有効量の製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与して該被験体での該細胞の増殖若しくは広がりを低減若しくは阻害することを含んでなり、該組成物は
a)最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードするポリヌクレオチド;
b)抗CMV抗体;
c)該最低1種のCMV抗原を提示する抗原提示細胞、該CMV抗原に対しプライミングされたリンパ球、若しくは双方;または
d)それらの組合せ
を含んでなる、上記方法。
【請求項33】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法であって、該方法が有効量の抗原提示細胞、リンパ球若しくは双方を含んでなる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該抗原提示細胞およびリンパ球は感作有効量の最低1種のCMV抗原でin vitroで感作されており、抗原提示細胞、リンパ球若しくは双方の有効量がCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発するのに十分である、
上記方法。
【請求項35】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
抗原提示細胞、リンパ球若しくは双方が自己である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
CMV抗原を発現する細胞の処置方法であって、該方法が、有効量の抗原提示細胞、リンパ球若しくは双方を含んでなる組成物を被験体に投与することを含んでなり、該抗原提示細胞は、最低1種のCMV抗原が該抗原提示細胞により提示されるのに十分な条件下で該最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸とin vitroで接触されており、該リンパ球が、該最低1種のCMV抗原を提示する抗原提示細胞と接触されている、上記方法。
【請求項38】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
リンパ球がTリンパ球である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
CMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答の被験体での誘発方法であって、該方法が、
抗CMV抗体を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を被験体に投与すること
を含んでなる、上記方法。
【請求項41】
細胞が、前癌細胞、癌細胞、若しくはCMVと関連する癌を発症させる細胞型を特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
抗体が毒性部分に結合され、それにより該抗体が細胞傷害性容量の該毒性部分を細胞に効果的に送達する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
毒性部分が放射性同位元素であり、それにより抗体が細胞傷害性線量を微粒子放射線として細胞に効果的に送達する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
最低1種のCMV抗原若しくは該最低1種のCMV抗原をコードする核酸を含んでなる製薬学的に許容できる組成物を含んでなるキットであって、該製薬学的に許容できる組成物は、被験体に投与される場合にCMV抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する、上記キット。
【請求項45】
アジュバントをさらに含んでなる、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
化学療法剤をさらに含んでなる、請求項44に記載のキット。
【請求項47】
被験体からの生物学的サンプルから核酸分子を増幅してアンプリコンを得ることをさらに含んでなる請求項1、19、30、32、34、37、40のいずれか1つに記載の方法であって、増幅することは第一のプライマーおよび第二のプライマーを含んでなる最低
一対のプライマーと該核酸分子を接触させることを含んでなり、該アンプリコンは長さが約1000塩基対(bp)若しくはそれ未満である、上記方法。
【請求項48】
アンプリコンが長さ200塩基対(bp)若しくはそれ未満である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
増幅する段階が、検出可能な標識を含んでなる核酸プローブを提供することをさらに含んでなる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
第一のプライマーが配列番号67に示されるところの第一のプライマー配列を含んでなり、第二のプライマーが配列番号68に示されるところの第二のプライマー配列を含んでなり、プローブが配列番号69に示されるところのプローブ配列を有する、請求項49に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−525191(P2011−525191A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514851(P2011−514851)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/047987
【国際公開番号】WO2009/155535
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510333128)デユーク・ユニバーシテイ (2)
【Fターム(参考)】