説明

共添加組成物及び共添加組成物を有核ポリマー化合物中へと適用する方法

ジアセタール又はDBS系成核又は透明剤の光学的性能を、共添加剤を用いて顕著に改良することが可能である。ヘーズは、熱可塑性又はプラスチック材料における透明性の欠如の尺度である。低レベルなヘーズが通常は非常に望ましく、成核/透明剤は、プラスチック又は熱可塑性材料におけるヘーズを低減するように設計される。共添加剤が成核/透明剤と共にポリマー又はコポリマー中で使用され、ポリマーの改良された透明性(低減されたヘーズ)の点で又はより高い結晶化温度(Tc)の点で更に優れた結果を達成してもよい。成核及び透明剤に加え、共添加組成物を用いて、ポリマー製品におけるヘーズを減少させる方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[発明の背景]
多数の成核及び透明剤が、プラスチック添加剤として使用されている。そのような化合物は、プラスチックの光学的な透明化か、さもなければ、加工の又はプラスチック製品におけるポリマーの物理的特性の改良を助ける。市販及び使用されている多くのプラスチック製品は、ポリマー中に成核又は透明剤を含んだポリマー材料からつくられている。
【0002】
結晶質ポリオレフィン樹脂から製造される物品におけるヘーズを減少させるための透明剤の使用は、当技術においてよく知られている。透明剤として用いられているソルビトール及びキシリトールの代表的なアセタールは、概して、以下の特許において開示されている。
【0003】
Hamadaら,米国特許第4016118号,ジベンジリデンソルビトール。
Kawaiら,米国特許第4314039号,ジ(アルキルベンジリデン)ソルビトール。
Mahaffey,Jr.,米国特許第4371645号,少なくとも1つの塩素又は臭素置換基を有しているソルビトールのジアセタール。
Kobayashiら,米国特許第4532280号,ジ(メチル又はエチル置換ベンジリデン)ソルビトール。
Rekers,米国特許第5049605号,炭素環を形成する置換基を含んだビス(3,4−ジアルキルベンジリデン)ソルビトール。
【0004】
共添加剤が、そのようなソルビトール及びキシリトールのジアセタール系透明剤と組み合わされて、或る性質を改良するために使用されている。
【0005】
例えば、Mentink,米国特許第6673856号は、ソルビトール及びキシリトールのジアセタール系透明剤の流動性及び熱安定性を改良する共添加剤を開示している。
【0006】
Kobayashiら,米国特許第6245843号は、或る「バインダ」を使用して融解温度を降下させ、分散を改良すると共に、ソルビトール及びキシリトールのジアセタール系透明剤の流動性を改良することを開示している。
【0007】
ソルビトール及びキシリトールのジアセタール系透明剤の中で、Millad3988(登録商標)は、ポリプロピレンのための商業的成功を収めている透明剤である。それは、ジメチル置換ジベンジリデンソルビトール(「DMDBS」),1,3:2,4−ビス(3,4ジメチルベンジリデンソルビトール)である。Millad3988(登録商標)は、サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken&Company社によって製造及び販売されている。
【0008】
Millad3988(登録商標)は、その使用量が最適であるとき、例えば、使用量が百万分率(「ppm」)で約2500であるときに、ポリプロピレン(「PP」)において非常に良好な光学的特性を達成し得る。しかしながら、その透明化機能は、その使用量が比較的少ない場合、例えば1000ppmである場合には大きくはない。これは、一般に、ソルビトール及びキシリトールのジアセタール系透明剤の殆どに当てはまる。多くの先行技術文献は、共添加剤をそのような透明剤と組み合わせて使用して或る利益を達成することを開示しているが、今日までに知られている先行技術文献の何れも、そのような透明剤の比較的少ない使用量での透明化機能を改良するのに、即ち、これら透明剤の低レベルな効力を改良するのに用いられてもよい方法及び組成物を開示していない。
【0009】
幾つかの適用では、そのような透明剤の低いレベルは、大いに望ましい。例えば、より少量の透明剤を使用することはより経済的であり、それは、想定されるどのようなプレートアウト、ブルーミング又は抽出も減少させるであろう。成核又は透明剤の低レベルな効力を改良又は高めることを可能とする方法、プロセス又は化学組成が、大いに望ましい。本発明は、そのような改良へと向けられている。
【発明の開示】
【0010】
[図面の簡単な説明]
当業者に示される最良の形態を含んだ本発明の十分な及び実施可能とする開示が、本明細書において説明される。以下の図面は、本発明を図解している。
【0011】
図1は、透明剤の典型的なヘーズ曲線(濃度に対するヘーズ)の概略図である。
【0012】
図2は、Millad3988(登録商標)を、ポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)樹脂中、標準加工条件のもと、様々な濃度で用いて透明化したプラスチック製品のヘーズを示すグラフである。
【0013】
図3は、Millad3988(登録商標)及び共添加剤としてPEG3400(PEG3400の使用レベルは50ppm)を用いたMillad3988(登録商標)の、標準加工条件での、RCP樹脂中における性能を示している。
【0014】
図4は、Millad3988(登録商標)及び共添加剤(使用レベルは50ppm)としてポリカプロラクトントリオール(Mn900)を用いたMillad3988(登録商標)の、標準加工条件での、RCP樹脂中における性能を描いている。
【0015】
図5は、ポリプロピレンホモポリマー(HPP)樹脂中で、標準加工条件のもと、Millad3988(登録商標)のための共添加剤としてCleartint(登録商標)Red(使用レベル1000ppm)を用いた結果を図解している。
【0016】
図6は、Millad3940(登録商標)及び共添加剤として50ppmのポリカプロラクトンジオール(Mn900)を用いたMillad3940(登録商標)の、標準加工条件での、RCP樹脂中におけるヘーズ曲線を示している。
【0017】
図7は、1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトール及び共添加剤として1000ppmのCleartint(登録商標)Redを用いた1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトールの、標準加工条件での、HPP樹脂中におけるヘーズ曲線を示している。
【0018】
[発明の詳細な説明]
ここで、本発明の複数の態様への参照が為され、それらの1つ以上の例が以下に説明される。各例は、本発明の説明の目的で提供され、本発明を限定するものとして提供されている訳ではない。実際、当業者には、本発明において、様々な修飾及び様々な変形が、本発明の範囲及び真意から逸脱することなしに為され得ることは明白であろう。
【0019】
本発明の理解を助けるために、この開示は「臨界濃度」を規定する。どのような透明剤についても、プラスチック製品のヘーズレベル(それは、ASTM D1003−00に規定されており、それに従って測定され得る)を、その製品における透明剤の濃度に対してプロットすることは可能である。この曲線は、典型的には、図1に示すが如くである。透明剤濃度が0%の対照ヘーズ(A)から始めると、ヘーズは、透明剤濃度が増加すると、減少を開始している。ヘーズは、使用量がこの特定の透明剤についての最適値に届いたときに最小値(B)に達する。濃度が増加し続けている場合には、ヘーズは「横ばいになる」か、又は、使用量が多すぎるときには増加し始める。結果として、この特定の透明剤は、その使用量が最適であるときに、プラスチック製品のヘーズを(A−B)だけ減少させる。
【0020】
「臨界濃度」は、ヘーズの減少がこれらの条件下で観測されるヘーズの全減少の2/3であるときの濃度、即ち、ヘーズが2(A−B)/3であるときの濃度である。この臨界濃度におけるプラスチック製品の臨界ヘーズは、当然、[A−(2A−B)/3]=[A+2B]/3である。それゆえ、「臨界濃度」は、透明剤の性能への特定の共添加剤の効果を表すのに非常に都合のよい方法である。
【0021】
例えば、図2は、Millad3988(登録商標)を用いて透明化した50milポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)プラックの、系中のMillad3988(登録商標)の濃度に対するヘーズを示している。この場合の対照ヘーズ(0%透明剤)は49(A=49)であり、透明剤の一般的傾向に従い、プラックのヘーズは、Millad3988(登録商標)の使用量が増加するときに減少し始める。最終的に、それは、濃度が2500乃至3500程度のときに約6.5(B=6.5)の最低ヘーズに達する。より多くのMillad(登録商標)が添加されると、ヘーズは増加し始める。このRCP樹脂中におけるMillad3988の臨界濃度は、透明化された製品のヘーズが[49+2*6.5]/3=20.7であるときの濃度であろう。図2では、20.7のヘーズの位置に水平線が引かれ、それは、1043ppmの使用量の位置でMillad3988のヘーズ曲線と交差している。結果として、1043ppmがこのRCP樹脂におけるMillad3988の臨界濃度であり、臨界ヘーズは20.7である。
【0022】
臨界ヘーズは、より低い費用が望まれる場合に、その透明剤について市場で現実的に許容され得るヘーズとして理解され得る。例えば、Millad3988(登録商標)は、2500ppmのときに6.5の最適ヘーズを与え、それは、透明性が極めて重要である多くの市場において望まれている。他方、20.7のヘーズは、費用がより大きな問題となり、この目的のためには1043ppmのMillad3988(登録商標)しか必要でない或る市場において許容され得る。これは、正に、本発明の価値の一例である。
【0023】
先の説明から、透明剤にはより低い臨界濃度が望まれることが分かる。というのは、それは、より少ない使用量で臨界ヘーズを達成するより有効な透明剤を示しているからである。それゆえ、透明剤の臨界濃度の減少を特定及び評価するのを助ける本発明が望ましい。このような技術は、より少ない透明剤で同じヘーズを達成するのを可能とし、それは大量に加工される場合に大いに望ましい。
【0024】
本発明は、ジベンジリデン系成核又は透明剤の低レベルな効力を、或る共添加剤を用いることによって改良するのを助ける。より分かり易く言えば、このような共添加剤は、透明剤の臨界濃度を低減するのを助け、透明剤が相当に良好な透明化機能をより低い濃度で達成するのを可能とする。少なくとも1つの例において、Millad3988(登録商標)の臨界濃度は、共添加剤を使用することによって、凡そ半分にまで削減された。この場合、545ppmのMillad3988(登録商標)は、共添加剤の助けと共に、1043ppmのMillad3988(登録商標)と同じ光学的性能を達成し得る。
【0025】
本発明は、共添加剤を用いて透明剤の低レベルな効力を増加させるか又は臨界濃度を低減させる方法及び組成物へと向けられている。1つ以上の共添加剤と1つ以上の成核又は透明剤を有するポリマー製品が製造されるかも知れない。また、成核及び透明剤に加え、共添加剤を用いて、ポリマー製品中の臨界濃度を低減させる方法も、ここに開示される。幾つかの適用では、ポリマー組成物は、300以上の平均分子量を有している共添加剤を提供されてもよい。本発明の他の適用では、400乃至10000000の平均分子量を有している共添加剤が提供される。更に、製造されるプラスチック又は高分子製品は、本発明の組成物を用いて、どのような公知の方法で構成されてもよい。本発明の一態様では、共添加剤は、0.02重量部以下の又は0.01以下の濃度で提供される。ジアセタール系透明剤は、幾つかの適用においては、0.15以下の使用レベルで提供されてもよい。エチレンオキシド(EO)のコポリマーなどの他の適用については、300乃至10000の平均分子量が用いられてもよく、任意に10乃至95%のEO百分率を有していてもよい。他の態様は、共添加剤として、300乃至5000の平均分子量を有しているポリカプロラクトンを使用してもよい。本発明の幾つかの適用は、共添加剤として、以下に記載するようなイオン性液体を用いてもよい。
【化7】

【0026】
ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は同一又は異なるアルキル基であり、アニオンAは、塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート及びメトサルフェートからなる群より選択される。
【0027】
本発明の更に他の適用において、加工は、射出成形、押出し成形、ブロー成形、熱成形、射出延伸ブロー成形、フィルムキャスティング又はフィルムブローイングの技術を用いて提供されてもよい。
【0028】
本発明の方法は、ジアセタール系透明剤の臨界濃度を、特定の適用に依存して、10%、20%、30%若しくは40%又はそれよりも多く低減させてもよい。
【0029】
本発明の少なくとも1つの適用は、ここに更に記載されるように、ブロックコポリマーを使用する。他の適用において、前記共添加剤の使用レベルは、100重量部のポリオレフィン樹脂に対して、約0.05重量部以下である。
【0030】
[熱可塑性ポリマー又はコポリマー]
ポリオレフィンは、家庭用品の容器、ボトル、カップ、注射器、パイプ、フィルムなどのような適用において、射出成形、押出しブロー成形、熱成形、キャスティングなどの様々な加工方法によって広く使用されている。多くの適用において、透明性又はシースルー能が望まれる。Millad3988(登録商標)のような透明剤は、これらの適用において使用されており、プラスチック製品に所望の光学的特性を与える。透明又は成核剤を用いる典型的なポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー(HPP)、ポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)、ポリプロピレン耐衝撃コポリマーである。Millad3988(登録商標)もまた、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び高密度ポリエチレンのような幾つかのポリエチレン樹脂を透明化する。
【0031】
本発明は、或る共添加剤を用いて、ソルビトール及びキシリトールのアセタール系透明剤の低レベルな効力を改良するか又は臨界濃度を低減する。多くの試験が様々な樹脂について為され、光学的特性の改良が観測された。
【0032】
[ジベンジリデンの誘導体]
当該透明剤は、一般式(I)を有しているソルビトール及びキシリトールのジアセタールを含んでいる。
【化8】

【0033】
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は同一又は異なっており、各々は、水素原子、1乃至8個の炭素原子を有しているアルキル基、1乃至4個の炭素原子を有しているアルコキシ基、1乃至4個の炭素を有しているアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1乃至6個の原子を有しているアルキルチオ基、1乃至6個の炭素原子を有しているアルキルスルホキシ基、又はその不飽和な母体環の隣接した複数の炭素原子と共に炭素環を形成する4若しくは5員アルキル基であり、nは0又は1を表している。nが1であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10が、C1-4アルキル、塩素、臭素、チオエーテル、及び不飽和な母体環の隣接した複数の炭素原子と共に炭素環を形成する4員アルキル基から選択される透明剤が特に重要である。特定の透明剤の例は、ジベンジリデンソルビトール、ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジエチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフチリデン)ソルビトール、ビス(トリメチルベンジリデン)キシリトール及びビス(トリメチルベンジリデン)ソルビトールを含んでいる。Kobayashiら,米国特許第4532280号及びKobayashiら,米国特許第4954291号などのように、置換及び未置換ベンズアルデヒドを含むアルデヒドの混合物を用いてつくられる化合物も、本発明の範囲内にある。
【0034】
当該透明剤は、一般式(II)を有しているソルビトール及びキシリトールのジアセタールも含んでいる。
【化9】

【0035】
ここで、Rは、アルケニル、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル及びハロアルキル並びにそれらの誘導体からなる群より選択され、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は同一又は異なっており、各々は、水素原子、1乃至8個の炭素原子を有しているアルキル基、1乃至4個の炭素原子を有しているアルコキシ基、1乃至4個の炭素を有しているアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1乃至6個の原子を有しているアルキルチオ基、1乃至6個の炭素原子を有しているアルキルスルホキシ基、又はその不飽和な母体環の隣接した複数の炭素原子と共に炭素環を形成する4若しくは5員アルキル基であり、nは0又は1を表している。Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アリル又はクロチルであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10が、C1-4アルキル、塩素、臭素、チオエーテル、及び不飽和な母体環の隣接した複数の炭素原子と共に炭素環を形成する4員アルキル基から選択される透明剤が特に重要である。特定の透明剤の例は、1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトール、1,3:2,4−ビス(3’−メチル−4’−フルオロ−ベンジリデン)−1−プロピル−ソルビトール、1,3:2,4−ビス(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフトアルデヒドベンジリデン)−1−アリル−キシリトール、ビス−1,3:2−4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1”−メチル−1−プロピル−ソルビトール及び1,3:2,4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−プロピル−キシリトールを含んでいる。
【0036】
[共添加剤]
様々な共添加剤が、本発明の実施において使用され得る。ここに記載する例及び表には、本発明の実施において使用され得る数個の共添加剤のみを載せており、本発明の実施及び範囲は、ここに列挙する種のみに限定される訳ではない。更に、使用され得る非常に多くの異なるDBS誘導体があり、本発明は、本発明の共添加剤の適用のための如何なる特定のDBS誘導体にも限定されない。
【0037】
本発明において、透明剤の低レベルな効力を改良するのに使用される共添加剤は、(a)ポリ(エチレングリコール)及びそれらの誘導体、例えば、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエステル、(b)エチレンオキシドのセグメントを含んでいるコポリマー、例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、ポリ(エチレングリコール)と他のポリマー、例えば、限定される訳ではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(ジメチルシロキサン)又はポリカプロラクトンとのブロックコポリマー、(c)ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アリルアルコール)、及び数個の例がポリ(スチレン−co−アリルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)及びポリ(ビニルアルコール−co−エチレン)であるポリ(ビニルアルコール)又はポリ(アリルアルコール)のブロックコポリマー、(d)ポリカプロラクトン誘導体、例えば、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、(e)脂肪族ジアルコール系及び脂肪族ジカルボン酸系ポリエステル、例えば、限定される訳ではないが、ポリ(エチレンアゼレート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(1,3−プロピレンスクシネート)、ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(ジ(エチレングリコール)アジペート)、(f)ポリカーボネート及び誘導体、例えば、ポリ(ポリテトラヒドロフランカーボネート)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(プロピレンカーボネート)、g)ポリアミン、例えば、ポリエチレンイミン、h)イミダゾール化学系イオン性液体、i)リチウム含有化合物、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ステアリン酸リチウム、乳酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム及び安息香酸リチウム、j)上記化合物のあらゆる混合物からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含んでいる。
【0038】
図2は、共添加剤を使用せずに標準加工条件下で射出成形された50milプラックの、Millad3988(登録商標)の添加レベルに対するヘーズのプロットを示している。標準加工条件は、a)全ての成分を強力ミキサ中で1分間混合すること、b)混合したパウダを、一軸スクリュー押出機を用いて約230℃で配合すること、c)配合した樹脂を50milプラックへと230℃及び2.4cc/秒の射出速度で成形すること、d)使用される樹脂はポリプロピレンランダムコポリマー,RCP SA849であることを意味している。標準加工条件下において、この樹脂中のMillad3988の臨界濃度は、上記の通り、1040ppmである。以下の例は、本発明がどのようにMillad3988の臨界濃度を低減するか、即ち、より少量のMillad3988で同じヘーズを達成可能とするかを実証している。
【0039】
[例1]
[RCP樹脂中におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのPEG3400]
この例においては、PEG3400を共添加剤として用いる。PEG3400は、ポリ(エチレングリコール)として化学的に知られ、3400は、この特定グレードの平均分子量を意味している。PEGの一般的な化学構造は、以下の通りである。
【化10】

【0040】
ここで、nは繰り返し単位である。nの値は、ポリマーの分子量を決定する。分子量が大きい場合、そのような構造は、ポリ(エチレンオキサイド)であるPEOとも称される。
【0041】
PEG3400を、或る所定の使用量のMillad3988(登録商標)と共に、50ppmで調合物に加えた。その後、この調合物のヘーズ特性を、同様の使用量で共添加剤なしのMillad3988と比較した。何れの調合物も、標準処理条件で処理した。図3は、2つの間の比較を示している。
【0042】
50ppmのPEG3400を用いたMillad3988(登録商標)は、試験された全ての使用量(500、750、1000及び1250ppm)においてMillad3988(登録商標)単独よりヘーズが小さい。500ppmのMillad3988(登録商標)では、ヘーズ減少は約12ヘーズ単位、750ppmのMillad3988(登録商標)では、ヘーズ減少は約11ヘーズ単位、1000ppmのMillad3988(登録商標)では、ヘーズ減少は約8ヘーズ単位、1250ppmのMillad3988(登録商標)では、ヘーズ減少は約1.5ヘーズ単位である。2ヘーズ単位の改善は、人間の目で分かる。僅か50ppmのPEG3400が用いられたということであれば、そのような改善は重要で予測されないものである。この新規な調合物、50ppmのPEG3400を用いたMillad3988(登録商標)についての臨界濃度は、計算に基づいて545ppmである。即ち、50ppmのPEG3400の助けを用いた545ppmのMillad3988(登録商標)は、20.7のヘーズを達成した。これは、単独で用いられた場合には、1043ppmのMillad3988で達成され得たのみである。1043ppmから545ppmへと、臨界濃度は48%減少している!
この例は1つの条件を用いており、それは標準条件と称される。これは、一例として挙げられており、本発明は、他の処理条件にも同様に適合する。例えば、この共添加剤調合物は、他の処理条件を同様としたまま、200℃のモールド温度でも試験されている。Millad3988(登録商標)についてのヘーズ減少の程度は、500ppmから1250ppmまでの使用量について同等である。強力な混合から弱い混合まで混合条件が変化した場合、この共添加剤調合物を用いることによるヘーズ減少の程度は、同程度に保たれる。
【0043】
Millad3988(登録商標)の低レベルな効力は、50ppmのPEG3400という非常に微量の共添加剤を用いてから、劇的に改善された。異なる分子量を有する幾つかのPEG又はPEOグレードもまた試験した。平均分子量が600以上のPEG又はPEO化合物については、それらは共添加剤としてよく作用して、Millad3988(登録商標)の低レベルな効力を改善したか又は臨界濃度を低減した。PEG1000(1000は、このPEGグレードの平均分子量をさす)は、Millad3988の低レベルな効力の改善に関して、PEG3400とほぼ同様である。何れも、試験されたグループのなかで最も優れている。
【0044】
[例2]
[RCP樹脂中におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのポリカプロラクトントリオール]
この例においては、Millad3988(登録商標)のための共添加剤としてポリカプロラクトントリオール(Mn=900)を用いて、その臨界濃度を低減した。ポリカプロラクトントリオールの一般的な化学構造は、下記の通りである。
【化11】

【0045】
ここで、m、n、pは、各ストランドについての繰り返し単位の数を表わし、同一でも異なっていてもよい。用いた特定のグレードの平均分子量は、約900g/molであり、室温で蝋質の材料である。60℃で予備加熱した後、50ppmのポリカプロラクトントリオールを、液体の調合物に加えた。共添加剤を用いた及び用いない両方のMillad3988(登録商標)を、一軸スクリュー押出機を用いて230℃で押出し、230℃でランダムプロピレンコポリマーRCP SA849に成型した。
【0046】
図4は、共添加剤としてのポリカプロラクトントリオール(Mn900)を用いない及び用いたMillad3988(登録商標)のヘーズ曲線を示している。それは、Millad3988(登録商標)についてのヘーズ特性の低レベルな効力を劇的に改善している。改善の程度は、例1で論じたPEG3400と同様である。この場合の臨界濃度の計算結果は、615ppmであった。即ち、50ppmのポリカプロラクトントリオール(Mn900)を用いた615ppmのMillad3988は、20.7ヘーズを達成し、これは、1043ppmのMillad3988(登録商標)を単独で用いることにより達成されたのみである。1043ppmから615ppmへと、臨界濃度は41%減少している。
【0047】
この共添加剤調合物は、他の処理条件を同様としたまま、200℃のモールド型温度でも試験されている。Millad3988(登録商標)についてのヘーズ減少の程度は、500ppmから1250ppmまでの使用量で類似している。
【0048】
異なる分子量を有するポリカプロラクトントリオール並びに異なる分子量を有する幾つかのポリカプロラクトンジオール及びテトラオールも、同様に試験した。それらの殆どは、共添加剤としてよく働き、Millad3988(登録商標)の低レベルな効力を改善した。このクラスの試験された全サンプルのなかで、ポリカプロラクトントリオール(Mn=900)及びポリカプロラクトンジオール(Mn=1250)は、最も優れていた。ポリカプロラクトンジオールの化学構造は、以下の通りである。
【化12】

【0049】
ポリカプロラクトンテトラオールの化学構造は、以下の通りである。
【化13】

【0050】
[例3]
[HPP樹脂中におけるMillad3988(登録商標)のため共添加剤としてのCleartint(登録商標)Red]
この例では、Cleartint(登録商標)Red及びそれに対応したカプラーを共添加剤として用いる。図5への参照が為される。
【0051】
Cleartint(登録商標)Redは、米国、サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken&Company社により生産及び製造されている着色剤製品である。1000ppmのCleartint(登録商標)Redをマスターバッチとして加え、ホバルト混合し、一軸スクリュー配合した。その後、調合物を230℃で成型した。この場合、ポリプロピレンホモポリマーをベース樹脂として用いた。Millad3988(登録商標)及び1000ppmのCleartint(登録商標)Redを共添加剤として用いたMillad3988(登録商標)のヘーズ曲線を図5に示す。Millad3988(登録商標)単独については、対照ヘーズA=56.2、最適ヘーズ=9.2、臨界ヘーズ=[56.2+2*9.2]/3=24.9である。臨界濃度は、図5に示すように1273ppmである。1000ppmのCleartint(登録商標)Redを共添加剤として用いたMillad3988(登録商標)の場合、臨界濃度は687ppmへと減少している。1000ppmのCleartint(登録商標)Redの助けで、687ppmが24.9の臨界ヘーズを達成しており、これは、1273ppmのMillad3988(登録商標)で達成されていた臨界ヘーズである。1273ppmから687ppmへと、それは臨界濃度における46%である!結果として、Millad3988(登録商標)の低レベルな効力は、Cleartint(登録商標)Redのような共添加剤を使用することによって大いに改善された。
【0052】
他の色のCleartint(登録商標)も試験した。それらは、Millad3988(登録商標)の低レベルな効力の改善又は臨界濃度の減少のための優れた共添加剤である。
【0053】
或る種の発色団がカプラー構造のベンゼン環に結合している場合には、ある種の色が得られ、これは以下に示される。ここで、“EO”はエチレンオキサイド部位を示し、“PO”はプロピレンオキサイド部位を示している。
【化14】

【0054】
しかしながら、窒素に結合した2つの部位は、R1及びR2としても示すことができ、ここで、R1及びR2は、独立して選択され、各々が1つ以上のEO又はPO基を含んでいる。
【0055】
カプラー自体も、Millad3988(登録商標)のための共添加剤として用いることができ、その低レベルな効力を改善するか又はその臨界濃度を低減する。多くのカプラーを試験し、それらの幾つかは、Cleartint(登録商標)Redの場合と同様に臨界濃度を低減した。
【0056】
[例4]
[RCP樹脂中におけるMillad3940(登録商標)のための共添加剤としてのポリカプロラクトントリオール]
この例は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂中におけるMillad3940(登録商標)のための共添加剤としてポリカプロラクトントリオール(Mn=900)を使用する。Millad3940(登録商標)は、Milliken&Comopany社の製品であり、1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)−ソルビトール、即ちMDBSとして化学的に知られている。ポリカプロラクトントリオールは、50ppmで調合物に導入された。ポリカプロラクトントリオールを用いた及び用いないMillad3940(登録商標)のヘーズ曲線を図6に示す。この場合、A=49.0、B=8.0、臨界ヘーズは[49.0+2*8.0]/3=21.7である。Millad3940(登録商標)の臨界濃度は936ppmである。50ppmのポリカプロラクトントリオール(Mn 900)の助けを用いて、臨界濃度は724ppmへと減少し、それは23%の削減である。結論として、ポリカプロラクトントリオールは、Millad3940(登録商標)の低レベルな効力を改善した。
【0057】
[例5]
[HPP樹脂中における1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトールのための共添加剤としてのCleartint(登録商標)Red]
この例は、HPP樹脂中の1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトールのための共添加剤としてCleartint(登録商標)Redを使用する。Cleartint(登録商標)Redは、サウスカロライナ州スパータンバーグのMilliken&Company社により製造及び販売されている高分子着色剤である。Cleartint(登録商標)Redをマスターバッチとして用い、最終使用量は1000ppmである。共添加剤を用いた及び用いない1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトールのヘーズ曲線を図7に示す。調合物に共添加剤が導入された後には、この透明剤の低レベルな効力が改善されることが明らかである。透明剤単独の臨界濃度は1908ppmであり、共添加剤の助けを用いると臨界濃度は1187ppmとなり、臨界濃度において38%の減少である。
【0058】
他の色のCleartint(登録商標)及びそれらのカプラーも試験した。その殆どは、共添加剤としてよく働いて、この透明剤について低レベルな効力を改善したか又は臨界濃度を低減した。
【0059】
[例6]
「RCP樹脂中におけるMillad3988(登録商標)のための他の共添加剤」
上述した例に加えて非常に多くの材料を試験し、その結果の幾つかを表1に纏める。RCP樹脂を用い、標準処理条件を使用して、ヘーズ測定用のプラスチック部品を作製した。表1中の全ての例について、試験を簡略にするため、Millad3988(登録商標)の1つの使用量のみを試験した。Millad3988(登録商標)を1000ppmに設定した。共添加剤の使用量を表に纏める。1000ppmのMillad3988(登録商標)及び共添加剤を用いた1000ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズ値を表に纏める。差を計算して同様に表に示す。負の値は、共添加剤の使用によるヘーズ減少を示し、それは望まれているものである。2以上のヘーズ減少は有意であると考えられ、6以上のヘーズ減少は大きい。前述の例1〜3に示されるように、共添加剤が1000ppmのMillad3988(登録商標)についてのヘーズを減らす場合、それらは、他の使用量、例えば500ppmから1250ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズも典型的に減らす。ここに挙げられたこれらの例について臨界濃度は計算されていないが、例1〜3における共添加剤と同様の結果(臨界濃度を減少する)が予測される。更に、そのような例は、他のDBS系透明剤への適用を制限しない。共添加剤が、他のDBS系透明剤についても臨界濃度を減少すること又は低レベルな効力を改善することは、例4及び5における共添加剤のように理論的に説明される。
【0060】
グループ1(No.I−1〜I−11)の共添加剤は、少なくとも1つのポリ(エチレングリコール)のブロックを含む(ポリエチレングリコール)ブロックコポリマーに基づき、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合体である。或る場合において、1つのクラスの種々の分子量を試験した。例えば、種々の分子量(600〜8,000,000)のポリ(エチレングリコール)を試験し、その全ては、1000ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズを減少する(同等又は5単位)のに優れている。PEG及びPPGの幾つかのブロック及びランダムコポリマー(種々の比及び分子量)を試験し、その2つを表1に纏める(No.I−8及びI−9)。試験されたPEG及びPPGの全てのブロック及びランダムコポリマーは、1000ppmのMillald3988(登録商標)のヘーズを低減するための非常に優れた共添加剤である。ポリ(ジメチルシロキサン)エトキシレート/プロポキシレートは、ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)のブロック共重合体であり、ヘーズの減少においてMillad3988(登録商標)のための非常に有効な共添加剤でもあり、それでポリ(エチレン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)である。ポリ(エチレングリコール)は官能部分と述べることができ、これはMillad3988(登録商標)のヘーズを低減する。結果として、エチレンオキサイドのセグメントを含む任意のコポリマーは同様の機能を有し、即ち、Millad3988(登録商標)のヘーズ又は臨界濃度を低減するのを予測することは、非常に理にかなっている。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

グループ2の共添加剤(No.2−1〜2−6)は、ポリ(エチレングリコール)誘導体である。そのようなものとして、以下のものに限定されないが、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエステルがある。例えば、ポリ(エチレングリコール)オレイルエーテル及びポリ(エチレングリコール)モノオレエートが共添加剤として試験され、1000ppmのMillad3988(登録商標)(5単位以上)について、ヘーズを減少させる上で非常に有効であった。本発明者らは、ポリ(エチレングリコール)化合物がキーパーツであり、Millad3988(登録商標)についてヘーズを減少させるものとして機能し、一部にポリ(エチレングリコール)を含む多くの化合物は、その臨界濃度を減少させるMillad3988(登録商標)のための良好な共添加剤であると考えている。ポリ(エチレングリコール)脂肪酸エーテル、ポリ(エチレングリコール)脂肪酸エステル、エチレンオキシド、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレートのセグメントを含む少なくとも1つのアームを有する燐酸エステルのような、類似の構造を有する他の物質が、Millad3988(登録商標)のヘーズを減少させるのに有効な共添加剤でもあることを予想することは、当業者にとって論理的である。
【0061】
グループ3の共添加剤(No.3−1〜3−3)は、ポリアルコール及びそのブロックコポリマーである。ポリ(ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)及びポリ(ビニルアルコール−co−エチレン)は、双方とも、ヘーズを減少させる上でMillad3988(登録商標)のための良好な共添加剤である。
【0062】
ポリスチレン−co−アリルアルコールもまた良好なものであり、ヘーズを6.4減少させる。ビニルアルコール又はアリルアルコールの1つ又はそれ以上のブロックを含むポリマー又はコポリマーが、比較的低い使用量で、その透明化機能を改善する上で、Millad3988(登録商標)にとって良好な共添加剤でもあることを予想することは、当業者にとって論理的である。
【0063】
グループ4の共添加剤(No.4−1〜4−10)は、ポリエステル及びその誘導体である。ポリカプロラクトン自体は、通常の共添加剤であり、ヘーズを2.7単位減少させる。一方、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール及びポリカプロラクトンテトラオールのような誘導体は、そのヘーズ性能を改善する上でMillad3988(登録商標)のための良好な共添加剤である。ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(エチレンジアジペート)等のような脂肪族ジアルコール及び脂肪族ジカルボン酸に基づくポリエステルについては、それらの多くは、1000ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズを減少させるのに非常に有効である。実施例2及び4は、ポリカプロラクトントリオール(Mn900)のより詳細な研究を示している。その誘導体と同様、ここに記載したこれらの化合物を含むコポリマーもまた、その低レベルを改善する上で、Millad3988(登録商標)のための良好な共添加剤であるという予想は納得できる。
【0064】
グループ5の共添加剤(No.5−1〜5−2)は、ポリカーボネート誘導体である。それらの中では、ポリ(ポリテトラヒドロフランカーボネート)ヂオールが最良であり、その低レベルの効果を改善する上で、Millad3988(登録商標)のための良好な共添加剤となろう。
【0065】
グループ6の共添加剤(No.6−1〜6−2)は、他の型のオリゴマー/ポリマーである。ポリエチレンイミン及びポリ[o−クレジルグリシジルエーテル)−co−ホルムアルデヒド]の双方が、1000ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズを減少させるのに有効である。
【0066】
グループ7の共添加剤(No.7−1〜7−5)は、低分子化合物である。リチウムを含有する化合物は、Millad3988(登録商標)のヘーズを約3単位減少させる。一般に、共添加剤がオリゴマー/ポリマーであるグループ1−6におけるほど、有効ではない。
【0067】
グループ8の共添加剤(No.8−1)は、Fluorad FC−430(フルオロケム社(Fluorochem Ltd.)から市販)のようなフッ素含有界面活性剤であり、1000ppmのMillad3988(登録商標)に対し、4ヘーズ単位を減少させる。
【0068】
グループ9の共添加剤(No.9−1〜9−2)は、イミダゾール化合物系のイオン性液体である。表には2つの例が示されており、そのうち良好なものである1−エチル3−メチルイミダゾリウムクロリドであり、1000ppmのMillad3988(登録商標)に対し、ヘーズを5ヘーズ減少させる。
【0069】
以上をまとめると、本発明者らは、ポリプロピレン樹脂におけるMillad3988(登録商標)のヘーズ性能を改善することを助けるための共添加剤として、多くの化合物を使用し得ることを見出した。その結果、Millad3988(登録商標)の低レベルの効果が劇的に改善され、臨界的濃度が大きく減少する。共添加剤を用いることによるそのようなかなりの改善は予想外のことであり、新規な発明と言える。多くの共添加剤の最適な使用レベルは、僅か50ppmであり、一方、10ppm〜100ppmの範囲が、多くの共添加剤についてかなり良好に作用する。
【0070】
[例7]
[LLDPE樹脂におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのPEG3400及びポリカプロラクトントリオール(mn900)]
本発明がポリプロピレン樹脂を対象とした実施例1−6に加えて、本発明は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のようなポリエチレン樹脂にも適用される。Dowlex2517は、市販されている周知のLLDPEグレードであり、ベース樹脂として採用された。Millad3988(登録商標)は透明剤であり、試験された共添加剤には、PEG3400、ポリカプロラクトントリオール(mn900)がある。標準の処理条件が使用され、光学特性を測定するために、50ミルの厚さの射出成形プラックが製造された。その結果を下記表2に示す。
【表2】

【0071】
表2の結果に基づき、Millad3988(登録商標)の使用量が1000ppmであるとき、共添加剤はまた、LLDPEにおけるMillad3988(登録商標)のヘーズを、5−7ヘーズ単位減少させるために使用することが出来る。ポリエチレン樹脂におけるMillad3988(登録商標)の低レベルの効果を改善するのに有効な共添加剤は、Millad3988(登録商標)が透明剤である場合に、ポリエチレン樹脂中で同一の作用を行なう上で効果的であろう。更に、これらの共添加剤は、ビス(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール及びベンジリデンソルビトールとの非対称ブレンドのような、ポリエチレン樹脂中の他のジアセタール系透明剤を助けることが予想される。
【0072】
[比較例1]
[RCP樹脂におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのポリ(プロピレングリコール)]
本例では、Millad3988(登録商標)のための共添加剤としてポリ(プロピレングリコール)(平均分子量は425)を使用した。共添加剤を用いない場合と用いた場合(使用量は20ppm〜1000ppmで様々)の1000ppmのMillad3988(登録商標)を、標準条件で処理した。ヘーズ性能を比較したところ、ポリ(プロピレングリコール)は、せいぜい2単位だけヘーズを減少させるに過ぎず、共添加剤の幾つかの使用量のものは、2単位未満、ヘーズを減少させるに過ぎない。この結果に基づき、PPGは、Millad3988(登録商標)のヘーズ性能を促進するために、有効な共添加剤ではない。
【0073】
[比較例2]
[RCP樹脂におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのポリ(オキシメチレン)]
本例では、Millad3988(登録商標)のための共添加剤として、あるグレードのポリ(オキシメチレン)を用いた。共添加剤を用いない場合と用いた場合(使用量は50ppm〜500ppmで様々)の1000ppmのMillad3988(登録商標)を、標準条件で処理した。ヘーズ性能を比較したところ、ポリ(オキシメチレン)は、全くヘーズを減少させず、実際、1000ppmのMillad3988(登録商標)の3単位以上、ヘーズを増加させる。
【0074】
例1と比較例1及び2とを組み合わせると、ポリエーテル化合物は、Millad3988(登録商標)のための共添加剤として全く作用しない。Millad3988(登録商標)のヘーズ特性を改善するために、ポリエチレングリコールは非常に有効であるが、ポリ(プロピレングリコール)は、実際に、Millad3988(登録商標)ののヘーズ特性を劣化させてしまう。
【0075】
[比較例3]
[RCP樹脂におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのドデシル硫酸ナトリウム、Tween80及びSpan80]
本例では、Millad3988(登録商標)のための共添加剤として、ドデシル硫酸ナトリウム、Tween80及びSpan80を用いた。共添加剤を用いない場合と用いた場合(使用量は50ppm)の1000ppmのMillad3988(登録商標)を、標準条件で処理した。ヘーズ性能を比較したところ、3つの共添加剤の全ては、1000ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズを変化させていない。これらの3つの物質は、良好な界面活性剤として知られており、明らかに、全ての良好な界面活性剤は、Millad3988(登録商標)のヘーズ特性を改善するための共添加剤として作用しない。
【0076】
[比較例4]
[RCP樹脂におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのポリ(ビニリデンフルオライド)]
本例では、Millad3988(登録商標)のための共添加剤として、ポリ(ビニリデンフルオライド)を用いた。共添加剤を用いない場合と用いた場合(使用量は50ppm〜500ppmで様々)の1000ppmのMillad3988(登録商標)を、標準条件で処理した。ヘーズ性能を比較したところ、ポリ(ビニリデンフルオライド)は、1000ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズを1単位以上増加させている。フッ素含有界面活性剤は、Millad3988(登録商標)のための良好な共添加剤として作用するが、このフッ素含有界面活性剤は、この点において全く作用しない。
【0077】
[比較例5]
[RCP樹脂におけるMillad3988(登録商標)のための共添加剤としてのポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)]
本例では、Millad3988(登録商標)のための共添加剤として、ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)を用いた。共添加剤を用いない場合と用いた場合(使用量は50ppm)の1000ppmのMillad3988(登録商標)を、標準条件で処理した。ヘーズ性能を比較したところ、両方の共添加剤は、1000ppmのMillad3988(登録商標)のヘーズを促進しなかった。多くのポリエステルは、Millad3988(登録商標)のための有効な共添加剤であり、ヘーズ性能を改善するが、これら2つの一般的ポリエステルは、本例においては、この点において作用しない。
【0078】
[結果のまとめ]
上に示す多くの例は、Millad3988(登録商標)及びポリプロピレン樹脂に焦点を当てているが、本発明は、他のジアセタール系透明剤、及び他の型のポリオレフィン樹脂に適用される。多くの良好な共添加剤が列挙され、それらの混合物、誘導体、及びそれらを含む共重合体が、ヘーズ性能を改善するか又はジアセタール系透明剤の臨界濃度を減少させる上で、同様に良好な共添加剤であることが論理的に予想される。
【0079】
ここでの議論は例示的態様の説明のみであり、より広い態様が例示的構成において具現されている、本発明のより広い態様を制限するものではないことは、当業者の一人により理解される。本発明は、例えば、請求の範囲において示される。
【0080】
[臨界濃度のテスト方法および臨海濃度の計算]
上で示した多くの例は、臨界濃度の概念、及び所定の共添加剤を用いることによるその減少について議論している。このテスト方法は、観察された臨界濃度の減少を決定する上で適用される。
【0081】
樹脂として、ポリプロピレンランダム共重合体、RCP SA849が用いられる。所定のジアセタール系透明剤及び所定の共添加剤について、この透明剤及び共添加剤の助けを伴う透明剤双方の臨界濃度を測定するために、以下の手順が使用されるであろう。
【0082】
I.標準の処理条件の下で、SA849中のこの透明剤のためのヘーズ曲線を作ること
(a)ヘンシェルミキサのような高強度ミキサを用いて1分間、共添加剤としてSA849フラフ、Irganox1010(推奨使用量:500ppm)及びIrgafos168(推奨使用量:1000ppm)、清浄剤としてステアリン酸カルシウム(推奨使用量:800ppm)、所定の使用量の透明剤の全ての成分を混合する。
【0083】
(b)次いで、30:7デルタプラスト(Deltaplast)押出機のような単軸スクリュー押出機を用いて、230℃で混合物を押出す。
【0084】
(c)次いで、得られたペレットを、40トンのアウブルグ(Auburg)成形機を用いて、2.4cc/sの射出速度、230℃の成形温度、21℃のモールド温度、及び高度に研磨されたモールドで、12枚の50ミルの厚さのプラックへと成形した。
【0085】
(d)12枚のプラックの全てのヘーズは、BYKガードナー(Gardner)ヘーズメーターのようなヘーズメーターを用いて読み出され、SA849中の透明剤のこの使用量についてのヘーズ値として、その平均がとられる。
【0086】
(e)工程(a)〜(d)を用いて、透明剤の様々な使用量、例えば、0ppm、500ppm、750ppm、1000ppm、2000ppm、2500ppm、3500ppm、5000ppm、7500ppm等がテストされ、それぞれの使用量のヘーズ値が測定され、図1におけるように、ヘーズ曲線が形成される。問題は、最大使用量が、ヘーズ曲線がこの透明剤の最適なヘーズである最小点を有するに十分に高いことを確実にすることである。
【0087】
II.上で形成したヘーズ曲線から透明剤の臨界濃度を得ること
(a)上で形成したヘーズ曲線から対照ヘーズ(A)及び最適ヘーズ(B)を読み取り、[AQ+2B/3]に等しい臨界ヘーズを計算する。
【0088】
(b)図1に示すように、ヘーズ曲線と交差するように臨界ヘーズに沿って水平線を引くと、交差点における濃度が臨界濃度である。この臨界濃度を“X”と呼ぶ。
【0089】
III.(1)で述べたのと全く同一の条件で共添加剤の助けによるMillad3988(登録商標)についてのヘーズ曲線を形成すること。唯一の相違は、それぞれの組成において所定量の共添加剤(例えば、50ppm)を含むことである。
【0090】
IV.IIと同一の工程を用いて、ヘーズ曲線から透明剤/共添加剤の臨界濃度を計算すること。Millad3988(登録商標)の臨界濃度は、“Y”と名づけられる。
【0091】
V.臨界濃度の変化のパーセントを計算すること。50ppmの共添加剤を用いることによる臨界濃度の減少パーセントは、[X−Y]/X*100%である。
【0092】
上述した例から、多くの例は50ppmで良く作用するが、100ppmのようなより高い使用量、Cleartint(登録商標)Redのように、1000ppmの使用量でさえも良く作用する。50ppmの場合、共添加剤は、Vからの結果に基づき、10%以上の臨界濃度を提供せず、この共添加剤は、それぞれ100ppm、250ppm、500ppm、1000ppmでもテストされるべきである。共添加剤が臨界濃度を10%以上減少させることを、全てのテスト結果が示さないならば、本発明者らは、この共添加剤が、この透明剤の低レベルの効果を改善する上で有効な共添加剤ではないと結論づける。一方、ある場合に、臨界濃度の減少が10%以上であれば、本発明者らは、この共添加剤が、この透明剤の低レベルの効果を改善する上で有効な共添加剤であると結論づける。本発明では、そのような透明剤をカバーしており、請求の範囲は、より詳細に示している。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】透明剤の典型的なヘーズ曲線(濃度に対するヘーズ)の概略図。
【図2】Millad3988(登録商標)を、ポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)樹脂中、標準加工条件のもと、様々な濃度で用いて透明化したプラスチック製品のヘーズを示すグラフ。
【図3】Millad3988(登録商標)及び共添加剤としてPEG3400(PEG3400の使用レベルは50ppm)を用いたMillad3988(登録商標)の、標準加工条件での、RCP樹脂中における性能を示す図。
【図4】Millad3988(登録商標)及び共添加剤(使用レベルは50ppm)としてポリカプロラクトントリオール(Mn900)を用いたMillad3988(登録商標)の、標準加工条件での、RCP樹脂中における性能を描いている図。
【図5】ポリプロピレンホモポリマー(HPP)樹脂中で、標準加工条件のもと、Millad3988(登録商標)のための共添加剤としてCleartint(登録商標)Red(使用レベル1000ppm)を用いた結果を図解している図。
【図6】Millad3940(登録商標)及び共添加剤として50ppmのポリカプロラクトンジオール(Mn900)を用いたMillad3940(登録商標)の、標準加工条件での、RCP樹脂中におけるヘーズ曲線を示している図。
【図7】は、1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトール及び共添加剤として1000ppmのCleartint(登録商標)Redを用いた1,3:2,4−ビス(4−エチルベンジリデン)−1−アリル−ソルビトールの、標準加工条件での、HPP樹脂中におけるヘーズ曲線を示している図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアセタール系透明剤の臨界濃度を10%以上低減するのに適合したプラスチック組成物の製造方法であって、
(a) 少なくとも1つのポリオレフィン樹脂を提供すること、
(b) 式(I):
【化1】

(ここで、Rは、水素原子、アルケニル、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル及びハロアルキルからなる群より選択され、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は同一又は異なっており、各々は、水素原子、1乃至8個の炭素原子を有するアルキル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1乃至4個の炭素を有するアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1乃至6個の原子を有するアルキルチオ基、1乃至6個の炭素原子を有するアルキルスルホキシ基、又はその不飽和である母体環の隣接する複数の炭素原子と共に炭素環を形成する4若しくは5員アルキル基の1つを表し得、nは0又は1を表す。)
により表される少なくとも1つのジアセタールを提供すること、
(c)ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)誘導体、エチレンオキシドのセグメントを含むコポリマー、ポリアルコール及びそれらの誘導体、ポリアルコールの少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマー、ポリカプロラクトン誘導体及びそれらのコポリマー、脂肪族ジアルコール系及び脂肪族ジカルボン酸系ポリエステル並びにそれらポリエステルのコポリマー、ポリカーボネート誘導体及びそれらのコポリマー、ポリエチレンイミン、及びイオン性液体からなる群より選択される少なくとも1つの共添加剤であって、平均分子量が300以上である共添加剤を提供すること、
(d) (a)、(b)及び(c)を組み合わせ、コンビネーションを形成すること、
(d) 前記コンビネーションを製品へと加工すること、
を含む製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン耐衝撃コポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンランダムコポリマー及びポリプロピレンホモポリマーからなる群より選択される少なくとも1つを含有する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記ジアセタールが、ジベンジリデンソルビトール、ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジクロロベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジエチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフチリデン)ソルビトール、ビス(トリメチルベンジリデン)キシリトール及びビス(トリメチルベンジリデン)ソルビトールからなる群より選択される少なくとも1つを含有する方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記ジアセタールが、ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール及びビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールからなる群より選択される少なくとも1つを含有する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記ジアセタール系透明剤の使用レベルが、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.15重量部以下である方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記共添加剤の使用レベルが、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.02重量部以下である方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記共添加剤の使用レベルが、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.01重量部以下である方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記ジアセタール系透明剤の使用レベルが、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.1重量部以下である方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記共添加剤の使用レベルが、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.02重量部以下である方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記共添加剤の使用レベルが、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.01重量部以下である方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が、ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択され、且つ、平均分子量が約400乃至約10000000である方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が、ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択され、且つ、平均分子量が約600乃至約10000である方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法を用いて製造された製品。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が、ポリ(エチレングリコール)誘導体、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルフェニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエステル、ポリ(エチレングリコール)グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(エチレングリコール)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ(エチレングリコール)ソルビトール脂肪酸エステル、及びエチレンオキシドのセグメントを含有する少なくとも1つのアームを含むリン酸エステルからなる群から選択され、該共添加剤の平均分子量が約300乃至約10000である方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が、エチレンオキシドのコポリマーであって、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムコポリマー、ポリエチレンとポリ(エチレングリコール)とのブロックコポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)とポリ(エチレングリコール)とポリ(プロピレングリコール)とのブロックコポリマーからなる群から選択され、前記コンビネーションの平均分子量が約300乃至約10000であり、前記エチレンオキシドの百分率が約10%乃至約95%である方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール及びポリカプロラクトンテトラオールからなるポリカプロラクトン誘導体からなる群より選択され、コンビネーションの平均分子量が約300乃至約5000である方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が、2乃至12個の炭素を有する脂肪族ジアルコール及び2乃至12個の炭素を有する脂肪族ジカルボン酸から製造されるポリエステルからなる群から選択され、該共添加剤が、ポリ(エチレンアゼレート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチルアジペート)、ポリ[ジ(エチレングリコール)アジペート]の1つから選択され、該共添加剤の平均分子量が約300乃至約5000である方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が、ポリエチレンイミン及びポリカーボネート誘導体からなる群から選択され、該共添加剤が、ポリ(ポリテトラヒドロフランカーボネート)ジオール及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)から選択され、コンビネーションの平均分子量が約300乃至約5000である方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤が下式:
【化2】

(ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は同一又は異なるアルキル基であり、アニオンAは、塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート及びメトサルフェートからなる群より選択される。)
により表される化合物からなる群より選択される方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、加工段階(d)に、射出成形、押出しブロー成形、熱成形、射出延伸ブロー成形、フィルムキャスティン及びフィルムブローイングから選択される技術が含まれる方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤によりジアセタール系透明剤の臨界濃度が20%超まで低減される方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤によりジアセタール系透明剤の臨界濃度が30%超まで低減される方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法であって、前記共添加剤によりジアセタール系透明剤の臨界濃度が40%超まで低減される方法。
【請求項25】
(a) 式(II):
【化3】

(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は同一又は異なっており、各々は、水素原子、1乃至8個の炭素原子を有するアルキル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1乃至4個の炭素を有するアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1乃至6個の原子を有するアルキルチオ基、1乃至6個の炭素原子を有するアルキルスルホキシ基、又はその不飽和である母体環の隣接する複数の炭素原子と共に炭素環を形成する4若しくは5員アルキル基を表し、nは0又は1を表す。)
により表される少なくとも1つのジアセタール、
(b) 少なくとも1つのポリ(エチレングリコール)のブロックを含むブロックコポリマー、ポリカプロラクトン誘導体及びそれらのコポリマー、ポリ(スチレン−co−アリルアルコール)、脂肪族ジアルコール系及び脂肪族ジカルボン酸系ポリエステル並びにそれらのコポリマー、ポリカーボネート誘導体及びそれらのコポリマー、ポリエチレンイミン、及びイミダゾール系イオン性液体からなる群より選択される少なくとも1つの共添加剤、
を含有する組成物であって、該共添加剤の平均分子量が約300である組成物。
【請求項26】
請求項25に記載の組成物を含有する製品。
【請求項27】
請求項25に記載の組成物であって、前記共添加剤が(1)ポリ(エチレングリコール)の少なくとも1つのブロックを含む基、及び(2)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン又はポリ(ジメチルシロキサン)の少なくとも1つのブロックを含む基、からなる群から選択される少なくとも1つのブロックコポリマーを含有し、該組成物における共添加剤の平均分子量が約300乃至10000である組成物。
【請求項28】
請求項25に記載の組成物であって、ポリ(スチレン−co−アリルアルコール)、ポリエチレンイミン、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール及びポリカプロラクトンテトラオールからなる群より選択される少なくとも1つを含有し、前記共添加剤の平均分子量が約300乃至約5000である組成物。
【請求項29】
請求項25に記載の組成物であって、前記共添加剤が、2乃至12個の炭素を有する脂肪族ジアルコール及び2乃至12個の炭素を有する脂肪族ジカルボン酸から製造されるポリエステルからなる群より選択される少なくとも1つを含有し、該共添加剤の平均分子量が約300乃至約5000である組成物。
【請求項30】
請求項25に記載の組成物であって、前記共添加剤が、ポリカーボネート及び誘導体、ポリ(テトラヒドロフランカーボネート)ジオール及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオールからなる群より選択される少なくとも1つであり、該共添加剤の平均分子量が約300乃至約5000である組成物。
【請求項31】
請求項25に記載の組成物であって、前記共添加剤が下記式:
【化4】

(ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は同一又は異なるアルキル基であり、アニオンAは、塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート及びメトサルフェートからなる群より選択される。)
により表される基から選択される少なくとも1つを含有する組成物。
【請求項32】
(a) 式(I):
【化5】

(ここで、Rは、アルケニル、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル及びハロアルキル、並びにこれらの誘導体からなる群より選択され、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は同一又は異なっており、各々は、水素原子、1乃至8個の炭素原子を有するアルキル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1乃至4個の炭素を有するアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1乃至6個の原子を有するアルキルチオ基、1乃至6個の炭素原子を有するアルキルスルホキシ基、又はその不飽和である母体環の隣接する複数の炭素原子と共に炭素環を形成する4若しくは5員アルキル基の1つから選択され得、nは0又は1を表す。)
により表される少なくとも1つのジアセタール、
(b) ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)誘導体、エチレンオキシドのセグメントを含むコポリマー、ポリアルコール及びそれらの誘導体、ポリアルコールの少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマー、ポリカプロラクトン誘導体及びそれらのコポリマー、脂肪族ジアルコール系及び脂肪族ジカルボン酸系ポリエステル並びにそれらポリエステルのコポリマー、ポリカーボネート誘導体及びそれらのコポリマー、ポリエチレンイミン、及びイオン性液体からなる群より選択される少なくとも1つの共添加剤、
を含有する組成物であって、前記共添加剤の平均分子量が約300以上である組成物。
【請求項33】
請求項32に記載の組成物であって、前記共添加剤が更にポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエステル、エチレンオキシドのセグメントを含むコポリマー、ポリ(スチレン−co−アリルアルコール)、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、ポリ(エチレンアゼレート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチルアジペート)、ポリ[ジ(エチレングリコール)アジペート]、ポリエチレンイミン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド及び1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリドからなる群より選択され、更に該共添加剤の平均分子量が約300乃至約10000である組成物。
【請求項34】
(a) 少なくとも1つのポリオレフィン樹脂、
(b) 組成物中に前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し約0.2重量部以下の濃度において提供される少なくとも1つのジアセタール系透明剤、及び
(c) ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)誘導体、エチレンオキシドのセグメントを含むコポリマー、ポリアルコール及びそれらの誘導体、ポリアルコールの少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマー、ポリカプロラクトン誘導体及びそれらのコポリマー、脂肪族ジアルコール系及び脂肪族ジカルボン酸系ポリエステル並びにそれらポリエステルのコポリマー、ポリカーボネート誘導体及びそれらのコポリマー、ポリエチレンイミン、及びイオン性液体からなる群より選択される少なくとも1つの共添加剤、
を含有する組成物であって、
(d) 前記共添加剤の平均分子量が約300以上であり、
(e) 前記共添加剤の使用レベルが前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し約0.05重量部以下である組成物。
【請求項35】
請求項34に記載の組成物であって、ジアセタール系透明剤及び共添加剤の使用レベルの合計が、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し約0.05重量部以下である組成物。
【請求項36】
請求項34に記載の組成物であって、ジアセタール系透明剤及び共添加剤の使用レベルの合計が、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.18重量部以下である組成物。
【請求項37】
請求項34に記載の組成物であって、ジアセタール系透明剤及び共添加剤の使用レベルの合計が、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.15重量部以下である組成物。
【請求項38】
請求項34に記載の組成物であって、ジアセタール系透明剤及び共添加剤の使用レベルの合計が、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.12重量部以下である組成物。
【請求項39】
請求項34に記載の組成物であって、ジアセタール系透明剤及び共添加剤の使用レベルの合計が、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.1重量部以下である組成物。
【請求項40】
請求項34に記載の組成物であって、ジアセタール系透明剤及び共添加剤の使用レベルの合計が、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.08重量部以下である組成物。
【請求項41】
請求項34に記載の組成物であって、ジアセタール系透明剤及び共添加剤の使用レベルの合計が、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.06重量部以下である組成物。
【請求項42】
請求項34に記載の組成物であって、前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン耐衝撃コポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する組成物。
【請求項43】
請求項34に記載の組成物であって、前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンランダムコポリマー及びポリプロピレンホモポリマーから選択される少なくとも1つを含有する組成物。
【請求項44】
請求項34に記載の組成物であって、前記ジアセタールが、ジベンジリデンソルビトール、ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジクロロベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジエチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフチリデン)ソルビトール、ビス(トリメチルベンジリデン)キシリトール及びビス(トリメチルベンジリデン)ソルビトールからなる群より選択される少なくとも1つである組成物。
【請求項45】
請求項34に記載の組成物であって、前記ジアセタールが、ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール及びビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールからなる群より選択される少なくとも1つである組成物。
【請求項46】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤がポリ(エチレングリコール)からなる群から選択され、且つ平均分子量が約400乃至10000000である組成物。
【請求項47】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤がポリ(エチレングリコール)からなる群から選択され、且つ平均分子量が600乃至10000である組成物。
【請求項48】
請求項34に記載の組成物から製造された製品。
【請求項49】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤がポリ(エチレングリコール)であり、該組成物の平均分子量が300乃至10000である組成物。
【請求項50】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤がエチレンオキシドのセグメントを含むコポリマーである組成物。
【請求項51】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤が、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール及びポリカプロラクトンテトラオールからなる群より選択され、該組成物の平均分子量が約300乃至約10000である組成物。
【請求項52】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤が、2乃至12個の炭素を有する脂肪族ジアルコール及び2乃至12個の炭素を有する脂肪族ジカルボン酸から製造されるポリエステルからなる群から選択される組成物。
【請求項53】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤が、ポリエチレンイミン、ポリカーボネート、ポリ(ポリテトラヒドロフランカーボネート)ジオール及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオールからなる群から選択される組成物。
【請求項54】
請求項34に記載の組成物であって、前記共添加剤が、式II:
【化6】

(ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は同一又は異なるアルキル基であり、アニオンAは、塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート又はメトサルフェートから選択される。)
により化合物からなる群から選択される組成物。
【請求項55】
(a) 少なくとも1つのポリオレフィン樹脂、
(b) 少なくとも1つのジアセタール系透明剤、及び
(c) ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)誘導体、エチレンオキシドのセグメントを含むコポリマー、ポリアルコール及びそれらの誘導体、ポリアルコールの少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマー、ポリカプロラクトン誘導体及びそれらのコポリマー、脂肪族ジアルコール系及び脂肪族ジカルボン酸系ポリエステル並びにそれらポリエステルのコポリマー、ポリカーボネート誘導体及びそれらのコポリマー、ポリエチレンイミン、及びイオン性液体からなる群より選択される少なくとも1つの共添加剤、
を含有する組成物であり、該共添加剤が約300以上の平均分子量を示す組成物。
【請求項56】
請求項55に記載の組成物であり、前記ジアセタール系透明剤の使用レベルが前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.05乃至1重量部である組成物。
【請求項57】
請求項55に記載の組成物であり、前記共添加剤の使用レベルが前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し0.001乃至0.2重量部である組成物。
【請求項58】
請求項55に記載の組成物を含有する製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−528759(P2008−528759A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553190(P2007−553190)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/002559
【国際公開番号】WO2006/083640
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】