説明

入金機および現金管理システム

【課題】所定の操作者が入金を完了したときにすぐに締め処理を開始し最終の締め処理を早く終了するようにする。
【解決手段】複数のテナントが入金する入金機2と、複数の前記入金機2の入金情報を管理する入金機管理サーバ3とからなる入金機システムNSと、複数の前記入金機システムNSの入金情報を管理する管理サーバ3とからなり、これらをネットワークにより接続した現金管理システムであって、前記入金機2は、前記ネットワークを経由しテナント別の操作者の入金完了情報を格納しあう共有情報格納部26を備え、テナント別に前記共有情報格納部26の入金完了情報があらかじめ設定した締め条件に合致したときにテナント別に前記入金機2の自動締め処理を開始するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等における売上金を集計する締め機能を有する入金機および現金管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現金管理システムにおいては、店舗における売上金を店舗側で入金処理し、通信回線を介してその金額を管理センタに送信し集計管理するとともに、店舗側で入金された現金を専門の警備会社によって回収するようになっている。
【0003】
このような現金管理システムによれば、店舗経営者は、銀行等に自ら出向くことなく、店舗内の入金機に売上金を入金するだけで、自動的に集計され、その回収も専門の警備会社によって行われ、最終的に所定の銀行又は本店等に預金される。
【0004】
上記従来の現金管理システムにおいては、入金機が個別の各店舗に対応して設けられているので、特定のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等で使用するときはよいが、複数のテナントを擁するショッピングセンタ等で使用する場合は大変不経済となるという問題があった。
【0005】
すなわち、ショッピングセンタでは、個別のテナント毎に入金機を設け、さらに各入金機が個別に中央の管理センタと通信しなければならないため、入金機毎に電話回線等の通信回線を設けることになり、設備機器に多くの費用がかかってしまうという問題があった。
【0006】
この不具合を回避するために、各入金機にテナントを識別するためのテナント情報を入力する手段と、入金された現金の情報および当該現金を入金したテナントのテナント情報とを管理サーバに通知するようにし、各テナントが任意の入金機にて売上金を入金できるようにした技術はあった。
【0007】
この技術では、各テナントの締め処理として、投入された紙幣や硬貨の金額を入金情報として記憶し、記憶している入金情報を合計して締め情報として通信回線を介して遠隔の管理センタに送信するようになっている。
【0008】
そして、この締め処理は、テナント毎に自動締めの時間を設定し、それぞれ所定の時刻で自動締め指示を発生させ、テナント毎の入金額を集計した締め情報として管理センタに通知するようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3546138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の現金管理システムでは、設定した時間になると自動締めを行うため、所定の操作者等が入金を完了したときにすぐに締め処理を開始させることができず、集計の終了が遅くなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、複数のテナントが入金する入金機と、複数の前記入金機の入金情報を管理する入金機管理サーバとからなる入金機システムと、複数の前記入金機システムの入金情報を管理する管理サーバとからなり、これらをネットワークにより接続した現金管理システムであって、前記入金機は、前記ネットワークを経由しテナント別の操作者の入金完了情報を格納しあう共有情報格納部を備え、テナント別に前記共有情報格納部の入金完了情報があらかじめ設定した締め条件に合致したときにテナント別に前記入金機の自動締め処理を開始するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の現金管理システムによれば、複数のテナントが入金する入金機と、複数の前記入金機の入金情報を管理する入金機管理サーバとからなる入金機システムと、複数の前記入金機システムの入金情報を管理する管理サーバとからなり、これらをネットワークにより接続した現金管理システムであって、前記入金機は、前記ネットワークを経由しテナント別の操作者の入金完了情報を格納しあう共有情報格納部を備え、テナント別に前記共有情報格納部の入金完了情報があらかじめ設定した締め条件に合致したときにテナント別に前記入金機の自動締め処理を開始するようにしたので、所定の操作者等が入金を完了したときにすぐに締め処理を開始し最終の締め処理を早く終了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の現金管理システムの構成図である。
【図2】実施例1の入金機の構成図である。
【図3】実施例1の現金管理システムの動作フローチャート図である。
【図4】実施例1の現金管理システムの入金機のタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。なお、図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0015】
(構成)
図1は、実施例1の現金管理システムの構成図であり、図2は入金機の構成図である。図1に示したように、実施例1の現金管理システムは、LAN(Local Area Network)5により接続された入金機2a〜2nと入金機管理サーバ3からなる入金機システムNS1〜NSnと、これらの入金機システムNS1〜NSnが通信回線6により管理センタ4に接続された構成となっている。
【0016】
入金機2a〜2nは入金された現金の情報を入金したテナントの情報とともに入金機管理サーバ3に対して通知する機能を有しており、入金機管理サーバ3は各入金機2a〜2nから通知された入金現金情報とテナント情報とを集計管理し、テナント毎の入金情報を通信回線6を介して管理センタ4に通知する機能を有している。
【0017】
管理センタ4は、入金機システムNS1〜NSnからのテナントごとの入金情報をテナントごとに集計等する管理サーバ4aと、この集計したテナントごとの集計結果や現金が一杯になり回収が必要な状態で警備員の要請が必要となる入金機2の情報などを格納する管理情報格納部4bから構成される。
【0018】
次に、入金機システムNS1〜NSnにそれぞれ設けられる入金機2の構成を、図2を用いて以下詳細に説明する。同図に示したように入金機2は、後述の各部の制御を行う主制御部20と、表示されるガイダンスに従い操作者が操作する操作部4とが設けられている。なお、操作部4は、入金操作に際して操作画面を表示するLCDと、処理の選択や、適宜、暗証番号や入金額などを入力するタッチパネルが一体化されて構成される。
【0019】
さらに、実施例1の自動取引装置の制御系には、カードに記録された操作者のIDなどのリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を音声出力する音声案内部22、入金額の集計結果などを印字出力する明細票処理部23、硬貨や紙幣を収納する入金庫24、入金された現金の計数や集計処理を行う入金処理部25、LAN5を経由して互いに他の入金機2の入金完了情報を格納する共有情報格納部26が設けられている。
【0020】
さらに、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部であり制御プログラムや各種のパラメータを格納できる記憶手段としてのメモリ部28、LAN5のインタフェイスを制御するインタフェイス部29が設けられている。
【0021】
(動作)
以上の構成により実施例1の現金管理システムは、以下のように動作する。この動作を図3の現金管理システムの動作フローチャート図および図4の入金機2のタイムチャート図を用いて以下詳細に説明する。
【0022】
まず、入金機2にて詳細後述の締めを行う条件である締め条件を設定する(ステップS01)。例えば、テナントAにおいては、操作者X、操作者Y、操作者Zが入金を完了したときに、テナントAの自動締め処理を開始するという条件を設定する。同様に、入金機管理サーバ3にて詳細後述の締めを行う条件である締め条件を設定する(ステップS21)。例えば、テナントA、テナントB、テナントCの締め処理が完了したときに自動締め処理を開始するという条件を設定する。
【0023】
そして、入金動作として、各テナントは任意の入金機2a〜2nを用いて売上金を入金する。このとき、それぞれのテナントを識別するテナント情報を入力する(ステップS02)。なお、テナント情報の入力は、あらかじめ決めたID番号を操作部19により入力させるようにしてもよいし、カード処理部21によりカード等に記録した各テナント情報を読み取るようにしてもよい。
【0024】
次に、各テナントの操作者、例えばXは、入金しようとする現金を投入し、その金額を計数させる(ステップS03)。
【0025】
次に、テナント情報と計数した入金情報とを入金機管理サーバ3に送信する。入金情報待ち状態となっていた入金機管理サーバ3は、いずれかの入金機、例えば2aからテナント情報と入金した金額情報とを含む入金情報が送信されると、これを受信し、確認のために受信した情報を入金機2aに返信し、テナント別及び入金機別の入金ログを作成し、図示しない入金機管理サーバ3の記憶部に記憶する(ステップS22)。
【0026】
入金機2aでは、入金機管理サーバ3から返信された入金情報を受信し、送信した入金情報と一致していることを確認した後、投入された現金を入金庫24に収納するとともに、その明細を明細票処理部23により印字出力する(ステップS04)。そして、操作者Xによる入金が終了しているかどうかを確認し(ステップS05)、操作者Xによる入金するものがあり入金が完了していないときはステップS02に戻り、操作者Xによる残りの入金を継続して行う。一方、入金機2aにより操作者Xによる入金が完了したときは、ステップS06に進み、入金完了者情報を共有情報格納部26に格納する処理を行う。
【0027】
ところで、入金機管理サーバ3においてテナント別及び各入金機別の入金ログを作成して管理するようになっているので、各テナントが任意の入金機2a〜2nを用いて売上金を入金しても、テナント別に入金管理を行うことができる。なお、上記入金ログの作成、管理を入金機管理サーバ3ではなく、各入金機2a〜2nの側にてテナント別の入金ログを作成し記憶しておき、締め条件が合致したときに、当該入金ログを入金機管理サーバ3に送信するようにしてもよい。
【0028】
次に、入金機2aによりXが入金を完了した旨の入金完了者情報を入金機2aの共有情報格納部26aに格納するとともに、他の入金機2b〜2nにLAN5を介して通知し、これを受信した入金機2b〜2nはそれぞれ共有情報格納部26b〜26nに入金完了者情報を格納する(ステップS06)。
【0029】
次に、それぞれの入金機2a〜2nにおいて、共有情報格納部26a〜26nをそれぞれ参照し、ステップS01にて設定した締め条件に合致しているかどうかを判定する(ステップS07)。本例は、操作者X、操作者Y、操作者Zが入金を完了することが締め条件となっているので、図4のタイムチャート図の例では、操作者Zによる入金が完了するタイミングTzにて、締め条件が合致することになる。
【0030】
そして、タイミングTz以前の時点では、締め条件に合致しないので、ステップS02に戻り、入金処理を同様に行う。一方、タイミングTz以降では、操作者X、操作者Y、操作者Zが入金を完了しており、締め条件が合致するので、各入金機2a〜2nは自動締め処理を実施して入金機管理サーバ3へ締め通知を送信する(ステップS08、タイミングTa)。
【0031】
締め通知を受信した入金機管理サーバ3は、入金機管理サーバ3側での締め条件に合致するかどうか判定し(ステップS23)、合致していればこのタイミングで締めを実施する。
【0032】
本例では、テナントA、テナントB、テナントCの締め処理が完了したときに締め条件が合致するので、テナントA、テナントB、テナントCがすべて締め処理を完了すると、締め条件に合致し、入金機管理サーバ3による自動締め処理を開始し終了後に、締め通知を管理センタ4に送信する(ステップS24)。
【0033】
入金機管理サーバ3から締め通知を受信した管理センタ4の管理サーバ4aは、入金機システムNS1の入金機管理サーバ3から締め通知を受信すると、管理情報格納部4bに入金機システム別に入金ログを格納し本処理を終了する(ステップS41)。
【0034】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の現金管理システムによれば、複数のテナントが入金する入金機と、複数の前記入金機の入金情報を管理する入金機管理サーバとからなる入金機システムと、複数の前記入金機システムの入金情報を管理する管理サーバとからなり、これらをネットワークにより接続した現金管理システムであって、前記入金機は、前記ネットワークを経由しテナント別の操作者の入金完了情報を格納しあう共有情報格納部を備え、テナント別に前記共有情報格納部の入金完了情報があらかじめ設定した締め条件に合致したときにテナント別に前記入金機の自動締め処理を開始するようにしたので、所定の操作者等が入金を完了したときにすぐに締め処理を開始し全体の締め処理を早く終了することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上述べたように、本発明は、店舗等における売上金を集計する締め機能を有する入金機および現金管理システムに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
NS 入金機システム
2 入金機
3 入金機管理サーバ
4 管理センタ
4a 管理サーバ
4b 管理情報格納部
5 LAN
6 通信回線
20 主制御部
21 カード処理部
23 明細票印字部
24 入金庫
25 入金処理部
26 共有情報格納部
29 インタフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテナントが入金する入金機と、複数の前記入金機の入金情報を管理する入金機管理サーバとからなる入金機システムと、複数の前記入金機システムの入金情報を管理する管理サーバとからなり、これらをネットワークにより接続した現金管理システムであって、
前記入金機は、前記ネットワークを経由しテナント別の操作者の入金完了情報を格納しあう共有情報格納部を備え、
テナント別に前記共有情報格納部の入金完了情報があらかじめ設定した締め条件に合致したときにテナント別に前記入金機の自動締め処理を開始するようにしたことを特徴とする現金管理システム。
【請求項2】
前記入金完了情報は、テナント別の特定の操作者が入金を完了した情報であることを特徴とする請求項1記載の現金管理システム。
【請求項3】
前記入金機の締め処理を完了したテナント情報としてあらかじめ設定した締め条件に合致したときは、当該入金機システムの自動締め処理を開始するようにしたことを特徴とする請求項1記載の現金管理システム。
【請求項4】
複数のテナントが入金する現金を計数して入金情報を取得し当該現金を入金庫に格納する入金機であって、
ネットワークを経由してテナント別の操作者の入金完了情報を格納しあう共有情報格納部を備え、
テナント別に前記共有情報格納部の入金完了情報があらかじめ設定した締め条件に合致したときにテナント別に当該入金機の自動締め処理を開始するようにしたことを特徴とする入金機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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