説明

免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物

本発明は、免疫調整活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性を有する化合物を提供し、ここで本発明の化合物は、ペプチドおよびペプチド模倣物を包含する。本発明はさらに、本発明の免疫調整性および/または抗炎症性および/または抗ウイルス性の化合物を用いる方法を提供する。特に本発明は、免疫障害または炎症応答またはウイルス感染に関連する疾患を阻害するに十分な量のG2チェックポイント抑止ペプチドまたはペプチド模倣物を投与することによって、これらの疾患を処置するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2003年6月25日に出願された、米国仮特許出願番号60/482,750に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、免疫調整活性、抗炎症性活性、および抗ウイルス活性、特に抗HIV活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物に関する。本発明は、免疫調整剤、抗炎症剤、および抗ウイルス剤、特に抗HIV剤としての、細胞周期G2チェックポイント抑止性(abrogatoring)ペプチドおよびペプチド模倣物の使用を含む。
【背景技術】
【0003】
(背景)
細胞周期G2チェックポイント抑止性ペプチドは、米国特許出願第10/347,145号(その全体の内容は、本明細書によって参考として援用される)に記載されるような、上記G2チェックポイントを選択的に抑止する化合物を同定するために、表現型を基礎にしたスクリーニングを用いて開発されている。種々のCBP化合物が、上記細胞周期G2チェックポイントに関与する種々のキナーゼのリン酸化活性を阻害し、そして細胞周期G2チェックポイントシグナル伝達経路、および種々のその他の細胞内シグナル伝達経路に関与する14−3−3タンパク質を結合することが示されている。G2細胞周期停止、キナーゼ、および14−3−3タンパク質は、免疫応答、炎症、およびウイルス感染を含む広範な種々のその他の生物学的プロセスに関与している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、免疫調整活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性を有する化合物を提供し、ここで、本発明の化合物は、ペプチドおよびペプチド模倣物を含む。本発明は、本発明の免疫調整性化合物および/または抗炎症性化合物および/または抗ウイルス性化合物を用いる方法をさらに提供する。
【0005】
本発明は、免疫障害または免疫応答により特徴付けられる疾患を、これら疾患を阻害するに十分な量のG2チェックポイント抑制性ペプチドまたはペプチド模倣物を投与することにより処置するための方法を提供する。本発明の化合物は、免疫障害または免疫応答疾患、例えば、炎症、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、またはアトピーによって特徴付けられる疾患を処置するために有用である。例えば、これら化合物は、炎症、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症またはアトピーを有するか、またはこれらを有するリスクにある、ヒトのような哺乳動物を含む、被験体を処置するために用いられ得る。
【0006】
本発明の方法は、ウイルス感染によって引き起こされる疾患を、上記疾患および/またはウイルス感染を阻害するに十分な量のG2チェックポイント抑止性ペプチドまたはペプチド模倣物を投与することにより処置する方法を提供する。本発明の化合物は、ウイルス感染、特にレンチウイルス、特にHIVにより引き起こされる疾患を処置するために有用である。例えば、これら化合物は、ウイルス感染、特にレンチウイルス感染、そしてより特にHIV感染、そしてなおより特にHIV AIDSを有するか、またはこれらを有する危険のある、ヒトのような哺乳動物を含む被験体を処置するために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症、アトピー、またはウイルス疾患を含むがこれらに制限されない、免疫障害、炎症性応答、および/またはウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用である、ペプチドおよびペプチド模倣物を含む化合物を提供する。本発明は、さらに、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症、アトピー、またはウイルス疾患を含むがこれらに制限されない、免疫障害、炎症性応答、および/またはウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために、本発明の化合物を用いる方法を提供する。
【0008】
本発明は、驚くべきことに、免疫調整活性、抗炎症性活性、および抗ウイルス活性を有するG2細胞周期チェックポイント抑制性化合物を提供する。本発明のG2チェックポイント抑止性CBP化合物は、特に表3に開示されるCBP化合物で提供され、ここで、このCBP化合物は、免疫調整活性、抗炎症性活性、および抗ウイルス活性を有する。1つの局面によれば、本発明のCBP化合物を用いて、免疫障害によって特徴付けられる疾患を処置するための方法が提供される。1つの実施形態では、CBP501(配列番号80)を用いて、免疫障害によって特徴付けられる疾患を処置するための方法が提供される。別の局面によれば、本発明のCBP化合物を用いて炎症性応答によって特徴付けられる疾患を処置するための方法が提供される。1つの実施形態では、CBP501(配列番号80)を用いて、炎症性応答によって特徴付けられる疾患を処置するための方法が提供される。別の局面によれば、本発明のCBP化合物を用いて、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するための方法が提供される。1つの実施形態では、化合物CBP501(配列番号80)を用いて、HIV複製を阻害するための方法が提供される。
【0009】
(定義)
以下は、本明細書中で用いられる略語である。
Cha:シクロヘキシル−アラニン
Phe−2,3,4,5,6−F:フェニルアラニン(Phe)のフェニル残基上の2位,3位,4位,5位,および6位にあるフッ素;PheF5
F:フッ素
Bpa:ベンゾイル−フェニルアラニン
Nal(2):2−ナフチル−アラニル
Ala(3−Bzt):(3−ベンゾチエニル)−アラニン
Nal(1):1−ナフチル−アラニル
Dph:ジフェニル−アラニン
Ala(tBu):t−ブチル−アラニル
Cys(tBu):t−ブチル−システイン
Phe−3,4,5−F:フェニルアラニン(Phe)のフェニル上の3位,4位および5位にあるフッ素
Phe−4CF:フェニルアラニン(Phe)のフェニル残基上の4位にあるCF
Phe−3Br、4Cl、5Br:フェニルアラニン(Phe)のフェニル上の3位にある臭素、4位にある塩素、および5位にある臭素
Phe−4Cl:フェニルアラニン(Phe)のフェニル上の4位の塩素
P1,P2,P3,P4,P5,P6など,またはP7,P8,P9,P10,P11,P12など:P1,P2,P3,P4,P5,P6など、またはP7,P8,P9,P10,P11,P12のそれぞれの連続配列。
X1,X2,X3,X4,X5,X6など,またはX7,X8,X9,X10,X11,X12,など:X1,X2,X3,X4,X5,X6など、またはX7,X8,X9,X10,X11,X12のそれぞれの連続配列。
【0010】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書において記載された方法および材料と類似するかまたは等価である方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、本発明の実施または試験のために適切な方法および材料は、本明細書に記載される。
【0011】
本明細書において引用される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。対立する場合、本明細書(定義を含む)が支配する。
【0012】
本明細書において使用される場合、単数の形態「a」、「or」、「the」および「is」は、文脈により明らかに他のように示されない限り、複数対象物を包含する。したがって、例えば、「化合物」への言及は、複数の化合物を包含し、そして「残基」もしくは「アミノ酸」への言及は、必要に応じて、1つ以上の残基および1つ以上のアミノ酸への言及を包含する。
【0013】
「疾患」または「障害」は、生物の正常機能の損傷をいう。本明細書で用いられる場合、疾患は、例えば、免疫障害、免疫応答、ウイルス感染、またはこれら状態の任意の組み合わせによって特徴付けられ得る。
【0014】
「免疫調整」は、免疫系の1つ以上の局面を変更(調節)する本発明の化合物の能力をいう。この免疫系は、生物を、感染から、および外来抗原から、リンパ球、マクロファージ、ならびに複数の細胞−細胞相互作用により、およびリンホカインと抗体とを含む可溶性因子を合成することにより互いを調節する免疫細胞に対するオートクライン効果と、パラクリン効果と、内分泌効果とを有する、その他の抗原提示細胞を含む細胞性機構および体液性機構によって保護するように機能する。
【0015】
「免疫障害」は、この免疫系の異常な機能をいう。免疫障害は、欠損性免疫応答(例えば、HIV AIDS)または過敏性免疫応答(例えば、アレルギー、自己免疫障害)によって引き起こされ得る。免疫障害は、免疫細胞の非制御増殖、外来抗原または外来生物に対する非制御応答、アレルギー、もしくは炎症性疾患、自己免疫性器官損傷および自己免疫性機能不全に至る宿主細胞に対して惹起されるか、異常免疫応答、または重篤感染および再発性感染に至る免疫応答の全身性抑制を生じ得る。
【0016】
「免疫障害」は、生得の免疫系(先天性免疫)、および適応性免疫系(後天性免疫)の障害をいうことが理解される。先天性免疫は、病原体の共通特徴を認識する不変レセプターに依存する防御の初期の系をいう。この先天性免疫系は、外来物質を阻害するための障壁および機構を、特に、マクロファージおよび好中球の作用により提供する。炎症性応答は、先天性免疫の一部と考えられている。この先天性免疫系は、適応性免疫応答を開始すること、そして適応性免疫応答によって標的とされた病原体を除去することに関与する。しかし、先天性免疫は、多くの病原体よって回避され得るか、または克服され得、そして免疫学的記憶には至らない。
【0017】
適応性免疫は、病原体を特異的に認識する能力をいい、そして抗原特異的レセプターを保持するリンパ球のクローン選択に基づく免疫学的記憶に起因して再感染に対する増大した保護を提供する。可変レセプター遺伝子セグメントのランダムな組換え、および異なる可変鎖の対合のプロセスは、各々が別個のレセプターを保持し、実質的に任意の抗原を認識し得るレセプターのレパートリーを形成するリンパ球の集団を生成する。リンパ球上のレセプターが、遍在性自己抗原に特異的である場合、その細胞は、その発生において抗原と初期に遭遇することにより正常に排除される。適応性免疫は、通常、先天性免疫応答が新たな感染を排除しないときに開始され、そして抗原および活性化抗原提示細胞が排出リンパ組織に送達される。再循環リンパ球が、末梢リンパ組織中でその特定的外来抗原に遭遇する場合、それは誘導されて増殖し、そしてその子孫が次いで感染性因子を排除し得るエフェクター細胞に分化する。これら増殖するリンパ球のサブセットが、それが再び遭遇される場合、同じ病原体に迅速に応答し得る記憶細胞に分化する。
【0018】
損傷された免疫系または免疫無防備状態の免疫系によって引き起こされる免疫障害は、身体を種々のウイルス、細菌、または真菌の日和見感染に対し無防備にする欠損免疫応答を生じ得る。免疫欠損の原因は、ウイルス、慢性の病気、または免疫系の病気のような種々の病気を含み得る。損傷した免疫系によって特徴付けられる疾患は、制限されないで、HIV AIDSおよび重篤な重症複合免疫不全(SCIDS)を含む。
【0019】
免疫障害は、免疫系の過剰応答によって引き起こされる。この過剰応答は、病原体に対する1つ以上の抗原、または免疫系によって通常無視され得る抗原への過剰応答であり得る。過敏性免疫系によって特徴付けられる疾患は、制限されないで、関節炎、アレルギー、喘息、花粉症、アトピー、および自己免疫疾患を含む。アナフィラキシーは、ショックに至り得る過剰な免疫系の応答をいうために用いられる用語である。
【0020】
「関節炎」は、特に、関節に対する摩耗および引き裂きによるか、もしくは結合組織に対する自己免疫攻撃、または、例えば、アジュバント誘導関節炎におけるようにアレルゲンに曝されることによって引き起こされ得る関節の炎症をいう。関節炎は、しばしば、関節膜における抗体−抗原複合体の堆積、および炎症性応答の活性化をともなうか、またはそれらによって開始される。しばしば、この免疫応答は、抗体よりも細胞によって開始され、ここで、これら細胞は、関節膜に堆積物を生成し得る。
【0021】
「アレルギー」は、通常無害の環境抗原(アレルゲン)に対する免疫応答をいい、この抗原の抗体との相互作用、またはこの抗原への先の曝露によって生成された初回抗原刺激T細胞から生じる。アレルギーは、免疫および炎症の局面によって特徴付けられる。なぜなら、このアレルギー反応は、マスト細胞上の高親和性IgEレセプターに結合した抗原特異的IgE抗体への抗原の結合により誘因されるからであり、これは、マスト細胞表面上のIgEの抗原誘導性架橋に至り、大量のヒスタミンのような炎症性メディエーターの放出を引き起こす。アレルギー応答における後の事象は、ロイコトリエン、サイトカイン、およびケモカインを含み、これらは、好酸球および好塩基球を増援かつ活性化する。この応答の後期相は、慢性アレルギー喘息で最も明りょうに観察される、エフェクターT細胞および好酸球の存在によって特徴付けられる慢性炎症に進化し得る。
【0022】
「喘息」は、通常、アレルゲンまたは汚染物よって誘因または悪化する、気管支に影響する慢性炎症性障害をいう。喘息は、気管支の収縮によって特徴付けられ、制限されないで、咳、息切れ、喘鳴、粘液の過剰生成、および胸部狭窄を含む症状を生成する。
【0023】
「アトピー」は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、および喘息のようないわゆる「古典的」アレルギー性疾患を発症する傾向をいい、そして一般のアレルゲンに応答性の免疫グロブリンE(IgE)を生成する能力をともなう。アトピーは、しばしば、制限されないで、湿疹、蕁麻疹、およびアトピー性皮膚炎を含む皮膚アレルギーによって特徴付けられる。アトピーは、吸入されたアレルゲン、食物アレルゲン、およびアレルゲンとの皮膚接触によって、引き起こされ得るか、または悪化し得るが、アトピーアレルギー反応は、アレルゲンとの接触が起こる場所以外の身体の領域で生じ得る。アトピーの強力な遺伝子(遺伝)要素が、大部分のアトピー性皮膚炎患者が湿疹、喘息、または枯草熱を患っている少なくとも1人の親類を有するという観察によって示唆されている。アトピーは、しばしば、「レアギン応答」と呼ばれる。
【0024】
「花粉症」、「枯草熱」、または「アレルギー性鼻炎」は、くしゃみ、かゆみ、および涙目、鼻水の出る鼻ならびに口蓋および喉の灼熱感によって特徴付けられるアレルギーをいう用語である。しばしば、季節により、花粉症は、花粉のように空中の物質に対するアレルギーにより引き起こされ、そしてこの疾患は、個体がアレルギーであるその他のアレルゲンに曝されることによりこの個体を悪化させ得る。
【0025】
「自己免疫」は、自己抗原に向かう適応性免疫応答をいう。「自己免疫疾患」は、免疫系が、通常は無視し得る「自己」抗原に反応し、正常身体組織の破壊に至る状態をいう。自己免疫障害は、少なくとも部分的には、アレルギーに類似の過敏性反応によって引き起こされ得ると考えられている。なぜなら、両方の事例では、免疫系は、通常は無視され得る物質に反応するからである。自己免疫疾患は、制限されないで、橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、I型(インシュリン依存性)糖尿病、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン病、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、およびグレーヴズ病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄多発神経障害、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素疾患、CREST症候群、クローン病、ドゴー症候群、皮膚筋炎、皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、本態性混合性クリオグロブリン血症、線維筋痛症−線維筋炎、ギヤンバレー症候群、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAネフロパシー、若年性関節炎、メニエール病、混合性結合組織疾患、尋常性天疱瘡、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レーノー現象、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、白斑、およびヴェーゲナー肉芽腫症を含む。
【0026】
「膠原病」または「結合組織疾患」は、自己抗体が身体全体に見出されるコラーゲンを攻撃する慢性の炎症性自己免疫障害をいう。結合組織は、2つの主要な構造タンパク質分子であるコラーゲンとエラスチンから構成され;膠原病では、コラーゲンに対して惹起された自己抗体が、生じる炎症に起因して、コラーゲンおよびエラスチンの両方を損傷する。膠原病は、制限されないで、エリテマトーデス、シェーグレン病、強皮症、皮膚筋炎、および結節性多発性動脈炎を含む。リウマチ様膠原病は、結合組織に影響する疾患をいい、「リウマチ様」症状は、筋肉硬直、関節および関連構造中の苦痛および痛みを含む。
【0027】
「炎症応答」または「炎症」とは、物理的損傷、感染、または局所的免疫応答によって開始される、流体、血漿タンパク質、および白血球の局所的蓄積に関する一般的用語である。炎症は、多くの疾患および障害の一局面であり、その疾患および障害としては、免疫障害に関連する疾患、ウイルス感染に関連する疾患、関節炎に関連する疾患、自己免疫疾患、コラーゲン疾患、アレルギーに関連する疾患、喘息に関連する疾患、花粉症に関連する疾患、およびアトピーに関連する疾患が挙げられるが、これらに限定されない。炎症は、発赤(赤熱状態)、疼痛(痛み)、発熱(熱)、および腫脹(腫大)によって特徴付けられ、局所的血流増加をもたらす局所血管の変化を反映し、この局所的血流増加は、発熱および発赤、周囲組織への白血球の移動(管外遊出)、ならびに血液からの流体およびタンパク質の脱出および炎症組織におけるそれらの局所的蓄積(これは、腫脹および疼痛をもたらす)、ならびに宿主防御を助ける血漿タンパク質の蓄積をもたらす。これらの変化は、活性化マクロファージにより産生されるサイトカインにより開始される。炎症は、しばしば、(例えば、損傷心筋における)損傷組織による実質組織の置換に起因する機能喪失、疼痛に起因して反射的に使用しないこと、および例えば、急性炎症の間に関節が腫脹する場合、または炎症関節にまたがる瘢痕組織が慢性炎症病変へと成熟するにつれて収縮する場合に、機能に対する機械的制約を、伴う。
【0028】
「抗炎症」とは、本発明の化合物が炎症応答を予防もしくは低減する能力、または本発明の化合物が炎症の症状(例えば、発赤、疼痛、発熱、もしくは腫脹)を減少することにより炎症を沈静化する能力を指す。
【0029】
炎症応答は、損傷(例えば、皮膚に対する損傷、筋肉に対する損傷、腱に対する損傷、または神経に対する損傷)によって誘発され得る。炎症応答はまた、免疫応答の一部として誘発され得る。炎症応答はまた、感染によって誘発され得、その感染において、病原体認識および組織損傷が、感染部位における炎症応答を開始し得る。一般的に、感染因子は、先天性免疫を活性化することによって炎症応答を誘発する。炎症は、さらなるエフェクター分子および細胞を送達して、前線マクロファージによる侵入微生物の死滅を増大させることによって、感染蔓延を防ぐ物理的障壁を提供することによって、および損傷組織の修復を促進することによって、感染と闘う。「炎症性障害」とは、時には、あらゆる原因に起因する慢性炎症を指すために使用される。
【0030】
皮膚の炎症により特徴付けられる(しばしば、皮膚発疹により特徴付けられる)疾患としては、皮膚炎、アトピー性皮膚炎(湿疹、アトピー)、接触性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、全身性剥脱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、薬物湿疹、多形性紅斑、結節性紅斑、環状肉芽腫、ウルシ皮膚炎(poison ivy;poiso oak)、中毒性表皮壊死症、および酒さが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
炎症は、「膨疹潮赤反応」を生じる皮膚に対する物理的損傷から生じ得、これは、即時の血管拡張に起因する損傷部位にある印、その後の蔓延する血管拡張に起因する拡大する赤色輪(発赤)、および損傷部位にある一時的に透過性である後毛細管小静脈からの流体および血漿タンパク質の喪失により生じる皮膚隆起(腫脹、膨疹)によって特徴付けられる。
【0032】
身体の一部の反復移動により引き起こされる筋肉、腱、もしくは神経に対する種々の損傷により誘発される炎症は、一般的に、反復運動過多損傷(RSI)と呼ばれる。RSIにより誘発される炎症によって特徴付けられる疾患としては、滑液包炎、手根管症候群、デュプイトラン拘縮、外上顆炎(例えば、「テニス肘」)、結節腫(通常は手首の腱鞘において形成される嚢の炎症)、回旋筋腱板症候群、腱炎(例えば、アキレス腱の炎症)、腱滑膜炎、および「ばね指」(腱腫脹を伴う指または親指の腱鞘の炎症)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
用語「免疫障害」および「炎症応答」は、排他的ではないことが、理解される。多くの免疫障害は、急性(短期)炎症または慢性(長期)炎症を含むことが、理解される。炎症は、免疫局面および非免疫局面を有し得ることもまた、理解される。特定の炎症応答における免疫細胞および非免疫細胞の役割は、炎症応答の型により変化し得、そして炎症応答の経過に間に変化し得る。炎症の免疫局面および炎症に関連する疾患の免疫局面は、先天性免疫および養子免疫の両方に関し得る。炎症に関連する特定の疾患は、免疫細胞相互作用および非免疫細胞相互作用(例えば、腸炎症(Fiocchiら、1997、Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 273:G769〜G775)、肺炎(肺炎症)、または糸球体腎炎)を示す。
【0034】
多くの疾患は、免疫障害および炎症応答の両方によって特徴付けられ、その結果、別個の用語「免疫障害」または「炎症応答」の使用は、特定の疾患を処置することに関する本発明の化合物の使用または活性の範囲を限定することは、意図されないことが、さらに理解される。例えば、関節炎は、関節の炎症によって特徴付けられる免疫障害であると考えられるが、関節炎は同様に、関節組織に対する免疫攻撃により特徴付けられる炎症障害であると考えられる。従って、本発明の化合物(例えば、CBP501)は、関節炎の動物モデルにおいて観察される炎症を減少させるという知見は、上記化合物の観察される活性を抗炎症活性に限定はしない。免疫局面および炎症局面の両方を有する疾患において、炎症に対する本発明の化合物の効果を単に測定することは、その化合物は、同じ疾患において免疫調整活性も有し得るという可能性を排除しない。同様に、免疫局面および炎症局面の両方を有する疾患において、免疫応答に対する本発明の化合物の効果を単に測定することは、その化合物は、同じ疾患において抗炎症活性も有し得るという可能性を排除しない。
【0035】
「ウイルス感染」とは、本明細書中で使用される場合、生物に対して病原性であるウイルスによるその生物の感染を指す。感染は、ウイルスが宿主生物の組織に侵入し、その後細胞に侵入し、その後、そのウイルスが、その宿主の細胞機構を使用して、複数の機能(ウイルス酵素の合成、ウイルス核酸の複製、ウイルスパッケージングの合成、および合成したウイルスの放出を含み得る)を実施した後に確立されることが、理解される。
【0036】
「抗ウイルス」とは、本発明の化合物が、ウイルス感染を予防、減少、または排除する能力を指す。例えば、本発明の抗ウイルス化合物は、細胞に対するウイルス付着、またはウイルス侵入、またはウイルス脱殻、またはウイルス酵素の合成、またはウイルス複製、またはウイルス放出を防止し得る。特に、本発明の抗ウイルス化合物は、ウイルスが感染した細胞において、そのウイルスの複製を防止し得るかまたは阻害し得る。本発明の抗ウイルス化合物は、細胞に対するウイルス付着、またはウイルス侵入、またはウイルス脱殻、またはウイルス酵素の合成、またはウイルス複製、またはウイルス放出を、そのウイルス感染から何の深刻な疾患(生物の正常な機能の損傷)も生じない程度まで、減少(妨害)し得る。本発明の抗ウイルス化合物は、ウイルスを死滅または減弱させてそのウイルスが感染も複製もしないようにすることによって、そのウイルス感染を排除し得る。本発明の抗ウイルス化合物は、免疫系がウイルスを死滅させるように刺激する免疫調整効果を介して、そのウイルス感染を排除し得る。
【0037】
「ウイルス疾患」、「ウイルス感染により特徴付けられる疾患」および「ウイルス感染により引き起こされる疾患」とは、ウイルス感染の結果としての生物の正常な機能の障害を指す。ウイルス感染により特徴付けられる疾患は、免疫応答および炎症のような、他の局面を含み得る。本発明の化合物は、RNAウイルス(レトロウイルスを含む)またはDNAウイルスによるウイルス感染に関連する疾患を処置するために有用である。レトロウイルスは、逆転写酵素を発現する任意のウイルスを包含し、そのウイルスとしては、HIV−1、HIV−2、HTLV−I、HTLV−II、FeLV、FIV、SIV、AMV、MMTV、およびMoMuLVが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
ウイルス感染に関連する疾患は、ヘルペスウイルス、アレナウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、ブンヤウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、ハンタウイルス、ロタウイルス、アルボウイルス、エプスタイン−バーウイルス、サイトメガロウイルス、乳児サイトメガロウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、およびレンチウイルスの感染によって、特に、HIVの感染によって、引き起こされ得る。ウイルス感染に関連する疾患(ウイルス性疾患)としては、伝染性難属腫ウイルス、HTLV、HTLV−1、HIV/AIDS、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ヘルペス、陰部ヘルペス、ウイルス性赤痢、感冒、インフルエンザ、麻疹、風疹、鶏痘、耳下腺炎、ポリオ、狂犬病、単核細胞症、エボラ、RSウイルス(RSV)、デング熱、黄熱病、ラッサ熱、ウイルス性髄膜炎、西ナイル熱、パラインフルエンザ、鶏痘、痘瘡、デング出血熱、進行性多病巣性白質脳障害、ウイルス性胃腸炎、急性虫垂炎、A型肝炎、B型肝炎、慢性B型肝炎、C型肝炎、慢性C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、X型肝炎、単純ヘルペス、眼部疱疹(ocular herpes)、髄膜炎、脳炎、帯状ヘルペス、肺炎、脳炎、カリフォルニア血清群ウイルス、セントルイス脳炎、リフトバレー熱、手足口病、ヘンドラウイルス、日本脳炎、リンパ球性脈絡髄膜炎、小児バラ疹、サシチョウバエ熱、SARS、いぼ、ネコ引っかき病、伝染性紅斑、伝染性膿痂疹、およびバラ色ひこう疹が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
用語「炎症性応答」および「ウイルス感染」および「免疫障害」は排他的ではないことが理解される。ウイルス感染に関連する多くの疾患は炎症性応答を含み、ここで、これらの炎症性応答は、通常、侵入するウイルスによって誘発される先天性免疫系の一部である。炎症はまた、ウイルス感染から生じる細胞および組織への物理的(機械的)損傷によって誘発され得る。炎症によって特徴付けられるウイルス感染の例は、例えば、アルボウイルス、ヘルペスウイルス、および麻疹ウイルスによるウイルス感染後の脳の炎症である脳炎(ワクチンが一般的であった前);感染後の髄膜(脳および脊髄を取り囲む膜)の炎症である髄膜炎;脳および髄膜の両方の感染および炎症である、髄膜脳炎;脳および脊髄の感染および炎症である脳脊髄炎;ウイルス感染によって引き起こされる胃および腸の炎症であるウイルス性胃腸炎;ウイルス感染よって引き起こされる肝臓の炎症であるウイルス性肝炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で用いられる場合、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、交換可能に使用され、そしてこれらの用語は、アミド結合または非アミド等価物によって共有結合された2つ以上のアミノ酸をいう。本発明のペプチドは、任意の長さであり得る。このペプチドは、例えば、約5〜100またはそれ以上の残基、例えば、5〜12、12〜15、15〜18、18〜25、25〜50、50〜75、75〜100、またはそれ以上の長さを有し得る。本発明のペプチドは、l−異性体およびd−異性体、ならびにl−異性体とd−異性体との組み合わせを含む。このペプチドは、代表的にはタンパク質の翻訳後プロセシングに関係する修飾、例えば、環化(例えば、ジスルフィド結合またはアミド結合)、リン酸化、グリコシル化、カルボキシル化、ユビキチン化、ミリスチル化または脂質化を含み得る。
【0041】
本明細書において開示されるペプチドは、アミノ酸の構造的および機能的なアナログ(例えば、模倣物が、本発明の化合物の1つ以上の機能もしくは活性(例えば、G2チェックポイント抑止活性、ならびに検出可能な免疫調整活性および/または抗炎症性活性および/または抗ウイルス活性)を有する限り、合成もしくは非天然のアミノ酸もしくはアミノ酸アナログを有するペプチド模倣物)を有する化合物をさらに含む。従って、本発明の化合物は、「模倣物」形態および「ペプチド模倣物」形態を含む。
【0042】
本明細書において使用される場合、「模倣物」および「ペプチド模倣物」は、合成化合物をいい、本発明のペプチドと実質的に同じ構造的特徴および/または機能的特徴を有する。模倣物は、合成アナログ、非天然アミノ酸アナログから完全に構成され得るか、または1つ以上の天然ペプチドアミノ酸および1つ以上の非天然アミノ酸アナログを含むキメラ分子であり得る。模倣物はまた、任意の数の天然のアミノ酸保存的置換を、そのような置換が模倣物の活性を破壊しない限り、組み込み得る。保存的改変体である本発明のポリペプチドについて、慣用的な試験が、模倣物が必要な活性(例えば、G2チェックポイント抑止活性、ならびに検出可能な免疫調整活性および/または抗炎症性活性および/または抗ウイルス活性)を有するか否かを決定するために使用され得る。
【0043】
ペプチド模倣物組成物は、非天然構造的成分の任意の組み合わせを含み得、これは、代表的には、以下の3つの構造群から選択される:a)天然アミド結合(「ペプチド結合」)連結以外の残基連結基;b)天然に存在するアミノ酸残基に代わる非天然残基;あるいはc)二次構造模倣物を誘導(すなわち、二次構造(例えば、βターン、γターン、βシート、αヘリックスのコンフォメーションなどを誘導または安定化する)残基。例えば、ポリペプチドは、残基の1つ以上が、アミド結合以外の化学的手段によって結合された場合に、模倣物として特徴付けされ得る。個々のペプチド模倣物残基は、アミド結合、非天然の化学結合および非アミド化学結合、他の化学結合またはカップリング手段(例えば、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、二官能性マレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC))によって連結され得る。アミド結合に代わる連結基としては、例えば、ケトメチレン(例えば、−C(=O)−NH−に代わるC(=O)−CH−)、アミノメチレン(CH−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH−O)、チオエーテル(CH−S)、テトラゾール(CN−)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、もしくはエステル(例えば、Spatola(1983)Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins、Vol.7、pp267−357、「Peptide and Backbone Modifications」、Marcel Decker,NYを参照のこと)。
【0044】
考察されるように、ペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基の代わりに1つ以上の非天然残基を含むことにより模倣物として特徴付けられ得る。非天然の残基は、当該分野において公知である。天然のアミノ酸残基の模倣物として有用な、非天然残基の特定の非限定的な例は、芳香族アミノ酸の模倣物であり、これらとしては、例えば、以下が挙げられる:D−ナフチルアラニンまたはL−ナフチルアラニン(naphylalanine);D−フェニルグリシンまたはL−フェニルグリシン;D−2チエニルアラニンまたはL−2チエニルアラニン;D−1−ピレニルアラニン、D−2−ピレニルアラニン、D−3−ピレニルアラニン、D−4−ピレニルアラニン、もしくはL−1−ピレニルアラニン、L−2−ピレニルアラニン、L−3−ピレニルアラニン、L−4−ピレニルアラニン;D−3チエニルアラニンまたはL−3チエニルアラニン;D−(2−ピリジニル)−アラニンまたはL−(2−ピリジニル)−アラニン;D−(3−ピリジニル)−アラニンまたはL−(3−ピリジニル)−アラニン;D−(2−ピラジニル)−アラニンまたはL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−(4−イソプロピル)−フェニルグリシンまたはL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロ−フェニルアラニン;D−p−ビフェニルフェニルアラニンまたはL−p−ビフェニルフェニルアラニン;K−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニンまたはL−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニン;D−2−インドール(アルキル)アラニンまたはL−2−インドール(アルキル)アラニン;ならびにD−アルキルアラニンまたはL−アルキルアラニン(alkylainine)、ここでアルキルは、置換または非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、iso−ブチル、sec−ブチル、iso−ペンチル、または非酸性アミノ酸であり得る。天然の芳香環の代わりに使用され得る非天然のアミノ酸の芳香環としては、例えば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジルの芳香環が挙げられる。
【0045】
酸性アミノ酸の模倣物は、非カルボキシレートアミノ酸;(ホスホノ)8アラニン;および硫酸化スレオニンによる置換により生成され得るが、負電荷は維持している。カルボキシル側鎖基(例えば、アスパルチルもしくはグルタミル)はまた、カルボジイミド(R’−N−C−N−R’)(例えば、1−シクロヘキシル−3(2−モルホリニル−(4−エチル)カルボジイミドもしくは1−エチル−3(4−アゾニア−4,4−ジメトールペンチル(dimetholpentyl))カルボジイミド)との反応によって選択的に修飾され得る。アスパルチル基もしくはグルタミル基はまた、アンモニアイオンとの反応によってアスパラギニル基およびグルタミニル基へと転換され得る。
【0046】
塩基性アミノ酸の模倣物は、例えば、リジンおよびアルギニンに加えて、アミノ酸オルニチン、シトルリン、または(グアニジノ)−酢酸、もしくは(グアニジド)アルキル−酢酸との置換により生成され得る。ここで、アルキルは、置換または非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、iso−ブチル、sec−イソチル、iso−ペンチル、もしくは非酸性アミノ酸であり得る。ニトリル誘導体(例えば、COOHの代わりにCN−部分を含む)は、アスパラギンもしくはグルタミンで置換され得る。アスパラギニル残基およびグルタミニル残基は、対応するアスパラチル残基もしくはグルタミル残基へと脱アミノ化され得る。
【0047】
アルギニン模倣物は、必要に応じてアルカリ条件下で、1つ以上の試薬(例えば、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、もしくはニンヒドリンが挙げられる)と、アルギニルとを反応させることによって生成され得る。チロシン残基模倣物は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと、チロシルとを反応させることによって生成され得る。N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンが、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体をそれぞれ形成するために使用され得る。
【0048】
リジン模倣物は、リジニルと、コハク酸無水物もしくは他のカルボン酸無水物とを反応させることによって生成され得(そして、アミノ末端残基は変更され得)る。リジンおよび他のα−アミノ含有残基模倣物はまた、イミドエステル(例えば、メチルピコリニミデート、ピリドキサルリン酸、ピリドキサル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソウレア、2,4,ペンタンジオン、およびトランスアミダーゼ触媒反応物)と、グリコキシレートとの反応によって生成され得る。
【0049】
メチオニン模倣物は、メチオニンスルホキシドとの反応により生成され得る。プロリン模倣物としては、例えば、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、3−ヒドロキシプロリンもしくは4−ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、3−メチルプロリンもしくは4−メチルプロリン、および3,3,−ジメチルプロリンが挙げられる。ヒスチジン模倣物は、ジエチルプロカルボネートもしくはパラ−ブロモフェンアシルブロミドと、ヒスチジルとの反応によって生成され得る。他の模倣物としては、例えば、プロリンおよびリジンの水酸化によって生成される模倣物;セリル残基もしくはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化によって生成される模倣物;リジン、アルギニンおよびヒスチジンのα−アミノ基のメチル化によって生成される模倣物;N末端アミンのアセチル化によって生成される模倣物;主鎖アミド残基のメチレン化もしくはNメチルアミノ酸との置換によって生成される模倣物;またはC末端カルボキシル基のアミド化によって生成される模倣物が挙げられる。
【0050】
1つ以上の残基はまた、反対の鏡像異性のアミノ酸(もしくはペプチド模倣物残基)により置換され得る。従って、L−立体配座で天然に存在する任意のアミノ酸(これはまた、化学的実体の構造によって、RもしくはSとも称され得る)は、同じアミノ酸もしくは模倣物であるが反対の鏡像異性(D−アミノ酸と称される)で置換され得るが、これは、さらにR形態もしくはS形態と称され得る。
【0051】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、さらに、本明細書中に記載される配列の修飾された形態を含む。ただし、この修飾された形態は、非修飾ペプチドもしくは非修飾ペプチド模倣物または参照ペプチドもしくは参照ペプチド模倣物の機能の少なくとも一部分を保持する。例えば、修飾されたペプチドもしくは修飾されたペプチド模倣物は、検出可能なG2チェックポイント抑止活性、および炎症、関節炎、自己免疫疾患、コラーゲン疾患、アレルギー、喘息、花粉症またはアトピーに対する活性を保持するが、参照ペプチドもしくは参照ペプチド模倣物と比べて増加もしくは減少した、G2抑止活性または炎症に対する活性、または炎症、関節炎、自己免疫疾患、コラーゲン疾患、アレルギー、喘息、花粉症またはアトピーに対する活性を有し得る。別の例として、修飾されたペプチドおよび修飾されたペプチド模倣物は、検出可能なG2チェックポイント抑止活性、およびウイルス(特にHIV)感染に対する活性を保持し得るが、参照ペプチドもしくは参照ペプチド模倣物と比べて増加もしくは減少した、G2抑止活性、およびウイルス(特にHIV)感染に対する活性を有し得る。
【0052】
修飾されたペプチドおよび修飾されたペプチド模倣物は、別の残基で置換された1つ以上のアミノ酸残基、配列に付加された1つ以上のアミノ酸残基、もしくは配列から欠失した1つ以上のアミノ酸残基を有し得る。1実施形態において、修飾されたペプチドもしくは修飾されたペプチド模倣物は、1つ以上(例えば、1〜3残基、3〜5残基、5〜10残基もしくはそれ以上の残基)のアミノ酸の置換、付加もしくは欠失を有する。1つの局面において、置換は、参照アミノ酸もしくは参照模倣物(置換されているアミノ酸もしくは模倣物)と類似する空間をその側鎖が占めるアミノ酸もしくは模倣物での置換である。なお別の局面において、上記置換は、ヒト残基と構造的に類似する非ヒトアミノ酸での置換である。特定の局面において、この置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0053】
本明細書において使用される場合、用語「類似する空間」は、参照部分に大きさが類似する三次元空間を占領する化学的部分を意味する。代表的には、類似する空間を占める部分は、参照部分に大きさが類似する。「類似する側鎖空間を占める」アミノ酸もしくは模倣物は、参照アミノ酸もしくは参照模倣物に大きさが類似する三次元空間を占領する側鎖を有する。d−(Phe−2,3,4,5,6−F)、l−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)、l−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)についての具体的な例は、(lもしくはd−Phe−2R1,3R2,4R3,5R4,6R5)であり、ここで、R1、R2、R3、R4、R5は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、水素、酸化水素であるか、もしくは存在しない。低分子(例えば、約1Åのサイズを有するフッ素)について、類似の空間は、部分が存在しないことであり得る。
【0054】
用語「保存的置換」は、生物的に類似する残基、化学的に類似する残基もしくは構造的に類似する残基による1つのアミノ酸の置換を意味する。生物学的に類似とは、その置換が生物学的活性(例えば、G2チェックポイント抑止活性、ならびに炎症、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症、アトピー、またはウイルス疾患(特に、HIV)に対する活性)と適合することを意味する。構造的に類似とは、アミノ酸が、類似の長さを有する側鎖(例えば、アラニン、グリシンおよびセリン)を有するか、または類似の大きさを有することを意味する。化学的に類似とは、残基が同じ電荷を有するか、または親水性もしくは疎水性の両方であることを意味する。具体的な例としては、別の残基の、1親水性残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニン)への置換、別の残基の、1極性残基への置換(例えば、リジンのアルギニンへの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への置換、アスパラギンのグルタミンへの置換、スレオニンのセリンへの置換など)が挙げられる。
【0055】
それゆえ、本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、表3に示されるペプチド配列およびペプチド模倣配列と同一でない配列を有するペプチドおよびペプチド模倣物を含む。一実施形態において、ペプチドまたはペプチド模倣物は、表3に示される配列と、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一である配列を有する。一局面において、この同一性は、配列の規定された領域(例えば、アミノ末端またはカルボキシ末端の3〜5残基)にわたる。
【0056】
本発明の化合物(ペプチドおよびペプチド模倣物を含む)は、当該分野で公知の任意の方法を使用して生成および単離され得る。ペプチドは、当該分野で公知の化学的方法(例えば、Caruthers(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.215−223;Horn(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.225−232;およびBanga,A.K.,Therapeutic Peptides and Proteins,Formulation,Processing and Delivery Systems(1995)Technomic Publishing Co.,Lancaster,PAを参照のこと)を用いて、全体的もしくは部分的に合成され得る。ペプチド合成は、種々の固相技術(例えば、Roberge(1995)Science 269:202;Merrifield(1997)Methods Enzymol.289:3−13を参照のこと)を使用して実行され得、そして、例えば、製造業者の指示に従って、ABI 431 A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を用いることにより、自動合成が達成され得る。
【0057】
個々の合成残基およびポリペプチド組み込み模倣物は、当該分野で公知の種々の手順および方法論を用いて合成され得る(例えば、Organic Syntheses Collective Volumes,Gilmanら(編)John Wiley&Sons,Inc.,NYを参照のこと)。ペプチドおよびペプチド模倣物はまた、コンビナトリアル方法論を用いて合成され得る。ペプチドおよびペプチド模倣物のライブラリーを生成するための技術は、周知であり、これらの技術としては、例えば、マルチピン、ティーバッグ(tea bag)、およびスプリット−連結−混合技術が挙げられる(例えば、al−Obeidi(1998)Mol.Bioteclinol.9:205−223;Hruby(1997)Curr.Opin.Chem.Biol.1:114−119;Ostergaard(1997)Mol.Divers.3:17−27;およびOstresh(1996)Methods Enzymol.267:220−234を参照のこと)。改変ペプチドは、化学修飾法によってさらに生成され得る(例えば、Belousov(1997)Nucleic Acids Res.25:3440−3444;Frenkel(1995)Free Radic.Biol.Med.19:373−380;ならびにBlommers(1994)Biochemistry 33:7886−7896を参照のこと)。
【0058】
(本発明の化合物)
一実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6(配列番号1)、またはP6,P5,P4,P3,P2,P1(配列番号2);ここでP1は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、類似する側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Tyr、d−もしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Tyr、d−もしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−もしくはl−Trpが、P4における一例である)である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNOであるか、任意のアミノ酸+d−もしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)であるか、任意のアミノ酸+d−もしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であるか、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−もしくはl−11−アミノウンデカン酸、d−もしくはl−10−アミノデカン酸、d−もしくはl−9−アミノノナン酸、d−もしくはl−8−アミノカプリル酸、d−もしくはl−7−アミノヘプタン酸、d−もしくはl−6−アミノカプロン酸、または1つ以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造である。
【0059】
別の実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0060】
【化1】

【0061】
ここで、P1は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Tyr、d−もしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;P2は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、または、類似する側鎖空間を有するアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Tyr、d−もしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−もしくはl−Trpが、P4における一例である)である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、任意のアミノ酸+d−もしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸+d−もしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であり、そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、残りは、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−もしくはl−11−アミノウンデカン酸、d−もしくはl−10−アミノデカン酸、d−もしくはl−9−アミノノナン酸、d−もしくはl−8−アミノカプリル酸、d−もしくはl−7−アミノヘプタン酸、d−もしくはl−6−アミノカプロン酸、または、1つ以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造である。
【0062】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0063】
【化2】

【0064】
ここで、P1は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を有するアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Tyr、d−もしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;P2は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、類似する側鎖空間を有するアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Tyr、d−もしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−もしくはl−Trpが、P4における一例である)である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNOであるか、任意のアミノ酸+d−もしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)であるか、任意のアミノ酸+d−もしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であるか、任意のアミノ酸であるか、または存在せず;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、残りは、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−もしくはl−アミノウンデカン酸、またはd−もしくはl−8−アミノカプリル酸である。
【0065】
なおさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6(配列番号21)またはP6,P5,P4,P3,P2,P1(配列番号22);ここで、P1は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、d−もしくはl−Tyr、またはd−もしくはl−Pheであり;P2は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、d−もしくはl−Tyr、またはd−もしくはl−Pheであり;P3は、d−もしくはl−セリン、d−もしくはl−アルギニン、d−もしくはl−システイン、d−もしくはl−プロリン、またはd−もしくはl−アスパラギンであり;P4は、d−もしくはl−トリプトファンであり、そしてP5は、d−もしくはl−セリン、d−もしくはl−アルギニン、またはd−もしくはl−アスパラギンであるか;あるいは、P3、P4、P5は、単一のd−もしくはl−アミノウンデカン酸、または単一のd−もしくはl−8−アミノカプリル酸であり;P6は、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、(d−Ser−d−Tyr)または(d−Ser−d−Phe)である。
【0066】
なお別の実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0067】
【化3】

【0068】
ここで、P1は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、d−もしくはl−Tyr、またはd−もしくはl−Pheであり;P2は、d−もしくはl−Cha、d−もしくはl−Nal(2)、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、d−もしくはl−Tyr、またはd−もしくはl−Pheであり;P3は、d−もしくはl−セリン、d−もしくはl−アルギニン、d−もしくはl−システイン、d−もしくはl−プロリン、またはd−もしくはl−アスパラギンであり;P4は、d−もしくはl−トリプトファンであり;P5は、d−もしくはl−セリン、d−もしくはl−アルギニン、またはd−もしくはl−アスパラギンであるか;あるいは、P3、P4、P5は、単一のd−もしくはl−アミノウンデカン酸、または単一のd−もしくはl−8−アミノカプリル酸であり;P6は、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、(d−Ser−d−Tyr)または(d−Ser−d−Phe)であり;そして、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、d−もしくはl−Argまたはd−もしくはl−Lysであり、残りは、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0070】
【化4】

【0071】
ここでP1は、d−もしくはl−Cha、またはd−もしくはl−Nal(2)であり;P2は、d−もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−もしくはl−(Phe−4CF)であり;そして、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、d−もしくはl−Argであり、残りは、任意のアミノ酸であるか、または存在せず;P3は、d−もしくはl−セリンであり;P4は、d−もしくはl−トリプトファンであり;P5は、d−もしくはl−セリン、またはd−もしくはl−アスパラギンであり;P6は、d−もしくはl−Bpa、d−もしくはl−PheNO、(d−もしくはl−Ser−d−もしくはl−Tyr)、または(d−もしくはl−Ser−d−もしくはl−Phe)である。
【0072】
なおさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6(配列番号39)、またはP6,P5,P4,P3,P2,P1(配列番号40);ここで、P1は、d−もしくはl−Cha、またはd−もしくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−もしくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d−もしくはl−Phe−3,4,5F)または(d−もしくはl−Phe−4CF)であり;P3は、d−もしくはl−Serであり;P4は、d−もしくはl−Trpであり;P5は、d−もしくはl−Serであり;P6は、d−もしくはl−Bpa、または(d−もしくはl−Ser−d−もしくはl−Tyr)である。
【0073】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0074】
【化5】

【0075】
ここでP1は、d−もしくはl−Cha、またはd−もしくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−もしくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d−もしくはl−Phe−3,4,5F)または(d−もしくはl−Phe−4CF)であり;P3は、任意のアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Ser、またはd−もしくはl−Pro)であり;P4は、d−もしくはl−Trpであり;P5は、任意のアミノ酸(例えば、d−もしくはl−Ser)であり;P7は、d−もしくはl−Argであり;P8は、d−もしくはl−Argであり;P9は、d−もしくはl−Argであり;P10は、d−もしくはl−Gln、またはd−もしくはl−Argであり;P11は、d−もしくはl−Argであり;P12は、d−もしくはl−Argであり;P6は、d−もしくはl−Bpa、または(d−もしくはl−Ser−d−もしくはl−Tyr)である。
【0076】
なお別の実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0077】
【化6】

【0078】
ここで、P1は、d−もしくはl−Cha、まはd−もしくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−もしくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)であり;P3は、d−もしくはl−Serであり;P4は、d−もしくはl−Trpであり;P5は、d−もしくはl−Serであり;P7は、d−もしくはl−Argであり;P8は、d−もしくはl−Argであり;P9は、d−もしくはl−Argであり;P10は、d−もしくはl−Gln、またはd−もしくはl−Argであり;P11は、d−もしくはl−Argであり;P12は、d−もしくはl−Argであり;P6は、d−もしくはl−Bpa、または(d−もしくはl−Ser−d−もしくはl−Tyr)である。
【0079】
なおさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0080】
【化7】

【0081】
なおさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0082】
【化8】

【0083】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:X1011(配列番号137)、ここで、Xは、L、F、W、M、R、I、V、Y、Kであるか、もしくは存在せず、Xは、Y、F、A、W、SまたはTであり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、S、A、N、HもしくはPであり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であるか、もしくは存在せず、X10は、N、G、L、S、M、P、N、Aであるか、もしくは存在せず、そしてX11は、Lであるか、もしくは存在しない。種々の局面において、Xは、L、F、W、M、Rであるか、もしくは存在せず、またはXは、L、FもしくはWであり;Xは、Y、F、Aであり;Xは、R、T、S、H、D、G、A、L、K、A、N、QもしくはPであるか、Xは、R、T、S、H、D、G、AもしくはLであるか、またはXは、R、T、SもしくはHであり;Xは、S、T、G、A、L、R、I、M、V、Pであるか、または、Xは、S、T、G、A、L、Rであるか、またはXは、Sであり;Xは、P、A、G、SもしくはTであるか、またはXは、Pであり;Xは、S、N、H、P、A、GもしくはTであるか、Xは、S、NもしくはHであるか、Xは、Sであり;Xは、M、F、Y、D、E、N、Q、H、G、I、L、V、A、P、NもしくはWであるか、またはXは、M、F、Y、D、E、N、QもしくはHであるか、またはXは、M、F、Y、QもしくはHであり;Xは、P、F、Y、W、L、G、M、D、E、N、Q、H、I、V、AもしくはPであるか、またはXは、P、F、YもしくはWであるか、またはXは、Yであり、Xは、E、G、L、S、M、P、N、D、A、T、Pであるか、もしくは存在せず、そしてX10は、存在せず;X11は、存在しない。なおさらなる実施形態において、Xは、Yであり、Xは、Pであり、そしてX10は、Nであり;Xは、Rであり、Xは、Pであり、そしてX11は、Lであり;そしてXは、Sであり、Xは、Pであり、Xは、Sであり、Xは、Eであり、X10は、Nであり、そしてX11は、Lである。
【0084】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0085】
【化9】

【0086】
代替的な実施形態において、本発明の化合物は、以下の連続するペプチド配列またはペプチド模倣配列を含む:
【0087】
【化10】

【0088】
【化11】

【0089】
【化12】

【0090】
本発明の化合物は、必要に応じて細胞膜の横断を助けるために細胞膜浸透配列を含む。この細胞膜浸透配列は、TATタンパク質変換ドメインのようなポリペプチド(例えば、配列YGRKKRRQRRR(配列番号252))を含み得る。本発明の化合物は、必要に応じて、細胞膜の横断を助けるために、ポリ−lys配列および/またはポリ−arg配列を含む。特定の実施形態において、本発明の化合物は、細胞への侵入(entry)を助ける、ポリ−lys配列および/またはポリ−arg配列を有さない。細胞膜の横断を助けるポリ−lys/arg配列なしの最小の配列の例示的な実施形態としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
【0091】
【化13】

【0092】
特定の実施形態において、Cys残基は必要に応じて環化される。
【0093】
(免疫調節活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性を有するCBP化合物)
本発明の一局面によれば、免疫調節活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性を有するCBP化合物が、本明細書において提供される。CBP G2チェックポイント抑止化合物は、キナーゼおよび/または14−3−3タンパク質を阻害することが公知であり、そしてさらに、キナーゼおよび14−3−3タンパク質は、特定のシグナル伝達経路に関与することが公知である。驚くべきことに、本明細書中で開示されるように、G2チェックポイント抑止活性を有するCBP化合物はまた、免疫調節活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性も有する。本発明による免疫調節活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性を有するCBP化合物としては、以下のCBP化合物が挙げられるがこれらに限定されない:
【0094】
【化14】

【0095】
上記のCBP化合物の各々の配列を、表3に開示する。
【0096】
本発明の特定の局面によれば、免疫調節活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性を有するG2チェックポイント抑止CBP化合物は、整列した領域Aおよび領域Bを含み、以下の構造のいずれかを形成する:P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11(配列番号253)、またはP6,P7,P8,P9,P10,P11,P1,P2,P3,P4,P5(配列番号253)、またはP1,P2,P3,P4,P5(配列番号255)、ここで、P1およびP5は、BpaもしくはTyrもしくはPheもしくは(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、もしくはTyrTyrもしくはPhePhe、または、1つまたは2つのベンゼン様側鎖構造もしくはシクロヘキサン様側鎖構造で占有される類似する側鎖空間を占有する部分であって、ここで、この部分は、1つもしくは2つのアミノ酸、またはアミノ酸の構造的/機能的アナログであり得、このアナログとしては、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸模倣物、およびキメラ分子が挙げられる。P2位およびP4位は、任意のアミノ酸であり、そして、P3は、Trp、または、Trp側鎖により占有されるものと類似する側鎖空間を占有する任意の部分である。P6位、P7位、P8位、P9位、P10位、P11位は、P2および/またはP3がArgでない場合は、5つ以上の位置においてArgを含み、そして、任意の非Arg位置は、任意のアミノ酸であっても、存在しなくてもよい。P2および/またはP3がArgである場合、P6〜P11は、5つ未満のArgを含み得る。
【0097】
本発明は、上記のP1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11(配列番号253)またはP6,P7,P8,P9,P10,P11,P1,P2,P3,P4,P5(配列番号253)の構造を有し、化合物CBP501(配列番号80)と類似するG2チェックポイント抑止活性を有するCBP化合物を提供し、ここで、これらのCBP化合物としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
【0098】
【化15】

【0099】
従って、本明細書において提供される免疫調節活性および/または抗炎症活性および/または抗ウイルス活性を有するCBP化合物としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
【0100】
【化16】

【0101】
本発明の別の局面によれば、P6〜P11は、CBP化合物を細胞内に導入する別の方法が提供される場合(例えば、CBP化合物が、リポソームキャリアによって細胞内に導入される場合)は、必要とされない。従って、本発明は、構造P1,P2,P3,P4,P5(配列番号255)を有する化合物を提供し、ここで、P1およびP5は、BpaもしくはTyrもしくはPheもしくは(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、もしくはTyrTyrもしくはPhePhe、または、1つまたは2つのベンゼン様側鎖構造もしくはシクロヘキサン様側鎖構造で占有される類似する側鎖空間を占有する部分であって、ここで、この部分は、1つもしくは2つのアミノ酸、またはアミノ酸の構造的/機能的アナログであり得、このアナログとしては、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸模倣物、およびキメラ分子が挙げられる。P2位およびP4位は、任意のアミノ酸であり、そして、P3は、Trp、または、Trp側鎖により占有されるものと類似する側鎖空間を占有する任意の部分である。
【0102】
(免疫調節活性および抗炎症活性を有する化合物CBP501)
一実施形態において、CBP501(配列番号80)は、本明細書中に提供される、免疫調節化合物および/または抗炎症化合物である。CBP501(配列番号80)のアミノ酸配列は、表3に開示される。細胞周期のG2チェックポイント抑止ペプチドCBP501は、米国出願第10/347,145号に開示されるように、選択的なG2チェックポイント抑止活性を有する化合物を効率的に同定する表現型ベースのスクリーニングを使用して開発された。米国出願第10/347,145号において以前に開示されたように、CBP501は、細胞周期G2チェックポイントに関与する種々のキナーゼ(例えば、マイトジェン活性化キナーゼp38)のリン酸化活性を阻害し、そして、CBP501は、14−3−3タンパク質に結合する。本明細書中に開示される本発明において、CBP501は、免疫障害または炎症応答により特徴付けられる疾患に対するその効果について試験され、そして、アレルギーおよび関節炎の動物モデルからの結果は、CBP501が、免疫調節活性および抗炎症活性を有することを実証した。
【0103】
一実施形態において、CBP501は、抗アレルギー活性を有し、アレルギー性障害を処置するために使用され得る。以下の実施例1および表1に示すように、CBP501はラットの受身皮膚アナフィラキシー(PCA)モデルにおいて抗アレルギー活性を有することが見出され、このモデルにおいて、20mg/kg、10mg/kgおよび5mg/kgのCBP501の腹腔内投与が、それぞれ、アレルギー反応を93%、93%および87%阻害した。CBP501の有効性は、同じ実験系での抗ヒスタミン薬であるシプロヘプタジン−HClの有効性と等しいか、またはそれ以上であった。
【0104】
以下の実施例2および表2に示すように、CBP501は、ラットのアジュバント誘発性関節炎において抗炎症活性を有することが見出され、このラットにおいて、単回用量として10mg/kg、または連続5日の5mg/kgの1日1回の腹腔内投与が、アジュバント誘発性関節炎の急性期および遅延期の両方において、有意な抗炎症活性を生じた。CBP501の有効性は、同じ実験系でのヒドロコルチゾン(5日にわたって毎日30mg/kg)の有効性と等しいか、またはそれ以上であった。
【0105】
(免疫調整活性および/または抗炎症活性を有するCBP化合物:CBP500、CBP504、CBP505、CBP506、CBP510、CBP511、CBP512、およびCBP603)
ペプチドCBP501(配列番号80)と同様のG2チェックポイント抑止活性を有するCBP化合物としては、CBP500(配列番号124)、CBP504(配列番号127)、CBP505(配列番号128)、CBP506(配列番号129)、CBP510(配列番号93)、CBP511(配列番号94)、CBP512(配列番号95)、およびCBP603(配列番号89)が挙げられるが、これらに限定されない。前述のCBP化合物の全ての配列は、表3に開示されている。一実施形態において、CBP500(配列番号124)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。別の実施形態において、CBP504(配列番号127)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。別の実施形態において、CBP505(配列番号128)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。別の実施形態において、CBP506(配列番号129)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。別の実施形態において、CBP510(配列番号93)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。別の実施形態において、CBP511(配列番号94)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。別の実施形態において、CBP512(配列番号95)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。別の実施形態において、CBP603(配列番号89)は、免疫障害もしくは炎症性応答によって特徴付けられる疾患の処置のために有用な、免疫調整性および/または抗炎症性の化合物である。
【0106】
さらなるG2チェックポイント抑止化合物が、本明細書に記載されるように試験されてそれらの抗炎症性活性および/または免疫調整性活性を決定され得、そして化合物は、各々の活性に関して有効性を評価され得る。一実施形態において、表3に開示される例示的ペプチドおよびペプチド模倣物の抗炎症性活性および/または免疫調整性活性は、例えば、実施例5に記載されるように評価され、そして薬物設計を含む種々の用途に関して、構造−活性の関係性が明らかにされ得る。
【0107】
(抗ウイルス性活性を有する化合物CBP501)
本発明の一局面によれば、本発明の化合物は、本明細書において提供されるような、抗ウイルス化性を有するCBP化合物である。米国特許出願番号10/347,145に開示されるように、CBP化合物は、細胞周期G2チェックポイントに関与する種々のキナーゼのリン酸化活性を阻害し得る。CBP化合物は、14−3−3タンパク質を結合し、これらのタンパク質もまた、細胞周期G2チェックポイントにシグナル伝達経路に関与する。I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)、HIV−2、サル免疫不全ウイルスおよび他のレンチウイルス類は、細胞周期G2を停止させ得るウイルスタンパク質vprもしくは関連するタンパク質を有する(Jowettら、J.Virol.69:6304−13(1995);Roshalら、J.Biol.Chem.May 8、2003;Stivahtisら、J Virol 71:4331−8(1997))。Vprは、リンパ球およびマクロファージにおけるHIV−1の複製に必要とされる(Campbell and Hirsch、J.Virol、71:5593−602(1997);Subbramanianら、J.Exp.Med.,187:1103−11(1998))。
【0108】
本発明の特定の局面によると、化合物CBP501(配列番号80)は、本明細書において提供されるような抗ウイルス化合物である。実施例3および4に示されるように、CBP501は、HIV−1のインビトロでの複製を阻害した。このことは、CBP501のようなG2チェックポイント抑止剤の抗ウイルス活性を示す。
【0109】
一実施形態において、CBP501は、HIV−1複製を阻害する。実施例3および図1下に示されるように、CBP501は、臨床的小児HIV株WeJoの複製を阻害することによって、末梢血単球細胞(PBMC)における、抗ウイルス活性を示した;IC50(50%までウイルス複製を阻害する濃度)は、0.71μg/ml CBP501と決定され、TC50(50%まで細胞生存率を低下させる濃度)は、>80μg/ml CBP501と決定され、そしてTI(治療指数TC50/IC50)は、>113と決定された。CBP501が、インビボで非常に低い細胞毒性を示すことに注目すべきである:80μg/ml(この実施形態で試験された最大濃度)において、細胞生存率は、ほとんど影響を受けなかった(図1を参照のこと)。この低い細胞毒性を考慮すると、TC50の計算値≧80μg/ml CBP501は、毒性を測定したものではなく、むしろ推定である。
【0110】
別に実施形態において、CBP501は、種々の組織において、種々のHIV株に対する抗ウイルス活性を有する。例えば、CBP501は、PBMCにおけるHIV−1のWeJo株、およびヒト単球/マクロファージ細胞におけるHIV−1のBa−L株の複製を阻害する。実施例4および図2下に示されるように、CBP501は、単球/マクロファージにおけるHIV−1のBa−L株の複製を阻害することによって、HIV−1に対する抗ウイルス活性を示した。このIC50は、6.5μg/ml CBP501と決定され、TC50は、>80μg/ml CBP501と決定された。そしてTI(治療指数TC50/IC50)は、>12.3と決定された。CBP501が、インビボで非常に低い細胞毒性を示すことに注目すべきである:80μg/ml(この実施例で試験された最大濃度)において、細胞生存率は、25%減少したのみであった(図2を参照のこと)。したがって、TC50の計算値≧80μg/ml CBP501は、毒性を測定したものではなく、むしろ推定である。
【0111】
(抗ウイルス活性を有するCBP化合物、CBP500、CBP504、CBP505、CBP506、CBP510、CBP511、CBP512、およびCBP603)
ペプチドCBP501(配列番号80)の活性と同様のG2チェックポイント抑止活性を有するCBP化合物としては、CBP500(配列番号124)、CBP504(配列番号127)、CBP505(配列番号128)、CBP506(配列番号129)、CBP510(配列番号93)、CBP511(配列番号94)、CBP512(配列番号95)、およびCBP603(配列番号89)が挙げられるが、これらに限定されない。前述のCBP化合物の全ての配列は、表3に開示されている。一実施形態において、CBP500(配列番号124)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。別の実施形態において、CBP504(配列番号127)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。別の実施形態において、CBP505(配列番号128)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。別の実施形態において、CBP506(配列番号129)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。別の実施形態において、CBP510(配列番号93)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。別の実施形態において、CBP511(配列番号94)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。別の実施形態において、CBP512(配列番号95)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。別の実施形態において、CBP603(配列番号89)は、ウイルス感染によって特徴付けられる疾患を処置するために有用な抗ウイルス性化合物である。
【0112】
(化合物および薬学的組成物の投与)
本発明は、所望の効果を達成するように投与され得る化合物を提供する。本発明はさらに、所望の効果を達成するように投与され得る薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、少なくとも一種の本発明の化合物および薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤を含有し、そして必要に応じてさらなる成分を含有し得る。
【0113】
本発明は、少なくとも一種の本発明の化合物とリポソームキャリアとの組み合わせを提供する。このような組み合わせは、HIV感染のような状態(この感染では、ウイルスが細胞(例えば、単球/マクロファージ細胞)の内部に存在することが知られており、そしてリポソームがそれらの細胞に蓄積することが知られている)を処置するために適切である。
【0114】
本発明は、上記のような、細胞膜を貫通するのを補助する細胞膜透過性配列を有する、少なくとも一種の本発明の化合物の組み合わせを提供する。
【0115】
本発明の化合物は、所望の効果を達成するあらゆるプロトコルもしくは経路によって、全身性に、局部的に(例えば、器官もしくは組織に向けられて)、および局所的に(locally)(例えば、体腔内もしくは皮膚上に局所的に(topically))、投与され得る。この化合物は、単回投与もしくは複数回投与として毎日(例えば、低用量で)投与され得るか、または断続的に(例えば、高用量で、隔日、週1回などで)投与され得る。上記化合物および薬学的組成物は、吸入(例えば、気管内)送達、経口送達、静脈内送達、動脈内送達、血管内送達、髄腔内送達、腹腔内送達、筋肉内送達、皮下送達、体腔内送達、経皮(例えば、局所)送達、または経粘膜(例えば、口内、膣内、子宮内、直腸内、もしくは鼻腔内)送達を介して投与され得る。上記化合物および薬学的組成物は、複数回投与で、徐放性(例えば、経時的な徐々に進む灌流)で、または単回ボーラスで投与され得る。
【0116】
用語「被験体」は、動物、代表的には哺乳動物、例えば、霊長類(例えば、ヒト、類人猿、ギボン、チンパンジー、オランウータン、マカク)、ペット用動物(イヌ、ネコ、トリ)、家畜動物(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)および実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)を指す。被験体は、疾患モデル動物を包含する。
【0117】
投与量は、代表的に、所望の効果を生じるのに十分な量である、「有効量」もしくは「十分な量」である。したがって、有効量とは、G2チェックポイント抑止、および以下の一つ以上:炎症、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症もしくはアトピーに対する感受性の阻害もしくは低下;炎症、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症もしくはアトピーに関連する一つ以上の症状の減少;ウイルス感染(特にHIV感染)に対する感受性の阻害もしくは低下;ウイルス感染(特にHIV感染)に関連する一つ以上の症状の減少、を誘発する量である。
【0118】
有効量は炎症、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症もしくはアトピーに関連する症状、または関連する障害もしくは状態の重症度または頻度を、客観的または主観的に低下もしくは減少させ得る。例えば、かゆみ、炎症、疼痛、分泌、もしくは他のあらゆる症状または関連する状態を低下させる本発明の化合物の量は、満足できる臨床的結果を生じる有効量である。有効量とはまた、炎症、関節炎、自己免疫疾患、膠原病、アレルギー、喘息、花粉症もしくはアトピーを処置するための別の医薬による処置の、満足できる臨床的結果を生じるとみなされる量(例えば、投薬量)もしくは頻度の減少を包含する。
【0119】
有効量は、ウイルス性疾患(特にHIV感染)に関連する症状、または関連する障害もしくは状態の重症度もしくは頻度を、客観的もしくは主観的に低下もしくは減少し得る。例えば、疼痛、発熱、皮膚の障害、体重減少、悪心、下痢、またはウイルス性疾患の他のあらゆる症状もしくは関連する状態を軽減させる本発明の化合物の量は、満足できる臨床的結果を生じる有効量である。有効量とはまた、別の抗ウイルス薬(特に、抗HIV医薬)による処置の、満足できる臨床的結果を生じるとみなされる量(例えば、投薬量)もしくは頻度の減少を包含する。
【0120】
被験体の状態の改善もしくは治療上の利益をもたらす本発明の方法は、その期間が比較的短くてよい。例えば、この改善は、数時間、数日もしくは数週間持続し得る。あるいは、この改善は、より長い期間(例えば、数ヶ月もしくは数年)にわたって延長され得る。有効量は、上記状態もしくは障害の症状の一部もしくは全部を完全に除去することを必要としない。したがって、有効量に対する満足できる臨床結果は、短期もしくは長期にわたって障害もしくは状態の状況を決定するのに適した上記の基準もしくは当該分野で公知の他の基準のいずれかを用いて決定されるような、被験体の状態の主観的もしくは客観的改善がみられた場合に達成される。一つ以上の有利な効果を提供するのに有効な量は、本明細書中で記載されているか、または当該分野で公知であるように、被験体の状態の「改善」または被験体に対する「治療効果」と称される。
【0121】
本発明の化合物の有効量は、動物研究または必要に応じてヒトでの治験に基づいて、決定され得る。当業者は、特定の被験体を処置するために必要な投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得る種々の要因(例えば、被験体の全体的な健康、年齢もしくは性別、障害もしくは状態の重症度もしくは病期、これまでの処置、望ましくない副作用に対する感受性、所望の臨床結果、または他の障害もしくは状態の存在が挙げられる)を理解する。このような要因は、治療上の利益のために十分な量を提供するのに必要な投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得る。
【0122】
(スクリーニングのための本発明の化合物の使用)
本発明は、抗炎症性活性および/または免疫調整性活性および/または抗ウイルス活性を有する化合物についてスクリーニングするために本発明の化合物を使用するための方法を提供する。
【0123】
試験化合物は、一種以上の本発明のペプチドまたはペプチド模倣性化合物を含み、好ましくは既知の治療効果を有する一種以上の化合物を用いた、競合アッセイを使用してスクリーニングされ得る。一局面によると、試験化合物の、結合部位に関して本発明の標識化合物と競合する能力は、組織サンプルと一連の濃度の試験化合物とを本発明の標識化合物の存在下でインキュベーションし、そして各組織サンプルに結合した標識化合物の量を測定することによって、決定される。既知の量の試験化合物の存在下で組織サンプルに結合した標識化合物の量の減少が、この試験化合物が本発明の標識化合物の結合部位と同じ結合部位に関して競合していることを示すことが理解される。競合スクリーニングアッセイにおける使用のため、本発明の化合物は、この化合物がその作用部位へと結合して治療効果を発揮する能力を妨害しない、任意の検出可能な標識で標識され得る。適切な標識としては、放射性標識、蛍光標識、色素生産性標識、ビオチン、ストレプトアビジン、およびジゴキシンが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本発明の標識化合物によって結合される結合部位に対する上記試験化合物の結合親和性を決定するため、標準的な技術を使用することができる。
【0124】
別の局面によると、試験化合物の有効性は、この試験化合物の、本発明の治療化合物を置換してアッセイ系において既知の反応を引き起こす能力を測定することによって決定される。本発明の治療化合物が、免疫調整性活性および/または抗炎症性活性および/または抗ウイルス性活性を有することが理解される。本発明の治療化合物によって引き起こされた反応を測定するためのアッセイ系によって、例えば、疾患の動物モデル、またはその疾患に罹患するヒト被験体において、免疫調整性活性および/または抗炎症性活性および/または抗ウイルス性活性の直接的な測定が可能となることがさらに理解される。あるいは、本発明の治療化合物によって引き起こされた反応を測定するためのこのアッセイ系により、例えば、遺伝子発現、タンパク質改変(例えば、キナーゼ媒介性リン酸化)、免疫応答もしくは炎症性応答の媒介因子の放出、免疫応答もしくは炎症性応答の媒介因子の効果のブロック、細胞分化、細胞の補充、細胞の増殖などを測定することによって、免疫調整性活性および/または抗炎症性活性および/または抗ウイルス性活性の間接的な測定が可能となる。例示的一実施形態において、試験化合物は、ヒスタミン放出を阻害する能力に関してスクリーニングされ、そして特定のレベルの阻害を引き起こすのに必要な試験化合物の濃度は、同じレベルの阻害を引き起こすのに必要な本発明の化合物の濃度と比較される。いくつかの実施形態において、この治療化合物は、複雑な治療応答を引き起こし、そしてこの治療化合物の有効性は、例えば、実施例1および2で記載されるように、ヒト疾患の動物モデルにおいて免疫調整性効果または抗炎症性効果を測定すること、または実施例3および4で記載されるような、ヒト疾患の細胞培養モデルにおける抗ウイルス性活性によって、決定される、試験化合物は、このアッセイ系において本発明の治療化合物によって引き起こされる治療応答と同じ治療応答を引き起こす、この能力に関してスクリーニングされ得る。特定の実施形態において、試験化合物および本発明の試験化合物は、同じアッセイ系に対して測定され得、これは、試験化合物が、本発明の化合物によって引き起こされる治療応答を増強(増加、亢進)するそれらの能力についてスクリーニングされ得る方法を提供する。
【0125】
別の局面によると、本発明の化合物は、その構造に基づいて潜在的に有効な化合物を同定するために使用され得る。ここで、本発明の化合物を用いた構造−活性研究(例えば、実施例5に記載されるような研究)は、未知の試験化合物の構造と、既知の抗炎症性活性および/または免疫調整性活性および/または抗ウイルス性活性を有する本発明の化合物の構造とを比較するための手段を提供する。本発明の化合物は、スクリーニングされるべき試験化合物を評価および選択するために使用され得る構造−活性データベースを作製するために使用され得る。このような構造−活性データベースはまた、スクリーニングするための新規の試験化合物を設計するため(この新規の試験化合物は、活性/特性の改善を示すことが予想される)、および現在の構造−活性モデルの有効性を試験するために使用され得る。この構造−活性データベースから導かれる予測は、同定された試薬の選択された組み合わせから新規の試験化合物の合成のための手順を作製することによって、実現され得る。
【0126】
本発明の多くの実施形態が記載されている。それでもなお、本発明の精神もしくは範囲から逸脱することなく種々の改変がなされ得ることが理解される。したがって、以下の実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を説明することを意図しており、限定することを意図しない。
【実施例】
【0127】
(実施例1 ラットにおける受動皮膚アナフィラキシーに対するCBP501の活性)
CBP501(配列番号80)を、Wistarラットにおける受動皮膚アナフィラキシー(PCA)のモデルにおいて、抗アレルギー活性について評価した。CBP501を、20mg/kg、10mg/kgおよび5mg/kgの用量で、オボアルブミンとエバンスブルー色素との混合物による負荷(challenge)の30分前に、腹腔内(IP)に投与した。20mg/kg、10mg/kgおよび5mg/kgでのCBP501は、高度に顕著な抗アレルギー効果を示し、ビヒクルコントロール群に対してそれぞれ93%、93%および87%まで阻害した。抗ヒスタミン剤塩酸シプロヘプタジンを用いた試験を、コントロールと同時に実施した:塩酸シプロヘプタジン(1mg/kg、IP)は、顕著な抗アレルギー効果(87%の阻害)を示した。
【0128】
(材料および方法)
CBP501を、0.9% NaCl中に溶解した。CBP501(20mg/kg、10mg/kgおよび5mg/kg)を、オボアルブミンとエバンスブルー色素との混合物による負荷の30分前に、腹腔内(IP)に投与した。
【0129】
動物:MDS Pharma Services−Taiwan Ltd.の動物繁殖センターにより、雄または雌のWistarラットが提供された。6匹の動物に対する空間割当ては、45×23×21cmであった。全ての動物を、使用前に、MDS Pharma Services−Taiwan Laboratoryにおいて収容した状態で、制御された温度(21.5〜22.5℃)および湿度(50%〜70%)の環境中の清潔な環境で、12時間の明暗周期で少なくとも1週間維持した。この研究の全ての局面(動物の収容、実験および廃棄)は、全般的に、International Guiding Principles for Biomedical Research Involving Animals(CIOMS Publication No.ISBN 92 90360194、1985)に従って行った。
【0130】
化学薬品:塩酸シプロヘプタジン(RBI−USA)、無水エタノール(Merck、Germany)、蒸留水(研究室内で作製)、エバンスブルー(Fluka、Switzerland)、およびオボアルブミン(Sigma−Aldrich、USA)を使用した。
【0131】
投与法:3匹のWistar由来雄ラットの5つの群(体重80+/−10g)を、16時間前に、背側面の2つのスポットにおけるレアギン性(IgE)抗オボアルブミン血清(0.05ml)の皮内注入によって受動的に感作させた。CBP501を、5mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kg IPで投与した。CBP501の投与後30分以内で、動物を、オボアルブミン(1mg)とエバンスブルー色素(5mg)との混合物を用いて、静脈内(IV)に負荷した。負荷の30分後、動物を屠殺した。
【0132】
結果:各動物について、2つのみみず腫れ(weal)の直径を測定し、平均して、<0.05cmである場合0、0.05〜0.2cmである場合1、0.2〜0.4cmである場合2、0.4〜0.6cmである場合3、0.6〜0.8cmである場合4、そして>0.8cmである場合5を記録した。各動物における可能性のある最大点数は、合計で2×5=10である。得られたPCAの青色に着色したみみず腫れの、ビヒクルコントロール群に対する50%以上までの阻害は、抗アレルギー活性の可能性を示す。結果を以下の表1に示す。表1において、有意な変化をアスタリスク(*)で示す。
【0133】
【表1】

【0134】
(実施例2:アジュバント誘導性関節炎に対するCBP501の活性)
試験物質CBP501(配列番号80)を、ラットの完全フロイントアジュバント(CFA)誘導性関節炎においてあり得る抗炎症活性について評価した。CFAは、アジュバントとして使用される場合、注射される抗原に対する体液性抗体応答を高めるマイコバクテリア細胞壁成分を含む、油中水型エマルジョンである。CFAはまた、局所免疫応答も刺激するので、CFA単独で注射することにより、関節炎のための有用な動物モデル(アジュバント誘導性関節炎)が提供される。CBP501を、単一用量として10mg/kgで、または5連続日にわたって1日1回2.5mg/kgおよび5mg/kgで、腹腔内(IP)投与した。右後ろ足の容積を、CFA注射の4時間後(1日目と示す)に、および5日目に測定し、反対の左後ろ足の容積を、14日目と18日目に測定した。このモデルにおいて、10mg/kg(単一用量)および5mg/kg(×5用量)のCBP501が、急性期および遅延期の両方において有意な抗炎症活性を示した。しかし、2.5mg/kg(×5用量)のCBP501は、急性期では、中程度であるが、有意ではない活性を示すのみであり、遅延期では何ら活性を示さなかった。コントロールとしてのヒドロコルチゾンを使用する治験を同時に行った:30mg/kg(5日間、毎日)のヒドロコルチゾンの投与は、急性期において有意な活性を示し、遅延期においてほぼ有意な活性を示した。結果を表に示す。この表において有意な値は、アスタリスク(*)で示される。これらの結果は、10mg/kg IPまたは5mg/kg×5 IPのCBP501が、ラットのCFA誘導性関節炎において有意な抗炎症活性を示したことを示す。
【0135】
(材料および方法)
試験物質および投与パターン:CBP501を、0.9% NaCl中に溶解させ、5ml/kgの容積にした。10mg/kgのCBP501を、1日目に1回腹腔内(IP)注射した。2.5mg/kgもしくは5mg/kgのCBP501、ビヒクル単独(ビヒクルコントロール)、またはヒドロコルチゾン(30mg/kg)を、各々、5連続日にわたって1日に1回IP投与した。最初の投与を、CFAでチャレンジする1時間前に行った。
【0136】
動物:オスのLewisラットを、Charles River Japan Incから入手した。6匹の動物のための空間割り当ては、45×23×21cmであった。全ての動物を、制御された温度(23〜25℃)および湿度(60〜70%)、12時間の明暗周期の環境で、MDS Pharma Services−Taiwan Laboratoryで少なくとも1週間、使用前に維持した。標準的なラットの実験用飼料(Lab Diet,Rodent Diet,PMI Nutrition International,USA)および水道水については、自由に摂取できるようにした。動物の飼育、実験法および廃棄を含むこの研究の全ての局面は、International Guiding Principles for Biomedical Research Involving Animals(CIOMS Publication No.ISBN 92 90360194,1985)に全面的に従って行った。
【0137】
化学物質:発熱物質非含有生理食塩水(Sintong,R.O.C.)、ヒドロコルチゾン(Sigma−Aldrich,USA)、鉱油(Wako,Japan)およびMycobacterium tuberculosis(DIFCO,USA)を使用した。
【0138】
装置:動物用飼育箱(ShinTeh,R.O.C.)、硝子シリンジ(1mlおよび2ml,Mitsuba,Japan)、皮下注射針(25G×1インチ,Top Corporation,Japan)、プレチスモメーター(カタログ番号7150,UGO Basile,Italy)、水用セル(25mm直径,カタログ番号7157,UGO Basile,Italy)、ラット用重量計(2.5g〜500g,Misaki,Japan)およびラット経口用針(Natsume,Japan)を、これらの治験に使用した。
【0139】
方法:5匹のLewis由来オスラット(体重160±10g)の5つの群を使用した。試験物質CBP501を、10mg/kg(単一用量)または2.5mg/kgおよび5mg/kg(5連続日にわたって1日1回)で腹腔内投与した。殺傷Mycobacterium tuberculosisの懸濁液(0.1mlの軽鉱物油中0.3mg)を含む完全フロイントアジュバンド(CFA)を、1日目に最初の投薬の1時間後に、右後ろ足の足裏領域に注射した(1日目と示す)。後ろ足の容積を、0日目(CFAチャレンジ前)、1日目および5日目に右後ろ足(CFAを注射)および0日目、14日目および18日目に左後ろ足(CFA注射なし)に、プレチスモメーターおよび水入りセル(water cell)(25mm直径)で測定した。ラットを、最初の投与の直前および最後の注射の1時間後に秤量した。CFA注射したビヒクルコントロールラットについては、1日目に対する、5日目の足の容積の増加(炎症の急性期)は、一般に、0.7mlと0.9mlとの間であり;14日目に対する18日目の足の容積の増加(炎症の遅延期)は、一般に、0.2mlと0.4mlとの間であった。従って、このモデルにおける抗炎症活性は、急性期および遅延期の間に計算された値によって決定される。この動物を、0日目および18日目にも秤量した;CFA注射したビヒクルコントロール動物は、一般に、この期間に体重が20〜50g増えた。ビヒクル処置コントロールに対する足の容積の30%以上(>30%)の減少が、有意と考えられる。結果を以下の表2に示す。この表において、有意な阻害の値(ビヒクルコントロールと比較して>30%)を、アスタリスク(*)で示す。
【0140】
【表2】

【0141】
(実施例3:CBP501によるPBMC中のHIV−1複製の阻害)
CBP501を、臨床小児HIV株Wejoを使用して、末梢血単球(PBMC)中のHIV−1に対する抗ウイルス活性について試験した。PBMCを、正常なHIV−1陰性ドナーから得、細胞生存およびHIV複製を促進する条件下で培養した。抗ウイルス活性を、サンプル中の細胞外HIV−1p24タンパク質の量を検出することによって測定した。ここでp24レベルの減少により、抗ウイルス活性が示される。細胞傷害性を、テトラゾリウム色素還元法により測定した。抗ウイルス活性を、100μg/ml CBP501のストック溶液の連続希釈液について分析した。実験を、0.3125〜80μg/ml CBP501の一連の濃度を作製して、この化合物の連続希釈液を用いて行った。結果を、図1に示す。
【0142】
図1に示すように、このIC50(ウイルス複製の50%を阻害した濃度)を、0.71μg/ml CBP501であると決定した。このTC50(細胞生存性を50%減少する濃度)は、>80μg/ml CBP501であると決定した(これは、80μg/ml(試験される最高濃度)で、細胞生存性がかろうじて影響を受けることに注意すべきである)。そのTI(治療指数=TC50/IC50)は、>113であると決定した。CBP501はまた、図1においてSF322とよばれることに注意のこと。
【0143】
(実施例4:CBP501によるヒトマクロファージにおけるHIV−1複製の阻害)
CBP501を、HIV株Ba−Lを用いて、単球/マクロファージにおける抗ウイルス活性について試験した。単球/マクロファージを、正常なHIV−1陰性ドナーから得、細胞生存およびHIV複製を促進する条件下で培養した。抗ウイルス活性を、サンプル中の細胞外HIV−1p24タンパク質の量を検出することによって測定した。ここでp24レベルの減少により、抗ウイルス活性が示される。細胞傷害性を、テトラゾリウム色素還元法により測定した。抗ウイルス活性を、100μg/ml CBP501のストック溶液の連続希釈液について分析した。実験を、0.3125〜80μg/ml CBP501の一連の濃度を作製して、この化合物の連続希釈液を用いて行った。結果を、図2に示す。
【0144】
図2に示されるように、このIC50(ウイルス複製の50%を阻害した濃度)を、6.5μg/ml CBP501であると決定した。このTC50(細胞生存性を50%減少する濃度)は、>80μg/ml CBP501であると決定した(これは、80μg/ml(試験される最高濃度)で、細胞生存性が約25%だけ減少したことに注意すべきである)。そのTI(治療指数=TC50/IC50)は、>12.3であると決定した。CBP501はまた、図2においてSF322とよばれることに注意のこと。
【0145】
(実施例5:本発明の例示的ペプチドおよびペプチド模倣物の構造−活性の関係性)
表3に示されるような、本発明の例示的ペプチドおよびペプチド模倣物を、抗炎症活性、免疫調整活性および抗ウイルス活性について、上記の実施例1〜4に示されるように試験した。構造−活性の関係性を、米国特許出願第号10/347,145号に開示される方法を適合させることにより決定した。簡潔には、表3に列挙される例示的化合物の構造−活性の関係性を、あるクラスの活性に関して各化合物の有効性を決定する実験を行い、続いてその各クラスの活性で、それらの有効性に従って化合物をランク付けすることによって決定した。すなわち、あるクラスの活性とは、(a)抗炎症活性;(b)免疫調整活性;および/または(c)抗ウイルス活性である。当業者は、構造−活性の関係性が考えられる、任意のクラスの活性に関して、各化合物の有効性を決定するために試験系を選択し得ることが理解される。当業者は、1つを超えるクラスの活性の決定を可能にする試験系を選択し得る(例えば、試験系は、試験される化合物の免疫調整活性および抗炎症活性の療法を測定するために、アレルギーモデル、例えば、実施例1に記載されるPCAモデルおよび実施例2に記載される関節炎モデルの両方を含み得る)ことがさらに理解される。
【0146】
抗炎症活性に関して表3に列挙される例示的化合物の構造−活性の関連性を決定するために、例えば、上記の実施例2に記載されるような試験系を使用して、炎症応答を定量的に測定し、その抗炎症活性に関して、各化合物の有効性を決定する実験が行われ、それらの化合物は、その試験系における抗炎症剤としてのそれらの有効性に従って、ランク付けされる。実施例2に記載されるような関節炎モデルは、免疫調整活性に関して、化合物の有効性を決定するためにも適している。
【0147】
免疫調整活性に関して、表3に列挙される例示的化合物の構造−活性の関係性を決定するために、例えば、実施例1に記載されるような試験系を用いて免疫応答を定量的に測定して、その免疫調整活性に関して各化合物の有効性を決定する実験が行われ、その化合物は、免疫調整活性に関してそれらの有効性に従ってランク付けされる。
【0148】
抗ウイルス活性に関して、表3に列挙される例示的化合物の構造−活性の関係性を決定するために、例えば、実施例3または4に記載されるような試験系を用いて、ウイルス感染(ここでは、ウイルス複製)のインジケーターを定量的に測定し、その抗ウイルス活性に関して各化合物の有効性を決定する実験が行われ、その化合物は、抗ウイルス活性に関してそれらの有効性に従ってランク付けされる。
【0149】
各クラスの活性について、構造−活性の関係性は、高レベルの活性、中程度のレベルの活性、および低レベルの活性を有する化合物の構造を調べ、所望のレベルの活性を有する化合物に共通する特徴を同定することによって、決定される。
【0150】
(表3.例示的ペプチドおよびペプチド模倣物の配列、配列番号およびCBPコード名)
【0151】
【表3−1】

【0152】
【表3−2】

【0153】
【表3−3】

【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1A】図1は、0.3125μg/ml CBP501〜80μg/ml CBP501の範囲にあるCBP501(配列番号80)の投与による末梢血単核細胞(PBMC)中のHIV−1のWeJo株の複製の阻害を示し;図1Aは、表形式でこれらの結果を示す。
【図1B】図1Bは、図1Aの結果をグラフ形態で示す。
【図2A】図2は、0.3125μg/ml CBP501〜80μg/ml CBP501の範囲にあるCBP501(配列番号80)の投与によるヒトマクロファージ中のHIV−1のBa−L株の複製の阻害を示し;図2Aは、表形式でこれらの結果を示す。
【図2B】図2Bは、図2Aの結果をグラフ形態で示す。 (表1)表1は、ラットにおける受身皮膚アナフィラキシー(PCA)に対するCBP501の腹腔内投与の影響を示す。 (表2)表2は、ラットにおけるアジュバント誘導関節炎の発症に対するCBP501の腹腔内投与の影響を示す。 (表3)表3は、本発明の例示的ペプチドおよびペプチド模倣物の配列、配列番号、および対応するCBPコード名を開示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫障害、炎症応答、またはウイルス感染によって特徴づけられる疾患を処置するための方法であって、該方法は、以下の構造:
P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11(配列番号253)もしくは
P6,P7,P8,P9,P10,P11,P1,P2,P3,P4,P5(配列番号253)
を含む有効量のG2チェックポイント抑止ペプチドまたはペプチド模倣物を投与する工程、
によるものであり、ここで
P1は、Bpa、Tyr、Phe、(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、TyrTyr、PhePhe、または類似の側鎖空間を占有する部分であり;
P2は、任意のアミノ酸であり;
P3は、Trpまたは類似の側鎖空間を占有する部分であり;
P4は、任意のアミノ酸であり;
P5は、Bpa、Tyr、Phe、(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、TyrTyr、PhePhe、または類似の側鎖空間を占有する部分であり;そして
P6、P7、P8、P9、P10、P11は、少なくとも1つのArgを含み、
そしてさらにここで任意の非Arg位置は、任意のアミノ酸であるかまたは存在しない、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ここでP6、P7、P8、P9、P10、P11は、5つのArgを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、ここでP1における部分は、1つまたは2つのアミノ酸またはアミノ酸構造アナログ/アミノ酸機能アナログを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、ここでP5における部分は、1つまたは2つのアミノ酸またはアミノ酸構造アナログ/アミノ酸機能アナログを含む、方法。
【請求項5】
CBP500(配列番号124)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
CBP501(配列番号80)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
CBP504(配列番号127)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CBP505(配列番号128)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
CBP506(配列番号129)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
CBP510(配列番号93)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
CBP511(配列番号94)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
CBP512(配列番号95)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
CBP603(配列番号89)を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記疾患は免疫障害によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記障害は炎症応答によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記障害は、免疫障害および炎症応答によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患は炎症である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患は関節炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患は自己免疫疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患は膠原病である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記疾患はアレルギーである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記疾患は喘息である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患は花粉症である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患はアトピーである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患はウイルス感染によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記疾患は、ウイルス感染および免疫障害によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記疾患は、ウイルス感染および炎症応答によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記疾患はHIV AIDSである、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ペプチドまたはペプチド模倣物は、ウイルス複製を阻害することによって前記疾患を処置する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記ペプチドまたはペプチド模倣物は、HIV複製を阻害する、請求項30に記載の方法。
【請求項31】
免疫調整活性、抗炎症活性、または抗ウイルス活性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、該方法は、
(a)試験化合物を提供する工程;
(b)標識化合物を提供する工程であって、ここで該化合物は、G2チェックポイント抑止ペプチドまたはペプチド模倣物であり、該G2チェックポイント抑止ペプチドまたはペプチド模倣物は、以下の構造:
P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11(配列番号253)もしくは
P6,P7,P8,P9,P10,P11,P1,P2,P3,P4,P5(配列番号253)、
を含み、ここで
P1は、Bpa、Tyr、Phe、(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、TyrTyr、PhePhe、または類似の側鎖空間を占有する部分であり;
P2は、任意のアミノ酸であり;
P3は、Trpまたは類似の側鎖空間を占有する部分であり;
P4は、任意のアミノ酸であり;
P5は、Bpa、Tyr、Phe、(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、TyrTyr、PhePhe、または類似の側鎖空間を占有する部分であり;そして
P6、P7、P8、P9、P10、P11は、少なくとも1つのArgを含み、
そしてさらにここで任意の非Arg位置は、任意のアミノ酸であるかまたは存在しない、
構造を含む、工程;
(c)組織サンプルと、既知量の該試験化合物とを、工程(b)の既知量の該標識化合物の存在下で接触させる工程;および
(d)該組織サンプルに結合した工程(b)の該標識化合物の量を測定する工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
複数の組織サンプルを、一連の濃度の前記試験化合物とともにインキュベートし、該一連の濃度は、複数の既知量の該試験化合物を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程(b)の前記標識化合物は、免疫調整活性を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
工程(b)の前記標識化合物は、抗炎症活性を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
工程(b)の前記標識化合物は、抗ウイルス活性を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
免疫調整活性、抗炎症活性、または抗ウイルス活性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、該方法は、
(a)試験化合物を提供する工程;
(b)免疫調整活性、抗炎症活性、または抗ウイルス活性を有する治療化合物を提供する工程であって、ここで該治療化合物は、アッセイ系において既知の応答を誘発し、そしてさらに該化合物は、G2チェックポイント抑止ペプチドまたはペプチド模倣物であり、該G2チェックポイント抑止ペプチドまたはペプチド模倣物は、以下の構造:
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11(配列番号253)もしくは
P6、P7、P8、P9、P10、P11、P1、P2、P3、P4、P5(配列番号253)、
を含み、ここで
P1は、Bpa、Tyr、Phe、(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、TyrTyr、PhePhe、または類似の側鎖空間を占有する部分であり;
P2は、任意のアミノ酸であり;
P3は、Trpまたは類似の側鎖空間を占有する部分であり;
P4は、任意のアミノ酸であり;
P5は、Bpa、Tyr、Phe、(Cha)(Phe−2,3,4,5,6−F)、TyrTyr、PhePhe、または類似の側鎖空間を占有する部分であり;そして
P6、P7、P8、P9、P10、P11は、少なくとも1つのArgを含み、
そしてさらにここで任意の非Arg位置は、任意のアミノ酸であるかまたは存在しない、
構造を含む、工程、
(c)既知量の該試験化合物を、該アッセイ系に投与し、該試験化合物によって誘発される応答を決定する工程;
(d)既知量の該治療化合物を、該アッセイ系に投与し、該治療化合物によって誘発される応答を決定する工程;および
(e)該試験化合物によって誘発される応答と、該試験化合物によって誘発される応答とを比較する工程、
を包含する、方法。
【請求項37】
前記治療化合物によって誘発される応答は、免疫調整活性を示す、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記治療化合物によって誘発される応答は、抗炎症活性を示す、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記治療化合物によって誘発される応答は、抗ウイルス活性を示す、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記試験化合物および前記治療化合物は、同じアッセイ系に投与される、請求項36に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2007−521256(P2007−521256A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516613(P2006−516613)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002591
【国際公開番号】WO2004/112820
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(504275568)株式会社 キャンバス (6)
【Fターム(参考)】