入力デバイス
【課題】文字等の情報をペンで入力する際に、そのペンを持つ手の小指等の不要部分を感知すると、その不要部分の情報を排除することができる入力デバイスを提供する。
【解決手段】入力デバイスAは、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の光導波路Wと、この光導波路Wの一辺の外側に設けられた制御手段Cとを備えており、これらは、四角枠状の保持板30の表面に設けられているとともに、四角枠状の保護板40で覆われている。上記制御手段Cは、上記光導波路Wの複数の光出射用コア2aの端部に接続される発光素子5と、上記光導波路Wの複数の光入射用コア2bの端部に接続される受光素子6と、上記入力用中空部Sにおいて、ペンPのペン先による遮光範囲と、そのペンPを持つ手Qによる遮光範囲とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の手Qによる遮光範囲を不要情報と認識するプログラムが組み込まれているCPUとを備えている。
【解決手段】入力デバイスAは、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の光導波路Wと、この光導波路Wの一辺の外側に設けられた制御手段Cとを備えており、これらは、四角枠状の保持板30の表面に設けられているとともに、四角枠状の保護板40で覆われている。上記制御手段Cは、上記光導波路Wの複数の光出射用コア2aの端部に接続される発光素子5と、上記光導波路Wの複数の光入射用コア2bの端部に接続される受光素子6と、上記入力用中空部Sにおいて、ペンPのペン先による遮光範囲と、そのペンPを持つ手Qによる遮光範囲とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の手Qによる遮光範囲を不要情報と認識するプログラムが組み込まれているCPUとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的な位置検出手段を備えた入力デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力デバイスとして、複数の発光素子および受光素子を備えた光学的位置検出装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。このものは、四角枠状に形成され、その四角枠を構成する一対のL字状部分の一方に、発光素子を複数並設し、他方に、上記発光素子に対向する受光素子を複数並設したものとなっている。そして、その四角枠状の光学的位置検出装置は、四角形のディスプレイの周縁に沿って設置され、その四角枠内でペンを移動させることにより、文字等の情報を入力し、上記ディスプレイに表示することができるようになっている。
【0003】
すなわち、上記四角枠内では、上記複数の発光素子により、光が格子状に走った状態になっており、その四角枠内でペンを移動させると、上記発光素子からの光がペン先により遮光され、その遮光を、上記発光素子に対向する受光素子が感知することにより、上記ペン先の軌跡(文字等の入力情報)を検知するようになっている。そして、その軌跡を信号として上記ディスプレイに出力するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3682109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記四角枠状の光学的位置検出装置は、上記ディスプレイの周縁に沿って設置されるため、上記四角枠内が広くなっている。そのため、上記四角枠内に文字等を上記ペンで入力しようとすると、そのペン先だけでなく、そのペンを持つ手の小指やその付け根部分(小指球)等も、上記四角枠内において、上記ディスプレイの表面に接触する。この場合、上記四角枠内において、上記ディスプレイの表面に接触した部分全体が感知されるため、不要部分(上記小指やその付け根部分等)も感知され、それにより、その不要な情報も上記ディスプレイに表示されるという問題がある。そこで、上記小指やその付け根部分等が上記ディスプレイの表面に接触しないようにして、上記ペンで文字等を入力しようとすると、今度は、その文字等が乱れ、適正に入力することができないという問題が起こる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、文字等の情報をペンで入力する際に、そのペンを持つ手の小指等の不要部分を感知すると、その不要部分の情報を排除することができる入力デバイスの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の入力デバイスは、枠に囲まれた空間が手で持つ入力体による入力用中空部になっている枠状板と、この枠状板において互いに対向する一方の部分に設けられた発光手段と、上記枠状板の他方の部分に設けられ上記発光手段からの出射光を受光する受光手段とを備え、上記入力用中空部において上記出射光が格子状に走り、上記入力用中空部における入力体の先端入力部による上記出射光の遮光部分を入力情報とする入力デバイスであって、上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも長い上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識する不要部分認識手段を備えているという構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の入力デバイスでは、入力用中空部において、ペン等の入力体を手に持って、入力用中空部内の領域に文字等の情報を入力すると、ペン先等の先端入力部とともに、入力情報に不要な上記手の小指等も感知されるが、本発明の入力デバイスは、不要部分認識手段を備えているため、遮光範囲の違いから、遮光範囲の短い先端入力部と遮光範囲の長い手の小指等(不要部分)とを区別することができ、遮光範囲が長い方の遮光部分を不要情報と認識することができる。これにより、その不要情報は、排除され、例えば、ディスプレイに表示されないようにしたり、データとして保存されないようにしたりすることができる。
【0009】
特に、上記遮光範囲の長さが5mm以上のものを上記不要情報に設定する場合には、一般的に市販されているペン等(入力体)を傾けて使用する等しても、そのペン等のペン先等(先端入力部)を、手の小指等(不要部分)と区別して認識することができる。
【0010】
さらに、上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも短い宙に浮いた上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光部分の位置の違いにより、それまで認識してきた上記入力体の遮光部分の位置から所定の設定値以上離れて認識された上記宙に浮いた手の遮光部分を誤認識と判断し、上記設定値未満の範囲内にある上記入力体の遮光部分を入力情報と認識する誤認識防止手段を備えている場合には、上記手が宙に浮いて、その手による遮光範囲が、上記入力体の先端入力部による遮光範囲よりも短くなったとしても、上記誤認識防止手段を備えているため、遮光部分の位置の違いにより、上記入力体の先端入力部による遮光部分を適正に入力情報と認識することができる。
【0011】
また、上記発光手段が、発光素子と、この発光素子に接続された、光導波路の複数の光出射用コアとからなり、上記受光手段が、受光素子と、この受光素子に接続された、光導波路の複数の光入射用コアとからなり、上記光出射用コアの先端部と上記光入射用コアの先端部とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している場合には、上記枠状板上に上記光導波路が形成され、その光導波路は薄く形成することができるため、入力体で入力する際に、本発明の入力デバイスが、入力体の使用の妨げにならず、入力し易くなっている。
【0012】
一方、上記発光手段が、複数の発光素子からなり、上記受光手段が、複数の受光素子からなり、上記複数の発光素子と上記複数の受光素子とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している場合には、上記発光素子および上記受光素子がある程度厚みを有するため、本発明の入力デバイスも全体的にある程度厚く形成され、その入力デバイスを剛性および強度のあるものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の入力デバイスの一実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は、上記入力デバイスの光導波路を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)のX1−X1断面の拡大図であり、(c)は、(a)のX2−X2断面の拡大図である。
【図3】上記入力デバイスにおけるCPUのプログラムのフローチャートを示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、上記入力デバイスの作製方法の一例を模式的に示す説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、上記図4に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図6】(a)〜(b)は、上記図5に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図7】(a)は、上記図6に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図であり、(b)は、(a)のX3−X3断面図である。
【図8】上記図7に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明の入力デバイスの他の実施の形態における想定を模式的に示す説明図である。
【図10】入力情報が誤認識された場合の一例を模式的に示す平面図である。
【図11】本発明の入力デバイスのさらに他の実施の形態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明の入力デバイスの一実施の形態を示す斜視図であり、図2(a)は、その平面図、図2(b)は、図2(a)のX1−X1断面の拡大図であり、図2(c)は、図2(a)のX2−X2断面の拡大図である。この実施の形態の入力デバイスAは、図1に示すように、四角形状の入力用中空部(窓部)Sを有する四角枠状に形成されている。その入力デバイスAの内部には、図2(a),(b)に示すように、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の光導波路Wと、この光導波路Wに接続される発光素子5および受光素子6を有する制御手段Cとを備えている。これら光導波路Wと制御手段Cとは、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板(枠状板)30の表面に設けられているとともに、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保護板40で覆われている。そして、上記発光素子5からの光Hは、上記光導波路Wの光出射用のコア2aを経て、上記入力用中空部S内の領域において、横方向〔図2(a)では右から左に向かう方向〕と縦方向〔図2(a)では下から上に向かう方向〕とに出射され、格子状に走るようになっている。
【0016】
また、上記制御手段Cは、上記発光素子5,受光素子6に加え、上記入力デバイスAを制御するCPU(中央処理装置)(図示せず)も備えており、そのCPUには、入力用中空部Sにおいて、ペン(入力体)Pのペン先(先端入力部)による上記光Hの遮光範囲(遮光部分の縦方向長さおよび横方向長さ)と、それよりも長い(遮光部分の縦方向長さおよび横方向長さの少なくとも一方が長い)遮光範囲(ペンPを持つ手Qの小指等による上記光Hの遮光範囲)とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識するプログラム(不要部分認識手段)が組み込まれている。
【0017】
より詳しく説明すると、上記四角枠状の光導波路Wは、図2(a),(b)に示すように、その四角枠形状の各辺の帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続したものとなっている。この実施の形態では、上記帯状の各光導波路部分の両端縁が段部に形成されており、その段部を利用して位置決めした状態で、隣接し合う光導波路部分と光導波路部分とが接続されている。また、上記帯状の各光導波路部分は、アンダークラッド層1と、このアンダークラッド層1の表面に所定パターンに形成された光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bと、これらコア2a,2bを被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面に形成されたオーバークラッド層3とからなっている。上記アンダークラッド層1は、上記四角枠状の保持板30の表面に貼着されている。なお、図2(b)は光入射側の断面図であるため、この図2(b)に光出射用のコア2aは図示されない。
【0018】
そして、四角枠状に形成された上記光導波路Wは、そのアンダークラッド層1の四角枠を構成する一対のL字状部分の一方の表面に、光出射用のコア2aが複数に分岐された状態で形成され、他方の表面に、光入射用の複数のコア2bが並列状態で形成されている。各コア2a,2bの先端部は、上記一対のL字状部分の内側縁(四角枠の内周縁)に位置決めされ、光出射用のコア2aの先端部と光入射用のコア2bの先端部とが対向した状態に形成されている。さらに、上記光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bを被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面に、オーバークラッド層3が四角枠状に形成されている。この実施の形態では、上記四角枠の内周縁に位置決めされているコア2a,2bの先端部が、平面視形状が略1/2円弧状の曲面を有する凸状のレンズ部に形成され、そのレンズ部を被覆するオーバークラッド層3の先端部が、部分球面状のレンズ曲面を有する凸状のレンズ部3aに形成されている。なお、図2(a)では、コア2a,2bを鎖線で示しており、鎖線の太さがコア2a,2bの太さを示している。また、図2(a),(b)では、コア2a,2bの数を略して図示している。
【0019】
一方、上記制御手段Cは、先に述べた、発光素子5,受光素子6およびCPUに加え、上記光導波路Wの入力用中空部S内の領域に入力した情報(ペン先の移動軌跡の情報)を出力する出力モジュール(図示せず),その情報を記憶する記憶手段(図示せず),電源となる電池(図示せず)等も備えている。そして、上記発光素子5,上記受光素子6,上記CPU,上記出力モジュール,上記記憶手段,上記電池等は、回路基板に搭載され、電気的に適正に接続されている。また、図2(a),(c)に示すように、上記発光素子5は、上記光導波路Wの複数の光出射用のコア2aの端部に接続され、上記受光素子6は、上記光導波路Wの複数の光入射用のコア2bの端部に接続されている。
【0020】
そして、上記CPUには、先に述べたように、入力用中空部Sにおいて、ペン先による上記光Hの遮光範囲と、それよりも長い遮光範囲(ペンPを持つ手Qの小指等による上記光Hの遮光範囲)とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識するプログラムが組み込まれている。すなわち、上記入力用中空部SにペンPで入力する際には、入力情報に不要な上記ペンPを持つ手Qの小指等も感知されるが、上記CPUに組み込まれているプログラムにより、遮光範囲の違いから、遮光範囲の短いペン先と遮光範囲の長い手Qの小指等(不要部分)とを区別することができ、遮光範囲が長い方の遮光部分を不要情報と認識することができる。これにより、その不要情報は、排除され、例えば、ディスプレイに表示されないようにしたり、データとして保存されないようにしたりすることができる。
【0021】
ここで、上記遮光部分の位置は、受光素子6からの検出電圧の変化量がピークを示す位置により判断することができる。そのため、図2(a)に示す入力デバイスAでは、右利きの人の場合、最も左かつ最も上の位置の上記ピークをペン先と判断することも可能である(左利きの人の場合、最も右かつ最も上の位置)。また、上記遮光範囲は、上記ピーク幅により判断することができる。そのため、右利きの人が上記入力デバイスAを使用中に、左手等が上記入力用中空部Sで感知された場合、最もピーク幅の狭いものをペン先と判断することも可能である。
【0022】
さらに、上記手Qを感知し始める一瞬は、上記ピーク幅が狭くなることがあるため、それをペン先と誤認識するおそれがある。そこで、感知し始めの少しの一定時間は、ペン先でも手Qでも感知したものを無効とするよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。または、感知し始めの上記手Qをペン先と誤認識し、ディスプレイに表示等したとしても、それが上記手Qであると認識された時に、上記表示等を消去するよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。
【0023】
また、入力用中空部S内にゴミ等があると、そのゴミ等もペン先と同様のものと感知するため、その状態でペンPによる入力があると、2個所以上で感知されることとなる。このような場合、アラームを出すよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。そのようにすると、上記入力用中空部S内にゴミ等があることを、知ることができる。さらに、入力デバイスAの使用環境が非常に明るい場合(屋外等)、ペン先で遮光しても、外部から強い光が光入射用のコア2bの先端部から入射し、ペン先(遮光部分)を感知できないことがある。そのため、そのように強い光を感知した場合は、アラームを出すよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。
【0024】
このような構成を有する光導波路Wおよび制御手段Cを備えた入力デバイスAでは、上記発光素子5からの光Hは、上記光出射用のコア2aを通り、その先端のレンズ部を経て、それを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの表面から出射される。これにより、その光Hは、先に述べたように、上記四角枠状の光導波路Wの入力用中空部S内の領域において、格子状に走った状態となる。その格子状に走る光Hは、上記光出射用のコア2aの先端のレンズ部およびそれを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの屈折作用により、発散が抑制されている。そして、上記光Hは、受光側のオーバークラッド層3のレンズ部3aを透過し、光入射用のコア2bの先端のレンズ部を経て、上記光入射用のコア2bを通り、上記受光素子6に到達する。上記光入射用のコア2bに入射した光は、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aおよび上記光入射用のコア2bの先端のレンズ部の屈折作用により、絞られて収束されている。
【0025】
そして、上記入力デバイスAを用いて情報を入力する際には、例えば、上記入力デバイスAを紙の上に載置し、ペンPを手Qに持ち、上記のように光Hが格子状に走る上記入力用中空部Sから露呈する上記紙の部分に、上記ペンPで、文字,図,印等を書き込む。これにより、上記格子状に走る光Hは、上記ペンPのペン先および上記手Qにより遮光され、その遮光が上記受光素子6により感知されることにより、上記ペン先の軌跡および上記手Qの位置が検知される。そのペン先の軌跡が文字,図,印等の入力情報となる。
【0026】
ここで、この実施の形態では、上記制御手段CのCPUに組み込まれているプログラムにより、例えば、図3に示す上記フローチャートのように制御される。すなわち、ペンPを手Qに持ち、上記のように入力用中空部Sから露呈する紙の部分に、ペンPで、文字,図,印等を書き込むと、そのペンPのペン先および上記手Qにより遮光部分が形成され、それら遮光部分を上記受光素子6が感知する。そして、上記受光素子6からの検出電圧の変化量のピーク幅から、そのペン先および手Qの中心位置が判断されるとともに、そのペン先および手Qの太さ(中心から既定の値)が判定される。ついで、上記ペン先および上記手Qが書き込み有効領域内にあるか否かが判断される。この書き込み有効領域とは、右利きの人の場合、上記手Qよりも左側かつ上側の領域であり、左利きの人の場合、上記手Qよりも右側かつ上側の領域である(なお、スタート時は入力用中空部S全体が書き込み有効領域に設定されている)。つぎに、上記ペン先および上記手Qが書き込み有効領域内にあると、それらペン先および手Qの太さ(上記ピーク幅)が既定値よりも細いか否かが判断される。そして、上記太さが既定値よりも細いものは、ペン先と認識され、その軌跡が入力情報としてディスプレイに表示され、上記太さが既定値以上のものは、手(不要情報)Qと認識され、ディスプレイに表示されない。その後、新たに書き込み有効領域が設定される。なお、一般的に市販されているペンのペン先と手Qとを区別し易くする観点から、上記既定値を5mmに設定することが好ましい。
【0027】
このような入力デバイスAは、例えば、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)とともに使用される。すなわち、上記パソコンのディスプレイに資料等の情報を表示し、その表示された情報に、文字,図,印等の情報を加える場合、上記のように、上記入力デバイスAの入力用中空部S内の領域で、上記文字等の情報をペンPで入力する。これにより、そのペン先の軌跡が、上記入力デバイスAにより、検知されるとともに、信号として上記パソコンに無線または接続ケーブルで伝達され、上記ディスプレイに表示することができる。これにより、上記ディスプレイには、上記資料等の情報に、上記入力デバイスAで入力した文字等の情報が重ね合わさった状態で表示される。
【0028】
ここで使用される上記パソコンには、上記入力デバイスAの入力用中空部Sで入力した文字等を、その入力した位置に対応するディスプレイの位置に表示させるために、入力デバイスAの入力用中空部S内の領域の座標を、ディスプレイの画面の座標に変換し、入力デバイスAで入力した文字等をディスプレイに表示するソフトウェア(プログラム)が組み込まれている。
【0029】
なお、上記資料等の情報は、通常、上記パソコン内のハードディスクや外部のUSBメモリ等の情報記憶媒体に予め記憶させておき、その情報記憶媒体から出力される。そして、上記ディスプレイに表示された、上記資料等の情報と上記入力デバイスAで入力した文字等の情報とが重ね合わさった情報は、上記情報記憶媒体に記憶することができる。
【0030】
つぎに、上記入力デバイスAの作製方法の一例について説明する。この実施の形態では、四角枠状の光導波路Wの作製は、その四角枠形状の各辺の帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続することにより行われる。なお、光導波路Wの作製方法の説明に引用する図4(a)〜(c),図5(a)〜(c)は、図2(a)のX1−X1断面に相当する部分を図示している。
【0031】
まず、帯状の光導波路部分を形成するための基板10〔図4(a)参照〕を準備する。この基板10の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。
【0032】
ついで、図4(a)に示すように、上記基板10の表面に、帯状のアンダークラッド層1を形成する。このアンダークラッド層1は、感光性樹脂を形成材料として、フォトリソグラフィ法により形成することができる。アンダークラッド層1の厚みは、例えば、5〜50μmの範囲内に設定される。
【0033】
つぎに、図4(b)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面に、フォトリソグラフィ法により前記パターンの光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bを形成する。これらコア2a,2bの先端部のピッチ{入力用中空部Sにおける光H〔図2(a)参照〕のピッチ}は、ペン先の位置の検知精度を上げる観点から、小さいことが好ましく、例えば、0.05〜0.45mmの範囲内に設定することができる。これらコア2a,2bの形成材料としては、上記アンダークラッド層1および下記オーバークラッド層3〔図5(b)参照〕の形成材料よりも屈折率が高い感光性樹脂が用いられる。なお、図4(b)は光入射側の断面図であるため、この図4(b)に光出射用のコア2aは図示されない。これは、下記の図5(a)〜(c)でも同様である。
【0034】
ここで、図4(c)に示すように、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型20を準備する。この成形型20には、オーバークラッド層3〔図5(b)参照〕の表面形状に対応する型面を有する凹部21が形成されている。そして、その凹部21を上にして、成形型20を成形ステージ(図示せず)の上に設置し、その凹部21に、オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3Aを充填する。
【0035】
ついで、図5(a)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面にパターン形成したコア2a,2bを、上記成形型20の凹部21に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層1を上記成形型20に押圧し、上記オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3A内に、上記コア2a,2bを浸す。そして、この状態で、紫外線等の照射線を、上記成形型20を透して上記感光性樹脂3Aに照射し、その感光性樹脂3Aを露光する。これにより、上記感光性樹脂3Aが硬化し、コア2a,2bの先端部に対応するオーバークラッド層3の部分がレンズ部3aに形成されたオーバークラッド層3が形成される。
【0036】
つぎに、図5(b)〔図5(a)とは上下を逆に図示している〕に示すように、上記成形型20〔図5(a)参照〕から、上記オーバークラッド層3を、上記基板10,アンダークラッド層1およびコア2a,2bと共に脱型する。
【0037】
そして、図5(c)に示すように、上記基板10〔図4(b)参照〕をアンダークラッド層1から剥離し、アンダークラッド層1,コア2a,2bおよびオーバークラッド層3からなる帯状の光導波路部分を得る。
【0038】
つぎに、図6(a)に平面図で示すように、回路基板8を準備し、それに、発光素子5,受光素子6,上記入力デバイスA(図1参照)を制御するCPU(図示せず),上記光導波路W(図1参照)の入力用中空部S内の領域に入力した情報を出力する出力モジュール(図示せず),上記記憶手段(図示せず),電池(図示せず)等を搭載し、前記制御手段Cを作製する。
【0039】
ここで、図6(b)に平面図で示すように、入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板30を準備する。この保持板30の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。なかでも、平面性の保持に優れている点で、ステンレスが好ましい。保持板30の厚みは、例えば、0.5mm程度に設定される。
【0040】
そして、図7(a)に平面図で示し,図7(b)に断面図〔図7(a)のX3−X3断面図〕で示すように、上記四角枠状の保持板30の表面に、上記帯状の光導波路部分を貼着し、四角枠状の光導波路Wを作製する。このとき、上記発光素子5を光出射用のコア2aに接続し、上記受光素子6を光入射用のコア2bに接続する。
【0041】
その後、図8に断面図で示すように、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aを除く頂面と、上記制御手段Cとを、保護板40で被覆する。この保護板40の形成材料としては、例えば、樹脂,金属,ガラス,石英,シリコン等があげられる。保護板40の厚みは、例えば、金属製であれば、0.5mm程度、樹脂製であれば、0.8mm程度に設定される。
【0042】
このようにして、上記入力デバイスAを作製することができる。この入力デバイスAにおいて、上記光導波路Wの部分は、その表裏面の上記保持板30と保護板40とを合わせても、総厚を3mm程度と、薄く形成することができる。上記制御手段Cの部分も、その表裏面の上記保持板30と保護板40とを合わせても、総厚を3mm程度と、薄く形成することができる。この実施の形態では、上記光導波路Wの部分も上記制御手段Cの部分も、同じ厚みに形成している。
【0043】
本発明の入力デバイスの他の実施の形態は、図9に示すように、ペンPで、文字等を紙Kに書き込んでいる際に、そのペンPを持つ手Qが、上記紙Kから離れて宙に浮いた場合を想定したものである。すなわち、上記手Qが紙Kから離れて宙に浮くと、上記手Qの一部による遮光部分G2 が、ペン先による遮光部分G1 よりも細くなる時がある。その時、上記手Qの一部による遮光部分G2 が、誤って、入力情報と認識され、ペン先による遮光部分G1 が不要情報と認識される。例えば「D」という字を書き込んでいる際に、手Qが紙Kから離れて宙に浮くと、その「D」という字が、図10に示すように、宙に浮いた手Qの一部による遮光部分G2 (図9参照)を入力情報と誤認識したことにより、その誤認識した部分G3 が表示された歪な字になる。このような誤認識を防止するために、この実施の形態では、連続的に認識される細い方の遮光部分の位置が所定の設定値以上離れて認識された場合には、それを誤認識と判断し、たとえ遮光部分が太い方でも、上記設定値未満の範囲内にある遮光部分の位置のものを入力情報と認識するプログラム(誤認識防止手段)が前記CPUに組み込まれている。上記設定値は、通常、ペン先と、遮光部分G2 をつくる上記手Qの一部(小指やその付け根部分等)との間の距離以下に設定され、例えば、5〜20mmの範囲内に設定される。それ以外の部分は、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0044】
この実施の形態では、上記誤認識防止手段を備えているため、入力中に手Qが紙Kから離れて宙に浮くことがあっても、上記のような誤認識が起こらず、適正に入力することができる。また、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様の作用・効果を奏する。
【0045】
なお、上記各実施の形態では、入力デバイスAの四角枠状の光導波路Wにおいて、入力用中空部S内での光伝送効率を向上させるために、光出射用のコア2aの先端部および光入射用のコア2bの先端部をレンズ部に形成するとともに、それを被覆するオーバークラッド層3の先端部もレンズ部3aに形成したが、入力用中空部S内での光伝送効率が充分であれば、上記レンズ部は、コア2a,2bまたはオーバークラッド層3の一方のみに形成してもよいし、両方とも形成しなくてもよい。また、上記レンズ部を形成しない場合、別体のレンズ体を準備し、上記光導波路Wの入力用中空部S内の周縁に沿って設置してもよい。
【0046】
図11は、本発明の入力デバイスのさらに他の実施の形態を示している。この実施の形態の入力デバイスBは、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板の、上記入力用中空部Sの対向する一方の周縁に、複数の発光ダイオード(発光手段)11が並設され、他方の周縁に、複数のフォトダイオード(受光手段)12が並設され、上記発光ダイオード11の発光部と、上記フォトダイオード12の受光部とが対向している。この入力デバイスBには、光導波路W(図1参照)は設けられていない。なお、上記発光ダイオード11およびフォトダイオード12は、上記保持板の表面に設けられた四角枠状の回路基板8に搭載されている。また、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様に、上記回路基板8には、入力デバイスBを制御するCPU,上記入力用中空部S内の領域に入力した情報を出力する出力モジュール,記憶手段,電池等が搭載され、さらに、保護板40も設けられている。なお、図11では、発光ダイオード11,フォトダイオード12の数を略して図示している。
【0047】
この実施の形態でも、上記複数の発光ダイオード11により、上記入力用中空部S内の領域において、光Hが格子状に走った状態となる。そして、その入力用中空部S内の領域でペンPを移動させると、上記格子状に走る光Hが、そのペン先により遮光され、その遮光が上記フォトダイオード12により感知されることにより、上記ペン先の軌跡が検知される。すわなち、この実施の形態の入力デバイスBも、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様にして使用され、同様の作用・効果を奏する。
【0048】
なお、上記各実施の形態では、入力体としてペン(筆記具)Pを使用したが、その入力体は、入力用中空部S内で文字等を入力するために用いる道具であり、紙に記入する必要がなければ、入力体として、先の細い棒体等を使用してもよい。
【0049】
さらに、上記各実施の形態では、入力デバイスA,Bをパソコンとともに使用し、上記入力デバイスへの入力情報を上記パソコンのディスプレイに表示したが、上記各実施の形態におけるパソコンの機能と同様の機能を、上記入力デバイスA,Bまたは上記ディスプレイに付与し、パソコンを使用することなく、ディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0050】
つぎに、実施例について説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0051】
〔実施例1〕
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分A:脂環骨格を含むエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE3150)75重量部。
成分B:エポキシ基含有アクリル系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0150M)25重量部。
成分C:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K)4重量部。
これら成分A〜Cを、紫外線吸収剤(チバジャパン社製、TINUVIN479)5重量部とともに、シクロヘキサノン(溶剤)に溶解することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
【0052】
〔コアの形成材料〕
成分D:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、157S70)85重量部。
成分E:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)5重量部。
成分F:エポキシ基含有スチレン系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0250SP)10重量部。
これら成分D〜Fと上記成分C4重量部とを、乳酸エチルに溶解することにより、コアの形成材料を調製した。
【0053】
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分G:脂環骨格を有するエポキシ樹脂(アデカ社製、EP4080E)100重量部。
この成分Gと上記成分C2重量部とを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0054】
〔光導波路の作製〕
ステンレス製基板(厚み50μm)の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料を塗布した後、160℃×2分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。ついで、上記感光性樹脂層に対し、紫外線を照射して積算光量1000mJ/cm2 の露光を行い、厚み10μmのアンダークラッド層(波長830nmにおける屈折率1.510)を形成した。
【0055】
ついで、上記アンダークラッド層の表面に、上記コアの形成材料を塗布した後、170℃×3分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。つぎに、フォトマスクを介して(ギャップ100μm)、紫外線を照射し、積算光量3000mJ/cm2 の露光を行った。つづいて、120℃×10分間の加熱処理を行った。その後、現像液(γ−ブチロラクトン)を用い現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、120℃×5分間の乾燥処理を行い、幅30μm×高さ50μmのコア(波長830nmにおける屈折率1.570)をパターン形成した。
【0056】
ここで、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型を準備した。この成形型には、オーバークラッド層の表面形状に対応する型面を有する凹部が形成されている。そして、その凹部を上にして、成形型を成形ステージの上に設置し、その凹部に、上記オーバークラッド層の形成材料を充填した。
【0057】
ついで、上記アンダークラッド層の表面にパターン形成したコアを、上記成形型の凹部に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層を上記成形型に押圧し、上記オーバークラッド層の形成材料内に、上記コアを浸した。そして、この状態で、紫外線を、上記成形型を透して上記オーバークラッド層の形成材料に照射して積算光量8000mJ/cm2 の露光を行い、コアの先端部に対応するオーバークラッド層の部分が凸状のレンズ部に形成されたオーバークラッド層を形成した。その凸状のレンズ部は、側断面形状が略1/4円弧状のレンズ曲面(曲率半径1.4mm)を有するものであった。
【0058】
つぎに、上記成形型から、上記オーバークラッド層を、上記基板,アンダークラッド層およびコアと共に脱型した。
【0059】
そして、上記基板をアンダークラッド層から剥離し、アンダークラッド層,コアおよびオーバークラッド層からなる帯状の光導波路部分(総厚1mm)を得た。
【0060】
〔入力デバイスの作製〕
つぎに、回路基板を準備し、それに、発光素子(Optowell社製、SM85−2N001),受光素子(浜松ホトニクス社製、S−10226),CMOS駆動CPU,水晶振動子,無線モジュール,2個のコイン型リチウム電池(CR1216:厚み1.6mm、直径1.25mm、電圧3V)等を搭載し、制御手段を作製した。そして、上記CPUのプログラムが、図3のフローチャートに示すものとした。
【0061】
ここで、四角枠状のステンレス製保持板(厚み0.5mm)を準備した。この保持板の入力用中空部は、縦30cm×横30cmの四角形とした。そして、上記保持板の表面のうち、上記入力用中空部の外側部分に、上記帯状の光導波路部分を貼着し、四角枠状の光導波路を作製するとともに、上記制御手段を固定した。このとき、上記発光素子を光出射用のコアに接続し、上記受光素子を光入射用のコアに接続した。その後、上記オーバークラッド層のレンズ部を除く頂面と、上記制御手段の固定部分とを、四角枠状のステンレス製保護板(厚み0.5mm)で被覆し、入力デバイスを得た。
【0062】
〔実施例2〕
〔入力デバイスの作製〕
上記実施例1と同様の四角枠状の保持板を準備し、その入力用中空部の対向する一方の周縁に、複数の発光ダイオード(シャープ社製、GL4800E0000F)を並設し、他方の周縁に、複数のフォトダイオード(シャープ社製、PD411PI2E00P)を並設した。また、上記実施例1と同様に、回路基板に、CMOS駆動CPU,水晶振動子,無線モジュール,2個のコイン型リチウム電池等を搭載して制御手段を作製し、それを上記保持板に固定した。そして、上記CPUのプログラムが、図3のフローチャートに示すものとした。ここで、上記発光ダイオード,フォトダイオード,制御手段を、四角枠状のステンレス製保護板(厚み0.5mm)で被覆し、入力デバイスを得た。
【0063】
〔入力デバイスの作動確認〕
資料等の情報を記憶したUSBメモリとパソコンとを準備し、そのUSBメモリの記憶情報を、上記パソコンを利用して、そのパソコンのディスプレイに表示した。なお、上記パソコンには、上記入力デバイスの四角枠状の入力用中空部内の領域の座標を、ディスプレイの画面の座標に変換し、入力デバイスで入力した文字等をディスプレイに表示するソフトウェア(プログラム)が、組み込まれている。また、上記パソコンは、上記入力デバイスの無線モジュールからの電波(情報)を受信できるよう受信手段を備えており、上記パソコンと入力デバイスとを、無線で情報伝達可能に接続した。
【0064】
そして、上記実施例1,2の入力デバイスを、そのステンレス製保持板を下にして、紙の上に載置した。ついで、ペンを手に持ち、そのペンで、上記入力用中空部内の領域から露呈する上記紙に文字を書き込んだ。その結果、その文字のみが、上記ディスプレイに表示されている資料等の情報に重ね合わさった状態で表示され、手は表示されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の入力デバイスは、ディスプレイに表示された資料等に、文字,図,印等の新たな情報を書き加えることに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
A 入力デバイス
S 入力用中空部
W 光導波路
C 制御手段
P ペン
Q 手
2a,2b コア
5 発光素子
6 受光素子
30 保持板
40 保護板
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的な位置検出手段を備えた入力デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力デバイスとして、複数の発光素子および受光素子を備えた光学的位置検出装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。このものは、四角枠状に形成され、その四角枠を構成する一対のL字状部分の一方に、発光素子を複数並設し、他方に、上記発光素子に対向する受光素子を複数並設したものとなっている。そして、その四角枠状の光学的位置検出装置は、四角形のディスプレイの周縁に沿って設置され、その四角枠内でペンを移動させることにより、文字等の情報を入力し、上記ディスプレイに表示することができるようになっている。
【0003】
すなわち、上記四角枠内では、上記複数の発光素子により、光が格子状に走った状態になっており、その四角枠内でペンを移動させると、上記発光素子からの光がペン先により遮光され、その遮光を、上記発光素子に対向する受光素子が感知することにより、上記ペン先の軌跡(文字等の入力情報)を検知するようになっている。そして、その軌跡を信号として上記ディスプレイに出力するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3682109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記四角枠状の光学的位置検出装置は、上記ディスプレイの周縁に沿って設置されるため、上記四角枠内が広くなっている。そのため、上記四角枠内に文字等を上記ペンで入力しようとすると、そのペン先だけでなく、そのペンを持つ手の小指やその付け根部分(小指球)等も、上記四角枠内において、上記ディスプレイの表面に接触する。この場合、上記四角枠内において、上記ディスプレイの表面に接触した部分全体が感知されるため、不要部分(上記小指やその付け根部分等)も感知され、それにより、その不要な情報も上記ディスプレイに表示されるという問題がある。そこで、上記小指やその付け根部分等が上記ディスプレイの表面に接触しないようにして、上記ペンで文字等を入力しようとすると、今度は、その文字等が乱れ、適正に入力することができないという問題が起こる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、文字等の情報をペンで入力する際に、そのペンを持つ手の小指等の不要部分を感知すると、その不要部分の情報を排除することができる入力デバイスの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の入力デバイスは、枠に囲まれた空間が手で持つ入力体による入力用中空部になっている枠状板と、この枠状板において互いに対向する一方の部分に設けられた発光手段と、上記枠状板の他方の部分に設けられ上記発光手段からの出射光を受光する受光手段とを備え、上記入力用中空部において上記出射光が格子状に走り、上記入力用中空部における入力体の先端入力部による上記出射光の遮光部分を入力情報とする入力デバイスであって、上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも長い上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識する不要部分認識手段を備えているという構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の入力デバイスでは、入力用中空部において、ペン等の入力体を手に持って、入力用中空部内の領域に文字等の情報を入力すると、ペン先等の先端入力部とともに、入力情報に不要な上記手の小指等も感知されるが、本発明の入力デバイスは、不要部分認識手段を備えているため、遮光範囲の違いから、遮光範囲の短い先端入力部と遮光範囲の長い手の小指等(不要部分)とを区別することができ、遮光範囲が長い方の遮光部分を不要情報と認識することができる。これにより、その不要情報は、排除され、例えば、ディスプレイに表示されないようにしたり、データとして保存されないようにしたりすることができる。
【0009】
特に、上記遮光範囲の長さが5mm以上のものを上記不要情報に設定する場合には、一般的に市販されているペン等(入力体)を傾けて使用する等しても、そのペン等のペン先等(先端入力部)を、手の小指等(不要部分)と区別して認識することができる。
【0010】
さらに、上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも短い宙に浮いた上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光部分の位置の違いにより、それまで認識してきた上記入力体の遮光部分の位置から所定の設定値以上離れて認識された上記宙に浮いた手の遮光部分を誤認識と判断し、上記設定値未満の範囲内にある上記入力体の遮光部分を入力情報と認識する誤認識防止手段を備えている場合には、上記手が宙に浮いて、その手による遮光範囲が、上記入力体の先端入力部による遮光範囲よりも短くなったとしても、上記誤認識防止手段を備えているため、遮光部分の位置の違いにより、上記入力体の先端入力部による遮光部分を適正に入力情報と認識することができる。
【0011】
また、上記発光手段が、発光素子と、この発光素子に接続された、光導波路の複数の光出射用コアとからなり、上記受光手段が、受光素子と、この受光素子に接続された、光導波路の複数の光入射用コアとからなり、上記光出射用コアの先端部と上記光入射用コアの先端部とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している場合には、上記枠状板上に上記光導波路が形成され、その光導波路は薄く形成することができるため、入力体で入力する際に、本発明の入力デバイスが、入力体の使用の妨げにならず、入力し易くなっている。
【0012】
一方、上記発光手段が、複数の発光素子からなり、上記受光手段が、複数の受光素子からなり、上記複数の発光素子と上記複数の受光素子とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している場合には、上記発光素子および上記受光素子がある程度厚みを有するため、本発明の入力デバイスも全体的にある程度厚く形成され、その入力デバイスを剛性および強度のあるものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の入力デバイスの一実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は、上記入力デバイスの光導波路を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)のX1−X1断面の拡大図であり、(c)は、(a)のX2−X2断面の拡大図である。
【図3】上記入力デバイスにおけるCPUのプログラムのフローチャートを示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、上記入力デバイスの作製方法の一例を模式的に示す説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、上記図4に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図6】(a)〜(b)は、上記図5に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図7】(a)は、上記図6に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図であり、(b)は、(a)のX3−X3断面図である。
【図8】上記図7に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明の入力デバイスの他の実施の形態における想定を模式的に示す説明図である。
【図10】入力情報が誤認識された場合の一例を模式的に示す平面図である。
【図11】本発明の入力デバイスのさらに他の実施の形態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明の入力デバイスの一実施の形態を示す斜視図であり、図2(a)は、その平面図、図2(b)は、図2(a)のX1−X1断面の拡大図であり、図2(c)は、図2(a)のX2−X2断面の拡大図である。この実施の形態の入力デバイスAは、図1に示すように、四角形状の入力用中空部(窓部)Sを有する四角枠状に形成されている。その入力デバイスAの内部には、図2(a),(b)に示すように、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の光導波路Wと、この光導波路Wに接続される発光素子5および受光素子6を有する制御手段Cとを備えている。これら光導波路Wと制御手段Cとは、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板(枠状板)30の表面に設けられているとともに、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保護板40で覆われている。そして、上記発光素子5からの光Hは、上記光導波路Wの光出射用のコア2aを経て、上記入力用中空部S内の領域において、横方向〔図2(a)では右から左に向かう方向〕と縦方向〔図2(a)では下から上に向かう方向〕とに出射され、格子状に走るようになっている。
【0016】
また、上記制御手段Cは、上記発光素子5,受光素子6に加え、上記入力デバイスAを制御するCPU(中央処理装置)(図示せず)も備えており、そのCPUには、入力用中空部Sにおいて、ペン(入力体)Pのペン先(先端入力部)による上記光Hの遮光範囲(遮光部分の縦方向長さおよび横方向長さ)と、それよりも長い(遮光部分の縦方向長さおよび横方向長さの少なくとも一方が長い)遮光範囲(ペンPを持つ手Qの小指等による上記光Hの遮光範囲)とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識するプログラム(不要部分認識手段)が組み込まれている。
【0017】
より詳しく説明すると、上記四角枠状の光導波路Wは、図2(a),(b)に示すように、その四角枠形状の各辺の帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続したものとなっている。この実施の形態では、上記帯状の各光導波路部分の両端縁が段部に形成されており、その段部を利用して位置決めした状態で、隣接し合う光導波路部分と光導波路部分とが接続されている。また、上記帯状の各光導波路部分は、アンダークラッド層1と、このアンダークラッド層1の表面に所定パターンに形成された光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bと、これらコア2a,2bを被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面に形成されたオーバークラッド層3とからなっている。上記アンダークラッド層1は、上記四角枠状の保持板30の表面に貼着されている。なお、図2(b)は光入射側の断面図であるため、この図2(b)に光出射用のコア2aは図示されない。
【0018】
そして、四角枠状に形成された上記光導波路Wは、そのアンダークラッド層1の四角枠を構成する一対のL字状部分の一方の表面に、光出射用のコア2aが複数に分岐された状態で形成され、他方の表面に、光入射用の複数のコア2bが並列状態で形成されている。各コア2a,2bの先端部は、上記一対のL字状部分の内側縁(四角枠の内周縁)に位置決めされ、光出射用のコア2aの先端部と光入射用のコア2bの先端部とが対向した状態に形成されている。さらに、上記光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bを被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面に、オーバークラッド層3が四角枠状に形成されている。この実施の形態では、上記四角枠の内周縁に位置決めされているコア2a,2bの先端部が、平面視形状が略1/2円弧状の曲面を有する凸状のレンズ部に形成され、そのレンズ部を被覆するオーバークラッド層3の先端部が、部分球面状のレンズ曲面を有する凸状のレンズ部3aに形成されている。なお、図2(a)では、コア2a,2bを鎖線で示しており、鎖線の太さがコア2a,2bの太さを示している。また、図2(a),(b)では、コア2a,2bの数を略して図示している。
【0019】
一方、上記制御手段Cは、先に述べた、発光素子5,受光素子6およびCPUに加え、上記光導波路Wの入力用中空部S内の領域に入力した情報(ペン先の移動軌跡の情報)を出力する出力モジュール(図示せず),その情報を記憶する記憶手段(図示せず),電源となる電池(図示せず)等も備えている。そして、上記発光素子5,上記受光素子6,上記CPU,上記出力モジュール,上記記憶手段,上記電池等は、回路基板に搭載され、電気的に適正に接続されている。また、図2(a),(c)に示すように、上記発光素子5は、上記光導波路Wの複数の光出射用のコア2aの端部に接続され、上記受光素子6は、上記光導波路Wの複数の光入射用のコア2bの端部に接続されている。
【0020】
そして、上記CPUには、先に述べたように、入力用中空部Sにおいて、ペン先による上記光Hの遮光範囲と、それよりも長い遮光範囲(ペンPを持つ手Qの小指等による上記光Hの遮光範囲)とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識するプログラムが組み込まれている。すなわち、上記入力用中空部SにペンPで入力する際には、入力情報に不要な上記ペンPを持つ手Qの小指等も感知されるが、上記CPUに組み込まれているプログラムにより、遮光範囲の違いから、遮光範囲の短いペン先と遮光範囲の長い手Qの小指等(不要部分)とを区別することができ、遮光範囲が長い方の遮光部分を不要情報と認識することができる。これにより、その不要情報は、排除され、例えば、ディスプレイに表示されないようにしたり、データとして保存されないようにしたりすることができる。
【0021】
ここで、上記遮光部分の位置は、受光素子6からの検出電圧の変化量がピークを示す位置により判断することができる。そのため、図2(a)に示す入力デバイスAでは、右利きの人の場合、最も左かつ最も上の位置の上記ピークをペン先と判断することも可能である(左利きの人の場合、最も右かつ最も上の位置)。また、上記遮光範囲は、上記ピーク幅により判断することができる。そのため、右利きの人が上記入力デバイスAを使用中に、左手等が上記入力用中空部Sで感知された場合、最もピーク幅の狭いものをペン先と判断することも可能である。
【0022】
さらに、上記手Qを感知し始める一瞬は、上記ピーク幅が狭くなることがあるため、それをペン先と誤認識するおそれがある。そこで、感知し始めの少しの一定時間は、ペン先でも手Qでも感知したものを無効とするよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。または、感知し始めの上記手Qをペン先と誤認識し、ディスプレイに表示等したとしても、それが上記手Qであると認識された時に、上記表示等を消去するよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。
【0023】
また、入力用中空部S内にゴミ等があると、そのゴミ等もペン先と同様のものと感知するため、その状態でペンPによる入力があると、2個所以上で感知されることとなる。このような場合、アラームを出すよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。そのようにすると、上記入力用中空部S内にゴミ等があることを、知ることができる。さらに、入力デバイスAの使用環境が非常に明るい場合(屋外等)、ペン先で遮光しても、外部から強い光が光入射用のコア2bの先端部から入射し、ペン先(遮光部分)を感知できないことがある。そのため、そのように強い光を感知した場合は、アラームを出すよう、上記CPUに組み込まれているプログラムに追加してもよい。
【0024】
このような構成を有する光導波路Wおよび制御手段Cを備えた入力デバイスAでは、上記発光素子5からの光Hは、上記光出射用のコア2aを通り、その先端のレンズ部を経て、それを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの表面から出射される。これにより、その光Hは、先に述べたように、上記四角枠状の光導波路Wの入力用中空部S内の領域において、格子状に走った状態となる。その格子状に走る光Hは、上記光出射用のコア2aの先端のレンズ部およびそれを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの屈折作用により、発散が抑制されている。そして、上記光Hは、受光側のオーバークラッド層3のレンズ部3aを透過し、光入射用のコア2bの先端のレンズ部を経て、上記光入射用のコア2bを通り、上記受光素子6に到達する。上記光入射用のコア2bに入射した光は、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aおよび上記光入射用のコア2bの先端のレンズ部の屈折作用により、絞られて収束されている。
【0025】
そして、上記入力デバイスAを用いて情報を入力する際には、例えば、上記入力デバイスAを紙の上に載置し、ペンPを手Qに持ち、上記のように光Hが格子状に走る上記入力用中空部Sから露呈する上記紙の部分に、上記ペンPで、文字,図,印等を書き込む。これにより、上記格子状に走る光Hは、上記ペンPのペン先および上記手Qにより遮光され、その遮光が上記受光素子6により感知されることにより、上記ペン先の軌跡および上記手Qの位置が検知される。そのペン先の軌跡が文字,図,印等の入力情報となる。
【0026】
ここで、この実施の形態では、上記制御手段CのCPUに組み込まれているプログラムにより、例えば、図3に示す上記フローチャートのように制御される。すなわち、ペンPを手Qに持ち、上記のように入力用中空部Sから露呈する紙の部分に、ペンPで、文字,図,印等を書き込むと、そのペンPのペン先および上記手Qにより遮光部分が形成され、それら遮光部分を上記受光素子6が感知する。そして、上記受光素子6からの検出電圧の変化量のピーク幅から、そのペン先および手Qの中心位置が判断されるとともに、そのペン先および手Qの太さ(中心から既定の値)が判定される。ついで、上記ペン先および上記手Qが書き込み有効領域内にあるか否かが判断される。この書き込み有効領域とは、右利きの人の場合、上記手Qよりも左側かつ上側の領域であり、左利きの人の場合、上記手Qよりも右側かつ上側の領域である(なお、スタート時は入力用中空部S全体が書き込み有効領域に設定されている)。つぎに、上記ペン先および上記手Qが書き込み有効領域内にあると、それらペン先および手Qの太さ(上記ピーク幅)が既定値よりも細いか否かが判断される。そして、上記太さが既定値よりも細いものは、ペン先と認識され、その軌跡が入力情報としてディスプレイに表示され、上記太さが既定値以上のものは、手(不要情報)Qと認識され、ディスプレイに表示されない。その後、新たに書き込み有効領域が設定される。なお、一般的に市販されているペンのペン先と手Qとを区別し易くする観点から、上記既定値を5mmに設定することが好ましい。
【0027】
このような入力デバイスAは、例えば、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)とともに使用される。すなわち、上記パソコンのディスプレイに資料等の情報を表示し、その表示された情報に、文字,図,印等の情報を加える場合、上記のように、上記入力デバイスAの入力用中空部S内の領域で、上記文字等の情報をペンPで入力する。これにより、そのペン先の軌跡が、上記入力デバイスAにより、検知されるとともに、信号として上記パソコンに無線または接続ケーブルで伝達され、上記ディスプレイに表示することができる。これにより、上記ディスプレイには、上記資料等の情報に、上記入力デバイスAで入力した文字等の情報が重ね合わさった状態で表示される。
【0028】
ここで使用される上記パソコンには、上記入力デバイスAの入力用中空部Sで入力した文字等を、その入力した位置に対応するディスプレイの位置に表示させるために、入力デバイスAの入力用中空部S内の領域の座標を、ディスプレイの画面の座標に変換し、入力デバイスAで入力した文字等をディスプレイに表示するソフトウェア(プログラム)が組み込まれている。
【0029】
なお、上記資料等の情報は、通常、上記パソコン内のハードディスクや外部のUSBメモリ等の情報記憶媒体に予め記憶させておき、その情報記憶媒体から出力される。そして、上記ディスプレイに表示された、上記資料等の情報と上記入力デバイスAで入力した文字等の情報とが重ね合わさった情報は、上記情報記憶媒体に記憶することができる。
【0030】
つぎに、上記入力デバイスAの作製方法の一例について説明する。この実施の形態では、四角枠状の光導波路Wの作製は、その四角枠形状の各辺の帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続することにより行われる。なお、光導波路Wの作製方法の説明に引用する図4(a)〜(c),図5(a)〜(c)は、図2(a)のX1−X1断面に相当する部分を図示している。
【0031】
まず、帯状の光導波路部分を形成するための基板10〔図4(a)参照〕を準備する。この基板10の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。
【0032】
ついで、図4(a)に示すように、上記基板10の表面に、帯状のアンダークラッド層1を形成する。このアンダークラッド層1は、感光性樹脂を形成材料として、フォトリソグラフィ法により形成することができる。アンダークラッド層1の厚みは、例えば、5〜50μmの範囲内に設定される。
【0033】
つぎに、図4(b)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面に、フォトリソグラフィ法により前記パターンの光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bを形成する。これらコア2a,2bの先端部のピッチ{入力用中空部Sにおける光H〔図2(a)参照〕のピッチ}は、ペン先の位置の検知精度を上げる観点から、小さいことが好ましく、例えば、0.05〜0.45mmの範囲内に設定することができる。これらコア2a,2bの形成材料としては、上記アンダークラッド層1および下記オーバークラッド層3〔図5(b)参照〕の形成材料よりも屈折率が高い感光性樹脂が用いられる。なお、図4(b)は光入射側の断面図であるため、この図4(b)に光出射用のコア2aは図示されない。これは、下記の図5(a)〜(c)でも同様である。
【0034】
ここで、図4(c)に示すように、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型20を準備する。この成形型20には、オーバークラッド層3〔図5(b)参照〕の表面形状に対応する型面を有する凹部21が形成されている。そして、その凹部21を上にして、成形型20を成形ステージ(図示せず)の上に設置し、その凹部21に、オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3Aを充填する。
【0035】
ついで、図5(a)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面にパターン形成したコア2a,2bを、上記成形型20の凹部21に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層1を上記成形型20に押圧し、上記オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3A内に、上記コア2a,2bを浸す。そして、この状態で、紫外線等の照射線を、上記成形型20を透して上記感光性樹脂3Aに照射し、その感光性樹脂3Aを露光する。これにより、上記感光性樹脂3Aが硬化し、コア2a,2bの先端部に対応するオーバークラッド層3の部分がレンズ部3aに形成されたオーバークラッド層3が形成される。
【0036】
つぎに、図5(b)〔図5(a)とは上下を逆に図示している〕に示すように、上記成形型20〔図5(a)参照〕から、上記オーバークラッド層3を、上記基板10,アンダークラッド層1およびコア2a,2bと共に脱型する。
【0037】
そして、図5(c)に示すように、上記基板10〔図4(b)参照〕をアンダークラッド層1から剥離し、アンダークラッド層1,コア2a,2bおよびオーバークラッド層3からなる帯状の光導波路部分を得る。
【0038】
つぎに、図6(a)に平面図で示すように、回路基板8を準備し、それに、発光素子5,受光素子6,上記入力デバイスA(図1参照)を制御するCPU(図示せず),上記光導波路W(図1参照)の入力用中空部S内の領域に入力した情報を出力する出力モジュール(図示せず),上記記憶手段(図示せず),電池(図示せず)等を搭載し、前記制御手段Cを作製する。
【0039】
ここで、図6(b)に平面図で示すように、入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板30を準備する。この保持板30の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。なかでも、平面性の保持に優れている点で、ステンレスが好ましい。保持板30の厚みは、例えば、0.5mm程度に設定される。
【0040】
そして、図7(a)に平面図で示し,図7(b)に断面図〔図7(a)のX3−X3断面図〕で示すように、上記四角枠状の保持板30の表面に、上記帯状の光導波路部分を貼着し、四角枠状の光導波路Wを作製する。このとき、上記発光素子5を光出射用のコア2aに接続し、上記受光素子6を光入射用のコア2bに接続する。
【0041】
その後、図8に断面図で示すように、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aを除く頂面と、上記制御手段Cとを、保護板40で被覆する。この保護板40の形成材料としては、例えば、樹脂,金属,ガラス,石英,シリコン等があげられる。保護板40の厚みは、例えば、金属製であれば、0.5mm程度、樹脂製であれば、0.8mm程度に設定される。
【0042】
このようにして、上記入力デバイスAを作製することができる。この入力デバイスAにおいて、上記光導波路Wの部分は、その表裏面の上記保持板30と保護板40とを合わせても、総厚を3mm程度と、薄く形成することができる。上記制御手段Cの部分も、その表裏面の上記保持板30と保護板40とを合わせても、総厚を3mm程度と、薄く形成することができる。この実施の形態では、上記光導波路Wの部分も上記制御手段Cの部分も、同じ厚みに形成している。
【0043】
本発明の入力デバイスの他の実施の形態は、図9に示すように、ペンPで、文字等を紙Kに書き込んでいる際に、そのペンPを持つ手Qが、上記紙Kから離れて宙に浮いた場合を想定したものである。すなわち、上記手Qが紙Kから離れて宙に浮くと、上記手Qの一部による遮光部分G2 が、ペン先による遮光部分G1 よりも細くなる時がある。その時、上記手Qの一部による遮光部分G2 が、誤って、入力情報と認識され、ペン先による遮光部分G1 が不要情報と認識される。例えば「D」という字を書き込んでいる際に、手Qが紙Kから離れて宙に浮くと、その「D」という字が、図10に示すように、宙に浮いた手Qの一部による遮光部分G2 (図9参照)を入力情報と誤認識したことにより、その誤認識した部分G3 が表示された歪な字になる。このような誤認識を防止するために、この実施の形態では、連続的に認識される細い方の遮光部分の位置が所定の設定値以上離れて認識された場合には、それを誤認識と判断し、たとえ遮光部分が太い方でも、上記設定値未満の範囲内にある遮光部分の位置のものを入力情報と認識するプログラム(誤認識防止手段)が前記CPUに組み込まれている。上記設定値は、通常、ペン先と、遮光部分G2 をつくる上記手Qの一部(小指やその付け根部分等)との間の距離以下に設定され、例えば、5〜20mmの範囲内に設定される。それ以外の部分は、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0044】
この実施の形態では、上記誤認識防止手段を備えているため、入力中に手Qが紙Kから離れて宙に浮くことがあっても、上記のような誤認識が起こらず、適正に入力することができる。また、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様の作用・効果を奏する。
【0045】
なお、上記各実施の形態では、入力デバイスAの四角枠状の光導波路Wにおいて、入力用中空部S内での光伝送効率を向上させるために、光出射用のコア2aの先端部および光入射用のコア2bの先端部をレンズ部に形成するとともに、それを被覆するオーバークラッド層3の先端部もレンズ部3aに形成したが、入力用中空部S内での光伝送効率が充分であれば、上記レンズ部は、コア2a,2bまたはオーバークラッド層3の一方のみに形成してもよいし、両方とも形成しなくてもよい。また、上記レンズ部を形成しない場合、別体のレンズ体を準備し、上記光導波路Wの入力用中空部S内の周縁に沿って設置してもよい。
【0046】
図11は、本発明の入力デバイスのさらに他の実施の形態を示している。この実施の形態の入力デバイスBは、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板の、上記入力用中空部Sの対向する一方の周縁に、複数の発光ダイオード(発光手段)11が並設され、他方の周縁に、複数のフォトダイオード(受光手段)12が並設され、上記発光ダイオード11の発光部と、上記フォトダイオード12の受光部とが対向している。この入力デバイスBには、光導波路W(図1参照)は設けられていない。なお、上記発光ダイオード11およびフォトダイオード12は、上記保持板の表面に設けられた四角枠状の回路基板8に搭載されている。また、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様に、上記回路基板8には、入力デバイスBを制御するCPU,上記入力用中空部S内の領域に入力した情報を出力する出力モジュール,記憶手段,電池等が搭載され、さらに、保護板40も設けられている。なお、図11では、発光ダイオード11,フォトダイオード12の数を略して図示している。
【0047】
この実施の形態でも、上記複数の発光ダイオード11により、上記入力用中空部S内の領域において、光Hが格子状に走った状態となる。そして、その入力用中空部S内の領域でペンPを移動させると、上記格子状に走る光Hが、そのペン先により遮光され、その遮光が上記フォトダイオード12により感知されることにより、上記ペン先の軌跡が検知される。すわなち、この実施の形態の入力デバイスBも、前記実施の形態(図1〜図8参照)と同様にして使用され、同様の作用・効果を奏する。
【0048】
なお、上記各実施の形態では、入力体としてペン(筆記具)Pを使用したが、その入力体は、入力用中空部S内で文字等を入力するために用いる道具であり、紙に記入する必要がなければ、入力体として、先の細い棒体等を使用してもよい。
【0049】
さらに、上記各実施の形態では、入力デバイスA,Bをパソコンとともに使用し、上記入力デバイスへの入力情報を上記パソコンのディスプレイに表示したが、上記各実施の形態におけるパソコンの機能と同様の機能を、上記入力デバイスA,Bまたは上記ディスプレイに付与し、パソコンを使用することなく、ディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0050】
つぎに、実施例について説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0051】
〔実施例1〕
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分A:脂環骨格を含むエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE3150)75重量部。
成分B:エポキシ基含有アクリル系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0150M)25重量部。
成分C:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K)4重量部。
これら成分A〜Cを、紫外線吸収剤(チバジャパン社製、TINUVIN479)5重量部とともに、シクロヘキサノン(溶剤)に溶解することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
【0052】
〔コアの形成材料〕
成分D:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、157S70)85重量部。
成分E:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)5重量部。
成分F:エポキシ基含有スチレン系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0250SP)10重量部。
これら成分D〜Fと上記成分C4重量部とを、乳酸エチルに溶解することにより、コアの形成材料を調製した。
【0053】
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分G:脂環骨格を有するエポキシ樹脂(アデカ社製、EP4080E)100重量部。
この成分Gと上記成分C2重量部とを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0054】
〔光導波路の作製〕
ステンレス製基板(厚み50μm)の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料を塗布した後、160℃×2分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。ついで、上記感光性樹脂層に対し、紫外線を照射して積算光量1000mJ/cm2 の露光を行い、厚み10μmのアンダークラッド層(波長830nmにおける屈折率1.510)を形成した。
【0055】
ついで、上記アンダークラッド層の表面に、上記コアの形成材料を塗布した後、170℃×3分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。つぎに、フォトマスクを介して(ギャップ100μm)、紫外線を照射し、積算光量3000mJ/cm2 の露光を行った。つづいて、120℃×10分間の加熱処理を行った。その後、現像液(γ−ブチロラクトン)を用い現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、120℃×5分間の乾燥処理を行い、幅30μm×高さ50μmのコア(波長830nmにおける屈折率1.570)をパターン形成した。
【0056】
ここで、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型を準備した。この成形型には、オーバークラッド層の表面形状に対応する型面を有する凹部が形成されている。そして、その凹部を上にして、成形型を成形ステージの上に設置し、その凹部に、上記オーバークラッド層の形成材料を充填した。
【0057】
ついで、上記アンダークラッド層の表面にパターン形成したコアを、上記成形型の凹部に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層を上記成形型に押圧し、上記オーバークラッド層の形成材料内に、上記コアを浸した。そして、この状態で、紫外線を、上記成形型を透して上記オーバークラッド層の形成材料に照射して積算光量8000mJ/cm2 の露光を行い、コアの先端部に対応するオーバークラッド層の部分が凸状のレンズ部に形成されたオーバークラッド層を形成した。その凸状のレンズ部は、側断面形状が略1/4円弧状のレンズ曲面(曲率半径1.4mm)を有するものであった。
【0058】
つぎに、上記成形型から、上記オーバークラッド層を、上記基板,アンダークラッド層およびコアと共に脱型した。
【0059】
そして、上記基板をアンダークラッド層から剥離し、アンダークラッド層,コアおよびオーバークラッド層からなる帯状の光導波路部分(総厚1mm)を得た。
【0060】
〔入力デバイスの作製〕
つぎに、回路基板を準備し、それに、発光素子(Optowell社製、SM85−2N001),受光素子(浜松ホトニクス社製、S−10226),CMOS駆動CPU,水晶振動子,無線モジュール,2個のコイン型リチウム電池(CR1216:厚み1.6mm、直径1.25mm、電圧3V)等を搭載し、制御手段を作製した。そして、上記CPUのプログラムが、図3のフローチャートに示すものとした。
【0061】
ここで、四角枠状のステンレス製保持板(厚み0.5mm)を準備した。この保持板の入力用中空部は、縦30cm×横30cmの四角形とした。そして、上記保持板の表面のうち、上記入力用中空部の外側部分に、上記帯状の光導波路部分を貼着し、四角枠状の光導波路を作製するとともに、上記制御手段を固定した。このとき、上記発光素子を光出射用のコアに接続し、上記受光素子を光入射用のコアに接続した。その後、上記オーバークラッド層のレンズ部を除く頂面と、上記制御手段の固定部分とを、四角枠状のステンレス製保護板(厚み0.5mm)で被覆し、入力デバイスを得た。
【0062】
〔実施例2〕
〔入力デバイスの作製〕
上記実施例1と同様の四角枠状の保持板を準備し、その入力用中空部の対向する一方の周縁に、複数の発光ダイオード(シャープ社製、GL4800E0000F)を並設し、他方の周縁に、複数のフォトダイオード(シャープ社製、PD411PI2E00P)を並設した。また、上記実施例1と同様に、回路基板に、CMOS駆動CPU,水晶振動子,無線モジュール,2個のコイン型リチウム電池等を搭載して制御手段を作製し、それを上記保持板に固定した。そして、上記CPUのプログラムが、図3のフローチャートに示すものとした。ここで、上記発光ダイオード,フォトダイオード,制御手段を、四角枠状のステンレス製保護板(厚み0.5mm)で被覆し、入力デバイスを得た。
【0063】
〔入力デバイスの作動確認〕
資料等の情報を記憶したUSBメモリとパソコンとを準備し、そのUSBメモリの記憶情報を、上記パソコンを利用して、そのパソコンのディスプレイに表示した。なお、上記パソコンには、上記入力デバイスの四角枠状の入力用中空部内の領域の座標を、ディスプレイの画面の座標に変換し、入力デバイスで入力した文字等をディスプレイに表示するソフトウェア(プログラム)が、組み込まれている。また、上記パソコンは、上記入力デバイスの無線モジュールからの電波(情報)を受信できるよう受信手段を備えており、上記パソコンと入力デバイスとを、無線で情報伝達可能に接続した。
【0064】
そして、上記実施例1,2の入力デバイスを、そのステンレス製保持板を下にして、紙の上に載置した。ついで、ペンを手に持ち、そのペンで、上記入力用中空部内の領域から露呈する上記紙に文字を書き込んだ。その結果、その文字のみが、上記ディスプレイに表示されている資料等の情報に重ね合わさった状態で表示され、手は表示されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の入力デバイスは、ディスプレイに表示された資料等に、文字,図,印等の新たな情報を書き加えることに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
A 入力デバイス
S 入力用中空部
W 光導波路
C 制御手段
P ペン
Q 手
2a,2b コア
5 発光素子
6 受光素子
30 保持板
40 保護板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠に囲まれた空間が手で持つ入力体による入力用中空部になっている枠状板と、この枠状板において互いに対向する一方の部分に設けられた発光手段と、上記枠状板の他方の部分に設けられ上記発光手段からの出射光を受光する受光手段とを備え、上記入力用中空部において上記出射光が格子状に走り、上記入力用中空部における入力体の先端入力部による上記出射光の遮光部分を入力情報とする入力デバイスであって、上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも長い上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識する不要部分認識手段を備えていることを特徴とする入力デバイス。
【請求項2】
上記遮光範囲の長さが5mm以上のものを上記不要情報に設定する請求項1記載の入力デバイス。
【請求項3】
上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも短い宙に浮いた上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光部分の位置の違いにより、それまで認識してきた上記入力体の遮光部分の位置から所定の設定値以上離れて認識された上記宙に浮いた手の遮光部分を誤認識と判断し、上記設定値未満の範囲内にある上記入力体の遮光部分を入力情報と認識する誤認識防止手段を備えている請求項1または2記載の入力デバイス。
【請求項4】
上記発光手段が、発光素子と、この発光素子に接続された、光導波路の複数の光出射用コアとからなり、上記受光手段が、受光素子と、この受光素子に接続された、光導波路の複数の光入射用コアとからなり、上記光出射用コアの先端部と上記光入射用コアの先端部とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している請求項1〜3のいずれか一項に記載の入力デバイス。
【請求項5】
上記発光手段が、複数の発光素子からなり、上記受光手段が、複数の受光素子からなり、上記複数の発光素子と上記複数の受光素子とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している請求項1〜3のいずれか一項に記載の入力デバイス。
【請求項1】
枠に囲まれた空間が手で持つ入力体による入力用中空部になっている枠状板と、この枠状板において互いに対向する一方の部分に設けられた発光手段と、上記枠状板の他方の部分に設けられ上記発光手段からの出射光を受光する受光手段とを備え、上記入力用中空部において上記出射光が格子状に走り、上記入力用中空部における入力体の先端入力部による上記出射光の遮光部分を入力情報とする入力デバイスであって、上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも長い上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光範囲の違いから長い方の遮光部分を不要情報と認識する不要部分認識手段を備えていることを特徴とする入力デバイス。
【請求項2】
上記遮光範囲の長さが5mm以上のものを上記不要情報に設定する請求項1記載の入力デバイス。
【請求項3】
上記入力体の先端入力部による遮光範囲と、それよりも短い宙に浮いた上記手による遮光範囲とを感知した際に、その遮光部分の位置の違いにより、それまで認識してきた上記入力体の遮光部分の位置から所定の設定値以上離れて認識された上記宙に浮いた手の遮光部分を誤認識と判断し、上記設定値未満の範囲内にある上記入力体の遮光部分を入力情報と認識する誤認識防止手段を備えている請求項1または2記載の入力デバイス。
【請求項4】
上記発光手段が、発光素子と、この発光素子に接続された、光導波路の複数の光出射用コアとからなり、上記受光手段が、受光素子と、この受光素子に接続された、光導波路の複数の光入射用コアとからなり、上記光出射用コアの先端部と上記光入射用コアの先端部とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している請求項1〜3のいずれか一項に記載の入力デバイス。
【請求項5】
上記発光手段が、複数の発光素子からなり、上記受光手段が、複数の受光素子からなり、上記複数の発光素子と上記複数の受光素子とが、上記枠状板の内側縁に位置決めされた状態で対向している請求項1〜3のいずれか一項に記載の入力デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−65278(P2013−65278A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130710(P2012−130710)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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