説明

免震配管接続構造およびそれにおける固定構造

【課題】免震配管技術において従来より使用されているボールジョイント、ユニバーサルジョイントなどの配管接続方向変位・伸縮可能継手、配管接続方向変位可能継手の使用方法を適切にする。
【解決手段】免震配管において、配管接続方向変位・伸縮可能継手としてのユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24、28を、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24、28を構成する挿嵌部材C側を、被挿嵌部材D側よりも、上流側に位置するように使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の上階部分などの上部構造が下階部分などの下部構造に、あるいは上部構造としての建物本体が下部構造としての建物基礎に、免震装置を介して支持されている免震構造の建物において、上部構造側の配管と、下部構造側の配管とを、地震時でも配管接続が維持できるような免震配管接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の耐震対策が積極的に進められている。例えば地盤側に構築される地下ピットなどの建物下部基礎側と、住居部分などが設けられる建物本体側との間に、アイソレータやダンパなどからなる免震装置が介在させられた免震対策が知られている。すなわち、地震時の地盤側の振動を免震装置で吸収して、地震の振動を建物本体側にそのまま伝えないような構造に構成されているのである。
【0003】
このように建物自体の耐震対策が積極的に進められる一方で、上下水道、ガスなどの建物への引き込み配管系統における耐震対策も求められている。特殊な継手を使用して、かかる配管系統を接続する免震配管工法が種々提案されている。
【0004】
例えば、特開平10−231972号公報(特許文献1)には、室内配水用配管と、地中配水用管とが、両端部外周面に球面凸状部が形成された伸縮自在な継手本体と、かかる球面凸状部に球面摺動自在に嵌合する球面凹状部が内周面に形成された一対の継手管とからなる管継手で、免震配管接続される構成が開示されている。
【0005】
また、かかる公報には、一端部外周面に球面凸状部が形成された継手本体と、かかる球面凸状部に球面摺動自在に嵌合する球面凹状部が形成された継手管とからなる一対の管継手本体の各継手本体が、スイベルにより連結された管継手により、室内用配水管と地中配水管とが、屈曲配管された免震配管構造も開示されている。
【0006】
特開平11−182775号公報(特許文献2)には、建物基礎側と、この建物基礎側に免震装置を介して設けられた建物本体側とで、それぞれの側に固定された配管を、接続方向変位可能継手、伸縮継手を介して、免震配管接続する構成が開示されている。
【0007】
特開平11−344176号公報(特許文献3)には、フレキシブル継手配管の一端にボールジョイントを、他端にユニバーサルジョイントをそれぞれ結合した設備用配管の免震継手、フレキシブル配管の両端にボールジョイントを結合した設備用配管の免震継手の構成がそれぞれ開示されている。
【0008】
上記それぞれの構成では、呼称はそれぞれ異なるものの、ボールジョイント、あるいはユニバーサルジョイントと呼ばれる構成の継手が使用されている。かかるボールジョイント、ユニバーサルジョイントは、互いに接続する配管の接続方向を自在に選択できる構成で、接続方向が予め固定されているエルボなどの継手とは異なる構成である。
【0009】
ボールジョイント、ユニバーサルジョイントでは、その配管方向を自在に選択できるように、略共通した摺動機構部を有している。かかる摺動機構部は、例えば、図1に示すボールジョイントでは、筒体1の一端側に配管接続部2を、他端側に挿嵌部を設けた挿嵌部材Aと、一端側に配管接続部2’を、他端側に上記挿嵌部を摺動可能に内包する被挿嵌部を有する被挿嵌部材Bとから構成されている。
【0010】
挿嵌部材Aでは、挿嵌部は、その外周面が凸な部分球面状の部分球面部3に形成されている。
【0011】
被挿嵌部材Bでは、図1に示すように、筒状ボディ部4aと、筒状カバー部4bとから構成されている。筒状ボディ部4aの内周面は、上記凸な部分球面部3を摺動可能に内包する(図1に示す状態では、前半部3aを内包する)凹な部分球面部5aに形成され、筒状カバー部4bの内周面は、上記凸な部分球面部3を摺動可能に内包する(図1に示す状態では、後半部3bを内包する)凹な部分球面部5bに形成され、筒状ボディ部4a、筒状カバー部4bの双方の凹な部分球面部5a、5bが連続して上記被挿嵌部を形成している。
【0012】
すなわち、凹な部分球面部5に形成された被挿嵌部に、凸な部分球面部3に形成された挿嵌部が摺動自在に挿嵌されている。そこで、被挿嵌部材Bに対して、挿嵌部材Aを、軸方向に沿って捩じり方向に回転させたり、あるいは中心軸Nの軸方向に対して首振させたり、あるいは捩じり方向の回転と首振とを併有する首振回転を起こさせることができる。
【0013】
このように挿嵌部材Aを、被挿嵌部材Bに対して上記のように回転させることにより、挿嵌部材Aの配管接続部2を介して接続した配管と、被挿嵌部材Bの配管接続部2’を介して接続した配管とは、配管接続方向を捩じり方向の許容回転角度360度、首振許容角度βの両範許容角度範囲内で、配管方向の接続方向の変更が許容されることとなる。
【0014】
そのため、上記所定角度の範囲内であれば、互いに摺動可能に挿嵌された挿嵌部材A、被挿嵌部材Bのそれぞれに接続させた配管同士に、地震などにより接続方向の回転などの変形力が発生しても、これを吸収して、配管接続部が破損しないように維持されることとなる。
【0015】
図2に示す構成のユニバーサルジョイントでも、図1に示すボールジョイントと略同様の摺動機構を有する。図2に示す場合には、摺動機構部は、スライド筒体11の一端側に配管接続部12を設け、他端側に挿嵌部13を伸縮自在に設けた挿嵌部材Cと、一端側に配管接続部14を、他端側に上記挿嵌部13を摺動可能に内包する被挿嵌部を有する被挿嵌部材Dとから構成されている。
【0016】
挿嵌部材Cでは、筒体11の端部に形成した挿嵌部13が、その外周面が凸な部分球面状の部分球面部15に形成されている。被挿嵌部材Dでは、図2に示すように、筒状ボディ部16aと筒状カバー部16bとから構成されている。筒状ボディ部16aは、その内周面が、上記凸な部分球面部15を摺動可能に内包する(図2に示す状態では、前半部15aを内包する)凹な部分球面部17aに形成されている。
【0017】
筒状カバー部16bは、内周面が上記凸な部分球面部15を摺動可能に内包する(図2に示す状態では、後半部15bを内包する)凹な部分球面部17bに形成され、筒状ボディ部16aと筒状カバー部16bとで、双方の凹な部分球面部17a、17bを連続させて、被挿嵌部を形成している。すなわち、凹な部分球面部17に形成された被挿嵌部に、凸な部分球面部15に形成された挿嵌部13が摺動自在に挿嵌して、摺動機構が構成されている。
【0018】
そこで、被挿嵌部材Dに対して、挿嵌部材Cを、中心軸Nの軸方向に対して捩じり方向に回転させたり、あるいは中心軸Nの軸方向に対して首振させたり、あるいは前後にスライドさせたり、あるいは捩じり方向の回転と首振とスライドとを適宜選択的に組合せた動作を行うことができる。
【0019】
このように挿嵌部材Cを、被挿嵌部材Dに対して上記のように回転させることにより、挿嵌部材Cに接続した配管と、被挿嵌部材Dに接続した配管とは、配管接続方向を捩じり方向の許容回転角度360度、首振許容角度βの両範許容角度範囲内で、且つスライド許容範囲W内で、配管方向の接続方向の変更、伸縮が許容されることとなる。
【0020】
そのため、ボールジョイントと同様に、互いに摺動可能に挿嵌された挿嵌部材C、被挿嵌部材Dのそれぞれに接続させた配管同士に、地震などにより接続方向の回転などの変形力が発生しても、これを吸収して、配管接続部が破損しないように維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平10−231972号公報
【特許文献2】特開平11−182775号公報
【特許文献3】特開平11−344176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、本発明者は、従来の免震配管の構成で使用されるボールジョイント、ユニバーサルジョイントでは、その摺動機構上、長期使用においては流体中の混在物によりその摺動機構が円滑に摺動しなくなる虞があることに気がついた。
【0023】
例えば、図1に示す構成のボールジョイントの図中丸で囲んだ部分では、挿嵌部材Aと被挿嵌部材Bとの挿嵌部分では、挿嵌部の凸な部分球面部3が、被挿嵌部材Bの凹な部分球面部5a、5bにより摺動自在に挿嵌されているが、図1(B)に示すように、凸な部分球面部3は、筒状ボディ部4aの内面4cとの間に隙間dが設けられ、凸な部分球面部3の円滑な摺動が行えるようになっている。
【0024】
そこで、かかる隙間dを有する挿嵌部分に対して、図1(A)の矢印Yに示す方向で水などの流体を流すと、隙間d部分に流体の一部が引っかかることとなる。例えば、図1において、流体が紙面右から左に流れる場合には、この流体に微細なゴミなどが混在されていると、その隙間dに入り込むことが考えられる。
【0025】
混在量が僅かで、併せて混在物が微小である場合には、施工後短い期間では、かかる詰まりが何らかの問題を起こすことは想定しにくいが、長期間の使用では、かかる隙間dに堆積した混在物の詰まりが原因で、摺動しにくくなる虞があることが判明した。
【0026】
かかる点は、ユニバーサルジョイントでも同様で、挿嵌部材Cと被挿嵌部材Dとの間に形成される僅かな隙間dに、上記ボールジョイントについて述べたと同様の詰まりが発生する場合が十分に考えられる。
【0027】
しかし、前掲の公報においては、ボールジョイント、ユニバーサルジョイントの使用に際してのかかる隙間dに詰まりが発生する可能性についての認識は一切見られない。従来例は、かかるボールジョイント、ユニバーサルジョイントの摺動機構部に隙間dでの詰まりの危険性を指摘したものは見られない。
【0028】
使用後短期間では、かかる障害が発生する可能性は少ないため、かかる問題点の指摘がないものと考えられる。しかし、施工後の長期間ではかかる障害の発生する虞は十分に想定され、万が一にもかかる障害が発生しないように予め配管接続することが必要である。また、流す流体中の混在物の多寡、大小などによっては、短期間での障害発生も十分に想定される。
【0029】
さらに、目詰まりが発生しない場合においても、常に流体の一部が隙間部に引っかかるため、挿嵌部材A、Cの部分球面部に回転させる力が加えられ続けることとなり、これに基づく微小振動が配管接続部に常に加えられる事態も十分に想定される。
【0030】
すなわち、従来技術では、ボールジョイント、ユニバーサルジョイントを使用することにより免震配管が行えることについての開示はなされているが、かかるボールジョイント、ユニバーサルジョイントを使用するについての、施工後も円滑にボールジョイント、ユニバーサルジョイントの機能を確保するための取付け方法については一切の考慮がなされていないのである。
【0031】
本発明者は、施工後長期間に亘る免震配管の初期品質の維持という観点から、免震配管接続構造を検討することにより、初めて、ボールジョイント、ユニバーサルジョイントの摺動機構に基づいた適切な使用形態があることを見出し、本発明となしたものである。
【0032】
また、上記従来例では、ボールジョイント、ユニバーサルジョイントなどの継手を使用する場合における室内配管や、埋設配管側の取付け方法に関しても、いかなる取付け方法が、これらボールジョイント、ユニバーサルジョイントを使用した免震配管におけるベストモードであるかの十分な検討が見出せない。
【0033】
さらに、前掲の特開平10−231972号公報には、両端にボールジョイントをその軸方向に回転するように(捩じり方向に回転するように)、もしくは首を振るように(軸外方向回転するように)取り付け、中央にスイベルを設けて免震用の配管としている。
【0034】
この免震用の配管は、免震建物の免震層(建物が積層ゴムによる免震装置により支持されているその層)に取り付けられている。両側にボールジョイント、中央にスイベルを設けることにより水平方向に広い範囲で動けるようになっており、地震時の水平変位を吸収できるようになっている。
【0035】
しかし、かかる公報では、建物の上下方向の変位に関しては、何ら技術的事項は開示されてはおらず、免震層で上下変位を生じた場合には、スイベル部分には過大な応力が発生する可能性があり、かかる場合に対応する適切な技術の提供が強く望まれている。
【0036】
かかるスイベル部分に過大な応力が発生する場合としては、例えば、上層階を施工するにつれ、積層ゴムにかかる鉛直荷重が大きくなる。それに伴って積層ゴムは鉛直方向に縮み、その結果、建物が沈下する場合がある。あるいは、地震により上下方向の加速度が大きい場合には、建物は瞬間的に沈下する場合も十分に考えられる。あるいは、年間、日々の温度変化によりゴムの伸び縮みが生じて、建物が上下する場合もある。あるいは、積層ゴムにクリープを生じで、建物が沈下する場合もある。
【0037】
かかる上下方向の変位を考慮した配管接続においては、その配管の重量のみを支持できるたけでは十分ではなく、配管から生ずる反力(例えば、ボールジョイントに生ずるモーメント)に抵抗し得る技術の開発が必要である。かかる点に関しては、従来技術では、この反力および配管の自重支持方法に関しての技術開示は一切見られない。
【0038】
本発明の目的は、免震配管技術において従来より使用されているボールジョイント、ユニバーサルジョイントなどの配管接続方向変位・伸縮可能継手、配管接続方向変位可能継手の使用方法を適切にすることにある。
【0039】
本発明の目的は、ボールジョイント、ユニバーサルジョイントを使用した免震配管技術において、室内配管、埋設配管などの配管側の固定方法を適切にすることにある。
【0040】
本発明の目的は、上下方向の変位に対して適切な配管支持を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明は、配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、挿嵌部材が回転可能に保持され、配管接続部を有するパイプが前記挿嵌部材の内側にスライド可能に保持されることにより、配管接続方向の屈折と伸縮が許容されている配管接続方向変位・伸縮可能継手を用いて、構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側配管または埋設配管とが接続される免震用の配管接続構造であって、前記上部構造側配管と、前記下部構造側配管または埋設配管とのそれぞれの接続端には、前記配管接続方向変位・伸縮可能継手が、前記挿嵌部材が前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられ、両前記配管接続方向変位・伸縮可能継手間に配管が介在させられていることを特徴とする。
【0042】
本発明は、配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、挿嵌部材が回転可能に保持され、配管接続部を有するパイプが前記挿嵌部材の内側にスライド可能に保持されることにより、配管接続方向の屈折と伸縮が許容されている配管接続方向変位・伸縮可能継手と、配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、配管接続部を有する挿嵌部材が回転可能に保持された配管接続方向変位可能継手とを用いて、構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側配管または埋設配管とが接続される免震用の配管接続構造であって、前記上部構造側配管の接続端には、前記配管接続方向変位・伸縮可能継手、あるいは前記配管接続方向変位可能継手の一方が接続され、前記下部構造側配管または埋設配管の接続端には残りの他方が接続され、前記配管接続方向変位・伸縮可能継手、前記配管接続方向変位可能継手を接続するに際しては、両継手において、前記挿嵌部材が前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられ、両継手間には配管が介在させられていることを特徴とする。
【0043】
本発明は、配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、配管接続部を有する挿嵌部材が回転可能に保持された配管接続方向変位可能継手を用いて、構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側配管または埋設配管とが接続される免震用の配管接続構造であって、前記上部構造側配管と前記下部構造側配管のそれぞれの接続端には、前記配管接続方向変位可能継手が、前記挿嵌部材が前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられ、両前記配管接続方向変位可能継手間には配管が介在させられていることを特徴とする。
【0044】
本発明は、構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側水平配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側水平配管または埋設水平配管とが、配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、配管接続部を有する挿嵌部材が回転可能に保持された少なくとも3個の配管接続方向変位可能継手と、エルボおよび直管の少なくともいずれかとを介在させて、前記上部構造側水平配管と、前記下部構造側水平配管または埋設水平配管との間は、屈曲配管部が設けられて配管接続されていることを特徴とする。
【0045】
前記配管接続方向変位可能継手の前記挿嵌部材は前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられていることを特徴とする。前記下部構造側水平配管は、前記下部構造側に固定され、且つ、前記下部構造側への固定部とは別に、変位可能に配管変位支持部材に支持されていることを特徴とする。
【0046】
本発明の上記いずれかの構成の免震配管接続構造における固定構造は、前記上部構造側配管の上部構造側水平配管部が前記上部構造に固定され、前記下部構造側配管の下部構造側水平配管部が前記下部構造に固定されていることを特徴とする。前記上部構造側水平配管部を前記上部構造に固定するに際しては、前記上部構造側に固定する固定部と、前記固定部に対して交差方向に固定された配管支持部とからなる固定部材を介して、前記固定部を前記上部構造側に固定した状態で、前記配管支持部に前記上部構造側水平配管部を支持させ、前記上部構造側水平配管部の管端側配管接続における管端接続部を前記配管支持部に固定することを特徴とする。
【0047】
上記いずれの構成でも、挿嵌部材を被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けることにより、配管内を流れる流体の混在物による前記詰まり障害を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明により、ユニバーサルジョイント、ボールジョイントに代表される配管接続方向変位・伸縮可能継手、配管接続方向変位可能継手を使用した免震配管において、両継手の配管接続方向変位可能機能を構成する機構部分における目詰まりを防止することができ、本発明の構成を採用しない場合とは異なり、長期間使用でもその機能維持を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(A)は、配管接続方向変位可能継手のボールジョイントの構成を示す断面図であり、(B)は、(A)の丸で囲んだ部分を拡大して示す部分断面図である。
【図2】(A)は、配管接続方向変位・伸縮可能継手のユニバーサル・エキスパンション・ジョイントの構成を示す断面図であり、(B)は、(A)の丸で囲んだ部分を拡大して示す部分断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の免震配管接続構造の一例を示す側面図である。
【図4】本実施の形態の免震配管接続構造のエルボ部分の取付状況の一例を示す側面図である。
【図5】(A)は、ユニバーサルジョイントの首振許容角度と免震ピット高さとの関係を示すグラフ図であり、(B)はユニバーサルジョイントの伸び量を計算するための直角三角形モデルを示す説明図であり、(C)はユニバーサルジョイントの首振許容角度とその伸び量との関係を示すグラフ図である。
【図6】免震配管接続構造の振動吸収時における適切な伸量を算出するための説明図である。
【図7】(A)は本実施の形態の免震配管接続構造の一例を示す側面図であり、(B)は配管高さの調整用に直管を介在させた構成を示す部分説明図である。
【図8】図7に示す免震配管の様子を示す平面図である。
【図9】図7に示す免震配管の水平方向の振動吸収時の配管の動きを示す平面図である。
【図10】図7に示す免震配管の沈下時における配管の振動吸収の様子を示す側面図である。
【図11】図7に示す免震配管で、直管を吊り下げ支持した様子を示す側面図である。
【図12】本実施の形態の免震配管の変形例を示す側面図である。
【図13】図12に示す免震配管の様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の実施の形態を、以下、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明で使用する配管接続方向変位可能継手としてのボールジョイントの構成を示す断面図である。図2は、本発明で使用する配管接続方向変位・伸縮可能継手としてのユニバーサルジョイントの構成を示す断面図である。
【0051】
本発明で使用するボールジョイントは、図1に示すように、筒体1の一端側に配管接続部2を、他端側に挿嵌部を設けた挿嵌部材Aと、一端側に配管接続部2’を、他端側に上記挿嵌部を摺動可能に内包する被挿嵌部を有する被挿嵌部材Bとから構成されている。
【0052】
挿嵌部材Aは、筒体1の一端側の筒端に配管接続部2としてフランジ2aが設けられ、他端側の挿嵌部は、その外周面が凸な部分球面状の部分球面部3に形成されている。
【0053】
被挿嵌部材Bは、図1に示すように、筒状ボディ部4aと、筒状カバー部4bとから構成されている。筒状ボディ部4aは、その一端側の筒端に配管接続部2’としてフランジ2’aが設けられ、他端側はその内周面が、上記凸な部分球面部3を摺動可能に内包する(図1に示す状態では、前半部3aが内包されている)凹な部分球面部5aに形成され、他端側外周面にはフランジ6aが設けられている。
【0054】
筒状カバー部4bは、内周面が上記凸な部分球面部3を摺動可能に内包する(図1に示す状態では、後半部3bが内包されている)凹な部分球面部5bに形成され、外周面にフランジ6bが形成されている。
【0055】
かかる構成の筒状ボディ部4aと筒状カバー部4bとは、フランジ6a、6bをボルト連結させることにより接続され、図1に示すように、筒状ボディ部4a、筒状カバー部4bの双方の凹な部分球面部5a、5bが連続して、上記被挿嵌部を形成している。すなわち、凹な部分球面部5に形成された被挿嵌部に、凸な部分球面部3に形成された挿嵌部が摺動自在に挿嵌され保持されている。
【0056】
かかる構成のボールジョイントは、被挿嵌部材Bに対して、挿嵌部材Aを、中心軸Nの軸方向に対して捩じり方向に回転させたり、あるいは中心軸Nの軸方向に沿って首振させたり、あるいは捩じり方向の回転と首振とを併有する首振回転を起こさせることができる。
【0057】
このように挿嵌部材Aを、被挿嵌部材Bに対して上記のように回転させることにより、挿嵌部材Aの配管接続部2を介して接続した配管と、被挿嵌部材Bの配管接続部2を介して接続した配管とは、配管接続方向を捩じり方向の許容回転角度α(例えば、図1に示す場合には、360°)、首振許容角度β(例えば、図1に示す場合には、30°)の両範許容角度範囲内で、配管方向の接続方向の変更が許容されることとなる。なお、かかる捩じり方向の許容回転角度α、首振許容角度βは、上記範囲に限定する必要はなく、適宜必要な許容角度を設定してよい。このようにして、配管接続方向の屈折が許容されることとなる。
【0058】
本発明で使用するユニバーサルジョイントは、図2に示すように、スライド可能な筒体11の一端側に配管接続部12を設け、他端側に挿嵌部13を伸縮自在に設けた挿嵌部材Cと、一端側に配管接続部14を設け、他端側に上記挿嵌部13を摺動可能に内包する被挿嵌部を有する被挿嵌部材Dとから構成されている。
【0059】
挿嵌部材Cは、筒体11の一端側の筒端に配管接続部12としてフランジ12aが設けられ、他端側の挿嵌部13は、その外周面が凸な部分球面状の部分球面部15に形成されている。
【0060】
被挿嵌部材Dは、図2に示すように、筒状ボディ部16aと、筒状カバー部16bとから構成されている。筒状ボディ部16aは、その一端側の筒端に配管接続部14としてフランジ14aが設けられ、他端側はその内周面が、上記凸な部分球面部15を摺動可能に内包する(図2に示す状態では、前半部15aが内包されている)凹な部分球面部17aに形成され、他端側外周面にはフランジ18aが設けられている。
【0061】
筒状カバー部16bは、内周面が上記凸な部分球面部15を摺動可能に内包する(図2に示す状態では、後半部15bが内包されている)凹な部分球面部17bに形成され、外周面にフランジ18bが形成されている。
【0062】
かかる構成の筒状ボディ部16aと筒状カバー部16bとは、フランジ18a、18bをボルト連結させることにより接続され、図2(A)に示すように、筒状ボディ部16a、筒状カバー部16bの双方の凹な部分球面部17a、17bが連続して、上記被挿嵌部を形成している。すなわち、凹な部分球面部17に形成された被挿嵌部に、凸な部分球面部15に形成された挿嵌部13が摺動自在に挿嵌されている。
【0063】
かかる構成のユニバーサルジョイントは、図2に示すように、被挿嵌部材Dに対して、挿嵌部材Cを、中心軸Nの軸方向に沿って捩じり方向に回転させたり、あるいは中心軸Nの軸方向に沿って首振させたり、あるいは前後にスライドさせたり、あるいは捩じり方向の回転と首振とスライドとを適宜選択的に組合せた首振回転を行うことができる。
【0064】
このように挿嵌部材Cを、被挿嵌部材Dに対して上記のように回転させることにより、挿嵌部材Cの配管接続部12を介して接続した配管と、被挿嵌部材Dの配管接続部14を介して接続した配管とは、配管接続方向を捩じり方向の許容回転角度α(例えば、図2に示す場合には、360°)、首振許容角度β(例えば、図2に示す場合には、30°)の両範許容角度範囲内で、且つスライド許容範囲W(例えば、図2に示す場合には、80mm)内で、配管方向の接続方向の変更、伸縮が許容されることとなる。
【0065】
本発明は、上記構成のボールジョイントを配管接続方向変位可能継手として、ユニバーサルジョイントを配管接続方向変位・伸縮可能継手として使用することにより、免震配管接続構造を構成するものである。かかる構成の配管接続方向変位・伸縮可能継手、配管接続方向変位可能継手は、既知の市販品を使用すればよい。例えば、ユニバーサルジョイントとして、ユーイージョイント社製のユニバーサル・エキスパンション・ジョイント(略称、U.Eジョイント)を使用すればよい。
【0066】
(実施の形態1)
本実施の形態では、図3に示すように、建物の上部構造側としての建物本体側Eと、下部構造側としての地盤側に設けた建物基礎側Gとが、アイソレータ、ダンパなどの免震装置(図示せず)を介して構築された免震建物などの構造物において、屋内配管などの建物本体側の上部構造側配管21と、建物の下部構造側としての建物基礎側の下部構造側配管22とが、上部構造側配管21側から下部構造側配管22側へ流体が流れる場合を想定して免震配管接続されている。
【0067】
図3では、横走りしている上部構造側水平配管21は、エルボ23を介して、配管接続方向変位・伸縮可能継手である上記説明のユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24に接続されている。上部構造側水平配管21とエルボ23とは、双方のフランジ21a、23aを連結することにより配管接続され、そのフランジ連結部分25が、建物本体側Eに固定された台座26に固定されている。
【0068】
台座26は、建物本体側Eの平坦部に取付可能な平板状の固定部26aと、固定部26aから垂下された板状の配管支持部26bとが、両者を略三角形状の補強板のバットレス26cを介して固定されて形成されている。板状の配管支持部26bには貫通孔が設けられ、この貫通孔に上部構造側水平配管21の管端を挿入することにより、上部構造側水平配管21を建物本体側Eに水平に保持されている。
【0069】
上記のように配管支持部26に上部構造側水平配管21を水平に保持させた状態で、上部構造側水平配管21の管端は、フランジ21a、エルボ23のフランジ23a、板状の配管支持部26bとを合わせて一体にボルト連結されている。すなわち、配管支持部26bは、上部構造側水平配管21の配管支持機能とともに、フランジ21aとのフランジ固定機能をも有している。
【0070】
このようにしてフランジ連結部25は、建物本体側Eに固定された台座26の配管支持部26bに固定され、上部構造側水平配管21は、建物本体側Eに固定されることとなる。かかる固定構造を採用することにより、フランジ固定機能をも有する配管支持部26bには、図3に示すように、下方から上方に向けての軸力N、配管支持部26b板面に対面する方向の剪断力(下記する直管27にとっては剪断力となる)Q、モーメントMが働くこととなるが、配管支持部26bは、上記の如く建物本体側Eに固定した固定部26aに固定されているので、地震が発生してもかかる軸力N、剪断力Q、モーメントMに十分に対応して、配管接続構造を維持することができる。
【0071】
エルボ23とユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24とは、エルボ23のフランジ23bと、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24の挿嵌部材Cの側の配管接続部12としてのフランジ12aとをフランジ連結することにより配管接続されている。すなわちユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24は、これを構成する挿嵌部材Cが、被挿嵌部材Dよりも上流側に位置するようにして使用されており、本発明の特徴的な構成点の一つである。
【0072】
被挿嵌部材Dを挿嵌部材Cよりも上流位置となるようにしてユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24を使用すると、水などの流体は、図2(A)の矢印Xに示す方向に流れることとなる。
【0073】
ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24の挿嵌部材Cと被挿嵌部材Dとの挿嵌部分では、挿嵌部13の凸な部分球面部15が、被挿嵌部材Dの凹な部分球面部17により摺動自在に挿嵌されているが、図2(B)に示すように、凸な部分球面部15は、筒状ボディ部16aの内面16cとの間に隙間dが設けられ、凸な球面部15の円滑な摺動が行えるようになっている。
【0074】
かかる隙間dを有する挿嵌部分に対して、図2(A)の矢印Yに示す方向で水などの流体を流すと、隙間d部分に流体の一部が引っかかる虞がある。そのため、流体中に固形物などが混在している場合には、例えそれが微細なものであっても、長期間のうちにはかかる固形物が隙間d内に溜まり、最終的には凸な部分球面部15の円滑な摺動を妨げる虞が発生することに、本発明者は気づいた。
【0075】
そこで、本発明のように、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24の挿嵌部材C側を、被挿嵌部材Dの上流位置になるように使用すれば、図2(A)の矢印Xに示すように、流体は順方向に流れることとなり、隙間d部分で流体の流れが引っかかる虞はない。そのため、流体中に混在物があっても、矢印Yの示す逆方向に流体を流す場合に比べて、隙間d部の目詰まりの発生を未然に防止することができる。例え、流体中の混在物が隙間d内に詰まっても、順方向に終始流れる流体に洗い流され、目詰まりの解消も図れる。
【0076】
ユニバーサルジョイントの免震配管への使用は、前述の如く従来より種々の公報で開示されているが、しかし、ユニバーサルジョイントの上記挿嵌部分の構造に基づき、その部分における目詰まり防止の観点から、ユニバーサルジョイントの使用状態を規定する構成については、何らの考慮もなされてはおらず、本発明者が初めて見出したものである。
【0077】
このようにして、挿嵌部材Cが被挿嵌部材Dより上流位置となるようにして、エルボ23に配管接続されたユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24は、その被挿嵌部材Dの側の配管接続部14側で、縦配管した直管27に配管接続されている。ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24と直管27とは、それぞれのフランジ14a、27aをフランジ連結して行われている。
【0078】
上端の管端側がユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24にフランジ連結された直管27は、下方の管端側が、さらにユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28に配管接続されている。なお、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28は、上記ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24と同様の構成を有している。
【0079】
かかる下方の管端側のユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28との配管接続は、直管27のフランジ27bと、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28の挿嵌部材Cの側のフランジ12aとのフランジ連結により連結されている。かかる直管27の下方の管端側とユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28との連結に際しても、挿嵌部材Cが被挿嵌部材Dよりも上流位置になるように使用されている。
【0080】
さらに、ユニバーサルジョイント28の被挿嵌部材D側は、エルボ29と、それぞれのフランジ14a、29aのフランジ連結により配管接続されている。エルボ29の他端側は、下部構造側配管22である横走りさせた下部構造側水平配管22aに、双方の フランジ29b、22bとでフランジ連結されて配管接続されている。下部構造側水平配管22aは、図3に示すように、建物基礎側Gに固定された配管取付台座31にバンド32で固定されている。
【0081】
このようにして、上部構造側水平配管21a(21)と下部構造側水平配管22a(22)とは、エルボ23、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24、直管27、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28、エルボ29を介して免震配管接続され、上部構造側水平配管21aから下部構造側水平配管22aに向けて流体が流れるようになっている。
【0082】
かかる構成の免震配管では、建物本体側Eと建物基礎側Gとが、地震などで例えば、左右、前後、すなわち面方向に相対変位しても、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24、28のそれぞれの被挿嵌部材D側が、エルボ23、直管27にフランジ連結されたそれぞれの挿嵌部材Cに対して、配管接続方向に対して首振回転、捩じり方向回転を適宜交えた回転運動を行い、挿嵌部材Cが被挿嵌部材Dに対してスライドして振動吸収を行い、配管接続部の外れ、損傷などが発生しないようになっている。
【0083】
また、建物本体側Eと建物基礎側Gとの間で、上下方向の振動が発生した場合には、エルボ23、29にそれぞれフランジ連結したユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24、28の挿嵌部材Cが、被挿嵌部材Dに対して、スライドして、上下振動を吸収するように作用する。
【0084】
上記説明では、本実施の形態の免震配管における面方向の振動の免震作用と、上下方向の振動の免震作用とを別々に説明したが、実際の地震では3次元的に振動が発生するため、面方向、上下方向の両方向の免震作用が組み合わされて免震配管の振動吸収作用が図られ、免震機能が発揮されることとなる。
【0085】
上記説明では、上部構造側配管21とエルボ23とのフランジ連結部25を、配管取付台座26に固定する取付方法を示したが、上部構造側水平配管21a側をバンド32で建物基礎側に固定取付するようにしてもよい。
【0086】
同様に、下部構造側水平配管22aにおいては、例えば、図4に示すように、エルボ取付台座33を介して建物基礎側Gに固定してもよい。エルボ取付台座33は、図4に示す場合には、例えば、建物基礎側G上に固定される板状のエルボ取付台座プレート33aと、エルボ取付台座プレート33aに固定されたエルボ固定部材33bとから構成され、エルボ取付台座33のエルボ固定部材33bにエルボ29を固定すればよい。このようにエルボ29側を確実に固定できれば、下部構造側水平配管22aの固定を省くことができる。
【0087】
図3に示すような免震配管接続において、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24、28では、その内部に圧力(例えば、水圧)が加わると内部に取り付けたシール部分が変形し回転変位が生じる場合には摩擦力を生じ、接続方向には断面の変化により伸び力を生じる。この摩擦力と伸び力は取り付け部に反力を生じさせることとなる。
【0088】
しかし、かかる場合においても、図3に示すように、配管取付台座31を介してバンド32で下部構造側水平配管22aを固定しているので、配管にはせん断力、軸力を生じ、取付部にはモーメントが発生するが、バンド32で固定することにより、かかる軸力、せん断力、モーメントの解消が図れる。かかる軸力、せん断力、モーメントの解消に関しては、下部構造側水平配管22aを図4に示すようにエルボ29を取付固定しても、あるいは、エルボ29と下部構造側水平配管22のフランジ連結部を取付固定しても同様である。
【0089】
ここで図3に示すような免振配管において、地震などにより発生した振動を配管が変形して振動吸収することとなるが、かかる変形時に対して十分に対応できるようユニバーサルジョイントの首振回転量、あるいは伸縮量について、予め考察しておく必要があると考えた。
【0090】
従来の免震配管接続構造では、既に市販されているユニバーサルジョイント、ボールジョイントを使用してそれを利用することでの構成を考えているため、免震配管の免震機能は、使用するユニバーサルジョイントの首振許容角度、あるいは伸縮量などにより規制されることとなる。しかし、本来的には、実際の地震時における振動吸収時の変形に対して必要な機能をユニバーサルジョイント、ボールジョイントなどに求めることが必要と本発明者は考えた。
【0091】
かかる観点から、例えば、本発明の実施の形態のうち、簡単な構成である図3に示す免震配管の地震時における変形状況を観察することにより、使用する側からユニバーサルジョイントなどに求める機能はどのようなものか検討した。
【0092】
検討に際しては、次のような前提条件を設定して行った。すなわち、本発明は免震装置が用いられた免震建物に適用されるが、かかる免震建物の水平変位量は、免震装置の変形性能により規制を受ける。一般的には、最大50cmの変形能力を有する免震装置が使用されるため、水平変位量を50cmとすることにより、実用性の高い範囲での検討を行った。
【0093】
また、免震配管は、免震装置が設置されている建物基礎側に設けた地下の免震ピットで用いられ、建物本体側の配管と、建物基礎側の底盤から地盤の範囲に埋設される配管とを繋ぐためのものであるため、免震ピットの高さが、どの程度であるか規定しておく必要がある。一般的に使用される免震ピットの高さは、200cm以下であるため、200cmを免震ピットの高さとして設定して実用的範囲での検討を行った。
【0094】
図5(A)には、免震ピットの高さ(cm)と、ユニバーサルジョイントの首振許容角度(度)との関係をグラフ図として示した。かかる図5(A)からは、免震ピット高さを200cmとした場合には、首振許容角度は約14度であることが分かる。そこで、15度以上に設定すれば、図3に示す構成の免震配管接続構造では、免震ピット高さを実用的範囲である200cm以下に設定できることが分かる。
【0095】
一方、図5(B)に示すように、直角を挟む二辺の内一辺を水平変位量50cmとし、他の一辺を免震ピット高さの200cmとした場合における直角三角形の斜辺は、206.2cmとなる。かかる斜辺の長さは、上部構造側配管としての本体側配管と接続させたユニバーサルジョイントと、下部構造側配管としての基礎側配管と接続したユニバーサルジョイントとを、間に直管を介して配管接続した免震配管において、地震時に水平変位量を50cm合ったとした場合における2個のユニバーサルジョイントの全伸縮量を示すこととなる。
【0096】
そこで、ユニバーサルジョイントを2個使用していることを考慮して、ユニバーサルジョイントの1個当たりの伸び量を算出すると、(206.2−200)/2=3.1(cm)となることが分かる。すなわち、単純な計算上は、ユニバーサルジョイントに3.1cm以上の伸び量が設定できれば、ピット高さを200cm、水平変位量を50cmとした場合に、実際的範囲での免震機能を発揮させることができる免震配管の機能確保が行えることが分かる。
【0097】
図5(C)は、ユニバーサルジョイントの首振許容角度と、ユニバーサルジョイントの伸縮量との関係を、実際の実験により求めたグラフ図である。図5(C)のグラフ図からは、許容角度が15度では、伸び量が3.3cmとなることが分かる。そこで、伸び量を4cm以上に設定しておけば、上記実用的条件範囲でのユニバーサルジョイントなどに求められる首振許容角度15度以上における15度は少なくとも満足することが分かる。
【0098】
以上の結果から、上部構造側配管と接続させたユニバーサルジョイントと、下部構造側配管と接続したユニバーサルジョイントとを、間に直管を介して配管接続した本発明に係る免震配管を実用的範囲で十分に免震機能を発揮させるためには、使用するユニバーサルジョイント、あるいはボールジョイントに対しては、その首振許容角度は、15度以上必要であることが分かる。
【0099】
また、特にユニバーサルジョイントでは、首振許容角度を15度以上に設定するとともに、その伸縮量を4cm以上に設定すれば、十分に実用的範囲であることが分かる。
【0100】
伸量に関しては、より詳細には、図6に示すように、建物本体側Eと建物基礎側Gとの間を高さをHとし、建物基礎側Gからユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28の被挿嵌部材Cと挿嵌部材Dとの挿嵌部の回転中心までの距離をh1とし、建物本体側Eからユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24の挿嵌部材Cと被挿嵌部材Dとの挿嵌部の回転中心までの距離をh2とする。
【0101】
図6に示すような免震配管を行った際のユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24の挿嵌部材Cの被挿嵌部材Dに対する初期伸び量をd0とし、振動吸収時の可能伸び量をd1とする。さらに、両ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント24、28の挿嵌部材Cと被挿嵌部材Dとからなる挿嵌部分の回転中心間の距離をLとし、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント28の水平変位量をDとし、可能回転量をθとする。
【0102】
かかる場合には、可能伸び量d1は、
d1≧d0/2 + D2 /{2(2L+d0)}≧4(cm)
上記の式で与えられる値を満足するように設定すればよい。かかる式より算出されたd0に対して、取付精度、上下方向のクリープ量を勘案して、安全率を考慮して実際の設計伸び量を設定すればよい。
【0103】
本実施の形態1では、建物の上部構造として建物本体を、下部構造として建物基礎をそれぞれ例として説明したが、例えば、建物の中間階において、上部構造が上階部分であり、下部構造が下階部分であり、かかる上下階が免震装置を介して上下に設けられている場合のそれぞれの配管の接続にも適用できることは勿論である。さらに、下部構造側配管として、建物基礎側に設けた配管を例示して説明したが、下部構造側配管が埋設配管であっても構わない。さらには、埋設配管は、横走りする埋設水平配管であっても構わない。
【0104】
(実施の形態2)
本実施の形態では、配管接続方向変位可能継手として前記説明の構成のボールジョイントを使用して、屈曲免震配管を構成した場合について説明する。
【0105】
本実施の形態では、建物の上部構造側としての建物本体側Eと、下部構造側としての地盤側に設けた建物基礎側Gとが、アイソレータ、ダンパなどの免震装置(図示せず)を介して構築された免震建物において、屋内配管などの建物本体側の上部構造側配管41と、建物基礎側の下部構造側配管42とが、図7(A)に示すように、上部構造側配管41側から下部構造側配管42側へ流体が流れる場合を想定して免震配管接続されている。なお、図8は、図7(A)に示す免震配管接続の平面構成の様子を示し、図8のA−A線に沿って矢視した様子が図7(A)である。
【0106】
図7(A)では、横走りしている上部構造側水平配管41は、建物本体側Eに固定した取付台座43にバンド44(例えば、Uボルト)で固定取付されている。上部構造側水平配管41の管端は、配管接続方向変位可能継手としての前記構成のボールジョイント45に接続されている。ボールジョイント45との配管接続に際しては、ボールジョイント45を構成する挿嵌部材A側の配管接続部2としてのフランジ2aと、上部構造側水平配管41のフランジ41aとを、フランジ連結により連結されている。
【0107】
かかる連結状態では、ボールジョイント45の挿嵌部材A側が被挿嵌部材Bよりも上流位置になるようにして連結されている。ボールジョイント45の挿嵌部材Aと被挿嵌部材Bとの挿嵌部分では、挿嵌部の凸な部分球面部3が、被挿嵌部材Bの凹な部分球面部5a、5bにより摺動自在に挿嵌されているが、図1(B)に示すように、凸な部分球面部3は、筒状ボディ部4aの内面4cとの間に隙間dが設けられ、凸な部分球面部3の円滑な摺動が行えるようになっている。
【0108】
そこで、かかる隙間dを有する挿嵌部分に対して、図1(A)の矢印Yに示す方向で水などの流体を流すと、隙間d部分に流体の一部が引っかかる虞がある。そのため、流体中に固形物などが混在している場合には、例えそれが微細なものであっても、長期間の内にはかかる固形物が隙間d内に溜まり、最終的には凸な部分球面部3の円滑な摺動を妨げる虞が発生することに、本発明者は気づいた。
【0109】
そこで、本発明のように、ボールジョイント45の挿嵌部材A側を、被挿嵌部材Bの上流位置になるように使用すれば、図1(A)の矢印Xに示すように、流体は順方向に流れることとなり、隙間d部分に流体は引っかからない。
【0110】
そのため、流体中に混在物があっても、矢印Yの示す逆方向に流体を流す場合に比べて、隙間d部の目詰まりの発生を未然に防止することができる。例え、流体中の混在物が隙間d内に詰まっても、順方向に終始流れる流体に洗い流され、目詰まりの解消も図れる。
【0111】
ボールジョイントの免震配管への使用は、前述の如く従来より種々の公報で開示されているが、しかし、ボールジョイントの上記挿嵌部分の構造に基づき、その部分における目詰まり防止の観点から、ボールジョイントの使用状態を規定する構成については、何らの考慮もなされてはおらず、本発明者が初めて見出したものである。
【0112】
このようにして、挿嵌部材Aが被挿嵌部材Bより上流位置となるようにして、上部構造側配管41に挿嵌部材A側で接続されたボールジョイント45は、その被挿嵌部材B側で、直管46に配管接続されている。直管46とボールジョイント45の被挿嵌部材B側とは、直管46のフランジ46aと、被挿嵌部材B側のフランジ3aとをフランジ連結することにより接続されている。
【0113】
直管46は、さらに、エルボ47にそれぞれフランジ46b、47aをフランジ連結することにより接続され、配管の敷設方向が鉛直下に向けられる。エルボ47の下端側は、ボールジョイント48に配管接続されている。エルボ47のフランジ47bと、ボールジョイント48の挿嵌部材Aの側のフランジ2aとがフランジ連結されている。この場合も、ボールジョイント48は、前記の如く、挿嵌部材Aが上流側に位置するように使用されている。
【0114】
ボールジョイント48の被挿嵌部材B側は、さらにエルボ49に、双方のフランジ3a、49aをフランジ連結して配管接続され、配管方向が、図8に示すように、90°横方向に方向変換させられている。エルボ49は、さらに、直管51と、それぞれフランジ49b、51aとフランジ連結して、横走りに配管接続されている。直管51は、図7(A)に示すように、建物基礎側Gから立ち上げられた配管支持台52に配管支持されている。
【0115】
配管支持台52の直管51との接触面は、表面が滑らかに形成されて、地震時に直管51が、図7(A)の紙面に直交する方向に変位した場合には、直管51が配管支持台52の上を横方向に滑ることができるように、部材として配管変位支持の役目を果たしている。
【0116】
直管51は、さらにボールジョイント53の挿嵌部材A側に、それぞれのフランジ51b、2aをフランジ連結されて配管接続されている。ボールジョイント53の被挿嵌部材B側は、下部構造側配管42としての下部構造側水平配管42aに、フランジ3a、42aによりフランジ連結されて配管接続されている。下部構造側水平配管42aは、建物基礎側Gに固定された配管取付台座43にバンド44を介して取付固定されている。
【0117】
かかる構成の免震配管では、地震時の横方向の振動吸収は、主に、横向きに取り付けたボールジョイント45、53の横方向の首振回転により、縦向きに取り付けたボールジョイント48の縦方向の軸方向に沿った捩じり回転により吸収されることとなる。図9には、図7(A)に示す構成の免震配管において、免震層がXYの方向に移動した場合の様子を示している。配管の一端がX、Yの方向に移動すると、両端のボールジョイント45、53が軸外回転(首振回転)を行っている。縦方向に設けたボールジョイント48は、捩じり方向に回転が生じている。
【0118】
図10には、構造物としての免震建物が鉛直方向に、すなわち上下方向に沈下した場合を示している。この場合は、ボールジョイント45、48が軸外方向に回転し、沈下の変位、すなわち上下方向の振動を吸収している。
【0119】
なお、図7(A)に示す構成では、直管51を建物基礎側Gに固定した配管支持台52で支持する構成について説明したが、かかる構成に代わり、例えば、図11に示すように、直管46側を、建物本体側Eに支持させた吊り下げ支持台54により支持するようにしてもよい。かかる場合も、直管46は、吊り下げ支持台54上を円滑に滑ることができるように支持されている。
【0120】
上記説明では、エルボ47、ボールジョイント48、エルボ49が連続的に配管接続した場合について説明したが、例えば、図7(B)に示すように、エルボ47と、ボールジョイント48との間に、配管高さの調製ができるように、直管Pを介在させるようにしてもよい。勿論、直管Pは、ボールジョイント48とエルボ49との間に介在させても構わない。
【0121】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、図12に示すように、複数のボールジョイント56、57、58を使用して屈曲免震配管を構成した場合について説明する。本実施の形態では、図7(A)に示す構成とは異なり、建物本体側Eに取付台座43にバンド44で固定された上部構造側配管41をエルボ59を介して、ボールジョイント56に配管接続し、さらにボールジョイント56はエルボ61を介して直管62に配管接続されている。直管62を建物本体側Eに伸縮可能なばね63aを介して吊り下げ支持されている。
【0122】
直管62は、エルボ63を介してボールジョイント57に配管接続され、ボールジョイント57はさらにエルボ64を介して直管65に配管接続されている。直管65は、エルボ66を介してボールジョイント58に配管接続され、ボールジョイント58はエルボ67を介して下部構造側配管42に配管接続されている。下部構造側配管42が、建物基礎側Gに固定された取付台座43にバンド44で取付固定されている。
【0123】
かかる構成の屈曲免震配管の平面図を、図13に示した。なお、図12の側面図は、図13の矢視B−B方向に沿ってみた場合の側面図である。
【0124】
かかる図12、13に示す本実施の形態の構成でも、ボールジョイント56、57、58は、挿嵌部材Aが常に被挿嵌部材Bに対して常に上流側にくるようにして使用されている。かかる構成の免震配管でも、各ボールジョイントの軸方向に沿った捩じり回転と縦方向の首振回転とによって、配管の縦、横方向の振動吸収が行われ、ばね63aによって配管位置を復元できる。
【0125】
また、図7(B)で説明したと同様に、図12においても、エルボ63とボールジョイント57との間に高さ調整用に直管Pを介在させるようにしても構わない。さらには、直管Pを介在させる箇所は、エルボ59とボールジョイント56間、ボールジョイント56とエルボ61間、ボールジョイント57とエルボ64間、エルボ66とボールジョイント58間、ボールジョイント58とエルボ67間のいずれの間に一箇所、または複数箇所設けても構わない。
【0126】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更してもよい。上記説明では、ユニバーサルジョイント(ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント)のみ、あるいはボールジョイントのみを使用して屈曲免震配管を構成した場合について説明したが、一つの屈曲免震配管の構成中に、ユニバーサル・エキスパンション・ジョイントとボールジョイントを併用する構成としても構わない。
【0127】
免震配管におけるユニバーサル・エキスパンション・ジョイント、あるいはボールジョイントの使用個数は、上記説明に限定されるものではなく、必要に応じて適当な数を使用すればよい。
【0128】
上記説明では、ユニバーサルジョイント、ボールジョイントという呼称の配管接続方向変位・伸縮可能継手、配管接続方向変位可能継手を使用したが、挿嵌部材と被挿嵌部材とを摺動可能に有する同様の構成を有するものであれば、呼称の如何にかかわらず、その使用に際して本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 筒体
2 配管接続部
2a フランジ
2’ 配管接続部
2’a フランジ
3 凸な部分球面部
3a 前半部
3b 後半部
4a 筒状ボディ部
4b 筒状カバー部
5a 凹な部分球面部
5b 凹な部分球面部
6a フランジ
6b フランジ
11 筒体
12 配管接続部
12a フランジ
13 挿嵌部
14 配管接続部
14a フランジ
15 凸な部分球面部
15a 前半部
15b 後半部
16a 筒状ボディ部
16b 筒状カバー部
17 凹な部分球面部
17a 凹な部分球面部
17b 凹な部分球面部
18a フランジ
18b フランジ
21 上部構造側配管
21a 上部構造側配管
21b フランジ
22 下部構造側配管
22a 下部構造側水平配管
22b フランジ
23 エルボ
23a フランジ
23b フランジ
24 ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント
25 フランジ連結部分
26 配管取付台座
26a 固定部
26b 配管支持部
26c バットレス
27 直管
28 ユニバーサル・エキスパンション・ジョイント
29 エルボ
29a フランジ
29b フランジ
31 配管取付台座
32 バンド
33 エルボ取付台座
33a エルボ取付台座プレート
33b エルボ固定部材
41 上部構造側配管
41a 上部構造側水平配管
42 下部構造側配管
42a 下部構造側水平配管
43 取付台座
44 バンド
45 ボールジョイント
46 直管
47 エルボ
48 ボールジョイント
49 エルボ
51 直管
52 配管支持台
53 ボールジョイント
54 吊り下げ支持台
56 ボールジョイント
57 ボールジョイント
58 ボールジョイント
59 エルボ
61 エルボ
62 直管
63 エルボ
63a ばね
64 エルボ
65 直管
66 エルボ
67 エルボ
A 挿嵌部材
B 被挿嵌部材
C 挿嵌部材
D 被挿嵌部材
E 建物本体側
G 建物基礎側
d 隙間
P 直管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、挿嵌部材が回転可能に保持され、配管接続部を有するパイプが前記挿嵌部材の内側にスライド可能に保持されることにより、配管接続方向の屈折と伸縮が許容されている配管接続方向変位・伸縮可能継手を用いて、
構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側配管または埋設配管とが接続される免震用の配管接続構造であって、
前記上部構造側配管と、前記下部構造側配管または埋設配管とのそれぞれの接続端には、前記配管接続方向変位・伸縮可能継手が、前記挿嵌部材が前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられ、両前記配管接続方向変位・伸縮可能継手間に配管が介在させられていることを特徴とする免震配管接続構造。
【請求項2】
配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、挿嵌部材が回転可能に保持され、配管接続部を有するパイプが前記挿嵌部材の内側にスライド可能に保持されることにより、配管接続方向の屈折と伸縮が許容されている配管接続方向変位・伸縮可能継手と、配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、配管接続部を有する挿嵌部材が回転可能に保持された配管接続方向変位可能継手とを用いて、
構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側配管または埋設配管とが接続される免震用の配管接続構造であって、
前記上部構造側配管の接続端には、前記配管接続方向変位・伸縮可能継手、あるいは前記配管接続方向変位可能継手の一方が接続され、前記下部構造側配管または埋設配管の接続端には残りの他方が接続され、
前記配管接続方向変位・伸縮可能継手、前記配管接続方向変位可能継手を接続するに際しては、両継手において、前記挿嵌部材が前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられ、両継手間には配管が介在させられていることを特徴とする免震配管接続構造。
【請求項3】
配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、配管接続部を有する挿嵌部材が回転可能に保持された配管接続方向変位可能継手を用いて、
構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側配管または埋設配管とが接続される免震用の配管接続構造であって、
前記上部構造側配管と前記下部構造側配管のそれぞれの接続端には、前記配管接続方向変位可能継手が、前記挿嵌部材が前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられ、両前記配管接続方向変位可能継手間には配管が介在させられていることを特徴とする免震配管接続構造。
【請求項4】
構造物の上部構造が下部構造に免震装置を介して相対変位可能に支持され、前記上部構造に設けられた上部構造側水平配管と、前記下部構造に設けられた下部構造側水平配管または埋設水平配管とが、
配管接続部を設けた被挿嵌部材の内側に、配管接続部を有する挿嵌部材が回転可能に保持された少なくとも3個の配管接続方向変位可能継手と、エルボおよび直管の少なくともいずれかとを介在させて、
前記上部構造側水平配管と、前記下部構造側水平配管または埋設水平配管との間は、屈曲配管部が設けられて配管接続されていることを特徴とする免震配管接続構造。
【請求項5】
請求項4記載の免震配管接続構造において、
前記配管接続方向変位可能継手の前記挿嵌部材は前記被挿嵌部材に対して上流側に位置するように設けられていることを特徴とする免震配管接続構造。
【請求項6】
請求項4または5記載の免震配管接続構造において、
前記下部構造側水平配管は、前記下部構造側に固定され、且つ、前記下部構造側への固定部とは別に、変位可能に配管変位支持部材に支持されていることを特徴とする免震配管接続構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の免震配管接続構造における固定構造であって、
前記上部構造側配管の上部構造側水平配管部が前記上部構造に固定され、前記下部構造側配管の下部構造側水平配管部が前記下部構造に固定されていることを特徴とする免震配管接続構造における固定構造。
【請求項8】
請求項7記載の免震配管接続構造における固定構造において、
前記上部構造側水平配管部を前記上部構造に固定するに際しては、前記上部構造側に固定する固定部と、前記固定部に対して交差方向に固定された配管支持部とからなる固定部材を介して、
前記固定部を前記上部構造側に固定した状態で、前記配管支持部に前記上部構造側水平配管部を支持させ、前記上部構造側水平配管部の管端側配管接続における管端接続部を前記配管支持部に固定することを特徴とする免震配管接続構造における固定構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−185581(P2010−185581A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127414(P2010−127414)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【分割の表示】特願2000−212713(P2000−212713)の分割
【原出願日】平成12年7月13日(2000.7.13)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【出願人】(394025865)ユーイージョイント株式会社 (1)
【Fターム(参考)】