説明

入力器具、つけ爪

【課題】ユーザの入力操作をより簡単にする入力器具及びつけ爪を提供することを課題とする。
【解決手段】実施形態の入力器具は、基部と、固定部と、接触部とを具備する。基部は、ユーザの指に固定される。固定部は、前記基部とユーザの指とを固定する。接触部は、前記基部に固定され、ユーザの指と電気的に接続される。上記の入力器具を装着することで、ユーザはより簡単にタッチパネルやタッチパッド等の接触検出装置への入力操作を行うことができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、入力器具、つけ爪に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパッド又はタッチパネル等の接触検出装置を搭載し、指やスタイラスペン等によってユーザが直感的に操作入力を行うことの可能な電子機器が広く流通している。タッチパッド、タッチパネルの接触検知方式としては、電磁誘導方式、抵抗膜方式、又は静電容量方式等の様々な方式が存在する。このうち、静電容量方式では指等のユーザの導電可能な部位を接触させて操作をする必要があり、例えばユーザが爪等の非導電性の部位を接触させたとしても、この接触点は検知されない。
【0003】
一方、近年ファッションとして主に女性の間でつけ爪が流行している。これは爪状の部材を、実際の爪の上に貼り付けることにより、爪を実際の長さより長く見せることができ、さらにこのつけ爪に各種の装飾を施すことで、ファッション性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−3279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザがつけ爪をつけた状態で静電容量方式のタッチパネル等の接触検出装置を操作する場合、つけ爪でタッチパネルに接触しても、タッチパネルは接触点を検知することができないため、ユーザは指の腹等によってタッチパネルを触らなければならず、操作が難しかった。
【0006】
本発明は、ユーザの入力操作をより簡単にする入力器具及びつけ爪を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の入力器具は、基部と、固定部と、接触部とを具備する。基部は、ユーザの指に固定される。固定部は、前記基部とユーザの指とを固定する。接触部は、前記基部に固定され、ユーザの指と電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態における入力器具及び電子機器の一例を示す概念図。
【図2】実施形態におけるつけ爪1の構成の一例を示す図。
【図3】実施形態におけるつけ爪1の構成の一例を示す図。
【図4】変形例1におけるつけ爪1の構成の一例を示す図。
【図5】変形例2におけるつけ爪1の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下にて実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本実施形態における入力器具及び電子機器の一例を示す概念図である。
【0011】
つけ爪1は、ユーザが爪に重ねて貼り付けることのできる装飾品であり、本実施形態においては入力器具(入力装置)として機能する。つけ爪1は、ユーザの指の爪に両面テープや接着剤等によって固定されている。
【0012】
電子機器2は、タッチパネル3を有した電子機器であり、導電性のあるものでユーザがタッチパネル3に接触すると、この接触位置に応じた各種情報処理を実行することができる。本実施形態では、電子機器2としてタブレット型の情報処理端末を例として図示しているが、これに限定されず、タッチパネル又はタッチパッド等の接触検出装置を有した他の電子機器であっても良い。
【0013】
タッチパネル3は静電容量方式にて接触位置を検知することのできる接触検出装置であり、ディスプレイの上に静電容量方式で接触位置検出可能なシートが設けられている。静電容量方式のタッチパネルは、静電容量センサの上のガラスと操作部(指先、つけ爪1等)の間の静電容量を検知することで接触位置を検出することができる。
【0014】
ユーザは、つけ爪1によって電子機器2のタッチパネル3に接触することによって電子機器を操作することができる。一般的なつけ爪は非導電性部材で構成されているため、タッチパネルが静電容量方式で接触位置を検出する場合には、つけ爪がタッチパネルに接触したとしても反応しない。しかし、本実施形態におけるつけ爪1は導電性の部材を有しており、さらにこの導電性部材の一部がユーザの皮膚と導通可能に接触しているため、ユーザはつけ爪1で電子機器2のタッチパネル3に接触することで電子機器2を操作することができる。
【0015】
次に、このつけ爪1について詳細に説明を行う。
【0016】
図2は、本実施形態におけるつけ爪1の構成の一例を示す図である。
【0017】
図2Aはつけ爪1を指の背の側から見た図であり、図2Bはつけ爪1を指の腹の側から見た図である。
【0018】
つけ爪1は爪部11(基部)を有しており、この爪部11には表面21と裏面22がある。表面21は指の背側の面であり、ユーザは表面21に各種装飾を行うことができる。裏面22は指の腹側の面(指と対向する面)であり、普段は他の人からはあまり見えない面である。
【0019】
図2Bのように爪部11の裏面22には接触部23、接続部24、及び指接触部25が設けられている。
【0020】
接触部23は、導電性の部材で構成される部材であり、ユーザがつけ爪1を利用するときにタッチパネル3に直接接触させる箇所である。接触部23は爪部11の裏面23に固定されており、材料の例としては、導電シリコンゴムや、導電ゴム、又はカーボンが配合されたシリコンゴム等が上げられる。本実施形態における接触部23はゴムのような弾性部材(弾性体)であり、導電性を有する。接触部23は弾性部材であるため、タッチパネル3への局部的な荷重が発生しづらく、過大な過重によってタッチパッド3を傷つける可能性が低い。
【0021】
接続部24は接触部23及び指接触部25を電気的に接続する機能を有する部材であり、材料の例としてはアルミ箔テープ、銅箔テープ、ホログラムシート、静電気防止袋の一部等の導電性のシートが例として挙げられる。また、接続部24は爪部11の裏面23に固定されている(貼り付けられている)。
【0022】
指接続部25は、導電性の部材で構成される部材であり、爪部11の裏面23に設けられ、ユーザがつけ爪1を装着するとユーザの指の先端と接触する。つまりユーザの指と電気的に接続されている。指接続部25の材料としては例えばCR(クロロプレン)系ゴムスポンジ等のような導電スポンジが考えられる。指接続部25はスポンジ等で構成され柔らかいため、ユーザが直接接触してもユーザを傷つけることなく、ユーザに不快感を与えづらい。
【0023】
接触部23と接続部24、接続部24と指接触部25はそれぞれ接続されており、この接続には導電性の接着剤等が用いられた導電性の両面テープ等が用いられる。このように接続している部材の全てが導電性の部材で構成されているため、接触部23は、接続部24及び指接触部25を介して指の先端と電気的に接続可能となっている。これにより、接触部23がタッチパネル3と接触すると、静電容量方式のタッチパネルは、センサの上のガラスと、指と電気的に接続された接触部23との間の静電容量を検知し、接触箇所の位置を検出することができる。
【0024】
図3は、本実施形態におけるつけ爪1の構成の一例を示す図である。
【0025】
図3Aは、ユーザがつけ爪1を指に装着したとき、指の横方向からつけ爪1を見た図であり、図3Bは図3Aの爪部11を透過させた図である。また、図3Cはつけ爪1の爪部11の短辺方向から(指の先端側から)つけ爪を見た図である。
【0026】
図3Cのように爪部11は板状の形状であって、短辺方向から見た場合に略弧形状をしている。つけ爪1を指に装着したとき、爪部11は図3Aのように指を少し包む。つまり、図3Aの方向から見た場合、爪部11の裏面22は弧形状の内側となり、外部からほとんど見えない。この外部から見えづらい領域に接触部23、接続部24、及び指接触部25は設けられている。
【0027】
本実施形態では図3Aや図3Cの方向から見た場合、接触部23は爪部11から少し露出している。このように接触部23が爪部11から少し露出しているため、接触部23をタッチパネル3に接触させるとき爪部11があまり邪魔にならず、ユーザは接触部23をタッチパッド3に接触させ易くなっている。
【0028】
このように、つけ爪1はユーザの指と、タッチパネル等の静電容量方式の接触検出装置とを電気的に接続することが可能であり、ユーザはつけ爪1を用いれば容易に接触検出装置を利用することができる。つまり、ユーザはつけ爪1によるファッション性を損なうことなく、容易に接触検出装置を利用することができる。
【0029】
次に、本実施形態における変形例を示す。
【0030】
(変形例1)
以下、変形例においては上記に附された名称及び番号が附されている構成については、上記とほぼ同様の機能、形状を有しているものとして、この説明を省略する。
【0031】
図4は、本変形例におけるつけ爪1の構成の一例を示す図である。
【0032】
図4は、ユーザがつけ爪1を指に装着したとき、指の横方向からつけ爪1を見て、爪部11を透過させた図である。
【0033】
本変形例では上記実施例における接触部23に代わってほぼ同位置に接触部41が設けられている。上記実施形態における接触部23は略直方体形状を有していたが、本変形例における接触部41は略球体形状を有している。
【0034】
本変形例における接触部41は略球体形状を有しているため、ユーザは様々な角度から接触部41をタッチパネルに接触させ易くなる。
【0035】
(変形例2)
図5は、本変形例におけるつけ爪1の構成の一例を示す図である。
【0036】
図5は、ユーザがつけ爪1を指に装着したとき、指の横方向からつけ爪1を見て、爪部11を透過させた図である。
【0037】
本変形例では上記実施形態と比較して、接触部23及び接続部24がなくなり、接触部51が設けられている。
【0038】
接触部51は、本変形例では例えば導電性のホログラムシートであり、指接触部25と電気的に接続されている。つまり、接触部51によってタッチパネルに接触するとユーザはタッチパネルによる入力操作を行うことができる。本変形例では接触部51は導電性のホログラムシートとして例示しているがこれに限定されず、例えば静電気防止袋の一部等の導電性のシートであってもよい。本変形例では上記実施形態と比較して部材数を減らすことができる。
【0039】
また、本変形例及び上記実施形態においては接触部、接続部、及び指接触部がそれぞれ別部材として例示しているが、これに限定されず、これらの一部又は全部が一体化された一部材となっていても良い。
【0040】
さらに、つけ爪1は爪部11に導電性材料を塗布され、爪部11に塗布された導電性材料と指の爪端部における指の甘皮部分とが接触するように実際のユーザの爪よりも少し大きめに構成してもよい。この場合、導電性材料が塗布された爪部11の先端でタッチパネルに触れることにより、ユーザはタッチパネルへの入力操作を行うことができる。また、このように構成することで導電のための種々の部材を省くことができ、つけ爪1の外観も向上する。又は、爪部11そのものが導電性材料でもよい。この場合、裏面にも接続部24を加工する必要がなくなる。
【0041】
本変形例及び上記実施形態においては接触部が爪部11の裏面22に設けられているが、これに限定されず、爪部11の側面や、表面21に設けられていても良い。また、これらの複数の箇所にわたって設けられていても良い。このように構成すると、ユーザのタッチパネルの接触操作の自由度が向上する。またこの場合、側面や表面21に露出した接触部等の部材を装飾として利用するとしてもよい。この時、接続部はそれにあわせて延長する。
【0042】
さらに、本変形例及び上記実施形態では爪部11に接触部、接続部、及び指接触部が固定されているが、例えば人の爪の裏面に直接接触部、接続部、及び指接触部を固定するとしてもよい。
【0043】
静電容量方式のタッチパネル等にはそのタッチパネルの感度が存在する(センサが検出可能な静電容量に依存する)。このため、検出可能な静電容量が大きい場合には、人体をアースとする必要があり、接触部と指とを電気的に接続する必要があるが、検出可能な静電容量が小さい場合には、人体をアースとする必要がないため(接触部と指とを電気的に接続させる必要がなく)、接触部はユーザの皮膚と電気的に接続されていなくても、検出可能な静電容量が生じうる所定の大きさの接触部を有していればよい。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…つけ爪、2…電子機器、3…タッチパネル、11…爪部(基部)、21…表面、22…裏面、23…接触部、24…接続部、25…指接触部、41…接触部、51…接触部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指に固定される基部と、
前記基部とユーザの指とを固定する固定部と、
前記基部に固定され、ユーザの指と電気的に接続された接触部と、
を具備する入力器具。
【請求項2】
前記接触部とユーザとの指とを電気的に接続する接続部を更に具備する請求項1記載の入力器具
【請求項3】
ユーザの指に接触し、前記接触部と電気的に接続された指接触部を更に具備する請求項1記載の入力器具。
【請求項4】
前記基部は、略板状の形状であり、ユーザの指に固定されるときにユーザの指に対向する面に前記接触部が固定された請求項1記載の入力器具。
【請求項5】
前記基部は、爪状の形状である請求項1記載の入力器具。
【請求項6】
前記接触部は、導電性の弾性体である請求項1記載の入力器具。
【請求項7】
ユーザの指に固定される基部と、
前記基部とユーザの指とを固定する固定部と、
ユーザの指と電気的に接続された接触部と、
を具備する入力器具。
【請求項8】
導電性つけ爪。
【請求項9】
導電性部材で構成された請求項8記載のつけ爪。
【請求項10】
導電性材料が塗布された請求項8記載のつけ爪。
【請求項11】
ユーザの指に固定される基部と、
前記基部とユーザの指とを固定する固定部と、
前記基部に固定され、ユーザの指と電気的に接続された接触部と、
を具備する請求項8記載のつけ爪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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