説明

内照式表示装置

【課題】 コスト上昇を抑えると共に、薄型化、輝度の増加および発光面輝度の均一化が可能な内照式表示装置を提供する。
【解決手段】 均一に面発光する平面型放電管11と、この平面型放電管11の一面側に配された支持板12と、内照パネルの他面側に配された画像を焼き付けた透過フィルム18と、これら平面型放電管11,支持板12および透過フィルム18を収納する収納枠14とで構成される。平面型放電管11は、インバータ13の高周波交流電圧による駆動によって発光面Sから均一に面発光する。平面型放電管11や透過フィルム18は何れも薄型、軽量であるから、取り扱いが容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内照式表示装置であって、詳しくは、光源に平面型放電管を用いた内照式表示装置の関する。
【背景技術】
【0002】
従来より実用化されている大型の内照式表示装置は、ハウジング内に1本または2本以上の蛍光灯を配置し、この蛍光灯から適当な距離を離して拡散板を配置し、この拡散板の外面に所望の表示を設けた構造のものが提供されている。ところがこのような装置においては、蛍光灯と拡散板との距離を充分にとらないと、スリムラインと称される蛍光灯の輝線が見えてしまい、明るさの均一性を確保するためには必然的に装置の奥行きを大きくしなければならない。このような装置で奥行きを小さくしようとすると、拡散板の拡散性能を上げざるを得ない。このことは光線透過率の低下を招き暗くなるので、同一の明るさを維持するためには、蛍光灯の本数を増やさざるを得ず、消費電力の増加や温度上昇の対策等の問題が生じている。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来より多くの提案がなされている(特許文献1〜5)が、これらの多くは光源直上部を遮蔽して輝線を消すものであるため、面の暗い部分に水準を合わせて均一化することになり、光量の利用効率の観点からは、好ましいとは言えない。
【0004】
また、原理的に考えられることとして、点光源近似を用いて凸レンズの焦点にランプを配置し、凸レンズを通過した光が平行光になることを応用して、このようなフレネルレンズを光源に組み込むことも可能であるが、蛍光灯はいわゆる点光源ではないために、この原理の再現性は悪く、実用に供し得ないのが実状である。
【0005】
また、近年、液晶表示用バックライトや電飾看板等に用いられる面発光装置の導入等があるが、その多くは設計、製作のし易さ、発光の均一性、耐久性等の観点からアクリル導光板を用いたサイドエッジ型が用いられており、アクリル導光板を用いたサイドエッジ型バックライトには優れた特性がみられるため、今日面発光装置の主流となっている。しかしながら、従来の内照式表示装置にこれらの面発光装置を導入する利点はあっても、その反面、コスト上昇や光源照射効率等の点でなお改良すべき課題があり、また、該コストの抑制と併せて、導光板の厚みが薄くなるに従ってエネルギ−が減少するというアクリル導光板特有の属性の為、例えば光源の着色選択、軽薄短小化と透過損失が大きい材料などとの組み合わせにおいて、液晶表示用バックライトや面発光装置をそのまま導入することが難しいといった問題点があった。
【0006】
一方、遺影写真や室内インテリアとして壁などに飾られている写真パネル、絵画を飾った額などに小型の内照式表示装置が応用されている。これは、額やパネルそのものを内照式とするものであり、蛍光灯によって写真や絵画等を照らすことによって写真を明るくする方法である。しかし、このような小型の内照式表示装置では、光源として蛍光灯を使用する関係で、装置全体が大型化し、重量も相当重くなると共に、持ち運びも困難が伴うという問題があった。さらに写真全体を均一に照明することが困難になり、所期の効果を期待できないなどの問題があった。
【0007】
この問題を解決するために、このような小型の内照式表示装置の光源として、均一に面発光をする無機EL等の電解発光面シートが用いられている(特許文献6)。しかしながら、上記問題は解決されるものの、実用上、数百cd程度の輝度しかえることができず、大型の内照式表示装置に応用するには、更なる輝度を有する面発光素子の提供が期待されていた。
【0008】
【特許文献1】実公昭42−18278号公報
【特許文献2】特開昭55−15126号公報
【特許文献3】特開昭55−133008号公報
【特許文献4】実開昭58−35667号公報
【特許文献5】特開昭59−22493号公報
【特許文献6】実用新案登録第3111315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、このような状況に鑑み、表示面に蛍光灯のような線状光源を近接させようとすると輝線があらわれること、そしてこのような輝線を解消するために遮蔽部材を用いると全体として輝度を低下させ光量の利用効率を下げてしまうこと、また、同様に拡散性の高い拡散板を用いて均一化を図ろうとすると表示面が暗くなること、のいわゆる面輝度を低下させずに装置を薄型化する二律背反の現象であること、無機EL等の電解発光面シートによって得られる輝度は実用上、数百cd程度の輝度しか得られないこと、および蛍光灯の本数を増すことや、遮蔽部材等の部品を追加することにより、コスト上昇を招くこと等を認識し、できるだけ光源の発光を有効に利用しながら薄型化を達成すべく鋭意検討を行ったところ、平面型放電管を光源として利用することを見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
本発明の目的は、コスト上昇を抑えながら、薄型化、輝度の増加および発光面輝度の均一化が可能な内照式表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載した内照式表示装置は、
透光性の外表面を有するハウジングと、
前記ハウジングの外表面の外側または内側に設けられた表示手段と、
前記ハウジング内に内蔵されるとともに、発光面から均一に面発光する平面型放電管と、前記平面型放電管を駆動する駆動装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のうち、請求項1の内照式表示装置によれば、
前記駆動装置によって、ハウジング内に内蔵された平面型放電管から均一発光を照射し、この均一発光を利用して、前記ハウジングの外表面の外側または内側に設けられた表示手段を均一に照らすことができるので、表示手段としての画像等の全体像を遠くからでもはっきりと認識することができるようになる。また、従来の面発光シートを利用した場合と比較して、発光面からの輝度を上昇させることができるので、更に遠くからでもはっきりとした表示パターンを認識できる。しかも、このパネル装置は薄型で軽量化を図ることができことに加え可搬性に優れているから、場所を取らずに通常の額として壁掛け使用が可能になる。更に取り付け場所が制限されるようなこともないので、室内や美術館に設置される写真パネルなどに適用して極めて好適である。
【0013】
以上の発明によれば、コスト上昇を抑えると共に、薄型化、輝度の増加および発光面輝度の均一化が可能な内照式表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る小型の内照式表示装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は小型の内照式表示装置10について写真を飾る額として構成したときの実施形態を示すもので、図2はその分解斜視図を示す。図2からも明らかなようにこの発明に係る内照式表示装置10は、面発光を行う平面型放電管11を有する。
【0015】
<全体構造>
光源としての平面型放電管11の背面側には反射板と保護板を兼ねたハウジングの一部としての支持板(支持シート)12が、接着シート17などを使用して貼着されて一体化されている。平面型放電管11の前面側には、表示手段としての透過フィルム18が配置される。この透過フィルム18には、風景や人間の顔の表示パターンが焼き付けられている。透過フィルム18は白黒フィルムであってもカラーフィルムであってもよい。透過フィルム18に表示パターンを焼き付けるのは周知の複写機を使用することができる。
【0016】
透過フィルム18の前面には透過フィルム18を保護するための保護用透明シート19が配され、これらの順序で収納枠としての額14内に収納される。透明シートの代わりに透明フィルムや透明ガラスなどを使用することができる。額14は絵画などを入れる通常の額を使用することもできれば、専用額を使用することもできる。この保護用透明シート19および額14は、本発明においてハウジングの一部を形成している。
【0017】
<平面型放電管>
図3(a),(b)に示すように、平面型放電管11は互いに対向する一対の長方形状のガラス基板51,51を備えている。両ガラス基板51,51の外周縁間がガラス接着剤52により封止されることにより、両ガラス基板51,51間には放電空間53が形成されている。この放電空間53内には放電管14の側壁(即ち、両ガラス基板51,51間のガラス接着剤52)を貫通した給排気管54を使用して放電ガスとしてキセノンガス(Xe)等の不活性ガス又はキセノンガスを含む混合ガスが封入されている。
【0018】
放電空間53内には複数の誘電体リブ55が介在されている。誘電体リブ55はガラス等の誘電体により長尺状に形成されている。各誘電体リブ55は両ガラス基板51,51の長手方向へ延びるように、且つ互いに平行をなすように短手方向において所定間隔毎に配置されている。各誘電体リブ55の上下の側縁部は、それぞれ両ガラス基板51,51の内面に図示しないガラス接着材により接合されている。各誘電体リブ55により両ガラス基板51,51の間隔が一定に保持されている。
【0019】
両ガラス基板51,51のうち一方のガラス基板51の表面は発光面(光を取り出す面)Sとされており、当該発光面Sにはその全面にわたって膜状の透明電極56が形成されている。この透明電極56は例えば酸化インジウムスズにより形成されている。発光面Sとされない他方のガラス基板51の外面には、その全面にわたって不透明電極57が形成されている。この不透明電極57は例えば銀やアルミニウム等の光を反射する性質を有する金属材料の金属蒸着膜により形成されている。また、放電空間53内において、不透明電極57が設けられたガラス基板51の内面には、蛍光体膜58が形成されている。
【0020】
透明電極56及び不透明電極57の外面にはそれぞれ半田等の導電接着材59によりリード線60の一端が接続されている。両リード線60,60の他端は、図1に示されるように、それぞれ電極端であるプラグ16が導出され、プラグ16は、インバータ13側に設けられたソケット21にはめ込まれる。駆動装置としてのインバータ13は、約100ボルトの電源で駆動し、両リード線60,60を介して、透明電極56と不透明電極57との間に所定の交流電圧が印加されると、両ガラス基板51,51間には誘電体バリヤ放電が発生し、励起したキセノン原子から紫外線が発生する。この紫外線が蛍光体膜58により可視光に変換されて発光面から出射する。この可視光の輝度は約4000cd程度であり、無機EL等の面発光シートからの照射輝度の数十倍である。
【0021】
したがって、平面型放電管11の発光面から輝度の大きな照射光が均一に発光する。平面型放電管11の前面には透過フィルム18があるので、表示パターンが内照されて表示パターンが明るく均一に投影される。
【0022】
<第1の実施形態の作用・効果>
以上の第1の実施形態の内照式表示装置によって奏する作用・効果を以下に列記する。
(1)平面型放電管11の前面には透過フィルム18があるので、平面型放電管11から発光される均一発光によって、表示パターンが内照されて明るく均一に投影されるので、この表示パターンを遠くからでもはっきり確認することができる。
【0023】
(2)内照する表示パターンの明るさは、平面型放電管11に加圧される交流電圧のサイクル数、または交流電圧値で制御することができ、周波数または交流電圧が高くなるにしたがって明るくなるので、明るさを自由に調節することができる。
【0024】
(3)内照式表示装置10において、平面型放電管11はその厚みが3mm程度であるので、蛍光灯等の光源と比較して薄く軽いから、薄型で軽量化に適する。
【0025】
(4)平面型放電管11の放電空間内に設けられた蛍光体膜の種類によって様々な発光色を得ることができる。また、放電ガスをネオン等とすることで、ガスからの発光も期待できる。
【0026】
(5)光源に平面型放電管11を使用しているので、蛍光灯を使用した場合には必要であった光を拡散するための拡散板等を必要としないので、コストの上昇を抑えることができる。
【0027】
<第1の実施形態の応用例>
内照式表示装置10は薄型、軽量で可搬性に優れているから、室内のインテリアとして使用される写真パネルにも適用することができる。その場合には透過フィルム18には対応する写真の画像などが焼き付けられる。もちろん、美術館や結婚式場などのように大型パネルを使用する場所では遠くからでもパネルを明確に認識できるのが好ましい。この発明に係る内照パネル装置を使用すれば、平面型放電管11のサイズを大きくするか、あるいは、複数枚の平面型放電管11を並列に接続するだけで、その要求を満足させることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る大型の内照式表示装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図4は、電気スタンド式看板90として構成したときの実施形態を示すものであり、この斜視図を示している。
【0029】
<全体構造>
基台91の下面には運搬を容易にするためのキャスタ92が設けられ、基台91上には、表示手段としての広告等の図柄、文字を画いた半透明の看板93を備えた電飾看板部94が設けられている。この電飾看板部94および貴台91は、本発明においてはハウジングに相当する。
【0030】
この電飾看板部4内には、平面型放電管95、この平面型放電管95を安定的に点灯させるための駆動装置としての電子式安定器96が設けられている。更に、基台91内には電子式安定器96に電源を供給するためのシールバッテリ97が固定されており、このシールバッテリ97には図示しない充電用電気コードを介して充電器98が接続され、充電器98には外部電源に接続するための電源コード99が接続されている。また、この電源コード99はコードリール100に巻いて収納するようになっている。基台91の側面には、平面型放電灯95を点灯・消灯するためのスイッチ101、開閉可能なコード取出防雨カバー92が設けられており、回路の一部には、必要に応じて平面型放電管95の点灯・消灯時間を制御するタイマ103が介在されている。
【0031】
<平面型放電管>
平面型放電管95の構造は、第1の実施形態で説明したものとほぼ同様であるが、一対の薄膜状の電極を両方とも透明電極としているため、両面発光が可能となっている。つまり、図3において57が透明電極になっており、かつ、ガラス基板51も透明である。
【0032】
<第2の実施形態の取り扱い等>
シールバッテリ7の充電は、この電気スタンド式看板を使用しない時間帯に行うことが好ましく、キャスタ2を用いて看板が邪魔にならない場所に移動して行う。基台1の側面に設けたコード取出防雨カバー92を開けて、基台91の内部から電源コード99をコードリール100により引き出し、コンセント等の外部電源に接続して充電する。
【0033】
例えば、テナントビルの5階で営業していたレストランにおいては、夜間や定休日に充電した看板をエレベータを介して1階のビル入口に降下して使用し、営業終了後に再び5階まで運び、電源コード99を引き出して店内等で充電することが可能になる。
【0034】
充電が完了した看板を使用場所に戻す際には、電源コード99をコードリール100に巻くことにより基台91内に収納する。使用する位置に移動した後に、スイッチ91を介して平面型放電管95を点灯する。或いは、照明時間をタイマ93を用いて自在に設定すれば、所定の時間帯において自動的に点灯させることもできる。
【0035】
また、シールバッテリ97を使用することにより、万一転倒した場合においても、充電液が漏れることなく安全である。シールバッテリ97は水、砂の代りのおもりの役割を果たし、看板の転倒防止にもなっている。
【0036】
更に、充電器98や電源コード99はコンセント側に配置し、シールバッテリ97には充電時に接続するようにすれば、看板を軽量化、小型化することもできる。
【0037】
<第2の実施形態の作用・効果>
以上説明したように、本実施形態に係る電気スタンド式看板は、看板部の点灯時に電源コードを電源に接続する必要がなく、電源のない場所での使用が可能である。また、電源コードの敷設が不要なため、通行人等の邪魔になることもなく、電源コードの損傷も防止することができる。
【0038】
また、平面型放電管95を光源として用いているため、第1の実施形態の及ぼす効果(1)〜(5)と同様の効果を奏する。その他、以下の効果(6)を奏する。
(6)この平面型放電管95は、両面発光型であるため、電飾看板部94の両側に設けられた半透明の看板93を均一照射することが可能となる。
【0039】
(別例等)
なお、本発明は上記の実施形態に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施が可能である。以下にその他の別例等を列記する。
【0040】
・ 本発明において、平面型放電管の構造は、第1または第2の実施形態に記載したものに限定されず、その他の構造の平面型放電管であってもよい。例えば、一対の薄膜電極の少なくともいずれか一方を放電空間内面に配置してもよい。また、比較的小さな発光面積の平面型放電管においては、放電空間内に配置された誘電体リブを必要としない場合もある。
【0041】
・ 本発明の内照式表示灯では、第1または第2の実施形態の他に、誘導灯、広告灯、案内表示灯など、面光源を必要とする様々な表示装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態における内照式表示装置の外観を示した図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】(a)は平面型放電管の正断面図、(b)は(a)の1−1線断面図である。
【図4】第2の実施形態における内照式表示装置の外観を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
10・・・ 内照式表示装置、11・・・平面型放電管、12・・・ 支持板、13・・・ インバータ、14・・・ 額、18・・・ 透過フィルム、19・・・ 保護透明カバーシート、91・・・ 基台、92・・・ キャスタ、93・・・ 看板、94・・・ 電飾看板部、95・・・平面型放電管、97・・・ シールバッテリ、98・・・充電器、99・・・ 電源コード、100・・・ コードリール、101・・・スイッチ、103・・・ タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の外表面を有するハウジングと、
前記ハウジングの外表面の外側または内側に設けられた表示手段と、
前記ハウジング内に内蔵されるとともに、発光面から均一に面発光する平面型放電管と、前記平面型放電管を駆動する駆動装置と、
を備えた内照式表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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