説明

内型枠のレール装置

【課題】内型枠の内側底面に、レールの無い型枠ピースを積み重ねることができるようにして、型枠ピースの積み重ね高さを均等にできるようにすることで、レールにより積み重ね高さの高くなった部分と搬送しようとする型枠ピースとが衝突して型枠ピースを前方に搬送できないという事態を防止できる内型枠のレール装置を提供する。
【解決手段】地山を掘削した掘削孔により形成されたトンネル空洞部の内周面に沿って設置されてトンネル空洞部の内周面との間に覆工部を形成するための筒状の内型枠の内側に取付けられて内型枠の筒の中心軸に沿って延長し内型枠の筒の中心軸に沿って台車を移動させる際の台車の走行路を形成する内型枠のレール51と、内型枠の内壁面に設けられた取付部52と、当該取付部にレールを着脱可能に取付けるための取付手段53とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内型枠の筒の中心軸に沿って台車を移動させる際の台車の走行路を形成する内型枠のレールと、このレールを内型枠に対して着脱可能にする手段とを備えた内型枠のレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド掘削機で地山を掘削して掘進するとともに、シールド掘削機の後部(坑口側)において掘削孔により形成されたトンネル空洞部の内周面とトンネル空洞部の内周面に沿って設置される内型枠との間に未固結(流動状)のコンクリート(以下、生コンクリートと呼ぶ)を流し込んで覆工部としての覆工コンクリートを構築する場所打ちライニング工法(以下、ECL工法と呼ぶ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ECL工法においては、弧状の型枠ピースをトンネル空洞部の内周面に沿って内周面を1周するように複数設置して円形リング状の内型枠を形成し、この円形リング状の内型枠を掘削進行方向に向けて順次接合していって掘削進行方向に延長する筒状の内型枠を組み立てる。
【0003】
内型枠は複数個の型枠ピースにより形成される。図23;24;25に示すように、円形リング状の内型枠30を形成する複数の個々の型枠ピース40は、地山20を掘削した掘削孔により形成されたトンネル空洞部21の内周面33に沿って内周面33と間隔を隔てて対向するように設置される弧状の型枠面34と、トンネル空洞部21の内周面33の周方向において隣接するように設置される型枠ピース40;40同士を繋ぐためのピース継手面47aが形成された一対のピース継手板45;45と、トンネル空洞部21の内周面33の掘削進行方向Aにおいて隣接するように設置される型枠ピース40;40同士を繋ぐためのリング継手面47bが形成された一対のリング継手板46;46と、一対のピース継手板45;45同士を連結する複数の第1の連結補強板45a;45a(以下、中主桁という)、一対のリング継手板46;46同士を連結する複数の第2の連結補強板46a;46a(以下、中副桁という)と、を備える。複数の中主桁45a;45a及び複数の中副桁46a;46aは格子の桟状に設けられる。型枠面34より型枠面34の弧の中心方向に延長するピース継手板45、中主桁45a、リング継手板46、中副桁46aの各先端縁面で繋がれた格子状のピース内面が、型枠面34と平行な弧状面に形成される。
ピース継手板45には、トンネル空洞部21の内周面33の周方向において互いに隣接するピース継手面47a同士が図外のボルト及びナットによる締結によって密接状態に結合されるように、ピース継手板45を貫通してボルトを通すためのボルト通し孔43aが形成される。同様に、リング継手板46には、トンネル空洞部21の内周面33の掘削進行方向Aにおいて隣接するリング継手面47b同士がボルト及びナットによる締結によって密接状態に結合されるように、リング継手板46を貫通してボルトを通すためのボルト通し孔43bが形成される。
従って、トンネル空洞部21の内周面33の周方向において互いに隣接して設置される型枠ピース40のピース継手面47a同士を接触させた状態でボルト通し孔43aに図外のボルトを挿入し、ボルトの先端からナットを締結していくことで、ピース継手面47a同士が密接状態に結合される。また、トンネル空洞部21の内周面33のトンネル掘削進行方向において互いに隣接して設置される型枠ピース40のリング継手面47b同士を接触させた状態でボルト通し孔43bに図外のボルトを挿入し、ボルトの先端からナットを締結していくことで、リング継手面47b同士が密接状態に結合される。
【0004】
図24;25に示すように、複数個の型枠ピース40がトンネル空洞部21の内周面33に沿って1周するように設置されて形成される円形リング状の内型枠30を1リングと呼ぶ。つまり、1リングを形成するには、複数個の型枠ピース40を、トンネル空洞部21の内周面33との間に覆工部の厚さ分の間隔dを隔ててトンネル空洞部21の内周面33に沿って内周面33を1周するように設置していく。この場合、ピース継手面47a同士が密接状態に結合されるように、図外のエレクターと呼ばれるような内型枠組立装置によって1リング分の内型枠30を組み立てていく。そして、掘削が進んだ後、掘削進行方向Aに向けてさらに1リング分の内型枠30を組み立てていく。この場合、型枠ピース40が、トンネル空洞部21の内周面33の周方向においてピース継手面47a同士が密接状態に結合されるように、かつ、トンネル空洞部21の内周面33の掘削進行方向Aにおいて1つ前に組み立てた1リングのリング継手面47bと今回組み立てる1リングを形成する型枠ピース40のリング継手面47bとが密接状態に結合されるように内型枠組立装置によって1リング分の内型枠30を組み立てていく。
【0005】
図25に示すように、シールド掘削機22は、前端に回転切削部23を有し、回転切削部23の後部には後方に延長する円筒状のテールプレート24を備える。テールプレート24の内側には複数の推進ジャッキ25とプレスジャッキ26と妻型枠27とが設けられる。妻型枠27は、プレスジャッキ26の後端に取付けられてテールプレート24の内周面に沿って前後に移動可能なように円形リング状に形成されたプレス型枠である。つまり、妻型枠27は、テールプレート24の内周面24aと内型枠30の型枠面34との間を塞いだ状態でプレスジャッキ26の伸縮で前後に移動可能な円形リング状の型枠板であり、内型枠の外周面とトンネル空洞部の内周面と覆工コンクリート28の前端面との間に設ける充填用空間に生コンクリートを打設するための図外の打設孔を備え、充填用空間に打設された生コンクリート29を加圧するものである。
【0006】
尚、掘削開始時においては、坑口側に設けた図外の反力受けを用いてシールド掘削機22を推進させ、シールド掘削機22の後方に例えば複数個のリング分の内型枠30からなる円形筒状の内型枠31を組立てた後、この内型枠31の前端面とトンネル空洞部21の内周面との間を妻型枠27で塞ぐとともにこの内型枠31の後端面とトンネル空洞部21の内周面との間を図外の塞板で塞いだ後、妻型枠27の打設孔を介して当該内型枠31の外周面とトンネル空洞部21の内周面との間に生コンクリートを流し込んで覆工コンクリート28を形成することにより、内型枠31と覆工コンクリート28との付着力(摩擦力)によってシールド掘削機22の推進反力を得ることができるようにする。その後、図25のように、円形筒状の内型枠31の前端面に1リング分の内型枠30を構築した後に妻型枠27の打設孔を介してこの1リング分の内型枠30の外周面とトンネル空洞部21の内周面と覆工コンクリート28の前端面との間の充填用空間に生コンクリート29を連続的に流し込んで覆工コンクリート28を形成する作業を繰り返していく。
【0007】
型枠ピース40は、所定数のリング分の内型枠(即ち、掘削進行方向Aに延長する筒状の内型枠)を形成できる数分だけ用いられ、所定数のリング分の円形筒状の内型枠31を設置した後は、当該内型枠31の坑口側である掘削進行方向後部に位置する1リング分の型枠ピース40を内型枠脱型装置により解体して取り外した後に、シールド掘削機22を進行させ、取り外した1リング分の型枠ピース40を内型枠31の掘削進行方向先頭位置に盛り替えて使う。
即ち、所定数のリング分の内型枠を設置した後は、掘削が進む毎に、型枠ピース40を後方(坑口側)から前方(切羽側)に盛り替えて繰り返して使用して内型枠31の掘削進行方向先頭位置に1リングを組み立てていく。
つまり、掘削が進む毎に後方の1リングを構成する型枠ピース40を内型枠脱型装置により脱型して後方の1リングを解体し、脱型した型枠ピース40をホイストと呼ばれるようなピース搬送手段41(図25;図26参照)により前方に移動する。そして、内型枠組立装置が内型枠31の前端面に新しい1リングを組み立てる。このような作業を繰り返すことにより、掘削進行方向Aに延長する筒状の内型枠31が、シールド掘削機22の進行に伴って1リング分ずつ進行方向に移設されることになる。
【0008】
図24に示すように、1リング分の内型枠30を形成する複数個の型枠ピース40のうちの少なくとも1つの型枠ピースは、脱型用の型枠ピース39に形成される。K型枠ピースと呼ばれる脱型用の型枠ピース39は、トンネル空洞部21の内周面33に近い方に位置して型枠面34となる当該型枠面34側のトンネル空洞部21の周方向の幅寸法bが、型枠面34の反対側の面39b(トンネル空洞部21の中心2Cに近い方に位置した面)のトンネル空洞部21の周方向の幅寸法aよりも小さい。また、脱型用の型枠ピース39の周方向の両隣に設置される型枠ピースも専用の型枠ピース38が用いられる。1リング分の内型枠30を形成する型枠ピースのうち脱型用の型枠ピース39と専用の型枠ピース38とを除くA型枠ピースと呼ばれる型枠ピース40は、トンネル空洞部21の内周面33に近い方に位置して型枠面34となる当該型枠面34側のトンネル空洞部21の周方向の幅寸法bが、型枠面34の反対側の面39bのトンネル空洞部21の周方向の幅寸法aよりも大きい。そして、1リングを組み立てるときは、脱型用の型枠ピース39を最後に取付け、1リングを解体する場合は、脱型用の型枠ピース39から取り外す。つまり、A型枠ピースと呼ばれる型枠ピース40だけを用いて1リングを組み立てようとしても、最後の型枠ピース40をトンネル空洞部21の中心2C側からトンネル空洞部21の内周面33の方向に向けて(つまり、トンネル空洞部21の断面円の径方向に向けて)組み付けることは不可能であるので、最後に組み付けて最初に取り外す型枠ピースとしてK型枠ピースと呼ばれる脱型用の型枠ピース39を用いる。
【0009】
図24;図25;図26に示すように、内型枠31の内面には、コンクリート打設装置、内型枠脱型装置、型枠ピース搬送手段41などを搭載した台車44の走行路となるレール42が固定されている(例えば、特許文献2参照)。即ち、トンネル空洞部21内において掘削進行方向Aに延長するように構築される円筒状の内型枠31を形成する複数の型枠ピース40のうち、円筒状の内型枠31の円筒断面(筒の中心軸と直交する断面)である内壁周面31aの最下点31uと最左点31Lとの間に配置される型枠ピース40の内壁部40uには左のレール42Lが固定され、円筒状の内型枠31における内壁周面31aの最下点31uと最右点31Rとの間に配置される型枠ピース40の内壁部40uには右のレール42Rが固定されている。
左右一対のレール42L;42Rは、円筒状の内型枠31の最下点31uから周方向の左右に同じ距離だけ離れた位置にそれぞれ設置される。左;右のレール42L;42R間の間隔は、台車44の左右の車輪44a;44b間の間隔に応じて決められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−188099号公報
【特許文献2】特開平1−187300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、上述したように、掘削が進む毎に後方の1リングを構成する型枠ピース40を内型枠脱型装置により脱型して後方の1リングを解体し、脱型した型枠ピース40を型枠ピース搬送手段41により前方に移動して、円筒状の内型枠31の内側底面に積み重ねるようにして設置するが、図23;図24に示すように、レール42が内面に固定された型枠ピース40を積み重ねた場合、レール42が位置する部分の積み重ね高さが高くなる。つまり、内型枠31の内側底面からの型枠ピース40の積み重ね高さが不均等になってしまう。この場合、型枠ピース40を型枠ピース搬送手段41で後方から前方に搬送しようとすると、レール42により積み重ね高さの高くなった部分と搬送しようとする型枠ピース40とが衝突して型枠ピース40を前方に搬送できないことが生じる(図25;図26参照)。この場合、レール42が内面に固定された型枠ピース40の積み重ねを無くす作業が必要になり、施工性を悪化させる。
本発明は、内型枠の内側底面に、レールの無い型枠ピースを積み重ねることができるようにして、型枠ピースの積み重ね高さを均等にできるようにすることで、上述した課題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る内型枠のレール装置は、地山を掘削した掘削孔により形成されたトンネル空洞部の内周面に沿って設置されてトンネル空洞部の内周面との間に覆工部を形成するための筒状の内型枠の内側に取付けられて内型枠の筒の中心軸に沿って延長し内型枠の筒の中心軸に沿って台車を移動させる際の台車の走行路を形成する内型枠のレールと、内型枠の内壁面に設けられた取付部と、当該取付部にレールを着脱可能に取付けるための取付手段とを備えたので、内型枠の内側底面に、レールの無い型枠ピースを積み重ねることができるようになり、型枠ピースの積み重ね高さを均等にできるので、従来のように、レールにより積み重ね高さの高くなった部分と搬送しようとする型枠ピースとが衝突して型枠ピースを前方に搬送できないという事態を防止できる。
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、取付手段が、取付孔に挿通される係合部と、取付孔に挿通された係合部が取付孔より外れないよう係止する係止手段とを備えたので、レールが取付部に対して着脱可能に構成され、かつ、レールを取付部に対して確実に固定できるようになる。
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、取付手段がジャッキを備え、ジャッキは、ピストンシリンダーの一端側に設けられた一端側係合部と、ピストンシリンダーの他端より突出するピストンの先端側に設けられた他端側係合部とを備え、一端側係合部は、互いに向かい合う一対の取付板にそれぞれ形成された一対の取付孔のうちの一方の取付孔の径よりも大径に形成されて軸端面が取付板の板面に接触する一端側大径軸部と、一端側大径軸部の軸端面より突出して一方の取付孔に挿通される一端側小径軸部とを備え、他端側係合部は、一対の取付孔のうちの他方の取付孔の径よりも大径に形成されて軸端面が取付板の板面に接触する他端側大径軸部と、他端側大径軸部の軸端面より突出して他方の取付孔に挿通される他端側小径軸部とを備えたので、レールが取付部に対して着脱可能に構成され、かつ、レールを取付部に強固かつ安定に取付けることができるようになり、さらに、止ねじの締結作業を不要とできるので、作業の容易化が図れる。
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、取付手段が、互いに向かい合う一対の取付板にそれぞれ形成された一対の取付孔のうちの一方の取付孔に挿通される係合部と、当該一対の取付孔のうちの他方の取付孔に挿通されて他方の取付孔に係合する如く進退可能なピストンを有したジャッキと、一方の取付孔に挿通された係合部が一方の取付孔より外れないよう係止する係止手段とを備えたので、レールが取付部に対して着脱可能に構成され、かつ、レールを取付部に強固かつ安定に取付けることができるようになる。
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、取付手段が、内型枠の内壁面の周方向に沿って間隔を隔てて配置される一対のレールを連結する連結体と、連結体を取付部に取付けるための取付部材とを備えたので、レールが取付部に対して着脱可能に構成され、かつ、レールを取付部に対して確実に固定できるようになる。
筒状の内型枠は、弧状の型枠ピースをトンネル空洞部の内周面に沿って内周面を1周するように複数設置してリング状の内型枠を形成し、このリング状の内型枠を掘削進行方向に向けて順次設けて掘削進行方向に延長する筒状に組み立てられる内型枠であって、複数のリング状の内型枠として、リングの中心軸と交差する平面により形成されるリングの両端面が互いに平行でないものを用い、当該リング状の内型枠の端面同士を突き合わせて接合していくことによって、筒の中心軸が直線状に延長する筒状に組み立てられたり、筒の中心軸が曲線状に延長する筒状に組み立てられる内型枠である場合も、レールを内型枠の円周上の同一位置に設置できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】レール装置と内型枠との関係を示す斜視図(実施形態1)。
【図2】内型枠の断面図(実施形態1)。
【図3】レール装置を示す分解斜視図(実施形態1)。
【図4】レールの取付方法を示す図(実施形態1)。
【図5】レール装置を示す分解斜視図(実施形態2)。
【図6】レールの取付方法を示す図(実施形態2)。
【図7】レール装置を示す分解斜視図(実施形態3)。
【図8】レールの取付方法を示す図(実施形態3)。
【図9】レール装置と内型枠との関係を示す斜視図(実施形態4)。
【図10】レール装置を示す分解斜視図(実施形態4)。
【図11】筒状の内型枠の組立方法を示す平面図(実施形態5)。
【図12】リング状の内型枠を示す斜視図(実施形態5)。
【図13】リング状の内型枠を示す平面図(実施形態5)。
【図14】筒の中心軸が直線状に延長する筒状の内型枠を示す斜視図(実施形態5)。
【図15】筒の中心軸が曲線状に延長する筒状の内型枠を示す斜視図(実施形態5)。
【図16】筒状の内型枠の組立方法を示す平面図(実施形態5)。
【図17】筒状の内型枠の組立方法を示す平面図(実施形態5)。
【図18】筒状の内型枠の組立方法を示す平面図(実施形態5)。
【図19】段差の説明図(実施形態5)。
【図20】内型枠の端面の傾斜角度の説明図(実施形態5)。
【図21】ボルト通し孔とボルトとの関係を示す説明図(実施形態5)。
【図22】内型枠を回転させる場合の説明図(実施形態5)。
【図23】従来の型枠ピースを示す斜視図。
【図24】従来のリングを示す図。
【図25】従来のECL工法を示す図。
【図26】従来の内型枠内の内部構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態1
図1乃至図4を参照し、実施形態1のレール装置を説明する。尚、図23乃至図26の従来例と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0015】
図1;図3に示すように、実施形態1による内型枠のレール装置50は、レール51と、取付部52と、取付手段53とにより構成される。
【0016】
レール51は、左右一対のレール51L;51Rにより構成される。図2に示すように、レール51Lは、トンネル空洞部21内において掘削進行方向Aに延長するように構築される円筒状の内型枠31を形成する複数の型枠ピース40Aのうち、円筒状の内型枠31の円筒断面(筒の中心軸と直交する断面)である内壁周面31aの最下点31uと最左点31Lとの間に配置される型枠ピース40Aの内壁部40uに着脱可能に設けられる。レール51Rは、円筒状の内型枠31を形成する複数の型枠ピース40Aのうち、円筒状の内型枠31における内壁周面31aの最下点31uと最右点31Rとの間に配置される型枠ピース40Aの内壁部40uに着脱可能に設けられる。
左右一対のレール51L;51Rは、円筒状の内型枠31における内壁周面31aの最下点31uから周方向の左右に同じ距離だけ離れた位置にそれぞれ設置される。左;右のレール51L;51R間の間隔は、コンクリート打設装置、内型枠脱型装置、型枠ピース搬送手段41などを搭載した台車44の左右の車輪44a;44b間の間隔に応じて決められる。
【0017】
型枠ピース40Aは、中主桁45aに中主桁45aを貫通する取付孔45bが形成されている以外は、図23で示した従来の型枠ピース40と同じ構成である。
中主桁45aは、レール51が取付けられる取付板として機能する。
取付部52は、内型枠31を構成する型枠ピース40Aの内壁部40uに設けられた取付板としての中主桁45aと、中主桁45aに形成された取付孔45bとにより構成される。
中主桁45aの形成数は型枠ピース40Aの大きさに応じて決めればよい。また、取付孔45bの数及び内型枠31のリングの周方向に沿った方向に互いに隣り合う取付孔45b;45b間の距離も任意に決めればよい。例えば、内型枠31のリングの中心とリングの周方向に沿った方向に互いに隣り合う取付孔45b;45bの中心とを繋ぐ線と線とで挟まれた角度が5°程度に設定される。
【0018】
図3に示すように、取付手段53は、湾曲板面54を備えたベース板55と、ベース板55の一方の湾曲板面54aに設けられた係合部取付板56と、係合部取付板56に取付けられた係合部57と、取付孔45bに挿通された係合部57が取付孔45bより外れないよう係止する係止手段58とを備える。湾曲板面54は、ピース継手板45、中主桁45a、リング継手板46、中副桁46aの各先端縁面で繋がれた格子状のピース内面及び型枠面34と平行な弧状面に形成される。
係合部57は、取付孔45bを貫通する軸部59aと、軸部59aの先端から内部に延長するねじ孔59bとを備える。係止手段58は、係止蓋材60と止ねじ61とを備える。図4に示すように、係止蓋材60は、一端開口60aの有底の円形箱状に形成され、底壁60bを貫通する止ねじ貫通孔60cを備える。
【0019】
レール51は、ベース板55の他方の湾曲板面54bに例えば着脱可能に設けられる。レール51は、例えば一方方向に長い2つの長尺板の板面と板面との角度が90°となるように2つの長尺板の長辺縁同士を繋ぎ合わせた断面L字状の長尺部材により形成される。そして、ベース板55が取付部52に取付けられた場合に、当該レール51が円筒状の内型枠31の筒の中心軸に沿った方向に延長するように設置されて、一方の長尺板が走行路を構成するレール面(水平面)51aとなり、他方の長方形板がレール面51aを下から支える支持部51bを構成する。
【0020】
ベース板55は、内型枠31の周方向に沿った長さが少なくとも互いに隣り合う2つの中副桁46a;46aに跨る長さに形成される。ただし、取付孔45bを貫通する係合部57の軸部59aに係止蓋材60及び止ねじ61を装着できるように、取付孔45bを貫通する軸部59aの位置する型枠ピース40Aの内側の空間に手を挿入できるように当該空間を塞がない長さに形成される。
【0021】
図4に示すように、ピース継手板45、中主桁45a、リング継手板46、中副桁46aの各先端縁面で繋がれた格子状のピース内面にベース板55の一方の湾曲板面54aを面接触させ、かつ、係合部57の軸部59aを取付孔45bに貫通させる。取付孔45bを貫通させた係合部57の軸部59aを係止蓋材60の一端開口60a側から係止蓋材60内に嵌め込み、止ねじ61を止ねじ貫通孔60cを通してねじ孔59bに締結する。これにより、止ねじ61が取付孔45bを貫通した係合部57と係止蓋材60とを連結し、係止蓋材60の一端開口縁面60dが取付孔45bの孔縁周りの中主桁45aの板面45fに係止するので、係合部57が取付孔45bより外れないようになる。このように係合部57と係止蓋材60とが止ねじ61によって連結された場合に、係合部57、取付孔45b、係止蓋材60が、止ねじ61の中心軸を中心とする同軸に配置される。従って、係止蓋材60の円形箱の外径を取付孔45bの孔径よりも大きく形成したので、係止蓋材60の一端開口縁面60dが取付孔45bの孔縁周りの中主桁45aの板面45fに係止する。
以上により、レール51が中主桁45aに対して着脱可能に構成され、レール51を中主桁45aに対して確実に固定できる。また、取付部52を備えた型枠ピース40Aを用いて内型枠31を構築するので、内型枠31の周に沿った方向におけるレール51の取付位置を選択的に決定することができるようになる。
また、ベース板55の一方の湾曲板面54aとピース内面とを面接触させるので、レール51上を通過する台車44の荷重をベース板55に集中させることなく、内型枠31に負担させることができるので、安定なレール51を形成できる。
また、係止蓋材60の中心軸に沿った方向の長さを変えたり、係合部取付板56と中主桁45aの板面との間にワッシャーのような間隔維持材を介在させることによって、内型枠31の中心軸に沿った方向におけるレール51の取付位置を調整することが可能となる。
尚、取付手段53の数はいくつでもよい。
【0022】
実施形態2
図5に示すように、実施形態2による内型枠のレール装置50は、レール51と、取付部52と、取付手段53Aとにより構成される。
取付手段53Aは、ベース板55と、ベース板55の一方の湾曲板面54aに設けられたジャッキ取付板56Aと、ジャッキ取付板56Aに取付けられた油圧ジャッキなどのジャッキ62とを備える。
ジャッキ62は、ピストンシリンダー63と、図外の給排路を介してピストンシリンダー63内に給排される油圧によって進退するピストン65とを備えるとともに、ピストンシリンダー63の一端側に設けられた一端側係合部63aと、ピストンシリンダー63の他端より突出するピストン65の先端側に設けられた他端側係合部65aとを備える。例えば、ピストンシリンダー63の周面部とジャッキ取付板56Aとが図外の連結手段により連結される。
一端側係合部63aは、互いに向かい合う一対の取付板45a;45aにそれぞれ形成された一対の取付孔45b;45bのうちの一方の取付孔45b1の径よりも大径に形成されて軸端面63bが一方の取付板45aの板面45gに接触する一端側大径軸部63cと、一端側大径軸部63cの軸端面63bより突出して一方の取付孔45b1に挿通される一端側小径軸部63dとを備える。
他端側係合部65aは、一対の取付孔45b;45bのうちの他方の取付孔45b2の径よりも大径に形成されて軸端面65bが他方の取付板45aの板面45hに接触する他端側大径軸部65cと、他端側大径軸部65cの軸端面65bより突出して他方の取付孔45bに挿通される他端側小径軸部65dとを備える。
一端側小径軸部63dの径は、一方の取付孔45b1に嵌合状態に嵌り込む寸法に形成される。他端側小径軸部65dの径は、他方の取付孔45b2に嵌合状態に嵌り込む寸法に形成される。例えば、一端側小径軸部63d、一端側大径軸部63c、他端側小径軸部65d、他端側大径軸部65cは、中心軸が一致する同軸状に形成される。上記一方の取付板45aの板面45g及び他方の取付板45aの板面45hは、互いに向かい合う板面である。
尚、レール51、取付部52、ベース板55は、実施形態1と同一構成であるので、説明を省略する。
【0023】
図6(a)に示すように、格子状のピース内面にベース板55の一方の湾曲板面54aを面接触させ、ピストンシリンダー63の一端側係合部63aの一端側小径軸部63dを取付孔45b1に嵌合状態に挿通させ、一端側大径軸部63cの軸端面63bを一方の取付板45aの板面45gに接触させる。次に図6(b)に示すように、図外のジャッキ制御装置によりジャッキ62のピストン65を伸長させてピストン65の他端側小径軸部65dを他方の取付孔45b2に嵌合状態に挿通させるとともに、他端側大径軸部65cの軸端面65bを他方の取付板45aの板面45hに接触させる。
このように、ピストン65を伸長させたことによって、一端側大径軸部63cの軸端面63bと一方の取付板45aの板面45gとの接触力、及び、他端側大径軸部65cの軸端面65bと他方の取付板45aの板面45hとの接触力が増し、一対の取付板45a;45a間でジャッキ62が突っ張り棒のように機能するので、取付孔45b1に対する一端側小径軸部63dの嵌合状態と取付孔45b2に対する他端側小径軸部65dの嵌合状態とが維持される。よって、レール51を取付部52に強固かつ安定に取付けることができる。
以上により、実施形態1と同様な効果が得られる。また、実施形態2では、ジャッキ62を用いたため、レール51を取付部52に強固かつ安定に取付けることができ、さらに、止ねじの締結作業を不要とできるので、作業の容易化が図れる。
【0024】
実施形態3
図7に示すように、実施形態3による内型枠のレール装置50は、レール51と、取付部52と、取付手段53Bとにより構成される。
取付手段53Bは、ベース板55と、ベース板55の一方の湾曲板面54aに設けられた係合部取付板56と、係合部取付板56の一方の板面に取付けられた係合部57と、係合部取付板56の他方の板面に取付けられたジャッキ62Aと、取付孔45b1(45b)に挿通された係合部57が取付孔45b1より外れないよう係止する係止手段58とを備える。
尚、レール51、取付部52、ベース板55、係合部取付板56、係合部57、係止手段58は、実施形態1と同一構成であるので、説明を省略する。
ジャッキ62Aは、実施形態2のジャッキ62のようにピストンシリンダー63の一端側係合部63a及びピストン65の先端側の他端側係合部65aを備えないものを用いることができる。ジャッキ62Aは、例えば、係合部57の中心軸とピストン65の中心軸とが一致するように、ピストンシリンダーの一端が係合部取付板56の他方の板面に取付けられる。
即ち、実施形態3の取付手段53Bは、互いに向かい合う一対の取付板としての中主桁45a;45aにそれぞれ形成された一対の取付孔45b;45bのうちの一方の取付孔45b1に挿通される係合部57と、当該一対の取付孔45b;45bのうちの他方の取付孔45b2に挿通されて他方の取付孔45b2に係合する如く進退可能なピストン65を有したジャッキ62Aと、一方の取付孔45b1に挿通された係合部57が一方の取付孔45b1より外れないよう係止する係止手段58とを備えるものであって、ジャッキ62Aと実施形態1の係合部57及び係止手段58とを併用した構成である。
【0025】
図8(a)に示すように、一方の取付孔45b1を貫通させた係合部57の軸部59aを係止蓋材60の一端開口60a側から係止蓋材60内に嵌め込み、止ねじ61を止ねじ貫通孔60cを通してねじ孔59bに締結する。これにより、止ねじ61が取付孔45b1を貫通した係合部57と係止蓋材60とを連結し、係止蓋材60の一端開口縁面60dが取付孔45b1の孔縁周りの中主桁45aの板面45fに係止するので、係合部57が取付孔45b1より外れないようになる。次に、図8(b)に示すように、図外のジャッキ制御装置によりジャッキ62のピストン65を伸長させてピストン65を他方の取付孔45b2に嵌合状態に挿通させる。
実施形態3では、係合部57が一方の取付孔45b1から逸脱しないように一方の取付孔45b1に取付けられ、かつ、ピストン65が他方の取付孔45b2から逸脱しないように他方の取付孔45b2に取付けられるので、レール51を実施形態1と同様な効果が得られる。また、実施形態3では、係合部57及び係止手段58とジャッキ62Aとを併用したので、レール51を取付部52に強固かつ安定に取付けることができる。
尚、実施形態2のジャッキ62や、実施形態3のジャッキ62Aは、1つのベース板55に対して1つ以上設ければよい。
【0026】
実施形態4
図9に示すように、実施形態4による内型枠のレール装置50は、レール51と、取付部52と、取付手段53Cとにより構成される。
取付手段53Cは、内型枠31の内壁面の周方向に沿って間隔を隔てて配置される一対のレール51L;51Rを連結する連結体66と、連結体66を取付部52に着脱可能に取付けるための取付部材67とを備える。
尚、レール51、取付部52は、実施形態1と同一構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0027】
連結体66は、円筒状の内型枠31の周方向に沿って延長して型枠面34と平行に位置されて第1の連結補強板としての中主桁45a又は第2の連結補強板としての中副桁46aに形成された取付孔45bに連結片69a及びボルト80、ナット81で形成される連結具69などによって連結される弧状体である。この連結具69が取付部材67を構成する。
連結体66は、例えば、一端部に連結片70a及びボルト80、図外のナットで形成される固定具70又は溶接などによって左レール51Lが取付けられた左弧状体71、他端部に連結片70b(図10参照)及びボルト80、図外のナットで形成される固定具70と同様の固定具70A又は溶接などによって右レール51Rが取付けられた右弧状体73、左弧状体71の他端部と右弧状体73の他端部とを繋ぐ中央連結体74とを備える。左弧状体71と中央連結体74との連結、右弧状体73と中央連結体74との連結は、連結片75a;75b及びボルト80、ナット81で形成される連結具75などによって連結される。
【0028】
例えば、図9;図10に示すように、連結片70aに形成されたねじ孔70eと左レール51Lの支持部51bに形成されたねじ孔51eとにボルト80を締結し、かつ、連結片70aに形成された貫通孔70fと左弧状体71の一端部に形成された貫通孔71fとにボルト80を通して当該ボルト80に図外のナットを締結することにより、左レール51Lと左弧状体71とが連結される。
また、左弧状体71の他端部に形成された貫通孔71gと連結片75aに形成された貫通孔75eとにボルト80を通してボルト80にナット81を締結する。さらに、中央連結体74の一端部に形成された貫通孔74eと連結片75aに形成された貫通孔75fとにボルト80を通してボルト80にナット81を締結する。これにより、左弧状体71と中央連結体74とが連結される。
また、中央連結体74の他端部に形成された貫通孔74fと連結片75bに形成された貫通孔75gとにボルト80を通してボルト80にナット81を締結する。さらに、右弧状体73の一端部に形成された貫通孔73eと連結片75bに形成された貫通孔75hとにボルト80を通してボルト80にナット81を締結する。これにより、中央連結体74と右弧状体73とが連結される。
そして、連結片70bに形成されたねじ孔70gと右レール51Rの支持部51bに形成された図外のねじ孔とに図外のボルトを締結し、かつ、連結片70aに形成された貫通孔70hと右弧状体73の他端部に形成された図外の貫通孔とに図外のボルトを通して当該ボルトに図外のナットを締結することにより、右レール51Lと右弧状体73とが連結される。
そして、例えば、連結片69aに形成された貫通孔69bと右弧状体73に形成された貫通孔73fとにボルト80を通して当該ボルト80にナット81を締結し、かつ、連結片69aに形成された貫通孔69cと取付孔45bとに図外のボルトを通して当該ボルトに図外のナットを締結することにより、右弧状体73が中主桁45aに固定される。
また、連結片69aに形成された貫通孔69dと左弧状体71に形成された貫通孔71hとにボルト80を通して当該ボルト80にナット81を締結し、かつ、連結片69aに形成された貫通孔69eと取付孔45bとにボルト80を通して当該ボルト80に図外のナットを締結することにより、左弧状体71が中主桁45aに固定される。
以上により、実施形態1と同様な効果が得られる。また、連結体66を左弧状体71と中央連結体74と右弧状体73とに分割できるので、左弧状体71、中央連結体74、右弧状体73の運搬を容易にできる。
尚、連結体66の分割数はいくつでもよい。
また、連結体66は、内型枠31の内壁面の周方向に沿って間隔を隔てて配置される一対のレール51L;51Rを連結する1つの弧状体により構成してもよい。
【0029】
実施形態5
上述した実施形態1乃至4のレール装置は、以下のような構成の内型枠に適用できる。以下の内型枠の場合、1リングを構成する各型枠ピースの形状がすべて異なり、リング毎に各型枠ピースの設置位置が内型枠の円周上の同一位置に位置されない場合があるため、従来のようにレールが固定された型枠ピースを用いると、レールを円周上の同一位置に設置することができない。しかし、本願発明の実施形態1乃至4で説明したレール51を着脱可能とするレール装置50を用いることにより、以下の内型枠の場合でも、レール51を内型枠の円周上の同一位置に設置できるようになる。
【0030】
例えば金属製の弧状の型枠ピースがトンネル空洞部の内周面に沿って内周面を1周するように複数設置されて形成される円形リング状の内型枠を掘削進行方向Aに向けて順次組み付けていって、図11に示すように、掘削進行方向Aに延長する筒状の内型枠1(1A;1B)を組み立てる場合に、上記円形リング状の内型枠として、図12に示すように、リングの中心軸5と交差する平面により形成されるリングの両方の端面6;6が互いに平行でない円形リング状の内型枠2を用いる場合において、本願発明の実施形態1乃至4で説明したレール51を着脱可能とするレール装置50を用いることにより、レール51を内型枠1の円周上の同一位置に設置することができるようになる。
即ち、この円形リング状の内型枠2は、図12に示すように、複数の弧状の型枠ピース3をトンネル空洞部の内周面に沿って内周面を1周するように複数設置して、リングの両方の端面6;6が互いに平行でないように形成される構成である。
内型枠2の両方の端面6;6のうちの少なくとも一方は、円筒を円筒の中心軸と交差するように切断する楕円リング形状の1つの連続傾斜面に形成される。即ち、少なくとも一方の端面6は、円形のリングの中心を中心とした大径の楕円と当該大径の楕円と同じ中心を持つ当該大径よりも小径の楕円との間に挟まれた楕円リング状の1つの連続した傾斜平面により形成される。
円形リング状の内型枠2は、リングの外周面8におけるリングの中心軸5に沿った方向の幅Wが一様でない構成である。
円形リング状の内型枠2は、内型枠2のリングの外周面8となる複数の型枠ピース3の弧状の型枠面をトンネル空洞部の内周面に沿って内周面と対向するように設置し、トンネル空洞部の内周面の周方向において互いに隣接して設置される弧状の型枠ピース3のピース継手板11のピース継手面12同士を接触させた状態で図23のボルト通し孔43aに相当する図外のボルト通し孔に図外のボルトを挿入し、ボルトの先端から図外のナットを締結して、ピース継手面12同士を密接状態に結合することによって形成される。
【0031】
そして、掘削進行方向Aに沿って前後に互いに隣り合わせる円形リング状の内型枠2;2の端面6;6同士を突き合わせて接合していくことによって、図14;図11(a)に示すような筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを形成したり、図15;図11(b)に示すような筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる。
内型枠2の少なくとも一方の端面6は、トンネル空洞部の内周面に沿って内周面を1周するように複数設置された各型枠ピース3のリング継手板13のリング継手面14;14…が連続してなる上述した楕円リング形状の1つの連続傾斜面により構成される。
つまり、トンネル空洞部の内周面のトンネル掘削進行方向において互いに隣接して設置される円形リング状の内型枠2の端面6;6同士を接触させた状態で図23のボルト通し孔43bに相当するボルト通し孔10に図外のボルトを挿入し、ボルトの先端から図外のナットを締結して、掘削進行方向Aに沿って前後に隣り合う内型枠2の端面6;6同士を密接状態に結合することによって、筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを組み立てたり、筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる。
筒状の内型枠1A;1Bを構成する円形リング状の複数の内型枠2は、同一のものを使用する。
【0032】
円形リング状の内型枠2は、例えば、図13(a)に示すように、一方の端面6と他方の端面6とが、リングの中心軸5と直交する面15に対して同じ角度α(90°よりも小さい角度)で交差する面により形成されたものを用いる。
円形リング状の内型枠2は、例えば、図13(b)に示すように、一方の端面6と他方の端面6のうちの一方の面6aが、リングの中心軸5と直交する面により形成されたものを用いてもよい。
円形リング状の内型枠2は、例えば、図13(c)に示すように、一方の端面6と他方の端面6とが、リングの中心軸5と直交する面15に対して互いに異なる角度α;β(α;βは90°よりも小さい角度)で交差する面により形成されたものを用いてもよい。
【0033】
図11;図12に示すように、円形リング状の内型枠2は、両端面6;6間の厚さ寸法の最大の位置a(幅最大位置aという)と両端面6;6間の厚さ寸法の最小の位置b(幅最小位置bという)とがリングの周方向に180°隔てた位置にそれぞれ設けられる。即ち、円形リング状の内型枠2は、外周面8の幅が、幅最小位置bから幅最大位置aに向けて連続して徐々に幅広になるように構成される。
そして、筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを組み立てる場合には、図14;図11(a)に示すように、掘削進行方向Aに沿って隣り合う一方のリング状の内型枠2の幅最大位置aと他方のリング状の内型枠2の幅最小位置bとが一致するように隣り合う内型枠2の端面6;6同士を接合していく。即ち、筒の延長方向に向けて幅最大位置aと幅最小位置bとが交互に繰り返す真っ直ぐな筒状の内型枠1Aを組み立てる。
また、筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる場合には、図15;図11(b)に示すように、掘削進行方向Aに沿って隣り合う一方のリング状の内型枠2及び他方のリング状の内型枠2の幅最大位置a同士が一致するように、かつ、掘削進行方向Aに沿って隣り合う一方のリング状の内型枠2及び他方のリング状の内型枠2の幅最小位置b同士が一致するように、隣り合う内型枠2;2の端面6;6同士を接合していく。即ち、筒の延長方向に向けて幅最大位置aが連続するとともに幅最小位置bが連続する曲がった筒状の内型枠1Bを組み立てる。
以上により、直線状に延長する筒の中心軸7と外周面8とが互いに平行な筒状の内型枠1Aを構築できる。この場合、図11(a)に示すように、端面6;6同士が接合されて隣り合う内型枠2;2の端面6;6の傾斜角度a1;a2の合計が180°である。
さらに、曲線状に延長する筒の中心軸7と外周面8とが互いに平行な筒状の内型枠1Bを構築できる。
また、この場合、内型枠2の幅最大位置a、内型枠2の幅最小位置bを目印として、筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1A、筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを容易に組み立てることができる。
【0034】
つまり、複数の内型枠2;2…を掘削進行方向Aに沿って順次隣り合うように接合していく場合において、筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる場合には、隣り合う各内型枠2;2の幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士を一致させて接合していくが、筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを組み立てる場合には、隣り合う各内型枠2;2は、幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するように、隣り合う各内型枠2;2の幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するような状態に対して一方の内型枠2がリングの中心軸5を回転中心として180°回転した状態で互いに接合されることになる。
【0035】
即ち、リングの中心軸5と交差する平面により形成されるリングの両端面6:6が互いに平行でない円形リング状の内型枠2を用い、当該円形リング状の内型枠2;2の端面6;6同士を突き合わせて接合していくことによって、筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを組み立てたり、筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てるので、内型枠の進行方向調整用のテーパーライナーを用いる必要がなくなるため、テーパーライナーの取り付け作業及び取り外し作業を行わなくてもよくなり、ECL工法の施工性を高めることができる。
また、内型枠2の幅最大位置a、内型枠2の幅最小位置bを目印として、筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1A、筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを容易に組み立てることができるようになる。
また、同一の複数の円形リング状の内型枠2、即ち、1種類の円形リング状の内型枠2を用いて筒状の内型枠1を組み立てるので、型枠ピース3の製造、型枠ピース3の管理を容易にできる。
【0036】
尚、図11;図23;図14;図15では、図13(a)に示した形状の内型枠2を用いた場合を図示したが、図16乃至図18に、図13(a)に示した形状以外の内型枠2を用いた場合を図示した。図16(a)は図13(b)に示した形状の内型枠2を用いて筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを組み立てた場合を図示し、図16(b)は図13(b)に示した形状の内型枠2を用いて筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる場合を図示した。図17(a)は図13(c)に示した形状の内型枠2を用いて筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを組み立てた場合を図示し、図17(b)は図13(c)に示した形状の内型枠2を用いて筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる場合を図示した。図18(a)はリングの両方の端面6;6が同じ方向に傾斜する平面により形成されて互いに平行でない円形リング状の内型枠2を用いて筒の中心軸7が直線状に延長する筒状の内型枠1Aを組み立てた場合を図示し、図18(b)は図18(a)と同じ内型枠2を用いて筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる場合を図示した。
【0037】
筒の中心軸7が曲線状に延長する筒状の内型枠1Bを組み立てる場合において、掘削進行方向Aに沿って互いに隣り合う内型枠2;2の幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士を必ずしも一致させる必要はない。
また、筒の中心軸7が直線状に延長する内型枠1Aの状態から筒の中心軸7が曲がるように内型枠2を接合していく場合において、直線状に延長する内型枠1Aの先頭に位置する内型枠2と当該内型枠2に接合しようとする内型枠2との幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士を必ずしも一致させる必要はない。
即ち、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するような状態、あるいは、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するような状態に対して、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の一方の内型枠2がリングの中心軸5を回転中心として所定角度xだけ回転した状態となるよう隣り合う内型枠2;2同士を接合する。
このようにすることで、それまでの筒状の内型枠1の進行方向に対して内型枠1の進行方向を変更することができるようになる。
【0038】
掘削進行方向Aに沿って互いに隣り合う内型枠2;2の端面6;6が楕円リング面である場合において、幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するように互いに隣り合う内型枠2;2が接合される場合、あるいは、幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するように互いに隣り合う内型枠2;2が接合される場合は、接合される楕円リング面の面同士が完全に一致するが、これら以外の状態で互いに隣り合う内型枠2;2が接合される場合は、隣り合うように接合される内型枠2;2の外周面8;8間に段差δ(内型枠2の端面6に沿った方向の長さである段差δ)が生じる。
【0039】
上記段差δは、δ=1/2(D1−D)=(D/cosθ−D)/2により求まる。
ここで、
D=内型枠2のリングの外径寸法、
D1=内型枠2の端面6により形成される楕円リング面の長径寸法である(図19参照)。
【0040】
尚、掘削進行方向Aに沿って互いに隣り合う内型枠2;2の端面6;6同士の接合のため、図21に示すように、リング継手面として機能する端面6に形成されたボルト通し孔10の孔径(直径)d1は、ボルト通し孔10に挿入されるボルト10aの軸径d2よりも大きく形成されている。一般的には、ボルト通し孔10の孔の中心10eとボルト10aの軸の中心10fとを一致させた状態で、ボルト10aの軸の外周面とボルト通し孔10の孔の内周面との間の最短距離hは、1.5mm以内となるようにしている。この場合、内型枠2;2の端面6;6同士を接合した場合の段差δの最大許容値δmax(以下、段差最大許容値δmaxという)は、おおよそ1.5mmとなる。
上記最短距離hは、内型枠2;2の外周面8;8間に段差δが生じないように掘削進行方向Aに沿って互いに隣り合う型枠ピース3;3のリング継手面14;14に形成されたボルト通し孔10;10の中心が一致した状態から当該ボルト通し孔10;10にボルト10aを貫通させて図外のナットで締結可能な範囲においてボルト通し孔10;10の中心がずれることのできる最大距離である。即ち、掘削進行方向Aに沿って互いに隣り合うように接合されるボルト通し孔10:10の中心をずらすことにより、内型枠2;2の外周面8;8間に段差δを設けることができる。よって、掘削進行方向Aに沿って互いに隣り合う型枠ピース3;3のリング継手面14;14をボルト10a及びナットによって接合可能で、かつ、ボルト通し孔10;10の中心をずらすことのできる最大距離が段差最大許容値δmaxである。
【0041】
そこで、段差最大許容値δmax=最短距離h=(d1−d2)/2と規定して、内型枠2のリングの中心軸5と直交する面15に対する端面6の傾斜角度θ(図20参照)の最大許容傾斜角度θmaxを、以下の式(1)により求めた。
θmax=ACOS(1/(2δmax/D+1))・・・(1)
ここで、
δmax=掘削進行方向Aに沿って隣り合うように接合された場合の各内型枠2;2の外周面8;8間の段差最大許容値である。
尚、ACOSはアークコサインである。
【0042】
式(1)からわかるように、内型枠2の端面6の最大許容傾斜角度θmaxは、段差最大許容値δmaxを決める最短距離h、さらには、内型枠2のリングの外径寸法Dによって異なってくることになる。
【0043】
上記内型枠2として、内型枠2のリングの中心軸5と直交する面15に対する端面6の最大許容傾斜角度θmaxが、上記式(1)を満たすものを用いることによって、それまでの筒状の内型枠1の進行方向に対して内型枠1の進行方向を細かく調整することが可能となる。
【0044】
式(1)において、段差最大許容値δmaxを1.5mmとして最大許容傾斜角度θmaxを計算した場合の、内型枠2の外径Dと最大許容傾斜角度θmaxとの関係を以下の表に示す。
外径D(m) 最大許容傾斜角度θmax
6 1.81
7 1.68
8 1.57
9 1.48
10 1.40
11 1.34
12 1.28
13 1.23
14 1.19
15 1.15
16 1.11
17 1.08
18 1.05
19 1.02
20 0.99
【0045】
上記表によれば、例えば、外径D=10mの内型枠2を用いる場合においては、内型枠2のリングの中心軸5と直交する面15に対する端面6の傾斜角度θを最大許容傾斜角度θmaxである1.40°以下にすれば、幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するように内型枠2;2を接合したり、あるいは、幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するように内型枠2;2を接合せずとも、それまでの筒状の内型枠1の進行方向に対して内型枠1の進行方向を変更することが可能となる。
【0046】
即ち、内型枠2として、内型枠2のリングの中心軸5と直交する面15に対する端面6の傾斜角度θが、上記式(1)により計算された最大許容傾斜角度θmax以下に形成されたものを用いれば、必ずしも、幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するように内型枠2;2を接合したり、あるいは、幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するように内型枠2;2を接合する必要は無く、それまでの筒状の内型枠1の進行方向に対して内型枠1の進行方向を変更することが可能となる。
【0047】
また、内型枠2として、内型枠2のリングの中心軸5と直交する面15に対する端面6の傾斜角度θが、上記式(1)により計算された最大許容傾斜角度θmax以下に形成されたものを用いる場合において、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するような状態、あるいは、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するような状態に対して、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の一方の内型枠2がリングの中心軸5を回転中心として所定角度xだけ回転した状態となるよう隣り合う内型枠2;2同士を接合することにより、上記所定角度xを任意に設定できる。この場合、それまでの筒状の内型枠1の進行方向に対して内型枠1の進行方向を変更する場合において、内型枠1の進行方向を細かく調整できるようになる。
【0048】
上記所定角度xの最小角度x1は、内型枠2の中心5cと内型枠2の端面6に形成された互いに隣り合うボルト通し孔10;10の中心とを繋ぐ線10bと線10bとで挟まれた角度である(図22参照)。
よって、図22に示すように、周方向に沿って最小角度x1間隔で複数のボルト通し孔10が設けられた端面6を備えた内型枠2を用いる場合、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するような状態、あるいは、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するような状態に対して、掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2の一方の内型枠2がリングの中心軸5を回転中心として最小角度x1単位で回転した状態となるよう隣り合う内型枠2;2同士を接合することが可能となるので、内型枠1の進行方向を細かく調整できる。
例えば、内型枠1Bの進行方向を変更しようとする際において、内型枠1Bの先端に位置する内型枠2に新たに内型枠2を接合しようとする場合、これら内型枠2;2の幅最大位置aと幅最小位置bとを一致させた状態に対して、接合しようとする内型枠2を中心軸5を回転中心として上記所定角度xだけ回転させた状態で当該内型枠2の端面6と内型枠1Bの先端に位置する内型枠2の端面6とを接触させてから端面6;6同士を接合することにより、筒状の内型枠1Bの進行方向を細かく調整できるようになる。
【0049】
掘削進行方向Aに沿って隣り合う内型枠2;2同士を、幅最大位置a同士及び幅最小位置b同士が一致するような状態、あるいは、幅最大位置aと幅最小位置bとが一致するような状態に接合する場合には、内型枠2のリングの中心軸5と直交する面15に対する端面6の傾斜角度θは上述した最大許容傾斜角度θmax以下に制限されることはない。
【0050】
尚、型枠ピース3の製造面等を考慮すると、1種類の円形リング状の内型枠2を用いて筒状の内型枠1を組み立てることが好ましいが、例えば幅寸法の異なる複数種類の内型枠を用意してこれら複数種類の内型枠を用いて筒状の内型枠を組み立てるようにしてもよい。
【0051】
上述した内型枠の組み立て方法は、円形リング状の内型枠でなく、例えば、矩形リング状の内型枠を用いて筒状の内型枠を組み立てる場合にも適用できる。
【0052】
実施形態5においては、リングの中心軸と交差する平面により形成されるリングの両端面が互いに平行でないリング状の内型枠2を用い、当該リング状の内型枠2の端面同士を突き合わせて接合していくことによって、筒の中心軸が直線状に延長する筒状に組み立てられる内型枠1Aや、筒の中心軸が曲線状に延長する筒状に組み立てられる内型枠1Bの内側の所望の位置に、実施形態1乃至4で説明したレール装置50を用いてレール51を後から容易に取付けることができるようになる。つまり、リング状の内型枠2同士がどのように連結されたとしても、レール51を内型枠1Aや内型枠1Bの内側の所望の同一位置に設置できるようになる。
【0053】
本発明によれば、図2に示すように、内型枠(31;1A;1B)の内側底面に、レール51の無い型枠ピース(40A;3)を積み重ねることができるようになり、型枠ピースの積み重ね高さを均等にできるので、従来のように、レールにより積み重ね高さの高くなった部分と搬送しようとする型枠ピースとが衝突して型枠ピースを前方に搬送できないという事態を防止できる。
【符号の説明】
【0054】
31;1A;1B 内型枠、40A;3 型枠ピース、44 台車、
45a 中主桁(取付板)、45b 取付孔、50 レール装置、51 レール、
52 取付部、53;53A;53B;53C 取付手段、57 係合部、
58 係止手段、62 油圧ジャッキ(ジャッキ)、66 連結体、67 取付部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山を掘削した掘削孔により形成されたトンネル空洞部の内周面に沿って設置されてトンネル空洞部の内周面との間に覆工部を形成するための筒状の内型枠の内側に取付けられて内型枠の筒の中心軸に沿って延長し内型枠の筒の中心軸に沿って台車を移動させる際の台車の走行路を形成する内型枠のレールと、内型枠の内壁面に設けられた取付部と、当該取付部にレールを着脱可能に取付けるための取付手段とを備えたことを特徴とする内型枠のレール装置。
【請求項2】
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、
取付手段が、取付孔に挿通される係合部と、取付孔に挿通された係合部が取付孔より外れないよう係止する係止手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の内型枠のレール装置。
【請求項3】
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、
取付手段がジャッキを備え、
ジャッキは、ピストンシリンダーの一端側に設けられた一端側係合部と、ピストンシリンダーの他端より突出するピストンの先端側に設けられた他端側係合部とを備え、
一端側係合部は、互いに向かい合う一対の取付板にそれぞれ形成された一対の取付孔のうちの一方の取付孔の径よりも大径に形成されて軸端面が取付板の板面に接触する一端側大径軸部と、一端側大径軸部の軸端面より突出して一方の取付孔に挿通される一端側小径軸部とを備え、
他端側係合部は、一対の取付孔のうちの他方の取付孔の径よりも大径に形成されて軸端面が取付板の板面に接触する他端側大径軸部と、他端側大径軸部の軸端面より突出して他方の取付孔に挿通される他端側小径軸部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の内型枠のレール装置。
【請求項4】
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、
取付手段が、互いに向かい合う一対の取付板にそれぞれ形成された一対の取付孔のうちの一方の取付孔に挿通される係合部と、当該一対の取付孔のうちの他方の取付孔に挿通されて他方の取付孔に係合する如く進退可能なピストンを有したジャッキと、一方の取付孔に挿通された係合部が一方の取付孔より外れないよう係止する係止手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の内型枠のレール装置。
【請求項5】
取付部が、内型枠の内壁面に設けられた取付板と、取付板に形成された取付孔とにより構成され、
取付手段が、内型枠の内壁面の周方向に沿って間隔を隔てて配置される一対のレールを連結する連結体と、連結体を取付部に取付けるための取付部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の内型枠のレール装置。
【請求項6】
筒状の内型枠は、弧状の型枠ピースをトンネル空洞部の内周面に沿って内周面を1周するように複数設置してリング状の内型枠を形成し、このリング状の内型枠を掘削進行方向に向けて順次設けて掘削進行方向に延長する筒状に組み立てられる内型枠であって、複数のリング状の内型枠として、リングの中心軸と交差する平面により形成されるリングの両端面が互いに平行でないものを用い、当該リング状の内型枠の端面同士を突き合わせて接合していくことによって、筒の中心軸が直線状に延長する筒状に組み立てられたり、筒の中心軸が曲線状に延長する筒状に組み立てられる内型枠であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の内型枠のレール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−57403(P2012−57403A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203238(P2010−203238)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】