説明

入力装置、および、コンピュータ端末装置

【課題】両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図る。
【解決手段】入力装置は、反転可能な平板状の外形を備えて一方の面に第1の入力部を有し他方の面に第2の入力部を有する入力本体部と、入力本体部の向きを検出する検出部と、検出部による検出結果を用いて第1の入力部および第2の入力部のうち所定の方向側の入力部を識別可能な識別情報を出力する出力部と、を備える。検出部が入力本体部の向きを検出し、出力部が検出部による検出結果を用いて、所定の方向側の入力部を識別可能な識別情報を出力するため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、入力装置、および、コンピュータ端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ATM(Automatic Teller Machine)やコンピュータ等の端末に情報を入力するためのキーボードやタッチパネル等の入力装置において、操作性等の観点から、種類の異なる入力部を両面に構成する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−259243号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、両面に入力部が構成された入力装置は、一方の入力部を使用の際に、使用していない他方の入力部が設置面等に接触することにより、誤入力などの不具合が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記した課題の少なくとも一部を解決するためになされた発明であり、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために本願発明は以下の態様を採る。
【0007】
第1の態様は、入力装置を提供する。第1の態様に係る入力装置は、反転可能な平板状の外形を備え、一方の面に第1の入力部を有し、他方の面に前記第1の入力部と異なる第2の入力部を有する入力本体部と、前記入力本体部の向きを検出するための検出部と、前記検出部による検出結果を用いて、前記第1の入力部および前記第2の入力部のうち、所定の方向側の入力部を識別可能な識別情報を出力する出力部と、を備える。
【0008】
第1の態様に係る入力装置によれば、検出部が入力本体部の向きを検出し、出力部が検出部による検出結果を用いて、所定の方向側の入力部を識別可能な識別情報を出力するため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0009】
第1の態様に係る入力装置はさらに、前記入力本体部を回動可能に支持する枠部を備え、前記検出部は、前記枠部上に配置され、前記第1の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記入力本体部との接触を検出する第1のセンサと、前記枠部上に配置され、前記第2の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記入力本体部との接触を検出する第2のセンサと、を備えていてもよい。この場合、枠部上に配置された第1のセンサおよび第2のセンサにより所定の方向側の入力部を識別することができるため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0010】
第1の態様に係る入力装置において、前記入力本体部は、矩形形状を有し、前記入力本体部が回動するときの軸方向に沿った端辺の一方には第1の係止部が形成され、他方には第2の係止部が形成され、前記枠部は、前記第1の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記第1の係止部と接触する第1の面と、前記第2の入力部が前記所定の方向側に位置するときに第2の係止部と接触する第2の面とを有する被係止部を備え、前記検出部は、前記第1の面に前記第1のセンサが配置され、前記第2の面に前記第2のセンサが配置されていてもよい。この場合、第1の入力部もしくは第2の入力部のいずれか一方の入力部が所定の方向となると、入力本体部の係止部が枠部の被係止部と接触するため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0011】
第1の態様に係る入力装置において、前記検出部は、前記第1の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記入力本体部を支持する支持面との接触を検出する第1のセンサと、前記第2の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記支持面との接触を検出する第2のセンサと、を備えていてもよい。この場合、第1のセンサおよび第2のセンサが支持面と接触することにより所定の方向側の入力部を識別することができるため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0012】
第1の態様に係る入力装置において、前記第1のセンサは、前記入力本体部の前記第2の入力部を有する面に配置され、前記第2のセンサは、前記入力本体部の前記第1の入力部を有する面に配置されていてもよい。この場合、入力本体部上に配置された第1のセンサおよび第2のセンサにより所定の方向側の入力部を識別することができるため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0013】
第2の態様は、コンピュータ端末装置を提供する。第2の態様に係るコンピュータ端末装置は、前記入力装置と、前記入力装置から前記識別情報を取得し、前記識別情報に基づいて、前記所定の方向側の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理を処理部に実行させる制御部と、を備える。
【0014】
第2の態様に係るコンピュータ端末装置によれば、識別情報に基づいて、所定の方向側の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理を処理部に実行させるため、両面に入力部を有する入力装置を備えるコンピュータ端末装置において、誤入力による不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0015】
第2の態様に係るコンピュータ端末装置において、前記制御部は、前記識別情報に前記第1のセンサおよび前記第2のセンサのいずれも接触を検出した情報が含まれている場合には、情報出力部に異常を表す情報を出力し、前記識別情報に前記第1のセンサおよび前記第2のセンサのいずれも接触を検出していない情報が含まれている場合には、前記入力情報に基づく処理をおこなわず、前記識別情報に前記第1のセンサまたは前記第2のセンサのいずれか一方のセンサのみが接触を検出した情報が含まれている場合には、前記所定の方向側の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこなってもよい。この場合、識別情報に第1のセンサまたは第2のセンサのいずれか一方のセンサのみが接触を検出した情報が含まれているときに、入力情報に応じた所定の処理をおこなうため、両面に入力部を有する入力装置を備えるコンピュータ端末装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0016】
第2の態様に係るコンピュータ端末装置において、前記制御部は、前記識別情報に前記第1のセンサのみが接触を検出した情報が含まれている場合には、前記第1の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこない、前記識別情報に前記第2のセンサのみが接触を検出した情報が含まれている場合には、前記第2の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこなってもよい。この場合、第1のセンサが接触を検出ときに、第1の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこない、第2のセンサが接触を検出したときに、第2の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこなうため、両面に入力部を有する入力装置を備えるコンピュータ端末装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0017】
なお、本発明は、上記以外の種々の形態で実現することが可能であり、例えば、入力装置を備える現金自動取扱装置およびコンピュータ、入力装置を備えるコンピュータ端末装置および入力装置の制御方法、その制御方法を実現するためのコンピュータープログラム、および、そのコンピュータープログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。また、本発明に係る入力装置およびコンピュータ端末装置は、適宜、他の部材と組み合わせて適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例としてのコンピュータ端末装置の外観構成を示す説明図である。
【図2】入力機構部300の概略構成を説明するための説明図である。
【図3】枠部320に形成された被係止部321の概略構成を説明するための説明図である。
【図4】入力本体部310の回動状態を説明するための説明図である。
【図5】図2に示す入力本体部310を反転させた状態を例示した説明図である。
【図6】被係止機構部330を例示した説明図である。
【図7】解除ボタン332を押圧した状態を示した説明図である。
【図8】コンピュータ端末装置10の内部構成の概略を示すブロック図である。
【図9】入力情報判別処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】回転台部311の概略構成を例示した説明図である。
【図11】第1の入力部312および第2の入力部313の概略構成を例示した説明図である。
【図12】回転台部311に第1の入力部312および第2の入力部313を固定した状態を例示した説明図である。
【図13】第2実施例に係るコンピュータ端末装置10の内部構成の概略を示すブロック図である。
【図14】第3実施例に係る入力装置の外観構成を示す説明図である。
【図15】第3実施例に係る入力装置の脚部を立てた状態を例示した説明図である。
【図16】第4実施例に係る入力装置の外観構成を示す説明図である。
【図17】第5実施例に係る入力装置の外観構成を示す説明図である。
【図18】第5実施例に係る入力装置を側面側から見た状態を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
【0020】
A.第1実施例
A1.全体構成:
図1は、本発明の一実施例としてのコンピュータ端末装置の外観構成を示す説明図である。コンピュータ端末装置10(以降、「窓口端末」とも呼ぶ。)は、銀行などの金融機関や、役所などの窓口の係員が顧客からの口座開設、住民票の発行などの各種申込み業務をおこなう際に使用される端末である。コンピュータ端末装置10は、例えば、ATM(Automatic Teller Machine)などのように顧客が直接操作する端末であってもよいし、銀行や役所以外の機関、例えば、病院や駅などにおいて使用される端末であってもよい。
【0021】
コンピュータ端末装置10は、表示部100と、印字部200と、入力機構部300と、カードユニット400と、を備えている。表示部100は、入力機構部300による入力内容やコンピュータ端末装置10による特定の処理の結果などを表示するためのモニタであり、表示部支持アーム101によってコンピュータ端末装置10の本体部11に固定されている。印字部200は、本体部11の外面に設置された挿入部201を含み、挿入部201に挿入された顧客の通帳に残高等の印字をおこなう。
【0022】
入力機構部300は、係員からの操作を受け付ける入力本体部310と、入力本体部310を回転可能に支持する枠状の枠部320と、入力本体部310の回転を規制・解除するための被係止機構部330とを備えている。枠部320は、本体部11の一部に形成され、本体部11から水平に張り出すようにして入力本体部310を支持している。被係止機構部330は、入力本体部310の回転規制を解除するための解除ボタン332を備えている。解除ボタン332は、枠部320の外面に配置されている。入力機構部300は、入力本体部310の操作により受け付けた入力情報を、後述する制御部に出力する。入力本体部310、枠部320、および被係止機構部330の具体的な構成については図2を用いて後述する。
【0023】
カードユニット400は、本体部11の外面に設置されたカードスロット401を含み、カードスロット401に挿入された顧客のカードから顧客情報の読み取りなどの処理をおこなう。コンピュータ端末装置10は、顧客に暗証番号等を入力してもらうためのPINPAD450が接続されている。
【0024】
A2.入力機構部の詳細構成:
図2は、入力機構部300の概略構成を説明するための説明図である。図2は、入力機構部300を横方向から見たときの概略構成を示している。図2に示すように、入力本体部310は、矩形の平板状の外形を備え、両面にそれぞれ入力部が構成されたデュアルキーボードである。入力本体部310は、短辺方向の端辺部にそれぞれ回転ヒンジ340が形成され、枠部320に回転可能に固定されている。本実施例では、入力本体部310は、それぞれ平板状の回転台部311、第1の入力部312、および、第2の入力部313を備え、回転ヒンジ340を備える回転台部311の両主面にそれぞれ第1の入力部312および第2の入力部313が固定された構成を備えている。回転台部311に第1の入力部312および第2の入力部313を固定する具体的な方法については後述する。
【0025】
入力本体部310は、長辺方向の端辺部にそれぞれ第1の係止部312aと第2の係止部312bを備えている。第1の係止部312aおよび第2の係止部312bは、枠部320に形成された被係止部321、および、ラッチ331とそれぞれ接触することにより、回転ヒンジ340を回転軸とした入力本体部310の回動が規制される。図2では、入力本体部310において第1の入力部312が上側となり、第1の係止部312aと被係止部321とが接触し、第2の係止部312bとラッチ331とが接触した状態が示されている。本実施例では、入力本体部310の短辺方向において、第1の入力部312の幅が回転台部311の幅より大きく、第1の入力部312と回転台部311との幅の差によって、第1の入力部312の両端部に第1の係止部312aおよび第2の係止部312bが形成されている。
【0026】
図3は、枠部320に形成された被係止部321の概略構成を説明するための説明図である。被係止部321は、枠部320の開口面とそれぞれ平行な上面321aおよび底面321bを備えている。上面321aおよび底面321bには、第1のセンサ322および第2のセンサ323がそれぞれ配置されている。第1のセンサ322は、図2に示すように、第1の入力部312が上側のときに、第1の係止部312aとの接触を検出する。また、第2のセンサ323は、後述する図5に示すように、第2の入力部313が上側のときに、第2の係止部312bとの接触を検出する。第1のセンサ322および第2のセンサ323は第1の係止部312aもしくは第2の係止部312bとの接触を検出すると後述する制御部に所定の信号を出力する。
【0027】
第1のセンサ322および第2のセンサ323は、必ずしも対象物との接触を検出するセンサである必要はなく、対象物が近接したことを検出するセンサであってもよい。すなわち、本発明に用いられるセンサは、赤外線などの光を対象物に照射し、反射光の受光強度により対象物の近接を検出するいわゆる反射型のセンサであってもよいし、対象物から受ける押圧力により接触を検出するセンサであってもよい。
【0028】
ラッチ331は、後述するように被係止機構部330の一部であり、解除ボタン332と物理的に接続されている。そのため、ラッチ331は、解除ボタン332の押圧により、図2の矢印Bに示す方向に移動する。これにより、ラッチ331と第2の係止部312bとの接触は解除され、矢印Aに示す力を入力本体部310に加えることにより、入力本体部310は回転ヒンジ340を軸として逆時計回りに回動する。なお、被係止部321は、ラッチ331と異なり移動しないため、図2において、入力本体部310の時計回りへの回動は規制されている。
【0029】
図4は、入力本体部310の回動状態を説明するための説明図である。図4に示すように、入力本体部310は、第1の係止部312aおよび第2の係止部312bが形成された長辺側の端辺の端辺方向(延伸方向)と、回転ヒンジ340を回転軸とした軸方向とが平行な状態で回動する。図4に示す入力本体部310は、第1の係止部312aと被係止部321の上面321aとが接触せず、また、第2の係止部312bと被係止部321の底面321bとが接触していないため、第1のセンサ322および第2のセンサ323のいずれも入力本体部310との接触を検出しない。
【0030】
図5は、図2に示す入力本体部310を反転させた状態を例示した説明図である。図5に示すように、入力本体部310を図2に示す状態から180度反転させた体勢において、ラッチ331を矢印Dに示す方向に移動させると、入力本体部310は第2の入力部313が上側となった状態で回転が規制される。すなわち、入力本体部310に矢印Eに示す応力が与えられてもラッチ331により回転が規制される。このとき、入力本体部310の第1の係止部312aとラッチ331とは接触し、第2の係止部312bと被係止部321の底面321bとは接触している。そのため、底面321bに配置された第2のセンサ323は、第2の係止部312bとの接触を検出する。
【0031】
なお、被係止部321は、ラッチ331と異なり移動しないため、図5において、ラッチ331を移動させても、入力本体部310は、時計回りのみ回転可能であり、逆時計回りへの回動は規制される。図2および図5から、入力本体部310は、図2の状態から逆時計回りに180度、図5の状態から時計回りに180度の範囲のみにおいて回動可能に構成されている。これにより、入力本体部310と後述する制御部500とを接続する図示しない接続線が一方向に捻れることを抑制することができる。
【0032】
被係止機構部330の具体的構成について説明する。図6は、被係止機構部330を例示した説明図である。被係止機構部330は、ラッチ331と、解除ボタン332と、可動軸333と、バネ334と、プレート335と、を備えている。可動軸333は、一方の端部に解除ボタン332が形成され、他方の端部がプレート335と回動可能に接続されている。可動軸333には、解除ボタン332の押圧に対する反力が生じるようにバネ334が組み込まれている。プレート335は、一方の端部が可動軸333と接続され、他方の端部がラッチ331と回動可能に接続されている。また、プレート335は、プレートの中心部付近において、回転軸部により枠部320に回動可能に固定されている。そのため、プレート335は、可動軸333から応力を受けると、テコの原理により回転軸部を起点としてラッチ331に応力を伝達する。
【0033】
図7は、解除ボタン332を押圧した状態を示した説明図である。図7の矢印Fに示すように、解除ボタン332がバネ334による反力に抗して押圧されると、可動軸333がプレート335の一方の端部を解除ボタン332の押圧方向と同じ方向に押す。プレート335は、可動軸333と接続された一方の端部が解除ボタン332の押圧方向と同じ方向に押されると、ラッチ331と接続されている他方の端部を解除ボタン332の押圧方向と反対の方向に引っ張る。ラッチ331は、プレート335により解除ボタン332の押圧方向と反対の方向に引っ張られることにより、入力本体部310から遠ざかる方向(矢印G)に移動する。これにより、ラッチ331と入力本体部310との接触は解除され、入力本体部310は回動可能な状態となる。
【0034】
A3.内部構成:
続いて、コンピュータ端末装置10の内部構成について説明する。図8は、コンピュータ端末装置10の内部構成の概略を示すブロック図である。コンピュータ端末装置10は、表示部100と、印字部200と、入力機構部300と、カードユニット400と、PINPAD450のほか、制御部500を備えている。制御部500は、表示部100と、印字部200と、入力機構部300と、カードユニット400と、PINPAD450などのコンピュータ端末装置10の各機能部と接続されている。制御部500は、第1の入力部312および第2の入力部313から出力された入力情報と、第1のセンサ322および第2のセンサ323からの出力された信号を受信する。ここで、入力情報とは、利用者が入力部を操作することにより入力された情報や、入力された情報を一部に含む情報をいう。
【0035】
制御部500は、ROMやRAMからなる図示しないメモリと、図示しないCPUとを含み、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、コンピュータ端末装置10の全体の動作を制御するとともに、種々の処理をおこなう。本実施例における制御部500は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより入力情報判別処理をおこなう。入力情報判別処理とは、入力本体部310の第1の入力部312および第2の入力部313のうち、上側となっている入力部から出力された入力情報を判別するための処理である。
【0036】
A4.入力情報判別処理:
図9は、入力情報判別処理の流れを示すフローチャートである。制御部500は、第1のセンサ322から信号が出力されているか否かを判別する(ステップS101)。第1のセンサ322から信号が出力されていない場合(ステップS101:NO)、制御部500は、第2のセンサ323から信号が出力されているか否かを判別する(ステップS102)。第2のセンサ323からも信号が出力されていない場合には(ステップS102:NO)、図4に示すように、入力本体部310が回転中である可能性があるため、制御部500は、第1の入力部312および第2の入力部313のいずれからの入力も不可とする(ステップS103)。本実施例では、制御部500は、第1の入力部312および第2の入力部313からの入力が不可か許可かを表すフラグを備え、センサからの信号に基づいてフラグを切り替えることにより、第1の入力部312および第2の入力部313のそれぞれについて入力が不可か許可かを判別する。
【0037】
ここで、入力を不可とするとは、不可とされた入力部から入力された入力情報に基づいて、制御部500が特定の処理を処理部に実行させないことをいう。すなわち、制御部500は、第1の入力部312および第2の入力部313のいずれの入力部からも入力情報を取得するが、フラグを参照し、入力が不可となっている入力部から入力された入力情報は処理部による特定の処理に用いず、入力が許可となっている入力部から入力された入力情報のみを用いて処理部に特定の処理を実行させる。ここで、特定の処理とは、コンピュータ端末装置10が実行可能な機能であれば特に限定されず、例えば、印字処理や、発券処理、取引処理等が含まれる。また、特定の処理には、例えば、表示部100に文字等を表示させる処理や、制御部500による取引処理以外の処理、コンピュータ端末装置10の電源の入切りなども含まれる。また、処理部とは、コンピュータ端末装置10が実行可能な機能を実現する機能部であれば特に限定されず、表示部100や、印字部200や、カードユニット400などのほか、制御部500も含まれる。なお、制御部500は、不可とされた入力部からの入力情報を取得せず、許可とされた入力部からの入力情報のみを取得し、取得した入力情報に基づいて処理部に特定の処理を実行させる構成としてもよい。
【0038】
一方、第2のセンサ323から信号が出力されている場合には(ステップS102:YES)、図5に示すように、第2の入力部313が上側の状態となっているため、第1の入力部312からの入力を不可とし、第2の入力部313からの入力を許可する(ステップS104)。
【0039】
ステップS101において、第1のセンサ322から信号が出力されている場合においても(ステップS101:YES)、制御部500は、第2のセンサ323から信号が出力されているか否かを判別する(ステップS105)。第2のセンサ323から信号が出力されていない場合には(ステップS105:NO)、図2に示すように、第1の入力部312が上側の状態となっているため、第1の入力部312からの入力を許可とし、第2の入力部313からの入力を不可とする(ステップS106)。
【0040】
一方、第2のセンサ323から信号が出力されている場合には(ステップS105:YES)、第1のセンサ322および第2のセンサ323のいずれかにゴミ等が付着して誤検出しているか、いずれかのセンサに異常が生じている可能性があるため、第1の入力部312および第2の入力部313のいずれからの入力も不可とする(ステップS107)。また、制御部500は、表示部100に入力機構部300に異常が生じている旨を表示する。これにより、係員に異常を通知することができるため、復旧のための処理を受けることができる。なお、本実施例では、制御部500は、異常の発生を表示部100に表示する構成として説明したが、異常を外部に出力する構成であれば、表示部に限定されず、例えば、図示しないスピーカにより異常を報知する構成や、異常が生じた旨を紙面などに印字する構成、コンピュータ端末装置10に接続されているホストコンピュータなどの外部装置に異常を通知する構成などであってもよい。上記が入力情報判別処理についての説明である。
【0041】
制御部500は、上記の入力情報判別処理のルーチンを数十から数百msオーダーでのポーリングにより常時、入力本体部310の向きを監視する。上記の入力情報判別処理の説明からも分かるように、制御部500は、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力される信号の組み合わせにより、第1の入力部312もしくは第2の入力部313のうち、上側となっている入力部を識別する。このことから、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力される信号は、入力本体部310の体勢を識別するための識別情報といえる。
【0042】
A5.入力本体部の詳細構成:
続いて、入力本体部310において、回転台部311に第1の入力部312および第2の入力部313を固定する方法について説明する。図10は、回転台部311の概略構成を例示した説明図である。図11は、第1の入力部312および第2の入力部313の概略構成を例示した説明図である。図12は、回転台部311に第1の入力部312および第2の入力部313を固定した状態を例示した説明図である。
【0043】
図10に示すように、回転台部311は、一対の主面311fと、一対の主面の間に形成された4つの端面311eを備えている。主面311fの一部には凹部311cが形成されている。回転ヒンジ340は、中空の円筒形状を有し、凹部311cと端面311eとを連通している。制御部500と接続されているケーブル315wが回転ヒンジ340の中空部を介して凹部311cの内側に敷設されている。ケーブル315wの端部には、コネクタ315cが形成されている。
【0044】
図11は、第1の入力部312および第2の入力部313の回転台部311と接触する接触面316が示されている。接触面316の一部には切り欠き部317が形成されている。第1の入力部312および第2の入力部313から出力される信号を搬送するためのケーブル318wが切り欠き部317から延伸し、端部にコネクタ318cが形成されている。接触面316の四隅には、ネジを通すための開口部を有する板状の固定金具319が取り付けられている。
【0045】
入力本体部310は、第1の入力部312および第2の入力部313から延伸するケーブル318wのコネクタ318cと、制御部500と接続されているケーブル315wのコネクタ315cとを接続した状態で、第1の入力部312および第2の入力部313の接触面316を回転台部311の主面311fにそれぞれ接触させることにより構成することができる。このとき、図12に示すように、固定金具319は、回転台部311の端面311eと当接するため、固定金具319の開口部を通してネジ319sによりネジ止めすることにより、回転台部311に第1の入力部312および第2の入力部313を固定することができる。
【0046】
なお、本実施例における入力機構部300は、特許請求の範囲における「入力装置」に該当する。本実施例における第1のセンサ322および第2のセンサ323は、特許請求の範囲における「検出部」および「出力部」に該当する。本実施例において第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力される信号は、特許請求の範囲における「識別情報」に該当する。本実施例における表示部100は、特許請求の範囲における「情報出力部」に該当する。本実施例における表示部100、印字部200、カードユニット400、および、制御部500の少なくとも一つは、特許請求の範囲における「処理部」に該当する。
【0047】
以上説明した、第1の実施例に係るコンピュータ端末装置10によれば、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力される信号に基づいて、上側の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理を処理部に実行させるため、両面に入力部を有する入力装置を備えるコンピュータ端末装置において、誤入力による不具合の発生の抑制を図ることができる。具体的には、両面に入力部が形成されている入力本体部310において、下側となる入力部から入力された入力情報は、係員などの利用者が意図した入力ではなく、下側の入力部に何かが接触等したときに入力された情報である可能性が高い。そのため、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力される信号により、入力本体部310において上側となる入力部を識別し、上側となる入力部から入力された入力情報のみに応じて処理部に処理を実行させることで、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。
【0048】
第1の実施例に係る入力機構部300によれば、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力される信号により、入力本体部310において上側の入力部を識別することができるため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。具体的には、第1のセンサ322は、図2に示すように、第1の入力部312が上側のときに、第1の係止部312aとの接触を検出する。また、第2のセンサ323は、図5に示すように、第2の入力部313が上側のときに、第2の係止部312bとの接触を検出する。そのため、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力された信号により、入力本体部310において上側の入力部を識別することができる。これにより、入力機構部300から出力される入力情報について、利用者により意図して入力された入力情報か、意図せず入力された入力情報化を判別することができるため、上側の入力部から入力された入力情報は、利用者により意図された入力である可能性が高いため、入力機構部300と一部に含むコンピュータ端末装置10において誤入力に基づく誤処理の発生を抑制することができる。
【0049】
第1の実施例に係る入力機構部300によれば、第1のセンサ322および第2のセンサ323はそれぞれ枠部320に配置されているため、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力などの不具合の発生の抑制を図ることができる。具体的には、図3に示すように、第1のセンサ322および第2のセンサ323は、被係止部321の上面321aおよび底面321bにそれぞれ配置されている。そのため、図2に示すように、第1の入力部312が上側のときに、第1のセンサ322は第1の係止部312aとの接触を検出することができ、図5に示すように、第2の入力部313が上側のときに、第2のセンサ323は第2の係止部312bとの接触を検出することができる。よって、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力された信号により、入力本体部310において上側の入力部を識別することができ、入力機構部300と一部に含むコンピュータ端末装置10において誤入力に基づく誤処理の発生を抑制することができる。
【0050】
B.第2実施例
第1実施例では、入力機構部300は、入力本体部310の向きを識別するための識別情報として、第1のセンサ322および第2のセンサ323の信号を制御部500に出力する構成について説明したが、第2実施例では、制御部500に対して第1のセンサ322および第2のセンサ323の信号を出力せず、入力部からの入力情報を入力本体部310の向きを識別するための識別情報とする構成について説明する。コンピュータ端末装置10の内部構成以外の構成については、第1実施例と同様であるため説明を省略する。第2実施例において第1実施例と同様の符号を付した機能部は、第1実施例と同様の機能を備えている。
【0051】
図13は、第2実施例に係るコンピュータ端末装置10の内部構成の概略を示すブロック図である。図8に示した第1実施例におけるコンピュータ端末装置10の内部構成と比較して、第2実施例に係るコンピュータ端末装置10の内部構成は、入力機構部300に出力部350を備えている点が異なる。
【0052】
出力部350は、第1の入力部312、第2の入力部313、第1のセンサ322、第2のセンサ323、および、制御部500と接続されている。出力部350は、第1の入力部312および第1の入力部312から入力情報を取得し、第1のセンサ322および第2のセンサ323から出力された信号を受信する。また、出力部350は、第1の入力部312もしくは第1の入力部312から取得した入力情報を制御部500に出力する。
【0053】
出力部350は、図9に示す入力情報判別処理と同様の処理をおこなう。具体的には、出力部350は、第1のセンサ322および第2のセンサ323から信号が出力されているか否かを判別し(図9、ステップS101、102、105)、第1のセンサ322および第2のセンサ323のいずれからも信号が出力されていない場合には(ステップS102:NO)、第1の入力部312および第2の入力部313から出力されたいずれの入力情報についても制御部500に出力しない(ステップS103)。
【0054】
出力部350は、第1のセンサ322から信号が出力されず、第2のセンサ323から信号が出力されている場合には(ステップS102:YES)、第1の入力部312から出力された入力情報を制御部500に出力し、第2の入力部313から出力された入力情報は制御部500に出力しない(ステップS104)。
【0055】
一方、出力部350は、第1のセンサ322から信号が出力され、第2のセンサ323から信号が出力されていない場合には(ステップS105:NO)、第1の入力部312から出力された入力情報を制御部500に出力せず、第2の入力部313から出力された入力情報を制御部500に出力する(ステップS106)。
【0056】
出力部350は、第1のセンサ322および第2のセンサ323のいずれからも信号が出力されている場合には(ステップS105:YES)、第1の入力部312および第2の入力部313から出力されたいずれの入力情報についても制御部500に出力しない(ステップS107)。
【0057】
上記の出力部350の処理により、入力機構部300は、入力本体部310において上側となる入力部から出力された入力情報のみを制御部500に出力するため、制御部500は、取得した入力情報が入力本体部310において上側となる入力部から出力された情報であることを識別することができる。すなわち、本実施例では、制御部500に対して出力される入力情報は、入力本体部310において上側となる入力部を識別するための識別情報としても機能している。よって、制御部500は、入力機構部300から取得した入力情報が入力本体部310の上側の入力部により出力された入力情報か否かを判断する構成を備えていなくても、入力本体部310において上側となる入力部から入力された入力情報のみに基づいて処理部に特定の処理を実行させることができる。
【0058】
なお、本実施例における第1のセンサ322および第2のセンサ323は、特許請求の範囲における「検出部」に該当する。本実施例における出力部350は、特許請求の範囲における「出力部」に該当する。本実施例において第1の入力部312および第2の入力部313から出力される入力情報は、特許請求の範囲における「識別情報」に該当する。
【0059】
以上説明した、第2の実施例に係るコンピュータ端末装置10によれば、入力機構部300は、第1のセンサ322や第2のセンサ323から出力された信号を制御部500に出力しない構成であっても、上側の入力部から入力された入力情報のみを制御部500に対して出力するため、利用者により意図して入力された入力情報のみに基づいて特定の処理をおこなうことができる。よって、上記構成によれば、両面に入力部を有する入力装置を備えるコンピュータ端末装置において、誤入力による不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0060】
第2の実施例に係る入力機構部300によれば、第1のセンサ322や第2のセンサ323から出力された信号を制御部500に出力しない構成であっても、上側の入力部から入力された入力情報のみを入力機構部300の外部に出力するため、利用者により意図して入力された入力情報のみを外部に出力することができる。これにより、入力機構部300と接続された外部装置は、利用者により意図して入力された入力情報のみに基づいて特定の処理をおこなうことができる。よって、上記構成によれば、両面に入力部を有する入力装置において、誤入力による不具合の発生の抑制を図ることができる。
【0061】
C.第3実施例
第1実施例および第2実施例では、本発明の一実施例としてのコンピュータ端末装置について説明したが、本発明はコンピュータ端末装置以外にも適用可能である。そのため、第3実施例では、本発明の他の実施例としての入力装置について説明する。コンピュータ端末装置は、入力情報に基づいて特定の処理をおこなう処理部を備えているのに対し、入力装置は、入力情報に基づいて特定の処理をおこなう処理部を備えず、入力情報や識別情報を外部装置に出力する構成を備える。
【0062】
図14は、第3実施例に係る入力装置の外観構成を示す説明図である。入力装置600は、第1実施例における入力機構部300と対応した構成を備えている。すなわち、入力装置600は、第1実施例の入力機構部300と同様に、入力本体部610と、枠部620と、被係止機構部630とを備えている。入力本体部610と、枠部620と、被係止機構部630は、第1実施例おける入力本体部310と、枠部320と、被係止機構部330とそれぞれ同様の構成・機能を備えている。以下では、第1実施例の入力本体部310と、枠部320と、被係止機構部330と異なる点について説明する。
【0063】
第1実施例の枠部320は、コンピュータ端末装置10の本体部11の一部に形成されているのに対して、第2実施例の枠部620は、入力情報に基づいて特定の処理をおこなう処理部と物理的に切り離された構成を備えている。入力装置600は、図示しないケーブルや、無線などにより、処理部を備える外部装置に対して入力情報や識別情報を出力する。図14に示すように、入力装置600は、枠部620に、脚部641と、支持部642とが取り付けられている。脚部641は、長板状の外形を備え、一方の端部が枠部620に回動可能に固定されている。支持部642は、蝶番643により枠部620に回動可能に固定されている。支持部642は、入力装置600を支持する支持面SFと接する面に滑り防止部材644を備えている。滑り防止部材644は、支持面SFとの摩擦抵抗が大きくなる部材であれば特に限定はなく、例えば、ゴムやウレタンの他、マグネットなどを用いることができる。
【0064】
図15は、第3実施例に係る入力装置の脚部を立てた状態を例示した説明図である。図15に示すように、脚部641および支持部642を枠部620に対して回動させることにより、枠部620を支持面SFに対して起こした体勢とすることができる。これにより、枠部620に回動可能に固定されている入力本体部610を容易に回動させることができる。
【0065】
以上説明した、第3の実施例に係る入力装置によれば、本発明は、入力装置においても適用することができ、入力装置においても、誤入力による不具合の発生の抑制を図ることができる。具体的には、入力装置においても第1実施例と同様に図示しない第1のセンサおよび第2のセンサを枠部620に備え、第1のセンサおよび第2のセンサから出力される信号、および、図示しない第1の入力部および第2の入力部から出力される入力情報を外部装置に出力することにより、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。また、入力装置600は、第2実施例と同様に、入力本体部610において上側となる入力部から出力された入力情報のみを出力する構成であっても誤入力による不具合の発生を抑制することができる。
【0066】
D.第4実施例
第1実施例から第3実施例では、入力本体部の向きを検出するためのセンサが、枠部に配置されている入力機構部300および入力装置600について説明したが、センサは必ずしも枠部に配置されている必要はない。そのため、第4実施例では、入力本体部の向きを検出するためのセンサが入力本体部に配置された入力装置について説明する。
【0067】
図16は、第4実施例に係る入力装置の外観構成を示す説明図である。入力装置700は、第3実施例における入力装置600と同様に、入力本体部710と、枠部720とを備えている。入力装置700は、被係止機構部を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。入力本体部710は、第1実施例おける入力本体部310と対応し、枠部720は枠部320と対応している。以下では、入力装置700において、第1実施例の入力機構部300および第3実施例の入力装置600と異なる点について説明する。
【0068】
図16に示すように、入力装置700は、入力本体部710の第1の入力部712に第2のセンサ723が配置され、第2の入力部713に第1のセンサ722が配置されている。また、入力装置700の枠部720には、本体支持部740が取り付けられている。本体支持部740は、長板状の外形を備え、一方の端部が入力本体部710に回動可能に固定され、他方の端部が枠部720に回動可能に固定されている。
【0069】
入力装置700において、本体支持部740を枠部720に対して回動させることにより、本体支持部740を枠部720が設置されている支持面SFに対して起こすことができる。本体支持部740を支持面SFに対して起こすことにより、本体支持部740の端部に回動可能に固定されている入力本体部710を容易に回動させることができる。
【0070】
本体支持部740を倒して入力本体部710を支持面SF上に配置すると、下側となる入力部に配置されたセンサが支持面SFと接触し、接触したセンサから信号が出力される。具体的には、第1の入力部712が上側の時に第1のセンサ722から信号が出力され、第2の入力部713が上側の時に第2のセンサ723から信号が出力される。第1の入力部712および第2の入力部713により入力された入力情報や、第1のセンサ722および第2のセンサ723から出力された信号は、図示しないケーブルもしくは無線を介して外部装置に出力される。
【0071】
以上説明した、第4の実施例に係る入力装置によれば、入力本体部の向きを検出するためのセンサが枠部に配置されていなくても、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。具体的には、入力装置700において、第1の入力部712が上側の時に第1のセンサ722から信号が出力され、第2の入力部713が上側の時に第2のセンサ723から信号が出力される。よって、第1の入力部712および第2の入力部713は、第1実施例の第1の入力部312および第2の入力部313とそれぞれ対応し、第1のセンサ722および第2のセンサ723は、第1実施例の第1のセンサ322および第2のセンサ723にそれぞれ対応している。そのため、入力装置700と接続されている外部装置において、第1実施例の入力情報判別処理を実行する構成を備えれば、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。また、外部装置が入力情報判別処理を実行可能な構成を備えていなくても、第2実施例と同様に、入力装置700が入力本体部710において上側となる入力部から出力された入力情報のみを出力する構成であれば、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。
【0072】
E.第5実施例
第3実施例および第4実施例では、枠部を備えた入力装置について説明したが、入力装置は必ずしも枠部を備えている必要はない。そのため、第5実施例では、枠部を備えていない入力装置について説明する。
【0073】
図17は、第5実施例に係る入力装置の外観構成を示す説明図である。図18は、第5実施例に係る入力装置を側面側から見た状態を例示した説明図である。入力装置800は、第4実施例における入力装置700の入力本体部710と対応している。すなわち、入力装置800は、第4実施例の入力装置700において枠部720を備えていない構成と同様の構成を備えている。
【0074】
図17および図18に示すように、入力装置800は、矩形の平板状の外形を備え、両面に入力部が形成されるとともに、両面の四隅に支持面との接触を検出するセンサがそれぞれ配置されている。具体的には、入力装置800は、一方の面に第1の入力部812および第2のセンサ823が配置され、他方の面に第2の入力部813および第1のセンサ822が配置されている。これにより、第4実施例で示した入力装置700と同様に、下側となる入力部に配置されたセンサが支持面SFと接触し、接触したセンサから信号が出力される。
【0075】
すなわち、入力装置800は、第1の入力部812が上側の時に第1のセンサ822から信号が出力され、第2の入力部813が上側の時に第2のセンサ823から信号が出力される。入力装置800は、第1の入力部812および第2の入力部813により入力された入力情報や、第1のセンサ822および第2のセンサ823から出力された信号を、図示しないケーブルもしくは無線を介して外部装置に出力する。
【0076】
以上説明した、第5の実施例に係る入力装置によれば、入力装置は、枠部を備えていなくても、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。具体的には、入力装置800は、一方の面に第1の入力部812および第2のセンサ823が配置され、他方の面に第2の入力部813および第1のセンサ822が配置されているため、第1の入力部812が上側の時に第1のセンサ822から信号が出力され、第2の入力部813が上側の時に第2のセンサ823から信号が出力される。すなわち、2つの入力部および2つのセンサは、それぞれ第1実施例の入力部およびセンサと対応している。そのため、入力装置800と接続されている外部装置において、第1実施例の入力情報判別処理を実行する構成を備えれば、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。また、外部装置が入力情報判別処理を実行可能な構成を備えていなくても、第2実施例と同様に、入力装置800において上側となる入力部から出力された入力情報のみを出力する構成であれば、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。
【0077】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0078】
F1.変形例1:
第1実施例では、コンピュータ端末装置10は、表示部100と、印字部200と、入力機構部300と、カードユニット400と、を備えているが、入力機構部300以外の構成の少なくとも一部を備えていなくてもよく、また、スピーカや、入出力インターフェイス等、他の構成を備えていてもよい。また、入力機構部300においても、被係止機構部330は必ずしも備える必要はなく、入力機構部300を備えない構成であっても本発明を実現することができ、誤入力による不具合の発生を抑制することができる。
【0079】
F2.変形例2:
本実施例では、入力機構部もしくは入力装置は、2つのセンサにより入力本体部の向きを検出しているが、2以上のセンサにより検出する構成であってもよい。また、センサの配置されている位置については、入力本体部の向きを検出することができれば、上記実施例で示された位置に配置されていてもよい。
【0080】
F3.変形例3:
本実施例では、入力機構部および入力装置は、対象物との接触を検出するセンサを備え、センサにより入力本体部の向きを検出する構成としているが、入力機構部および入力装置は、必ずしもセンサを備える必要はなく、入力情報を出力するための端子によっても入力本体部の向きを検出することができる。具体的には、図3に示す第1のセンサ322や第2のセンサ323の代わりに入力情報を取得するための端子を被係止部321の上面321aと底面321bにそれぞれ構成する。また、図2に示す第1の入力部312の第1の係止部312aや第2の係止部312bに、入力情報を出力するための端子を構成する。これにより、図2では、被係止部321側の一方の端子と、第1の入力部312側の一方の端子が接続するため、第1の入力部312からの入力情報が制御部500に出力される。また、図5では、被係止部321側の他方の端子と、第1の入力部312側の他方の端子が接続するため、第2の入力部313からの入力情報が制御部500に出力される。これによっても、第1の入力部312もしくは第2の入力部313の一方の入力情報のみが制御部500に出力される構成とすることができる。すなわち、この変形例では、入力情報を出力する端子が、特許請求の範囲における「検出部」に該当する。
【0081】
F4.変形例4:
本実施例では、入力本体部は、物理的に分離した2つの入力部と、1つの回転台部により構成されているが、両面に入力部を備える構成であれば、これ以外の構成であってもよい。例えば、射出成形などにより一体成形された平板状筺体の両面にキーボードが配置された構成であってもよい。また、入力部は、キーボードに限定されず、タッチパネルなどであってもよい。
【0082】
F5.変形例5:
なお、本発明は、本発明は、上記以外の種々の形態で実現することが可能であり、例えば、入力装置を備える現金自動取扱装置およびコンピュータ、入力装置を備えるコンピュータ端末装置および入力装置の制御方法、その制御方法を実現するためのコンピュータープログラム、および、そのコンピュータープログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。また、本発明に係る入力装置およびコンピュータ端末装置は、適宜、他の部材と組み合わせて適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…コンピュータ端末装置
11…本体部
100…表示部
101…表示部支持アーム
200…印字部
201…挿入部
300…入力機構部
310…入力本体部
311…回転台部
312…第1の入力部
312a…第1の係止部
312b…第2の係止部
313…第2の入力部
316…接触面
318c…コネクタ
318w…ケーブル
319…固定金具
320…枠部
321…被係止部
321a…上面
321b…底面
322…第1のセンサ
323…第2のセンサ
330…被係止機構部
331…ラッチ
332…解除ボタン
333…可動軸
334…バネ
335…プレート
340…回転ヒンジ
350…出力部
400…カードユニット
401…カードスロット
500…制御部
600…入力装置
610…入力本体部
620…枠部
630…被係止機構部
641…脚部
642…支持部
643…蝶番
644…防止部材
700…入力装置
710…入力本体部
712…第1の入力部
713…第2の入力部
720…枠部
722…第1のセンサ
723…第2のセンサ
740…本体支持部
800…入力装置
812…第1の入力部
813…第2の入力部
822…第1のセンサ
823…第2のセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置であって、
反転可能な平板状の外形を備え、一方の面に第1の入力部を有し、他方の面に前記第1の入力部と異なる第2の入力部を有する入力本体部と、
前記入力本体部の向きを検出するための検出部と、
前記検出部による検出結果を用いて、前記第1の入力部および前記第2の入力部のうち、所定の方向側の入力部を識別可能な識別情報を出力する出力部と、を備える入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置はさらに、
前記入力本体部を回動可能に支持する枠部を備え、
前記検出部は、
前記枠部上に配置され、前記第1の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記入力本体部との接触を検出する第1のセンサと、
前記枠部上に配置され、前記第2の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記入力本体部との接触を検出する第2のセンサと、を備える入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の入力装置において、
前記入力本体部は、矩形形状を有し、前記入力本体部が回動するときの軸方向に沿った端辺の一方には第1の係止部が形成され、他方には第2の係止部が形成され、
前記枠部は、前記第1の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記第1の係止部と接触する第1の面と、前記第2の入力部が前記所定の方向側に位置するときに第2の係止部と接触する第2の面とを有する被係止部を備え、
前記検出部は、前記第1の面に前記第1のセンサが配置され、前記第2の面に前記第2のセンサが配置されている入力装置。
【請求項4】
請求項1に記載の入力装置において、
前記検出部は、
前記第1の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記入力本体部を支持する支持面との接触を検出する第1のセンサと、
前記第2の入力部が前記所定の方向側に位置するときに前記支持面との接触を検出する第2のセンサと、を備える入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置において、
前記第1のセンサは、前記入力本体部の前記第2の入力部を有する面に配置され、
前記第2のセンサは、前記入力本体部の前記第1の入力部を有する面に配置されている入力装置。
【請求項6】
コンピュータ端末装置であって、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の入力装置と、
前記入力装置から前記識別情報を取得し、前記識別情報に基づいて、前記所定の方向側の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理を処理部に実行させる制御部と、を備えるコンピュータ端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータ端末装置であって、
前記制御部は、
前記識別情報に前記第1のセンサおよび前記第2のセンサのいずれも接触を検出した情報が含まれている場合には、情報出力部に異常を表す情報を出力し、
前記識別情報に前記第1のセンサおよび前記第2のセンサのいずれも接触を検出していない情報が含まれている場合には、前記入力情報に基づく処理をおこなわず、
前記識別情報に前記第1のセンサまたは前記第2のセンサのいずれか一方のセンサのみが接触を検出した情報が含まれている場合には、前記所定の方向側の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこなうコンピュータ端末装置。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータ端末装置であって、
前記制御部は、
前記識別情報に前記第1のセンサのみが接触を検出した情報が含まれている場合には、前記第1の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこない、
前記識別情報に前記第2のセンサのみが接触を検出した情報が含まれている場合には、前記第2の入力部により入力された入力情報に応じた所定の処理をおこなうコンピュータ端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−242907(P2011−242907A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112819(P2010−112819)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】