説明

入力インターフェイス装置

【課題】荷重分布を検出可能で柔軟な入力インターフェイス装置を提供することを課題とする。
【解決手段】入力インターフェイス装置1は、クッション体2とセンサ3とを備える。センサ3は、クッション体2の裏側に配置される。センサ3は、エラストマーまたは伸縮性を有する布製の誘電体30と、誘電体30の表側に配置されポリマーと導電性フィラーとを有する表側電極1X〜8Xと、誘電体30の裏側に配置されポリマーと導電性フィラーとを有する裏側電極1Y〜8Yと、表側または裏側から見て表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとが重なる部分に配置される複数の検出部A11〜A88と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、体重を利用して操作するゲームコントローラーなどに用いられる、入力インターフェイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、敷物センサが開示されている。同文献記載の敷物センサには、表側から裏側に向かって、カーペット、検出電極、絶縁シート、基準電極が配置されている。例えば侵入者がカーペット上を歩くと、人体の電荷により、カーペットに誘電分極が生じる。当該誘電分極により、検出電極の電荷量が大きくなる。このため、検出電極〜基準電極間の静電容量が大きくなる。当該静電容量値が所定のしきい値を超える場合、制御回路は、「侵入者あり」と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2000−131162号公報
【特許文献2】2008−264195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の敷物センサによると、カーペット上の人の有無を検出することができる。しかしながら、特許文献1の敷物センサは、人の体重移動、体重分布などを検出することはできない。すなわち、特許文献1の敷物センサは、侵入者検出用、照明器具点灯用、ドア開閉用などとして用いられる。これらの用途に敷物センサを用いる場合は、人の有無さえ検出できればよい。すなわち、特許文献1の敷物センサは、体重分布、体重移動などを検出する必要がない。
【0005】
特許文献2には、ゲームコントローラーが開示されている。同文献記載のゲームコントローラーには、表側から裏側に向かって、台、四つの荷重センサ(歪ゲージ式ロードセル)が配置されている。操作者が台の上で動くと、各荷重センサの荷重値が変化する。この荷重変化に基づいて、ゲーム機はゲーム処理を行う。
【0006】
特許文献2のゲームコントローラーによると、台上の操作者の有無のみならず、体重移動を検出することができる。しかしながら、操作者の体重分布(足裏荷重分布)を検出するのは困難である。また、台は、プラスチック上層板−金属中層板−プラスチック下層板の三層構成である。このため、台は硬質である。したがって、操作時の反力により操作者に加わる衝撃が大きい。また、操作時に操作者が受ける違和感が大きい。
【0007】
本発明の入力インターフェイス装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、荷重分布を検出可能で柔軟な入力インターフェイス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明の入力インターフェイス装置は、シート状であって、クッション体と、エラストマーまたは伸縮性を有する布製の誘電体と、該誘電体の表側に配置され、ポリマーと該ポリマーに充填される導電性フィラーとを有する表側電極と、該誘電体の裏側に配置され、ポリマーと該ポリマーに充填される導電性フィラーとを有する裏側電極と、表側または裏側から見て該表側電極と該裏側電極とが重なる部分に配置される複数の検出部と、を備え、該クッション体の裏側に配置され、該クッション体を介して複数の該検出部に荷重が入力されることにより、荷重分布を検出可能な静電容量型のセンサと、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の入力インターフェイス装置は、シート状であって、クッション体と、センサとを備えている。センサは、静電容量型であって、クッション体の裏側に配置されている。センサは、誘電体と、表側電極と、裏側電極と、複数の検出部とを備えている。
【0010】
誘電体は、エラストマーまたは伸縮性を有する布製である。また、センサの表側には、柔軟なクッション体が配置されている。このため、上記特許文献2の台と比較して、本発明の入力インターフェイス装置は、柔軟である。したがって、入力時の反力により操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、入力時に操作者が受ける違和感(例えば、ごわごわ感など)を小さくすることができる。また、誘電体、表側電極、裏側電極は、一体的に屈曲、伸縮することができる。したがって、誘電体の屈曲、伸縮を、表側電極あるいは裏側電極が、規制するおそれが小さい。
【0011】
また、本発明の入力インターフェイス装置によると、検出部の静電容量から、荷重を検出することができる。また、複数の検出部の静電容量の分布から、荷重分布を検出することができる。
【0012】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記表側電極および前記裏側電極は、各々、帯状であり、複数の前記検出部は、表側または裏側から見て該表側電極と該裏側電極とが交差する部分に配置される構成とする方がよい。
【0013】
本構成によると、表側電極、裏側電極は、共に帯状である。また、検出部は、表側電極と裏側電極との交差部分を利用して配置されている。このため、電極の配置数が少なくなる。また、検出部から静電容量を検出するための配線の配置数が少なくなる。
【0014】
(1−2)好ましくは、上記(1−1)の構成において、前記表側電極および前記裏側電極は、各々、複数列並んで配列され、表側または裏側から見て複数の該表側電極と複数の該裏側電極とは、直交する構成とする方がよい。
【0015】
本構成によると、複数の検出部を、センサの全面に分散させやすい。このため、センサ全面に占める、荷重分布検出可能な部分の面積を、大きくすることができる。また、センサ全面において、検出部の配置がばらつくのを抑制することができる。
【0016】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記クッション体は、各々、表裏方向のばね定数が異なる、複数のクッション層を有する構成とする方がよい。表裏方向のばね定数が小さいほど、表裏方向において、クッション層が軟らかくなる。反対に、表裏方向のばね定数が大きいほど、表裏方向において、クッション層が硬くなる。本構成によると、表裏方向のばね定数の異なる複数のクッション層を組み合わせることにより、クッション体、延いては入力インターフェイス装置の柔軟性を調整することができる。すなわち、入力時に操作者に加わる衝撃を調整することができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を調整することができる。
【0017】
図1に、本構成の荷重とクッション層の圧縮量との関係を模式図で示す。なお、図1は、本構成の作用を説明するためのものである。図1のクッション層a、bの線の形状、傾き、線の数(クッション層の数)などは、本発明の入力インターフェイス装置を何等限定するものではない。
【0018】
図1に示すように、クッション体は、クッション層aとクッション層bとを備えている。クッション層aの表裏方向のばね定数は、クッション層bの表裏方向のばね定数よりも小さい。このため、同じ荷重が入力される場合、クッション層aの方が、クッション層bよりも、大きく圧縮される。図1に太線で示すように、傾き(圧縮量変化量/荷重変化量)が大きい区間が、操作者に加わる衝撃を効果的に吸収できる区間である。
【0019】
荷重の小さな低荷重領域αにおいては、クッション層a、b共に、傾きが大きい。このため、クッション層a、b共に、衝撃を効果的に吸収することができる。ただし、クッション層aの方が、クッション層bよりも、傾きが大きい。つまり、クッション層aの方がクッション層bよりも圧縮されやすい。このため、衝撃の吸収には、主にクッション層aが機能することになる。
【0020】
これに対して、荷重の大きな高荷重領域βにおいては、クッション層aが潰れきってしまい、荷重が変化しても圧縮量があまり変化しなくなる。つまり、傾きが小さくなる。これに対して、クッション層bは、高荷重領域βにおいても、傾きが大きいままである。このため、高荷重領域βにおいては、衝撃の吸収には、主にクッション層bが機能することになる。なお、表裏方向のばね定数の異なるクッション層が三層以上積層されている場合も同様である。
【0021】
このように、本構成によると、クッション層aだけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域αのみならず高荷重領域βまで、衝撃を吸収することができる。よって、本構成によると、操作者(男性、女性、大人、子供など)の体重、踏力などによらず、操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、操作者の体重、踏力などによらず、入力時に操作者が受ける違和感を小さくすることができる。また、クッション層bだけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域αにおいて、操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を小さくすることができる。
【0022】
(2−1)好ましくは、上記(2)の構成において、複数の前記クッション層は、各々、JIS K 6767における25%圧縮荷重が異なる構成とする方がよい。JIS K 6767における25%圧縮荷重(以下、適宜、「25%圧縮荷重」と略称する。)が小さいほど、表裏方向および面方向(表裏方向に対して直交する方向)において、クッション層が軟らかくなる。反対に、25%圧縮荷重が大きいほど、表裏方向および面方向において、クッション層が硬くなる。本構成によると、25%圧縮荷重の異なる複数のクッション層を組み合わせることにより、クッション体、延いては入力インターフェイス装置の柔軟性を調整することができる。すなわち、入力時に操作者に加わる衝撃を調整することができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を調整することができる。
【0023】
(2−2)好ましくは、上記(2−1)の構成において、前記クッション層のJIS K 6767における25%圧縮荷重は、2kPa以上70kPa以下である構成とする方がよい。
【0024】
25%圧縮荷重を2kPa以上としたのは、2kPa未満の場合、過度に軟らかく瞬時に圧縮されるため、入力時に操作者に加わる衝撃が大きくなるからである。また、操作者が受ける違和感が大きくなるからである。
【0025】
これに対して、25%圧縮荷重が70kPa超過の場合は、クッション層が過度に硬くなり、操作者に加わる衝撃が大きくなる。また、操作者が受ける違和感が大きくなる。
【0026】
また、クッション層に荷重が入力されると、表側から裏側に荷重が伝達されるのに従って、徐々に荷重は面方向に分散してしまう。25%圧縮荷重が70kPa超過の場合、面方向のばね定数が過度に大きくなってしまう。このため、荷重が面方向に分散しやすくなる。このような理由から、25%圧縮荷重を70kPa以下とした。
【0027】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、複数の前記クッション層は、JIS K 6767における25%圧縮荷重の小さい順と、表側から裏側に向かう方向と、が対応するように積層される構成とする方がよい。
【0028】
つまり、本構成は、表側から裏側に向かって、軟らかい順に複数のクッション層を積層するものである。本構成によると、複数のクッション層のうち、最も軟らかいクッション層が、操作者に最も近い位置に配置される。このため、入力時に操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を小さくすることができる。
【0029】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記クッション体は、発泡体、繊維の立体編物、ゲルエラストマーのうち、少なくとも一つを含んで形成される構成とする方がよい。なお、ゲルエラストマーとは、ゲル状のエラストマーをいう。ゲルエラストマーには、製造過程で発泡させたものも含まれる。本構成によると、入力時に操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を小さくすることができる。
【0030】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記誘電体は、各々、表裏方向のばね定数が異なる、複数の誘電層を有する構成とする方がよい。本構成によると、表裏方向のばね定数の異なる複数の誘電層を組み合わせることにより、誘電体、延いては入力インターフェイス装置の柔軟性を調整することができる。すなわち、入力時に操作者に加わる衝撃を調整することができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を調整することができる。
【0031】
以下、図1を援用して、本構成の作用を説明する。図1のクッション層a、bを誘電層a、bと置き換える。図1の縦軸の圧縮量を静電容量と置き換える。図1の誘電層a、bの線の形状、傾き、線の数(誘電層の数)などは、本発明の入力インターフェイス装置を何等限定するものではない。
【0032】
図1に示すように、誘電体は、誘電層aと誘電層bとを備えている。誘電層aの表裏方向のばね定数は、誘電層bの表裏方向のばね定数よりも小さい。このため、同じ荷重が入力される場合、誘電層aの方が、誘電層bよりも、大きく圧縮される。したがって、誘電層aの方が、誘電層bよりも、静電容量の変化量が大きくなる。図1に太線で示すように、荷重に対して静電容量が略線形に推移する区間が、荷重を検出するために誘電層a、bを有効に利用できる区間である。
【0033】
荷重の小さな低荷重領域αにおいては、誘電層a、b共に、荷重に対して静電容量が略線形に推移する。このため、誘電層a、b共に、荷重の検出に利用することができる。ただし、誘電層aの方が誘電層bよりも傾き(静電容量変化量/荷重変化量)が大きい。つまり、誘電層aの方が誘電層bよりも感度が高い。このため、荷重の検出には、主に誘電層aが機能することになる。
【0034】
これに対して、荷重の大きな高荷重領域βにおいては、誘電層aが潰れきってしまい、荷重が変化しても静電容量があまり変化しなくなる。これに対して、誘電層bは、高荷重領域βにおいても、荷重に対して静電容量が略線形に推移する。このため、高荷重領域βにおいては、荷重の検出には、主に誘電層bが機能することになる。なお、表裏方向のばね定数の異なる誘電層が三層以上積層されている場合も同様である。
【0035】
このように、本構成によると、誘電層aだけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域αのみならず高荷重領域βまで、荷重を検出することができる。よって、本構成によると、荷重の測定レンジが広くなる。また、誘電層bだけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域αにおける感度を高くすることができる。
【0036】
(5−1)好ましくは、上記(5)の構成において、複数の前記誘電層は、各々、JIS K 6767における25%圧縮荷重が異なる構成とする方がよい。25%圧縮荷重が小さいほど、表裏方向および面方向において、誘電層が軟らかくなる。反対に、25%圧縮荷重が大きいほど、表裏方向および面方向において、誘電層が硬くなる。本構成によると、25%圧縮荷重の異なる複数の誘電層を組み合わせることにより、誘電体、延いては入力インターフェイス装置の柔軟性を調整することができる。すなわち、入力時に操作者に加わる衝撃を調整することができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を調整することができる。
【0037】
(5−2)好ましくは、上記(5−1)の構成において、複数の前記誘電層は、前記25%圧縮荷重の小さい順と、表側から裏側に向かう方向と、が対応するように積層される構成とする方がよい。
【0038】
誘電体(複数の誘電層を含む)に着目しても、誘電層単層に着目しても、荷重が入力されると、表側から裏側に荷重が伝達されるのに従って、徐々に荷重は面方向に分散してしまう。
【0039】
このため、例えば、単一の検出部に荷重が入力された場合であっても、当該検出部の静電容量のみならず、当該検出部に隣接する他の検出部の静電容量も変化してしまう場合がある。この場合、荷重が入力された検出部に着目すると、他の検出部に荷重が分散する分、静電容量の変化量が小さくなる。このため、実際の荷重に対して、見かけの検出荷重が小さくなってしまう。また、荷重が入力された面積に着目すると、実際の荷重入力面積に対して、見かけの検出面積が広くなってしまう。このように、複数の誘電層が積層される場合、検出荷重の観点からも、検出面積の観点からも、共に感度が低下するおそれがある。
【0040】
そこで、本発明者は、誘電層の25%圧縮荷重に着目した。すなわち、誘電層の25%圧縮荷重が小さいほど、荷重は面方向に分散しにくくなる。反対に、誘電層の25%圧縮荷重が大きいほど、荷重は面方向に分散しやすくなる。この特性に着目して、発明者は、25%圧縮荷重が小さい順に、表側から裏側に向かう方向に、誘電層を積層させた。すなわち、最も25%圧縮荷重が小さい誘電層を最表側に、最も25%圧縮荷重が大きい誘電層を最裏側に、それぞれ配置した。
【0041】
本構成によると、25%圧縮荷重が大きい順に、表側から裏側に向かう方向に、誘電層を積層させた場合と比較して、荷重が入力された検出部に着目すると、他の検出部に荷重が分散しにくい。このため、実際の荷重に対して、見かけの検出荷重が小さくなりにくい。また、荷重が入力された面積に着目すると、実際の荷重入力面積に対して、見かけの検出面積が広くなりにくい。このように、本構成によると、検出荷重の観点からも、検出面積の観点からも、共に感度が低下しにくい。
【0042】
(5−3)好ましくは、上記(5−1)の構成において、前記誘電層のJIS K 6767における25%圧縮荷重は、1.5kPa以上45kPa以下である構成とする方がよい。
【0043】
25%圧縮荷重を1.5kPa以上としたのは、1.5kPa未満の場合、体重の重い操作者に対して誘電層が潰れきってしまい、静電容量の変化量が小さく感度が低くなってしまうからである。
【0044】
25%圧縮荷重を45kPa以下としたのは、45kPa超過の場合、体重の軽い操作者に対して誘電層が潰れにくく、静電容量の変化量が小さく感度が低くなってしまうからである。
【0045】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記センサは、裏面に前記表側電極が印刷される表側絶縁フィルムと、表面に前記裏側電極が印刷される裏側絶縁フィルムと、を備え、前記誘電体は、該表側絶縁フィルムと該裏側絶縁フィルムとの間に介装される構成とする方がよい。本構成によると、柔軟で表裏方向厚さの薄いセンサを、簡単に作製することができる。また、表側電極、裏側電極の、形状、配置数、位置などに対する自由度が高くなる。
【0046】
(6−1)好ましくは、上記(6)の構成において、前記表側絶縁フィルムおよび前記裏側絶縁フィルムの表裏方向厚さは、各々、100μm以下である構成とする方がよい。表側絶縁フィルムおよび裏側絶縁フィルムの表裏方向厚さを、各々、100μm以下としたのは、100μm超過の場合、表側絶縁フィルムおよび裏側絶縁フィルムが、各々、変形しにくくなるからである。すなわち、センサ延いては入力インターフェイス装置の柔軟性を阻害するおそれがあるからである。同様の理由から、前記表側絶縁フィルムおよび前記裏側絶縁フィルムの厚さは、各々、50μm以下である方が好ましい。
【発明の効果】
【0047】
本発明によると、荷重分布を検出可能で柔軟な入力インターフェイス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の入力インターフェイス装置の構成(2)の、荷重と、クッション層の圧縮量と、の関係を示す模式図である。
【図2】本発明の入力インターフェイス装置の一実施形態である入力インターフェイス装置の分解斜視図である。
【図3】同入力インターフェイス装置の上面図である。
【図4】図3のIV−IV方向断面図である。
【図5】図4の枠V内の拡大図である。
【図6】図5の誘電体の模式図である。
【図7】図6に対して、表側誘電層と裏側誘電層とが表裏逆に配置された誘電体に荷重が加わる場合の模式図である。
【図8】図6の誘電体に荷重が加わる場合の模式図である。
【図9】圧縮量と荷重との関係を示すグラフである。
【図10】荷重と静電容量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の入力インターフェイス装置の実施の形態について説明する。
【0050】
<入力インターフェイス装置の構成>
まず、本実施形態の入力インターフェイス装置の構成について説明する。図2に、本実施形態の入力インターフェイス装置の分解斜視図を示す。なお、表側絶縁フィルム31を透過して示す。図3に、同入力インターフェイス装置の上面図を示す。なお、クッション体2、表側絶縁フィルム31、誘電体30を透過して示す。また、検出部A11〜A88にハッチングを施す。図4に、図3のIV−IV方向断面図を示す。なお、上下方向厚さを強調して示す。図5に、図4の枠V内の拡大図を示す。検出部A11〜A88の符号「A○△」中、「○」は、表側電極1X〜8Xに対応している。「△」は、裏側電極1Y〜8Yに対応している。
【0051】
図2〜図5に示すように、入力インターフェイス装置1は、クッション体2とセンサ3とを備えている。入力インターフェイス装置1は、全体として、上下方向厚さの薄い、シート状を呈している。入力インターフェイス装置1は、ゲーム機(図略)を操作するための、ゲームコントローラーである。操作者は、例えば、入力インターフェイス装置1に乗り降りしたり、入力インターフェイス装置1上で足裏90の位置を変えたり、入力インターフェイス装置1上で飛び跳ねたりすることにより、ゲーム機を操作する。
【0052】
クッション体2は、表側クッション層20と裏側クッション層21とを備えている。表側クッション層20、裏側クッション層21は、本発明のクッション層に含まれる。表側クッション層20は、ウレタン発泡体製であって、正方形シート状を呈している。表側クッション層20の上下方向(表裏方向)厚さは、5mmである。表側クッション層20の25%圧縮荷重は、3kPaである。操作者の体重や踏力(つまり荷重)は、表側クッション層20の上側から、入力インターフェイス装置1に加えられる。裏側クッション層21は、表側クッション層20の下側に積層されている。裏側クッション層21は、ウレタン発泡体製であって、正方形シート状を呈している。裏側クッション層21の上下方向厚さは、5mmである。裏側クッション層21の25%圧縮荷重は、30kPaである。裏側クッション層21の方が、表側クッション層20よりも、25%圧縮荷重が大きい。すなわち、裏側クッション層21の方が、表側クッション層20よりも、表裏方向および面方向(水平方向)のばね定数が大きい。
【0053】
センサ3は、クッション体2の下側に積層されている。センサ3は、誘電体30と、表側電極1X〜8Xと、裏側電極1Y〜8Yと、表側配線1x〜8xと、裏側配線1y〜8yと、検出部A11〜A88と、表側絶縁フィルム31と、裏側絶縁フィルム32と、表側配線用コネクタ33と、裏側配線用コネクタ34と、演算装置(図略)とを備えている。
【0054】
表側絶縁フィルム31は、ポリエチレンテレフタレート製であって、シート状を呈している。表側絶縁フィルム31の上下方向厚さは、50μmである。表側絶縁フィルム31は、電極印刷部310と配線印刷部311とを備えている。電極印刷部310は、正方形状を呈している。電極印刷部310は、クッション体2の裏側クッション層21の下側に積層されている。配線印刷部311は、前後方向に長い長方形状を呈している。配線印刷部311は、電極印刷部310の左辺に、一体に連なっている。表側配線用コネクタ33は、配線印刷部311の後端に配置されている。
【0055】
表側電極1X〜8Xは、表側絶縁フィルム31の電極印刷部310の下面(裏面)に、合計8本配置されている。表側電極1X〜8Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックとを含んで形成されている。表側電極1X〜8Xは、各々、左右方向に長い帯状を呈している。表側電極1X〜8Xは、前後方向に所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
【0056】
表側配線1x〜8xは、表側絶縁フィルム31の配線印刷部311の下面に、合計8本配置されている。表側配線1x〜8xは、各々、ウレタンゴムと、銀粉とを含んで形成されている。表側配線1x〜8xは、各々、表側電極1X〜8Xの左端と、表側配線用コネクタ33とを、連結している。
【0057】
裏側絶縁フィルム32(電極印刷部320、配線印刷部321)、裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8yの構成(寸法、材質)は、上記表側絶縁フィルム31(電極印刷部310、配線印刷部311)、表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8xの構成と、同様である。
【0058】
裏側電極1Y〜8Yは、電極印刷部320の上面に配置されている。裏側配線1y〜8yは、配線印刷部321の上面に配置されている。図3に示すように、裏側絶縁フィルム32は、表側絶縁フィルム31に対して、時計回り方向(左→前→右→後と回転する方向)に、90°だけ回動している。このため、表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとは、上側または下側から見て、直交している。裏側配線用コネクタ34は、配線印刷部321の左端に配置されている。
【0059】
誘電体30は、表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとの間に、介装されている。誘電体は、表側誘電層300と、裏側誘電層301とを備えている。表側誘電層300、裏側誘電層301は、本発明の誘電層に含まれる。表側誘電層300は、表側電極1X〜8Xの下側に配置されている。表側誘電層300は、ウレタン発泡体製であって、正方形シート状を呈している。表側誘電層300の25%圧縮荷重は、2.5kPaである。裏側誘電層301は、裏側電極1Y〜8Yの上側に配置されている。裏側誘電層301は、ウレタン発泡体製であって、正方形シート状を呈している。裏側誘電層301の25%圧縮荷重は、20kPaである。裏側誘電層301の方が、表側誘電層300よりも、25%圧縮荷重が大きい。すなわち、裏側誘電層301の方が、表側誘電層300よりも、表裏方向および面方向のばね定数が大きい。
【0060】
検出部A11〜A88は、図3にハッチングで示すように、表側電極1X〜8Xと、裏側電極1Y〜8Yとが、上側または下側から見て、交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A11〜A88は、センサ3の略全面に亘って、略等間隔に格子状に配置されている。検出部A11〜A88は、各々、表側電極1X〜8Xの一部と、裏側電極1Y〜8Yの一部と、誘電体30の一部とを備えている。
【0061】
演算装置は、電源回路と、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを備えている。演算装置は、表側配線用コネクタ33、裏側配線用コネクタ34に、電気的に接続されている。
【0062】
<入力インターフェイス装置の製造方法>
次に、本実施形態の入力インターフェイス装置1の製造方法について説明する。本実施形態の入力インターフェイス装置1の製造方法は、センサ製造工程と、クッション体製造工程と、合体工程とを有している。
【0063】
センサ製造工程は、誘電層積層工程と、塗料調製工程と、表側電極印刷工程と、表側配線印刷工程と、裏側電極印刷工程と、裏側配線印刷工程とを有している。誘電層積層工程においては、表側誘電層300と裏側誘電層301とを、弾性を有する接着剤で接着することにより積層させる。すなわち、誘電体30を作製する。
【0064】
塗料調製工程においては、電極塗料、配線塗料を、それぞれ調製する。電極塗料は、以下の手順で調製する。まず、エラストマー(アクリルゴム、商品名:ニポール(登録商標)AR51、日本ゼオン社製)100質量部、加硫助剤(ステアリン酸、商品名:ルナック(登録商標)S30、花王社製)1.00質量部、加硫促進剤(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、商品名:ノクセラー(登録商標)PZ、大内新興化学社製)2.50質量部、加硫促進剤(ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、商品名:ノクセラーTTFE、大内新興化学社製)0.50質量部を秤量し、ロールを用いてゴム練りを行う。そして、ゴムコンパウンドを調製する。続いて、調製したゴムコンパウンドを有機溶剤(メチルエチルケトン、三協化学社製)1300質量部に浸漬し、有機溶剤を撹拌し、ゴムコンパウンドを有機溶剤に均一に溶解させた溶液を得る。それから、当該溶液に、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック、商品名:EC300J、ライオン社製)22.86質量部を添加する。そして、固形分率約7.8質量%のMEK(メチルエチルケトン)溶液を得る。それから、当該MEK溶液にミル処理を施し、MEK溶液中の導電性カーボンブラックの分散性を向上させる。具体的には、MEK溶液を3200rpmで回転するダイノミルに投入し、40回程度MEK溶液を循環させる。その後、ミル処理後のMEK溶液に印刷用溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、三協化学社製)686.7質量部を添加する。それから、印刷用溶剤を添加したMEK溶液を、大気と接する面積を広くするために、口の広い容器に移し替える。そして、当該MEK溶液を、時々撹拌しながら、約一日放置することにより、沸点の低いMEKを充分に蒸発させる。このようにして、電極塗料を調製する。なお、印刷用溶剤の沸点は200℃以上である。このため、印刷用溶剤の揮発は無視できる。
【0065】
配線塗料は、以下の手順で調製する。まず、エラストマー(ポリウレタンをMEK/トルエン/イソプロピルアルコールに溶解したもの、商品名:ニッポラン(登録商標)5230、日本ポリウレタン工業社製)333質量部(エラストマーの固形分は30質量%なので、エラストマー333質量部はポリウレタン100質量部に相当する)、10μmフレーク状の銀粒子(商品名:FA−D−4、DOWAエレクトロニクス社製)400質量部、1μm球状の銀粒子(商品名:AG2−1C、DOWAエレクトロニクス社製)400質量部、印刷用溶剤(ブチルカルビトール、三協化学社製)150質量部を秤量し、撹拌して均一化させる。そして、撹拌後の溶液を、大気と接する面積を広くするために、口の広い容器に移し替える。そして、当該溶液を、時々撹拌しながら、約一日放置することにより、沸点の低いMEK、トルエン、イソプロピルアルコールを充分に蒸発させる。このようにして、配線塗料を調製する。
【0066】
表側電極印刷工程においては、スクリーン印刷機を用いて、表側絶縁フィルム31の電極印刷部310に、塗料調製工程において調製した電極塗料を印刷する。すなわち、電極印刷部310に表側電極1X〜8Xを積層させる。その後、表側電極1X〜8Xを加熱し、エラストマーを加硫させる。
【0067】
表側配線印刷工程においては、表側電極印刷工程と同様に、スクリーン印刷機を用いて、表側絶縁フィルム31の配線印刷部311に、塗料調製工程において調製した配線塗料を印刷する。すなわち、配線印刷部311に表側配線1x〜8xを積層させる。その後、表側配線1x〜8xを乾燥させる。
【0068】
裏側電極印刷工程においては、表側電極印刷工程と同様に、スクリーン印刷機を用いて、裏側絶縁フィルム32の電極印刷部320に、塗料調製工程において調製した電極塗料を印刷する。すなわち、電極印刷部320に裏側電極1Y〜8Yを積層させる。その後、裏側電極1Y〜8Yを加熱し、エラストマーを加硫させる。
【0069】
裏側配線印刷工程においては、表側配線印刷工程と同様に、スクリーン印刷機を用いて、裏側絶縁フィルム32の配線印刷部321に、塗料調製工程において調製した配線塗料を印刷する。すなわち、配線印刷部321に裏側配線1y〜8yを積層させる。その後、裏側配線1y〜8yを乾燥させる。
【0070】
最後に、表側配線用コネクタ33を配線印刷部311に取り付ける。並びに、裏側配線用コネクタ34を配線印刷部321に取り付ける。このようにして、センサ3を製造する。
【0071】
クッション体製造工程においては、表側クッション層20と裏側クッション層21とを、弾性を有する接着剤で接着することにより積層させる。すなわち、クッション体2を作製する。
【0072】
合体工程においては、センサ製造工程で作製したセンサ3と、クッション体製造工程で作製したクッション体2とを、弾性を有する接着剤で接着することにより合体する。このようにして、本実施形態の入力インターフェイス装置1が完成する。
【0073】
<入力インターフェイス装置の動き>
次に、本実施形態の入力インターフェイス装置1の動きについて説明する。センサ3の演算装置の電源回路は、各検出部A11〜A88に、走査的に順番に電圧を印加している。ROMには、予め、検出部A11〜A88における静電容量と荷重との対応を示すマップが、格納されている。RAMには、表側配線用コネクタ33、裏側配線用コネクタ34から入力される静電容量に関連する電気量が一時的に格納される。CPUは、RAMに格納された電気量から、各検出部A11〜A88の静電容量を算出する。そして、静電容量から、各検出部A11〜A88の荷重を算出する。
【0074】
例えば、図3に示すように、操作者が入力インターフェイス装置1に足裏90を乗せる場合、足裏90の踏力が加わる部分に配置されている検出部A11〜A88の、電極間距離(表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとの間の距離)が小さくなる。このため、静電容量が大きくなる。演算部は、この静電容量から、足裏90の位置、足裏90における荷重分布、操作者の重心位置、操作者の体重などを算出する。また、演算部は、この静電容量から、足裏90の位置変化、足裏90における荷重分布変化、操作者の重心位置変化などを算出する。
【0075】
<作用効果>
次に、本実施形態の入力インターフェイス装置1の作用効果について説明する。本実施形態の入力インターフェイス装置1のセンサ3は、エラストマー製の誘電体30と、エラストマーを主成分とする表側電極1X〜8Xおよび裏側電極1Y〜8Yと、エラストマーを主成分とする表側配線1x〜8xおよび裏側配線1y〜8yとを、備えている。このため、センサ3は柔軟である。また、クッション体2は、ウレタン発泡体製である。このため、クッション体2は柔軟である。よって、本実施形態の入力インターフェイス装置1は、柔軟である。したがって、入力時の反力により操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、入力時に操作者が受ける違和感(例えば、ごわごわ感など)を小さくすることができる。また、ウレタン発泡体製のクッション体2は安価である。このため、入力インターフェイス装置1の製造コストを削減することができる。
【0076】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、検出部A11〜A88の静電容量から、荷重を検出することができる。また、複数の検出部A11〜A88の静電容量の分布から、荷重分布を検出することができる。
【0077】
また、クッション体2は、25%圧縮荷重が小さい表側クッション層20と、25%圧縮荷重が大きい裏側クッション層21と、が積層されることにより、形成されている。低荷重領域の荷重に対しては主に表側クッション層20が、高荷重領域の荷重に対しては主に裏側クッション層21が、それぞれ機能する。このため、25%圧縮荷重が小さい表側クッション層20だけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域のみならず高荷重領域まで、衝撃を吸収することができる。よって、操作者(男性、女性、大人、子供など)の体重、踏力などによらず、操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、操作者の体重、踏力などによらず、入力時に操作者が受ける違和感を小さくすることができる。また、裏側クッション層21だけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域において、操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を小さくすることができる。
【0078】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、表側クッション層20の方が、裏側クッション層21よりも、25%圧縮荷重が小さい。このため、操作者は、荷重を入力する際、軟らかい表側クッション層20に乗ることになる。したがって、入力時に操作者に加わる衝撃を小さくすることができる。また、入力時に操作者が受ける違和感を小さくすることができる。
【0079】
また、表側クッション層20の25%圧縮荷重は、3kPaである。また、裏側クッション層21の25%圧縮荷重は、30kPaである。このため、操作者が受ける違和感が小さくなる。また、表側から裏側に荷重が伝達される際、荷重が面方向に分散しにくい。
【0080】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yは、共に帯状である。並びに、検出部A11〜A88は、表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとの交差部分を利用して配置されている。このため、電極および配線の配置数が少なくなる。すなわち、検出部A11〜A88は、合計64個配置されている。ここで、検出部A11〜A88ごとに電極を配置すると、表側電極が64個、裏側電極が64個、それぞれ必要になる。また、検出部A11〜A88ごとに配線を配置すると、表側配線が64本、裏側配線が64本、それぞれ必要になる。これに対して、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、64個の検出部A11〜A88を確保するのに、表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yを合計16本(=8本+8本)配置するだけで済む。このため、電極の配置数が少なくなる。また、64個の検出部A11〜A88を確保するのに、表側配線1x〜8x、裏側配線1y〜8yを合計16本(=8本+8本)配置するだけで済む。このため、配線の配置数が少なくなる。
【0081】
また、表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yは、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックとを含んで形成されている。このため、荷重が加わる場合、当該荷重に応じて、表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yは、誘電体30と共に、屈曲、伸縮することができる。したがって、誘電体30の屈曲、伸縮を、表側電極1X〜8Xあるいは裏側電極1Y〜8Yが、規制するおそれが小さい。
【0082】
また、表側配線1x〜8x、裏側配線1y〜8yは、ウレタンゴムと銀粉とを含んで形成されている。このため、荷重に応じて、表側配線1x〜8x、裏側配線1y〜8yは、屈曲、伸縮することができる。したがって、誘電体30の屈曲、伸縮を、表側配線1x〜8xあるいは裏側配線1y〜8yが、規制するおそれが小さい。
【0083】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、検出部A11〜A88がセンサ3の全面に分散している。したがって、センサ3全面に占める、荷重検出可能な部分の面積を、大きくすることができる。
【0084】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、スクリーン印刷方法により、表側絶縁フィルム31に表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8xが配置されている。並びに、スクリーン印刷方法により、裏側絶縁フィルム32に裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8yが配置されている。このため、柔軟で上下方向厚さの薄いセンサ3を、簡単に作製することができる。また、表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8x、裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8yの、形状、配置数、位置などに対する自由度が高くなる。
【0085】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、表側絶縁フィルム31および裏側絶縁フィルム32の上下方向厚さが、各々、50μmである。このため、表側絶縁フィルム31および裏側絶縁フィルム32が、各々、変形しやすい。また、センサ3延いては入力インターフェイス装置1の柔軟性を阻害しにくい。
【0086】
また、センサ3の誘電体30は、25%圧縮荷重が小さい表側誘電層300と、25%圧縮荷重が大きい裏側誘電層301と、が積層されることにより、形成されている。低荷重領域の荷重検出に対しては主に表側誘電層300が、高荷重領域の荷重検出に対しては主に裏側誘電層301が、それぞれ機能する。このため、25%圧縮荷重が小さい表側誘電層300だけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域のみならず高荷重領域まで、荷重を検出することができる。よって、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、荷重の測定レンジが広くなる。また、25%圧縮荷重が高い裏側誘電層301だけを単体で配置する場合と比較して、低荷重領域における感度を高くすることができる。
【0087】
また、表側誘電層300の25%圧縮荷重は、2.5kPaである。また、裏側誘電層301の25%圧縮荷重は、20kPaである。このため、操作者が受ける違和感が小さくなる。また、表側から裏側に荷重が伝達される際、荷重が面方向に分散しにくい。
【0088】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、表側誘電層300、裏側誘電層301が、25%圧縮荷重の小さい順に、上側から下側に向かって、積層されている。すなわち、25%圧縮荷重が小さい表側誘電層300が上側に、25%圧縮荷重が大きい裏側誘電層301が下側に、それぞれ配置されている。
【0089】
以下、上記誘電層配置パターンの効果について、模式図を用いて説明する。なお、以下の説明においては、前後方向に隣接する検出部A38〜A58を例示するが、左右方向に隣接する検出部についても同様である。
【0090】
図6に、図5の誘電体の模式図を示す。表側誘電層300は、面方向ばね300a、300bと、表裏方向ばね300A〜300Cとを備えている。裏側誘電層301は、面方向ばね301a、301bと、表裏方向ばね301A〜301Cとを備えている。
【0091】
ここで、表側誘電層300の面方向ばね300a、300bの面方向(水平方向)のばね定数は、裏側誘電層301の面方向ばね301a、301bの面方向のばね定数よりも、小さい。また、表側誘電層300の表裏方向ばね300A〜300Cの表裏方向(上下方向)のばね定数は、裏側誘電層301の表裏方向ばね301A〜301Cの表裏方向のばね定数よりも、小さい。
【0092】
図7に、図6に対して、表側誘電層と裏側誘電層とが表裏逆に配置された誘電体に荷重が加わる場合の模式図を示す。なお、図7に示す模式図の形態は、本発明の入力インターフェイス装置に含まれる。図7に白抜き矢印で示すように、検出部A48に荷重が加わる場合、裏側誘電層301(ただし、図7においては表側に配置されている。)の表裏方向ばね301Bが圧縮される。ここで、裏側誘電層301の面方向ばね301a、301bの面方向のばね定数は、比較的大きい。このため、表裏方向ばね301Bに荷重が加わると、面方向ばね301a、301bを介して、表裏方向ばね301A、301Cに、荷重が分散しやすい。したがって、表裏方向ばね301Bに荷重が加わると、表裏方向ばね301A、301Cにも荷重が加わりやすい。よって、表裏方向ばね300A〜300Cが、全体的に圧縮されやすい。このように、表側に裏側誘電層301を、裏側に表側誘電層300を、それぞれ配置すると、荷重が入力された検出部A48と共に、荷重が入力されていない検出部A38、A58が変形しやすくなる。つまり、検出部A48のみならず、検出部A38、A58の静電容量が変化しやすくなる。
【0093】
よって、荷重が入力された検出部数に着目すると、実際に荷重が入力された検出部数=1に対して、見かけの検出部数=3と誤認されやすい。すなわち、表側誘電層から裏側誘電層に荷重が伝達される際に、荷重伝達面積が変化しやすい。また、荷重が入力された検出部A48に着目すると、他の検出部A38、A58に荷重が分散しやすいため、実際の荷重に対して、見かけの検出荷重が小さくなってしまう。このように、25%圧縮荷重が大きい裏側誘電層301を表側に、25%圧縮荷重が小さい表側誘電層300を裏側に、それぞれ配置すると、検出面積の観点からも、検出荷重の観点からも、感度が低下しやすくなる。
【0094】
図8に、図6の誘電体に荷重が加わる場合の模式図を示す。図8に白抜き矢印で示すように、検出部A48に荷重が加わる場合、表側誘電層300の表裏方向ばね300Bが圧縮される。ここで、表側誘電層300の面方向ばね300a、300bの面方向のばね定数は、比較的小さい。このため、表裏方向ばね300Bに荷重が加わっても、面方向ばね300a、300bを介して、表裏方向ばね300A、300Cに、荷重が分散しにくい。したがって、表裏方向ばね300Bに荷重が加わっても、表裏方向ばね300A、300Cが圧縮されにくい。このように、表側に表側誘電層300を、裏側に裏側誘電層301を、それぞれ配置することにより、荷重が入力されていない検出部A38、A58が変形するのを抑制することができる。つまり、検出部A38、A58の静電容量が変化するのを抑制することができる。
【0095】
よって、荷重が入力された検出部数に着目すると、実際に荷重が入力された検出部数=1に対して、見かけの検出部数が多くなりにくい。すなわち、表側誘電層から裏側誘電層に荷重が伝達される際に、荷重伝達面積が変化しにくい。したがって、感度が低下しにくい。
【0096】
また、荷重が入力された検出部A48に着目すると、他の検出部A38、A58に荷重が分散しにくいため、実際の荷重に対して、見かけの検出荷重が小さくなりにくい。すなわち、感度が低下しにくい。
【0097】
以上説明したように、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、25%圧縮荷重が小さい表側誘電層300が表側に、25%圧縮荷重が大きい裏側誘電層301が裏側に、それぞれ配置されている。このため、センサ3の表側にクッション体2が配置されているにもかかわらず、つまりセンサ3到達前の段階において荷重が面方向に分散しやすいにもかかわらず、検出面積の観点からも、検出荷重の観点からも、感度が低下しにくい。
【0098】
<その他>
以上、本発明の入力インターフェイス装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0099】
誘電体30に用いられるエラストマーの材質は特に限定しない。エラストマーは、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムから選ばれる一種以上を含んでいてもよい。こうすると、誘電体30の比誘電率が高くなる。このため、静電容量を大きくすることができる。
【0100】
誘電体30は、伸縮性を有する布製でもよい。この場合、誘電体30に荷重が加わると、布を構成する繊維間の隙間が潰されて、布の厚さは小さくなる。つまり、誘電体30の厚さが小さくなる。これにより、表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとの間の距離は小さくなる。その結果、表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとの間の静電容量(検出部A11〜A88の静電容量)が大きくなり、荷重が検出される。
【0101】
布は、伸縮性を有するものであれば、織布、編み布、不織布のいずれであってもよい。布を使用することにより、伸縮柔軟性に優れた薄膜状のセンサ3を、比較的低コストに実現することができる。また、布を構成する繊維間には隙間がある。このため、小さな荷重で押圧された場合でも、隙間が潰れることにより、布の厚さは変化しやすい。したがって、センサ3は、高い検出感度を有し、応答性に優れる。
【0102】
表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yに用いられるポリマーの材質は特に限定しない。ポリマーは、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムなどのエラストマーを含んでいてもよい。また、ポリマーは、ポリエステル、エポキシなどのプラスチックを含んでいてもよい。こうすると、表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yの伸縮性が高くなる。このため、表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yと、誘電体30と、が一体的に屈曲、伸縮しやすい。
【0103】
表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Yに用いられる導電性フィラーの材質は特に限定しない。導電性フィラーは、炭素材料および金属から選ばれる一種以上からなるものであってもよい。金属としては、導電性の高い銀、銅等が好適である。よって、導電性フィラーとして、銀、銅等の微粒子、あるいは表面に銀等のめっきを施した微粒子を使用することができる。また、炭素材料は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、炭素材料からなる導電性フィラーを用いると、静電容量型センサの製造コストを低減することができる。炭素材料としては、例えば、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、グラファイト、導電性炭素繊維などが挙げられる。特に、導電性カーボンブラック、グラファイト、導電性炭素繊維は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、これらの材料を用いると、センサ3延いては入力インターフェイス装置1の製造コストを削減することができる。
【0104】
また、表側絶縁フィルム31、裏側絶縁フィルム32の材質は、特に限定しない。絶縁性を有する樹脂、エラストマーを用いればよい。例えば、ポリアミド、ポリエチレン、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンゴムを用いてもよい。
【0105】
クッション体2の材質は、特に限定しない。エラストマーの場合は、エチレン−プロピレン共重合ゴムなどにオイルを多量に充填させた配合物を用いてもよい。発泡体の場合は、ポリエチレン発泡体、ポリスチレン発泡体を用いてもよい。繊維の立体編物の場合は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの繊維を使って立体的に編んだものや、短繊維を立体的に布に熱融着させたものを用いてもよい。
【0106】
また、クッション体2の材質として、ゲルエラストマーを用いてもよい。ゲルエラストマーは、非常に柔軟である。加えて、応力−歪み曲線におけるヒステリシスが小さい。このため、元の形状への復元が速い。したがって、一つの入力動作に要する時間が短くて済む。また、ゲルエラストマーのタック力は大きい。このため、クッション体2とセンサ3とを積層させるだけで、両部材を貼着することができる。この場合、クッション体2が弾性変形しても、センサ3の位置ずれは少ない。また、クッション体2の弾性変形に対するセンサ3の追従性も、良好である。
【0107】
クッション体2用のゲルエラストマーとしては、シリコーンゲル、ウレタンゲル、およびオイル成分が配合された熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上を用いてもよい。こうすると、所望の軟らかさ、復元性を有するクッション体2を作製しやすい。
【0108】
ここで、オイル成分が配合された熱可塑性エラストマーとしては、全体質量を100質量%とした場合に、オイル成分が70質量%以上含有されているものが望ましい。熱可塑性エラストマーとしては、A−B−Aの三部構造を有するものが望ましい。ここで、Aは剛直性ポリマー(ポリスチレン、官能基ポリマー等)、Bはエラストマー性ポリマー(ポリブチレン、ポリエチレン、ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)、水素化ポリ(イソプレン、ブタジエン、イソプレン−ブタジエン)、ポリ(エチレン/ブチレン+エチレン/プロピレン))である。なかでも、超高分子のポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレン構造をもつものが好適である。また、オイル成分としては、パラフィン性白ミネラルオイル、パラフィン、イソパラフィン、ナフテンオイル、ポリブチレン、ポリプロピレン、ポリテルペン、ポリ−β−ピネン、水素化ポリブタン、ポリブタン(ポリブタンポリマーの一端にエポキシド基を有する)等が挙げられる。
【0109】
また、クッション体2、誘電体30を、軸方向が表裏方向である複数の柱部と、空間部と、により構成してもよい。こうすると、柱部の寸法、配置密度などにより、クッション体2、誘電体30の表裏方向のばね定数を調整することができる。このように、材質ではなく、構造を工夫することにより、クッション体2、誘電体30の表裏方向のばね定数を調整してもよい。
【0110】
表側配線1x〜8x、裏側配線1y〜8yは、ポリマーと導電性フィラーとを含んでいてもよい。この場合、ポリマー、導電性フィラーとして、表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Y用のポリマー、導電性フィラーを用いてもよい。また、導電性フィラーとして、金粉、銅粉、ニッケル粉などを用いてもよい。また、電極と配線とは、導通機能を満たす範囲で同一物を使用できる。
【0111】
表側電極1X〜8X、裏側電極1Y〜8Y、表側配線1x〜8x、裏側配線1y〜8yの形状、位置、配置数などは特に限定しない。例えば、表側電極および裏側電極のうち、一方を、同心円状に配置してもよい。並びに、他方を、一方と同心の放射状に配置してもよい。この場合であっても、表側または裏側から見て、表側電極と裏側電極とを略直交させることができる。また、入力インターフェイス装置1の形状は特に限定しない。長方形、多角形、楕円形、円形などであってもよい。
【0112】
上記実施形態においては、表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8xを表側絶縁フィルム31の裏面に印刷した。並びに、裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8yを裏側絶縁フィルム32の表面に印刷した。しかしながら、表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8xを誘電体30の表面に印刷してもよい。並びに、裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8yを誘電体30の裏面に印刷してもよい。こうすると、表側電極1X〜8Xと裏側電極1Y〜8Yとの位置関係がずれにくい。また、所望の位置に、精確に、検出部A11〜A88を配置することができる。また、表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8x、裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8y、誘電体30を、簡単に集積化することができる。
【0113】
上記実施形態においては、表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8x、裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8yの印刷に、スクリーン印刷方法を用いた。しかしながら、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、パッド印刷方法、リソグラフィー、ディスペンサー印刷方法などを用いてもよい。また、クッション体2、誘電体30の層数は、特に限定しない。単層であってもよい。また、三層以上であってもよい。
【0114】
上記実施形態においては、足裏90により、入力インターフェイス装置1に命令を入力した。しかしながら、体の各部位(頭、掌、膝、肘、臀部など)により、命令を入力してもよい。
【0115】
上記実施形態においては、表側クッション層20と裏側クッション層21、表側誘電層300と裏側誘電層301、クッション体2とセンサ3を、各々、弾性を有する接着剤で接着した。しかしながら、これらの部材は、接着しなくてもよい。すなわち、積層させるだけでもよい。
【0116】
上記実施形態においては、表側電極1X〜8X、表側配線1x〜8xと誘電体30とを直接接触させた。並びに、裏側電極1Y〜8Y、裏側配線1y〜8yと誘電体30とを直接接触させた。しかしながら、電極、配線と誘電体との間に保護層を介装してもよい。こうすると、電極、配線と誘電体との直接接触による摩耗を、防止することができる。なお、保護層の材質としては、ウレタン、シリコーンなどが挙げられる。
【実施例1】
【0117】
以下、本発明の入力インターフェイス装置に対して行った荷重測定実験について、図2〜図4を援用しながら説明する。
【0118】
<サンプル>
実施例1のサンプルと、上記実施形態の入力インターフェイス装置1と、の相違点は、クッション体2、誘電体30が、各々、単層からなる点である。クッション体2の上下方向厚さは、5mmである。表側絶縁フィルム31および裏側絶縁フィルム32の上下方向厚さは、各々、50μmである。
【0119】
実施例2のサンプルと、上記実施形態の入力インターフェイス装置1と、の相違点は、クッション体2、誘電体30が、各々、単層からなる点である。クッション体2の上下方向厚さは、10mmである。表側絶縁フィルム31および裏側絶縁フィルム32の上下方向厚さは、各々、50μmである。
【0120】
比較例1のサンプルと、上記実施形態の入力インターフェイス装置1と、の相違点は、クッション体2が配置されていない点である。また、誘電体30が、単層からなる点である。表側絶縁フィルム31および裏側絶縁フィルム32の上下方向厚さは、各々、50μmである。
【0121】
<実験方法および実験結果>
荷重測定実験は、各サンプル(実施例1、実施例2、比較例1)に荷重を加えた場合の、上下方向厚さの圧縮量を測定することにより行った。図9に、圧縮量と荷重(入力値)との関係をグラフで示す。実施例1(グラフ中央)の線に対して、比較例1(グラフ左側)を細線で、実施例2(グラフ右側)を太線で、それぞれ示す。図9に示すように、曲線の傾き(荷重変化量/圧縮量変化量)は、大きい順に、比較例1、実施例1、実施例2となった。このことから、クッション体2を配置しない方が、傾きが大きくなることが判った。また、クッション体2の上下方向厚さが薄いほど、傾きが大きくなることが判った。
【0122】
同じ荷重を加えた場合の圧縮量が大きいほど、入力時に操作者に加わる衝撃は小さくなる。この観点から見ると、操作者に加わる衝撃が小さい順に、実施例2、実施例1、比較例1となることが判った。
【実施例2】
【0123】
以下、実施例2のサンプルに対して行った荷重測定実験について、図2〜図4を援用しながら説明する。クッション体2の上下方向厚さが厚いほど、センサ3まで荷重が伝わりにくくなる。このため、センサ3の感度が低くなる。そこで、クッション体2の上下方向厚さが実施例1よりも厚い、実施例2に対して、荷重測定実験を行った。
【0124】
図10に、荷重(入力値)と静電容量との関係をグラフで示す。図10に示すように、荷重が大きくなるのに従って、静電容量は大きくなった。このことから、実施例2の静電容量から、荷重(出力値)を算出することが可能であることが判った。上述したように、クッション体2の上下方向厚さは、実施例2よりも、実施例1の方が薄い。このため、実施例1の場合であっても、静電容量から、荷重を算出することが可能である。すなわち、クッション体2の上下方向厚さが10mm以下であれば、静電容量から、荷重を算出することが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1:入力インターフェイス装置、1X〜8X:表側電極、1Y〜8Y:裏側電極、1x〜8x:表側配線、1y〜8y:裏側配線、2:クッション体、3:センサ。
20:表側クッション層(クッション層)、21:裏側クッション層(クッション層)、30:誘電体、31:表側絶縁フィルム、32:裏側絶縁フィルム、33:表側配線用コネクタ、34:裏側配線用コネクタ、90:足裏。
300:表側誘電層(誘電層)、300a:面方向ばね、300b:面方向ばね、300A〜300C:表裏方向ばね、301:裏側誘電層(誘電層)、301a:面方向ばね、301b:面方向ばね、301A〜301C:表裏方向ばね、310:電極印刷部、311:配線印刷部、320:電極印刷部、321:配線印刷部。
A11〜A88:検出部、a:クッション層(誘電層)、b:クッション層(誘電層)、α:低荷重領域、β:高荷重領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッション体と、
エラストマーまたは伸縮性を有する布製の誘電体と、該誘電体の表側に配置され、ポリマーと該ポリマーに充填される導電性フィラーとを有する表側電極と、該誘電体の裏側に配置され、ポリマーと該ポリマーに充填される導電性フィラーとを有する裏側電極と、表側または裏側から見て該表側電極と該裏側電極とが重なる部分に配置される複数の検出部と、を備え、該クッション体の裏側に配置され、該クッション体を介して複数の該検出部に荷重が入力されることにより、荷重分布を検出可能な静電容量型のセンサと、
を備えるシート状の入力インターフェイス装置。
【請求項2】
前記クッション体は、各々、表裏方向のばね定数が異なる、複数のクッション層を有する請求項1に記載の入力インターフェイス装置。
【請求項3】
複数の前記クッション層は、JIS K 6767における25%圧縮荷重の小さい順と、表側から裏側に向かう方向と、が対応するように積層される請求項2に記載の入力インターフェイス装置。
【請求項4】
前記クッション体は、発泡体、繊維の立体編物、ゲルのうち、少なくとも一つを含んで形成される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の入力インターフェイス装置。
【請求項5】
前記誘電体は、各々、表裏方向のばね定数が異なる、複数の誘電層を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の入力インターフェイス装置。
【請求項6】
前記センサは、裏面に前記表側電極が印刷される表側絶縁フィルムと、表面に前記裏側電極が印刷される裏側絶縁フィルムと、を備え、
前記誘電体は、該表側絶縁フィルムと該裏側絶縁フィルムとの間に介装される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の入力インターフェイス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−7988(P2012−7988A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143709(P2010−143709)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】