説明

内燃機関の吸気系部品

【課題】 ゴムの柔軟性を維持しつつ制振効果をもつゴム組成物により、内燃機関の吸気系部品特にエアクリーナを通して取り入れられた外気をエンジン本体に供給する吸気系ダクトを提供する。
【解決手段】 NBR100重量部に対して層状結晶充填材を10〜30重量部を配合したゴム組成物より形成する。層状結晶充填材としてマイカを配合する。吸気系部品として、エアクリーナを通して取り入れられた外気をエンジン本体に供給する吸気系ダクトを構成する。ゴム組成物に耐オゾン性に優れた樹脂を配合する。耐オゾン性に優れた樹脂としてアクリル樹脂を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
NBRを主体とするゴム組成物により形成される内燃機関の吸気系部品、例えばエアクリーナを通して取り入れられた外気をエンジン本体に供給する吸気系ダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、NBRなどのゴム組成物からなる上記吸気系ダクトとしては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【特許文献1】特開平6−297492号公報
【0003】
この種の吸気系ダクトには吸気騒音が発生するが、この吸気騒音を低減するために部品の剛性を高めたり肉厚を厚くすることは、オゾンクラックが発生したり柔軟性を損ねる問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オゾンクラック防止のため塩化ビニル樹脂を配合することが試みられたが、昨今の脱塩ビの要請を満足しない。ゴム組成物の補強材として使用されるカーボンブラックは、若干制振効果を期待できるが部品の硬度が大きくなり柔軟性が損なわれる。
本発明は、上記に鑑み、ゴムの柔軟性を維持しつつ制振効果をもつゴム組成物により、内燃機関の吸気系部品特にエアクリーナを通して取り入れられた外気をエンジン本体に供給する吸気系ダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため、次の構成を備えるものである。
(1)NBR100重量部に対して層状結晶充填材を10〜30重量部を配合してなるゴム組成物より形成されていることを特徴とする内燃機関の吸気系部品。
(2)層状結晶充填材がマイカである上記(1)に記載の内燃機関の吸気系部品。
(3)吸気系部品が、エアクリーナを通して取り入れられた外気をエンジン本体に供給する吸気系ダクトである上記(1)または(2)に記載の内燃機関の吸気系部品。
(4)ゴム組成物に耐オゾン性に優れた樹脂を配合してある上記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の吸気系部品。
(5)耐オゾン性に優れた樹脂がアクリル樹脂である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の吸気系部品。
【発明の効果】
【0006】
吸気系部品としてのゴムの柔軟性を損なうことなく、放射音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の吸気系部品として、内燃機関の吸気通路を構成する吸気系ダクトについて説明する。吸気系ダクトは、ゴム組成物としてNBR100重量部に対して層状結晶充てん材(例えばマイカ)を10〜30重量部含んでいる。層状結晶充てん材としてはマイカのほか、黒鉛が用いられる。その粒子径は5〜50μmが好ましい。粒子径が大きい場合には強度の低下が大きくなるので、粒子径が小さいものが好ましい。
前記ゴム組成物は、市販のNBRに各種配合剤を加えてロールミル、バンバリーミキサー、二一ダーによって混練して、リボン状あるいはシート状にしたものを成形原料とする。
前記ゴム組成物には各種の添加剤、例えは、補強剤、可塑剤、充てん剤、滑剤、難燃剤、内部離型剤、老化防止剤、粘着付与剤、加硫剤、加硫促進剤等の公知の添加剤を添加する事ができる。成型品の成型方法には、圧縮成型、射出成型、押出し成型等の成型法を制限無く使用できる。
【実施例】
【0008】
二一ダーを用いてゴムコンパウンドを作成し、ロールにて加硫材を添加したのちリボン出しを行い、射出成型機にてシート状の成形品を作成した。比較例として、マイカを配合することなく、実施例と同様に成形品を作成した。
実施例及び比較例で得られた成形品について放射音の測定を行った。
成形品を常温あるいは100℃にて、成型品の一方から発振し外部に取り付けたスピーカーを用いて外部に漏れる放射音を測定した。
図1ないし図3は案施倒と比較例とで、周波数と放射音レベルを比較したものである。
本実施例は比較例と比べて5dB程度小さくする事ができている。
また、案施例と比較例とで、試験方法JIS K 6251に従って機械的物性を比較したところ、マイカを配合した実施例は補強性が低い為に硬度が2HS程度上昇する程度であり、物性は大きく変わっていない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】周波数と放射音レベルの関係を示すグラフ。
【図2】周波数と放射音レベルの関係を示すグラフ。
【図3】周波数と放射音レベルの関係を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NBR100重量部に対して層状結晶充填材を10〜30重量部を配合してなるゴム組成物より形成されていることを特徴とする内燃機関の吸気系部品。
【請求項2】
層状結晶充填材がマイカである請求項1に記載の内燃機関の吸気系部品。
【請求項3】
吸気系部品が、エアクリーナを通して取り入れられた外気をエンジン本体に供給する吸気系ダクトである請求項1または2に記載の内燃機関の吸気系部品。
【請求項4】
ゴム組成物に耐オゾン性に優れた樹脂を配合してある請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の吸気系部品。
【請求項5】
耐オゾン性に優れた樹脂がアクリル樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の吸気系部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−154808(P2007−154808A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353156(P2005−353156)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000108498)タイガースポリマー株式会社 (187)
【Fターム(参考)】