説明

共焦点顕微鏡、及び焦点位置調整方法

【課題】簡便に焦点位置を調整することができる共焦点顕微鏡、及び焦点位置調整方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様にかかる共焦点顕微鏡は、光源11と、光源11からの光を試料に集光する対物レンズを有する共焦点光学系30と、共焦点光学系30を介して検出する光検出器20と、対物レンズ16の瞳の位置の近傍、又は瞳と共役な位置の近傍に挿脱可能に配置され、光源11から試料17に向かう光を拡散する拡散板12と、拡散板12が光路中に挿入された状態で、対物レンズ16の焦点位置と試料17との相対位置を光軸方向に変化させる焦点位置変化手段と、と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共焦点顕微鏡、及び焦点位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、共焦点顕微鏡が広く利用されている(特許文献1〜4)。特許文献1のレーザ共焦点顕微鏡では、スリット光路内に拡散板を入れている。こうすることで、スリットの長手方向の開口数NAを大きくすることができ、測定分解能を向上させている。また、特許文献2では、ピンホールの大きさを可変としている。特許文献3、4では、レーザ光のスポットを調整するための可変絞りが設けられている。
【0003】
共焦点顕微鏡では、合焦点位置において、光検出器の受光量が最も高くなる。対物レンズと試料との距離を変化させて、対物レンズの焦点位置を試料に合わせる必要がある。共焦点顕微鏡では、試料の高さが対物レンズの焦点位置から大きくずれると、画像が真っ暗になってしまう。このとき、試料と対物レンズの距離を少々ずらしても、真っ暗な画像のまま変化しない。そのため、どちらの方向に焦点がずれているか即座に判断することができない。すなわち、対物レンズと試料を遠ざける方向にずらした場合でも、近づける方向にずらした場合でも、検出器の受光量がほとんど0のまま変化しない。このため、対物レンズと試料との距離を少々ずらしても、どちらの方向が合焦点位置に向かう方向かを判断することができない。従って、合焦点位置を探すのに要する時間が長くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−188301号公報(段落0025)
【特許文献2】特開2006−235420号公報
【特許文献3】特開2006−84690号公報
【特許文献4】特開2006−78722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の共焦点顕微鏡では、焦点位置が試料の高さから大きくずれた場合に、焦点位置の調整に要する時間が長くなるという問題点がある。特に、高倍率でNAが大きい対物レンズを用いた場合、焦点深度が浅くなる。このため、焦点位置の調整に要する時間が長くなってしまう。例えば、低倍率、低NAで焦点深度の深い対物レンズで焦点合わせを行った後、高倍率、高NAで、焦点深度の浅い対物レンズに切り替えることも可能である。しかしながら、対物レンズによって、焦点位置が微妙に異なることがある。このため、対物レンズを切り替えると、焦点位置調整を再度行う必要がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡便に焦点位置を調整することができる共焦点顕微鏡、及び焦点位置調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る共焦点顕微鏡は、光源と、前記光源からの光を試料に集光する対物レンズを有する共焦点光学系と、前記共焦点光学系を介して光を検出する光検出器と、前記対物レンズの瞳の位置の近傍、又は前記瞳と共役な位置の近傍に挿脱可能に配置され、前記光源から前記試料に向かう光を拡散する拡散部材と、前記拡散部材が光路中に挿入された状態で、前記対物レンズに対する前記試料の相対位置を光軸方向に変化させる焦点位置変化手段と、を備えたものである。これにより、試料上でのスポットが大きくなるため、合焦点位置からずれた場合でも、光検出器が光を受光する。よって、簡便に焦点位置を調整することができる。
【0008】
なお、上記の共焦点顕微鏡において、前記拡散部材の拡散度を可変としてもよい。これにより、適切な光量で焦点位置を調整することができる。また、前記拡散部材が光路中に挿入された状態では前記光路中から取り除かれた状態よりも、前記光源の出力を高くなるようにしてもよい。これにより、必要な光量を確保することができる。
【0009】
本発明に係る焦点位置調整方法は、共焦点光学系を有する共焦点顕微鏡において焦点位置を調整する焦点位置調整方法であって、光源から試料までの光路中に挿脱可能に配置された拡散部材に前記光源からの光を入射させるステップと、前記拡散部材で拡散されて前記試料に向かう光を前記共焦点光学系の対物レンズによって集光するステップと、前記対物レンズで集光された光を前記試料に照射するステップと、前記共焦点光学系を介して光を検出するステップと、検出された光に応じて、前記対物レンズに対する前記試料の相対位置を光軸方向に変化させて、焦点位置を調整するステップと、を備えるものである。これにより、試料上でのスポットが大きくなるため、合焦点位置からずれた場合でも、光検出器が光を受光する。よって、簡便に焦点位置を調整することができる。
【0010】
なお、上記の焦点位置調整方法において、前記拡散部材の拡散度を可変としてもよい。これにより、適切な光量で焦点位置を調整することができる。なお、上記の焦点位置調整方法において、前記拡散部材が光路中に挿入された状態では前記光路中から取り除かれた状態よりも、前記光源の出力を高くするようにしてもよい。これにより、必要な光量を確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に焦点位置を調整することができる共焦点顕微鏡、及び焦点位置調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る共焦点顕微鏡の構成を示す図である。
【図2】拡散板を光路中から取り除いた状態における、照明光と高さの関係を示すグラフである。
【図3】拡散板を光路中に挿入した状態における、照明光と高さの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0014】
本実施形態にかかる共焦点顕微鏡について図1を用いて説明する図1は、共焦点顕微鏡の全体構成を示す図である。図1に示すように、共焦点顕微鏡1は、光源11と、拡散板12と、共焦点光学系30と、光検出器20と、ステージ31とを備えている。なお、本実施の形態では、光源11をレーザダイオード等のレーザ光源とし、共焦点顕微鏡1がレーザ共焦点顕微鏡であるとして説明する。共焦点光学系30は、レンズ13と、レンズ14と、ビームスプリッタ15と、対物レンズ16と、レンズ18と、ピンホール19とを備えている。なお、以下の説明において、光学系の光軸方向をZ方向とし、光軸と垂直な方向をXY方向とする。
【0015】
光源11は、試料17を照明するためのレーザ光を出射する。このレーザ光が、共焦点光学系30を伝播して、試料17に入射する。そして、試料17で反射した反射光が共焦点光学系30を伝播して、光検出器20に入射する。試料17は、ステージ31上に載置されている。ステージ31は、例えば、XYZの可動ステージである。従って、ステージ31を駆動することで、試料17の照明位置を変化することができる。さらに、ステージ31をZ方向(光軸方向)に駆動することで、共焦点光学系30に設けられた対物レンズ16と試料17との距離が変化する。これにより、焦点位置調整を行うことができ、試料17を合焦点位置にすることができる。
【0016】
レーザ光の光路中には、拡散板12が挿脱可能に設けられている。拡散板12を矢印方向にスライド移動することで、拡散板12が光路中に挿入された状態と、拡散板12が光路中から取り除かれた状態とを、切り替えることができる。拡散板12は、例えば、摺りガラスであり、入射光を拡散する。これにより、レーザ光の拡がり角度が大きくなる。また、拡散板12は、互いに平行な光入射面と光出射面を有し、光入射面及び光出射面が光軸と直交するように配置される。本実施の形態では、対物レンズ16の焦点位置が、試料17から大きくずれた場合、拡散板12を光路中に挿入する。そして、拡散板12を挿入した状態で、焦点位置合わせを行う。焦点位置合わせが終了した後、拡散板12を光路中から取り除いて、共焦点観察を行う。
【0017】
次に、共焦点光学系30の具体的な構成に付いて説明する。以下の説明では、拡散板12が光路上から取り除かれており、かつ、試料17が対物レンズ16の合焦点位置にあるとして説明を行う。光源11からのレーザ光は、レンズ13、及びレンズ14で屈折されて、ビームスプリッタ15に入射する。ビームスプリッタ15は、例えばハーフミラーであり、入射光のほぼ半分を透過する。ビームスプリッタ15を通過したレーザ光は、対物レンズ16に入射する。対物レンズ16を入射したレーザ光を集光して、試料17に照射する。試料17と光源11とは、互いに共役な位置に配置されている。これにより、光源11からのレーザ光が、試料17上に結像する。すなわち、光源11が点光源であるとすると、試料17には、点状のスポットが形成される。
【0018】
試料17に入射した入射光の一部は反射して、対物レンズ16に入射する。試料17から対物レンズ16に入射した反射光は、ビームスプリッタ15までレーザ光と共通の光路を伝播していく。すなわち、試料17で反射した反射光は、対物レンズ16で屈折して、ビームスプリッタ15に入射する。ビームスプリッタ15は、入射した反射光のほぼ半分をレンズ18の方向に反射する。レンズ18は、反射光をピンホール19に集光する。レンズ18は、結像レンズであり、試料17の像をピンホール19上に結像する。合焦点位置の場合、試料17とピンホール19とが共役な結像関係になっている。ピンホール19の中央には、集光された反射光が通過するための孔が形成されている。そして、ピンホール19の孔を通過した反射光が光検出器20に入射する。このように、光検出器20は、共焦点光学系30を介して、試料17からの反射光を検出する。
【0019】
光検出器20は、例えば、フォトダイオード等の光検出器20であり、入射した光の強度に応じた検出信号を出力する。すなわち、受光量に応じた検出信号が光検出器20から出力される。この検出信号が、図示しない処理装置に入力される。また、ステージ31をXY方向(光軸と垂直な方向)に駆動することによって、試料17上の異なる位置を照明することができる。これにより、処理装置に設けられたモニターが、試料17の共焦点画像を表示する。このようにして、共焦点観察を行う。なお、光検出器20を点状の受光領域を有する光検出器として、光検出器20を試料17と共役な位置に配置しても良い。この場合、ピンホールを省略することができる。
【0020】
ここで、焦点位置が試料17の高さから大きくずれた場合、拡散板12を光路中に挿入して、焦点位置合わせを行う。焦点位置合わせを行う場合、試料17が載置されたステージ31をZ方向(光軸方向)に沿って移動する。このようにすることで、試料17と対物レンズ16との距離が変化するため、焦点位置合わせを行うことができる。すなわち、焦点位置を調整する場合、対物レンズ16に対して試料17を遠ざける、あるいは近づける方向に移動する。そして、光検出器20の受光量が最も高くなる位置を合焦点位置とする。
【0021】
拡散板12は、対物レンズ16の瞳の位置(対物レンズ16の絞りの像の位置)と共役な位置に配置されている。このようにすることで、試料17上での照明光のスポットサイズが大きくなる。照明光のスポットサイズを大きくすると、コンフォーカリティを低下させることができる。従って、試料17が対物レンズ16の焦点位置からずれていたとしても、若干の光が光検出器20に入射する。この状態において、試料17と対物レンズ16の距離を変化させると、光検出器20の受光量が変化する。よって、光検出器20の受光量に応じて、試料17をZ方向に移動することで、焦点位置合わせを行うことができる。すなわち、受光量が高くなる方向に、ステージ31を駆動する。そして、受光量が最も高くなった位置を合焦点位置として、ステージ31を停止する。
【0022】
例えば、Z方向における焦点位置と光検出器20の受光量の関係は、図2、及び図3に示すようになる。図2は、拡散板12を取り除いた状態の関係を示す図であり、図3は、拡散板12を挿入した状態を示す図である。図2、及び図3において、横軸は、Z方向の位置zを示し、縦軸は光検出器20の受光量Iを示す。図2、図3に示すように、合焦点位置(Z=0)で最も受光量が高くなり、合焦点位置から離れるにつれて、受光量が低くなっていく。図2に示すように、拡散板12が無い状態では、合焦点位置をピーク位置とする急峻なピークになっている。従って、合焦点位置から大きくずれた位置Aでは、受光量がほぼ0となる。位置Aでは、焦点位置を多少ずらしても、受光量がほぼ0のまま変化しない。このため、合焦点位置に向かう方向(−Z方向)に、試料17を移動しているか判断することができず、焦点位置調整に要する時間が長くなってしまう。
【0023】
一方、拡散板12がある状態では、ピーク位置は同じであるが、ピークがなだらかになる。従って、合焦点位置から大きくずれた位置Aがブロードなピークの裾野となり、位置Aにおいても、ある程度の受光量がある。位置Aから焦点位置をずらすと、受光量が変化する。受光量が増加する方向(−Z方向)に、試料17を移動することで、合焦点位置に近づけることができる。合焦点位置に近づく方向を確実に判別することができる。これにより、焦点調整に要する時間を短縮することができる。そして、合焦点位置、あるいはその近傍となったら、拡散板12を光路中から取り除いて観察を行う。もちろん、拡散板12を取り除いた後で、光検出器20の検出信号に応じて焦点位置を微調整してもよい。このように、拡散板12を用いることで、簡便に焦点位置を調整することができる。
【0024】
なお、拡散板12を挿入することで、合焦点位置(ピーク位置)の近傍における強度が低下する。そのため、拡散板12を挿入した状態では、光源11の出力を高くすることが好ましい。拡散板12を挿入した状態の光源11の出力を、拡散板12を取り除いた状態の光源11の出力よりも高くする。このようにすることで、輝度の低下を防止することができる。これにより、必要な受光量を確保することができる。例えば、光源11として、レーザダイオードを用いる場合、レーザダイオードに供給する電流を高くする。これにより、光源11の出力を高くすることができる。
【0025】
本実施の形態では、拡散板12を対物レンズ16の瞳と共役な位置に配置している。こうすることで、対物レンズ16の瞳から光があふれ出ることによる光量のロスを低減することができる。すなわち、拡散板12によって角度が拡がっても、対物レンズ16の絞りを通過する光量の低下を防ぐことができる。さらに、拡散板12を用いることで、出し入れするための機構に必要な再現性を緩和することができる。すなわち、再現性よく拡散板12を出し入れしなくてもよいため、拡散板12を出し入れする機構を簡素化することができる。例えば、Z方向と垂直な方向において、拡散板12の位置が多少ずれていても、受光量にほとんど変化がない。また、拡散板12の挿入角度がずれていても、すなわち、拡散板12の入射面が光軸と垂直でなくても、受光側のスポットは動かない。よって、反射光が、ピンホール19を通過して光検出器20に入射するため、光量の低下を防ぐことができる。このようにすることで、必要な受光量を確保することができ、速やかに焦点調整を行うことができる。なお、上記の説明では、拡散板12をスライド移動させたが、拡散板12を移動させる機構は特に限定されるものではない。例えば、回転駆動することによって拡散板12を光路に出し入れしても良い。拡散板12を機械的に駆動するだけで、焦点位置を調整するモードと、共焦点観察を行うモードを切り替えることができる。よって、構成を簡素化することができる。
【0026】
ここで、拡散板12には、対物レンズ16の瞳と共役な位置に配置している。なお、拡散板12は、対物レンズ16の瞳の位置に配置してもよい。また、瞳の位置、あるいは瞳と共役な位置と完全に一致していなくてもよく、瞳の位置、又は瞳と共役な位置の近傍であってもよい。すなわち、拡散板12は、瞳の位置の近傍に配置してもよく、あるいは、瞳と共役な位置の近傍に配置しても良い。ここで、瞳の位置の近傍とは瞳の位置を含むものであり、瞳と共役な位置の近傍とは、瞳と共役な位置を含むものである。また、瞳の位置には、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナー、AOD(音響光学素子)などの光走査手段や他の光学素子が配置されることが多い。このような場合、拡散板12を瞳と共役な位置の近傍に配置することが好ましい。
【0027】
焦点位置を調整する状態に応じて、拡散板12の拡散度を変えてもよい。例えば、拡散度の異なる拡散板12を複数用意して、それを切り替えるようしてもよい。あるいは、一枚の拡散板において、拡散度の異なる部分を設けてもよい。XY方向に、拡散板の挿入位置をずらすことで、拡散度を変えることができる。具体的には、第1の拡散度を有する第1の領域と、第2の拡散度を有する第2の領域とを、1枚の拡散板12に設ける。そして、拡散板において光が通過する位置をXY方向にずらす。こうすることで、光が通過する領域を、第1の領域から第2の領域に切り替えることができる。よって、拡散度を変えることができる。あるいは、拡散板12の位置に応じて、拡散度を連続的、又は段階的に変化させても良い。また、挿入する拡散板12の数を増やしてもよい。例えば、同一、あるいは異なる拡散度を有する拡散板12を複数用意する。拡散度を低くしたい場合、1枚の拡散板12を挿入し、拡散度を高くしたい場合、2枚以上の拡散板12を挿入する。このようにすることで、拡散板12の拡散度を可変とすることができる。観察する試料17に応じて、拡散度を変えることができ、適切な光量で焦点位置調整を行うことができる。
【0028】
上記の構成では、焦点位置調整のため、対物レンズを切り替えなくてもよい。例えば、対物レンズ毎に合焦点位置が微妙に異なると、対物レンズを切り替えることで焦点位置がずれてしまう。従来の共焦点顕微鏡のように、低倍率、低NAで焦点深度の深い対物レンズで焦点位置合わせを行った後、高倍率、高NAで焦点深度の浅い対物レンズに切り替えると、再度の焦点位置合わせが必要となってしまう。このため、対物レンズを切り替える構成では、焦点位置調整に要する時間が長くなってしまう。また、対物レンズを切り替える構成が必要となってしまう。しかしながら、本実施の形態の構成によって、対物レンズを切り替える必要がなくなり、簡便に焦点位置調整を行うことができる。
【0029】
上記の構成では、焦点深度の浅い対物レンズを用いた場合でも、速やかに焦点位置を調整することができる。さらに、共焦点光学系と共通の対物レンズを用いた非共焦点光学系(ノンコンフォーカル光学系)を別途設けなくてもよい。これにより、装置の光学系を簡素化することができる。なお、上記の説明では、試料17からの反射光を検出したが、試料17で発生する蛍光等を検出しても良い。
【0030】
本実施の形態に係る焦点位置調整方法は、特に、レーザ共焦点顕微鏡に好適である。レーザ共焦点顕微鏡では、点光源となるレーザ光源を用いているため、照明光学系にピンホールやスリットが不要となる。一方、ランプ光源等を用いた共焦点顕微鏡では、照明側にピンホールやスリットを用いているため、このピンホール等を光路中から取り除くことができる。ピンホール等を取り除くと、試料上における照明光のスポットが大きくなる。容易に焦点位置合わせを行うことができる場合もある。一方、レーザ共焦点顕微鏡では、ピンホール等が存在しないため、照明側から取り除いて、スポット径を広げることができない。よって、レーザ共焦点顕微鏡では、拡散板12を挿脱可能に配置することが、特に有効である。なお、上記のレーザ顕微鏡では、焦点位置調整のため、ステージ31で試料17を移動したが、対物レンズ16を移動しても良い。すなわち、試料17と対物レンズ16とを相対位置を変化できる構成であればよい。
【符号の説明】
【0031】
1 共焦点顕微鏡
11 光源
12 拡散板
13 レンズ
14 レンズ
15 ビームスプリッタ
16 対物レンズ
17 試料
18 レンズ
19 ピンホール
20 光検出器
30 共焦点光学系
31 ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を試料に集光する対物レンズを有する共焦点光学系と、
前記共焦点光学系を介して光を検出する光検出器と、
前記対物レンズの瞳の位置の近傍、又は前記瞳と共役な位置の近傍に挿脱可能に配置され、前記光源から前記試料に向かう光を拡散する拡散部材と、
前記拡散部材が光路中に挿入された状態で、前記対物レンズに対する前記試料の相対位置を光軸方向に変化させる焦点位置変化手段と、を備えた共焦点顕微鏡。
【請求項2】
前記拡散部材の拡散度を可変とする請求項1に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項3】
前記拡散部材が光路中に挿入された状態では前記光路中から取り除かれた状態よりも、前記光源の出力を高くなる請求項1、又は2に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項4】
共焦点光学系を有する共焦点顕微鏡において焦点位置を調整する焦点位置調整方法であって、
光源から試料までの光路中に挿脱可能に配置された拡散部材に前記光源からの光を入射させるステップと、
前記拡散部材で拡散されて前記試料に向かう光を前記共焦点光学系の対物レンズによって集光するステップと、
前記対物レンズで集光された光を前記試料に照射するステップと、
前記共焦点光学系を介して光を検出するステップと、
検出された光に応じて、前記対物レンズに対する前記試料の相対位置を光軸方向に変化させて、焦点位置を調整するステップと、を備える焦点位置調整方法。
【請求項5】
前記拡散部材の拡散度を可変とする請求項4に記載の焦点位置調整方法。
【請求項6】
前記拡散部材が光路中に挿入された状態では前記光路中から取り除かれた状態よりも、前記光源の出力を高くする請求項4、又は5に記載の焦点位置調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−103379(P2012−103379A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250511(P2010−250511)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】