説明

免疫賦活用合剤および方法

本発明は、免疫賦活用合剤、ならびにTLR8介在性生物活性を増強する方法を提供する。一般に、免疫賦活用合剤は、TLR8アゴニストと、TLR8介在性生物活性を増強するのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含む。本発明はまた、免疫細胞においてTLR8介在性生物活性を誘導する方法を提供する。一般に、この方法は、TLR8アゴニストと、TLR8介在性生物活性を増強するのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含む免疫賦活用合剤と、免疫細胞を接触させることを含む。場合によっては、免疫賦活用合剤は、TLR8介在性生物活性の相乗作用的な増大を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
免疫系の特定の鍵となる側面を刺激することによって、また、特定の他の側面を抑制することによって作用する、新規の薬剤化合物を発見することは、近年、主要な取り組みであり、著しく成功してきている(例えば、米国特許第6,039,969号および同第6,200,592号を参照のこと)。これらの化合物(本明細書では免疫反応調整剤(IRM)と称する)は、選択されたサイトカイン生合成、共刺激性の分子の誘導、および抗原提示能力の増大を誘導するToll様受容体(TLR)として知られている基本的な免疫系メカニズムを介して作用すると考えられる。これらは、非常に様々な病気および状態を治療するために有用である可能性がある。例えば、特定のIRMは、ウイルス性の病気(例えばヒトパピローマウイルス、肝炎、ヘルペス)、新生物(例えば基底細胞癌、扁平上皮癌、光線性角化症、黒色腫)、およびTH2介在性の病気(例えば喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)、自己免疫性の病気(例えば多発性硬化症)を治療するために有用である可能性があり、また、ワクチンの補助剤としても有用である。
【0002】
IRM化合物の多くは、有機小分子であるイミダゾキノリンアミン誘導体である(例えば、米国特許第4,689,338号を参照のこと)が、多くの他の化合物クラスも知られており(例えば、米国特許第5,446,153号;同第6,194,425号;および同第6,110,929号;ならびに国際公開第WO2005/079195号を参照のこと)、今でもより多くのものが発見されている。
【0003】
特定の小分子IRM(smIRM)は、強力な免疫調節活性(例えば抗ウイルスおよび抗腫瘍活性)を持っている。特定のsmIRMは、サイトカインの産生および分泌を調節する。例えば、特定のsmIRM化合物は、サイトカイン(例えば、I型インターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、および/またはMCP−1など)の産生および分泌を誘導する。別の例として、特定のsmIRM化合物は、特定のTH2サイトカイン(IL−4およびIL−5など)の産生および分泌を妨げる可能性がある。さらに、特定のsmIRM化合物は、IL−1およびTNFを抑えると言われている(米国特許第6,518,265号)。
【0004】
例えばCpGオリゴジヌクレオチド(ODN、例えば、米国特許第6,194,388号を参照のこと)を含めたオリゴヌクレオチドなどの他のIRMは、より大きな分子量を有する。構造的に異なる少なくとも3つのクラスの合成CpG ODNが記載されている。CpG−B ODN(K型CpG ODNとも呼ばれる)は、抗原提示細胞(APC)の分化およびB細胞の増殖を誘導する可能性がある。CpG−A ODN(D型CpG ODNとも呼ばれる)は、形質細胞様樹状細胞(pDC)からのインターフェロン−α(IFN−α)の分泌を直接的に誘導する可能性があり、APCのその後の成熟を間接的に助ける。CpG−C ODNは、B細胞がインターロイキン6(IL−6)を分泌するのを刺激する、また、pDCがIFN−αを産生するのを刺激する可能性があり、したがって、CpG−A ODNとCpG−B ODNのいくつかの刺激性の特性が組み合わされている。
【0005】
IRMについての大いなる治療的可能性を考慮すると、既に行われた重要な研究にもかかわらず、その使用および治療的利益を拡大することが、実質的に必要であり続けている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定のオリゴヌクレオチド配列が、特定のIRM化合物の特定の免疫賦活活性を増強する可能性があることが判明した。
【0007】
したがって、本発明は、TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを一般に含む免疫賦活用合剤を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明はまた、免疫細胞においてTLR8介在性生物活性を誘導する方法を提供する。概して、この方法は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストと免疫細胞を接触させた場合よりも大きな程度に細胞のTLR8介在性生物活性を増大させるのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドとTLR8アゴニストとを含む免疫賦活用合剤と、免疫細胞を接触させることを含む。
【0009】
本発明の他の様々な特徴および効果は、以下の詳細な説明、実施例、請求の範囲、および添付の図面を参照して容易に明白になるはずである。明細書全体を通して、いくつかの箇所では、実施例の列挙を通して指針が提供される。それぞれの例では、列挙されたリストは、代表的な群としてのみ用いられ、排他的なリストと解釈するべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、特定のオリゴヌクレオチド配列が、用量に依存する方式で、特定のTLR8介在性生物活性の誘導を増強する可能性があるという知見を利用する。
【0011】
一態様では、本発明は、TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含む免疫賦活用合剤を提供する。それぞれの成分は、それ自体で、特定の免疫賦活活性を持つ可能性がある。多くの場合、TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドとの合剤は、いずれかの成分が単独で提供するよりも大きな免疫賦活活性を提供することができる。場合によっては、TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドとの合剤は、例えば、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずに投与されるTLR8アゴニストによって誘導される場合と比較して、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性の2倍の、3倍の、5倍の、あるいは、さらに大きな増加を提供することができる。特定の場合では、成分の合剤は、相乗作用的な免疫賦活活性を提供することができる。
【0012】
別の態様では、本発明は、免疫細胞のTLR8介在性生物活性の誘導を増強する方法を提供する。実際には、この方法は、例えば、TLR8介在性生物活性に関与する、特定の免疫学的処理の有効性を向上させるために使用される可能性がある。こうした処置としては、例えば、治療用または予防用ワクチンが含まれる可能性がある。したがって、例えば、本発明は、ワクチンの有効性を向上させるのに十分に−さらには、以前に効果がないと考えられていたワクチンを有効であると考えられようにする程度まで−ワクチンによって誘導されるTLR8介在性生物活性を増強することができる。
【0013】
あるいは、本発明は、より少量の免疫学的組成物の成分(例えば抗原またはワクチンのアジュバント)を使用する、状態の有効な治療を可能にすることができる。これは、特定の成分が、所望の免疫応答を産生するのに有用である一方、高価である、得るのが困難である、あるいは望ましくない副作用を生じる場合に望ましい可能性がある。したがって、本発明は、以前には、例えば、(a)治療の成分の費用、(b)すべての成分の入手可能性、および/または(c)有効な免疫反応を生じるのに必要であると以前に考えられており、その上望ましくないレベルの副作用を生じていた成分(例えば抗原)の量、が原因で臨床的および/または商業上望ましくないと考えられていた特定の免疫学的治療を、臨床的および/または商業的に現実性があるものにすることができる。
【0014】
この発明の目的では、以下の用語は、以下の通りに記載される意味をもつものとする。
【0015】
「アゴニスト」は、生物活性を誘導するために受容体(例えばTLR)と組み合わせることができる化合物を指す。アゴニストは、受容体に直接的に結合するリガンドである可能性がある。あるいは、アゴニストは、例えば、(a)受容体に直接的に結合する別の分子と共に複合体を形成すること、または(b)別の化合物の改変をもたらし、その結果、他の化合物が、受容体に直接的に結合すること(例えば細胞のシグナル伝達)によって間接的に受容体と組み合わされる可能性もある。アゴニストは、特定のTLRのアゴニスト(例えばTLR8アゴニスト)、あるいはTLRの特定の組み合わせ(例えば、TLR7/8アゴニスト−TLR7とTLR8両方のアゴニスト)と称される可能性がある。
【0016】
「アゴニスト−受容体相互作用」は、例えば、結合、複合体を形成すること、または細胞活性を誘導する生化学的改変などの、任意の直接的または間接的な相互作用を指す。
【0017】
「免疫細胞」は、免疫系の細胞、すなわち、免疫性の反応が、生得的であるか獲得されたものか、体液性であるか細胞介在性であるかどうかに関わらず、免疫反応の産生または維持に直接的または間接的に関与する細胞を指す。
【0018】
「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」は、TLR8介在性生物活性を測定可能に増強することが可能であるオリゴヌクレオチド配列を指す。
【0019】
「誘導する」、およびその変化形は、生物活性の任意の測定可能な増大を指す。例えば、特定のサイトカインの誘導は、サイトカインの産生の増大を指す。
【0020】
「抑制する」、およびその変化形は、生物活性の任意の測定可能な低下を指す。例えば、特定のサイトカインの抑制は、サイトカインの産生の低下を指す。抑制の程度は、通常レベルの活性に対する割合として特徴づけることができる。
【0021】
「IRM化合物」は一般に、IRM反応性の細胞に与えられたときに、1種または複数の免疫調節性分子、例えば、サイトカインまたは共刺激性のマーカーのレベルを変化させる化合物を指す。代表的なIRM化合物としては、以下で述べられる有機小分子、プリン誘導体、小さな複素環化合物、アミド誘導体、およびオリゴヌクレオチド配列が挙げられる。
【0022】
「選択的」、およびその変化形は、任意の程度までの、生物活性に対する差別的な影響を有することを指す。特定のTLRを介して選択的に生物活性を調節するアゴニストは、TLR選択的アゴニストである可能性がある。TLR選択性は、特定のTLRに関して(例えば、TLR8選択的)、あるいはTLRの特定の組み合わせに関して(例えばTLR7/9選択的)記載されている可能性がある。TLR選択的(例えば、TLR8選択的)化合物は、示されたTLRによって仲介される生物活性を独占的に誘導する(すなわち、TLR特異的である)可能性がある、あるいは、示されたTLRを介して仲介される活性を誘導するだけでなく、複数のTLRを介して仲介される生物活性を、他の任意のTLRよりも大きな程度に誘導する可能性がある(すなわち、TLR優勢、例えばTLR8優勢など)。
【0023】
「smIRM」は一般に、小分子IRM化合物、すなわち約1キロダルトン(kDa)以下の分子量を有するIRM化合物を指す。
【0024】
「相乗作用的」、およびその変化形は、組み合わされた免疫学的作用が、そのそれぞれの作用の合計を超えるような、TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドとの相互作用を指す。
【0025】
「TLR介在性」は、TLR機能に直接的または間接的に起因する生物活性(例えばサイトカイン産生)を指す。特定の生物活性は、特定のTLRによって仲介されるもの(例えば、「TLR8介在性」)を指す可能性がある。
【0026】
また、本明細書では、終点による数値の範囲の説明は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、などを含む)。
【0027】
特定の化合物のTLRアゴニズムは、任意の適切な方式で評価することができる。例えば、試験化合物のTLRアゴニズムを検出するのに適したアッセイおよび組換え細胞系は、例えば、米国特許出願公開第2004/0014779号、同第2004/0132079号、同第2004/0162309号、同第2004/0171086号、同第2004/0191833号、および同第2004/0197865号に記載されている。
【0028】
用いられる特定のアッセイにかかわらず、化合物を用いるアッセイを実施することによって、特定のTLRによって仲介される、特定の生物活性の閾値増加が少なくとももたらされる場合、化合物は、特定のTLRのアゴニストと特定することができる。逆に、特定のTLRによって仲介される生物活性を検出するために設計されたアッセイを実施するために使用されるとき、化合物が、生物活性の閾値増加を誘導できない場合、その化合物は、特定のTLRのアゴニストとして作用しないと特定される可能性がある。別段の指示がない限り、生物活性の増大は、適切な対照において観察されたものと同じ生物活性の増大を指す。アッセイは、適切な対照と同時に実施してもよいし、しなくてもよい。実験を伴って、当業者は、特定のアッセイ(例えば、特定のアッセイ条件下で、適切な対照において観察される値の範囲)を熟知することが可能であり、対照実験を実施することは、特定のアッセイにおいて化合物のTLRアゴニズムを決定するのに必ずしも必要である可能性はない。
【0029】
特定の化合物が所与のアッセイにおいて特定のTLRのアゴニストであるかないかを決定するためのTLR介在性生物活性の厳密な閾値の増大は、これらに限定されないが、アッセイの終点として観察される生物活性、アッセイの終点を測定または検出するために使用される方法、アッセイの信号対雑音比、アッセイの精度、および複数のTLRに対する化合物のアゴニズムを決定するために同じアッセイが使用されるかどうかを含めて、当技術分野で知られた因子に応じて変動する可能性がある。したがって、化合物を、可能性のあるすべてのアッセイのための特定のTLRのアゴニストまたは非アゴニストと特定するために必要とされるTLR介在性生物活性の閾値増加を広く記載することは、実際的ではない。しかし、当業者は、こうした因子を十分に考慮することによって、適切な閾値を容易に決定することができる。
【0030】
細胞に形質移入されるTLRのアゴニストとして化合物を特定するために、化合物が、例えば約1μMから約10μMの濃度で提供されるときは、発現可能なTLR構造遺伝子で形質移入されたHEK293細胞を用いるアッセイは、例えば、TLR介在性生物活性(例えばNF−κB活性)の少なくとも3倍の増加という閾値を使用する可能性がある。しかし、異なる閾値および/または異なる濃度範囲も、特定の状況では適切である可能性がある。また、異なる閾値が、異なるアッセイのために適切である可能性がある。
【0031】
一態様では、本発明は、免疫細胞のTLR8介在性生物活性を増強する方法を提供する。場合によっては、例えば、TLR8アゴニストは、少なくとも1種のさらなるTLRのアゴニスト(例えばTLR7、いわゆるTLR7/8アゴニスト)である可能性があり、したがって、通常、TLR8介在性生物活性と、1つまたは複数のさらなるTLRによって介在される生物活性(例えばTLR7介在性生物活性)とを誘導する可能性がある。本発明の実施は、TLR8介在性生物活性を増強する、場合によっては、別の(例えばTLR8でない)TLRによって仲介される、化合物によって誘導される生物活性を、制限する−さらには排除する−ために使用される可能性がある。
【0032】
したがって、この方法は、混合型のTLRアゴニズムを持つ化合物が、よりTLR選択的化合物らしく作用するように、TLR8介在性生物活性を増強するために使用することができる。場合によっては、この化合物は、本質的にTLR8優勢な化合物として作用する可能性がある。特定の場合では、この方法は、該化合物が、本質的にTLR8特異的な化合物として作用するように、この化合物が別のTLRによって仲介される生物活性を誘導する程度をさらに低下させる可能性がある。例えば、TLR7/8アゴニストのTLR7介在性生物活性を低下させる−さらには排除する−ことによって、該化合物を、本質的にTLR8選択的アゴニストとして(例えば、TLR8優勢なアゴニストまたはTLR8特異的アゴニストとして)作用するようにすることができる。
【0033】
一例として、あるTLR8介在性生物活性は、腫瘍壊死因子(TNF)の産生を含む可能性があり、これは、特定の状態(例えば特定のガン(例えば黒色腫))を治療するために有益である可能性がある。一方、TLR7介在性生物活性は、インターフェロン−α(IFN−α)の産生を含む可能性があり、これは、特定の状態(例えば紅斑性狼瘡)を悪化させる可能性がある。おそらく、該化合物によって誘導されるTLR8介在性生物活性の有効性および/または程度のため、それだけでなく、おそらく、他の望ましい特性(例えば、低い毒性、調製および送達が容易であること(調剤性(formulability))、費用、安定性(例えば保存寿命)、生体利用効率、代謝半減期など)のため、特定のTLR7/8アゴニストは、特定のガン(例えば黒色腫)を治療するのに適切であるものと特定される可能性がある。しかし、紅斑性狼瘡を煩う対象に投与される場合、該化合物によって誘導されるTLR7介在性生物活性(IFN−α産生)は、紅斑性狼瘡と診断された患者におけるガンの治療としてTLR7/8化合物を考慮するのを妨げる可能性がある程度まで、紅斑性狼瘡を悪化させる可能性がある。
【0034】
本発明を実施することで、対象が、TLR7/8化合物を用いて、第2の状態(例えば紅斑性狼瘡)を耐えられない程度まで悪化させることなく、ある状態(例えばガン)を治療するという利益を享受することが可能になる。TLR7/8アゴニストと共に、十分な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与することによって、ガンの治療を提供するためのTLR7/8化合物によって、十分なTLR8介在性生物活性が誘導される可能性があるのに対して、TLR7/8化合物によって誘導されるTLR7介在性生物活性は、許容されるレベルまで低下させられる−場合によっては、TLR7介在性生物活性が完全に排除される−可能性がある。したがって、上の例では、TLR7/8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドの合剤を投与することによって、ガンを治療するのに十分なTNFを誘導することができ、かつTLR7/8アゴニストによって誘導されるIFN−αの量を十分に低下させることができ、その結果、ガンの治療は進展する可能性があり、一方で、TLR7/8アゴニストを投与することから生じるであろう紅斑性狼瘡の悪化が制限される−さらには排除される−可能性がある。
【0035】
別の態様では、本発明は、TLR8介在性生物活性を増強するのに有効である免疫賦活用合剤を提供する。場合によっては、この合剤は、TLR8アゴニストと、TLR8アゴニストが、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導する程度を増大させるのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含むことができる。TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、単一の調合物中に存在してもよいし、2つの成分が、別々の調合物中に存在してもよい。本発明を実施するのに使用するのに適した調合物を、以下に詳細に記載する。
【0036】
本発明の実施の際に調節され得る例示的なTLR8介在性生物活性としては、例えば、共刺激性マーカー(例えばCD40、CD80、CD86、など)の発現の誘導、表面マーカー(例えばCCR7)の発現の誘導、NF−κBの活性化、細胞接着分子(ICAM(例えばICAM−1、ICAM−2、I−CAM−3、など))の誘導、抗原提示能力の増大、形質細胞様樹状細胞(pDC)の成熟、Bリンパ球の増殖、および特定のサイトカインの誘導が挙げられる。TLR8介在性生物活性によって誘導されるサイトカインとしては、例えば、TNF−α、I型インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−ω、など)、IFN−γ、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、MCP−1、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0037】
TLR8アゴニストは、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと組み合わせて投与される場合に、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導することが可能である、あるいは潜在的に可能である任意の化合物である。場合によっては、TLR8アゴニストは、IRM化合物である可能性がある。適切なIRM化合物は、以下に詳細に記載する。
【0038】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、任意の適切なオリゴヌクレオチド配列−すなわち、TLR8アゴニストによって誘導される少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を増強することが可能なオリゴヌクレオチド配列である可能性がある。ある実施形態では、適切な免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、例えば、CpG−A ODN、CpG−B ODN、またはCpG−C ODN配列(図1〜6)などの、CpG ODN配列を含有する可能性がある。しかし、他のオリゴヌクレオチド配列も適切である可能性がある。例えば、ポリ(A)、ポリ(C)、およびポリ(T)オリゴヌクレオチドは、TLR8介在性生物活性を増強することが可能であるものと特定されている(図7〜9)。
【0039】
ある実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、特定の化合物(例えば特定のIRM化合物)が、オリゴヌクレオチド配列に挿入するのを可能にする、積み重ね型(stacked)二次構造を有する可能性がある。オリゴヌクレオチドへの化合物の挿入によって、TLR8と優先的に相互作用する複合体の形成がもたらされる可能性がある。したがって、測定可能なTLR8アゴニズムを通常を持たないであろう特定の化合物が、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと複合体形成された場合、TLR8アゴニストとして作用する可能性がある。また、混合型のTLRを通常持つであろう化合物が、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと複合体形成された場合、よりTLR8選択的アゴニスト様に作用する。
【0040】
特定のIRMは、例えば、以下に開示されているものなどの有機小分子(例えば、タンパク質、ペプチドなどの大きな生体分子とは対照的に、分子量が約1000ダルトン未満、場合によっては約500ダルトン未満のsmIRM)である:米国特許第4,689,338号;同第4,929,624号;同第5,266,575号;同第5,268,376号;同第5,346,905号;同第5,352,784号;同第5,389,640号;同第5,446,153号;同第5,482,936号;同第5,756,747号;同第6,110,929号;同第6,194,425号;同第6,331,539号;同第6,376,669号;同第6,451,810号;同第6,525,064号;同第6,541,485号;同第6,545,016号;同第6,545,017号;同第6,573,273号;同第6,656,938号;同第6,660,735号;同第6,660,747号;同第6,664,260号;同第6,664,264号;同第6,664,265号;同第6,667,312号;同第6,670,372号;同第6,677,347号;同第6,677,348号;同第6,677,349号;同第6,683,088号;同第6,756,382号;同第6,797,718号;および同第6,818,650号;米国特許出願公開第2004/0091491号;同第2004/0147543号;および同第2004/0176367号;および国際公開第WO2005/18551号、同第WO2005/18556号、同第WO2005/20999号、同第WO2005/032484号、同第WO2005/048933号、同第WO2005/048945号、同第WO2005/051317号、同第WO2005/051324号、同第WO2005/066169号、同第WO2005/066170号、同第WO2005/066172号、同第WO2005/076783号、および同第WO2005/079195号。
【0041】
小分子IRMのさらなる例としては、特定のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号および同第6,028,076号に記載されているものなど)、特定のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号に記載されているものなど)、特定のイミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号に記載されているものなど)、特定のベンズイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号に記載されているものなど)、5員の窒素含有複素環と縮合した4−アミノピリミジンの特定の誘導体(米国特許第6,376,501号;同第6,028,076号、および同第6,329,381号に;また国際公開第WO02/08905号に記載されているアデニン誘導体など)、ならびに特定の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン誘導体(米国特許出願公開第2003/0199461号に記載されているものなど)が挙げられる。
【0042】
他のIRMとしては、オリゴヌクレオチド配列などの大きな生体分子が挙げられる。特定のIRMオリゴヌクレオチド配列は、シトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、これは、例えば、米国特許第6,194,388号;同第6,207,646号;同第6,239,116号;同第6,339,068号;および同第6,406,705号に記載されている。特定のCpG含有オリゴヌクレオチドは、例えば、米国特許第6,426,334号および同第6,476,000号に記載されているものなどの、合成の免疫賦活構造モチーフを含む可能性がある。他のIRMヌクレオチド配列はCpG配列を欠いており、これは、例えば国際公開第WO00/75304号に記載されている。
【0043】
他のIRMとしては、リン酸アミノアルキルグルコサミニド(AGP)などの生体分子が挙げられ、これは、例えば、米国特許第6,113,918号;同第6,303,347号;同第6,525,028号;および同第6,649,172号に記載されている。
【0044】
別段の指示がない限り、化合物に対する言及には、任意の異性体(例えばジアステレオマーまたはエナンチオマー)、塩、溶媒和化合物、多形体、などを含めて、任意の薬学的に許容される形の化合物が含まれ得る。特に、化合物が光学活性である場合、化合物に対する言及には、化合物の各々のエナンチオマーならびにエナンチオマーのラセミ混合物が含まれ得る。
【0045】
本発明のある実施形態では、IRM化合物としては、5員の窒素含有複素環と縮合した2−アミノピリジン、または5員の窒素含有複素環と縮合した4−アミノピリミジンを挙げることができる。
【0046】
本発明で使用するのに適したIRM化合物としては、5員の窒素含有複素環と縮合した2−アミノピリジンを有する化合物が含まれる。こうした化合物としては、例えば、これらに限定されないが、例えばアミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換イミダゾキノリンアミン、オキシム置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、または9−アリール、ヘテロアリール、アリールオキシまたはアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミン、およびイミダゾキノリンジアミンなどの置換されたイミダゾキノリンアミンを含めたイミダゾキノリンアミン;これらに限定されないが、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、オキシム置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、およびテトラヒドロイミダゾキノリンジアミンを含めたテトラヒドロイミダゾキノリンアミン;これらに限定されないが、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、およびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンを含めたイミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;ピラゾロピリジンアミン;ピラゾロキノリンアミン;テトラヒドロピラゾロキノリンアミン;ピラゾロナフチリジンアミン;テトラヒドロピラゾロナフチリジンアミン;ならびにピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾ二量体が挙げられる。
【0047】
特定の実施形態では、IRM化合物は、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンであり得る。
【0048】
特定の他の実施形態では、IRM化合物は、置換されたイミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、またはテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンであり得る。
【0049】
本明細書では、置換されたイミダゾキノリンアミンは、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換イミダゾキノリンアミン、オキシム置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、または9−アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、またはアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミン、あるいはイミダゾキノリンジアミンを指す。本明細書では、置換されたイミダゾキノリンアミンは、1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンおよび4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールを、特別かつ明確に除外する。
【0050】
特定の実施形態では、IRM化合物は、例えば2−プロピルチアゾロ[4,5−c]キノリン−4−アミンまたはN−[3−(4−アミノ−2−プロピルチアゾロ[4,5−c]キノリン−7−イル)フェニル]メタンスルホンアミドなどのチアゾロキノリンアミンであり得る。
【0051】
適切なIRM化合物としてはまた、プリン誘導体、イミダゾキノリンアミド誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、アデニン誘導体、リン酸アミノアルキルグルコサミニド、および上述のオリゴヌクレオチド配列を挙げることができる。
【0052】
免疫賦活用合剤は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む、単一の調合物で提供される可能性がある。他の場合には、免疫賦活用合剤は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドとIRM化合物とを含む可能性がある。あるいは、免疫賦活用合剤は、複数の調合物を含む可能性があり、その場合、IRM化合物と免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、同じ調合物中に、あるいは異なる調合物中に提供される可能性がある。本発明の治療用合剤と共に使用するのに適した調合物は、以下に詳細に記載する。
【0053】
免疫賦活用合剤は、任意の調合物、または対象への投与に適した調合物の組み合わせ中に提供される可能性がある。適切なタイプの調合物は、例えば、米国特許第5,736,553号;米国特許第5,238,944号;米国特許第5,939,090号;米国特許第6,365,166号;米国特許第6,245,776号;米国特許第6,486,186号;欧州特許EP 0 394 026号;および国際公開第WO03/045391号に記載されている。調合物は、これらに限定されないが、溶液、懸濁液、エマルジョン、または任意の形の混合物を含めて任意の適切な形で提供される可能性がある。調合物は、薬学的に許容される任意の添加剤、担体、または賦形剤を含む可能性がある。例えば、調合物は、例えばクリーム、軟膏、エアロゾル調合物、フロンガスを使用しない(non−aerosol)スプレー、ジェル、ローション、錠剤、エリキシルなどの従来の投薬形態で送達される可能性がある。調合物は、これらに限定されないが、アジュバント、皮膚浸透促進剤、着色料、矯味剤、香料、保湿剤、増粘剤などを含めて、1種または複数の添加物をさらに含む可能性がある。
【0054】
調合物は、任意の適切な方式で、例えば、経口的または非経口的に投与される可能性がある。本明細書では、「経口的に」は、経口摂取を含めて、消化管を介する投与を指す。「非経口的に」は、例えば、静脈内、筋肉内、経皮、皮下、経粘膜(例えば、吸入によって)、あるいは局所的などの、消化管を介する以外の投与を指す。
【0055】
本発明を実施するのに適した調合物の組成は、これらに限定されないが、免疫賦活性オリゴヌクレオチドの物理的および化学的性質、担体の性質、意図される投薬レジメン、対象の免疫系の状態(例えば、抑制される、損なわれる、刺激される)、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与する方法、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(もしあれば)と共に投与される任意のTLR8アゴニストの性質および効力、および調合物が投与される種を含めて、当技術分野で知られた因子に応じて変動する可能性がある。したがって、可能性のあるすべての用途に有効な調合物の組成を広く記載することは、実際的ではない。しかし、当業者は、こうした因子を十分に考慮することによって、適切な調合物を容易に決定することができる。
【0056】
ある実施形態では、例えば、適切な調合物は、約0.0001%から約10%の免疫調節性オリゴヌクレオチドを含む可能性があるが、ある実施形態では、調合物は、この範囲外の濃度の免疫調節性オリゴヌクレオチドを含む可能性がある。例えば、調合物は、約0.01%から約1%の免疫調節性オリゴヌクレオチドを含む可能性がある。
【0057】
ある実施形態では、本発明の方法は、例えば、対象に対して約0.0001%から約10%の調合物で、IRMを対象に投与することを含む可能性があるが、ある実施形態では、IRM化合物は、この範囲外の濃度のIRM化合物を提供する調合物を使用して投与される可能性がある。特定の実施形態では、該方法は、約0.01%から約5%のIRM化合物を含む調合物、例えば、約0.1%から約0.5%のIRM化合物を含む調合物を対象に投与することを含む。
【0058】
免疫細胞のTLR8介在性生物活性を増強するのに有効な免疫賦活性オリゴヌクレオチドの量は、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を増大するのに十分な量である。有効となるために必要とされる免疫賦活性オリゴヌクレオチドの厳密な量は、例えば免疫賦活性オリゴヌクレオチドの物理的および化学的性質、担体の性質、意図される投薬レジメン、対象の免疫系の状態(例えば、抑制される、損なわれる、刺激される)、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与する方法、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと共に投与されるTLR8アゴニストの効力、および調合物が投与される種などの、当技術分野で知られた因子に応じて変動する可能性がある。したがって、可能性のあるすべての用途に有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを構成する量を広く記載することは、実際的ではない。しかし、当業者は、こうした因子を十分に考慮することによって、適切な量を容易に決定することができる。
【0059】
ある実施形態では、本発明の方法は、例えば約100ng/kgから約50mg/kgの量を対象に提供するのに十分な免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与することを含むが、ある実施形態では、この方法は、この範囲外の用量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与することによって実施される可能性がある。これらの実施形態のうちのいくつかでは、この方法は、約10μg/kgから約5mg/kgの量、例えば約100μg/kgから約1mg/kgの量を対象に提供するのに十分な免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与することを含む。
【0060】
本発明を実施するのに有効であるTLR8アゴニストの量は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと組み合わせて、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導することが可能である量である。したがって、場合によっては、TLR8アゴニストは、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずに投与される場合には通常、TLR8介在性生物活性を誘導する可能性はないが、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと共に提供される場合には、TLR8介在性生物活性を誘導することが可能である量で提供される可能性がある。
【0061】
ある実施形態では、本発明の方法は、例えば、約100ng/kgから約50mg/kgの量を対象に提供するのに十分なTLR8アゴニストを投与することを含むが、ある実施形態では、この方法は、この範囲外の用量のTLR8アゴニストを投与することによって実施される可能性がある。これらの実施形態のうちのいくつかでは、この方法は、約10μg/kgから約5mg/kgの量、例えば約100μg/kgから約1mg/kgの量を対象に提供するのに十分なTLR8アゴニストを投与することを含む。
【0062】
投薬レジメンは、これらに限定されないが、免疫賦活性オリゴヌクレオチドの物理的および化学的性質、担体の性質、投与される免疫賦活性オリゴヌクレオチドの量、対象の免疫系の状態(例えば、抑制される、損なわれる、刺激される)、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与する方法、所望される結果、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと共に投与されるTLR8アゴニストの効力、および調合物が投与さる種を含めた、当技術分野で知られた多くの因子に、少なくともある程度は依存する可能性がある。したがって、可能性のあるすべての用途に有効な投薬レジメンを広く記載することは、実際的ではない。しかし、当業者は、こうした因子を十分に考慮することによって、適切な投薬レジメンを容易に決定することができる。
【0063】
ある実施形態では、免疫賦活用合剤は、「必要に応じた」根拠で、すなわち、合剤の投与が所望される症状または状態が生じるときはいつでも投与される可能性がある。場合によっては、免疫賦活用合剤は、一度だけ投与される可能性がある。他の実施形態では、免疫賦活用合剤は、例えば、1日に1回ないし1ヶ月に1回の頻度で投与される可能性があるが、ある実施形態では、この方法は、この範囲外の頻度で免疫賦活用合剤を投与することによって実施される可能性がある。
【0064】
本発明を実施することによって治療される可能性がある状態としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
(a)例えばアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えばHSV−I、HSV−II、CMV、またはVZV)、ポックスウイルス(例えば、天然痘または牛痘などのオルソポックスウイルス、あるいは伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(例えばライノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えばSARS)、パポバウイルス(例えば、生殖器疣贅、尋常性疣贅、または足底疣贅を引き起こすものなどの乳頭腫ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えばC型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルス)、あるいはレトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)による感染に起因する病気などのウイルス性の病気;
(b)例えば、例えばエシェリキア属、エンテロバクター属、サルモネラ属、ブドウ球菌、赤痢菌、リステリア属、アエロバクター属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、シュードモナス属、連鎖球菌、クラミジア属、マイコプラスマ属、肺炎球菌、ナイセリア属、クロストリジウム属、バチルス属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、カンピロバクター属、ビブリオ属、セラチア属、プロビデンシア属、クロモバクテリウム属、ブルセラ属、エルシニア属、ヘモフィルス属、またはボルデテラ属などの細菌による感染に起因する病気などの細菌性の病気;
(c)これらに限定されないが、クラミジア;カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎を含めて菌類による病気;これらに限定されないが、マラリア、カリニ肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染症を含めて、寄生虫による病気などの他の伝染病;ならびに
(d)上皮内新生物、頸部異形成、光線性角化症、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、黒色腫、腎細胞癌;これらに限定されないが、骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、および毛様細胞白血病を含めた白血病;ならびに他のガンなどの腫瘍疾患;
(e)TH2介在性の、アトピー性皮膚炎または湿疹などのアトピー性疾患、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、およびオーメン症候群;
(f)全身エリテマトーデス、本態性血小板血症、多発性硬化症、円板状狼瘡、円形脱毛症などの、特定の自己免疫性疾患;ならびに
(g)例えば、ケロイド形成および他のタイプの瘢痕化の抑制(例えば、慢性的な損傷を含めた創傷治癒の増強)などの、損傷修復に関連する疾患。
【0065】
さらに、免疫賦活用合剤は、BCG、コレラ、ペスト、腸チフス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザA型、インフルエンザB型、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、黄熱、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルスインフルエンザb型、結核、髄膜炎菌および肺炎球菌ワクチン、アデノウイルス、HIV、水痘、サイトメガロウイルス、デング熱、ネコ白血病、鶏ペスト、HSV−1およびHSV−2、豚コレラ、日本脳炎、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、パピローマウイルス、黄熱病、およびアルツハイマー病と併用して使用するための、例えば、生存しているウイルス、細菌、または寄生虫による免疫原;不活性化されたウイルスによる、腫瘍から得られる、原生動物による、微生物から得られる、菌類の、あるいは、細菌性の免疫原、トキソイド、毒素;自己抗原;多糖;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞ワクチン;DNAワクチン;自家ワクチン;組換え型タンパク質;糖タンパク質;ペプチドなどの、体液性および/または細胞介在性の免疫反応を上昇させる任意の材料と併用して使用するための、ワクチンのアジュバントとして有用である可能性がある。
【0066】
本発明の方法は、任意の適切な対象に対して実施される可能性がある。適切な対象としては、限定的ではないが、ヒト、ヒト以外の霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、またはウシなどの動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、ただ単に、本発明の特徴、利点、および他の詳細をさらに説明するために選択されているに過ぎない。しかし、これらの例が、この目的を満たす一方、特定の材料および使用される量、ならびに他の条件および詳細が、この発明の範囲を過度に制限するであろう様式で解釈されるべきではないことを特に理解されたい。
【0068】
これらの例で使用されるIRM化合物を、表1に示す。これらの例で使用される免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、表2に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
配列番号1は、ギュルセル(Guersel)ら、「J.Leukoc.Biol.」(2002年)第71巻、813〜820ページに報告されている。配列番号2、配列番号4、および配列番号5は、ハートマン(Hartmann)ら、「Eur.J.Immunol.」(2003年)第33巻、1633〜1641ページに報告されている。配列番号3は、ツー(Zhu)ら、「J.Leukoc.Biol.」(2002年)第72巻、1154〜1163ページに報告されている。配列番号6および配列番号7は、フォルマー(Vollmer)ら、「Antisense Nucleic Acid Drug Dev.」(2002年)第12巻、165〜175ページに報告されている。
【0072】
実施例1
ヒトTLR8およびNF−κβを、国際公開第2004/071459号パンフレットに記載される通りに、ヒト腎臓上皮(human epithelial kidney)293(HEK293、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)、マナサス、ヴァージニア州(Manassas,VA)、ATCC番号CRL−1573)細胞に形質移入させた。選択された形質移入された細胞を計数し、培地中に1mLあたり5×105細胞の濃度に再懸濁させた。
【0073】
フェノールレッドを含まないDMEM完全培地(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.)、カマリロ、カリフォルニア州(Camarillo,CA))から、培養培地を調製した。ウシ胎児血清(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて、最終濃度を10%(vol/vol)にし、ピルビン酸ナトリウム(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて1mMにし;L−グルタミン(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて2mMにし;ペニシリン(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて100U/mLにし;ストレプトマイシン(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて100μg/mLにした。
【0074】
細胞の100μL部分を、壁が白色で底も白色の96−ウェルプレート(コーニングインコーポレイティッド(Corning,Inc.)、コーニング、ニューヨーク州(Corning,NY))のウェルに入れた。CpG ODN K23(配列番号1)、CpG ODN 5192(配列番号6)、またはCPG ODN 2059(配列番号7)(インビトロジェンコーポレーション(Invitrogen Corp.)、カールスバッド、カリフォルニア州(Carlsbad,CA))を、0.1μM、0.5μM、1.0μM、5.0μM、10μM、または50μMの濃度で、3μMのIRM1を含むあるいは含まない培地に加えることによって、細胞の一定分量を処理した。さらなる対照として、細胞のある一定分量を、3μMのIRM1単独と共に保温したのに対して、細胞の別の一定分量は、作用薬を加えずに保温した(培地対照)。すべての例において、細胞は、5% CO2および98%湿度で、37℃で終夜保温された。
【0075】
細胞を終夜保温した後、100μLの体積の、還元したLucLight Plus(パッカードインストゥルメンツ(Packard Instruments)、メリデン、コネチカット州(Meriden,CT))を、細胞のそれぞれの一定分量に加えた。プレートのそれぞれのウェルを、L−max照度計(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)、サニーヴェール、カリフォルニア州(Sunnyvale,CA))で読み取った。データは、示された作用薬と共に保温された細胞の一定分量中のルシフェラーゼ誘導の、陰性対照と比較した場合の増加の倍数として示される。結果を、図1に示す。
【0076】
実施例2
ヒトTLR8を発現するHEK 293細胞を、実施例1に述べた通りに調製した。細胞の一定分量を、1.0μM、3.0μM、10μM、または30μMの濃度で、CpG ODN M352(配列番号5)(インビトロジェンコーポレーション(Invitrogen Corp.)、カールスバッド、カリフォルニア州(Carlsbad,CA))を、3μMのIRM1を含むあるいは含まない培養物に加えることによって処理した。対照として、細胞のある一定分量を、3μMのIRM1と共に保温し、細胞の別の一定分量は、作用薬を加えずに保温した(培地対照)。すべての例において、細胞は、5% CO2および98%湿度で、37℃で終夜保温された。
【0077】
細胞を終夜保温した後、100μLの体積の、還元したLucLight Plus(パッカードインストゥルメンツ(Packard Instruments)、メリデン、コネチカット州(Meriden,CT))を、細胞のそれぞれの一定分量に加えた。プレートのそれぞれのウェルを、L−max照度計(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)、サニーヴェール、カリフォルニア州(Sunnyvale,CA))で読み取った。データは、示された作用薬と共に保温された細胞の一定分量中のルシフェラーゼ誘導の、陰性対照と比較した場合の増加の倍数として示される。結果を、図2に示す。
【0078】
実施例3
末梢血単核細胞(PBMC)を、ヒストパック−1077(HISTOPAQUE−1077)(シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Co.)、セントルイス、ミズーリ州(St.Louis,MO))密度勾配遠心分離によって、ヒト末梢血から濃縮した。PBMCを計数し、25mM HEPES(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.)培地と共に、完全RPMI 1640に再懸濁させた。ウシ胎児血清(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて、最終濃度を10%(vol/vol)にし、L−グルタミン(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて2mMにし;ペニシリン(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて100U/mLにし;ストレプトマイシン(バイオソースインターナショナルインコーポレイティッド(Biosource International Inc.))を加えて100μg/mLにした。
【0079】
200μLのウェルあたり5×105細胞を、平底96−ウェルプレート(ベクトンディッキンソンラブウェア(Becton Dickenson Labware)、フランクリンレイクス、ニュージャージー州(Franklin Lakes,NJ))に入れた。細胞の一定分量を、IRM2単独(対照)を10μM加えることによって、あるいは、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1.0μM、または3.0μMの濃度のCpG ODN K23(配列番号1)、CpG ODN 2006(配列番号4)、またはCpG ODN 2216(配列番号2)(インビトロジェンコーポレーション(Invitrogen Corp.))を用いて処理した。すべての例において、細胞は、5% CO2および98%湿度で、37℃で終夜保温された。
【0080】
培養上清を、ヒト特異的IL−12およびTNF BV(登録商標)イムノアッセイ(バイオベリスコーポレーション(BioVeris Corp.)、ゲイザースバーグ、メリーランド州(Gaithersburg,MD))を使用して、IL−12(pg/mL)またはTNF(pg/mL)産生について分析した。結果を、図3および図4に示す。
【0081】
実施例4
ヒト単球由来樹状細胞(mDC)を、国際公開第2004/071459号パンフレットに記載される通りに産生した。
【0082】
200μLのウェルあたり1×105細胞を、平底96−ウェルプレート(ベクトンディッキンソンラブウェア(Becton Dickenson Labware)、フランクリンレイクス、ニュージャージー州(Franklin Lakes,NJ))に入れた。細胞の一定分量を、3μMのIRM1を単独で加えることによって(対照)、あるいは、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1.0μM、または3.0μMの濃度のCpG ODN K23(配列番号1)、CpG ODN 2006(配列番号4)、CpG ODN M352(配列番号5)、またはCpG ODN 2216(配列番号2)(インビトロジェンコーポレーション(Invitrogen Corp.))を用いて処理した。すべての例において、細胞は、5% CO2および98%湿度で、37℃で終夜保温された。
【0083】
培養上清を、ヒト特異的IL−12およびTNF BV(登録商標)イムノアッセイ(バイオベリスコーポレーション(BioVeris Corp.)、ゲイザースバーグ、メリーランド州(Gaithersburg,MD))を使用して、IL−12(pg/mL)またはTNF(pg/mL)産生について分析した。結果を、図5および図6に示す。
【0084】
実施例5
ヒトTLR8を発現するHEK293細胞を、実施例1に述べた通りに調製した。細胞の一定分量は、1μMのIRM1単独(対照)を用いて、あるいは、0.03μM、0.12μM、0.3μM、1.1μM、3.3μM、10μM、30μM、または100μMの濃度の5−mer(配列番号8)、11−mer(配列番号9)、13−mer(配列番号10)、または17−mer(配列番号11)ポリ(A)オリゴヌクレオチド配列(インビトロジェンコーポレーション(Invitrogen Corp.))を用いて処理した。陰性対照として、細胞のある一定分量を、作用薬を加えずに保温した(培地対照)。
【0085】
細胞を終夜保温した後、この細胞を、実施例3に述べた通りにTNF産生について分析した。データは、示された作用薬と共に保温された細胞の一定分量中のルシフェラーゼ誘導の、陰性対照と比較した場合の増加の倍数として示される。結果を、図7中に示す。
【0086】
実施例6
PBMCを、実施例3に述べた通りに調製した。細胞の一定分量は、3μMのIRM1単独(対照)を用いて、あるいは、0.03μM、0.12μM、0.3μM、1.1μM、3.3μM、10μM、または30μMの濃度の、ポリ(C)オリゴヌクレオチド(5−mer、配列番号12;10−mer、配列番号13;15−mer、配列番号14;または25−mer、配列番号15)、あるいはポリ(T)オリゴヌクレオチド(5−mer、配列番号16;8−mer、配列番号17;11−mer、配列番号18;または14−mer、配列番号19)(インビトロジェンコーポレーション(Invitrogen Corp.))を用いて処理した。
【0087】
培養上清を、ヒト特異的IL−12およびTNF BV(登録商標)イムノアッセイ(バイオベリスコーポレーション(BioVeris Corp.))、ゲイザースバーグ、メリーランド州(Gaithersburg,MD))を使用して、TNF(pg/mL)産生について分析した。結果を、図8および図9に示す。
【0088】
本明細書に引用される特許、特許文献、および刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれるかのごとく、その内容全体が参照として組み込まれるものとする。論争の場合には、本明細書は、定義を含めて検討するべきである。
【0089】
この発明に対する、この発明の範囲および趣旨から逸脱することのない様々な改変および変更は、当業者は明らかとなるであろう。例示的な実施形態および実施例は、例として提供されるに過ぎず、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本発明の範囲は、以下の通りに記述される特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】形質移入された細胞系における、CpG ODN免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図2】形質移入された細胞系における、CpG ODN免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図3】末梢血単核細胞(PBMC)における、CpG ODN免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図4】末梢血単核細胞(PBMC)における、CpG ODN免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図5】単球由来樹状細胞における、CpG ODN免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図6】単球由来樹状細胞における、CpG ODN免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図7】形質移入された細胞系における、様々な長さのポリ(A)免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図8】PBMCにおける、様々な長さのポリ(C)免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。
【図9】PBMCにおける、様々な長さのポリ(T)免疫賦活性オリゴヌクレオチドによる、IRMによって誘導されるTLR8介在性生物活性の増大を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドと組み合わせて、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導することが可能である量のTLR8アゴニスト;および
TLR8アゴニストが少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導する程度を増大させるのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチド
を含む免疫賦活用合剤であって、
TLR8アゴニストが、置換されたイミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、またはテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンを含む、前記免疫賦活用合剤。
【請求項2】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、CpGオリゴジヌクレオチドを含む、請求項1に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項3】
CpGオリゴジヌクレオチドが、CpG−Aオリゴジヌクレオチドを含む、請求項2に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項4】
CpGオリゴジヌクレオチドが、CpG−Bオリゴジヌクレオチドを含む、請求項2に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項5】
CpGオリゴジヌクレオチドが、CpG−Cオリゴジヌクレオチドを含む、請求項2に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項6】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、ポリ(T)オリゴヌクレオチド、ポリ(A)オリゴヌクレオチド、またはポリ(C)オリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項7】
TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、単一の調合物中に提供される、請求項1に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項8】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドと組み合わせて、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導することが可能である量のTLR8アゴニスト;および
TLR8アゴニストが少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導する程度を増大させるのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチド
を含む免疫賦活用合剤であって、
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、CpGオリゴヌクレオチド以外のオリゴヌクレオチドを含む、前記免疫賦活用合剤。
【請求項9】
TLR8アゴニストが、イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、またはテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンを含む、請求項8に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項10】
TLR8アゴニストが、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンを含む、請求項9に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項11】
TLR8アゴニストが、チアゾロキノリンアミンを含む、請求項9に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項12】
TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、単一の調合物中に提供される、請求項8に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項13】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドと組み合わせて、少なくとも1種のTLR8介在性生物活性を誘導することが可能である量のTLR8アゴニスト;および
TLR8アゴニストによって誘導される少なくとも1種のTLR8介在性生物活性の相乗作用的な増大を提供するのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチド
を含む、前記免疫賦活用合剤。
【請求項14】
TLR8介在性生物活性の前記相乗作用的な増大は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストによって誘導される生物活性を少なくとも2倍上回るものである、請求項13に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項15】
TLR8介在性生物活性の前記相乗作用的な増大は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストによって誘導される生物活性を少なくとも3倍上回るものである、請求項13に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項16】
TLR8介在性生物活性の前記相乗作用的な増大は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストによって誘導される生物活性を少なくとも5倍上回るものである、請求項13に記載の免疫賦活用合剤。
【請求項17】
免疫細胞においてTLR8介在性生物活性を誘導する方法であって、
TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含む免疫賦活用合剤と、免疫細胞を接触させることを含み、その際、免疫賦活性オリゴヌクレオチドの量は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストと免疫細胞を接触させた場合よりも大きな程度に細胞のTLR8介在性生物活性を増大させるのに有効な量であり、
TLR8アゴニストが、置換されたイミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンを含むIRM化合物を含む、前記方法。
【請求項18】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、CpGオリゴジヌクレオチドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
CpGオリゴジヌクレオチドが、CpG−Aを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
CpGオリゴジヌクレオチドが、CpG−Bオリゴジヌクレオチドを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
CpGオリゴジヌクレオチドが、CpG−Cオリゴジヌクレオチドを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
免疫細胞が、PBMCまたは単球由来樹状細胞を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
TLR8介在性生物活性が、サイトカインの合成、ケモカインの合成、共刺激性マーカーの合成、抗原提示細胞の成熟、またはBリンパ球の増殖を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
サイトカインが、TNFまたはIL−12を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
免疫細胞を免疫賦活用合剤と接触させることが、in vitroで単離された免疫細胞に免疫賦活用合剤を加えることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
免疫細胞を免疫賦活用合剤と接触させることが、免疫賦活用合剤がin vivoで対象の免疫細胞と接触するのを可能にする方式で、対象に免疫賦活用合剤を投与することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、ポリ(T)オリゴヌクレオチド、ポリ(A)オリゴヌクレオチド、またはポリ(C)オリゴヌクレオチドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
IRM化合物と免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、IRM−免疫賦活性オリゴヌクレオチド複合体を形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
IRM−免疫賦活性オリゴヌクレオチド複合体が、免疫賦活性オリゴヌクレオチドへのIRM化合物の挿入を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
免疫細胞においてTLR8介在性生物活性を誘導する方法であって、
TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含む免疫賦活用合剤と、免疫細胞を接触させることを含み、その際、免疫賦活性オリゴヌクレオチドの量は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストと免疫細胞を接触させた場合よりも大きな程度に細胞のTLR8介在性生物活性を増大させるのに有効な量であり、
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、CpGオリゴヌクレオチド以外のオリゴヌクレオチドを含む、前記方法。
【請求項31】
TLR8アゴニストが、イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、またはテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
TLR8アゴニストが、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
TLR8アゴニストがチアゾロキノリンアミンを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドが複合体を形成し、該複合体において、TLR8アゴニストは免疫賦活性オリゴヌクレオチドに挿入される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
免疫細胞においてTLR8介在性生物活性を誘導する方法であって、
TLR8アゴニストと、TLR8アゴニストによって誘導される少なくとも1種のTLR8介在性生物活性の相乗作用的な増大を提供するのに有効な量の免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含む免疫賦活用合剤と、免疫細胞を接触させることを含む、前記方法。
【請求項36】
TLR8介在性生物活性の前記相乗作用的な増大は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストによって誘導される生物活性を少なくとも2倍上回るものである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
TLR8介在性生物活性の前記相乗作用的な増大は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストによって誘導される生物活性を少なくとも3倍上回るものである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
TLR8介在性生物活性の前記相乗作用的な増大は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを伴わずにTLR8アゴニストによって誘導される生物活性を少なくとも5倍上回るものである、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
TLR8アゴニストと免疫賦活性オリゴヌクレオチドが複合体を形成し、該複合体において、TLR8アゴニストは免疫賦活性オリゴヌクレオチドに挿入される、請求項36に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−523084(P2008−523084A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545629(P2007−545629)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/044448
【国際公開番号】WO2006/063152
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】