説明

入力ペン

【課題】製造コストが低く、使用寿命が長い入力ペンを提供すること。
【解決手段】本発明に係る入力ペンは、内側に突出部が設けられたスリーブ及び筆先部を含む筆芯部を備える。前記筆芯部の前記筆先部から離れる一端には少なくとも1つの挟持アームが延伸されており、各挟持アームは前記突出部に対応する係止凹口を有する。前記突出部を前記係止凹口に係合することにより、前記筆芯部を前記スリーブ内に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力ペン、特に携帯式電子装置に用いられる入力ペンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル技術の発展に伴い、現在市販されている携帯電話、個人用携帯情報端末(PDA)及びパソコン等のような携帯式電子装置は、殆んどタッチスクリーンを採用する。これらの携帯式電子装置は、一般的に入力ペンを入力手段とする。
【0003】
従来の入力ペンは、スリーブ及び前記スリーブに連接する筆先部を含む。しかし、前記スリーブと前記筆先部とは、通常異なる材質から製作され、且つ前記スリーブには焼付け塗装などのプロセスが必要とされるが、前記筆先部には上記プロセスが必要ではない。そのため、現実の製造プロセスにおいて、前記スリーブと前記筆先部を分離して設計且つ加工してから、前記筆先部を前記スリーブに螺合する。しかし、前記筆先部にねじ山を加工するのに専門のプレス機を買わなければならないため、コストアップになる。しかも、時間がたつにつれて、ねじ山の組み合せにより一体に組み立てた入力ペンはゆるみ易いため、入力ペンの使用寿命に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、製造コストが低く、使用寿命が長い入力ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明に係る入力ペンは、内側に突出部が設けられたスリーブ及び筆先部を含む筆芯部を備える。前記筆芯部の前記筆先部から離れる一端には少なくとも1つの挟持アームが延伸されており、各挟持アームは前記突出部に対応する係止凹口を有する。前記突出部を前記係止凹口に係合することにより、前記筆芯部を前記スリーブ内に装着する。
【発明の効果】
【0006】
従来の技術と比べると、本発明に係る入力ペンにおいて、前記スリーブの突出部は前記筆先部の挟持アームと互いに係合して一体に組み合せられる。前記挟持アームと前記突出部との係合構造が簡単で安定したものであるため、本発明の入力ペンは製造し易く、コストを下げることができ、且つ前記筆先部は前記スリーブに対してゆるむことがなく、本発明の入力ペンは使用寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る入力ペンの分解図である。
【図2】図1に示した入力ペンの組立て図である。
【図3】図2に示した入力ペンのIII−III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の入力ペンは携帯電話、個人用携帯情報端末(PDA)及びパソコン等のような携帯式電子装置に適用する。以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る入力ペンに対して詳しく説明する。
【0009】
図1に示すように、本発明の入力ペン100は、スリーブ10、筆芯部20、位置決め部材30及びキャップ40を含む。前記筆芯部20は、前記スリーブ10内に装着される。前記位置決め部材30は、前記スリーブ10内に収納され且つ前記筆芯部20と互いに係合する。前記キャップ40は、前記筆芯部20上に被せられる。
【0010】
前記スリーブ10は、四つの側壁12を含み、前記四つの側壁12はともに収容空洞部14を囲んで形成する。そのうち、相対する2つの側壁12の内壁にはそれぞれ突出部122(図3を参照)が向き合うように凸設されている。
【0011】
前記筆芯部20は、中空の柱状体である主体部22及び前記主体部22に連接する筆先部24を含む。前記主体部22の前記筆先部24から離れる一端には2つの挟持アーム222が延伸されている。前記2つの挟持アーム222が対称的に設置されて、前記筆芯部20をスリーブ10内に固着することに用いられる。前記主体部22上には、前記位置決め部材30と係合するための2つの係止開口224が開設されている。各挟持アーム222の外表壁には、前記スリーブ10の突出部122と係合するための係止凹口2222が開設されている。前記筆先部24と前記主体部22との接続する部位には、前記キャップ40を固定するための係止溝242が開設されている。前記筆芯部20は、ポリフォルムアルデヒド(POM)のような摩擦に耐える弾性材料から製作される。
【0012】
前記位置決め部材30は、2つの係止爪32、基部34及び前記係止爪32と基部34とを連接するロッド部36を含む。前記2つの係止爪32は、前記ロッド部36の一端から間隔をあけて延伸されている。各係止爪32の端部には、他方の係止爪32に背けるフック322が設置されている。前記フック322を前記筆芯部20の係止開口224に係合することにより、前記ロッド部36を前記筆芯部20に固定できる。前記ロッド部36の各側壁上には止め部362が凸設されている。前記2つの止め部362は対称に設置される。
【0013】
前記キャップ40の内側には、突起部42が凸設されている。前記突起部42は前記筆芯部20の係止溝242内に着脱可能に係止される。
【0014】
以下、図1乃至図3を参照しながら、本発明の入力ペン100の組立てステップについて説明する。
【0015】
まず、前記筆芯部20の主体部22を前記スリーブ10の収容空洞部14内に挿入すると、前記スリーブ10の突出部122は前記主体部22の2つの挟持アーム222を向き合うように湾曲させて、それに弾発力を蓄積させる。前記突出部122が前記主体部22の係止凹口2222と位置合わせした時に、前記挟持アーム222の弾発力の解放によって、その係止凹口2222が前記スリーブ10の突出部122に係合される。このように、前記筆芯部20は前記スリーブ10内に装着される。
【0016】
次に、前記位置決め部材30を前記スリーブ10の他端から前記スリーブ10内に挿入する。前記位置決め部材30の2つの係止爪32は前記筆芯部20の2つの挟持アーム222の間に挿入されると、前記係止爪32は前記挟持アーム222の圧縮によって弾発力が蓄積される。同様にして、前記係止爪32のフック322が前記筆芯部20の係止開口224に位置合わせした時に、前記係止爪32の弾発力の解放によって、そのフック322が前記係止開口224内に係合される。この場合、前記位置決め部材30のロッド部36の一部は前記筆芯部20の2つの挟持アーム222の間に収納されて、前記ロッド部36の止め部362は前記挟持アーム222と互いに当止される。このように、前記位置決め部材30のX方向での自由度は、前記止め部362と前記挟持アーム222との当接及び前記フック322と係止開口224との係合により規制される。その上、前記ロッド部36は前記2つの挟持アーム222の間に保持されるため、前記位置決め部材30のY方向での自由度も規制される。従って、前記位置決め部材30は前記筆芯部20の一端に安定して固定される。
【0017】
最後に、前記キャップ40を前記筆芯部20の筆先部24上に被せて、前記キャップ40の突起部42を前記筆芯部20の係止溝242内に係合する。これで、前記入力ペン100の組み立てを完成する。
【0018】
前記止め部362は、前記位置決め部材30のX方向での自由度を規制して、前記位置決め部材30を前記筆芯部20に確実に固定する役割を果たしている。なお、この効果を得るため、前記フック322の大きさや形状を前記係止開口224と同じように設計して、前記フック322と前記係止開口224との組み合せにより前記位置決め部材30を確実に前記筆芯部20に固定してもよい。即ち、前記止め部362を省略してもよい。
【0019】
本発明の入力ペン100において、前記筆芯部20の挟持アーム222は前記スリーブ10内に係止され、且つ前記位置決め部材30は前記2つの挟持アーム222の間に保持されるから、前記2つの挟持アーム222は側壁12に対して押し付けられるようになることによって、その係止凹口2222を前記スリーブ10の突出部122に安定して係合させる。従って、本発明の入力ペン100の筆先部24はスリーブ10に対してゆるむことがなく、使用寿命が長くなる。また、本発明の入力ペン100の各部品の構造や互いの組み合せが簡単であるため、製造し易く、コストを下げることができる。
【0020】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0021】
10 スリーブ
12 側壁
14 収容空洞部
20 筆芯部
22 主体部
24 筆先部
30 位置決め部材
32 係止爪
34 基部
36 ロッド部
40 キャップ
42 突起部
100 入力ペン
122 突出部
222 挟持アーム
224 係止開口
242 係止溝
322 フック
362 止め部
2222 係止凹口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に突出部が設けられたスリーブ及び筆先部を含む筆芯部を備える入力ペンにおいて、
前記筆芯部の前記筆先部から離れる一端には少なくとも1つの挟持アームが延伸されており、各挟持アームには前記突出部に対応する係止凹口が開設されており、
前記突出部を前記係止凹口内に係合することにより、前記筆芯部を前記スリーブ内に装着することを特徴とする入力ペン。
【請求項2】
前記入力ペンは、ロッド部及び前記ロッド部の端縁から延伸される係止爪を含む位置決め部材をさらに備え、
前記ロッド部は、前記挟持アームを前記スリーブの内壁側に押圧し、且つ前記筆芯部の一端に当止され、
前記係止爪は、前記筆芯部と係合して前記ロッド部を前記筆芯部に固定することを特徴とする請求項1に記載の入力ペン。
【請求項3】
前記筆芯部には、前記筆芯部を貫通する係止開口が開設され、前記係止爪は、前記係止開口内に係合されることを特徴とする請求項2に記載の入力ペン。
【請求項4】
前記ロッド部の両側には、それぞれ止め部が凸設され、前記止め部は、前記筆芯部の挟持アームに当止されることを特徴とする請求項3に記載の入力ペン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−154672(P2011−154672A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187050(P2010−187050)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(505177003)深▲セン▼富泰宏精密工業有限公司 (138)
【出願人】(508155310)富士康(香港)有限公司 (185)
【Fターム(参考)】