説明

共役系ポリマー被覆導電性微粒子

【課題】塗料としたときに分散性が良く、塗布法により成膜したときに、低抵抗かつ高い光透過率を有する透明導電膜を得ることができる導電性微粒子を提供する。
【解決手段】酸化物微粒子と、この酸化物微粒子を被覆する、体積抵抗値が10Ω・cm以上である共役系ポリマーからなり、酸化物微粒子と共役系ポリマーの体積比(微粒子:ポリマー)が90:10〜99.99:0.01である導電性微粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役系ポリマーで被覆した酸化物微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子材料、触媒、医薬・化粧品等の幅広い分野でナノオーダーの微粒子を製造する技術へのニーズが高まっている。例えば、プラズマディスプレイに使用されている蛍光材料では、蛍光粒子を数十nmのサイズにすることにより、解像度の向上だけでなく、光の散乱を減らしエネルギー効率を高めることもできる。
【0003】
また、ITO(錫ドープ酸化インジウム)を主成分とするナノオーダーの導電性酸化物微粒子は、透明導電膜への利用が盛んになっている。この導電性酸化物微粒子を透明導電膜とする方法としては、例えば、一次粒子径約0.1μm以下の導電性酸化物微粒子の粉末を、溶媒とバインダー樹脂からなる溶液中に分散させ、これを、ガラス、プラスチック等の基材に塗布、印刷、浸漬、スピンコート或いは噴霧等の手段で塗工し、乾燥する方法がある。
【0004】
こうして作製した透明導電膜は、ガラス、プラスチック等の帯電防止やほこりの付着防止に有効であり、例えば、ディスプレイや計測器の窓ガラスの帯電防止やほこりの付着防止に利用されている。
【0005】
さらに、導電性酸化物微粒子は、ICパッケージ回路、クリーンルーム内装材、塗布型透明電極又は赤外線遮蔽材料等の用途に利用されはじめている。
【0006】
導電性微粒子を塗布して膜とする方法では、塗料中の導電性酸化物微粒子の凝集を防止する為に分散剤を用いるが、この分散剤は、絶縁体である界面活性剤や樹脂であり、導電性酸化物微粒子の表面に吸着すると粒界抵抗が増大し、透明導電膜の導電性が低下する問題がある。
【0007】
例えば、特許文献1にはITO粒子表面にアニオン系界面活性剤を吸着させて被覆し、溶媒中に分散させたITO分散液を用いて透明導電膜を形成する方法が記載されている。この方法により、ITOの凝集を防ぎヘイズを減少させると報告している。しかしながら、粒界に絶縁層である界面活性剤が存在するため低抵抗化が困難となり、導電性の高い透明導電膜を得ることが困難である。
【0008】
また、特許文献2は、粒界抵抗を低下させるため、酸をドープした導電性ポリマーコロイド粒子を、導電性酸化物のコロイド粒子に被覆させたゾルについて報告している。この有機−無機混合ゾルにより、柔軟性や導電性、バインダーとの相溶性を向上できると報告している。しかし、導電性ポリマーのドーパントに酸を用いているため、粒子表面のイオン性が増加するため凝集し易く、導電膜としたときに透明性が悪い。また、導電性ポリマーの添加量が多いため、導電膜としたときに着色するため透明性が悪い。さらに酸で腐食される基材に対して適用できないという問題がある。
【特許文献1】特開2006−73300号公報
【特許文献2】特開平11−353934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、塗料としたときに分散性が良く、塗布法により成膜したときに、低抵抗かつ高い光透過率を有する透明導電膜を得ることができる導電性微粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下の導電性微粒子等が提供できる。
1.酸化物微粒子と、前記酸化物微粒子を被覆する、体積抵抗値が10Ω・cm以上である共役系ポリマーからなり、前記酸化物微粒子と前記共役系ポリマーの体積比(微粒子:ポリマー)が90:10〜99.99:0.01である導電性微粒子。
2.前記酸化物微粒子が、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含む1に記載の導電性微粒子。
3.前記酸化物微粒子の平均粒径が200nm以下である1又は2に記載の導電性微粒子。
4.前記共役系ポリマーがドーパントを含まない、1〜3のいずれかに記載の導電性微粒子。
5.上記1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子と溶媒を含有する混合液。
6.上記1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子を含む導電膜。
【発明の効果】
【0011】
本発明の導電性微粒子は、混合液にしたときに分散性が良いので、塗布法による成膜により、高い光透過率を有する透明導電膜を得ることができる。
また、本発明の導電性微粒子は、共役系ポリマーが酸化物粒子界面間の電子移動を助けることによって、塗布法による成膜により、低抵抗な透明導電膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の導電性微粒子は、透明導電性酸化物微粒子と、体積抵抗値が10Ω・cm以上である共役系ポリマーからなり、共役系ポリマーが透明導電性酸化物微粒子を被覆している。そして、透明導電性酸化物微粒子と共役系ポリマーの体積比(酸化物微粒子:共役系ポリマー)が90:10〜99.99:0.01であることを特徴とする。
酸化物微粒子を使用して得られる導電膜の導電性を向上するためには、膜内に、より多くの電路を形成する必要がある。即ち、酸化物微粒子同士が途切れなく繋がっている状態を、多く形成する必要がある。また、酸化物微粒子同士の界面に介在する高抵抗物質が、導電膜の抵抗に大きく関与するため、粒子界面の低抵抗化が必要である。
【0013】
本発明の導電性微粒子は、酸化物微粒子に有機溶媒可溶型共役系ポリマーが被覆している。共役系ポリマーは、それ単体では体積抵抗率が10Ω・cm以上と非常に高抵抗である。しかしながら本発明者らは驚くべきことに、酸化物微粒子を共役系ポリマーで被覆し、酸化物微粒子界面に共役系ポリマーを存在させることで、効率的に導電パスを構築でき、導電膜の導電性を向上できることを見出した。
また、共役系ポリマーで被覆することにより、溶媒との混合液とした際に導電性微粒子の分散性を向上させることもできる。導電性微粒子の被覆を維持できる有機溶媒中に分散させ、この混合液を使用して成膜することにより、透過率及び表面抵抗値が優れている導電膜を形成することができる。
さらに、本発明の導電性微粒子は、低温のプロセスで高導電な導電膜が得られる。
【0014】
ここで、被覆とは、酸化物微粒子の表面全体に有機溶媒可溶型共役系ポリマーが被覆されている場合の他、酸化物微粒子の表面の一部に有機溶媒可溶型共役系ポリマーが被覆されていない場合も含む。
尚、酸化物微粒子の粒子表面積の5パーセント以上に有機溶媒可溶型共役系ポリマーが被覆されている場合が好ましく、10パーセント以上がより好ましい。
【0015】
本発明で使用する酸化物微粒子は、透明性及び導電性を有する酸化物であればよく、例えば、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含む酸化物の微粒子が好ましい。微粒子は、これら酸化物の単体からなっていてもよく、また、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、IZTO(亜鉛、錫ドープ酸化インジウム)のような複合酸化物であってもよい。本発明ではITOが特に好ましい。
尚、酸化物微粒子はハロゲン修飾、酸又はアルカリ修飾、シランカップリング修飾等にて、表面処理がされているものでもよい。
【0016】
本発明では、酸化物微粒子をペーストや分散液として用いる場合、酸化物微粒子の平均粒径は、200nm以下であることが好ましく、特に100nm以下であることがより好ましい。平均粒径が200nmを超えると、光散乱が生じるおそれがある。
一方、平均粒径は10nm以上であることが好ましい。平均粒径が10nmより小さいと、分散液とした際に凝集するおそれがある。凝集した場合に凝集力が強く、解砕するのに時間がかかるため、生産性が悪くなるおそれがある。
ここで、本願において「平均粒径」とは、一次粒子の平均粒径を意味し、BET法(一点法)による比表面積(m/g)に基いて測定された平均粒径を意味する。
【0017】
本発明で使用する共役系ポリマーは、体積抵抗率が10Ω・cm以上である。好ましくは、10Ω・cm以上である。体積抵抗率が10Ω・cm以上の共役系ポリマーを被覆した酸化物微粒子を使用して成膜することにより、表面被覆していない酸化物微粒子を使用した場合よりも、得られる導電膜の抵抗値が低下する。
通常、体積抵抗率が10Ω・cmよりも低い共役系ポリマーは、多量のドーパントを含む。ドーパントを含む共役系ポリマーを用いると、塗布液とした際に導電性微粒子が凝集する問題が生じる。
本発明では、共役系ポリマー単体(実質的にドーパントを含んでいない)で使用することが好ましい。ドーパントを含んでいないことは、使用する共役系ポリマーの体積抵抗率が10Ω・cm以上であることや、ドーパントの元素分析、また可視−紫外吸収スペクトル測定等で確認できる。
尚、本願において、共役系ポリマーの体積抵抗率は四探針法を用いて測定した値を意味する。
【0018】
上記の共役系ポリマーとしては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン等が挙げられる。
【0019】
本発明では、共役系ポリマーが有機溶媒に可溶であることが好ましい。これにより、少ない体積量で酸化物微粒子を被覆することが可能である。
有機溶媒可溶性の共役系ポリマーとしては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン等の誘導体が挙げられる。
【0020】
本発明の導電性微粒子は、酸化物微粒子と共役系ポリマーの体積比(酸化物微粒子:共役系ポリマー)が、90:10〜99.99:0.01である。好ましくは95:5〜99.5:0.5である。酸化物微粒子の量が99.99%を超えると、共役系ポリマーが不足し、酸化物微粒子を十分に被覆できない場合がある。そのため、混合液を作製する際に、溶媒中に導電性微粒子が分散しない場合がある。一方、酸化物微粒子の量が90%より少ないと、共役系ポリマーの比率が高くなり、高抵抗である共役系ポリマーの影響が顕著に現れるため、得られる導電膜の抵抗値が増大する場合がある。
【0021】
酸化物微粒子と共役系ポリマーの体積比は、導電性微粒子の有機物を高温で焼却除去し、残った無機物から換算した値である。尚、原料である酸化物微粒子と共役系ポリマーの仕込み比と、実際に得られる導電性微粒子における体積比は、ほぼ同じとなる。
【0022】
本発明の導電性微粒子は、例えば、共役系ポリマーを溶解させた溶媒中に、酸化物微粒子を投入し撹拌した後、溶媒を除去することにより製造できる。
溶媒としては、共役系ポリマーを溶解させるものであれば特に限定はなく、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等が使用できる。
共役系ポリマーと溶媒の比率は、使用するポリマーの溶解度や溶液の粘度等を考慮して適宜調製することができる。
酸化物微粒子と共役系ポリマーの比率も、目的とする体積比となるように適宜調整すればよい。
【0023】
本発明の導電性微粒子は、導電膜の材料として好適である。導電膜を形成するためには、例えば、本発明の導電性微粒子を溶媒に分散させた混合液を使用すればよい。
本発明の導電性微粒子に混合させる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の水酸基を有する溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒、ジオキサン、ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ブロモプロパン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、その他溶媒としてジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン等が挙げられる。好ましくは、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランである。
これらの溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
混合液における導電性微粒子の含有率は、導電性微粒子の性質や混合液の粘度等を考慮して適宜調整すればよいが、5〜40wt%が好ましく、特に、10〜30wt%が好ましい。
【0025】
本発明の混合液では、必要に応じて、各種添加物を配合してもよい。例えば、スルホン酸アミド系、ε−カプトラクトン系、ハイドロステアリン酸系、ポリカルボン酸系、ポリエステル系等の分散剤を使用してもよい。
また、本発明の混合液は塗料として用いてもよく、この場合には塗膜形成成分として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂等を混合液に添加してもよい。
【0026】
添加物の量は、導電性微粒子に対して5〜90vol%であることが好ましい。添加物の量が90vol%を超えると、導電性微粒子のパーコレーションが起こらず導電性が発現しない場合がある。一方、添加物の量が5vol%より少ないと、膜を形成したときに強度がでない場合がある。膜の導電性の観点から、より好ましい添加物の量は15〜60vol%である。
【0027】
導電性微粒子の溶媒中の二次粒径の平均は5μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下である。溶媒中の二次粒径は、導電性微粒子の分散性の指標となるものであり、導電膜のヘイズを下げるためには5μm以下が好ましい。
【0028】
本発明の導電膜は、上述した本発明の導電性微粒子を含んでいればよく、他に制限はない。導電膜は、例えば、上述した混合液を使用して形成できる。具体的に、スクリーン印刷、インクジェット、ディスペンサ、スピンコーター、ディップコーター、フレキソ印刷、グラビア印刷等の方法によって、混合液を基材上に塗布し、その後、赤外線ヒーター、真空乾燥機、オーブン等によって乾燥することにより得られる。
【0029】
本発明の導電膜の厚みは、用途等を考慮して適宜設定すればよいが、10nm〜10μmが好ましい。厚みが10nm未満では導電性が不充分となる場合がある。一方、厚みが10μmを超えると、形成される導電膜の透明性が不充分となる場合がある。導電性と透明性の面から、導電膜の厚みは50nm〜1μmであることがより好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
(1)導電性微粒子の調製
THF中に有機溶媒可溶性のポリピロール(日本曹達株式会社製、商品名;SSPY、固形分10wt%ジメチルアセトアミド溶液(体積抵抗率10Ω・cm)とITO粒子(特開2007−186352号公報に記載された方法により調製したITO)を、固形分が10wt%となるように加え原料混合液とした。ITOとポリピロールの組成比(vol%)は99.8:0.2とした。
原料混合液を超音波浴槽で3時間処理した。処理後の液を、エバポレーター(東京理化器械製、N型ロータリーエバポレーター)を用いて、−75Paで10分間、室温にて減圧濃縮しTHFを除去した。その結果、ITOをポリピロールで被覆した導電性微粒子を得た。
【0031】
(2)混合液の調製
100ccジルコニアベッセル(アイメックス社製)中に、シクロヘキサノン及び上記(1)で得た導電性微粒子を、固形分が20wt%となるように加えた。さらに、導電性微粒子に対し1.5wt%のBYK−2090(ビックケミー社製、りん酸化合物)を添加した。ベッセルに0.1mmΦのジルコニアビーズを投入した後、ベッセルをビーズミル(アイメックス社製)にセットし、回転数1500rpmで2時間30分混合した。
得られた混合物を、吸引ろ過によりビーズと分離し、導電性微粒子の分散液を得た。この分散液に、ポリエステルワニス(60wt%溶液)及びブロックイソシアネート(80wt%溶液)を、これら溶液の比率が3:2になるように、かつ、得られる導電膜における導電性微粒子の含有率が60vol%となるように加え、塗布用インク(混合液)を調製した。
【0032】
(3)導電膜の作製
上記塗布用インクを、8番手のバーコーターを用いて洗浄したガラス基板上に塗布した。その後、50度で1分間ホットプレートにより溶媒を乾燥させ、さらに150度で30分間オーブンにより熱硬化させて厚さ約1μmの導電膜を得た。
【0033】
導電性微粒子の圧粉体体積抵抗率、平均粒径、及び導電膜のヘイズ値を以下の方法で測定した。
(A)導電性微粒子の圧粉体体積抵抗率
粉体抵抗システム(株式会社ダイアインスツルメント社製)を用い、加圧しながら測定し、圧力−体積抵抗値のグラフから10.197MPaでの体積抵抗率を測定した。
(B)共役系ポリマー単体の体積抵抗率
上記粉体抵抗システムは、10Ω・cm以上は測定できないため、共役系ポリマー単体の抵抗率は高抵抗率計ハイレスタ(株式会社ダイアインスツルメント社製、MCP−HT450)を用いて測定した。尚、高抵抗率計ハイレスタでは、体積抵抗率を10Ω・cmまで測定が可能である。従って、高抵抗率計ハイレスタで測定できない場合には、体積抵抗率を10Ω・cm以上である。
(C)ポリマー含有量
導電性微粒子を650℃で3時間加熱し、ポリマーを焼却させて、焼却前後の変化重量を測定した。変化重量を、導電性微粒子内に含有されるポリマー量とみなし、ポリマーの比重から体積を算出した。
【0034】
(D)導電性微粒子の平均粒径(THF溶媒中における二次粒子径の平均)
導電性微粒子0.05gを入れたサンプル瓶に、10cmのTHFを入れ、10分間超音波洗浄機(井内盛栄堂製、US−2型超音波洗浄機)にて分散させ1時間静置した後、シスメックス株式会社製ゼータサイザーナノシリーズを用いて測定した。
【0035】
(E)導電膜のヘイズ
ヘイズ測定装置(スガ試験機社製、HGM−2DP型)を用い、しぼりを13Φに設定して、導電膜を形成した基板の表面と裏面を測定し、平均してヘイズを算出した。尚、測定した導電膜の厚さは1μmである。
実施例及び比較例に用いたポリマー、ポリマー添加量、得られた導電性微粒子の体積抵抗率、導電膜のヘイズの測定結果を表1に示す。
尚、表1の圧粉体体積抵抗値において、「XE±Y」は「X×10±Y」を意味する。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例2
ITOとポリピロールの組成比(vol%)を99.5:0.5とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
ITOとポリピロールの組成比(vol%)を99:1とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
ITOとポリピロールの組成比(vol%)を98:2とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0040】
実施例5
ITOとポリピロールの組成比(vol%)を95:5とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0041】
実施例6
THF中にポリヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製 商品名;Poly(3−hexylthiophene‐2,5−diyl(Regioregular)体積抵抗率は10Ω・cm以上である。)とITO粒子を固形分が10wt%となるように加え原料混合液とした。ITOとポリヘキシルチオフェンの組成比(vol%)は99.5:0.5とした。
上記の原料混合液を使用した他は、実施例1と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0042】
実施例7
ITOとポリヘキシルチオフェンの組成比(vol%)を95:5とした以外は、実施例6と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0043】
比較例1
ITO粒子を10wt%となるようにTHFに加えた。その後超音波浴槽で3時間処理を行なった。これをエバポレーターによりTHFを減圧除去して、粉体を得た。
上記の粉体(ポリピロールで被覆していないITO粒子)を使用した他は、実施例1と同様にして混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0044】
比較例2
THF中にポリピロールとITO粒子を固形分が10wt%となるように加え原料混合液とした。ITOとポリピロールの組成比(vol%)は70:30とした。
上記の原料混合液を使用した他は、実施例1と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0045】
比較例3
THF中に共役系ポリマーではないBYK−2095(ビックケミー社製、ポリエステルとポリアミンアミド塩)とITO粒子を、固形分が10wt%となるように加え原料混合液とした。ITOとBYK‐2095の組成比(vol%)は99.5:0.5とした。
上記の原料混合液を使用した他は、実施例1と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0046】
比較例4
ITOとBYK−2095の組成比(vol%)を95:5とした以外は、比較例3と同様にして導電性微粒子、混合液及び導電膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の導電性微粒子は導電膜の原料として好適である。また、ICパッケージ回路、クリーンルーム内装材、塗布型透明電極又は赤外線遮蔽材料等に利用できる。
本発明の導電膜は、ガラス、プラスチック等の帯電防止やほこりの付着防止、より具体的には、ディスプレイや計測器の窓ガラスの帯電防止やほこりの付着防止に利用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物微粒子と、
前記酸化物微粒子を被覆する、体積抵抗値が10Ω・cm以上である共役系ポリマーからなり、
前記酸化物微粒子と前記共役系ポリマーの体積比(微粒子:ポリマー)が90:10〜99.99:0.01である導電性微粒子。
【請求項2】
前記酸化物微粒子が、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の導電性微粒子。
【請求項3】
前記酸化物微粒子の平均粒径が200nm以下である請求項1又は2に記載の導電性微粒子。
【請求項4】
前記共役系ポリマーがドーパントを含まない、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性微粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子と溶媒を含有する混合液。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子を含む導電膜。