説明

免疫調節性オリゴ糖

本発明は、免疫系を増強するための方法および哺乳類、特に、新生児における免疫系関連疾患の治療および/または予防するための方法であって、前記方法が酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖の投与を具備する方法に関する。また、上記方法における使用に適切な食品組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、免疫疾患の治療および/または予防のための方法であって、前記方法がオリゴ糖を投与することを具備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
免疫系は、抗原に対して異なる可能な反応を有する。免疫応答の種類に関する決定的な工程は、異なるT細胞亜集団(T-cell subpopulation)への刺激である。所謂、Th1細胞は主にサイトカインを産生し、サイトカインは細胞の免疫応答(IFN-γ、IL-12、IL-2)を刺激する。対照的にa、Th2細胞は、主にIL−4、IL−5およびIL−10を産生する。これらのサイトカインは、IgE−媒介アレルギー性反応および炎症をブーストし、同様に好酸球(即ち、エオシン染色を受け入れる白血球)の補充、増殖、分化、維持および生存に関与し、好酸球増価症を引き起こし得ると考えられている。好酸球増加症は、多くのTh2媒介疾病、例えば、喘息、アレルギーおよびアトピー性皮膚炎の特徴である。Th1とTh2関連サイトカイン作用は、拮抗的に作用し、Th1/Th2応答は、良好に制御されたバランスにおける正常な生理的な状況である。Th1またはTh2の反応の何れも優勢ではない。仮に、不均衡な場合には、Th1またはTh2免疫応答の優勢である1つが、色々の病理学的な状態において役割を果すか、その原因となる。
【0003】
過剰なTh1免疫応答は最終的に、自己免疫、個体自身の身体物質を破壊、例えば、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、クローン病、尋常性天疱瘡、自己免疫性血小板減少紫斑症、自己免疫性溶血性貧血などを導き得る。
【0004】
過剰なTh2反応は、何れの免疫学的反応を導くべきではない外来性成分に対する極度な感受性、例えば、アレルギーおよび関連疾患、例えば、アトピー性皮膚炎、喘息、職業性喘息、食物アレルギー(例えば、牛乳アレルギー、リンゴアレルギー、ピーナッツおよび他のナッツアレルギー、ルピナスアレルギーなど)、アレルギー性鼻炎(例えば、花粉アレルギー)、塵性ダニアレルギーおよび他の過敏性様全身性アナフィラキシーおよび急性蕁麻疹などを導く。
【0005】
増大したTh2反応および/または減少したTh1反応に対しての相対的移行は、何れの種類のストレスの状況下で見られ、結果的に、Th2反応の方向への偏りが生じる。そのような相対的移行は、例えば、免疫老化、癌患者、慢性感染、運動の過負担、社会的葛藤または労働高負荷、有毒成分または放射能への暴露または栄養不良による代謝的ストレス、摂食障害により生じる悪液質または栄養失調などで観察される(Janeway (2001) Immunobiology 5th edition、Garland publishing ISBN 0-8153-3642-x; Roitt et al(2001)Immunology 6th edition、Harcourt publishing limited、ISBN-0-7234-31892)。
【0006】
ビフィドジェニックの作用は、例えば、細菌感染の減少および/または予防が原因である。オリゴ糖がビフィドジェニック作用を示せることは公知である。
【0007】
酸性オリゴ糖が、有利な効果を有していることは既に記載されている。WO 02/42484は、感染の治療および/または真核生物細胞に対する有害物質の付着の予防のためのエステル化ペクチン加水分解産物を記載する。DE 4223613は、ペクチン様物質からの嫌気性発酵による、例えば、ペクテート(pectate)リアーゼを使用する嫌気性発酵からの不飽和ウロン酸の製造方法を記載する。当該製造は、重金属中毒の医学的な処置のために使用できる。
【0008】
また、酸性および中性オリゴ糖の組合せも記載されてきた。EP 1105002は、トランスガラクトオリゴ糖、イヌリンおよびガラクツロン酸オリゴ糖を含むプレバイオティック組成物を記載する。US 6576251は、生物、例えば、インフルエンザの付着に関連する症状の予防のためのシアリル化オリゴ糖(ジシアロラクト-N-テトラオース)およびガラクトオリゴ糖の組合せを記載する。WO 01/60378は、病原体の上皮表面への付着の予防のための不飽和ペクチン加水分解産物と中性オリゴ糖の混合物を記載する。
【0009】
脂質、蛋白質、糖類、ビタミンと、ガラクトースを含む二糖またはそれ以上の糖、その誘導体、N-アセチルノイラミン酸およびその誘導体を含む糖から少なくとも選択される1とを含む乳幼児用処方が公知である(EP 1332759)。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
現在まで、(酸性)オリゴ糖の投与はビフィドジェニック叢を刺激し、上皮性の組織に病原体が付着するのを防止することにより、有利な効果を提供すると考えられてきた。
【0011】
本発明は、今回、免疫系の機能のための全身性マーカーが(酸性)オリゴ糖の投与によって影響されるという驚くべき発見をした。この発見は、オリゴ糖の適用の新たな分野、特に、免疫系調節によりベストで治療でされ得る疾患のための分野を開くものである。「調節(modulation)」または「調節(modulating)」とは、特定の特徴、品質、活性、活性、物質または反応における増大または減少を示す。言い換えると、驚いたことに、酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖は全身性の免疫応答を刺激することが可能であることが明らかにされた。
【0012】
本発明はまた、驚いたことに、異なるオリゴ糖は、免疫系の異なる刺激効果を有することを見出した。酸性オリゴ糖の投与は(比較的に)Th1反応刺激し、Th2サイトカイン放出(例えば、IL-10、IL-4およびIL-5など)は低いことが分かった。酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖の組合せの投与は、相乗的に免疫系を、特に、Th2反応を低下することおよびTh1反応を増大することによって刺激することも分かった。
【0013】
更に、本発明の側面において、オリゴ糖がTh1/Th2反応における不均衡を修復し、Th1/Th2不均衡に関連する疾病の治療および予防ために都合よく使用され得ることを見出した。
【0014】
特に、驚くべきことには、酸性オリゴ糖、任意に組合された中性オリゴ糖の投与は、Th1/Th2不均衡を回復することおよび/または好ましいTh1/Th2バランスを維持することが可能であることを見出した。また、酸性オリゴ糖、好ましくは中性オリゴ糖との組合せにおける酸性オリゴ糖は、Th1反応を刺激できることを明らかにした。本発明はまた、酸性および中性オリゴ糖の投与はTh3をも刺激する、即ち、調節性のT細胞活性を促進すると考える。Th1反応の刺激は、Th2反応を阻害することによって一部達成されることは認められている。
【0015】
それ故、本発明は、以下のための方法を提供する;
− 免疫系を調節する
− 免疫系の発生を刺激すること、特に、0〜1歳までの年齢のヒトにおいて刺激すること;
− 全身性免疫応答を高めること;
− Th1/Th2不均衡を治療および/または予防すること;および/または
− 免疫系の調節によって、最も治療され得る疾患を治療および/または予防すること;
ここで、当該方法は、酸性オリゴ糖、好ましくは酸性および中性オリゴ糖、より好ましくは酸性オリゴ糖と2の化学的に異なる中性オリゴ糖を投与することを具備する方法。
【0016】
言い換えれば、従って、酸性オリゴ糖は、炎症性サイトカイン(Th1応答)において有益な効果を有すると言える。加えて、酸性オリゴ糖と中性オリゴ糖との組合せは、炎症性サイトカイン(Th2応答)において有益な効果を有する。
【0017】
詳細な説明
本発明は、哺乳類における免疫系関連疾患の治療および/または予防の方法であって、前記方法が、前記哺乳類に治療有効量の酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖を含む組成物を投与することを具備する方法、即ち、哺乳類における免疫系関連疾患の治療および/または予防のための組成物の製造における酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖の使用に関する。
【0018】
更なる側面において、本発明は、哺乳類において免疫反応を促進するための組成物の製造における酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖の使用、および/または免疫系を調節する方法に関する。
【0019】
更なる側面において、本発明は、5〜50en%脂質、10〜60en%蛋白質、15〜90en%炭水化物、および好ましくは熱量密度0.5〜2kcal/mL、酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖を含む食品組成物であって、前記酸性オリゴ糖が少なくとも1末端ウロン酸ユニットを有し;および
前記中性オリゴ糖が、以下からなる群より選択される食品組成物に関する;
セロビオース、セロデキストリン(cellodextrin)、B-シクロデキストリン(cyclodextrin)、難消化性デキストリン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、イソマルトース、イソマルトリオース(isomaltriose)、パノース(panose)、ロイクロース(leucrose)、パラチノース(palatinose)、シアンデロース(theanderose)、D-アガトース(D-agatose)、D-リキソ-へクスロース(D-lyxo-hexulose)、ラクトスクロース(lactosucrose)、α-ガラクトオリゴ糖、β-ガラクトオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、ラクツロース、4'-ガラトシルラクトース(4'-galatosyllactose)、合成ガラクトオリゴ糖、フルクタンス-レバンタイプ(fructans-Levan-type)、フルクタンス-イヌリンタイプ(frustans-Inutin-type)、1f-β-フルクトフラノシルニストース(1f-β-fructofuranosylnystose)、キシロオリゴ糖、ラフィノース(lafinose)、ラクトスクロースおよびアラビノオリゴ糖.
更なる側面において、本発明は、自己免疫疾患、遺伝性または条件誘導性免疫不全、ワクチン接種の補助、アレルギー1型、アレルギー2型およびアレルギー3型から選択される免疫系関連疾患の治療および/または予防方法であって、前記哺乳類に対して治療有効量の酸性オリゴ糖を具備する組成物を投与することを具備する方法に関する。
【0020】
実質的な部分において、Th2免疫、IL-4/IL5サイトカイン誘導および/または好酸球増加症によって起こる/媒介されると考えられる幾つかの疾患(および本発明に従う治療に対する結果的な反応性)は、喘息、アレルギー性鼻炎、全身性エリテマトーデス、オーメンズ症候群(高好酸球症候群)(Ommen's syndrome(hypereosinophilia syndrome))を含む。これらは、非ウイルス性および非腫瘍性のTh2媒介疾患の例であり、そのために本発明の方法での有効な治療が明らかに予測できなかった。
【0021】
本発明の特に好ましい方法は、好酸球増加症、例えば、喘息およびアレルギー性鼻炎などに関する疾患の治療である。
【0022】
特定の疾病のための治療有効量は、用量決定試験を介して当業者によってにルーチン的に決定され得る。
【0023】
免疫系関連疾患
酸性オリゴ糖、好ましくは中性オリゴ糖との組合せにおけるオリゴ糖の投与が、対象に対して有益な全身的な効果を提供することが今回分かった。全身的とは、血液および/またはリンパの(全身的な)循環の結果として、体全体に影響することを意味する。
【0024】
1つの側面において、本発明は、免疫系を調節するおよび/または高めるための方法であって、前記方法が酸性および中性オリゴ糖の投与を具備する方法を提供する。この方法は、Th1/Th2応答の平衡化する、特に、Th1応答を刺激することによる方法において適切に使用され得る。それ故、例えば、免疫系の成熟を刺激すること、免疫系を高めることにより病原体に対する抵抗性を高めること、および/または免疫系を援助することなどの公表される本発明のオリゴ糖を含む組成物は、本発明の一部分である。
【0025】
更なる側面において、本発明は、免疫系関連疾患の治療および/または予防のための方法であって、前記哺乳類に治療有効量の酸性オリゴ糖を含む組成物を投与することを具備する方法を提供する。
【0026】
更なる側面において、本発明は、哺乳類において免疫応答を促進する方法であって、当該哺乳類に酸性オリゴ糖、任意に中性オリゴ糖と組合された酸性オリゴ糖を含む組成物を投与することを具備する方法を提供する。
【0027】
特に、驚くべきことは、本発明のオリゴ糖の腸内への投与が有益な全身性の効果を提供することである。それ故に、本方法は、好ましくは、酸性オリゴ糖または酸性および中性オリゴ糖の腸内、より好ましくは酸性オリゴ糖を経口投与を具備する。
【0028】
更なる態様において、本発明の方法は、乳幼児に対するオリゴ糖の投与、好ましくは0〜6歳、好ましくは0〜1歳のヒトに対するオリゴ糖の投与に関する。この群は、特にTh1/T2比の不均衡(多くの場合Th2が勝る)を有するため、本方法が、この個体群におけるこの不均衡を回復するために適切に使用され得る。当該酸性オリゴ糖、好ましくは中性オリゴ糖と組み合わせての投与は、新生児の(胃)腸管の成熟を改善して、本発明の方法および組成物が特に早期産児への投与にも適するようにすると考えられる。好ましい態様において、本発明は、0〜6歳、好ましくは0〜1歳の年齢にあるヒト対象における免疫系の成熟を刺激することに関する。
【0029】
更に、好ましい組成上の特徴、例えば、本方法において適切に使用され得る組成物の蛋白質、炭水化物、脂質、重量モル浸透圧濃度、粘度および熱量密度などは、以下に記載される。
【0030】
免疫系関連疾患は、好ましくは自己免疫疾患、遺伝性または条件誘導性免疫不全、ワクチン接種の補助、アレルギー1型、アレルギー2型、アレルギー3型およびアレルギー4型から選択される。
【0031】
適切に治療され得る自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、慢性糸球体腎炎、結節性多発性動脈炎、溶血性連鎖球菌感染後糸球体腎炎(poststreotococcal acute glomerulonephritis)、グレーブス病(Graves' disease)、重症筋無力症(myasthenia gravis)、インスリン抵抗性糖尿病(insuline resistant diabetes)、橋本病(hashimoto's thyroiditis)、溶血性貧血(haemolytic anaemia)、悪性貧血(pernicious anaemia)、グッドパスチャー症候群(Goodpasture's syndrome)、尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris)、自己免疫性血小板減少(autoimmune thrombocytopenia pupura)、急性リウマチ熱(acute rheumatic fever)、混合型本態性クリオグロブリン血症(mixed essential cryoglobulinemia)、自己免疫性プレニシオパス貧血(autoimmune preniciopus anemia)、自己免疫性アジソン病(autoimmune Addison's disease)、白斑(Vitiligio)、低血糖症、新生児ループス疹(neonatal lupus rash)、IDDM(インスリン依存性糖尿病、insulin dependent diabetes mellitus)、リウマチ様関節炎(rheumatoid arthritis)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、乾癬(psoriasis)、強皮症(scleroderma)、クローン病(Crohn’s disease)、IBD(炎症性腸疾患、inflammatory bowel disease)、ニューロパチー(neuropathy)を含み、好ましくはインスリン抵抗性糖尿病(insuline resistant diabetes)である。
【0032】
適切に治療され得る遺伝性または条件誘導性免疫不全の状態は、免疫老化(immunosenescence)、自閉症(autism)、慢性的疾患を原因とする栄養不良、例えば、癌、COPD (慢性閉塞性肺疾患、chronic obstructive pulmonary disease)、AIDS、関節炎、糖尿病、摂食障害、悪性質、嚥下障害、腎臓不全、放射線照射、慢性潰瘍形成を罹患する患者および社会的ストレス後のより詳細なストレス、慢性感染症または喫煙、大気汚染、放射線放射、化学療法などを含む。
【0033】
後天性免疫不全症候群(AIDS)および/またはヒト免疫不全症ウイルス(HIV)感染に罹患する対象において、免疫系の刺激は特別な重要であることから、好ましい態様において、本発明は、特に、AIDSおよび/またはHIV感染を治療および/または予防する方法であって、前記方法が、本酸性オリゴ糖、好ましくは中性オリゴ糖との組合わせにおいて経腸性に投与することを具備する方法を提供する。本発明は、また、AIDSおよび/またはHIV感染に罹患する対象における下痢の治療および/または予防のための方法であって、前記方法が経腸的に、当該酸性オリゴ糖、好ましくは当該中性オリゴ糖との組合わせにおいて当該酸性オリゴ糖を投与することを具備する方法を提供する。本(酸性)オリゴ糖は、好ましくは、AIDSおよび/またはHIV感染に罹患する対象に対して、栄養性マトリックス、即ち、脂肪、蛋白質および炭水化物などを含む組成物で提供される。
【0034】
適切に治療され得るアレルギーは、1型アレルギー;アトピー、喘息、枯草熱、湿疹、食物アレルギー、薬物アレルギーを含む。2型アレルギー;新産児の溶血性疾患(haemolytic disease of new borns)、自己免疫性溶血性貧血、強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis)、急性前部ブドウ膜炎(acute anterior uveitis)。3型アレルギー;アルサス反応、血清病。4型アレルギー:遅延型過敏症(delayed type hypersensitivity)、接触過敏症(contact sensitivity)、小児脂肪便症(celiac disease)。
【0035】
また、本方法は、適切に使用されてワクチン接種方法を補助すること、例えば、ワクチン接種方法の効果を増強することも明らかになった。これらは、免疫系関連疾患の用語に含まれる。酸性オリゴ糖、好ましくは、中性オリゴ糖との組合わせての酸性オリゴ糖は、好ましくは(経口で)、ワクチン接種の前、接種中および/または接種後に投与される。特に、ジフテリア破傷風百日咳(diptheria-tetanus-pertussis)、ポリオワクチン、麻疹/おたふく風邪/風疹、肺炎球菌複合物(pneumococcal conjugate)、ヘモフィルス B 複合物、B型肝炎、A型肝炎、水痘、インフルエンザに関する効果が適切に増強され得る。
【0036】
好ましくは、本方法は、栄養失調、アトピー、喘息またはCOPDの治療および/または予防に関する。
【0037】
本発明はまた、自己免疫疾患、遺伝性または条件誘導性免疫不全(好ましくはAIDSではない)、ワクチン接種の補助、アレルギー1型、アレルギー2型およびアレルギー3型から選択される免疫系関連疾患の治療および/または予防のための組成物の製造における酸性オリゴ糖の使用に関する。
【0038】
酸性オリゴ糖
当該用語酸性オリゴ糖は、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコロイルノイラミン酸、遊離またはエステル化カルボン酸、硫酸基およびリン酸基からなる郡より選択される少なくとも1の酸性基を含むオリゴ糖を言う。当該酸性オリゴ糖は、好ましくはポリヘキソースである。好ましくは少なくとも1の上述の酸性基が当該酸性オリゴ糖の末端ヘキソースユニットに位置する。好ましくは、当該酸性オリゴ糖は、図1に記載されるとおりの構造を有し、ここで、末端ヘキソース(左)は好ましくは二重結合を有する。好ましくは当該酸性オリゴ糖はカルボン酸を末端ヘキソースユニットに含み、ここで、前記カルボン酸基は、遊離またはエステル化されてもよい。本方法および組成物において適切に使用可能なエステル化ペクチン加水分解物の製造方法は、WO 01/60378 および/または WO02/42484に提供されており、これらは引用することによってここに組み込まれる。
【0039】
末端ヘキソースユニット以外の当該ヘキソースユニットは、好ましくは、ウロン酸ユニット、より好ましくはガラクツロン酸ユニットである。これらのユニットにおけるカルボン酸基は遊離または(部分的に)エステル化されてもよく、好ましくは少なくとも10%がメチル化される(以下を参照されたい)。
【0040】
図1.重合酸性オリゴ糖
【化4】

【0041】
ここで:
Rは、好ましくは、水素、ヒドロキシまたは酸性基からなる群より選択され、好ましくはヒドロキシ であり;および
R2、R3、R4 およびR5からなる群より選択される少なくとも1は、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコロイルノイラミン酸、遊離またはエステル化カルボン酸、硫酸基およびリン酸基を表し、残りの R2、R3、R4 および R5 はヒドロキシおよび/または水素を表す。R2、R3、R4およびR5からなる群より選択される好ましい1は、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコロイルノイラミン酸、遊離またはエステル化カルボン酸、硫酸基またはリン酸基を表し、残りはヒドロキシおよび/または水素を表す。R2、R3、R4およびR5からなる群より更に好ましく選択される1は、遊離またはエステル化カルボン酸を表し、残りのR2、R3、R4およびR5は、ヒドロキシおよび/または水素を表す;および
nは整数であり、ヘキソースユニットの数を示し(以下の重合度も参照されたい)、これは何れのヘキソースユニットでもよい。適切なnは、1〜5000整数である。好ましい当該ヘキソースユニットはウロン酸ユニットである。
【0042】
最も好ましいR1、R2およびR3は、ヒドロキシであり、R4は水素、R5はカルボン酸を示し、nは1〜250、好ましくは1〜10の何れかの数であり、当該ヘキソースユニットはガラクツロン酸である。
【0043】
本方法において使用される場合、好ましい酸性オリゴ糖の検出、測定および分析は、酸性オリゴ糖に関連する出願人の初期の特許出願、即ち、WO 0/160378に挙げられており、当該文献は引用することによりここに組み込まれる。
【0044】
好ましくは、当該酸性オリゴ糖は、1、好ましくは2、末端ウロン酸ユニットを有し、これは遊離またはエステル化でもよい。好ましい当該末端ウロン酸ユニットは、ガラクツロン酸、グルクロン酸、グルロン酸(グルウロン酸)、イズロン酸、マンヌロン酸、リブロン酸およびアルツロン酸からなる群より選択される。これらのユニットは、遊離またはエステル化されてあってもよい。更により好ましくは態様において、末端ヘキソースユニットは、二重結合を有し、これは好ましくは末端ヘキソースユニットのC4およびC5の位置の間に位置する。好ましくは1の末端ヘキソースユニットが、二重結合を含む。当該末端ヘキソース(例えば、ウロン酸)は、好ましくは、図2に示す構造を有する。
【0045】
図2.好ましい末端ヘキソース酸性基
【化5】

【0046】
ここで;
Rは、好ましくは水素、ヒドロキシまたは酸性基からなる群より選択され、好ましくはヒドロキシ(上記を参照されたい)であり;および
R2、R3、R4およびR5からなる群より選択される少なくとも1は、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコロイルノイラミン酸、遊離またはエステル化カルボン酸、硫酸基およびリン酸基を示し、および残りの R2、R3、R4およびR5は、ヒドロキシおよび/または水素を示す。好ましくはR2、R3、R4およびR5からなる群より選択される少なくとも1は、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコロイルノイラミン酸、遊離またはエステル化カルボン酸、硫酸基およびリン酸基を示し、残りのR2、R3、R4およびR5は、ヒドロキシおよび/または水素を示す。更により好ましくは、R2、R3、R4およびR5からなる群より選択される1は、遊離またはエステル化カルボン酸を示し、残りのR2、R3、R4およびR5は、ヒドロキシおよび/または水素を示す;nは整数であり、ヘキソースユニットの数を示し(以下の重合度を参照されたい)、何れのヘキソースユニットであってもよい。適切なnは1〜5000の整数であり、ヘキソースユニットの数を示し、前記ヘキソースユニットは、好ましくはウロン酸であり、更により好ましくはガラクツロン酸ユニットである。これらのユニットにおける当該カルボン酸基は、遊離または(部分的に)エステル化されてあってもよく、好ましくは、少なくとも部分的にメチル化されている。より好ましくは、R2およびR3はヒドロキシを示し、R4は水素を示し、R5は、遊離またはエステル化カルボン酸を示す。
【0047】
更なる態様において、酸性オリゴ糖の混合物が使用され、それは異なるDPを有するおよび/または不飽和および飽和末端ヘキソースユニットの両方を含有する。好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、更により好ましくは少なくとも25%の酸性オリゴ糖不飽和ヘキソースユニットの末端ヘキソースユニットである(例えば、Fig.2を参照されたい)。各個の酸性オリゴ糖は、好ましくは1のみの不飽和の末端ヘキソースユニットを有し、好ましくは50%以下の末端ヘキソースユニットが不飽和のヘキソースユニットである(即ち、二重結合を有する)。
【0048】
酸性オリゴ糖の混合物は、ヘキソースユニットの総量に基づいて好ましくは2〜50%の不飽和のヘキソースユニット、好ましくは10〜40%を有する。
【0049】
本方法において使用されるような当該酸性オリゴ糖は、重合度(DP)が1〜500、好ましくは1〜1000、より好ましくは2〜250、更により好ましくは2〜50、最も好ましくは2〜10の程度を有する。仮に異なる重合度の酸性オリゴ糖の混合物を使用する場合、当該酸性オリゴ糖混合物の平均DPは、好ましくは2〜1000、より好ましくは3〜250、更により好ましくは3〜50である。また、図1を参照すると、ここで「n」と末端ユニットの和(即ち、n+1)は、重合度を表す。当該オリゴ糖のより低いDPが嗜好性を改善し、当該酸性オリゴ糖が液体形態で投与された場合、低粘度製品を得られることが明らかになった。当該酸性オリゴ糖は、均一または不均一な炭水化物であってよい。
【0050】
本発明において使用される当該酸性オリゴ糖は、好ましくはペクチン、ペクテート、アルギネート、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン、細菌性炭水化物、シアログリカン、フコイダン(fucoidan)、フコオリゴ糖(fucooligosaccharides)またはカラゲナンから製造され、好ましくはペクチンまたはアルギネートから製造される。当該酸性オリゴ糖は、WO 01/60378に記載される方法により製造されてもよく、当該文献は引用することによりここに組み込まれる。
【0051】
アルギネートは、直鎖上の枝分かれのない重合体であり、広範なへ平均分子量(100-100000残基)を有すβ-(1→4)-結合D-マンヌロン酸およびα(1→4)-結合L-グルロン酸(guluronic acid)残基を含む。適切なアルギネートの供給源は海藻および細菌性アルギネートを含む。
【0052】
ペクチンは、主に2つに分類される:高メトキシレートペクチン、これはメトキシレーションの程度が50%以上であることにより、更に、低メトキシレートペクチンは50未満のメトキシレーションの程度を有することにより特徴付けられる。ここで使用されるとき、「メトキシレーションの程度」(また、DEまたは「エステル化の度合い」とも称する)は、当該ポリガラクツロン酸鎖に含まれる遊離カルボン酸基が、(例えば、メチル化などにより)エステル化されている程度を意味することを意図する。本酸性オリゴ糖は、好ましくは高メトキシル化ペクチンから製造される。
【0053】
当該酸性オリゴ糖は、好ましくは20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上のメトキシル化の程度により特徴付けられる。好ましくは、当該酸性オリゴ糖は、約20%、好ましくは約50%、更に好ましくは約70%のメチル化の程度を有する。
【0054】
当該酸性オリゴ糖は、好ましくは1日当り約10mg〜100グラム、好ましくは1日当り100mg〜50グラム、より好ましくは1日当り0.5〜20グラムの量で投与される。
【0055】
中性オリゴ糖
本発明において使用される用語当該中性オリゴ糖は、モノースユニット(monose units)の2を超える、より好ましくは3を超える、より更に好ましくは4を超える、最も好ましくは10を超える重合度を有し、ヒト上部消化管(小腸および胃)に存在する酸または消化酵素の作用によって当該腸において消化されないか、少なくとも部分的に消化されるが、ヒト腸管叢および好ましくは欠乏酸基(lack acidic group)により発酵する糖類をいう。当該中性オリゴ糖は、構造的に(科学的に)酸性オリゴ糖とは異なる。本発明において使用される用語中性オリゴ糖は、好ましくは60モノースユニット以下、好ましくは40以下、より好ましくは20以下、最も好ましくは10以下のオリゴ糖の重合の程度を有する糖類をいう。用語モノースユニットは、閉環構造、好ましくはヘキソース、例えば、ピラノースまたはフラグメントノース形態を有するユニットをいう。
【0056】
中性オリゴ糖は、マンノース、アラビノース、フルクトース、フコース、ラムノース、ガラクトース、β-D-ガラクトピラノース、リボース、グルコース、キシロースおよびその誘導体からなる群より選択されるモノースユニットを、その中に含まれるモノースユニットの総数で計算して、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%のモノースユニットで含有する。
【0057】
適切な中性オリゴ糖は、好ましくは腸叢によって形成される。好ましくは当該オリゴ糖は、以下からなる群より選択される:
セロビオース(4-O-β-D-グルコピラノシル-D-グルコース)、セロデキストリン(cellodextrins)((4-O-β-D-グルコピラノシル)-D-グルコース)、β-シクロデキストリン(環状分子のα-1-4-結合D-グルコース;α-シクロデキストリン-ヘキサマー、β-シクロデキストリン-ヘプタマーおよびγ-シクロデキストリン-オクタマー)、難消化性デキストリン、ゲンチオオリゴ糖(β-1-6結合グルコース残基、幾つかの1-4結合の混合物)、グルコオリゴ糖(α-D-グルコースの混合物)、イソマルトオリゴ糖 (幾つかの1-4結合を伴う直鎖状α-1-6結合グルコース残基)、イソマルトース (6-O-α-D-フルコピラノシル-D-グルコース);イソマルトリオース (6-O-α-D-グルコピラノシル-(1-6)-α-D-グルコピラノシル-D-グルコース)、パノース(6-O-α-D-フルコピラノシル-(1-6)-α-D-グルコピラノシル-(1-4)-D-グルコース)、ロイクロース (5-O-α-D-グルコピラノシル-D-フルコトピラノシド)、パラチノースまたはイソマルツロース(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-フルクトース)、シアンデロース(O-α-D-グルコピラノシル-(1-6)-O-α-D-グルコピラノシル-(1-2)-B-D-フルクトフラノシド)、D-アガトース、D-リキソ-へクスロース、ラクトスクロース(O-β-D-ガラクトピラノシル-(1-4)-O-α-D-グルコピラノシル-(1-2)-β-D-フルクトフラノシド)、α-ガラクトオリゴ糖、これはラフィノース、スタキオースおよび他のダイズオリゴ糖(O-α-D-ガラクトピラノシル-(1-6)-α-D-グルコピラノシル-β-D-フルクトフラノシドを含み、β-ガラクトオリゴ糖またはトランスガラクトオリゴ糖(β-D-ガラクトピラノシル-(1-6)-[β-D-グルコピラノシル]-(1-4)α-D グルコース)、ラクツロース (4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-フルクトース)、4'-ガラトシルラクトース(O-D-ガラクトピラノシル-(1-4)-O-β-D-グルコピラノシル-(1-4)-D-グルコピラノース)、合成ガラクトオリゴ糖(ネオガラクトビオース、イソガラクトビオース、ガルスクロース(galsucrose)、イソラクトースI、IIおよびIII)、フルクタンス-レバンタイプ(β-D-(2→6)-フルクトフラノシル) α-D-グルコピラノシド)、フルクタンス-イヌリンタイプ(β-D-((2→1)-フルクトフラノシル) α-D-グルコピラノシド)、1 f-β-フルクトフラノシルニストース (β-D-((2→1)-フルクトフラノシル)β-D-フルクトフラノシド)、キシロオリゴ糖 (B-D-((1→4)-キシロース)、ラフィノース、ラクトスクロースおよびアラビノオリゴ糖。
【0058】
更なる好ましい態様に従うと、当該中性オリゴ糖は、フラクタンス、フルクトオリゴ糖、難消化性デキストリン ガラクトオリゴ糖(トランスガラクトオリゴ糖を含む)、キシロオリゴ糖、アラビノオリゴ糖、グルコオリゴ糖、マンノオリゴ糖、フコオリゴ糖およびその混合物からなる群より選択される。最も好ましい中性オリゴ糖は、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、およびトランスガラクトオリゴ糖からなる群より選択される。
【0059】
適切なオリゴ糖およびその製造方法は、更にラーエル K.J.M.(Laere、K.J.M.)に記載され、この完全な内容は、引用によりここに組み込まれる(「構造的に異なる非消化性オリゴ糖の腸管細菌:Bi.アドレスセンチスのグリコシルヒドロラーゼ:による分解」(Degradation of structurally different non-digestible oligosaccharides by intestinal bacteria: glycosylhydrolases of Bi. adolescentis.) PhD-thesis (2000)、Wageningen Agricultural University、Wageningen、The Netherlands)。
【0060】
トランスガラクトオリゴ糖(TOS)は、例えば、登録商標ビビナル(Vivinal(登録商標)(Borculo Domo Ingredients、Netherlands)として販売されている。
【0061】
難消化性デキストリンは、トウモロコシデンプンの熱分解により製造することが可能であり、これは、α(1→4)およびα(1→6)グルコシド結合を含み、天然のデンプンにおいて存在する場合には、1→2および1→3結合を含む左旋性グルコサンを含む。これらの構造的特徴のために、難消化性デキストリンは、良好に開発され、枝分かれした粒子を含み、部分的にヒト消化酵素により加水分解される。
【0062】
多数の他の商業的供給源の難消化性オリゴ糖は容易に入手でき、当業者に公知である。例えば、トランスガラクトオリゴ糖は、ヤクルト(Yakult Honsha Co.、東京、日本)から入手可能である。ダイズオリゴ糖はカルピス(味の素 U.S.A Inc.(Ajinomoto U.S.A. Inc.)より配給されるカルピス・コーポレーション(Calpis Corporation)、Teaneck、N.J.)から入手可能である。
【0063】
更に好ましい態様において、本方法は、2つの化学的に異なるオリゴ糖を投与することを具備する。2つの化学的に異なる中性オリゴ糖と組合わせて酸性オリゴ糖を投与することで、最適な効果が提供されることが明らかになった。好ましくは、本方法は、以下の投与を具備する;
− 酸性オリゴ糖(上述を参照されたい)
− ガラクトースベースの中性オリゴ糖(>50%のモノースユニットがガラクトースである)、好ましくは、ガラクトオリゴ等およびトランスガラクトオリゴ糖からなる群より選択される;および
− フルクトースおよび/またはグルコースベース中性オリゴ糖(>50%のモノースユニットがフルクトースおよび/またはグルコース、好ましくはフルクトース)、好ましくはイヌリン、フルクタン(fructan)および/またはフルクトオリゴ糖、最も好ましくは長鎖のフルクトオリゴ糖(平均DPが10〜60)。
【0064】
この組成物は、特に0〜1歳の年齢の乳児に対する投与に適している。
【0065】
更なる態様において、本方法は、2の構造的(化学的)に異なるオリゴ糖を投与することを具備し、ここで、2の構造的(化学的)に異なるオリゴ糖は、それらのグリコシド結合の種類によって区別される。
【0066】
好ましくは当該方法は、2の化学的に異なる中性オリゴ糖を投与することを具備し、前記化学的に異なるオリゴ糖は、異なるDPおよび/または異なる平均DP、好ましくは異なる平均DPを有する。更なる態様において、異なる平均DPを有する化学的に異なる中性オリゴ糖の投与は、より最適な免疫調節の効果までも提供する。好ましいガラクトースベースの中性オリゴ糖は、2〜10の平均DPを有し、フルクトースおよび/またはグルコースベースの中性オリゴ糖は10〜60の平均DPを有する。
【0067】
当該中性オリゴ糖は好ましくは、1日当り10 mg〜100グラム、好ましくは1日当り100 mg〜50グラム、更により好ましくは1日当り0.5〜20グラムの量で投与される。
【0068】
酸性および中性オリゴ糖の相乗効果
酸性および中性オリゴ糖は相乗的な免疫刺激効果を有することが明らかになった。それ故、好ましくは本方法は、治療有効量の酸性オリゴ糖と中性オリゴ糖を投与することを具備する。
【0069】
酸性および中性オリゴ糖の混合は好ましくは、1日当り10 mg〜100グラム、好ましくは1日当り100 mg〜25グラム、より好ましくは1日当り0.5〜20グラムの量で投与される。
【0070】
酸性オリゴ糖と中性オリゴ糖の好ましい組合せは、図2の酸性オリゴ糖を含み、
ここで、
Rは水素、ヒドロキシまたは酸性基、好ましくはヒドロキシを示し;R2、R3、R4およびR5からなる群より選択される1が、遊離またはエステル化カルボン酸を示し、および残りのR2、R3、R4およびR5は、ヒドロキシおよび/または水素を示し;およびガラクトオリゴ糖および/またはトランスガラクトオリゴ糖である。
【0071】
好ましい酸および中性オリゴ糖は、重量比で0.01:1〜1:0.01、好ましくは重量比で0.1:1〜1:0.1で投与される。
【0072】
LCPUFA
好ましい態様において、本方法は更に、長鎖多価不飽和酸(LCPUFA)の投与を具備する。これらが、酸性オリゴ糖または中性オリゴ糖とは異なる機序を介して免疫系において作用していると考えられる通り、LCPUFAと組合わせたオリゴ糖は、相乗的に作用すると考えられる。本方法は、好ましくは1日当り0.1〜100gのLCPUFA、より好ましくは1日当り1〜25グラムのLCPUFAを投与することを具備する。
【0073】
食品
酸性オリゴ糖、特に酸性オリゴ糖と中性オリゴ糖との相乗的な混合物は、食品、例えば、ベビーフードおよび臨床的食品などに適用されても有利であることが明らかになった。そのような食品は、好ましくは脂質、蛋白質および炭水化物を含有し、好ましくは液体形態で投与される。本発明において使用される際の「液体食品」の語は、乾燥食品(例えば、粉末など)を含み、それは前記乾燥食品混合物を適切な液体(例えば、水など)と混合することに関しての指示を伴うものである。それ故、本発明はまた、栄養学的組成物であって、好ましくは5〜50en%の脂質、10〜60%の蛋白質、15〜90%の炭水化物および、好ましくは中性オリゴ糖との組合わせての本酸性オリゴ糖を含む栄養学的組成物に関する。好ましくは本栄養学的組成物は、好ましくは10〜30en%の脂質、15〜40en%の蛋白質および25〜75en%の炭水化物を含む(en%は、エネルギーパーセンテージの略であり、当該調製品の総カロリー値に寄与する各成分の相対量を表す)。
【0074】
そのような食品は好ましくは、液体形態であり、制限された粘度を有する。任意に中性オリゴ糖と組合わされる酸性オリゴ糖を含む食品は、十分に低粘度の液状栄養物を提供し、それによって、例えば、低粘度を保持したままチューブまたはストローを介して摂食し得る液体乳児食品および液体治療的食品などに適用することが可能であることが明らかになった。好ましい態様において、本組成物は、600mPas以下、好ましくは250mPas以下、より好ましくは50mPas以下、最も好ましくは25mPas以下の粘度を、ずり速度100s-1で、20℃で有する。本文章において粘度の語が使用される場合はいつでも、これが、以下の方法に従って測定された物理的なパラメータをいう:
当該粘度は、キャリー・メドCSLレオメータ(Carri-Med CSL rheometer)を使用して測定され得る。使用されるジオメトリーは、円錐体形(6cm 2 deg アクリル円錐体)であり、プレートとジオメトリーとの間の隔たりは、55μmに設定される。直線的に連続する勾配のずり速度は20秒間で、0〜150s-1で使用された。
【0075】
好ましくは植物性脂質が使用される。当該植物性脂質は、好ましくは、ダイズ油、パーム油、ヤシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、アブラナ油およびレシチンからなる群より少なくとも1選択される。動物性脂肪、例えば、乳脂肪なども所望に応じて添加されてもよい。
【0076】
栄養学的製造物において使用される蛋白質は、非ヒト動物蛋白質(例えば、乳蛋白質、肉蛋白質および卵蛋白質など)、植物性蛋白質(例えば、ダイズ蛋白質、コムギ蛋白質、コメ蛋白質およびエンドウ蛋白質など)、遊離アミノ酸およびその混合物からなる群より好ましくは選択される。牛乳蛋白質、例えば、カゼインおよび乳清蛋白質は特に好ましい。
【0077】
消化可能な炭水化物の供給源は、栄養学的剤形に対して添加されてもよい。好ましくは、約40%〜約80%のエネルギーの栄養学的組成物が提供される。何れかの適切な(供給源からの)炭水化物が使用されてもよく、例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、トウモロコシシロップ固形物、およびマルトデキストリンおよびその混合物などが使用されてもよい。本組成物は好ましくは実質的に遊離の生存可能な細菌である。
【0078】
便の不規則性(例えば、硬い便、不十分な便量、下痢など)は、液体食品を受けている多くの乳児および病気の対象において主な問題である。便の問題は、本オリゴ糖を、重量モル浸透圧濃度50〜500mOsm/kg、より好ましくは100〜400mOsm/kgを有する液体食品中で投与することにより減少可能であることが分かった。
【0079】
また、上記の観点において、当該液体食品が過剰なカロリー量を有さず、しかしながら、なお十分なカロリーを当該対象に与えることを提供することも重要である。それ故、液体食品は、好ましくは0.1〜2.5kcal/mlのカロリー密度、更により好ましくは0.5〜1.5kcal/mLのカロリー密度を有する。
【0080】
[乳幼児処方]
本組成物が、乳幼児処方のために有利に適用され得ることが明らかになった。そのような乳幼児処方は、好ましくは脂質、蛋白質および炭水化物を含み、好ましくは液体形態において投与される。本発明において使用される「液体食品」の語は、乾燥食品(例えば、粉末など)を含み、これは、前記乾燥食品混合物を適切な液体(例えば、水など)と混合するようにとの指示を伴う。
【0081】
それ故、本発明はまた、乳幼児処方であって、好ましくは5〜60en%の脂質、5〜40en%の蛋白質、15〜90en%の炭水化物およびオリゴ糖とLC-PUFAの本組合わせを含む乳幼児処方に関する。好ましくは本乳幼児処方は30〜60en%の脂質、6〜15en%の蛋白質および25〜75en%の炭水化物を含む(en%はエネルギーパーセンテージの略であり、当該製造物の総カロリー値に寄与する各成分の相対量を表す)。
【0082】
好ましくは植物脂質と、魚油およびオメガ-3含有野菜、藻類または細菌油からなる群より選択される少なくとも1との組合わせが使用される。
【0083】
当該栄養学的製造物において使用される蛋白質は、非ヒト動物性蛋白質(例えば、乳蛋白質、肉蛋白質および卵蛋白質など)、植物性蛋白質(例えば、ダイズ蛋白質、コムギ蛋白質、コメ蛋白質およびエンドウ蛋白質など)、遊離アミノ酸およびその混合物からなる群より好ましく選択される。牛乳由来の窒素供給源、特に牛乳蛋白質、カゼインなどの蛋白質、乳清蛋白質は特に好ましい。
【0084】
消化性炭水化物の供給源が当該栄養学的処方に添加されてもよい。好ましくは約40%〜約80%のエネルギーの栄養学的組成物が提供される。何れの適切な(供給源からの)炭水化物も使用されてよく、例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、トウモロコシシロップ固形物、およびマルトデキストリン、並びにその混合物が使用され得る。
【0085】
特に好ましい態様に従うと、本乳幼児用剤形は、7〜12エネルギー%蛋白質;40〜55エネルギー%の炭水化物;および35〜50エネルギー%の脂肪を含む。この組成物が特に適切に使用され乳幼児におけるアレルギー性反応が減少するため、当該乳幼児剤形の蛋白質は好ましくは、加水分解された乳蛋白質(例えば、加水分解されたカゼインまたは加水分解された乳清蛋白質など)、植物性蛋白質および/またはアミノ酸からなる群より選択される。これらの蛋白質の使用は、更に、当該乳幼児におけるアレルギー反応を減少する。
【0086】
便の不規則性(例えば、硬い便、不十分な便量、下痢など)は、液体食品を受けている多くの乳幼児において主な問題である。便の問題(例えば、下痢など)は、重量モル浸透圧濃度50〜500mOsm/kg、より好ましくは100〜400mOsm/kgを有する液体食品中で本オリゴ糖を投与することにより減少させることが可能であると分かった。
【0087】
特に好ましい態様において、本発明はまた、本発明の方法において特に適切に使用される組成物をも提供する。この組成物は、機能性および分子構造において天然の母乳に高い類似性を有している。それ故に、当該組成物は、特に乳児処方として適切である。本組成物は、脂肪、炭水化物、蛋白質;および100mLの液体製品当り、0.5〜1グラムの可溶性難消化性オリゴ糖、好ましくは0.7〜0.9グラム/100mLの可溶性難消化性オリゴ糖を含む。更に当該組成物は、液体製品100mL当り、0.4〜0.7グラムのトランスガラクトオリゴ糖(β結合のサッカライドを含む難消化性 [ガラクトース]n-グルコース;ここで、nは1〜60の整数、即ち、2、3、4、5、6、…、59、60である;好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される);更に0.01〜0.1グラムイヌリン(少なくとも10のβ結合フルクトースユニットの鎖を含む難消化性ポリサッカライド炭水化物);図2に記載の通りの0.04〜0.3グラムの酸性オリゴ糖を含む。本液体製品は、消費者によって粉末製品から適切に調製され得る。本液体製品は好ましくは、当該成分を含み、ここに以前およびここ以降に記載される通りの特徴を有し、ここに記載される方法において都合よく使用され得る。
【0088】
オリゴ糖
当該酸性オリゴ糖は、好ましくは本発明に従う本組成物中に、当該組成物の総乾燥重量を基に0.1wt.%以上およびより好ましくは0.2wt.%以上で、更により好ましくは1wt.%以上の量で含まれる。オリゴ糖のかなりな量の投与も一般的には望ましくない副作用を引き起こさないであろうということにも拘わらず、本組成物は、好ましくはオリゴ糖含量20wt.%、より好ましくは10wt.%、更により好ましくは5wt.%以下で含む。
【0089】
当該中性オリゴ糖は、好ましくは本組成物において当該発明に従って、当該組成物の総乾燥重量に基づいて0.1wt.%を超える、好ましくは0.2wt.%を超える、より好ましくは0.5wt.%を超える、更により好ましくは1wt.%を超える量で含まれる。かなりの量のオリゴ糖が一般的には副作用を引き起こしにくいにも拘わらず、本組成物は、好ましくはオリゴ糖を20wt.%以下、より好ましくは10wt.%以下、より好ましくは5wt.%以下の含有量で有する。
【0090】
本組成物が、免疫系を相乗的に刺激することが分かった。それ故、当該組成物は、感染の治療および/または予防のための方法において適切に使用され得るものであり、前記方法は、ヒト、好ましくは乳幼児に、当該組成物を経口投与することを具備する。当該免疫系の刺激によって、および健康な腸管叢を促進することにより、当該組成物はまた、全身的な抗感染効果も有する。それ故、当該酸性オリゴ糖は、好ましくは、本中性オリゴ糖との組合わせにおいて、腸管感染および/または呼吸器管感染を治療および/または予防するために有利に使用できる。更なる好ましい態様において、オリゴ糖は、上述のとおり食品混合物中で経口投与される。
【0091】
免疫系の刺激が癌に罹患する対象において特に重要であることから、特に、そのような患者または化学療法、放射線照射を受けている患者または受け続けてきた患者、および(典型低に癌の末期相において生じるような)悪液性であるそのような患者において、本発明は、これらの対象の治療のための方法であって、前記方法が当該酸性オリゴ糖、好ましくは本中性オリゴ糖との組合わせにおける腸内への投与を具備する方法を提供する。本(酸性)オリゴ糖は、好ましくはこれらの対象に対して栄養学的の基質、即ち、脂肪、蛋白質および炭水化物を含む組成物中で提供される。
【0092】

[例1]
実験の構成
任意に中性オリゴ糖との組合わせでの酸性オリゴ糖を含む食餌の効果を、Th1免疫応答のパラメータである遅延型過敏症(the delayed-type hypersensitivity (DTH))反応において試験し、局所的な抗原誘発後の耳の腫脹の増加を測定することにより決定した。
【0093】
使用した酸性オリゴ糖(AcOl)は、平均DPが2〜10を有し、WO 02/42484 (例1を参照されたい)に記載の方法により得た。食餌の総重量を基本にした1wt.%、2.5wt.%、5wt.%および10wt.%のAcOlを含有する食餌を試験した。ガラクトオリゴ糖(GOS)(Vivinal-GOS(登録商標) (Borculo Domo Ingredients、オランダ)およびフルクトオリゴ糖(FOS)(Raftiline HP(登録商標)、Orafti、Tienen、ベルギー)を含有する中性オリゴ糖混合物(GF)を、重量比GOS:FOSで9:1で使用した。当該食餌の総重量を基本にして1、2.5および5wt.%GFを含む食餌を試験した。酸および中性オリゴ糖(GFおよびAcOl) の組合わせの効果を、当該食餌の総重量を基本として1wt.%GFおよび1wt.%AcOlを含む食餌を試験した。
【0094】
全てのデータは、コントロール値に相対するパーセンテージとして表した。即ち、コントロール食餌(オリゴ糖なし)を受けた群に比較するオリゴ糖補足群の相対値で示した。
【0095】
動物および食餌
雌性、6週齢C57Bl/6マウス(Harlan Nederland BV、Horst、オランダ)を定期的な12時間明/暗管理下でグループハウスにいれた。グループサイズは、1グループ当り10匹であり、ネガティブコントロールグループにおいては3匹とした。当該動物には、半合成食(Research Diet Services、Wijk bij Duurstede、オランダ)を与えた。コントロール食は、AIN93G規格で製造され(Reeves et al (1993) Development and Testing of the AIN93 purified diets for rodents: results on growth kidney calcification and bone mineralisation in rats and mice. J Nutrition 123(11): 1923-31)、オリゴ糖補足食は、これらの規格を基本にした。当該補足食の炭水化物含有量は、重量を基準にしてオリゴ糖と総炭水化物との交換によって一定を維持した。異なる炭水化物成分は、当該餌におけるそれらの通常比にそれぞれ置換された。通常食の炭水化物は、コーンスターチ(総重量の40%)、糊精化コーンスターチ(13.2%)、スクロース(10%)およびセルロース(5%)からなる。
【0096】
ワクチン接種プロトコール
ワクチン接種は、新たなハウジングと餌への順応の2〜4週間の期間の後に開始した。0日目、血液サンプルをワクチン接種に先駆けて採取した。1日目、第1回目のワクチン接種を皮下投与した。3週間後、血液サンプルを採取し(21日目)、追加免疫ワクチン接種を行った(22日目)。追加免疫注射の9日目(31日目)、基礎の耳の厚さをデジマティック・アウトサイズ・マイクロメーター(Digimatic outside micrometer(Mitutoyo、Veenendaal、オランダ))を用いて測定し、遅延型過敏症(DTH)反応を抗原溶液を当該マウス耳介にi.c.(皮内)注射することにより誘導した。その24時間後(32日目)、当該DTH反応を測定し、血液サンプルを採取し、当該マウスを屠殺した。脾臓を単離し、ex-vivoで再刺激するために調製した。
【0097】
当該ワクチン接種は、抗原溶液と刺激用アジュバント(Stimune adjuvant (Specol、Cedi-diagnostics BV、Lelystad、オランダ))との1:1混合比の100μLのi.c.(皮内)注射からなる。抗原溶液は、インフルバック(Influvac)2002/2003 (Solvay Pharmaceuticals、Weesp、the Netherlands)をPBS中で1:100希釈した。インフルバックは、三価の蛋白質ワクチンであり、3つの異なるインフルエンザ株の赤血球凝集素を3x30μg/mL含む。
【0098】
DTH反応のために、マウスに25μLの透析されたインフラバックをi.c.注射でDTHチャレンジとして両耳に注射した。
【0099】
細胞培養
脾細胞を脾臓からファインメッシュセルストレイナー(Becton Dickinson、Erembodegem、Belgium)を使用して単離した。赤血球細胞を氷上での5分間のインキュベーションにより溶解した。フェノールレッドを含まない培地で洗浄した後、細胞を数え(コールターカウンター、Beckman Coulter、the Netherlands)、氷上で維持した。培養物を0.1μg/mLの透析されたインフルバックを刺激として使用してセットした。細胞は96ウェル培養プレートに1ウェル当り1*10個で播種した。当該培地は、HEPESバッファーおよび2mMのL-グルタミン(Invitrogen、Merelbeke、Belgium)および10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むPRMI-1640からなる。培養物は、5日間37℃で5%CO2でインキュベートした。その後、上清を採取し、-80℃で分析されるまで凍結された。細胞増殖は、培養と平衡する3H-チミジンの取り込みによって、0.4μCu/ウェルで少なくとも18時間の間当該培養物に対して添加することによって測定した。5日後、当該細胞をフィルターメイトハーベスター(Filtermate harvester (Perkin Elmer、Zaventem、ベルギー))を使用して回収し、ミクロ-ベータカウンター(Micro-Beta counter (Perkin Elmer、Zaventem、Belgium))でカウントした。放射性崩壊は、1ウェル当り1分間測定し、1分当りのカウント(cpm)を増殖速度の程度として記録した。
【0100】
サイトカインは、インフルバックで刺激された培養物の上清中で分析した。IL-2、IL-5、IL-10およびIFN-ガンマは、バイオ-プレックスシステム(Bio-Plex system)を言及されたサイトカインのためのカスタム混合ビーズセット(Bio-Rad、Veenendaal、オランダ)と共にを使用して測定した。サイトカインは製造者の仕様書に従って測定した。IL-4は、製造者の仕様書に従って、ファーミンゲン・OptEIAマウスIL-4キット(Pharmingen OptEIA mouse IL-4 kit (Becton Dickinson、Erembodegem、Belgium))を使用してELISAにより測定した。
【0101】
[結果]
DTH反応酸性オリゴ糖
1 wt.%、2.5 wt.%および5 wt.%のAcOlの用量を含む餌は、統計学的に有意なDTH反応の増加を誘導し、用量依存性の増加を示した(表1を参照されたい)。当該観察された効果は、本方法の酸性オリゴ糖の有利な使用を示している。
【表1】

【0102】
DTH応答酸性および中性オリゴ糖
1 wt.% GFと1 wt.% AcOlとの組合わせは、統計学的に有意なDTHの増加を誘導する(表2を参照されたい)。当該効果が、酸性または中性オリゴ糖単独で含む餌によるDTH反応よりも顕著に高いものであることから、これらの結果は、酸性および中性オリゴ糖の投与により提供される相乗作用を示すものである。観察された効果は、本方法における酸性および中性オリゴ糖の組合わせの有利な使用を示すものである。
【表2】

【0103】
酸性オリゴ糖のインフルバック特異的増殖
2.5 wt%および5 wt.%の酸性オリゴ糖s (AcOl)を含む餌の投与は、ex vivoでのインフルバック特異的増殖の影響の顕著な低下を誘導する(表3を参照されたい)。当該観察された効果は、本方法における酸性オリゴ糖の有利な使用を示すものである。
【0104】
酸及び中性オリゴ糖の組合わせのインフラバック特異的増幅
1 wt.% GFおよび1 wt.% AcOlの組合わせの投与は、抗原特異的増殖において顕著な減少効果を誘導する(表3を参照されたい)。当該効果が酸性または中性オリゴ糖を単独で含有する餌からのDTH反応を有意に改善することから、これらの結果は、酸性および中性オリゴ糖の投与により提供される相乗的作用と示されるものである。当該観察された効果は、本方法の酸性及び中性オリゴ糖の組合わせの有利な使用を示すものである。増殖の減少は、本方法のTh2反応の減少、およびTh1/Th2バランス効果を示すものである。
【表3】

【0105】
Th1/Th2バランス:酸性オリゴ糖投与後のサイトカインプロフィール
サイトカイン増幅は、インフラバック特異的脾細胞の培養上清で測定された。データは、ワクチン接種されたコントロール群(即ち、何れのオリゴ糖も受けない群)の値に相対するパーセンテージとして表す。コントロールに比べて、2.5 wt.% and 5 wt.% AcOlを含む餌は、Th2関連サイトカインIL-4、IL-5およびIL-10の低下を生じ、一方では、Th1関連サイトカインIL-2は増加し、IFN-γは顕著に低下しなかった(表4を参照されたい)。これらの結果は、酸性オリゴ糖のTh1/Th2バランス効果を示し、本方法における酸性オリゴ糖の有利な使用、例えば、相対的に低いTh1免疫を伴う疾患の治療および/または予防のための使用などを示している。
【0106】
Th1/Th2平衡:酸性および中性オリゴ糖投与後のサイトカインプロフィール
コントロールに比較して、1 wt.% GTおよび1 wt.% AcOlの組合わせの投与は、Th2関連サイトカインIL-4、IL-5およびIL-10における減少を引き起こし、一方で、当該Th1-関連サイトカインIL-2およびIFN-γは低下しなかった(表4を参照されたい、ここにおいてデータは、ワクチン接種されたコントロール群(即ち、何れのオリゴ糖も受けなかった群)の値に相対的なパーセンテージとして示される)。これらの結果は、酸性および中性オリゴ糖の組合わせのTh1/Th2バランス効果を示し、更に、本方法における酸性オリゴ糖の有利な使用、例えば、相対的に低いTh1免疫を伴う疾患の治療および/または予防のための使用を示す。特に、IL-4/IFN比はTh2/Th1バランスを反映する。言い換えれば、低い割合は、Th1の刺激および/またはTh2の阻害を示し、ある場合においては、本オリゴ糖のTh1-Th2バランス効果を示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖の哺乳類における免疫系関連疾患の治療および/または予防の方法において使用するための組成物の製造における使用であって、前記方法が、前記哺乳類に酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖の治療有効量を含む組成物を投与することを具備する方法である使用。
【請求項2】
酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖の哺乳類における免疫応答を促進するための組成物の製造および/または哺乳類における免疫系を調節する方法における使用であって、前記方法が哺乳類に対して酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖を含む組成物を投与することを具備する方法である使用。
【請求項3】
請求項1に記載の使用であって、当該免疫系関連疾患が、自己免疫疾患、遺伝性または条件的誘導性免疫不全、ワクチン接種の補助、アレルギー1型、アレルギー2型、アレルギー3型およびアレルギー4型からなる群より選択される使用。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の使用であって、当該酸性オリゴ糖が少なくとも1の末端ウロン酸ユニットを含む使用。
【請求項5】
請求項4に記載の使用であって、当該ウロン酸ユニットがガラクツロン酸、グルクロン酸、グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、リブロン酸およびアルツロン酸からなる群より選択される使用。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の使用であって、前記末端ヘキソースユニットが以下の構造を有する使用:
【化1】

ここで:
Rは水素、ヒドロキシまたは酸性基からなる群より選択され;R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1は、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコロイルノイラミン酸、遊離またはエステル化カルボン酸、硫酸基およびリン酸基を表し、および残りのR、R、RおよびRはヒドロキシおよび/または水素を表し;nは、1〜5000の整数である。
【請求項7】
請求項4に記載の使用であって、当該末端ウロン酸が、請求項7に示される通りの構造を有し、ここで、Rは、水素、ヒドロキシまたは酸性基からなる群より選択される1を表し、;R、R、RおよびRからなる群より選択される1は、遊離またはエステル化カルボン酸を表し、;残りのR、R、RおよびRは、ヒドロキシおよび/または水素を表す使用。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の使用であって、当該酸性オリゴ糖は、1〜250、好ましくは1〜10の重合度を有する使用。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の使用であって、当該中性オリゴ糖は、セロビオース、セロデキストリン、B-シクロデキストリン、難消化性デキストリン、ゲンチオオリゴ糖s、グルコオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、イソマルトース、イソマルトリオース、パノース、ロイクロース、パラチノース、シアンデロース、D-アガトース、D-リキソ-へクスロース、ラクトスクロース、α-ガラクトオリゴ糖s、β-ガラクトオリゴ糖s、トランスガラクトオリゴ糖、ラクツロース、4'-ガラトシルラクトース、合成ガラクトオリゴ糖、フルクタンス-レバンタイプ、フルクタンス-イヌリンタイプ、1f-β-フルクトフラノシルニストース、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクトスクロースおよびアラビノオリゴ糖からなる群より選択される使用。
【請求項10】
請求項9に記載の使用であって、当該中性オリゴ糖が、ガラクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖およびトランスガラクトオリゴ糖からなる群より選択される使用。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の使用であって、当該組成物が、2つの化学的に異なる中性オリゴ糖、ガラクトースベースの中性オリゴ糖からなる群より選択される1およびフルクトースおよび/またはグルコースベースのオリゴ糖からなる群より選択される1とのを含む使用。
【請求項12】
請求項11に記載の使用であって、当該組成物は、フルクトオリゴ糖と、トランスガラクトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖から選択される少なくとも1とを含む使用。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の使用であって、当該方法が、当該組成物の経腸投与を具備する使用。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の使用であって、当該組成物が0〜1歳の年齢のヒトに対して投与される使用。
【請求項15】
5〜50en%脂質、10〜60en%の蛋白質、15〜90en%の炭水化物、酸性オリゴ糖および中性オリゴ糖を含む食品組成物であって、前記酸性オリゴ糖が、少なくとも1の末端ウロン酸ユニットを含み、並びに
前記中性オリゴ糖が、セロビオース、セロデキストリン、B-シクロデキストリン、難消化性デキストリン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、イソマルトース、イソマルトリオース、パノース、ロイクロース、パラチノース、シアンデロース、D-アガトース、D-リキソ-へクスロース、ラクトスクロース、α-ガラクトオリゴ糖、β-ガラクトオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、ラクツロース、4'-ガラトシルラクトース、合成ガラクトオリゴ糖、フルクタンス-レバンタイプ、フルクタンス-イヌリンタイプ、1f-β-フルクトフラノシルニストース、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクトスクロースおよびアラビノオリゴ糖からなる群より選択される食品組成物。
【請求項16】
請求項14に記載の組成物であって、当該酸性オリゴ糖が以下の構造である組成物:
【化2】

ここで;
Rは、水素、ヒドロキシまたは酸性基からなる群より選択され;R、R、RおよびRからなる群から選択される少なくとも1は、遊離またはエステル化カルボン酸であり、残りのR、R、RおよびRは、ヒドロキシおよび/または水素を表し;nは、1〜5000の整数であり;ヘキソースユニットの数を表し、前記ヘキソースユニットはウロン酸である。
【請求項17】
請求項14または15の何れか1項に記載の組成物であって、当該組成物は、0.1〜2.5kcal/mLの熱量密度を有する組成物。
【請求項18】
請求項14〜17の何れか1項に記載の組成物であって、当該組成物が、20℃、100s−1のずり速度で250mPasより下の粘度を有する組成物。
【請求項19】
脂肪、炭水化物および蛋白質を含む液体組成物であって、当該液体組成物の100mL当り0.5〜1の可溶性の難消化性オリゴ糖を含み、β結合糖を含む難消化性[ガラクトース]-グルコースを0.4〜0.7g含み、ここで、nは整数の1〜60、即ち、2、3、4、5、6、…59、60であり;少なくとも10のβ結合フルクトースユニット鎖を含む0.01〜0.1gの難消化性の多糖炭水化物;および0.04〜0.3gの酸性オリゴ糖であり、前記酸性オリゴ糖が請求項16のとおりの構造を有する組成物。
【請求項20】
哺乳類における自己免疫疾患、遺伝性または条件誘導性免疫不全、ワクチン接種の補助、アレルギー1型、アレルギー2型およびアレルギー3型からなる群より選択される免疫系関連疾患を治療および/または予防するための方法において使用されるための組成物製造における酸性オリゴ糖の使用であって、前記方法が請求項22に記載される酸性オリゴ糖の治療有効量を含む組成物を前記哺乳類に対して投与することを具備する使用。
【請求項21】
癌に罹患する対象、特に化学療法、放射線を受けていたか、受けている癌患者、および悪液質の癌患者を治療および/または予防する方法において使用する組成物の製造においての酸性オリゴ糖の使用であって、前記方法が、前記対象に対して請求項22に記載の酸性オリゴ糖の治療有効量を含む組成物を投与することを具備する使用。
【請求項22】
AIDSおよび/またはHIV感染の治療および/またはまたは予防のための組成物を製造するための以下の式を有する酸性オリゴ糖の使用:
【化3】

ここで、:
Rは、水素、ヒドロキシおよび酸性基からなる群より選択され;および
、R、RおよびRからなる群より少なくとも選択される1が、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコロイルノイラミン酸、遊離またはエステル化カルボン酸、硫酸基およびリン酸基を表し、残りのR、R、RおよびRは、ヒドロキシおよび/または水素を表し;および
nは1〜5000である。

【公表番号】特表2007−525483(P2007−525483A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536469(P2006−536469)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000750
【国際公開番号】WO2005/039597
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(505296821)エヌ.ブイ.・ヌートリシア (32)
【Fターム(参考)】