内服投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析する方法とシステム
多重投薬形態で服用するように処方された内服投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析する方法及びシステムであって、第一の投薬形態の内服を検出して第一のデータ点を生じさせるステップ;第二の投薬形態の内服を検出して第二のデータ点を生じさせるステップ;及び前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析するステップ;を含む。第一のデータ点と第二のデータ点を分析するステップは可能ないろいろなタイプの測定基準のうちのある測定基準を生じさせる。第一の投薬形態と第二の投薬形態は複数の継起的に内服されて同数の継起的データ点を生じさせる二つの投薬形態である。その後の投薬形態の内服は少なくとも同数のデータ点を生じさせる。開示された方法を実行するために、少なくとも二つの投薬形態、各投薬形態と操作的に結びついたタイムスタンプ識別子、タイムスタンプ識別子データを受信する受信デバイス、及び受信したデータを分析するアナライザーを含むシステムが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2006年3月30日に出願された米国特許仮出願第60/787623号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、内服投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法及びシステム、並びにそれに続いて生じたデータを分析することに関する。より具体的に、本発明は、消化管のイオン伝導環境に敏感なスイッチがオンにされた際に、観測と分析のために体外データ収集装置へ信号を送信する嚥下又は挿入されるカプセル封入装置であって、それによりその剤形が嚥下、挿入、又はその他の仕方で内服されたことを知らせる装置の使用に関する。この体外データ収集装置によって集められたデータは、その後患者の治療の管理又は臨床研究のために分析できる。
【背景技術】
【0003】
医師によって処方された投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析する本発明の方法及びシステムは、内服される治療薬の投薬レジメンに対する患者の服薬不履行によって引き起こされる問題に対する効果的かつ実際的な対応を可能にする。服薬不履行とは、患者が処方された用量の医薬を所定の期間にわたって所定の時間に服用できなかったことを指し、それは患者の投薬不足又は投薬過剰を引き起こす。このような服薬不履行は、医療コストの増大、合併症発生率の上昇、病原体の薬剤耐性の発生率の上昇、及び医薬の浪費を生ずる。57件の服薬不履行研究の調査では、投薬処方を遵守できなかった割合は、投薬治療、患者特性、投与される医薬、又は研究方法に関わりなく、すべての研究集団の15%から95%という高い割合までにわたっている。(Greeberg, R.N.: Overview of Patient Comliance with Medication Dosing: A Lieterature Review、Clin. Therap., 6(5); 592-599 [1984])。患者が投薬レジメンを遵守できない理由はいろいろであり、忘れっぽい(30%)、他の事項を優先(16%)、服薬しないことを選択(11%)、情報の不足(9%)、及び“感情的因子”(7%)、などである(Osterberg, L. and Blaschke, T.: Compliance to medication, N. Engl. J. Med. 353;5, 490 [2005])。
【0004】
治療という状況で、服薬遵守を正確に測定し分析することにはいくつか重要な利益がある。例えば、治療者が患者に対して投薬レジメンを遵守しないことによる薬剤耐性菌感染症を発症する可能性について警告できること、過剰投薬に関連した薬の副作用の同定が可能になることなどである。臨床的な薬剤研究の局面では、服薬遵守を正確に測定し分析することは広範な利点がある、例えば、臨床研究の統計的信頼性が高められる、臨床研究を早く完了できる、副作用を同定できる可能性、服薬不履行の度合の関数として服薬不履行の影響を決定できる、などである。
【0005】
訓練を受けた人の直接観測による服薬遵守の確認は有効であるがたいていの状況では非実際的である。血液又は尿の分析による服薬遵守の確認も病院という環境以外では実際的でない。
【0006】
直接観測及び検体分析の非実用性を克服するために技術的な努力がなされてきた。それらの技術的努力は、もっぱら投薬服薬遵守を監視することに向けられた。患者の皮膚に取付けられて嚥下された薬を皮膚を通して検出する経皮検出装置が開発された。例えば、米国特許第6,663,846号及び米国公開特許出願第2005/0031536号に開示されているように、このような装置は医療施設などの外部地点にある遠隔受信機へ信号を発信することができる。米国特許出願第2004/0081587号に記載されているように、嚥下された薬成分を患者の胸において検出する電子センサー・システムも開発されている。米国特許第6,366,206号に記載されているように、ラジオ周波数標識(“RFID”)タグを各ピルに組み込んで、対応するラジオ周波数読取り機で尋ねられたときにタグが放出する固有のコードによって各タグが投薬治療のタイプ、投薬量、及びそのロット番号を標識することができるようになっている。この’206特許のRFIDは、例えば、消化管におけるイオン伝導度を検出することによって状態を切り換えるバイオセンサーを組み込んで、水分又はpH変化を検出してピルが溶解して消化管システムの環境にRFIDタグを露出させたかどうかを決定することができる。
【0007】
服薬遵守の統計モデルも開発されている。例えば、Gerard et al.は、Statistics in Medicine (17, 2313-2333 [1998])において服薬遵守・データのマルコフ混合効果モデルを記載している。Vrijens et al.は、Statistics in Medicine (23, 531-544 [2004])において薬理動態的集団調査においてバイアスを減少させ精度を向上させるデータ処理モデルを記載している。欧州特許出願第0526166号では、医薬消費を検出するために医薬容器に取り付けられるラジオ送信機を用いる患者服薬遵守の監視方法が開示されている。医薬消費に関連したデータを患者が入力することによる患者服薬遵守の監視方法が米国公開特許出願第2002/0143577号に開示されている。
【0008】
バーコードに基づく薬剤放出システム及びデータベースが米国公開特許出願第2003/0055531号に開示されている。米国公開特許出願第2003/0016060号では、患者との相互作用を含む患者服薬遵守監視方法が開示されている。患者に携帯薬剤放出装置を提供し、それによって患者に一回分の薬剤を服用するように注意し、薬剤の服用に関する患者服薬遵守・データを集める患者服薬遵守監視システムが米国公開特許出願第2004/0133305号に記載されている。
【0009】
薬物動力学モデルを用いて、処方された投薬レジメンを調整するかどうかを決定する患者服薬遵守監視方法が米国公開特許出願第2004/01193446号に記載されている。臨床試験で使用するための患者服薬遵守監視方法の使用が米国公開特許出願第2004/0243620号に記載されている。薬剤容器を追跡するシステム及び方法が米国公開特許出願第2004/0008123号に開示されている。最後に、患者による嚥下に対応するRFIDタグを含むカプセル又はピルを用いる患者服薬遵守監視方法が米国公開特許出願第2005/0131281号に開示されている。
【0010】
上記の特許及び刊行物の各々は、投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法とシステムに関する最新技術に寄与するものである。しかし、これらの特許及び刊行物は、完全に満足な内服投薬レジメンの監視方法を与えるものではなく、また服薬遵守システムから生じるデータを集め、集められたデータを治療又は臨床環境に役立つような仕方で分析する方法又はシステムを与えるものではない。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、多重投薬形態で服用するように処方された内服投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析する方法及びシステムを提供する。最も基本的な様態で、本発明の方法は、第一の投薬形態の内服を検出して第一のデータ点を生じさせるステップ、第二の投薬形態の内服を検出して第二のデータ点を生じさせるステップ、及び第一のデータ点と第二のデータ点を分析するステップを含む。第一のデータ点と第二のデータ点を分析するステップは、可能ないろいろな測定基準タイプのうちのある測定基準(metric)を生成する。第一及び第二の投薬形態は、任意の複数の継起的に内服されて同様の数の継起的データ点を生じさせる投薬形態のうちの二つであってよい。その後の投薬形態の内服は少なくとも同様の数のデータ点を発生させる。各データ点は、日付、与えられた日付の時刻、及び投薬形態のシリアルナンバーを含む、又は体内温度などいろいろな付加的情報を含むタイムスタンプ識別子(time stamp identifier)である。
【0012】
この方法を実行するために、本発明は、少なくとも二つの投薬形態、各投薬形態と操作的に結合されたタイムスタンプ識別子、このタイムスタンプ識別子を受信するための受信機、及び受信したデータを分析する分析装置を備えたシステムを含む。
【0013】
投薬形態は活性成分を含むこともあり、プラセボであってもよい。投薬形態は口から嚥下することも、直腸に挿入されることもあり、カプセル、ピル、又は錠剤の形態をとることもある。例えば、有効な量の薬剤を含むカプセルとして、投薬形態は治療薬と消化管における条件に敏感なスイッチを有するデバイスを含むゼラチン・ベースのカプセルとして実現できる。データ点は、投薬形態によって作成されて発信されてもよいし、投薬形態からのスイッチ情報を受信した体外の装置によって作成されて発信される。実施形態に関わりなく、発信されたデータは、発信された一つ以上のデータ点を受信して一時的に保持する一時的データ記憶装置又はモニターによって受信され、受信されたデータは、一時的データ記憶装置から受信したデータを一時的に保持する中間データ記憶装置に発信される。当該システムは、また、最初に発信されたデータ点を受信し分析する受信機を含むこともある。
【0014】
具体的に言うと、ある好ましい実施形態で本発明の方法は、感知及び発信デバイスを含む投薬形態を患者が嚥下又は挿入するステップ、時間をおいてカプセルを患者の体内で溶解させ、患者の消化管環境においてスイッチを活性化させてデータ点を生成するステップ、そのデータ点及び追加の継起的なデータ点を一時的データ記憶装置に提供するステップ、一時的データ記憶装置からのデータを中間データ記憶装置に提供するステップ、及び中間データ記憶装置からのデータを医療者又は分析者に解釈のために提供するステップという形で、感知及び発信デバイスに基づくシステムを使用する。次に、集められたデータを分析して、患者の治療のために、臨床研究のため、又は両方の目的で、処方された投薬レジメンに対する患者の服薬遵守を検証し解釈する。
【0015】
別の実施形態では、本発明の方法は、発信デバイスを含む投薬形態を患者が嚥下又は挿入するステップ、時間をおいてカプセルを患者の体内で溶解させるステップ、投薬形態の嚥下又は挿入を検出するステップ、検出データを一時的データ記憶システムに記録してデータ点を生成するステップ、データ点にタイムスタンプ識別子を加えて標識されたデータ点を生成するステップ、標識されたデータ点を中間データ記憶システムに格納するステップ、引き続き投薬形態の嚥下又は挿入に関して前記ステップを繰り返して、中間データ記憶システムが複数の標識されたデータ点を含むようにするステップ、断続的に複数の標識されたデータ点をあるデータベースに送信するステップ、及びデータベースに含まれる複数の標識されたデータ点を分析するステップ、を含む。データベースに含まれる複数の標識されたデータ点の分析も、治療の目的で、臨床研究のため、又は両方の目的で患者服薬遵守を検証し解釈するために行われる。
【0016】
本発明のその他の特徴は、好ましい実施形態についての以下の詳細な説明を、添付図面を参照し、添付されたクレームと合わせて考察することによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付の図面において、同じ参照数字は同じ構成を指すように用いられる。以下の説明で、いろいろな動作パラメータと構成は1の構築された実施形態に関して説明される。これらの特定のパラメータと構成は、例としてあげるだけであって、発明を限定することを意図していない。
【0018】
本発明の方法及びシステムは、内服投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析することに向けられ、投薬レジメンは継起的に内服される少なくとも第一の投薬形態と第二の投薬形態を含む。服薬遵守の監視と分析は、医療者が患者の治療を最適化することを助けるのに有用であり、また臨床研究のためにも有用である。
【0019】
第一の投薬形態の内服は第一のデータ点を発生し、第二の投薬形態の内服は第一のデータ点から時間的に間隔をおいて第二のデータ点を生じさせる。次に、第一のデータ点と第二のデータ点(又は、時間をおいて発生される任意の個数のデータ点)が分析されてある測定基準を生じさせる。発生して集められたデータは、多様な分析方法のどんな仕方によって分析してもよい。そのような方法としては、時系列分析、多変量分析、薬理動的回帰分析、薬理動力学回帰分析、集団比較、生存時間分析、共分散分析、単平均分析、多重独立群分析、対観測分析、多重独立群対観測分析、多重独立群打ち切り分析、多重独立群限定リクルートメント及び打ち切り分析、単一比例分析、多重独立比例分析、角変換分析、生存時間分析、単相関分析、多重独立相関分析、及び多重関連相関分析、などがあるが、それだけに限定されない。
【0020】
生成された測定基準は、投薬レジメンへの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれであってもよい。具体的にいうと、生成された測定基準は、臨床試験のための服薬遵守測定基準、治療薬の用量を変えるための測定基準、治療薬を変えるための測定基準、患者からの通信を求める測定基準、服薬遵守を治療薬の効果の保証と結びつける測定基準、服薬遵守を治療薬の安全性の保証と結びつける測定基準、治療薬の効力を決定するための測定基準、治療薬の安全性を決定するための測定基準、治療薬を使用する試験プロトコルを確立するための測定基準、治療薬の保険可能性(insurability)を決定するための測定基準、及び市販のために治療薬を分別する測定基準などである。
【0021】
システム構成
本発明の投薬形態・システムの構成が図1と2に示されている。図1を参照すると、全体を10で表したRFID信号発信投薬形態が断面図で示されている。図示された信号発信投薬形態はカプセルであるが、他の投薬形態、例えば、錠剤やピルも使用できる。ここで用いられる場合、投薬形態とは活性薬剤を含む剤形を指すこともあるし、プラセボであってもよい。
【0022】
投薬形態10は、以下で述べるような、実際の治療及び臨床研究で用いられるもっと大きなシステムの一部である。図示したカプセルについて以下で簡単に説明するが、カプセル、その構造、及びその機能は、2006年5月18日に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる米国公開特許出願第2006/0289640号に記載されている。
【0023】
以下で説明するように、信号発信投薬形態10は、消化管に曝露されたことによって作動するスイッチを有することによって、その投薬形態10が実際に嚥下されたことを示す信号を発信する。この信号は、いろいろな仕方で、例えば、電磁的(例えば、可視光、紫外線及び赤外線、又はRFID信号)、磁気的、放射性、化学的(例えば、呼気で検出されるトレーサー)、蛍光、音響的(例えば、超音波、又はガス化キャンディ型技術)、及び生物的(例えば、tetramer技術などの進展中の分野からのバイオマーカーを用いる)などの仕方で発信される。
【0024】
信号発信投薬形態10は、上方ゼラチン・カプセル部分12と下方ゼラチン・カプセル部分14を含む。ゼラチン・カプセル部分12、14は、従来のデザイン及び組成のものである。
【0025】
この好ましい実施形態によるRFIDイオン伝導度を感知するスイッチング及び信号発信デバイス16は実質的に上方ゼラチン・カプセル部分12に収容されている。デバイス16は、消化管の液体に曝露されたときにスイッチ・オンしてその投薬形態が嚥下されたことをモニター(図示せず)に発信できる限り、いくつかのデザイン及び形態のいずれであってもよい。したがって、図示のデバイス16は単に例示するためのものであり、制限することを意図していない。デバイス16からの信号は、デバイス16と信号受信及び読取デバイス(図示せず)の間に配置された信号増幅器によって増幅できる。
【0026】
投薬形態10のデバイス16にはいろいろな情報をコード化することができ、必要に応じてカスタマイズして医療者又は編纂されたデータの解読者に適切な援助を行うことができる。非限定的な例として、デバイス16は、特に治療薬のタイプ、治療薬の用量、及び治療薬のロット及びシリアルナンバーをコード化することができる。
【0027】
図示したデバイス16は、スイッチング/信号発信エレメント20と作用可能なように繋がった一つ以上のイオン伝導度感知エレメント18,18’を含む。スイッチング/信号発信エレメント20は伝導度感知エレメント18,18’から受信した信号に応答するスイッチ、胃液と遭遇したことを報告する信号をモニターに発信するアンテナを含む。デバイス16はさらに、オプションとして電源22を含む。デバイス16が、感知エレメント、スイッチ及びアンテナを駆動するためのパワーが、信号発信投薬形態10の外部の入射するラジオ周波数信号から供給されるパッシブタイプのものである場合、電源を搭載する必要はない。しかし、図示したデバイス16は、電源22が設けられたアクティブタイプである。
【0028】
デバイス16の内部エレメントは容器24に実質的にカプセル封入されている。容器24は、その内部スペースと下方ゼラチン・カプセル部分14の内部との間のバリアを形成する壁26を含む。下方ゼラチン・カプセル部分14内には、いろいろな粉末、ゲル、又は液体28のいずれかがある量収容されている。上述のように、投薬形態10はプラセボとして用いられて活性成分を何も含まないこともある。
【0029】
図2を参照すると、使用者に配置された本発明の信号発信及びモニタリング・システム30が示されている。使用者は信号発信投薬形態10を嚥下しており、それが使用者の胃の近似領域に示されている。しかし、使用者は経口的に信号発信投薬形態10を嚥下したように示されているが、本発明は経口嚥下に限定されないことは言うまでもない。「簡単な説明」において上で述べたように、本発明の有用性は結腸における利用にも拡張される。本発明は、消化管全体における薬剤吸収のための投薬レジメンへの服薬遵守を確認するために用いられる。したがって、図2に示されたカプセル嚥下は、例示を意図したものであって限定するためではない。
【0030】
いったん嚥下されると上方ゼラチン・カプセル部分12と下方ゼラチン・カプセル部分14は溶解し始める。上方ゼラチン・カプセル部分12が伝導度感知エレメント18,18’の一方又は両方が使用者の胃液と接触する段階まで溶解すると、スイッチング/感知エレメント20が信号を発し、それが使用者の体のいろいろな箇所に配置された一つ以上のモニターによって受信される。
【0031】
モニターは、投薬形態10からの信号を受信し、信号として受信したデータを一時的に格納し、受信したデータを転送、記憶、医療者によるリアルタイムでの解釈、又はその他の分析のために受信デバイス(図示せず)に中継することができるなら本発明で使用するのに有効であると見なされる。モニターによって一時的に記憶されたデータは、中間データ記憶システムに転送される。中間データ記憶システムは、モニターとして具現される一時的データ記憶システムから物理的に遠隔にあってそれと断続的に通信する。好ましくは、中間データ記憶システムは、携帯電話又は携帯情報端末(PDA)から成る群から選択され、後者はBluetooth(登録商標)の形であり、PDAはネット通信能力、Wi-Fi、などを備えている。一時的記憶装置・モニターは治療中又は臨床使用の間患者によって装着されなければならない。しかし、一時的記憶装置は患者が装着しても、患者の近くに断続的に置かれていても、一時的記憶装置からのデータが一時的記憶装置を介して受信するデータベースに通信されて適切なケアがなされるのに十分であればよい。
【0032】
したがって、モニターは患者の体に、又はその近くにあることが好ましい。患者が救急患者でない状況、例えば入院中又は自宅療養という状況にある場合、モニターはベッド枠又は隣接する壁に着脱可能に取り付けても、ベッドサイドのテーブルに又はナイトスタンドに置いてもよい。しかし、患者の救急状況であってもそれに関わりなく、モニターは信号を受信できるように患者の十分近くに(実際には投薬形態10の近くに)なければならない。投薬形態10がパッシブデバイス型である場合、モニターはさらに患者の近くになければならない。
【0033】
そのようなモニターとしては、皮膚に貼るパッチ32,リスト装身具(例えば、ブレスレット、リストバンド、又は腕時計)34,ベルトバックル36,ネック装身具(例えば、ネックレス、又はペンダント)38,又はポケット・デバイス(ペンなど)40があげられるが、それだけに限定されない。モニター32,34,36,38,40は、例示のために示したもので、限定することを意図していない。他のモニター装置も使用できる、例えば、記憶パック、ポケットにつっこむことができる手持ちデバイスなどであるが、どちらも図示されない。
【0034】
システムを使用する手順
嚥下を検出するいろいろな手順、一組のシリアル・データ点を生じさせて受信機へ発信するステップ、発信された一連のデータ点を受信機によって集めるステップ、及び本発明の方法とシステムによって集めたデータ点を解釈するステップ、が図3から5までに説明されている。特に図3を参照すると、本発明の全体的な方法が示されている。患者が処方された投薬レジメンに従っているということが確認されると、投薬形態10の嚥下の検出、嚥下データの編纂、及び編纂されたデータの分析がスタートする。これらのステップが図3に示されており、そこではサンプル嚥下ステップ50,50’,50”のシリアル検出が時系列で示されている。各嚥下ステップ50,50’,50”がデータ点を生じさせ、それがステップ52で嚥下データとして編纂される。ステップ52で編纂されたデータが次にステップ54で分析される。ここで用いられる場合、分析とは実際には、複数の編纂されたデータ点の分析、又は複数の編纂されたデータ点をリアルタイムで又は後の時点で分析するための転送、から成る群から選択される調査又は報告ステップである。このような転送は、任意のデータ記憶場所から別の記憶場所への有線、無線、又は光学的手段による転送である。
【0035】
図4には流れ図が示されており、この流れ図で、患者が投薬形態10を嚥下し、その嚥下がステップ60で検出される。投薬形態10によって発生されたデータは一時的にステップ62で一時的セル(cell)又はモニターに集められる。次にこのデータはステップ64で中継デバイスによって受信デバイス中継され、それによって医療者はステップ66でデータを解釈することができる。タイムスタンプ識別子をデータ点のシリーズに加えて、患者が実際にモニターを装着していることを表示することができる。タイムスタンプ識別子は一つ以上のシリアルナンバー、日付と時刻を含む。タイムスタンプ識別子は他の情報を含むこともできる。タイムスタンプ識別子は投薬形態10に設けられ、ステップ61でモニターに信号発信する、又はステップ62でモニターに加えられる。
【0036】
図5を参照すると、三つのほぼ平行な流れ図が示されており、それらは本発明による三つの好ましい方法を示す。一般に、各方法は、内服されたタグが検出されたその環境の変化に応答してスイッチ・オンされるステップを含み、スイッチング事象は読取り機に送信され、そこでスイッチング事象の発信信号が一時的に記憶され、スイッチング事象に基づいて情報を含むデータ点が発生され、データ点は中間記憶装置に転送され、次に一時的データベースを介してアーカイブに転送される。次にアーカイブは集められたデータ点を医療者又はデータ・アナライザーによる分析に供する。
【0037】
さらに詳しくは、タグはステップ70,70’,70”で情報を提供し、そこではデバイス16に含まれるオン−オフ・スイッチがその環境の伝導度に応答する。スイッチの状態ついての情報はデバイス16の一部である送信機に供給される。与えられた状況で、送信機はまた受信機として機能して外部RF信号を受信しそれに応答することもできる。外部RF信号に対する応答は、例えば、以前に送られたデータの再送である。しかし、通常は、送信されるデータは、スイッチの状態、したがって嚥下の状態、を含む。デバイス16によってステップ70,70’,70”でひと続きに送られたデータは、ステップ72,72’,72”で一時記憶及び読取デバイスによって受信される。タグの送信機によって送られた信号は増幅する必要がある場合もあり、その場合信号はステップ71で信号増幅器によって増幅される。
【0038】
ステップ72,72’,72”で読取り機に記憶されたデータは、タイムスタンプされ、一時記憶装置が患者に装着されているかどうかを確認するために用いることができる。ステップ70,70’,70”とステップ72,72’,72”の間のデータ送信は、タグと一時記憶及び読取デバイスの間で周期的又は自動的に送られる。
【0039】
ステップ72,72’,72”で集められタイムスタンプされたデータは、中間記憶装置(例えば、PDA)にステップ74,74’,74”で転送される。一時記憶及び読取デバイスと中間記憶装置がステップ72と74の間のように別々である場合、読取り機からPDAへのデータは断続的になる。ステップ72’,72”とステップ74’,74”の間のように読取り機とPDAが一体ユニットである場合、読取り機とPDAの間の信号は周期的又は自動的になる。
【0040】
読取り機とPDAの配置に関わりなく、ステップ74,74’,74”でPDAによって編纂されたデータはステップ76で一時データベースに断続的に通信される。ステップ76で一時データベースに集められた複数のデータ点を表す信号はステップ78で断続的にアーカイブに転送される。最後に、ステップ78でアーカイブに転送されたデータは、断続的にいろいろなエンドポイントに、非限定的な例として、ステップ80で分析するためにアナライザーに、ステップ82でFDAに、ステップ84でDOEに、又はステップ84で検証するために研究者に、転送される。
【0041】
患者治療のための分析
投薬形態10は医療者に広範な情報を提供できる。投薬形態10からの信号が欠如していることは、患者が処方された投薬レジメンに従っていないことを示す。データ編纂されたデータ点が不完全又は矛盾している場合、投薬レジメンの服薬遵守がきわめて低いことを示す。その場合、医療者はそれに応じた応答をすることができる。
【0042】
処方された投薬レジメンの服薬遵守に関して医療者がデータを解釈すると、患者を管理することが容易になる。例えば、投薬量(dosing rate)を変える、治療薬を変える、又は個々の患者又は患者グループ毎に投薬治療を変える、などによって、より効果的な治療のために投薬レジメンを変える、又はカスタマイズすることができる。この情報は、ある患者について投薬休日を設定するときにも有用である。
【0043】
編纂されたデータ点は、体制との服薬遵守に関して治療者又は他の分析者に重要なデータとなるが、発生されたデータ点が患者の完全な服薬不履行を示す零集合となることもあり得る。このデータ点の組も貴重な情報となり、患者は投薬レジメンに従っていない、又は本発明のシステムの何らかの構成が技術的な理由によって故障しているという結論に医療者又はデータ分析者は導かれる。
【0044】
本発明はまた、データ分析の結果を、メーカー又は販売業者が個人の服薬遵守の関数として特定の性能を主張するときに薬のラベル表示プロセスの一部として利用することを含む。さらに、本発明は、患者の服薬遵守を治療薬の効果又は安全性の保証又は患者が正しく正統的な治療薬を服薬していたという確認と結びつけることを含む。
【0045】
臨床研究のための分析
投薬形態10は、薬のタイピング(typing)と効力に関連した臨床研究で価値がある。例えば、臨床試験では、服薬遵守・データを薬データ分析のインプットとして使用できる。そのような臨床試験では(ポスト−マーケットリサーチを含む)、上記のいろいろな分析方法が実行される。あるいはまた、又はそれに加えて、本発明は、薬の試験の間患者を管理するために、服薬遵守を改善するための仕事、あるいはまた何故服薬遵守が見られないかについて患者からの情報を求めるのに利用できる。本発明の実施形態を用いて所望する分析に応じて一人以上の患者をモニターできる。発生されたデータ点の分析結果を用いて、臨床研究に役立つ一つ以上の可能な上記測定基準を生成することができる。
【0046】
本発明の方法によって、どのように、例えば、治療薬の安全性と効力がもっと良く推定できるようになるかを、図6を例にして示すことができる。この図では、一日に一用量の治療薬を嚥下したかどうかを尋ねるある集団の投薬調査のシミュレーションからの結果を記述するグラフが示されている。図6のグラフで、×は実際の平均副作用を指し、白菱形は実際の平均効力を指し、白四角は平均(副作用データ)を指し、白三角は平均(効力データ)を指す。この調査シミュレーションによると、各研究サブグループには公称用量の倍数として把握される異なる投薬レベルが与えられた。さらに、研究では二つの臨床エンドポイントが評価された。第一に効力が測定され、第二に負の副作用の発生が測定される。各投薬レベルで、被験者は、処方された投薬レジメンに対してランダムに服薬不履行であったとされる。すなわち、80%の服薬遵守であった場合、彼らは試験期間に投薬の20%を服用しなかった。服用されなかった投薬分は試験期間にランダムに分布する。本発明で記述された方法によって、試験の被験者に関して複数の嚥下事象を検出する服薬遵守・データが生成された。
【0047】
確率密度分布を用いて、試験シミュレーションにおけるある被験者の服薬遵守率の確率をモデル化した。さらに、シグモイド方程式(sigmoidal equations)を用いて効力/副作用の量−応答カーブをモデル化し、正規分布を用いて各カーブの残差の分布をモデル化した。実験データセットはMonte-Carloシミュレーションによって生成された。
【0048】
両方の効果に関して、データはシグモイド方程式で回帰分析された(regressed)。図で、予期される(平均)効力と副作用応答は平均投薬の関数としてプロットされ、データ(菱形と十字で示される)に対してフィットした線は完全な服薬遵守を仮定し、実際(三角と四角で示される)に対してフィットした線は本発明からの服薬遵守情報を用いている。さらに詳しくいうと、(1)三角でマークされた線は、完全な服薬遵守を仮定して得られた効力のモデルである;(2)四角でマークされた線は、完全な服薬遵守を仮定して得られた副作用のモデルである;(3)菱形でマークされた線は本発明からの服薬遵守情報を用いて得られた効力のモデルである;及び(4)十字でマークされた線は本発明からの服薬遵守情報を用いて得られた副作用のモデルである。
【0049】
完全な服薬遵守を仮定した場合、実際の服薬遵守・データを用いた場合と比べて効力と副作用は過小評価される。これは必要な用量よりも高い処方に導く。さらに、高い用量を服用する結果が過小評価されて誤った安全感覚を与える。したがって、本発明は治療薬の安全性と効力についての改善された推定値を与える。
【0050】
アクティブRFIDトレーサーの試験
提案された応用で用いられるアクティブ(バッテリー電力による)型のRFIDトレーサーの有効性を確認するために、動物モデルで試験が行われた。5匹の成犬のビーグル犬が用いられた。試験動物は2歳から4歳までで、体重が約8から12 kgまでであった。RFID回路とバッテリーは医療等級熱可塑樹脂にカプセル封入され、トレーサー全体はほぼ直径8 mm、長さ20 mmであった。各動物に通常の食事条件下でRFIDトレーサーが与えられた。モニターは犬小屋の上方に犬が届かない場所に吊された。
【0051】
各トレーサーは、固有のシリアルナンバーと、スイッチを活性化してからの送信の総数を示す数を送信するようにプログラムされた。送信の間の時間は約10秒であった。送信の間の期間が正確であると仮定すると、(1)送信回数に繰り返し期間を乗じたものを(2)送信の時間から引くと内服スイッチが作動した時間が得られる。製造及び環境的変動を補正するために、二つの異なる送信を用いて実際の送信期間を計算することができ、この実際のを用いて内服スイッチが作動した時間を上述のように計算できる。
【0052】
観測された内服と計算された内服スイッチ作動の間の時間は1.4 σ 0.6分であり、トレーサーは通過するのに<24乃至48時間を要した。
【0053】
【表1】
【0054】
表から、バッテリー電力の携帯動作にはアクティブトレーサーがずっと適しており、患者におけるモニターの配置に関する許容範囲が大きく、内服時間の推定がより正確で精密であることが分かる。
【0055】
パッシブRFIDトレーサーの試験
提案された応用で用いられるパッシブ型のRFIDトレーサーの有効性を確認するために、動物モデルで試験が行われた。4匹の成犬のビーグル犬が用いられた。試験動物は〜2歳で、体重が約8から12 kgまでであった。第一の試験シリーズでは、各動物に通常の食事条件下でRFIDトレーサーが与えられた。トレーサー信号の読取には10 σ 5分かかり、トレーサーは通過するのに<24乃至31時間を要した。第二の試験シリーズでは、16時間の断食後に各動物にトレーサーが与えられた。この条件では、トレーサー信号の読取には6 σ 1分しかかからなかったが、トレーサーは通過するのに24乃至48時間を要した。
【0056】
溶解試験
本発明のRFIDトレーサーモデルが、小さなバッテリー電源によるカプセル封入されたpFETトランジスタ・スイッチを用いて試験された。トレーサーモデルはRFIDの代わりにLEDデバイスを使用した。スクロース・バックフィルを有し、150 mgの用量のアセトアミノフェンをベースとする00-サイズのゼラチン・カプセルが、37℃に維持された胃液をシミュレートする900 mlタンクに導入された。試験は、pH 1.3とpH 5.8の両方で行われた。
【0057】
溶解試験の結果は図7に示されている。同図で、溶解パーセンテージはY-軸に、溶解時間(分)はX-軸に示されている。三つのテストRFIDトレーサーモデルが評価された。図7を要約すると、試験データは、スイッチングまでの全時間が2.1 σ 0.6分、50%溶解までの全時間が20 σ 14分となっている。試験データはまた、スイッチング時間での全溶解%が11 σ 8 %であり、クリップを使用するとスイッチング時間での全溶解%が11 σ 2 %になることを示している。
【0058】
スイッチ特性を決定する試験
提案されたスイッチの有効性が、USP溶解試験機を用いて試験された。この評価を行うために、上述したRFIDトレーサーモデルのスイッチに3ボルトをかけて負荷抵抗器を流れる電流を測定した。この電流が、シミュレートされた胃液にカプセルを浸した時点からスイッチ作動の1分後まで3ミリ秒毎に測定された。この試験でシミュレートされた胃液は37℃、pHレベル1.2に保たれた。この分析の結果は図8と9に示されている。そこで、時刻0(X-軸上)は、浸してから約2分後である。電圧(180Ωの負荷にかかる)はY-軸に示される。
【0059】
図8を参照すると、浸してから2分を少し超えて(約5.0ミリ秒で)、信号が検出され、カプセルが完全に溶解するにつれて浸してから約28.0ミリ秒までその強度が漸次増加し、その時点で約3.1の信号が検出される。
【0060】
図9を参照すると、時刻0から約4.0ミリ秒後に信号が検出される。シミュレートされた胃液にカプセルが完全に溶解するにつれて信号強度が増加し、今度は図8の試験よりももっと劇的に、時刻0からわずかに約7.5ミリ秒後に約2.5まで増加している。電圧は時刻0から約18ミリ秒後まで約2.5で平坦に続き、その時点で電圧は約3.1まで上昇してこのレベルに保たれる。
【0061】
ラジオ周波数試験
RFIDトレーサーモデルから発信される信号の強度を決定し、いろいろな器官、骨、及び結合組織を考慮に入れるために、一連のラジオ周波数試験が行われた。電磁波吸収率(SAR)シミュレーション組成物を用いて人の腸管を模倣した。この組成物は、水(52.4%)、食塩(1.4%)、砂糖(45%)、HEC(ヒドロキシエチル・セルロース、増粘剤;1.0%)及び殺菌剤(0.1%)から構成された。この組成物が試験タンクに入れられた。
【0062】
RFIDトレーサーモデルで用いられるものと合致するアンテナ装置が封止されたユニットを形成するために熱硬化樹脂のケースに入れられた。モニターは試験タンクの近くに配置された。封止されたユニットが人の腸管をシミュレートした試験タンクの組成物に入れられ、(1)信号強度vs.信号距離、(2)電力消費、及び(3)信号方向が決定された。
【0063】
【表2】
【0064】
(1)信号強度vs.信号距離に関して、試験データは、信号強度は信号を送信する時間の長さ及び検出された信号のエラー率の低さを含めて信号の堅牢性に関する目標を容易に満たすという結論を支持する。その他の試験は、試験タンクから2メートルであっても発信された信号はモニターによって十分に受信されることを示している。
【0065】
(2)電力消費に関して、試験データはまた、十分と考えられる信号を発生するために比較的小さなバッテリーしか必要ないという結論を支持している。
【0066】
(3)信号方向に関して、図10は試験ユニットの信号強度(単位dBm)を浸漬タンクに対して図示している。外側の円Aは試験タンクの外壁を表している。二つの接合した部分円を画定する線Bは、計算ラインを表している。空気中で測定された信号強度は菱形Cで表され、干渉する人の腕で測定された信号強度は菱形Dで表されている。試験データはいくつかの結論、例えば、RFIDトレーサーの胃の内部での場所は信号検出に対して(たとえあっても)大した障害にならない、信号の伝送は十分に速く胃の内部での動きは信号検出を妨害しない、そして人の腕の存在は信号測定に顕著な仕方で干渉しない、などの結論を支持している。
【0067】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、発明を限定することを意図していない。
【実施例】
【0068】
実施例1
治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーをコードしたパッシブRFIDタグが治療薬のカプセルに収められ、患者がカプセルを嚥下するとRFIDタグが消化管に分散し、RFIDタグと結びついた水分感受スイッチによってスイッチ・オンされる。患者はRFID読取り機と一時データ記憶装置を含む電子パッチが皮膚に貼り付けられている。嚥下が検出されると、治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーに関連したデータ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされて一時データ記憶装置に入れられる。断続的に、電子パッチは個人情報端末(PDA)の形の中間データ記憶装置と通信する。断続的に、PDAは記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0069】
実施例2
治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーがコードされたアクティブRFIDタグが治療薬のカプセルに収められ、患者がカプセルを嚥下するとRFIDタグが消化管に分散し、RFIDタグと結びついた電気伝導度感受スイッチによってスイッチ・オンされる。患者はRFID読取り機、一時データ記憶装置及び中間データ記憶装置を含む電子パッチが皮膚に貼り付けられている。嚥下が検出されると、治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーに関連したデータ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされて一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0070】
実施例3
治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーがコードされたアクティブRFIDタグが治療薬の錠剤に収められ、患者がカプセルを嚥下するとRFIDタグが消化管に分散し、RFIDタグと結びついた電気伝導度感受スイッチによってスイッチ・オンされる。患者の環境は、RFID読取り機、一時データ記憶装置及び中間データ記憶装置を含むベースステーションを備える。患者はRFIDタグからの信号を受信し増幅された信号をベースステーションに送信する電子パッチを装着している。嚥下が検出されると、治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーに関連したデータ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0071】
実施例4
患者は、投薬形態ときわめて結晶性が高く壊れやすい透水性物質を含む薬剤カプセルを嚥下し、それによってきわめて結晶性が高く壊れやすい水に分散する物質を破壊して音波を発生する。この音波が患者の腹部に装着されたパッチに組み込まれた音響センサ・システムによって検出される。音響センサ・システムは、増幅器とマイクロプロセッサ/データ・ロガーを含むエレクトロニクスに結合した圧電マイクロフォンを含む。嚥下が検出されると、データ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0072】
実施例5
患者は、投薬形態と磁石を含む薬剤カプセルを嚥下する。患者が薬剤カプセルを呑み込むと、患者の首のまわりに配置された磁界検出器が薬剤カプセルの嚥下を検出し、データ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0073】
実施例6
患者は、投薬形態と蛍光体(ロダミニン800)を含む薬剤錠剤を嚥下する。蛍光体は血流に入り、WO 0037114に詳述されている経皮検出デバイスによって検出される。嚥下が検出されると、データ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0074】
上述の説明は本発明の例示的な実施形態を開示し記述するものである。このような説明から、そして添付の図面とクレームから、いろいろな変化、変更、及びバリエーションが以下のクレームによって規定される本発明の精神と範囲から逸脱することなく可能であることは当業者には容易に理解されるであろう。
【0075】
本発明をさらに良く理解するためには、添付された図面で詳細に示されており、上の本発明の実施例によって説明されている実施形態を参照しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、本発明の監視システムで用いられる発信能力を有するかプセルとしての投薬形態の一例の第一の実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、使用者に配置された本発明の発信システムを示す図である。
【図3】図3は、嚥下検出、嚥下データ、及び嚥下データの分析という基本的ステップを説明する本発明の方法の全体を示す流れ図である。
【図4】図4は、図3の流れ図と同様な、しかし本発明の方法の付加的ステップを示す流れ図である。
【図5】図5は、本発明を実行するいろいろな方法を示す流れ図であり、多重RFIDタグの同時的又は実質的に同時的な信号送信、信号読み取り、信号格納、及び信号解釈のステップを一般的に示す流れ図である。
【図6】図6は、投薬調査に関連した結果を示すグラフである。
【図7】図7は、9つのカプセルの溶解及びオン/オフ結果を示すグラフである。
【図8】図8は、スイッチ試験に関するin vitro試験結果の第一の組を示すグラフである。
【図9】図9は、スイッチ試験に関するin vitro試験結果の第二の組を示すグラフである。
【図10】図10は、信号強度試験結果を示すダイアグラムである。
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2006年3月30日に出願された米国特許仮出願第60/787623号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、内服投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法及びシステム、並びにそれに続いて生じたデータを分析することに関する。より具体的に、本発明は、消化管のイオン伝導環境に敏感なスイッチがオンにされた際に、観測と分析のために体外データ収集装置へ信号を送信する嚥下又は挿入されるカプセル封入装置であって、それによりその剤形が嚥下、挿入、又はその他の仕方で内服されたことを知らせる装置の使用に関する。この体外データ収集装置によって集められたデータは、その後患者の治療の管理又は臨床研究のために分析できる。
【背景技術】
【0003】
医師によって処方された投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析する本発明の方法及びシステムは、内服される治療薬の投薬レジメンに対する患者の服薬不履行によって引き起こされる問題に対する効果的かつ実際的な対応を可能にする。服薬不履行とは、患者が処方された用量の医薬を所定の期間にわたって所定の時間に服用できなかったことを指し、それは患者の投薬不足又は投薬過剰を引き起こす。このような服薬不履行は、医療コストの増大、合併症発生率の上昇、病原体の薬剤耐性の発生率の上昇、及び医薬の浪費を生ずる。57件の服薬不履行研究の調査では、投薬処方を遵守できなかった割合は、投薬治療、患者特性、投与される医薬、又は研究方法に関わりなく、すべての研究集団の15%から95%という高い割合までにわたっている。(Greeberg, R.N.: Overview of Patient Comliance with Medication Dosing: A Lieterature Review、Clin. Therap., 6(5); 592-599 [1984])。患者が投薬レジメンを遵守できない理由はいろいろであり、忘れっぽい(30%)、他の事項を優先(16%)、服薬しないことを選択(11%)、情報の不足(9%)、及び“感情的因子”(7%)、などである(Osterberg, L. and Blaschke, T.: Compliance to medication, N. Engl. J. Med. 353;5, 490 [2005])。
【0004】
治療という状況で、服薬遵守を正確に測定し分析することにはいくつか重要な利益がある。例えば、治療者が患者に対して投薬レジメンを遵守しないことによる薬剤耐性菌感染症を発症する可能性について警告できること、過剰投薬に関連した薬の副作用の同定が可能になることなどである。臨床的な薬剤研究の局面では、服薬遵守を正確に測定し分析することは広範な利点がある、例えば、臨床研究の統計的信頼性が高められる、臨床研究を早く完了できる、副作用を同定できる可能性、服薬不履行の度合の関数として服薬不履行の影響を決定できる、などである。
【0005】
訓練を受けた人の直接観測による服薬遵守の確認は有効であるがたいていの状況では非実際的である。血液又は尿の分析による服薬遵守の確認も病院という環境以外では実際的でない。
【0006】
直接観測及び検体分析の非実用性を克服するために技術的な努力がなされてきた。それらの技術的努力は、もっぱら投薬服薬遵守を監視することに向けられた。患者の皮膚に取付けられて嚥下された薬を皮膚を通して検出する経皮検出装置が開発された。例えば、米国特許第6,663,846号及び米国公開特許出願第2005/0031536号に開示されているように、このような装置は医療施設などの外部地点にある遠隔受信機へ信号を発信することができる。米国特許出願第2004/0081587号に記載されているように、嚥下された薬成分を患者の胸において検出する電子センサー・システムも開発されている。米国特許第6,366,206号に記載されているように、ラジオ周波数標識(“RFID”)タグを各ピルに組み込んで、対応するラジオ周波数読取り機で尋ねられたときにタグが放出する固有のコードによって各タグが投薬治療のタイプ、投薬量、及びそのロット番号を標識することができるようになっている。この’206特許のRFIDは、例えば、消化管におけるイオン伝導度を検出することによって状態を切り換えるバイオセンサーを組み込んで、水分又はpH変化を検出してピルが溶解して消化管システムの環境にRFIDタグを露出させたかどうかを決定することができる。
【0007】
服薬遵守の統計モデルも開発されている。例えば、Gerard et al.は、Statistics in Medicine (17, 2313-2333 [1998])において服薬遵守・データのマルコフ混合効果モデルを記載している。Vrijens et al.は、Statistics in Medicine (23, 531-544 [2004])において薬理動態的集団調査においてバイアスを減少させ精度を向上させるデータ処理モデルを記載している。欧州特許出願第0526166号では、医薬消費を検出するために医薬容器に取り付けられるラジオ送信機を用いる患者服薬遵守の監視方法が開示されている。医薬消費に関連したデータを患者が入力することによる患者服薬遵守の監視方法が米国公開特許出願第2002/0143577号に開示されている。
【0008】
バーコードに基づく薬剤放出システム及びデータベースが米国公開特許出願第2003/0055531号に開示されている。米国公開特許出願第2003/0016060号では、患者との相互作用を含む患者服薬遵守監視方法が開示されている。患者に携帯薬剤放出装置を提供し、それによって患者に一回分の薬剤を服用するように注意し、薬剤の服用に関する患者服薬遵守・データを集める患者服薬遵守監視システムが米国公開特許出願第2004/0133305号に記載されている。
【0009】
薬物動力学モデルを用いて、処方された投薬レジメンを調整するかどうかを決定する患者服薬遵守監視方法が米国公開特許出願第2004/01193446号に記載されている。臨床試験で使用するための患者服薬遵守監視方法の使用が米国公開特許出願第2004/0243620号に記載されている。薬剤容器を追跡するシステム及び方法が米国公開特許出願第2004/0008123号に開示されている。最後に、患者による嚥下に対応するRFIDタグを含むカプセル又はピルを用いる患者服薬遵守監視方法が米国公開特許出願第2005/0131281号に開示されている。
【0010】
上記の特許及び刊行物の各々は、投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法とシステムに関する最新技術に寄与するものである。しかし、これらの特許及び刊行物は、完全に満足な内服投薬レジメンの監視方法を与えるものではなく、また服薬遵守システムから生じるデータを集め、集められたデータを治療又は臨床環境に役立つような仕方で分析する方法又はシステムを与えるものではない。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、多重投薬形態で服用するように処方された内服投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析する方法及びシステムを提供する。最も基本的な様態で、本発明の方法は、第一の投薬形態の内服を検出して第一のデータ点を生じさせるステップ、第二の投薬形態の内服を検出して第二のデータ点を生じさせるステップ、及び第一のデータ点と第二のデータ点を分析するステップを含む。第一のデータ点と第二のデータ点を分析するステップは、可能ないろいろな測定基準タイプのうちのある測定基準(metric)を生成する。第一及び第二の投薬形態は、任意の複数の継起的に内服されて同様の数の継起的データ点を生じさせる投薬形態のうちの二つであってよい。その後の投薬形態の内服は少なくとも同様の数のデータ点を発生させる。各データ点は、日付、与えられた日付の時刻、及び投薬形態のシリアルナンバーを含む、又は体内温度などいろいろな付加的情報を含むタイムスタンプ識別子(time stamp identifier)である。
【0012】
この方法を実行するために、本発明は、少なくとも二つの投薬形態、各投薬形態と操作的に結合されたタイムスタンプ識別子、このタイムスタンプ識別子を受信するための受信機、及び受信したデータを分析する分析装置を備えたシステムを含む。
【0013】
投薬形態は活性成分を含むこともあり、プラセボであってもよい。投薬形態は口から嚥下することも、直腸に挿入されることもあり、カプセル、ピル、又は錠剤の形態をとることもある。例えば、有効な量の薬剤を含むカプセルとして、投薬形態は治療薬と消化管における条件に敏感なスイッチを有するデバイスを含むゼラチン・ベースのカプセルとして実現できる。データ点は、投薬形態によって作成されて発信されてもよいし、投薬形態からのスイッチ情報を受信した体外の装置によって作成されて発信される。実施形態に関わりなく、発信されたデータは、発信された一つ以上のデータ点を受信して一時的に保持する一時的データ記憶装置又はモニターによって受信され、受信されたデータは、一時的データ記憶装置から受信したデータを一時的に保持する中間データ記憶装置に発信される。当該システムは、また、最初に発信されたデータ点を受信し分析する受信機を含むこともある。
【0014】
具体的に言うと、ある好ましい実施形態で本発明の方法は、感知及び発信デバイスを含む投薬形態を患者が嚥下又は挿入するステップ、時間をおいてカプセルを患者の体内で溶解させ、患者の消化管環境においてスイッチを活性化させてデータ点を生成するステップ、そのデータ点及び追加の継起的なデータ点を一時的データ記憶装置に提供するステップ、一時的データ記憶装置からのデータを中間データ記憶装置に提供するステップ、及び中間データ記憶装置からのデータを医療者又は分析者に解釈のために提供するステップという形で、感知及び発信デバイスに基づくシステムを使用する。次に、集められたデータを分析して、患者の治療のために、臨床研究のため、又は両方の目的で、処方された投薬レジメンに対する患者の服薬遵守を検証し解釈する。
【0015】
別の実施形態では、本発明の方法は、発信デバイスを含む投薬形態を患者が嚥下又は挿入するステップ、時間をおいてカプセルを患者の体内で溶解させるステップ、投薬形態の嚥下又は挿入を検出するステップ、検出データを一時的データ記憶システムに記録してデータ点を生成するステップ、データ点にタイムスタンプ識別子を加えて標識されたデータ点を生成するステップ、標識されたデータ点を中間データ記憶システムに格納するステップ、引き続き投薬形態の嚥下又は挿入に関して前記ステップを繰り返して、中間データ記憶システムが複数の標識されたデータ点を含むようにするステップ、断続的に複数の標識されたデータ点をあるデータベースに送信するステップ、及びデータベースに含まれる複数の標識されたデータ点を分析するステップ、を含む。データベースに含まれる複数の標識されたデータ点の分析も、治療の目的で、臨床研究のため、又は両方の目的で患者服薬遵守を検証し解釈するために行われる。
【0016】
本発明のその他の特徴は、好ましい実施形態についての以下の詳細な説明を、添付図面を参照し、添付されたクレームと合わせて考察することによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付の図面において、同じ参照数字は同じ構成を指すように用いられる。以下の説明で、いろいろな動作パラメータと構成は1の構築された実施形態に関して説明される。これらの特定のパラメータと構成は、例としてあげるだけであって、発明を限定することを意図していない。
【0018】
本発明の方法及びシステムは、内服投薬レジメンの服薬遵守を監視し分析することに向けられ、投薬レジメンは継起的に内服される少なくとも第一の投薬形態と第二の投薬形態を含む。服薬遵守の監視と分析は、医療者が患者の治療を最適化することを助けるのに有用であり、また臨床研究のためにも有用である。
【0019】
第一の投薬形態の内服は第一のデータ点を発生し、第二の投薬形態の内服は第一のデータ点から時間的に間隔をおいて第二のデータ点を生じさせる。次に、第一のデータ点と第二のデータ点(又は、時間をおいて発生される任意の個数のデータ点)が分析されてある測定基準を生じさせる。発生して集められたデータは、多様な分析方法のどんな仕方によって分析してもよい。そのような方法としては、時系列分析、多変量分析、薬理動的回帰分析、薬理動力学回帰分析、集団比較、生存時間分析、共分散分析、単平均分析、多重独立群分析、対観測分析、多重独立群対観測分析、多重独立群打ち切り分析、多重独立群限定リクルートメント及び打ち切り分析、単一比例分析、多重独立比例分析、角変換分析、生存時間分析、単相関分析、多重独立相関分析、及び多重関連相関分析、などがあるが、それだけに限定されない。
【0020】
生成された測定基準は、投薬レジメンへの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれであってもよい。具体的にいうと、生成された測定基準は、臨床試験のための服薬遵守測定基準、治療薬の用量を変えるための測定基準、治療薬を変えるための測定基準、患者からの通信を求める測定基準、服薬遵守を治療薬の効果の保証と結びつける測定基準、服薬遵守を治療薬の安全性の保証と結びつける測定基準、治療薬の効力を決定するための測定基準、治療薬の安全性を決定するための測定基準、治療薬を使用する試験プロトコルを確立するための測定基準、治療薬の保険可能性(insurability)を決定するための測定基準、及び市販のために治療薬を分別する測定基準などである。
【0021】
システム構成
本発明の投薬形態・システムの構成が図1と2に示されている。図1を参照すると、全体を10で表したRFID信号発信投薬形態が断面図で示されている。図示された信号発信投薬形態はカプセルであるが、他の投薬形態、例えば、錠剤やピルも使用できる。ここで用いられる場合、投薬形態とは活性薬剤を含む剤形を指すこともあるし、プラセボであってもよい。
【0022】
投薬形態10は、以下で述べるような、実際の治療及び臨床研究で用いられるもっと大きなシステムの一部である。図示したカプセルについて以下で簡単に説明するが、カプセル、その構造、及びその機能は、2006年5月18日に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる米国公開特許出願第2006/0289640号に記載されている。
【0023】
以下で説明するように、信号発信投薬形態10は、消化管に曝露されたことによって作動するスイッチを有することによって、その投薬形態10が実際に嚥下されたことを示す信号を発信する。この信号は、いろいろな仕方で、例えば、電磁的(例えば、可視光、紫外線及び赤外線、又はRFID信号)、磁気的、放射性、化学的(例えば、呼気で検出されるトレーサー)、蛍光、音響的(例えば、超音波、又はガス化キャンディ型技術)、及び生物的(例えば、tetramer技術などの進展中の分野からのバイオマーカーを用いる)などの仕方で発信される。
【0024】
信号発信投薬形態10は、上方ゼラチン・カプセル部分12と下方ゼラチン・カプセル部分14を含む。ゼラチン・カプセル部分12、14は、従来のデザイン及び組成のものである。
【0025】
この好ましい実施形態によるRFIDイオン伝導度を感知するスイッチング及び信号発信デバイス16は実質的に上方ゼラチン・カプセル部分12に収容されている。デバイス16は、消化管の液体に曝露されたときにスイッチ・オンしてその投薬形態が嚥下されたことをモニター(図示せず)に発信できる限り、いくつかのデザイン及び形態のいずれであってもよい。したがって、図示のデバイス16は単に例示するためのものであり、制限することを意図していない。デバイス16からの信号は、デバイス16と信号受信及び読取デバイス(図示せず)の間に配置された信号増幅器によって増幅できる。
【0026】
投薬形態10のデバイス16にはいろいろな情報をコード化することができ、必要に応じてカスタマイズして医療者又は編纂されたデータの解読者に適切な援助を行うことができる。非限定的な例として、デバイス16は、特に治療薬のタイプ、治療薬の用量、及び治療薬のロット及びシリアルナンバーをコード化することができる。
【0027】
図示したデバイス16は、スイッチング/信号発信エレメント20と作用可能なように繋がった一つ以上のイオン伝導度感知エレメント18,18’を含む。スイッチング/信号発信エレメント20は伝導度感知エレメント18,18’から受信した信号に応答するスイッチ、胃液と遭遇したことを報告する信号をモニターに発信するアンテナを含む。デバイス16はさらに、オプションとして電源22を含む。デバイス16が、感知エレメント、スイッチ及びアンテナを駆動するためのパワーが、信号発信投薬形態10の外部の入射するラジオ周波数信号から供給されるパッシブタイプのものである場合、電源を搭載する必要はない。しかし、図示したデバイス16は、電源22が設けられたアクティブタイプである。
【0028】
デバイス16の内部エレメントは容器24に実質的にカプセル封入されている。容器24は、その内部スペースと下方ゼラチン・カプセル部分14の内部との間のバリアを形成する壁26を含む。下方ゼラチン・カプセル部分14内には、いろいろな粉末、ゲル、又は液体28のいずれかがある量収容されている。上述のように、投薬形態10はプラセボとして用いられて活性成分を何も含まないこともある。
【0029】
図2を参照すると、使用者に配置された本発明の信号発信及びモニタリング・システム30が示されている。使用者は信号発信投薬形態10を嚥下しており、それが使用者の胃の近似領域に示されている。しかし、使用者は経口的に信号発信投薬形態10を嚥下したように示されているが、本発明は経口嚥下に限定されないことは言うまでもない。「簡単な説明」において上で述べたように、本発明の有用性は結腸における利用にも拡張される。本発明は、消化管全体における薬剤吸収のための投薬レジメンへの服薬遵守を確認するために用いられる。したがって、図2に示されたカプセル嚥下は、例示を意図したものであって限定するためではない。
【0030】
いったん嚥下されると上方ゼラチン・カプセル部分12と下方ゼラチン・カプセル部分14は溶解し始める。上方ゼラチン・カプセル部分12が伝導度感知エレメント18,18’の一方又は両方が使用者の胃液と接触する段階まで溶解すると、スイッチング/感知エレメント20が信号を発し、それが使用者の体のいろいろな箇所に配置された一つ以上のモニターによって受信される。
【0031】
モニターは、投薬形態10からの信号を受信し、信号として受信したデータを一時的に格納し、受信したデータを転送、記憶、医療者によるリアルタイムでの解釈、又はその他の分析のために受信デバイス(図示せず)に中継することができるなら本発明で使用するのに有効であると見なされる。モニターによって一時的に記憶されたデータは、中間データ記憶システムに転送される。中間データ記憶システムは、モニターとして具現される一時的データ記憶システムから物理的に遠隔にあってそれと断続的に通信する。好ましくは、中間データ記憶システムは、携帯電話又は携帯情報端末(PDA)から成る群から選択され、後者はBluetooth(登録商標)の形であり、PDAはネット通信能力、Wi-Fi、などを備えている。一時的記憶装置・モニターは治療中又は臨床使用の間患者によって装着されなければならない。しかし、一時的記憶装置は患者が装着しても、患者の近くに断続的に置かれていても、一時的記憶装置からのデータが一時的記憶装置を介して受信するデータベースに通信されて適切なケアがなされるのに十分であればよい。
【0032】
したがって、モニターは患者の体に、又はその近くにあることが好ましい。患者が救急患者でない状況、例えば入院中又は自宅療養という状況にある場合、モニターはベッド枠又は隣接する壁に着脱可能に取り付けても、ベッドサイドのテーブルに又はナイトスタンドに置いてもよい。しかし、患者の救急状況であってもそれに関わりなく、モニターは信号を受信できるように患者の十分近くに(実際には投薬形態10の近くに)なければならない。投薬形態10がパッシブデバイス型である場合、モニターはさらに患者の近くになければならない。
【0033】
そのようなモニターとしては、皮膚に貼るパッチ32,リスト装身具(例えば、ブレスレット、リストバンド、又は腕時計)34,ベルトバックル36,ネック装身具(例えば、ネックレス、又はペンダント)38,又はポケット・デバイス(ペンなど)40があげられるが、それだけに限定されない。モニター32,34,36,38,40は、例示のために示したもので、限定することを意図していない。他のモニター装置も使用できる、例えば、記憶パック、ポケットにつっこむことができる手持ちデバイスなどであるが、どちらも図示されない。
【0034】
システムを使用する手順
嚥下を検出するいろいろな手順、一組のシリアル・データ点を生じさせて受信機へ発信するステップ、発信された一連のデータ点を受信機によって集めるステップ、及び本発明の方法とシステムによって集めたデータ点を解釈するステップ、が図3から5までに説明されている。特に図3を参照すると、本発明の全体的な方法が示されている。患者が処方された投薬レジメンに従っているということが確認されると、投薬形態10の嚥下の検出、嚥下データの編纂、及び編纂されたデータの分析がスタートする。これらのステップが図3に示されており、そこではサンプル嚥下ステップ50,50’,50”のシリアル検出が時系列で示されている。各嚥下ステップ50,50’,50”がデータ点を生じさせ、それがステップ52で嚥下データとして編纂される。ステップ52で編纂されたデータが次にステップ54で分析される。ここで用いられる場合、分析とは実際には、複数の編纂されたデータ点の分析、又は複数の編纂されたデータ点をリアルタイムで又は後の時点で分析するための転送、から成る群から選択される調査又は報告ステップである。このような転送は、任意のデータ記憶場所から別の記憶場所への有線、無線、又は光学的手段による転送である。
【0035】
図4には流れ図が示されており、この流れ図で、患者が投薬形態10を嚥下し、その嚥下がステップ60で検出される。投薬形態10によって発生されたデータは一時的にステップ62で一時的セル(cell)又はモニターに集められる。次にこのデータはステップ64で中継デバイスによって受信デバイス中継され、それによって医療者はステップ66でデータを解釈することができる。タイムスタンプ識別子をデータ点のシリーズに加えて、患者が実際にモニターを装着していることを表示することができる。タイムスタンプ識別子は一つ以上のシリアルナンバー、日付と時刻を含む。タイムスタンプ識別子は他の情報を含むこともできる。タイムスタンプ識別子は投薬形態10に設けられ、ステップ61でモニターに信号発信する、又はステップ62でモニターに加えられる。
【0036】
図5を参照すると、三つのほぼ平行な流れ図が示されており、それらは本発明による三つの好ましい方法を示す。一般に、各方法は、内服されたタグが検出されたその環境の変化に応答してスイッチ・オンされるステップを含み、スイッチング事象は読取り機に送信され、そこでスイッチング事象の発信信号が一時的に記憶され、スイッチング事象に基づいて情報を含むデータ点が発生され、データ点は中間記憶装置に転送され、次に一時的データベースを介してアーカイブに転送される。次にアーカイブは集められたデータ点を医療者又はデータ・アナライザーによる分析に供する。
【0037】
さらに詳しくは、タグはステップ70,70’,70”で情報を提供し、そこではデバイス16に含まれるオン−オフ・スイッチがその環境の伝導度に応答する。スイッチの状態ついての情報はデバイス16の一部である送信機に供給される。与えられた状況で、送信機はまた受信機として機能して外部RF信号を受信しそれに応答することもできる。外部RF信号に対する応答は、例えば、以前に送られたデータの再送である。しかし、通常は、送信されるデータは、スイッチの状態、したがって嚥下の状態、を含む。デバイス16によってステップ70,70’,70”でひと続きに送られたデータは、ステップ72,72’,72”で一時記憶及び読取デバイスによって受信される。タグの送信機によって送られた信号は増幅する必要がある場合もあり、その場合信号はステップ71で信号増幅器によって増幅される。
【0038】
ステップ72,72’,72”で読取り機に記憶されたデータは、タイムスタンプされ、一時記憶装置が患者に装着されているかどうかを確認するために用いることができる。ステップ70,70’,70”とステップ72,72’,72”の間のデータ送信は、タグと一時記憶及び読取デバイスの間で周期的又は自動的に送られる。
【0039】
ステップ72,72’,72”で集められタイムスタンプされたデータは、中間記憶装置(例えば、PDA)にステップ74,74’,74”で転送される。一時記憶及び読取デバイスと中間記憶装置がステップ72と74の間のように別々である場合、読取り機からPDAへのデータは断続的になる。ステップ72’,72”とステップ74’,74”の間のように読取り機とPDAが一体ユニットである場合、読取り機とPDAの間の信号は周期的又は自動的になる。
【0040】
読取り機とPDAの配置に関わりなく、ステップ74,74’,74”でPDAによって編纂されたデータはステップ76で一時データベースに断続的に通信される。ステップ76で一時データベースに集められた複数のデータ点を表す信号はステップ78で断続的にアーカイブに転送される。最後に、ステップ78でアーカイブに転送されたデータは、断続的にいろいろなエンドポイントに、非限定的な例として、ステップ80で分析するためにアナライザーに、ステップ82でFDAに、ステップ84でDOEに、又はステップ84で検証するために研究者に、転送される。
【0041】
患者治療のための分析
投薬形態10は医療者に広範な情報を提供できる。投薬形態10からの信号が欠如していることは、患者が処方された投薬レジメンに従っていないことを示す。データ編纂されたデータ点が不完全又は矛盾している場合、投薬レジメンの服薬遵守がきわめて低いことを示す。その場合、医療者はそれに応じた応答をすることができる。
【0042】
処方された投薬レジメンの服薬遵守に関して医療者がデータを解釈すると、患者を管理することが容易になる。例えば、投薬量(dosing rate)を変える、治療薬を変える、又は個々の患者又は患者グループ毎に投薬治療を変える、などによって、より効果的な治療のために投薬レジメンを変える、又はカスタマイズすることができる。この情報は、ある患者について投薬休日を設定するときにも有用である。
【0043】
編纂されたデータ点は、体制との服薬遵守に関して治療者又は他の分析者に重要なデータとなるが、発生されたデータ点が患者の完全な服薬不履行を示す零集合となることもあり得る。このデータ点の組も貴重な情報となり、患者は投薬レジメンに従っていない、又は本発明のシステムの何らかの構成が技術的な理由によって故障しているという結論に医療者又はデータ分析者は導かれる。
【0044】
本発明はまた、データ分析の結果を、メーカー又は販売業者が個人の服薬遵守の関数として特定の性能を主張するときに薬のラベル表示プロセスの一部として利用することを含む。さらに、本発明は、患者の服薬遵守を治療薬の効果又は安全性の保証又は患者が正しく正統的な治療薬を服薬していたという確認と結びつけることを含む。
【0045】
臨床研究のための分析
投薬形態10は、薬のタイピング(typing)と効力に関連した臨床研究で価値がある。例えば、臨床試験では、服薬遵守・データを薬データ分析のインプットとして使用できる。そのような臨床試験では(ポスト−マーケットリサーチを含む)、上記のいろいろな分析方法が実行される。あるいはまた、又はそれに加えて、本発明は、薬の試験の間患者を管理するために、服薬遵守を改善するための仕事、あるいはまた何故服薬遵守が見られないかについて患者からの情報を求めるのに利用できる。本発明の実施形態を用いて所望する分析に応じて一人以上の患者をモニターできる。発生されたデータ点の分析結果を用いて、臨床研究に役立つ一つ以上の可能な上記測定基準を生成することができる。
【0046】
本発明の方法によって、どのように、例えば、治療薬の安全性と効力がもっと良く推定できるようになるかを、図6を例にして示すことができる。この図では、一日に一用量の治療薬を嚥下したかどうかを尋ねるある集団の投薬調査のシミュレーションからの結果を記述するグラフが示されている。図6のグラフで、×は実際の平均副作用を指し、白菱形は実際の平均効力を指し、白四角は平均(副作用データ)を指し、白三角は平均(効力データ)を指す。この調査シミュレーションによると、各研究サブグループには公称用量の倍数として把握される異なる投薬レベルが与えられた。さらに、研究では二つの臨床エンドポイントが評価された。第一に効力が測定され、第二に負の副作用の発生が測定される。各投薬レベルで、被験者は、処方された投薬レジメンに対してランダムに服薬不履行であったとされる。すなわち、80%の服薬遵守であった場合、彼らは試験期間に投薬の20%を服用しなかった。服用されなかった投薬分は試験期間にランダムに分布する。本発明で記述された方法によって、試験の被験者に関して複数の嚥下事象を検出する服薬遵守・データが生成された。
【0047】
確率密度分布を用いて、試験シミュレーションにおけるある被験者の服薬遵守率の確率をモデル化した。さらに、シグモイド方程式(sigmoidal equations)を用いて効力/副作用の量−応答カーブをモデル化し、正規分布を用いて各カーブの残差の分布をモデル化した。実験データセットはMonte-Carloシミュレーションによって生成された。
【0048】
両方の効果に関して、データはシグモイド方程式で回帰分析された(regressed)。図で、予期される(平均)効力と副作用応答は平均投薬の関数としてプロットされ、データ(菱形と十字で示される)に対してフィットした線は完全な服薬遵守を仮定し、実際(三角と四角で示される)に対してフィットした線は本発明からの服薬遵守情報を用いている。さらに詳しくいうと、(1)三角でマークされた線は、完全な服薬遵守を仮定して得られた効力のモデルである;(2)四角でマークされた線は、完全な服薬遵守を仮定して得られた副作用のモデルである;(3)菱形でマークされた線は本発明からの服薬遵守情報を用いて得られた効力のモデルである;及び(4)十字でマークされた線は本発明からの服薬遵守情報を用いて得られた副作用のモデルである。
【0049】
完全な服薬遵守を仮定した場合、実際の服薬遵守・データを用いた場合と比べて効力と副作用は過小評価される。これは必要な用量よりも高い処方に導く。さらに、高い用量を服用する結果が過小評価されて誤った安全感覚を与える。したがって、本発明は治療薬の安全性と効力についての改善された推定値を与える。
【0050】
アクティブRFIDトレーサーの試験
提案された応用で用いられるアクティブ(バッテリー電力による)型のRFIDトレーサーの有効性を確認するために、動物モデルで試験が行われた。5匹の成犬のビーグル犬が用いられた。試験動物は2歳から4歳までで、体重が約8から12 kgまでであった。RFID回路とバッテリーは医療等級熱可塑樹脂にカプセル封入され、トレーサー全体はほぼ直径8 mm、長さ20 mmであった。各動物に通常の食事条件下でRFIDトレーサーが与えられた。モニターは犬小屋の上方に犬が届かない場所に吊された。
【0051】
各トレーサーは、固有のシリアルナンバーと、スイッチを活性化してからの送信の総数を示す数を送信するようにプログラムされた。送信の間の時間は約10秒であった。送信の間の期間が正確であると仮定すると、(1)送信回数に繰り返し期間を乗じたものを(2)送信の時間から引くと内服スイッチが作動した時間が得られる。製造及び環境的変動を補正するために、二つの異なる送信を用いて実際の送信期間を計算することができ、この実際のを用いて内服スイッチが作動した時間を上述のように計算できる。
【0052】
観測された内服と計算された内服スイッチ作動の間の時間は1.4 σ 0.6分であり、トレーサーは通過するのに<24乃至48時間を要した。
【0053】
【表1】
【0054】
表から、バッテリー電力の携帯動作にはアクティブトレーサーがずっと適しており、患者におけるモニターの配置に関する許容範囲が大きく、内服時間の推定がより正確で精密であることが分かる。
【0055】
パッシブRFIDトレーサーの試験
提案された応用で用いられるパッシブ型のRFIDトレーサーの有効性を確認するために、動物モデルで試験が行われた。4匹の成犬のビーグル犬が用いられた。試験動物は〜2歳で、体重が約8から12 kgまでであった。第一の試験シリーズでは、各動物に通常の食事条件下でRFIDトレーサーが与えられた。トレーサー信号の読取には10 σ 5分かかり、トレーサーは通過するのに<24乃至31時間を要した。第二の試験シリーズでは、16時間の断食後に各動物にトレーサーが与えられた。この条件では、トレーサー信号の読取には6 σ 1分しかかからなかったが、トレーサーは通過するのに24乃至48時間を要した。
【0056】
溶解試験
本発明のRFIDトレーサーモデルが、小さなバッテリー電源によるカプセル封入されたpFETトランジスタ・スイッチを用いて試験された。トレーサーモデルはRFIDの代わりにLEDデバイスを使用した。スクロース・バックフィルを有し、150 mgの用量のアセトアミノフェンをベースとする00-サイズのゼラチン・カプセルが、37℃に維持された胃液をシミュレートする900 mlタンクに導入された。試験は、pH 1.3とpH 5.8の両方で行われた。
【0057】
溶解試験の結果は図7に示されている。同図で、溶解パーセンテージはY-軸に、溶解時間(分)はX-軸に示されている。三つのテストRFIDトレーサーモデルが評価された。図7を要約すると、試験データは、スイッチングまでの全時間が2.1 σ 0.6分、50%溶解までの全時間が20 σ 14分となっている。試験データはまた、スイッチング時間での全溶解%が11 σ 8 %であり、クリップを使用するとスイッチング時間での全溶解%が11 σ 2 %になることを示している。
【0058】
スイッチ特性を決定する試験
提案されたスイッチの有効性が、USP溶解試験機を用いて試験された。この評価を行うために、上述したRFIDトレーサーモデルのスイッチに3ボルトをかけて負荷抵抗器を流れる電流を測定した。この電流が、シミュレートされた胃液にカプセルを浸した時点からスイッチ作動の1分後まで3ミリ秒毎に測定された。この試験でシミュレートされた胃液は37℃、pHレベル1.2に保たれた。この分析の結果は図8と9に示されている。そこで、時刻0(X-軸上)は、浸してから約2分後である。電圧(180Ωの負荷にかかる)はY-軸に示される。
【0059】
図8を参照すると、浸してから2分を少し超えて(約5.0ミリ秒で)、信号が検出され、カプセルが完全に溶解するにつれて浸してから約28.0ミリ秒までその強度が漸次増加し、その時点で約3.1の信号が検出される。
【0060】
図9を参照すると、時刻0から約4.0ミリ秒後に信号が検出される。シミュレートされた胃液にカプセルが完全に溶解するにつれて信号強度が増加し、今度は図8の試験よりももっと劇的に、時刻0からわずかに約7.5ミリ秒後に約2.5まで増加している。電圧は時刻0から約18ミリ秒後まで約2.5で平坦に続き、その時点で電圧は約3.1まで上昇してこのレベルに保たれる。
【0061】
ラジオ周波数試験
RFIDトレーサーモデルから発信される信号の強度を決定し、いろいろな器官、骨、及び結合組織を考慮に入れるために、一連のラジオ周波数試験が行われた。電磁波吸収率(SAR)シミュレーション組成物を用いて人の腸管を模倣した。この組成物は、水(52.4%)、食塩(1.4%)、砂糖(45%)、HEC(ヒドロキシエチル・セルロース、増粘剤;1.0%)及び殺菌剤(0.1%)から構成された。この組成物が試験タンクに入れられた。
【0062】
RFIDトレーサーモデルで用いられるものと合致するアンテナ装置が封止されたユニットを形成するために熱硬化樹脂のケースに入れられた。モニターは試験タンクの近くに配置された。封止されたユニットが人の腸管をシミュレートした試験タンクの組成物に入れられ、(1)信号強度vs.信号距離、(2)電力消費、及び(3)信号方向が決定された。
【0063】
【表2】
【0064】
(1)信号強度vs.信号距離に関して、試験データは、信号強度は信号を送信する時間の長さ及び検出された信号のエラー率の低さを含めて信号の堅牢性に関する目標を容易に満たすという結論を支持する。その他の試験は、試験タンクから2メートルであっても発信された信号はモニターによって十分に受信されることを示している。
【0065】
(2)電力消費に関して、試験データはまた、十分と考えられる信号を発生するために比較的小さなバッテリーしか必要ないという結論を支持している。
【0066】
(3)信号方向に関して、図10は試験ユニットの信号強度(単位dBm)を浸漬タンクに対して図示している。外側の円Aは試験タンクの外壁を表している。二つの接合した部分円を画定する線Bは、計算ラインを表している。空気中で測定された信号強度は菱形Cで表され、干渉する人の腕で測定された信号強度は菱形Dで表されている。試験データはいくつかの結論、例えば、RFIDトレーサーの胃の内部での場所は信号検出に対して(たとえあっても)大した障害にならない、信号の伝送は十分に速く胃の内部での動きは信号検出を妨害しない、そして人の腕の存在は信号測定に顕著な仕方で干渉しない、などの結論を支持している。
【0067】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、発明を限定することを意図していない。
【実施例】
【0068】
実施例1
治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーをコードしたパッシブRFIDタグが治療薬のカプセルに収められ、患者がカプセルを嚥下するとRFIDタグが消化管に分散し、RFIDタグと結びついた水分感受スイッチによってスイッチ・オンされる。患者はRFID読取り機と一時データ記憶装置を含む電子パッチが皮膚に貼り付けられている。嚥下が検出されると、治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーに関連したデータ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされて一時データ記憶装置に入れられる。断続的に、電子パッチは個人情報端末(PDA)の形の中間データ記憶装置と通信する。断続的に、PDAは記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0069】
実施例2
治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーがコードされたアクティブRFIDタグが治療薬のカプセルに収められ、患者がカプセルを嚥下するとRFIDタグが消化管に分散し、RFIDタグと結びついた電気伝導度感受スイッチによってスイッチ・オンされる。患者はRFID読取り機、一時データ記憶装置及び中間データ記憶装置を含む電子パッチが皮膚に貼り付けられている。嚥下が検出されると、治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーに関連したデータ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされて一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0070】
実施例3
治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーがコードされたアクティブRFIDタグが治療薬の錠剤に収められ、患者がカプセルを嚥下するとRFIDタグが消化管に分散し、RFIDタグと結びついた電気伝導度感受スイッチによってスイッチ・オンされる。患者の環境は、RFID読取り機、一時データ記憶装置及び中間データ記憶装置を含むベースステーションを備える。患者はRFIDタグからの信号を受信し増幅された信号をベースステーションに送信する電子パッチを装着している。嚥下が検出されると、治療薬のタイプ、用量、及びロット・ナンバーに関連したデータ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0071】
実施例4
患者は、投薬形態ときわめて結晶性が高く壊れやすい透水性物質を含む薬剤カプセルを嚥下し、それによってきわめて結晶性が高く壊れやすい水に分散する物質を破壊して音波を発生する。この音波が患者の腹部に装着されたパッチに組み込まれた音響センサ・システムによって検出される。音響センサ・システムは、増幅器とマイクロプロセッサ/データ・ロガーを含むエレクトロニクスに結合した圧電マイクロフォンを含む。嚥下が検出されると、データ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0072】
実施例5
患者は、投薬形態と磁石を含む薬剤カプセルを嚥下する。患者が薬剤カプセルを呑み込むと、患者の首のまわりに配置された磁界検出器が薬剤カプセルの嚥下を検出し、データ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0073】
実施例6
患者は、投薬形態と蛍光体(ロダミニン800)を含む薬剤錠剤を嚥下する。蛍光体は血流に入り、WO 0037114に詳述されている経皮検出デバイスによって検出される。嚥下が検出されると、データ点が発生され、そのデータ点に時刻と日付がスタンプされてベースステーションの一時データ記憶装置に入れられる。周期的に又は自動的に、一時データ記憶装置は中間データ記憶装置と通信する。断続的に、中間データ記憶装置は記憶したデータを一時データベースに通信する。一時データベースのデータは分析されて測定基準が生成される。生成される測定基準は、投薬レジメンの患者服薬遵守を改善するために使用できるいろいろな測定基準のいずれかである。
【0074】
上述の説明は本発明の例示的な実施形態を開示し記述するものである。このような説明から、そして添付の図面とクレームから、いろいろな変化、変更、及びバリエーションが以下のクレームによって規定される本発明の精神と範囲から逸脱することなく可能であることは当業者には容易に理解されるであろう。
【0075】
本発明をさらに良く理解するためには、添付された図面で詳細に示されており、上の本発明の実施例によって説明されている実施形態を参照しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、本発明の監視システムで用いられる発信能力を有するかプセルとしての投薬形態の一例の第一の実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、使用者に配置された本発明の発信システムを示す図である。
【図3】図3は、嚥下検出、嚥下データ、及び嚥下データの分析という基本的ステップを説明する本発明の方法の全体を示す流れ図である。
【図4】図4は、図3の流れ図と同様な、しかし本発明の方法の付加的ステップを示す流れ図である。
【図5】図5は、本発明を実行するいろいろな方法を示す流れ図であり、多重RFIDタグの同時的又は実質的に同時的な信号送信、信号読み取り、信号格納、及び信号解釈のステップを一般的に示す流れ図である。
【図6】図6は、投薬調査に関連した結果を示すグラフである。
【図7】図7は、9つのカプセルの溶解及びオン/オフ結果を示すグラフである。
【図8】図8は、スイッチ試験に関するin vitro試験結果の第一の組を示すグラフである。
【図9】図9は、スイッチ試験に関するin vitro試験結果の第二の組を示すグラフである。
【図10】図10は、信号強度試験結果を示すダイアグラムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法であって、以下のステップ:
第一の投薬形態の内在化を検出して第一のデータ点を生じさせ;
第二の投薬形態の内在化を検出して第二のデータ点を生じさせ;そして
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析する
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析するステップが測定基準を生じさせ、当該測定基準が、臨床試験のための服薬遵守測定基準、治療薬の用量を変えるための測定基準、治療薬を変えるための測定基準、患者からの通信を求めるための測定基準、服薬遵守を治療薬の効果の保証と結びつける測定基準、服薬遵守を治療薬の安全性の保証と結びつける測定基準、治療薬の効力を決定するための測定基準、治療薬の安全性を決定するための測定基準、治療薬を用いる試験プロトコルを確立するための測定基準、治療薬の保険可能性を決定するための測定基準、及び市販するために治療薬を分別する測定基準から成る群から選択される、請求項1に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項3】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析するステップが、時系列分析、多変量分析、薬理動態的回帰分析、薬理動力学回帰分析、集団比較分析、生存時間分析、共分散分析、単平均分析、多重独立群分析、対観測分析、多重独立群対観測分析、多重独立群打ち切り分析、多重独立群限定リクルートメント及び打ち切り分析、単一比例分析、多重独立比例分析、角変換分析、生存時間分析、単相関分析、多重独立相関分析、及び多重関連相関分析の一つ以上を用いて行われる、請求項1又は2のいずれかに記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項4】
前記第一のデータ点が、前記第一の投薬形態に割り当てられた第一のタイムスタンプ識別子であり、前記第二のデータ点が、前記第二の投薬形態に割り当てられた第二のタイムスタンプ識別子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項5】
前記第一のデータ点が、前記第一の投薬形態に割り当てられた第一のシリアルナンバーであり、前記第二のデータ点が前記第二の投薬形態に割り当てられた第二のシリアルナンバーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項6】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点が一時データ記憶システムに生成され、そこでタイムスタンプ識別子が前記第一のデータ点に加えられて標識された第一のデータ点が生成され、タイムスタンプ識別子が前記第二のデータ点に加えられて標識された第二のデータ点が生成され、前記標識された第一のデータ点と前記標識された第二のデータ点が中間データ記憶システムに送信されてそこに記憶され、断続的に前記中間データ記憶システムからデータベースに送信される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項7】
前記投薬形態の内在化を検出することが、前記投薬形態に結びついた物質であって、電磁的検出、磁気的検出、放射性検出、化学的検出、蛍光的検出、音響的検出、及び化学的検出から成る群から選択される方法による検出を可能にする物質を用いて遂行される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項8】
使用者の体に内在化される投薬形態に関わる投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法であって、当該方法が以下のステップ:
検出器を含む第一の投薬形態を調製し;
検出器を含む第二の投薬形態を調製し;
上記第一の投薬形態を上記使用者の体に配置し;
上記第一の投薬形態に隣接する体の周囲環境を検出し;
上記第一の投薬形態による体の内側の周囲環境の検出に応答して第一のデータ点を生じさせ;
上記第二の投薬形態を該使用者の体に配置し;
上記第二の投薬形態に隣接する体の周囲環境を検出し;
上記第二の投薬形態による体の内側の周囲環境の検出に応答して第二のデータ点を生じさせ;そして
上記第一のデータ点と上記第二のデータ点を分析する
を含む、前記方法。
【請求項9】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析するステップが、測定基準を生じさせ、当該測定基準は、臨床試験のための服薬遵守測定基準、治療薬の用量を変えるための測定基準、治療薬を変えるための測定基準、患者からの通信を求めるための測定基準、服薬遵守を治療薬の効果の保証と結びつける測定基準、服薬遵守を治療薬の安全性の保証と結びつける測定基準、治療薬の効力を決定するための測定基準、治療薬の安全性を決定するための測定基準、治療薬を用いる試験プロトコルを確立するための測定基準、治療薬の保険可能性を決定するための測定基準、及び市販するために治療薬を分別する測定基準から成る群から選択される、請求項8に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項10】
前記分析が、時系列分析、多変量分析、薬理動態的回帰分析、薬理動力学回帰分析、集団比較分析、生存時間分析、共分散分析、単平均分析、多重独立群分析、対観測分析、多重独立群対観測分析、多重独立群打ち切り分析、多重独立群限定リクルートメント及び打ち切り分析、単一比例分析、多重独立比例分析、角変換分析、生存時間分析、単相関分析、多重独立相関分析、及び多重関連相関分析のうちの1以上を用いて行われる、請求項8又は9に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項11】
使用者による投薬レジメンの服薬遵守を監視するシステムであって:
当該使用者の体内に配置するための第一の投薬形態、当該第一投薬形態は体内に配置されたことを検出するためのデバイスを含み;
当該使用者の体内に配置するための第二の投薬形態、当該第二投薬形態は体内に配置されたことを検出するためのデバイスを含み;
当該使用者の体内に上記第一の投薬形態が配置されたことを検出するとそれに応答して第一のデータ点を生成する生成デバイス;
当該使用者の体内に上記第二の投薬形態が配置されたことを検出するとそれに応答して第二のデータ点を生成する生成デバイス;
上記第一のデータ点と上記第二のデータ点を受信する受信デバイス;及び
上記第一のデータ点と上記第二のデータ点を分析する分析器
を含むシステム。
【請求項1】
投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法であって、以下のステップ:
第一の投薬形態の内在化を検出して第一のデータ点を生じさせ;
第二の投薬形態の内在化を検出して第二のデータ点を生じさせ;そして
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析する
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析するステップが測定基準を生じさせ、当該測定基準が、臨床試験のための服薬遵守測定基準、治療薬の用量を変えるための測定基準、治療薬を変えるための測定基準、患者からの通信を求めるための測定基準、服薬遵守を治療薬の効果の保証と結びつける測定基準、服薬遵守を治療薬の安全性の保証と結びつける測定基準、治療薬の効力を決定するための測定基準、治療薬の安全性を決定するための測定基準、治療薬を用いる試験プロトコルを確立するための測定基準、治療薬の保険可能性を決定するための測定基準、及び市販するために治療薬を分別する測定基準から成る群から選択される、請求項1に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項3】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析するステップが、時系列分析、多変量分析、薬理動態的回帰分析、薬理動力学回帰分析、集団比較分析、生存時間分析、共分散分析、単平均分析、多重独立群分析、対観測分析、多重独立群対観測分析、多重独立群打ち切り分析、多重独立群限定リクルートメント及び打ち切り分析、単一比例分析、多重独立比例分析、角変換分析、生存時間分析、単相関分析、多重独立相関分析、及び多重関連相関分析の一つ以上を用いて行われる、請求項1又は2のいずれかに記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項4】
前記第一のデータ点が、前記第一の投薬形態に割り当てられた第一のタイムスタンプ識別子であり、前記第二のデータ点が、前記第二の投薬形態に割り当てられた第二のタイムスタンプ識別子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項5】
前記第一のデータ点が、前記第一の投薬形態に割り当てられた第一のシリアルナンバーであり、前記第二のデータ点が前記第二の投薬形態に割り当てられた第二のシリアルナンバーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項6】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点が一時データ記憶システムに生成され、そこでタイムスタンプ識別子が前記第一のデータ点に加えられて標識された第一のデータ点が生成され、タイムスタンプ識別子が前記第二のデータ点に加えられて標識された第二のデータ点が生成され、前記標識された第一のデータ点と前記標識された第二のデータ点が中間データ記憶システムに送信されてそこに記憶され、断続的に前記中間データ記憶システムからデータベースに送信される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項7】
前記投薬形態の内在化を検出することが、前記投薬形態に結びついた物質であって、電磁的検出、磁気的検出、放射性検出、化学的検出、蛍光的検出、音響的検出、及び化学的検出から成る群から選択される方法による検出を可能にする物質を用いて遂行される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項8】
使用者の体に内在化される投薬形態に関わる投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法であって、当該方法が以下のステップ:
検出器を含む第一の投薬形態を調製し;
検出器を含む第二の投薬形態を調製し;
上記第一の投薬形態を上記使用者の体に配置し;
上記第一の投薬形態に隣接する体の周囲環境を検出し;
上記第一の投薬形態による体の内側の周囲環境の検出に応答して第一のデータ点を生じさせ;
上記第二の投薬形態を該使用者の体に配置し;
上記第二の投薬形態に隣接する体の周囲環境を検出し;
上記第二の投薬形態による体の内側の周囲環境の検出に応答して第二のデータ点を生じさせ;そして
上記第一のデータ点と上記第二のデータ点を分析する
を含む、前記方法。
【請求項9】
前記第一のデータ点と前記第二のデータ点を分析するステップが、測定基準を生じさせ、当該測定基準は、臨床試験のための服薬遵守測定基準、治療薬の用量を変えるための測定基準、治療薬を変えるための測定基準、患者からの通信を求めるための測定基準、服薬遵守を治療薬の効果の保証と結びつける測定基準、服薬遵守を治療薬の安全性の保証と結びつける測定基準、治療薬の効力を決定するための測定基準、治療薬の安全性を決定するための測定基準、治療薬を用いる試験プロトコルを確立するための測定基準、治療薬の保険可能性を決定するための測定基準、及び市販するために治療薬を分別する測定基準から成る群から選択される、請求項8に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項10】
前記分析が、時系列分析、多変量分析、薬理動態的回帰分析、薬理動力学回帰分析、集団比較分析、生存時間分析、共分散分析、単平均分析、多重独立群分析、対観測分析、多重独立群対観測分析、多重独立群打ち切り分析、多重独立群限定リクルートメント及び打ち切り分析、単一比例分析、多重独立比例分析、角変換分析、生存時間分析、単相関分析、多重独立相関分析、及び多重関連相関分析のうちの1以上を用いて行われる、請求項8又は9に記載の投薬レジメンの服薬遵守を監視する方法。
【請求項11】
使用者による投薬レジメンの服薬遵守を監視するシステムであって:
当該使用者の体内に配置するための第一の投薬形態、当該第一投薬形態は体内に配置されたことを検出するためのデバイスを含み;
当該使用者の体内に配置するための第二の投薬形態、当該第二投薬形態は体内に配置されたことを検出するためのデバイスを含み;
当該使用者の体内に上記第一の投薬形態が配置されたことを検出するとそれに応答して第一のデータ点を生成する生成デバイス;
当該使用者の体内に上記第二の投薬形態が配置されたことを検出するとそれに応答して第二のデータ点を生成する生成デバイス;
上記第一のデータ点と上記第二のデータ点を受信する受信デバイス;及び
上記第一のデータ点と上記第二のデータ点を分析する分析器
を含むシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−532119(P2009−532119A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503274(P2009−503274)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/065490
【国際公開番号】WO2007/115087
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/065490
【国際公開番号】WO2007/115087
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]