内燃機関の油温センサー取付け構造
【課題】油を供給するための圧損を減少させるとともに油温を正確に測定することが可能な内燃機関の油温センサー取付け構造を提供することを課題としている。
【解決手段】油回路が形成された内燃機関において、該内燃機関の壁部内に、第1油回路9と、該第1油回路9と交差して相互に連通する第2油回路10とが形成され、前記油回路内の油温を測定する温度センサー12の細長形状温度検出部13が前記第1油回路9と前記第2油回路10とが交差する個所11に位置し、かつ前記温度センサー12の長手方向が前記第1油回路9の延伸方向に指向して、前記温度センサー12が前記内燃機関壁に取付けられた構造。
【解決手段】油回路が形成された内燃機関において、該内燃機関の壁部内に、第1油回路9と、該第1油回路9と交差して相互に連通する第2油回路10とが形成され、前記油回路内の油温を測定する温度センサー12の細長形状温度検出部13が前記第1油回路9と前記第2油回路10とが交差する個所11に位置し、かつ前記温度センサー12の長手方向が前記第1油回路9の延伸方向に指向して、前記温度センサー12が前記内燃機関壁に取付けられた構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内燃機関の壁部内の油回路中を流れる油の温度を適確に測定できる油温センサーの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関内の油通路中を流れる油の温度を測定するために、油温センサーの検出部をシリンダブロックの油通路に挿入したもの(特開2007−270737号公報参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−270737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のものでは、図10および図11に図示の如く、シリンダブロック01の油通路02に対し交差する方向に指向して油温センサー03の円柱状検出部04が突出するように、シリンダブロック01に油温センサー03が挿入されて取付けられている。
【0005】
このようなものにおいては、油通路02の中心02aを流れる油の温度を正確に測定しようとして、油温センサー03の円柱状検出部04を深く押込むと、図12に図示されるように、油通路02に油温センサー03の円柱状検出部04が突出して、油通路02の上下両端部に形成された油路02bのみに狭められてしまい、油通路02に潤滑油を流通させるための圧損が増大するという課題がある。また、圧損を低滅させようとし、油通路02の幅(A)を大きくすることも考えられるが、このような構造とするとシリンダブロック等が大型化してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解消した内燃機関の油温センサーの取付け構造である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、油回路が形成された内燃機関において、該内燃機関の壁部内に、第1油回路と、該第1油回路と交差して相互に連通する第2油回路とが形成され、前記油回路内の油温を測定する温度センサーの細長形状温度検出部が前記第1油回路と前記第2油回路とが交差する個所に位置し、かつ前記温度センサーの長手方向が前記第1油回路または前記第2油回路の延伸方向に指向して、前記温度センサーが前記内燃機関壁に取付けられたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記第1油回路と、前記第2油回路とが直交して交差し、前記油温センサーの温度検出部は、L字状油路の交差部に取付けられたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記油温センサーの検出部内には、測温エレメントが設けられ、該測温エレメントは、前記第1もしくは第2油回路の中心に配置されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、内燃機関の壁部内に、第1油回路と、該第1油回路に対し交差して相互に連通する第2油回路とが形成され、前記油回路内の油温を測定する温度センサーの細長形状温度検出部が前記第1油回路と前記第2油回路とが交差する個所に位置し、かつ前記温度センサーの長手方向が前記第1油回路または前記第2油回路の延伸方向に指向して、前記温度センサーが前記内燃機関壁に取付けられることにより、前記温度センサーが装入された油回路の横断面で見て、該油温センサーによって閉塞される流路横断面が小さくなり、油温センサーによる圧損が低減する。
【0011】
また、前記温度センサーの細長形状温度検出部が挿込まれる前記油回路の長手方向と、該細長形状温度検出部の長手方向とが合致しているため、該油回路と該細長形状温度検出部との間隙が充分に確保されるため、この面からも油の供給圧損が低下する。
【0012】
請求項2記載の発明では、L字状油路交差部に、前記油温センサーの温度検出部は、取付けられるため、前記内燃機関の壁部内に形成した機械加工孔を前記温度センサーの細長形状温度検出部を挿入する油回路とした場合、前記機械加工孔の開放端開口を閉塞するための盲栓に前記温度センサーを活用することができるので、盲栓を必要とせず、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0013】
また、前記第1油回路または第2油回路のいずれか一方の油回路に前記油温センサーの検出部を挿入したため、油回路と直交する別のセンサー取付け用の挿入孔を形成した従来のもののように、センサー取付け用挿入孔を形成する必要がなく、加工工数が少なくなり、この面でコストダウンが可能となる。
【0014】
請求項3記載の発明では、前記油温センサーの検出部内に設けられた測温エレメントが、前記第1もしくは第2油回路の中心に配置されているため、油温の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る油温センサー取付け構造を具備した内燃機関の概略斜視図である。
【図2】図1の要部斜視図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2の左側面図である。
【図5】図2の正面図である。
【図6】図2の要部拡大透視斜視図である。
【図7】図6の要部縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿って截断した横断面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿って截断した縦断面図である。
【図10】従来の油温センサーの取付け構造の縦断面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿って截断した横断面図である。
【図12】図10に図示された油温センサー取付け構造において、油通路を横断して円柱状検出部を著しく深く突出させた場合の油通路の横断面図である。
【図13】図1ないし図8に図示された実施例における油通路の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る内燃機関の油温センサー取付け構造の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1ないし図9に図示された本発明の実施例1について説明する。
【0018】
図1に図示された本発明の1実施例に係る水冷式直列4気筒内燃機関1は、図示されない車両に搭載され、この水冷式直列4気筒内燃機関1は、クランクケース2、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、シリンダヘッドカバー5およびクランクケース2の下方のオイルパン(図示されない)よりなっており、クランクケース2内で左右車幅方向に指向した図示されないクランク軸が回転可能に軸支され、車体前方に吸気系、車体後方に排気系がそれぞれ配置されており、該水冷式直列4気筒内燃機関1は、通常の4ストロークサイクル内燃機関と同様な構造に構成されている。
【0019】
水冷式直列4気筒内燃機関1では、図示されないオイルパンに溜められた潤滑油は、図示されない潤滑油供給ポンプにより、図5に図示されるように、シリンダブロック3の油通路6に送られ、シリンダブロック3内の潤滑部に供給された後、シリンダブロック3内の油通路6からシリンダヘッド4内の油通路7に送られ、油通路7から岐出された油通路8を介して図示されない各気筒毎に設けられた動弁機構の潤滑を行うべく、動弁機構部分に供給されるようになっている。
【0020】
また、油通路7から左方(図5,6では右方)へ岐出した第1油回路9と、第1油回路9の左方開口端部9aに隣接した部分からシリンダヘッド4の上面へ指向した第2油回路10とが、シリンダヘッド4に形成され、この第1油回路9と第2油回路10との交差部11に、油温センサー12の細円筒状温度検出部13が位置し、かつ第2油回路10の中心線10a上に細円筒状温度検出部13の中心線13aが一致するように、第1油回路9の開口端部9aから第1油回路9内に油温センサー12の細円筒状温度検出部13遊嵌されるとともに、油温センサー12の挿入部12aが第1油回路9よりも径の大きな左方開口端部9aに嵌合され、この左方開口端部9aに隣接する開口端面9bと、油温センサー12の鍔状部12bとにシール15が介装されている。
【0021】
さらに、図7に図示されるように、第1油回路9の開口端部9aの内径と油温センサー12の挿入部12aの外径とは同一であって、この径をAとし、第1油回路9の内径と第2油回路10の内径とは同一であって、この径をBとし、細円筒状温度検出部13の外径をCとすると、これらのA,B,Cの間には、
A>B>C
なる寸法関係に設定されている。
【0022】
さらにまた、細円筒状温度検出部13内には、図9に図示されるように測温エレメント14が内臓されており、潤滑油が細円筒状温度検出部13に接触して潤滑油の熱が測温エレメント14に伝達され、潤滑油の油温が電気的に検出されるようになっている。
【0023】
図1ないし図9に図示の実施例では、第1油回路9内を左方へ流れた潤滑油は、細円筒状温度検出部13の端面13bに接近するに従い、半径方向へ拡散しながら、潤滑油の大部分は、第1油回路9と細円筒状温度検出部13の周面13cとの間の交差部11内を第1油回路9の中心線9c方向に沿って流れ、第2油回路10の中心線10aを通り第1油回路9の中心線9cと直交する面に接近した部分で、細円筒状温度検出部13の周面13cの周方向に沿い上方へ流れた後、第2油回路10内に流入し、第1油回路9内の上部を流れる一部の潤滑油は、第1油回路9の中心線9cと平行に流れて細円筒状温度検出部13の周面13cの周方向に沿った潤滑油と合流するため、第2油回路10内を流れる潤滑油に大きな乱れが生じない。
【0024】
交差部11内を第1油回路9の中心線9cに沿いながら徐々に細円筒状温度検出部13の周面13cの周方向に曲って細円筒状温度検出部13の付近を流れた潤滑油が細円筒状温度検出部13から細円筒状温度検出部13に接して、測温エレメント14により、潤滑油の油温が測定される。
【0025】
このように、第1油回路9の上流側から淀みなく細円筒状温度検出部13の端面13bに潤滑油が衝突して、細円筒状温度検出部13の周面13bに沿って流れ、潤滑油が細円筒状温度検出部13の略全表面に亘り広く接触し、潤滑油の熱が測温エレメント14に急速に伝達されるため、油温およびその温度変化が正確に測定される。
【0026】
また、第1油回路9から交差部11を介して第2油回路10に流入する潤滑油に大きな乱れが生じなく、また交差部11の潤滑油横断面積も広くなるため、潤滑油を循環させるための圧損が小さい。
【0027】
さらに、第1油回路9の開口端部9aを油温センサー12でもって閉塞しているため、第1油回路9の開口端部9aを塞ぐための盲栓を必要とせず、部品点数を削減して、コストダウンを図ることができる。
【0028】
さらにまた、油温センサー12を取付けるための挿入孔を形成する必要がないため、加工工数が減少して、さらにコストダウンを図ることができる。
【0029】
しかも、油温センサー12の細円筒状温度検出部13が、第2油回路10の中心線10aを通り第1油回路9の中心線9cと直交する面上に、位置しているため、油温センサー12による油温の検出精度を向上することができる。
【0030】
また、図10に図示された従来の油温センサー03の取付け構造において、潤滑油が接触する円柱状検出部04の油接触表面積を増大させようとして、油回路02を横断して突出させた場合には、この円柱状検出部04により、油回路02を通過する油回路02bの横断面積は、図12の網掛け部のように狭くなり、従来の油回路02および円柱状検出部04の径と、本実施例の第1油回路および細円筒状温度検出部の径とがそれぞれ同一とすると、従来の油通路横断面積よりも、本実施例の同様な図13の網掛け部で図示された油通路横断面積の方が大きく、油温センサーによる圧損が、従来の油温センサー03に比べて本実施例では小さい。
【符号の説明】
【0031】
1…水冷式直列4気筒内燃機関、2…クランクケース、3…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、5…シリンダヘッドカバー、6…油通路、7…油通路、8…油通路、9…第1油回路、9a…開口端部、9b…拡径部、9c…中心線、10…第2油回路、10a…中心線、11…交差部、12…油温センサー、12a…挿入部、12b……鍔状部、13…細円筒状温度検出部、13a…中心線、13b…端面、13c…周面、14…測温エレメント、15…シール
【技術分野】
【0001】
内燃機関の壁部内の油回路中を流れる油の温度を適確に測定できる油温センサーの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関内の油通路中を流れる油の温度を測定するために、油温センサーの検出部をシリンダブロックの油通路に挿入したもの(特開2007−270737号公報参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−270737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のものでは、図10および図11に図示の如く、シリンダブロック01の油通路02に対し交差する方向に指向して油温センサー03の円柱状検出部04が突出するように、シリンダブロック01に油温センサー03が挿入されて取付けられている。
【0005】
このようなものにおいては、油通路02の中心02aを流れる油の温度を正確に測定しようとして、油温センサー03の円柱状検出部04を深く押込むと、図12に図示されるように、油通路02に油温センサー03の円柱状検出部04が突出して、油通路02の上下両端部に形成された油路02bのみに狭められてしまい、油通路02に潤滑油を流通させるための圧損が増大するという課題がある。また、圧損を低滅させようとし、油通路02の幅(A)を大きくすることも考えられるが、このような構造とするとシリンダブロック等が大型化してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解消した内燃機関の油温センサーの取付け構造である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、油回路が形成された内燃機関において、該内燃機関の壁部内に、第1油回路と、該第1油回路と交差して相互に連通する第2油回路とが形成され、前記油回路内の油温を測定する温度センサーの細長形状温度検出部が前記第1油回路と前記第2油回路とが交差する個所に位置し、かつ前記温度センサーの長手方向が前記第1油回路または前記第2油回路の延伸方向に指向して、前記温度センサーが前記内燃機関壁に取付けられたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記第1油回路と、前記第2油回路とが直交して交差し、前記油温センサーの温度検出部は、L字状油路の交差部に取付けられたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記油温センサーの検出部内には、測温エレメントが設けられ、該測温エレメントは、前記第1もしくは第2油回路の中心に配置されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、内燃機関の壁部内に、第1油回路と、該第1油回路に対し交差して相互に連通する第2油回路とが形成され、前記油回路内の油温を測定する温度センサーの細長形状温度検出部が前記第1油回路と前記第2油回路とが交差する個所に位置し、かつ前記温度センサーの長手方向が前記第1油回路または前記第2油回路の延伸方向に指向して、前記温度センサーが前記内燃機関壁に取付けられることにより、前記温度センサーが装入された油回路の横断面で見て、該油温センサーによって閉塞される流路横断面が小さくなり、油温センサーによる圧損が低減する。
【0011】
また、前記温度センサーの細長形状温度検出部が挿込まれる前記油回路の長手方向と、該細長形状温度検出部の長手方向とが合致しているため、該油回路と該細長形状温度検出部との間隙が充分に確保されるため、この面からも油の供給圧損が低下する。
【0012】
請求項2記載の発明では、L字状油路交差部に、前記油温センサーの温度検出部は、取付けられるため、前記内燃機関の壁部内に形成した機械加工孔を前記温度センサーの細長形状温度検出部を挿入する油回路とした場合、前記機械加工孔の開放端開口を閉塞するための盲栓に前記温度センサーを活用することができるので、盲栓を必要とせず、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0013】
また、前記第1油回路または第2油回路のいずれか一方の油回路に前記油温センサーの検出部を挿入したため、油回路と直交する別のセンサー取付け用の挿入孔を形成した従来のもののように、センサー取付け用挿入孔を形成する必要がなく、加工工数が少なくなり、この面でコストダウンが可能となる。
【0014】
請求項3記載の発明では、前記油温センサーの検出部内に設けられた測温エレメントが、前記第1もしくは第2油回路の中心に配置されているため、油温の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る油温センサー取付け構造を具備した内燃機関の概略斜視図である。
【図2】図1の要部斜視図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2の左側面図である。
【図5】図2の正面図である。
【図6】図2の要部拡大透視斜視図である。
【図7】図6の要部縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿って截断した横断面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿って截断した縦断面図である。
【図10】従来の油温センサーの取付け構造の縦断面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿って截断した横断面図である。
【図12】図10に図示された油温センサー取付け構造において、油通路を横断して円柱状検出部を著しく深く突出させた場合の油通路の横断面図である。
【図13】図1ないし図8に図示された実施例における油通路の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る内燃機関の油温センサー取付け構造の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1ないし図9に図示された本発明の実施例1について説明する。
【0018】
図1に図示された本発明の1実施例に係る水冷式直列4気筒内燃機関1は、図示されない車両に搭載され、この水冷式直列4気筒内燃機関1は、クランクケース2、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、シリンダヘッドカバー5およびクランクケース2の下方のオイルパン(図示されない)よりなっており、クランクケース2内で左右車幅方向に指向した図示されないクランク軸が回転可能に軸支され、車体前方に吸気系、車体後方に排気系がそれぞれ配置されており、該水冷式直列4気筒内燃機関1は、通常の4ストロークサイクル内燃機関と同様な構造に構成されている。
【0019】
水冷式直列4気筒内燃機関1では、図示されないオイルパンに溜められた潤滑油は、図示されない潤滑油供給ポンプにより、図5に図示されるように、シリンダブロック3の油通路6に送られ、シリンダブロック3内の潤滑部に供給された後、シリンダブロック3内の油通路6からシリンダヘッド4内の油通路7に送られ、油通路7から岐出された油通路8を介して図示されない各気筒毎に設けられた動弁機構の潤滑を行うべく、動弁機構部分に供給されるようになっている。
【0020】
また、油通路7から左方(図5,6では右方)へ岐出した第1油回路9と、第1油回路9の左方開口端部9aに隣接した部分からシリンダヘッド4の上面へ指向した第2油回路10とが、シリンダヘッド4に形成され、この第1油回路9と第2油回路10との交差部11に、油温センサー12の細円筒状温度検出部13が位置し、かつ第2油回路10の中心線10a上に細円筒状温度検出部13の中心線13aが一致するように、第1油回路9の開口端部9aから第1油回路9内に油温センサー12の細円筒状温度検出部13遊嵌されるとともに、油温センサー12の挿入部12aが第1油回路9よりも径の大きな左方開口端部9aに嵌合され、この左方開口端部9aに隣接する開口端面9bと、油温センサー12の鍔状部12bとにシール15が介装されている。
【0021】
さらに、図7に図示されるように、第1油回路9の開口端部9aの内径と油温センサー12の挿入部12aの外径とは同一であって、この径をAとし、第1油回路9の内径と第2油回路10の内径とは同一であって、この径をBとし、細円筒状温度検出部13の外径をCとすると、これらのA,B,Cの間には、
A>B>C
なる寸法関係に設定されている。
【0022】
さらにまた、細円筒状温度検出部13内には、図9に図示されるように測温エレメント14が内臓されており、潤滑油が細円筒状温度検出部13に接触して潤滑油の熱が測温エレメント14に伝達され、潤滑油の油温が電気的に検出されるようになっている。
【0023】
図1ないし図9に図示の実施例では、第1油回路9内を左方へ流れた潤滑油は、細円筒状温度検出部13の端面13bに接近するに従い、半径方向へ拡散しながら、潤滑油の大部分は、第1油回路9と細円筒状温度検出部13の周面13cとの間の交差部11内を第1油回路9の中心線9c方向に沿って流れ、第2油回路10の中心線10aを通り第1油回路9の中心線9cと直交する面に接近した部分で、細円筒状温度検出部13の周面13cの周方向に沿い上方へ流れた後、第2油回路10内に流入し、第1油回路9内の上部を流れる一部の潤滑油は、第1油回路9の中心線9cと平行に流れて細円筒状温度検出部13の周面13cの周方向に沿った潤滑油と合流するため、第2油回路10内を流れる潤滑油に大きな乱れが生じない。
【0024】
交差部11内を第1油回路9の中心線9cに沿いながら徐々に細円筒状温度検出部13の周面13cの周方向に曲って細円筒状温度検出部13の付近を流れた潤滑油が細円筒状温度検出部13から細円筒状温度検出部13に接して、測温エレメント14により、潤滑油の油温が測定される。
【0025】
このように、第1油回路9の上流側から淀みなく細円筒状温度検出部13の端面13bに潤滑油が衝突して、細円筒状温度検出部13の周面13bに沿って流れ、潤滑油が細円筒状温度検出部13の略全表面に亘り広く接触し、潤滑油の熱が測温エレメント14に急速に伝達されるため、油温およびその温度変化が正確に測定される。
【0026】
また、第1油回路9から交差部11を介して第2油回路10に流入する潤滑油に大きな乱れが生じなく、また交差部11の潤滑油横断面積も広くなるため、潤滑油を循環させるための圧損が小さい。
【0027】
さらに、第1油回路9の開口端部9aを油温センサー12でもって閉塞しているため、第1油回路9の開口端部9aを塞ぐための盲栓を必要とせず、部品点数を削減して、コストダウンを図ることができる。
【0028】
さらにまた、油温センサー12を取付けるための挿入孔を形成する必要がないため、加工工数が減少して、さらにコストダウンを図ることができる。
【0029】
しかも、油温センサー12の細円筒状温度検出部13が、第2油回路10の中心線10aを通り第1油回路9の中心線9cと直交する面上に、位置しているため、油温センサー12による油温の検出精度を向上することができる。
【0030】
また、図10に図示された従来の油温センサー03の取付け構造において、潤滑油が接触する円柱状検出部04の油接触表面積を増大させようとして、油回路02を横断して突出させた場合には、この円柱状検出部04により、油回路02を通過する油回路02bの横断面積は、図12の網掛け部のように狭くなり、従来の油回路02および円柱状検出部04の径と、本実施例の第1油回路および細円筒状温度検出部の径とがそれぞれ同一とすると、従来の油通路横断面積よりも、本実施例の同様な図13の網掛け部で図示された油通路横断面積の方が大きく、油温センサーによる圧損が、従来の油温センサー03に比べて本実施例では小さい。
【符号の説明】
【0031】
1…水冷式直列4気筒内燃機関、2…クランクケース、3…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、5…シリンダヘッドカバー、6…油通路、7…油通路、8…油通路、9…第1油回路、9a…開口端部、9b…拡径部、9c…中心線、10…第2油回路、10a…中心線、11…交差部、12…油温センサー、12a…挿入部、12b……鍔状部、13…細円筒状温度検出部、13a…中心線、13b…端面、13c…周面、14…測温エレメント、15…シール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油回路が形成された内燃機関において、
該内燃機関の壁部内に、第1油回路と、該第1油回路と交差して相互に連通する第2油回路とが形成され、
前記油回路内の油温を測定する温度センサーの細長形状温度検出部が前記第1油回路と前記第2油回路とが交差する個所に位置し、かつ前記温度センサーの長手方向が前記第1油回路または前記第2油回路の延伸方向に指向して、前記温度センサーが前記内燃機関壁に取付けられたことを特徴とする内燃機関の油温センサー取付け構造。
【請求項2】
前記第1油回路と、前記第2油回路とが直交して交差し、
前記油温センサーの温度検出部は、L字状油路の交差部に取付けられたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の油温センサー取付け構造。
【請求項3】
前記油温センサーの検出部内には、測温エレメントが設けられ、
該測温エレメントは、前記第1もしくは第2油回路の中心に配置されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の油温センサー取付け構造。
【請求項1】
油回路が形成された内燃機関において、
該内燃機関の壁部内に、第1油回路と、該第1油回路と交差して相互に連通する第2油回路とが形成され、
前記油回路内の油温を測定する温度センサーの細長形状温度検出部が前記第1油回路と前記第2油回路とが交差する個所に位置し、かつ前記温度センサーの長手方向が前記第1油回路または前記第2油回路の延伸方向に指向して、前記温度センサーが前記内燃機関壁に取付けられたことを特徴とする内燃機関の油温センサー取付け構造。
【請求項2】
前記第1油回路と、前記第2油回路とが直交して交差し、
前記油温センサーの温度検出部は、L字状油路の交差部に取付けられたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の油温センサー取付け構造。
【請求項3】
前記油温センサーの検出部内には、測温エレメントが設けられ、
該測温エレメントは、前記第1もしくは第2油回路の中心に配置されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の油温センサー取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−1923(P2011−1923A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147230(P2009−147230)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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