説明

内容表示部材

【課題】 パレット等の荷物載置装置に載置された荷物に関する情報が記載された情報シートを、接着テープを使用することなく荷物にしっかりと簡単に取り付けることができるようにするとともに、取り付け、取り外し及び搬送時において荷物を損傷させることもなく、また、安価で導入可能な内容表示部材を提供することを課題とする。
【解決手段】 ケース部10に情報が記載された情報シートSを収容して、差込片20を載置された荷物と荷物の間等に差し込んで荷物に取り付けできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット等の荷物載置器具に載置された荷物の内容等の情報が記載された情報シートを、接着テープを貼り付けることなく荷物の表面に取り付けられ、かつ荷物の表面を損傷させることなく取り付け、取り外しが可能な内容表示部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を搬送する際には、パレットに代表される荷物載置器具に荷物(段ボール、プラスチックケース等)を載置して運搬することが行われている。そして、荷物載置器具を使って荷物を搬送する際には、載置された荷物の情報が容易に確認できるように、載置された荷物の内容や出荷先等の情報が記載された情報シートを、荷物の表面に接着テープで貼り付けることが行われている。
【0003】
しかしながら、接着テープを使って荷物に情報シートを貼り付けると、例えば、搬送中に接着テープの接着力が低下して荷物から剥がれ落ちてしまったり、荷物が段ボール箱などの場合には、搬送後に情報シートを段ボール箱から剥がすときに、接着テープと共に段ボール箱の表面が剥がれて損傷させたりすることがある。特に、荷物の表面を損傷させた場合は、納入先からのクレームの対象となる場合もあり、運搬作業者は常に注意が必要であった。
【0004】
接着テープを使用せず荷物に情報シートを取り付ける手段としては、例えば、パレット状の荷物の外側周面にラップフィルムを巻き付けるラップフィルム包装手段と、ラッピング途中にあるラップフィルムの内面に情報シートを添付する情報シート添付手段とを備えた装置によって表示をする手段がある(特許文献1参照)。しかし、この手段は、装置の導入コストがかかるだけでなく、荷物の種類によってはラッピングをする必要がないものもあることから、広く普及するには至っていない。従って、接着テープを用いること以外の情報シートの取り付け手段であって、汎用性に優れたものは未だ提供されていないのが実情である。
【0005】
【特許文献1】特開平11−314617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題を解決すべく、接着テープを貼り付けることなく、情報シートを荷物にしっかりと簡単に取り付けることができるとともに、取り付け、取り外し及び搬送時において荷物を損傷させることもなく、また、安価で導入可能な内容表示部材を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る内容表示部材は、複数積載された荷物の外側に設置されて、その荷物に関する情報を表示する内容表示部材であって、
可撓性の透明素材又は半透明素材から袋状に形成され、荷物に関する情報が記載された情報シートを収容する収容部と、該収容部の開閉を自在に行える開閉手段とを備えるケース部と、
前記ケース部から延設されて、荷物と荷物との間に差し込まれるか又は荷物の荷崩れを防止するベルトに前記差込片とを備え、
前記ケース部と差込片は、V字状に折れて連結されている連結部を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
この内容表示部材は、ケース部に情報が記載された札や紙等からなる情報シートを収容して情報を表示できるようにするとともに、差込片を載置される荷物と荷物の間等に差し込んで、荷物に取り付けできるようにしたものである。係る構成を採用することによって、接着テープを貼り付けることなく、容易に荷物の外側に表示を付することが可能となる。従って、荷物からの取り外しの際にも荷物の表面を損傷させることがなくなる。そして、荷物への取り付けも差込片を荷物と荷物との間に差し込むか又は荷物の荷崩れを防止するベルトに掛けることで行えるので、作業性も向上させることができる。また、ケース部が透明素材若しくは半透明素材からなるので、情報シートの表示を確認しやすく、例えば、情報シートに記入されたバーコードの読み取りも、情報シートをケース部からわざわざ取り出すことなく行える。さらに、ケース部に収容部を設けてあるので、さらに収容部の開閉手段から情報シートの交換が容易に行うことができる。これにより、内容表示部材を繰り返し使用することができる。
【0009】
また、ケース部と差込片とは、V字状に折れて連結されているので、差込片を荷物と荷物との間に挿入した場合に、空中にぶらぶら浮いた状態にならず、ケース部は荷物側に付勢された状態に設置することができる。
【0010】
尚、本明細書において「情報シート」とは、パレット等の荷物載置装置に載置された荷物に関する情報を荷物に表示するものであって、当該情報が記載された印刷物、手書きの紙等を意味するものである。
【0011】
また、請求項2に係る内容表示部材は、前記差込片には、連結部から一定の距離で形成された薄いシート部と、さらにその先端に設けられた肉厚部を備えたものである。
【0012】
係る構成を採用することによって、荷物と荷物との間に挟まれた差込片は、差し込まれた先端部のみ肉厚部を備えるため、奥の方のみが膨らんだ状態とされる。そのため、肉厚部が段ボールに引っかかるので容易に抜け落ちることを防止することができる。
【0013】
また、請求項3に係る内容表示部材は、肉厚部は、内部にクッション材を収容してなるものである。クッション材を挿入するという手段を採用すると、内部に挿入された差込片は、荷物と荷物との間の隙間の形状に合わせて肉厚部が変形することができる。そのため、肉厚部は荷物と荷物の間に隙間無く沿わせることができるようになる。そのため、より高い摩擦力を与えることができ、抜け落ちをより効果的に防止することができる。
【0014】
また、請求項4に係る内容表示部材は、前記クッション材の厚みは、2mmから5mmであることを特徴とするものである。あまり厚くすると、荷物の間に挿入することが困難になるとともに、段ボール箱等の型くずれをし易い荷物に対して使用する場合には、荷物の荷重によって差込片の痕が段ボール箱の表面についてしまったり、差し込む際に段ボール箱の表面に凹みをつける等して損傷させてしまうおそれがあり、一方あまり薄くすると抜け落ち防止の効果が得られなくなる。そこで、このような事態を防止するために、差込片を適度な厚みにするとよい。
【0015】
また、請求項5に係る内容表示部材は、差込片は、先端側にかけて薄くなるようにテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内容表示部材、である。差込片の面を根元側から先端側にかけて下降傾斜するテーパー状に形成することによって、先端部分の厚みを根元部分の厚みよりも薄くすることができるので、内容表示部材を荷物に取り付ける際に、荷物と荷物の間等への差し込みが行いやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、差込片を荷物と荷物との間に差し込むか又は荷物の荷崩れを防止するベルトに掛けて荷物の外側面に取り付けることができるので、取り付け作業が簡便に行えるとともに、荷物に損傷を与えることがない。また、情報シートが収容されるケース部が透明素材若しくは半透明素材から形成されるので、情報シートの表示の確認しやすく、情報シートに記入されたバーコードの読み取り作業等も、情報シートをケース部からわざわざ取り出さずに行うことができる。さらに、ケース部に収容部が設けられ、この収容部に開閉手段が設けられるので情報シートの交換が容易となり、繰り返し使用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る内容表示部材は、ケース部と、差込片とを備えている。ケース部は外部から視認可能なように透明素材又は半透明素材で袋状の収容部が形成されてなり、この内部に荷物の情報が記載された情報シートが収容される。透明素材又は半透明素材としては、例えば、ポリプロピレン、再生ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、再生ポリエチレンテレフタレート(再生PET)、生分解性樹脂等の合成樹脂からなるものを用いることができる。また、ケース部は、透明又は半透明であることに加えて、柔軟性を有することが好ましい。柔軟性を付与することで、例えばケース部が折れ曲がった場合であっても容易に復元され、また、荷物の運搬作業者が接触した場合であっても、身体を傷つけることがないからである。ケース部の大きさや厚みは特に限定されるものではないが、例えば、汎用性の点からみて一般的な用紙サイズであるA4サイズやA5サイズの情報シートを収納することができる大きさとすることが考えられる。
【0018】
ケース部は、前述したように内部に情報シートを収容するための収容部を備える。この収容部には、情報シートの出し入れを自在に行えるように、開閉が自在に行える開閉手段を備えている。開閉手段としては、例えば、スライドファスナーや面ファスナー、ボタン、ホック、フック等が挙げられる。開閉手段は、下記で説明する差込片と連結されている側と反対側に設けることが好ましい。係る構成にすれば、内容表示部材を荷物と荷物との間に差し込んだときに、収容部が下方に設置されることになる。内容表示部材は、荷物間に差し込んだ状態のまま、冷蔵庫、冷凍庫といった保管庫に収容される可能性があるが、収容部が下方にあれば水滴等がケース内部に溜まっても水滴は下方から自然に流れ出るようになる。また、このような水滴を開閉手段から容易に拭き取ることができる。
【0019】
差込片は、内容表示部材を取付けようとする荷物と荷物との間に差し込まれるか又は荷物の荷崩れを防止するベルトに掛けられるものである。差込片は、荷物と荷物との間等への差込み操作がし易く、かつ差し込んだときに抜け落ちたりしない程度の剛性を備えるものであればよく、その材質、大きさ等は特に限定されるものではない。しかし、あまり高剛性の素材より作製すると、例えば、段ボール箱等の型くずれを起こしやすい荷物に対して使用する場合には、差込み痕がついたり、凹みが生じたり等、荷物に損傷を与えるおそれがある。このため、差し込み片は、プラスチック等の適度な剛性を備える可撓性素材より作製することが好ましい。
【0020】
差込片は、ケース部との連結部から一定の間隔を有する薄いシート部と、その先にある肉厚部とを備える。肉厚部の構成としては、特に限定するものではない。好ましくは、クッション材が挿入して肉厚部を形成するとよい。クッション材を用いれば、荷物間に挿入した場合に、荷物と荷物との間の隙間にぴったりと沿わせることができるからである。クッション材は、特に限定するものではなく、発泡プラスチック、ウレタンフォーム等種々のクッション材が使用できる。クッション材の厚さは、厚すぎると差し込み操作がしにくくなり、逆に薄すぎると容易に抜け落ちてしまうことから、両者のバランスがとれた厚みにするとよい。その好適な厚みは2mmから5mm、より好ましくは、3mmから4mmである。
【0021】
ケース部から一定の間隔をおいて肉厚部を設けたのは、ケースの根本からクッション材を設けると荷物と荷物との間の隙間が同じ厚みに形成されるが、ケースの根本の部分にから一定の距離にクッション材を挿入しない薄いシート部を設けることによって、例えば図6に示すように、奥のクッション材を有する肉厚部分のみ荷物と荷物との間に空間を発生させ、肉厚のない部分(薄いシート部)との段差によって肉厚部が引っかかるようにして抜けづらくすることができるからである。
【0022】
また、差込片には、その根元側から先端側にかけて下降傾斜するようにテーパー状に形成してもよい。テーパー状に形成することによって、差込片の剛性を確保しながらも、先端部分の厚みを薄くすることができるので、差し込み作業が行いやすくなる。
【0023】
ケース部と差込片は、V字状に折り畳まれて連結されている。係る構成を採用することによって、図6に示すように、差込片を荷物と荷物との間に挿入した場合に、空中にぶらぶら浮いた状態にならず、ケース部は荷物側に付勢された状態にすることができる。
【0024】
以下に本発明の実施例を図に基づいて説明する。勿論、下記実施例は、本発明の好適な実施例を示すに過ぎず、本発明の技術的範囲は、下記実施例そのものに何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
図1から図3には、実施例1に係る内容表示部材100が示されている。内容表示部材100は、ケース部10と、差込片20とを備える。ケース部10は、A4サイズの情報シートが収容可能な220×300mmの大きさに裁断された軟質の再生PET樹脂からなる透明シートが2枚重ね合わせられ、そのうち下端の一長辺以外の三辺がそれぞれ熱溶着されて一体化されて袋状に形成されている。ケース部100のうち、熱溶着がなされていない一長辺は、内部に情報シートを収容するための収容部11となっており、この収容部11には開閉が自在に行える開閉手段として、ホック12が配設されている。
【0026】
差込片20は、可撓性を有するプラスチックよりなり、その幅長さはケース部10の幅長さと同じ300mmに形成され、奥行き長さは50mmに形成されていて、その先端部にはクッション材を収容する袋状をなしており、クッション材23によって肉厚部21を形成している。肉厚部21とケース部10との間は、薄いシート部22を備えている。そして、肉厚部20の厚みは3.5mmに形成されている。そして、ケース部10と差込片20とは、折り返されてV字状となるように熱溶着されて、一体をなしている。
【0027】
図4には、内容表示部材100のケース部10の内部に情報シートSが収容されている状態が示されている。ケース部10の内部に情報シートSを収容するには、ホック12をはずして、収容部11を開口した状態にしてから行う。そして、情報シートSをケース部10に収容したら、ホック12を閉じて収容部11を閉塞する。この操作によって、情報シートSを自在に交換することができる。
【0028】
図5及び図6には、内容表示部材100の使用態様を説明する図である。ここでは、荷物としての段ボール箱Dに取り付けた状態が示されている。図5及び図6に示すように、内容表示部材100は、積み重ねられた段ボール箱D1とD2との間の隙間に差込片20を差し込むことによって荷物に取り付けられる。このとき、図6に示すように、ケース部10は、差込片20に対してV字状に溶着されているので、荷物側に付勢されて配置されることになる。よって、ケース部10が荷物から浮いてぶらぶら垂れ下がることがない。
【0029】
図7及び図8には、内容表示部材100の別の使用態様を説明する図である。ここでは、内容表示部材100を、パレットPに積載された段ボール箱Dの荷崩れを防止するために段ボール箱Dの外周面に巻回された荷崩れ防止ベルトBと、段ボール箱Dとの間に差込片20を掛けて取り付けている。このように、荷物と荷崩れ防止ベルトBとの間に差込片20を掛けて使用する場合でも、図5及び図6と同様に、ケース部10は、差込片20に対してV字状に溶着されているので、ケース部10が下方に垂れ下がった状態となって、荷物の外側面と略平行をなすように取り付けることができるのである。
【0030】
上記の各実施例に係る内容表示部材100を使用することで、差込片20を荷物と荷物の間等の隙間に差し込むだけで荷物に簡単に取り付けることができるので、従来のように情報シートを、接着テープを使用して取り付ける場合のように荷物の表面を損傷させることもなく、また、取り付け作業も簡便に行うことができる。また、ケース部に収容される情報シートの交換が自在に行えるので、繰り返し使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1に係る内容表示部材の平面図である。
【図2】実施例1に係る内容表示部材の側面図である。
【図3】実施例1に係る内容表示部材の斜視図である。
【図4】実施例1に係る内容表示部材に、情報シートが収容された状態を示す斜視図である。
【図5】実施例1に係る内容表示部材の使用態様を示す斜視図である。
【図6】図5において荷物に取り付けられた内容表示部材の取り付け状態を説明する拡大側面図である。
【図7】実施例1に係る内容表示部材の他の使用態様を示す斜視図である。
【図8】図7において荷物に取り付けられた内容表示部材の取り付け状態を説明する拡大側面図である。
【符号の説明】
【0032】
100 内容表示部材
10 ケース部
11 収容部
12 ホック
20 差込片
D 段ボール箱
B 荷崩れ防止ベルト
S 情報シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数積載された荷物の外側に設置されて、その荷物に関する情報を表示する内容表示部材であって、
可撓性の透明素材又は半透明素材から袋状に形成され、荷物に関する情報が記載された情報シートを収容する収容部と、該収容部の開閉を自在に行える開閉手段とを備えるケース部と、
前記ケース部から延設されて、荷物と荷物との間に差し込まれるか又は荷物の荷崩れを防止するベルトに掛けられる前記差込片とを備え、
前記ケース部と差込片は、V字状に折れて連結されている連結部を備えていることを特徴とする内容表示部材。
【請求項2】
前記差込片には、前記連結部から一定の距離で形成された薄いシート部と、さらにその先端に設けられた肉厚部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の内容表示部材。
【請求項3】
肉厚部は、内部にクッション材を収容してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の内容表示部材。
【請求項4】
前記クッション材の厚みは、2mmから5mmであることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の内容表示部材。
【請求項5】
前記差込片は、先端側にかけて薄くなるようにテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の内容表示部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−91674(P2010−91674A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259693(P2008−259693)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000132921)株式会社タカギ・パックス (11)
【Fターム(参考)】