入出力装置及び端末装置
【課題】 画像の奥まり感を軽減することができ、コストが低く表示品質が高い入出力装置、及びこの入出力装置を搭載した端末装置を提供する。
【解決手段】 複数の画素からなる液晶パネル3aの前方に、レンチキュラレンズ9を設ける。このとき、相互に隣接した2つの画素16及び19に対して、1つのシリンドリカルレンズ9aが対応するように、レンズ9を配置する。そして、画素16及び19から出射した光線が、このシリンドリカルレンズ9aによって屈折し、タブレット2の表面に位置する点Fにおいて交差した後、夫々使用者の右目13及び左目14に到達するようにする。
【解決手段】 複数の画素からなる液晶パネル3aの前方に、レンチキュラレンズ9を設ける。このとき、相互に隣接した2つの画素16及び19に対して、1つのシリンドリカルレンズ9aが対応するように、レンズ9を配置する。そして、画素16及び19から出射した光線が、このシリンドリカルレンズ9aによって屈折し、タブレット2の表面に位置する点Fにおいて交差した後、夫々使用者の右目13及び左目14に到達するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置上に平面入力装置が配置され、この平面入力装置に手書きで入力した文字及び図形等をリアルタイムに表示装置に表示させつつ入力を行う入出力装置、及びこれを用いた端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータにデータを入力する手段として、一般的にキーボードが知られている。しかし、現在、コンピュータに入力されるデータは、必ずしもキーボードに割り当てられたアルファベット及び数字等の配列によって構成されるテキストデータに限らず、ペンによって紙に手書きで文字及び絵を描くように入力される形式のデータも一般化している。表示された画面を見ながら情報を入力する手段として既に、マウス、タブレット、タッチパネル等が実用化されている。しかし、このうちマウスは、使用者が画面から離れた位置で入力操作を行うため、ペンによって紙に文字や絵を描く感覚が得られない。
【0003】
これに対して、タブレット及びタッチパネル(以下、総称してタブレットという)を液晶ディスプレイ(以下、LCD(Liquid Crystal Display)ともいう)等のフラットパネルディスプレイに重ねた入出力装置は、使用者が入力用ペンの先端又は指先を表示画面に近接させるだけで情報が入力でき、入力されたデータがフラットディスプレイにリアルタイムに表示される。このため、このような入出力装置を使用すれば、ペンで紙に文字や絵を描く感覚に近い感覚が得られるため、使用者がコンピュータにデータを入力することを支援する装置として利用されている。
【0004】
図10は従来の入出力装置を示す断面図である。図10に示すように、この従来の入出力装置は、LCD51と、このLCD51上に重ねられたタブレット52と、このタブレット52にデータを入力するペン53からなる。LCD51は、例えばデータバスライン、ゲートバスライン、画素電極及び薄膜電界効果型トランジスタ(以下、TFT(Thin Film Transistor)ともいう)が形成されたTFT基板48と、ITOからなる透明電極及びカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板49とが相互に平行に設けられており、TFT基板48とカラーフィルタ基板49との間に液晶層50が配置されている。例えば、TFT基板48及びカラーフィルタ基板49は夫々厚さが0.5mm程度のガラス基板であり、タブレット52においては、ITO(Indium tin oxide:インジウム錫酸化物)等からなる透明電極が形成されたフィルムが積層されて支持基板に固定されており、その支持基板の厚さは1mm程度である。
【0005】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。図10に示すように、使用者が画像データを入力するためにペン53の先端をタブレット52のA点に接触させたとする。このとき、タブレット52はペン53の接触を検出し、その位置データをLCD51に対して出力し、LCD51はこの位置データに基づいてその位置に対応したB点に表示を行う。このとき、図10に示すように、A点とB点とは、タブレット52及びLCD51のカラーフィルタ基板49の合計厚さに相当する距離だけ相互に隔たっている。例えば本入出力装置の場合、タブレット52の厚さが1mm、LCD51のカラーフィルタ基板49の厚さが0.5mmなので、A点とB点とは合計1.5mm隔たっている。このため、使用者から見ると、画像が奥まって見えてしまい、違和感がある。この「奥まり感」により、作業者の入力作業が正確さを欠き、作業効率が著しく低下し、また、作業者を疲労させる。
【0006】
そこで、この問題点を解決するために、以下に示すような方法が提案されている。例えば、特許文献1には、光ファイバを使用して奥まり感を軽減する技術が開示されている。図11は特許文献1に開示された従来の入出力装置を示す斜視図であり、図12はその模式的断面図である。図11及び図12に示されているように、この従来の入出力装置においては、照明用のバックライト58が設けられており、このバックライト58の前方に平面ディスプレイ57が配置されている。平面ディスプレイ57は液晶ディスプレイであり、2枚の基板が相互に平行に配置されており、その間に液晶層(図示せず)が配置されているものである。また、平面ディスプレイ57の前方には、光ファイバを束ねて板状にした視差補正プレート56が設けられており、視差補正プレート56の前方には、タブレット55が設けられている。タブレット55は、ペン54が接触したときに、ペン54の接触位置を検出するものである。なお、図12においては、バックライト58から発せられた光の経路59が示されている。
【0007】
図12に示すように、平面ディスプレイ57の使用者側の基板の厚さをd1とし、タブレット55の厚さをd2とする。仮に、視差補正プレート56が設けられていないとすると、使用者から見た平面ディスプレイ57における表示位置は、液晶層に位置する点Cとなる。従って、タブレット55にペン54を接触させると、タブレット55の表面におけるペン54の接触点Eと、平面ディスプレイ57における表示点Cとの間には、(d1+d2)の距離が生じることになる。これに対して、平面ディスプレイ57とタブレット55との間に視差補正プレート56が挿入されていると、バックライト58から出射し、ディスプレイ57を透過した光は、視差補正プレート56の光ファイバ中を経路59に沿って伝達し、点Dで結像することになる。これにより、表示位置(点D)と入力位置(点E)との間の距離はd2となるため、視差補正プレート56が設けられていない場合を比較して、奥まり感を軽減することができる。
【0008】
また、例えば特許文献2には、マイクロレンズ及び光拡散層を使用して、画像を入出力装置の表面に結像させる技術が開示されている。図13は特許文献2に開示された従来の入出力装置を示す模式的断面図である。図13に示すように、この入出力装置においては、電磁授受作用方式のセンサ基板63が設けられており、このセンサ基板63の前方に、バックライト64、液晶表示装置65、マイクロレンズアレイシート69及び光拡散層70がこの順に設けられている。液晶表示装置65においては、上側基板66と下側基板67との間に液晶層68が配置されている。また、マイクロレンズアレイシート69においては、上側基板66側に多数のレンズが形成されている。更に、光拡散層70は、マイクロレンズアレイシート69により集光された光を拡散させるものである。更にまた、センサ基板63はペン71の先端の位置を電磁授受作用方式により検知するものである。
【0009】
マイクロレンズアレイシート69及び光拡散層70が無い場合は、液晶表示装置65の点Aを透過した光は、点Aから出射したように見える。従って、使用者がその上からペン71の先端を点Aに接触させようとしても、点Aとペン71の先端とは、上側基板66の厚さ分だけずれてしまう。これに対して、マイクロレンズアレイシート69及び光拡散層70を設けることにより、点Aから射出された光はマイクロレンズシートアレイ69上に形成されたレンズにより光拡散層70に集光され、光拡散層70上の点Bで像を結ぶ。これにより、使用者から見ると、見かけ上光拡散層70の位置で表示が行われているように見えるので、上側基板66の厚さによる奥まり感を軽減することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平4−114224号公報
【特許文献2】特開平10−283114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。図11及び図12に示す特許文献1に記載された技術については、視差補正プレート56を用いても、タブレット55の厚さd2による奥まり感を補正することができないという問題がある。また、視差補正プレート56は光ファイバを束ねた後、樹脂でバインディングして作製されるため、大型のものを作ることが困難である。更に、束ねる光ファイバの本数は面積に比例して増加するため、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance:携帯型情報端末)、更にはパソコン用のモニタのようなある程度面積が広いプレートを作製しようとすると、多数のファイバを束ねなければならないため、そのコストが極めて高くなってしまうという問題がある。
【0012】
また、図13に示す特許文献2に記載された技術については、レンズを用いて入出力装置の表面に結像する方式であるため、入出力装置の表面において、光拡散層70により光を散乱させる必要がある。しかしながら、光拡散層70は液晶表示装置65から出射される光だけでなく、外部から入射する光も同様に散乱してしまう。このため、表示装置としてのコントラストが著しく低下し、使用者の作業効率を低下させる原因となる。また表示画像の光を散乱させるため、例えば文字表示を行った場合に、実際の表示よりもぼやけたり線が太くなったりするという問題がある。このように、光拡散層を使用することによって、表示品質が低下してしまう。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、画像の奥まり感を軽減することができ、コストが低く表示品質が高い入出力装置、及びこの入出力装置を搭載した端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る入出力装置は、複数の画素からなる画素群がマトリクス状に配列された表示装置と、前記画素群に属する画素のうち第1の画素から出射する光を第1の方向に向けると共に第2の画素から出射する光を第2の方向に向ける光学部材と、前記表示装置の前方に配置され前記表示装置から出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、一の前記画素群に属する前記第1の画素から出射した第1の光の軌跡と前記一の画素群又は他の前記画素群に属し前記第1の画素を駆動する信号と同じ信号に基づいて駆動される前記第2の画素から出射した第2の光の軌跡とが交差することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、同じ信号に基づいて駆動される第1及び第2の画素から出射した光の軌跡が相互に交差するため、第1の画素から出射した光を使用者の右目に到達させ、第2の画素から出射した光を使用者の左目に到達させることにより、使用者に、第1及び第2の画素から出射した光が前述の交差点から出射したものと認識させ、前記表示装置が表示する画像が前記交差点の集合からなる仮想的な平面上に表示されているものと認識させることができる。これにより、画像の奥まり感を軽減することができる。また、本発明においては、特別な部品を使用する必要がないためコストが低く、スクリーン等に結像する必要がなく、光を拡散させることがないため表示品質が高い。
【0016】
また、前記第1の光の軌跡と前記第2の光の軌跡とが前記平面入力装置の前面において交差することが好ましい。これにより、前述の仮想的な表示面を平面入力装置の前面と一致させることができ、奥まり感を解消できる。
【0017】
又は、前記第1の画素から出射した光が使用者の右目に到達し、前記第2の画素から出射した光が使用者の左目に到達するように配置されたときに、使用者の両目の間隔をWとし、前記光学部材が光を振り分ける方向における前記画素の配列ピッチをPとし、前記表示装置の表示面から前記平面入力装置の前面までの距離をTとし、前記平面入力措置の前面から使用者の両目までの距離をLとし、0以上の整数をnとするとき、数式(W:L=P×(2n+1):T)が成立することが好ましい。これにより、前述の仮想的な表示面を平面入力装置の前面と一致させることができ、奥まり感を解消できる。
【0018】
更に、前記光学部材がレンチキュラレンズであってもよい。これにより、光学部材を簡単なレンズ系で構成することができるため、コストを低減できる。
【0019】
本発明に係る他の入出力装置は、光を第1の方向及び第2の方向に向けて交互に出射する光源と、この光源の前方に配置され複数の画素を備えた液晶パネルと、前記液晶パネルの前方に配置され前記液晶パネルから出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、前記光源が光を前記第1の方向に向けて出射するときに前記液晶パネルの第1の前記画素を一の信号に基づいて駆動し、前記光源が光を前記第2の方向に向けて出射するときに、前記第2の方向に向かう光線のうち前記第1の画素を透過して前記第1の方向に向かう光線が前記平面入力装置の前面と交差する点を通過する光線が透過する第2の前記画素を前記一の信号と同じ信号に基づいて駆動することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、時分割方式により第1及び第2の画素を駆動することができる。これにより、光を振り分ける光学部材が不要になる。
【0021】
本発明に係る端末装置は、前記入出力装置を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る端末装置は、携帯電話、PDA、携帯端末、ゲーム機、デジタルカメラ又はデジタルビデオであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、同じ信号に基づいて駆動される第1及び第2の画素から出射した光の軌跡が相互に交差するため、使用者に実際の表示装置の表示面よりも前方に位置する平面に仮想的な表示面を認識することができ、画像の奥まり感を軽減することができる。また、本発明の入出力装置は、特別な部品を使用する必要がないためコストが低く、光を拡散させることがないため表示品質が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る入出力装置を示す斜視図であり、図2はその部分断面図であり、図3はその光学的構成を示す図である。本実施形態に係る入出力装置は、PDAに搭載された入出力装置である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る入出力装置1においては、出力機器としての液晶表示装置3が設けられており、この液晶表示装置3の前方に入力機器としてのタブレット2が設けられている。タブレット2の前面には、入出力領域5が設けられている。タブレット2は、使用者が入力手段としてのペン4によって入出領域5を押圧することにより、情報が入力されるものである。また、タブレット2は全体として光を透過させるようになっており、使用者は領域5において、液晶表示装置3が表示した画像を視認できるようになっている。また、タブレット2からデータが入力され、この入力されたデータを処理し、液晶表示装置3に対して出力する制御装置(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、図2に示すように、液晶表示装置3においては、バックライト8が設けられており、バックライト8の前方には、液晶パネル3aが設けられている。液晶パネル3aには、背面基板となるTFT基板7、このTFT基板7の前方にTFT基板7に対向して配置された前面基板となるカラーフィルタ基板6、TFT基板7とカラーフィルタ基板6との間に配置された液晶層12が設けられており、カラーフィルタ基板6の前面及びTFT基板7の背面には、夫々偏光フィルム10及び11が貼付されている。また、液晶表示装置3とタブレット2との間には、液晶表示装置3から出射された光線を複数の方向に振り分けるレンズ9が設けられている。レンズ9は、例えば複数のシリンドリカルレンズ9aが相互に平行に配列されたレンチキュラレンズである。
【0027】
更に、図3に示すように、液晶パネル3aには、複数の画素が設けられている。なお、図3においては、便宜上、画素15乃至20の6個の画素のみが示されているが、実際には液晶パネル3aにはより多くの画素が設けられている。また、図3においては、カラーフィルタ基板6、TFT基板7、偏光シート10及び11、並びにバックライト8は図示を省略されている。そして、レンズ9の各シリンドリカルレンズ9aは、このシリンドリカルレンズ9aの長手方向に配列された2列の画素に対応するようになっている。例えば、相互に隣接した2つの画素16及び19に対して、1つのシリンドリカルレンズ9aが対応している。そして、画素16及び19から出射した光線は、このシリンドリカルレンズ9aによって屈折して集光され、タブレット2の表面に位置する点Fにおいて交差した後、夫々使用者の右目13及び左目14に到達するようになっている。
【0028】
従って、使用者の両目の間隔をW、シリンドリカルレンズ9aの配列方向における画素の配列ピッチをP1、液晶パネル3aにおける液晶層12(図2参照)とカラーフィルタ基板6(図2参照)との界面からタブレット2の前面までの距離をT1、タブレット2の前面と使用者の右目13及び左目14との間の距離をL1とするとき、下記数式1が近似的に成立する。
W:L1=P1:T1 ・・・(1)
【0029】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る入出力装置の動作について説明する。使用者がペン4の先端をタブレット2の入出力領域5に接触させると、タブレット2がペン4の先端の位置を2次元平面上の座標データとして検出し、この座標データを制御装置(図示せず)に対して出力する。制御装置はこの座標データを処理し、記憶すると共に液晶表示装置3に対して出力する。そして、液晶表示装置3がこの座標データに基づいて、ペン4の先端の座標に対応する液晶パネル3a上の座標に、所定のマーク(例えば、黒点)をリアルタイムで表示する。なお、このとき、制御装置がタブレット2に入力された座標データを逐次的に記憶することにより、線等の図形を入力することができ、これを液晶表示装置3に表示させることができる。
【0030】
このとき、液晶表示装置3は、レンズ9の各シリンドリカルレンズ9aに対して相対的に同じ位置にある複数の画素からなる画素群に一の画像を表示させ、各シリンドリカルレンズ9aに対して他の相対的な位置にある他の画素群にも前記一の画像を表示させる。即ち、画素15、16、17からなる画素群に一の画像を表示させ、画素18、19、20からなる他の画素群にも前記一の画像を表示させる。従って、レンズ9の1つのシリンドリカルレンズ9aに対応する1対の画素、例えば、画素16及び画素19は同一の信号により駆動され、画素15及び画素18は他の同一の信号により駆動され、画素17及び画素20は更に他の同一の信号により駆動される。
【0031】
この状態でバックライト8が光を出射し、この光が液晶パネル3aの各画素を透過して、レンズ9に入射する。このとき、例えば画素16及び19を透過した光は、レンズ9の1つのシリンドリカルレンズ9aにより屈折して集光され、タブレット2の前面に位置する点Fにおいて相互に交差して、画素16を透過した光は使用者の右目13に到達し、画素19を透過した光は使用者の左目14に到達する。同様に、画素15及び画素18を透過した光は、タブレット2の前面に位置する他の点(図示せず)において相互に交差して夫々右目13及び左目14に到達する。また、画素17及び画素20を透過した光は、タブレット2の前面に位置する更に他の点(図示せず)において相互に交差して夫々右目13及び左目14に到達する。即ち、画素15、16、17は右目用の画像を表示し、画素18、19、20は左目用の画像を表示する。右目用画像と左目用画像とは同一のものであるが、液晶パネル3aにおける表示位置は、画素1つ分だけずれている。
【0032】
これにより、使用者は、右目13により画素15、16、17が表示する右目用画像を視認し、左目14により画素18、19、20が表示する左目用画像を視認するが、使用者から見ると、画素16を透過した光と画素19を透過した光とは、タブレット2の前面に位置する同一の点Fから出射したように見える。同様に、画素15を透過した光と画素18を透過した光もタブレット2の前面に位置する他の同一の点(図示せず)から出射したように見え、画素17を透過した光と画素20を透過した光もタブレット2の前面に位置する更に他の同一の点(図示せず)から出射したように見える。図3に示されていない他の画素対についても同様である。この結果、使用者には、画像がタブレット2の前面において表示されているように見える。
【0033】
なお、入出力領域5の背景は無地(例えば、全白表示)としておき、使用者がペン4により入力したデータのみを表示するようにしてもよく、又は、予め何らかの画像を表示しておき、使用者がこの画像を見ながら重ね書きするようにしてもよい。
【0034】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、本実施形態においては、一の画素群により右目用画像を表示して使用者の右目に供給し、他の画素群により左目用画像を表示して使用者の左目に供給する。そして、右目用画像における各点を表示する光線と、左目用画像における前記各点に対応する点を表示する光線とが、相互に交差するようになっている。これにより、使用者には右目用画像及び左目用画像における相互に対応する点を表示する2本の光線が、その交差点から出射したように見え、この交差点の集合としての平面を、仮想的な表示面として認識する。そして、この仮想的な表示面を入出力装置の表面と一致させることにより、画像の奥まり感を解消することができる。これにより、使用者による入力作業を容易にし、入力の精度及び効率を向上させることができる。また、本実施形態に係る入出力装置は、光ファイバ等の高価な部品を使用する必要がないため、コストが低い。更に、スクリーン等に像を結像する必要がないため、光を拡散させることがなく、表示品質が低下することがない。
【0035】
なお、図3においては、各画素を透過した光の経路を線で示したが、実際の表示装置では、各画素は一定の有限の面積を持ち、そこから発せられる光も様々な方向に射出される。このため、入出力装置1の前方における右目用画像が供給される位置及び左目用画像が供給される位置は、夫々1本の直線上にのみ存在するわけではなく、一定の視野角を持った空間領域として存在する。従って、使用者が夫々の空間領域に自分の右目13及び左目14を位置させれば、前述の仮想的な表示面を認識することができる。このため、奥まり感が解消される視点は、図3に示す各1点ではない。
【0036】
次に、本第1の実施形態の変形例について説明する。図4は本変形例に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。図4に示すように、本変形例においては、レンズ9の1つのシリンドリカルレンズ9bに、6つの画素21乃至26が対応している。そして、画素21乃至26を夫々透過した光線はレンチキュラレンズ9bによって屈折して集光され、1点において交差した後、相互に異なる方向に出射されるようになっている。これにより、多視点表示を実現することができる。そして、画素21乃至26のうち1つの画素で右目用画像を表示し、他の1つの画素で左目用画像を表示すれば、前述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、例えば画素21、23、25により同一の左目用画像を表示し、画素22、24、26により同一の右目用画像を表示すれば、使用者が仮想的な表示面を認識できる位置を広げることができる。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。図5に示すように、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、各部の寸法が異なっている。即ち、使用者の両目の間隔をW、シリンドリカルレンズ9aの配列方向における画素の配列ピッチをP1、液晶パネル3aにおける液晶層12(図2参照)とカラーフィルタ基板6(図2参照)との界面からタブレット2の前面までの距離をT2、タブレット2の前面と使用者の右目13及び左目14との間の距離をL2とするとき、下記数式2が近似的に成立する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
W:L2=P1×3:T2 ・・・(2)
【0038】
次に、本実施形態の動作について説明する。本実施形態においては、液晶パネル3aにおいて、シリンドリカルレンズ9aの配列方向に沿って間に2つの画素を挟んで隔たった位置にある1対の画素において夫々、同一の右目用画像及び左目用画像を表示する。例えば、図5に示す画素16が右目用画像を表示し、画素18がこの右目用画像に対応する左目用画像を表示する。即ち、画素16及び画素18は同一の信号により駆動される。そうすると、画素16を透過した光線及び画素18を透過した光線は、相互に隣接するシリンドリカルレンズ9aに夫々入射し、これらのシリンドリカルレンズ9aにより夫々屈折し、タブレット2の前面に位置する点Gにおいて交差した後、画素16を透過した光は使用者の右目13に到達し、画素18を透過した光は使用者の左目14に到達する。同様に、画素17及び19が相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示すると、画素17及び19を透過した光線が相互に隣接する2本のシリンドリカルレンズ9aによって夫々屈折し、タブレット2の前面における他の点(図示せず)において交差した後、夫々右目13及び左目14に到達する。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0039】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、2つの画素を挟んで隔たった1対の画素16及び18により、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示し、この2つの画素を透過した2本の光線がタブレット2の前面に位置する点Gにおいて交差した後、夫々使用者の右目13及び左目14に到達することにより、使用者には、この2本の光線が点Gから出射しているように見える。このため、使用者はタブレット2の前面において仮想的な表示面を認識することができ、画像の奥まり感を解消することができる。また、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、タブレット2の厚さを厚くすることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0040】
なお、前述の第1の実施形態においては相互に隣接する1対の画素により相互に対応する左右の画像を表示し、本第2の実施形態においては間に2つの画素を挟んで配置された1対の画素により相互に対応する左右の画像を表示する例を示したが、この相互に対応する左右の画像を表示する1対の画素の位置関係は、前述の第1及び第2の実施形態の例に限定されない。図6は本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を一般的に示す図である。図6に示すように、入出力装置における前記1対の画素の位置関係と各部の寸法との間の関係は、以下のように一般的に表現することができる。即ち、前記1対の画素に挟まれる画素の数を2n個(nは0以上の整数)とした場合、下記数式3が近似的に成立する。なお、前述の第1の実施形態は下記数式3においてnが0である場合であり、前述の第2の実施形態はnが1である場合である。
W:L2=P1×(2n+1):T2 ・・・(3)
【0041】
上記数式3に示すように、液晶パネルとタブレット2の表面、即ち、ペン先が接触する位置との間の距離が変わった場合でも、奥まり感を軽減した入出力装置を提供することができる。その理由は、前記nの値を選択することにより、右目用画像を表示する画素と左目用画像を表示する画素を選択することができるので、その選択された2つの画像の距離によりディスプレイからの距離を調節できるためである。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は本実施形態における液晶パネル3aを示す平面図であり、図8は本実施形態に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。本実施形態に係る入出力装置は、携帯端末に搭載されるものである。本実施形態に係る入出力装置において、タブレット2と液晶表示装置3との位置関係、及び液晶表示装置3における各構成要素の位置関係は、図1及び図2に示す前述の第1の実施形態に係る入出力装置と同様である。以下、図1及び図2を参照して、本実施形態の構成を説明する。
【0043】
本実施形態においては、液晶表示装置3の液晶パネル3aは、対角画面サイズが4型であり、画素数は、縦が480ピクセル(絵素)、横が320ピクセルである。また、タブレット2は透明電極にITOを使用した抵抗膜方式のタブレットである。本実施形態の入出力装置は携帯端末に使用されている。更に、バックライト8は発光ダイオードを使用したバックライトである。更にまた、TFT基板7は液晶層12の配向を制御するための信号電圧を液晶層12に印加するものである。更にまた、レンズ9はアクリル樹脂により形成されたレンチキュラレンズであり、各シリンドリカルレンズ9aの高さは例えば10μmである。また、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面、即ち、ペン4と接触する側の表面までの距離は、例えば1.6mmである。
【0044】
また、図7に示すように、液晶パネル3aにおいては、複数個の絵素(ピクセル)41がマトリクス状に配列されている。各絵素41は6個の画素42乃至47が3行2列のマトリクス状に配列されて構成されている。即ち、各絵素41においては、画素42、44、46が行方向に沿ってこの順に1列に配列され、画素43、45、47が行方向に沿ってこの順に1列に配列されている。また、画素42及び43、画素44及び45、画素46及び47が夫々列方向に沿って配列されている。そして、1つの絵素41はRGBの3色の画素により構成されており、画素42及び43が赤色(R)の画素であり、画素44及び45が緑色(G)の画素であり、画素46及び47が青色(B)の画素である。また、画素42、44、46が右目用の画像を表示する右目用画素であり、画素43、45、47が左目用の画像を表示する左目用画素である。
【0045】
そして、この6画素一組の絵素41が、縦に480個、横に320個並んで表示部を形成している。図8に示すように、レンズ9の各シリンドリカルレンズ9aが行方向、即ち、液晶パネル3aの縦方向に延びており、行方向に1列に配列された絵素41の列に1つのシリンドリカルレンズ9aが対応している。即ち、1つのシリンドリカルレンズ9aの幅は、絵素41の幅に等しい。
【0046】
次に、本実施形態の動作について、図5を参照して説明する。本実施形態においては、使用者の両目間隔、即ち、右目13と左目14との間の距離Wを65mmとし、右目13及び左目14と入出力装置1の表面との間の距離L2を400mmとする。また、前述の如く、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面までの距離は、1.6mmとする。相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示する1対の画素間の距離をXとすると、上記数式3より、下記数式4が近似的に成立する。即ち、距離Xを下記数式4を満たすように決定すれば、奥まり感が解消された表示を行うことができる。
65:400=X:1.6 ・・・(4)
【0047】
上記数式4より、X=0.26mmである。そして、液晶パネル3aの対角画面サイズは4型、絵素数は縦が480、横が320であるので、絵素の配列ピッチは177μmである。従って、図8に示すように、画素の配列ピッチPは絵素の配列ピッチの半分であるため、P=88.5μmである。ゆえに、上記距離Xに相当する画素の周期数Nは、下記数式5により求められる。
N=X÷P=0.26÷0.0885≒3 ・・・(5)
【0048】
上記数式5より、本実施形態においては、画素の配列ピッチPの3倍離れて配置された1対の画素に、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示させることにより、使用者に、入出力装置のほぼ表面、即ち、タブレット2のほぼ前面に仮想的な表示面を認識させることができ、奥まり感をほぼ解消することができる。これは、図5に示すように、間に2つの画素を挟んで配置された画素16及び18に、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示させることを意味している。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0049】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図9は本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。本実施形態においては、前述の第3の実施形態と比較して、相互に隣接する1対の画素により、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示する点、並びに、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面までの距離が0.7mmである点が異なっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第3の実施形態と同様である。即ち、タブレット2と液晶表示装置3との位置関係、及び液晶表示装置3における各構成要素の位置関係は、図1及び図2に示す前述の第1の実施形態に係る入出力装置と同様であり、タブレット2は抵抗膜方式のタブレットであり、液晶パネル3aの対角画面サイズは4型であり、画素数は縦が480絵素、横が320絵素であり、各絵素41における画素42乃至47の配列は図8に示すとおりであり、シリンドリカルレンズ9aの高さは10μmである。
【0050】
図9に示すように、使用者の両目間の距離Wを65mmとし、右目13及び左目14と入出力装置1の表面との間の距離L3を400mmとする。また、上述の如く、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面までの距離T3を0.7mmとする。更に、相互に隣接する1対の画素、例えば、図9に示す画素16及び19を透過した光線の交差点を点Hとし、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面から交差点Hまでの距離をT4とし、交差点Hから使用者の右目13及び左目14までの距離をL4とする。更にまた、前述の第3の実施形態と同様に、絵素41(図8参照)の配列ピッチは177μmであり、画素の配列ピッチPは88.5μmである。これにより、図9から、下記数式6及び7が成立する。
L4+T4=L3+T3=400+0.7 ・・・(6)
65:L4=0.0885:T4 ・・・(7)
【0051】
上記数式6及び7から距離L4及びT4を求めると、L4≒400.155mm、T4≒0.545mmとなる。距離T3は0.7mm、距離T4は0.545mmなので、T3とT4との差は0.155mmであることがわかる。
【0052】
従って、従来の入出力装置においては、液晶パネル3aの表示点Jとペン4の接触点Iとの間の距離は約0.7mmとなるのに対して、本実施形態においては、仮想的な表示点Hとペン4の接触点Iとの間の距離は0.155mmとなる。従って、本実施形態に係る入出力装置は、従来の入出力装置と比較して、奥まり感を大幅に軽減できる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0053】
なお、前述の第3及び第4の実施形態においては、タブレット2には抵抗膜方式のものを使用し、ペン4の接触により位置検出を行う例について示したが、本発明はこれに限らず、静電容量結合方式のタブレットを使用してもよく、その他表示装置と使用者との間に配置して使用するいかなる方式のタブレットを使用しても、第3及び第4の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0054】
また、前述の各実施形態においては、タブレット2を液晶表示装置3と使用者との間に配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、入力を行うことができれば、表示装置の背面等に配置してもよい。例えば、電磁誘導方式のタブレットを液晶表示装置3の背面に配置して、ペンの先端の位置を検出するようにしても、第3及び第4の実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、この場合は、液晶パネルの前面基板に起因する奥まり感のみを解消する。また、液晶パネル3aにおいて、カラーフィルタ基板6とTFT基板7の上下関係に特に制限はない。
【0055】
更に、前述の各実施形態においては、出力機器が液晶表示装置である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、出力機器には、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等、液晶表示装置以外の表示装置を使用してもよい。
【0056】
更にまた、前述の各実施形態においては、レンズ9が使用者側に凸部が形成されたレンチキュラレンズである例を示したが、本発明はこれに限定されず、上述のように仮想的な画像をペン先の位置に表示できれば、例えばフライアイレンズ等でもよく、レンズの形状に特に制限を与えるものではない。また、レンチキュラレンズの替わりに、液晶パネル3aとバックライト8との間にパララックスバリアを配置して、画素から射出される光の指向性を制御して各画素の光を右目用画像と左目用画像とに振り分けてもよい。また、例えば、偏光フィルム10とカラーフィルタ基板6との間にタブレット2及びレンズ9を配置しても、前述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
更にまた、高速で応答する液晶パネルと、出射する光の方向を高速で振り分けるバックライトとを使用し、液晶パネルにより右目用画像と左目用画像とを高速で交互に表示し、これに同期して、バックライトが光の出射方向を振り分けることにより、液晶パネルが右目用画像を表示しているときはこの右目用画像を使用者の右目に対して供給し、液晶パネルが左目用画像を表示しているときはこの左目用画像を使用者の左目に対して供給するようにしてもよい。但し、この場合も、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を示す2本の光線の軌跡は、入出力装置の前面に位置する点において相互に交差するようにする。これにより、使用者は目の残像効果により、前述の各実施形態と同様に仮想的な表示面を認識することができる。
【0058】
更にまた、前述の各実施形態においては、入出力装置をPDA又は携帯端末に搭載する例を示したが、本発明はこれに限定されず、前述の各実施形態に係る入出力装置を、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、又はデジタルビデオに搭載してもよい。また、パーソナルコンピュータの端末装置として使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、携帯電話、携帯端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオ又はパーソナルコンピュータの端末装置等に搭載され、手書き感覚でデータの入力を行うことができる入出力装置及びこれを搭載した端末装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る入出力装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す入出力装置の部分断面図である。
【図3】図1に示す入出力装置の光学的構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の変形例に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。
【図6】本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を一般的に示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における液晶パネルを示す平面図である。
【図8】本実施形態に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。
【図10】従来の入出力装置を示す断面図である。
【図11】特許文献1に開示された従来の入出力装置を示す斜視図である。
【図12】図11に示す入出力装置の模式的断面図である。
【図13】特許文献2に開示された従来の入出力装置を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1;入出力装置
2;タブレット
3;液晶表示装置
3a;液晶パネル
4;ペン
5;入出力領域
6;カラーフィルタ基板
7;TFT基板
8;バックライト
9;レンズ
9a、9b;シリンドリカルレンズ
10、11;偏光フィルム
12;液晶層
13;使用者の右目
14;使用者の左目
15、16、17;右目用画素
18、19、20;左目用画素
21〜26;画素
41;絵素
42〜47;画素
48;TFT基板
49;カラーフィルタ基板
50;液晶
51;LCD
52;タブレット
53;ペン
54;ペン
55;タブレット
56;視差補正プレート
57;平面ディスプレイ
58;バックライト
59;光の経路
63;センサ基板
64;バックライト
65;液晶表示装置
66;上側基板
67;下側基板
68;液晶
69;マイクロレンズアレイシート
70;光拡散層
71;ペン
A〜J;点
T1〜T3、L1〜L4、d1、d2;距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置上に平面入力装置が配置され、この平面入力装置に手書きで入力した文字及び図形等をリアルタイムに表示装置に表示させつつ入力を行う入出力装置、及びこれを用いた端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータにデータを入力する手段として、一般的にキーボードが知られている。しかし、現在、コンピュータに入力されるデータは、必ずしもキーボードに割り当てられたアルファベット及び数字等の配列によって構成されるテキストデータに限らず、ペンによって紙に手書きで文字及び絵を描くように入力される形式のデータも一般化している。表示された画面を見ながら情報を入力する手段として既に、マウス、タブレット、タッチパネル等が実用化されている。しかし、このうちマウスは、使用者が画面から離れた位置で入力操作を行うため、ペンによって紙に文字や絵を描く感覚が得られない。
【0003】
これに対して、タブレット及びタッチパネル(以下、総称してタブレットという)を液晶ディスプレイ(以下、LCD(Liquid Crystal Display)ともいう)等のフラットパネルディスプレイに重ねた入出力装置は、使用者が入力用ペンの先端又は指先を表示画面に近接させるだけで情報が入力でき、入力されたデータがフラットディスプレイにリアルタイムに表示される。このため、このような入出力装置を使用すれば、ペンで紙に文字や絵を描く感覚に近い感覚が得られるため、使用者がコンピュータにデータを入力することを支援する装置として利用されている。
【0004】
図10は従来の入出力装置を示す断面図である。図10に示すように、この従来の入出力装置は、LCD51と、このLCD51上に重ねられたタブレット52と、このタブレット52にデータを入力するペン53からなる。LCD51は、例えばデータバスライン、ゲートバスライン、画素電極及び薄膜電界効果型トランジスタ(以下、TFT(Thin Film Transistor)ともいう)が形成されたTFT基板48と、ITOからなる透明電極及びカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板49とが相互に平行に設けられており、TFT基板48とカラーフィルタ基板49との間に液晶層50が配置されている。例えば、TFT基板48及びカラーフィルタ基板49は夫々厚さが0.5mm程度のガラス基板であり、タブレット52においては、ITO(Indium tin oxide:インジウム錫酸化物)等からなる透明電極が形成されたフィルムが積層されて支持基板に固定されており、その支持基板の厚さは1mm程度である。
【0005】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。図10に示すように、使用者が画像データを入力するためにペン53の先端をタブレット52のA点に接触させたとする。このとき、タブレット52はペン53の接触を検出し、その位置データをLCD51に対して出力し、LCD51はこの位置データに基づいてその位置に対応したB点に表示を行う。このとき、図10に示すように、A点とB点とは、タブレット52及びLCD51のカラーフィルタ基板49の合計厚さに相当する距離だけ相互に隔たっている。例えば本入出力装置の場合、タブレット52の厚さが1mm、LCD51のカラーフィルタ基板49の厚さが0.5mmなので、A点とB点とは合計1.5mm隔たっている。このため、使用者から見ると、画像が奥まって見えてしまい、違和感がある。この「奥まり感」により、作業者の入力作業が正確さを欠き、作業効率が著しく低下し、また、作業者を疲労させる。
【0006】
そこで、この問題点を解決するために、以下に示すような方法が提案されている。例えば、特許文献1には、光ファイバを使用して奥まり感を軽減する技術が開示されている。図11は特許文献1に開示された従来の入出力装置を示す斜視図であり、図12はその模式的断面図である。図11及び図12に示されているように、この従来の入出力装置においては、照明用のバックライト58が設けられており、このバックライト58の前方に平面ディスプレイ57が配置されている。平面ディスプレイ57は液晶ディスプレイであり、2枚の基板が相互に平行に配置されており、その間に液晶層(図示せず)が配置されているものである。また、平面ディスプレイ57の前方には、光ファイバを束ねて板状にした視差補正プレート56が設けられており、視差補正プレート56の前方には、タブレット55が設けられている。タブレット55は、ペン54が接触したときに、ペン54の接触位置を検出するものである。なお、図12においては、バックライト58から発せられた光の経路59が示されている。
【0007】
図12に示すように、平面ディスプレイ57の使用者側の基板の厚さをd1とし、タブレット55の厚さをd2とする。仮に、視差補正プレート56が設けられていないとすると、使用者から見た平面ディスプレイ57における表示位置は、液晶層に位置する点Cとなる。従って、タブレット55にペン54を接触させると、タブレット55の表面におけるペン54の接触点Eと、平面ディスプレイ57における表示点Cとの間には、(d1+d2)の距離が生じることになる。これに対して、平面ディスプレイ57とタブレット55との間に視差補正プレート56が挿入されていると、バックライト58から出射し、ディスプレイ57を透過した光は、視差補正プレート56の光ファイバ中を経路59に沿って伝達し、点Dで結像することになる。これにより、表示位置(点D)と入力位置(点E)との間の距離はd2となるため、視差補正プレート56が設けられていない場合を比較して、奥まり感を軽減することができる。
【0008】
また、例えば特許文献2には、マイクロレンズ及び光拡散層を使用して、画像を入出力装置の表面に結像させる技術が開示されている。図13は特許文献2に開示された従来の入出力装置を示す模式的断面図である。図13に示すように、この入出力装置においては、電磁授受作用方式のセンサ基板63が設けられており、このセンサ基板63の前方に、バックライト64、液晶表示装置65、マイクロレンズアレイシート69及び光拡散層70がこの順に設けられている。液晶表示装置65においては、上側基板66と下側基板67との間に液晶層68が配置されている。また、マイクロレンズアレイシート69においては、上側基板66側に多数のレンズが形成されている。更に、光拡散層70は、マイクロレンズアレイシート69により集光された光を拡散させるものである。更にまた、センサ基板63はペン71の先端の位置を電磁授受作用方式により検知するものである。
【0009】
マイクロレンズアレイシート69及び光拡散層70が無い場合は、液晶表示装置65の点Aを透過した光は、点Aから出射したように見える。従って、使用者がその上からペン71の先端を点Aに接触させようとしても、点Aとペン71の先端とは、上側基板66の厚さ分だけずれてしまう。これに対して、マイクロレンズアレイシート69及び光拡散層70を設けることにより、点Aから射出された光はマイクロレンズシートアレイ69上に形成されたレンズにより光拡散層70に集光され、光拡散層70上の点Bで像を結ぶ。これにより、使用者から見ると、見かけ上光拡散層70の位置で表示が行われているように見えるので、上側基板66の厚さによる奥まり感を軽減することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平4−114224号公報
【特許文献2】特開平10−283114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。図11及び図12に示す特許文献1に記載された技術については、視差補正プレート56を用いても、タブレット55の厚さd2による奥まり感を補正することができないという問題がある。また、視差補正プレート56は光ファイバを束ねた後、樹脂でバインディングして作製されるため、大型のものを作ることが困難である。更に、束ねる光ファイバの本数は面積に比例して増加するため、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance:携帯型情報端末)、更にはパソコン用のモニタのようなある程度面積が広いプレートを作製しようとすると、多数のファイバを束ねなければならないため、そのコストが極めて高くなってしまうという問題がある。
【0012】
また、図13に示す特許文献2に記載された技術については、レンズを用いて入出力装置の表面に結像する方式であるため、入出力装置の表面において、光拡散層70により光を散乱させる必要がある。しかしながら、光拡散層70は液晶表示装置65から出射される光だけでなく、外部から入射する光も同様に散乱してしまう。このため、表示装置としてのコントラストが著しく低下し、使用者の作業効率を低下させる原因となる。また表示画像の光を散乱させるため、例えば文字表示を行った場合に、実際の表示よりもぼやけたり線が太くなったりするという問題がある。このように、光拡散層を使用することによって、表示品質が低下してしまう。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、画像の奥まり感を軽減することができ、コストが低く表示品質が高い入出力装置、及びこの入出力装置を搭載した端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る入出力装置は、複数の画素からなる画素群がマトリクス状に配列された表示装置と、前記画素群に属する画素のうち第1の画素から出射する光を第1の方向に向けると共に第2の画素から出射する光を第2の方向に向ける光学部材と、前記表示装置の前方に配置され前記表示装置から出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、一の前記画素群に属する前記第1の画素から出射した第1の光の軌跡と前記一の画素群又は他の前記画素群に属し前記第1の画素を駆動する信号と同じ信号に基づいて駆動される前記第2の画素から出射した第2の光の軌跡とが交差することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、同じ信号に基づいて駆動される第1及び第2の画素から出射した光の軌跡が相互に交差するため、第1の画素から出射した光を使用者の右目に到達させ、第2の画素から出射した光を使用者の左目に到達させることにより、使用者に、第1及び第2の画素から出射した光が前述の交差点から出射したものと認識させ、前記表示装置が表示する画像が前記交差点の集合からなる仮想的な平面上に表示されているものと認識させることができる。これにより、画像の奥まり感を軽減することができる。また、本発明においては、特別な部品を使用する必要がないためコストが低く、スクリーン等に結像する必要がなく、光を拡散させることがないため表示品質が高い。
【0016】
また、前記第1の光の軌跡と前記第2の光の軌跡とが前記平面入力装置の前面において交差することが好ましい。これにより、前述の仮想的な表示面を平面入力装置の前面と一致させることができ、奥まり感を解消できる。
【0017】
又は、前記第1の画素から出射した光が使用者の右目に到達し、前記第2の画素から出射した光が使用者の左目に到達するように配置されたときに、使用者の両目の間隔をWとし、前記光学部材が光を振り分ける方向における前記画素の配列ピッチをPとし、前記表示装置の表示面から前記平面入力装置の前面までの距離をTとし、前記平面入力措置の前面から使用者の両目までの距離をLとし、0以上の整数をnとするとき、数式(W:L=P×(2n+1):T)が成立することが好ましい。これにより、前述の仮想的な表示面を平面入力装置の前面と一致させることができ、奥まり感を解消できる。
【0018】
更に、前記光学部材がレンチキュラレンズであってもよい。これにより、光学部材を簡単なレンズ系で構成することができるため、コストを低減できる。
【0019】
本発明に係る他の入出力装置は、光を第1の方向及び第2の方向に向けて交互に出射する光源と、この光源の前方に配置され複数の画素を備えた液晶パネルと、前記液晶パネルの前方に配置され前記液晶パネルから出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、前記光源が光を前記第1の方向に向けて出射するときに前記液晶パネルの第1の前記画素を一の信号に基づいて駆動し、前記光源が光を前記第2の方向に向けて出射するときに、前記第2の方向に向かう光線のうち前記第1の画素を透過して前記第1の方向に向かう光線が前記平面入力装置の前面と交差する点を通過する光線が透過する第2の前記画素を前記一の信号と同じ信号に基づいて駆動することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、時分割方式により第1及び第2の画素を駆動することができる。これにより、光を振り分ける光学部材が不要になる。
【0021】
本発明に係る端末装置は、前記入出力装置を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る端末装置は、携帯電話、PDA、携帯端末、ゲーム機、デジタルカメラ又はデジタルビデオであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、同じ信号に基づいて駆動される第1及び第2の画素から出射した光の軌跡が相互に交差するため、使用者に実際の表示装置の表示面よりも前方に位置する平面に仮想的な表示面を認識することができ、画像の奥まり感を軽減することができる。また、本発明の入出力装置は、特別な部品を使用する必要がないためコストが低く、光を拡散させることがないため表示品質が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る入出力装置を示す斜視図であり、図2はその部分断面図であり、図3はその光学的構成を示す図である。本実施形態に係る入出力装置は、PDAに搭載された入出力装置である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る入出力装置1においては、出力機器としての液晶表示装置3が設けられており、この液晶表示装置3の前方に入力機器としてのタブレット2が設けられている。タブレット2の前面には、入出力領域5が設けられている。タブレット2は、使用者が入力手段としてのペン4によって入出領域5を押圧することにより、情報が入力されるものである。また、タブレット2は全体として光を透過させるようになっており、使用者は領域5において、液晶表示装置3が表示した画像を視認できるようになっている。また、タブレット2からデータが入力され、この入力されたデータを処理し、液晶表示装置3に対して出力する制御装置(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、図2に示すように、液晶表示装置3においては、バックライト8が設けられており、バックライト8の前方には、液晶パネル3aが設けられている。液晶パネル3aには、背面基板となるTFT基板7、このTFT基板7の前方にTFT基板7に対向して配置された前面基板となるカラーフィルタ基板6、TFT基板7とカラーフィルタ基板6との間に配置された液晶層12が設けられており、カラーフィルタ基板6の前面及びTFT基板7の背面には、夫々偏光フィルム10及び11が貼付されている。また、液晶表示装置3とタブレット2との間には、液晶表示装置3から出射された光線を複数の方向に振り分けるレンズ9が設けられている。レンズ9は、例えば複数のシリンドリカルレンズ9aが相互に平行に配列されたレンチキュラレンズである。
【0027】
更に、図3に示すように、液晶パネル3aには、複数の画素が設けられている。なお、図3においては、便宜上、画素15乃至20の6個の画素のみが示されているが、実際には液晶パネル3aにはより多くの画素が設けられている。また、図3においては、カラーフィルタ基板6、TFT基板7、偏光シート10及び11、並びにバックライト8は図示を省略されている。そして、レンズ9の各シリンドリカルレンズ9aは、このシリンドリカルレンズ9aの長手方向に配列された2列の画素に対応するようになっている。例えば、相互に隣接した2つの画素16及び19に対して、1つのシリンドリカルレンズ9aが対応している。そして、画素16及び19から出射した光線は、このシリンドリカルレンズ9aによって屈折して集光され、タブレット2の表面に位置する点Fにおいて交差した後、夫々使用者の右目13及び左目14に到達するようになっている。
【0028】
従って、使用者の両目の間隔をW、シリンドリカルレンズ9aの配列方向における画素の配列ピッチをP1、液晶パネル3aにおける液晶層12(図2参照)とカラーフィルタ基板6(図2参照)との界面からタブレット2の前面までの距離をT1、タブレット2の前面と使用者の右目13及び左目14との間の距離をL1とするとき、下記数式1が近似的に成立する。
W:L1=P1:T1 ・・・(1)
【0029】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る入出力装置の動作について説明する。使用者がペン4の先端をタブレット2の入出力領域5に接触させると、タブレット2がペン4の先端の位置を2次元平面上の座標データとして検出し、この座標データを制御装置(図示せず)に対して出力する。制御装置はこの座標データを処理し、記憶すると共に液晶表示装置3に対して出力する。そして、液晶表示装置3がこの座標データに基づいて、ペン4の先端の座標に対応する液晶パネル3a上の座標に、所定のマーク(例えば、黒点)をリアルタイムで表示する。なお、このとき、制御装置がタブレット2に入力された座標データを逐次的に記憶することにより、線等の図形を入力することができ、これを液晶表示装置3に表示させることができる。
【0030】
このとき、液晶表示装置3は、レンズ9の各シリンドリカルレンズ9aに対して相対的に同じ位置にある複数の画素からなる画素群に一の画像を表示させ、各シリンドリカルレンズ9aに対して他の相対的な位置にある他の画素群にも前記一の画像を表示させる。即ち、画素15、16、17からなる画素群に一の画像を表示させ、画素18、19、20からなる他の画素群にも前記一の画像を表示させる。従って、レンズ9の1つのシリンドリカルレンズ9aに対応する1対の画素、例えば、画素16及び画素19は同一の信号により駆動され、画素15及び画素18は他の同一の信号により駆動され、画素17及び画素20は更に他の同一の信号により駆動される。
【0031】
この状態でバックライト8が光を出射し、この光が液晶パネル3aの各画素を透過して、レンズ9に入射する。このとき、例えば画素16及び19を透過した光は、レンズ9の1つのシリンドリカルレンズ9aにより屈折して集光され、タブレット2の前面に位置する点Fにおいて相互に交差して、画素16を透過した光は使用者の右目13に到達し、画素19を透過した光は使用者の左目14に到達する。同様に、画素15及び画素18を透過した光は、タブレット2の前面に位置する他の点(図示せず)において相互に交差して夫々右目13及び左目14に到達する。また、画素17及び画素20を透過した光は、タブレット2の前面に位置する更に他の点(図示せず)において相互に交差して夫々右目13及び左目14に到達する。即ち、画素15、16、17は右目用の画像を表示し、画素18、19、20は左目用の画像を表示する。右目用画像と左目用画像とは同一のものであるが、液晶パネル3aにおける表示位置は、画素1つ分だけずれている。
【0032】
これにより、使用者は、右目13により画素15、16、17が表示する右目用画像を視認し、左目14により画素18、19、20が表示する左目用画像を視認するが、使用者から見ると、画素16を透過した光と画素19を透過した光とは、タブレット2の前面に位置する同一の点Fから出射したように見える。同様に、画素15を透過した光と画素18を透過した光もタブレット2の前面に位置する他の同一の点(図示せず)から出射したように見え、画素17を透過した光と画素20を透過した光もタブレット2の前面に位置する更に他の同一の点(図示せず)から出射したように見える。図3に示されていない他の画素対についても同様である。この結果、使用者には、画像がタブレット2の前面において表示されているように見える。
【0033】
なお、入出力領域5の背景は無地(例えば、全白表示)としておき、使用者がペン4により入力したデータのみを表示するようにしてもよく、又は、予め何らかの画像を表示しておき、使用者がこの画像を見ながら重ね書きするようにしてもよい。
【0034】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、本実施形態においては、一の画素群により右目用画像を表示して使用者の右目に供給し、他の画素群により左目用画像を表示して使用者の左目に供給する。そして、右目用画像における各点を表示する光線と、左目用画像における前記各点に対応する点を表示する光線とが、相互に交差するようになっている。これにより、使用者には右目用画像及び左目用画像における相互に対応する点を表示する2本の光線が、その交差点から出射したように見え、この交差点の集合としての平面を、仮想的な表示面として認識する。そして、この仮想的な表示面を入出力装置の表面と一致させることにより、画像の奥まり感を解消することができる。これにより、使用者による入力作業を容易にし、入力の精度及び効率を向上させることができる。また、本実施形態に係る入出力装置は、光ファイバ等の高価な部品を使用する必要がないため、コストが低い。更に、スクリーン等に像を結像する必要がないため、光を拡散させることがなく、表示品質が低下することがない。
【0035】
なお、図3においては、各画素を透過した光の経路を線で示したが、実際の表示装置では、各画素は一定の有限の面積を持ち、そこから発せられる光も様々な方向に射出される。このため、入出力装置1の前方における右目用画像が供給される位置及び左目用画像が供給される位置は、夫々1本の直線上にのみ存在するわけではなく、一定の視野角を持った空間領域として存在する。従って、使用者が夫々の空間領域に自分の右目13及び左目14を位置させれば、前述の仮想的な表示面を認識することができる。このため、奥まり感が解消される視点は、図3に示す各1点ではない。
【0036】
次に、本第1の実施形態の変形例について説明する。図4は本変形例に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。図4に示すように、本変形例においては、レンズ9の1つのシリンドリカルレンズ9bに、6つの画素21乃至26が対応している。そして、画素21乃至26を夫々透過した光線はレンチキュラレンズ9bによって屈折して集光され、1点において交差した後、相互に異なる方向に出射されるようになっている。これにより、多視点表示を実現することができる。そして、画素21乃至26のうち1つの画素で右目用画像を表示し、他の1つの画素で左目用画像を表示すれば、前述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、例えば画素21、23、25により同一の左目用画像を表示し、画素22、24、26により同一の右目用画像を表示すれば、使用者が仮想的な表示面を認識できる位置を広げることができる。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。図5に示すように、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、各部の寸法が異なっている。即ち、使用者の両目の間隔をW、シリンドリカルレンズ9aの配列方向における画素の配列ピッチをP1、液晶パネル3aにおける液晶層12(図2参照)とカラーフィルタ基板6(図2参照)との界面からタブレット2の前面までの距離をT2、タブレット2の前面と使用者の右目13及び左目14との間の距離をL2とするとき、下記数式2が近似的に成立する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
W:L2=P1×3:T2 ・・・(2)
【0038】
次に、本実施形態の動作について説明する。本実施形態においては、液晶パネル3aにおいて、シリンドリカルレンズ9aの配列方向に沿って間に2つの画素を挟んで隔たった位置にある1対の画素において夫々、同一の右目用画像及び左目用画像を表示する。例えば、図5に示す画素16が右目用画像を表示し、画素18がこの右目用画像に対応する左目用画像を表示する。即ち、画素16及び画素18は同一の信号により駆動される。そうすると、画素16を透過した光線及び画素18を透過した光線は、相互に隣接するシリンドリカルレンズ9aに夫々入射し、これらのシリンドリカルレンズ9aにより夫々屈折し、タブレット2の前面に位置する点Gにおいて交差した後、画素16を透過した光は使用者の右目13に到達し、画素18を透過した光は使用者の左目14に到達する。同様に、画素17及び19が相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示すると、画素17及び19を透過した光線が相互に隣接する2本のシリンドリカルレンズ9aによって夫々屈折し、タブレット2の前面における他の点(図示せず)において交差した後、夫々右目13及び左目14に到達する。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0039】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、2つの画素を挟んで隔たった1対の画素16及び18により、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示し、この2つの画素を透過した2本の光線がタブレット2の前面に位置する点Gにおいて交差した後、夫々使用者の右目13及び左目14に到達することにより、使用者には、この2本の光線が点Gから出射しているように見える。このため、使用者はタブレット2の前面において仮想的な表示面を認識することができ、画像の奥まり感を解消することができる。また、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、タブレット2の厚さを厚くすることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0040】
なお、前述の第1の実施形態においては相互に隣接する1対の画素により相互に対応する左右の画像を表示し、本第2の実施形態においては間に2つの画素を挟んで配置された1対の画素により相互に対応する左右の画像を表示する例を示したが、この相互に対応する左右の画像を表示する1対の画素の位置関係は、前述の第1及び第2の実施形態の例に限定されない。図6は本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を一般的に示す図である。図6に示すように、入出力装置における前記1対の画素の位置関係と各部の寸法との間の関係は、以下のように一般的に表現することができる。即ち、前記1対の画素に挟まれる画素の数を2n個(nは0以上の整数)とした場合、下記数式3が近似的に成立する。なお、前述の第1の実施形態は下記数式3においてnが0である場合であり、前述の第2の実施形態はnが1である場合である。
W:L2=P1×(2n+1):T2 ・・・(3)
【0041】
上記数式3に示すように、液晶パネルとタブレット2の表面、即ち、ペン先が接触する位置との間の距離が変わった場合でも、奥まり感を軽減した入出力装置を提供することができる。その理由は、前記nの値を選択することにより、右目用画像を表示する画素と左目用画像を表示する画素を選択することができるので、その選択された2つの画像の距離によりディスプレイからの距離を調節できるためである。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は本実施形態における液晶パネル3aを示す平面図であり、図8は本実施形態に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。本実施形態に係る入出力装置は、携帯端末に搭載されるものである。本実施形態に係る入出力装置において、タブレット2と液晶表示装置3との位置関係、及び液晶表示装置3における各構成要素の位置関係は、図1及び図2に示す前述の第1の実施形態に係る入出力装置と同様である。以下、図1及び図2を参照して、本実施形態の構成を説明する。
【0043】
本実施形態においては、液晶表示装置3の液晶パネル3aは、対角画面サイズが4型であり、画素数は、縦が480ピクセル(絵素)、横が320ピクセルである。また、タブレット2は透明電極にITOを使用した抵抗膜方式のタブレットである。本実施形態の入出力装置は携帯端末に使用されている。更に、バックライト8は発光ダイオードを使用したバックライトである。更にまた、TFT基板7は液晶層12の配向を制御するための信号電圧を液晶層12に印加するものである。更にまた、レンズ9はアクリル樹脂により形成されたレンチキュラレンズであり、各シリンドリカルレンズ9aの高さは例えば10μmである。また、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面、即ち、ペン4と接触する側の表面までの距離は、例えば1.6mmである。
【0044】
また、図7に示すように、液晶パネル3aにおいては、複数個の絵素(ピクセル)41がマトリクス状に配列されている。各絵素41は6個の画素42乃至47が3行2列のマトリクス状に配列されて構成されている。即ち、各絵素41においては、画素42、44、46が行方向に沿ってこの順に1列に配列され、画素43、45、47が行方向に沿ってこの順に1列に配列されている。また、画素42及び43、画素44及び45、画素46及び47が夫々列方向に沿って配列されている。そして、1つの絵素41はRGBの3色の画素により構成されており、画素42及び43が赤色(R)の画素であり、画素44及び45が緑色(G)の画素であり、画素46及び47が青色(B)の画素である。また、画素42、44、46が右目用の画像を表示する右目用画素であり、画素43、45、47が左目用の画像を表示する左目用画素である。
【0045】
そして、この6画素一組の絵素41が、縦に480個、横に320個並んで表示部を形成している。図8に示すように、レンズ9の各シリンドリカルレンズ9aが行方向、即ち、液晶パネル3aの縦方向に延びており、行方向に1列に配列された絵素41の列に1つのシリンドリカルレンズ9aが対応している。即ち、1つのシリンドリカルレンズ9aの幅は、絵素41の幅に等しい。
【0046】
次に、本実施形態の動作について、図5を参照して説明する。本実施形態においては、使用者の両目間隔、即ち、右目13と左目14との間の距離Wを65mmとし、右目13及び左目14と入出力装置1の表面との間の距離L2を400mmとする。また、前述の如く、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面までの距離は、1.6mmとする。相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示する1対の画素間の距離をXとすると、上記数式3より、下記数式4が近似的に成立する。即ち、距離Xを下記数式4を満たすように決定すれば、奥まり感が解消された表示を行うことができる。
65:400=X:1.6 ・・・(4)
【0047】
上記数式4より、X=0.26mmである。そして、液晶パネル3aの対角画面サイズは4型、絵素数は縦が480、横が320であるので、絵素の配列ピッチは177μmである。従って、図8に示すように、画素の配列ピッチPは絵素の配列ピッチの半分であるため、P=88.5μmである。ゆえに、上記距離Xに相当する画素の周期数Nは、下記数式5により求められる。
N=X÷P=0.26÷0.0885≒3 ・・・(5)
【0048】
上記数式5より、本実施形態においては、画素の配列ピッチPの3倍離れて配置された1対の画素に、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示させることにより、使用者に、入出力装置のほぼ表面、即ち、タブレット2のほぼ前面に仮想的な表示面を認識させることができ、奥まり感をほぼ解消することができる。これは、図5に示すように、間に2つの画素を挟んで配置された画素16及び18に、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示させることを意味している。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0049】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図9は本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。本実施形態においては、前述の第3の実施形態と比較して、相互に隣接する1対の画素により、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を表示する点、並びに、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面までの距離が0.7mmである点が異なっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第3の実施形態と同様である。即ち、タブレット2と液晶表示装置3との位置関係、及び液晶表示装置3における各構成要素の位置関係は、図1及び図2に示す前述の第1の実施形態に係る入出力装置と同様であり、タブレット2は抵抗膜方式のタブレットであり、液晶パネル3aの対角画面サイズは4型であり、画素数は縦が480絵素、横が320絵素であり、各絵素41における画素42乃至47の配列は図8に示すとおりであり、シリンドリカルレンズ9aの高さは10μmである。
【0050】
図9に示すように、使用者の両目間の距離Wを65mmとし、右目13及び左目14と入出力装置1の表面との間の距離L3を400mmとする。また、上述の如く、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面からタブレット2の前面までの距離T3を0.7mmとする。更に、相互に隣接する1対の画素、例えば、図9に示す画素16及び19を透過した光線の交差点を点Hとし、液晶層12とカラーフィルタ基板6との界面から交差点Hまでの距離をT4とし、交差点Hから使用者の右目13及び左目14までの距離をL4とする。更にまた、前述の第3の実施形態と同様に、絵素41(図8参照)の配列ピッチは177μmであり、画素の配列ピッチPは88.5μmである。これにより、図9から、下記数式6及び7が成立する。
L4+T4=L3+T3=400+0.7 ・・・(6)
65:L4=0.0885:T4 ・・・(7)
【0051】
上記数式6及び7から距離L4及びT4を求めると、L4≒400.155mm、T4≒0.545mmとなる。距離T3は0.7mm、距離T4は0.545mmなので、T3とT4との差は0.155mmであることがわかる。
【0052】
従って、従来の入出力装置においては、液晶パネル3aの表示点Jとペン4の接触点Iとの間の距離は約0.7mmとなるのに対して、本実施形態においては、仮想的な表示点Hとペン4の接触点Iとの間の距離は0.155mmとなる。従って、本実施形態に係る入出力装置は、従来の入出力装置と比較して、奥まり感を大幅に軽減できる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0053】
なお、前述の第3及び第4の実施形態においては、タブレット2には抵抗膜方式のものを使用し、ペン4の接触により位置検出を行う例について示したが、本発明はこれに限らず、静電容量結合方式のタブレットを使用してもよく、その他表示装置と使用者との間に配置して使用するいかなる方式のタブレットを使用しても、第3及び第4の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0054】
また、前述の各実施形態においては、タブレット2を液晶表示装置3と使用者との間に配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、入力を行うことができれば、表示装置の背面等に配置してもよい。例えば、電磁誘導方式のタブレットを液晶表示装置3の背面に配置して、ペンの先端の位置を検出するようにしても、第3及び第4の実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、この場合は、液晶パネルの前面基板に起因する奥まり感のみを解消する。また、液晶パネル3aにおいて、カラーフィルタ基板6とTFT基板7の上下関係に特に制限はない。
【0055】
更に、前述の各実施形態においては、出力機器が液晶表示装置である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、出力機器には、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等、液晶表示装置以外の表示装置を使用してもよい。
【0056】
更にまた、前述の各実施形態においては、レンズ9が使用者側に凸部が形成されたレンチキュラレンズである例を示したが、本発明はこれに限定されず、上述のように仮想的な画像をペン先の位置に表示できれば、例えばフライアイレンズ等でもよく、レンズの形状に特に制限を与えるものではない。また、レンチキュラレンズの替わりに、液晶パネル3aとバックライト8との間にパララックスバリアを配置して、画素から射出される光の指向性を制御して各画素の光を右目用画像と左目用画像とに振り分けてもよい。また、例えば、偏光フィルム10とカラーフィルタ基板6との間にタブレット2及びレンズ9を配置しても、前述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
更にまた、高速で応答する液晶パネルと、出射する光の方向を高速で振り分けるバックライトとを使用し、液晶パネルにより右目用画像と左目用画像とを高速で交互に表示し、これに同期して、バックライトが光の出射方向を振り分けることにより、液晶パネルが右目用画像を表示しているときはこの右目用画像を使用者の右目に対して供給し、液晶パネルが左目用画像を表示しているときはこの左目用画像を使用者の左目に対して供給するようにしてもよい。但し、この場合も、相互に対応する右目用画像及び左目用画像を示す2本の光線の軌跡は、入出力装置の前面に位置する点において相互に交差するようにする。これにより、使用者は目の残像効果により、前述の各実施形態と同様に仮想的な表示面を認識することができる。
【0058】
更にまた、前述の各実施形態においては、入出力装置をPDA又は携帯端末に搭載する例を示したが、本発明はこれに限定されず、前述の各実施形態に係る入出力装置を、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、又はデジタルビデオに搭載してもよい。また、パーソナルコンピュータの端末装置として使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、携帯電話、携帯端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオ又はパーソナルコンピュータの端末装置等に搭載され、手書き感覚でデータの入力を行うことができる入出力装置及びこれを搭載した端末装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る入出力装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す入出力装置の部分断面図である。
【図3】図1に示す入出力装置の光学的構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の変形例に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。
【図6】本実施形態に係る入出力装置の光学的構成を一般的に示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における液晶パネルを示す平面図である。
【図8】本実施形態に係る入出力装置の画素及びレンズを示す図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る入出力装置の光学的構成を示す図である。
【図10】従来の入出力装置を示す断面図である。
【図11】特許文献1に開示された従来の入出力装置を示す斜視図である。
【図12】図11に示す入出力装置の模式的断面図である。
【図13】特許文献2に開示された従来の入出力装置を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1;入出力装置
2;タブレット
3;液晶表示装置
3a;液晶パネル
4;ペン
5;入出力領域
6;カラーフィルタ基板
7;TFT基板
8;バックライト
9;レンズ
9a、9b;シリンドリカルレンズ
10、11;偏光フィルム
12;液晶層
13;使用者の右目
14;使用者の左目
15、16、17;右目用画素
18、19、20;左目用画素
21〜26;画素
41;絵素
42〜47;画素
48;TFT基板
49;カラーフィルタ基板
50;液晶
51;LCD
52;タブレット
53;ペン
54;ペン
55;タブレット
56;視差補正プレート
57;平面ディスプレイ
58;バックライト
59;光の経路
63;センサ基板
64;バックライト
65;液晶表示装置
66;上側基板
67;下側基板
68;液晶
69;マイクロレンズアレイシート
70;光拡散層
71;ペン
A〜J;点
T1〜T3、L1〜L4、d1、d2;距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素からなる画素群がマトリクス状に配列された表示装置と、前記画素群に属する画素のうち第1の画素から出射する光を第1の方向に向けると共に第2の画素から出射する光を第2の方向に向ける光学部材と、前記表示装置の前方に配置され前記表示装置から出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、一の前記画素群に属する前記第1の画素から出射した第1の光の軌跡と前記一の画素群又は他の前記画素群に属し前記第1の画素を駆動する信号と同じ信号に基づいて駆動される前記第2の画素から出射した第2の光の軌跡とが交差することを特徴とする入出力装置。
【請求項2】
前記第1の光の軌跡と前記第2の光の軌跡とが前記平面入力装置の前面において交差することを特徴とする請求項1に記載の入出力装置。
【請求項3】
前記第1の画素から出射した光が使用者の右目に到達し、前記第2の画素から出射した光が使用者の左目に到達するように配置されたときに、使用者の両目の間隔をWとし、前記光学部材が光を振り分ける方向における前記画素の配列ピッチをPとし、前記表示装置の表示面から前記平面入力装置の前面までの距離をTとし、前記平面入力措置の前面から使用者の両目までの距離をLとし、0以上の整数をnとするとき、下記数式が成立することを特徴とする請求項2に記載の入出力装置。
W:L=P×(2n+1):T
【請求項4】
前記表示装置が液晶表示装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項5】
前記平面入力装置がタブレットであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項6】
前記光学部材がレンチキュラレンズであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項7】
前記光学部材がフライアイレンズであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項8】
1の画素群又は連続して配置された複数の画素群が1の絵素を構成しており、この絵素が正方形の領域に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項9】
光を第1の方向及び第2の方向に向けて交互に出射する光源と、この光源の前方に配置され複数の画素を備えた液晶パネルと、前記液晶パネルの前方に配置され前記液晶パネルから出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、前記光源が光を前記第1の方向に向けて出射するときに前記液晶パネルの第1の前記画素を一の信号に基づいて駆動し、前記光源が光を前記第2の方向に向けて出射するときに、前記第2の方向に向かう光線のうち前記第1の画素を透過して前記第1の方向に向かう光線が前記平面入力装置の前面と交差する点を通過する光線が透過する第2の前記画素を前記一の信号と同じ信号に基づいて駆動することを特徴とする入出力装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の入出力装置を有することを特徴とする端末装置。
【請求項11】
携帯電話、PDA、携帯端末、ゲーム機、デジタルカメラ又はデジタルビデオであることを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【請求項1】
複数の画素からなる画素群がマトリクス状に配列された表示装置と、前記画素群に属する画素のうち第1の画素から出射する光を第1の方向に向けると共に第2の画素から出射する光を第2の方向に向ける光学部材と、前記表示装置の前方に配置され前記表示装置から出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、一の前記画素群に属する前記第1の画素から出射した第1の光の軌跡と前記一の画素群又は他の前記画素群に属し前記第1の画素を駆動する信号と同じ信号に基づいて駆動される前記第2の画素から出射した第2の光の軌跡とが交差することを特徴とする入出力装置。
【請求項2】
前記第1の光の軌跡と前記第2の光の軌跡とが前記平面入力装置の前面において交差することを特徴とする請求項1に記載の入出力装置。
【請求項3】
前記第1の画素から出射した光が使用者の右目に到達し、前記第2の画素から出射した光が使用者の左目に到達するように配置されたときに、使用者の両目の間隔をWとし、前記光学部材が光を振り分ける方向における前記画素の配列ピッチをPとし、前記表示装置の表示面から前記平面入力装置の前面までの距離をTとし、前記平面入力措置の前面から使用者の両目までの距離をLとし、0以上の整数をnとするとき、下記数式が成立することを特徴とする請求項2に記載の入出力装置。
W:L=P×(2n+1):T
【請求項4】
前記表示装置が液晶表示装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項5】
前記平面入力装置がタブレットであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項6】
前記光学部材がレンチキュラレンズであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項7】
前記光学部材がフライアイレンズであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項8】
1の画素群又は連続して配置された複数の画素群が1の絵素を構成しており、この絵素が正方形の領域に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の入出力装置。
【請求項9】
光を第1の方向及び第2の方向に向けて交互に出射する光源と、この光源の前方に配置され複数の画素を備えた液晶パネルと、前記液晶パネルの前方に配置され前記液晶パネルから出射した光を透過させると共に前方から接触されたときに接触位置の座標を検出する平面入力装置と、を有し、前記光源が光を前記第1の方向に向けて出射するときに前記液晶パネルの第1の前記画素を一の信号に基づいて駆動し、前記光源が光を前記第2の方向に向けて出射するときに、前記第2の方向に向かう光線のうち前記第1の画素を透過して前記第1の方向に向かう光線が前記平面入力装置の前面と交差する点を通過する光線が透過する第2の前記画素を前記一の信号と同じ信号に基づいて駆動することを特徴とする入出力装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の入出力装置を有することを特徴とする端末装置。
【請求項11】
携帯電話、PDA、携帯端末、ゲーム機、デジタルカメラ又はデジタルビデオであることを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−4300(P2006−4300A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181863(P2004−181863)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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